(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】メルケル細胞ポリオーマウイルスのラージおよびスモールT抗原、それから作製される核酸構築物およびワクチン、ならびにそれを使用する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 48/00 20060101AFI20240509BHJP
A61K 39/12 20060101ALI20240509BHJP
A61K 31/7088 20060101ALI20240509BHJP
A61P 31/20 20060101ALI20240509BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240509BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20240509BHJP
A61K 31/711 20060101ALI20240509BHJP
A61K 31/7105 20060101ALI20240509BHJP
A61K 35/76 20150101ALI20240509BHJP
A61K 39/39 20060101ALI20240509BHJP
C12N 15/37 20060101ALI20240509BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240509BHJP
C07K 14/025 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
A61K48/00
A61K39/12
A61K31/7088 ZNA
A61P31/20
A61P35/00
A61P37/04
A61K31/711
A61K31/7105
A61K35/76
A61K39/39
C12N15/37
C12N15/63 Z
C07K14/025
(21)【出願番号】P 2020539735
(86)(22)【出願日】2019-01-18
(86)【国際出願番号】 US2019014171
(87)【国際公開番号】W WO2019143921
(87)【国際公開日】2019-07-25
【審査請求日】2021-12-06
(32)【優先日】2018-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516142001
【氏名又は名称】ザ ウィスター インスティテュート オブ アナトミー アンド バイオロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100170852
【氏名又は名称】白樫 依子
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ビー.ウェイナー
(72)【発明者】
【氏名】エリザベス デュペレット
【審査官】佐々木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03101134(EP,A1)
【文献】国際公開第2016/073595(WO,A1)
【文献】Int. J. Cancer, 2015, Vol.136, pp.E290-E300
【文献】J. Biol. Chem, 2011, Vol.286, No.19, pp.17079-17090
【文献】Cell & Bioscience, 2013, Vol.3, Article No.29, pp.1-8
【文献】J. Virology, 2015, Vol.89, No.8, pp.4191-4200
【文献】Human Vaccines & Immunotherapeutics, 2015, Vol.11, No.8, pp.1945-1953
【文献】Trends Mol. Med., 2014, Vol.20, No.11, pp.604-613
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 48/00
A61K 38/00-38/58
A61K 39/00-39/44
C12N 15/00-15/90
C07K 1/00-19/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの修飾メルケル細胞ポリオーマウイルス(MCV)T抗原をコードする核酸分子を含む免疫原性組成物であって、前記T抗原が、少なくとも1つの変異を含む、免疫原性組成物であって、
ここで
(I)前記核酸分子が、
a)配列番号4のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列、
および配列番号6のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列
からなる群から選択されるアミノ酸配列;
ならびに
b)配列番号2、配列番号4、および配列番号6からなる群から選択されるアミノ酸配列
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むペプチドをコードし;ならびに/または
(II)前記核酸分子が、
a)配列番号1、配列番号3、および配列番号5からなる群から選択されるヌクレオチド配列の全長にわたって少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列;
ならびに
b)配列番号1、配列番号3、および配列番号5からなる群から選択されるヌクレオチド配列
からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、免疫原性組成物。
【請求項2】
少なくとも1つの変異が、D44、W209、E216、L142、L91、K92、D93、Y94、およびM95からなる群から選択されるアミノ酸での変異である、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項3】
少なくとも1つの変異が、D44N変異、W209A、E216K変異、L142A変異、L91A変異、K92A変異、D93A変異、Y94A変異、およびM95A変異からなる群から選択される、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項4】
前記MCV T抗原が、ラージT抗原(LTAg)、スモールt抗原(STAg)、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項5】
前記核酸分子が、
a)配列番号4のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列、
および配列番号6のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列
からなる群から選択されるアミノ酸配列、
ならびに
b)配列番号2、配列番号4、および配列番号6からなる群から選択される前記アミノ酸配列
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むペプチドをコードする、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項6】
前記核酸分子が、DNA分子およびRNA分子からなる群から選択される、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項7】
前記核酸分子が、
a)配列番号1、配列番号3、および配列番号5からなる群から選択されるヌクレオチド配列の全長にわたって少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列、
ならびに
b)配列番号1、配列番号3、および配列番号5からなる群から選択されるヌクレオチド配列
からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項8】
前記ペプチドをコードするヌクレオチド配列が、開始コドン、IgEリーダー配列、および終止コドンからなる群から選択される少なくとも1つの制御配列に作動可能に連結している、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項9】
前記核酸分子が、配列番号7で記載されるアミノ酸配列に作動可能に連結した、
a)配列番号4のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列、
および配列番号6のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列
からなる群から選択されるアミノ酸配列、
ならびに
b)配列番号2、配列番号4、および配列番号6からなる群から選択される前記アミノ酸配列、
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むペプチドをコードする、請求項8に記載の免疫原性組成物。
【請求項10】
前記核酸分子が、配列番号7をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した、
a)配列番号1、配列番号3、および配列番号5からなる群から選択されるヌクレオチド配列の全長にわたって少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列、
ならびに
b)配列番号1、配列番号3、および配列番号5からなる群から選択されるヌクレオチド配列
からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項9に記載の免疫原性組成物。
【請求項11】
前記核酸分子が、発現ベクターを含む、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項12】
前記核酸分子が、ウイルス粒子に組み込まれている、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項13】
薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項14】
アジュバントをさらに含む、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項15】
少なくとも1つの修飾メルケル細胞ポリオーマウイルス(MCV)T抗原をコードする核酸分子であって、前記T抗原が、少なくとも1つの変異を含み、ならびに前記核酸分子が、
a)配列番号4のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列、
および配列番号6のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列
からなる群から選択されるアミノ酸配列、
ならびに
b)配列番号2、配列番号4、および配列番号6からなる群から選択される前記アミノ酸配列
からなる群から選択されるアミノ酸配列をコードする
、核酸分子。
【請求項16】
前記核酸分子が、DNA分子およびRNA分子からなる群から選択される、請求項15に記載の核酸分子。
【請求項17】
前記核酸分子が、
a)配列番号1、配列番号3、および配列番号5からなる群から選択されるヌクレオチド配列の全長にわたって少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列、
ならびに
b)配列番号1、配列番号3、および配列番号5からなる群から選択されるヌクレオチド配列
からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項15に記載の核酸分子。
【請求項18】
前記コードされたペプチドが、開始コドン、IgEリーダー配列、および終止コドンからなる群から選択される少なくとも1つの制御配列に作動可能に連結している、請求項15に記載の核酸分子。
【請求項19】
前記核酸分子が、配列番号7で記載されるアミノ酸配列に作動可能に連結した、
a
)配列番号4のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列、
および配列番号6のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列
からなる群から選択されるアミノ酸配列、
ならびに
b)配列番号2、配列番号4、および配列番号6からなる群から選択される前記アミノ酸配列
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むペプチドをコードする、請求項18に記載の核酸分子。
【請求項20】
前記核酸分子が、配列番号7をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した、
a)配列番号1、配列番号3、および配列番号5からなる群から選択されるヌクレオチド配列の全長にわたって少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列、
ならびに
b)配列番号1、配列番号3、および配列番号5からなる群から選択されるヌクレオチド配列
からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項19に記載の核酸分子。
【請求項21】
前記核酸分子が、発現ベクターを含む、請求項15に記載の核酸分子。
【請求項22】
前記核酸分子が、ウイルス粒子を含む、請求項15に記載の核酸分子。
【請求項23】
ペプチドを含む免疫原性組成物であって、
前記ペプチドが、少なくとも1つの修飾メルケル細胞ポリオーマウイルス(MCV)T抗原を含み、前記T抗原が、少なくとも1つの変異を含み、ならびに前記ペプチドが、
a)配列番号4のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列、
および配列番号6のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列
からなる群から選択されるアミノ酸配列、
ならびに
b)配列番号2、配列番号4、および配列番号6からなる群から選択される前記アミノ酸配列
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、免疫原性組成物。
【請求項24】
少なくとも1つの修飾メルケル細胞ポリオーマウイルス(MCV)T抗原を含むペプチドであって、前記T抗原が、少なくとも1つの変異を含み、そして前記ペプチドが、
a)配列番号4のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列、
および配列番号6のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列
からなる群から選択されるアミノ酸配列、
ならびに
b)配列番号2、配列番号4、および配列番号6からなる群から選択される前記アミノ酸配列
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む
、ペプチド。
【請求項25】
MCV T抗原に対する免疫応答を誘導することを必要とする対象においてそれを行う方法における使用のための請求項1に記載の免疫原性組成物であって、前記方法が前記免疫原性組成物を前記対象に投与することを含む、免疫原性組成物。
【請求項26】
投与することが、エレクトロポレーションおよび注射のうちの少なくとも1つを含む、請求項25に記載の免疫原性組成物。
【請求項27】
MCV関連病理を治療または予防することを必要とする対象においてそれを行う方法における使用のための請求項1に記載の免疫原性組成物であって、前記方法が前記免疫原性組成物を前記対象に投与することを含む、免疫原性組成物。
【請求項28】
投与することが、エレクトロポレーションおよび注射のうちの少なくとも1つを含む、請求項27に記載の免疫原性組成物。
【請求項29】
前記MCV関連病理が、MCV感染症およびメルケル細胞癌のうちの少なくとも1つである、請求項27に記載の免疫原性組成物。
【請求項30】
前記T抗原が、天然MCV T抗原の少なくとも1つの発癌性の特徴を破壊する少なくとも1つの変異を含み、そして
前記少なくとも1つの発癌性の特徴が、CR1結合、DnaJ結合、ホファターゼpp2A結合結合、Rb結合、ATPase活性、ヘリカーゼ活性、シャペロンタンパク質結合、hVam6p結合、Fbxw7結合、起点結合、および形質転換からなる群から選択される、
請求項1に記載の免疫原性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年1月19日に出願された、米国仮特許出願第62/619,161号の優先権を主張し、この内容は、その全体が本明細書に参照によって組み込まれる。
【0002】
本発明は、免疫応答を誘導し、MCVに感染した個体を治療するため、および/またはメルケル細胞癌(MCC)を治療もしくは予防するためのワクチンに関する。本発明は、コンセンサスMCVラージT抗原(LTAg)およびスモールt抗原(STAg)癌タンパク質ならびにそれをコードする核酸分子に関する。
【背景技術】
【0003】
メルケル細胞ポリオーマウイルス(MCV)は、メルケル細胞癌(MCC)、侵襲性の強いヒト皮膚癌とのその関連のために最近注目されている。米国では毎年約1,500の新たな症例のMCCが診断され、MCCを有する対象の死亡率は、46%のままである。MCCは、皮膚T細胞リンパ腫および慢性骨髄性白血病よりも多くの患者を殺す。MCCの大部分(約75%)は、クローン的に統合されたウイルスDNAを含有し、ウイルスT抗原転写物およびタンパク質を発現する。
【0004】
現在は、臨床試験において試験されているMCCに対するワクチンはない。したがって、当該技術分野には、MCVおよびMCCに対する治療ワクチンのニーズがある。本発明は、この満たされていないニーズを満たす。
【発明の概要】
【0005】
一実施形態では、本発明は、少なくとも1つの修飾メルケル細胞ポリオーマウイルス(MCV)T抗原をコードする核酸分子を含む免疫原性組成物であって、T抗原が、天然MCV T抗原の少なくとも1つの発癌性の特徴を破壊する少なくとも1つの変異を含む、免疫原性組成物に関する。一実施形態では、少なくとも1つの発癌性の特徴は、CR1結合、DnaJ結合、ホファターゼpp2A結合結合、Rb結合、ATPase活性、ヘリカーゼ活性、シャペロンタンパク質結合、hVam6p結合、Fbxw7結合、起点結合、および形質転換のうちの少なくとも1つである。
【0006】
一実施形態では、少なくとも1つの変異は、D44、W209、E216、L142、L91、K92、D93、Y94、またはM95のうちの少なくとも1つのアミノ酸での変異である。一実施形態では、少なくとも1つの変異は、D44N変異、W209A、E216K変異、L142A変異、L91A変異、K92A変異、D93A変異、Y94A変異、またはM95A変異のうちの少なくとも1つである。一実施形態では、修飾MCV T抗原は、D44N変異、W209A、またはE216K変異のうちの少なくとも1つを含む。一実施形態では、修飾MCV Tは、D44N変異、W209A、およびE216K変異を含む。
【0007】
一実施形態では、少なくとも1つのMCV T抗原は、ラージT抗原(LTAg)またはスモールt抗原(STAg)である。一実施形態では、少なくとも1つのMCV T抗原は、LTAgおよびSTAgの組み合わせである。
【0008】
一実施形態では、核酸分子は、a)配列番号2、配列番号4、もしくは配列番号6のうちの少なくとも1つに対してアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列、b)配列番号2、配列番号4、もしくは配列番号6のうちの少なくとも1つに対してアミノ酸配列の少なくとも60%にわたって少なくとも約90%の同一性を含む免疫原性断片、c)配列番号2、配列番号4、もしくは配列番号6のアミノ酸配列、またはd)配列番号2、配列番号4、もしくは配列番号6のアミノ酸配列の少なくとも60%を含む免疫原性断片のアミノ酸配列を含むペプチドをコードする。
【0009】
一実施形態では、核酸分子は、DNA分子またはRNA分子である。
【0010】
一実施形態では、核酸分子は、a)配列番号1、配列番号3、もしくは配列番号5のうちの少なくとも1つに対してヌクレオチド配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するヌクレオチド配列、b)配列番号1、配列番号3、もしくは配列番号5のうちの少なくとも1つに対してヌクレオチド配列の少なくとも60%にわたって少なくとも約90%の同一性を有するヌクレオチド配列の免疫原性断片、c)配列番号1、配列番号3、もしくは配列番号5のヌクレオチド配列、またはd)配列番号1、配列番号3、もしくは配列番号5のヌクレオチド配列の免疫原性断片のうちの少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む。
【0011】
一実施形態では、ペプチドをコードするヌクレオチド配列は、少なくとも1つの制御配列に作動可能に連結している。一実施形態では、制御配列は、開始コドン、IgEリーダー配列、または終止コドンのうちの少なくとも1つである。
【0012】
一実施形態では、核酸分子は、配列番号7で記載されるアミノ酸配列に作動可能に連結した、a)配列番号2、配列番号4、もしくは配列番号6のうちの少なくとも1つに対してアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列、b)配列番号2、配列番号4、もしくは配列番号6のうちの少なくとも1つに対してアミノ酸配列の少なくとも60%にわたって少なくとも約90%の同一性を含む免疫原性断片、c)配列番号2、配列番号4、もしくは配列番号6のアミノ酸配列、またはd)配列番号2、配列番号4、もしくは配列番号6のアミノ酸配列の少なくとも60%を含む免疫原性断片のうちの少なくとも1つのアミノ酸配列を含むペプチドをコードする。
【0013】
一実施形態では、核酸分子は、配列番号7をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した、a)配列番号1、配列番号3、もしくは配列番号5のうちの少なくとも1つに対してヌクレオチド配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するヌクレオチド配列、b)配列番号1、配列番号3、もしくは配列番号5のうちの少なくとも1つに対してヌクレオチド配列の少なくとも60%にわたって少なくとも約90%の同一性を有するヌクレオチド配列の免疫原性断片、c)配列番号1、配列番号3、もしくは配列番号5のヌクレオチド配列、またはd)配列番号1、配列番号3、もしくは配列番号5のヌクレオチド配列の免疫原性断片のうちの少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む。
【0014】
一実施形態では、核酸分子は、発現ベクターを含む。
【0015】
一実施形態では、核酸分子は、ウイルス粒子に組み込まれている。
【0016】
一実施形態では、免疫原性組成物は、薬学的に許容される賦形剤をさらに含む。
一実施形態では、免疫原性組成物は、アジュバントをさらに含む。
【0017】
一実施形態では、本発明は、a)配列番号2、配列番号4、もしくは配列番号6のうちの少なくとも1つに対してアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列、b)配列番号2、配列番号4、もしくは配列番号6のうちの少なくとも1つに対してアミノ酸配列の少なくとも60%にわたって少なくとも約90%の同一性を含む免疫原性断片、c)配列番号2、配列番号4、もしくは配列番号6のアミノ酸配列、またはd)配列番号2、配列番号4、もしくは配列番号6のアミノ酸配列の少なくとも60%を含む免疫原性断片のうちの少なくとも1つのアミノ酸配列を含むペプチドをコードする核酸分子に関する。
【0018】
一実施形態では、核酸分子は、DNA分子またはRNA分子である。
【0019】
一実施形態では、核酸分子は、a)配列番号1、配列番号3、もしくは配列番号5のうちの少なくとも1つに対してヌクレオチド配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するヌクレオチド配列、b)配列番号1、配列番号3、もしくは配列番号5のうちの少なくとも1つに対してヌクレオチド配列の少なくとも60%にわたって少なくとも約90%の同一性を有するヌクレオチド配列の免疫原性断片、c)配列番号1、配列番号3、もしくは配列番号5のヌクレオチド配列、またはd)配列番号1、配列番号3、もしくは配列番号5のヌクレオチド配列の免疫原性断片のうちの少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む。
【0020】
一実施形態では、ペプチドをコードするヌクレオチド配列は、少なくとも1つの制御配列に作動可能に連結している。一実施形態では、制御配列は、開始コドン、IgEリーダー配列、または終止コドンのうちの少なくとも1つである。
【0021】
一実施形態では、核酸分子は、配列番号7で記載されるアミノ酸配列に作動可能に連結した、a)配列番号2、配列番号4、もしくは配列番号6のうちの少なくとも1つに対してアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列、b)配列番号2、配列番号4、もしくは配列番号6のうちの少なくとも1つに対してアミノ酸配列の少なくとも60%にわたって少なくとも約90%の同一性を含む免疫原性断片、c)配列番号2、配列番号4、もしくは配列番号6のアミノ酸配列、またはd)配列番号2、配列番号4、もしくは配列番号6のアミノ酸配列の少なくとも60%を含む免疫原性断片のうちの少なくとも1つのアミノ酸配列を含むペプチドをコードする。
【0022】
一実施形態では、核酸分子は、配列番号7をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した、a)配列番号1、配列番号3、もしくは配列番号5のうちの少なくとも1つに対してヌクレオチド配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するヌクレオチド配列、b)配列番号1、配列番号3、もしくは配列番号5のうちの少なくとも1つに対してヌクレオチド配列の少なくとも60%にわたって少なくとも約90%の同一性を有するヌクレオチド配列の免疫原性断片、c)配列番号1、配列番号3、もしくは配列番号5のヌクレオチド配列、またはd)配列番号1、配列番号3、もしくは配列番号5のヌクレオチド配列の免疫原性断片のうちの少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む。
【0023】
一実施形態では、核酸分子は、発現ベクターを含む。
【0024】
一実施形態では、核酸分子は、ウイルス粒子に組み込まれている。
【0025】
一実施形態では、本発明は、ペプチドを含む免疫原性組成物に関し、ペプチドは、a)配列番号2、配列番号4、もしくは配列番号6のうちの少なくとも1つに対してアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列、b)配列番号2、配列番号4、もしくは配列番号6のうちの少なくとも1つに対してアミノ酸配列の少なくとも60%にわたって少なくとも約90%の同一性を含む免疫原性断片、c)配列番号2、配列番号4、もしくは配列番号6のアミノ酸配列、またはd)配列番号2、配列番号4、もしくは配列番号6のアミノ酸配列の少なくとも60%を含む免疫原性断片のうちの少なくとも1つのアミノ酸配列を含む。
【0026】
一実施形態では、本発明は、ペプチドに関し、ペプチドは、a)配列番号2、配列番号4、もしくは配列番号6のうちの少なくとも1つに対してアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列、b)配列番号2、配列番号4、もしくは配列番号6のうちの少なくとも1つに対してアミノ酸配列の少なくとも60%にわたって少なくとも約90%の同一性を含む免疫原性断片、c)配列番号2、配列番号4、もしくは配列番号6のアミノ酸配列、またはd)配列番号2、配列番号4、もしくは配列番号6のアミノ酸配列の少なくとも60%を含む免疫原性断片のうちの少なくとも1つのアミノ酸配列を含む。
【0027】
一実施形態では、本発明は、MCV T抗原に対する免疫応答を誘導することを必要とする対象においてそれを行う方法に関し、方法は、修飾メルケル細胞ポリオーマウイルス(MCV)T抗原であって、天然MCV T抗原の少なくとも1つの発癌性の特徴を破壊する少なくとも1つの変異を含む、T抗原をコードする核酸分子を含む免疫原性組成物を、対象に投与することを含む。
【0028】
一実施形態では、投与する方法は、エレクトロポレーションまたは注射のうちの少なくとも1つを含む。
【0029】
一実施形態では、本発明は、MCV関連病理を治療または予防することを必要とする対象においてそれを行う方法に関し、方法は、修飾メルケル細胞ポリオーマウイルス(MCV)T抗原であって、天然MCV T抗原の少なくとも1つの発癌性の特徴を破壊する少なくとも1つの変異を含む、T抗原をコードする核酸分子を含む免疫原性組成物を、対象に投与することを含む。
【0030】
一実施形態では、投与する方法は、エレクトロポレーションまたは注射のうちの少なくとも1つを含む。
【0031】
一実施形態では、MCV関連病理は、MCV感染症またはメルケル細胞癌のうちの少なくとも1つである。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1A】
図1A~
図1Bを含み、LTAgおよびSTAgの模式図を提供する。
図1Aは、LTAgおよびSTAgの発癌性の特徴を描写する。
図1Bは、核酸ワクチンのLTAgおよびSTAgの設計が、いくつかの変異を組み込んで、発癌性の特徴を破壊することを描写する。*D44N-は、シャペロンタンパク質への結合を遮断し、*W209A-は、hVam6pへの結合を遮断し、*E216K-は、Rbへの結合を遮断し、形質転換を防止し、*L142A-は、PP2Aへの結合を遮断し、*91-95LKDYM->AAAAA-は、Fbxw7への結合を遮断し、形質転換を防止する。
【
図2A】
図2A~
図2Bを含み、コンセンサスLTAgおよびSTAgの模式図を提供する。
図2Aは、全ての利用可能なNCBI LTAg配列から設計されたLTAgのコンセンサス配列の図を描写する。
図2Bは、全ての利用可能なNCBI STAg配列から設計されたSTAgのコンセンサス配列の図を描写する。これらの抗原配列は、合成され、哺乳動物発現プラスミドにクローニングされ、インビボでの合成コンセンサス抗原の発現のためのプラスミドDNA構築物を作製した。
【
図3】インビトロでのコンセンサスMCC LTAgの発現を示す例示的な実験データを描写する。コンセンサスMCC STAgの発現は、STAgを標的とする有効な抗体の欠如によって検出されなかった。
【
図4A】
図4A~
図4Bを含み、LTAgおよびSTAg単独または組み合わせでのワクチン接種後の免疫応答の誘導を示す例示的な実験データ提供する。
図4Aは、実験設計を描写する。マウスは、プラスミドDNAを受け、続いて0日目、14日目、および28日目に筋肉内エレクトロポレーションが行われた。1週間後、脾臓細胞が分析のために収集された。4つの群のマウスがワクチン接種された:群1-pVax-空ベクター対照、群2-LTAgワクチン、群3-STAgワクチン、群4-同じ部位でのLTAgおよびSTAgワクチン。
図4Bは、空対照ベクター(pVax)でのワクチン接種後ではなく、LTAgおよびSTAg単独または組み合わせでのワクチン接種後の免疫応答の誘導を示す実験データを描写する。これらの実験について、ペプチドは、変異を不活性化することなく、対応する配列に一致した。
【
図5A】
図5A~
図5Bを含み、LTAgおよびSTAgの免疫優性エピトープを特徴とする例示的な実験データを提供する。
図5Aは、LTAgワクチン接種の免疫優性エピトープを描写する。
図5Bは、STAgワクチン接種の免疫優性エピトープを描写する。
【
図6】ヒトメルケル細胞癌試料におけるMCCラージT切断の程度の分析についての結果を描写する。データは、GenBankにおける42のラージT細胞からまとめられた。
【
図7】
図7A~
図7Fを含み、LTAgペプチドでの5時間のワクチン接種および刺激後のサイトカインについてのCD4
+およびCD8
+T細胞応答のレベルを示す例示的な実験データを提供する。
図7Aは、IFNγについてのCD8
+T細胞応答のレベルを表す。
図7Bは、TNFαについてのCD8
+T細胞応答のレベルを表す。
図7Cは、IL-2についてのCD8
+T細胞応答のレベルを表す。
図7Dは、IFNγについてのCD4
+T細胞応答のレベルを表す。
図7Eは、TNFαについてのCD4
+T細胞応答のレベルを表す。
図7Fは、IL-2についてのCD4
+T細胞応答のレベルを表す。
【
図8】LTAgワクチン接種がロバストな多機能性CD8 T細胞を誘導することを示す例示的な実験データを描写する。
【
図9】LTAgワクチン接種がロバストな多機能性CD4 T細胞を誘導することを示す例示的な実験データを描写する。
【
図10】LTAgワクチン接種が、CD107a、IFNγ、およびT-betを共発現する細胞毒性の可能性を有するCD8 T細胞を誘導することを示す例示的な実験データを描写する。
【
図11】ラージTおよびスモールT抗原ワクチンが、一次抗体としてマウス血清を使用して示された、体液性応答を起こすことを示す例示的な実験データを描写する。
【
図12】LTAgワクチンが遺伝的に多様なCD-1非近交マウスにおいてロバストな免疫応答を誘導することを示す例示的な実験データを描写する。
【
図13】STAgワクチンが遺伝的に多様なCD-1非近交マウスにおいて免疫応答を誘導することを示す例示的な実験データを描写する。
【
図14】
図14A~
図14Fを含み、LTAgペプチドでの5時間のCD-1非近交マウスにおけるワクチン接種および刺激後のサイトカインについてのCD4
+およびCD8
+T細胞応答のレベルを示す例示的な実験データを提供する。
図14Aは、IFNγについてのCD8
+T細胞応答のレベルを表す。
図14Bは、TNFαについてのCD8
+T細胞応答のレベルを表す。
図14Cは、IL-2についてのCD8
+T細胞応答のレベルを表す。
図14Dは、IFNγについてのCD4
+T細胞応答のレベルを表す。
図14Eは、TNFαについてのCD4
+T細胞応答のレベルを表す。
図14Fは、IL-2についてのCD4
+T細胞応答のレベルを表す。
【
図15】
図15A~
図15Fを含み、STAgペプチドでの5時間のCD-1非近交マウスにおけるワクチン接種および刺激後のサイトカインについてのCD4
+およびCD8
+T細胞応答のレベルを示す例示的な実験データを提供する。
図15Aは、IFNγについてのCD8
+T細胞応答のレベルを表す。
図15Bは、TNFαについてのCD8
+T細胞応答のレベルを表す。
図15Cは、IL-2についてのCD8
+T細胞応答のレベルを表す。
図15Dは、IFNγについてのCD4
+T細胞応答のレベルを表す。
図15Eは、TNFαについてのCD4
+T細胞応答のレベルを表す。
図15Fは、IL-2についてのCD4
+T細胞応答のレベルを表す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
メルケル細胞ポリオーマウイルス(MCV)感染症は、メルケル細胞癌(MCC)と関連し、これは現在46%の死亡率を有する。
【0034】
一実施形態では、本発明は、MCVおよびMCCに対する核酸ワクチンを含む。一実施形態では、ワクチンは、コンセンサスMCV T抗原をコードするプラスミドを含む。一実施形態では、コンセンサスMCV T抗原は、ラージT抗原(LTAg)である。一実施形態では、コンセンサスMCV T抗原は、スモールt抗原(STAg)である。一実施形態では、コンセンサスMCV T抗原は、天然T抗原の発癌性の特徴を破壊する変異をさらに含む。ワクチン候補として、向上されたDNA(DNA)ベースのプラットフォームは、遺伝子最適化および送達技法における多くの利点を提供する。そのようなものとして、各MCV T抗原は、遺伝的に最適化し、修飾された哺乳動物発現ベクターにサブクローニングし、次いでインビボエレクトロポレーション(EP)を用いて送達することができる。
【0035】
合成コンセンサスMCV T抗原構築物でのワクチン接種は、ロバストな免疫応答を起こすので、前臨床齧歯類研究におけるワクチン接種は非常に強力であった。
【0036】
いくつかの実施形態では、戦略は、合成コンセンサスMCV T抗原についてのコード配列を使用する。LTAgおよびSTAgについてのコード配列が提供される。いくつかの実施形態では、戦略は、単一の合成コンセンサスMCV T抗原についてのコード配列を使用する。いくつかの実施形態では、戦略は、複数の合成コンセンサスMCV T抗原についてのコード配列を使用する。
【0037】
ワクチンについての候補として、DNAワクチンは、急速で安価なアップスケール生成、室温での安定性、および輸送しやすさを含む多数の利点を示し、その全ては、このプラットフォームを経済的および地理的観点からさらに向上させる。プラスミドの合成性質のために、抗原配列は、新たに出現する株に応答して迅速かつ容易に修飾および/または追加のワクチン成分を含むように拡張することができる。
【0038】
プラスミドDNAベクターおよびそれらのコードされた抗原遺伝子の最適化は、インビボ免疫原性の増加をもたらした。細胞取り込みおよびその後の抗原発現は、高度に濃縮されたプラスミドワクチン製剤がインビボエレクトロポレーション、ワクチン接種部位内の短い矩形波電気パルスを使用してプラスミドを一時的透過性細胞に駆動する技術で投与される場合、実質的に増幅される。理論では、DNAプラスミドのカクテルは、任意の数の可変抗原に対する高度に特殊化された免疫応答を誘導するためにアセンブルすることができる。免疫性は、種特異的サイトカイン遺伝子をコードするプラスミド分子アジュバントとの共送達、および抗原アミノ酸配列の「コンセンサス操作」によってさらに誘導し、特定の株へのワクチン誘導免疫性のバイアスを助けることができる。
【0039】
1.定義.
別段に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術および科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書が、定義を含み、優先するであろう。本発明の実施または試験において本明細書に記載されるものと類似または同等の方法および材料を使用することができるが、好ましい方法および材料が以下に記載される。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、それらの全体において参照によって組み込まれる。本明細書に開示される材料、方法、および例は、例示的のみであり、限定的であることを意図しない。
【0040】
「含む(comprise(s))」、「含む(include(s))」、「有すること」、「有する」、「できる」、「含有する(contain(s))」という用語およびそれらの派生語は、本明細書で使用される場合、追加の行為または構造の可能性を妨げない、オープンエンドな移行句、用語、または語であることを意図する。「a」、「an」、および「the」という単数形は、文脈が別段に明示しない限り、複数の参照物を含む。本開示はまた、明示的に記載されるか否かにかかわらず、本明細書で提示される実施形態またはエレメント「を含む」、「からなる」、および「から本質的になる」他の実施形態を企図する。
【0041】
本明細書で使用される「アジュバント」とは、ワクチンの抗原性を向上させるために核酸ワクチンに添加される任意の分子を意味し得る。
【0042】
「抗体」とは、クラスIgG、IgM、IgA、IgD、もしくはIgEの抗体、または断片、Fab、F(ab’)2、Fdを含む、その断片もしくは誘導体、および一本鎖抗体、ダイアボディ、二重特異性抗体、二機能性抗体、ならびにそれらの誘導体を意味し得る。抗体は、哺乳動物の血清試料から単離された抗体、ポリクローナル抗体、親和性精製抗体、またはそれらの混合物であり得、これは、所望のエピトープまたはそれに由来する配列に対する十分な結合特異性を示す。
【0043】
本明細書で互換的に使用される「抗体断片」または「抗体の断片」とは、抗原結合部位または可変領域を含むインタクトな抗体の一部分を指す。部分は、インタクトな抗体のFc領域の定常重鎖ドメイン(すなわち、抗体アイソタイプに応じて、CH2、CH3、またはCH4)を含まない。抗体断片の例は、これらに限定されないが、Fab断片、Fab’断片、Fab’-SH断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、ダイアボディ、一本鎖Fv(scFv)分子、1つの軽鎖可変ドメインのみを含有する一本鎖ポリペプチド、軽鎖可変ドメインの3つのCDRを含有する一本鎖ポリペプチド、1つの重鎖可変領域のみを含有する一本鎖ポリペプチド、および重鎖可変領域の3つのCDRを含有する一本鎖ポリペプチドを含む。
【0044】
「抗原」とは、宿主において免疫応答を起こす能力を有するタンパク質を指す。抗原は、抗体によって認識され、結合され得る。抗原は、体内から、または外部環境が起源であり得る。
【0045】
本明細書で使用される「コード配列」または「コード核酸」とは、タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸(RNAまたはDNA分子)を指すことを意味し得る。コード配列は、プロモーターを含む制御エレメントに作動可能に連結した開始(initiation)および終結シグナル、ならびに核酸が投与される個体または哺乳動物の細胞における発現を誘導することができるポリアデニル化シグナルをさらに含み得る。コード配列は任意に、N末端メチオニンをコードする開始コドンまたはIgEもしくはIgGシグナルペプチドなどのシグナルペプチドをさらに含み得る。
【0046】
本明細書で使用される「補体」または「相補的」とは、核酸が核酸分子のヌクレオチドまたはヌクレオチド類似体間のWatson-Crick(例えば、A-T/UおよびC-G)またはHoogsteen塩基対合を意味し得ることを意味し得る。
【0047】
本明細書で使用される「コンセンサス」または「コンセンサス配列」とは、複数の配列(例えば、特定のウイルス抗原の複数の配列)の整列の分析に基づいて構築される、合成ヌクレオチド配列、または対応するポリペプチド配列を意味し得る。
【0048】
本明細書で使用される「定電流」とは、組織、または当該組織を画定する細胞が、電気パルスが同組織に送達される期間にわたって受けるか、または経験する電流を定義する。電気パルスは、本明細書に記載されるエレクトロポレーション装置から送達される。本明細書で提供されるエレクトロポレーション装置は、好ましくは、即時フィードバックを有する、フィードバックエレメントを有するので、この電流は、電気パルスの寿命にわたって当該組織において定アンペア数に留まる。フィードバックエレメントは、パルスの持続期間を通して組織(または細胞)の抵抗を測定し、エレクトロポレーション装置にその電気エネルギー出力を変更させる(例えば、電圧を増加させる)ことができ、したがって同じ組織における電流は、電気パルス(マイクロ秒台)を通して、およびパルス間で一定のままである。いくつかの実施形態では、フィードバックエレメントは、コントローラーを含む。
【0049】
本明細書で使用される「電流フィードバック」または「フィードバック」とは、互換的に使用され得、提供されたエレクトロポレーション装置の活性応答を意味し得、これは、電流を一定のレベルで維持するために、電極間の組織における電流を測定し、適宜にEP装置によって送達されるエネルギー出力を変更することを含む。この一定のレベルは、パルス配列または電気処理の開始前にユーザーによって予め設定される。その中の電気回路が、電極間の組織における電流を連続的に監視し、その監視された電流(または組織内の電流)を予め設定された電流と比較し、エネルギー出力調節を連続的に行って、監視される電流を予め設定されたレベルに維持することができるように、フィードバックは、エレクトロポレーション装置のエレクトロポレーションコンポーネント、例えば、コントローラーによって達成され得る。フィードバックループは、アナログ閉ループフィードバックであるので、即時であり得る。
【0050】
本明細書で使用される「分散電流」とは、本明細書に記載されるエレクトロポレーション装置の様々な針電極アレイから送達される電流のパターンを意味し得、パターンは、エレクトロポレートされる組織の任意の領域上でのエレクトロポレーション関連熱ストレスの発生を最小化するか、または好ましくは排除する。
【0051】
本明細書で互換的に使用される「エレクトロポレーション」、「電気透過化」、または「電気運動向上」(「EP」)とは、生体膜において微視的経路(細孔)を誘導するための膜貫通電場パルスの使用を指し得、それらの存在は、プラスミド、オリゴヌクレオチド、siRNA、薬物、イオン、および水などの生体分子が細胞膜の一方の側から他方へと通過することを可能にする。
【0052】
本明細書で使用される「内因性抗体」とは、体液性免疫応答の誘導のために有効用量の抗原が投与される対象において生み出された抗体を指し得る。
【0053】
本明細書で使用される「フィードバックメカニズム」とは、ソフトウェアまたはハードウェア(ファームウェア)のいずれかによって行われるプロセスを指し得、そのプロセスは、(エネルギーのパルスの送達の前、その間、および/またはその後)所望の組織のインピーダンスを受け、現在値、好ましくは電流と比較し、予め設定された値を達成するために送達されるエネルギーのパルスを調節する。フィードバックメカニズムは、アナログ閉ループ回路によって行われ得る。
【0054】
「断片」は、全長ポリペプチド配列またはヌクレオチド配列のパーセンテージを意味し得る。断片は、親ヌクレオチド配列もしくはアミノ酸配列またはそのバリアントの全長の20%以上、25%以上、30%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上、90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上のパーセントを含み得る。
【0055】
本明細書で使用される「遺伝子構築物」は、抗体などのタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むDNAまたはRNA分子を指す。遺伝子構築物はまた、RNAを転写するDNA分子を指し得る。コード配列は、プロモーターを含む制御エレメントに作動可能に連結した開始および終結シグナル、ならびに核酸分子が投与される個体の細胞における発現を誘導することができるポリアデニル化シグナルを含む。本明細書で使用される場合、「発現可能な形態」という用語は、個体の細胞に存在する場合、コード配列が発現されるように、タンパク質をコードするコード配列に作動可能に連結した必要な制御エレメントを含有する遺伝子構築物を指す。
【0056】
2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈において本明細書で使用される「同一」または「同一性」は、配列が特定された領域にわたって同じである残基の特定されたパーセントを有することを意味し得る。パーセンテージは、2つの配列を最適に整列し、2つの配列を特定された領域にわたって比較し、両方の配列において同一の残基が発生する位置の数を決定して一致した位置の数をもたらし、一致した位置の数を特定された領域における位置の総数で割り、結果に100を掛けて配列同一性のパーセンテージをもたらすことによって、計算され得る。2つの配列が異なる長さであるか、または整列が1つ以上の千鳥状末端を生成し、比較の特定された領域が単一の配列のみを含む場合、単一の配列の残基は、計算の分母には含まれるが、分子には含まれない。DNAおよびRNAを比較する場合、チミン(T)およびウラシル(U)は、同等物とみなされ得る。同一性は、手動で、またはBLASTもしくはBLAST 2.0などのコンピュータ配列アルゴリズムを用いることによって実施され得る。
【0057】
本明細書で使用される「インピーダンス」とは、フィードバックメカニズムを議論する場合に使用され得、オームの法則に従って電流値に変換することができ、よって予め設定された電流との比較を可能にする。
【0058】
本明細書で使用される「免疫応答」は、提供されたワクチンを介した1つ以上のコンセンサス抗原の導入に応答した、宿主の免疫系、例えば、哺乳動物のそれの活性化を意味し得る。免疫応答は、細胞性もしくは体液性応答、または両方の形態であり得る。
【0059】
本明細書で使用される「核酸」または「オリゴヌクレオチド」または「ポリヌクレオチド」は、共有結合的に一緒に連結した少なくとも2つのヌクレオチドを意味し得る。一本鎖の描写はまた、相補鎖の配列を定義する。よって、核酸はまた、描写された一本鎖の相補鎖を包含する。核酸の多くのバリアントは、所与の核酸と同じ目的のために使用され得る。よって、核酸はまた、実質的に同一の核酸およびその補体を包含する。一本鎖は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で標的配列にハイブリダイズし得るプローブを提供する。よって、核酸はまた、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするプローブを包含する。
【0060】
核酸は、一本鎖もしくは二本鎖であり得るか、または二本鎖および一本鎖配列の両方の部分を含有し得る。核酸は、DNA、ゲノムおよびcDNAの両方、RNA、またはハイブリッドであり得、核酸は、デオキシリボ-およびリボ-ヌクレオチドの組み合わせ、ならびにウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、イソシトシン、およびイソグアニンを含む塩基の組み合わせを含有し得る。核酸は、化学合成方法によって、または組換え方法によって得られ得る。
【0061】
本明細書で使用される「作動可能に連結」とは、遺伝子の発現が、これによって空間的に接続される、プロモーターの制御下にあることを意味し得る。プロモーターは、その制御下で遺伝子の5’(上流)または3’(下流)に配置され得る。プロモーターと遺伝子との間の距離は、プロモーターが由来する遺伝子においてそれが制御するプロモーターと遺伝子との間の距離とおよそ同じであり得る。当該技術分野で知られているように、この距離における変動は、プロモーター機能の喪失なしに順応され得る。
【0062】
本明細書で使用される「ペプチド」、「タンパク質」、または「ポリペプチド」は、アミノ酸の連結配列を意味することができ、天然、合成、または天然および合成の修飾もしくは組み合わせであり得る。
【0063】
本明細書で使用される「プロモーター」は、細胞における核酸の発現を与え、活性化し、または向上させることができる合成または天然由来分子を意味し得る。プロモーターは、その発現をさらに向上させるため、ならびに/または空間的発現および/もしくは時間的発現を変更するために、1つ以上の特異的転写制御配列を含み得る。プロモーターはまた、転写の開始部位から数千塩基対ほどに配置することができる、遠位エンハンサーまたはリプレッサーエレメントを含み得る。プロモーターは、ウイルス、細菌、真菌、植物、昆虫、および動物を含む源に由来し得る。プロモーターは、構成的に、あるいは細胞、発現が起こる組織もしくは器官に対して、または発現が起こる発生段階に対して、または生理的ストレス、病原体、金属イオン、もしくは誘導剤などの外部刺激に応答して差別的に、遺伝子成分の発現を制御し得る。プロモーターの代表的な例は、バクテリオファージT7プロモーター、バクテリオファージT3プロモーター、SP6プロモーター、lacオペレーター-プロモーター、tacプロモーター、SV40後期プロモーター、SV40初期プロモーター、RSV-LTRプロモーター、CMV IEプロモーター、SV40初期プロモーターまたはSV40後期プロモーター、およびCMV IEプロモーターを含む。
【0064】
「シグナルペプチド」および「リーダー配列」は、本明細書で互換的に使用され、本明細書に記載されるタンパク質のアミノ末端で連結することができるアミノ酸配列を指す。シグナルペプチド/リーダー配列は、典型的には、タンパク質の局在化を誘導する。本明細書で使用されるシグナルペプチド/リーダー配列は、好ましくは、それが生成される細胞からのタンパク質の分泌を促進する。シグナルペプチド/リーダー配列は、多くの場合、タンパク質の残部から開裂され、多くの場合、細胞からの分泌後、成熟タンパク質と称される。シグナルペプチド/リーダー配列は、タンパク質のN末端で連結される。
【0065】
本明細書で使用される「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、第1の核酸分子(例えば、プローブ)が第2の核酸分子(例えば、標的)に、核酸の複合体混合物のようにハイブリダイズするであろう平均条件を意味し得る。ストリンジェントな条件は、配列依存的であり、異なる状況では異なるであろう。ストリンジェントな条件は、定義されたイオン強度pHでの特定の配列についての熱融解点(Tm)よりも約5~10℃低くなるように選択され得る。Tmは、標的に相補的なプローブの50%が平衡状態で標的配列にハイブリダイズする温度(定義されたイオン強度、pH、および核酸濃度下)であり得る(標的配列が過剰に存在するので、Tmでは、プローブの50%は平衡状態で使用中である)。ストリンジェントな条件は、塩濃度が、pH7.0~8.3で約0.01~1.0Mナトリウムイオン濃度(または他の塩)などの、約1.0Mナトリウムイオン未満であり、温度が、短いプローブ(例えば、約10~50ヌクレオチド)について少なくとも約30℃および長いプローブ(例えば、約50ヌクレオチド超)について少なくとも約60℃であるものであり得る。ストリンジェントな条件はまた、ホルムアミドなどの不安定化剤の添加で達成され得る。選択的または特異的ハイブリダイゼーションについて、正のシグナルは、バックグラウンドハイブリダイゼーションの少なくとも2~10倍であり得る。例示的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、以下を含む:50%ホルムアミド、5xSSC、および1%SDS、42℃でインキュベート、または5xSSC、1%SDS、65℃でインキュベート、0.2xSSCおよび0.1%SDSで65℃で洗浄。
【0066】
本明細書で使用される「対象」および「患者」は、これらに限定されないが、哺乳動物(例えば、ウシ、ブタ、ラクダ、ラマ、ウマ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ハムスター、モルモット、ネコ、イヌ、ラット、およびマウス、非ヒト霊長類(例えば、カニクイザルまたはアカゲザルなどのサル、チンパンジーなど)、ならびにヒト)を含む、任意の脊椎動物を互換的に指す。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトまたは非ヒトであり得る。
【0067】
本明細書で使用される「実質的に相補的」とは、第1の配列が、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100以上のヌクレオチドもしくはアミノ酸の領域にわたって、第2の配列の補体に少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%同一であること、または2つの配列がストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズすることを意味し得る。
【0068】
本明細書で使用される「実質的に同一」とは、第1の配列が、第2の配列の補体に実質的に相補的である場合、第1および第2の配列が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100以上のヌクレオチドもしくはアミノ酸の領域にわたって、または核酸に対して、少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%であることを意味し得る。
【0069】
本明細書で使用される「治療」または「治療すること」は、疾患を予防、抑制、抑圧、または完全排除する手段を通した疾患からの対象の保護を意味することができる。疾患を予防することは、本発明のワクチンを、疾患の発症前に対象に投与することを含む。疾患を抑制することは、本発明のワクチンを、疾患の誘導後だがその臨床的出現前に対象に投与することを含む。疾患を抑圧することは、本発明のワクチンを、疾患の臨床的出現後に対象に投与することを含む。
【0070】
核酸に対して本明細書で使用される「バリアント」は、(i)参照されたヌクレオチド配列の部分もしくは断片、(ii)参照されたヌクレオチド配列もしくはその部分の補体、(iii)参照された核酸もしくはその補体に実質的に同一である核酸、または(iv)参照された核酸、その補体、もしくはそれに実質的に同一な配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸を意味し得る。
【0071】
アミノ酸の挿入、欠失、または保存的置換によってアミノ酸配列が異なるペプチドまたはポリペプチドに対する「バリアント」は、少なくとも1つの生物学的活性を保持する。バリアントはまた、少なくとも1つの生物学的活性を保持するアミノ酸配列を有する参照されたタンパク質と実質的に同一であるアミノ酸配列を有するタンパク質を意味し得る。アミノ酸の保存的置換、すなわち、アミノ酸を類似の特性(例えば、親水性、荷電領域の程度および分布)の異なるアミノ酸で置き換えることは、典型的には小さな変更を含むものとして当該技術分野で認識される。これらの小さな変更は、当該技術分野で理解されるように、部分的に、アミノ酸のハイドロパシーインデックスを考慮することによって特定することができる。Kyte et al.,J.Mol.Biol.157:105-132 (1982)。アミノ酸のハイドロパシーインデックスは、その疎水性および電荷の考慮に基づく。類似のハイドロパシーインデックスのアミノ酸は、置換され、依然としてタンパク質機能を保持し得ることが当該技術分野で知られている。一態様では、±2のハイドロパシーインデックスを有するアミノ酸が置換される。アミノ酸の親水性はまた、生物学的機能を保持するタンパク質をもたらすであろう置換を明らかにするために使用することができる。ペプチドの文脈におけるアミノ酸の親水性の考慮は、そのペプチドの最も大きな局所平均親水性、抗原性および免疫原性と十分に相関することが報告されている有用な尺度の計算を可能にする。米国特許第4,554,101号は、参照によって本明細書に完全に組み込まれる。類似の親水性値を有するアミノ酸の置換は、当該技術分野で理解されるように、生物学的活性、例えば、免疫原性を保持するペプチドをもたらすことができる。置換は、互いに±2以内の親水性値を有するアミノ酸で行われ得る。アミノ酸の疎水性インデックスおよび親水性値の両方は、そのアミノ酸の特定の側鎖によって影響される。その観察と一貫して、生物学的機能と適合性であるアミノ酸置換は、疎水性、親水性、電荷、サイズ、および他の特性によって明らかになるように、アミノ酸、および特にそれらのアミノ酸の側鎖の相対類似性に依存することが理解される。
【0072】
バリアントは、完全遺伝子配列またはその断片の全長にわたって実質的に同一であるヌクレオチド配列であり得る。ヌクレオチド配列は、遺伝子配列またはその断片の全長にわたって80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であり得る。バリアントは、アミノ酸配列またはその断片の全長にわたって実質的に同一であるアミノ酸配列であり得る。アミノ酸配列は、アミノ酸配列またはその断片の全長にわたって80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であり得る。
【0073】
本明細書で使用される「ベクター」は、複製起点を含有する核酸分子を意味し得る。ベクターは、プラスミド、バクテリオファージ、細菌人工染色体、または酵母人工染色体であり得る。ベクターは、DNAまたはRNAベクターであり得る。ベクターは、自己複製染色体外ベクターまたは宿主ゲノムに統合するベクターのいずれかであり得る。
【0074】
本明細書における数値範囲の列挙について、同じ精度でその間に介在する各数が明示的に企図される。例えば、6~9の範囲について、6および9に加えて数7および8が企図され、6.0~7.0の範囲について、数6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、および7.0が明示的に企図される。
【0075】
2.説明
本発明は、MCV T抗原をコードする最適化コンセンサス配列を提供する。一実施形態では、最適化コンセンサス配列によってコードされるMCV T抗原は、哺乳動物において免疫応答を引き出すことができる。一実施形態では、最適化コンセンサス配列によってコードされるMCV T抗原は、これに対して免疫応答を誘導することができる免疫原として特に効果的にするエピトープ(複数可)を含むことができる。
【0076】
最適化コンセンサス配列は、2つ以上のMCV T抗原に由来するコンセンサス配列であり得る。最適化コンセンサス配列は、改善した発現のためのコンセンサス配列および/または修飾(複数可)を含むことができる。修飾は、コドン最適化、RNA最適化、増加した翻訳開始のためのkozak配列の付加、および/または免疫原性を増加させるための免疫グロブリンリーダー配列の付加を含むことができる。最適化コンセンサス配列によってコードされるMCV T抗原は、免疫グロブリンシグナルペプチド、例えば、これらに限定されないが、免疫グロブリンE(IgE)または免疫グロブリン(IgG)シグナルペプチドなどのシグナルペプチドを含むことができる。いくつかの実施形態では、最適化コンセンサス配列によってコードされる抗原は、ヘマグルチニン(HA)タグを含むことができる。最適化コンセンサス配列によってコードされる抗原は、対応する非最適化抗原よりも強い細胞性および/または体液性免疫応答を引き出すように設計することができる。
【0077】
本明細書では、MCV感染症を有する遺伝的に多様な対象においてMCVに対する免疫性を誘導するために使用することができるMCV T抗原が提供される。一実施形態では、本発明は、哺乳動物においてMCV T抗原に対する免疫応答を起こすことができる1つ以上の核酸分子を含む免疫原性組成物を提供する。本発明はまた、哺乳動物においてMCV T抗原に対する免疫応答を起こすことができる単離された核酸分子を提供する。一実施形態では、核酸分子は、コンセンサスMCV T抗原をコードする最適化されたヌクレオチド配列を含む。
【0078】
一実施形態では、MCV T抗原は、天然MCV T抗原の少なくとも1つの発癌性の特徴を低減または破壊するように修飾される。様々な実施形態では、MCV T抗原は、CR1結合、DnaJ結合、ホファターゼpp2A結合結合、Rb結合、ATPase活性、ヘリカーゼ活性、シャペロンタンパク質結合、hVam6p結合、Fbxw7結合、起点結合、および形質転換のうちの少なくとも1つを低減または破壊するように修飾される。一実施形態では、MCV T抗原は、天然T抗原配列に対してD44、W209、E216、L142、L91、K92、D93、Y94、またはM95での少なくとも1つ変異を含む。一実施形態では、MCV T抗原は、D44N変異、W209A、E216K変異、L142A変異、L91A変異、K92A変異、D93A変異、Y94A変異、およびM95A変異のうちの少なくとも1つを含む。一実施形態では、MCV LTAgは、D44N変異、W209A、およびE216K変異のうちの少なくとも1つを含む。一実施形態では、MCV LTAgは、D44N変異、W209A、およびE216K変異を含む。一実施形態では、MCV STAgは、D44N変異、L142A変異、L91A変異、K92A変異、D93A変異、Y94A変異、およびM95A変異のうちの少なくとも1つを含む。一実施形態では、MCV STAgは、D44N変異、L142A変異、L91A変異、K92A変異、D93A変異、Y94A変異、およびM95A変異を含む。
【0079】
MCV T抗原についてのコンセンサスアミノ酸配列は、配列番号2、配列番号4、およびそれらのバリアント、ならびに配列番号2、配列番号4、およびそれらのバリアントの断片を含む。修飾された合成コンセンサスMCV LTAgの例示的なアミノ酸配列は、配列番号2として提供される。修飾された合成コンセンサスMCV STAgの例示的なアミノ酸配列は、配列番号2として提供される。
【0080】
一実施形態では、本発明は、修飾された合成コンセンサスMCV T抗原をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を含む組成物を提供する。一実施形態では、修飾された合成コンセンサスMCV LTAgをコードするヌクレオチド配列は、配列番号1として提供され、これは、配列番号2をコードする。一実施形態では、修飾された合成コンセンサスMCV STAgをコードするヌクレオチド配列は、配列番号3として提供され、これは、配列番号4をコードする。
【0081】
様々な実施形態では、本発明は、修飾されたLTAgおよび修飾されたSTAgの組み合わせ、またはそれをコードする1つ以上の核酸分子を含む組成物を提供する。組成物は、単一のプラスミド、または2つ以上の異なるプラスミドなどの2つ以上の異なる核酸分子の複数のコピーのような、単一の核酸分子の複数のコピーを含み得る。
【0082】
組成物は、複数のコンセンサスMCV T抗原についてのコード配列を含有する、プラスミドなどの単一の核酸分子を含み得る。一実施形態では、組成物は、MCV LTAgおよびMCV STAgをコードするヌクレオチド配列を含む単一の核酸分子を含み得る。一実施形態では、各コンセンサスMCV T抗原についての各コード配列は、別個のプラスミド上にある。
【0083】
したがって、複数のコンセンサスMCV T抗原をコードする1つ以上のヌクレオチド配列を含む組成物は、単一のプラスミド上にあり得る。一実施形態では、組成物は、単一のプロモーター下でMCV LTAgおよびMCV STAgをコードする単一のプラスミドを含む。そのような実施形態では、MCV LTAgをコードする配列およびMCV STAgをコードする配列は、融合ペプチド配列、例えば、フューリン開裂配列によって連結され得る。フューリン開裂部位によって連結した、修飾された合成コンセンサスMCV LTAgおよびMCV STAgを含む単一の構築物の例示的なアミノ酸配列は、配列番号6として提供される。一実施形態では、フューリン開裂配列によって連結した、修飾された合成コンセンサスMCV LTAgおよびMCV STAgをコードする単一のヌクレオチド配列は、配列番号5として提供され、これは、配列番号6をコードする。
【0084】
一実施形態では、最適化されたコンセンサスコードMCV T抗原は、1つ以上の制御エレメントに作動可能に連結している。一実施形態では、制御エレメントは、リーダー配列である。一実施形態では、リーダー配列は、IgEリーダー配列である。一実施形態では、IgEリーダー配列は、配列番号7で記載されるアミノ酸配列を有する。したがって、一実施形態では、本発明は、配列番号7で記載されるアミノ酸配列に作動可能に連結した、配列番号2、配列番号4、または配列番号6で記載されるアミノ酸配列に関する。一実施形態では、本発明は、配列番号7で記載されるアミノ酸配列に作動可能に連結した、配列番号2、配列番号4、または配列番号6で記載されるアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列に関する。
【0085】
一実施形態では、制御エレメントは、開始コドンである。したがって、一実施形態では、本発明は、5’末端に開始コドンを含むヌクレオチド配列に作動可能に連結した、配列番号1、配列番号3、もしくは配列番号5、またはその断片もしくはホモログで記載されるヌクレオチド配列に関する。一実施形態では、本発明は、N末端で開始コドン(例えば、メチオニン)によってコードされるアミノ酸に作動可能に連結した、配列番号2、配列番号4、もしくは配列番号6、またはその断片もしくはホモログで記載されるアミノ酸配列に関する。
【0086】
一実施形態では、制御エレメントは、少なくとも1つの終止コドンである。したがって、一実施形態では、本発明は、3’末端に少なくとも1つの終止コドンを含むヌクレオチド配列に作動可能に連結した、配列番号1、配列番号3、もしくは配列番号5、またはその断片もしくはホモログで記載されるヌクレオチド配列に関する。一実施形態では、ヌクレオチド配列は、翻訳終結の効率を高めるために2つの終止コドンに作動可能に連結している。
【0087】
一実施形態では、核酸分子は、配列番号2、配列番号4、または配列番号6で記載されるアミノ酸配列を有するペプチドをコードすることができる。一実施形態では、核酸分子は、配列番号1、配列番号3、または配列番号5で記載されるヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、配列は、配列番号1、配列番号3、または配列番号5で記載されるヌクレオチド配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するヌクレオチド配列であり得る。他の実施形態では、配列は、配列番号2、配列番号4、または配列番号6で記載されるアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列であり得る。
【0088】
いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号1、配列番号3、または配列番号5で記載されるヌクレオチド配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するDNA配列からの転写物であるRNA配列を含む。いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号2、配列番号4、または配列番号6で記載されるアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードするRNA配列を含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、核酸分子は、全長コンセンサスMCV T抗原をコードするヌクレオチド配列を含み得る。核酸分子は、配列番号2、配列番号4、または配列番号6をコードする配列を含み得る。核酸分子は、配列番号1、配列番号3、または配列番号5のヌクレオチド配列を含み得る。核酸分子は、例えば、IgEまたはIgGシグナルペプチドなどのシグナルペプチドをコードするコード配列を任意に含み得る。
【0090】
コンセンサスMCV T抗原は、配列番号2、配列番号4、または配列番号6で記載されるアミノ酸配列を有するペプチドであり得る。いくつかの実施形態では、抗原は、配列番号2、配列番号4、または配列番号6で記載されるアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を有することができる。
【0091】
配列番号2、配列番号4、または配列番号6の免疫原性断片を提供することができる。免疫原性断片は、配列番号2、配列番号4、または配列番号6の全長の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含むことができる。いくつかの実施形態では、免疫原性断片は、例えば、免疫グロブリンリーダー、例えば、IgEリーダーなどのリーダー配列を含む。いくつかの実施形態では、免疫原性断片は、リーダー配列を含まない。
【0092】
配列番号2、配列番号4、または配列番号6の免疫原性断片に相同のアミノ酸配列を有するタンパク質の免疫原性断片を提供することができる。そのような免疫原性断片は、配列番号2、配列番号4、または配列番号6に95%相同であるタンパク質の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含むことができる。いくつかの実施形態は、本明細書におけるコンセンサスタンパク質配列の免疫原性断片に対して96%の相同性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書におけるコンセンサスタンパク質配列の免疫原性断片に対して97%の相同性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書におけるコンセンサスタンパク質配列の免疫原性断片に対して98%の相同性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書におけるコンセンサスタンパク質配列の免疫原性断片に対して99%の相同性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態では、免疫原性断片は、例えば、免疫グロブリンリーダー、例えば、IgEリーダーなどのリーダー配列を含む。いくつかの実施形態では、免疫原性断片は、リーダー配列を含まない。
【0093】
一実施形態では、核酸分子の免疫原性断片は、全長最適化コンセンサスMCV T抗原の少なくとも1つの免疫優性または準免疫優性エピトープをコードする。
【0094】
いくつかの実施形態は、配列番号1、配列番号3、または配列番号5の全長の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を含む配列番号1、配列番号3、または配列番号5の免疫原性断片に関する。免疫原性断片は、配列番号1、配列番号3、または配列番号5の断片に少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%相同であり得る。いくつかの実施形態では、免疫原性断片は、例えば、免疫グロブリンリーダー、例えば、IgEリーダーなどのリーダー配列をコードする配列を含む。いくつかの実施形態では、断片は、リーダー配列をコードするコード配列を含まない。
【0095】
一実施形態では、核酸分子は、配列番号1、配列番号3、または配列番号5に少なくとも90%相同な配列を含む。
一実施形態では、核酸分子は、本明細書に記載されるコンセンサスMCV T抗原配列をコードするRNA配列を含む。例えば、核酸は、配列番号2、配列番号4、もしくは配列番号6、これらのバリアント、これらの断片、またはこれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上をコードするRNA配列を含み得る。
【0096】
いくつかの実施形態では、核酸分子は、コード配列のN末端上のMCV T抗原マイナスIgEリーダー配列についてコードする配列を含む。いくつかの実施形態では、DNA核酸分子は、コード配列のN末端に付着し、プロモーターに作動可能に連結したIgEリーダー配列をさらに含む。
【0097】
核酸分子は、コード配列のC末端に結合したポリアデニル化配列をさらに含むことができる。一実施形態では、核酸分子は、最適化されたコドンである。
【0098】
ワクチンおよび免疫原性組成物
最適化されたコンセンサス配列、最適化されたコンセンサスコード抗原、これらの断片、これらのバリアント、またはこれらの組み合わせを含む、ワクチンなどの免疫原性組成物が提供される。免疫原性組成物は、MCV T抗原に対する免疫原性組成物が投与された対象の免疫応答を有意に誘導することができる。ワクチンは、複数の核酸分子、またはこれらの組み合わせを含み得る。ワクチンは、治療的または予防的免疫応答を誘導するために提供され得る。
【0099】
免疫原性組成物は、DNAワクチン、RNAワクチン、ペプチドワクチン、または混合ワクチンであり得る。ワクチンは、抗原をコードする最適化されたコンセンサスヌクレオチド配列を含むことができる。ヌクレオチド配列は、DNA、RNA、cDNA、これらのバリアント、これらの断片、またはこれらの組み合わせであり得る。ヌクレオチド配列はまた、ペプチド結合によって抗原に連結しているリンカー、リーダー、またはタグ配列をコードする追加の配列を含むことができる。ペプチドワクチンは、抗原、そのバリアント、その断片、またはその組み合わせであり得る。混合DNAおよびペプチドワクチンは、上記の最適化されたコンセンサスヌクレオチド配列およびコードされた抗原を含むことができる。
【0100】
ワクチンは、DNAワクチンであり得る。DNAワクチンは、米国特許第5,593,972号、第5,739,118号、第5,817,637号、第5,830,876号、第5,962,428号、第5,981,505号、第5,580,859号、第5,703,055号、および第5,676,594号に開示され、これらは、参照によって完全に本明細書に組み込まれる。DNAワクチンは、これが染色体に統合するのを阻害するエレメントまたは試薬をさらに含むことができる。
【0101】
ワクチンは、1つ以上のMCV T抗原のRNAであり得る。RNAワクチンは、細胞に導入することができる。
【0102】
ワクチンは、弱毒性生ワクチン、抗原を送達するために組換えベクターを使用するワクチン、サブユニットワクチン、および糖タンパク質ワクチン、例えば、限定されないが、各々、参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第4,510,245号、第4,797,368号、第4,722,848号、第4,790,987号、第4,920,209号、第5,017,487号、第5,077,044号、第5,110,587号、第5,112,749号、第5,174,993号、第5,223,424号、第5,225,336号、第5,240,703号、第5,242,829号、第5,294,441号、第5,294,548号、第5,310,668号、第5,387,744号、第5,389,368号、第5,424,065号、第5,451,499号、第5,453,364号、第5,462,734号、第5,470,734号、第5,474,935号、第5,482,713号、第5,591,439号、第5,643,579号、第5,650,309号、第5,698,202号、第5,955,088号、第6,034,298号、第6,042,836号、第6,156,319号、および第6,589,529号に記載されるワクチンであり得る。
【0103】
本発明のワクチンは、ワクチン自体が病気または死を引き起こさないように安全である、病気に対する保護である、保護T細胞応答を誘導する、投与しやすさ、副作用の少なさ、生物学的安定性、および用量あたりのコストの低さを提供するなどの、有効なワクチンに必要な特徴を有することができる。
【0104】
本明細書では、哺乳動物においてMCVに対する免疫応答を起こすことができる免疫原性組成物が提供される。免疫原性組成物は、上記で議論される各プラスミドを含み得る。免疫原性組成物は、複数のプラスミド、またはこれらの組み合わせを含み得る。免疫原性組成物は、治療的または予防的免疫応答を誘導するために提供され得る。
【0105】
免疫原性組成物は、1つ以上のコンセンサスMCV T抗原をコードする核酸分子を送達するために使用され得る。免疫原性組成物は、好ましくは、プラスミドを含む組成物である。
【0106】
免疫原性組成物は、薬学的に許容される賦形剤をさらに含み得る。薬学的に許容される賦形剤は、ビヒクル、アジュバント、担体、または希釈剤としての機能的分子であり得る。薬学的に許容される賦形剤は、トランスフェクション促進剤であり得、これは、表面活性剤、例えば、免疫刺激複合体(ISCOMS)、フロイント不完全アジュバント、モノホスホリル脂質Aを含むLPS類似体、ムラミルペプチド、キノン類似体、小胞、例えば、スクアレンおよびスクアレン、ヒアルロン酸、脂質、リポソーム、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、もしくはナノ粒子、または他の既知のトランスフェクション促進剤を含み得る。
【0107】
トランスフェクション促進剤は、ポリ-L-グルタミン酸(LGS)を含む、ポリアニオン、ポリカチオン、または脂質である。トランスフェクション促進剤は、ポリ-L-グルタミン酸であり、より好ましくは、ポリ-L-グルタミン酸は、免疫原性組成物中に6mg/ml未満の濃度で存在する。トランスフェクション促進剤はまた、表面活性剤、例えば、免疫刺激複合体(ISCOMS)、フロイント不完全アジュバント、モノホスホリル脂質Aを含むLPS類似体、ムラミルペプチド、キノン類似体および小胞、例えば、スクアレンおよびスクアレンを含み得、ヒアルロン酸はまた、遺伝子構築物と共に投与されて使用され得る。いくつかの実施形態では、免疫原性組成物はまた、脂質などのトランスフェクション促進剤、レシチンリポソームもしくは、DNA-リポソーム混合物(例えば、W09324640を参照されたい)として、当該技術分野で知られている他のリポソームを含む、リポソーム、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、もしくはナノ粒子、または他の既知のトランスフェクション促進剤を含み得る。好ましくは、トランスフェクション促進剤は、ポリ-L-グルタミン酸(LGS)を含む、ポリアニオン、ポリカチオン、または脂質である。免疫原性組成物中のトランスフェクション剤の濃度は、4mg/ml未満、2mg/ml未満、1mg/ml未満、0.750mg/ml未満、0.500mg/ml未満、0.250mg/ml未満、0.100mg/ml未満、0.050mg/ml未満、または0.010mg/ml未満である。
【0108】
薬学的に許容される賦形剤は、1つ以上のアジュバントであり得る。アジュバントは、同じプラスミドから、もしくは代替のプラスミドから発現するか、または免疫原性組成物において上記プラスミドと組み合わせたタンパク質として送達される他の遺伝子であり得る。1つ以上のアジュバントは、CCL20、α-インターフェロン(IFN-α)、β-インターフェロン(IFN-β)、γ-インターフェロン、血小板由来成長因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM-CSF、表皮成長因子(EGF)、皮膚T細胞誘引性ケモカイン(CTACK)、上皮胸腺発現ケモカイン(TECK)、粘膜関連上皮ケモカイン(MEC)、IL-12、欠失したシグナル配列をコードするシグナル配列またはコード配列を有し、任意にIgEからのものなどの異なるシグナルペプチドまたはIgEからのものなどの異なるシグナルペプチドをコードするコード配列を含むIL-15を含むIL-15、IL-28、MHC、CD80、CD86、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-18、MCP-1、MIP-lα、MIP-1β、IL-8、L-セレクチン、P-セレクチン、E-セレクチン、CD34、GlyCAM-1、MadCAM-1、LFA-1、VLA-1、Mac-1、pl50.95、PECAM、ICAM-1、ICAM-2、ICAM-3、CD2、LFA-3、M-CSF、G-CSF、IL-18の変異体形態、CD40、CD40L、血管成長因子、線維芽細胞成長因子、IL-7、神経成長因子、血管内皮成長因子、Fas、TNF受容体、Flt、Apo-1、p55、WSL-1、DR3、TRAMP、Apo-3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL-R2、TRICK2、DR6、カスパーゼICE、Fos、c-jun、Sp-1、Ap-1、Ap-2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IkB、不活性NIK、SAP K、SAP-1、JNK、インターフェロン応答遺伝子、NFkB、Bax、TRAIL、TRAILrec、TRAILrecDRC5、TRAIL-R3、TRAIL-R4、RANK、RANK LIGAND、Ox40、Ox40 LIGAND、NKG2D、MICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、TAP1、TAP2、およびそれらの機能的断片またはそれらの組み合わせからなる群から選択されるタンパク質および/またはタンパク質をコードする核酸分子であり得る。
【0109】
いくつかの実施形態では、アジュバントは、CCL-20、IL-12、IL-15、IL-28、CTACK、TECK、MEC、またはRANTESからなる群から選択されるタンパク質をコードする1つ以上のタンパク質および/または核酸分子であり得る。IL-12構築物および配列の例は、各々が参照によって本明細書に組み込まれる、2011年12月12日に出願されたPCT出願第PCT/US1997/019502号および対応する米国特許出願第08/956,865号、ならびに米国仮特許出願第61/569600号に開示される。IL-15構築物および配列の例は、各々が参照によって本明細書に組み込まれる、PCT出願第PCT/US04/18962号および対応する米国特許出願第10/560,650号、ならびにPCT出願第PCT/US07/00886号および対応する米国特許出願第12/160,766号、ならびにPCT出願第PCT/US10/048827号に開示される。IL-28構築物および配列の例は、各々が参照によって本明細書に組み込まれる、PCT出願第PCT/US09/039648号および対応する米国特許出願第12/936,192号に開示される。RANTESおよび他の構築物および配列の例は、各々が参照によって本明細書に組み込まれる、PCT出願第PCT/US1999/004332号および対応する米国特許出願第09/622452号に開示される。RANTES構築物および配列の他の例は、参照によって本明細書に組み込まれる、PCT出願第PCT/US11/024098号に開示される。RANTESおよび他の構築物および配列の例は、各々が参照によって本明細書に組み込まれる、PCT出願第PCT/US1999/004332号および対応する米国特許出願第09/622452号に開示される。RANTES構築物および配列の他の例は、参照によって本明細書に組み込まれる、PCT出願第PCT/US11/024098号に開示される。ケモカインCTACK、TECK、およびMEC構築物および配列の例は、各々が参照によって本明細書に組み込まれる、PCT出願第PCT/US2005/042231号および対応する米国特許出願第11/719,646号に開示される。OX40および他の免疫調節剤の例は、米国特許出願第10/560,653号に開示され、これは、参照によって本明細書に組み込まれる。DR5および他の免疫調節剤の例は、米国特許出願第09/622452号に開示され、これは、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0110】
免疫原性組成物は、参照によって完全に組み込まれる、1994年4月1日に出願された米国特許出願第021,579号に記載される遺伝子ワクチン促進剤をさらに含み得る。
【0111】
免疫原性組成物は、コンセンサス抗原およびプラスミドを約1ナノグラム~100ミリグラム、約1マイクログラム~約10ミリグラム、または好ましくは約0.1マイクログラム~約10ミリグラム、またはより好ましくは約1ミリグラム~約2ミリグラムの量で含み得る。いくつかの好ましい実施形態では、本発明による薬学的組成物は、約5ナノグラム~約1000マイクログラムのDNAを含む。いくつかの好ましい実施形態では、薬学的組成物は、約10ナノグラム~約800マイクログラムのDNAを含有する。いくつかの好ましい実施形態では、薬学的組成物は、約0.1~約500マイクログラムのDNAを含有する。いくつかの好ましい実施形態では、薬学的組成物は、約1~約350マイクログラムのDNAを含有する。いくつかの好ましい実施形態では、薬学的組成物は、約25~約250マイクログラム、約100~約200マイクログラム、約1ナノグラム~100ミリグラム、約1マイクログラム~約10ミリグラム、約0.1マイクログラム~約10ミリグラム、約1ミリグラム~約2ミリグラム、約5ナノグラム~約1000ミリグラム、約10ナノグラム~約800マイクログラム、約0.1~約500マイクログラム、約1~約350マイクログラム、約25~約250マイクログラム、約100~約200マイクログラムのコンセンサス抗原またはそのプラスミドを含有する。
【0112】
いくつかの実施形態では、本発明による薬学的組成物は、少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100ナノグラムの本発明の核酸分子を含む。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、470、475、480、485、490、495、500、605、610、615、620、625、630、635、640、645、650、655、660、665、670、675、680、685、690、695、700、705、710、715、720、725、730、735、740、745、750、755、760、765、770、775、780、785、790、795、800、805、810、815、820、825、830、835、840、845、850、855、860、865、870、875、880、885、890、895、900、905、910、915、920、925、930、935、940、945、950、955、960、965、970、975、980、985、990、995、または1000マイクログラムの本発明の核酸分子を含むことができる。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、少なくとも1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、または10mg以上の本発明の核酸分子を含むことができる。
【0113】
他の実施形態では、薬学的組成物は、これを含む15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100ナノグラムまでの本発明の核酸分子を含むことができる。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、これを含む1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、305、310、315、320、325、330、335、340、345、350、355、360、365、370、375、380、385、390、395、400、405、410、415、420、425、430、435、440、445、450、455、460、465、470、475、480、485、490、495、500、605、610、615、620、625、630、635、640、645、650、655、660、665、670、675、680、685、690、695、700、705、710、715、720、725、730、735、740、745、750、755、760、765、770、775、780、785、790、795、800、805、810、815、820、825、830、835、840、845、850、855、860、865、870、875、880、885、890、895、900、905、910、915、920、925、930、935、940、945、950、955、960、965、970、975、980、985、990、995、または1000マイクログラムまでの本発明の核酸分子を含むことができる。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、これを含む1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、または10mgまでの本発明の核酸分子を含むことができる。
【0114】
免疫原性組成物は、使用される投与の方式に従って製剤化され得る。注射可能な免疫原性組成物薬学的組成物は、滅菌、パイロジェンフリー、および無粒子であり得る。等張性製剤または溶液が使用され得る。等張性のための添加剤は、クロリド、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、およびラクトースを含み得る。免疫原性組成物は、血管収縮剤を含み得る。等張性溶液は、リン酸緩衝食塩水を含み得る。免疫原性組成物は、ゼラチンおよびアルブミンを含む安定化剤をさらに含み得る。安定化することは、免疫原性組成物製剤へのLGSまたはポリカチオンもしくはポリアニオンなど、製剤が室温または周囲温度で長時間にわたって安定であることを可能にし得る。
【0115】
免疫原性組成物は、室温(25℃)で1週間超、いくつかの実施形態では2週間超、いくつかの実施形態では3週間超、いくつかの実施形態では4週間超、いくつかの実施形態では5週間超、およびいくつかの実施形態では6週間超にわたって安定であり得る。いくつかの実施形態では、ワクチンは、1か月超、2か月超、3か月超、4か月超、5か月超、6か月超、7か月超、8か月超、9か月超、10か月超、11か月超、または12か月超にわたって安定である。いくつかの実施形態では、ワクチンは、1年超、2年超、年超、または5年超にわたって安定である。一実施形態では、免疫原性組成物は、冷蔵(2~8℃)下で安定である。したがって、一実施形態では、免疫原性組成物は、凍結冷鎖を必要としない。免疫原性組成物は、その意図される使用を可能にする(例えば、対象において免疫応答を起こす)ために十分な期間にわたってその生物学的活性を保持する場合、安定である。例えば、保存され、出荷される、などの免疫原性組成物について、免疫原性組成物は、数か月~数年間安定なままであることが望ましくあり得る。
【0116】
免疫応答
免疫原性組成物は、組成物が投与された対象において免疫応答を誘導することができる。誘導された免疫応答は、MCV T抗原に特異的であり得る。誘導された免疫応答は、最適化コンセンサスコード抗原に関連したMCV T抗原と反応性であり得る。様々な実施形態では、関連抗原は、最適化コンセンサスコード抗原のアミノ酸配列に対する少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の相同性を有するアミノ酸配列を有する抗原を含む。様々な実施形態では、関連抗原は、本明細書に開示される最適化コンセンサスヌクレオチド配列に対する少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の相同性を有するヌクレオチド配列によってコードされる抗原を含む。
【0117】
免疫原性組成物は、免疫原性組成物が投与された対象において体液性免疫応答を誘導することができる。誘導された体液性免疫応答は、MCV T抗原に特異的であり得る。誘導された体液性免疫応答は、最適化コンセンサスコード抗原に関連したMCV T抗原と反応性であり得る。体液性免疫応答は、免疫原性組成物が投与された対象において約1.5倍~約16倍、約2倍~約12倍、または約3倍~約10倍誘導することができる。体液性免疫応答は、免疫原性組成物が投与された対象において、免疫原性組成物が投与されていない対象または非最適化MCV T抗原が投与された対象と比較して、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2.0倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3.0倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4.0倍、少なくとも約4.5倍、少なくとも約5.0倍、少なくとも約5.5倍、少なくとも約6.0倍、少なくとも約6.5倍、少なくとも約7.0倍、少なくとも約7.5倍、少なくとも約8.0倍、少なくとも約8.5倍、少なくとも約9.0倍、少なくとも約9.5倍、少なくとも約10.0倍、少なくとも約10.5倍、少なくとも約11.0倍、少なくとも約11.5倍、少なくとも約12.0倍、少なくとも約12.5倍、少なくとも約13.0倍、少なくとも約13.5倍、少なくとも約14.0倍、少なくとも約14.5倍、少なくとも約15.0倍、少なくとも約15.5倍、または少なくとも約16.0倍誘導することができる。
【0118】
免疫原性組成物によって誘導された体液性免疫応答は、免疫原性組成物が投与されていない対象と比較して免疫原性組成物が投与された対象と関連したIgG抗体の増加したレベルを含むことができる。これらのIgG抗体は、最適化コンセンサス抗原に遺伝的に関連したMCV T抗原に特異的であり得る。これらのIgG抗体は、最適化コンセンサス抗原に遺伝的に関連したMCV T抗原と反応性であり得る。免疫原性組成物が投与された対象と関連したIgG抗体のレベルは、免疫原性組成物が投与されていない対象と比較して約1.5倍~約16倍、約2倍~約12倍、または約3倍~約10倍増加させることができる。免疫原性組成物が投与された対象と関連したIgG抗体のレベルは、免疫原性組成物が投与されていない対象または非最適化MCV T抗原が投与された対象と比較して、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2.0倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3.0倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4.0倍、少なくとも約4.5倍、少なくとも約5.0倍、少なくとも約5.5倍、少なくとも約6.0倍、少なくとも約6.5倍、少なくとも約7.0倍、少なくとも約7.5倍、少なくとも約8.0倍、少なくとも約8.5倍、少なくとも約9.0倍、少なくとも約9.5倍、少なくとも約10.0倍、少なくとも約10.5倍、少なくとも約11.0倍、少なくとも約11.5倍、少なくとも約12.0倍、少なくとも約12.5倍、少なくとも約13.0倍、少なくとも約13.5倍、少なくとも約14.0倍、少なくとも約14.5倍、少なくとも約15.0倍、少なくとも約15.5倍、または少なくとも約16.0倍増加させることができる。
【0119】
免疫原性組成物は、免疫原性組成物が投与された対象において細胞性免疫応答を誘導することができる。誘導された細胞性免疫応答は、最適化コンセンサスコード抗原に関連したMCV T抗原に特異的であり得る。誘導された細胞性免疫応答は、最適化コンセンサスコード抗原に関連したMCV T抗原と反応性であり得る。誘導された細胞性免疫応答は、CD8+T細胞応答を引き出すことを含むことができる。引き出されたCD8+T細胞応答は、最適化コンセンサス抗原に遺伝的に関連したMCV T抗原と反応性であり得る。引き出されたCD8+T細胞応答は、多機能性であり得る。誘導された細胞性免疫応答は、CD8+T細胞応答を引き出すことを含むことができ、CD8+T細胞は、インターフェロン-ガンマ(IFN-γ)、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)、インターロイキン-2(IL-2)、またはIFN-γおよびTNF-αの組み合わせを生成する。
【0120】
誘導された細胞性免疫応答は、免疫原性組成物が投与されていない対象と比較して免疫原性組成物が投与された対象と関連した増加したCD8+T細胞応答を含むことができる。免疫原性組成物が投与された対象と関連したCD8+T細胞応答は、免疫原性組成物が投与されていない対象と比較して約2倍~約30倍、約3倍~約25倍、または約4倍~約20倍増加させることができる。免疫原性組成物が投与された対象と関連したCD8+T細胞応答は、免疫原性組成物が投与されていない対象または非最適化MCV T抗原が投与された対象と比較して、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2.0倍、少なくとも約3.0倍、少なくとも約4.0倍、少なくとも約5.0倍、少なくとも約6.0倍、少なくとも約6.5倍、少なくとも約7.0倍、少なくとも約7.5倍、少なくとも約8.0倍、少なくとも約8.5倍、少なくとも約9.0倍、少なくとも約9.5倍、少なくとも約10.0倍、少なくとも約10.5倍、少なくとも約11.0倍、少なくとも約11.5倍、少なくとも約12.0倍、少なくとも約12.5倍、少なくとも約13.0倍、少なくとも約13.5倍、少なくとも約14.0倍、少なくとも約14.5倍、少なくとも約15.0倍、少なくとも約16.0倍、少なくとも約17.0倍、少なくとも約18.0倍、少なくとも約19.0倍、少なくとも約20.0倍、少なくとも約21.0倍、少なくとも約22.0倍、少なくとも約23.0倍、少なくとも約24.0倍、少なくとも約25.0倍、少なくとも約26.0倍、少なくとも約27.0倍、少なくとも約28.0倍、少なくとも約29.0倍、または少なくとも約30.0倍増加させることができる。
【0121】
誘導された細胞性免疫応答は、MCV T抗原に対して反応性であるCD107a/IFNγ/T-betトリプルポジティブCD8 T細胞の増加した頻度を含むことができる。免疫原性組成物が投与された対象と関連したCD107a/IFNγ/T-betトリプルポジティブCD8 T細胞の頻度は、免疫原性組成物が投与されていない対象または非最適化MCV T抗原が投与された対象と比較して、少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、16倍、17倍、18倍、19倍、または20倍増加させることができる。
【0122】
誘導された細胞性免疫応答は、MCV T抗原に対して反応性であるCD107a/IFNγダブルポジティブCD8 T細胞の増加した頻度を含むことができる。免疫原性組成物が投与された対象と関連したCD107a/IFNγダブルポジティブCD8 T細胞の頻度は、免疫原性組成物が投与されていない対象または非最適化MCV T抗原が投与された対象と比較して、少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、または14倍増加させることができる。
【0123】
免疫原性組成物によって誘導された細胞性免疫応答は、CD4+T細胞応答を引き出すことを含み得る。引き出されたCD4+T細胞応答は、最適化コンセンサス抗原に遺伝的に関連したMCV T抗原と反応性であり得る。引き出されたCD4+T細胞応答は、多機能性であり得る。誘導された細胞性免疫応答は、CD4+T細胞応答を引き出すことを含むことができ、CD4+T細胞は、IFN-γ、TNF-α、IL-2、またはIFN-γおよびTNF-αの組み合わせを生成する。
【0124】
誘導された細胞性免疫応答は、IFN-γを生成するCD4+T細胞の増加した頻度を含むことができる。免疫原性組成物が投与された対象と関連したCD4+IFN-γ+T細胞の頻度は、免疫原性組成物が投与されていない対象または非最適化MCV T抗原が投与された対象と比較して、少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、16倍、17倍、18倍、19倍、または20倍増加させることができる。
【0125】
誘導された細胞性免疫応答は、TNF-αを生成するCD4+T細胞の増加した頻度を含むことができる。免疫原性組成物が投与された対象と関連したCD4+TNF-α+T細胞の頻度は、免疫原性組成物が投与されていない対象または非最適化MCV T抗原が投与された対象と比較して、少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、16倍、17倍、18倍、19倍、20倍、21倍、または22倍増加させることができる。
【0126】
誘導された細胞性免疫応答は、IFN-γおよびTNF-αの両方を生成するCD4+T細胞の増加した頻度を含むことができる。免疫原性組成物が投与された対象と関連したCD4+IFN-γ+TNF-α+の頻度は、免疫原性組成物が投与されていない対象または非最適化MCV T抗原が投与された対象と比較して、少なくとも約2倍、2.5倍、3.0倍、3.5倍、4.0倍、4.5倍、5.0倍、5.5倍、6.0倍、6.5倍、7.0倍、7.5倍、8.0倍、8.5倍、9.0倍、9.5倍、10.0倍、10.5倍、11.0倍、11.5倍、12.0倍、12.5倍、13.0倍、13.5倍、14.0倍、14.5倍、15.0倍、15.5倍、16.0倍、16.5倍、17.0倍、17.5倍、18.0倍、18.5倍、19.0倍、19.5倍、20.0倍、21倍、22倍、23倍、24倍、25倍、26倍、27倍、28倍、29倍、30倍、31倍、32倍、33倍、34倍、または35倍増加させることができる。
【0127】
免疫原性組成物は、筋肉または皮膚などの異なる組織に投与される場合、免疫応答をさらに誘導することができる。免疫原性組成物は、エレクトロポレーション、もしくは注射を介して、または皮下、もしくは筋肉内に投与される場合、免疫応答をさらに誘導することができる。
【0128】
ベクター
上記のヌクレオチド構築物は、1つ以上のベクターに配置することができる。1つ以上のベクターは、複製起点を含有することができる。1つ以上のベクターは、プラスミド、バクテリオファージ、細菌人工染色体、または酵母人工染色体であり得る。1つ以上のベクターは、自己複製染色体外ベクター、または宿主ゲノムに統合するベクターのいずれかであり得る。
【0129】
ベクターは、これらに限定されないが、プラスミド、発現ベクター、組換えウイルス、組換え「裸のDNA」ベクターの任意の形態などを含む。「ベクター」は、細胞に感染、トランスフェクト、一時的または永久的に形質導入することができる核酸を含む。ベクターは、裸の核酸、またはタンパク質もしくは脂質と複合体化された核酸であり得ることが認識されるであろう。ベクターは任意に、ウイルスもしくは細菌核酸および/もしくはタンパク質、ならびに/またはメンブレン(例えば、細胞膜、ウイルス脂質エンベロープなど)を含む。ベクターは、これに限定されないが、DNAの断片が付着し、複製され得る、レプリコン(例えば、RNAレプリコン、バクテリオファージ)を含む。ベクターはよって、これらに限定されないが、RNA、自立自己複製環状または線状DNAまたはRNA(例えば、プラスミド、ウイルスなど、例えば、米国特許第5,217,879号を参照されたい)を含み、発現および非発現プラスミドの両方を含む。組換え微生物または細胞培養物が「発現ベクター」の宿主となるものとして記載される場合、これは、染色体外環状および線状DNAならびに宿主染色体(複数可)に組み込まれたDNAの両方を含む。ベクターが宿主細胞によって維持されている場合、ベクターは、自立構造として有糸分裂中に細胞によって安定に複製され得るか、または宿主のゲノム内に組み込まれるかのいずれかである。
【0130】
1つ以上のベクターは、発現構築物であり得、これは一般的には、特定の遺伝子を標的細胞に導入するために使用されるプラスミドである。発現ベクターが細胞内に入ると、遺伝子によってコードされるタンパク質が、細胞転写および翻訳機構リボソーム複合体によって生成される。プラスミドは、エンハンサーおよびプロモーター領域として作用し、発現ベクター上で運ばれる遺伝子の効率的な転写をもたらす制御配列を含有するように頻繁に操作される。本発明のベクターは、多量の安定なメッセンジャーRNA、およびしたがってタンパク質を発現する。
ベクターは、強いプロモーター、強い終結コドン、プロモーターとクローン化遺伝子との間の距離の調節、ならびに転写終結配列およびPTIS(ポータブル翻訳開始配列)の挿入などの発現シグナルを有し得る。
【0131】
(1)発現ベクター
1つ以上のベクターは、環状プラスミドまたは線状核酸であり得る。環状プラスミドおよび線状核酸は、適切な対象細胞における特定のヌクレオチド配列の発現を誘導することができる。組換え核酸構築物を含む1つ以上のベクターは、キメラであり得、その成分のうちの少なくとも1つが、その他の成分のうちの少なくとも1つに対して非相同であることを意味する。
【0132】
(2)プラスミド
1つ以上のベクターは、プラスミドであり得る。プラスミドは、細胞を組換え核酸構築物でトランスフェクトするために有用であり得る。プラスミドは、組換え核酸構築物を対象に導入するために有用であり得る。プラスミドはまた、プラスミドが投与される細胞における遺伝子発現に十分に適し得る、制御配列を含み得る。
【0133】
プラスミドはまた、プラスミドを染色体外に維持し、細胞においてプラスミドの複数のコピーを生成するために、哺乳動物の複製起点を含み得る。プラスミドは、Invitrogen(San Diego,CA)からのpVAX1、pCEP4、またはpREP4であり得、これは、Epstein Barrウイルス複製起点および核抗原EBNA-1コード領域を含み得、これは、統合なしに高コピーエピソーム複製を生成し得る。プラスミドの骨格は、pAV0242であり得る。プラスミドは、複製欠損アデノウイルス5型(Ad5)プラスミドであり得る。
【0134】
プラスミドは、pSE420(Invitrogen,San Diego,Calif.)であり得、これは、Escherichia coli(E.coli)におけるタンパク質生成に使用され得る。プラスミドはまた、pYES2(Invitrogen,San Diego,Calif.)であり得る、これは、酵母のSaccharomyces cerevisiae株におけるタンパク質生成に使用され得る。プラスミドはまた、MAXBAC(商標)完全バキュロウイルス発現システム(Invitrogen,San Diego,Calif.)のものであり得、これは、昆虫細胞におけるタンパク質生成に使用され得る。プラスミドはまた、pcDNAIまたはpcDNA3(Invitrogen,San Diego,Calif.)であり得、これは、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などの哺乳動物細胞におけるタンパク質生成に使用され得る。
【0135】
(3)RNA
一実施形態では、核酸は、RNA分子である。一実施形態では、RNA分子は、本明細書に記載されるDNA配列から転写される。例えば、いくつかの実施形態では、RNA分子は、配列番号1、配列番号3、もしくは配列番号5、そのバリアント、またはその断片のうちの1つに少なくとも90%相同なDNA配列によってコードされる。別の実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号2、配列番号4、もしくは配列番号6、そのバリアント、またはその断片のうちの1つに少なくとも90%相同なポリペプチド配列をコードするDNA配列によって転写されるRNA配列を含む。したがって、一実施形態では、本発明は、MCV T抗原のうちの1つ以上をコードするRNA分子を提供する。RNAは、プラス鎖であり得る。したがって、いくつかの実施形態では、RNA分子は、逆転写などの任意の介在複製ステップを必要とすることなく細胞によって翻訳することができる。本発明で有用なRNA分子は、5′キャップ(例えば、7-メチルグアノシン)を有し得る。このキャップは、RNAのインビボ翻訳を向上させることができる。本発明で有用なRNA分子の5′ヌクレオチドは、5′三リン酸基を有し得る。キャップRNAでは、これは、5′-5′架橋を介して7-メチルグアノシンに連結され得る。RNA分子は、3′ポリ-Aテールを有し得る。それはまた、その3′末端近くにポリ-Aポリメラーゼ認識配列(例えば、AAUAAA)を含み得る。本発明で有用なRNA分子は、一本鎖であり得る。本発明で有用なRNA分子は、合成RNAを含み得る。いくつかの実施形態では、RNA分子は、裸のRNA分子である。一実施形態では、RNA分子は、ベクター内に含まれる。
【0136】
一実施形態では、RNAは、5’および3’UTRを有する。一実施形態では、5’UTRは、0~3000ヌクレオチドの長さである。コード領域に付加される5’および3’UTR配列の長さは、これらに限定されないが、UTRの異なる領域にアニールするPCRのプライマーを設計することを含む、異なる方法によって変更することができる。このアプローチを用いて、当業者は、転写RNAのトランスフェクション後の最適な翻訳効率を達成するために必要な5’および3’UTR長を修飾することができる。
【0137】
5’および3’UTRは、目的の遺伝子についての自然発生、内因性5’および3’UTRであり得る。あるいは、目的の遺伝子に内因性ではないUTR配列は、UTR配列をフォワードおよびリバースプライマーに組み込むことによって、またはテンプレートの任意の他の修飾によって付加することができる。目的の遺伝子に内因性ではないUTR配列の使用は、RNAの安定性および/または翻訳効率を修飾するために有用であり得る。例えば、3’UTR配列におけるAU富化エレメントは、RNAの安定性を低下させる可能性があることが知られている。したがって、3’UTRは、当該技術分野において周知であるUTRの特性に基づいて転写されたRNAの安定性を増加させるように選択または設計することができる。
【0138】
一実施形態では、5’UTRは、内因性遺伝子のKozak配列を含有することができる。あるいは、目的の遺伝子に内因性ではない5’UTRが、上記のPCRによって付加されている場合、コンセンサスKozak配列は、5’UTR配列を付加することによって再設計することができる。Kozak配列は、いくつかのRNA転写物の翻訳の効率を増加させることができるが、全てのRNAについて効率的な転写を可能にするために必要とされるわけではないようである。多くのRNAのKozak配列の要件は、当該技術分野において知られている。他の実施形態では、5’UTRは、RNAウイルスに由来し得、このRNAゲノムは、細胞において安定である。他の実施形態では、様々なヌクレオチド類似体は、RNAのエキソヌクレアーゼ分解を妨げるために3’または5’UTRにおいて使用することができる。
【0139】
一実施形態では、RNAは、5’末端および3’ポリ(A)テールの両方にキャップを有し、これは、リボソーム結合、翻訳の開始、および細胞におけるRNAの安定性を決定する。
【0140】
一実施形態では、RNAは、ヌクレオシド修飾RNAである。ヌクレオシド修飾RNAは、例えば、安定性の増加、生得免疫原性の低さまたは不在、および翻訳の向上を含む、非修飾RNAに対する特定の利点を有する。
【0141】
(4)環状および線状ベクター
1つ以上のベクターは、細胞ゲノムへの統合によって標的細胞を形質転換するか、または染色体外に存在し得る、環状プラスミド(例えば、複製起点を有する自己複製プラスミド)であり得る。ベクターは、pVAX、pcDNA3.0、もしくはprovaxであるか、または組換え核酸構築物によってコードされる重鎖ポリペプチドおよび/もしくは軽鎖ポリペプチドを発現することができる任意の他の発現ベクターであり得る。
【0142】
本明細書ではまた、エレクトロポレーションを介して対象に効率的に送達し、組換え核酸構築物によってコードされる重鎖ポリペプチドおよび/または軽鎖ポリペプチドを発現することができる、線状核酸、または線状発現カセット(「LEC」)が提供される。LECは、リン酸骨格が全くない任意の線状DNAであり得る。LECは、任意の抗生物質耐性遺伝子および/またはリン酸骨格を含有しない場合がある。LECは、所望の遺伝子発現に関連していない他のヌクレオチド配列を含有しない場合がある。
【0143】
LECは、線状化することができる任意のプラスミドに由来し得る。プラスミドは、組換え核酸構築物によってコードされる重鎖ポリペプチドおよび/または軽鎖ポリペプチドを発現することができるものであり得る。プラスミドは、pNP(Puerto Rico/34)またはpM2(New Caledonia/99)であり得る。プラスミドは、WLV009、pVAX、pcDNA3.0、もしくはprovaxであるか、または組換え核酸構築物によってコードされる重鎖ポリペプチドおよび/もしくは軽鎖ポリペプチドを発現することができる任意の他の発現ベクターであり得る。
【0144】
LECは、pcrM2であり得る。LECは、pcrNPであり得る。pcrNPおよびpcrMRは、それぞれ、pNP(Puerto Rico/34)およびpM2(New Caledonia/99)に由来し得る。
【0145】
(5)ウイルスベクター
一実施形態では、本発明の核酸を細胞に送達することができるウイルスベクターが本明細書において提供される。発現ベクターは、ウイルスベクターの形態で細胞に提供され得る。ウイルスベクター技術は、当該技術分野において周知であり、例えば、Sambrook et al.(2001)、およびAusubel et al.(1997)、ならびに他のウイルス学および分子生物学マニュアルに記載される。ベクターとして有用であるウイルスは、これらに限定されないが、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ヘルペスウイルス、およびレンチウイルスを含む。一般に、適切なベクターは、少なくとも1つの生物において機能的な複製起点、プロモーター配列、便利な制限エンドヌクレアーゼ部位、および1つ以上の選択可能なマーカーを含有する。(例えば、WO01/96584、WO01/29058、および米国特許第6,326,193号を参照されたい。ウイルスベクター、および特にレトロウイルスベクターは、遺伝子を哺乳動物、例えば、ヒト細胞に挿入するために最も広く使用される方法となっている。他のウイルスベクターは、レンチウイルス、ポックスウイルス、単純ヘルペスウイルスI、アデノウイルス、およびアデノ関連ウイルスなどに由来し得る。例えば、米国特許第5,350,674号および第5,585,362号を参照されたい。
【0146】
(6)ベクターを調製する方法
本明細書では、組換え核酸構築物が配置されている1つ以上のベクターを調製するための方法が提供される。最終サブクローニングステップ後、ベクターは、当該技術分野における既知の方法を用いて、大規模発酵タンクにおける細胞培養物を接種するために使用することができる。
【0147】
他の実施形態では、最終サブクローニングステップ後、ベクターは、1つ以上のエレクトロポレーション(EP)装置で使用することができる。EP装置は、以下でより詳細に記載される。
【0148】
1つ以上のベクターは、既知の装置および技法の組み合わせを用いて製剤化または製造することができるが、好ましくは、それらは、2007年5月23日に出願された、許諾、同時係属米国仮特許出願第60/939,792号に記載されるプラスミド製造技法を用いて製造される。いくつかの例では、本明細書に記載されるDNAプラスミドは、10 mg/mL以上の濃度で製剤化することができる。製造技法はまた、許諾特許、2007年7月3日に発行された、米国特許第7,238,522号に記載されるものを含む、米国特許出願第60/939792号に記載されるものに加えて、当業者に一般的に知られている様々な装置およびプロトコルを含むか、または組み込む。上記参照出願および特許、それぞれ、米国特許出願第60/939,792号および米国特許第7,238,522号は、それらの全体において本明細書に組み込まれる。
【0149】
複数のベクター
免疫原性組成物は、単一のプラスミド、または2つ以上の異なるプラスミドなどの2つ以上の異なる核酸分子の複数のコピーのような、単一の核酸分子の複数のコピーを含み得る。例えば、免疫原性組成物は、複数の2、3、4、5、6、7、8、9、または10個以上の異なる核酸分子を含み得る。そのような組成物は、複数の2、3、4、5、6個以上の異なるプラスミドを含み得る。
【0150】
免疫原性組成物は、MCV T抗原のコード配列を集合的に含有する、プラスミドなどの、核酸分子を含み得る。免疫原性組成物は、複数の抗原のコード配列を集合的に含有する、プラスミドなどの、核酸分子を含み得る。一実施形態では、抗原は、MCV T抗原および1つ以上の追加の癌抗原である。免疫原性組成物は、1つ以上のMCV T抗原および1つ以上の癌抗原のコード配列を集合的に含有する、プラスミドなどの、核酸分子を含み得る。
【0151】
癌抗原
免疫原性組成物は、腫瘍関連病理を治療または予防するために、1つ以上の癌抗原、例えば、WT1、MUC1、LMP2、HPV E6 E7、EGFRvIII、HER-2/neu、イディオタイプ、MAGE A3、p53(非変異体)、NY-ESO-1、PSMA、GD2、CEA、MelanA/MART1、Ras-変異体、gp100、p53変異体、プロテイナーゼ3(PR1)、Bcr-abl、チロシナーゼ、サバイビン、PSA、hTERT、EphA2、PAP、ML-IAP、AFP、EpCAM、ERG、NA17、PAX3、ALK、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、ポリシアル酸、MYCN、TRP-2、RhoC、GD3、フコシルGM1、メソテリン、PSCA、MAGE A1、sLe(a)、CYP1B1、PLAC1、GM3ガングリオシド、BORIS、Tn、GloboH、ETV6-AML、NY-BR-1、RGS5、SART3、STn、炭酸脱水酵素IX、PAX5、OY-TES1、精子タンパク質17、LCK、HMWMAA、精子線維鞘タンパク質、AKAP-4、SSX2、XAGE 1、B7H3、レグマイン、Tie 2、Page4、VEGFR2、MAD-CT-1(プロタミン2)、MAD-CT-2、およびFOS関連抗原1を含むことができる。免疫原性組成物は、腫瘍関連病理を治療または予防するために、1つ以上の癌抗原WT1、MUC1、LMP2、HPV E6 E7、EGFRvIII、HER-2/neu、イディオタイプ、MAGE A3、p53(非変異体)、NY-ESO-1、PSMA、GD2、CEA、MelanA/MART1、Ras-変異体、gp100、p53変異体、プロテイナーゼ3(PR1)、Bcr-abl、チロシナーゼ、サバイビン、PSA、hTERT、EphA2、PAP、ML-IAP、AFP、EpCAM、ERG、NA17、PAX3、ALK、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、ポリシアル酸、MYCN、TRP-2、RhoC、GD3、フコシルGM1、メソテリン、PSCA、MAGE A1、sLe(a)、CYP1B1、PLAC1、GM3ガングリオシド、BORIS、Tn、GloboH、ETV6-AML、NY-BR-1、RGS5、SART3、STn、炭酸脱水酵素IX、PAX5、OY-TES1、精子タンパク質17、LCK、HMWMAA、精子線維鞘タンパク質、AKAP-4、SSX2、XAGE 1、B7H3、レグマイン、Tie 2、Page4、VEGFR2、MAD-CT-1(プロタミン2)、MAD-CT-2、およびFOS関連抗原を、最適化されたコンセンサスコードMCV T抗原とさらに組み合わせることができる。癌抗原の他の組み合わせはまた、腫瘍関連病理を治療または予防するために適用され得る。
【0152】
方法
本明細書では、本明細書に記載される1つ以上の免疫原性組成物を対象に投与することによって、これを必要とする対象においてMCV関連疾患を治療、これに対して保護、および/または予防する方法が提供される。対象への免疫原性組成物の投与は、対象において免疫応答を誘導するか、または引き出すことができる。誘導された免疫応答は、疾患、例えば、MCV感染症、またはMCV感染症と関連したMCCに対して治療、予防、および/または保護するために使用することができる。
【0153】
本明細書では、これに対する免疫応答を誘導することができる、それらをMCVまたはMCCに対して特に有効にするエピトープを含むコンセンサス抗原の遺伝子構築物およびタンパク質を提供するために免疫原性組成物を送達するための方法が提供される。免疫原性組成物またはワクチン接種を送達する方法は、治療的および予防的免疫応答を誘導するために提供され得る。ワクチン接種プロセスは、哺乳動物においてMCVまたはMCCに対する免疫応答を起こし得る。免疫原性組成物は、哺乳動物の免疫系の活性を調節し、免疫応答を向上させるために個体に送達され得る。免疫原性組成物の送達は、細胞において発現し、細胞の表面に送達される核酸分子としてのコンセンサス抗原のトランスフェクションであり得、この後、免疫系は、細胞性、体液性、または細胞性および体液性応答を認識および誘導する。免疫原性組成物の送達は、上記で議論される免疫原性組成物を哺乳動物に投与することによって、MCVまたはMCCに対して哺乳動物において免疫応答を誘導するか、または引き出すために使用され得る。
【0154】
哺乳動物の細胞への免疫原性組成物およびプラスミドの送達後、トランスフェクトされた細胞は、免疫原性組成物から注射されたプラスミドの各々についてのコンセンサス抗原を発現および分泌するであろう。これらのタンパク質は、免疫系によって異物として認識され、それらに対して抗体が作製されるであろう。これらの抗体は、免疫系によって維持され、MCVによるその後の感染症に対する有効な応答を可能にするであろう。
【0155】
免疫原性組成物は、哺乳動物において免疫応答を引き出すために哺乳動物に投与され得る。哺乳動物は、ヒト、霊長類、非ヒト霊長類、ウシ(cow)、ウシ(cattle)、ヒツジ、ヤギ、アンテロープ、バイソン、スイギュウ、バイソン、ウシ(bovid)、シカ、ハリネズミ、ゾウ、ラマ、アルパカ、マウス、ラット、およびニワトリであり得る。
【0156】
誘導された免疫応答は、誘導された体液性免疫応答および/または誘導された細胞性免疫応答を含むことができる。体液性免疫応答は、約1.5倍~約16倍、約2倍~約12倍、または約3倍~約10倍誘導することができる。誘導された細胞性免疫応答は、CD8+T細胞応答を含むことができ、これは、約2倍~約30倍、約3倍~約25倍、または約4倍~約20倍誘導される。
【0157】
免疫原性組成物用量は、1μg~10mgの活性成分/体重kg/回であり得、20μg~10mgの成分/体重kg/回であり得る。免疫原性組成物は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、または31日毎に投与することができる。有効な治療のための免疫原性組成物用量の数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり得る。
【0158】
免疫原性組成物は、薬学分野において当業者に周知の標準的な技法に従って製剤化することができる。そのような組成物は、特定の対象の年齢、性別、体重、および状態、ならびに投与経路などの因子を考慮して、医学分野において当業者に周知の投与量および技法によって投与することができる。
【0159】
免疫原性組成物は、予防的または治療的に投与することができる。予防的投与では、免疫原性組成物は、免疫応答を誘導するために十分な量で投与することができる。治療的適用では、免疫原性組成物は、これを必要とする対象に、治療効果を引き出すために十分な量で投与される。これを達成するために十分な量は、「治療有効用量」として定義される。この使用に有効な量は、例えば、投与される免疫原性組成物レジメンの特定の組成物、投与の方法、疾患の病期および重症度、対象の一般的な健康状態、ならびに処方医師の判断に依存するであろう。
【0160】
免疫原性組成物は、当該技術分野において周知の方法によって、Donnelly et al.(Ann.Rev.Immunol.15:617-648(1997))、Felgner et al.(1996年12月3日に発行された、米国特許第5,580,859号)、Felgner(1997年12月30日に発行された、米国特許第5,703,055号)、およびCarson et al.(1997年10月21日に発行された、米国特許第U.S.Pat.No.5,679,647号)に記載されるように投与することができ、これらの全ての内容は、それらの全体において参照によって本明細書に組み込まれる。免疫原性組成物のDNAは、個体に、例えば、ワクチン銃を用いて、投与することができる粒子またはビーズと複合体化することができる。当業者であれば、生理的に許容される化合物を含む、薬学的に許容される担体の選択が、例えば、発現ベクターの投与経路に依存することを知っているであろう。
【0161】
免疫原性組成物は、様々な経路を介して送達することができる。典型的な送達経路は、非経口投与、例えば、皮内、筋肉内、または皮下送達を含む。他の経路は、経口投与、鼻腔内、および膣内経路を含む。特に免疫原性組成物のDNAについて、免疫原性組成物は、個体の組織の間質空間に送達することができる(Felgner et al.、米国特許第5,580,859号、および第5,703,055号、その全ての内容は、それらの全体において参照によって本明細書に組み込まれる)。免疫原性組成物はまた、筋肉に投与することができるか、あるいは皮内もしくは皮下注射を介して、または経皮的に、例えば、イオントフォレシスによって投与することができる。免疫原性組成物の表皮投与も使用することができる。表皮投与は、表皮の最外層を機械的または化学的に刺激して、刺激物に対する免疫応答を促進することを含むことができる(Carson et al.、米国特許第5,679,647号、この内容は、その全体において参照によって本明細書に組み込まれる)。
【0162】
免疫原性組成物はまた、鼻腔を介した投与のために製剤化することができる。担体が固体である、経鼻投与に適した製剤は、例えば、約10~約500ミクロンの範囲の粒子サイズを有する粗粉末を含むことができ、これは、嗅ぎとる方法で、すなわち、鼻の近くで保持された粉末の容器からの鼻腔を通した急速な吸入によって投与される。製剤は、点鼻スプレー、点鼻液、またはネブライザーによるエアロゾル投与によるものであり得る。製剤は、免疫原性組成物の水性または油性溶液を含むことができる。
【0163】
免疫原性組成物は、懸濁液、シロップ、またはエリキシルなどの液体調製物であり得る。免疫原性組成物はまた、滅菌懸濁液または乳濁液など、非経口、皮下、皮内、筋肉内、または静脈内投与(例えば、注射可能な投与)のために調製することができる。
【0164】
免疫原性組成物は、リポソーム、マイクロスフェア、または他のポリマーマトリックスに組み込むことができる(Felgner et al.、米国特許第5,703,055号、Gregoriadis,Liposome Technology,Vols. Ito III (2nd ed. 1993)、その内容は、それらの全体において参照によって本明細書に組み込まれる)。リポソームは、リン脂質または他の脂質からなり得、作製および投与することが比較的簡単である非毒性、生理的に許容される、代謝可能な担体であり得る。
【0165】
ワクチンでの癌治療の方法
ワクチンは、哺乳動物における免疫応答を起こすか、または引き出すために使用することができ、免疫応答は、それを必要とする哺乳動物または対象の癌または腫瘍(例えば、MCC)に反応性であるか、またはこれに向けられる。引き出された免疫応答は、癌または腫瘍成長を予防することができる。
【0166】
引き出された免疫応答は、癌または腫瘍細胞の転移を予防および/または低減することができる。したがって、ワクチンは、ワクチンが投与された哺乳動物または対象において癌または腫瘍を治療および/または予防する方法において使用することができる。
【0167】
いくつかの実施形態では、投与されたワクチンは、(1)B細胞応答を介して体液性免疫性を誘導して、単球走化性タンパク質-1(MCP-1)生成を遮断し、これによって骨髄由来抑制細胞(MDSC)を遅らせ、腫瘍成長を抑制する抗体を生み出し、(2)細胞毒性Tリンパ腫、例えば、CD8+(CTL)を増加させて、腫瘍細胞を攻撃および殺滅し、(3)Tヘルパー細胞応答を増加させ、(4)IFN-γおよびTFN-αを介して炎症性応答を増加させるか、または好ましくは前述の全てによって、クリアランスを媒介するか、または腫瘍細胞の成長を防止することができる。
【0168】
いくつかの実施形態では、免疫応答は、ワクチンが投与された対象において様々な組織または系(例えば、脳または神経系)への損傷またはその炎症を引き起こさない、体液性免疫応答および/または抗原特異的細胞毒性Tリンパ球(CTL)応答を起こすことができる。
【0169】
いくつかの実施形態では、投与されたワクチンは、対象において、無腫瘍生存を増加し、腫瘍質量を低減し、腫瘍生存を増加し、またはそれらの組み合わせであり得る。投与されたワクチンは、対象において無腫瘍生存を20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、および60%以上増加させることができる。投与されたワクチンは、免疫化後の対象において腫瘍質量を20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、および70%以上低減することができる。投与されたワクチンは、対象において、単球走化性タンパク質1(MCP-1)、骨髄由来抑制細胞によって分泌されるサイトカインの増加を防止および阻害することができる。いくつかの実施形態では、投与されたワクチンは、対象における癌または腫瘍組織内のMCP-1の増加を防止および阻害し、それによって対象における癌または腫瘍組織の血管新生を低減することができる。
【0170】
投与されたワクチンは、対象において腫瘍生存を20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、および70%以上増加させることができる。いくつかの実施形態では、ワクチンは、ワクチンが投与された対象において損傷することも、または病気もしくは死を引き起こすこともなく、癌または腫瘍細胞もしくは組織を標的とする抗原特異的免疫応答を確立して、1つ以上のMCV T抗原を発現する癌または腫瘍を除去または排除するために、末梢に(以下により詳細に記載されるように)投与することができる。
【0171】
投与されたワクチンは、対象における細胞性免疫応答を約50倍~約6000倍、約50倍~約5500倍、約50倍~約5000倍、約50倍~約4500倍、約100倍~約6000倍、約150倍~約6000倍、約200倍~約6000倍、約250倍~約6000倍、または約300倍~約6000倍に増加させることができる。いくつかの実施形態では、投与されたワクチンは、対象における細胞性免疫応答を約50倍、100倍、150倍、200倍、250倍、300倍、350倍、400倍、450倍、500倍、550倍、600倍、650倍、700倍、750倍、800倍、850倍、900倍、950倍、1000倍、1100倍、1200倍、1300倍、1400倍、1500倍、1600倍、1700倍、1800倍、1900倍、2000倍、2100倍、2200倍、2300倍、2400倍、2500倍、2600倍、2700倍、2800倍、2900倍、3000倍、3100倍、3200倍、3300倍、3400倍、3500倍、3600倍、3700倍、3800倍、3900倍、4000倍、4100倍、4200倍、4300倍、4400倍、4500倍、4600倍、4700倍、4800倍、4900倍、5000倍、5100倍、5200倍、5300倍、5400倍、5500倍、5600倍、5700倍、5800倍、5900倍、または6000倍に増加させることができる。
【0172】
投与されたワクチンは、対象におけるインターフェロンガンマ(IFN-γ)レベルを約50倍~約6000倍、約50倍~約5500倍、約50倍~約5000倍、約50倍~約4500倍、約100倍~約6000倍、約150倍~約6000倍、約200倍~約6000倍、約250倍~約6000倍、または約300倍~約6000倍に増加させることができる。いくつかの実施形態では、投与されたワクチンは、対象におけるIFN-γレベルを約50倍、100倍、150倍、200倍、250倍、300倍、350倍、400倍、450倍、500倍、550倍、600倍、650倍、700倍、750倍、800倍、850倍、900倍、950倍、1000倍、1100倍、1200倍、1300倍、1400倍、1500倍、1600倍、1700倍、1800倍、1900倍、2000倍、2100倍、2200倍、2300倍、2400倍、2500倍、2600倍、2700倍、2800倍、2900倍、3000倍、3100倍、3200倍、3300倍、3400倍、3500倍、3600倍、3700倍、3800倍、3900倍、4000倍、4100倍、4200倍、4300倍、4400倍、4500倍、4600倍、4700倍、4800倍、4900倍、5000倍、5100倍、5200倍、5300倍、5400倍、5500倍、5600倍、5700倍、5800倍、5900倍、または6000倍に増加させることができる。
【0173】
ワクチン用量は、1μg~10mgの活性成分/体重kg/回であり得、20μg~10mgの成分/体重kg/回であり得る。ワクチンは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、または31日毎に投与することができる。有効な治療のためのワクチン用量の数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり得る。
【0174】
チェックポイント阻害剤での組み合わせ療法
本発明はまた、1つ以上のチェックポイント阻害剤と組み合わせて上記のワクチンを用いて哺乳動物における免疫応答を増加させる方法に向けられる。一実施形態では、上記のワクチンは、MCV T抗原およびチェックポイントタンパク質に対する抗体を含むことができる。本明細書で使用される「チェックポイント阻害剤」は、癌免疫療法の分野において一般的に理解されるように、免疫チェックポイントを遮断する阻害剤または分子を含む。より一般的なチェックポイント阻害剤は、免疫チェックポイントタンパク質を遮断する抗体である。免疫チェックポイントタンパク質は、これらに限定されないが、PD1、PDL1、PDL2、CTLA-4、LAG3、TIM3、B7-H3、BTLA、VISTA、CD40、CEACAM1、CD80、CD86、OX40、CD27、GITR、DNAM-1、TIGIT、TMIGD2、およびDC-SIGNを含む。既知のチェックポイント阻害剤のいくつかの例は、これらに限定されないが、イピリムマブ、ペンブロリズマブ、ニボルマブ、ピジリズマブ、アベルマブなどを含む。
【0175】
組み合わせは、単一の製剤中にあり得るか、または別々であり、順に(まずMCV T抗原、次いでチェックポイント阻害剤、またはまずチェックポイント阻害剤、次いでMCV T抗原のいずれかで)投与することができる。いくつかの実施形態では、MCV T抗原は、チェックポイント阻害剤が対象に投与される約30秒、1分、2分、3分、4分、5分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、60分、0.25時間、0.5時間、0.75時間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、36時間、48時間、60時間、72時間、84時間、96時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、31日、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、または8週間前に対象に投与することができる。他の実施形態では、チェックポイント阻害剤は、MCV T抗原が対象に投与される約30秒、1分、2分、3分、4分、5分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、60分、0.25時間、0.5時間、0.75時間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、36時間、48時間、60時間、72時間、84時間、96時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日、31日、1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、または8週間前に対象に投与することができる。
【0176】
MCV T抗原およびチェックポイント阻害剤の組み合わせは、MCV T抗原を単独で含むワクチンよりも効率的に免疫系を誘導する。このより効率的な免疫応答は、特定の癌の治療および/または防止における増加した有効性を提供する。
【0177】
いくつかの実施形態では、免疫応答は、約0.5倍~約15倍、約0.5倍~約10倍、または約0.5倍~約8倍増加させることができる。あるいは、ワクチンが投与された対象における免疫応答は、少なくとも約0.5倍、少なくとも約1.0倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2.0倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3.0倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4.0倍、少なくとも約4.5倍、少なくとも約5.0倍、少なくとも約5.5倍、少なくとも約6.0倍、少なくとも約6.5倍、少なくとも約7.0倍、少なくとも約7.5倍、少なくとも約8.0倍、少なくとも約8.5倍、少なくとも約9.0倍、少なくとも約9.5倍、少なくとも約10.0倍、少なくとも約10.5倍、少なくとも約11.0倍、少なくとも約11.5倍、少なくとも約12.0倍、少なくとも約12.5倍、少なくとも約13.0倍、少なくとも約13.5倍、少なくとも約14.0倍、少なくとも約14.5倍、または少なくとも約15.0倍増加させることができる。
【0178】
依然として他の代替の実施形態では、ワクチンが投与された対象における免疫応答は、約50%~約1500%、約50%~約1000%、または約50%~約800%増加させることができる。他の実施形態では、ワクチンが投与された対象における免疫応答は、少なくとも約50%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、少なくとも約250%、少なくとも約300%、少なくとも約350%、少なくとも約400%、少なくとも約450%、少なくとも約500%、少なくとも約550%、少なくとも約600%、少なくとも約650%、少なくとも約700%、少なくとも約750%、少なくとも約800%、少なくとも約850%、少なくとも約900%、少なくとも約950%、少なくとも約1000%、少なくとも約1050%、少なくとも約1100%、少なくとも約1150%、少なくとも約1200%、少なくとも約1250%、少なくとも約1300%、少なくとも約1350%、少なくとも約1450%、または少なくとも約1500%増加させることができる。
【0179】
ワクチン用量は、1μg~10mgの活性成分/体重kg/回であり得、20μg~10mgの成分/体重kg/回であり得る。ワクチンは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、または31日毎に投与することができる。有効な治療のためのワクチン用量の数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10であり得る。
【0180】
メルケル細胞癌
ワクチンは、哺乳動物における免疫応答を起こすか、または引き出すために使用することができ、免疫応答は、それを必要とする哺乳動物または対象においてメルケル細胞癌(MCC)に反応性であるか、またはこれに向けられる。引き出された免疫応答は、MCC成長を防止することができる。引き出された免疫応答は、MCC成長を低減することができる。引き出された免疫応答は、MCCからの癌または腫瘍細胞の転移を予防および/または低減することができる。したがって、ワクチンは、ワクチンが投与された哺乳動物または対象においてMCCを治療および/または予防する方法において使用することができる。
【0181】
いくつかの実施形態では、投与されたワクチンは、(1)B細胞応答を介して体液性免疫性を誘導して、MCC細胞によって発現したMCV T抗原を標的とする抗体を生み出し、(2)細胞毒性Tリンパ腫、例えば、CD8+(CTL)を増加させて、MCC細胞を攻撃および殺滅し、(3)Tヘルパー細胞応答を増加させ、(4)IFN-γおよびTFN-αを介して炎症性応答を増加させるか、または前述の全てによって、クリアランスを媒介するか、またはMCCの成長を防止することができる。
【0182】
いくつかの実施形態では、投与されたワクチンは、対象において、無MCC生存を増加し、MCC質量を低減し、MCC生存を増加し、またはそれらの組み合わせであり得る。投与されたワクチンは、対象において無MCC生存を30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、および45%以上増加させることができる。投与されたワクチンは、免疫化後の対象においてMCC質量を30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、および60%以上低減することができる。投与されたワクチンは、対象において、単球走化性タンパク質1(MCP-1)、骨髄由来抑制細胞によって分泌されるサイトカインの増加を防止および阻害することができる。いくつかの実施形態では、投与されたワクチンは、対象におけるMCC組織内のMCP-1の増加を防止および阻害し、それによって対象におけるMCC組織の血管新生を低減することができる。投与されたワクチンは、対象においてMCC生存を30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、および60%以上増加させることができる。
【0183】
併用治療
免疫原性組成物は、CCL20、α-インターフェロン、γ-インターフェロン、血小板由来成長因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM-CSF、表皮成長因子(EGF)、皮膚T細胞誘引性ケモカイン(CTACK)、上皮胸腺発現ケモカイン(TECK)、粘膜関連上皮ケモカイン(MEC)、IL-12、欠失したシグナル配列を有し、任意にIgEシグナルペプチドなどの異なるシグナルペプチドを含むIL-15を含むIL-15、MHC、CD80、CD86、IL-28、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-18、MCP-1、MIP-lα、MIP-1β、IL-8、RANTES、L-セレクチン、P-セレクチン、E-セレクチン、CD34、GlyCAM-1、MadCAM-1、LFA-1、VLA-1、Mac-1、pl50.95、PECAM、ICAM-1、ICAM-2、ICAM-3、CD2、LFA-3、M-CSF、G-CSF、IL-18の変異体形態、CD40、CD40L、血管成長因子、線維芽細胞成長因子、IL-7、神経成長因子、血管内皮成長因子、Fas、TNF受容体、Flt、Apo-1、p55、WSL-1、DR3、TRAMP、Apo-3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL-R2、TRICK2、DR6、カスパーゼICE、Fos、c-jun、Sp-1、Ap-1、Ap-2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IkB、不活性NIK、SAP K、SAP-1、JNK、インターフェロン応答遺伝子、NFkB、Bax、TRAIL、TRAILrec、TRAILrecDRC5、TRAIL-R3、TRAIL-R4、RANK、RANK LIGAND、Ox40、Ox40 LIGAND、NKG2D、MICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、TAP1、TAP2、およびそれらの機能的断片またはそれらの組み合わせをコードする他のタンパク質および/または遺伝子と組み合わせて投与され得る。いくつかの実施形態では、免疫原性組成物は、以下の核酸分子および/またはタンパク質:CCL20、IL-12、IL-15、IL-28、CTACK、TECK、MEC、およびRANTES、またはそれらの機能的断片のうちの1つ以上をコードするコード配列を含む核酸分子からなる群から選択される核酸分子、ならびにCCL02、IL-12タンパク質、IL-15タンパク質、IL-28タンパク質、CTACKタンパク質、TECKタンパク質、MECタンパク質、もしくはRANTESタンパク質、またはそれらの機能的断片からなる群から選択されるタンパク質のうちの1つ以上と組み合わせて投与される。
【0184】
免疫原性組成物は、経口、非経口、舌下、経皮、直腸、経粘膜、局所、吸入を介した、口腔内投与を介した、胸腔内、静脈内、動脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、鼻腔内、髄腔内、および関節内、またはそれらの組み合わせを含む、異なる経路によって投与され得る。獣医学的使用について、組成物は、通常の獣医学診療に従って適切に許容される製剤として投与され得る。獣医師は、特定の動物に最も適した投与レジメンおよび投与経路を容易に決定することができる。免疫原性組成物は、従来のシリンジ、無針注射装置、「微粒子衝撃遺伝子銃」、または他の物理的方法、例えば、「エレクトロポレーション」(「EP」)、「流体力学的方法」、または超音波によって投与され得る。
【0185】
免疫原性組成物のプラスミドは、哺乳動物に、インビボエレクトロポレーションを伴うおよび伴わない、DNA注射(DNAワクチン接種とも称される)、リポソーム媒介性、ナノ粒子促進性、組換えベクター、例えば、組換えアデノウイルス、組換えアデノウイルス関連ウイルス、および組換えワクシニアを含むいくつかの周知の技術によって送達され得る。コンセンサス抗原は、DNA注射を介して、インビボエレクトロポレーションと共に送達され得る。
【0186】
エレクトロポレーション
エレクトロポレーションを介した免疫原性組成物の投与は、哺乳動物の所望の組織に、細胞膜において可逆的な細孔を形成させるために有効なエネルギーのパルスを送達するように構成することができるエレクトロポレーション装置を使用して達成され得、好ましくは、エネルギーのパルスは、ユーザーによる予め設定された電流入力に類似する定電流である。エレクトロポレーション装置は、エレクトロポレーションコンポーネントおよび電極アセンブリまたはハンドルアセンブリを含み得る。エレクトロポレーションコンポーネントは、コントローラー、電流波形発生器、インピーダンステスター、波形ロガー、入力エレメント、状態報告エレメント、通信ポート、メモリーコンポーネント、電源、および電源スイッチを含む、エレクトロポレーション装置の様々なエレメントのうちの1つ以上を含み、組み込み得る。エレクトロポレーションは、プラスミドによる細胞のトランスフェクションを促進するために、インビボエレクトロポレーション装置、例えば、CELLECTRA EPシステム(Inovio Pharmaceuticals,Plymouth Meeting,PA)またはElgenエレクトロポレーター(Inovio Pharmaceuticals,Plymouth Meeting,PA)を用いて達成され得る。
【0187】
エレクトロポレーションコンポーネントは、エレクトロポレーション装置の1つのエレメントとして機能し得、他のエレメントは、エレクトロポレーションコンポーネントと通信した別のエレメント(またはコンポーネント)である。エレクトロポレーションコンポーネントは、エレクトロポレーション装置の2つ以上のエレメントとして機能し得、これは、エレクトロポレーションコンポーネントとは別のエレクトロポレーション装置のまた他のエレメントと通信し得る。1つの電気機械または機械装置の部分として存在するエレクトロポレーション装置のエレメントは、エレメントが1つの装置として、または互いに通信した別のエレメントとして機能することができるので、限定されない場合がある。エレクトロポレーションコンポーネントは、所望の組織において定電流を生成し、フィードバックメカニズムを誘導するエネルギーのパルスを送達することができ得る。電極アセンブリは、空間配置において複数の電極を有する電極アレイを含み得、電極アセンブリは、エレクトロポレーションコンポーネントからエネルギーのパルスを受け、電極を通してこれを所望の組織に送達する。複数の電極のうちの少なくとも1つは、エネルギーのパルスの送達中に中性であり、所望の組織におけるインピーダンスを測定し、インピーダンスをエレクトロポレーションコンポーネントに通信する。フィードバックメカニズムは、測定されたインピーダンスを受信し得、定電流を維持するためにエレクトロポレーションコンポーネントによって送達されるエネルギーのパルスを調節することができる。
【0188】
複数の電極は、分散パターンでエネルギーのパルスを送達し得る。複数の電極は、プログラムされた配列下での電極の制御を通して分散パターンでエネルギーのパルスを送達し得、プログラムされた配列は、ユーザーによってエレクトロポレーションコンポーネントに入力される。プログラムされた配列は、順に送達される複数のパルスを含み得、複数のパルスの各パルスは、インピーダンスを測定する1つの中性電極を有する少なくとも2つの活性電極によって送達され、複数のパルスのその後のパルスは、インピーダンスを測定する1つの中性電極を有する少なくとも2つの活性電極のうちの異なる1つによって送達される。
【0189】
フィードバックメカニズムは、ハードウェアまたはソフトウェアのいずれかによって行われ得る。フィードバックメカニズムは、アナログ閉ループ回路によって行われ得る。フィードバックは、50μs、20μs、10μs、または1μs毎に発生するが、好ましくは、リアルタイムフィードバックまたは即時(すなわち、応答時間を決定するための利用可能な技法によって決定されるように実質的に即時)である。中性電極は、所望の組織におけるインピーダンスを測定し得、インピーダンスをフィードバックメカニズムと通信し、フィードバックメカニズムは、インピーダンスに応答し、予め設定された電流に類似する値で定電流を維持するためにエネルギーのパルスを調節する。フィードバックメカニズムは、エネルギーのパルスの送達中に連続的および即時に定電流を維持し得る。
【0190】
本発明の免疫原性組成物の送達を促進し得るエレクトロポレーション装置およびエレクトロポレーション方法の例は、Draghia-Akli,et al.による米国特許第7,245,963号、Smith,et al.によって提出された米国特許出願公開第2005/0052630号に記載されるものを含み、この内容は、それらの全体において参照によって本明細書に組み込まれる。免疫原性組成物の送達を促進するために使用され得る他のエレクトロポレーション装置およびエレクトロポレーション方法は、米国特許法第119条(e)下で、2006年10月17年に出願された、米国仮特許出願第60/852,149号、および2007年10月10日に出願された、同第60/978,982号の優先権を主張する、2007年10月17日に出願された、同時係属中の、共同所有される米国特許出願第11/874072号に提供されるものを含み、これらの全ては、それらの全体において本明細書に組み込まれる。
【0191】
Draghia-Akli,et al.による米国特許第7,245,963号は、モジュラー電極システムおよび体または植物における選択された組織の細胞への生体分子の導入を促進するためのそれらの使用を記載する。モジュラー電極システムは、複数の針電極、皮下針、プログラム可能な定電流パルスコントローラーから複数の針電極までの導電リンクを提供する電気コネクター、および電源を含み得る。オペレーターは、支持構造上に載置される複数の針電極を把握し、それらを体または植物における選択された組織にしっかりと挿入することができる。生体分子は次いで、皮下針を介して選択された組織に送達される。プログラム可能な定電流パルスコントローラーが有効化され、定電流電気パルスが複数の針電極に適用される。適用された定電流電気パルスは、複数の電極間の細胞への生体分子の導入を促進する。米国特許第7,245,963号の内容全体は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0192】
Smith,et al.によって提出された米国特許出願公開第2005/0052630号は、体または植物における選択された組織の細胞への生体分子の導入を効果的に促進するために使用され得るエレクトロポレーション装置を記載する。エレクトロポレーション装置は、その操作がソフトウェアまたはファームウェアによって特定される電気運動装置(「EKD装置」)を含む。EKD装置は、ユーザーの制御およびパルスパラメータの入力に基づいてアレイにおける電極間の一連のプログラム可能な定電流パルスパターンを生成し、電流波形データの保存および取得を可能にする。エレクトロポレーション装置はまた、針電極のアレイを有する交換可能な電極ディスク、注射針のための中央注射チャネル、および除去可能なガイドディスクを含む。米国特許出願公開第2005/0052630号の内容全体は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0193】
米国特許第7,245,963号および米国特許出願公開第2005/0052630号に記載される電極アレイおよび方法は、筋肉などの組織だけでなく、他の組織または器官にも深く浸透するように適合され得る。電極アレイの構成のために、注射針(選択の生体分子を送達するための)はまた、標的器官に完全に挿入され、注射は、電極によって予め画定される領域において、標的組織に垂直に投与される。米国特許第7,245,963号および米国特許出願公開第2005/005263号に記載される電極は、好ましくは、20mm長および21ゲージである。
【0194】
加えて、エレクトロポレーション装置およびその使用を組み込むいくつかの実施形態では、以下の特許:1993年12月28日に発行された米国特許第5,273,525号、2000年8月29日に発行された米国特許第6,110,161号、2001年7月17日に発行された同第6,261,281号、および2005年10月25日に発行された同第6,958,060号、ならびに2005年9月6日に発行された米国特許第6,939,862号に記載されるものであるエレクトロポレーション装置が企図される。さらに、様々な装置のいずれかを用いるDNAの送達に関する、2004年2月24日に発行された米国特許第6,697,669号、DNAを注射する方法に関する、2008年2月5日に発行された米国特許第7,328,064号で提供される主題をカバーする特許が、本明細書において企図される。上記特許は、それらの全体において参照によって組み込まれる。
【0195】
インビトロおよびエクスビボでの抗原の生成
一実施形態では、最適化されたコンセンサスMCV T抗原は、インビトロまたはエクスビボで生み出される。例えば、一実施形態では、最適化されたコンセンサスMCV T抗原をコードする核酸は、インビトロまたはエクスビボ細胞において導入および発現することができる。
【0196】
遺伝子を細胞に導入および発現するための方法は、当該技術分野で知られている。発現ベクターの文脈において、ベクターは、宿主細胞、例えば、哺乳動物、細菌、酵母、または昆虫細胞に、当該技術分野における任意の方法によって容易に導入することができる。例えば、発現ベクターは、宿主細胞に、物理的、化学的、または生物学的手段によってトランスフェクトすることができる。
【0197】
ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための物理的方法は、リン酸カルシウム沈殿、リポフェクション、粒子衝突、マイクロインジェクション、エレクトロポレーションなどを含む。ベクターおよび/または外因性核酸を含む細胞を生成するための方法は、当該技術分野において周知である。例えば、Sambrook et al.(2012,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York)を参照されたい。宿主細胞へのポリヌクレオチドの導入のための好ましい方法は、リン酸カルシウムトランスフェクションである。
【0198】
宿主細胞に目的のポリヌクレオチドを導入するための生物学的方法は、DNAおよびRNAベクターの使用を含む。ウイルスベクター、および特にレトロウイルスベクターは、遺伝子を哺乳動物、例えば、ヒト細胞に挿入するために最も広く使用される方法となっている。他のウイルスベクターは、レンチウイルス、ポックスウイルス、単純ヘルペスウイルスI、アデノウイルス、およびアデノ関連ウイルスなどに由来し得る。例えば、米国特許第5,350,674号および第5,585,362号を参照されたい。
【0199】
ポリヌクレオチドを宿主細胞に導入するための化学的手段は、高分子複合体、ナノカプセル、マイクロスフェア、ビーズなどのコロイド分散システム、ならびに水中油エマルジョン、ミセル、混合ミセル、およびリポソームを含む脂質ベースのシステムを含む。インビトロおよびインビボでの送達ビヒクルとしての使用のための例示的なコロイドシステムは、リポソーム(例えば、人工膜小胞)である。
【0200】
非ウイルス送達システムが利用される場合、例示的な送達ビヒクルは、リポソームである。脂質製剤の使用は、宿主への核酸の導入(インビトロ、エクスビボ、またはインビボ)のために企図される。別の態様では、核酸は、脂質と会合し得る。脂質と会合した核酸は、リポソームの水性内部に封入されるか、リポソームの脂質二層内に散在されるか、リポソームおよびオリゴヌクレオチドの両方と会合した連結分子を介してリポソームに付着されるか、リポソームに捕捉されるか、リポソームと複合体化されるか、脂質を含有する溶液に分散されるか、脂質と混合されるか、脂質と組み合わされるか、脂質に懸濁液として含有されるか、ミセルと含有もしくは複合体化されるか、またはそうでなければ脂質と会合され得る。脂質、脂質/DNA、または脂質/発現ベクター会合組成物は、溶液中の任意の特定の粒子構造に限定されない。例えば、それらは、二層構造に、ミセルとして、または「崩壊した」構造で存在し得る。それらはまた、単純に溶液に散在され得、場合によってはサイズまたは形状が均一ではない凝集体を形成する。脂質は、自然発生または合成脂質であり得る脂肪物質である。例えば、脂質は、細胞質において自然発生する脂肪滴ならびに長鎖脂肪族炭化水素およびそれらの誘導体、例えば、脂肪酸、アルコール、アミン、アミノアルコール、およびアルデヒドを含有する化合物のクラスを含む。
【実施例】
【0201】
本発明は、以下の実施例においてさらに例示される。これらの実施例は、本発明の好ましい実施形態を示しながら、例示としてのみ与えられることが理解されるべきである。上記議論およびこれらの実施例から、当業者は、本発明の本質的な特徴を確認することができ、その趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な使用および条件に適合するように本発明の様々な変更および修飾を行うことができる。よって、本明細書に示され、記載されるものに加えて、本発明の様々な修飾は、前述の説明から当業者には明らかであろう。そのような修飾はまた、添付の特許請求の範囲内に該当することが意図される。
【0202】
実施例1:メルケル細胞ポリオーマウイルスを標的とする核酸ワクチン
メルケル細胞ポリオーマウイルス(MCV)T抗原を標的とする核酸ワクチンが開発されている(
図1および
図2)。ラージT抗原(LTAg)およびスモールt抗原(STAg)を表す最適化された合成コンセンサスMCV T抗原配列は、哺乳動物発現プラスミドDNAに個別にクローニングし(
図3)、筋肉内エレクトロポレーションを介してマウスに送達した(
図4A)。免疫化後、DNAワクチン構築物は、MCV T抗原ペプチドに対するロバストな抗体およびT細胞応答を起こした(
図4B~
図15)。
【0203】
図4B、
図7、
図12、および
図14は、LTAgワクチンがC57Bl/6およびCD-1非近交マウスにおいて高度に免疫原性であることを示す。
図8~
図10は、LTAgワクチン接種がロバストな、多機能性CD4およびCD8 T細胞、ならびに細胞毒性CD8 T細胞をもたらすことを示す。
【0204】
図4Bおよび
図15は、STAgワクチンがC57Bl/6およびCD-1マウスにおいて免疫原性であることを示す。
図15は、両方のCD4およびCD8応答がCD-1マウスのIFNγ/TNFαについて検出されたことを示す。
【0205】
図11は、両方のワクチンがC57Bl/6マウスにおいて体液性応答を起こすことを示す。
【0206】
実施例2:配列
配列番号1:修飾された合成コンセンサスMCV LTAgをコードするヌクレオチド配列
ATGGACCTGGTGCTGAACAGGAAGGAGAGAGAGGCCCTGTGCAAGCTGCTGGAGATCGCCCCCAACTGTTACGGCAATATCCCTCTGATGAAGGCCGCCTTCAAGCGGAGCTGCCTGAAGCACCACCCCAACAAGGGCGGCAACCCTGTGATCATGATGGAGCTGAATACCCTGTGGTCCAAGTTTCAGCAGAATATCCACAAGCTGCGGTCCGATTTCTCTATGTTTGACGAGGTGGATGAGGCCCCTATCTACGGCACCACCAAGTTCAAGGAGTGGTGGCGCTCCGGCGGCTTCTCTTTTGGCAAGGCCTACGAGTACGGCCCTAACCCACACGGCACCAATAGCAGGTCCAGAAAGCCAAGCTCCAACGCCAGCAGGGGAGCACCATCCGGATCTAGCCCACCTCACAGCCAGTCCTCTAGCTCCGGCTACGGCTCTTTTAGCGCCTCCCAGGCCTCTGACAGCCAGTCCAGAGGCCCCGATATCCCACCCGAGCACCACGAGGAGCCTACCTCTAGCTCCGGCTCTAGCTCCCGGGAGGAGACAACCAACAGCGGCAGGGAGTCTAGCACCCCAAACGGCACCTCCGTGCCAAGGAATTCCTCTAGGACCGACGGAACCGCCGAGGACCTGTTCTGCGATAAGTCCCTGAGCTCCCCTGAGCCTCCATCTAGCTCCGAGGAGCCAGAGGAGCCCCCTTCTAGCAGGTCCTCTCCCAGACAGCCACCAAGCTCCTCTGCCGAGGAGGCAAGCTCCTCTCAGTTCACCGACGAGGAGTACAGGAGCTCCTCTTTTACCACCCCTAAGACCCCTCCACCCTTCTCCCGGAAGCGCAAGTTTGGAGGCTCTAGGAGCTCCGCCTCTAGCGCCTCCTCTGCCAGCTTCACCTCCACCCCTCCAAAGCCCAAGAAGAACAGAGAGACACCCGTGCCTACCGACTTTCCTATCGACCTGAGCGATTACCTGTCCCACGCCGTGTACTCTAATAAGACCGTGAGCTGTTTCGCCATCTACACCACCAGCGACAAGGCCATCGAGCTGTACGATAAGATCGAGAAGTTCAAGGTGGACTTCAAGTCCAGGCACGCATGCGAGCTGGGATGTATCCTGCTGTTCATCACCCTGTCCAAGCACCGCGTGTCTGCCATCAAGAACTTCTGCAGCACCTTTTGTACCATCTCCTTTCTGATCTGCAAGGGCGTGAATAAGATGCCTGAGATGTACAACAACCTGTGCAAGCCCCCTTACAAGCTGCTGCAGGAGAACAAGCCACTGCTGAATTACGAGTTCCAGGAGAAGGAGAAGGAGGCCAGCTGCAACTGGAATCTGGTGGCCGAGTTCGCCTGTGAGTACGAGCTGGACGATCACTTTATCATCCTGGCCCACTACCTGGACTTCGCCAAGCCATTTCCCTGCCAGAAGTGTGAGAACAGGTCTAGACTGAAGCCACACAAGGCCCACGAGGCCCACCACTCCAATGCCAAGCTGTTTTACGAGTCTAAGAGCCAGAAGACCATCTGCCAGCAGGCAGCAGACACCGTGCTGGCAAAGAGGAGACTGGAGATGCTGGAGATGACCAGGACCGAGATGCTGTGCAAGAAGTTCAAGAAGCACCTGGAGCGGCTGCGCGACCTGGATACCATCGATCTGCTGTACTACATGGGCGGCGTGGCCTGGTACTGCTGTCTGTTCGAGGAGTTTGAGAAGAAGCTGCAGAAGATCATCCAGCTGCTGACCGAGAACATCCCAAAGTACAGAAATATCTGGTTCAAGGGCCCCATCAACTCTGGCAAGACCAGCTTCGCCGCCGCCCTGATCGACCTGCTGGAGGGCAAGGCCCTGAACATCAATTGCCCTAGCGATAAGCTGCCATTCGAGCTGGGCTGTGCCCTGGACAAGTTCATGGTGGTGTTTGAGGATGTGAAGGGCCAGAACTCCCTGAATAAGGACCTGCAGCCCGGCCAGGGCATCAACAATCTGGATAACCTGCGGGACCACCTGGATGGAGCAGTGGCCGTGAGCCTGGAGAAGAAGCACGTGAACAAGAAGCACCAGATCTTCCCACCCTGCATCGTGACCGCCAATGACTACTTTATCCCAAAGACCCTGATCGCCCGCTTCTCTTACACCCTGCACTTTAGCCCCAAGGCCAACCTGAGGGACAGCCTGGATCAGAATATGGAGATCAGAAAGAGGCGCATCCTGCAGTCCGGAACCACCCTGCTGCTGTGCCTGATCTGGTGTCTGCCTGACACCACCTTCAAGCCATGCCTGCAGGAGGAGATCAAGAACTGGAAGCAGATCCTGCAGTCTGAGATCAGCTACGGCAAGTTTTGTCAGATGATCGAGAACGTGGAGGCCGGCCAGGACCCCCTGCTGAATATCCTGATCGAGGAGGAGGGCCCAGAGGAGACAGAGGAGACACAGGACTCCGGCACCTTCTCTCAG
【0207】
配列番号2:修飾された合成コンセンサスMCV LTAgのアミノ酸配列
MDLVLNRKEREALCKLLEIAPNCYGNIPLMKAAFKRSCLKHHPNKGGNPVIMMELNTLWSKFQQNIHKLRSDFSMFDEVDEAPIYGTTKFKEWWRSGGFSFGKAYEYGPNPHGTNSRSRKPSSNASRGAPSGSSPPHSQSSSSGYGSFSASQASDSQSRGPDIPPEHHEEPTSSSGSSSREETTNSGRESSTPNGTSVPRNSSRTDGTAEDLFCDKSLSSPEPPSSSEEPEEPPSSRSSPRQPPSSSAEEASSSQFTDEEYRSSSFTTPKTPPPFSRKRKFGGSRSSASSASSASFTSTPPKPKKNRETPVPTDFPIDLSDYLSHAVYSNKTVSCFAIYTTSDKAIELYDKIEKFKVDFKSRHACELGCILLFITLSKHRVSAIKNFCSTFCTISFLICKGVNKMPEMYNNLCKPPYKLLQENKPLLNYEFQEKEKEASCNWNLVAEFACEYELDDHFIILAHYLDFAKPFPCQKCENRSRLKPHKAHEAHHSNAKLFYESKSQKTICQQAADTVLAKRRLEMLEMTRTEMLCKKFKKHLERLRDLDTIDLLYYMGGVAWYCCLFEEFEKKLQKIIQLLTENIPKYRNIWFKGPINSGKTSFAAALIDLLEGKALNINCPSDKLPFELGCALDKFMVVFEDVKGQNSLNKDLQPGQGINNLDNLRDHLDGAVAVSLEKKHVNKKHQIFPPCIVTANDYFIPKTLIARFSYTLHFSPKANLRDSLDQNMEIRKRRILQSGTTLLLCLIWCLPDTTFKPCLQEEIKNWKQILQSEISYGKFCQMIENVEAGQDPLLNILIEEEGPEETEETQDSGTFSQ
【0208】
配列番号3:修飾された合成コンセンサスMCV STAgをコードするヌクレオチド配列
ATGGACCTGGTGCTGAACCGAAAGGAGAGGGAGGCCCTGTGCAAGCTGCTGGAGATCGCCCCTAACTGTTACGGCAATATCCCACTGATGAAGGCCGCCTTCAAGAGGTCTTGCCTGAAGCACCACCCAAACAAGGGCGGCAATCCCGTGATCATGATGGAGCTGAACACCCTGTGGAGCAAGTTTCAGCAGAATATCCACAAGCTGCGGAGCGACTTCTCCATGTTTGATGAGGTGAGCACCAAGTTCCCCTGGGAGGAGTACGGAACAGCAGCAGCAGCAGCACAGTCCGGCTATAACGCCAGGTTTTGCAGAGGCCCTGGCTGTATGCTGAAGCAGCTGCGGGACTCCAAGTGCGCCTGTATCTCTTGCAAGCTGAGCCGCCAGCACTGTTCTCTGAAGACCCTGAAGCAGAAGAATTGCGCCACATGGGGCGAGTGCTTCTGTTATCAGTGTTTTATCCTGTGGTTCGGCTTTCCCCCTACATGGGAGTCCTTCGATTGGTGGCAGAAAACCCTGGAAGAAACCGACTACTGTCTGCTGCATCTGCATCTGTTC
【0209】
配列番号4:修飾された合成コンセンサスMCV STAgのアミノ酸配列
MDLVLNRKEREALCKLLEIAPNCYGNIPLMKAAFKRSCLKHHPNKGGNPVIMMELNTLWSKFQQNIHKLRSDFSMFDEVSTKFPWEEYGTAAAAAQSGYNARFCRGPGCMLKQLRDSKCACISCKLSRQHCSLKTLKQKNCATWGECFCYQCFILWFGFPPTWESFDWWQKTLEETDYCLLHLHLF
【0210】
配列番号5:フューリン開裂部位と連結した修飾された合成コンセンサスLTAgおよびSTAgをコードするヌクレオチド配列
ATGGACCTGGTGCTGAACAGGAAGGAGAGAGAGGCCCTGTGCAAGCTGCTGGAGATCGCCCCCAACTGTTACGGCAATATCCCTCTGATGAAGGCCGCCTTCAAGCGGAGCTGCCTGAAGCACCACCCCAACAAGGGCGGCAACCCTGTGATCATGATGGAGCTGAATACCCTGTGGTCCAAGTTTCAGCAGAATATCCACAAGCTGCGGTCCGATTTCTCTATGTTTGACGAGGTGGATGAGGCCCCTATCTACGGCACCACCAAGTTCAAGGAGTGGTGGCGCTCCGGCGGCTTCTCTTTTGGCAAGGCCTACGAGTACGGCCCTAACCCACACGGCACCAATAGCAGGTCCAGAAAGCCAAGCTCCAACGCCAGCAGGGGAGCACCATCCGGATCTAGCCCACCTCACAGCCAGTCCTCTAGCTCCGGCTACGGCTCTTTTAGCGCCTCCCAGGCCTCTGACAGCCAGTCCAGAGGCCCCGATATCCCACCCGAGCACCACGAGGAGCCTACCTCTAGCTCCGGCTCTAGCTCCCGGGAGGAGACAACCAACAGCGGCAGGGAGTCTAGCACCCCAAACGGCACCTCCGTGCCAAGGAATTCCTCTAGGACCGACGGAACCGCCGAGGACCTGTTCTGCGATAAGTCCCTGAGCTCCCCTGAGCCTCCATCTAGCTCCGAGGAGCCAGAGGAGCCCCCTTCTAGCAGGTCCTCTCCCAGACAGCCACCAAGCTCCTCTGCCGAGGAGGCAAGCTCCTCTCAGTTCACCGACGAGGAGTACAGGAGCTCCTCTTTTACCACCCCTAAGACCCCTCCACCCTTCTCCCGGAAGCGCAAGTTTGGAGGCTCTAGGAGCTCCGCCTCTAGCGCCTCCTCTGCCAGCTTCACCTCCACCCCTCCAAAGCCCAAGAAGAACAGAGAGACACCCGTGCCTACCGACTTTCCTATCGACCTGAGCGATTACCTGTCCCACGCCGTGTACTCTAATAAGACCGTGAGCTGTTTCGCCATCTACACCACCAGCGACAAGGCCATCGAGCTGTACGATAAGATCGAGAAGTTCAAGGTGGACTTCAAGTCCAGGCACGCATGCGAGCTGGGATGTATCCTGCTGTTCATCACCCTGTCCAAGCACCGCGTGTCTGCCATCAAGAACTTCTGCAGCACCTTTTGTACCATCTCCTTTCTGATCTGCAAGGGCGTGAATAAGATGCCTGAGATGTACAACAACCTGTGCAAGCCCCCTTACAAGCTGCTGCAGGAGAACAAGCCACTGCTGAATTACGAGTTCCAGGAGAAGGAGAAGGAGGCCAGCTGCAACTGGAATCTGGTGGCCGAGTTCGCCTGTGAGTACGAGCTGGACGATCACTTTATCATCCTGGCCCACTACCTGGACTTCGCCAAGCCATTTCCCTGCCAGAAGTGTGAGAACAGGTCTAGACTGAAGCCACACAAGGCCCACGAGGCCCACCACTCCAATGCCAAGCTGTTTTACGAGTCTAAGAGCCAGAAGACCATCTGCCAGCAGGCAGCAGACACCGTGCTGGCAAAGAGGAGACTGGAGATGCTGGAGATGACCAGGACCGAGATGCTGTGCAAGAAGTTCAAGAAGCACCTGGAGCGGCTGCGCGACCTGGATACCATCGATCTGCTGTACTACATGGGCGGCGTGGCCTGGTACTGCTGTCTGTTCGAGGAGTTTGAGAAGAAGCTGCAGAAGATCATCCAGCTGCTGACCGAGAACATCCCAAAGTACAGAAATATCTGGTTCAAGGGCCCCATCAACTCTGGCAAGACCAGCTTCGCCGCCGCCCTGATCGACCTGCTGGAGGGCAAGGCCCTGAACATCAATTGCCCTAGCGATAAGCTGCCATTCGAGCTGGGCTGTGCCCTGGACAAGTTCATGGTGGTGTTTGAGGATGTGAAGGGCCAGAACTCCCTGAATAAGGACCTGCAGCCCGGCCAGGGCATCAACAATCTGGATAACCTGCGGGACCACCTGGATGGAGCAGTGGCCGTGAGCCTGGAGAAGAAGCACGTGAACAAGAAGCACCAGATCTTCCCACCCTGCATCGTGACCGCCAATGACTACTTTATCCCAAAGACCCTGATCGCCCGCTTCTCTTACACCCTGCACTTTAGCCCCAAGGCCAACCTGAGGGACAGCCTGGATCAGAATATGGAGATCAGAAAGAGGCGCATCCTGCAGTCCGGAACCACCCTGCTGCTGTGCCTGATCTGGTGTCTGCCTGACACCACCTTCAAGCCATGCCTGCAGGAGGAGATCAAGAACTGGAAGCAGATCCTGCAGTCTGAGATCAGCTACGGCAAGTTTTGTCAGATGATCGAGAACGTGGAGGCCGGCCAGGACCCCCTGCTGAATATCCTGATCGAGGAGGAGGGCCCAGAGGAGACAGAGGAGACACAGGACTCCGGCACCTTCTCTCAGAGAGGCCGCAAAAGGAGGTCTGATCTGGTGCTGAATCGGAAAGAGAGAGAAGCCCTGTGCAAACTGCTGGAAATCGCCCCAAACTGTTACGGCAACATCCCCCTGATGAAGGCCGCCTTCAAGAGGTCTTGCCTGAAGCACCACCCAAACAAGGGCGGCAATCCCGTGATCATGATGGAGCTGAACACCCTGTGGAGCAAGTTTCAGCAGAATATCCACAAGCTGCGGAGCGACTTCTCCATGTTTGATGAGGTGAGCACCAAGTTCCCTTGGGAGGAGTACGGAACAGCAGCAGCAGCAGCACAGTCCGGCTATAACGCCAGGTTTTGCAGAGGCCCAGGCTGTATGCTGAAGCAGCTGCGGGACTCCAAGTGCGCCTGTATCTCTTGCAAGCTGAGCCGCCAGCACTGTTCTCTGAAGACCCTGAAGCAGAAGAATTGCGCCACATGGGGCGAGTGCTTCTGTTATCAGTGTTTTATCCTGTGGTTCGGCTTTCCCCCTACATGGGAGTCCTTCGATTGGTGGCAGAAAACCCTGGAGGAAACTGATTACTGTCTGCTGCACCTGCACCTGTTC
【0211】
配列番号6:フューリン開裂部位と連結した修飾された合成コンセンサスLTAgおよびSTAgのアミノ酸配列。
MDLVLNRKEREALCKLLEIAPNCYGNIPLMKAAFKRSCLKHHPNKGGNPVIMMELNTLWSKFQQNIHKLRSDFSMFDEVDEAPIYGTTKFKEWWRSGGFSFGKAYEYGPNPHGTNSRSRKPSSNASRGAPSGSSPPHSQSSSSGYGSFSASQASDSQSRGPDIPPEHHEEPTSSSGSSSREETTNSGRESSTPNGTSVPRNSSRTDGTAEDLFCDKSLSSPEPPSSSEEPEEPPSSRSSPRQPPSSSAEEASSSQFTDEEYRSSSFTTPKTPPPFSRKRKFGGSRSSASSASSASFTSTPPKPKKNRETPVPTDFPIDLSDYLSHAVYSNKTVSCFAIYTTSDKAIELYDKIEKFKVDFKSRHACELGCILLFITLSKHRVSAIKNFCSTFCTISFLICKGVNKMPEMYNNLCKPPYKLLQENKPLLNYEFQEKEKEASCNWNLVAEFACEYELDDHFIILAHYLDFAKPFPCQKCENRSRLKPHKAHEAHHSNAKLFYESKSQKTICQQAADTVLAKRRLEMLEMTRTEMLCKKFKKHLERLRDLDTIDLLYYMGGVAWYCCLFEEFEKKLQKIIQLLTENIPKYRNIWFKGPINSGKTSFAAALIDLLEGKALNINCPSDKLPFELGCALDKFMVVFEDVKGQNSLNKDLQPGQGINNLDNLRDHLDGAVAVSLEKKHVNKKHQIFPPCIVTANDYFIPKTLIARFSYTLHFSPKANLRDSLDQNMEIRKRRILQSGTTLLLCLIWCLPDTTFKPCLQEEIKNWKQILQSEISYGKFCQMIENVEAGQDPLLNILIEEEGPEETEETQDSGTFSQRGRKRRSDLVLNRKEREALCKLLEIAPNCYGNIPLMKAAFKRSCLKHHPNKGGNPVIMMELNTLWSKFQQNIHKLRSDFSMFDEVSTKFPWEEYGTAAAAAQSGYNARFCRGPGCMLKQLRDSKCACISCKLSRQHCSLKTLKQKNCATWGECFCYQCFILWFGFPPTWESFDWWQKTLEETDYCLLHLHLF
【0212】
配列番号7:IgEリーダー配列のアミノ酸配列
MDWTWILFLVAAATRVHS
【0213】
前述の詳細な説明および添付の例は、単に例示的であり、本発明の範囲に対する限定として解釈されるものではなく、これは、単独で添付の特許請求の範囲およびそれらの同等物によって定義されることが理解される。
【0214】
開示される実施形態に対する様々な変更および修飾は、当業者には明らかであろう。限定なしに、化学構造、置換分、誘導体、中間体、合成物、組成物、製剤、または本発明の使用方法に関連するもの含む、そのような変更および修飾は、その趣旨および範囲から逸脱することなく行われ得る。
以上、本発明を要約すると下記のとおりである。
1.少なくとも1つの修飾メルケル細胞ポリオーマウイルス(MCV)T抗原をコードする核酸分子を含む免疫原性組成物であって、前記T抗原が、天然MCV T抗原の少なくとも1つの発癌性の特徴を破壊する少なくとも1つの変異を含む、免疫原性組成物。
2.前記少なくとも1つの発癌性の特徴が、CR1結合、DnaJ結合、ホファターゼpp2A結合結合、Rb結合、ATPase活性、ヘリカーゼ活性、シャペロンタンパク質結合、hVam6p結合、Fbxw7結合、起点結合、および形質転換からなる群から選択される、項目1に記載の免疫原性組成物。
3.少なくとも1つの変異が、D44、W209、E216、L142、L91、K92、D93、Y94、およびM95からなる群から選択されるアミノ酸での変異である、項目1に記載の免疫原性組成物。
4.少なくとも1つの変異が、D44N変異、W209A、E216K変異、L142A変異、L91A変異、K92A変異、D93A変異、Y94A変異、およびM95A変異からなる群から選択される、項目1に記載の免疫原性組成物。
5.前記MCV T抗原が、ラージT抗原(LTAg)、スモールt抗原(STAg)、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、項目1に記載の免疫原性組成物。
6.前記核酸分子が、
a)配列番号2、配列番号4、および配列番号6からなる群から選択されるアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列、
b)配列番号2、配列番号4、および配列番号6からなる群から選択される前記アミノ酸配列の少なくとも60%にわたって少なくとも約90%の同一性を含む免疫原性断片、
c)配列番号2、配列番号4、および配列番号6からなる群から選択される前記アミノ酸配列、ならびに
d)配列番号2、配列番号4、および配列番号6からなる群から選択される前記アミノ酸配列の少なくとも60%を含む免疫原性断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むペプチドをコードする、項目1に記載の免疫原性組成物。
7.前記核酸分子が、DNA分子およびRNA分子からなる群から選択される、項目1に記載の免疫原性組成物。
8.前記核酸分子が、
a)配列番号1、配列番号3、および配列番号5からなる群から選択されるヌクレオチド配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するヌクレオチド配列、
b)配列番号1、配列番号3、および配列番号5からなる群から選択される前記ヌクレオチド配列の少なくとも60%にわたって少なくとも約90%の同一性を有するヌクレオチド配列の免疫原性断片、
c)配列番号1、配列番号3、および配列番号5からなる群から選択されるヌクレオチド配列、ならびに
d)配列番号1、配列番号3、および配列番号5からなる群から選択されるヌクレオチド配列の免疫原性断片からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、項目1に記載の免疫原性組成物。
9.前記ペプチドをコードするヌクレオチド配列が、開始コドン、IgEリーダー配列、および終止コドンからなる群から選択される少なくとも1つの制御配列に作動可能に連結している、項目1に記載の免疫原性組成物。
10.前記核酸分子が、配列番号7で記載されるアミノ酸配列に作動可能に連結した、
a)配列番号2、配列番号4、および配列番号6からなる群から選択されるアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列、
b)配列番号2、配列番号4、および配列番号6からなる群から選択される前記アミノ酸配列の少なくとも60%にわたって少なくとも約90%の同一性を含む免疫原性断片、
c)配列番号2、配列番号4、および配列番号6からなる群から選択される前記アミノ酸配列、ならびに
d)配列番号2、配列番号4、および配列番号6からなる群から選択される前記アミノ酸配列の少なくとも60%を含む免疫原性断片、
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むペプチドをコードする、項目9に記載の免疫原性組成物。
11.前記核酸分子が、配列番号7をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した、
a)配列番号1、配列番号3、および配列番号5からなる群から選択されるヌクレオチド配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するヌクレオチド配列、
b)配列番号1、配列番号3、および配列番号5からなる群から選択される前記ヌクレオチド配列の少なくとも60%にわたって少なくとも約90%の同一性を有するヌクレオチド配列の免疫原性断片、
c)配列番号1、配列番号3、および配列番号5からなる群から選択されるヌクレオチド配列、ならびに
d)配列番号1、配列番号3、および配列番号5からなる群から選択されるヌクレオチド配列の免疫原性断片、
からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、項目10に記載の免疫原性組成物。
12.前記核酸分子が、発現ベクターを含む、項目1に記載の免疫原性組成物。
13.前記核酸分子が、ウイルス粒子に組み込まれている、項目1に記載の免疫原性組成物。
14.薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、項目1に記載の免疫原性組成物。
15.アジュバントをさらに含む、項目1に記載の免疫原性組成物。
16.a)配列番号2、配列番号4、および配列番号6からなる群から選択されるアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列、
b)配列番号2、配列番号4、および配列番号6からなる群から選択される前記アミノ酸配列の少なくとも60%にわたって少なくとも約90%の同一性を含む免疫原性断片、
c)配列番号2、配列番号4、および配列番号6からなる群から選択される前記アミノ酸配列、ならびに
d)配列番号2、配列番号4、および配列番号6からなる群から選択される前記アミノ酸配列の少なくとも60%を含む免疫原性断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むペプチドをコードする核酸分子。
17.前記核酸分子が、DNA分子およびRNA分子からなる群から選択される、項目16に記載の核酸分子。
18.前記核酸分子が、
a)配列番号1、配列番号3、および配列番号5からなる群から選択されるヌクレオチド配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するヌクレオチド配列、
b)配列番号1、配列番号3、および配列番号5からなる群から選択される前記ヌクレオチド配列の少なくとも60%にわたって少なくとも約90%の同一性を有するヌクレオチド配列の免疫原性断片、
c)配列番号1、配列番号3、および配列番号5からなる群から選択されるヌクレオチド配列、ならびに
d)配列番号1、配列番号3、および配列番号5からなる群から選択されるヌクレオチド配列の免疫原性断片からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、項目16に記載の核酸分子。
19.前記コードされたペプチドが、開始コドン、IgEリーダー配列、および終止コドンからなる群から選択される少なくとも1つの制御配列に作動可能に連結している、項目16に記載の核酸分子。
20.前記核酸分子が、配列番号7で記載されるアミノ酸配列に作動可能に連結した、
a)配列番号2、配列番号4、および配列番号6からなる群から選択されるアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列、
b)配列番号2、配列番号4、および配列番号6からなる群から選択される前記アミノ酸配列の少なくとも60%にわたって少なくとも約90%の同一性を含む免疫原性断片、
c)配列番号2、配列番号4、および配列番号6からなる群から選択される前記アミノ酸配列、ならびに
d)配列番号2、配列番号4、および配列番号6からなる群から選択される前記アミノ酸配列の少なくとも60%を含む免疫原性断片、
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むペプチドをコードする、項目19に記載の核酸分子。
21.前記核酸分子が、配列番号7をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結した、
a)配列番号1、配列番号3、および配列番号5からなる群から選択されるヌクレオチド配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するヌクレオチド配列、
b)配列番号1、配列番号3、および配列番号5からなる群から選択される前記ヌクレオチド配列の少なくとも60%にわたって少なくとも約90%の同一性を有するヌクレオチド配列の免疫原性断片、
c)配列番号1、配列番号3、および配列番号5からなる群から選択されるヌクレオチド配列、ならびに
d)配列番号1、配列番号3、および配列番号5からなる群から選択されるヌクレオチド配列の免疫原性断片、
からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、項目20に記載の核酸分子。
22.前記核酸分子が、発現ベクターを含む、項目16に記載の核酸分子。
23.前記核酸分子が、ウイルス粒子を含む、項目16に記載の核酸分子。
24.ペプチドを含む免疫原性組成物であって、前記ペプチドが、
a)配列番号2、配列番号4、および配列番号6からなる群から選択されるアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列、
b)配列番号2、配列番号4、および配列番号6からなる群から選択される前記アミノ酸配列の少なくとも60%にわたって少なくとも約90%の同一性を含む免疫原性断片、
c)配列番号2、配列番号4、および配列番号6からなる群から選択される前記アミノ酸配列、ならびに
d)配列番号2、配列番号4、および配列番号6からなる群から選択される前記アミノ酸配列の少なくとも60%を含む免疫原性断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、免疫原性組成物。
25.a)配列番号2、配列番号4、および配列番号6からなる群から選択されるアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列、
b)配列番号2、配列番号4、および配列番号6からなる群から選択される前記アミノ酸配列の少なくとも60%にわたって少なくとも約90%の同一性を含む免疫原性断片、
c)配列番号2、配列番号4、および配列番号6からなる群から選択される前記アミノ酸配列、ならびに
d)配列番号2、配列番号4、および配列番号6からなる群から選択される前記アミノ酸配列の少なくとも60%を含む免疫原性断片からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むペプチド。
26.MCV T抗原に対する免疫応答を誘導することを必要とする対象においてそれを行う方法であって、項目1に記載の免疫原性組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
27.投与することが、エレクトロポレーションおよび注射のうちの少なくとも1つを含む、項目26に記載の方法。
28.MCV関連病理を治療または予防することを必要とする対象においてそれを行う方法であって、項目1に記載の免疫原性組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
29.投与することが、エレクトロポレーションおよび注射のうちの少なくとも1つを含む、項目28に記載の方法。
30.前記MCV関連病理が、MCV感染症およびメルケル細胞癌のうちの少なくとも1つである、項目28に記載の方法。
【配列表】