(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】カメラモジュールおよびその深さ情報抽出方法
(51)【国際特許分類】
G01S 7/481 20060101AFI20240509BHJP
【FI】
G01S7/481 A
(21)【出願番号】P 2020555858
(86)(22)【出願日】2019-04-12
(86)【国際出願番号】 KR2019004416
(87)【国際公開番号】W WO2019199101
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2022-04-08
(31)【優先権主張番号】10-2018-0043431
(32)【優先日】2018-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517099982
【氏名又は名称】エルジー イノテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100108903
【氏名又は名称】中村 和広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【氏名又は名称】河合 章
(72)【発明者】
【氏名】キム ウン ソン
(72)【発明者】
【氏名】イ ウン
(72)【発明者】
【氏名】イ チャン ヒョク
【審査官】山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0064976(US,A1)
【文献】特開2010-122183(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1804779(KR,B1)
【文献】特開2005-266676(JP,A)
【文献】特開2017-167120(JP,A)
【文献】特開2008-167426(JP,A)
【文献】特開平09-186920(JP,A)
【文献】特開平09-074524(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48- 7/51
G01S17/00-17/95
G01C 3/06- 3/08
G01B11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体に照射される入射光信号を出力するように構成される照明部と、
前記物体から反射した反射光信号を集めるように構成されるレンズ部と、
前記レンズ部によって集められた前記反射光信号から電気信号を生成するように構成されるイメージセンサ部と、
前記反射光信号の光経路を変更するように構成されるチルティング部と、
前記入射光信号と前記イメージセンサ部によって受信された前記反射光信号との間の位相差を利用して、前記チルティング部によってシフトされた
光経路に対応する複数のフレームから前記物体の深さ情報を抽出するように構成される映像制御部と、を含み、
前記レンズ部は、前記イメージセンサ部上に配置され、
前記レンズ部は、
前記イメージセンサ部上に配置されるIR(InfraRed)フィルタと、
前記IRフィルタ上に配置される少なくとも1枚のレンズと、を含み、
前記チルティング部は、前記IRフィルタの傾きを制御して前記反射光信号の光経路を変更し、
前記映像制御部は、
前記変更された光経路を通る反射光信号から前記イメージセンサ部が生成する電気信号を利用して、互いにシフトされた複数の低解像サブフレームを生成し、
前記複数の低解像サブフレームに深さ情報抽出技法及びピクセル値の再配置を適用して、前記物体の深さ情報である高解像深さ情報を抽出
し、
前記チルティング部は、VCM(voice coil motor)を含み、
前記IRフィルタは、前記イメージセンサ部と前記VCMとの間に配置され、
前記VCMは、
マグネットホルダーと、
前記マグネットホルダー上に配置され、所定の間隔で互いに離隔する複数のマグネットと、
コイルホルダーと、
前記コイルホルダー上に配置され、前記複数のマグネットと対をなすように所定の間隔で互いに離隔する複数のコイルと、を含み、
前記IRフィルタは、
ガラス層と、
前記ガラス層を支持するように構成されるガラス層ホルダーと、を含み、
前記ガラス層ホルダーの少なくとも一部は、前記マグネットホルダーによって囲まれて、
前記マグネットホルダーは、前記複数のマグネットを収容するための複数のマグネットガイドを含み、
前記ガラス層ホルダーは、前記複数のマグネットガイドに対応する複数の突出部を含み、
前記IRフィルタの傾きを変えるために、前記複数の突出部は、前記複数のコイルと前記複数のマグネットとの間に発生する磁場に従って前記複数の突出部と前記複数のマグネットガイドの間に加えられる力を用いて移動する、カメラモジュール。
【請求項2】
前記複数の突出部は
、前記複数のマグネットガイドに接触するように、または前記複数のマグネットガイドから離隔するように動く、請求項
1に記載のカメラモジュール。
【請求項3】
前記複数の突出部の動きに従って、前記ガラス層は、所定の角度にチルティングされる、請求項
2に記載のカメラモジュール。
【請求項4】
前記ガラス層は、IRパスガラス層である、請求項
1に記載のカメラモジュール。
【請求項5】
前記IRフィルタは、前記イメージセンサ部上に配置され前記ガラス層と離隔するIRパスガラス層をさらに含む、請求項
1に記載のカメラモジュール。
【請求項6】
前記チルティング部は、全ての露出周期において前記反射光信号の前記光経路をシフトするように構成される、請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項7】
前記チルティング部は、0ピクセルより大きく1ピクセルより小さいサブピクセルの単位で前記反射光信号の前記光経路をシフトするように構成される、請求項
6に記載のカメラモジュール。
【請求項8】
前記チルティング部は、
第1露出周期の間、前記反射光信号の前記光経路を第1方向にシフトし、
第2露出周期の間、前記反射光信号の前記光経路を第2方向にシフトし、
第3露出周期の間、前記反射光信号の前記光経路を第3方向にシフトし、
第4露出周期の間、前記反射光信号の前記光経路を第4方向にシフトする、ように構成される、請求項
7に記載のカメラモジュール。
【請求項9】
前記照明部は、異なる周波数を有する複数の入射光信号を出力するように構成される、請求項
6に記載のカメラモジュール。
【請求項10】
前記イメージセンサ部は、前記反射光信号を、所定の位相差を有する複数の参照信号とミキシングするように構成される、請求項
9に記載のカメラモジュール。
【請求項11】
前記映像制御部は、異なる露出周期内で生成された複数のサブフレームを利用して前記深さ情報を抽出するように構成される、請求項
10に記載のカメラモジュール。
【請求項12】
前記映像制御部は、異なる参照信号内で生成された複数のサブフレームを利用して前記深さ情報を抽出するように構成される、請求項
10に記載のカメラモジュール。
【請求項13】
前記イメージセンサ部と前記IRフィルタとの間に配置された弾性膜をさらに含む、請求項1に記載のカメラモジュール。
【請求項14】
前記イメージセンサ部を収容するように構成されるハウジングをさらに含み、
前記弾性膜は、前記ハウジングに接着されてよい、請求項
13に記載のカメラモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカメラモジュールおよびその深さ情報抽出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
3次元コンテンツはゲーム、文化だけでなく、教育、製造、自律走行などの多くの分野で適用されており、3次元コンテンツを獲得するために深さ情報(Depth Map)が必要である。深さ情報は空間上の距離を示す情報であり、2次元映像の一地点に対して他の地点の遠近情報を示す。
【0003】
深さ情報を獲得する方法の一つは、IR(Infrared)構造光を客体に投射し、客体から反射した光を解析して深さ情報を抽出する方式である。IR構造光方式によると、動く客体に対して望む水準の深さ分解能(Depth resolution)を獲得し難いという問題がある。
【0004】
一方、IR構造光方式を代替する技術としてTOF(Time of Flight)方式が注目されている。
【0005】
TOF方式によると、飛行時間、すなわち光を発射して反射してくる時間を測定することによって物体との距離を計算する。ToF方式の最も大きな長所は3次元空間に対する距離情報をリアルタイムで早く提供するという点にある。また、使用者が別途のアルゴリズムを適用したり、ハードウェア的な補正をしたりしなくても正確な距離情報を獲得することができる。また、非常に近い被写体を測定したり動く被写体を測定したりしても正確な深さ情報を獲得することができる。
【0006】
しかし、現在のToF方式の場合、一フレーム当たりに獲得できる情報、すなわち解像度が非常に低いという問題点がある。
【0007】
解像度を高めるための方法として、イメージセンサの画素数を高める方法がある。しかし、この場合、カメラモジュールの体積および製造費用が大きく増加するという問題が発生する。
【0008】
これに伴い、カメラモジュールの体積および製造費用を大きく増加させることなく解像度を高めることができる深さ情報獲得方法が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が達成しようとする技術的課題は、TOF方式を利用して深さ情報を抽出するカメラモジュールおよびその深さ情報抽出方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施例に係るカメラモジュールは、客体に照射される入射光信号を出力する照明部、前記客体から反射した反射光信号を集光するレンズ部、前記レンズ部によって集光した反射光信号から電気信号を生成するイメージセンサ部、前記反射光信号の光経路をシフトさせるチルティング部、および前記チルティング部によってシフトされたフレームに対して前記入射光信号および前記イメージセンサ部に受信された前記反射光信号間の位相差を利用して前記客体の深さ情報を抽出する映像制御部を含み、前記レンズ部は前記イメージセンサ部上に配置され、前記レンズ部は前記イメージセンサ部上に配置されるIR(InfraRed)フィルタ、そして、前記IRフィルタ上に配置される少なくとも1枚のレンズを含み、前記チルティング部は前記IRフィルタの傾きを制御する。
【0011】
前記チルティング部はVCM(voice coil motor)を含み、前記IRフィルタは前記イメージセンサ部と前記VCMの間に配置され得る。
【0012】
前記VCMはマグネットホルダー、前記マグネットホルダー上に所定の間隔で離隔して配置された複数のマグネット、コイルホルダー、前記コイルホルダー上で前記複数のマグネットと対をなすように所定の間隔で離隔して配置された複数のコイルを含むことができる。
【0013】
前記IRフィルタはガラス層、そして、前記ガラス層を支持するガラス層ホルダーを含み、前記ガラス層ホルダーの少なくとも一部は前記マグネットホルダーによって囲まれ得る。
【0014】
前記マグネットホルダーは前記複数のマグネットを収容する複数のマグネットガイドを含み、前記ガラス層ホルダーは前記複数のマグネットガイドに対応するように突出した複数の突出部を含み、前記複数の突出部は前記複数のコイルおよび前記複数のマグネットの間に発生する磁場によって前記複数のマグネットガイドに接触したり、前記複数のマグネットガイドから離隔したりするように動くことができる。
【0015】
前記複数の突出部の動きにより前記ガラス層が所定の角度にチルティングされ得る。
【0016】
前記ガラス層はIRパスガラス層であり得る。
【0017】
前記IRフィルタは前記イメージセンサ部上で前記ガラス層と離隔して配置されるIRパスガラス層をさらに含むことができる。
【0018】
前記イメージセンサと前記IRフィルタ間に配置される弾性膜をさらに含むことができる。
【0019】
前記イメージセンサを収容するハウジングをさらに含み、前記弾性膜は前記ハウジングに接合され得る。
【0020】
本発明の一実施例に係るカメラモジュールは、客体に照射される入射光信号を出力する照明部、前記客体から反射した反射光信号を集光するレンズ部、前記レンズ部によって集光した反射光信号から電気信号を生成するイメージセンサ部、前記イメージセンサ部上に配置される弾性膜、前記反射光信号の光経路をシフトさせるチルティング部、および前記チルティング部によってシフトされたフレームに対して前記入射光信号および前記センサ部に受信された前記反射光信号間の位相差を利用して前記客体の深さ情報を抽出する映像制御部を含み、前記チルティング部は前記弾性膜の形状を制御する。
【0021】
前記イメージセンサを収容するハウジングを含み、前記弾性膜の一面は前記ハウジングに結合され、前記弾性膜の他面は前記チルティング部と結合され得る。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一実施例に係るカメラモジュールを利用すると、イメージセンサの画素数を大きく増加させることなく高い解像度で深さ情報を獲得することができる。
【0023】
また、本発明の一実施例によると、簡単な構造を利用してサブピクセルシフト効果を得ることができ、これとともに水分、異物などからイメージセンサを保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施例に係るToFカメラモジュールのブロック図。
【
図4】本発明の実施例に係る電気信号生成過程を説明するための図面。
【
図5】本発明の実施例に係るイメージセンサ130を説明するための図面。
【
図6】チルティング部140による反射光信号の光経路の変更を説明するための図面。
【
図7】本発明の実施例に係るSR技法を説明するための図面。
【
図8】本発明の実施例に係るSR技法を説明するための図面。
【
図9】本発明の実施例に係るピクセル値配置過程を説明するための図面。
【
図10】IRフィルタの傾きの制御によりイメージセンサ上に入力される映像フレームがシフトされる効果を説明するための図面。
【
図11】IRフィルタの傾きの制御によりイメージセンサ上に入力される映像フレームがシフトされる効果を説明するための図面。
【
図12】本発明の一実施例に係るVCMおよびIRフィルタの斜視図。
【
図13】本発明の一実施例に係るVCMおよびIRフィルタを含むToFカメラモジュールの断面図。
【
図14】本発明の一実施例に係るVCMに含まれるマグネットアセンブリーとIRフィルタの結合過程を示す図面。
【
図15】本発明の一実施例に係るVCMに含まれるコイルアセンブリーの結合過程を示す図面。
【
図16】本発明の一実施例に係るマグネットアセンブリー、IRフィルタおよびコイルアセンブリーの結合過程を示す図面。
【
図17】本発明の一実施例に係るカメラモジュールの一部断面図。
【
図18】弾性膜が配置される多様な例を示した図面。
【
図19】弾性膜が配置される多様な例を示した図面。
【
図20】弾性膜が配置される多様な例を示した図面。
【
図21】弾性膜が配置される多様な例を示した図面。
【
図22】弾性膜が配置される多様な例を示した図面。
【
図23】弾性膜が配置される多様な例を示した図面。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は多様な変更を加えることができ、多様な実施例を有することができるところ、特定の実施例を図面に例示して説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解されるべきである。
【0026】
第2、第1等のように序数を含む用語は多様な構成要素の説明に使われ得るが、前記構成要素は前記用語によって限定されはしない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使われる。例えば、本発明の権利範囲を逸脱することなく第2構成要素は第1構成要素と命名され得るし、同様に第1構成要素も第2構成要素と命名され得る。および/またはという用語は複数の関連した記載された項目の組み合わせまたは複数の関連した記載された項目のうちいずれかの項目を含む。
【0027】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いるとか「接続されて」いると言及された時には、その他の構成要素に直接的に連結されていてもよく、または接続されていてもよいが、中間に他の構成要素が存在してもよいと理解されるべきである。その反面、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いるとか「直接接続されて」いると言及された時には、中間に他の構成要素が存在しないものと理解されるべきである。
【0028】
本出願で使った用語は単に特定の実施例を説明するために使われたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本出願で、「含む」または「有する」等の用語は明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加の可能性をあらかじめ排除しないものと理解されるべきである。
【0029】
異なって定義されない限り、技術的または科学的な用語を含んでここで使われるすべての用語は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有している。一般的に使われる辞書に定義されているような用語は関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本出願で明白に定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されない。
【0030】
以下、添付された図面を参照して実施例を詳細に説明するものの、図面符号にかかわらず同一または対応する構成要素は同じ参照番号を付し、これに対する重複する説明は省略する。
【0031】
図1は、本発明の一実施例に係るToFカメラモジュールのブロック図である。
【0032】
図1を参照すると、ToFカメラモジュール100は照明110、レンズ部120、イメージセンサ部130、チルティング部140および映像制御部150を含む。
【0033】
照明部110は入射光信号を生成した後客体に照射する。この時、照明部110はパルス波(pulse wave)の形態や持続波(連続波、continuous wave)の形態で入射光信号を生成して出力することができる。持続波は正弦波(sinusoid wave)や矩形波(squared wave)の形態であり得る。入射光信号をパルス波や持続波の形態で生成することによって、ToFカメラモジュール100は照明部110から出力された入射光信号と客体から反射した反射光信号の間の位相差を検出することができる。本明細書において、入射光は照明部110から出力されて客体に入射する光を意味し、反射光は照明部110から出力されて客体に到達した後、客体から反射する光を意味し得る。ToFカメラモジュール100の立場では、入射光は出力光となり得るし、反射光は入力光となり得る。
【0034】
照明部110は生成された入射光信号を所定の露出周期(integration time)の間、客体に照射する。ここで、露出周期とは、1個のフレーム周期を意味する。複数のフレームを生成する場合、設定された露出周期が繰り返される。例えば、ToFカメラモジュール100が20FPSで客体を撮影する場合、露出周期は1/20[sec]となる。そして、100個のフレームを生成する場合、露出周期は100回繰り返され得る。
【0035】
照明部110は互いに異なる周波数を有する複数の入射光信号を生成することができる。照明部110は互いに異なる周波数を有する複数の入射光信号を順次繰り返して生成することができる。または照明部110は互いに異なる周波数を有する複数の入射光信号を同時に生成してもよい。
【0036】
図2は、入射光信号の周波数を説明するための図面である。本発明の実施例によると、照明部110は
図2のように、露出周期の最初の半分は周波数f
1である入射光信号が生成されるように制御し、残りの半分の露出周期は周波数f
2である入射光信号が生成されるように制御することができる。
【0037】
他の実施例によると、照明部110は複数の発光ダイオードのうち一部の発光ダイオードは周波数f1である入射光信号が生成されるように制御し、残りの発光ダイオードは周波数f2である入射光信号が生成されるように制御してもよい。
【0038】
このために、照明部110は光を生成する光源112と光を変調する光変調部114を含むことができる。
【0039】
まず、光源112は光を生成する。光源112が生成する光は波長が770~3000nmである赤外線でも、波長が380~770nmである可視光線でもよい。光源112は発光ダイオード(Light Emitting Diode、LED)を利用することができ、複数の発光ダイオードが一定のパターンによって配列された形態を有することができる。それだけでなく、光源112は有機発光ダイオード(Organic light emitting diode、OLED)やレーザーダイオード(Laser diode、LD)を含んでもよい。
【0040】
光源112は一定の時間間隔で点滅(on/off)を繰り返してパルス波の形態や持続波の形態の入射光信号を生成する。一定の時間間隔は入射光信号の周波数であり得る。光源の点滅は光変調部114により制御され得る。
【0041】
光変調部114は光源112の点滅を制御して光源112が持続波やパルス波の形態の入射光信号を生成するように制御する。光変調部114は周波数変調(frequency modulation)やパルス変調(pulse modulation)等を通して、光源112が持続波やパルス波の形態の入射光信号を生成するように制御することができる。
【0042】
一方、レンズ部120は客体から反射した反射光信号を集光してイメージセンサ部130に伝達する。
【0043】
【0044】
図3を参照すると、カメラモジュール300はレンズアセンブリー310、イメージセンサ320および印刷回路基板330を含む。ここで、レンズアセンブリー310は
図1のレンズ部120に対応し、イメージセンサ320は
図1のイメージセンサ部130に対応することができる。そして、
図1の映像制御部150等は印刷回路基板330内で具現され得る。図示されてはいないが、
図1の照明部110は印刷回路基板330上でイメージセンサ320の側面に配置されても、カメラモジュール300の外部に配置されてもよい。
【0045】
レンズアセンブリー310はレンズ312、レンズバレル314、レンズホルダー316およびIRフィルタ318を含むことができる。
【0046】
レンズ312は複数枚で構成されても、1枚で構成されてもよい。レンズ312が複数枚で構成される場合、各レンズは中心軸を基準として整列して光学系を形成することができる。ここで、中心軸は光学系の光軸(Optical axis)と同じであり得る。
【0047】
レンズバレル314はレンズホルダー316と結合され、内部にレンズを収容できる空間が設けられ得る。レンズバレル314は一つまたは複数のレンズと回転結合され得るが、これは例示的なものであり、接着剤(例えば、エポキシ(epoxy)等の接着用樹脂)を利用した方式など、他の方式で結合され得る。
【0048】
レンズホルダー316はレンズバレル314と結合されてレンズバレル314を支持し、イメージセンサ320が搭載された印刷回路基板330に結合され得る。レンズホルダー316によってレンズバレル314の下部にIRフィルタ318が付着され得る空間が形成され得る。レンズホルダー316の内周面には螺旋状のパターンが形成され、これと同様に外周面に螺旋状のパターンが形成されたレンズバレル314と回転結合することができる。しかし、これは例示的なものであって、レンズホルダー316とレンズバレル314は接着剤を通じて結合されても、レンズホルダー316とレンズバレル314が一体型に形成されてもよい。
【0049】
レンズホルダー316はレンズバレル314と結合される上部ホルダー316-1およびイメージセンサ320が搭載された印刷回路基板330と結合される下部ホルダー316-2に区分されてよく、上部ホルダー316-1および下部ホルダー316-2は一体型に形成されるか、互いに分離された構造で形成された後、締結または結合されるか、互いに分離されて離隔した構造を有してもよい。この時、上部ホルダー316-1の直径は下部ホルダー316-2の直径より小さく形成され得る。
【0050】
前記の例示は一実施例に過ぎず、レンズ部120はToFカメラモジュール100に入射する反射光信号を集光してイメージセンサ部130に伝達できる他の構造で構成されてもよい。
【0051】
再び
図1を参照すると、イメージセンサ部130はレンズ部120を通じて集光した反射光信号を利用して電気信号を生成する。
【0052】
イメージセンサ部130は照明部110の点滅周期と同期化されて反射光信号を吸収することができる。具体的には、イメージセンサ部130は照明部110から出力された入射光信号と同相(in phase)および異相(out phase)でそれぞれ光を吸収することができる。すなわち、イメージセンサ部130は光源がオンになっている時間に反射光信号を吸収する段階と光源がオフになっている時間に反射光信号を吸収する段階を繰り返し遂行することができる。
【0053】
次に、イメージセンサ130部は互いに異なる位相差を有する複数の参照信号(reference signal)を利用して各参照信号に対応する電気信号を生成することができる。参照信号の周波数は照明部110から出力された入射光信号の周波数と同一に設定され得る。したがって、照明部110が複数の周波数で入射光信号を生成する場合、イメージセンサ部130は各周波数に対応する複数の参照信号を利用して電気信号を生成する。電気信号は各参照信号に対応する電荷量や電圧に関する情報を含むことができる。
【0054】
図4は、本発明の実施例に係る電気信号生成過程を説明するための図面である。
【0055】
図4に示された通り、本発明の実施例に係る参照信号は4個(C
1~C
4)であり得る。各参照信号(C
1~C
4)は入射光信号と同一の周波数を有するものの、互いに90度の位相差を有することができる。4個の参照信号のうち一つ(C
1)は入射光信号と同じ位相を有することができる。反射光信号は入射光信号が客体に入射してから反射して帰ってくる距離だけ位相が遅延される。イメージセンサ部130は反射光信号と各参照信号をそれぞれミキシング(mixing)する。そうすると、イメージセンサ部130は
図4の陰影部分に対応する電気信号を各参照信号別に生成することができる。
【0056】
他の実施例として、露出時間の間に複数の周波数で入射光信号が生成された場合、イメージセンサ部130は複数の周波数による反射光信号を吸収する。例えば、周波数f1とf2で入射光信号が生成され、複数の参照信号は90度の位相差を有すると仮定する。そうすると、反射光信号も周波数f1とf2を有するので、周波数がf1である反射光信号とこれに対応する4個の参照信号を通じて4個の電気信号が生成され得る。そして、周波数がf2である反射光信号とこれに対応する4個の参照信号を通じて4個の電気信号が生成され得る。したがって、電気信号は計8個が生成され得る。
【0057】
イメージセンサ部130は複数のピクセルがグリッドの形態で配列された構造で構成され得る。イメージセンサ部130はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサでも、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサでもよい。また、イメージセンサ部130は被写体に反射する赤外線光を受け入れて時間または位相差を利用して距離を測定するToFセンサを含むことができる。
【0058】
図5は、本発明の実施例に係るイメージセンサ130を説明するための図面である。例えば、
図5のように、320x240解像度のイメージセンサ130の場合、76,800個のピクセルがグリッドの形態で配列される。この時、複数のピクセルの間には
図5の陰影部分のように一定の間隔が形成され得る。本発明の実施例ではピクセルに隣接した一定の間隔を含んで1ピクセルとして説明する。
【0059】
本発明の実施例によると、各ピクセル132は第1フォトダイオードおよび第1トランジスタを含む第1受光部132-1と第2フォトダイオードおよび第2トランジスタを含む第2受光部132-2を含むことができる。
【0060】
第1受光部132-1は入射光の波形と同じ位相で反射光信号を受信する。すなわち、光源がオンになっている時間に、第1フォトダイオードはターンオン(turn-on)されて反射光信号を吸収する。そして、光源がオフになっている時間に、第1フォトダイオードはターンオフ(turn-off)されて反射光の吸収を中断する。第1フォトダイオードは吸収した反射光信号を電流に変換して第1トランジスタに伝達する。第1トランジスタは伝達された電流を電気信号に変換して出力する。
【0061】
第2受光部132-2は入射光の波形と反対の位相で反射光信号を受信する。すなわち、光源がオンになっている時間に、第2フォトダイオードはターンオフされて反射光信号を吸収する。そして、光源がオフになっている時間に、第2フォトダイオードはターンオンされて反射光の吸収を中断する。第2フォトダイオードは吸収した反射光信号を電流に変換して第2トランジスタに伝達する。第2トランジスタは伝達された電流を電気信号に変換する。
【0062】
これに伴い、第1受光部132-1はIn Phase受信ユニットと称することができ、第2受光部132-2はOut Phase受信ユニットと称することができる。このように、第1受光部132-1および第2受光部132-2が時間差を置いて活性化されると、客体との距離により受信される光量に差が発生することになる。例えば、客体がTOFカメラモジュール100の直ぐ前にある場合(すなわち、距離=0の場合)には、照明部110から光が出力された後に客体から反射してくるのにかかる時間が0であるため、光源の点滅周期はそのまま光の受信周期となる。これに伴い、第1受光部132-1のみが光を受信することになり、第2受光部132-2は光を受信できなくなる。他の例として、客体がToFカメラモジュール100と所定の距離離れて位置する場合、照明部110から光が出力された後に客体から反射してくるのに時間がかかるため、光源の点滅周期は光の受信周期と差が発生することになる。これに伴い、第1受光部132-1と第2受光部132-2が受信する光の量に差が発生することになる。すなわち、第1受光部132-1と第2受光部132-2に入力された光量の差を利用して客体の距離が演算され得る。再び
図1を参照すると、映像制御部150はイメージセンサ部130から受信した電気信号を利用して入射光と反射光の間の位相差を計算し、位相差を利用して客体とToFカメラモジュール100の間の距離を計算する。
【0063】
具体的には、映像制御部150は電気信号の電荷量情報を利用して入射光と反射光の間の位相差を計算することができる。
【0064】
前記で詳察した通り、入射光信号の周波数ごとに電気信号は4個が生成され得る。したがって、映像制御部150は下記の数学式1を利用して入射光信号と反射光信号の間の位相差(td)を計算することができる。
【0065】
【0066】
ここで、Q1~Q4は4個の電気信号それぞれの電荷充電量である。Q1は入射光信号と同じ位相の基準信号に対応する電気信号の電荷量である。Q2は入射光信号より位相が180度遅い基準信号に対応する電気信号の電荷量である。Q3は入射光信号より位相が90度遅い基準信号に対応する電気信号の電荷量である。Q4は入射光信号より位相が270度遅い基準信号に対応する電気信号の電荷量である。
【0067】
そうすると、映像制御部150は入射光信号と反射光信号の位相差を利用して客体とToFカメラモジュール100の間の距離を計算することができる。この時、映像制御部150は下記の数学式2を利用して客体とToFカメラモジュール100の間の距離(d)を計算することができる。
【0068】
【0069】
ここで、cは光の速度であり、fは入射光の周波数である。
【0070】
一方、本発明の実施例では深さ情報の解像度を高めるために、スーパーレゾリューション(Super Resolution、SR)技法を利用する。SR技法は複数の低解像映像から高解像映像を得る技法であって、SR技法の数学的モデルは数学式3のように示すことができる。
【0071】
【0072】
ここで、1≦k≦pであり、pは低解像映像の個数であり、ykは低解像映像(=[yk、1、yk、2、...、yk、M]T、ここで、M=N1*N2)Dkはダウンサンプリング(down sampling)マトリックス、Bkは光学ブラー(blur)マトリックス、Mkは映像歪曲(warping)マトリックス、xは高解像映像(=[x1、x2、...、xN]T、ここで、N=L1N1*L2N2)、nkはノイズを示す。すなわち、SR技法によると、ykに推定された解像度劣化要素の逆関数を適用してxを推定する技術を意味する。SR技法は統計的方式とマルチフレーム方式に大別され得るし、マルチフレーム方式は空間分割方式と時間分割方式に大別され得る。深さ情報獲得のためにSR技法を利用する場合、数学式1のMkの逆関数が存在しないため、統計的方式が試みられ得る。ただし、統計的方式の場合、繰り返し演算過程が必要であるため、効率が低い問題がある。
【0073】
深さ情報の抽出にSR技法を適用するために、映像制御部150はイメージセンサ部130から受信した電気信号を利用して複数の低解像サブフレームを生成した後、複数の低解像サブフレームを利用して複数の低解像深さ情報を抽出することができる。そして、複数の低解像深さ情報のピクセル値を再配列して高解像深さ情報を抽出することができる。
【0074】
ここで、高解像とは、低解像より高い解像度を示す相対的な意味である。
【0075】
ここで、サブフレームとは、いずれか一つの露出周期および参照信号に対応した電気信号から生成されるイメージデータを意味し得る。例えば、第1露出周期、すなわち一つの映像フレームで8個の参照信号を通じて電気信号が生成される場合、8個のサブフレームが生成され得るし、開始フレーム(start of frame)が1個さらに生成され得る。本明細書において、サブフレームはイメージデータ、サブフレームイメージデータなどと混用され得る。
【0076】
または、深さ情報の抽出に本発明の実施例に係るSR技法を適用するために、映像制御部150はイメージセンサ部130から受信した電気信号を利用して複数の低解像サブフレームを生成した後、複数の低解像サブフレームのピクセル値を再配列して複数の高解像サブフレームを生成することができる。そして、高解像サブフレームを利用して高解像深さ情報を抽出することができる。
【0077】
このために、ピクセルシフト(pixel shift)技術を利用することができる。すなわち、ピクセルシフト技術を利用してサブフレーム別にサブピクセルだけシフトされた複数枚のイメージデータを獲得した後、サブフレーム別にSR技法を適用して複数の高解像サブフレームイメージデータを獲得し、これらを利用して高解像の深さ情報を抽出することができる。ピクセルシフトのために、本発明の一実施例に係るToFカメラモジュール100はチルティング部140を含む。
【0078】
再び
図1を参照すると、チルティング部140は入射光信号または反射光信号のうち少なくとも一つの光経路をイメージセンサ部130のサブピクセル単位に変更する。
【0079】
チルティング部140は映像フレーム別に入射光信号または反射光信号のうち少なくとも一つの光経路を変更する。前述した通り、一つの露出周期ごとに1個の映像フレームが生成され得る。したがって、チルティング部140は一つの露出周期が終了すると、入射光信号または反射光信号のうち少なくとも一つの光経路を変更する。
【0080】
チルティング部140はイメージセンサ部130を基準としてサブピクセル単位だけ入射光信号または反射光信号のうち少なくとも一つの光経路を変更する。この時、チルティング部140は現在の光経路を基準として入射光信号または反射光信号のうち少なくとも一つの光経路を、上、下、左、右のうちいずれか一つの方向に変更する。
【0081】
図6は、チルティング部140による反射光信号の光経路の変更を説明するための図面である。
【0082】
図6の(a)で実線で表示された部分は反射光信号の現在の光経路を示し、点線で示された部分は変更された光経路を示す。現在の光経路に対応する露出周期が終了すると、チルティング部140は反射光信号の光経路を点線のように変更することができる。そうすると、反射光信号の経路は現在の光経路からサブピクセルだけ移動する。例えば、
図6の(a)のように、チルティング部140が現在の光経路を0.173度右側に移動させると、イメージセンサ部130に入射する反射光信号は右側に0.5ピクセル(サブピクセル)だけ移動することができる。
【0083】
本発明の実施例によると、チルティング部140は基準位置から時計回り方向に反射光信号の光経路を変更することができる。例えば、
図6の(b)に示された通り、チルティング部140は第1露出周期が終了した後、第2露出周期に反射光信号の光経路をイメージセンサ部130を基準として0.5ピクセルだけ右側に移動させる。そして、チルティング部140は第3露出周期に反射光信号の光経路をイメージセンサ部130を基準として0.5ピクセルだけ下側に移動させる。そして、チルティング部140は第4露出周期に反射光信号の光経路をイメージセンサ部130を基準として0.5ピクセルだけ左側に移動させる。そして、チルティング部140は第5露出周期に反射光信号の光経路をイメージセンサ部130を基準として0.5ピクセルだけ上側に移動させる。すなわち、4個の露出周期でチルティング部140は反射光信号の光経路を元の位置に移動させることができる。これは入射光信号の光経路を移動させる時にも同様に適用され得るところ、詳細な説明は省略する。また、光経路の変更パターンが時計回り方向であることは一例に過ぎず、反時計回り方向でもよい。
【0084】
一方、サブピクセルは0ピクセルより大きく1ピクセルより小さくてもよい。例えば、サブピクセルは0.5ピクセルの大きさを有しても、1/3ピクセルの大きさを有してもよい。サブピクセルの大きさは当業者によって設計変更が可能である。
【0085】
図7および
図8は、本発明の実施例に係るSR技法を説明するための図面である。
【0086】
図7を参照すると、映像制御部150は同じ露出周期、すなわち同じフレームで生成された複数の低解像サブフレームを利用して複数の低解像深さ情報を抽出することができる。そして、映像制御部150は複数の低解像深さ情報のピクセル値を再配置して高解像深さ情報を抽出することができる。ここで複数の低解像深さ情報に対応する入射光信号または反射光信号の光経路は互いに異なり得る。
【0087】
例えば、映像制御部150は複数の電気信号を利用して1-1~4-8の低解像サブフレームを生成することができる。低解像サブフレーム1-1~1-8は第1露出周期で生成された低解像サブフレームである。低解像サブフレーム2-1~2-8は第2露出周期で生成された低解像サブフレームである。低解像サブフレーム3-1~3-8は第3露出周期で生成された低解像サブフレームである。低解像サブフレーム4-1~4-8は第4露出周期で生成された低解像サブフレームである。そうすると、映像制御部150は各露出周期で生成された複数の低解像サブフレームに深さ情報抽出技法を適用して低解像深さ情報LRD-1~LRD-4を抽出する。低解像深さ情報LRD-1はサブフレーム1-1~1-8を利用して抽出された低解像深さ情報である。低解像深さ情報LRD-2はサブフレーム2-1~2-8を利用して抽出された低解像深さ情報である。低解像深さ情報LRD-3はサブフレーム3-1~3-8を利用して抽出された低解像深さ情報である。低解像深さ情報LRD-4はサブフレーム4-1~4-8を利用して抽出された低解像深さ情報である。そして、映像制御部150は低解像深さ情報LRD-1~LRD-4のピクセル値を再配置して高解像深さ情報HRDを抽出する。
【0088】
または前述した通り、映像制御部150は同じ参照信号に対応する複数のサブフレームのピクセル値を再配置して高解像サブフレームを生成することができる。この時、複数のサブフレームは対応する入射光信号または反射光信号の光経路が異なる。そして、映像制御部150は複数の高解像サブフレームを利用して高解像深さ情報を抽出することができる。
【0089】
例えば、
図8で、映像制御部150は複数の電気信号を利用して1-1~4-8の低解像サブフレームを生成する。低解像サブフレーム1-1~1-8は第1露出周期で生成された低解像サブフレームである。低解像サブフレーム2-1~2-8は第2露出周期で生成された低解像サブフレームである。低解像サブフレーム3-1~3-8は第3露出周期で生成された低解像サブフレームである。低解像サブフレーム4-1~4-8は第4露出周期で生成された低解像サブフレームである。ここで、低解像サブフレーム1-1、2-1、3-1、4-1は同じ参照信号C
1に対応するものの、互いに異なる光経路に対応する。そうすると、映像制御部150は低解像サブフレーム1-1、2-1、3-1、4-1のピクセル値を再配置して高解像サブフレームH-1を生成することができる。ピクセル値の再配置を通じて高解像サブフレームH-1~H-8が生成されると、映像制御部は高解像サブフレームH-1~H-8に深さ情報抽出技法を適用して高解像深さ情報HRDを抽出することができる。
【0090】
図9は、本発明の実施例に係るピクセル値配置過程を説明するための図面である。
【0091】
ここで、4個の4x4大きさの低解像映像を利用して1個の8x8大きさの高解像映像を生成することを仮定する。この時、高解像ピクセルグリッドは8x8のピクセルを有し、これは高解像映像のピクセルと同じである。ここで低解像映像は低解像サブフレームおよび低解像深さ情報を含む意味であり得るし、高解像映像は高解像サブフレームおよび高解像深さ情報を含む意味であり得る。
【0092】
図9で第1~4低解像映像は、0.5ピクセルの大きさのサブピクセル単位で光経路が移動して撮影された映像である。映像制御部150は光経路が移動されていない第1低解像映像を基準として光経路が移動した方向に沿って第2~第4低解像映像のピクセル値を高解像映像に合うように配置する。
【0093】
具体的には、第2低解像映像は第1低解像映像からサブピクセルだけ右側に移動した映像である。したがって、第1低解像映像の各ピクセルAの右側に位置したピクセルには第2低解像映像のピクセルBが配置される。
【0094】
第3低解像映像は第2低解像映像からサブピクセルだけ下側に移動した映像である。したがって、第2低解像映像の各ピクセルBの下に位置したピクセルには第3低解像映像のピクセルCが配置される。
【0095】
第4低解像映像は第3低解像映像からサブピクセルだけ左側に移動した映像である。したがって、第3低解像映像のピクセルCの左側に位置したピクセルには第4低解像映像のピクセルDが配置される。
【0096】
高解像ピクセルグリッドに第1~第4低解像映像のピクセル値がすべて再配置されると、低解像映像より解像度が4倍増加した高解像映像フレームが生成される。
【0097】
一方、映像制御部150は配置されるピクセル値に加重値を適用することができる。この時、加重値はサブピクセルの大きさや光経路の移動方向によって異なって設定され得るし、各低解像映像別に異なって設定され得る。
【0098】
このために、チルティング部140はソフトウェア的にまたはハードウェア的に光経路を変更することができる。チルティング部140がソフトウェア的に光経路を変更しようとする場合、ToFカメラモジュール100の演算量が増加する問題があり、ハードウェア的に光経路を変更しようとする場合、ToFカメラモジュール100の構造が複雑になったり、体積が増加したりする問題がある。
【0099】
本発明の実施例によると、チルティング部140はレンズアセンブリー、例えばレンズアセンブリーに含まれたIRフィルタ(
図2の318)の傾きを制御する方法でサブピクセルだけシフトされたデータを得ようとする。
【0100】
図10~
図11は、IRフィルタの傾きの制御によってイメージセンサ上に入力される映像フレームがシフトされる効果を説明するための図面である。
図11は、IRフィルタの厚さが0.21mmであり、IRの屈折率が1.5である条件でチルティング角度に対するシフト距離をシミュレーションした結果である。
【0101】
図10および下記の数学式4を参照すると、IRフィルタ318の傾きθ
1とシフト距離離隔は次の関係を有することができる。
【0102】
【0103】
ここで、θ2は数学式5のように示すことができる。
【0104】
【0105】
そして、θ1はIRフィルタ318の傾き、すなわちチルティング角度であり、ngはIRフィルタ318の屈折率であり、dはIRフィルタ318の厚さである。例えば、数学式4~5を参照すると、イメージセンサ上に入力される映像フレームを7μmだけシフトさせるために約5~6°だけチルティングされ得る。この時、IRフィルタ318の垂直変位は約175~210μmになり得る。
【0106】
このように、IRフィルタ318の傾きを制御すると、イメージセンサ320自体をチルティングせずともシフトされたイメージデータを得ることが可能である。
【0107】
本発明の実施例によると、IRフィルタの傾きを制御するためのチルティング部はVCM(voice coil motor)を含むことができ、IRフィルタ318はイメージセンサとVCMの間に配置され得る。
【0108】
図12は本発明の一実施例に係るVCMおよびIRフィルタの斜視図であり、
図13は本発明の一実施例に係るVCMおよびIRフィルタを含むToFカメラモジュールの断面図であり、
図14は本発明の一実施例に係るVCMに含まれるマグネットアセンブリーとIRフィルタの結合過程を示す図面であり、
図15は本発明の一実施例に係るVCMに含まれるコイルアセンブリーの結合過程を示す図面であり、
図16は本発明の一実施例に係るマグネットアセンブリー、IRフィルタおよびコイルアセンブリーの結合過程を示す図面である。
【0109】
図12~
図16を参照すると、チルティング部140はVCM1000を含み、VCM1000はマグネットアセンブリー1100およびコイルアセンブリー1200を含み、IRフィルタ318と結合されたり、接触したり、連結され得る。
【0110】
図13(a)で、説明の便宜のために、VCM1000がレンズバレル314およびレンズホルダー318によって囲まれるものとしてのみ図示され、レンズ312およびIRフィルタ318は省略されているが、レンズ312およびIRフィルタ318は
図3で図示された通りに配置され得る。すなわち、レンズ312はレンズバレル314によって囲まれることも、VCM1000内の空間に収容されることもある。またはレンズバレル314はVCM1000の一部の構成でもよい。
【0111】
本発明の実施例によると、マグネットアセンブリー1100はマグネットホルダー1110および複数のマグネット1120を含み、複数のマグネット1120はマグネットホルダー1110上に所定の間隔で離隔して配置され得る。例えば、マグネットホルダー1110は中空の円形のリング状または角形のリング状であり得るし、複数のマグネット1120を収容するための複数のマグネットガイド1112が形成され得る。ここで、マグネットホルダー1110は磁性物質または軟磁性物質を含むことができ、例えばFeを含むことができる。
【0112】
次に、コイルアセンブリー1200はコイルホルダー1210、複数のコイル1220およびコイルターミナル1230を含むことができ、複数のコイル1220はコイルホルダー1210上で複数のマグネット1120と対をなすように所定の間隔で離隔して配置され得る。例えば、コイルホルダー1210は中空の円形のリング状または角形のリング状であり得るし、複数のコイル1220を収容するための複数のコイルガイド1212が形成され得る。コイルホルダー1210はレンズバレル314でもよい。コイルターミナル1230は複数のコイル1220に連結され、複数のコイル1220に電源を印加することができる。
【0113】
IRフィルタ318はガラス層ホルダー3182およびガラス層ホルダー3182によって支持されるガラス層3184を含む。ガラス層ホルダー3182はガラス層3184の下部に配置される第1ガラス層ホルダー3182-1およびガラス層3184の上縁に配置される第2ガラス層ホルダー3182-2を含むことができる。第2ガラス層ホルダー3182-2は中空の円形のリング状または角形のリング状であり得るし、マグネットホルダー1110によって囲まれるようにマグネットホルダー1110の中空内に配置され得る。この時、第2ガラス層ホルダー3182-2はマグネットホルダー1110の複数のマグネットガイド1112に対応するように突出した複数の突出部P1、P2、P3、P4を含むことができる。複数の突出部P1、P2、P3、P4は複数のマグネットガイド1112と接触したり、複数のマグネットガイド1112から離隔したりするように動くことができる。第2ガラス層ホルダー3182-2は磁性物質または軟磁性物質を含むことができる。
【0114】
コイルターミナル1230を通じて複数のコイル1220に電源が印加されると、複数のコイル1220を通じて電流が流れ、これに伴い、複数のコイル1220と複数のマグネット1120の間に磁場が発生し得る。
【0115】
これに伴い、複数のマグネットガイド1112と第2ガラス層ホルダー3182-2の複数の突出部P1、P2、P3、P4の間には電気駆動力が発生し得るし、第2ガラス層ホルダー3182-2によって支持されるガラス層3184は所定の角度にチルティングされ得る。
【0116】
例えば、複数のマグネットガイド1112と複数の突出部P1、P2、P3、P4の間に加えられる力によって、突出部P1と突出部P3の間に形成される傾きまたは突出部P2と突出部P4の間に形成される傾きが変わり得る。そして、突出部P1と突出部P3の間に形成される傾きまたは突出部P2と突出部P4の間に形成される傾きによってガラス層3184の傾きも変わり得る。ここで、第2ガラス層ホルダー3182-2の複数の突出部P1、P2、P3、P4の位置によってIRフィルタ318、さらに具体的にはガラス層3184の傾きが変わるため、本明細書で第2ガラス層ホルダー3182-2はシェイパー(shaper)と称されてもよい。
【0117】
この時、ガラス層3184のチルティング自由度のために、マグネットホルダー1110と第1ガラス層ホルダー3182-1の間にはスペーサー1130がさらに配置されてもよい。
【0118】
ここで、ガラス層3184はIRパスガラス層であり得る。
【0119】
または
図13(b)で図示された通り、ガラス層3184は一般のガラス層であってよく、IRフィルタ318はイメージセンサ320上でガラス層3184と離隔して配置されるIRパスガラス層3186をさらに含んでもよい。IRパスガラス層3186がイメージセンサ320上に配置されると、イメージセンサ320上に水分または異物が直接浸透する可能性を減らすことができる。
【0120】
一方、本発明の実施例によると、マグネットアセンブリー1110はマグネットホルダー1140をさらに含んでもよい。マグネットホルダー1140は複数のマグネット1120の上部を支持することができ、これに伴い、複数のマグネット1120はさらに安定的で信頼性を持って動くことができる。
【0121】
このように、本発明の実施例によると、IRフィルタ318の傾きはVCM1000の駆動により制御される。このために、IRフィルタ318はVCM1000とともに配置されるべきであり、これに伴いIRフィルタ318はイメージセンサ320と離隔して配置される必要がある。
【0122】
一方、本発明の実施例によると、IRフィルタ318の傾きが随時変わらなければならないため、IRフィルタ318が動くことができる余裕空間が必要である。この時、IRフィルタ318の動きのための余裕空間内に水分、異物などが浸透する可能性が大きくなり、これに伴い、イメージセンサ320が水分、異物などに容易に露出され得る。
【0123】
本発明の実施例では、イメージセンサ320が水分、異物などに露出されることを防止する構造をさらに含ませようとする。
【0124】
図17は、本発明の一実施例に係るカメラモジュールの一部断面図である。ここで、説明の便宜のために、カメラモジュールの上端、例えばレンズ、レンズバレル、VCMなどは省略して図示しているが、
図3、
図10~
図14で説明した内容は同様に適用され得る。
【0125】
図17を参照すると、印刷回路基板330上にイメージセンサ320が搭載され、イメージセンサ320はハウジング340内に収容され得る。ここで、ハウジングは第2レンズホルダー316-2でもよい。IRフィルタ318の傾きはVCM(1000、
図12~16参照)によって制御され得る。例えば、VCM1000の駆動によって第1ガラス層ホルダー3182-1の第1突出部P1が上を向き、第3突出部P3が下を向く場合、IRフィルタ318のガラス層3184には傾きが形成され得る。
【0126】
本発明の実施例によると、IRフィルタ318とイメージセンサ320の間には弾性膜1400が配置され得る。弾性膜1400はハウジング340に固定され得る。この時、弾性膜1400の一面はハウジング340に固定され、弾性膜1400の他面はチルティング部140と結合され得る。弾性膜1400は、例えばRO(reverse osmosis)メンブレン、NF(nano filtration)メンブレン、UF(ultra-filtration)メンブレン、MF(micro filtration)メンブレンなどであり得る。ここで、ROメンブレンは約1~15オングストロームのポアサイズを有するメンブレンであり、NFメンブレンは約10オングストロームのポアサイズを有するメンブレンであり、UFメンブレンは約15~200オングストロームのポアサイズを有するメンブレンであり、MFメンブレンは約200~1000オングストロームのポアサイズを有するメンブレンである。これに伴いIRフィルタ318とハウジング340の間、すなわちIRフィルタ318の動きのために配置された空間に水分、異物などが浸透する現象を防止することができる。
【0127】
この時、弾性膜1400は25~50μm厚の透明かつ伸縮可能な膜であり得るし、弾性膜1400上にIRフィルタ318の少なくとも一部が直接接触するように配置され得る。すなわち、弾性膜1400の形状はチルティング部1400によって制御され得る。これに伴い、弾性膜1400はIRフィルタ318が傾く場合、IRフィルタ318とともに伸びたり収縮したりし得るし、IRフィルタ318が元の位置に戻るとIRフィルタ318とともにすぐに復元され得るため、IRフィルタ318の動きを安定的に支持することができる。
【0128】
【0129】
図18を参照すると、弾性膜1400は接着剤1410を通じてイメージセンサ320を収容するハウジング340に接着され得る。
【0130】
図19を参照すると、弾性膜1400は機構物1420を通じてイメージセンサ320を収容するハウジング340に固定されてもよい。
【0131】
図20を参照すると、弾性膜1400はイメージセンサ320を収容するハウジング340の外周面を覆うように配置されてよく、これとともに弾性膜1400を固定するために、ハウジング340の外周面を囲むように追加の固定部材1430が配置されてもよい。
【0132】
図21を参照すると、弾性膜1400はイメージセンサ320上に直接配置されてもよい。
【0133】
図22を参照すると、弾性膜1400は第1ガラス層ホルダー3182-1とハウジング340の間に配置され、機構物1440、1442によって固定され得る。
【0134】
図23を参照すると、弾性膜1400は第1ガラス層ホルダー3182-1とハウジング340に接着剤1450、1452を通じて接着されてもよい。
【0135】
以上、実施例を中心に説明したが、これは例示に過ぎず、本発明を限定するものではなく、本発明が属する分野の通常の知識を有する者であれば、本実施例の本質的な特性を逸脱しない範囲で、以上で例示されていない多様な変形と応用が可能であることが分かるであろう。例えば、実施例に具体的に示された各構成要素は変形して実施できるものである。そして、このような変形と応用に関連した差異点は添付された特許請求の範囲で規定する本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0136】
100:ToFカメラモジュール
110:照明部
120:レンズ部
130:イメージセンサ部
140:チルティング部
150:映像制御部