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特許7485614エアロゾル形成基体を移動するための移動可能な構成要素を有するエアロゾル発生装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】エアロゾル形成基体を移動するための移動可能な構成要素を有するエアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/44 20200101AFI20240509BHJP
   A24F 40/46 20200101ALI20240509BHJP
   A24F 40/50 20200101ALI20240509BHJP
   A24F 40/53 20200101ALI20240509BHJP
【FI】
A24F40/44
A24F40/46
A24F40/50
A24F40/53
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020564116
(86)(22)【出願日】2019-06-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-07
(86)【国際出願番号】 EP2019064884
(87)【国際公開番号】W WO2019234195
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2022-05-18
(31)【優先権主張番号】18176362.4
(32)【優先日】2018-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】クルバ ジェローム クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ミロノフ オレク
(72)【発明者】
【氏名】ストゥラ エンリコ
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-537637(JP,A)
【文献】国際公開第2015/013126(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00~47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体エアロゾル形成基体を含有し、出口を有する貯蔵容器と、
前記貯蔵容器から間隔が置かれ、前記液体エアロゾル形成基体を気化して吸入可能なエアロゾルを形成するように適合された発熱体と、
前記貯蔵容器と前記発熱体の間に位置し、前記貯蔵容器から液体エアロゾル形成基体を受容して保持するように適合されていて、前記発熱体と動作可能に結合して前記受容した液体エアロゾル形成基体を前記発熱体に供給する能力を有する移動要素と、を備えるエアロゾル発生装置であって、
前記移動要素が、液体供給経路に沿って単独で装填位置と加熱位置の間で移動可能であり、前記移動要素が、前記移動要素が前記装填位置と前記加熱位置の間で移動する際に前記貯蔵容器が前記移動要素と共に移動しないように、前記貯蔵容器とは独立して移動可能であり、
前記エアロゾル発生装置が、
前記移動要素が前記装填位置にある時、前記移動要素が前記貯蔵容器の前記出口と流体連通し、
前記移動要素が前記加熱位置にある時、前記移動要素が前記発熱体と流体連通し、前記発熱体が起動されて前記移動要素中に保持された液体エアロゾル形成基体を気化するように構成されており、
前記移動要素および前記発熱体が軸方向に整列され、前記装填位置における前記移動要素と前記発熱体の間の長軸方向の距離が、前記加熱位置における前記移動要素と前記発熱体の間の長軸方向の距離よりも大きく、又は
前記移動要素と前記発熱体が実質的に同心状に配設され、前記装填位置における前記移動要素と前記発熱体の間の半径方向距離が、前記加熱位置における前記移動要素と前記発熱体の間の半径方向距離よりも大きい、
エアロゾル発生装置。
【請求項2】
前記移動要素が前記貯蔵容器と前記発熱体の間で移動可能であり、前記移動要素が前記加熱位置にある時、前記移動要素が前記発熱体と動作可能に結合して、前記移動要素中に保持された液体エアロゾル形成基体が前記発熱体に供給されるように前記装置が構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、
電源と、
コントローラと、
前記移動要素を前記液体供給経路に沿って移動するためのアクチュエータと、をさらに備え、
前記コントローラが、
ユーザーの吸入を示す気流の変化の検出に基づいて、前記装置中の場所で気流をモニターし、
前記移動要素が前記装填位置から前記加熱位置に移動するように、前記アクチュエータに電力を供給し、
前記発熱体に電力を供給して、前記移動要素中に保持された液体エアロゾル形成基体を気化するように構成されている、装置。
【請求項4】
所定の時間(THP)後に、前記移動要素が前記加熱位置から前記装填位置に戻るように前記アクチュエータに電力を供給するように、前記コントローラが構成されている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
ユーザーの吸煙の終了を示す前記装置中の場所での気流の変化の検出に基づいて、前記移動要素が前記加熱位置から前記装填位置に戻るように、前記アクチュエータに電力を供給するように前記コントローラが構成されている、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記移動要素が、第一の端表面と、前記第一の端表面から遠位にある第二の端表面とを備え、前記移動要素が前記装填位置にある時、前記第一の端表面が前記貯蔵容器に面している、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記移動要素が前記加熱位置にある時、前記移動要素の前記第一の端表面が前記発熱体に面するように、前記移動要素を前記装填位置と前記加熱位置の間で移動させる間に、前記移動要素を約180度回転させるように、前記装置が構成されている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記移動要素が、前記第一の端表面から前記第二の端表面に延びる少なくとも一つの貫通導管を備え、前記移動要素が前記加熱位置にある時、前記移動要素の前記第二の端表面が前記発熱体に面するように、前記装置が構成されている、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記移動要素および前記発熱体のうちの少なくとも一つに接続されたコントローラを備え、前記移動要素および前記発熱体のうちの前記少なくとも一つによって担持される液体エアロゾル形成基体の量の変化を示す前記移動要素および前記発熱体のうちの前記少なくとも一つの電気特性の変化をモニターするように、前記コントローラが構成されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記発熱体および前記移動要素のうちの少なくとも一つが流体透過性である、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記移動要素が、前記貯蔵容器から所定量の液体エアロゾル形成基体を受容して保持するように適合されていて、かつ前記発熱体と動作可能に結合した時、前記受容した所定量の液体エアロゾル形成基体を前記発熱体に供給する能力を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記所定量の液体エアロゾル形成基体が少なくとも約3マイクロリットルである、請求項11に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル形成基体の加熱によって動作するエアロゾル発生装置に関する。特に、本発明は、加熱によって液体エアロゾル形成基体を気化して、ユーザーによる吸入のためにエアロゾルを発生させる手持ち式エアロゾル発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体エアロゾル形成基体を加熱してエアロゾルを発生させるエアロゾル発生装置において、エアロゾル形成基体を加熱するように配設された少なくとも一つの抵抗発熱体を備える電気ヒーターを提供することが知られている。液体エアロゾル形成基体の供給量は、貯蔵タンク内に保持され、発熱体に向かって液体供給経路に沿って方向付けられる。重力に対する報告された貯蔵タンクの位置に関係なく、正しい量の液体エアロゾル形成基体を供給するために、貯蔵タンクの出口に発熱体と接触させて、毛細管特性を有する高保持性材料(HRM)を提供することが知られている。
【0003】
典型的には、ユーザーが、例えば、ボタンを押すまたは装置を吸入することによって装置を起動すると、電流が発熱体を通過し、抵抗加熱を引き起こして、これがHRM中の液体を気化する。装置は入口および出口の開口部を有し、空気がHRMを通り超して引き出され、ベイパーを同伴するように、気流経路内に保持されている。その後、ベイパーは冷却されてエアロゾルを形成する。
【0004】
ところが、ユーザーの吸煙中に、電流が発熱体に供給されてHRMを加熱し、液体エアロゾル形成基体を気化すると、発熱体は伝導および対流によっても、貯蔵タンク中の残りの液体エアロゾル形成基体を加熱しうる。これは、液体エアロゾル形成基体の特性および品質を変化させうるという点で望ましくない。さらに、装置の全体的なエネルギー効率が影響を受けうる。加えて、これは、貯蔵タンク中の液体エアロゾル形成基体の所与量に対する吸煙回数に望ましくない影響を与えうる。
【0005】
こうした電気的に作動するエアロゾル発生装置では、ユーザーの吸煙中に、こうした吸煙の間に気化されるべき液体エアロゾル形成基体の所定の部分のみが加熱されることを確実にすることが望ましい。
【発明の概要】
【0006】
本発明の態様によれば、液体エアロゾル形成基体の供給量を含む貯蔵容器であって、出口を有する貯蔵容器と、貯蔵容器から間隔を置いた発熱体であって、液体エアロゾル形成基体を気化して吸入可能なエアロゾルを形成するように適合された発熱体と、貯蔵容器と発熱体の間に位置する移動要素であって、貯蔵容器から液体エアロゾル形成基体を受容して保持するように適合され、受容した液体エアロゾル形成基体を発熱体に供給するために発熱体と動作可能なように結合可能な移動要素とを備えるエアロゾル発生装置が提供されている。移動要素および発熱体のうちの少なくとも一つは装填位置と加熱位置の間で移動可能であり、エアロゾル発生装置は、移動要素および発熱体のうちの少なくとも一つが装填位置にある時、移動要素が貯蔵容器の出口とまたは貯蔵容器の出口および発熱体と流体連通し、移動要素および発熱体のうちの少なくとも一つが加熱位置にある時、移動要素が発熱体と流体連通し、発熱体が起動されて移動要素に保持された液体エアロゾル形成基体を気化するように構成されている。
【0007】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」という用語は、エアロゾル形成基体と相互作用してエアロゾルを発生する装置に関連する。
【0008】
本発明の文脈で使用される「エアロゾル発生基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体に関する。こうした揮発性化合物は、エアロゾル形成基体を加熱することによって放出されてもよい。エアロゾル形成基体は好都合なことに、エアロゾル発生物品または喫煙装置の一部であってもよい。
【0009】
本発明によるエアロゾル発生装置のエアロゾル形成基体から発生したエアロゾルは、見えてもよく、または見えなくてもよく、またベイパー(蒸気)(例えば、室温では通常、液体または固体である物質の、気体状態にある物質の微粒子)ならびに気体および凝縮されたベイパーの液滴を含んでもよい。
【0010】
本明細書で使用される「長軸方向」という用語は、エアロゾル発生装置の上流端と下流端の間に延びる、エアロゾル発生装置の主要な長軸方向軸に対応する方向を指す。使用中、空気はエアロゾル発生装置を通して長軸方向に引き出される。「長さ」という用語は、長軸方向におけるエアロゾル発生装置の構成要素の寸法を意味する。
【0011】
「横断方向」という用語は、長軸方向軸に対して直角を成す方向を指す。エアロゾル発生装置またはエアロゾル発生装置の構成要素の「断面」への言及はすべて、別途記載のない限り、横断断面を指す。
【0012】
本明細書で使用される「上流」および「下流」という用語は、使用中にエアロゾル発生装置を通してエアロゾルが移動される方向に対する、エアロゾル発生装置の要素(または要素の部分)の相対的な位置を説明する。
【0013】
本明細書の意味の範囲内で、「半径方向」という用語は、長軸方向軸に直角を成す平面に延び、長軸方向軸が直角を成す平面と交差する点を通る、一組の直線の線によって特定される方向を記述する。このように、「半径方向」という用語は一般に、長軸方向軸と直角を成す方向を特定し、特に実質的に円筒形状を有するエアロゾル発生装置を記述する時に使用される。
【0014】
本明細書で使用される「液体流路」という用語は、ハウジング中、または非多孔性構成要素もしくは材料中もしくはその上、または多孔性構成要素もしくは材料中もしくはその上、またはその任意の組み合わせで、それに沿って液体が流れるまたはその他の方法で移動される経路の一部を指す。液体流路は、流体通路、チャンバー、チャネル、導管、マトリックス、またはその中をもしくはそれを通して液体が移動できるその他の構造によって少なくとも部分的に画定されうる。本発明によるエアロゾル発生装置において、液体流路は、いつでもかつすべての構成において、液体エアロゾル形成基体の供給量を保持する貯蔵容器の出口と、吸入可能なエアロゾルを形成するためにエアロゾル形成基体を気化するように動作する発熱体の間に常に特定することができる。本発明によるエアロゾル発生装置において、移動要素、発熱体および貯蔵容器のうちの少なくとも一つが移動可能であるため、こうした構成要素のうちの任意の二つの間の物理的距離は、時間経過とともに、および装置の異なる構成において変化しうる。このように、貯蔵容器の出口から発熱体に延びる液体流路の全長は、時間経過とともに、および装置の異なる構成において変化しうる。一例として、移動要素が貯蔵容器と結合して移動可能である実施形態では、貯蔵容器の出口から発熱体に延びる液体流路の長さは、移動要素および貯蔵容器が加熱位置にある時は、移動要素および貯蔵容器が装填位置にある時よりも小さい。
【0015】
本明細書で使用される「吸入」および「吸煙」という用語は事実上互換性があり、ユーザーが装置の端部を吸って装置からエアロゾルを引き出す行為を指すことを意図する。
【0016】
既存のエアロゾル発生装置とは対照的に、本発明によると、移動要素(単独で、または貯蔵容器と一体型)の一つ以上および発熱体が装填位置と加熱位置の間で移動可能な構成要素として提供されている装置が提供されている。このように、実際には、本発明は、装置の二つの別個の構成を提供する。移動可能な構成要素(複数可)が装填位置にある時、装置は、移動要素が貯蔵容器の出口と、または貯蔵容器の出口および発熱体と流体連通するように構成されており、それによって一部の液体エアロゾル形成基体が貯蔵容器から移動要素へと移動されうる。移動可能な構成要素(複数可)が加熱位置にある時、装置は、移動要素が発熱体と流体連通し、発熱体が起動されて、移動要素中に保持された液体エアロゾル形成基体を気化するように構成されている。
【0017】
本発明の配設により、有利なことに、液体エアロゾル形成基体の所定の計量された量のみが発熱体によって直接加熱され、一方、液体エアロゾル形成基体の供給量の残りの部分は発熱体から少し遠くに維持することが可能である。このように、貯蔵容器中の液体エアロゾル形成基体の供給量の残りの部分の対流または伝導による加熱が、実質的に防止されうる。従って、液体エアロゾル形成基体の供給、結果として、装置によって形成可能なエアロゾルの特性および品質が、有利なことに保たれうる。
【0018】
さらに、熱は、液体エアロゾル形成基体のこうした所定の計量された量にのみ制御された方法で選択的に供給されうるため、エアロゾル発生装置の全体的なエネルギー効率を改善することが一般的に可能である。
【0019】
加えて、本発明によるエアロゾル発生装置によって可能になるように、液体エアロゾル形成基体の所定の計量された量のみが、各吸煙で効果的に加熱されて気化されることにより、貯蔵容器中の液体エアロゾル形成基体の所与の量が、ユーザーの吸入の所定の回数に対して保たれることを確実にするのがより容易になる。
【0020】
上記に簡単に記述したように、本発明によるエアロゾル発生装置は、液体エアロゾル形成基体の供給量を含有する貯蔵容器を備え、貯蔵容器は出口を有する。
【0021】
本発明による装置の貯蔵容器中の液体エアロゾル形成基体は、加熱に伴い液体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含む、たばこ含有材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体は水、溶媒、エタノール、植物抽出物、および天然の風味または人工の風味を含んでもよい。液体エアロゾル形成基体はエアロゾル形成体を含むことが好ましい。適切なエアロゾル形成体としては、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、およびグリセリンなどの多価アルコールまたはその混合物が挙げられる。液体貯蔵セクション中の液体エアロゾル形成基体はニコチンを含んでもよい。
【0022】
貯蔵容器は多孔性担体材料を含んでもよく、液体エアロゾル形成基体は多孔性担体材料上に提供されている。有利なことに、多孔性担体材料上に液体エアロゾル形成基体を提供することは、液体エアロゾル形成基体が貯蔵容器から漏れるリスクを減少させうる。
【0023】
多孔性担体材料は、液体エアロゾル形成基体に対して透過性であり、かつ液体エアロゾル形成基体が多孔性担体材料を通って移動することを可能にする任意の適切な材料または材料の組み合わせを含んでもよい。材料または材料の組み合わせは、液体エアロゾル形成基体に対して不活性であることが好ましい。多孔性担体材料は毛細管材料であってもよく、または毛細管材料でなくてもよい。多孔性担体材料は、液体エアロゾル形成基体の分散および拡散を改善する親水性の材料を含んでもよい。これは、一貫したエアロゾル形成を支援する場合がある。特定の好ましい材料は、液体エアロゾル形成基体の物理的特性に依存することになる。適切な材料の例は毛細管材料であり、例えば海綿体または発泡体材料、繊維または焼結粉末の形態のセラミック系またはグラファイト系の材料、発泡性の金属またはプラスチックの材料、例えば紡糸または押出成形された繊維(セルロースアセテート、ポリエステル、または結合されたポリオレフィン、ポリエチレン、テリレンもしくはポリプロピレン繊維、ナイロン繊維またはセラミックなど)で作製された繊維性材料である。多孔性担体材料は、異なる液体物理的特性を有して使用されるように、任意の適切な空隙率を有してもよい。
【0024】
さらに、本発明によるエアロゾル発生装置は、貯蔵容器から間隔を置いた発熱体を備え、発熱体は、液体エアロゾル形成基体を気化して吸入可能なエアロゾルを形成するように適合されている。少なくとも一つの例示的な実施形態において、発熱体は、任意の適切な電気抵抗性材料で形成されてもよい。
【0025】
さらに、エアロゾル発生装置は、貯蔵容器と発熱体の間に位置する移動要素を備え、移動要素は、貯蔵容器から液体エアロゾル形成基体を受容して保持するように適合されていて、発熱体と動作可能に結合して受容した液体エアロゾル形成基体を発熱体に供給する能力を有する。移動要素は、液体エアロゾル形成基体を保持するように適合された毛細管材料を含みうる。毛細管材料は、繊維状または海綿状の構造を有する毛細管材料または毛細管の束を含む毛細管材料であってもよい。例えば、毛細管材料は複数の繊維もしくは糸、またはその他の微細チューブを含んでもよい。繊維または糸は、液体エアロゾル形成基体が発熱体に向かって運ばれることができるように概して整列していてもよい。別の方法として、毛細管材料は海綿体様または発泡体様の材料を含んでもよい。毛細管材料の構造は複数の小さい穴または管を形成し、これを通して液体エアロゾル形成基体を毛細管作用によって搬送することができる。毛細管材料は任意の適切な材料または材料の組み合わせを含んでもよい。適切な材料の例は、海綿体もしくは発泡体材料、繊維もしくは焼結粉末の形態のセラミック系またはグラファイト系の材料、発泡性の金属材料もしくはプラスチック材料、繊維質材料、例えば紡糸繊維または押出成形繊維(酢酸セルロース、ポリエステル、または結合されたポリオレフィン、ポリエチレン、テリレンもしくはポリプロピレン繊維、ナイロン繊維またはセラミックなど)で作製された繊維質材料である。毛細管材料は、任意の適切な毛細管現象および空隙率を有してもよく、これにより異なる液体物理特性を有して使用される。液体エアロゾル形成基体は、毛細管作用によって毛細管媒体を通して液体エアロゾル形成基体を搬送することを可能にする粘度、表面張力、密度、熱伝導率、沸点、および蒸気圧を含む物理特性(しかし、これらに限定されない)を有する。
【0026】
別の方法として、または加えて、移動要素は液体エアロゾル形成基体を保持するための担体材料を含有してもよい。担体材料は、発泡体、海綿体または繊維の収集物であってもよい。担体材料はポリマーまたはコポリマーで形成されてもよい。一実施形態では、担体材料は紡糸ポリマーである。
【0027】
一部の実施形態において、移動要素は貯蔵容器と発熱体の間で移動可能であり、エアロゾル発生装置は、移動要素が加熱位置にある時に、移動要素が発熱体と動作可能に結合して、移動要素中に保持されている液体エアロゾル形成基体が発熱体に供給されるように構成されている。
【0028】
移動要素は、貯蔵容器とは独立して移動可能であることが好ましい。言い換えれば、移動要素が装填位置と加熱位置の間を移動する時、貯蔵容器は移動要素と共に移動しない。加えて、または別の方法として、移動要素は発熱体とは独立して移動可能である。言い換えれば、移動要素が装填位置と加熱位置の間を移動する時、発熱体は移動要素と共に移動しない。
【0029】
移動要素は移動可能である一方、貯蔵容器は移動可能でないことがより好ましい。これは、貯蔵容器内の液体エアロゾル形成基体の供給量の残りの部分が、加熱段階の間に発熱体とは別に、少し離れて保たれるという点で有利である。
【0030】
理論に束縛されることを望むものではないが、貯蔵容器の出口と発熱体の間の体積は、実際には熱シールドとしての機能を果たすことが理解される。これは、使用中に、対流および伝導によって液体エアロゾル形成基体の残りの部分に熱が供給される可能性を最小化するので、望ましい。
【0031】
移動要素は移動可能であり、一方、貯蔵容器も発熱体も移動可能でないことがより一層好ましい。実際には、移動要素のみが、貯蔵容器と発熱体の間の液体供給経路に沿って移動可能である。
【0032】
よって、こうした実施形態において、液体エアロゾル形成基体の特性の保存は、有利なことに特に好ましい。一方で、移動要素は貯蔵容器のリッドまたはカバーとして効果的に機能するため、移動要素が貯蔵容器から離れて移動する時、液体エアロゾル形成基体の液滴が貯蔵容器の出口を通して望ましくなく放出されうる。特に好ましい実施形態において、流体透過性発熱体(例えば、メッシュヒーターの形態で提供される発熱体)の使用は、実質的にフィルターとして機能することによって、これに対抗する。
【0033】
代替的な実施形態において、移動要素は貯蔵容器と結合して移動可能であり、移動要素が加熱位置にある時に、移動要素が発熱体と動作可能に結合され、液体エアロゾル形成基体が移動要素から発熱体へと供給されるように装置は構成されている。
【0034】
こうした実施形態では、一部の熱が、使用中に、貯蔵容器中の液体エアロゾル形成基体の供給量の残りの部分に伝導または対流によって供給されうる可能性があるが、この配設は有利なことに、エアロゾル形成基体の損失の可能性を最小化する。
【0035】
装置は、電源と、コントローラと、移動要素を液体供給経路に沿って移動するためのアクチュエータとをさらに備えることが好ましい。コントローラは、ユーザーの吸入を示す気流の検出の変化に基づいて、装置中の場所で気流をモニターし、移動要素が単独でまたは貯蔵容器と結合して、装填位置から加熱位置に移動するようにアクチュエータに電力を供給し、発熱体に電力を供給して、移動要素中に保持された液体エアロゾル形成基体を気化するように構成されている。これは、ユーザーの装置での吸煙に応答して、装置は一部の液体エアロゾル形成基体を加熱位置に自動的に移動させるように構成されており、そこで液体エアロゾル形成基体が加熱されて吸入可能なエアロゾルをユーザーに迅速かつ効率的に送達することができるという点で有利である。
【0036】
コントローラは、所定量の電力を発熱体に供給するように構成され、所定量の電力は、移動要素中に保持された液体エアロゾル形成基体の量を気化するのに十分であることがより好ましい。言い換えれば、コントローラは、有利なことに、使用中に実際の電流要件に合わせた熱エネルギーの量を供給するように発熱体を動作させるように構成されうる。このように、電力の無駄が望ましく減少し、発生した熱の量が移動要素の内容物のみを気化するために実質的に投与されるため、移動要素が次に貯蔵容器に戻されうる熱エネルギーを蓄積する可能性が減少する。これは、より効率的な全体的な電力管理をもたらす。同時に、移動要素または貯蔵容器が使用中に過熱されうる可能性が著しく減少する。
【0037】
一部の実施形態において、コントローラは、移動要素が所定の時間(THP)後に、単独でまたは貯蔵容器と結合して加熱位置から装填位置に戻るように、アクチュエータに電力を供給するように構成されうる。このように、装置は、ユーザーの吸入がまだ進行中であっても、こうした所定の時間後に移動要素を装填位置に戻すように構成されている。
【0038】
これは、移動要素が貯蔵容器のリッドまたはカバーとして機能し、単独で貯蔵容器の出口から離れて移動可能な実施形態では、液体エアロゾル形成基体が発熱体に移動されるたびに、貯蔵容器の出口は、所定の時間(加熱時間、THP)および移動要素を装填位置から加熱位置に移動して戻すために必要な時間(TM)の合計に対応する開放時間(TO)の間だけ、リッドまたはカバーなしのままとなる。移動要素を移動するために必要な時間(TM)は、適切なアクチュエータおよび電源を選択することによって短くなると判断されうるため、全体的な開放時間(TO)が最小化されて、貯蔵容器からの漏れを防止するのに役立ちうる。
【0039】
さらに、これは、移動可能な移動要素が、所定の概して短い加熱時間(THP)の間のみ発熱体と動作可能に結合したままでいるため、(移動要素が単独で移動可能な実施形態において)移動要素が装填位置に戻った時、貯蔵容器に移動されうる過剰な量の熱を移動要素が蓄積する可能性が低いという利点を有する。移動要素が貯蔵容器と結合して移動可能である実施形態では、伝導または対流によって移動要素および貯蔵容器に供給されうる熱の量がこのように最小化されうるため、移動要素がこのように短時間の間発熱体と動作可能に結合したままでいることも有利である。
【0040】
コントローラが、所定の加熱時間(THP)の後、移動要素を加熱位置から装填位置に戻すように構成されている実施形態では、ユーザーの吸入の持続時間、移動要素に装填されて発熱体に送達されうるエアロゾル形成基体の量、加熱時間(THP)のうちの一つ以上に応じて、コントローラは、移動要素を単独でまたは貯蔵容器と結合して、装填位置と移動位置の間で行き来させるように構成されうる。これらのパラメータを調整することにより、有利なことに、移動要素が加熱位置において事実上費やす時間を最小化する一方、同時に、適切な量のエアロゾル形成基体がエアロゾル化され、吸入中にユーザーに送達されることを確実にする。
【0041】
代替的な実施形態では、コントローラは、ユーザーの吸入の終了を示す装置中の場所での気流の変化の検出に基づいて、移動要素が、単独でまたは貯蔵容器と結合して加熱位置から装填位置に戻るように、アクチュエータに電力を供給するように構成されうる。
【0042】
こうした実施形態では、発熱体に移動される液体エアロゾル形成基体の量は一般的により大きく、ユーザーが吸入の持続時間全体にわたって十分な量のエアロゾルを受容できることを確実にするのに十分でなければならない。一方、装填位置と加熱位置の間の移動要素の移動は、上述の実施形態よりも遅い場合があり、これは移動要素が単独で移動可能である場合、有利なことに、移動要素の移動中に液体エアロゾル形成基体の液滴が形成されるのを防止しうる。
【0043】
移動要素が単独で移動可能である実施形態では、移動要素は、第一の端表面と、第一の端表面から遠位にある第二の端表面とを備えてもよく、移動要素および発熱体のうちの少なくとも一つが装填位置にある時、第一の端表面は貯蔵容器に面している。一部の実施形態において、装置は、移動要素および発熱体のうちの少なくとも一つが装填位置にある時、移動要素の第一の端表面が発熱体に面するように構成されうる。
【0044】
このように、こうした装置は、装填位置と加熱位置の間で移動する際に、その軸の周りに移動要素を効果的に回転させるように構成されている。一例として、移動要素が、対向する実質的に平坦な端表面の間に延びる場合、装置は、移動要素を装填位置と加熱位置の間で移動させる間に、移動要素を約180度回転させるように構成されている。こうした実施形態では、移動要素は貫通孔を有さなくてもよく、これは、移動要素が出口貯蔵容器に寄せて置かれている時、貯蔵容器からのエアロゾル形成基体の漏れがより効果的に防止されうるという点で有利でありうる。
【0045】
移動要素の対向する端表面は、液体が発熱体へと放出されうるように、液体を可逆的に引き付けて捕捉するために適切なきめを施してもよい。一例として、移動要素の表面は、複数のスパイクを備えてもよい。
【0046】
装置は、移動要素を加熱位置から装填位置へと戻す間に、移動要素がその初期配向に回転して戻らないように構成されることが好ましい。このように、装填位置に戻った時、移動要素は、発熱体と接触していなかった端表面の側面で貯蔵容器に接触する。これは、有利なことに、これは、ほとんど移動要素の反対側の端表面上に蓄積される熱の貯蔵容器への伝達を防止するのに役立ちうる。
【0047】
代替的な実施形態では、移動要素は、第一の端表面から第二の端表面に延びる少なくとも一つの貫通導管を備えてもよく、また装置は、移動要素および発熱体のうちの少なくとも一つが装填位置にある時、移動要素の第二の端表面が発熱体に面するように構成されてもよい。
【0048】
これは、液体エアロゾル形成基体が少なくとも一つの導管を通して移動されうるので、移動要素の移動が全体として簡略化されるという点で有利であり、これは移動要素を移動させる際に液体基体に伝達される運動エネルギーによって促進されうる。一部の好ましい実施形態では、移動要素は、メッシュなどの流体透過性要素の形態で提供されうる。移動要素および発熱体の両方が、流体透過性要素の形態で提供されうることがより好ましい。例えば、両方ともメッシュとして提供することができ、メッシュのそれぞれのグリッドは、装填位置にある時、移動要素のメッシュのワイヤが発熱体のメッシュの隣接するワイヤ間のギャップに面するように相互に配設されている。
【0049】
メッシュは織られていてもよく、または不織であってもよい。メッシュは、異なるタイプの織り構造または格子構造を使用して形成されてもよい。メッシュはまた、液体を保持するその能力によって特性付けられうる。
【0050】
その他の実施形態において、発熱体は貯蔵容器までおよび貯蔵容器から移動可能であり、装置は、発熱体が装填位置にある時に、移動要素が発熱体と動作可能に結合して、液体エアロゾル形成基体が移動要素から発熱体に供給されるように構成されている。
【0051】
発熱体は、貯蔵容器および移動要素とは独立して移動可能であることが好ましい。言い換えれば、発熱体が装填位置と加熱位置の間を移動する時、貯蔵容器および移動要素は発熱体と共に移動しないことが好ましい。実際には、発熱体のみが液体供給経路に沿って移動可能である。
【0052】
こうした実施形態において、発熱体はメッシュなどの流体透過性要素として提供されるか、または液体エアロゾル形成基体が貯蔵容器から加熱位置に運ばれうるように、加熱手段に取り付けられた高保持材料(HRM)の一部分を含む。実際には、発熱体は両方ともエアロゾル形成基体を貯蔵容器から離れるように移動させ、エアロゾルをユーザーに送達するためにエアロゾル形成基体を加熱する。
【0053】
これらの実施形態の一部において、装置は、発熱体を移動させるためのアクチュエータを備えてもよく、装置のコントローラは、ユーザーの吸入を示す気流の変化の検出に基づいて、装置中の場所で気流をモニターするように、および発熱体が加熱位置から装填位置に移動して戻るように、または装填位置から加熱位置に移動するように、アクチュエータに電力を供給するように構成されている。さらに、コントローラは、所定量の電力を発熱体に供給するように構成され、所定量の電力は、発熱体が発熱体中に保持された液体エアロゾル形成基体を気化するのに十分である。
【0054】
代替的な実施形態において、エアロゾル発生装置は、ユーザーの吸入によって決定される圧力変化に応答して、発熱体が装填位置から加熱位置に移動可能であるように構成されている。これは、有利なことに、電子的に制御されたアクチュエータの必要がないため、装置の構造および動作を簡略化することができ、発熱体(これも液体エアロゾル形成基体を貯蔵容器から離れるように運ぶタスクを実施する)は、ユーザーが装置を通してその中に空気を引き出すことによって生じる圧力変化に応答して、空気式または機械的なアクチュエータによって移動される。
【0055】
好ましい実施形態において、本発明によるエアロゾル発生装置は、移動要素および発熱体のうちの少なくとも一つに接続されたコントローラを備え、コントローラは、少なくとも一つの移動要素および発熱体の電気特性の変化をモニターするように構成され、電気特性は、移動要素および発熱体のうちの少なくとも一つによって担持される液体エアロゾル形成基体の量の変化を示す。
【0056】
本発明によるエアロゾル発生装置では、発熱体および移動要素のうちの少なくとも一つは流体透過性であることが好ましい。
【0057】
本発明によるエアロゾル発生装置において、移動要素は、貯蔵容器から所定量の液体エアロゾル形成基体を受容して保持するように適合され、発熱体と動作可能に結合した時に、受容した所定量の液体エアロゾル形成基体を発熱体に供給する能力を有することが好ましい。これは、移動要素が貯蔵容器と発熱体の間で移動されるたびに、有限かつ既知の量のエアロゾル形成基体が貯蔵容器から加熱要素に移動されるため、移動要素が貯蔵容器から発熱体に運んだものに対応する有限かつ所定量の熱をエアロゾル形成基体に供給するように、発熱体に供給される電力量を制御することが容易であるという点で有利である。これは、発熱体は、所定量のエアロゾル形成基体のみをエアロゾル化するのに必要かつ十分な正確な熱量を供給するために電力供給されうるので、電力消費量の観点からエアロゾル発生装置の非常に効率的な管理を可能にする。さらに、移動要素が過熱する可能性、および移動要素が装填位置に戻された時に過剰の熱が貯蔵容器に供給される可能性が著しく減少しうるという結果をもたらす。
【0058】
所定量の液体エアロゾル形成基体は、少なくとも約3マイクロリットルであることが好ましい。所定量の液体エアロゾル形成基体は、少なくとも約6マイクロリットルであることがより好ましい。加えて、または別の方法として、所定量の液体エアロゾル形成基体は、約30マイクロリットル未満であることが好ましい。
【0059】
本発明によるエアロゾル発生装置の構成要素は、いくつかの設定による空間に配設されうる。貯蔵容器、移動要素および発熱体が互いに対して空間中にどのように配設されるかに応じて、液体供給経路のいくつかの空間的構成が可能である。
【0060】
本発明によるエアロゾル発生装置の様々な構成要素の異なる空間的配設が可能である。一部の実施形態において、移動要素および発熱体は長軸方向に整列されていて、装填位置における移動要素と装填位置の間の長軸方向の距離は、加熱位置における移動要素と発熱体の間の長軸方向の距離と異なる。これらの実施形態では、貯蔵容器の出口と発熱体の間に長軸方向に延びる液体供給経路を特定することができる。
【0061】
一般に、移動要素が単独または貯蔵容器と結合して移動可能な場合、移動要素は装填位置では加熱位置よりも発熱体から遠くに離れることになる。貯蔵容器が移動要素と共に移動する実施形態において、液体供給経路の長さは、加熱位置では装填位置よりも小さくなる。発熱体が移動可能である場合、装填位置における発熱体と移動要素の間の長軸方向の距離は、加熱位置における発熱体と移動要素の間の長軸方向の距離よりも短くなる。
【0062】
その他の代替的実施形態において、移動要素および発熱体は実質的に同心状に配設され、装填位置における移動要素と発熱体の間の半径方向距離は、加熱位置における移動要素と発熱体の間の半径方向距離とは異なる。
ここで、図を参照しながら本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1図1は、本発明の実施形態によるエアロゾル発生装置の装填位置における詳細の概略断面側面図を示す。
図2図2は、図1のエアロゾル発生装置の加熱位置における詳細の概略断面側面図を示す。
図3図3は、本発明によるエアロゾル発生装置の代替的な実施形態によるエアロゾル発生装置の詳細の概略断面側面図を示す。
図4図4は、図3のエアロゾル発生装置の詳細の装填位置における概略断面上面図を示す。
図5図5は、図3のエアロゾル発生装置の詳細の加熱位置における概略断面上面図を示す。
【0064】
図1および図2に示すエアロゾル発生装置100は、液体エアロゾル形成基体の供給量を含有する貯蔵容器10を備え、貯蔵容器10は出口12を有する。さらに、装置100は、貯蔵容器10から長軸方向に間隔を置いた発熱体14を備える。発熱体14は、液体エアロゾル形成基体を気化して吸入可能なエアロゾルを形成するように適合されている。
【0065】
エアロゾル発生装置100は、貯蔵容器10と発熱体14の間に位置する移動要素16をさらに備える。移動要素16は、貯蔵容器10から液体エアロゾル形成基体11を受容して保持するように適合されていて、加熱体14と動作可能に結合して、貯蔵容器10から受容した液体エアロゾル形成基体を発熱体14に供給する能力を有する。図1および1の実施形態では、貯蔵容器10の出口12から発熱体14に延びる液体供給経路を特定することができる。こうした液体供給経路に沿って、移動要素16は貯蔵容器10の下流にあり、発熱体14の上流にある。
【0066】
より詳細には、移動要素16は、貯蔵容器10から所定量の液体エアロゾル形成基体、すなわち約3マイクロリットルの液体エアロゾル形成基体を受容して保持するように適合され、発熱体14と動作可能に結合した時に、こうした受容した所定量の液体エアロゾル形成基体を発熱体14に供給する能力を有する。
【0067】
この実施形態において、移動要素16は、装填位置(図1に示す)と加熱位置(図2に示す)の間で移動可能である。図1および2のエアロゾル発生装置は、移動要素16が装填位置にある時、移動要素16が貯蔵容器10の出口12と流体連通するように構成されている。移動要素16が加熱位置にある時、移動要素16は発熱体14と流体連通し、発熱体が起動されて移動要素16中に保持された液体エアロゾル形成基体を気化する。
【0068】
図1および2のエアロゾル発生装置は、電源およびコントローラを備える電子回路18と、移動要素16を貯蔵容器10と発熱体14の間で液体供給経路に沿って移動するためのアクチュエータ(図示せず)とをさらに備える。コントローラは、(図1および2の矢印によって概略的に示す)ユーザーの吸入を示す気流の変化の検出に基づいて、装置100中の場所で気流をモニターし、移動要素16が単独で装填位置から加熱位置に移動するようにアクチュエータに電力を供給し、所定量の電力を発熱体14に供給するように構成され、所定量の電力は発熱体が移動要素16中に保持された液体エアロゾル形成基体を気化するのに十分である。
【0069】
図3の参照番号200は、本発明によるエアロゾル発生装置の別の実施形態を特定する。装置200は、装置の様々な構成要素の空間的配設について装置100とは異なる。以下にさらに詳細に記述されるように、この実施形態において、移動要素16および発熱体14は実質的に同心状に配設され、装填位置における移動要素16と発熱体14の間の半径方向距離は、加熱位置における移動要素16と発熱体14の間の半径方向距離とは異なる。明瞭にするために、装置100の構成要素に構造的および機能的に対応する装置200の構成要素を特定するために、可能な限り同じ数字が以下の説明で使用される。
【0070】
エアロゾル発生装置200は、液体エアロゾル形成基体の供給量を含有する貯蔵容器10を備え、貯蔵容器10は二つの出口12を有する。図4および図5に示すように、貯蔵容器10は環状断面を有する。さらに、装置200は、中央に配設され、かつ貯蔵容器10の出口12から半径方向に間隔を置いた発熱体14を備える。発熱体14は、液体エアロゾル形成基体を気化して吸入可能なエアロゾルを形成するように適合されている。
【0071】
エアロゾル発生装置200は、貯蔵容器10と発熱体14の間の半径方向中間位置に位置する一対の移動要素16をさらに備える。移動要素16は、貯蔵容器10から液体エアロゾル形成基体を受容して保持するように適合されていて、加熱体14と動作可能に結合して、貯蔵容器10から受容した液体エアロゾル形成基体発熱体の供給量を発熱体14に供給する能力を有する。
【0072】
この実施形態において、両方の移動要素16は、装填位置(図4に示す)と加熱位置(図5に示す)の間で移動可能である。図3、4、5のエアロゾル発生装置は、移動要素16が装填位置にある時、移動要素16が貯蔵容器10の出口12と流体連通するように構成されている。移動要素16が加熱位置にある時、移動要素16は発熱体14と流体連通し、発熱体が起動されて移動要素16中に保持された液体エアロゾル形成基体を気化する。
図1
図2
図3
図4
図5