(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】RFシェーバーコネクタ
(51)【国際特許分類】
A61B 18/12 20060101AFI20240509BHJP
【FI】
A61B18/12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021073899
(22)【出願日】2021-04-26
【審査請求日】2021-09-10
(32)【優先日】2020-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】594089821
【氏名又は名称】ジャイラス メディカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ネイサン フィリップ ブレイク
(72)【発明者】
【氏名】リディアン ホディノット
【審査官】和田 将彦
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03505081(EP,A1)
【文献】国際公開第2019/002964(WO,A1)
【文献】ベルギー国特許発明第1009803(BE,A)
【文献】米国特許第02700141(US,A)
【文献】英国特許出願公告第01184250(GB,A)
【文献】特開昭58-161279(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03069678(EP,A1)
【文献】特開2018-029953(JP,A)
【文献】米国特許第04427006(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12 - 18/16
H01R 13/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドピースに取り外し可能に接続されるように構成された電気手術器具であって、前記電気手術器具は:
細長いシャフトと、
前記細長いシャフトの遠位端にエンドエフェクタと、
ハブと、
前記ハブ内の電気コネクタインタフェースであって、前記ハンドピースの少なくとも1つのオス型電気ピンを使用時に受け入れるように構成された少なくとも1つのメス型電気ソケットを有する電気コネクタインタフェースと、を備え、
最初に使用する前に、前記少なくとも1つのメス型電気ソケットは、貫通可能
であり変形可能なシーリング層によって、前記電気手術器具の外部から遮断されており、その配置は、前記シーリング層が最初の使用時に前記少なくとも1つのオス型電気ピンによって貫通されるように構成された配置であり、
前記少なくとも1つのメス型電気ソケットは、少なくとも1つの電気接点を備え、
前記シーリング層は、前記少なくとも1つの電気接点と、前記少なくとも1つのメス型電気ソケットの開口部との間に提供され
、
前記シーリング層は、使用時に、前記オス型電気ピンが前記メス型電気ソケットに挿入される際に、
非滅菌物質の侵入を防ぐためのワイパーシールを提供するように構成され、
前記シーリング層は、前記少なくとも1つのオス型電気ピンによって穿孔された後、
前記少なくとも1つのオス型電気ピンの周囲に、前記メス型電気ソケットへの流体の侵入を防止する流体密封の放射状シールを提供し続け、
前記シーリング層は、前記ハブ内の前記オス型電気ピンの電気的導電性部の全体をシールする、
電気手術器具。
【請求項2】
前記少なくとも1つのオス
型電気ピンを前記少なくとも1つのメス型電気ソケットから取り外した後、前記シーリング層が、前記少なくとも1つのメス型電気ソケットを前記電気手術器具の前記外部から遮断するように閉じるように構成される、
請求項1に記載の電気手術器具。
【請求項3】
前記シーリング層は、セプタムガスケットである、
請求項1又は請求項2に記載の電気手術器具。
【請求項4】
前記シーリング層は、ポリマー材料を、好ましくはエラストマー材料を備える、
請求項1~3のいずれか1項に記載の電気手術器具。
【請求項5】
前記エンドエフェクタは、組織を切断、アブレーション、及び/又は凝固するために、少なくとも1つの切断面及び/又は少なくとも1つの電極を備える、
請求項1~4のいずれか1項に記載の電気手術器具。
【請求項6】
ハンドピースと、請求項1~5のいずれか1項に記載の電気手術器具とを備え、
前記ハンドピースは、前記少なくとも1つのメス型電気ソケットに対応するように構成された少なくとも1つのオス型電気ピンを備える、
電気手術システム。
【請求項7】
少なくとも1つのオス型電気ピンは、使用時に、
前記電気的導電性部が前記シーリング層によって前記メス型電気ソケット内でシールされるように構成された、前記電気的導電性部を備える、
請求項6に記載の電気手術システム。
【請求項8】
少なくとも1つのオス型電気ピンは、使用時に、前記シーリング層が電気的絶縁性部の外周面の周りをシールするように構成された、前記電気的絶縁性部を更に備える、
請求項7に記載の電気手術システム。
【請求項9】
高周波電気手術ジェネレータ、請求項1~
5のいずれか1項に記載の電気手術器具、及び、請求項6~8のいずれか1項に記載のハンドピースを備える、
電気手術システム。
【請求項10】
前記高周波電気手術ジェネレータは、一体となっている部分として前記ハンドピース内に含まれる、
請求項9に記載の電気手術システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載された本発明の実施の形態は、電気手術デバイスに関し、特に、使い捨てのできる器具がコネクタを介してハンドピースに接続可能であり、コネクタがそれらの間の電気的及び機械的接続を容易にする、電気手術デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
電気手術器具は、凝固及び組織シーリングの目的で使用できるという点で、伝統的な手術器具に勝る利点を提供する。そのような従来技術の配列の1つは、米国特許第5,904,681号明細書で知られており、ロータリーブレード又はバリなどの機械的切断部、及び、バイポーラモードで動作する電子手術デバイスを備える高周波(RF)切断及び/又は焼灼部を含む手術器具を記載している。
【0003】
別の従来技術の配列が米国特許第9,017,851号明細書で知られており、医療デバイスに電力を供給するための装置であって、バッテリーパックを覆う保護層と接続機能とを含む装置を記載している。接続機能は、例えば保護層を貫通して保護層内から医療デバイスとの電気通信を確立することができる電極を有することによって、流体密封シールを提供し、それによって非滅菌バッテリーパックが滅菌(無菌)医療デバイスに電力を供給することを可能にする。
【0004】
別の従来技術の配列が欧州特許第0,746,251号明細書で知られており、統合されたカテーテルアセンブリであって、灌注流体管腔を有するカテーテル、電極を有する遠位先端部、及びカテーテル管腔と遠位先端部の管腔を通って延在するニードルを含むアセンブリを記載している。カテーテルは、ニードルのためのシーリングエントランスを提供するニードルハブ構造によって運ばれ、ニードルは、電気的に隔離されている間、伸ばした位置と引っ込めた位置との間で動かすことができる。
【0005】
別の従来技術の配列が米国特許出願公開第2009/221955号明細書で知られており、遠位端を有するアブレーション装置であって、前記遠位端で、トランスデューサによって駆動されるアブレーションプローブが組織を切除するために振動することができる装置を記載している。
【発明の概要】
【0006】
本発明の実施の形態は、電気コネクタインタフェース及びエンドエフェクタを備え、細長いシャフトを有する改良された手術器具を提供する。エンドエフェクタは、異なる操作(オペレーション)が可能な既知のエンドエフェクタを備えてもよく、操作は組織の機械的切断、及び、組織の電気手術的アブレーション、シーリング及び/又は凝固を含む。電気手術器具は、流体、機械的動力、及び/又は高周波(RF)電気信号を提供するためにハンドピースに接続することができる。電気コネクタインタフェースは、機器のハブに備えられてもよく、ハブは、ハンドピースとの機械的及び電気的接続を可能にするように構成される。電気コネクタインタフェースは、少なくとも1つのソケットを備える。ハンドピースは、少なくとも1つの電気ピンを備える。少なくとも1つのソケットは、電気接点面によって定義されてもよく、又は、その中に配置された電気接点であって、ハンドピースの少なくとも1つの電気ピンを受け入れることができる電気接点を備えてもよい。少なくとも1つのソケットの各々は、電気コネクタインタフェースの外部からソケットを分離するように構成されたシーリング層を備え、それによってハブ内の電気接点をシール(密封)する。ハンドピースを電気コネクタインタフェースに密着させると、電気ピンがシーリング層に穴を開けることができる。電気ピンの近位端は、電気的絶縁性部を備える。このようにして、電気ピンは、ソケットに完全に挿入されたときに、電気ピンの電気的導電性部全体がシーリング層によってハブ内でシールされるように構成されてもよい。これにより、電気ピンと電気接点の間に電気接続が提供され、ソケットが流体やその他の物質の侵入から保護され、電気手術器具とハンドピースの間の清潔で乾燥した電気接続が可能になり、電気ピンを互いに分離してそれらの間の短絡を防ぐことを確立する。
【0007】
有利なことに、この構成は、ハンドピースが電気手術器具に電力を提供するために必要なインフラストラクチャを提供するように、電気手術器具とハンドピースとの間の電気的接続を可能にする。これは、電気手術器具に電力を提供するためのインフラストラクチャがハンドピースに含まれておらず、それによってシステムの使いやすさを低下させる外部ケーブルの追加を必要とする以前の電気手術システムに対する改善である。そのような外部ケーブルは、システムの構成要素の数を増やすことに加えて、通常、電気的短絡を防ぐために電気手術器具及び/又はハンドピースと共に適切にシーリングする必要があるが、本構成は、そのような必要性を電気手術器具自体に統合する。
【0008】
上記を考慮して、1の態様から本発明は、ハンドピースに取り外し可能に接続されるように構成された電気手術器具を提供し、前記電気手術器具は:
細長いシャフトと、
前記細長いシャフトの遠位端にエンドエフェクタと、
使用中にハンドピースの少なくとも1つのオス型電気ピンを受け入れるように構成された少なくとも1つのメス型電気ソケットを有する電気コネクタインタフェースと、を備え、
前記少なくとも1つのメス型電気ソケットは、最初の使用の前に、貫通可能なシーリング層によって、前記電気手術器具の外部から遮断され、その配置は、前記シーリング層が最初の使用時に前記少なくとも1つのオス型電気ピンによって貫通されるように構成された配置である。
【0009】
そのような構成は、外部ケーブルの必要性を排除する、統合された電気コネクタインタフェースを使用して、電力を供給され得る電気手術器具を提供することによって当該技術分野で既知のものを改善する。このようにして、デバイスはよりコンパクトになり、ユーザによってより簡単に操作できるようになる。この利点は、そのようなデバイスの侵入保護の必要性を損なうことなく実現される。特に、貫通可能なシーリング層によってシールされるメス型電気ソケットは、湿気及び他の物質がメス型電気ソケット内に侵入するのを防ぐ。この構成は、ハンドピースの電気ピン間の短絡の可能性を狭める。
【0010】
本発明の実施の形態の更なる特徴及び利点は、添付の特許請求の範囲から更に明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明の更なる特徴及び利点は、例としてのみ提示される、その実施の形態の以下の説明から、及び、図面を参照することによって、明らかになるであろう。
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る電気手術器具を含む電気手術システムの概略図である。
【0013】
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態に係る電気手術システムの斜視図である。
【0014】
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態に係る電気手術システムのハンドピースの更なる斜視図である。
【0015】
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態に係る電気手術器具の側面図である。
【0016】
【
図5】
図5は、本発明の実施の形態に係る電気手術器具の斜視図である。
【0017】
【
図6】
図6は、本発明の実施の形態に係る電気手術システムの垂直断面図である。
【0018】
【
図7】
図7は、本発明の実施の形態に係る電気手術システムの更なる垂直断面図である。
【0019】
【
図8】
図8は、本発明の実施の形態に係る電気手術システムの更に別の垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
電気手術器具は、組織のアブレーション(ablation)、シーリング(sealing)、切除(resection)、及び凝固(coagulation)などの処置を実行するための電気手術システムとの関連で本明細書に記載されている。この装置は、機械的及び/又はRF出力を提供することができる電気手術ジェネレータを含む。このような出力は、ディスプレイに表示される様々な設定のレベルやその他の情報と共に、プッシュボタン(押しボタン)やスイッチなどの、様々なユーザ入力によって制御されてもよい。ジェネレータは、電力及びRF信号を電気手術デバイスに伝送することができる接続コードを介して電気手術デバイスに接続される。加えて、灌注(irrigation)及び吸引(suction)源が提供され、チューブを介して、電気手術デバイスから流体を引くことができる又は電気手術デバイスに流体を提供することができる。接続コードとチューブは、電気手術デバイスのハンドピースに接続される。ハンドピースは、開業医が電気手術デバイスを操作することができる手段を提供し、ハンドピースは、ジェネレータの機械的及び/又はRF出力を制御するために、ユーザ入力デバイスを更にその上に有してもよい。
【0021】
ハンドピースは接続部を備え、電気手術器具を接続部で取り外し可能に接続することを可能にする。接続部はオス型電気ピンを含み、一方で、電気手術器具はハブを備え、その中にメス型電気接点を有する。メス型電気接点は、それら(電気接点と電気ピン)が互いに接触するとき、オス型電気ピンの少なくとも一部を囲むように構成することができる。メス型電気接点は、電気手術器具の電気コネクタインタフェースにあるハブのソケット内に備えられる。ソケットの内部を外部から遮断するために、少なくとも1つのソケットは変形可能なシーリング層によって覆われる。ハンドピースのオス型電気ピンがソケットに向けられると、オス型電気ピンがシーリング層を貫通して、その中にボイド(空間)を作成し、オス型電気ピンがソケットの内部にあるメス型電気接点にアクセスすることを可能にし、それにより、オス型電気ピンとメス型電気接点の間の電気的接続を可能にするように、電気コネクタインタフェースは構成される。特に、シーリング層は、ソケット内部をシールし、流体の侵入などのハブの外部から生じる侵入からソケットを保護する一方で、ボイドを介したオス型電気ピンの進入を可能にする手段を提供する。ソケットからオス型電気ピンを取り外すと、シーリング層がソケット内部への侵入の保護を提供し続けるように、シーリング層は、シーリング層のボイドが閉じるように配置される。更に、オス型電気ピンをソケットに再挿入すると、貫通されたシーリング層はワイパーとして機能して、電気ピンがソケットに入るときに電気ピンのクリーニング(洗浄)及び乾燥を可能にしてもよい。
【0022】
図面を参照すると、
図1は、接続コード4を介して、電気手術デバイス12に、高周波(RF)出力を提供する出力ソケット2を有する電気手術ジェネレータ1を含む電気手術装置を示す。デバイス12は、灌注及び吸引チューブ14を有し、チューブ14は、灌注流体及び吸引源10に接続される。ジェネレータ1の起動は、デバイス12から、デバイス12上のハンドスイッチ(不図示)を介して、又は、フットスイッチ接続コート6によってジェネレータ1の後部に取り外し可能に接続されたフットスイッチユニット5によって、実行されてもよい。図示の実施の形態では、フットスイッチユニット5は、ジェネレータ1の凝固モード、又は、切断又は蒸発(アブレーション)モードをそれぞれ選択するための2つのフットスイッチ5a及び5bを有するが、本明細書に記載の電気手術デバイス12の実施の形態によっては、凝固又はアブレーションモードの一方又は他方のみが使用され、鋭利な切り欠き部分を有する回転管(チューブ)によって機械的に提供される切断を伴う、ことが想定される。ジェネレータのフロントパネルは、アブレーション(切断)又は凝固パワーレベルをそれぞれ設定するためのプッシュボタン7a、7bを有し、それらはディスプレイ8に示される。プッシュボタン9は、アブレーション(切断)モード及び凝固モードの間で選択するための代替手段として提供される。
【0023】
図2は本発明の一実施の形態の基礎を形成する電気手術デバイス12を示す。電気手術デバイス12は、ハンドピース100と、ハンドピース100に十分に挿入された電気手術器具120とを備える。ハンドピース100はまた、操作者がデバイスの機械的切断又は電気手術操作を起動できるようにするための起動ボタン(不図示)を備えてもよい。器具120は、遠位端にエンドエフェクタアセンブリ126を有し、近位端にハブ110を有する細長いシャフト124を備える。図示の例では、ハブ110はシャフト124の周りに固定され、それ自体がハンドピース100に取り外し可能に接続される。このようにして、器具120はハンドピース100に取り外し可能に接続することができる。ハンドピース100は、電気手術ジェネレータ1を介して電力が供給されるとして上記に記載されている一方で、機械的駆動及び/又はRF信号は、操作のために電気手術ジェネレータを必要とすることなく、その一体型の構成要素の一部としてハンドピース自体から提供されてもよいことが理解されよう。
【0024】
図3は、電気手術器具120のない、ハンドピース100を示す。ハンドピース100は、遠位の対向する端に接続部101を備える。図示の例では、接続部101は、ハンドピース100内の奥まった所に置かれる。接続部101は、接続部101の遠位の対向する表面から突出する少なくとも1つのオス型電気ピン102を備える。図示の例では、接続部101は、五角形の形状に配置された5つのオス型電気ピン102a、102b、102c、102d、102eを備える。3つのオス型電気ピン102a~102cは、残りの2つのオス型電気ピン102d、102eと比較して、より大きな直径を有し、接続部101から更に突出している。1つの特定のオス型電気ピン102aを参照すると、オス型電気ピン102aの遠位端に電気的導電性部103が提供され、オス型電気ピン102aの近位端に電気的絶縁性部104が提供される。同等の電気的導電性部及び電気的絶縁性部が、残りのオス型電気ピン102b~102eのそれぞれに提供されてもよい。ハンドピース100は、上部溝(top groove)109a及び下部溝(bottom groove)109bを有するボア(bore、穴)105を更に備える。
【0025】
図4は、ハンドピース100のない、電気手術器具120を示す。電気手術器具120は、細長いシャフト124を備える。電気コネクタインタフェース110aは、細長いシャフト124の近位端に提供される。電気コネクタインタフェース110aは、ハブ110に備えられてもよい。エンドエフェクタ126は、細長いシャフト124の遠位端に提供される。エンドエフェクタ126は、アブレーション及び/又は凝固処置のための少なくとも1つの電極(不図示)を備えてもよく、代わりに又は追加的に、機械的切断(cutting)処置のための少なくとも1つのカッティングブレード(不図示)を備えてもよい。カッティングブレードの少なくとも1つのカッティング表面は、エンドエフェクタ126の軸を中心にその回転を可能にするために、エンドエフェクタ126に同心円状に配置されてもよい。
【0026】
図5は、電気手術器具120の近位端を示し、特にハブ110の電気コネクタインタフェース110aの詳細を更に示す。シャフト124は、ハブ110の円形の穴116に受け入れられることができる。電気コネクタインタフェース110aは、電気手術器具120の近位方向に面する(対向する)入口を有する少なくとも1つのソケット112を備える。図示の例では、電気コネクタインタフェース110aは、オス型電気ピン102a~102eに対応する五角形の形状に配置された5つのソケットとしての112a、112b、112c、112d、112eを備える。3つのソケット112a~112cへの入口は、残りの2つのソケット112d、112eの入口よりも大きな直径を有する。図示の例では、ハブ110は、電気手術器具120の近位方向にハブ110から延びる円形プラグ115を更に備える。プラグ115は、ハンドピース100のボア105に対応する位置で、その中に受け入れられるように、ハブ110に配置される。プラグ115は、アラインメント(位置合わせ)手段118を備えてもよく、この図では、プラグ115から器具120の近位方向に、軸方向に延びる一組の歯として示されている。プラグ115は、ハンドピース100の上部溝及び下部溝109a、109bの位置に対応する位置であって、プラグ115の周りに放射状に配置される上部凸部119a及び下部凸部119bを更に備えてもよい。ソケット112の少なくとも1つの入口にシーリング層114が提供される。シーリング層114は、ソフトポリマーセプタム(隔壁)ガスケットであってもよく、エラストマーであってもよい。図示の例では、ソケット112a~112eの各々は、その入口にシーリング層114を備える。シーリング層114の更なる詳細は、以下に
図6に関連して記載される。
【0027】
図6は、機器120のハブ110及びハンドピース100の接続部101の断面図を示す。ハブ110及びハンドピース100は、プラグ115が部分的に接続部101に挿入されたように配置されて示されている。1つの特定のソケット112aを参照すると、対応する電気接点113aが提供されている。図示の例では、ソケット112aは、ハブ110内の細長いチャンバーである。細長いチャンバーは、リム(周縁)111によって規定される直径が縮小された開口部を有する。電気接点113aは、ソケット112a内に配置されたメス型電気接点であってもよい。シーリング層114は、電気接点113aとソケット112aの開口部との間のソケット112aへの入口に提供されてもよい。特に、シーリング層は、電気接点113aとリム111との間に提供されてもよい。シーリング層114は、ソケット112aの内部長手方向表面の少なくとも一部の周りに延在してもよい。上記の説明は、同等の方法で残りのソケット112b~112eにも適用されてもよい。
【0028】
図7は、ハブ110が十分に接続部101に挿入されたように示されている、ハブ110及び接続部101の更なる断面図を示す。この配置において、プラグ115はボア105内にフィット(適合)でき、一方で凸部109a、109bは、グルーブ119a、119bに沿ってスライドして、ハンドピース100に関して電気コネクタインタフェース110aの軸方向の及び半径方向(放射方向)の位置を固定してもよい。電気コネクタインタフェース110aを特定の電気手術器具120の接続部101に向けて持ってくると、電気ピン102aは、ソケット112aに挿入され、電気接点113aに接続することができる。電気ピン102aをソケット112aに初めて挿入すると、シーリング層114は、電気ピン102aによって貫通され、それによって、電気ピン102aがソケット112aにアクセスすることを可能にしてもよい。電気ピン102aがソケット112aに十分に挿入されると、シーリング層114は、電気ピン102aの周りの放射状シールとして機能することができる。更に、シーリング層114は、ワイパーシールとして機能することができ、非滅菌物質からのソケット112aへの侵入を防ぐことができる。
【0029】
電気コネクタインタフェース110aがハンドピース100に十分に挿入されると、電気的導電性部103の全体がシーリング層114によってソケット112a内にシールされるように、電気ピン102aは配置されてもよい。電気ピン102aは、電気ピン102aの電気的絶縁性部104の内側に提供されるワイヤ(不図示)を通してハンドピース100に電気的に接続されてもよい。このように、潜在的に非滅菌物質がソケット112aに入るのを防ぎながら、電気ピン102aが電気接点113aと接触するようにしてもよく、それにより、電気ピン102aと電気接点113aとの間の、乾燥した清潔な接続を可能にする。上記の説明は、メス型電気接点113b~113eを有するソケット112b~112eに同等に適用することができる。したがって、この構成の別の利点は、特定の電気ピン102の電気的導電性部103が、その各々のソケット内で他の電気ピン102から遮断され、それにより複数の電気ピン102間の短絡の可能性を減少させる、ということであるとわかる。
【0030】
ハンドピース100から電気コネクタインタフェース110aを取り外すと、電気ピン102a~102eは、それらの対応するソケット112a~112eから取り外され、電気接点113a~113eとの接触から外される。電気ピン102がソケット112から完全に取り外されると、シーリング層114の弾性の性質がそれを塞ぐことを引き起こし、それにより、ソケット112を器具の外部から遮断し、湿気又は他の物質の侵入を防いでもよい。電気ピン102をソケット112に再挿入すると、シーリング層114は、ワイパーシールとして機能し、ソケット112へ入る時に電気ピン102から物質を除去してもよい。このようにして、ハンドピース100への電気コネクタインタフェース110aのその後の再挿入に対してさえ、シーリング層114は、少なくとも1つのオス型電気ピン102の電気的導電性部103をシールして、侵入の保護を提供し、短絡を防止する。
【0031】
図8は、ハブ110の電気コネクタインタフェース110aのソケット112aの更なる詳細を示す。特に、
図8は、シーリング層114がシールする表面を図解する。図示の例では、シーリング層114は、放射状(ラジアル)シールとして機能し、電気ピン112aの外周面の周りをシールすること、特に電気ピン112aの電気的絶縁性部104の周りをシールすることを提供できる。更に、シーリング層114は、リム111の表面の周りをシールすることを提供し、流体又は他の物質がシーリング層114を迂回する(避ける)のを防ぐことができる。シーリング層114は、少なくとも1つのソケット112の各々にとって、別個のシーリング層114として提供されてもよく、各シーリング層がソフトポリマーセプタムガスケットを備える。他に取り得る構成においては、シーリング層114は、例えばハブ110を覆うソフトポリマーの型を提供することによって、すべてのソケット112を同時にシールするように構成された単一の層として提供されてもよい。シーリング層114は、ソケット112aの内部位置に配置されていることが示されているが、シーリング層114は、単一のシーリング層又は複数の別個のシーリング層として提供され、電気コネクタインタフェース110aの外面上に配置されてもよいことが理解されるであろう。更に他に取り得る構成としては、ソケットごとに複数のシーリング層を備えてもよい。
【0032】
追加、削除、及び/又は置換によるかどうかにかかわらず、上記で説明された実施の形態のすべてに対して様々な改変が行われ、さらなる実施の形態を提供できるだろう、それらのいずれか及び/又はすべては、添付の特許請求の範囲に含まれることが意図されている。
[第1の局面]
ハンドピースに取り外し可能に接続されるように構成された電気手術器具であって、前記電気手術器具は:
細長いシャフトと、
前記細長いシャフトの遠位端にエンドエフェクタと、
前記ハンドピースの少なくとも1つのオス型電気ピンを使用時に受け入れるように構成された少なくとも1つのメス型電気ソケットを有する電気コネクタインタフェースと、を備え、
最初に使用する前に、前記少なくとも1つのメス型電気ソケットは、貫通可能なシーリング層によって、前記電気手術器具の外部から遮断されており、その配置は、前記シーリング層が最初の使用時に前記少なくとも1つのオス型電気ピンによって貫通されるように構成された配置である、
電気手術器具。
[第2の局面]
使用時に、前記シーリング層は、前記少なくとも1つのオス型電気ピンの周りに流体密封シールを提供するように構成される、
第1の局面に記載の電気手術器具。
[第3の局面]
前記少なくとも1つのオスの電気ピンを前記少なくとも1つのメス型電気ソケットから取り外した後、前記シーリング層が、前記少なくとも1つのメス型電気ソケットを前記電気手術器具の前記外部から遮断するように閉じるように構成される、
第1の局面又は第2の局面に記載の電気手術器具。
[第4の局面]
前記シーリング層は、セプタムガスケットである、
第1の局面~第3の局面のいずれかに記載の電気手術器具。
[第5の局面]
前記シーリング層は、ポリマー材料を、好ましくはエラストマー材料を備える、
第1の局面~第4の局面のいずれかに記載の電気手術器具。
[第6の局面]
前記少なくとも1つのソケットは、少なくとも1つの電気接点を備え、
前記シーリング層は、前記少なくとも1つの電気接点と、前記少なくとも1つのメス型電気ソケットの開口部との間に提供される、
第1の局面~第5の局面のいずれかに記載の電気手術器具。
[第7の局面]
前記エンドエフェクタは、組織を切断、アブレーション、及び/又は凝固するために、少なくとも1つの切断面及び/又は少なくとも1つの電極を備える、
第1の局面~第6の局面のいずれかに記載の電気手術器具。
[第8の局面]
ハンドピースと、第1の局面~第7の局面のいずれかに記載の電気手術器具とを備え、
前記ハンドピースは、前記少なくとも1つのメス型電気ソケットに対応するように構成された少なくとも1つのオス型電気ピンを備える、
電気手術システム。
[第9の局面]
少なくとも1つのオス型電気ピンは、使用時に、電気的導電性部が前記シーリング層によって前記メス型電気ソケット内でシールされるように構成された、前記電気的導電性部を備える、
第8の局面に記載の電気手術システム。
[第10の局面]
少なくとも1つのオス型電気ピンは、使用時に、前記シーリング層が電気的絶縁性部の外周面の周りをシールするように構成された、前記電気的絶縁性部を更に備える、
第9の局面に記載の電気手術システム。
[第11の局面]
高周波電気手術ジェネレータ、第1の局面~第7の局面のいずれかに記載の電気手術器具、及び、第8の局面~第10の局面のいずれかに記載のハンドピースを備える、
電気手術システム。
[第12の局面]
前記高周波電気手術ジェネレータは、一体となっている部分として前記ハンドピース内に含まれる、
第11の局面に記載の電気手術システム。