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特許7485655分離されたガス流のポイントオブユース除害装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】分離されたガス流のポイントオブユース除害装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/68 20060101AFI20240509BHJP
   F23G 7/06 20060101ALI20240509BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20240509BHJP
   B01D 53/14 20060101ALI20240509BHJP
   H01L 21/205 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
B01D53/68 220
F23G7/06 N ZAB
B01D53/78
B01D53/14 200
H01L21/205
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021514312
(86)(22)【出願日】2019-05-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-16
(86)【国際出願番号】 US2019032563
(87)【国際公開番号】W WO2019222443
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-05-11
(31)【優先権主張番号】62/672,249
(32)【優先日】2018-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/412,384
(32)【優先日】2019-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520446492
【氏名又は名称】ハイバック・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・ジェー・カタラノ
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-194150(JP,A)
【文献】特開平11-168067(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0326599(US,A1)
【文献】国際公開第2008/093442(WO,A1)
【文献】特開2007-029790(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0049182(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/14-18、68-72、77-79
F23G 7/06
H01L 21/205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
害装置であって、
複数の独立した流路を有するハウジングであって、それぞれの独立した流路は、前記ハウジング内の対応する入口、流路、および出口によって画定され、分離されたガス流が前記それぞれの独立した流路を通って流れるのを容易にするように構成されている、ハウジングと、
前記ハウジング内のそれぞれの流路内部に配置された1つ以上の完全に分離された破壊装置または除去装置であって、前記複数の独立した流路は、前記それぞれの独立した流路のそれぞれの対応する入口から出口へ前記除害装置を通って流れるそれぞれのガス流の完全な分離を維持するように構成されている、破壊装置または除去装置と、
を備え、
記除害装置は、
前記複数の独立した流路のそれぞれに対する複数の湿式スクラバーセクションを支持するための共通の再循環サンプおよび再循環ポンプ、ならびに、前記共通の再循環サンプの底部に接触することなく、前記共通の再循環サンプの流体レベルよりも下の箇所まで前記共通の再循環サンプ内に延びて、前記共通の再循環サンプの前記流体レベルよりも上の前記ガス流の完全な分離を維持する複数の隔壁、または
前記複数の独立した流路のそれぞれに対して1つ以上の湿式スクラバーセクションを支持するための複数の独立した再循環サンプおよび再循環ポンプ、のいずれかをさらに備え
前記1つ以上の完全に分離された破壊装置または除去装置が、酸化装置および湿式スクラバーカラムを含み、前記酸化装置が、前記湿式スクラバーカラムの上流に配置されてい、除害装置。
【請求項2】
前記1つ以上の完全に分離された破壊装置または除去装置のそれぞれが、共通のコントローラを介して制御される、請求項1に記載の除害装置。
【請求項3】
前記複数の独立した流路が、一次流路と冗長流路との対に配列され、
前記一次流路を前記対応する冗長流路に選択的にバイパスするために、前記複数の独立した流路のそれぞれの対に対してバイパス/ダイバータ弁および関連する配管をさらに備える、請求項1に記載の除害装置。
【請求項4】
前記1つ以上の完全に分離された破壊装置または除去装置が、
前記複数の独立した流路のそれぞれに対して複数の湿式スクラバーセクションに直接接続された複数の酸化装置を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の除害装置。
【請求項5】
前記1つ以上の完全に分離された破壊装置または除去装置が、
前記複数の独立した流路のそれぞれに対して湿式スクラバーカラムを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の除害装置。
【請求項6】
前記湿式スクラバーカラムのそれぞれに対して複数の独立した制御弁をさらに備える、請求項に記載の除害装置。
【請求項7】
前記湿式スクラバーカラムのそれぞれが、再循環スクラバーセクションおよび下流の新規溶液スクラバーセクションを含む、請求項に記載の除害装置。
【請求項8】
それぞれの独立した流路のそれぞれの独立した新規スクラバーに対して複数の独立した制御弁をさらに備え、それぞれの前記独立した制御弁は、個別の流量制限弁を含み、共通のコントローラを介して制御する、請求項に記載の除害装置。
【請求項9】
前記1つ以上の完全に分離された破壊装置または除去装置が、
一次湿式スクラバーセクションと、酸化装置と、二次湿式スクラバーセクションと、を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の除害装置。
【請求項10】
前記一次湿式スクラバーセクションが、並流構成で動作するように構成され、前記二次湿式スクラバーセクションが、向流構成で動作するように構成されているか、または
前記一次湿式スクラバーセクションおよび前記二次湿式スクラバーセクションが、それぞれ、向流構成で動作するように構成されているか、のいずれかである、請求項に記載の除害装置。
【請求項11】
前記一次湿式スクラバーセクションに結合された再循環サンプをさらに備える、請求項に記載の除害装置。
【請求項12】
前記二次湿式スクラバーセクションが、
再循環サンプに結合された第1のセクションと、新規溶液供給部に結合された下流の第2のセクションと、を有する複式二次湿式スクラバーセクションを含む、請求項に記載の除害装置。
【請求項13】
対応する複数のプロセスチャンバからの複数のガス流を除害する方法であって、
複数の独立したガス流を、複数のプロセスチャンバから除害装置のハウジングの複数の独立した流路に流すステップと、
前記複数の独立したガス流のそれぞれを完全に分離したまま、それぞれの流路内部に配置されたそれぞれの破壊装置または除去装置を通して前記複数の独立したガス流のそれぞれを流すことによって、それぞれの独立したガス流内の化合物を少なくとも部分的に除害するステップと、
前記除害された独立したガス流のそれぞれを前記除害装置の前記ハウジングから排出するステップと、
を含み、
前記それぞれの独立したガス流内の化合物を前記少なくとも部分的に除害するステップは、前記それぞれの独立した流路にそれぞれ配置された酸化装置および湿式スクラバーカラムを通して前記それぞれの独立したガス流を流すステップを含み、前記酸化装置が、前記湿式スクラバーカラムの上流に配置されている、方法。
【請求項14】
前記独立したガス流の第1のガス流を、前記独立した流路の第1の独立した流路の一次流路から前記第1の独立した流路の冗長流路に迂回させるステップを含み、前記冗長流路は、前記ハウジング内部に配置され、前記冗長流路を通って流れる前記独立したガス流内の化合物を少なくとも部分的に除害するための1つ以上の破壊装置または除去装置を含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、全般的には、薄膜製造プロセスに関連して使用される除害装置(abatement device)に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体処理装置の製造業者および操作員は、「クリーニング」ガスを利用するプロセスチャンバのクリーニング方法を開発した。一般的に利用される選択肢となったそのようなクリーニングガスの1つは、三フッ化窒素(NF)である。リモートプラズマクリーニング(RPC)装置で使用すると、NFは、(約98.2%の割合で)効果的に変換され、フッ素(F)を生成する。
【0003】
クラスタツール上で操作している窒化ケイ素CVDプロセスの場合、シラン(SiH)およびアンモニア(NH)が堆積工程中に同時に流され、ウエハ上に窒化ケイ素(Si)層を形成する。
【0004】
典型的には、それぞれのプロセス実行後にプロセスチャンバを、NFのプラズマ反応に由来する、プロセスチャンバ内に注入されるフッ素でクリーニングする。窒化ケイ素プロセスに利用されたプロセスチャンバをクリーニングした結果として、フッ化水素(HF)および四フッ化ケイ素(SiF)を含む他の副生成ガスが形成される場合がある。
【0005】
上記の両方の場合(プロセスチャンバクリーニングプロセスおよび堆積プロセス)、利用されるガスの量が変化し、結果生じる「副生成物」ガスがプロセスチャンバから放出される。これらのガスは、それぞれのプロセスチャンバに接続された専用の真空ポンプを介してそれぞれのプロセスチャンバから排出される。
【0006】
クリーニングプロセスを実行する1つ以上のプロセスチャンバからのガスおよび堆積プロセスを実行する他のプロセスチャンバからのガスが、真空ポンプの下流にある共通の排気ライン内または除害装置内で混合されると、フッ化アンモニウム(NHF)およびヘキサフルオロケイ酸アンモニウム((NHSiF)を含む、アンモニウム化合物として既知の追加の副生成物が生成される。これらの化合物は、大量に形成される可能性があり、排気ラインまたは除害装置のクリーニングに多大なメンテナンス要件を引き起こし、最終的な結果としてクラスタツールの生産時間が失われ、製造ラインの潜在的な収益が大幅に失われる。
【0007】
既存のPOU除害装置は、共通の酸化チャンバおよび(装備されている場合)下流の湿式スクラバーセクションを利用し、それぞれのプロセスチャンバの真空ポンプから放出されるすべての排気流が合流する。これらの装置は、堆積プロセスを実行するプロセスチャンバからのガスとクリーニング工程を実行するガスとが混合されるときに、そのようなアンモニウム化合物を生成させることがあり得る。このようなアンモニウム化合物の生成は、酸化チャンバ内もしくは湿式スクラバーセクション内、またはその両方で起こる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者は、そのようなアンモニウム化合物の生成を最も効果的に回避するために、例えば、クラスタツールの一部として構成された複数のプロセスチャンバからの流出物が、そのようなアンモニウム化合物の発生を低減しかつ/または排除するために適切な酸化装置およびスクラバー装置を介して十分に除害されるという点から、理想的には完全に分離される必要があると考えている。この問題の1つの解決策は、それぞれのプロセスチャンバに対して専用のPOU除害システムを保持することであると思われるが、これは資本コストの観点およびスペース消費の観点からは非現実的であろう。したがって、そのような解決策は、最も具体的には、それぞれのプロセスチャンバに個別のPOU除害装置を使用するために最新の半導体製造施設で必要とされるスペースのコストに起因して、経済的に実行不可能であると思われる。
【0009】
上記の例は、以下の開示から利益を得ることができる多くの用途のうちの1つである。しかしながら、本開示は、この特定の用途に限定されない。
【0010】
したがって、本発明者は、改良された除害装置を提供してきた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
POU除害装置の実施形態が本明細書に提供される。いくつかの実施形態では、コンパクトなPOU除害装置は、複数のプロセスチャンバにそれぞれ結合された複数の入口を含み、そのPOU除害装置では、プロセスチャンバのガス流のそれぞれは、他のチャンバのガス流から隔離されている。いくつかの実施形態では、コンパクトなPOU除害装置は、複数の酸化装置と、対応するプロセスチャンバからガス流を受け取るために複数の入口のそれぞれの1つにそれぞれ直接結合された対応する複数の隔離された湿式スクラバーカラムと、を含むことができる。
【0012】
いくつかの実施形態では、ポイントオブユース(POU)除害装置は、複数の独立した流路を有するハウジングを含み、それぞれの独立した流路は、ハウジング内部の対応する入口、流路、および出口によって画定され、分離されたガス流がそれぞれの前記独立した流路を通って流れるのを容易にするように構成され、1つ以上の完全に分離された破壊装置または除去装置は、ハウジング内部のそれぞれの流路内部に配置され、複数の独立した流路は、POU除害装置を通って流れるそれぞれのガス流の完全な分離を維持するように構成されている。
【0013】
いくつかの実施形態では、コンパクトなPOU除害装置は、複数の酸化装置に直接接続された複数の一次並流(すなわち、同一方向の流れ)湿式スクラバーカラムと、対応するプロセスチャンバからガス流を受け取るために複数の入口のそれぞれの1つにそれぞれ直接結合された、対応する複数の下流の隔離された湿式スクラバーカラムと、を含むことができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、コンパクトなPOU除害装置は、複数の酸化装置に直接接続された複数の一次向流(すなわち、反対方向の流れ)湿式スクラバーカラムと、対応するプロセスチャンバからガス流を受け取るために複数の入口のそれぞれの1つにそれぞれ直接結合された、対応する複数の下流の隔離された湿式スクラバーカラムと、を含むことができる。
【0015】
上記の実施形態のいずれも、一次流路内の複数の一次入口と、ガス流を冗長流路の対応する二次入口に迂回させるためのバイパス弁またはダイバータ弁と、を含むことができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、対応する複数のプロセスチャンバからの複数のガス流を除害する方法は、複数のプロセスチャンバからの複数の独立したガス流を、ポイントオブユース(POU)除害装置のハウジングの複数の独立した流路に流すステップと、複数の独立したガス流のそれぞれを完全に分離したまま、それぞれの流路内部に配置されたそれぞれの破壊装置または除害装置を通して複数の独立したガス流のそれぞれを流すことによって、それぞれの独立したガス流内の化合物を少なくとも部分的に除害するステップと、除害された独立したガス流のそれぞれをPOU除害装置のハウジングから排出するステップと、を含む。
【0017】
本明細書に開示される特定の特徴および実施形態の前述の要約は、限定することを意図するものではない。本開示の他の実施形態およびさらなる実施形態を以下に説明する。
【0018】
上記で簡単に要約され、以下により詳細に論じられる本開示の実施形態は、添付の図面に示される本開示の例示的な実施形態を参照することによって理解することができる。しかしながら、添付の図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示しており、したがって、開示が他の同等に有効な実施形態を認めることができるため、範囲を限定すると見なされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示の少なくともいくつかの実施形態による、ポイントオブユース除害装置の実施形態の概略側面図である。
図2】本開示の少なくともいくつかの実施形態による、ポイントオブユース除害装置の実施形態の概略側面図である。
図3】本開示の少なくともいくつかの実施形態による、ポイントオブユース除害装置の実施形態の概略側面図である。
図4】本開示の少なくともいくつかの実施形態による、ポイントオブユース除害装置の実施形態の概略側面図である。
図5】本開示の少なくともいくつかの実施形態による、ポイントオブユース除害装置の実施形態の概略側面図である。
図6】本開示の少なくともいくつかの実施形態による、ポイントオブユース除害装置の実施形態の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
理解を容易にするために、可能な場合は、図に共通する同一の要素を示すために同一の参照番号が使用されている。図は縮尺どおりに描かれておらず、明確にするために簡略化されている場合がある。一実施形態の要素および特徴は、さらに列挙することなく、他の実施形態に有益に組み込まれてもよい。
【0021】
ポイントオブユース(POU)除害装置の実施形態が本明細書で提供される。開示されたPOU除害装置の実施形態は、流出物流が十分に除害されるまで、半導体プロセスチャンバなどの異なるプロセスチャンバからの流出物流の完全な分離を有利に維持し、それによって、不要な副生成物の発生を低減し、かつ/または排除する。不要な副生成物に起因するPOU除害装置および排気ダクトのクリーニングの間の平均時間を短縮することにより、生産稼働時間を大幅に増やすことができる。
【0022】
図1図6は、本開示の少なくともいくつかの実施形態による、ポイントオブユース除害装置の概略側面図である。図1図6は、4つの入口(入口101a~101d)を示しているが、特定の用途の需要または経済的実現可能性に応じて、入口の数を増減させることができる。ポイントオブユース(POU)除害装置は、全般的には、複数の独立した流路を有するハウジングを含む。それぞれの独立した流路は、ハウジング内部の対応する入口、流路、および出口によって画定されている。それぞれの独立した流路は、それぞれの独立した流路を通って分離されたガス流が流れるのを容易にするように構成されている。1つ以上の完全に分離された破壊装置または除去装置は、ハウジング内部のそれぞれの流路内部に配置されている。複数の独立した流路は、POU除害装置を通って流れるそれぞれのガス流の完全な分離を維持するように構成されている。
【0023】
入口(4つの入口101a~101dを図示)を有する2つ以上の独立した流路を組み込んだ例示的なPOU除害装置が図1に示されているが、一方で、複数の独立した流路は、互いにガス流の完全な分離を維持する。複数の入口101a~101dのそれぞれおよびそれぞれのガス流は、他のプロセスチャンバ102a~102dおよび入口101a~101dからのガス流の完全な分離を維持しながら、酸化装置および湿式洗浄装置などの1つ以上の除害装置を組み込んでいる。例えば、プロセスチャンバ102a~102dのそれぞれにそれぞれ接続された専用の真空ポンプ103a~103dを介してそれぞれのプロセスチャンバ102a~102dから排出されるガスは、POUガス除害装置のそれぞれの入口101a~101dに独立して提供される。このシステムは、アンモニウム化合物などの不要な副生成物が、プロセス化学物質とプロセスチャンバクリーニング化学物質との混合の結果として潜在的に生じ、プロセスチャンバ102a~102dをクリーニングガス化学物質でクリーニングする機能中に生成される副生成物を伴う、プラズマ強化化学気相堆積(PECAV)などであるがこれに限定されない、プロセスチャンバ102a~102dから排出されるガスの効果的な除害に利用することができる。最も具体的ではあるが、非排他的には、システムは、どのようなときにも異なるガス化学物質を処理し得る複数のプロセスチャンバ102a~102d(「クラスタツール」として一般に既知の構成にまとめられることが多い)を使用する半導体処理装置において最も効果的となる。多くの場合、これらの異なる化学物質は、混合すると反応し、不要な副生成物を生成する可能性がある。したがって、排気ダクト内でガス流を混合する前に、それらの化学物質を別々に処理することが有利である。
【0024】
図1に示すように、本開示の実施形態の利点は、別個のプロセスチャンバ102a~102dからの個別のガス流の完全な分離を維持することによる、不要な副生成物の発生の低減および/または排除である。これは、共通のエンクロージャまたはハウジング104を有するPOU除害装置に含まれる複数の隔離されたガス流を組み込むことによって達成され、POU除害装置において、それぞれの隔離されたガス流は、複数の入口101a~101dのそれぞれに対して専用の酸化器105a~105d(例えば、熱分解酸化器、またはバーナ)を有する。
【0025】
酸化器105a~105dは、対応する専用の別個の湿式スクラバーカラム106a~106dに直接接続されている。湿式スクラバーカラム106a~106dは、共通の湿式スクラバー溶液再循環サンプ、またはリザーバ(共通の再循環サンプ、または共通のリザーバ107)に直接接続されている。共通のリザーバ107は、個別のガス流の完全な分離を維持するために、共通のリザーバ107の上部からスクラバー溶液流体レベル109よりも下の箇所まで延びる隔壁108a~108cを組み込んでいる。湿式スクラバー溶液は、水などの任意のプロセス適合性中和剤であってもよい。
【0026】
複数の湿式スクラバーカラム106a~106dは、充填床向流型である複数の一次湿式スクラバーセクション110a~110dを組み込み、排気ガス流の一次湿式スクラバーの目的のために、再循環スクラバー溶液を複数の一次湿式スクラバーセクション110a~110dのそれぞれに複数のスプレーノズル112a~112dを介して送達する共通の再循環ポンプ111を介して支持されている。
【0027】
特定の用途では、再循環溶液の分離を維持することが有利な場合がある。図2に示すように、共通のリザーバ107、および図1に示すような共通の再循環ポンプ111の代替は、ガスおよび再循環溶液の分離を維持するためにリザーバの底部に延びる隔壁208a~208cを組み込むことである。この構成では、独立した再循環サンプ、またはリザーバ207a~207dが生じ、専用の再循環ポンプ211a~211dを利用する。
【0028】
図1に戻ると、湿式スクラバーカラム106a~106dはまた、一次湿式スクラバーセクション110a~110dに直接接続され、その下流にある複数の二次湿式スクラバーセクション113a~113dを組み込むことができる。二次湿式スクラバーセクション113a~113dは、流出流れから酸を洗浄するために利用することができ、スクラバー溶液のpHレベルを維持するために絶えず排出されるため、共通のリザーバ107または個別のリザーバ207a~207dからスクラバー溶液を補充するための補給水(または他の適切な中和剤溶液)として利用することができる淡水供給部114(または他の適切な中和剤の供給部)の流れによって支持されている。淡水供給部114は、複数の流量制御弁115a~115dおよびヒューマン/マシンインターフェース(HMI)制御(例えば、コントローラ)からの入力を介して制御することができ、pH制御が複数の湿式スクラバーカラム106a~106dにおいて必要とされない時点に流量を低減する。流量制御弁115a~115dは、それぞれの隔離された独立した流路における淡水流量を最適化するための制限流量計測装置を含むことができる。
【0029】
複数の酸化器105a~105dは、上記で概説したように、複数の湿式スクラバーカラム106a~106dに直接接続することができ、プロセスガスおよび遠隔プラズマクリーニング(RPC)のクリーニングガス流出物を効果的に除害するための複数の隔離されたガス流を生成するのに役立つ。個別の専用の完全に分離されたガス流除害装置は、共通のエンクロージャ(例えば、ハウジング104)に収容され、共通の制御およびHMIを共有し、上記のように、湿式スクラバー溶液の再循環用に利用される共通のリザーバ107または個別のリザーバ207a~207dを共有する。
【0030】
それぞれの湿式スクラバーカラム106a~106dからの除害されたガス流は、それ自身の個別の接続部117a~117dをハウジング104の出口において有し、個別のダクト119a~119dを通って施設の排気ダクト118に接続されている。
【0031】
本形態において熱分解型である酸化器105a~105dは、RFまたはマイクロ波電源のいずれかの動的酸化チャンバまたはプラズマ反応チャンバなどの他のそのような酸化装置によって置き換えることができる。熱分解型の場合、酸化器105a~105dの燃料源は、水素、メタン、または他のガス状化石燃料のいずれかであり得る。酸化法の代替に加えて、複数の個別の隔離されたガス流は、それぞれ図3および図4に示すように、上流の並流型または向流型の湿式スクラバーセクションを組み込んで、複数のプロセスチャンバ102a~102dからの複数のガス流の完全な分離を維持する湿式/燃焼式/湿式POU除害装置を提供する、複数の隔離されたガス流を提供することができる。
【0032】
図3を単純化するために、複数の潜在的な入口および別個のガス経路のうちの1つのみが示されている。プロセスチャンバ102aにそれぞれ接続された専用の真空ポンプ103aを介してそれぞれのプロセスチャンバ102aから排出されるガスは、POUガス除害装置の独立した入口101aに提供される。入口101aの場合、ガスは、最初に、再循環溶液スプレーノズル312aによって供給される充填床スクラバー310aを備えた並流湿式スクラバーカラム306aを通して送られる。スクラバーカラム306aの出口は、酸化器105aに直接接続されており、酸化器105aは、対応する専用の下流の湿式スクラバーカラム106aに直接接続されている。いくつかの実施形態では、充填床スクラバー310aは、複数の充填セクションおよび複数の再循環スプレーノズル312aを有してもよい。
【0033】
図4を単純化するために、複数の潜在的な入口および別個のガス経路のうちの1つのみが示されている。プロセスチャンバ102aにそれぞれ接続された専用の真空ポンプ103aを介してそれぞれのプロセスチャンバ102aから排出されるガスは、POUガス除害装置の独立した入口101aに提供される。入口101aの場合、ガスは、最初に、再循環溶液スプレーノズル312aによって供給される充填床スクラバー310aを備えた向流湿式スクラバーカラム406aを通して送られる。スクラバーカラム306aの出口は、酸化器105aに直接接続されており、酸化器105aは、対応する専用の下流の湿式スクラバーカラム106aに直接接続されている。
【0034】
いくつかの実施形態では、独立した流路のうちの1つ以上は、一次流路および冗長流路として構成された一対の流路を含むことができる。例えば、図5は、一次入口(例えば、入口101aおよび101c)への冗長バックアップとして後続の入口501bおよび501dを利用する追加の能力を備えた、図1の開示された実施形態を示す。これは、バイパスで、または一次流路を選択的にバイパスし、ガス流を冗長流路に迂回させるように構成されたダイバータ弁516aおよび516bで達成される。図5を単純化するために、2つのプロセスチャンバ102aおよび102c、ガス流、ならびに2つのPOU除害装置入口101aおよび101cのみが示されている。前の図で述べたように、図5はまた、図示のように2つの入口101aおよび101cを超えて拡張することもできる。
【0035】
使用中、例えば、一次流路内の破壊装置または除去装置のうちの1つ以上が故障、誤動作、またはその他の方法で仕様外で動作する場合、POU除害装置を通って流れる複数の独立したガス流の第1のガス流は、ダイバータ弁(例えば、ダイバータ弁516a)を使用して、一次流路から冗長流路に迂回することができる。上に示したように、冗長流路はハウジング内部に配置され、冗長流路を通って流れる独立したガス流内の化合物を少なくとも部分的に除害するための1つ以上の破壊装置または除去装置を含む。
【0036】
図6に示される実施形態は、POU除害排気部を施設の排気ダクト118への単一接続部に接続する共通のダクト619を介して、ハウジング104の出口において、すべての湿式スクラバー出口617a~617dを共通の出口621に接続するために利用される内部排気マニホルド620を含む。内部排気マニホルド620は、図1図5に示すように、概説された実施形態のすべてに組み込むことができる。
【0037】
上記のPOU除害装置は、ガスが酸化装置(例えば、酸化器105a~105d)および湿式スクラバー装置(例えば、湿式スクラバーカラム106a~106d)を通して効果的に除害されるそのような時点まで、プロセスチャンバ102a~102dからのガスの完全な分離を効果的に維持する。上記の説明は、4つの分離されたガス流を生成し、かつ処理するように構成されたPOU除害装置を示しているが、生成し、かつ処理することができる分離されたガス流の数は、4つより少なくても多くてもよい。
【0038】
本明細書に記載のPOU除害装置の実施形態の例を以下に提供する。
【0039】
複数のプロセスチャンバ102a~102d用の複数の入口101a~101dを備えるコンパクトなPOU除害装置では、プロセスチャンバのガス流のそれぞれは、他のガス流から隔離されている。プロセスチャンバ102a~102dは、半導体ウエハなどの上で堆積プロセスなどのプロセスを実行するように構成された半導体プロセスチャンバであり得る。
【0040】
複数の隔離されたガス流に複数の一次湿式スクラバーセクション110a~110dおよび複数の二次湿式スクラバーセクション113a~113dを組み込んだ複数の湿式スクラバーカラム106a~106dに直接接続されている、複数の酸化器105a~105dを組み込んだ、複数の隔離されたガス流を可能にする、複数の入口101a~101dを備えるコンパクトなPOU除害装置。
【0041】
除害装置の複数の入口101a~101dのそれぞれおよび複数の隔離されたガス流は、専用の湿式スクラバーカラム106a~106dと組み合わされた複数の酸化器105a~105dを組み込み、複数のプロセスチャンバ102a~102dのそれぞれに対して複数の入口101a~101dに排出される専用の隔離されたガス流を生成する、コンパクトなPOU除害装置。
【0042】
複数のガス流が、複数の酸化器105a~105dと、複数の一次湿式スクラバーセクション110a~110dと、複数の二次湿式スクラバーセクション113a~113dと、によって処理されるまで、互いに完全に分離されている、コンパクトなPOU除害装置。
【0043】
複数の個別のガス流(複数可)は、複数の個別の専用のガス流を支持する複数の入口101a~101dがあり得る共通のハウジング104内に収容されている、コンパクトなPOU除害装置。
【0044】
複数の入口101a~101dおよび隔離されたガス流は、共通の再循環ポンプ111を共有する、コンパクトなPOU除害装置。
【0045】
複数の入口101a~101dおよび複数の隔離されたガス流は、共通のリザーバ107を共有する、コンパクトなPOU除害装置。
【0046】
複数の入口101a~101dおよび複数の隔離された個別のガス流は、共通の制御パネル/HMIを共有する、コンパクトなPOU除害装置。
【0047】
複数の入口101a~101dは、複数のプロセスチャンバ102a~102dからガス流を受け取り、複数の湿式スクラバーカラム106a~106dは、共通のリザーバ107の上部において共通のリザーバ107に直接結合されている、コンパクトなPOU除害装置。
【0048】
複数の入口101a~101dおよび個別のガス流は、共通のリザーバ107を共有し、共通のリザーバ107は、それぞれの個別の隔離されたガス流カラム入口101a~101dの間に隔壁108a~108cを組み込み、隔壁108a~108cは、湿式スクラバーカラム106a~106dの予測静圧よりも下の箇所まで湿式スクラバー溶液レベル109よりも下に延び、複数の隔離された個別のガス流の完全な分離をもたらす、コンパクトなPOU除害装置。隔壁108a~108cは、共通のリザーバ107の基部の上で終端し、共通リザーバ107全体にわたる(複数の個別の隔離されたガス流の複数の一次湿式スクラバーセクション110a~110dおよび複数の二次湿式スクラバーセクション113a~113dのそれぞれからの)湿式スクラバー流体溶液の流れを可能にし、重力ドレンまたはポンプドレンのいずれかを介して湿式スクラバー溶液の中央ドレンを可能にする。
【0049】
複数の個別の隔離されたガス流、複数の湿式スクラバーカラム106a~106dは、淡水供給部114を利用する複数の二次湿式スクラバーセクション113a~113dを組み込んで、複数の二次湿式スクラバーセクション113a~113dを支持し、淡水供給部114は、共通のHMI制御からの入力を介して、複数の流量制御弁115a~115dを備える複数の二次湿式スクラバーセクション113a~113dのそれぞれで独立して制御され、複数の個別のガス流のそれぞれの酸除害の必要性が低減されている間、淡水消費を低減する、コンパクトなPOU除害装置。流量制御弁115a~115dは、それぞれの隔離された独立した流路における淡水流量を最適化するための制限流量計測装置を含むことができる。
【0050】
上記は本開示の実施形態を対象とするが、本開示の他のさらなる実施形態は、その基本的な範囲から逸脱することなく考案することができる。
【符号の説明】
【0051】
101a~101d 入口、102a~102d プロセスチャンバ、104 ハウジング、105a~105d 酸化装置、106a~106d 湿式スクラバーカラム、107 再循環サンプ、108a~108c 隔壁、110a~110d 一次湿式スクラバーセクション、111 再循環ポンプ、113a~113d 二次湿式スクラバーセクション、115a~115d 流量制限弁、516a,516b バイパス/ダイバータ弁、621 出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6