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特許7485658エアロゾルディスペンサのための装置、エアロゾルディスペンサ及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】エアロゾルディスペンサのための装置、エアロゾルディスペンサ及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 15/00 20060101AFI20240509BHJP
   B05B 9/04 20060101ALI20240509BHJP
   B05B 11/00 20230101ALI20240509BHJP
【FI】
A61M15/00 Z
B05B9/04
B05B11/00 101E
B05B11/00 101J
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021517447
(86)(22)【出願日】2019-09-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-06
(86)【国際出願番号】 EP2019074310
(87)【国際公開番号】W WO2020064340
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-05-25
【審判番号】
【審判請求日】2023-03-10
(31)【優先権主張番号】18197285.2
(32)【優先日】2018-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】520011887
【氏名又は名称】エスエイチエル・メディカル・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・セール
【合議体】
【審判長】佐々木 正章
【審判官】安井 寿儀
【審判官】栗山 卓也
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-529972(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0090603(US,A1)
【文献】特開2001-161792(JP,A)
【文献】特表2014-521369(JP,A)
【文献】特表平11-512649(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾルディスペンサ(10)を作動させるための装置(12)であって、
- 液体を搬送するための搬送チューブ(42)と;
- 前記搬送チューブ(42)を保持する運動可能な保持部材(44)と;
- 回転可能なベース(16)と;
- 前記保持部材(44)と前記ベース(16)との間の容器チャンバ(46)と;
を備え、
前記装置(12)が、前記ベース(16)の装填回転(18)を前記保持部材(44)における前記ベース(16)に向かう実質的に軸方向の装填運動(30)に伝達するように構成され;
前記保持部材(44)が、前記容器チャンバ(46)に露出されたロック構造(86)を備えており、前記ロック構造は、前記容器チャンバ(46)内に設置されるように構成された容器(48)を前記保持部材(44)に取り付けるように構成され、
前記ロック構造(86)が、前記ベース(16)に向かって前記搬送チューブ(42)よりもさらに突出しており、
前記ベース(16)が、前記保持部材(44)に向かって突出する剛性構造(90)と、前記保持部材(44)に面する弾性要素(92)と、を備え、
前記弾性要素(92)が、径方向において前記剛性構造(90)の内部に配置され
前記ロック構造が前記容器(48)を前記保持部材(44)に取り付けるときに、前記剛性構造(90)及び前記弾性要素(92)が前記容器(48)を支持することを特徴とする装置(12)。
【請求項2】
前記ロック構造(86)が、少なくとも2つの弾性アーム(88)を備えていることを特徴とする請求項1に記載の装置(12)。
【請求項3】
前記弾性要素(92)が、前記弾性要素(92)の非圧縮状態において、前記保持部材(44)に向かって前記剛性構造(90)を越えて延在することを特徴とする請求項1又は2に記載の装置(12)。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の装置(12)を備えることを特徴とするエアロゾルディスペンサ(10)。
【請求項5】
容器(48)をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載のエアロゾルディスペンサ(10)。
【請求項6】
前記ベース(16)及び前記ロック構造(86)が、前記エアロゾルディスペンサ(10)が非作動状態(40)にあるときに、前記容器(48)を保持するように構成されていることを特徴とする請求項5に記載のエアロゾルディスペンサ(10)。
【請求項7】
前記ロック構造(86)が、スナップフィットにより、前記容器(48)を前記保持部材(44)に取り付けるように構成されていることを特徴とする請求項5又は6に記載のエアロゾルディスペンサ(10)。
【請求項8】
前記搬送チューブ(42)が、前記エアロゾルディスペンサ(10)が作動状態(96)をとるように、前記保持部材(44)の前記軸方向の装填運動(30)により前記容器(48)と液体連通させられるように構成されることを特徴とする請求項5から7のいずれか一項に記載のエアロゾルディスペンサ(10)。
【請求項9】
前記ロック構造(86)が、前記ベース(16)が前記容器(48)の底部(56)を支持している間に、前記保持部材(44)の前記軸方向の装填運動(30)により前記容器(48)を前記保持部材(44)に取り付けるように構成されていることを特徴とする請求項5から8のいずれか一項に記載のエアロゾルディスペンサ(10)。
【請求項10】
前記ロック構造(86)が、前記搬送チューブ(42)が前記保持部材(44)の前記軸方向の装填運動(30)により前記容器(48)と液体連通させられるのと実質的に同時に、前記容器(48)を前記保持部材(44)に取り付けるように構成されていることを特徴とする請求項8を引用する請求項9に記載のエアロゾルディスペンサ(10)。
【請求項11】
前記容器(48)の底部(56)が、前記保持部材(44)の前記軸方向の装填運動(30)に起因して前記剛性構造(90)によって圧縮されるように構成されたストッパ(54)を備えていることを特徴とする請求項3を引用する場合の請求項5から10のいずれか一項に記載のエアロゾルディスペンサ(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全体として、エアロゾルディスペンサに関する。特に、エアロゾルディスペンサを作動させるための装置、当該装置を備えるエアロゾルディスペンサ及びエアロゾルディスペンサを作動させるための方法が提供される。
【背景技術】
【0002】
エアロゾルディスペンサは、エアロゾル、すなわち液体粒子のミストを発生させるために使用される。いくつかのエアロゾルディスペンサは、液体を推進するためにガスを使用し、いくつかのエアロゾルディスペンサは、液体を推進する推進ガスのない機械的解決法を使用する。
【0003】
1タイプのエアロゾルディスペンサは、ベースと、ピストンと、搬送チューブと、バネと、投与量チャンバと、スプレーノズルと、例えば薬剤を収容する容器と、を備えている。ユーザが、ベースを例えば180°回転させると、ピストン及び搬送チューブは、バネを圧縮するために動かされる。搬送チューブが動くので、投与量チャンバは拡張させられ、投与量チャンバ内に過少圧力が確立される。過少圧力は、容器内の液体を、搬送チューブによって投与量チャンバ内に吸引させる。ユーザは、その後、ボタンを押し、搬送チューブを保持するピストンを解放し、投与量チャンバからスプレーノズルを通じて投与量をエアロゾルとして放出する。
【0004】
特許文献1は、液体を加圧するための小型化されたデバイスを開示している。デバイスは、流路を提供する中空ピストンと、バルブ部材と、を含んでいる。バルブ部材は、バルブ軸がピストン軸と平行なままであるように、軸方向に動くように構成されている。バルブ部材は、中空ピストンの一端に配置されている。バルブ部材は、部分的に又は完全に中空ピストン内に配置されてもよい。デバイスは、特に、推進ガスを使用することなく液体薬の吸入可能なエアロゾルを生成するために、機械的に動作させられるアトマイザで使用するように構成される。
【0005】
いくつかの先行技術のエアロゾルディスペンサは、ベースを開放することと、容器の閉鎖部が搬送チューブによって穿孔されるように容器をエアロゾルディスペンサ内に直接的に手で押し込むことと、によって作動させられる。それにより、搬送チューブは、容器と液体連通させられる。このタイプの作動の1つの問題は、ユーザが、容器をエアロゾルディスペンサ内に非常に大きく直接的に手で押し込まなければならないことである。このタイプの作動のさらなる問題は、ユーザが、かなり大きい力で、容器を直接的に手で押さなければならないことである。これは、年配のユーザ及び/又は弱ったユーザにとっては特に問題となる。少なくともこれらの理由のために、エアロゾルディスペンサのこのタイプの作動は、使いやすさが減少させられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第5964416号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示の1つの課題は、エアロゾルディスペンサの使いやすさを改善する、エアロゾルディスペンサを作動させるための装置を提供することである。
【0008】
本開示のさらなる課題は、エアロゾルディスペンサを作動させるための装置であって、ベースの装填回転により、例えばエアロゾルディスペンサによる発射の前に液体を投与量チャンバに装填することに関するベースの同じタイプの回転によりエアロゾルディスペンサを作動させることが可能である、装置を提供することである。それにより、容器を手で直接的に押すことが回避され得る。
【0009】
本開示のなおもさらなる課題は、エアロゾルディスペンサを作動させるための安価な装置を提供することである。
【0010】
本開示のなおもさらなる課題は、上記の課題のいくつか又は全てを解決する、エアロゾルディスペンサを作動させるための装置を提供することである。
【0011】
本開示のなおもさらなる課題は、上記の課題の1つ、いくつか又は全てを解決する、装置を備えるエアロゾルディスペンサを提供することである。
【0012】
本開示のなおもさらなる課題は、上記の課題の1つ、いくつか又は全てを解決する、エアロゾルディスペンサを作動させるための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一側面によれば、エアロゾルディスペンサを作動させるための装置であって、液体を搬送するための搬送チューブと;搬送チューブを保持する運動可能な保持部材と;回転可能なベースと;保持部材とベースとの間の容器チャンバと;を備え、装置が、ベースの装填回転を保持部材におけるベースに向かう実質的に軸方向の装填運動又は保持部材におけるベースに向かう軸方向の装填運動に伝達するように構成され;保持部材が、容器チャンバに露出されたロック構造を備えている装置が提供される。
【0014】
本開示の全体にわたって、搬送チューブは、容器からエアロゾルディスペンサの投与量チャンバに液体を搬送するように構成されてもよい。代替的に又は追加的に、ベースは、エアロゾルディスペンサの非作動状態において、容器の底部を支持するように構成されてもよい。エアロゾルディスペンサの非作動状態では、容器と搬送チューブとの間で液体連通していない。従って、非作動状態では、容器の内部の液体には、細菌がない。非作動状態は、代替的に、貯蔵位置又は非動作位置と称されてもよい。
【0015】
本開示の全体にわたって、ロック構造は、例えばベースが容器の底部を支持している間に、保持部材の軸方向の装填運動により、容器を保持部材に取り付けるように構成されてもよい。ロック構造は、例えば容器の口に取り付けられるように構成されてもよい。本開示の全体にわたって、保持部材は、ピストンと称されてもよい。
【0016】
ベースは、エアロゾルディスペンサの遠位位置に位置決めされると言うこともできる。従って、軸方向の装填運動は、遠位運動であってもよい。軸方向の装填運動の反対の方向での保持部材の運動は、送達運動又は解放運動と称されてもよい。送達運動は、従って、例えばエアロゾルディスペンサのスプレーノズルユニットに向かう近位運動である。
【0017】
ベースが、保持部材が軸方向の装填運動をするように、装填回転するために回転させられると、ロック構造は、ベースに容器を押し付け、それにより、ベースが、支持部として機能し、反対に働く力を提供する。ロック構造は、スナップフィットにより容器を保持部材に取り付けるように構成されてもよい。従って、ロック構造が所定の力により容器に押し付けられ、容器がベースによって停止させられると、ロック構造は容器上にスナップ結合する。
【0018】
装置を、ベースの装填回転を保持部材の軸方向の装填運動に伝達するように構成するために、装置は、例えば、少なくとも1つのカムプロファイルと、カムプロファイルと係合するための少なくとも1つのカムフォロワと、を備える。少なくとも1つのカムプロファイルは、例えば静止部(例えばエアロゾルディスペンサのハウジング)に対して固定され、カムフォロワは、保持部材に対して固定されるか、又は少なくとも1つのカムプロファイルは、保持部材に対して固定され、カムフォロワは、例えば静止部(例えばエアロゾルディスペンサのハウジング)に対して固定されてもよい。少なくとも1つのカムプロファイルは、らせん面であってもよい。らせん面は、例えばエアロゾルディスペンサの長手軸周りで140°から175°延在する。しかしながら、ベースの装填回転は、多くの代替的な方式で保持部材の軸方向の装填運動に伝達されてもよい。
【0019】
本開示の全体にわたって、搬送チューブは、保持部材の軸方向の装填運動により、容器と液体連通させられるように構成されてもよい。搬送チューブが容器と液体連通すると、エアロゾルディスペンサは作動状態をとり、エアロゾルディスペンサは初めて使用され得る。作動状態は、代替的に、動作位置と称されてもよい。
【0020】
搬送チューブは、保持部材の軸方向の装填運動により、容器の閉鎖部を穿孔するように構成されてもよい。閉鎖部は、容器の口を覆って設けられてもよい。閉鎖部は、セプタム、例えばメンブレンによって構築されてもよい。閉鎖部の穿孔は、エアロゾルディスペンサの使用中のベースの装填回転と同じベースの装填回転によって達成され得る。この場合、ロック構造は、搬送チューブが保持部材の軸方向の装填運動により容器と液体連通させられるのと実質的に同時に、又は搬送チューブが保持部材の軸方向の装填運動により容器と液体連通させられるのと同時に、容器を保持部材に取り付けるように構成されてもよい。
【0021】
ベースの装填回転は、例えば、エアロゾル発射ごとに180°である。ベースのこの装填回転は、5mm~15mm、例えば7mm~12mm、8mm~10mmなどの保持部材の軸方向の装填運動に相当し得る。本開示の全体にわたって、ベース及びロック構造は、エアロゾルディスペンサが非作動状態にあるときには、ベースとロック構造との間に容器を保持するように構成されてもよい。
【0022】
ロック構造は、少なくとも2つの弾性アームを備えてもよい。ロック構造は、例えばエアロゾルディスペンサの長手軸周りで実質的に均等に分配された、又はエアロゾルディスペンサの長手軸周りで均等に分配された、例えば4つ、6つ又は8つの弾性アームを備えてもよい。各弾性アームは、フックを備えてもよい。各フックは、内向きに、例えばエアロゾルディスペンサの長手軸に向かって面してもよい。弾性アームの代替案として、ロック構造は、弾性リング又は他のタイプの弾性構造によって構築されてもよい。
【0023】
ロック構造は、容器チャンバ内に突出する突出構造であってもよい。代替的に、ロック構造は、例えばスナップフィットにより容器の口を取り付け可能に受容するための保持部材の開口部によって構築されてもよい。
【0024】
ベースは、保持部材に向かって突出する剛性構造を備えてもよい。剛性構造は、例えば容器チャンバ内に、すなわちエアロゾルディスペンサの近位方向に突出する剛性カラーによって構築されてもよい。
【0025】
ベースは、保持部材に面する弾性要素を備えてもよい。この場合、装置は、容器がロック構造と弾性要素との間で容器チャンバ内に安定して保持され得るように構成され得る。弾性要素は、従って、がた止め(anti-rattling)特徴を提供すると言える。
【0026】
弾性要素は、例えば、気泡ゴムを備えるか、又は気泡ゴムによって構築されてもよい。ベースが、剛性構造及び弾性要素の双方を備える場合、剛性構造は、剛性カラーによって構築され、弾性要素は、少なくとも部分的に剛性カラーの内部に配置されてもよい。例えば、弾性要素は、(少なくとも非圧縮状態において)概略シリンダ形状を有し、剛性カラーと同心であってもよい。
【0027】
弾性要素は、弾性要素の非圧縮状態において、保持部材に向かって剛性構造を越えて延在してもよい。本開示の全体にわたって、剛性構造は、容器による弾性要素の圧縮を制限するように、かつ抜け出し力(break-loose force)を減少させるために容器のストッパを若干圧縮/変形させるように、構成されてもよい。
【0028】
ベースが、保持部材に面する弾性要素を備える場合、ベースは、例えばロック構造が容器に取り付けられる前にロック構造が容器の口を押すときに、保持部材の軸方向の装填運動に起因して弾性要素が容器の底部によって圧縮されるように、回転させられてもよい。ベースがさらに回転させられて保持部材の軸方向の装填運動が続くと、最終的に、ベースから容器の底部への反対に働く力が、例えばスナップフィットによりロック構造を容器に取り付けるために必要とされる力よりも大きくなる。これが生じると、ベースのさらなる装填回転及び保持部材のさらなる軸方向の装填運動は、ロック構造を容器に取り付けさせる。言い換えると、弾性要素は、ベースの装填回転中にロック構造が容器に取り付けられる前に、圧縮されてもよい。
【0029】
装置は、ベースからの反対に働く力が、弾性要素からの所定の反対の力又は容器の底部と剛性構造との間の接触に起因して、ロック構造を容器に取り付けるために必要とされる力よりも大きくなるように構成されてもよい。代替的に又は追加的に、装置及び容器は、ベースから容器の底部への反対に働く力が、初期位置からのベースの70°から110°、例えば85°から90°、例えば90°の装填回転後にロック構造を容器に取り付けるために必要とされる力よりも大きくなるように構成されてもよい。
【0030】
装置は、保持部材の軸方向の装填運動から機械的エネルギーを蓄えるように構成された弾力的部材をさらに備えてもよい。弾力的部材は、例えばコイルバネによって構築される。この場合、容器は、コイルバネの内部に設置されてもよい。弾力的部材は、容器チャンバ内に配置されてもよい。
【0031】
ロック構造は、ベースに向かって搬送チューブよりもさらに突出してもよい。代替的に又は追加的に、ロック構造は、搬送チューブと実質的に同心であるか、又は搬送チューブと同心であってもよい。
【0032】
さらなる側面によれば、本開示による装置と、本開示による容器と、を備えるシステムが提供される。
【0033】
さらなる側面によれば、本開示による装置を備えるエアロゾルディスペンサが提供される。エアロゾルディスペンサは、医療エアロゾルディスペンサ、すなわち医療液体を供給するためのエアロゾルディスペンサであってもよい。本開示によるエアロゾルディスペンサの一例は、吸入デバイスである。ベースは、容器を容器チャンバ内に設置するために容器チャンバを露出させるように開放することが可能である。
【0034】
エアロゾルディスペンサは、投与量チャンバを備えてもよい。投与量チャンバの容積は、搬送チューブの位置によって規定されてもよい。投与量チャンバの容積は、保持部材(及び保持部材に取り付けられた搬送チューブ)が軸方向の装填運動をするときに拡張され、かつ保持部材(及び保持部材に取り付けられた搬送チューブ)が送達運動をするときに圧縮されてもよい。
【0035】
エアロゾルディスペンサは、容器をさらに備えてもよい。容器は、エアロゾルディスペンサの製造中に容器チャンバ内に設置されてもよい。代替的に、ユーザは、(装填回転の反対のベースの回転により)ベースを開放し、(搬送チューブが容器と液体連通させられるように容器を押さなければならないということなく)容器チャンバ内に容器を設置し、ベースを閉鎖してもよい。容器が容器チャンバ内に設置されたときかつ搬送チューブが容器と液体連通させられる前に、エアロゾルディスペンサは、非作動状態にあってもよい。
【0036】
本開示の全体にわたって、容器は剛性を有してもよい。例えば、容器は、ガラス、硬質剛性プラスチック、例えばHDPE(高密度ポリエチレン)又は同様の材料から作られてもよい。容器の底部は、本開示によるストッパを備えてもよい。代替的に、容器は、剛性外側シェル及び軟質内側バッグを備えてもよい。この場合、ストッパは、省略されてもよい。
【0037】
容器は、標準的なタイプ、例えば注射器で使用されるタイプであってもよい。標準的な容器の使用は、コストの利点を提供する。例えば、すでに存在する機械が、液体、例えば薬剤で容器を充填するために使用され得る。本開示による容器は、カートリッジによって構築されてもよい。
【0038】
ベース及びロック構造は、エアロゾルディスペンサが非作動状態にあるときに、容器を保持するように構成されてもよい。代替的に又は追加的に、ロック構造は、スナップフィットにより容器を保持部材に取り付けるように構成されてもよい。
【0039】
搬送チューブは、エアロゾルディスペンサが作動状態をとるように、保持部材の軸方向の装填運動により容器と液体連通させられるように構成されてもよい。搬送チューブは、例えば、保持部材の軸方向の装填運動により、容器の口を覆う閉鎖部を穿孔するように構成される。
【0040】
ロック構造は、ベースが容器の底部を支持している間に保持部材の軸方向の装填運動により容器を保持部材に取り付けるように構成されてもよい。
【0041】
ロック構造は、搬送チューブが保持部材の軸方向の装填運動により容器と液体連通させられるのと実質的に同時に、又は搬送チューブが保持部材の軸方向の装填運動により容器と液体連通させられるのと同時に、容器を保持部材に取り付けるように構成されてもよい。
【0042】
容器の底部は、保持部材の軸方向の装填運動に起因して剛性構造によって圧縮されるように構成されたストッパを備えてもよい。このようにして、ストッパの抜け出し力が減少され得る。ストッパが剛性構造によって圧縮されると、ストッパは、投与量チャンバから最初の投与量/プライミング投与量を放出する前に、若干付勢される。この後に、ストッパは、容器内の液体が減少したときにのみ容器内に吸引される。本開示の全体にわたって、ストッパは、プランジャによって構築されてもよい。
【0043】
容器の底部が、保持部材の軸方向の装填運動に起因して剛性構造によって圧縮されるように構成されたストッパを備える場合、ベースは、ロック構造が保持部材の軸方向の装填運動に起因して容器に取り付けられるように回転させられてもよい。ベースがさらに回転させられると、ストッパは、保持部材の軸方向の装填運動に起因して剛性構造によって圧縮されてもよい。すなわち、装置及び容器は、保持部材の軸方向の装填運動に起因して剛性構造によって容器を圧縮するために必要とされる力が、ロック構造が保持部材の軸方向の装填運動により容器を保持部材に取り付けるために必要とされる力よりも大きいように、構成されてもよい。言い換えると、ロック構造は、ベースの装填回転中にストッパが剛性構造によって圧縮される前に、容器に取り付けられるように構成されてもよい。
【0044】
装置及び容器は、ベースが初期位置から160°から175°、例えば170°装填回転した後にストッパが剛性構造によって圧縮されるように、構成されてもよい。本開示によるストッパは、弾性を有してもよい。容器内の液体の量が、エアロゾルディスペンサの使用中に減少すると、ストッパは、容器内の過少圧力に起因して容器の口に向かって動く。
【0045】
ベースが、弾性要素及び剛性構造の双方を備える場合及び容器の底部が、保持部材の軸方向の装填運動に起因して剛性構造によって圧縮されるように構成されるストッパを備える場合、装置及び容器は、ベースの装填回転及び結果として生じる保持部材の軸方向の装填運動が、まず、弾性要素を圧縮させ、その後、(弾性要素の所定の圧縮長さ又は容器の底部と剛性構造との間の接触に起因して)ロック構造を容器に取り付けさせ、その後、ストッパを剛性構造によって圧縮させるように、構成されてもよい。
【0046】
さらなる側面によれば、エアロゾルディスペンサを作動させるための方法であって、容器からエアロゾルディスペンサの投与量チャンバに液体を搬送するための搬送チューブを準備するステップと;エアロゾルディスペンサの非作動状態において容器の底部を支持するための回転可能なベースを準備するステップであって、非作動状態において、容器と搬送チューブとの間で液体連通しない、ステップと;搬送チューブを保持する運動可能な保持部材を準備するステップであって、保持部材が、ベースが容器の底部を支持する間に、保持部材におけるベースに向かう実質的に軸方向の装填運動により又は保持部材におけるベースに向かう軸方向の装填運動により容器を保持部材に取り付けるように構成されたロック構造を備える、ステップと;ベースと保持部材との間に容器を提供するステップと;保持部材が軸方向の装填運動をし、ロック構造が容器を保持部材に取り付け、搬送チューブが容器と液体連通させられ、かつそれによりエアロゾルディスペンサが作動状態をとるように、ベースを回転させるステップと;を含む方法が提供される。
【0047】
本開示のさらなる詳細、利点及び態様は、図面と合わせて引き合いに出される以下の実施形態から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】エアロゾルディスペンサを作動させるための装置を備えるエアロゾルディスペンサの側面図を表す。
図2図1のエアロゾルディスペンサの平面図を表す。
図3】エアロゾルディスペンサが非作動状態にあるときの、図2の線A-Aに沿ったエアロゾルディスペンサの断面側面図を表す。
図4】保持部材の軸方向の装填運動中の非作動状態でのエアロゾルディスペンサの断面側面図を表す。
図5】作動状態でのエアロゾルディスペンサの断面側面図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下では、エアロゾルディスペンサを作動させるための装置、当該装置を備えるエアロゾルディスペンサ及びエアロゾルディスペンサを作動させるための方法が説明される。同じ参照符号は、同じ又は類似した構造的特徴を示すために使用される。
【0050】
図1は、エアロゾルディスペンサ10を作動させるための装置12を備えるエアロゾルディスペンサ10の側面図を表す。エアロゾルディスペンサ10は、ハウジング14と、装填回転18をするためにハウジング14に対して回転可能なベース16と、を備えている。図1では、ベース16は、エアロゾルディスペンサ10の外側遠位部分(すなわち図1での下方部分)によって構築されている。
【0051】
図1のエアロゾルディスペンサ10は、ヒンジ22を介してハウジング14に接続された開放可能な蓋20と、投与量発射を始動するためのボタン24と、をさらに備えている。この例のエアロゾルディスペンサ10は、エアロゾルディスペンサ10内に残っている投与量の数を示す投与量インジケータ26と、エアロゾルディスペンサ10が作動されているかどうかを示すための状態インジケータウィンドウ28と、をさらに備えている。
【0052】
図1では、保持部材(図示せず)と、エアロゾルディスペンサ10内で保持部材によって保持された針又は搬送チューブ(図示せず)と、が初期位置にある。図1は、軸方向の装填運動30と、軸方向の解放運動又は送達運動32と、をさらに示している。軸方向の装填運動30は、エアロゾルディスペンサ10の長手軸36に沿ってベース16に向かって遠位方向34になされる。送達運動32は、エアロゾルディスペンサ10の長手軸36に沿って蓋20に向かって近位方向38になされる。図1は、参考のためにデカルト座標系をさらに示している。しかしながら、エアロゾルディスペンサ10は、空間内で任意に配向されてもよい。
【0053】
図2は、エアロゾルディスペンサ10の平面図を表す。図1及び図2で分かるように、この例のエアロゾルディスペンサ10は、概略シリンダ形状を有している。
【0054】
図3は、エアロゾルディスペンサ10が非作動状態40にあるときの図2の線A-Aに沿ったエアロゾルディスペンサ10の断面側面図を表す。図3では、液体を搬送するための搬送チューブ42と、運動可能なピストン又は保持部材44と、を見ることができる。保持部材44は、搬送チューブ42をしっかりと保持する。
【0055】
容器チャンバ46が、保持部材44とベース16との間に設けられている。図3に示されるように、容器チャンバ46は、エアロゾルディスペンサ10の長手軸36に沿って保持部材44とベース16との間に設けられている。エアロゾルディスペンサ10には、エアロゾルとして分配される液体、例えば薬剤を収容する容器48が装填される。容器48は、ベース16を開放することによって容器チャンバ46内に設置される。
【0056】
図3の例の容器48は、ネック又は口50と、容器48を閉鎖するために口50を覆って設けられた閉鎖部52と、を備えている。図3の容器48は、容器48の底部56を閉鎖するストッパ54をさらに備えている。図3の容器48は、それにより、密閉される。従って、図3のエアロゾルディスペンサ10の非作動状態40では、容器48と搬送チューブ42との間で液体連通していない。
【0057】
容器48は、装置12から独立して製造され得る。代替的に又は追加的に、装置12は、エアロゾルディスペンサ10の残りの部分から独立して製造されてもよい。
【0058】
この例のエアロゾルディスペンサ10は、静止ポンプシリンダ58、すなわちハウジング14に対して静止しているポンプシリンダをさらに備えている。投与量チャンバ60は、ポンプシリンダ58内に設けられている。搬送チューブ42は、投与量チャンバ60の容積を拡張及び圧縮するために前後に運動可能である。ここではXリングとして例示されたシーリング62が、搬送チューブ42とポンプシリンダ58との間をシールするために設けられている。シーリング62は、代替的に、Oリングによって又は当分野で公知の任意の他のタイプのシーリングによって構築されてもよい。
【0059】
搬送チューブ42は、搬送チューブ42の近位端、すなわち容器48に対して反対側の端部に、選択的な搬送チューブチェックバルブ64を備えている。搬送チューブ42は、それにより、搬送チューブチェックバルブ64を介して投与量チャンバ60と液体連通している。
【0060】
エアロゾルディスペンサ10は、投与量チャンバ60の近位側にスプレーノズル71を有するスプレーノズルユニット66をさらに備えている。スプレーノズルユニット66は、例えば、スプレーノズルチェックバルブ68と、メンブレン又はフィルタ70と、を備えている。エアロゾルディスペンサ10は、蓋20を開放することによってユーザに露出されるマウスピース72をさらに備えている。
【0061】
図3で見ることができるように、この例の装置12は、選択的な内側スリーブ74も備えている。内側スリーブ74は、ベース16に固定して接続されている。内側スリーブ74及び保持部材44は、回転可能に連結されている。しかしながら、保持部材44は、内側スリーブ74及びベース16に対して軸方向に動くことを可能にされる。内側スリーブ74と保持部材44との間のこのタイプの連結は、例えば、長手軸36と平行なスロット内に係合させられるピンにより実現され得る。
【0062】
装置12は、ここでは容器48を包囲する圧縮コイルバネによって構築された弾力的部材76をさらに備えている。弾力的部材76は、容器チャンバ46内に配置され、この例ではベース16及び保持部材44に接触している。弾力的部材76は、保持部材44及び搬送チューブ42における図3の初期位置からの軸方向の装填運動30から機械的エネルギーを蓄えるように構成されている。
【0063】
図3は、ハウジング14から遠位に突出するハウジング停止部78と、保持部材44から近位に突出する保持部材停止部80と、をさらに示す。弾力的部材76の拡張は、保持部材停止部80がハウジング停止部78に接触すると制限される。
【0064】
この例の装置12は、2つのカムプロファイル82(一方のみが図3で見ることができる)と、それぞれのカムプロファイル82に従うようにそれぞれ構成された2つのカムフォロワ(図3では見ることができない)と、を備えている。この例の各カムプロファイル82は、エアロゾルディスペンサ10の長手軸36と同心のらせん面である。装置12は、代替的に、カムプロファイル82及びカムフォロワの1組のみ、又は2組よりも多くの組を備えてもよい。さらなる代替案として、装置12は、1つのみのカムプロファイル82と、2つ以上のカムフォロワと、を備えてもよい。さらなる代替案として、緊張装置12が、2つ以上のカムプロファイル82と、1つのみのカムフォロワと、を備えてもよい。
【0065】
ベース16が、装填回転18をするために手で回転させられると、選択的内側スリーブ74が、ベース16とともに回転する。ベース16及び内側スリーブ74の装填回転18は、保持部材44の回転に伝達される。保持部材44の回転は、カムフォロワを、関連するカムプロファイル82に沿って移動させる。カムフォロワとカムプロファイル82との間の協働に起因して、ベース16の装填回転18は、弾力的部材76の力に逆らって、遠位方向34における搬送チューブ42及び保持部材44の軸方向の装填運動30に伝達される。これは、装置12に、ベース16の装填回転18を、保持部材44におけるベース16に向かう軸方向の装填運動30に伝達させるためのいくつかの例の1つを構築する。
【0066】
さらに、ここではアクチュエータリングとして実施された、エアロゾルディスペンサ10のアクチュエータ部材84が、図3で見ることができる。アクチュエータ部材84は、ブロック位置とブロック解除位置との間で運動可能であり、ブロック位置では、アクチュエータ部材84は、保持部材44及び搬送チューブ42が解放されることをブロックする。図3では、アクチュエータ部材84は、ブロック解除位置にある。
【0067】
保持部材44は、容器チャンバ46に露出されたロック構造86をさらに備えている。ロック構造86は、ベース16に向かう軸方向の装填運動30により、容器48を保持部材44に取り付けるように構成されている。
【0068】
図3の例では、ロック構造86は、容器チャンバ46内に遠位方向34に突出する突出構造である。ロック構造86は、保持部材44から遠位方向34に突出する。
【0069】
図3で見ることができるように、ロック構造86は、ベース16に向かって搬送チューブ42よりもさらに突出する。ロック構造86及び搬送チューブ42は、この例では、エアロゾルディスペンサ10の長手軸36と同心である。図3では、ロック構造86は、複数の弾性アーム88(図3では4つであり、4つのうち3つのみを見ることができる)を備えている。各弾性アーム88は、その先端にフックを備えている。
【0070】
図3の例では、ベース16は、保持部材44に向かって突出する、すなわち近位方向38に突出する剛性構造90を備えている。図3のベース16は、保持部材44に面する、すなわち近位方向38に面する弾性要素92をさらに備えている。弾性要素92は、弾性要素90の非圧縮状態において、剛性構造90を越えて延在する。
【0071】
容器48が容器チャンバ46内に挿入されてベース16が閉鎖されると、容器48の口50の頂部は、弾性アーム88の先端に当接し、容器48の底部56、この例では容器48のストッパ54は、ベース16の弾性要素92によって支持される。この状態では、弾性要素92は、若干圧縮される。容器48は、それにより、エアロゾルディスペンサ10の非作動状態40において、容器チャンバ46内で安定して保持される。図3に示されるように、容器48は、エアロゾルディスペンサ10の長手軸36と実質的に同心の位置又はエアロゾルディスペンサ10の長手軸36と同心の位置に保持される。
【0072】
図4は、ベース16が装填回転18をするときの保持部材44の軸方向の装填運動30中の非作動状態40でのエアロゾルディスペンサ10の断面側面図を表す。図4では、ベース16は、図3の初期位置からおよそ90°回転している。
【0073】
図4では、関連するカムプロファイル82に係合する、2つのカムフォロワ94の一方のみが、見ることができる。2つのカムフォロワ94は、保持部材44に対して固定されている。より具体的に、各カムフォロワ94は、保持部材44と一体的に形成され、カムプロファイル82に向かって長手軸36と平行に、すなわち近位方向38に突出している。
【0074】
弾性アーム88が、容器48の口50の頂部に隣接する間、保持部材44の軸方向の装填運動30は、容器48の底部56に弾性要素92を圧縮させる。
【0075】
弾性要素92は、容器48の底部56、この場合にはストッパ54が、ベース16の剛性構造90に隣接するまで、圧縮される。従って、弾性要素92を圧縮するために必要とされる力は、容器48の口50を覆って弾性アーム88をスナップ結合させるために必要とされる力よりも小さい。
【0076】
図5は、作動状態96にあるエアロゾルディスペンサ10の断面側面図を表す。容器48の底部56がベース16によって停止させられると、ベース16のさらなる装填回転18、結果として生じる保持部材44のさらなる軸方向の装填運動30は、ロック構造86を容器48の口50を覆ってスナップフィットさせる。より具体的に、弾性アーム88のフックは、容器48の口50を覆ってスナップ結合する。ロック構造86は、それにより、ベース16が容器48の底部56を支持する間にベース16に向かう軸方向の装填運動30により容器48を保持部材44に取り付ける。
【0077】
ロック構造86が容器48に取り付けられるのと同時に、又はロック構造86が容器48に取り付けられるのと実質的に同時に、保持部材44の軸方向の装填運動30は、搬送チューブ42に容器48の閉鎖部52を穿孔させ、それにより、搬送チューブ42を容器48と液体連通させる。エアロゾルディスペンサ10は、それにより、作動状態96をとる。閉鎖部52が穿孔されるとすぐに、投与量チャンバ60内の過少圧力が、液体を容器48から投与量チャンバ60に吸引させる。
【0078】
ベース16が、装填回転18を続けるためにさらに回転させられると、ここでは保持部材44に取り付けられている容器48は、剛性構造90がストッパ54を圧縮するように、軸方向の装填運動30を続ける。ストッパ54は、それにより、容器48から自由とされ、その後、容器48内の液体が減少されるときに過少圧力によって容器48の内部で近位方向38に移動する準備ができる。シリコンが、摩擦を減少させるために、ストッパ54上に選択的に設けられてもよい。
【0079】
図5では、ベース16は、図3の初期位置からおよそ170°回転している。従って、ロック構造86の容器48への取り付けは、およそ170°で行われ得る。180°の回転のベース16の最後の10°の回転は、剛性構造90によってストッパ54を圧縮するために使用され得る。
【0080】
アクチュエータ部材84は、ベース16の装填回転18により、ブロック解除位置からブロック位置へ動かされ得る。保持部材44及び搬送チューブ42は、その後、アクチュエータ部材84により緊張位置に保持される。搬送チューブ42が緊張位置にあると、投与量チャンバ60の容積は、1回分の投与量に相当する。
【0081】
ボタン24は、アクチュエータ部材84に動作可能に連結される。ボタン24を押すことによって、アクチュエータ部材84は、アクチュエータ部材84が保持部材44をブロックしないように、ブロック位置からブロック解除位置へ動かされ得る。結果として、弾力的部材76からの全ての力は、保持部材44、搬送チューブ42及び搬送チューブチェックバルブ64を介して、投与量チャンバ60内の液体に作用する。弾力的部材76の力は、例えば5N~50Nである。投与量チャンバ60内の高い圧力は、スプレーノズルユニット66のスプレーノズルチェックバルブ68及びフィルタ70を通して液体を押し込む。液体は、それにより、最初の投与量として又はプライミング投与量として、エアロゾルとして放出される。投与量チャンバ60内の圧力は、およそ15bar~75barであってもよい。これは、弾力的部材76として比較的小さいバネを使用することを可能にする。
【0082】
保持部材44が、図3による初期位置に復帰し、容器48が、ロック構造86に取り付けられると、容器48上のマークは、状態インジケータウィンドウ28を通じて見ることができるようになり得る。これは、エアロゾルディスペンサ10が作動状態96をとったことを裏付ける。さらなる投与量(又はプライミング投与量がまず放出された場合には最初の投与量)を放出するために、ベース16は、装填回転18をするために再び回転させられ、このため、搬送チューブ42は、軸方向の装填運動30をし、投与量チャンバ60の容積は、拡張し、過少圧力が、投与量チャンバ60内に確立される。結果として、容器48内の液体は、搬送チューブ42によって投与量チャンバ60内に再び吸引される。過少圧力は、それにより、容器48内で発生され、これが、ストッパ54を近位方向38に移動させる。その後、さらなる投与量(又はプライミング投与量がまず放出された場合には最初の投与量)は、ボタン24を押すことによって放出され得る。
【0083】
本開示は、例示的な実施形態を参照して説明されたが、本発明は、上記で説明されたものに限定されないことが理解される。例えば、パーツの寸法は、必要に応じて変更されてもよいことが理解される。
【符号の説明】
【0084】
10 エアロゾルディスペンサ、12 装置、16 ベース、18 装填回転、30 軸方向の装填運動、40 非作動状態、42 搬送チューブ、44 保持部材、46 容器チャンバ、48 容器、54 ストッパ、56 底部、60 投与量チャンバ、86 ロック構造、88 弾性アーム、90 剛性構造、92 弾性要素、96 作動状態
図1
図2
図3
図4
図5