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特許7485666ヒドロクロロフルオロオレフィンを含む粗製ストリームを精製する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】ヒドロクロロフルオロオレフィンを含む粗製ストリームを精製する方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 17/395 20060101AFI20240509BHJP
   C07C 17/383 20060101ALI20240509BHJP
   C07C 21/18 20060101ALI20240509BHJP
   B01D 53/14 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
C07C17/395
C07C17/383
C07C21/18
B01D53/14 210
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021526702
(86)(22)【出願日】2019-10-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-18
(86)【国際出願番号】 US2019055553
(87)【国際公開番号】W WO2020101825
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2022-09-26
(31)【優先権主張番号】62/767,527
(32)【優先日】2018-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500307340
【氏名又は名称】アーケマ・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】900 First Avenue,King of Prussia,Pennsylvania 19406 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】アンヌ・マリー・ピガモ
(72)【発明者】
【氏名】ケヴィン・イスレ
(72)【発明者】
【氏名】ウェイン・ブルックス
(72)【発明者】
【氏名】ジェイ・フィンジェレット・ミラー
(72)【発明者】
【氏名】ベルトラン・ルイ・モーリス・コリエ
(72)【発明者】
【氏名】エマニュエル・ダニエル・ブサレ
【審査官】水島 英一郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-510817(JP,A)
【文献】特表2018-508550(JP,A)
【文献】特開2014-024821(JP,A)
【文献】国際公開第2018/134607(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒドロクロロフルオロオレフィン(HFCO)の粗製ストリームから酸を除去するための方法であって、前記酸は、HF又はHClのうちの少なくとも1つを含み、前記HFCOの粗製ストリームは、少なくとも1つのE異性体及び少なくとも1つの対応するZ異性体を含み、前記方法は、以下のステップ:
a)前記HFCOの粗製ストリームを蒸留することにより、前記HFCOの粗製ストリーム中のE異性体又は対応するZ異性体の1つの量を減少させて、異性体減少後の粗製HFCOストリームを生成するステップ;
b)前記異性体減少後の粗製HFCOストリームを水性塩基ストリームと接触させるステップであって、30℃以下の反応温度で行われるステップ
を含み、
ステップb)により、塩基は、HF又はHClの少なくとも1つと反応して塩を形成し、HF又はHClの少なくとも1つの除去は、前記塩の除去によって達成され、ステップb)は、異性体減少かつ酸減少後の粗製HFCOストリームと、前記塩を含む塩基性水性微量粗製HFCOストリームを生成し、
ステップa)はステップb)の前に実施される、
方法。
【請求項2】
前記ヒドロクロロフルオロオレフィンの粗製ストリームは、E(トランス)-1,1,1-トリフルオロ-3-クロロ-2-プロペン及びZ(シス)-1,1,1-トリフルオロ-3-クロロ-2-プロペンを含み、前記ステップa)は、前記ヒドロクロロフルオロオレフィンの粗製ストリーム中のZ(シス)-1,1,1-トリフルオロ-3-クロロ-2-プロペンの量を減少させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記水性塩基ストリームが13.5以上のpHを有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記水性塩基ストリームが、少なくとも5重量%の水性KOH又は少なくとも5重量%のNaOHを含む、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
さらに、ステップa)の後、ステップb)の前に実施されるステップc)を含み、ステップc)は、前記異性体減少後の粗製HFCOストリームを水ストリームと接触させるステップを含み、これにより、前記水ストリームがHF又はHClの少なくとも1つを溶解し、HF又はHClの少なくとも1つの部分的な除去が達成され、ステップc)は、水性HF/HCl/微量粗製HFCOストリームと、酸減少後の粗製HFCOストリームを生成し、前記酸減少後の粗製HFCOストリームがステップb)に供給され、ステップc)は洗浄温度で行われる、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
さらに、ステップb)の後に完成されるステップd)を含み、前記ステップd)は、ステップb)から生じる前記塩基性水性微量粗製HFCOストリームから微量粗製HFCOを除去するステップを含む、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
ステップd)が、ストリッピング剤を使用するストリッピングを含み、前記ストリッピング剤が、空気、窒素、及びスチームからなる群から選択される、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記ストリッピング剤がスチームを含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
さらに、ステップb)及びステップc)の後に完成されるステップe)を含み、ステップe)は、i)ステップb)から生じる前記塩基性水性微量粗製HFCOストリームをステップc)から生じる前記水性HF/HCl/微量粗製HFCOストリームと組み合わせて、組み合わされた水性微量粗製HFCOストリームを生成すること、及びii)前記組み合わされた水性微量粗製HFCOストリームから微量粗製HFCOを除去することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
ii)が、ストリッピング剤を使用するストリッピングを含み、前記ストリッピング剤が、空気、窒素、及びスチームからなる群から選択される、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記ストリッピング剤がスチームを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ステップb)から生じる前記異性体減少かつ酸減少後の粗製HFCOストリームが3000μモル/モル未満の3,3,3-トリフルオロプロピンを含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1,1,3,3テトラクロロプロペン(R1230za)又は1,1,1,3,3ペンタクロロプロパン(R240fa)などの出発物質がHFと反応され、目的のヒドロクロロフルオロオレフィンが製造されるプロセスから製造されるヒドロクロロフルオロオレフィン冷媒の精製プロセスのステップに関する。この方法でそのような化合物を製造する場合、有機物の多いプロセスストリームから少量のHFを除去する必要がある。これは、所望の冷媒に加えて、合成反応中の副反応として生成される少量ではあるが望ましくない量の他の有機生成物も含み得る。本発明のプロセスは、最初に、蒸留によってヒドロクロロフルオロオレフィンの望ましくない高沸点シス-(Z)形態を除去し、次に、HF及び/又はHClなどの任意の酸を中和し、最後に、最終精製に送られるものとして、ヒドロクロロフルオロオレフィンの所望のトランス-(E)形態を回収する。中和システムは、アルカリ金属又はKOH若しくはNaOHなどのアルカリ土類金属の塩基性塩を利用するか、又は塩基としてアンモニアを利用する。塩基は、任意選択で、亜硫酸水素塩、亜硫酸塩又はそれらの混合物などの1つ又は複数の還元剤と組み合わせて、HF及び/又はHClを除去することができる。中和ステップの前に最初に望ましくないシス-(Z)型を除去することにより、望ましくない副生成物、特に3,3,3-トリフルオロプロピン(TFP)の予想できなかった著しい減少がある。
【背景技術】
【0002】
オゾン層破壊係数が低いだけでなく、地球温暖化にも寄与しない、より環境に優しい形態の冷媒、伝熱流体、発泡剤、溶剤などを製造するという継続的な要求がある。これらの用途に広く使用されているクロロフルオロカーボン(CFC)とヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)はオゾン層破壊物質であり、モントリオール議定書のガイドラインに従って段階的に廃止されている。ヒドロフルオロカーボン(HFC)は、多くの用途でCFC及びHCFCの主要な代替品である。これはオゾン層に対して安全であるが、それでも一般的に高い地球温暖化ポテンシャルを持っており、そのため、それらの使用も最小限に抑える必要性が高まっている。
【0003】
オゾン層破壊物質や地球温暖化の激しい物質に取って代わることが確認されている化合物の1つのクラスは、ヒドロフルオロオレフィン(HFO)やヒドロクロロフルオロオレフィン(HCFO)などのハロゲン化オレフィンである。HFOとHCFOは、地球温暖化ポテンシャルが低く、要望に応じてゼロ又はほぼゼロのオゾン層破壊特性を提供する。例示的なそのようなHCFOは、R1233zd-E、トランス(E)1-クロロ-3,3,3,トリフルオロ-2-プロペンである。
【0004】
R1233zd-Eを生成するための典型的なプロセスは、1,1,3,3テトラクロロプロペン(R1230za)又は1,1,1,3,3ペンタクロロプロパン(R240fa)とHFとの反応である。そのようなプロセスの例は、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第9,061,958号明細書に記載されている。
【0005】
フッ化水素化反応は、当技術分野で知られている任意の反応器を使用して、気相又は液相で行うことができる。非限定的な例には、管状反応器、プラグフロー反応器、撹拌槽型反応器、又は非撹拌槽型反応器が含まれる。反応は、均一又は不均一触媒で触媒することができ、又は反応は、触媒なしで実行することができる。反応の生成物は、蒸留塔又は精留塔などの部分塔のいずれかで蒸留して、軽質生成物を除去し、より重い反応物及び中間体を回収して、反応器に再循環させることができる。反応器からの軽質生成物は、有機物、HCl及びHFを含み、これらは、蒸留塔の通常の操作によって蒸留塔の上部に運ばれるか、又は有機HF共沸混合物の一部として上部に運ばれる。
【0006】
一般的に、次のステップは蒸留によるHClの除去である。微量のHClがボトムストリームに残る場合がある。HClストリームは、HClが任意選択でさらに精製され、及び/又は販売のために水で希釈され得る生成物ストリームと考えられる。
【0007】
次に、ボトムストリームはセパレーターに送られ、有機物からほとんどのHFが除去される。この分離工程は、蒸留、抽出、吸着、又は好ましくはデカンターの使用によるものであり得る。デカンターを使用する場合、HFが多い相には20~40重量%の有機物が含まれ得る。このストリームは、任意選択で蒸留塔に送り、有機物、又は有機HF共沸混合物を除去することができる。HFは反応器に送り返され、有機物の多いストリームはデカンターに送り返される。
【0008】
分離器からの有機物の多いストリーム、すなわちデカンターからのボトムストリームは、いくらかのHF、典型的には0.1~6重量%のHFを含む。次に、このストリームからHFを除去する必要がある。これは、目的の冷媒と、不要な異性体、不十分フッ素化及び過フッ素化副生成物、及び反応の結果として生成される微量のHClなどの少量の不純物との粗製混合物である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
目的の冷媒を回収して精製し、残りのHFを除去する方法はいくつかある。
【0010】
この粗製冷媒ストリームからHFを除去するために、現在のプロセスの多くは、気化したストリームを、高温で吸収塔内の水性又は水性-塩基ストリームに通す。通常、この処理は非常に揮発性の高い製品を使用して行われ、不要な副反応が発生しないように温度を十分に低く保つ。最初のステップは、HFの大部分を除去するために、ストリームを水性吸収剤に通すことである。次に、ストリームは、塩基ストリーム又は塩基/還元剤ストリームを含む吸収剤を通過する。水流中の塩基はHFと反応して塩を形成し、それが水流とともに流れて塔のテールから出る。塔のヘッドにはHFを含まない冷媒が含まれており、これは、さらに精製するために1つ又は複数の蒸留塔に送られる。ただし、粗製R1233zd-E(トランス形態)を処理する場合、3,3,3-トリフルオロプロピン(TFP)などの不要な副生成物を形成する傾向がある。
【0011】
米国特許第9,221,732号明細書は、HF及びHClを含む粗製R1233zd-Eを分離する方法に関する。この方法は、混合相が分離するようにHClレベルを下げることを含む。上層にはほとんどのHFが含まれ、下層には主にR1233zd-Eが含まれ、HFとHClのレベルは低くなっている。HF及びHClは、ストリームを水溶液又はアルカリ性水溶液で洗浄することによって除去される。湿ったR1233zd-Eのさらなる精製についても、溶液を塩基で洗浄した結果としての望ましくない副生成物を最小限に抑えるための努力についても、開示がない。
【0012】
米国特許第9,272,968号明細書は、R1233zdと塩基性溶液との反応により形成され得る有毒で可燃性の物質である3,3,3-トリフルオロプロピン(TFP)の形成を抑制する方法を開示している。開示されたプロセスは、HFが2つの別々の洗浄ステップで水で除去され、次いで、得られた溶液がH2SO4吸収システムで乾燥される方法を含む。第2の実施形態では、第2の水洗浄ステップは、弱い苛性溶液(pH7~pH10)を用いた洗浄ステップに置き換えられる。次に、得られたストリームをH2SO4で乾燥させることができる。別の実施形態では、水及び微量HFはH2SO4ではなく、固体乾燥剤で除去される。
【0013】
米国特許第9,540,296号明細書は、R1233zdの粗製ストリームが低レベルのHFに加えてHClを含むプロセスを開示している。このストリームを水溶液又は塩基性溶液で洗浄すると、湿った蒸気が凝縮する。得られた液体混合物は、HCFO-1233zd、その他の有機物、及び水を含み、これを沈降させ、その後、より軽い水層を混合物の上部からデカントして取り除く。次に、より重いHCFO-1233zd層が、デカンターの底部から引き出されて乾燥剤(例えば、モレキュラーシーブ、活性アルミナ、シリカゲルなど)に供され、HCFO-1233zdから残留可溶性水分を約80ppm以下にさらに除去する。この開示は、望ましくない有機物又はTFPのレベルを、洗浄工程を実施する方法によって制御することができる方法を記載していない。
【0014】
米国特許出願公開第2013/0158305号明細書は、フッ素含有化合物から水分を除去する方法を開示している。この方法は、水分で汚染されたフッ素含有化合物を金属塩を含む水溶液と接触させることを含む。開示された方法は、ヒドロフルオロオレフィンなどの様々なフッ素含有化合物から水分を連続的かつ効率的に除去することができる。この開示は、粗製冷媒ストリームから低レベルのHFを除去するための特定の方法について論じていない。
【0015】
米国特許出願公開第2017/0081265号明細書は、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HCFO-1233zd)の共沸又は共沸類似組成を使用する分離プロセスを開示している。この分離プロセスは、組成物の共沸又は共沸類似の特性を、分離技術(例えば、蒸留及びデカンテーション)の様々な組み合わせで利用して、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンを精製する。
【0016】
したがって、所望のR1233zd-Eの量を減らしたり、3,3,3-トリフルオロプロピン(TFP)及び他の望ましくない有機物を生成することなく、望ましくない有機物を含む粗製R1233zd-Eを含むプロセスストリームから、HFを除去できるプロセスが必要である。さらに、環境に配慮した方法で、得られたHFフリー冷媒から水を経済的に除去する必要もある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
驚くべきことに、中和ステップの前にシス(Z)-異性体R1233zd-Zを除去すると、不要な副生成物、特にTFPの形成が大幅に減少することがわかった。本明細書に開示されるプロセスは、R1233zd-Eの製造に限定されず、Z又はE異性体を有するすべてのHFCOに適用可能である。
【0018】
したがって、本発明者らは、シス-(Z)及びトランス-(E)形態の両方ならびに0.1~6重量%のHFを含む粗製ストリームからヒドロクロロフルオロオレフィンのシス-(Z)形態を除去すると、後続の中和ステップ中に生成される不要な副産物の量が減少することを見出した。特に、3,3,3-トリフルオロプロピン(TFP)の量が大幅に減少する。
【0019】
本明細書に開示されるプロセスは、一般に、粗製R1233zd-Eストリーム中のR1233zd-Z異性体のレベルを1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、さらにより好ましくは0.1重量%未満に最初に低減するステップを含む。R1233zd-Z異性体がこのように除去されると、粗製R1233zd-Eストリームは、次に、苛性ストリームとしてpHが13以上である塩基ストリーム(例えば、NaOH又はKOH水溶液)ストリームと組み合わされる。粗製R1233zd-Eストリームと塩基ストリームは、温度を60℃未満、好ましくは45℃未満に保つように組み合わされる。塩基ストリームはHFとHClを塩に変換するが、塩基はほかに粗製R1233zd-Eと有機物を含むストリームの組成を変更しない。次に、この組み合わされたストリームは、2つの液相:粗製R1233zd-E及び有機物を含む有機相と、HF及びHClの塩ならびに未反応の塩基性種を含む水相とに分割される。
【0020】
次に、粗製R1233zd-Eを含む有機粗製ストリームをモレキュラーシーブなどの従来の手段で乾燥し、蒸留して軽質及び重質の有機副産物を除去し、すべての製品仕様を満たす精製R1233zd-Eを製造することができる。水相は、任意選択でストリッピングカラムに送って、微量の粗製R1233zd-Eを除去及び回収することができる。
【0021】
ストリッピングカラムを使用して微量の粗製R1233zd-Eを有機相から除去する場合、ストリッピング剤は、例えばスチーム、空気、又は窒素とすることができる。好ましくは、ストリッピング剤はスチームである。ストリッピングカラム相からのオーバーヘッドは、2つの液相(粗製R1233zd-E相と水相)に分かれる。水相はストリッパーカラムに戻されるか、廃棄物処理に送られる。水性ストリームには微量の有機物しか含まれていないため、簡単に廃棄できる。
【0022】
本明細書において、実施形態は、明確で簡潔な明細書を書くことを可能にする方法で説明されるが、実施形態は、本発明から離れることなく、様々な組み合わせ又は分離が意図され、理解される。例えば、本明細書に記載のすべての好ましい特徴は、本明細書に記載の本発明のすべての態様に適用可能であることが理解されよう。
【0023】
本発明の様々な非限定的な態様は、以下のように要約することができる。
態様1:ヒドロクロロフルオロオレフィン(HFCO)の粗製ストリームから酸を除去するための方法であって、前記酸は、HF又はHClのうちの少なくとも1つを含み、前記HFCOは、少なくとも1つのE異性体及び少なくとも1つの対応するZ異性体を含み、前記方法は、以下のステップ:
a)前記HFCOの粗製ストリーム中のE異性体又は対応するZ異性体の1つの量を減少させて、異性体減少後の粗製HFCOストリームを生成するステップ;
b)前記異性体減少後の粗製HFCOストリームを水性塩基ストリームと接触させるステップであって、反応温度で行われるステップ
を含み、
ステップb)により、塩基は、HF又はHClの少なくとも1つと反応して塩を形成し、HF又はHClの少なくとも1つの除去は、前記塩の除去によって達成され、ステップb)は、異性体減少かつ酸減少後の粗製HFCOストリームと、前記塩を含む塩基性水性微量粗製HFCOストリームを生成し、
ステップa)はステップb)の前に実施される、
方法。
態様2:前記ヒドロクロロフルオロオレフィンの粗製ストリームは、E(トランス)-1,1,1-トリフルオロ-3-クロロ-2-プロペン及びZ(シス)-1,1,1-トリフルオロ-3-クロロ-2-プロペンを含み、前記ステップa)は、前記ヒドロクロロフルオロオレフィンの粗製ストリーム中のZ(シス)-1,1,1-トリフルオロ-3-クロロ-2-プロペンの量を減少させることを含む、態様1に記載の方法。
態様3:ステップa)が蒸留のステップを含む、態様1又は態様2に記載の方法。
態様4:前記水性塩基ストリームが13.5以上のpHを有する、態様1~3のいずれか1項に記載の方法。
態様5:前記水性塩基ストリームが、少なくとも5重量%の水性KOH又は少なくとも5重量%のNaOHを含む、態様1~4のいずれか1項に記載の方法。
態様6:前記反応温度が50℃以下である、態様1~5のいずれか1項に記載の方法。
態様7:前記反応温度が30℃以下である、態様1~6のいずれか1項に記載の方法。
態様8:さらに、ステップa)の後、ステップb)の前に実施されるステップc)を含み、ステップc)は、前記異性体減少後の粗製HFCOストリームを水ストリームと接触させるステップを含み、これにより、前記水ストリームがHF又はHClの少なくとも1つを溶解し、HF又はHClの少なくとも1つの部分的な除去が達成され、ステップc)は、水性HF/HCl/微量粗製HFCOストリームと、酸減少後の粗製HFCOストリームを生成し、前記酸減少後の粗製HFCOストリームがステップb)に供給され、ステップc)は洗浄温度で行われる、態様1~7のいずれか1項に記載の方法。
態様9:さらに、ステップb)の後に完成されるステップd)を含み、前記ステップd)は、ステップb)から生じる前記塩基性水性微量粗製HFCOストリームから微量粗製HFCOを除去するステップを含む、態様1~8のいずれか1項に記載の方法。
態様10:ステップd)が、ストリッピング剤を使用するストリッピングを含み、前記ストリッピング剤が、空気、窒素、及びスチームからなる群から選択される、態様9に記載の方法。
態様11:前記ストリッピング剤がスチームを含む、態様10に記載の方法。
態様12:さらに、ステップb)及びステップc)の後に完成されるステップe)を含み、ステップe)は、i)ステップb)から生じる前記塩基性水性微量粗製HFCOストリームをステップc)から生じる前記水性HF/HCl/微量粗製HFCOストリームと組み合わせて、組み合わされた水性微量粗製HFCOストリームを生成すること、及びii)前記組み合わされた水性微量粗製HFCOストリームから微量粗製HFCOを除去することを含む、態様8に記載の方法。
態様13:ii)が、ストリッピング剤を使用するストリッピングを含み、前記ストリッピング剤が、空気、窒素、及びスチームからなる群から選択される、態様12に記載の方法。
態様14:前記ストリッピング剤がスチームを含む、態様13に記載の方法。
態様15:ステップb)から生じる前記異性体減少かつ酸減少後の粗製HFCOストリームが3000μモル/モル未満の3,3,3-トリフルオロプロピンを含む、態様1~14のいずれか1項に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明によるプロセスの一実施形態を示す。
図2図2は、本発明によるプロセスの追加のステップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本明細書で説明するさまざまな化合物(冷媒を含む)を指すために使用される命名法は次のとおりである。
【0026】
粗製R1233zd-E又はR1233zd-E粗製品とは、主にR1233zd-E異性体を含むストリームを意味するが、R-1233zd-Z異性体などの名前付きや名前なしの汚染物質を含む、完全に精製されておらず、純粋な製品の仕様を満たしていないストリームをも意味する。
R1233zd-E:トランス-1,1,1-トリフルオロ-3-クロロ-2-プロペン
R1233zd-Z:シス-1,1,1-トリフルオロ-3-クロロ-2-プロペン
TFP:3,3,3-トリフルオロプロピン
R1234ze-E:トランス-1,3,3,3-テトラフルオロ-2-プロペン
R1234ze-Z:トランス-1,3,3,3-テトラフルオロ-2-プロペン
R1230za:1,1,3,3-テトラクロロ-2-プロペン
R240fa:1,1,1,3,3-ペンタクロロプロパン
【0027】
本明細書に開示される実施例は、粗製R1233zd-Eの例示的な精製を記載しているが、他のハロゲン化プロペン化合物も同様に同じ方法で処理するのに適していることを理解されたい。本発明のプロセスを使用して精製することができる化合物の非限定的な例は、以下のものである:トランス-1,1,1-トリフルオロ-3-クロロ-2-プロペンなどのモノクロロ-トリフルオロプロペン;シス-1,1,1-トリフルオロ-3-クロロ-2-プロペン。
【0028】
冷媒R1233zd-Eが生成される場合、考えられる1つのプロセスルートは、HFとの反応によってR240fa又はR1230zaのいずれかをR1233zd-Eに変換することである。遊離したHClを除去し、得られたストリームをデカンターに送る。デカンター操作は、米国特許第8,735,636号明細書に記載されており、これは、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。デカンターからの上部のHFが多い相は、直接、又は任意選択で共沸混合物カラムを介して送られ、過剰なHFをR1233zd-Eを生成する反応器に戻ってリサイクルする。デカンターからの下部の有機物が多い相は、主に粗製のR1233zd-Eを含み、HFが約0.1~6重量%であり、さらなる精製に供される。
【0029】
上記のように、粗製のR1233zd-Eを精製するには、HFと残留HClを除去する必要がある。これは、粗製R1233zd-Eを塩基と反応させることによって最良に行われ、「水、NaOH水溶液、KOH水溶液及びそれらの混合物」による粗製R1233zd-E溶液からのHFの除去に言及している米国特許第9,061,958号明細書で議論されている。ただし、粗製R1233zd-E混合物をpHが10を超える溶液と反応させると、望ましくない副生成物、主にTFPが生成される。
【0030】
TFP形成の問題を克服する方法は、中和ステップの前に、両方の異性体を含む粗製R1233zd-E混合物からR1233zd-Zを蒸留することである。予期せぬことに、これによりTFPの生成が大幅に減少する。
【0031】
以下の第1の実施形態の説明は、図1のブロックプロセス図を参照している。
【0032】
図1は、0.1~6wt%のHFと、場合によってはいくらかのHClを含む粗製R1233zd-Eストリーム101を示す。HFの量及びこのストリームの温度は、ストリーム101を生成するための前の処理ステップに依存する。温度は-60℃~50℃の範囲であり得る。例えば、前の処理ステップがデカンテーションである場合、デカンターは-40~50℃で実行され得る。ストリーム101の有機物は、典型的には、50~99%、70~97%、80~96%のR1233zd-Eと、40~1%、30~3%、20~4%のR1233zd-Zを有する有機成分を含む。ストリーム101は蒸留塔200に送られ、そこで蒸留されて、R1233zd-Z異性体が所望のR1233zd-E異性体から除去される。蒸留塔200は、ボトムストリーム102から不要なR1233zd-Z異性体を除去する。ストリーム103は、粗製R1233zd-E及び0.1%未満のR1233zd-Zを含むカラム200からの蒸気オーバーヘッドであり、その後、任意的な熱交換器301に運ばれる。熱交換器301は、粗製R1233zd-E蒸気ストリーム103を冷却しながら、ストリーム103を依然として蒸気として残すことに役立つことができるか、又は熱交換器301は、ストリームがカラム201に入るときにそれが蒸気のままであることを保証するためにストリームを加熱することができる。次に、粗製R1233zd-Eストリーム103は、任意的な吸水カラム201に送られ、そこで水ストリーム104を使用して、HF及びHClの>90%を除去する。この吸水カラム201は、気液吸収器(図示)又は液液抽出器であり得る。この例では、吸水カラム201は、水を吸収相として使用する気液吸収器である。しかしながら、当業者は、カラム201が代わりに液液抽出カラムであり得ることを理解することができ、その場合、粗製R1233zd-Eストリーム103は、熱交換器301で十分に冷却されて凝縮し、カラムは液液抽出器として動作する。
【0033】
この例では、水ストリーム104がカラム201の上部に入り、粗製R1233zd-Eを含む蒸気ストリーム103が吸水カラム201の底部に供給される。ストリーム107は、第1のカラム201のオーバーヘッドからの粗製蒸気R1233zd-E有機流出物ストリームである。この時点で蒸気であるストリーム107は、任意的な熱交換器302を通過することができる。任意的な熱交換器302は、相変化をもたらさずに、粗製R1233zd-Eストリーム107を冷却又は加熱するだけである。すなわち、粗製R1233zd-Eストリーム107は蒸気のままである。この時点で、粗製R1233zd-Eストリーム107はまだ少量のHFとHClを含んでいるため、反応器分離器であるカラム202に運ばれる。カラム202において、塩基ストリーム106は、粗製R1233zd-E蒸気ストリーム107と接触させられる。ストリーム106内の塩基は、ストリーム107から残りのHF及びHClを除去するのに役立つ。塩基ストリーム106は、例えば、NaOH水溶液又はKOH水溶液であり得る。ストリーム106のpHは、好ましくは、少なくとも10以上、例えば、少なくとも11又は12又は13若しくは13.5以上、又は14に近いpHである。
【0034】
上記のように、当業者は、カラム202が液液抽出器又は気液吸収剤のいずれかであり得ることを理解することができる。この例では、カラム202は気液吸収カラムとして動作するが、ストリーム107が熱交換器302内で液体に十分に冷却される場合、カラム202は液液抽出カラムとして動作することができる。
【0035】
カラム202の温度は、液液抽出器として実行されるか気液吸収器として実行されるかにかかわらず、相及び温度に適切に応じて、10℃~80℃又は20℃~70℃又は25℃~50℃の範囲であり得る。
【0036】
ストリーム109は、塩基ストリーム106を利用する反応器-分離器カラム202からのオーバーヘッドである。したがって、ストリーム109は酸を含まないHCFO R1233zd-Eであり、反応器-分離器カラム202のボトムストリーム108は、ストリーム107から除去されたHF及びHClの塩を含む水性塩基性ストリームである。さらに、カラム201(吸水器)及び202(反応器分離器)は、複数の吸水器及び/又は反応器分離器であり得る。例えば、水洗浄工程は任意であるため、吸水カラム201がないか、1つ又は2つ以上であり得る。ストリーム101からHF又はHClを除去するため、少なくとも1つ、又はそれ以上の反応器-分離器カラム202があり得、これは、NaOH、KOHなどの塩基、又はアンモニアなどの他の塩基のストリームを、単独で、又は亜硫酸水素塩、亜硫酸水素塩若しくはそれらの混合物などの還元剤と組み合わせて利用する。任意的な吸水カラム201が使用されない場合、ストリーム104はカラム202に直接供給される。
【0037】
カラム201又は202のいずれか又は両方を液液抽出器として動作する場合、カラム201又は202は、当技術分野で知られているような任意のタイプの抽出カラム、例えば、Karrカラム、Scheibelカラム、充填カラム、又はPodbielniakなどの遠心抽出器であり得る。
【0038】
カラム202のオーバーヘッドである有機物の多いストリーム109は、モレキュラーシーブによって除去され得る少量の水を含む。モレキュラーシーブによる吸着は、液相又は気相で達成することができる。次に、有機物ストリームであるストリーム109は、すべての仕様を満たす精製されたR1233zd-Eを生成するために、ライトとヘビー(つまり不要な有機物)を除去するために下流の処理に送られる。
【0039】
反応器-分離器カラム201及び202からの水ストリーム105及び108は、それぞれ、約450~500ppmの有機物を含む。ストリーム105及び108は、プラントの廃水浄化セクションに送ることができ、又はストリーム105及び108は、リサイクルのために、及びプラントの環境負荷を低減するために、有機物(すなわち、HFCO)を除去することができる。ストリーム105と108は、有機物を除去するために別々に処理することも、それらを組み合わせることができ、有機物を組み合わせたストリームから除去することができる。以下の説明は、ストリーム105又は108のいずれか、又はストリーム105と108の組み合わせであるストリームのいずれかに適用されることを理解されたい。
【0040】
これらの水性ストリーム105及び/又は108から有機物を除去するための好ましい方法は、ストリッピングカラム203を使用することである。図2は、ストリッピングカラム203を示している。ストリーム114は、スチーム、空気、窒素などであることができるストリッピング剤であり得、スチームが好ましい。得られる水性ストリーム113は、本質的に有機物を含まず、典型的な方法で処分することができる。カラム203からのオーバーヘッドである、有機物を含むストリーム112は、ストリーム112がほとんど液体であるように約10℃に冷却され、これにより、ストリーム112は、粗製1233zd-Eに存在し得たHF及びHClを含まない、有機物の多いストリーム110と、水性の多いストリーム111とに相分割する。水性ストリーム111は、ストリーム113としてカラム203の底部を出る水が本質的に有機物を含まないように、ストリッピングカラム203に送り返され、還流され得る。
【0041】
苛性(塩基)ストリーム106の非限定的な例は、NaOH、KOH、又はアンモニアなどの塩基の5~10重量%の水溶液を含む。塩基ストリーム106は、例えば、亜硫酸水素塩、亜硫酸塩、及びそれらの混合物などを含むがこれらに限定されない還元剤をさらに含み得る。ストリーム106のpHは、12~14、又は13~14、又は13.5~14の範囲であり得る。ストリーム106の温度は、10℃~80℃又は20℃~70℃又は30℃~60℃の範囲であり得る。カラム202内の106と107の組み合わされたストリームの温度は、同様に、10℃~80℃又は20℃~70℃又は30℃~60℃の範囲であり得る。同様に、カラム201内の組み合わされたストリーム103及び水104の温度は、10℃~80℃又は20℃~70℃又は30℃~60℃の範囲であり得る。
【実施例
【0042】
実験室での実験を行ったところ、粗製R1233zd-Eと塩基との反応中に生成されるTFPの量が、塩基との反応の前に粗製R1233zd-Eからシス-(Z)異性体を除去すると大幅に減少することが示された。塩基との反応もさまざまな温度で行われ、シス-(Z)異性体の除去により、塩基との反応中のTFPの生成を最小限に抑えるために温度を厳密に制御する必要があるという点に関し、はるかに堅牢なプロセスが得られることを示している。
【0043】
以下のすべての例は、ガスとしてさまざまなレベルのシス-(Z)異性体を有する粗製R1233zd-Eを0.5Lの温度制御されたガラス反応器の底部に供給することによって実行された。様々な温度でpH14を有する10重量%KOHの溶液を、反応器の底部からガラス充填物で満たされたカラムの上部に再循環させた。R1233zd蒸気は、反応器内の液体を泡立たせてから、向流でカラムを通過した。流出した粗製R1233zd-Eガスを塩化カルシウムで乾燥し、液体窒素トラップで液化した。塩基との反応前後の液体粗製R1233zd-Eの組成をガスクロマトグラフィーで分析した。冷媒のすべての濃度は、モルパーセントで示されている。粗製R1233zdは、塩基との反応前に約2重量%のHFと0.1重量%のHClを含んでいた。
【0044】
比較例1(本発明によるものではない):
粗製R1233zd-Eと10重量%KOHとの30℃での反応。R1233zd-Z異性体の事前除去なし。結果を以下の表1に示す。
粗製R1233zd-Eの送り速度:4.8g/h
KOH溶液の再循環速度:185mL/min
【0045】
表1:比較例1の結果:R1233zd-Zを事前に除去せずに、塩基と反応する前後の粗製R1233zd-Eストリームの組成(本発明によるものではない)。
【0046】
【表1】
【0047】
実施例1(本発明による):
実施例1において、反応条件は、粗製R1233zd-Eストリームが最初に蒸留されて、初期R1233zd-Z異性体レベルが83μモル/モルに減少されたことを除いて、比較例1の条件と同じである。30℃で10%KOHと反応させた後の結果を以下の表2に示す。
【0048】
表2:実施例1の結果:R1233zd-Zを事前に除去した、塩基と反応する前後のR1233zdストリームの組成(本発明による)。
【0049】
【表2】
【0050】
比較例2(本発明によるものではない):
粗製R1233-Eと10重量%KOHとの50℃での反応。R1233zd-Z異性体の事前除去なし。結果を以下の表3に示す。
粗製R1233zd-Eの送り速度:6.2g/h
KOH溶液の再循環速度:185mL/min
【0051】
表3:比較例2の結果:R1233zd-Z異性体を事前に除去せずに、塩基と反応する前後の粗製R1233zd-Eストリームの組成(本発明によるものではない)。
【0052】
【表3】
【0053】
実施例2(本発明による):
実施例2において、反応条件は、粗製R1233zd-Eストリームが最初に蒸留されて、初期R1233zd-Zレベルが38μモル/モルに減少されたことを除いて、比較例2の条件と同じである。50℃で10%KOHと反応させた後の結果を以下の表4に示す。
【0054】
表4:実施例2の結果:R1233zd-Z異性体を事前に除去した、塩基と反応する前後の粗製R1233zd-Eストリームの組成(本発明による)。
【0055】
【表4】
【0056】
実施例と比較例に示されているこれらの結果によると、塩基との反応の前に粗製R1233zd-Eを蒸留してR1233zd-Z異性体を除去すると、R1233zd-Z異性体を除去しない同じ反応と比較してTFPの生成が大幅に減少する。また、R1233zd-E異性体の量は、塩基との反応後も本質的に変化しない。さらに、粗製R1233zd-Eストリームを塩基と接触させる前にR1233zd-Z異性体が除去された場合、TFPの生成は、より高い温度で塩基を粗製R1233zd-Eと反応させることによっても増加しない。
【0057】
いくつかの実施形態では、本明細書の本発明は、組成物又はプロセスの基本的かつ新規の特性に実質的に影響を及ぼさない任意の要素又はプロセスステップを除外すると解釈することができる。さらに、いくつかの実施形態では、本発明は、本明細書で指定されていない任意の要素又はプロセスステップを除外すると解釈することができる。
【0058】
本発明は、特定の実施形態を参照して本明細書に例示及び説明されているが、本発明は、示されている詳細に限定されることを意図するものではない。むしろ、本発明から逸脱することなく、特許請求の範囲の同等物の範囲及び範囲内で詳細に様々な修正を行うことができる。
【0059】
本明細書において、実施形態は、明確で簡潔な明細書を書くことを可能にする方法で説明されたが、実施形態は、本発明から離れることなく、様々な組み合わせ又は分離が意図され、理解される。例えば、本明細書に記載のすべての好ましい特徴は、本明細書に記載の本発明のすべての態様に適用可能であることが理解されよう。
図1
図2