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  • 特許-再パルプ化可能な包装材料 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】再パルプ化可能な包装材料
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/10 20060101AFI20240509BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20240509BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20240509BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20240509BHJP
   D21H 19/82 20060101ALI20240509BHJP
   D21H 19/84 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
B32B27/10
B32B27/00 H
B32B27/20 A
B65D65/40 D
D21H19/82
D21H19/84
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021532930
(86)(22)【出願日】2019-12-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-14
(86)【国際出願番号】 IB2019060567
(87)【国際公開番号】W WO2020121162
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2022-11-09
(31)【優先権主張番号】1851535-3
(32)【優先日】2018-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】501239516
【氏名又は名称】ストラ エンソ オーワイジェイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ナイフレット、オーサ
(72)【発明者】
【氏名】ボンネラップ、クリス
(72)【発明者】
【氏名】エクベリ、マグナス
【審査官】増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/116118(WO,A1)
【文献】特表平11-514595(JP,A)
【文献】特開2003-154609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00 - 43/00
B65D 65/00 - 65/46
D21B 1/00 - 1/38
D21C 1/00 - 11/14
D21D 1/00 - 99/00
D21F 1/00 - 13/12
D21G 1/00 - 9/00
D21H 11/00 - 27/42
D21J 1/00 - 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートシール可能な包装材料であって、
- 第1の面および第2の面を含む板紙基材(1)、
- 第1の面上の第1のコーティング層(2)、
- 第1のコーティング層(2)上の第1のバリアコーティング層(3)であって、顔料を含む第1のバリアコーティング層(3)、
- 第2の面上の第2のコーティング層(4)、ならびに
- 第2のコーティング層(4)上の第2のバリアコーティング層(5)であって、顔料を含む第2のバリアコーティング層(5)を含み、
これらのコーティング層がラテックスまたは水溶性ポリマーを含み、かつ、これらのバリアコーティング層がラテックスを含み、
第1のコーティング層(2)および第2のコーティング層(4)が顔料を含まず、第1のバリアコーティング層(3)および第2のバリアコーティング層(5)が、各層の乾燥固形分に基づいて40重量%以上から70重量%以下の範囲の量で顔料を含み、第1および第2のコーティング層ならびに第1および第2のバリアコーティング層の各々の坪量が1g/m以上から10g/m以下の範囲であることを特徴とする、ヒートシール可能な包装材料。
【請求項2】
前記包装材料が、12Nm /kg 超の縦方向(MD)における15°曲げ抵抗指数(ISO2493-1に従って測定)を有し、および/または、5Nm /kg 超の横方向(CD)における15°曲げ抵抗指数(ISO2493-1に従って測定)を有する、請求項1に記載の包装材料。
【請求項3】
前記包装材料が、SCAN-P12:64に従ってCOBB600を用いて測定するとき、15g/m満の吸水率を示す、請求項1または2に記載の包装材料。
【請求項4】
前記第1および第2のコーティング層ならびに前記第1および第2のバリアコーティング層の各々が、5g/m以上から10g/m以下の範囲の坪量を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の包装材料。
【請求項5】
前記第1および第2のコーティング層ならびに前記第1および第2のバリアコーティング層が、総計で、20g/m以上から40g/m以下の範囲のコーティング重量を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の包装材料。
【請求項6】
前記第1のコーティング層(2)および前記第2のコーティング層(4)が、層の乾燥固形分に基づいて90重量%以上から100重量%以下の範囲の量でラテックスを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の包装材料。
【請求項7】
前記第1のコーティング層(2)および前記第2のコーティング層(4)が、層の乾燥固形分に基づいて0重量%以上から5重量%以下の範囲の量で共バインダーを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の包装材料。
【請求項8】
前記第1のバリアコーティング層(3)および前記第2のバリアコーティング層(5)が、層の乾燥固形分に基づいて50重量%以上から70重量%以下の範囲の量で顔料を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の包装材料。
【請求項9】
前記顔料が、クレー、タルク、炭酸カルシウムおよび/またはナノクレーを含む群から選択される、請求項1~8のいずれか1項に記載の包装材料。
【請求項10】
前記第1のバリアコーティング層(3)および前記第2のバリアコーティング層(5)が、層の乾燥固形分に基づいて30重量%以上から60重量%以下の範囲の量でラテックスを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の包装材料。
【請求項11】
前記第1および第2のコーティング層中のラテックス、ならびに/または、前記第1および第2のバリアコーティング層中のラテックスが、スチレン-ブタジエンラテックス、スチレン-アクリラートラテックス、またはそれらの混合物から選択される、請求項1~10のいずれか1項に記載の包装材料。
【請求項12】
包装材料を製造する方法であって、
- 第1の面および第2の面を含む板紙基材(1)を提供するステップ、
- 第1の面上に第1のコーティング層(2)を適用するステップ、
- 第1のコーティング層(2)上に第1のバリアコーティング層(3)を適用するステップであって、この第1のバリアコーティング層(3)が顔料を含むステップ、
- 第2の面上に第2のコーティング層(4)を適用するステップ、ならびに
- 第2のコーティング層(4)上に第2のバリアコーティング層(5)を適用するステップであって、この第2のバリアコーティング層(5)が顔料を含むステップを含み、
これらのコーティング層がラテックスまたは水溶性ポリマーの分散液コーティングによって形成され、かつ、これらのバリアコーティング層がラテックスの分散液コーティングによって形成され、
第1のコーティング層(2)および第2のコーティング層(4)が顔料を含まず、第1のバリアコーティング層(3)および第2のバリアコーティング層(5)が、各層の乾燥固形分に基づいて40重量%以上から70重量%以下の範囲の量で顔料を含み、第1および第2のコーティング層ならびに第1および第2のバリアコーティング層の各々の坪量が1g/m以上から10g/m以下の範囲であることを特徴とする、包装材料を製造する方法。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか1項に記載の包装材料を含み、またはそれから形成されている包装。
【請求項14】
包装材料の再パルプ化から生じた不合格品(PTS試験方法RH021/97に従って測定)が、包装材料の乾燥重量100重量%に基づいて12重量%未満である、請求項13に記載の包装。
【請求項15】
前記包装がカップである、請求項13または14に記載の包装。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体または冷凍食品の包装(パッケージ)材料に関し、特に、再パルプ化可能な包装材料に関する。
【背景技術】
【0002】
液体または冷凍食品の包装またはカップに使用される繊維ベースの材料は、通常、内側(包装された品物に面する)および外側(印刷面)の両方にバリアコーティングが施されている。内側に施されたバリアコーティングにより、包装材料を、例えば、液体、グリース、酸素、および/または芳香に対する抵抗性を有するものとし、それにより、包装材料に対する包装品の影響に耐性を有するようにし得る。バリアコーティングはまた、ヒートシール(熱封止)可能であるべきである。維ベースの製品上にバリアを形成する際に最も一般的に使用される材料は、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などのポリオレフィンである。今日では、ポリ乳酸(PLA)などの他のバイオベースのポリマーを含む、ポリオレフィンのバイオベースのバージョンも使用されている。液体包装用の板紙は、通常、両面にポリマーコーティングが施され、多くの場合、内側に追加のアルミニウム箔が付いている。ポリオレフィンとアルミニウム箔の複数の層を含む包装材料は、プラスチックコーティングを板紙から分離する際に問題があるため、再パルプ化が困難である。
【0003】
バリア特性を維持しながらリサイクル性の問題に対処するさまざまな包装材料が開示されている。WO2015/155413は、厚紙層およびその少なくとも一方の面上のコーティング層を含むコーティングされた食品用の厚紙(cardboard)を開示し、バリア層が、コーティング層とバインダーおよびスレート状鉱物顔料を含む厚紙との間に配置されている。また、コーティング層は、バインダーおよび光屈折性顔料または顔料の混合物を含む。この教示は、顔料を含むコーティングのみに言及している。米国特許第9771688号は、それぞれバインダーおよび顔料を含むベースコートおよびトップコートを含むコーティングされた板紙を開示している。この教示は、板紙の第1の面にコーティングされる顔料を含むコーティングのみに言及している。EP2358942は、水性ポリマー分散液から形成された第1および第2のコーティング層でコーティングされたリサイクル可能なコーティング板紙を開示し、各層は、約70~約90重量%のポリマーエマルジョンおよび10~約30重量%の顔料からなる。この教示は、顔料を含むコーティングのみに言及している。WO2018/116118は、印刷面上に第1および第2の分散液バリア層を含むヒートシール可能な包装材料を開示し、第2の分散液バリア層は顔料を含む。しかし、この教示は、板紙の印刷面のコーティングにのみ言及している。
【0004】
カップの板紙(cupboard;カップボード)のメーカーにとってのもう1つの課題は、板紙の材料に一定の剛性を持たせる必要があることである。所望される剛性を提供するために、以前から、カップの板紙のメーカーは伝統的に、原材料の消費量の増加を伴いつつ、基材の板紙およびコーティングの両方の坪量を増大させてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、高収率で再パルプ化可能であり、湿分や液体に対して必要なバリア性を提供し、高い剛性を持ちながら坪量が小さいカップの製造に好適な包装材料が依然として必要とされている。
【0006】
この目的は、本発明の独立請求項に係る包装材料、包装材料の製造方法、及び包装によって解決される。従属クレームは、好ましい実施形態に関する。文脈から別段明示されない限り、これらは自由に組み合わせることができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下を提供する:
ヒートシール可能な包装材料であって、
- 第1の面および第2の面を含む板紙基材、
- 第1の面上の第1のコーティング層、
- 第1のコーティング層上の第1のバリアコーティング層であって、顔料を含む第1のバリアコーティング層、
- 第2の面上の第2のコーティング層、ならびに
- 第2のコーティング層上の第2のバリアコーティング層であって、顔料を含む第2のバリアコーティング層を含み、
これらのコーティング層がラテックスまたは水溶性ポリマーを含み、かつ、これらのバリアコーティング層がラテックスを含み、
第1のコーティング層および第2のコーティング層が顔料を含まず、第1のバリアコーティング層および第2のバリアコーティング層が、各層の乾燥固形分に基づいて40重量%以上から70重量%以下の範囲の量で顔料を含み、第1および第2のコーティング層ならびに第1および第2のバリアコーティング層の各々の坪量が1g/m以上から10g/m以下の範囲である、ヒートシール可能な包装材料。
【0008】
包装材料は、ヒートシール可能であり、それと同時に、例えば飲料または食品の包装に使用されうる程度に十分に良好な湿分および液体に対するバリア特性を内側と外側の両方に提供し、特にカップの製造に好適である。驚くべきことに、基板(ベースボード)と直接的に接する両面上に、ラテックスまたは水溶性ポリマーの顔料を含まない層と、所定範囲の量の顔料を含む外側バリア層とを有する、本発明による対称な層配置を備えた包装材料は、低坪量でも非常に優れた剛性を与えることが見出された。これにより、軽量であり、かつ高い剛性を示すカップ板紙の製造が可能になる。特定の理論に束縛されるものではないが、両面の最内層にラテックスまたは水溶性ポリマー層を使用することで、高剛性に寄与することに加えて、ヒートシール性も改善されると考えられる。
【0009】
バリア特性が維持され、包装材料が再パルプ化可能であることが重要な利点である。好ましくは、第1のバリアコーティング層は印刷層を成し、第2のバリアコーティング層はそれによって形成された包装の内側を成し、したがって、その製造された包装またはカップの内容物と接触することになる。これ以上のバリア層は必要ない。特に、包装材料は、包装の外面/印刷面上にポリオレフィン層を含まない。これに対応して、不合格品(拒絶品)の割合を下げることができ、包装材料またはそれから作られた包装の再パルプ化における不合格品の割合は、乾燥重量に基づいて12重量%未満もしくは10重量%未満であってよく、または7重量%未満でさえあり得る。板紙はさらに食品安全規制を満たす。
【0010】
したがって、本発明の利点は、第1および第2のコーティング層および第1および第2のバリア層のいくつかの決定要因を遵守することによって達成される。例えば、基板と直接接触している両方のラテックス層は顔料を含まず、他方、バリアラテックス層は両方とも大量の顔料を含み、全ての層は低い坪量を示す。
【0011】
本明細書で使用される「板紙」(“paperboard”)は、少なくとも部分的に、野菜、木材、および/または合成繊維を包含し得る繊維の融合物の紙ベースの基材を指す。板紙基材は、セルロース繊維を含むことが好ましい。包装材料に使用される典型的な板紙基材は、少なくとも1層、好ましくは数層を含む。板紙基材は、好ましくは多層板紙であり、これは裏面層(バックプライ)および頂部層(トッププライ)の少なくとも2層を含む。板紙基材は、1つまたはいくつかの中間層をさらに含んでいてよい。例えば、板紙基材は、頂部層と裏面層と中間層とを含んでいてよい。多層板紙は、液体および/または冷凍食品の包装に特に好適である。紙層またはコーティング層の坪量は、平方メートルあたりのグラム数、gsmまたはg/mで表される重量を指す。本明細書で使用する場合、gsmおよびg/mは交換可能に使用することができる。
【0012】
本明細書で使用される「バリアコーティング層」は、材料を通る酸素などのガスの透過性および/または繊維構造における液体の吸収を低減または排除することにより、板紙基材にバリア特性を提供するコーティング層を指す。「バリアコーティング層」および「バリア層」という用語は交換可能に使用される。液体などの被包装製品の流出を防ぎ、被包装製品の品質を低下させる可能性のある酸素、湿分、グリース、オイル、またはその他の混入物質の包装内への侵入を防ぐために、バリアコーティングが必要である。包装材料の一方のバリア層は印刷層を形成し、他方のバリア層は、製造されたカップ/包装の内容物と接触する層である。この文脈において、「印刷面」は、印刷されるように適応された表面を定義することを意味する。したがって、バリア層は包装材料の最外層を形成する。
【0013】
本明細書で使用する場合、「コーティング層」は、水性溶液および分散液のコーティングの先行技術において周知である、好ましくは板紙基材上の分散液コーティングによって得られた層を指す。本明細書で使用される「分散液コーティング」は、ラテックス、すなわちポリマー微粒子の水性分散液を紙または板紙の表面に適用(塗布)して、乾燥後に実質的に無孔の固体フィルムを形成するコーティング技術を指す。分散液の層は、ローラーコーティング、スプレーコーティング、カーテン、ブレードコーティング、スロットコーティング、浸漬コーティング、グラビアロールコーティング、リバースダイレクトグラビアコーティング、ロッドコーティング、ソフトチップブレードコーティング、および/またはそれらの組み合わせを使用して適用されてよい。好ましいコーティング方法は、ブレードコーティングおよびロッドコーティングである。分散液コーティングは、リサイクルされ得る。
【0014】
本明細書で使用される「ラテックス」は、ポリマー粒子の水性懸濁液から適用またはコーティングされたポリマーを指し、天然ポリマー、合成ポリマー、バイオマス由来の合成ポリマー、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0015】
本明細書で使用される「顔料」は、製紙産業で通常言及されるような製紙(抄紙)に使用されるクレー(粘土)、チョークまたはカオリンなどの増量剤、充填剤およびコーティングを指す。
【0016】
特に断りのない限り、所与の%は重量%であり、層、プライまたは包装(パッケージ)などの各対象物の乾燥重量100重量%に基づいて計算される。
【0017】
本明細書で表現される包装材料の剛性の尺度を与える縦方向(MD:機械方向)及び横方向(CD:機械横方向)における曲げ抵抗及び曲げ抵抗指数は、IS02493-1に従って、曲げ角度15度を用いて測定される。
【0018】
本明細書で表現される吸水率は、COBB600を用い、SCAN-P12:64に従って測定される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の一実施形態による包装材料の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、様々な実施形態および他の態様に関連してさらに説明される。文脈から別段の明示がない限り、これらは自由に組み合わせることができる。
【0021】
板紙基材は、好ましくは、頂部層および裏面層、ならびに1つまたは複数の中間層を含み、中間層がバルクを与える多層板紙である。好ましくは、基板(ベースボード)とも称される板紙基材は、頂部層、中間層および裏面層を含む3層板紙である。板紙基材は、約150gsm、好ましくは約200gsm、または約300gsmの坪量を有していてよい。多層板紙は、液体および/または食品の包装に特に好適である。1つまたは複数の中間層は、硫酸塩/クラフトパルプおよびCTMPを含むことができ、有利にはバルクを与える。パルプは、無漂白であってよく、または漂白されていてよい。中間層は、化学熱機械パルプ(CTMP)または熱機械パルプ(TMP)に由来する繊維を含んでよい。好ましくは、中間層は、硫酸塩パルプおよびCTMPを含む。頂部層および裏面層は、硫酸塩パルプを含むことが好ましい。好ましくは、頂部層および裏面層はCTMP繊維を含まない。板紙の第1の面は印刷面になり、一方、第2の面はそれから形成された包装の内側になる。
【0022】
基板は、表面サイジングされていてよい。特に、板紙基材の頂部層および/または裏面層は、未処理であるか、または、片面もしくは両面上にて、例えばデンプンの薄層で表面サイジングされていてもよい。表面サイジングは、コーティング層の適用に先立って適用される。表面サイジングは、加工デンプンを含むか、もしくはそれからなっていてよく、または、アクリルコポリマーや顔料などの表面サイジング剤を含んでいてよい。表面サイジングにより、分散液コーティングのバリア特性がさらに向上する。
【0023】
いくつかの実施形態において、本発明のヒートシール可能な包装材料は、12Nm6/kg3を超える、好ましくは13Nm6/kg3を超える縦方向(MD)における曲げ抵抗指数(ISO2493-1、15°に従って決定)を有し、および/または、5Nm6/kg3を超える、好ましくは6Nm6/kg3を超える横方向(CD)における曲げ抵抗指数(ISO2493-1、15°に従って決定)を有する。
【0024】
本発明の包装材料はさらに、SCAN-P12:64に従ってCOBB600を使用して測定した場合に、15g/m未満、好ましくは13g/m未満、最も好ましくは10g/m未満の吸水率を示してよい。
【0025】
いくつかの実施形態において、ヒートシール可能な包装材料は、150g/m以上から230g/m以下の範囲の低坪量を有することができる。いくつかの実施形態において、包装材料は、150g/m以上から230g/m以下までの範囲の坪量を有し、ならびに、60mN超、好ましくは65mN超 もしくは70mN超の横方向(CD)における曲げ抵抗(ISO2493-1、15°に従って測定)、および/または150mN超、好ましくは160mN超、もしくは165mN超の縦方向(MD)の曲げ抵抗(ISO2493-1、15°に従って決定)を有する。したがって、ヒートシール可能な包装材料は、非常に低い坪量で高い剛性を発現することが可能になる。
【0026】
他の実施形態では、ヒートシール可能な包装材料は、230g/m超、例えば、230g/m以上から400g/m以下または200g/m以上から360g/m以下の範囲の坪量を有してもよい。いくつかの実施形態では、包装材料は、200g/m以上から400g/m以下の範囲、もしくは200g/m以上から360g/m以下までの範囲の坪量、ならびに、75mN超、好ましくは120mN超、もしくは125mN超の横方向(CD)の曲げ抵抗(ISO2493-1、15°に従って測定)、および/または190mN超、好ましくは250mN超、もしくは270mN超の縦方向(MD)の曲げ抵抗(ISO2493-1、15°に従って測定)を有する。これらの実施形態においても、ヒートシール可能な包装材料は、低坪量で高い剛性を提供する。
【0027】
第1および第2のコーティング層ならびに第1および第2のバリアコーティング層のそれぞれの坪量は、1g/m以上から10g/m以下の範囲である。これは、層の坪量またはコーティング重量が40g/m以下であることを規定している。第1のコーティング層、第2のコーティング層、第1のバリアコーティング層および/または第2のバリアコーティング層は、独立して、5g/m以上から10g/m以下までの範囲の坪量を有し得る。いくつかの実施形態において、第1および第2のコーティング層、ならびに第1および第2のバリアコーティング層はそれぞれ、5g/m以上から10g/m以下の範囲の坪量を有する。包装材料は、有利なことに、非常に低いコーティング重量を与えると同時に、良好なバリア特性を与える。いくつかの実施形態において、第1および第2のコーティング層ならびに第1および第2のバリアコーティング層は、総計で、20g/m以上から40g/m以下までの範囲、好ましくは25g/m以上から35g/m22以下までの範囲の坪量またはコーティング重量を有する。
【0028】
第1および第2のコーティング層は顔料を含まない。対称構造が板紙と直接接触する両面上に顔料を含まないラテックスまたは水溶性ポリマー層を提供することが、低坪量で非常に優れた剛性を提供するために極めて重要であると考えられる。第1および第2のコーティング層は、好ましくは、多量のラテックスまたは水溶性ポリマーを含む。第1および第2のコーティング層における水溶性ポリマーは、デンプンおよびポリビニルアルコール(PVOH)を含む群から選択することができる。
【0029】
好ましい実施形態では、第1および第2のコーティング層はラテックスを含む。いくつかの実施形態において、第1のコーティング層および第2のコーティング層はそれぞれ、層の乾燥固形分に基づいて、90重量%以上から100重量%以下の範囲の量のラテックスを含む。第1および第2のコーティング層ならびに/または第1および第2のバリア層におけるラテックスは、スチレン-ブタジエンラテックス、スチレン-アクリラートラテックス、アクリラートラテックス、ビニルアセタートラテックス、ビニルアセタート-アクリラートラテックス、スチレン-ブタジエン-アクリロニトリルラテックス、スチレン-アクリラート-アクリロニトリルラテックス、スチレン-ブタジエン-アクリラート-アクリロニトリルラテックス、スチレン-無水マレイン酸ラテックス、スチレン-アクリラート-無水マレイン酸ラテックス、またはこれらのラテックスの混合物を含む群から選択され得る。ラテックスは、好ましくは、スチレン-ブタジエン(SB)ラテックス、もしくはスチレン-アクリラート(SA)ラテックス、またはこれらのラテックスの混合物である。ラテックスは、バイオベース、すなわち、バイオマスに由来するもの、例えば、バイオベースのスチレン-アクリラートまたはスチレン-ブタジエンラテックスであってよい。バイオベースのラテックスは、同様のパフォーマンスを与えることができ、カーボンフットプリントが改善される。第1および第2のコーティング層ならびに/または第1および第2のバリア層におけるラテックスは、同じでもよいし、またはそれぞれの層に異なるラテックスを使用することもできる。いくつかの実施形態において、第1および第2のコーティング層ならびに/または第1および第2のバリアコーティング層におけるラテックスは、スチレン-ブタジエン(SB)ラテックス、スチレン-アクリラート(SA)ラテックス、またはそれらの混合物から選択される。
【0030】
包装材料のバリア特性および剛性のために、コーティング層にて使用されるラテックスは、バリア層のラテックスと同じか、それよりも高いまたは低いガラス転移温度を有してよい。バリア層のラテックスのガラス転移温度は、コーティング層のラテックスのガラス転移温度より高くてよいが、これは対称層配置の低坪量でも良好な剛性を奏するという効果にとって重大な事項ではない。
【0031】
好ましくは、第1および第2のコーティング層は、唯一のバインダーとしてラテックスを含んでよい。他の実施形態における第1および第2のコーティング層は、主バインダーとしてのラテックス、および、好ましくは少量の1種以上の共バインダー(補助結合剤)を含んでもよい。共バインダーは、デンプン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アルカリ膨潤性増粘剤、またはポリビニルアルコール(PVOH)から選択され得る。このような共バインダーは、粘度および保水性を制御することができる。好ましい共バインダーはPVOHである。いくつかの実施形態において、第1のコーティング層および第2のコーティング層はそれぞれ、主バインダーとしてのラテックス、および、層の乾燥固形分に基づいて0重量%以上から5重量%以下の範囲の共バインダー、好ましくはポリビニルアルコール(PVOH)の共バインダーを含む。好ましくは、コーティング層は、層の乾燥固形分に基づいて0重量%以上から1重量%以下までの範囲のPVOHなどの共バインダーを含む。
【0032】
第1および第2のコーティング層は、レオロジー調整剤、消泡剤、発泡防止剤、pH調整添加剤、架橋剤、増粘剤、分散助剤、スリップ添加剤、充填剤、剥離剤、防腐剤およびブロッキング防止剤の群から選択される添加剤などの添加剤を含んでもよい。第1および第2のコーティング層は、層の乾燥固形分に基づいて、0重量%以上から5重量%以下の範囲の添加剤を含んでよい。
【0033】
コーティング層は、包装材料の内側のラテックスまたは水溶性ポリマー層を提供し、これは一方の面上で板紙に接触すると共に他方の面上でバリア層に接触しており、それに対してバリア層は層構成の外層を提供する。第1のバリア層は印刷面を形成し、第2のバリア層はそれから形成された包装の内側を形成することができる。好ましくは、第2のバリア層は包装の内容物と直接接触している。有利なことに、さらなるバリア層は必要ない。
【0034】
内側のコーティング層は顔料を含まず、一方で、外側のバリア層は顔料を含む唯一の層である。第1および第2のバリア層は、特に大量の顔料を含む。顔料は、バリア特性を改善し得る。バリア層中の大量の顔料により、低いコーティング重量で効果的なバリアが可能になる。またそれは、再パルプ化を容易にする。包装材料の印刷面上に適用されたラテックスおよび大量の顔料を含むバリア層は、印刷に好適な特性を与えることができる。包装材料の内側に適用されたラテックスおよび大量の顔料を含むバリア層は、それから形成される容器の液体および/または凍結内容物に対して十分に有効なバリアとして機能し得る。いくつかの実施形態において、第1のバリアコーティング層および第2のバリアコーティング層はそれぞれ、層の乾燥固形分に基づいて40重量%以上から70重量%以下、好ましくは50重量%以上から70重量%以下の範囲の量で、または55重量%以上から70重量%以下の範囲の量で顔料を含む。いくつかの実施形態において、顔料は、クレー(粘土)、タルク、炭酸カルシウムおよび/またはナノクレーを含む群から選択される。好ましくは、クレーはカオリンクレーである。ナノクレーという用語は、ナノスケールのクレー顔料を指す。好ましくは、顔料は、板状クレー顔料などの板状顔料である。
【0035】
顔料の量を考慮して、バリア層は、顔料を含まないコーティング層と比較して、より少ない量のラテックスを含む。いくつかの実施形態において、第1のバリアコーティング層および第2のバリアコーティング層はそれぞれ、層の乾燥固形分に基づいて30重量%以上から60重量%以下の範囲の量のラテックスを含む。
【0036】
ラテックスおよび顔料に加えて、第1および第2のバリア層は添加剤を含んでよい。添加剤は、レオロジー調整剤、消泡剤、発泡防止剤、pH調整添加剤、架橋剤、増粘剤、分散助剤、スリップ添加剤、充填剤、離型剤、防腐剤、およびブロッキング防止剤の群から選択することができる。第1および第2のバリア層は、層の乾燥固形分に基づいて、0重量%以上から5重量%以下の範囲の添加剤を含んでよい。
【0037】
包装材料、または、包装材料を含むか、もしくは包装材料から形成された包装は、一般的な再パルプ化技術を使用して、他の紙製品にリサイクルされてよい。再パルプ化では、セルロース繊維が分離され、洗浄後にリサイクルされ得る。再パルプ化されていない画分は、不合格品(拒絶品)と称される。不合格品には、凝集した繊維や何れかの固形の異物が含まれ得る。不合格品は、廃棄または燃焼のために取り除く必要がある。好ましい実施形態では、包装材料の再パルプ化から生じた不合格品は、包装材料の乾燥重量100重量%に基づいて、12重量%未満または10重量%未満、好ましくは7重量%未満、より好ましくは5重量%未満であり、この拒絶品の割合はPTS試験方法RH021/97に従って判定される。したがって、包装材料は非常に良好な再パルプ化性を与える。したがって、包装材料は、再パルプ化可能な包装材料と称され得る。
【0038】
本発明はさらに包装材料を製造する方法に関し、
この方法は、
- 第1の面および第2の面を含む板紙基材を提供するステップ、
- 第1の面上に第1のコーティング層を適用するステップ、
- 第1のコーティング層上に第1のバリアコーティング層を適用するステップであって、この第1のバリアコーティング層が顔料を含むステップ、
- 第2の面上に第2のコーティング層を適用するステップ、ならびに
- 第2のコーティング層上に第2のバリアコーティング層を適用するステップであって、この第2のバリアコーティング層が顔料を含むステップを含み、
これらのコーティング層がラテックスまたは水溶性ポリマーの分散液コーティングによって形成され、かつ、これらのバリアコーティング層がラテックスの分散液コーティングによって形成され、
第1のコーティング層および第2のコーティング層が顔料を含まず、第1のバリアコーティング層および第2のバリアコーティング層が、各層の乾燥固形分に基づいて40重量%以上から70重量%以下の範囲の量で顔料を含み、第1および第2のコーティング層ならびに第1および第2のバリアコーティング層の各々の坪量が1g/m以上から10g/m以下の範囲である。
【0039】
分散液によるこれらの層は、ローラーコーティング、スプレーコーティング、カーテン、ブレードコーティング、スロットコーティング、浸漬コーティング、グラビアロールコーティング、リバースダイレクトグラビアコーティング、ロッドコーティング、ソフトチップブレードコーティング、および/またはそれらの組み合わせを使用して適用されてよい。好ましいコーティング方法は、ブレードコーティングおよびロッドコーティングから選択される。この方法は、上述のヒートシール可能な包装材料の製造に使用可能である。
【0040】
本発明は、不都合を生じることなく高速コーティング機を使用することにより、バリア材料の生産性を高めることを可能にする。
【0041】
本発明はさらに、上述された包装材料を含むか、またはそれから形成された包装に関する。包装は、好ましくは、上述された包装材料のヒートシール(熱封止)を使用して作られる。包装は、特に、液体食品もしくは飲料、および/または冷凍食品などの液体内容物用の容器として使用可能である。
【0042】
包装材料は、好ましくは、ポリオレフィン層またはアルミニウム箔などの金属層を含まないので、再パルプ化が非常に容易になる。いくつかの実施形態において、パッケージの再パルプ化から得られた不合格品は、包装材料の乾燥重量100重量%に基づいて、12重量%未満または10重量%未満、好ましくは7重量%未満、より好ましくは5重量%未満であり、この不合格品の割合はPTS試験方法RH021/97に従って測定される。
【0043】
この包装は、特に、液体および/または冷凍液体食品に使用され得る。いくつかの実施形態では、包装は、飲料用容器、好ましくはカップである。この包装は、使い捨ての飲料用カップとして使用され得る。包装材料は、好ましくは、ポリオレフィン層またはアルミニウム箔などの金属層を含まないので、この包装は生分解性の紙製カップとして使用され得る。
【0044】
本発明のさらなる特徴は、以下の例および図面から明らかになるであろう。ここで、図1は、本発明の一実施形態による包装材料の概略図である。
【0045】
図1に示された包装材料は、3つの層、中間層1a、頂部層1b、および裏面層1cを含む板紙基材1を含む。中間層1aには CTMPおよび硫酸塩パルプが含まれている。頂部層1bおよび裏面層1cは、硫酸塩パルプを含んでいる。板紙基材は第1の面および第2の面を含み、頂部層1bは第1の面上に配置され、裏面層1cは第2の面上に配置されている。第1の面はヒートシール可能な包装材料から形成された容器などの包装の印刷面を指し、一方、第2の面はそのような容器の内側を指す。包装材料の第1の面上では、頂部層1bが第1のコーティング層2でコーティングされている。第2の面上では、裏面層1cが第2のコーティング層4でコーティングされている。第1のコーティング層2および第2のコーティング層4は、顔料を含まない。第1のバリアコーティング層3は、第1のコーティング層2の上に配置される。第1のバリアコーティング層3は、包装材料の印刷面を形成する。包装材料は、バリアコーティング層3の上に直接印刷されてよい。第2のバリアコーティング層5は、第2のコーティング層4の上に配置される。第2のバリアコーティング層5は、包装材料から製造された容器の内容物と接触する。第1のコーティング層2および第2のコーティング層4は顔料を含まないが、第1のバリアコーティング層3および第2のバリアコーティング層5は、乾燥固形分に基づいて40重量%以上から70重量%以下の範囲の量の顔料を含む。第1、第2のコーティング層2および4ならびに第1、第2のバリアコーティング層3および5は、好ましくはスチレン-ブタジエンラテックス、スチレン-アクリラートラテックス、またはそれらの混合物から選択されるラテックスを含む。コーティング層2および4ならびにバリアコーティング層3および5は、板紙基材上に分散液コーティングによって適用される。第1および第2のコーティング層ならびに第1および第2のバリアコーティング層のそれぞれの坪量は、1g/m以上から10g/m以下の範囲内である。図1に示された材料は、使い捨てカップなどの液体用のヒートシール製品包装の製造に特に好適である。
【0046】
例1
本発明の包装材料を評価するために、本発明に従って製造された包装材料のバリア特性および剛性を、実験室試験でロッドコーターを使用して評価する一連の試験を実施した。
【0047】
コーティング組成物(分散液1、分散液2および参照1)を、表1に従って調製した。全ての割合は乾燥固形分(重量%)として計算された。
【0048】
【表1】
【0049】
漂白クラフトパルプで形成された2つの外層と漂白クラフトパルプおよびCTMPを含んでなる中間層とを備えた3層の板紙である、184~295gsmの異なる坪量の板紙Cupforma Naturaの上に、ロッドコーターを用いてこれらのコーティング組成物をコーティングした。分散液1を板紙の両面にコーティングして、各面上に10gsmの量で最内層の第1のコーティングを形成し、続いて、板紙の両面でこの第1の内側コーティングの上に分散液2を各面上に5gsmの量でコーティングした。このように作製された包装材料のサンプル(サンプル1~4)は、以下の構造を有していた。
・分散液2/分散液1/Cupforma Natura/分散液1/分散液2
【0050】
参照として、コーティング組成物(参照1および参照2)を表2に従って調製した。Cupforma Natura(195g/m)を前記の参照コーティング組成物でコーティングして以下の構造を形成することによって、参照サンプル(参照ボード)を作製した。
・参照2(5gsm)/参照1(10gsm)/Cupforma Natura/参照1(10gsm)/参照2(5gsm)
【0051】
【表2】
【0052】
本発明の包装材料および参照ボードの特性を表3に要約する。
【0053】
表3に見られるように、本発明に従って製造された包装材料は、低い吸水性および高い剛性を示す。サンプル1~4の不合格品の割合(PTS)は10~11%の間であった。
【0054】
【表3】

なお、本発明に包含され得る諸態様または諸実施形態は、以下のとおり要約される。
[1].
ヒートシール可能な包装材料であって、
- 第1の面および第2の面を含む板紙基材(1)、
- 第1の面上の第1のコーティング層(2)、
- 第1のコーティング層(2)上の第1のバリアコーティング層(3)であって、顔料を含む第1のバリアコーティング層(3)、
- 第2の面上の第2のコーティング層(4)、ならびに
- 第2のコーティング層(4)上の第2のバリアコーティング層(5)であって、顔料を含む第2のバリアコーティング層(5)を含み、
これらのコーティング層がラテックスまたは水溶性ポリマーを含み、かつ、これらのバリアコーティング層がラテックスを含み、
第1のコーティング層(2)および第2のコーティング層(4)が顔料を含まず、第1のバリアコーティング層(3)および第2のバリアコーティング層(5)が、各層の乾燥固形分に基づいて40重量%以上から70重量%以下の範囲の量で顔料を含み、第1および第2のコーティング層ならびに第1および第2のバリアコーティング層の各々の坪量が1g/m 以上から10g/m 以下の範囲であることを特徴とする、ヒートシール可能な包装材料。
[2].
前記包装材料が、12Nm6/kg3超、好ましくは13Nm6/kg3超の縦方向(MD)における15°曲げ抵抗指数(ISO2493-1に従って測定)を有し、および/または、5Nm6/kg3超、好ましくは6Nm6/kg3超の横方向(CD)における15°曲げ抵抗指数(ISO2493-1に従って測定)を有する、上記項目1に記載の包装材料。
[3].
前記包装材料が、SCAN-P12:64に従ってCOBB600を用いて測定するとき、15g/m 未満、好ましくは13g/m 未満、最も好ましくは10g/m 未満の吸水率を示す、上記項目1または2に記載の包装材料。
[4].
前記第1および第2のコーティング層ならびに前記第1および第2のバリアコーティング層の各々が、5g/m 以上から10g/m 以下の範囲の坪量を有する、上記項目1~3のいずれか1項に記載の包装材料。
[5].
前記第1および第2のコーティング層ならびに前記第1および第2のバリアコーティング層が、総計で、20g/m 以上から40g/m 以下の範囲、好ましくは25g/m 以上から35g/m 以下の範囲のコーティング重量を有する、上記項目1~4のいずれか1項に記載の包装材料。
[6].
前記第1のコーティング層(2)および前記第2のコーティング層(4)が、層の乾燥固形分に基づいて90重量%以上から100重量%以下の範囲の量でラテックスを含む、上記項目1~5のいずれか1項に記載の包装材料。
[7].
前記第1のコーティング層(2)および前記第2のコーティング層(4)が、層の乾燥固形分に基づいて0重量%以上から5重量%以下の範囲の量で共バインダー、好ましくはポリビニルアルコール(PVOH)を含む、上記項目1~6のいずれか1項に記載の包装材料。
[8].
前記第1のバリアコーティング層(3)および前記第2のバリアコーティング層(5)が、層の乾燥固形分に基づいて50重量%以上から70重量%以下の範囲の量で、好ましくは55重量%以上から70重量%以下の範囲の量で顔料を含む、上記項目1~7のいずれか1項に記載の包装材料。
[9].
前記顔料が、クレー、タルク、炭酸カルシウムおよび/またはナノクレーを含む群から選択される、上記項目1~8のいずれか1項に記載の包装材料。
[10].
前記第1のバリアコーティング層(3)および前記第2のバリアコーティング層(5)が、層の乾燥固形分に基づいて30重量%以上から60重量%以下の範囲の量でラテックスを含む、上記項目1~9のいずれか1項に記載の包装材料。
[11].
前記第1および第2のコーティング層中のラテックス、ならびに/または、前記第1および第2のバリアコーティング層中のラテックスが、スチレン-ブタジエンラテックス、スチレン-アクリラートラテックス、またはそれらの混合物から選択される、上記項目1~10のいずれか1項に記載の包装材料。
[12].
包装材料を製造する方法であって、
- 第1の面および第2の面を含む板紙基材(1)を提供するステップ、
- 第1の面上に第1のコーティング層(2)を適用するステップ、
- 第1のコーティング層(2)上に第1のバリアコーティング層(3)を適用するステップであって、この第1のバリアコーティング層(3)が顔料を含むステップ、
- 第2の面上に第2のコーティング層(4)を適用するステップ、ならびに
- 第2のコーティング層(4)上に第2のバリアコーティング層(5)を適用するステップであって、この第2のバリアコーティング層(5)が顔料を含むステップを含み、
これらのコーティング層がラテックスまたは水溶性ポリマーの分散液コーティングによって形成され、かつ、これらのバリアコーティング層がラテックスの分散液コーティングによって形成され、
第1のコーティング層(2)および第2のコーティング層(4)が顔料を含まず、第1のバリアコーティング層(3)および第2のバリアコーティング層(5)が、各層の乾燥固形分に基づいて40重量%以上から70重量%以下の範囲の量で顔料を含み、第1および第2のコーティング層ならびに第1および第2のバリアコーティング層の各々の坪量が1g/m 以上から10g/m 以下の範囲であることを特徴とする、包装材料を製造する方法。
[13].
上記項目1~11のいずれか1項に記載の包装材料を含み、またはそれから形成されている包装。
[14].
包装材料の再パルプ化から生じた不合格品(PTS試験方法RH021/97に従って測定)が、包装材料の乾燥重量100重量%に基づいて12重量%未満、好ましくは10重量%未満、より好ましくは7重量%未満である、上記項目13に記載の包装。
[15].
前記包装がカップである、上記項目13または14に記載の包装。
図1