(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】アルカロイドを含有する材料のシートの製造方法
(51)【国際特許分類】
A24B 3/14 20060101AFI20240509BHJP
【FI】
A24B3/14
(21)【出願番号】P 2021534803
(86)(22)【出願日】2019-12-18
(86)【国際出願番号】 EP2019086094
(87)【国際公開番号】W WO2020127584
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-12-16
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ローエンシュタイン シュテファン
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-504099(JP,A)
【文献】米国特許第04674519(US,A)
【文献】特公昭47-019037(JP,B1)
【文献】特開平08-261646(JP,A)
【文献】特表2018-531019(JP,A)
【文献】国際公開第2017/089576(WO,A1)
【文献】特開平06-257946(JP,A)
【文献】国際公開第2016/096964(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 1/00 - 15/42
F26B 1/00 - 25/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカロイドを含有する材料のシートを製造するための方法であって、
-アルカロイドを含有する材料の粒子、結合剤、エアロゾル形成体、および水を混合して、スラリーを形成することと、
-前記スラリーをキャストしてキャストシートを形成することと、
-前記キャストシートを加熱流体によって乾燥することと、
-乾燥中に生成された排気から熱を回収することと、
-乾燥中に生成された排気から揮発性物質を回収することと、
-前記回収された揮発性物質から風味抽出物を得ることと、
-前記乾燥中に搬送方向に沿って前記キャストシートを搬送することと、
-前記搬送方向に沿って異なる場所から前記乾燥する工程で生成された排気を収集することと、
-
収集場所に応じて、前記排気
から異なる物質を得ることと、を含む、方法。
【請求項2】
前記スラリーをキャストしてキャストシートを形成する前記工程が、
-
60パーセント~
80パーセントから成る水分含有量を有する前記スラリーをキャストすることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
-前記回収された熱を使用して、キャストする前に前記スラリーを温めることを含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
-前記回収された熱を使用して、前記キャストシートを所与の場所にて温めることを含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項5】
-前記回収された熱を使用して、前記搬送方向で、前記排気が回収される場所の上流の場所で前記キャストシートを温めることを含む、請求項1~4のうちの一項以上に記載の方法。
【請求項6】
-前記スラリーを移動可能な支持体上にキャストすることと、
-前記移動可能な支持体から熱を回収することと、を含む、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
-前記乾燥する工程中に形成された水を収集することと、
-前記収集した水から熱を回収することと、を含む、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記乾燥する工程で生成された排気から揮発性物質を回収する前記工程が、
-前記排気を凝縮することと、
-前記排気を濾過することと、
-前記排気の液液分離を実行することと、
-前記排気を蒸留することと、のうちの一つ以上を含む、請求項1~7のうちの一項以上に記載の方法。
【請求項9】
-前記回収された熱を使用して、前記回収された揮発性物質を分離する工程を含む、請求項1~8のうちの一項以上に記載の方法。
【請求項10】
前記乾燥する工程で生成された排気から熱を回収する前記工程が、
-熱交換器によって熱を回収することと、
-ヒートポンプによって熱を回収することと、
-
熱導体パイプによって排気を搬送することと、のうちの一つ以上を含む、請求項1~9のうちの一項以上に記載の方法。
【請求項11】
前記キャストシートが乾燥機中で乾燥され、かつ前記乾燥する工程で生成された排気から熱を回収する前記工程が、
-前記乾燥機の上方部分の中で生成された排気から熱を回収することを含む、請求項1~10のうちの一項以上に記載の方法。
【請求項12】
-前記風味抽出物を前記スラリーに添加する工程を含む、請求項1~11のうちの一項以上に記載の方法。
【請求項13】
前記キャストシートが乾燥機中で乾燥され、かつ前記乾燥する工程で生成された排気から熱を回収する前記工程が、
-前記乾燥機の上部部分からガス状の排気を収集することと、
-前記乾燥機の下方部分から
凝集した蒸気を収集することと、のうちの一つ以上を含む、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルカロイドを含有する材料のシートを製造するための方法に関する。特に本発明は、例えば紙巻たばこ、または「加熱非燃焼」タイプのアルカロイド含有製品などのエアロゾル発生物品で使用する材料のシートを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日では、たばこ製品の製造において、たばこ葉以外に、均質化したたばこ材料も使用されている。この均質化したたばこ材料は典型的に、カットフィラーの製造にあまり適していないたばこ植物の部分(例えば、たばこ茎またはたばこダスト)から製造される。典型的に、たばこダストは製造中のたばこ葉の取り扱い中に副産物として作り出される。
【0003】
均質化したたばこ材料の最も一般的に使用される形態は、再構成たばこシートおよびキャストリーフである。均質化したたばこ材料シートを形成するプロセスは一般的に、たばこダストと結合剤を混合してスラリーを形成する工程を含む。次にスラリーは、例えばいわゆるキャストリーフを製造するために、粘性のあるスラリーを、移動する金属ベルト上にキャストすることによって、たばこウェブを作り出すために使用される。別の方法として、粘度が低くかつ含水量が高いスラリーを使用して、製紙と似たプロセスで再構成たばこを作り出すことができる。均質化したたばこウェブは調製されると、紙巻たばこおよび他の喫煙物品のために適切なたばこカットフィラーを製造するために、カットされていないそのままの葉たばこと類似した様式で切断されてもよい。こうした均質化したたばこを作製するプロセスは、例えば欧州特許第EP0565360号に開示されている。
【0004】
前述のプロセスにおいて、スラリーは、移動ベルトなどの基材上でキャストされ、その後、エアロゾル発生物品の構成要素を得るためにさらに加工することができる材料のシートを得るために加熱される。キャストシートを上に載せた移動ベルトは、シートを徐々に加熱し、かつ乾燥するように温度が制御されている長い「乾燥機」の内側を移動する。キャストシートを乾燥するために、乾燥機は通常、高温空気の流れをシートの上面に向かって排出し、蒸気を鋼製ベルトの底面に向かって排出して鋼製ベルトの底面を加熱する。ベルト上に堆積されたスラリーは、実質的に液体形態で乾燥機に入り、乾燥され、乾燥機内部で加熱され、連続的なキャストシートとして実質的に固体形態で出る。
【0005】
上述の乾燥プロセスは、シートを加熱および乾燥するために大量のエネルギーを必要とする。この熱の一部は、シートに効果的に移送され、シートを乾燥する(蒸発の潜熱)。一部の追加的な熱は、高温の乾燥空気および蒸気が乾燥機の排気を経由して排出される時に、高温の乾燥空気の中および蒸気の中に残ったままになる、またはシートが移動金属ベルトから取り除かれた後、加熱された移動金属ベルト内に留まる。
【0006】
さらに、この乾燥プロセス中に、シート内に存在する風味およびアルカロイドの一部は、蒸発水によって捕捉され、次いで乾燥シートから離れるようにベイパーによって搬送される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
乾燥段階の効率を増加させることが望ましいことになる。従って、乾燥プロセスの上述の加熱特性に適合されている「加熱非燃焼」タイプの加熱式エアロゾル発生物品で使用することが好ましいが必ずしもそうである必要はない、アルカロイドを含有する材料のシートを調製する新しい方法に対するニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、アルカロイドを含有する材料のシートを製造する方法に関し、方法は、アルカロイドを含有する材料の粒子、結合剤、エアロゾル形成体、および水を混合してスラリーを形成することと、スラリーをキャストしてキャストシートを形成することと、加熱された流体によってキャストシートを乾燥することと、乾燥中に生成された排気から熱を回収することとを含む。
【0009】
アルカロイドを含む材料を含有するスラリーは、例えば支持体上でキャストされる。結果として得られたキャストシートは、加熱された流体を使用して乾燥機中で乾燥され、これはキャストシートと熱交換する。加熱された流体はシートを加熱し、乾燥してもよい。この乾燥プロセス中に、排気が生成される。本発明によると、排気は回収され、排気から熱が回収される。このようにして、例えばシートの製造の同一のプロセスにおいて、排気中で無駄になっていた熱を再使用することができる。
【0010】
本明細書で使用される「シート」という用語は、その厚さより実質的に大きい幅および長さを有する層状の要素を意味する。アルカロイドを含有する材料のシートの幅は、約10ミリメートルよりも大きいことが好ましく、約20ミリメートルまたは約30ミリメートルよりも大きいことがより好ましい。アルカロイドを含有する材料のシートの幅は、約60ミリメートル~約2500ミリメートルの間に含まれることが、なおより好ましい。アルカロイドを含有する材料のシートの厚さは、約50マイクロメートル~約300マイクロメートルから成ることが好ましく、シートの厚さは、約100マイクロメートル~約250マイクロメートルから成ることがより好ましく、約130マイクロメートル~220マイクロメートルから成ることがさらにより好ましい。連続的な「シート」は本明細書において、「ウェブ」と呼ばれる。
【0011】
本明細書で使用される「キャスティングブレード」という用語は、その縦方向の延長の主要部に沿って本質的に一定の断面を有してもよい長軸方向の形状を有する要素を意味する。これは少なくとも一つの縁を示し、この縁は、前述の縁による影響を受けることになるペースト状の、粘性のある、または液体様の物質(スラリーなど)と接触することが意図されている。前述の縁は、鋭い、かつナイフ様の縁を有してもよい。別の方法として、この縁は長方形状または丸み付きの縁を有してもよい。
【0012】
本明細書で使用される「移動可能な支持体」という用語は、少なくとも一つの長軸方向に移動することができる表面を備える任意の手段を意味する。移動可能な支持体は、一つの方向に途切れることのない搬送を提供するように、閉ループを形成してもよい。移動可能な支持体はコンベヤーベルトを含んでもよい。移動可能な支持体は本質的に平坦であってもよく、また構造化された表面または構造化されていない表面を示してもよい。移動可能な支持体は、その表面に開口を有しなくてもよく、または好ましくはその上に堆積されるスラリーが貫通することができないようなサイズのオリフィスを含んでもよい。移動可能な支持体は、シート様の移動可能でかつ曲げることができる帯を含んでもよい。帯は、鋼、銅、鉄合金、および銅合金が挙げられるがこれらに限定されない金属材料、またはゴム材料で作製されてもよい。帯は、加熱されてスラリーの乾燥プロセスを加速することができるように、耐熱性材料で作製されてもよい。
【0013】
本明細書で使用される「スラリー」という用語は、異なる液体様の、粘性のある、またはペースト状の材料の乳濁液を含みうる、およびある特定の量の固体状態の粒子を含有しうる(ただし、スラリーは依然として液体様の、粘性のある、またはペースト状の挙動を示す)、液体様の、粘性のある、またはペースト状の材料を意味する。
【0014】
「アルカロイドを含有する材料」は、一つ以上のアルカロイドを含有する材料である。アルカロイドはニコチンを含んでもよい。ニコチンは、例えばたばこの中に見いだされうる。
【0015】
アルカロイドは、塩基性の窒素原子を主に含有する天然の化合物の群である。この群はまた、中性特性を有する一部の関連する化合物、および弱酸性特性を有する一部の関連する化合物さえも含む。類似の構造の一部の合成化合物もアルカロイドと呼ばれる。炭素、水素、窒素に加えて、アルカロイドはまた、酸素、硫黄、より稀には塩素、臭素、リンなどのその他の元素も含有しうる。
【0016】
アルカロイドは細菌、真菌、植物、動物を含む多種多様な生物体によって生成されている。アルカロイドは酸塩基抽出によって、これらの生物体の粗抽出物から精製することができる。カフェイン、ニコチン、テオブロミン、アトロピン、ツボクラリンはアルカロイドの例である。
【0017】
アルカロイドを含有する材料は、均質化したたばこ材料を含むことが好ましい。従って、この場合、アルカロイドはニコチンである。本明細書で使用される「均質化したたばこ材料」という用語は、アルカロイドニコチンを含有する、粒子状のたばこを凝集することによって形成された材料を意味する。
【0018】
均質化したたばこ材料の最も一般的に使用される形態は、再構成たばこシートおよびキャストリーフである。均質化したたばこ材料シートを形成するプロセスは一般的に、たばこダストと結合剤を混合してスラリーを形成する工程を含む。その後、たばこウェブを作り出すためにスラリーが使用される。例えば、粘性のあるスラリーを、移動する金属ベルト上にキャストすることによって、いわゆるキャストリーフを製造する。別の方法として、粘度が低くかつ含水量が高いスラリーを使用して、製紙と似たプロセスで再構成たばこを作り出すことができる。
【0019】
たばこのシート材料は、再構成シート材料と呼ばれることができ、たばこ組成物を形成するために、粒子状のたばこ(例えば、再構成たばこ)またはたばこ微粒子のブレンド、湿潤剤、および水性溶剤を使用して形成されることができる。このたばこ組成物はその後、たばこ組成物からシート材料を形成するために、キャストされ、押出成形され、圧延され、またはプレスされてもよい。紙様の材料を作製するためにたばこの微粉が使用される湿式プロセス、またはたばこの微粉が結合剤材料と一緒に混合されて、移動するベルト上にキャストされてシートを形成するキャストリーフプロセスを利用して、たばこのシートを形成することができる。
【0020】
均質化したたばこシートは概して、たばこに加えて、結合剤を含むことが好ましい。均質化したたばこシートは概して、エアロゾル形成体(グアーおよびグリセリンなど)を含むことが好ましい。
【0021】
「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成する場合がある揮発性化合物を放出する能力を有する基体を指す。典型的に、エアロゾル形成基体は、加熱に伴い揮発性化合物を放出する。エアロゾル形成基体は、揮発性アルカロイド風味化合物を含有するアルカロイドを含有する材料を含んでもよく、これは加熱に伴いエアロゾル形成基体から放出される。エアロゾル形成基体は均質化した材料を含んでもよい。
【0022】
アルカロイドを含有する材料のシートを形成するために、スラリーが形成される。
【0023】
このスラリーは、数多くの異なる構成要素または成分を含んでもよい。これらの構成要素は、アルカロイドを含有する材料のキャストシートの特性に影響を及ぼす場合がある。第一の成分は、例えば粉末形態のアルカロイドを含有する材料である。この材料は、例えばたばこ粉末ブレンドとすることができ、これはスラリー中に存在するたばこの大半を含有することが好ましい。たばこ粉末ブレンドは均質化したたばこ材料中のたばこの大部分の供与源であり、それ故に、例えば均質化したたばこ材料を加熱することによって生成されるエアロゾルなどの最終生成物に風味を与えるものである。
【0024】
アルカロイドを含有する材料の粉末は、約0.03ミリメートル~約0.12ミリメートルのサイズを有することが好ましい。アルカロイドを含有する材料の粒子または粉末のサイズは、Dv95サイズを意味する。上記に列挙された値の各々は、粒子サイズのDv95を示す。Dv95の「v」は、体積分布が考慮されることを意味する。体積分布の使用は、等価球の概念を導入する。等価球は、我々が測定している特性における実際の粒子と等しい球である。それ故にそれは光散乱法では、実際の粒子と同一の散乱強度を生成することになる球である。これは実質的に、同一の体積の粒子を有する球である。さらに、Dv95の「95」は、分布の95%がより小さい粒子サイズを有し、5%がより大きい粒子サイズを有する直径を意味する。それ故に粒子サイズは、粒子の95パーセントが、述べられた値よりも小さい直径(粒子の実質的に同一の体積を有する対応する球の直径)を有する、体積分布によるそのサイズである。60マイクロメートルの粒子サイズとは、粒子の95パーセントが60マイクロメートルよりも小さい直径を有し、直径が粒子よりも対応する体積を有する球の直径であることを意味する。
【0025】
粒子のDv95サイズは、Horiba LA950またはLA960粒子サイズ分布分析器を使用して測定される。HORIBA LA-960粒子サイズ分析器は、レーザー回折法を使用してサイズ分布を測定する。この技法は、第一の原理を使用して、粒子から散乱した光(エッジ回折)を使用し、かつ粒子(二次散乱屈折)を通してサイズを計算する。LA-960はミー散乱理論を組み込んでいる。
【0026】
均質化したシートの引張特性を強化するために、結合剤がスラリーに添加されてもよい。エアロゾルの形成を促進するために、エアロゾル形成体をスラリーに添加してもよい。さらに、アルカロイドを含有する材料のウェブをキャストするために最適なある特定の粘度および水分に達するために、スラリーに水が添加されてもよい。
【0027】
スラリーに添加される結合剤の量は、スラリーの乾燥重量で約1パーセント~約5パーセントから成ってもよい。結合剤の量は、約2パーセント~約4パーセントから成ることがより好ましい。スラリーで使用される結合剤は、本明細書に記載のガムまたはペクチンのうちのいずれかであってもよい。結合剤は、たばこなどのアルカロイドを含有する材料の粉末が、均質化したたばこウェブ全体を通して実質的に分散したままであることを確実にする場合がある。任意の結合剤を採用してもよいが、好ましい結合剤は、天然ペクチン(果実ペクチン、柑橘類ペクチン、またはたばこペクチンなど)、グアーガム(ヒドロキシエチルグアー、ヒドロキシプロピルグアーなど)、ローカストビーンガム(ヒドロキシエチルローカストビーンガム、ヒドロキシプロピルローカストビーンガムなど)、アルギネート、デンプン(変性デンプンまたは誘導体化デンプンなど)、セルロース(メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど)、タマリンドガム、デキストラン、プラロン、コンニャク粉、キサンタンガム、およびこれに類するものである。本発明で使用するために特に好ましい結合剤はグアーである。
【0028】
アルカロイドを含有する材料のためのスラリーの中に含むための適切なエアロゾル形成体は当業界で周知であり、一価アルコール(メントールなど)、多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテートまたはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
好ましいエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0030】
スラリーは、乾燥重量基準で約5パーセントを超えるエアロゾル形成体含有量を有してもよい。スラリーは、乾燥重量基準で約5~約30重量パーセントのエアロゾル形成体含有量を有してもよい。エアロゾル形成体は、スラリーの乾燥重量の約10パーセント~約25パーセントから成ることがより好ましい。エアロゾル形成体は、スラリーの乾燥重量の約15パーセント~約25パーセントから成ることがより好ましい。
【0031】
アルカロイド材料ウェブの引張強さを増大するために、強化剤として作用する、セルロース繊維を含有するセルロースパルプがスラリーに添加されることが好ましい。
【0032】
スラリーの中へのセルロース繊維の導入は典型的に、たばこ材料ウェブの引張強さを増大し、強化剤として作用する。従って、セルロース繊維を添加することは、均質化したたばこ材料ウェブの弾力性を増大させる場合がある。均質化したたばこ材料のスラリーの中に含むためのセルロース繊維は当業界で周知であり、これには針葉樹繊維、広葉樹繊維、ジュート繊維、亜麻繊維、たばこ繊維、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。セルロース繊維は、パルプ化に加えて、精製、機械的パルプ化、化学的パルプ化、漂白、硫酸塩パルプ化、およびこれらの組み合わせなどの適切な加工に供されてもよい。セルロース繊維は、たばこ茎材料、葉柄、または他のたばこ植物材料を含んでもよい。木材繊維などのセルロース繊維はリグニン含有量が低いことが好ましい。別の方法として、植物繊維などの繊維を上記の繊維とともに、またはその代替として使用してもよく、これには麻および竹が含まれる。セルロース繊維の長さは有利なことに、約0.2ミリメートル~約4ミリメートルである。セルロース繊維の重量当たりの平均長さは、約1ミリメートル~約3ミリメートルであることが好ましい。さらに、セルロース繊維の量は、スラリー(または均質化したたばこシート)の総重量の乾燥重量基準で約1パーセント~約7パーセントから成ることが好ましい。
【0033】
繊維の平均長さは、Techpap SASによって商品化されたMORFI COMPACTによって測定される通りのそれらの実際の長さ(それらがカールしているか、またはよれているかにかかわらず)を指す。平均長さは、N本の繊維(N>5である)の測定値に対して、MORFI COMPACTによって測定された繊維の長さの数学的平均である。MORFI COMPACTは、繊維の構造に従って繊維の長さを測定する繊維分析器であり、それ故に繊維の実際の発生された長さを測定する。測定された物体は、その長さが200ミクロン~10000ミクロンであり、その幅が5ミクロン~75ミクロンである場合に、繊維と見なされる。繊維の長さは、脱イオン水が繊維に添加され、かつMorfiソフトウェアが使用されている時に測定される。
【0034】
キャストする工程での当該スラリーの水分は、キャストする工程でのたばこ材料の総重量の約60パーセント~約80パーセントであることが好ましい。スラリー中の水の量は、キャストする工程でのスラリーの総質量の約60%~80%から成ることが好ましい。
【0035】
結合剤およびセルロース繊維は、約1:7~約5:1から成る重量比で含まれることが好ましい。結合剤およびセルロース繊維は、約1:1~約3:1から成る重量比を含むことがより好ましい。
【0036】
結合剤およびエアロゾル形成体は、約1:30~約1:1から成る重量比で含まれることが好ましい。結合剤およびエアロゾル形成体は、約1:20~約1:4から成る重量比で含まれることがより好ましい。
【0037】
アルカロイドを含有する材料は、たばこであることが好ましい。結合剤およびたばこ粒子は、約1:100~約1:10から成る重量比で含まれることが好ましい。結合剤およびたばこ粒子は、約1:50~約1:15から成る重量比で含まれることがより好ましく、約1:30~1:20から成ることがなおより好ましい。
【0038】
エアロゾル形成体およびたばこ粒子は、約1:20~約1:1から成る重量比で含まれることが好ましい。エアロゾル形成体およびたばこ粒子は、約1:6~約1:2から成る重量比で含まれることがより好ましい。
【0039】
エアロゾル形成体およびセルロース繊維は、約1:1~約30:1から成る重量比で含まれることが好ましい。エアロゾル形成体およびセルロース繊維は、約5:1~約15:1から成る重量比で含まれることがより好ましい。
【0040】
セルロース繊維およびたばこ粒子は、約1:100~約1:10から成る重量比で含まれることが好ましい。セルロース繊維およびたばこ粒子は、約1:50~約1:20から成る重量比で含まれることがより好ましい。
【0041】
上述の一部のまたはすべての成分で形成されるスラリーは、例えばキャスティングボックスの中に包含されてもよい。スラリーは、異なる場所からキャスティングボックスに到達してもよい。従って、キャスティングボックスは、スラリーが形成される場所ではない場合がある。例えば、スラリーは、サイロの中で作り出されてもよく、そこから適切な配管を介してキャスティングボックスに移送されてもよい。
【0042】
キャスティングボックス内部のスラリーは、およそ周囲温度、すなわち摂氏約15度~摂氏約30度に保持されることが好ましい。スラリーは、シートを形成するために、キャスティングボックスからキャストされる。シートは、移動可能な支持体上に、例えばコンベヤーベルト上にキャストされることが好ましい。
【0043】
スラリーはキャスティングボックスに連続的に供給され、その一方で移動可能な支持体上にキャストされて、アルカロイドを含有する材料の連続ウェブを形成することが好ましい。それ故に、サイロおよびキャスティングボックスは、スラリーが相互に流れることを可能にするために流体接続されていることが好ましい。
【0044】
このようにして、事前定義された量のスラリーがキャスティングボックスの中に維持されることが好ましい。スラリーは、スラリーがキャスティングブレードによって移動可能な支持体上にキャストされてアルカロイドを含有する材料の連続ウェブを形成する間、キャスティングボックスに連続的に供給されることが好ましい。しかしながら、アルカロイドを含有する材料のシートをキャストするために、例えばローラーなどの他のキャスティングシステムも使用することが可能である。
【0045】
キャスティングボックスはボックス形状であることが好ましい。キャスティングボックスは壁を含むことが好ましい。次に壁は側壁を備えることがより好ましい。側壁は、第一の側壁、第二の側壁、第三の側壁、および第四の側壁と呼ばれる、対向する壁の第一の対および第二の対を含んでもよい。側壁は有利なことに、実質的に垂直であるか、または垂直平面に対して傾斜している。第一の側壁および第二の側壁、ならびに第三の側壁および第四の側壁は、一方がもう一方に面している。キャスティングボックスの壁はまた、開口部を有する底部壁を含むことが好ましい。底部壁全体が開口部を画定することが好ましい。
【0046】
移動する支持体は、キャスティングボックスからスラリーを取り出すために、長軸方向に沿って移動することが好ましい。この支持体は、例えばステンレス鋼製の移動可能なベルトを含んでもよい。この支持体は、移動可能な支持体を前進させるように適合されているドラムによって移動されることが好ましい。このドラムは、キャストウェブのための移動可能な支持体と熱的に接触するようにさらに適合される。
【0047】
キャスト後、キャストシートは、その水分含有量を減少させるために乾燥される。乾燥はまた、シートを「硬化」するために使用される。キャストシートを乾燥するために、乾燥ステーション、略して「乾燥器」を使用することができる。
【0048】
乾燥ステーションにおいて、キャストシート内部の水分を減らすことができるように、キャストシートの温度は上昇されることが好ましい。キャストする工程での当該キャストシートの水分、すなわちスラリーの水分は、スラリーの総重量の約60パーセント~約80パーセントであることが好ましい。乾燥の終了時での当該キャストシートの水分は、アルカロイドを含有する材料のシートの総重量の約7パーセント~約15パーセントであることが好ましい。乾燥の終了時でのアルカロイドを含有する材料の当該シートの水分は、アルカロイドを含有する材料のシートの総重量の約8パーセント~約12パーセントであることが好ましい。キャスト時および乾燥プロセスの終了時でのスラリーの水分は、その後の製造工程における、シートの均質性およびアルカロイドを含有する材料のシートの製造性に影響を及ぼすので、制御するための重要なパラメータである。
【0049】
スラリーの水分の理想的なレベルは、約60パーセント~約80パーセントであることが分かっている。この好ましい範囲未満では、キャストする工程でのスラリーの密度は、キャストウェブの中に欠陥の出現を頻繁に引き起こすようなものである。また、この範囲外の水分レベルは、その後の処理工程におけるアルカロイドを含有する材料のシートの効率的な取り扱いを複雑にする場合があるキャストシートの引張強さの低減をもたらす場合がある。従って、乾燥する工程中にキャストシートから除去される必要がある過剰水分は、相対的に多い。
【0050】
水分の除去は、加熱された流体の流れに曝露することによって実行されることが好ましい。例えば、加熱された流体は乾燥用空気とすることができ、乾燥用空気はキャストシートの温度よりも高い温度を有する。蒸気を使用することも可能である。
【0051】
乾燥機は、乾燥ラインに沿って複数の乾燥セクションに分割されていることが好ましい。乾燥ラインは長軸方向として画定されていて、これに沿ってシートが乾燥機内で移動する。別の乾燥セクションの下流の乾燥セクションは、シートの移動方向に別に沿って下流に来るセクションを意味する。二つ以上の乾燥部が存在することが好ましい。乾燥セクションの各々は、各乾燥セクションにおいてプロセスパラメータを、その他のセクションから独立して設定することができるように、独立して制御されることが好ましい。少なくとも第一の乾燥セクションは、第一の温度制御手段および第二の温度制御手段を含むことが好ましく、これは次に、移動可能な支持体の第一の表面および第二の表面に向かって、それぞれ高温空気および蒸気を排出するよう適合された、高温空気発生器および蒸気発生器を含む。蒸気は次に、支持体自体に向けられ、一方で高温空気は、移動可能な支持体の中にキャストされたキャストシートの自由表面に向かって向けられる。有利なことに、排出される流れおよび高温空気の流量を、測定および調節することができる。キャストウェブの水分を低減するために、過熱蒸気が使用されることが好ましい。
【0052】
加熱された流体は、高温空気、蒸気、または過熱蒸気であることが好ましい。加熱流体は、高温空気、蒸気、および過熱蒸気の任意の組み合わせとすることができる。例えば、高温空気および蒸気を一緒に使用することができる。
【0053】
さらに、乾燥用空気発生器から排出された乾燥用空気と、蒸気発生器によって排出された蒸気との流量、もしくは温度、または流量と温度の両方を、乾燥セクション(複数可)の中のキャストシートの温度および水分の値に応じて修正することができるように、連続的なフィードバック制御が存在することが好ましい。
【0054】
乾燥機は、実質的に閉鎖された環境であることが好ましい。加熱された流体は、乾燥機の中に導入されたキャストシートを加熱および/または乾燥する。この加熱および/または乾燥プロセスにおいて、加熱された流体は、シートから、湿度だけでなく、揮発性物質(例えば、風味またはアルカロイド)などの一部の構成成分も抽出または除去してもよい。
【0055】
乾燥機内部で生成された、結果として得られる排気は、収集される、または集められることが好ましい。排気は、ガスおよびベイパー、または液体などの流体の形態であってもよい。
【0056】
本発明は、乾燥機の廃熱、特に、集められたまたは収集された排気中に存在する廃熱を回収することを提案する。排気から熱を回収するための任意の周知の手段を本発明に使用することができる。
【0057】
本発明による熱回収は、乾燥機の排気に由来する熱を回収することによって達成されることが可能であり、これは乾燥機の周りの、または乾燥機に沿った幾つかの場所から収集されることができる。一部の排気は、上方部分に由来する場合があり、ここでキャストシートの上方の乾燥機の部分が「上方部分」で示される。上方部分から回収された排気は、シートに由来するベイパーおよび揮発性物質と混合されてもよい。
【0058】
乾燥機の底部に由来する一部の排気は、ここでキャストシートの下方の乾燥機の部分が「下方部分」で示され、熱を集めることができるだけでなく回収することもできる。下方部分から回収された排気は、ベイパーの凝縮に起因して主に液体でありうる。
【0059】
これらの排気の異なる組成に起因して、各々の異なる排気のタイプに対して熱回収のための別個のプロセスを実行することが好ましい。
【0060】
回収された熱は、キャストするおよび/または乾燥するプロセスにおいて再使用することができる。回収された熱は、アルカロイドを含有する材料のシートを生成するために装置内で使用されることが好ましい。このようにして、アルカロイドを含む材料のシートの製造の効率は増加する。
【0061】
さらに、プロセスは乾燥機の構造を実質的に変更しない。概して、排気は、工場の外側への化学薬品/ダスト化合物の放出を回避するために収集される。従って、本発明の方法は、既存の乾燥機への高価な構成要素の追加を必要としない。
【0062】
さらに、排気の組成、特に乾燥機の上方部分から収集される排気の組成は、徐々に乾燥しているシートに由来する揮発性物質の組成の変化に起因して、乾燥ラインに沿って変化する可能性があるため、排気の回収は、乾燥ラインに沿って異なるゾーンで行われることが好ましい。
【0063】
本方法は、乾燥中に生成された排気から揮発性物質を回収することと、回収された揮発性物質から風味抽出物を得ることとを含むことが好ましい。既に収集された排気において、アルカロイドを含有する材料のシートに由来する揮発性物質も存在する。これらの揮発性物質も回収し、かつ再使用することができる。
【0064】
乾燥する工程で生成された排気から揮発性物質を回収する工程は、以下:
-排気を凝縮することと、
-排気を濾過することと、
-排気の液液分離を実行することと、
-排気を蒸留することと、のうちの一つ以上を含むことがより好ましい。
【0065】
特に、排気の凝縮直後に濾過することは、排気ガス内の可能性のあるダストを除去するために有用である場合がある。液液分離の場合、濃縮工程も後に続くことが好ましい。同一の濃縮工程が、蒸留工程の後にも続いてもよい:蒸留工程は、排気の特定の化合物を分離するために使用される。
【0066】
方法は、風味抽出物をスラリーに添加することを含むことがより好ましい。回収された揮発性物質は、アルカロイドを含有する材料のシートの形成において再度使用することができる。揮発性物質は、シートの風味を増強するために、またはシートの一部の構成成分、例えば含有されるアルカロイドの濃度を増加させるために使用することができる。抽出された風味は、スラリーの中に再導入されることが好ましい。
【0067】
方法は、回収された熱を使用して、キャストする前にスラリーを温めることを含むことが好ましい。アルカロイドを含有する材料のシートを生成する全体的なプロセスがより効率的であるように、回収された熱は、キャストする工程および/または乾燥する工程で使用されることが好ましい。例えば、回収された熱は、スラリー、例えばキャスティングボックスの中に包含されたスラリーを温めるために使用することができる。熱は、当業界で周知の熱回収機構によって回収することが可能である。例としては、管熱交換器、ヒートポンプ(熱が回収される材料の温度が、熱が使用されることになる設計区域での温度よりも低い場合)、または排気を乾燥ラインのゾーンから別のゾーンに駆動するパイプ(複数可)とすることができる。
【0068】
スラリー粘度はより高い温度で下がるため、回収された熱によるこうしたスラリーの予熱は、スラリーをより液体の状態にするのを補助し、またそのためスラリーの混合および/またはキャストを補助する。
【0069】
方法は、回収された熱を使用して、所与の場所にてキャストシートを温めることを含むことが好ましい。方法は、回収された熱を使用して、排気が搬送方向で回収される場所の上流の場所でキャストシートを温めることを含むことがより好ましい。乾燥機がキャストシートを加熱し、それを行うエネルギーの必要性を低減するのを補助するために、回収された熱を使用して、乾燥プロセス中にシートを加熱することができる。例えば、温度T1で排出された所与の場所からの乾燥機からの排気出力は、乾燥機内部に延びる熱導体パイプなどのパイプを介して、排気がT1よりも低い温度で排出される乾燥機の部分に向かって方向付けられることが可能である。より低い温度で、ある場所から出る排気は、乾燥機のその場所におけるより低い内部温度を示す場合がある。
【0070】
例えば、乾燥ラインがキャストシートを徐々に加熱する場合、すなわちキャストシートの温度が、乾燥機内部で搬送方向に沿って移動する間に上昇する場合、その後、乾燥機の上流ゾーンの加熱を補助するために、ゾーンの排気出力を乾燥機内部で上流に搬送することが可能である。この場合の排気は、乾燥機の一つのゾーンから別のゾーンに、適切なパイプ(複数可)を介して単純に移送されることが好ましい。
【0071】
乾燥機の上方部分ゾーンを加熱するために、乾燥機の底部ゾーンの排気出力を使用することが可能である。底部において、加熱された流体は概して蒸気であり、また乾燥ラインで使用される蒸気は通常、乾燥機の上方部分で使用される高温乾燥空気よりも高温である。排気として収集された蒸気は、他の底部ゾーンの加熱を補助するために使用することができ、その後、上方部分ゾーンの加熱を補助するために、乾燥機の上部部分の中で方向付けられることができる。
【0072】
方法は、乾燥中に搬送方向に沿ってキャストシートを搬送することと、乾燥する工程において生成された排気を搬送方向に沿って異なる場所から収集することとを含むことが好ましい。本方法はまた、排気の収集の場所に応じて、排気から異なる物質を得ることを含むことがより好ましい。
【0073】
異なる揮発性物質を含有する排気の異なる画分を収集するために、乾燥機ラインに沿った別個の収集点を使用してもよい。異なる揮発性物質は、異なる風味特性を有してもよい。実際、キャストシートの組成は、乾燥プロセスに沿って変化する場合があり、従って搬送方向に沿って、排気は同一の揮発性物質を含有しない場合がある。示される通り、こうした回収中に異なる処理を使用すること(例えば、凝縮、濾過、液液分離、蒸留など)が可能であり、これらの処理および/またはこうした処理の産物を、排気およびそれらの揮発性物質が回収される乾燥ラインのゾーンに従って別々にすることが可能である。
【0074】
本方法は、スラリーを移動可能な支持体上にキャストすることと、移動可能な支持体から熱を回収することとを含むことが好ましい。
【0075】
有利なことに、移動可能な支持体は、エンドレスステンレス鋼コンベヤーベルトを含む。ステンレス鋼は、良好な熱導体なので簡単な熱伝達を可能にする材料である。同時に、ステンレス鋼ベルトは、キャストシートが支持体にしっかりとくっつくリスクを低減し、それ故に乾燥する工程後の、移動可能な支持体からのキャストシートの完全かつ連続的な除去を可能にする場合がある。キャストシートの製造プロセス中に、キャストシートが少なくとも部分的に乾燥した後、キャストシートは、さらに加工されるために、移動可能な支持体から除去される。その後、キャストシートはさらに乾燥され、冷却され、その後ボビンに巻かれることが好ましい。エンドレスの移動可能な支持体は、さらなるスラリーを移動可能な支持体上にキャストすることができるようにキャスティングボックスの場所に戻る。支持体からのキャストシートの取り外しは、ドクタリングブレードと呼ばれるブレードによって行われることが好ましい。キャストシートが支持体上にしっかり「接着されている」場合、ドクタリングブレードの動作は、キャストウェブの破損および機械の停止を引き起こす場合がある。従って、支持体からのキャストシートの取り外しは、可能な限り容易であることが好ましい。支持体のための材料としてのステンレス鋼の使用が好ましい解決策であることが見いだされた。また、ステンレス鋼は機械加工されて、シートのキャストする工程のための高い要求される精度にすることができる。これによってステンレス鋼は、移動可能な支持体として費用対効果の高い材料になる。
【0076】
移動可能な支持体がキャストシートと接触するという事実に起因して、乾燥機中のキャストシートを加熱することは、移動可能な支持体も加熱することを意味する。この熱も回収して再使用することが好ましく、そうでなければ無駄になることになる。移動可能な支持体からの熱は、乾燥する工程の後、すなわち乾燥機の外側で回収されることが好ましい。例えば、一部の冷却水を、移動可能な支持体に近接近して送ることができ、また支持体によって加熱された水を、キャスト装置および/または乾燥機の部分を加熱するために再使用することができる。移動可能な支持体を冷却するために、この熱回収システムを、一部の生産ライン上に既に存在する既存の冷却水配管に連結することが可能である。
【0077】
移動可能な支持体によって加熱されたこの水は、熱交換器に送ることによって再使用することができる。
【0078】
第一の実施形態において、熱回収は、移動可能な支持体をクリーニングする間に行われる。移動可能な支持体が乾燥機から出た後、移動可能な支持体をクリーニングするために水を使用することが好ましい。例えば、シートと接触しない移動可能な支持体の表面上に、水をスプレーすることができる。移動可能な支持体をクリーニングするために使用されるこの水は概して、例えば摂氏約12度である「冷却」温度を有し、および移動可能な支持体との接触に起因して、摂氏20度を上回る温度まで加熱される。
【0079】
水による移動可能な支持体の冷却はまた、別の利点にもつながる可能性がある。まず、冷却水は加熱され、その後再使用される。さらに、冷却水は、移動可能な支持体がキャストする段階に戻る時に、移動可能な支持体の温度を一様にするのを補助する場合がある。キャストする工程にて、移動可能な支持体は均一な温度を有することが望ましく、その理由は不均一な温度が、乾燥中にシート内に不均一性を生じさせ、製品の一貫性を変化させ、かつ欠陥を生じさせる場合があるからである。
【0080】
好ましい実施形態によると、移動可能な支持体の温度は、水冷分配器によって調節される。支持体およびキャストウェブがキャストウェブから水分を除去するために加熱される乾燥セクションから支持体が戻ってくるという事実に起因して、支持体の温度が概して、キャストする工程での所望の温度よりも高いため、移動可能な支持体を冷却するために、例えば移動可能な支持体を移動させるドラム(複数可)を冷却するために水が使用されることが好ましい。水の可用性および高い熱容量に起因して、水は、ある特定の範囲内で制御される対象物(この場合はドラム)の温度を維持するための良好かつ費用対効果の高い手段である。
【0081】
次いで加熱され、次いで再使用される水を用いた冷却はまた、シートをボビンに巻く前にも実行することができる。この冷却は、水だけでなく、冷たい空気によって行うこともできる。加熱された空気は次に例えば、熱交換器を通過し、その後、再使用される。シートを巻き上げる前の冷却は、シートによって形成された層がボビンに巻かれると互いに粘着する傾向を減少させるので、こうした熱回収はまた、幾つかの利点を有する。層のこうした「粘着」は、下流の機械の速度低下または詰まりさえも生じさせる場合があるため、現在の問題である。
【0082】
方法は、乾燥する工程中に形成された水を収集することと、収集された水から熱を回収することとを含むことが好ましい。乾燥機の中で、キャストシートは蒸気発生器によって下方から加熱されることが好ましい。蒸気は凝縮し、かつ乾燥機の下部に水を形成する可能性がある。この加熱された水は収集されることができ、またその中に存在する熱を回収することができ、例えばキャスト装置および/または乾燥装置の他の場所に水を搬送する。
【0083】
本方法は、回収された熱を使用して、回収された揮発性物質を分離することを含むことが好ましい。排気から揮発性物質を得るために、同一の排気装置から回収された熱を、例えば蒸留プロセスのために使用することができる。この実施形態は、廃熱回収と廃揮発性物質回収の間の強力な連結を示す。
【0084】
乾燥する工程で生成された排気から熱を回収する工程は、熱交換器によって熱を回収する工程と、ヒートポンプによって熱を回収する工程と、またはパイプによって排気を搬送する工程とのうちの一つ以上を含むことが好ましい。排気中に存在する熱は、例えば水を加熱するために使用することができる。次いで、加熱された水はパイプの中を流れ、アルカロイドを含有する材料のシートの製造のために装置の他の部分を温めてもよい。別の方法として、排気は、その中の流体を加熱する熱交換器を通って流れてもよい。排気は液体の形態であっても、または気体の形態であってもよい。
【0085】
キャストシートは乾燥機中で乾燥され、乾燥する工程で生成された排気から熱を回収する工程は、乾燥機の上部で生成された排気から熱を回収することを含むことが好ましい。排気は気体形態であることが好ましい。
【0086】
キャストシートは乾燥機中で乾燥され、乾燥する工程で生成された排気から熱を回収する工程は、乾燥機の上方部分からガス状の排気を収集することと、乾燥機の下方部分から液状の排出物を収集することとのうちの一つ以上を含むことが好ましい。
【0087】
本発明のさらなる利点は、添付の図面の非制限的な参照とともに、その詳細な説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【
図1】
図1は、本発明による均質化したたばこウェブの製造のための装置の概略側面図である。
【
図2】
図2は、
図1の装置の一部分のセクションにおける概略側面図である。
【
図3】
図3は、
図1の装置の別の部分の詳細の概略側面図である。
【
図5】
図5は、本発明の装置を使用する均質化したたばこウェブの製造の方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0089】
最初に
図1および
図2を参照すると、本発明による、アルカロイドを含有する材料(均質化したたばこ材料など)のシート9の製造のための装置が提示されていて、参照番号1で示されている。
【0090】
シートの製造のための装置1はキャスト装置2を含み、また矢印28によって示されたシートの動きの方向で、キャスト装置2の下流に位置する乾燥装置3をもさらに含む。装置1はまた、乾燥装置3の下流の巻き取りステーション10を含む。
【0091】
キャスト装置2は、均質化したたばこ材料のウェブを形成するためのスラリーが導入されるキャスティングボックス4と、ポンプ5と、キャスティングブレード6(
図2を参照のこと)と、第一の移動可能な支持体7とを備える。キャスティングボックス4は、任意の幾何学的形状を有してもよく、図示の実施形態において、実質的に角柱である。キャスティングボックスの温度は、キャスティングボックス制御手段(添付図面に図示せず)によって、必要に応じて、キャスティングプロセス中に、スラリーの温度を修正するために変化させることができる。キャスティングボックス4は、その底部に対応する開口43を有し、開口はキャスティングボックスの幅に沿って延び、これによってキャスティングボックスから移動可能な支持体7上にスラリーをキャストすることができる。バッファタンク(図面に図示せず)からのスラリーは、ポンプ5によってキャスティングボックス4の中に移送される。ポンプ5は、キャスティングボックス4中にされるスラリーの量を制御するための流量の制御(これも図面では見えない)を備えることが好ましい。ポンプ5は有利なことに、スラリーの移送時間が必要最小限に保たれることを確実にするように設計されている。
【0092】
さらに、
図2を参照すると、キャスト装置2は、スラリーをキャストするためにキャスティングボックス4に固定されたキャスティングブレード6を含む。このキャスティングブレード6は、その幅である主寸法を有し、またこれは底部にあるその開口部43にて、またはその近くでキャスティングボックス4に固定されている。
【0093】
キャスティングブレード6は、調整可能な板(図面では見えない)によってキャスティングボックス4に取り付けられることが好ましく、この調整可能な板は、ブレード6と支持体7の間の間隙を調整するために、キャスティングブレード6の位置を正確に制御することを可能にする。
図2において見えるアクチュエータ210などのアクチュエータによって、間隙の寸法を変えるためにブレード6を移動させることができる。
【0094】
キャスティングボックス4およびキャスティングブレード6は、移動可能な支持体7を回転させるドラム8の上方に据え付けられている。キャスティングブレード6と移動可能な支持体7の間には間隙が存在し、その寸法は、とりわけ、均質化したたばこ材料のキャストウェブの厚さを決定する。
【0095】
キャスト装置2はまた、可動支持体7を備え、この可動支持体上にスラリーがキャストされて、均質化したたばこ材料のウェブを形成する。可動支持体7は、例えばドラム組立品の周囲に少なくとも部分的に配設されている連続的なエンドレスステンレス鋼ベルト7を備える。このドラム組立品は、キャスティングボックス4の下方に位置する主ドラム8を含む。主ドラム8は、主ドラム8の回転によって、移動可能な支持体7を前進させる。キャスティングボックス4は、主ドラム8の上に据え付けられていることが好ましい。
【0096】
さらに、再び
図2を参照すると、キャスト装置2は複数のセンサーを含む。第一のセンサー30(レベルセンサー)は、キャスティングボックス4内のスラリーの高さ41を制御するように適合されている。このセンサー30は、センサー自体とキャスティングボックス4内のスラリーの表面との間の距離42を測定することが好ましい。次いで、スラリーの高さ41は、センサー30とキャスティングボックス4の底部との間の既知の距離から導出される。さらに、さらなるセンサー32が、移動可能な支持体7の上方に配設されていて、移動可能な支持体7上の均質化したたばこの層の平方センチメートル当たりの重量を測定することが好ましい。センサー32は、例えば核子測定ヘッドであってもよい。均質化したたばこのキャストウェブにおける欠陥の位置を特定し、判定するセンサー31、キャストする工程でのスラリーおよびキャストリーフの水分を判定するセンサー(図面に図示せず)、およびキャスティングボックス4中のスラリーの温度を判定するための温度センサー(図面に図示せず)などの追加的なセンサーも同様に存在することが好ましい。
【0097】
センサー30、31、32のうちの一つ以上は、測定すべきそれらのそれぞれのパラメータ(例えば、温度、水分スラリーレベル、欠陥の存在および場所)に関連する信号を、制御ユニット40に送信することが好ましい。中央制御ユニット40は、ポンプ5と、調整可能な板と、またはキャスト装置2もしくはスラリー調製装置(見えない)中のさらなる回路およびアクチュエータとのうちの一つに、一部に、またはすべてに電気的に接続されていることが好ましい。キャストシート9が欠陥もしくは不均質性を明らかにする場合、またはキャストシートの特性が予め設定された範囲外である場合、中央制御ユニット40は、プロセスパラメータの変更を指示し、それ故にスラリーの特性またはキャストする工程のパラメータに影響を及ぼすことができる。
【0098】
これらのプロセスパラメータは、例えばキャスティングブレード6と支持体7の間の間隙の寸法またはキャスティングボックス中のスラリーの量であってもよい。さらに、ドラム8の、それ故に支持体7の速度の制御も同様に実施することができる。
【0099】
図4に示す通り、乾燥装置3は、第一の流体発生デバイスおよび第二の流体発生デバイスを含む。第一の流体発生デバイスは、移動可能な支持体7の下方に位置する、かつ蒸気(好ましくは過熱蒸気)を移動可能な支持体7の底部に向かって排出するように適合された蒸気発生器25を含む。さらに、第二の流体発生デバイスは、上方から支持体7上に位置付けられたキャストウェブに向かって乾燥用空気を排出するように適合された乾燥用空気発生器26を含む。蒸気と乾燥用空気の両方の流量は、制御可能かつ変更可能である。乾燥用空気の温度も同様に、修正することができる。
【0100】
第一の流体発生器および第二の流体発生器は、熱を発生させる。この熱はまた、シートが乾燥している間に排気を発生する。排気は、第一の収集手段5aおよび第二の収集手段5bで収集される。第二の収集手段5bは、乾燥装置3の底部に位置することが好ましい。第一の収集手段5aは、乾燥装置3の上部に位置することが好ましい。上部にある第一の収集手段5aは、ガス状の排気を収集することが好ましい。底部にある第二の収集手段5bは、蒸気からの凝縮水などの液状の排出物を収集することが好ましい。第一の収集手段5aおよび第二の収集手段5bはまた、排気から揮発性物質を抽出するか、または別の方法で回収するデバイスを含むことが好ましい。
【0101】
乾燥装置3の出口にある第一の移動可能な支持体7からキャストウェブを除去するために、乾燥装置3の下流に、ドクタリングブレード48が位置することが好ましい。第一の移動可能な支持体7からのキャストシート9は、さらに第二の移動可能な支持体70上に置かれている。乾燥装置3は、キャストシート9の水分含有量を測定するために、水分センサー41をさらに備える。水分センサー41は、乾燥装置3の出口に位置することが好ましい。乾燥装置3はまた、キャストシート9の厚さを測定するために、厚さセンサー42を含むことが好ましい。厚さセンサー42は、乾燥装置3の出口に位置することが好ましい。水分センサー41および厚さセンサー42によってそれぞれ測定された厚さ値および水分値は、制御ユニット40に送信され、これによって水分値または厚さ値が好ましい設定範囲内にない場合に、フィードバック制御を有するために、蒸気の流量、または乾燥用空気の流量もしくは乾燥用空気の温度、または上記の組み合わせのうちの一つを実行することができる。蒸気の流れ分布は、修正されてもよい。乾燥用空気の流れ分布は、修正されてもよい。乾燥用空気の温度分布は、修正されてもよい。また、制御ユニット40は、キャスティングボックスの温度、スラリーの粘度、または他のプロセスパラメータなどの異なるパラメータを変更してもよい。
【0102】
乾燥装置3の出口にて、冷却セクション90が存在することが好ましい。第二の移動可能な支持体70は、キャストシート9を乾燥装置3から冷却セクション90に移動させる。冷却セクション90において、キャストシートをボビンへと巻く前に、キャストシートの温度は低減される。冷却セクション90は、温度制御デバイス91を含む。温度制御デバイス91は、冷却空気をキャストシートに向かって排出するために、冷却空気発生器92を含む。冷却セクションの目的は主に、アルカロイドを含有する材料のシートの巻き取りを容易にするために、キャストシートの温度を低減することである。
【0103】
冷却セクション90の出口にて、装置1は、キャストシートの水分およびその厚さを測定するために、一つ以上のセンサー61、62を含む。水分および厚さの値(複数可)は、制御ユニット40に送信されることが好ましく、適切なフィードバック制御が動作可能になる場合がある。例えば、冷却空気または乾燥用空気の温度もしくは流量は、乾燥装置3または冷却セクション90内で変更することができる。また、スラリーの調製およびキャストのパラメータも、適切なアルゴリズムおよびフィードバックループによって変更することができる。
【0104】
冷却セクション90の下流で、巻き取りセクション10が提供されていて(
図1を参照のこと)、ここでキャストシート9はボビンへと巻かれる。
【0105】
第一の収集手段5aおよび第二の収集手段5bにて乾燥装置3内で集められた排気はその後、装置1の部分を加熱するために再使用される。例えば、
図4において矢印21によって示された適切な配管を介して、排気は、その中のスラリーを加熱するためにキャスティングボックス4に向かって導かれる。
【0106】
別の方法として、または追加的に、
図4において矢印22で示された適切な配管によって、排気は、キャストシート9を加熱するために乾燥装置3内の別の場所に搬送される。
【0107】
さらに、第一の移動可能な支持体7または第二の移動可能な支持体70からの熱も回収することができる。例えば、冷却セクション90において、キャストシートに向かって排出された冷却空気は、シートおよび移動可能な支持体70によって温められる。この加熱された空気は、適切な配管によって収集され(
図4の矢印23で示されている)、キャスティングボックス(配管は図示せず)、もしくは乾燥装置3、またはその両方に向かって方向付けられる。
【0108】
第一の移動可能な支持体7から熱を回収するための別のシステムを
図3に示す。搬送方向に沿って移動するキャストシート9は、
図4に示す通り、ドクタリングブレード48によって移動可能な支持体7から分離されている。次いで、制御および洗浄システム24は、支持体7の移動を基準にして、ドクタリングブレード48の上流に提供される。ドクタリングブレード48の下流で、移動可能な支持体はループを形成し、キャスティングボックス4に向かって戻る。洗浄システム24は幾つかのユニットを含むことが好ましく、各々のユニットは、ドクタリングされる前にシート9が存在していた移動可能な支持体7の表面に向かって水噴射を方向付けるように適合されたノズル27を有する。水噴射は、移動可能な支持体7の表面を洗浄し、可能性のある残基を除去する。同時に、噴射の水は移動可能なベルトを冷却する。
【0109】
制御および洗浄システム24はまた、回転ブラシ29および水スクレーパー33を備える。
【0110】
次いで移動可能なベルトはまた、回転ブラシ29によっても掃除されることが好ましい。好ましい一実施形態において、回転移動は、機械的摩擦を最適化するために、移動可能な支持体の移動とは反対向きである。水スクレーパー33は、ベルトを乾燥させるために、ノズル27およびブラシ29の下流に位置することが好ましい。
【0111】
水噴射からの水は、温かい移動可能な支持体7との接触に起因して加熱される。この水は、適切な配管34を使用して回収され、熱交換器35にもたらされることが好ましい。これは次いで、装置1の他の部分を加熱するために使用することができる。
【0112】
ここで
図5を参照すると、キャスト装置2および乾燥装置3を含む装置1の機能は、以下の通りである。たばこ粉末と他の成分を組み合わせて、かつ混合して形成されることが好ましいスラリーは、例えばインラインミキサー(図示せず)を使用して保持タンク(これも図示せず)からキャスティングボックス4内部のキャスト装置2に移送される。均質かつ均一な膜の厚さのウェブの中にスラリーをキャストする工程100は、例えばステンレス鋼ベルト7などの移動可能な支持体7上で実行される。キャストする工程100は、スラリーを混合タンクからキャスティングボックス4に移送することを含む。さらに、キャストする工程100は、センサー30などの適切なセンサーによって、キャスティングボックス4中のスラリーのレベルと、キャスティングボックス4内部のスラリーの水分と、スラリーの温度と、スラリーの密度とのうちの少なくとも一つを監視することを含むことが好ましい。
【0113】
キャストする工程は、移動可能な支持体7と間隙を形成するキャスティングブレード6によって実行される。間隙の寸法はまた、フィードバック制御することもできる。キャストする工程の直後に核子ゲージによって制御された、均質化したたばこ材料のウェブの厚さおよび坪量は、スラリー測定デバイスを使用して監視され、かつフィードバック制御されることが好ましい。
【0114】
さらに、キャストシート9は乾燥装置3によって乾燥する工程101を経る。乾燥する工程は、個別に制御可能なゾーンを有するエンドレスステンレス鋼ベルト乾燥機中のキャストウェブの均一かつ穏やかな乾燥を含むことが好ましい。乾燥する工程は、各乾燥ゾーンにて穏やかな乾燥プロファイルを確保するために各乾燥ゾーンでのキャストリーフ温度を監視する工程と、均質化したキャストシートが形成される支持体を加熱する工程とを含むことが好ましい。乾燥プロファイルは、いわゆるTLC乾燥プロファイルであることが好ましい。乾燥する工程101中に、各乾燥ゾーンでの穏やかな乾燥プロファイルを確保するために、各乾燥ゾーンでのキャストウェブの温度を監視する工程102が実行されることが好ましい。キャストウェブは、底部および上部の空気乾燥から加熱するスチームパンを用いて移動可能な支持体7上で乾燥する工程中に乾燥される。乾燥セクションのあらゆる乾燥ゾーンには、蒸気流および圧力制御が装備され、所望の乾燥プロファイルを提供するために空気温度と気流が完全に調整可能であり、製品の滞留時間の確保が順守される。監視する工程102は、第一の乾燥する工程の終了時に、乾燥したウェブ中の水分含有量および存在する欠陥の数だけでなく、キャストウェブの厚さも測定するためにも実行されることが好ましい。
【0115】
乾燥する工程101中に、熱回収の工程103が行われ、ここで、乾燥する工程101からの排気が収集され、その中に存在する熱が装置1内で再使用される。熱回収が行われる。この熱回収103は、揮発性物質の回収も同様に含むことが好ましい。
【0116】
キャストする工程100、乾燥する工程101、および熱回収工程103の終了時に、均質化したたばこウェブは支持体7から取り出されることが好ましい。乾燥する工程の後で正しい水分含有量にてキャストウェブのドクタリング104を実行することが好ましい。ドクタリングする工程104の後、冷却する工程105が実行され、その工程中に、可能な追加的な熱回収が実行され、その後、例えば単一のマスターボビンを形成するために、巻き取る工程106においてキャストウェブが一つ以上のボビンに巻き取られることが好ましい。その後、このマスターボビンを使用して、スリットを入れることによって、より小さいボビンの製造を実行してもよい。その後、エアロゾル発生物品(図示せず)の製造のために、より小さいボビンを使用してもよい。