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特許7485682液滴選別決定モジュール、システム、及びその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】液滴選別決定モジュール、システム、及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/1429 20240101AFI20240509BHJP
   G01N 15/14 20240101ALI20240509BHJP
【FI】
G01N15/1429
G01N15/14 C
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021545786
(86)(22)【出願日】2019-12-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-24
(86)【国際出願番号】 US2019068390
(87)【国際公開番号】W WO2020163023
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2022-11-30
(31)【優先権主張番号】62/803,264
(32)【優先日】2019-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595117091
【氏名又は名称】ベクトン・ディキンソン・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】BECTON, DICKINSON AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ,リンジー
(72)【発明者】
【氏名】オン,ウィルソン
【審査官】北条 弥作子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0040356(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0213821(US,A1)
【文献】特開2010-216992(JP,A)
【文献】特開平04-110639(JP,A)
【文献】特開2010-216985(JP,A)
【文献】特表2002-505422(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/14~15/1492
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流れの液滴を選別する液滴選別モジュールであって、
液滴が粒子を含むというデータ信号を生成すべく構成されている事象照合ロジック及び液滴内の一又は複数の粒子の位置を特定するデータ信号を受信すべく構成されている選別決定ロジックを夫々含む複数の液滴選別決定ユニットと、
プロセッサ、及び前記プロセッサに対して動作可能に連結されたメモリと
を備えており、
前記メモリは、前記プロセッサにより実行されると前記プロセッサに、流れの夫々の液滴を選別するために前記複数の液滴選別決定ユニットから液滴選別決定ユニットを判定させる命令を記憶している液滴選別モジュール。
【請求項2】
前記選別決定ロジックは、複数の連続する液滴内の一又は複数の粒子の位置を特定するデータ信号を受信すべく構成されている、請求項1に記載の液滴選別モジュール。
【請求項3】
前記選別決定ロジックは、3つの連続する液滴内の一又は複数の粒子の位置を特定するデータ信号を受信すべく構成されている、請求項1に記載の液滴選別モジュール。
【請求項4】
前記選別決定ロジックは、
液滴の選別に関連する標的細胞の位置を特定する標的マスクと、
液滴の選別に関連する非標的粒子の位置を特定する非標的マスクと
を含む、請求項2又は3に記載の液滴選別モジュール。
【請求項5】
前記選別決定ロジックは、
液滴における一又は複数の標的細胞の位置に対応するデータ信号に前記標的マスクを適用して標的液滴値を生成し、
液滴における一又は複数の非標的粒子の位置に対応するデータ信号に前記非標的マスクを適用して非標的液滴値を生成し、
前記標的液滴値を前記非標的液滴値と組み合わせて標的照合値を生成する
べく構成されている、請求項に記載の液滴選別モジュール。
【請求項6】
前記選別決定ロジックは、液滴における標的細胞の数を判定して標的カウント値を生成すべく構成されている、請求項に記載の液滴選別モジュール。
【請求項7】
前記メモリは、前記プロセッサにより実行されると前記プロセッサに、
前記液滴選別決定ユニット毎に前記標的カウント値と前記標的照合値とを比較させ、
各液滴選別決定ユニットの前記標的カウント値及び前記標的照合値に基づいて液滴の選別に最適な液滴選別決定ユニットを判定させる
命令を記憶している、請求項に記載の液滴選別モジュール。
【請求項8】
前記メモリは、前記プロセッサにより実行されると前記プロセッサに、前記標的照合値に基づいて各液滴選別決定ユニットをランク付けさせる命令を記憶している、請求項に記載の液滴選別モジュール。
【請求項9】
前記メモリは、前記プロセッサにより実行されると前記プロセッサに、液滴の選別に最適である液滴選別決定ユニットは最も高い標的照合値を有する液滴選別決定ユニットであると判定させる命令を記憶している、請求項に記載の液滴選別モジュール。
【請求項10】
前記メモリは、前記プロセッサにより実行されると前記プロセッサに、前記標的カウント値が所定閾値を超える場合に液滴選別決定ユニットは液滴の選別に最適ではないと判定させる命令を記憶している、請求項の何れか一項に記載の液滴選別モジュール。
【請求項11】
前記メモリは、前記プロセッサにより実行されると前記プロセッサに、液滴選別決定ユニットが先の液滴の選別に使用されていた場合に前記液滴選別決定ユニットは液滴の選別に最適ではないと判定させる命令を記憶している、請求項1~10の何れか一項に記載の液滴選別モジュール。
【請求項12】
流れの液滴を選別する方法であって、
液滴における粒子を検出し、
液滴が粒子を含むというデータ信号を生成すべく構成されている事象照合ロジック及び液滴内の一又は複数の粒子の位置を特定するデータ信号を受信すべく構成されている選別決定ロジックを夫々有する複数の液滴選別決定ユニットを含む液滴選別モジュールを用いて、前記液滴が前記粒子を含むというデータ信号を生成し、前液滴内の一又は複数の粒子の位置を特定するデータ信号を受信し、
液滴を選別するために前記複数の液滴選別決定ユニットから液滴選別決定ユニットを判定し、
判定された液滴選別決定ユニットを用いて液滴を選別する方法。
【請求項13】
粒子を含むサンプルを流れに伝搬すべく構成されたフローセルと、
液滴が粒子を含むというデータ信号を生成すべく構成されている事象照合ロジック及び液滴内の一又は複数の粒子の位置を特定するデータ信号を受信すべく構成されている選別決定ロジックを夫々有する複数の液滴選別決定ユニットを含む、流れの液滴を選別する液滴選別モジュールと、
プロセッサ、及び前記プロセッサに対して動作可能に連結されたメモリであって、前記プロセッサにより実行されると前記プロセッサに、流れの夫々の液滴を選別するために前記複数の液滴選別決定ユニットから液滴選別決定ユニットを判定させる命令を記憶しているメモリと、
前記流れから選別液滴を回収すべく構成された一又は複数のサンプル容器と
を備えている細胞選別機。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0001】
光検出は、例えばサンプルが疾患又は健康状態の診断に使用される場合にサンプル(例えば生体サンプル)の要素の特徴を明らかにするために使用され得る。サンプルに光照射を行うと、サンプルにより光が散乱し、サンプルを通過したりサンプルにより(例えば蛍光発光により)放出されたりする可能性がある。形態、吸光率及び蛍光標識の存在などサンプル要素におけるバラツキにより、散乱するか、通過するか又はサンプルにより放出される光にバラツキが生じる。これらのバラツキを使用して、サンプルにおける要素の存在の特徴を明らかにし特定することができる。これらのバラツキを定量化するために、光を集めて検出器の表面に向ける。
【0002】
サンプルにおける要素の特徴を明らかにするために光検出を利用する一つの技術はフローサイトメトリである。検出光から生成されたデータを使用して、要素の分布を記録することができ、所望の材料を選別してもよい。サンプルにおける粒子を選別するため、液滴帯電機構が、選別されるべき粒子タイプを含有する流れの液滴を流れの断絶点で電荷を用いて帯電させる。液滴は静電場を通過し、液滴の電荷の極性及び大きさに基づいて一又は複数の回収容器内へ偏向する。非帯電液滴は静電場により偏向しない。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の態様は、流れの液滴を選別するための液滴選別モジュールを含む。或る実施形態に係る液滴選別モジュールは、複数の液滴選別決定ユニットと、プロセッサと、プロセッサに対して動作可能に連結されたメモリとを含み、メモリは、プロセッサにより実行されると前記プロセッサに、流れの夫々の液滴を選別するために複数の液滴選別決定ユニットから最適な液滴選別決定ユニットを判定させる命令を記憶している。実施形態では、各液滴選別決定ユニットは、事象照合ロジック及び選別決定ロジックを含む。幾つかの例では事象照合ロジックは、液滴が粒子を有するというデータ信号を生成すべく構成されている。例えば、粒子は標的細胞又は非標的細胞であってもよい。他の例では、選別決定ロジックは、液滴における一又は複数の粒子の位置に対応するデータ信号を受信すべく構成されている。例えば、選別決定ロジックは、32個以上の位置に液滴を分離すべく構成されてもよく、選別決定ロジックは、液滴における32個以上の位置における粒子位置に対応するデータ信号を受信すべく構成されている。幾つかの実施形態では選別決定ロジックは、複数の連続する液滴における一又は複数の粒子の位置に対応するデータ信号を受信すべく構成されている。例えば、選別決定ロジックは、3つの連続する液滴における一又は複数の粒子の位置に対応するデータ信号を受信すべく構成されてもよい。幾つかの実施形態では選別決定ロジックは、液滴の選別に関連する標的細胞の位置を特定する標的マスクと、液滴の選別に関連する非標的粒子の位置を特定する非標的マスクとを含む。幾つかの例では選別決定ロジックは、液滴における一又は複数の標的細胞の位置に対応するデータ信号に標的マスクを適用して標的液滴値を生成し、液滴における一又は複数の非標的粒子の位置に対応するデータ信号に非標的マスクを適用して非標的液滴値を生成し、標的液滴値を非標的液滴値と組み合わせて標的照合値を生成すべく構成されている。これらの実施形態では選別決定ロジックは、液滴における標的細胞の数を判定して標的カウント値を生成すべく構成されている。幾つかの例ではメモリは、プロセッサにより実行されると前記プロセッサに、前記液滴選別決定ユニット毎に標的カウント値と標的照合値とを比較させ、各液滴選別決定ユニットの標的カウント値及び標的照合値に基づいて液滴の選別に最適な液滴選別決定ユニットを判定させる命令を含む。幾つかの実施形態ではメモリは、プロセッサにより実行されると前記プロセッサに、標的照合値に基づいて各液滴選別決定ユニットをランク付けさせる命令を含む。他の実施形態ではメモリは、プロセッサにより実行されると前記プロセッサに、液滴の選別に最適である液滴選別決定ユニットは、最も高い標的照合値を有する液滴選別決定ユニットであると判定させる命令を含む。更に他の実施形態ではメモリは、プロセッサにより実行されると前記プロセッサに、標的カウント値が所定閾値を超える場合に液滴選別決定ユニットは液滴の選別に最適ではないと判定させる命令を含む。更に他の実施形態ではメモリは、プロセッサにより実行されると前記プロセッサに、液滴選別決定ユニットが先の液滴の選別に使用されていた場合に前記液滴選別決定ユニットは液滴の選別に最適ではないと判定させる命令を含む。
【0004】
本開示の態様はまた、流れの液滴を選別する方法を含む。或る実施形態に係る方法は、液滴における粒子を検出し、液滴が粒子を含むというデータ信号を生成し、複数の液滴選別決定ユニットを有する液滴選別モジュールを用いてデータ信号を受信し、液滴を選別するために複数の液滴選別決定ユニットから最適な液滴選別決定ユニットを判定し、判定された最適な液滴選別決定ユニットを用いて液滴を選別する。幾つかの実施形態では、方法で液滴における粒子の位置を判定する。例えば、粒子は標的細胞であってもよいし、非標的細胞であってもよい。液滴における粒子位置を判定する際に、複数の連続する液滴における一又は複数の粒子の位置を判定してもよい。幾つかの例では、方法で3つの連続する液滴における一又は複数の粒子の位置を判定する。幾つかの実施形態では、方法で液滴の選別に関連する標的細胞の位置を特定する標的マスクを適用し、液滴の選別に関連する非標的粒子の位置を特定する非標的マスクを適用する。他の実施形態では、方法で液滴における一又は複数の標的細胞の位置に対応するデータ信号に標的マスクを適用して標的液滴値を生成し、液滴における一又は複数の非標的粒子の位置に対応するデータ信号に非標的マスクを適用して非標的液滴値を生成し、標的液滴値を非標的液滴値と組み合わせて標的照合値を生成する。幾つかの例では方法で液滴における標的細胞の数を判定して標的カウント値を生成する。他の例では方法で、液滴選別決定ユニット毎に標的カウント値と標的照合値とを比較し、各液滴選別決定ユニットの標的カウント値及び標的照合値に基づいて液滴の選別に最適な液滴選別決定ユニットを判定する。更に他の例では方法で、液滴の選別に最適な液滴選別決定ユニットを判定する際に、標的照合値に基づいて各液滴選別決定ユニットをランク付けする。例えば、液滴の選別に最適な液滴選別決定ユニットを判定する際に、最も高い標的照合値を有する液滴選別決定ユニットを判定する。幾つかの実施形態では方法で、標的カウント値が所定閾値を超える場合に液滴選別決定ユニットは液滴の選別に最適ではないと判定する。例えば、液滴選別決定ユニットが先の液滴の選別に使用されていた場合に液滴選別決定ユニットは液滴の選別に最適ではないと判定する。
【0005】
本開示の態様は、本方法の実施に適した細胞選別機を含み、細胞選別機は、流れの液滴を選別する一又は複数の液滴選別モジュールを含む。或る実施形態に係る細胞選別機は、粒子を含むサンプルを流れに伝搬すべく構成されたフローセルと、流れから選別液滴を回収すべく構成された一又は複数のサンプル容器と、上述したような一又は複数の液滴選別モジュールとを含む。本選別決定モジュールの一又は複数の構成要素を含むキットが更に提供される。或る実施形態に係るキットはまた、フローセルと、流れから選別液滴を回収するための一又は複数の容器とを含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明は、添付図面と併せて読む場合に以下の詳細な説明から最も良く理解され得る。図面には以下の図が含まれている。
【0007】
図1】或る実施形態に係る液滴選別モジュールにおける事象データフローを示す図である。
図2】或る実施形態に係る事象照合ロジックを示す図である。
図3】或る実施形態に係る選別決定の演算を行うためのフローチャートである。
図4】或る実施形態に係る標的マスク及び非標的マスクを適用することにより最適な選別決定ユニットを判定するためのフローチャートである。
図5】或る実施形態に係る標的照合値及び標的限界値を適用することにより最適な選別決定ユニットを判定するためのフローチャートである。
図6】或る実施形態に係る選別決定ユニットのためのマスクプログラミング図である。
図7】或る実施形態に係る回収率選別決定のためのマスクプログラミング図である。
図8】或る実施形態に係る液滴回収率選別決定のためのマスクプログラミング図である。
図9】別の実施形態に係る液滴回収率選別決定のためのマスクプログラミング図である。
図10】或る実施形態に係る相選別決定のためのマスクプログラミング図である。
図11】別の実施形態に係る相選別決定のためのマスクプログラミング図である。
図12】別の実施形態に係る相選別決定のためのマスクプログラミング図である。
図13】或る実施形態に係る純度選別決定のためのマスクプログラミング図である。
図14】別の実施形態に係る純度選別決定のためのマスクプログラミング図である。
図15】別の実施形態に係る純度選別決定のためのマスクプログラミング図である。
図16】或る実施形態に係る純度回収率選別決定のためのマスクプログラミング図である。
図17】別の実施形態に係る純度回収率選別決定のためのマスクプログラミング図である。
図18】或る実施形態に係る相純度選別決定のためのマスクプログラミング図である。
図19】別の実施形態に係る相純度選別決定のためのマスクプログラミング図である。
図20】別の実施形態に係る相純度選別決定のためのマスクプログラミング図である。
図21】別の実施形態に係る相純度選別決定のためのマスクプログラミング図である。
図22】或る実施形態に係る単一細胞純度選別決定のためのマスクプログラミング図である。
図23】別の実施形態に係る単一細胞純度選別決定のためのマスクプログラミング図である。
図24】別の実施形態に係る単一細胞純度選別決定のためのマスクプログラミング図である。
図25】或る実施形態に係るアボートセーブ決定を用いる単一細胞純度選別のためのマスクプログラミング図である。
図26】或る実施形態に係るアボートセーブ決定を用いる単一細胞相選別のためのマスクプログラミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
流れの液滴を選別する液滴選別モジュールを記載する。或る実施形態に係る液滴選別モジュールは、複数の液滴選別決定ユニットと、プロセッサと、プロセッサに対して動作可能に連結されたメモリとを備えており、メモリは、プロセッサにより実行されると前記プロセッサに、流れの夫々の液滴を選別するために複数の液滴選別決定ユニットから最適な液滴選別決定ユニットを判定させる命令を記憶している。流れの液滴を選別する粒子(例えば細胞)選別システム及び方法が更に記載される。一又は複数の本液滴選別モジュールを有するキットが更に提供される。本発明をより詳細に説明する前に、本発明は説明される特定の実施形態に限定されずそれ自体言うまでもなく変更可能であることを理解されたい。本発明の範囲は添付された特許請求の範囲のみにより限定されるものであるため、本明細書で使用される用語は特定の実施形態を記載する目的にのみ使用されていて限定する意図はないことも理解されたい。
【0009】
数値の範囲が設けられている場合、文脈上明らかに異なる記載がない限りその範囲の上限と下限との間に含まれる、下限の単位の十分の一までの各数値、及び表記される範囲における他の、表記されるか又は間に含まれる値は、本発明に包含される。より狭い範囲の上限及び下限は独立してこのより狭い範囲に含まれてもよく、また表記される範囲から特に除外される限界値を前提として本発明に包含される。表記される範囲が一方又は両方の限界値を含む場合、含まれる限界値の一方又は両方を除く範囲も本発明に含まれる。
【0010】
或る範囲は、「約」という用語に続く数値を用いて本明細書に示される。「約」という用語は、その用語に続く数値そのものと、その用語に続く数値に近い数値又は略等しい数値とを文字通りサポートすべく本明細書で使用される。数値が特に記載される数値と近いか又は略等しいか否かを判定する際、近いか又は略等しい記載されていない数値は、示されている文脈では、特に記載される数値の実在する同等物を提供する数値であってもよい。
【0011】
異なる定義がない限り、本明細書で使用される全ての専門用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者により一般に理解される意味と同じ意味を有する。本発明書に記載される方法及び材料と類似しているか又は同等である全ての方法及び材料もまた本発明の実施又は検査に使用できるが、代表的且つ例示的な方法及び材料を以下に記載する。
【0012】
本明細書で言及される全ての出版物及び特許は、個別の出版物又は特許が参照として組み込まれるべく明確且つ個別に明示されているかのように参照として本発明書に組み込まれ、また、出版物が関連して言及される方法及び/又は材料を開示及び記載するために参照として本明細書に組み込まれる。あらゆる出版物は出願日に先立ってその開示のために引用されており、本発明が先行発明によりそのような出版物に先行する権限がないことを認めるものであると解釈されるべきではない。更に、提供される出版物の日付は実際の出版日とは異なる場合があり、独立して確認しなければならない場合がある。
【0013】
なお、本明細書及び添付された特許請求の範囲で使用する際、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈上異なる明示がない限り、複数の指示対象を含む。更に、特許請求の範囲は任意の要素を除外すべく作成されてもよい。従って、この記述は、請求項の要素の記載に関する「唯一の」、「のみの」等の排他的用語の使用、又は「否定的な」限定の使用のための先行記載として機能すべく意図される。
【0014】
本開示を読むことで当業者に明らかになるように、本明細書に記載及び例示される個別の各実施形態は、本発明の範囲又は趣旨から逸脱すること無くあらゆる他の幾つかの実施形態の特徴と容易に切り離すか又は組み合わせてもよい別々の要素及び特徴を有する。記載されるあらゆる方法は、記載される事象の順序又は論理的に可能なあらゆる他の順序で実行され得る。
【0015】
装置及び方法は文法的な流動性のために機能の説明を用いて記載されるが、米国特許法第112条で明確に述べられていない限り、特許請求の範囲は「手段」又は「ステップ」という限定の構築により如何なる方法によっても限定される必要があると解釈されるべきものでなく、同等物の法理に基づいて特許請求の範囲により提供される定義の意味及び同等物の全範囲と一致し、特許請求の範囲が米国特許法第112条で明確に述べられている場合には、米国特許法第112条に基づく全ての法定同等物と一致するものである。
【0016】
上記に要約されているように、本開示は、複数の液滴選別決定ユニットを有する選別決定モジュールを提供する。本開示の実施形態を更に記載する際に、複数の液滴選別決定ユニットと、プロセッサ及びプロセッサに対して動作可能に連結されたメモリとを備えた液滴選別モジュールであって、メモリは、プロセッサにより実行されるとプロセッサに、流れの夫々の液滴を選別するために複数の液滴選別決定ユニットから最適な液滴選別決定ユニットを判定させる命令を記憶している液滴選別モジュールが、まず更に詳細に記載される。次に、流れにおける液滴を選別する方法が記載される。本方法の実施に適した、流れの液滴を選別する粒子選別システムが更に提供される。
【0017】
(液滴選別モジュール)
本開示の態様は、流れの液滴を選別する液滴選別モジュールを含む。実施形態に係る液滴選別モジュールは複数の液滴選別決定ユニットを含み、幾つかの例では、各選別決定ユニットは、対応する受け容器又は受け場所に液滴を搬送すべく構成されている。「ユニット」という用語は、本明細書に記載される選別決定アルゴリズムを行うべく採用される演算ハードウェアに言及すべく従来の意味で使用されている。他のタイプの演算ハードウェアのうち、集積回路、プログラマブルロジックブロックなど、あらゆる簡便な演算ハードウェアプロトコルを採用することができる。或る実施形態では、本明細書に記載される演算ユニットはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含む。幾つかの例では液滴選別モジュールは、2つの相異なり対応する受け容器又は受け場所に対応する2つ以上の選別決定ユニット、例えば4つの相異なり対応する受け容器又は受け場所に対応する4つ以上の選別決定ユニット、8つの相異なり対応する受け容器又は受け場所に対応する8つ以上の選別決定ユニット、16個の相異なり対応する受け容器又は受け場所に対応する16個以上の選別決定ユニット、及び32個の相異なり対応する受け容器又は受け場所に対応する32個以上の選別決定ユニットを含む。「選別」という用語は、サンプルの要素(例えば細胞を含有する液滴、生体高分子などの非細胞粒子を含有する液滴)を分離し、幾つかの例ではサンプル回収容器に連結された一又は複数の入口に、分離された要素を搬送することに言及すべく従来の意味で本明細書に使用される。例えば本液滴選別モジュールは、2つ以上の要素、例えば3つ以上の要素、4つ以上の要素、5つ以上の要素、10個以上の要素、15個以上の要素、及び25個以上の要素を有するサンプルを選別すべく構成されてもよい。一又は複数のサンプル要素がサンプルから分離されてサンプル回収容器に搬送されてもよく、例えば2つ以上のサンプル要素、3つ以上のサンプル要素、4つ以上のサンプル要素、5つ以上のサンプル要素、10個以上のサンプル要素及び15個以上のサンプル要素がサンプルから分離されて受け場所でサンプル回収容器に搬送されてもよい。
【0018】
実施形態では液滴選別モジュールは、2つ以上の選別決定ユニット、3つ以上の選別決定ユニット、4つ以上の選別決定ユニット、6つ以上の選別決定ユニット、8つ以上の選別決定ユニット、12個以上の選別決定ユニット、16個以上の選別決定ユニット、24個以上の選別決定ユニット、32個以上の選別決定ユニット、64個以上の選別決定ユニット、及び128個以上の選別決定ユニットなど複数の選別決定ユニットを含む。各選別決定ユニットは事象照合ロジック及び選別決定ロジックを有しており、データ信号を受信し、流れの夫々の液滴を選別するために複数の選別決定ユニットから最適な液滴選別決定ユニットを判定すべく構成されている。幾つかの実施形態では、各選別決定ユニットにより受信されるデータ信号は、事象ID、事象タイムスタンプ及び事象ゲート値など一又は複数の事象(例えば粒子、細胞など)に対応するデータを含む。
【0019】
実施の形態では各液滴選別決定ユニットは、より詳細に後述するように選別決定ユニットが流れから事象含有液滴を選別するのに最適であるか否かを判定するのに使用される照合ビットに事象ゲートビットを変換すべく構成された事象照合ロジックを含む。事象照合ロジックは、2つ以上の事象照合ユニット、4つ以上の事象照合ユニット、8つ以上の事象照合ユニット、16個以上の事象照合ユニット、32個以上の事象照合ユニット、64個以上の事象照合ユニット、及び128個以上の事象照合ユニットなど複数の電気通信可能な事象照合ユニットから構成されている。
【0020】
幾つかの実施形態では、各液滴選別決定ユニットの事象照合ロジックは、2つ以上の事象ゲートビット、3つ以上、4つ以上、8つ以上、16個以上、32個以上、64個以上、及び128個以上の事象ゲートビットなど一又は複数の事象ゲートビットを単一の照合ビットに変換すべく構成されている。或る例では、事象照合ロジックの各事象照合ユニットは32個の事象ゲートビットを単一の照合ビットに変換すべく構成されている。幾つかの実施形態では、事象照合ロジックは、事象が、所与の選別決定ユニットに関する選別決定に関係し得るか否かを判定すべく構成されている。或る実施形態では各選別決定ユニットは、全ての事象(すなわち、標的粒子及び非標的粒子の両方)を照合すべく構成された事象照合ロジックを含み、全ての選別決定ユニットは、この事象照合ロジックからのデータを使用して、液滴における非一致事象の位置を照合すべく構成されている。幾つかの例では、各事象照合ユニットは事象ゲートビットを選択し、選択された事象ゲートビットに基づいて単一の照合ビットが事象照合ロジックから出力される。
【0021】
事象照合ロジックからの照合ビット、事象タイムスタンプ、先の事象ID、現在時刻、液滴タイミング情報などの各事象に対応するデータを使用して、選別決定ロジックにより分離されて2つ以上のビット位置、4つ以上のビット位置、8つ以上のビット位置、16個以上のビット位置、32個以上のビット位置、64個以上のビット位置、及び128個以上のビット位置など複数のビット位置を有する(例えば液滴集合体における)液滴を形成する。或る実施形態では、事象照合ロジックからの照合ビット、事象タイムスタンプ、先の事象ID、現在時刻、及び液滴タイミング情報を使用して、選別決定ロジックにより分離されて32個のビット位置を有する液滴が形成される。
【0022】
実施形態では、各選別決定ユニットは、液滴における一又は複数の粒子の位置に対応するデータ信号を受信すべく構成された選別決定ロジックを含む。液滴における粒子は、2つ以上のビット位置、4つ以上のビット位置、及び8つ以上のビット位置など、液滴における一又は複数のビット位置を占めてもよい。或る例では、粒子は液滴における単一のビット位置を占める。液滴における粒子は、標的粒子(例えば標的細胞)であってもよいし、非標的粒子(例えばサンプルの非標的細胞又は非細胞要素)であってもよい。各液滴は、液滴における相異なるビット位置に2つ以上、3つ以上、4つ以上、及び5つ以上の標的粒子など、液滴における相異なるビット位置に一又は複数の標的粒子を含んでもよい。各液滴はまた、液滴における相異なるビット位置に2つ以上、3つ以上、4つ以上、及び5つ以上の非標的粒子など、液滴における相異なるビット位置に一又は複数の非標的粒子を含んでもよい。幾つかの実施形態では選別決定ロジックは、2つ以上の連続する液滴、3つ以上の連続する液滴、4つ以上の連続する液滴、5つ以上の連続する液滴、6つ以上の連続する液滴、及び10個以上の連続する液滴など複数の連続する液滴における一又は複数の粒子の位置に対応するデータ信号を受信すべく構成されている。或る実施形態では、各選別決定ユニットの選別決定ロジックは、例えば選別されている液滴(すなわち選別液滴)、選別液滴の直前の液滴(すなわち先行液滴)、及び選別液滴の直後の液滴(すなわち後続液滴)における粒子の位置など3つの連続する液滴における粒子の位置に対応するデータ信号を受信すべく構成されている。
【0023】
幾つかの実施形態では、各選別決定ユニットの選別決定ロジックは、各液滴(例えば後続液滴、選別液滴、及び先行液滴)における標的粒子のビット位置に対応するデータ信号を受信すべく構成されている。他の実施形態では、各選別決定ユニットの選別決定ロジックは、各液滴における非標的粒子のビット位置に対応するデータ信号を受信すべく構成されている。幾つかの例では選別決定ロジックは、液滴の選別に関連する標的粒子(例えば細胞)を有する液滴の位置を特定する標的マスクを含む。他の例では選別決定ロジックは、液滴の選別に関連する非標的粒子(例えば非標的細胞又は非細胞粒子)を有する液滴の位置を特定する非標的マスクを含む。或る例では選別決定ロジックは、液滴の選別に関連する標的粒子を有する液滴の位置を特定する標的マスクと、液滴の選別に関連する非標的粒子を有する液滴の位置を特定する非標的マスクとを含む。液滴を選別するため、或る実施形態では選別決定ロジックは、液滴における一又は複数の標的細胞の位置に対応するデータ信号に標的マスクを適用して標的液滴値を生成し、液滴における一又は複数の非標的粒子の位置に対応するデータ信号に非標的マスクを適用して非標的液滴値を生成し、標的液滴値を非標的液滴値と組み合わせて標的照合値を生成すべく構成されている。
【0024】
選別決定ロジックはまた、液滴における標的粒子の数を判定して標的カウント値を生成すべく構成されてもよい。例えば選別決定ロジックは、2つ以上の標的粒子、3つ以上の標的粒子、及び5つ以上の標的粒子など一又は複数の標的粒子を液滴が含むと判定すべく構成されてもよい。幾つかの実施形態では各選別決定ユニットは、16個以下の標的粒子、12個以下の標的粒子、8つ以下の標的粒子、4つ以下の標的粒子、及び2つ以下の標的粒子という標的限界値など、液滴内の許容される標的粒子の総数を限定する標的限界値を有する。液滴が標的限界値を超えない場合、選別決定ユニットは液滴の選別を進めるべく構成されている。或る例では、液滴が標的限界値を超えると判定された場合、液滴は廃棄され、液滴選別モジュールの何れの選別決定ユニットにも選別されない。
【0025】
標的照合値及び標的カウント値に基づいて、流れから各液滴を選別するのに最適な選別決定ユニットが判定される。一又は複数の液滴標的照合値、液滴標的カウント値、又はその組み合わせに基づいて、各選別決定ユニットに優先順位が割り当てられる。最適な選別決定ユニットを判定するため、各選別決定ユニットの優先順位が評価され、或る例では選別決定ユニットは、最も高い標的照合値を有する選別決定ユニット、最も高い標的カウント値を有する選別決定ユニット、又は最も高い標的照合値及び最も高い標的カウント値を有する選別決定ユニットに基づいて優先順位によりランク付けされる。例えば一つの実施形態では、最も高い標的照合値を有する選別決定ユニットは、最も高い優先順位を有すると判定され、液滴の選別に最適な選別決定ユニットとして選択される。別の例では、最も高い標的カウント値を有する選別決定ユニットは、最も高い優先順位を有すると判定され、液滴の選別に最適な選別決定ユニットとして選択される。更に別の例では、最も高い標的照合値及び最も高いカウント値を有する選別決定ユニットは、最も高い優先順位を有すると判定され、液滴の選別に最適な選別決定ユニットとして選択される。
【0026】
或る実施形態では選別決定ユニットは、流れにおける液滴の選別に最適ではないと判定される。幾つかの例では選別決定ユニットは、標的照合値が所定閾値より低い場合に液滴の判別に最適ではないと判定される。他の例では選別決定ユニットは、標的カウント値が所定閾値を超える場合に液滴の選別に最適ではないと判定される。更に他の例では、選別決定ユニットは、その選別決定ユニットが先の液滴の選別に使用されていた(例えば先行液滴、選別液滴、及び後続液滴を有する連続する3つの液滴列における先行液滴の選別に使用されていた)場合に、この液滴の選別に最適ではないと判定される。
【0027】
(サンプルの粒子を選別する方法)
本開示の態様はまた、流れの液滴を選別する方法を含む。或る実施形態に係る方法を実施する際に、粒子が流れの中の液滴で検出され、液滴が粒子を含むというデータ信号が生成され、このデータ信号は(上述したように)複数の液滴選別決定ユニットを有する液滴選別モジュールに搬送され、液滴を選別するために複数の液滴決定ユニットから最適な選別決定ユニットが選択され、選択された液滴選別決定ユニットを用いて液滴が選別される。
【0028】
実施形態では、粒子(例えば細胞)を有するサンプルを含有する流れに対して光源を用いて光照射が行われ、流れにおける要素からの光が検出される。幾つかの実施形態では、サンプルは生体サンプルである。「生体サンプル」という用語は、或る例では血液、粘液、リンパ液、関節液、脳脊髄液、唾液、肺胞洗浄液、羊水、羊膜臍帯血、尿、膣液、及び精液に見られ得る有機体全体、植物、菌類、又は動物組織、細胞、若しくは構成部分のサブセットに言及するために従来の意味で使用される。かくして、「生体サンプル」は天然有機体又は組織のサブセットの両方、及び有機体又は組織のサブセットから調製されるホモジネート、ライセート、又は抽出物を指し、例えば血漿、漿液、脳脊髄液、リンパ液、皮膚片、呼吸器、胃腸、心臓血管、尿生殖路、涙、唾液、母乳、血球、腫瘍、及び器官を非限定的に含む。生体サンプルは、健康な組織及び患部組織(例えば癌組織、悪性組織、壊死組織など)を両方含む、あらゆるタイプの有機体組織であってもよい。或る実施形態では生体サンプルは、血液又はその誘導体、例えば血漿、涙、尿、精液などの液体サンプルであり、幾つかの例ではサンプルは、静脈穿刺又は指穿刺から得られる血液などの全血を含む血液サンプルである(血液は、分析前に防腐剤、抗凝血剤などのあらゆる試薬と組み合わせてもよく、組み合わせなくてもよい)。
【0029】
或る実施形態では、サンプル源は「哺乳動物」又は「哺乳類」であり、これらの用語は、食肉類(例えばイヌ又はネコ)、齧歯類(例えばマウス、モルモット、及びラット)、及び霊長類(例えばヒト、チンパンジー、及びサル)を含む哺乳綱に属する有機体を広く記載するのに使用される。幾つかの例では、対象はヒトである。方法は、あらゆる成長段階(すなわち新生児、幼児、少年、青年、成人)の両方の性別のヒト被験者から得られたサンプルに適用してもよく、或る実施形態ではヒト被験者は少年、青年、又は成人である。本発明はヒト被験者からのサンプルに適用してもよいが、方法はまた、非限定的に、鳥類、マウス、ラット、イヌ、ネコ、家畜、及びウマなどの他の動物被検体(すなわち「非ヒト被検体」)からのサンプルに実行してよい。
【0030】
本方法を実施する際に、(例えばフローサイトメータの流れにおける)サンプルに光源からの光を照射する。幾つかの実施形態では、光源は、例えば50nm以上、100nm以上、150nm以上、200nm以上、250nm以上、300nm以上、350nm以上、400nm以上及び500nm以上に亘る広範囲の波長を有する光を発光する広帯域光源である。例えば一つの適した広帯域光源は、200nm~1500nmの波長を有する光を発光する。適した広帯域光源の別の例は、400nm~1000nmの波長を有する光を発光する光源を含む。方法が広帯域光源を用いた光照射を含む場合、該当する広帯域光源プロトコルは、他の広帯域光源のうちハロゲンランプ、重水素アークランプ、キセノンアークランプ、安定化ファイバ結合広帯域光源、連続スペクトルを有する広帯域LED、高輝度発光ダイオード、半導体発光ダイオード、広スペクトルLED白色光源、マルチLED集積白色光源、又はこれらのあらゆる組み合わせを非限定的に含んでもよい。
【0031】
別の実施形態では方法は、例えば50nm以下、40nm以下、30nm以下、25nm以下、20nm以下、15nm以下、10nm以下、2nm以下などの範囲のように狭範囲の波長で発光する光源、及び特定波長の光(すなわち単色光)を発する光源を用いるなど、特定の波長又は狭範囲の波長を発する狭帯域光源を用いた光照射を含む。方法が狭帯域光源を用いた光照射を含む場合、該当する狭帯域光源プロトコルは、狭波長LED、一又は複数の光学バンドパスフィルタに連結されたレーザダイオード又は広帯域光源、回折格子、モノクロメータ、又はこれらのあらゆる組み合わせを非限定的に含んでもよい。
【0032】
或る実施形態では方法は、一又は複数のレーザを用いたサンプルへの光照射を含む。上述したようにレーザのタイプ及び数はサンプル及び回収したい光によって異なり、ヘリウムネオンレーザ、アルゴンレーザ、クリプトンレーザ、キセノンレーザ、窒素レーザ、CO2 レーザ、COレーザ、アルゴンフッ素(ArF)エキシマレーザ、クリプトンフッ素(KrF)エキシマレーザ、塩化キセノン(XeCl)エキシマレーザ、キセノンフッ素(XeF)エキシマレーザ、又はこれらの組み合わせなどのガスレーザであってもよい。他の例では方法は、スチルベン、クマリン、又はローダミンのレーザなどの色素レーザを用いた流れへの光照射を含む。更に別の例では方法は、ヘリウムカドミウム(HeCd)レーザ、ヘリウム水銀(HeHg)レーザ、ヘリウムセレニウム(HeSe)レーザ、ヘリウム銀(HeAg)レーザ、ストロンチウムレーザ、ネオン銅(NeCu)レーザ、銅レーザ、金レーザ、及びこれらの組み合わせなどの金属蒸気レーザを用いた流れへの光照射を含む。更に別の例では方法は、ルビーレーザ、Nd:YAGレーザ、NdCrYAGレーザ、Er:YAGレーザ、Nd:YLFレーザ、Nd:YVO4 レーザ、Nd:YCa4 O(BO3 3 レーザ、Nd:YCOBレーザ、チタンサファイアレーザ、ツリウムYAGレーザ、イッテルビウムYAGレーザ、イッテルビウム2 3 レーザ、セリウムドープレーザ、及びこれらの組み合わせなどの固体レーザを用いた流れへの光照射を含む。
【0033】
2つ以上の光源、3つ以上の光源、4つ以上の光源、5つ以上の光源、及び10個以上の光源など、一又は複数の上述した光源を用いた光照射をサンプルに行ってもよい。光源は、複数のタイプの光源のあらゆる組み合わせを含んでもよい。例えば幾つかの実施形態では方法は、一又は複数のガスレーザ、一又は複数の色素レーザ、及び一又は複数の固体レーザを有するアレイなどのレーザアレイを用いた、流れにおけるサンプルへの光照射を含んでもよい。
【0034】
250nm~1250nm、300nm~1000nm、350nm~900nm、及び400nm~800nmなど、200nm~1500nmの範囲の波長を用いた光照射をサンプルに行ってもよい。例えば光源が広帯域光源である場合、サンプルには200nm~900nmの波長を用いた光照射を行ってもよい。他の例として、光源が複数の狭帯域光源を含む場合、200nm~900nmの範囲の特定の波長で光照射をサンプルに行ってもよい。例えば光源は、200nm~900nmの間の波長領域を有する光を夫々独立に発する複数の狭帯域LED(1nm~25nm)であってもよい。他の実施形態では狭帯域光源は一又は複数のレーザ(レーザアレイなど)を含み、上述したように、ガスレーザ、エキシマレーザ、色素レーザ、金属蒸気レーザ、及び固体レーザを有するレーザアレイなどを用いて200nm~700nmの範囲の特定の波長で光照射をサンプルに行う。
【0035】
複数の光源を採用する場合、サンプルには、複数の光源を用いて同時的又は順次に、又はその組み合わせにより光照射を行ってもよい。例えばサンプルには、各光源を用いて同時的に光照射を行ってもよい。他の実施形態では、各光源を用いて流れに順次に光照射を行ってもよい。サンプルに順次に光照射を行うべく複数の光源を採用する場合、各光源がサンプルに光照射を行う時間は独立して、0.01マイクロ秒以上、0.1マイクロ秒以上、1マイクロ秒以上、5マイクロ秒以上、10マイクロ秒以上、30マイクロ秒以上、及び60マイクロ秒以上など、0.001マイクロ秒以上であってもよい。例えば方法は、0.01マイクロ秒~75マイクロ秒、0.1マイクロ秒~50マイクロ秒、1マイクロ秒~25マイクロ秒、及び5マイクロ秒~10マイクロ秒など、0.001マイクロ秒~100マイクロ秒の範囲の時間、光源(例えばレーザ)を用いてサンプルに光照射を行うことを含んでもよい。2つ以上の光源を用いてサンプルに順次に光照射を行う実施形態では、サンプルに各光源が光照射を行う時間は同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0036】
各光源による光照射の間隔は様々であってもよく、所望であれば0.01マイクロ秒以上、0.1マイクロ秒以上、1マイクロ秒以上、5マイクロ秒以上、10マイクロ秒以上、15マイクロ秒以上、30マイクロ秒以上、及び60マイクロ秒以上など、0.001マイクロ秒以上の遅延により独立に離れていてもよい。例えば各光源による光照射の間隔は、0.01マイクロ秒~50マイクロ秒、0.1マイクロ秒~35マイクロ秒、1マイクロ秒~25マイクロ秒、及び5マイクロ秒~10マイクロ秒など、0.001マイクロ秒~60マイクロ秒の範囲であってもよい。或る実施形態では、各光源による光照射の間隔は10マイクロ秒である。2つより多い(すなわち3つ以上の)光源によりサンプルに順次に光照射を行う実施形態では、各光源による光照射の間隔は同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0037】
サンプルに連続して光照射を行ってもよく、個別の間隔で光照射を行ってもよい。或る例として方法は、光源を用いたサンプルへの連続光照射を含む。他の例として、0.001ミリ秒毎、0.01ミリ秒毎、0.1ミリ秒毎、1ミリ秒毎、10ミリ秒毎、100ミリ秒毎、1000ミリ秒毎、又は他の間隔毎など、個別の間隔で光源によりサンプルに光照射を行う。
【0038】
光源に応じて、0.01mm以上、0.05mm以上、0.1mm以上、0.5mm以上、1mm以上、2.5mm以上、5mm以上、10mm以上、15mm以上、25mm以上、及び50mm以上など様々な距離から光照射をサンプルに行ってもよい。また、角度又は光照射は、15°~85°、20°~80°、25°~75°、及び30°~60°、例えば90°など、10°~90°の範囲で異なってもよい。
【0039】
実施形態では方法で、一又は複数の光検出器を用いて、光照射されたサンプルからの光を測定することにより流れにおける粒子を検出する。幾つかの例では、粒子は標的細胞などの標的粒子である。他の例では粒子は、非標的細胞又は非細胞粒子などの非標的粒子である。幾つかの実施形態では方法で、ある波長領域(例えば200nm~1000nm)に亘る集められた光を測定する。例えば方法では、200nm~1000nmの波長領域の一又は複数に亘る光のスペクトルを収集する。更に別の実施形態では方法で、一又は複数の特定の波長における集められた光を測定する。例えば集められた光は、450nm、518nm、519nm、561nm、578nm、605nm、607nm、625nm、650nm、660nm、667nm、670nm、668nm、695nm、710nm、723nm、780nm、785nm、647nm、617nm、及びこれらの組み合わせのうち一又は複数で測定されてもよい。或る実施形態では方法で、或る蛍光体の蛍光ピーク波長に対応する光の波長を測定する。
【0040】
集められた光を連続的に測定してもよく、個別の間隔で測定してもよい。幾つかの例では方法で光を連続的に測定する。他の例では、0.001ミリ秒毎、0.01ミリ秒毎、0.1ミリ秒毎、1ミリ秒毎、10ミリ秒毎、100ミリ秒毎、1000ミリ秒毎、又は他の間隔など、個別の間隔で光を測定する。
【0041】
集められた光の測定を、2回以上、3回以上、5回以上、及び10回以上など、本方法の間に一又は複数回行ってもよい。或る実施形態では、光伝搬を2回以上測定し、或る例ではデータを平均する。
【0042】
5つ以上の相異なる波長、10個以上の相異なる波長、25個以上の相異なる波長、50個以上の相異なる波長、100個以上の相異なる波長、200個以上の相異なる波長、300個以上の相異なる波長、及び400個以上の相異なる波長など、一又は複数の波長でサンプルからの光を測定してもよい。
【0043】
光吸収、前方散乱、側方散乱、又は冷光(例えば蛍光発光)を非限定的に含むあらゆる簡便な光検出プロトコルにより粒子を検出してもよい。本方法の実施に際して、液滴は、流れから形成され、検出された一又は複数の粒子を含有し、液滴が粒子を含有するというデータ信号が生成される。データ信号は(上記に詳述されているように)液滴選別モジュールにより受信され、液滴を選別するために液滴選別モジュールから最適な選別決定ユニットが判定される。上述したように、各選別決定ユニットは、或る例では液滴を選別するために受け容器又は受け場所に対応してもよい。かくして、或る実施形態に係る方法では、液滴の選別に最適であると判定された選別決定ユニットに対応する特定の容器又は場所に液滴を選別する。例えば、液滴選別モジュールは、4つの相異なり対応する受け容器又は受け場所に対応する4つ以上の選別決定ユニット、8つの相異なり対応する受け容器又は受け場所に対応する8つ以上の選別決定ユニット、16個の相異なり対応する受け容器又は受け場所に対応する16個以上の選別決定ユニット、又は32個の相異なり対応する受け容器又は受け場所に対応する32個以上の選別決定ユニットなど、2つの相異なり対応する受け容器又は受け場所に対応する2つ以上の選別決定ユニットを含んでもよい。
【0044】
実施形態では、各液滴選別決定ユニットは、事象ゲートビットを照合ビットに変換する事象照合ロジックを含む。事象照合ロジックは、複数の照合ユニットから構成されている。幾つかの実施形態では、各液滴選別決定ユニットの事象照合ロジックは、2つ以上の事象ゲートビット、3つ以上、4つ以上、8つ以上、16個以上、32個以上、64個以上、及び128個以上の事象ゲートビットなど、一又は複数の事象ゲートビットを単一の照合ビットに変換する。或る例では、事象照合ロジックの各照合ユニットは32個の事象ゲートビットを1つの照合ビットに変換する。幾つかの実施形態では事象照合ロジックは、或る事象が所与の選別決定ユニットの選別決定に関係し得るか否かを判定する。或る実施形態では各選別決定ユニットは、全ての事象(すなわち標的粒子及び非標的粒子の両方)を照合すべく構成された事象照合ロジックを含み、全ての選別決定ユニットは、この事象照合ロジックからのデータを使用して液滴における非一致事象の位置を照合すべく構成されている。幾つかの例では、各事象照合ユニットは事象ゲートビットを選択し、選択された事象ゲートビットに基づいて単一の照合ビットが事象照合ロジックから出力される。
【0045】
事象照合ロジックからの照合ビット、事象タイムスタンプ、先の事象ID、現在時刻、及び液滴タイミング情報などのデータは、(例えば液滴集合体における)液滴を形成するのに使用される。液滴は、2つ以上のビット位置、4つ以上のビット位置、8つ以上のビット位置、16個以上のビット位置、32個以上のビット位置、64個以上のビット位置、及び128個以上のビット位置を有する液滴など、複数のビット位置に分離される。或る実施形態では、データ信号(例えば事象照合ロジックからの照合ビット、事象タイムスタンプ、先の事象ID、現在時刻、液滴タイミング情報)は、選別決定ロジックにより分離されて32個のビット位置を有する液滴を形成するのに使用される。
【0046】
本方法を実施する際、液滴における一又は複数の粒子の位置を判定する。例えば、液滴における粒子は、2つ以上のビット位置、4つ以上のビット位置、及び8つ以上のビット位置など、液滴における一又は複数のビット位置を占めてもよい。或る例では粒子は、液滴における単一のビット位置を占める。液滴における粒子は、標的粒子(例えば標的細胞)であってもよく、非標的粒子(例えばサンプルの非標的細胞又は非細胞要素)であってもよい。各液滴は、液滴における相異なるビット位置における2つ以上、3つ以上、4つ以上、及び5つ以上の標的粒子など、液滴における相異なるビット位置における一又は複数の標的粒子を含んでもよい。各液滴はまた、液滴における相異なるビット位置における2つ以上、3つ以上、4つ以上、及び5つ以上の非標的粒子など、液滴における相異なるビット位置における一又は複数の非標的粒子を含んでもよい。
【0047】
幾つかの実施形態では方法で、2つ以上の連続する液滴、3つ以上の連続する液滴、4つ以上の連続する液滴、5つ以上の連続する液滴、6つ以上の連続する液滴、及び10個以上の連続する液滴など複数の連続する液滴における一又は複数の粒子の位置に対応するデータ信号を生成する。或る実施形態では方法で、3つの連続する液滴における一又は複数の粒子の位置、例えば選別されている液滴(すなわち選別液滴)、選別液滴の直前の液滴(すなわち先行液滴)、及び選別液滴の直後の液滴(すなわち後続液滴)における粒子の位置に対応するデータ信号を判定及び生成する。
【0048】
幾つかの実施形態では、各液滴(例えば後続液滴、選別液滴、及び先行液滴)における標的粒子のビット位置に対応するデータ信号は、各選別決定ユニットの選別決定ロジックに搬送される。他の実施形態では、各液滴(例えば後続液滴、選別液滴、及び先行液滴)における非標的粒子のビット位置に対応するデータ信号は、各選別決定ユニットの選別決定ロジックに搬送される。幾つかの例では方法で、液滴の選別に関連する標的粒子(例えば細胞)を有する液滴の位置を特定する標的マスクを生成する。他の例では方法で、液滴の選別に関連する非標的粒子(例えば非標的細胞又は非細胞粒子)を有する液滴の位置を特定する非標的マスクを生成する。更に他の例では方法で、液滴の選別に関連する標的粒子を有する液滴の位置を特定する標的マスクを生成し、液滴の選別に関連する非標的粒子を有する液滴の位置を特定する非標的マスクを生成する。或る実施形態では方法で、液滴における一又は複数の標的細胞の位置に対応するデータ信号に標的マスクを適用して標的液滴値を生成し、液滴における一又は複数の非標的粒子の位置に対応するデータ信号に非標的マスクを適用して非標的液滴値を生成し、標的液滴値を非標的液滴値と組み合わせて標的照合値を生成する。
【0049】
幾つかの実施形態では方法でまた、液滴における標的粒子の数を判定して標的カウント値を生成する。幾つかの例では方法で、2つ以上の標的粒子、3つ以上の標的粒子、及び5つ以上の標的粒子など、一又は複数の標的粒子を液滴が含むことを判定する。或る実施形態では、液滴における判定された標的粒子の数を、16個以下の標的粒子、12個以下の標的粒子、8つ以下の標的粒子、4つ以下の標的粒子、及び2つ以下の標的粒子という標的限界値など、液滴内の許容される粒子の数を限定する標的限界値と比較する。幾つかの実施形態では方法で、標的限界値を超えなかった場合、最適として選択される選別決定ユニットを用いて液滴を選別する。他の実施形態では方法で、標的限界値を超えた場合、液滴を全て廃棄し、選別決定ユニットのいずれかを用いて液滴を選別しなくてもよい。
【0050】
標的照合値及び標的カウント値に基づいて、流れから各液滴を選別するのに最適な選別決定ユニットが判定される。或る実施形態では方法で、液滴標的照合値、液滴標的カウント値、又はこれらの組み合わせのうち一又は複数に基づいて各選別決定ユニットに優先順位を割り当てる。最適な選別決定ユニットを判定するために、各選別決定ユニットの優先順位が評価され、或る例では選別決定ユニットが、最も高い標的照合値を有する選別決定ユニット、最も高い標的カウント値を有する選別決定ユニット、又は最も高い標的照合値及び最も高い標的カウント値を有する選別決定ユニットに基づいて優先順位によりランク付けされる。例えば一例では、最も高い標的照合値を有する選別決定ユニットは最も高い優先順位を有すると判定され、液滴の選別に最適な選別決定ユニットとして選択される。別の例では、最も高い標的カウント値を有する選別決定ユニットは最も高い優先順位を有すると判定され、液滴の選別に最適な選別決定ユニットとして選択される。更に他の例では、最も高い標的照合値及び最も高いカウント値を有する選別決定ユニットは最も高い優先順位を有すると判定され、液滴の選別に最適な選別決定ユニットとして選択される。
【0051】
或る実施形態では方法で、選別決定ユニットが流れにおける液滴の選別に最適ではないと判定する。或る例では、標的照合値が所定閾値より低い場合、選別決定ユニットは液滴の選別に最適ではないと判定する。他の例では、標的カウント値が所定閾値を超える場合、選別決定ユニットは液滴の選別に最適ではないと判定する。更に別の例では、選別決定ユニットが先の液滴の選別に使用されていた(例えば先行液滴、選別液滴、及び後続液滴を有する連続する3つの液滴列における先行液滴の選別に使用されていた)場合、この液滴決定ユニットは液滴の選別に最適ではないと判定する。
【0052】
(サンプルの粒子を選別するシステム)
本開示の態様はまた、粒子を選別するシステムを含む。実施形態では本システムは、生体サンプルにおける細胞など、サンプルの要素を選別すべく構成されている。上述したように選別は、サンプルの要素(例えば細胞、生体高分子などの非細胞粒子)を分離して、幾つかの例では分離された要素を一又は複数のサンプル回収容器に搬送することを指す。
【0053】
実施形態では、システムは流れにおけるサンプルに光照射を行うべく構成された光源を含む。実施形態では、光源はあらゆる好適な広帯域又は狭帯域の光源であってもよい。サンプル(例えば細胞、滴、非細胞粒子など)における要素に応じて、光源は250nm~1250nm、300nm~1000nm、350nm~900nm、及び400nm~800nmなど、200nm~1500nmの範囲で異なる光の波長を発するべく構成されてもよい。例えば光源は、200nm~900nmの波長を有する光を発する広帯域光源を含んでもよい。他の例では光源は、200nm~900nmの範囲の波長を発する狭帯域光源を含む。例えば光源は、200nm~900nmの範囲の波長を有する光を発する狭帯域LED(1nm~25nm)であってもよい。或る実施形態では、光源はレーザである。幾つかの例では本システムは、ヘリウムネオンレーザ、アルゴンレーザ、クリプトンレーザ、キセノンレーザ、窒素レーザ、COレーザ、COレーザ、アルゴンフッ素(ArF)エキシマレーザ、クリプトンフッ素(KrF)エキシマレーザ、キセノン塩素(XeCl)エキシマレーザ、キセノンフッ素(XeF)エキシマレーザ、又はこれらの組み合わせなどのガスレーザを含む。他の例では、本システムは、スチルベン、クマリン又はローダミンのレーザなどの色素レーザを含む。更に別の例では、該当するレーザは、ヘリウムカドミウム(HeCd)レーザ、ヘリウム水銀(HeHf)レーザ、ヘリウムセレニウム(HeSe)レーザ、ヘリウム銀(HeAg)レーザ、ストロンチウムレーザ、ネオン銅(NeCu)レーザ、銅レーザ、金レーザ、又はこれらの組み合わせなどの金属蒸気レーザを含む。更に他の例では本システムは、ルビーレーザ、Nd:YAGレーザ、NdCrYAGレーザ、Er:YAGレーザ、Nd:YLFレーザ、Nd:YVO4 レーザ、Nd:YCa4 O(BO3 3 レーザ、Nd:YCOBレーザ、チタンサファイアレーザ、ツリウムYAGレーザ、イッテルビウムYAGレーザ、イッテルビウム2 3 レーザ、セリウムドープレーザ、及びこれらの組み合わせを含む。
【0054】
他の実施形態では光源は、ハロゲンランプ、重水素アークランプ、キセノンアークランプを非限定的に含むランプ、連続スペクトルを有する広帯域LED、高輝度発光ダイオード、半導体ダイオードなどの発光ダイオード、スペクトルLED白色光源、マルチLED一体型光源など、非レーザ光源である。幾つかの例では、非レーザ光源は、安定化ファイバ結合広帯域光源、白色光源、他の光源又はこれらのあらゆる組み合わせである。
【0055】
光源は、流れから0.001mm以上、0.005mm以上、0.01mm以上、0.05mm以上、0.1mm以上、0.5mm以上、1mm以上、5mm以上、10mm以上、25mm以上、及び100mm以上の距離など、サンプル(例えばフローサイトメータにおける流れ)からあらゆる好適な距離に位置してもよい。また、光源は10°~90°、15°~85°、20°~80°、25°~75°、及び30°~60°、例えば90°など、(例えば流れの垂直軸に対して)あらゆる好適な角度でサンプルに光照射を行う。
【0056】
光源は、連続的に又は個別の間隔でサンプルに光照射を行うべく構成されてもよい。幾つかの例ではシステムは、フローサイトメータにおける調査点で流れに連続的に光照射を行う連続波レーザを用いるなど、サンプルに連続的に光照射を行うべく構成された光源を含む。他の例では該当するシステムは、0.001ミリ秒毎、0.01ミリ秒毎、0.1ミリ秒毎、1ミリ秒毎、10ミリ秒毎、100ミリ秒毎、1000ミリ秒毎、又は他の間隔など、個別の間隔でサンプルに光照射を行うべく構成された光源を含む。光源が個別の間隔でサンプルに光照射を行うべく構成される場合、システムは、光源を用いてサンプルに光照射を断続的に行うための一又は複数の追加の構成要素を含んでもよい。例えば、これらの実施形態における本システムは、一又は複数のレーザビームチョッパ、光源に対しサンプルを遮断及び露出するための手動又はコンピュータ制御のビーム止め具を含んでもよい。実施形態では、システムは複数の光検出器を有する光検出システムを含む。該当する光センサは、アクティブ画素センサ(APS)、アバランシェフォトダイオード、画像センサ、電荷結合素子(CCD)、強力電荷結合素子(ICCD)、発光ダイオード、光子計数器、ボロメータ、焦電検出器、フォトレジスタ、光起電力電池、フォトダイオード、光電子倍増管、フォトトランジスタ、量子ドット光導電体又はフォトダイオード、これらの組み合わせ、及び他の光検出器などの光学センサを非限定的に含んでもよい。或る実施形態では、サンプルからの光は、電荷結合素子(CCD)、半導体電荷結合素子(CCD)、アクティブ画素センサ(APS)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)画像センサ、又はN型金属酸化膜半導体(NMOS)画像センサを用いて測定される。
【0057】
幾つかの実施形態では、該当する光検出システムは複数の光検出器を含む。幾つかの例では光検出システムは、フォトダイオードなどの複数の固体検出器を含む。或る例では光検出システムは、フォトダイオードのアレイなどの光検出器アレイを含む。これらの実施形態では光検出器アレイは、10個以上の光検出器、25個以上の光検出器、50個以上の光検出器、100個以上の光検出器、250個以上の光検出器、500個以上の光検出器、750個以上の光検出器、及び1000個以上の光検出器など、4つ以上の光検出器を含んでもよい。例えば検出器は、10個以上のフォトダイオード、25個以上のフォトダイオード、50個以上のフォトダイオード、100個以上のフォトダイオード、250個以上のフォトダイオード、500個以上のフォトダイオード、750個以上のフォトダイオード、及び1000個以上のフォトダイオードなど、4つ以上のフォトダイオードを有するフォトダイオードアレイであってもよい。
【0058】
光検出器は、所望であればあらゆる幾何学構成に配置されてもよく、該当する配置は、正方形構成、長方形構成、台形構成、三角形構成、六角形構成、七角形構成、八角形構成、九角形構成、十角形構成、十二角形構成、円形構成、楕円形構成、及び不規則パターン構成を非限定的に含む。光検出器アレイにおける光検出器は、15°~170°、20°~160°、25°~150°、30°~120°、及び45°~90°など、10°~180°の範囲の角度で他の光検出器に対して(X-Z平面を基準として)方向付けられてもよい。光検出器アレイはあらゆる好適な形状であってもよく、例えば正方形、長方形、台形、三角形、六角形など直線形状、例えば円形、楕円形など曲線形状、及び例えば平面的な頂部に連結された放物線状の底部など不規則形状であってもよい。或る実施形態では、光検出器アレイは長方形状の有効表面を有する。
【0059】
アレイにおける各光検出器(例えばフォトダイオード)は、10μm~225μm、15μm~200μm、20μm~175μm、25μm~150μm、30μm~125μm、及び50μm~100μmなど、5μm~250μmの範囲の幅と、10μm~225μm、15μm~200μm、20μm~175μm、25μm~150μm、30μm~125μm、及び50μm~100μmなど、5μm~250μmの範囲の長さとを有する有効面を有してもよく、アレイにおける各光検出器(例えばフォトダイオード)の表面積が、50μm2 ~9000μm2 、75μm2 ~8000μm2 、100μm2 ~7000μm2 、150μm2 ~6000μm2 、及び200μm2 ~5000μm2 など、25μm2 ~10000μm2 の範囲である。
【0060】
光検出器アレイの大きさは、光の量と強さ、光検出器の数及び所望の感度によって異なってもよく、0.05mm~90mm、0.1mm~80mm、0.5mm~70mm、1mm~60mm、2mm~50mm、3mm~40mm、4mm~30mm、及び5mm~25mmなど、0.01mm~100mの範囲の長さを有してもよい。光検出器アレイの幅はまた、0.05mm~90mm、0.1mm~80mm、0.5mm~70mm、1mm~60mm、2mm~50mm、3mm~40mm、4mm~30mm、5mm~25mmなど、0.01mm~100mmの範囲で異なってもよい。かくして、光検出器アレイの有効面は、0.5mm2 ~5000mm2 、1mm2 ~1000mm2 、5mm2 ~500mm2 、及び10mm2 、~100mm2 など、0.1mm2 ~10000mm2 の範囲であってもよい。
【0061】
該当する光検出器は、2つ以上の波長、5つ以上の相異なる波長、10個以上の相異なる波長、25個以上の相異なる波長、50個以上の相異なる波長、100個以上の相異なる波長、200個以上の相異なる波長、300個以上の相異なる波長、及び400個以上の相異なる波長で流れにおけるサンプルにより発せられる光を測定するなど、一又は複数の波長で集められる光を測定すべく構成されている。
【0062】
幾つかの実施形態では光検出器は、或る波長範囲(例えば200nm~1000nm)に亘る集められた光を測定すべく構成されている。或る実施形態では、該当する光検出器は、或る波長領域に亘る光のスペクトルを集めるべく構成されている。例えばシステムは、200nm~1000nmの一又は複数の波長領域に亘る光のスペクトルを集めるべく構成された一又は複数の検出器を含んでもよい。更に他の実施形態では、該当する光検出器は、一又は複数の特定波長で流れにおけるサンプルからの光を測定すべく構成されている。例えばシステムは、450nm、518nm、519nm、561nm、578nm、605nm、607nm、625nm、650nm、660nm、667nm、670nm、668nm、695nm、710nm、723nm、780nm、785nm、647nm、617nm、及びこれらのあらゆる組み合わせのうち一又は複数で光を測定すべく構成された一又は複数の検出器を含んでもよい。或る実施形態では、光検出器は、蛍光分析でサンプルと共に使用される蛍光体など、特定の蛍光体と対になるように構成されてもよい。
【0063】
光検出システムは、連続的に又は個別の間隔で光を測定すべく構成されている。幾つかの例では、該当する光検出器は、集められた光を連続的に測定すべく構成されている。他の例では光検出システムは、0.001ミリ秒毎、0.01ミリ秒毎、0.1ミリ秒毎、1ミリ秒毎、10ミリ秒毎、100ミリ秒毎、1000ミリ秒毎、又は他の間隔で光を測定するなど、個別の間隔で測定を行うべく構成されている。
【0064】
実施形態ではシステムは、一又は複数の検出された粒子を含有する流れから液滴を形成し、液滴が粒子を含有するというデータ信号を生成すべく構成されている。システムは、本明細書に記載するように一又は複数の液滴選別モジュールを含み、液滴選別モジュールからの最適な液滴決定ユニットが、液滴を選別するために選択される。幾つかの実施形態では、システムは、コンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ読取り可能記憶媒体を有するコンピュータを含み、コンピュータプログラムは、コンピュータに読み込まれると、流れの夫々の液滴を選別するために複数の選別決定ユニットから最適な液滴選別決定ユニットを判定する命令を更に含む。
【0065】
幾つかの実施形態ではシステムは、コンピュータプログラムが記憶されたコンピュータ読取り可能記憶媒体を有するコンピュータを含み、コンピュータプログラムは、コンピュータに読み込まれると、2つ以上のビット位置、4つ以上のビット位置、8つ以上のビット位置、16個以上のビット位置、32個以上のビット位置、64個以上のビット位置、及び128個以上のビット位置など、複数のビット位置に分離される液滴に対応するデータ信号を形成する命令を更に含む。事象照合ロジックからの照合ビット、事象タイムスタンプ、先の事象ID、現在時刻及び液滴タイミング情報などのデータは、液滴選別モジュールによる選別のために液滴を形成するのに使用される。幾つかの例ではメモリは、液滴における一又は複数の粒子の位置を判定する命令を更に含む。他の例ではメモリは、2つ以上の連続する液滴、3つ以上の連続する液滴、4つ以上の連続する液滴、5つ以上の連続する液滴、6つ以上の連続する液滴、及び10個以上の連続する液滴における一又は複数の粒子の位置を判定するなど、複数の連続する液滴における一又は複数の粒子の位置に対応するデータ信号を判定及び生成する命令を更に含む。或る実施形態ではメモリは、例えば選別されている液滴(すなわち選別液滴)、選別液滴の直前の液滴(すなわち先行液滴)、及び選別液滴の直後の液滴(すなわち後続液滴)における粒子位置など、3つの連続する液滴における粒子の位置に対応するデータ信号を判定及び生成する命令を更に含む。
【0066】
幾つかの実施形態ではシステムは、コンピュータプログラムを記憶したコンピュータ読取り可能記憶媒体を有するコンピュータを含み、コンピュータプログラムは、コンピュータに読み込まれると各選別決定ユニットの選別決定ロジックに各液滴(例えば後続液滴、選別液滴、及び先行液滴)における標的粒子のビット位置に対応するデータ信号を搬送する命令を更に含む。
【0067】
幾つかの実施形態ではシステムは、コンピュータプログラムを記憶したコンピュータ読取り可能記憶媒体を有するコンピュータを含み、コンピュータプログラムは、コンピュータに読み込まれると液滴の選別に関連する標的粒子(例えば細胞)を有する液滴の位置を特定する標的マスクを生成する命令を更に含む。他の実施形態ではメモリは、液滴の選別に関連する非標的粒子(例えば非標的細胞又は非細胞粒子)を有する液滴の位置を特定する非標的マスクを生成する命令を更に含む。更に他の実施形態ではメモリは、液滴の選別に関連する標的粒子を有する液滴の位置を特定する標的マスクを生成し、液滴の選別に関連する非標的粒子を有する液滴の位置を特定する非標的マスクを生成する命令を更に含む。
【0068】
幾つかの実施形態ではシステムは、コンピュータプログラムを記憶したコンピュータ読取り可能記憶媒体を有するコンピュータを含み、コンピュータプログラムは、コンピュータに読み込まれると液滴における一又は複数の標的細胞の位置に対応するデータ信号に標的マスクを適用して標的液滴値を生成し、液滴における一又は複数の非標的粒子の位置に対応するデータ信号に非標的マスクを適用して非標的液滴値を生成し、標的液滴値を非標的液滴値と組み合わせて標的照合値を生成する命令を更に含む。
【0069】
他の実施形態ではシステムは、コンピュータプログラムを記憶したコンピュータ読取り可能記憶媒体を有するコンピュータを含み、コンピュータプログラムは、コンピュータに読み込まれると液滴における標的粒子の数を判定して標的カウント値を生成する命令を更に含む。幾つかの例ではメモリは、2つ以上の標的粒子、3つ以上の標的粒子、及び5つ以上の標的粒子など、一又は複数の標的粒子を液滴が含むことを判定する命令を含む。他の例ではメモリは、16個以下の標的粒子、12個以下の標的粒子、8つ以下の標的粒子、4つ以下の標的粒子、及び2つ以下の標的粒子という標的限界値など、液滴内の許容される粒子の数を限定する標的限界値と液滴内の判定された標的粒子の数とを比較する命令を含む。或る例ではメモリは、標的限界値を超えなかった場合に、最適として選択される選別決定ユニットを用いて液滴を選別する命令を含む。他の例ではメモリは、標的限界値を超えた場合に、液滴を全て廃棄し選別決定ユニットのいずれかを用いて液滴を選別しない命令を含む。
【0070】
実施形態ではシステムは、コンピュータプログラムを記憶したコンピュータ読取り可能記憶媒体を有するコンピュータを含み、コンピュータプログラムは、コンピュータに読み込まれると、標的照合値及び標的カウント値に基づいて流れから各液滴を選別するのに最適な選別決定ユニットを判定する命令を更に含む。これらの実施形態ではメモリは、液滴標的照合値、液滴標的カウント値、又はこれらの組み合わせのうち一又は複数に基づいて各選別決定ユニットに優先順位を割り当てる命令を含む。最適な選別決定ユニットを判定するために、システムは各選別決定ユニットの優先順位を評価すべく構成されており、或る例では選別決定ユニットは、最も高い標的照合値を有する選別決定ユニット、最も高い標的カウント値を有する選別決定ユニット、又は最も高い標的照合値及び最も高い標的カウント値を有する選別決定ユニットに基づいて優先順位によりランク付けされる。
【0071】
幾つかの実施形態ではシステムは、選別決定ユニットが流れにおける液滴の選別に最適ではないことを判定すべく構成されている。或る例では、標的照合値が所定閾値より低い場合、選別決定ユニットは液滴の選別に最適ではないと判定する。他の例では、標的カウント値が所定閾値を超える場合、システムは選別決定ユニットを液滴の選別に最適ではないと判定すべく構成されている。更に他の例では、選別決定ユニットが先行液滴の選別に使用されていた(例えば先行液滴、選別液滴、及び後続液滴を有する連続する3つの液滴列における先行液滴を選別するのに使用されていた)場合、システムはこの選別液滴ユニットを液滴の選別に最適ではないと判定すべく構成されている。
【0072】
幾つかの実施形態に係る液滴選別システムはディスプレイ及びオペレータ入力装置を含んでもよい。オペレータ入力装置は例えばキーボード又はマウス等であってもよい。処理モジュールは、本方法のステップを実行する命令を記憶したメモリにアクセスするプロセッサを含む。処理モジュールは、オペレーティングシステム、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)制御装置、システムメモリ、メモリ記憶装置、入力/出力制御装置、キャッシュメモリ、データバックアップユニット、及び多くの他の装置を含んでもよい。プロセッサは市販のプロセッサであってもよく、現在入手可能であるか又は将来入手可能になる他のプロセッサの内の1つであってもよい。プロセッサはオペレーティングシステムを実行し、オペレーティングシステムは、周知の方法でファームウェア及びハードウェアとインタフェース接続し、当該分野で知られているようにJava、Perl、C++、他の高水準言語又は低水準言語、及びこれらの組み合わせなど様々なプログラミング言語で書かれていてもよい様々なコンピュータプログラムの機能をプロセッサが調整及び実行するのを容易にする。オペレーティングシステムは、一般的にプロセッサと協働で、コンピュータの他の構成要素の機能を調整及び実行する。オペレーティングシステムはまた、スケジューリング、入力/出力制御、ファイル及びデータの管理、メモリ管理、並びに通信制御及び関連サービスを全て既知の技術に応じて提供する。プロセッサはまた、あらゆる好適なアナログ又はデジタルのシステムであってもよい。幾つかの実施形態ではプロセッサは、例えば負のフィードバック制御などのフィードバック制御を提供するアナログ電子装置を含む。
【0073】
システムメモリは様々な既知又は今後のメモリ記憶装置であってもよい。その例には、あらゆる市販のランダムアクセスメモリ(RAM)、内在のハードディスク又はテープなどの磁気媒体、読み書きコンパクトディスクなどの光学媒体、フラッシュメモリ装置、又は他のメモリ記憶装置が含まれる。メモリ記憶装置は、コンパクトディスクドライブ、テープドライブ、リムーバブルハードディスクドライブ又はフロッピーディスクドライブを含む、様々な既知又は今後の装置の何れであってもよい。このようなタイプのメモリ記憶装置は一般的に、夫々コンパクトディスク、磁気テープ、リムーバブルハードディスク、又はフロッピーディスクなどのプログラム記憶装置(不図示)に対して読み書きを行う。これらのプログラム記憶媒体又は現在使用されているか若しくは今後開発され得る他の媒体のいずれかをコンピュータプログラム媒体とみなしてもよい。理解されるようにこれらのプログラム記憶媒体は一般的にコンピュータソフトウェアプログラム及び/又はデータを記憶する。コンピュータソフトウェアプログラムはコンピュータ制御ロジックとも呼ばれ、一般的に、メモリ記憶装置と共に使用されるシステムメモリ及び/又はプログラム記憶装置に記憶される。
【0074】
幾つかの実施形態では、制御ロジック(プログラムコードを含む、コンピュータソフトウェアプログラム)が記憶されたコンピュータ使用可能媒体を備えたコンピュータプログラム製品が記載される。制御ロジックは、コンピュータのプロセッサにより実行されると、本明細書に説明される機能をプロセッサに実行させる。他の実施形態では幾つかの機能は、例えばハードウェア状態機械を使用して主としてハードウェアで実施される。本明細書に説明される機能を実行するためのハードウェア状態機械の実施は、関連技術分野の当業者に明らかである。
【0075】
メモリは、磁気記憶装置、光学記憶装置、又は固体記憶装置(磁気ディスク若しくは光ディスク、テープ、RAM、又は固定若しくは携帯可能なあらゆる他の好適な装置を含む)など、プロセッサがデータを記憶及び検索することができるあらゆる好適な装置であってもよい。プロセッサは、必要なプログラムコードを保持するコンピュータ読取り可能媒体から好適にプログラムされた汎用デジタルマイクロプロセッサを含んでもよい。プログラミングは、通信チャネルを通じてプロセッサに遠隔で提供されるか、或いはメモリと関連するこれらの装置の何れかを使用してメモリ又は他の携帯可能若しくは固定のコンピュータ読取り可能記憶媒体などコンピュータプログラム製品に予め保存されることができる。例えば磁気ディスク又は光ディスクはプログラミングを保持してもよく、ディスクライタ/リーダにより読まれ得る。本発明のシステムはプログラミングを、例えばコンピュータプログラム製品の形態で、上述したように方法を実施するのに使用するアルゴリズムとして更に含む。本発明に係るプログラミングは、コンピュータ読取り可能媒体、例えばコンピュータにより直接的に読んで評価され得るあらゆる媒体に記録されることができる。このような媒体は、フロッピーディスク、ハードディスク記憶媒体、磁気テープなどの磁気記憶媒体、CD-ROMなどの光学記憶媒体、RAM及びROMなどの電気記憶媒体、可搬型フラッシュドライブ、及び磁気/光学記憶媒体などこれらのカテゴリの合成物を非限定的に含む。
【0076】
プロセッサはまた、遠隔地にいるユーザと通信するために通信チャネルにアクセスしてもよい。遠隔地とは、ユーザがシステムと直接接しておらず、広域ネットワーク(「WAN」)、電話網、衛星ネットワーク、他の好適な通信チャネル、携帯電話(すなわちスマートフォン)に接続されたコンピュータなどの外部の装置から入力マネージャへ入力情報を中継することを意味する。
【0077】
幾つかの実施形態では、本明細書に係るシステムは、通信インタフェースを含むべく構成されてもよい。幾つかの実施形態では通信インタフェースは、ネットワーク及び/又は別の装置と通信するための受信機及び/又は送信機を含む。通信インタフェースは、無線周波数(RF)通信(例えば無線ICタグ(RFID)、ジグビー通信プロトコル、WiFi、赤外線、無線ユニバーサルシリアルバス(USB)、超広帯域(UWB)、Bluetooth(登録商標)通信プロトコル、符号分割多重アクセス(CDMA)又は移動通信用グローバルシステム(GSM)などのセルラー方式通信を非限定的に含む有線又は無線の通信用に構成され得る。
【0078】
一実施形態では、通信インタフェースは、本システムと同様の相補的データ通信用に構成される(例えば医局又は病院環境での)コンピュータ端末などの他の外部装置との間のデータ通信を可能にするための一又は複数の通信ポート、例えばUSBポート、RS-232ポートなどの物理的ポート又はインタフェース、又はあらゆる他の好適な電気接続ポートを含むべく構成されている。
【0079】
一実施形態では、通信インタフェースは、コンピュータ端末及び/又はネットワーク、通信可能な携帯電話、携帯情報端末又はユーザが併せて使用してもよいあらゆる他の通信装置など他の装置と本システムが通信し得るための赤外線通信、Bluetooth(登録商標)通信、又はあらゆる他の好適な無線通信プロトコル用に構成されている。
【0080】
一実施形態では、通信インタフェースは、携帯電話ネットワーク、ショートメッセージサービス(SMS)、インターネットに接続されたローカルエリアネットワーク(LAN)上のパーソナルコンピュータ(PC)との無線接続、又はWiFiホットスポットにおけるインターネットとのWiFi接続を通じてインターネットプロトコル(IP)を利用するデータ転送用の接続を提供すべく構成されている。
【0081】
一実施形態では、本システムは、例えば802.11又はBluetooth(登録商標)RFプロトコル又はIrDA赤外線プロトコルなどの共通基準を使用して通信インタフェースを介してサーバ装置と無線通信すべく構成されている。サーバ装置は、スマートフォン、携帯情報端末(PDA)若しくはノートブックコンピュータなどの他の携帯装置、又はデスクトップコンピュータ、電気製品などのより大きな装置であってもよい。幾つかの実施形態ではサーバ装置は、液晶表示装置(LCD)などの表示装置、及びボタン、キーボード、マウス、又はタッチスクリーンなどの入力装置を有する。
【0082】
幾つかの実施形態では通信インタフェースは、本システム、例えば最適なデータ記憶ユニットに記憶されたデータを、上述した一又は複数の通信プロトコル及び/又は機構を使用してネットワーク又はサービス装置と自動的又は半自動的に通信すべく構成されている。
【0083】
出力制御装置は、人間であれ機械であれ、また近距離であれ遠隔であれ、ユーザに情報を提示するための様々な既知のディスプレイ用の制御装置を含んでもよい。ディスプレイの一つが視覚情報を提供する場合、この情報は一般的に、画素のアレイとして論理的及び/又は物理的に組織されてもよい。グラフィカルユーザインタフェース(GUI)制御装置は、システムとユーザとの間のグラフィカル入力/出力インタフェースを提供しユーザ入力を処理するための様々な既知又は今後のソフトウェアプログラムの何れかを含んでもよい。コンピュータの機能要素はシステムバスを介して互いに通信してもよい。これらの通信の幾つかは、ネットワーク又は他のタイプの遠隔通信を使用して代替の実施形態で達成されてもよい。出力マネージャはまた、既知の技術に応じて例えばインターネット、電話、又は衛星ネットワークを介して遠隔地のユーザに、処理モジュールにより生成された情報を提供してもよい。出力マネージャによるデータの提示は、様々な既知の技術に応じて実施されてもよい。例として、データはSQL文書、HTML文書若しくはXML文書、電子メール若しくは他のファイル、又は他の形態のデータを含んでもよい。データは、ユーザが追加のSQL文書、HTML文書、XML文書若しくは他の文書又はデータを遠隔の情報源から検索することができるように、インターネットURLアドレスを含んでもよい。本システムに含まれる一又は複数のプラットフォームは、一般的に通称サーバと呼ばれるコンピュータの類になるが、あらゆるタイプの既知のコンピュータプラットフォーム又は今後開発されるタイプのコンピュータプラットフォームであってもよい。しかしながら、プラットフォームはまた、主コンピュータ、ワークステーション又は他のコンピュータタイプであってもよい。プラットフォームはネットワーク型又は他の型の無線システムを含む、あらゆる既知又は今後のタイプの配線又は他の通信システムを介して接続されてもよい。プラットフォームは共同設置されてもよく、物理的に離れていてもよい。様々なオペレーティングシステムが、場合によっては選択されるコンピュータプラットフォームのタイプ及び/又は形式に応じてコンピュータプラットフォームのいずれかに採用されてもよい。適切なオペレーティングシステムは、Windows 10、Windos NT(登録商標)、Windows XP、Windows 7、Windows 8、iOS、Sun Solaris、Linux(登録商標)、OS/400、Compaq Tru64 Unix、SGI IRIX、Siemens Reliant Unix、Ubuntu、Zorin OS、及びその他を含む。
【0084】
或る実施形態では本システムは、(例えばレーザから)サンプルに照射される光又はサンプルから集められる光(例えば散乱光、蛍光発光)などの光を調整する一又は複数の光学調整要素を含む。例えば光学調整は、光の寸法若しくは光の焦点を増加させるか、又は光を平行にすることであってもよい。幾つかの例では光学調整は、5%以上、10%以上、25%以上、50%以上、及び75%以上寸法を増加させるなど、光(例えばビームスポット)の寸法を増加させるための拡大プロトコルである。他の実施形態では光学調整は、5%以上、10%以上、25%以上、50%以上及び75%以上ビームスポットの寸法を減少させるなど、光寸法を減少させるために光の焦点調整を行う。或る実施形態では、光学調整は光を平行にすることを含む。「平行にする」という用語は、光伝搬の共線性を光学的に調整すること、又は共通の伝搬軸からの光による発散を減少させることに言及するために従来の意味で使用される。幾つかの例では平行にすることは、光ビームの空間的断面を狭める(例えばレーザのビームプロファイルを減少させる)ことを含む。
【0085】
幾つかの実施形態では光学調整要素は、0.2~0.9の拡大率、0.3~0.85の拡大率、0.35~0.8の拡大率、0.5~0.75の拡大率及び0.55~0.7の拡大率、例えば0.6の拡大率など、0.1~0.95の拡大率を有する集束レンズである。例えば集束レンズは或る例では、約0.6の拡大率を有する色消し縮小二重レンズである。集束レンズの焦点距離は、6mm~19mm、7mm~18mm、8mm~17mm、9mm~16mm、及び10mm~15mmなど、5mm~20mmの範囲で異なってもよい。或る実施形態では集束レンズは、約13mmの焦点距離を有する。
【0086】
他の実施形態では、光学調整要素はコリメータである。コリメータは、一又は複数のミラー、曲面レンズ、又はその組み合わせなど、あらゆる簡便な平行にするプロトコルであってもよい。例えばコリメータは或る例では単一のコリメートレンズである。他の例ではコリメータはコリメートミラーである。更に他の例ではコリメータは二つのレンズを含む。更に他の例ではコリメータはミラー及びレンズを含む。コリメータが一又は複数のレンズを含む場合、コリメートレンズの焦点距離は、6mm~37.5mm、7mm~35mm、8mm~32.5mm、9mm~30mm、10mm~27.5mm、12.5mm~25mm、及び15mm~20mmの範囲の焦点距離など、5mm~40mmの範囲で異なってもよい。
【0087】
幾つかの実施形態では本システムは、流れをフローセルノズルに流すべく構成されたノズルオリフィスを有するフローセルノズルを含む。本フローセルノズルは、流体サンプルをサンプル調査領域に伝えるオリフィスを有し、幾つかの実施形態ではフローセルノズルは、長手軸芯を定める近位筒部と、長手軸芯を横切るノズルオリフィスを有する平面で終端する遠位円錐台部とを含む。(長手軸芯に沿って測定した)近位筒部の長さは、1.5mm~12.5mm、2mm~10mm、3mm~9mm、及び4mm~8mmなど、1mm~15mmの範囲で異なってもよい。(長手軸芯に沿って測定した)遠位円錐台部の長さもまた、2mm~9mm、3mm~8mm、及び4mm~7mmなど、1mm~10mmの範囲で異なってもよい。フローセルノズルチャンバの直径は、幾つかの実施形態では、2mm~9mm、3mm~8mm、及び4mm~7mmなど、1mm~10mmの範囲で異なってもよい。
【0088】
或る例では、ノズルチャンバは筒部を含んでおらず、フローセルノズルチャンバ全体が円錐台形を有する。これらの実施形態では、(ノズルオリフィスを横切る長手方向に沿って測定した)円錐台形ノズルチャンバの長さは、1.5mm~12.5mm、2mm~10mm、3mm~9mm、及び4mm~8mmなど、1mm~15mmの範囲で異なってもよい。円錐台形ノズルチャンバの近位部分の直径は、2mm~9mm、3mm~8mm、及び4mm~7mmなど、1mm~10mmの範囲で異なってもよい。
【0089】
実施形態ではサンプルの流れは、フローセルノズルの遠位端でオリフィスから出る。流れの所望の特徴によって、フローセルノズルオリフィスはあらゆる好適な形状であってもよく、該当する断面形状は、直線の断面形状、例えば正方形、長方形、台形、三角形、六角形など、曲線の断面形状、例えば円形、楕円形、及び不規則形状、例えば平面的な頂部に連結された放物線状の底部を非限定的に含む。或る実施形態では、該当するフローセルノズルは円形のオリフィスを有している。ノズルオリフィスの大きさは、幾つかの実施形態では2μm~17500μm、5μm~15000μm、10μm~12500μm、15μm~10000μm、25μm~7500μm、50μm~5000μm、75μm~1000μm、100μm~750μm、及び150μm~500μmなど、1μm~20000μmの範囲で異なってもよい。或る実施形態では、ノズルオリフィスは100μmである。
【0090】
幾つかの実施形態ではフローセルノズルは、サンプルをフローセルノズルに供給すべく構成されたサンプル注入口を含む。実施形態ではサンプル注入システムは、サンプルの好適な流れをフローセルノズルチャンバに供給すべく構成されている。流れの所望の特徴によって、サンプル注入ポートによりフローセルノズルチャンバに搬送されるサンプルの速度は、2μL/秒以上、3μL/秒以上、5μL/秒以上、10μL/秒以上、15μL/秒以上、25μL/秒以上、50μL/秒以上、100μL/秒以上、150μL/秒以上、200μL/秒以上、250μL/秒以上、300μL/秒以上、350μL/秒以上、400μL/秒以上、450μL/秒以上、及び500μL/秒以上など、1μL/秒以上であってもよい。例えばサンプル流速は、2μL/秒~約450μL/秒、3μL/秒~約400μL/秒、4μL/秒~約350μL/秒、5μL/秒~約300μL/秒、6μL/秒~約250μL/秒、7μL/秒~約200μL/秒、8μL/秒~約150μL/秒、9μL/秒~約125μL/秒、及び10μL/秒~約100μL/秒など、1μL/秒~約500μL/秒の範囲であってもよい。
【0091】
サンプル注入口は、ノズルチャンバの壁部に位置付けられたオリフィスであってもよく、ノズルチャンバの近位端に位置付けられた導管であってもよい。サンプル注入口がノズルチャンバの壁部に位置付けられたオリフィスである場合、サンプル注入口オリフィスはあらゆる好適な形状であってもよく、該当する断面形状は、直線の断面形状、例えば正方形、長方形、台形、三角形、六角形など、曲線の断面形状、例えば円形、楕円形等、及び不規則形状、例えば平面的な頂部に連結された放物線状の底部を非限定的に含む。或る実施形態では、サンプル注入口は円形のオリフィスを有する。サンプル注入口オリフィスの大きさは形状によって異なってもよく、或る例では、0.1mm~5.0mm、例えば0.2mm~3.0mm、0.5mm~2.5mm、0.75mm~2.25mm、1mm~2mm、及び1.25mm~1.75mm、例えば1.5mmなど、0.1mm~5.0mmの範囲の開口を有する。
【0092】
或る例ではサンプル注入口は、フローセルノズルチャンバの近位端に位置付けられた導管である。例えば、サンプル注入口は、フローセルノズルオリフィスと並んでサンプル注入口のオリフィスを有するように位置付けられた導管であってもよい。サンプル注入口が、フローセルノズルオリフィスと並んで位置付けられた導管である場合、サンプル注入管の断面形状はあらゆる好適な形状であってもよく、該当する断面形状は、直線の断面形状、例えば正方形、長方形、台形、三角形、六角形など、曲線の断面形状、例えば円形、楕円形、及び不規則形状、例えば平面的な頂部に連結された放物線状の底部を非限定的に含む。導管のオリフィスは形状によって異なってもよく、或る例では、例えば0.2~3.0mm、0.5mm~2.5mm、0.75mm~2.25mm、1mm~2mm、及び1.25mm~1.75mm、例えば1.5mmなど、0.1mm~5.0mmの範囲の開口を有する。サンプル注入口の先端の形状は、サンプル注入管の断面形状と同じであってもよく、異なっていてもよい。例えばサンプル注入口のオリフィスは、5°の面取り角度を含めて2°~9°、3°~8°、4°~7°など、1°~10°の範囲の面取り角度を有する面取りされた先端を含んでもよい。
【0093】
幾つかの実施形態ではフローセルノズルはまた、シース流体をフローセルノズルに供給すべく構成されたシース流体注入口を含む。実施形態ではシース流体注入システムは、例えばサンプルの流れを囲むシース流体の積層流を生成するためにサンプルと共にシース流体の流れをフローセルノズルチャンバに供給すべく構成されている。流れの所望の特徴によって、フローセルノズルチャンバに搬送されるシース流体の速度は、50μL/秒以上、75μL/秒以上、100μL/秒以上、250μL/秒以上、500μL/秒以上、750μL/秒以上、1000μL/秒以上、及び2500μL/秒以上など、25μL/秒以上であってもよい。例えばシース流体の流速は、2μL/秒~約450μL/秒、3μL/秒~約400μL/秒、4μL/秒~約350μL/秒、5μL/秒~約300μL/秒、6μL/秒~約250μL/秒、7μL/秒~約200μL/秒、8μL/秒~約150μL/秒、9μL/秒~125μL/秒、及び10μL/秒~約100μL/秒など、1μL/秒~約500μL/秒の範囲であってもよい。
【0094】
幾つかの実施形態ではシース流体注入口は、ノズルチャンバの壁部に位置付けられたオリフィスである。シース流体注入口オリフィスはあらゆる好適な形状であってもよく、該当する断面形状は、直線の断面形状、例えば正方形、長方形、台形、三角形、六角形など、曲線の断面形状、例えば円形、楕円形、及び不規則形状、例えば平面的な頂部に連結された放物線状の底部を非限定的に含む。サンプル注入口オリフィスの大きさは形状によって異なってもよく、或る例では、例えば0.2~3.0mm、0.5mm~2.5mm、0.75mm~2.25mm、1mm~2mm、及び1.25mm~1.75mm、例えば1.5mmなど、0.1mm~5.0mmの範囲の開口を有する。
【0095】
本システムは或る例では、フローセルノズルオリフィスと流体連通しているサンプル調査領域を含む。これらの例ではサンプルの流れは、フローセルノズルの遠位端でオリフィスから出る。流れにおける粒子はサンプル調査領域で光源を用いて光照射されてもよい。調査領域の大きさは、ノズルオリフィスの大きさ及びサンプル注入口の大きさなど、流れノズルの特性によって異なってもよい。実施形態では調査領域は0.05mm以上、0.1mm以上、0.5mm以上、1mm以上、2mm以上、3mm以上、5mm以上、及び10mm以上など、0.01mm以上の幅を有してもよい。調査領域の長さはまた、幾つかの例では、0.1mm以上、0.5mm以上、1mm以上、1.5mm以上、2mm以上、3mm以上、5mm以上、10mm以上、15mm以上、20mm以上、25mm以上、及び50mm以上など、0.01mm以上で異なってもよい。
【0096】
調査領域は、流出する流れの平面断面への光照射を容易にすべく構成されてもよく、所定長さの拡散場への(例えば拡散レーザ又はランプを用いた)光照射を容易にすべく構成されてもよい。幾つかの実施形態では調査領域は、1mm以上、2mm以上、3mm以上、4mm以上、5mm以上及び10mm以上などの所定長さの流出する流れへの光照射を容易にする透明窓を含む。(上述したように)流出する流れへの光照射に使用される光源によって、調査領域は、150nm~1400nm、200nm~1300nm、250nm~1200nm、300nm~1100nm、350nm~1000nm、400nm~900nm、及び500nm~800nmなど、100nm~1500nmの範囲の光を通過させるべく構成されてもよい。かくして調査領域は、光学ガラス、ホウケイ酸ガラス、PyRexガラス、紫外線クオーツ、赤外線クオーツ、サファイア、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリアミド、ポリイミドなどのプラスチック、又はポリエステルを含む他の高分子プラスチック材料のうちPETG(グリコール修飾ポリエチレンテレフタレート)などのこれらの熱可塑性物質のコポリマーを非限定的に含む、所望の波長領域を通過させるあらゆる透明材料から形成されてもよく、該当するポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ボトル等級PET(モノエチレングリコール、テレフタル酸に基づく共重合体、イソフタル酸、シクロヘキセンジメタノールなどの他の共単量体)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、及びポリヘキサメチレンテレフタレートなどのポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレンアジピン酸塩、ポリ-1,4-ブチレンアジピン酸塩、及びポリヘキサメチレンアジピン酸塩などのポリアルキレンアジビン酸塩、ポリエチレンスベリン酸塩などのポリアルキレンスベリン酸塩、ポリエチレンセバシン酸塩などのポリアルキレンセバシン酸塩、ポリεカプロラクトン及びポリβプロピオラクトン、ポリエチレンイソフタレートなどのポリアルキレンイソフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタリンジカルボキシレートなどのポリアルキレン-2,6-ナフタリンジカルボキシレート、ポリエチレンスルホニル-4,4’-ジベンゾエートなどのポリアルキレンスルホニル-4,4’-ジベンゾネート、ポリp-フェニレンエチレンジカルボキシレートなどのポリp-フェニレンアルキレンジカルボキシレート、ポリトランス-1,4-シクロヘキサンジイルエチレンジカルボキシレートなどのポリトランス-1,4-シクロヘキサンジイルアルキレンジカルボキシレート、ポリ-1,4-シクロヘキサンジメチレンエチレンジカルボキシレートなどのポリ-1,4-シクロヘキサンジメチレンアルキレンジカルボキシレート、ポリ[2.2.2]ビシクロオクタン-1,4-ジメチレンエチレンジカルボキシレートなどのポリ[2.2.2]ビシクロオクタン-1,4-ジメチレンアルキレンジカルボキシレート、(S)-ポリラクチド、(R,S)-ポリラクチド、ポリテトラメチルグリコリド、及びポリラクチドコグリコリドなどの乳酸ポリマー及び共重合体、ビスフェノールA、3,3’-ジメチルビスフェノールA、3,3’,5,5’-テトラクロロビスフェノールA、及び3,3’,5,5’-テトラメチルビスフェノールAのポリカーボネート、ポリp-フェニレンテレフタルアミドなどのポリアミド、ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート、MuLar(商標)ポリエチレンテレフタレートなどを非限定的に含んでもよい。幾つかの実施形態では本システムは、サンプル調査領域に位置付けられたキュベットを含む。実施形態ではキュベットは、150nm~1400nm、200nm~1300nm、250nm~1200nm、300nm~1100nm、350nm~1000nm、400nm~900nm、及び500nm~800nmなど、100nm~1500nmの範囲の光を通過させてもよい。
【0097】
或る実施形態では本システムはフローサイトメトリシステムである。好適なフローサイトメトリシステムは、Ormerod (ed.),Flow Cytometry: A Practical Approach, Oxford Univ. Press (1997)、Jaroszeski et al. (eds.), Flow Cytometry Protocols, Methods in Molecular Biology No. 91, Humana Press (1997)、Practical Flow Cytometry, 3rd ed., Wiley-Liss (1995)、Virgo, et al. (2012) Ann Clin Biochem. Jan;49(pt 1):17-28、Linden, et. al., Semin Throm Hemost. 2004 Oct;30(5):502-11、Alison, et al. J Pathol, 2010 Dec; 222(4):335-344、及びHerbig, et al. (2007) Crit Rev Ther Drug Carrier Syst. 24(3):203-255に記載されているフローサイトメトリシステムを非限定的に含んでもよく、その開示は参照として本明細書に組み込まれる。或る例では該当するフローサイトメトリシステムは、BD Biosciences(BDバイオサイエンス)社のFACSCanto(商標)IIフローサイトメータ、BD社のAccuri(商標)フローサイトメータ、BD Biosciences社のFACSCelesta(商標)フローサイトメータ、BD Biosciences社のFACSLyric(商標)フローサイトメータ、BD Biosciences社のFASVerse(商標)フローサイトメータ、BC Biosciences社のFACSymphony(商標)フローサイトメータ、BD Biosciences社のLRFortessa(商標)フローサイトメータ、BD Biosciences社のLSRFortess(商標)X-20フローサイトメータ、BD Biosciences社のFACSCalibur(商標)細胞選別機、BD Biosciences社のFACSCount(商標)細胞選別機、BD Biosciences社のFACSLyric(商標)細胞選別機、BD Biosciences社のVia(商標)細胞選別機、BD Biosciences社のInflux(商標)細胞選別機、BD Biosciences社のJazz(商標)細胞選別機、BD Biosciences社のAria(商標)細胞選別機及びBD Biosciences社のFACSMelody(商標)細胞選別機などを含む。
【0098】
幾つかの実施形態では本粒子選別システムは、米国特許第9952076号明細書、米国特許第9933341号明細書、米国特許第9726527号明細書、米国特許第9453789号明細書、米国特許第9200334号明細書、米国特許第9097640号明細書、米国特許第9095494号明細書、米国特許第9092034号明細書、米国特許第8975595号明細書、米国特許第8753573号明細書、米国特許第8233146号明細書、米国特許第8140300号明細書、米国特許第7544326号明細書、米国特許第7201875号明細書、米国特許第7129505号明細書、米国特許第6821740号明細書、米国特許第6813017号明細書、米国特許第6809804号明細書、米国特許第6372506号明細書、米国特許第5700692号明細書、米国特許第5643796号明細書、米国特許第5627040号明細書、米国特許第5620842号明細書、及び米国特許第5602039号に記載されているようなフローサイトメトリシステムであり、その説明は、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0099】
幾つかの実施形態では該当する粒子選別システムは、2017年3月28日に出願された米国特許出願公開第2017/0299493号明細書に記載されているような封入粒子選別モジュールを用いて粒子を選別すべく構成されており、この開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0100】
或る実施形態では本粒子システムは、無線周波数多重励起を使用して複数の周波数シフト光線を生成する励起モジュールを有するフローサイトメトリシステムである。これらの実施形態ではレーザ光発生装置は、複数の周波数シフト櫛状光線を生成するために、複数のレーザ及び一又は複数の音響光学要素(例えば音響工学偏光器、音響工学周波数シフタ)を含んでもよい。或る例では本システムは、米国特許第9423353号明細書及び米国特許第9784661号明細書、並びに米国特許出願公開第2017/0133857号明細書及び米国特許出願公開第2017/0350803号明細書に記載されているようなレーザ励起モジュールを有するフローサイトメトリシステムであり、これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0101】
(キット)
本発明の態様はキットを更に含み、前記キットは、本選別決定モジュールの一又は複数を含む。幾つかの実施形態ではキットは、フローセル及び選別された液滴を流れから回収するための一又は複数の容器など、本方法を実施するための一又は複数の構成要素を含む。幾つかの実施形態ではキットは、一又は複数の分析要素(例えば上述したような標識試薬、緩衝剤など)を含み得る。幾つかの例ではキットは、サンプル回収装置、例えば皮膚を刺して全血サンプルを得るためのランセット又は針、ピペットなどを所望であれば更に含んでもよい。
【0102】
キットの様々な分析要素は個別の容器に含まれてもよいし、その一部又は全てが予め結合されてもよい。例えば幾つかの例では、キットの一又は複数の構成要素、例えばコネクタ、オリフィス板が、封止された袋体、例えば無菌金属片袋体又は包装体に含まれてもよい。
【0103】
本キットは、前記構成要素に加え、本方法を実施するための命令(ある実施形態では)を更に含んでもよい。これらの命令は様々な形態で本キットに含まれてもよく、命令の一又は複数がキットに含まれてもよい。これらの命令が含まれてもよい一つの形態は、キットの包装、包装挿入体などの好適な媒体又は基板、例えば情報が印刷された一枚又は複数枚の紙に印刷された情報である。これらの命令の更に別の形態は、情報が記録されているコンピュータ読取り可能媒体、例えばフロッピーディスク、コンパクトディスク(CD)、可搬型フラッシュドライブなどである。これらの命令の更に別の形態は、離れた場所で情報にアクセスするためにインターネットを介して使用されてもよいホームページアドレスである。
【0104】
(実用性)
本方法、システム、及びコンピュータ読取り可能記憶媒体は、フローサイトメータを用いて液滴を正確且つ簡便に選別することが望まれる様々な相異なる用途で使用される。本開示はまた、フローサイトメータを自動化して生体サンプルから細胞の特徴を明らかにし選別するための迅速且つ確実なシステムを提供するためにも使用される。本開示の実施形態は、学術研究及び高スループット臨床検査などで、手動入力への依存の最小化及びシステムに対する調整が望まれる場合に使用される。本開示はまた、優れた細胞選別精度、粒子回収の向上、粒子帯電効率、より正確な粒子帯電、及び細胞選別中の粒子偏向の向上をフローサイトメータにもたらすことが望まれる場合に使用される。実施形態では本開示は、ユーザ入力の必要性、又はフローサイトメータの手動調整若しくはフローサイトメータを用いたサンプル分析間の手動調整を低減する。
【0105】
本開示はまた、学術研究、臨床検査又は治療での使用に生体サンプルから調製された細胞が望まれる可能性のある用途に使用される。幾つかの実施形態では本方法及び装置は、標的流体又は組織生体サンプルから調製された個々の細胞を得ることを容易にしてもよい。例えば本方法及びシステムは、癌などの病気のための研究又は診断標本として使用される流体又は組織サンプルから細胞を得ることを容易にする。同様に本方法及びシステムは、治療に使用される流体又は組織サンプルから細胞を得ることを容易にする。本開示の方法及び装置は、従来のフローサイトメトリシステムと比較して、より良い効率及び低いコストで生体サンプル(例えば器官、組織、組織片、流体)から細胞を分離及び回収するのを可能にする。
【0106】
(実験)
以下の例は、本発明を作製して使用する方法の完全な開示及び説明を当業者に提供するためのものであり、本発明者らが自身の発明とみなす範囲を限定することを意図したものではない。
【0107】
(データフロー)
事象が入力事象バッファに流入すると、事象はゲート分類ビット、事象タイムスタンプ及び事象ID値に関して検査される。続いて液滴集合体ロジックがこれらの値を使用して形成液滴内の事象の位置を判定する。液滴集合体ロジックが液滴位置を判定すると、事象は集合体に先入れ先出し方式(FIFO)で流入し、上記に詳述されたように判定される液滴選別決定まで待機する。事象に関して選別決定が判定されると、事象は集合体からFIFOで流出する。続いて、事象は液滴の行先に応じて分類された後に選別ユニットを出る。図1は、或る実施形態に係る液滴選別モジュールにおける事象データフローを示す。
【0108】
(液滴形成)
入力事象バッファは入力事象を解析し、事象ID、事象タイムスタンプ、及び事象ゲート値を液滴形成ロジックに送る。各選別決定ユニットの事象照合ロジックは事象のゲートを単一の照合ビットに変換する。事象照合ロジックは、事象が所与の選別決定ユニットに関して選別決定に関係し得るか否かを判定する。特別のワイルドカード照合ユニットが全ての事象を照合し、全ての選別決定ユニットはワイルドカード照合ユニットにより形成された液滴を使用して非一致事象の位置を調べる。選別ユニットでは、16個の照合ユニットは夫々、32個のゲートビットを単一の照合ビットにする。或る実施形態に係る事象照合ロジックが図2に示されている。事象照合ユニット毎に、8個の32-to-1ミックスがゲートビットを選択する。これらの8個の選択されたゲートビットは、単一の照合結果を選択する256-by-1ビットルックアップテーブルに供給される。
【0109】
事象プロセッサからの照合ビット、事象タイムスタンプ、最後の事象ID及び現在時刻、並びに液滴タイミング情報を使用して、液滴集合体バッファに液滴を形成する。液滴集合体バッファは32ビットを有する。ビット位置における「1」は液滴のその位置における一致事象に対応し、「0」はその場所に事象が無いことを示す。液滴を集合させて、先行する液滴に対する全ての選別決定が完了すると、液滴は後続液滴バッファ内へ移動する。同時的に、後続液滴バッファは選別液滴バッファ内へ移動し、選別された液滴は先行液滴バッファ内へ移動する。これが発生した後、新たな選別決定の演算を行うことができる(図3参照)。
【0110】
(選別決定)
16個の選別決定ユニットは夫々、標的パターンと一致する事象を探す。これらの選別決定ユニットは、夫々の液滴における標的事象の位置を示す、後続液滴、選別液滴、及び先行液滴に関する32ビット標的液滴値を受信する。また選別決定ユニットは、液滴におけるあらゆる事象の存在を示す値と共に、後続液滴、選別液滴、及び先行液滴に関する32ビットのあらゆる液滴値を受信する。2つのマスクは該当する事象位置を選別ユニットに示す。即ち、標的マスクは、標的粒子を含む何れの事象位置が選別決定ユニットに関連するかを示す。一方、非標的マスクは、非標的粒子を含む何れの事象位置が関連するかを示す。
【0111】
標的液滴に関する位置の逆数が、非標的液滴値を生成するためにあらゆる液滴値を用いて論理積処理される。この値は続いて、非標的マスクを用いて論理積処理される。全ての96個のビットは続いて共に論理和処理され、非標的事象が該当する領域内にあることを示すビットを生成する。同様に標的液滴情報は、標的マスクを用いて論理積処理される。この論理積から生じるビットは、共に論理和処理される。また、選別される液滴を表す、標的論理積結果に設定されたビットの数をカウントする。これにより、選別すべき液滴における該当する領域における標的事象の数を示す標的カウント値が生成される。標的液滴情報からの論理和値及び非標的液滴からの論理和値を組み合わせて標的照合ビットが生成される(図4参照)。
【0112】
各選別決定ユニットはまた、液滴内の許容される標的事象の総数を限定する標的限界値を有する。液滴が標的事象の許容される数より少ない場合、液滴は標的一致であり、選別決定ユニットを作動させ、この選別決定ユニットは結果を優先順位エンコーダに送る。続いて優先順位エンコーダは、有効な選別候補及び最高の優先順位を有する選別ユニットを選択する。続いて、この値はマッピングを施されて、最終選別結果が得られる。このマッピングにより、複数の選別決定ユニットが同じ選別結果に選別することが可能になる。(図5参照)
【0113】
(統計)
ゲート結果及び選別結果に関する統計カウンタを処理するために個別の統計ユニットが存在してもよい。選別におけるカウンタは、標的候補結果、受け入れ候補結果、各選別行先に選別された事象、及び各選別行先に選別された液滴をカウントする。標的候補カウンタを使用して、一致したが選別されなかった事象のカウントを得て、「アボート事象」の統計を得ることができる。或いは、低い優先順位を有する「廃棄」選別決定ユニットが、一致したが選別され得なかった事象を捉えてカウントし、「アボート事象」カウントを得るべく構成されてもよい。
【0114】
(実施例)
以下の例図は、或る実施形態に係る選別決定ユニットに関するマスクプログラミングを示す。図6は、マスクプログラミング図を読み取るための概要を示す。3つの液滴位置が左から右に示されている。これらの位置は後続液滴、選別液滴及び先行液滴を表し、連続的な行はこれらの位置を経時的に示す。第1行からの後続液滴は第2行の選別液滴になり、第1行からの選別液滴は第2行の先行液滴になる。第3行は、先行位置へ移動する元の後続液滴を示す。
【0115】
各図は左側に照合式を示す。これは、この選別決定ユニットに対して事象が一致することを示すゲートビットのブール式である。事象照合ユニットに対する着色は、液滴における標的粒子と同じである。例えば、事象照合ユニットが緑色に着色される場合、事象照合ユニットは緑色の粒子と一致することになる。粒子が各事象照合ユニットと異なる色である場合、その粒子は全ての事象照合ユニットに対して非標的粒子であることになる。一番右側では、箱がこの選別決定ユニットに対する選別行先を示す。選別決定ユニットが液滴の選別に関与した場合、選別位置における液滴は同様に着色される。液滴が先行位置に移動すると、非着色になる。マスクビットは中央に二行で示されている。上側の行は標的マスクビットを示し、下側の行は非標的マスクビットを示す。二行のマスクビットは三列に分類される。一番左の列は後続液滴マスクを表し、中央の列は選別液滴マスクを表し、一番右は先行液滴マスクビットを表す。複数の選別決定ユニットが表されている場合、優先順位が高い方のユニットが図中に高い方に現れる。
【0116】
(回収率選別)
回収率選別では、ゲートビットがゼロである液滴は、液滴が含む得る他の如何なる事象にもかかわらず、その行先に選別される。(図7参照)
【0117】
(液滴回収率選別-1)
第1液滴回収率選別では、選別目的は回収率であるが、事象が夫々液滴の最初又は最後の1/4にある場合、先行液滴又は後続液滴を捕捉するように選別される。(図8参照)
【0118】
(液滴回収率選別-2)
第2液滴回収率選別では、選別目的は回収率であるが、事象が夫々液滴の最初又は最後の1/8にある場合、先行液滴又は後続液滴を捕捉するように選別される。(図9参照)
【0119】
(相選別)
相選別では、ゲートビットがゼロの液滴がある場合、液滴は行先1に選別される。図10は、事象が液滴の中心近くにある場合のみ液滴が選別されることを示す。正確にカウントするため、液滴の境界近くに標的事象を有する隣り合う液滴がある場合、液滴を選別しない。隣り合う液滴の縁部における標的事象を照合するために、優先順位の高いユニットを使用してこれらの液滴を廃棄する。これらの液滴は、同様に回収率行先にも送信され得る。図11は、液滴が、先行液滴の縁部近くの標的事象のために送信されて廃棄される場合を示す。図12は、液滴が、液滴縁部に近すぎる標的粒子のために拒絶される場合を示す。
【0120】
(純度選別)
純度選別では、ゲートビットがゼロに設定された液滴がありその液滴が非一致事象を含有していない場合、液滴は行先1に選別される。図13は、或る実施形態に係る単純な純度選別を示す。図14は、隣り合う液滴の縁部における非標的粒子により液滴が選別されない場合を示す。図15は、隣り合う液滴における非標的細胞がより遠くへ移動するとき液滴が選別される場合を示す。
【0121】
(純度回収率選別)
純度回収率選別では、純度回収率選別構成は、液滴及び隣り合う液滴が非標的粒子を含有していない場合に液滴及び隣り合う液滴を選別する。図16は、標的粒子を有する液滴及び後続液滴が選別される場合の純度回収率選別を示す。図17は、後続液滴が非標的事象を含有しているとき後続液滴が選別されない場合を示す。
【0122】
(相純度選別)
相純度選別は、相選別及び純度選別を両方共増加させる。選別液滴に悪影響を及ぼす非標的粒子は回避されるべきであり、選別液滴の中央に標的粒子を有することを目的とする。図18は、選別に適格であるために標的粒子が液滴の中央に十分に近い場合の選別を示す。図19は、標的粒子が隣り合う液滴の縁部近くに現れるとき液滴が選別されない場合を示す。図20は、先行液滴の縁部に近い非標的粒子により相内標的粒子が選別させない場合を示す。図21は、標的粒子が液滴縁部に近接しているため選別されない(すなわち標的粒子が選別に適格であるためには液滴縁部に近すぎる)場合を示す。
【0123】
(単一細胞純度)
別の選別は、液滴における標的粒子の数に関する選別である。或る例ではこの選別は、単一粒子(例えば単一細胞)に関する選別である。カウント値は照合ロジック機能への入力値であるため、カウント値は定数と比較される。
【0124】
選別決定ユニットは隣り合う液滴における近くの標的粒子を探し、これらの標的粒子を廃棄に送る。第2ユニットは標的粒子を検出し、標的粒子カウントが「1」であることを確かめる。続いて単一の標的粒子を有する液滴が受け入れられ、非標的粒子は受け入れられない。図22は、標的粒子が粒子における唯一の事象であり液滴の縁部に近くないため選別される場合を示す。図23は、2つの粒子を含有する液滴が選別されず次の液滴が選別される場合を示す。図24は、標的粒子を有する液滴が選別され次の液滴が拒絶される場合を示す。この実施形態では、液滴が1つの粒子を含有して、先行液滴は液滴縁部から十分に遠い非標的粒子を有するため、この液滴は選別される。しかしながら次の液滴は、標的粒子が後続液滴の縁部に近すぎるため選別されない。
【0125】
(アボートセーブを用いた単一細胞純度)
幾つかの例では、そうでなければ行先に廃棄されることになる液滴をセーブする。この例では、行先「1」への単一純度選別が構成されるが、優先順位のより低い選別ユニットは、第1ユニットにより選別を逃れた標的粒子を捕捉すべく構成されている。これらの液滴は行先「2」に向けられる。図25は、単一の標的粒子を有する一つの液滴が行先「1」に選別され、第2の液滴が行先「2」に変える場合を示す。
【0126】
(アボートセーブを用いた単一細胞相)
幾つかの例では、アボートセーブは相選別と組み合わされる。第1ユニットは相外標的粒子を行先「2」に選別する。単一の標的粒子を有し非標的粒子を有さない液滴は、第2ユニットにより行先「1」に送られ、第3ユニットは、残る全ての標的粒子を行先「2」に送るキャッチオールの機能を果たす。図26は、相選別単一標的粒子が行先「1」に行き、標的粒子を有する他の液滴が行先「2」に行く場合を示す。
【0127】
添付の特許請求の範囲に関わらず、本開示は下記の付記により更に定義される。
【0128】
付記1.流れの液滴を選別する液滴選別モジュールであって、
事象照合ロジック及び選別決定ロジックを夫々含む複数の液滴選別決定ユニットと、
プロセッサ、及び前記プロセッサに対して動作可能に連結されたメモリと
を備えており、
前記メモリは、前記プロセッサにより実行されると前記プロセッサに、流れの夫々の液滴を選別するために前記複数の液滴選別決定ユニットから最適な液滴選別決定ユニットを判定させる命令を記憶している液滴選別モジュール。
【0129】
付記2.前記事象照合ロジックは、液滴が粒子を含むというデータ信号を生成すべく構成されている、付記1に記載の液滴選別モジュール。
【0130】
付記3.前記粒子は標的細胞である、付記2に記載の液滴選別モジュール。
【0131】
付記4.前記粒子は非標的細胞である、付記2に記載の液滴選別モジュール。
【0132】
付記5.前記選別決定ロジックは、液滴における一又は複数の粒子の位置に対応するデータ信号を受信すべく構成されている、付記1~4の何れか1つに記載の液滴選別モジュール。
【0133】
付記6.前記一又は複数の粒子は標的細胞を含む、付記5に記載の液滴選別モジュール。
【0134】
付記7.前記一又は複数の粒子は非標的細胞を含む、付記5に記載の液滴選別モジュール。
【0135】
付記8.前記選別決定ロジックは、複数の連続する液滴における一又は複数の粒子の位置に対応するデータ信号を受信すべく構成されている、付記1~7の何れか1つに記載の液滴選別モジュール。
【0136】
付記9.前記選別決定ロジックは、3つの連続する液滴における一又は複数の粒子の位置に対応するデータ信号を受信すべく構成されている、付記1~7の何れか1つに記載の液滴選別モジュール。
【0137】
付記10.前記選別決定ロジックは、
液滴の選別に関連する標的細胞の位置を特定する標的マスクと、
液滴の選別に関連する非標的粒子の位置を特定する非標的マスクと
を含む、付記5~9の何れか1つに記載の液滴選別モジュール。
【0138】
付記11.前記選別決定ロジックは、
液滴における一又は複数の標的細胞の位置に対応するデータ信号に前記標的マスクを適用して標的液滴値を生成し、
液滴における一又は複数の非標的粒子の位置に対応するデータ信号に前記非標的マスクを適用して非標的液滴値を生成し、
前記標的液滴値を前記非標的液滴値と組み合わせて標的照合値を生成する
べく構成されている、付記10に記載の液滴選別決定モジュール。
【0139】
付記12.前記選別決定ロジックは、液滴における標的細胞の数を判定して標的カウント値を生成すべく構成されている、付記4~11の何れか1つに記載の液滴選別モジュール。
【0140】
付記13.前記メモリは、前記プロセッサにより実行されると前記プロセッサに、
前記液滴選別決定ユニット毎に前記標的カウント値と前記標的照合値とを比較させ、
各液滴選別決定ユニットの標的カウント値及び標的照合値に基づいて液滴の選別に最適な液滴選別決定ユニットを判定させる
命令を記憶している、付記12に記載の液滴選別モジュール。
【0141】
付記14.前記メモリは、前記プロセッサにより実行されると前記プロセッサに、前記標的照合値に基づいて各液滴選別決定ユニットをランク付けさせる命令を記憶している、付記13に記載の液滴選別モジュール。
【0142】
付記15.前記メモリは、前記プロセッサにより実行されると前記プロセッサに、液滴の選別に最適である液滴選別決定ユニットは最も高い標的照合値を有する液滴選別決定ユニットであると判定させる命令を記憶している、付記14に記載の液滴選別モジュール。
【0143】
付記16.前記メモリは、前記プロセッサにより実行されると前記プロセッサに、前記標的カウント値が所定閾値を超える場合に液滴選別決定ユニットは液滴の選別に最適ではないと判定させる命令を記憶している、付記12~15の何れか1つに記載の液滴選別モジュール。
【0144】
付記17.前記メモリは、前記プロセッサにより実行されると前記プロセッサに、液滴選別決定ユニットが先の液滴の選別に使用されていた場合に前記液滴選別決定ユニットは液滴の選別に最適ではないと判定させる命令を記憶している、付記1~15の何れか1つに記載の液滴選別モジュール。
【0145】
付記18.流れの液滴を選別する方法であって、
液滴における粒子を検出し、
前記液滴が前記粒子を含むというデータ信号を生成し、
事象照合ロジック及び選別決定ロジックを夫々有する複数の液滴選別決定ユニットを含む液滴選別モジュールを用いてデータ信号を受信し、
液滴を選別するために前記複数の液滴選別決定ユニットから最適な液滴選別決定ユニットを判定し、
判定された最適な液滴選別決定ユニットを用いて液滴を選別する方法。
【0146】
付記19.前記液滴における粒子の位置を判定する、付記1に記載の方法。
【0147】
付記20.前記粒子は標的細胞である、付記18又は19に記載の方法。
【0148】
付記21.前記粒子は非標的細胞である、付記18又は19に記載の方法。
【0149】
付記22.複数の連続する液滴のうち一又は複数の粒子の位置を判定する、付記19~21の何れか1つに記載の方法。
【0150】
付記23.3つの連続する液滴における一又は複数の粒子の位置を判定する、付記22に記載の方法。
【0151】
付記24.前記選別決定ロジックは、
液滴の選別に関連する標的細胞の位置を特定する標的マスクと、
液滴の選別に関連する非標的粒子の位置を特定する非標的マスクと
を含む、付記18~23の何れか1つに記載の方法。
【0152】
付記25.前記液滴における一又は複数の標的細胞の位置に対応するデータ信号に前記標的マスクを適用して標的液滴値を生成し、
液滴における一又は複数の非標的粒子の位置に対応するデータ信号に前記非標的マスクを適用して非標的液滴値を生成し、
前記標的液滴値を前記非標的液滴値と組み合わせて標的照合値を生成する、付記24に記載の方法。
【0153】
付記26.前記液滴における標的細胞の数を判定して標的カウント値を生成する、付記25に記載の方法。
【0154】
付記27.前記液滴選別決定ユニット毎に前記標的カウント値と前記標的照合値とを比較し、
各液滴選別決定ユニットの前記標的カウント値及び前記標的照合値に基づいて液滴の選別に最適な液滴選別決定ユニットを判定する、付記26に記載の方法。
【0155】
付記28.液滴の選別に最適な液滴選別決定ユニットを判定する際に、前記標的照合値に基づいて各液滴選別決定ユニットをランク付けする、付記27に記載の方法。
【0156】
付記29.液滴の選別に最適な液滴選別決定ユニットを判定する際に、最も高い標的照合値を有する液滴選別決定ユニットを判定する、付記28に記載の方法。
【0157】
付記30.前記標的カウント値が所定閾値を超える場合、液滴選別決定ユニットは液滴の選別に最適ではないと判定する、付記26~29の何れか1つに記載の方法。
【0158】
付記31.液滴選別決定ユニットが先の液滴の選別に使用されていた場合、前記液滴選別決定ユニットは液滴の選別に最適ではないと判定する、付記18~30の何れか1つに記載の方法。
【0159】
付記32.粒子を含むサンプルを流れに伝搬すべく構成されたフローセルと、
事象照合ロジック及び選別決定ロジックを夫々有する複数の液滴選別決定ユニットを含む、流れの液滴を選別する液滴選別モジュールと、
プロセッサ、及び前記プロセッサに対して動作可能に連結されたメモリと
を備えており、
前記メモリは、前記プロセッサにより実行されると前記プロセッサに、流れの夫々の液滴を選別するために前記複数の液滴選別決定ユニットから最適な液滴選別決定ユニットを判定させる命令を記憶している細胞選別機。
【0160】
付記33.前記流れから液滴を生成すべく構成されている液滴形成モジュールを更に備えている、付記32に記載の細胞選別機。
【0161】
付記34.前記液滴形成モジュールは、液滴における粒子の存在を判定すべく構成された液滴集合体ロジックを含む、付記33に記載の細胞選別機。
【0162】
付記35.前記液滴集合体ロジックは、液滴における粒子の位置を判定すべく構成されている、付記34に記載の細胞選別機。
【0163】
付記36.前記粒子は標的細胞である、付記34又は付記35に記載の細胞選別機。
【0164】
付記37.前記粒子は非標的細胞である、付記34又は付記35に記載の細胞選別機。
【0165】
付記38.流れに光照射を行うべく構成された光源を更に備えている、付記32~37の何れか1つに記載の細胞選別機。
【0166】
付記39.前記光源はレーザである、付記38に記載の細胞選別機。
【0167】
付記40.光照射された流れから光信号を検出すべく構成されたセンサを更に備えている、付記38又は39に記載の細胞選別機。
【0168】
付記41.前記事象照合ロジックは、液滴が粒子を含むというデータ信号を生成すべく構成されている、付記32~40の何れか1つに記載の細胞選別機。
【0169】
付記42.前記事象照合ロジックは、液滴が標的細胞を含むというデータ信号を生成すべく構成されている、付記41に記載の細胞選別機。
【0170】
付記43.前記選別決定ロジックは、液滴における一又は複数の粒子の位置に対応するデータ信号を受信すべく構成されている、付記32~42の何れか1つに記載の細胞選別機。
【0171】
付記44.前記選別決定ロジックは、複数の連続する液滴における一又は複数の粒子の位置に対応するデータ信号を受信すべく構成されている、付記43に記載の細胞選別機。
【0172】
付記45.前記選別決定ロジックは、3つの連続する液滴における一又は複数の粒子の位置に対応するデータ信号を受信すべく構成されている、付記44に記載の細胞選別機。
【0173】
付記46.前記選別決定ロジックは、
液滴の選別に関連する標的細胞の位置を特定する標的マスクと、
液滴の選別に関連する非標的粒子の位置を特定する非標的マスクと
を含む、付記32~45の何れか1つに記載の細胞選別機。
【0174】
付記47.前記選別決定ロジックは、
液滴における一又は複数の標的細胞の位置に対応するデータ信号に前記標的マスクを適用して標的液滴値を生成し、
液滴における一又は複数の非標的粒子の位置に対応するデータ信号に前記非標的マスクを適用して非標的液滴値を生成し、
前記標的液滴値を前記非標的液滴値と組み合わせて標的照合値を生成する
べく構成されている、付記46に記載の細胞選別機。
【0175】
付記48.前記選別決定ロジックは、液滴における標的細胞の数を判定して標的カウント値を生成すべく構成されている、付記46又は47に記載の細胞選別機。
【0176】
付記49.前記メモリは、前記プロセッサにより実行されると前記プロセッサに、
前記液滴選別決定ユニット毎に前記標的カウント値と前記標的照合値とを比較させ、
各液滴選別決定ユニットの前記標的カウント値及び前記標的照合値に基づいて液滴の選別に最適な液滴選別決定ユニットを判定させる
命令を記憶している、付記48に記載の細胞選別機。
【0177】
付記50.前記メモリは、前記プロセッサにより実行されると前記プロセッサに、前記標的照合値に基づいて各液滴選別決定ユニットをランク付けさせる命令を記憶している、付記49に記載の細胞選別機。
【0178】
付記51.前記メモリは、前記プロセッサにより実行されると前記プロセッサに、液滴の選別に最適である液滴選別決定ユニットは最も高い標的照合値を有する液滴選別決定ユニットであると判定させる命令を記憶している、付記50に記載の細胞選別機。
【0179】
付記52.前記メモリは、前記プロセッサにより実行されると前記プロセッサに、前記標的カウント値が所定閾値を超える場合に液滴選別決定ユニットは液滴の選別に最適ではないと判定させる命令を記憶している、付記49~51の何れか1つに記載の細胞選別機。
【0180】
付記53.前記メモリは、前記プロセッサにより実行されると前記プロセッサに、液滴選別決定ユニットが先の液滴の選別に使用されていた場合に前記液滴選別決定ユニットは液滴の選別に最適ではないと判定させる命令を記憶している、付記32~52の何れか1つに記載の細胞選別機。
【0181】
上述した実施形態のうち少なくとも幾つかでは、実施形態で使用される一又は複数の要素は、置き換えが技術的に実行不可能である場合を除いて、別の実施形態で互換可能に使用され得る。特許請求の範囲に記載された主題の範囲を逸脱することなく、上述した方法及び構造に様々な他の省略、追加、及び修正をなしてもよいことは当業者に理解される。このような修正及び変更は、添付された特許請求の範囲により定められているように主題の範囲に含まれると意図される。
【0182】
一般的に、本明細書及び特に添付された特許請求の範囲(例えば添付された特許請求の範囲の本文)に使用される用語は概して「オープン」ターム(例えば、「含んでいる」という用語は「非限定的に含んでいる」と解釈されるべきであり、「有する」という用語は「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、「含む」という用語は「非限定的に含む」と解釈されるべきであるなど)として意図されることが当業者に理解される。導入される請求項の記載の特定の数が意図される場合、このような意図は請求項に明白に記載されており、このような記載が無い場合にはこのような意図は存在しないことが更に当業者に理解される。例えば理解を助けるものとして、以下に添付された特許請求の範囲は請求項の記載を導入するために「少なくとも一つ」及び「一又は複数の」という導入句の使用を含んでもよい。しかしながら、このような導入句の使用は、同じ請求項が「一又は複数の」又は「少なくとも一つの」という導入句並びに「a」又は「an」(例えば「a」及び/又は「an」は「少なくとも一つの」又は「一又は複数の」を意味すると解釈されるべきである)などの不定冠詞を含む場合であっても、「a」又は「an」という不定冠詞による請求項の記載の導入が、このように導入される請求項の記載を含む特定の請求項を唯一のこのような記載を含む実施形態に限定することを暗示すると解釈されるべきではない。請求項の記載を導入するために使用される定冠詞が使用される場合もまた同様である。また、導入される請求項の記載の特定の数が明白に記載されている場合であっても、このような記載は少なくとも記載された数を意味する(例えば他の修飾語句を伴わず「2つの記載」という修飾のない記載は少なくとも2つの記載又は2以上の記載を意味する)と解釈されるべきであることが当業者に認識される。更に、「A、B及びCなどの内の少なくとも1つ」に類似する言い回しが使用される例では、一般的にこのような構文は、当業者がこの言い回しを理解する意味に意図される(例えば、「A、B、及びCの内の少なくとも1つを有するシステムは、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びB、A及びC、B及びC、並びに/又はA、B、及びCなどを有するシステムを非限定的に含む)。「A、B、又はCなどのうち少なくとも一つ」に類似する言い回しが使用される例では、一般的にこのような構文は、当業者がこの言い回しを理解する意味に意図される(例えば、「A、B、又はCのうち少なくとも一つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びB、A及びC、B及びC、並びに/又はA、B、及びCなどを非限定的に含む)。明細書、特許請求の範囲、又は図面の何れでも、2つ以上の代替的な用語を表す実質的に全ての離接的な単語及び/又は句が用語の1つ、用語の何れか又は両方の用語を含む可能性を考えていると理解されるべきであることは当業者により更に理解される。例えば「A又はB」という句は、「A」若しくは「B」、又は「A及びB」の可能性を含むと理解される。
【0183】
また、本開示の特徴又は態様がマーカッシュ群の観点で説明される場合、本開示はそれによりマーカッシュ群の個別の要素又はサブグループの要素の観点でも説明されていることを当業者は認識する。
【0184】
当業者により理解されるように、明細書を提供するなどあらゆる全ての目的のため、本明細書に開示される全ての範囲はまた、あらゆる全ての部分範囲と部分範囲の組み合わせとを包含する。記載されている全ての範囲は、同じ範囲が少なくとも等しい二分の一、三分の一、四分の一、五分の一、十分の一などに分割されることを十分に説明し可能にすると、容易に認識され得る。非限定的な例として、本明細書に述べられる各範囲は、下三分の一、真ん中三分の一、及び上三分の一などに容易に分割され得る。また当業者により理解されるように、「まで」、「少なくとも」、「より大きい」、及び「より小さい」などの全ての言葉は、記載される数を含み、上述したように後で部分範囲に分割され得る範囲を指す。最後に、当業者により理解されるように、範囲は各個別の要素を含む。従って、例えば1~3の対象を有する群は、1つ、2つ又は3つの対象を有する群を指す。同様に1~5の対象を有する群は、1つ、2つ、3つ、4つ又は5つの対象を有する群を指す。
【0185】
前述の発明は、理解の明瞭さという目的のために例示及び実施例を用いて幾らか詳細に記載されているが、添付された特許請求の範囲の趣旨又は範囲から逸脱することなく変更及び修正がなされてもよいことは、本発明の教示に照らして当業者に容易に明らかとなる。
【0186】
従って、前述の記載は本発明の原理を単に例示するものである。本明細書に明白に記載又は図示されていなくても本発明の原理を具現化しその趣旨及び範囲内に含まれる様々なアレンジを当業者が考案可能であることは理解される。更に、本明細書に記載される全ての実施例及び条件を表す言葉は、本技術を促進すべく本発明の原理及び本発明者らにより与えられる概念を理解する上で読者を助けることを主に意図しており、このように特に記載される実施例及び状態に限定するものではないと解釈されるべきである。また、本発明の原理、態様、及び実施形態並びに特定の実施例を記載する本発明の全ての記述は、その構造的同等物及び機能的同等物を両方包含すると意図される。加えて、このような同等物は、現在知られている同等物及び今後開発される同等物の両方、即ち、構造に拘わらず同じ機能を行う、あらゆる開発された要素を含む。また、本明細書に開示される如何なるものも、このような開示が特許請求の範囲に明白に記載されているか否かに拘わらず公益に捧げられていると意図されない。
【0187】
従って本発明の範囲は、本明細書に記載され図示される例示的な実施形態に限定されると意図されない。むしろ、本発明の範囲及び趣旨は、添付された特許請求の範囲により具現化される。特許請求の範囲に、「~する手段」という句そのもの、又は「~するステップ」という句そのものが請求項にこのような限定の冒頭に記載される場合にのみ、米国特許法第112条(f)又は第112条(6)は、特許請求の範囲における限定のために行使されると明確に定められている。このような句そのものが請求項における限定に使用されていない場合、米国特許法第112条(f)又は第112条(6)は行使されない。
【0188】
(関連出願の相互参照)
本願は、米国特許法第119条(e)の規定により、2019年2月8日に出願された米国仮特許出願第62/803264号の出願日に基づく優先権を主張し、その開示内容は参照として本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
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図26