(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】機器監視のための装置
(51)【国際特許分類】
G01M 99/00 20110101AFI20240509BHJP
【FI】
G01M99/00 A
(21)【出願番号】P 2021556806
(86)(22)【出願日】2020-03-18
(86)【国際出願番号】 EP2020057505
(87)【国際公開番号】W WO2020193325
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-11-19
(32)【優先日】2019-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505056845
【氏名又は名称】アーベーベー・シュバイツ・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】ABB Schweiz AG
【住所又は居所原語表記】Bruggerstrasse 66, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】モンセフ・チオウア
(72)【発明者】
【氏名】スバナタラジャン・スッバイアー
(72)【発明者】
【氏名】アルザム・ムザッファ・コトリワラ
(72)【発明者】
【氏名】イド・アミハイ
【審査官】岡村 典子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-198620(JP,A)
【文献】特開昭62-093620(JP,A)
【文献】特開昭62-008025(JP,A)
【文献】特許第3382240(JP,B1)
【文献】国際公開第2017/217069(WO,A1)
【文献】特開2015-021901(JP,A)
【文献】特開昭57-074627(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0356936(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 13/00-13/045,99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器監視のための装置であって、
入力ユニットと、
処理ユニットと、
出力ユニットと
を備え、
前記入力ユニットが、機器についての時間的なセンサデータの複数のバッチを前記処理ユニットに提供するように構成され、時間的なセンサデータの各バッチが時間の関数として複数の時間的なセンサ値を含み、
前記処理ユニットが、時間的なセンサデータの前記複数のバッチを処理して、スペクトル的なセンサデータの複数のバッチを決定するように構成され、スペクトル的なセンサデータの各バッチが、周波数の関数として、複数のスペクトル的なセンサ値を含み、
前記処理ユニットが、少なくとも1つの統計処理アルゴリズムを実装して、スペクトル的なセンサデータの前記複数のバッチについての前記複数のスペクトル的なセンサ値を処理して、複数の指標値を決定するように構成され、スペクトル的なセンサデータの各バッチについて、前記統計処理アルゴリズムの各々によって決定された指標値があり、
各統計処理アルゴリズムが関連する閾値を有し、前記処理ユニットが、前記少なくとも1つの閾値および前記複数の指標値を利用して、前記関連する統計処理アルゴリズムについての前記閾値より大きい指標値を有する対象のスペクトル的なセンサデータのバッチを決定するように構成され、
前記処理ユニットが、対象のスペクトル的なセンサデータの前記バッチについて、前記複数のスペクトル的なセンサ値に基づいて対象の周波数範囲を決定するように構成され、 前記処理ユニットが、対象のスペクトルデータの前記バッチについての前記複数のスペクトル的なセンサ値を複数の周波数範囲へと細分するように構成され、対象の前記周波数範囲が、
前記機器の異常な挙動を判定するための周波数範囲であり、他の周波数範囲に関連する値より大きい値を示す周波数範囲として決定される、装置。
【請求項2】
時間的なセンサデータの隣接するバッチ間の時間期間が、バッチ内の隣接するセンサデータ間の時間期間より大きい、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの統計処理アルゴリズムが、ホテリングの統計量を含む、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
スペクトル的なセンサデータの各バッチについて、前記ホテリングの統計量によって決定される指標値がある、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
対象のスペクトル的なセンサデータの前記バッチが、そのバッチについて前記ホテリングの統計量によって決定された前記指標値が前記ホテリングの統計量に関連する前記閾値より大きいときに、決定される、請求項3または4に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの統計処理アルゴリズムが、2乗予測誤差またはQ統計量を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
スペクトル的なセンサデータの各バッチについて、前記2乗予測誤差またはQ統計量によって決定される指標値がある、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
対象のスペクトル的なセンサデータの前記バッチが、そのバッチについて前記2乗予測誤差またはQ統計量によって決定された前記指標値が前記2乗予測誤差またはQ統計量に関連する前記閾値より大きいときに、決定される、請求項6または7に記載の装置。
【請求項9】
対象のスペクトル的なセンサデータの前記バッチが、そのバッチについて前記ホテリングの統計量によって決定された前記指標値が前記ホテリングの統計量に関連する前記閾値より大きいときに、決定される、または、対象のスペクトル的なセンサデータの前記バッチが、そのバッチについて前記2乗予測誤差またはQ統計量によって決定された前記指標値が前記2乗予測誤差またはQ統計量に関連する前記閾値より大きいときに、決定される、請求項5に従属するときの請求項8に、または請求項5に従属するときの請求項6または7に記載の装置。
【請求項10】
スペクトル的なセンサデータの前記複数のバッチの決定が、時間的なセンサデータの前記複数のバッチのうちの各バッチについて、前記時間的なセンサ値へのフーリエ変換アルゴリズムを利用することを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
機器監視のためのシステムであって、
少なくとも1つのセンサと、
請求項1から10のいずれか一項に記載の機器監視のための装置と
を備え、
前記少なくとも1つのセンサが、時間的なセンサデータの前記複数のバッチを取得するように構成される、システム。
【請求項12】
機器監視のための方法であって、
(a)機器についての時間的なセンサデータの複数のバッチを提供するステップであって、時間的なセンサデータの各バッチが時間の関数として複数の時間的なセンサ値を含む、ステップと、
(b)時間的なセンサデータの前記複数のバッチを処理して、スペクトル的なセンサデータの複数のバッチを決定するステップであって、スペクトル的なセンサデータの各バッチが周波数の関数として複数のスペクトル的なセンサ値を含む、ステップと、
(c)少なくとも1つの統計処理アルゴリズムを実装し、スペクトル的なセンサデータの前記複数のバッチについての前記複数のスペクトル的なセンサ値を処理して、複数の指標値を決定するステップであって、スペクトル的なセンサデータの各バッチについて、前記統計処理アルゴリズムの各々によって決定された指標値が存在する、ステップと、
(d)各統計処理アルゴリズムについての関連する閾値および前記複数の指標値を利用して、前記関連する統計処理アルゴリズムについての前記閾値より大きい指標値を有する対象のスペクトル的なセンサデータのバッチを決定するステップであって、対象のスペクトルデータの前記バッチについての前記複数のスペクトル的なセンサ値が、複数の周波数範囲へと細分される、ステップと、
(e)対象のスペクトル的なセンサデータの前記バッチについて、前記複数のスペクトル的なセンサ値に基づいて対象の周波数範囲を決定するステップであって、対象の前記周波数範囲が、
前記機器の異常な挙動を判定するための周波数範囲であり、他の周波数範囲に関連する値より大きい値を示す周波数範囲として決定される、ステップと
を含む、方法。
【請求項13】
請求項1から10のいずれか一項に記載の装置および/または請求項11に記載のシステムを制御するためのコンピュータプログラム要素であって、プロセッサによって実行されると請求項12に記載の方法を実行するように構成される、コンピュータプログラム要素。
【請求項14】
請求項13に記載のコンピュータプログラム要素を記憶したコンピュータ可読記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器監視のための装置、機器監視のためのシステム、機器監視のための方法、ならびにコンピュータプログラム要素およびコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
現在ではプロセス産業において、回転部品など動く部品を有する機器の検査および保守が、運用費の大部分の要因である。たとえば回転機器の状態監視は、典型的には、たとえば加速度、速度、および変位センサ、マイクロフォン、音響アレイ、トルクメータ、エンコーダ、タコメータ、撮像カメラ、光ファイバセンサ、熱センサ、および圧力センサといった、様々なタイプのセンサの集合および分析に依拠する。ここで、信号処理ベースのアルゴリズムを使用して、たとえば、ポンプ、ギアボックス、およびベアリングなど様々な機器タイプの様々な故障モードについての健全性インジケータを計算する。ここで、これらの健全性インジケータは、特定の機器故障を検出するために追跡され、または特定の機器故障を予測するために外挿される。
【0003】
回転機器の監視のためのいくつかの解決策が知られている。これらは、典型的には、振動の全体的なレベルを反映し、一般的に控えめに設定される予め規定された閾値と比較されるISO 10186-1、7など、簡単な指標の監視に依拠する。
【0004】
信号処理方法に関連する、たとえばベアリング、ギアボックス、ポンプなど特定の構成要素の特定の故障に関係する指標がやはり実装されている。しかし、そのような高度な指標の産業利用には、負荷、回転速度、および他の動作パラメータで変化する各回転機器用の特定の検出閾値を規定する必要性が依然としてある。そのような閾値を体系的に選択する能力がないため、これらの方法は、冗長であり、実装するのに時間がかかる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】ISO 10186-1、7
【文献】Kresta, J. V.、Macgregor, J. F.、およびMarlin, T. E. (1991)、「Multivariate statistical monitoring of process operating performance」The Canadian Journal of Chemical Engineering, 69(1), 35-47
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この問題に対処する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、機器が劣化していること、または劣化すること、または損傷することを検出するため、動く部品を有する機器を監視するための改善した能力を有するのは、有利となろう。
【0008】
本発明の目的は、独立請求項の主題で解決され、ここで、従属請求項でさらなる実施形態が組み込まれる。
【0009】
第1の態様では、機器監視のための装置が提供され、装置は、
入力ユニットと、
処理ユニットと、
出力ユニットと
を備える。
【0010】
入力ユニットは、機器についての時間的なセンサデータの複数のバッチを処理ユニットに提供するように構成される。時間的なセンサデータの各バッチは、時間の関数として、複数の時間的なセンサ値を含む。処理ユニットは、時間的なセンサデータの複数のバッチを処理して、スペクトル的なセンサデータの複数のバッチを決定するように構成される。スペクトル的なセンサデータの各バッチは、周波数の関数として、複数のスペクトル的なセンサ値を含む。処理ユニットは、少なくとも1つの統計処理アルゴリズムを実装して、スペクトル的なセンサデータの複数のバッチについての複数のスペクトル的なセンサ値を処理して、複数の指標値を決定するように構成される。スペクトル的なセンサデータの各バッチについて、統計処理アルゴリズムの各々によって決定された指標値がある。各統計処理アルゴリズムが関連する閾値を有し、処理ユニットは、少なくとも1つの閾値および複数の指標値を利用して、関連する統計処理アルゴリズムについての閾値より大きい指標値を有する対象のスペクトル的なセンサデータのバッチを決定するように構成される。処理ユニットは、対象のスペクトル的なセンサデータのバッチについて、複数のスペクトル的なセンサ値に基づいて対象の周波数範囲を決定するように構成される。
【0011】
このようにして、回転機器など産業用機器を監視するための教師なし技法が可能である。振動など、検知される値の全体的なレベルの異常な増加が検出され、検知される値の検出された異常な増加に最も相関するスペクトル成分が分離される。したがって、分析者は、回転機器の振動など全体的な検知される値のレベルの増加に寄与するスペクトル成分の知識に基づいて機器に影響を及ぼす故障のタイプの第1の指示を有することができる。
【0012】
言い換えると、振動など検知される値の単純な変化を超える診断システムのため、より高いレベルの洞察が提供され、ここでは、新規の技法によって、異常な検知される値のレベルを検出すること、およびその異常が識別される主な理由である関連するスペクトル(周波数成分)を決定することが可能になる。
【0013】
一例では、時間的なセンサデータの隣接するバッチ間の時間期間は、バッチ内の隣接するセンサデータ間の時間期間より大きい。
【0014】
一例では、少なくとも1つの統計処理アルゴリズムは、ホテリングの統計量を含む。
【0015】
一例では、スペクトル的なセンサデータの各バッチについて、ホテリングの統計量によって決定される指標値がある。
【0016】
一例では、対象のスペクトル的なセンサデータのバッチは、そのバッチについてホテリングの統計量によって決定された指標値がホテリングの統計量に関連する閾値より大きいときに、決定される。
【0017】
一例では、少なくとも1つの統計処理アルゴリズムは、2乗予測誤差またはQ統計量を含む。
【0018】
一例では、スペクトル的なセンサデータの各バッチについて、2乗予測誤差またはQ統計量によって決定される指標値がある。
【0019】
一例では、対象のスペクトル的なセンサデータのバッチは、そのバッチについて2乗予測誤差またはQ統計量によって決定された指標値が2乗予測誤差またはQ統計量に関連する閾値より大きいときに、決定される。
【0020】
一例では、対象のスペクトル的なセンサデータのバッチが、そのバッチについてホテリングの統計量によって決定された指標値がホテリングの統計量に関連する閾値より大きいときに、決定される、または、対象のスペクトル的なセンサデータのバッチが、そのバッチについて2乗予測誤差またはQ統計量によって決定された指標値が2乗予測誤差またはQ統計量に関連する閾値より大きいときに、決定される。
【0021】
言い換えると、両方の(SPEのT2ホテリングの統計量またはQ統計量を使用して決定される)指標は、別個に監視され、それらのうちの1つがその限度を超える場合、対応するバッチの分析が行われて、問題のあるスペクトル周波数を決定する。
【0022】
言い換えると、2つの独立した統計的管理チャート(バッチについて計算した指標または指標値)を使用して、それらを閾値限度と比較することによって、異常な観測値が検出される。ホテリングのT2統計量が主成分空間で使用され、2乗予測誤差(SPEまたはQ)統計量が残差空間で使用される。
【0023】
一例では、スペクトル的なセンサデータの複数のバッチの決定では、時間的なセンサデータの複数のバッチのうちの各バッチについて、時間的なセンサ値へのフーリエ変換アルゴリズムを利用することを含む。
【0024】
一例では、処理ユニットは、対象のスペクトルデータのバッチについてのスペクトル値を複数の周波数範囲へと細分するように構成される。対象の周波数範囲は、他の周波数範囲に関連する値より大きい値を示す周波数範囲として決定される。
【0025】
第2の態様では、機器監視のためのシステムが提供され、システムは、時間的なセンサデータの複数のバッチを取得するように構成される少なくとも1つのセンサと、第1の態様による機器監視のための装置とを備える。
【0026】
第3の態様では、機器監視のための方法が提供され、方法は、
(a)機器についての時間的なセンサデータの複数のバッチを提供するステップであって、時間的なセンサデータの各バッチが時間の関数として複数の時間的なセンサ値を含む、ステップと、
(b)時間的なセンサデータの複数のバッチを処理して、スペクトル的なセンサデータの複数のバッチを決定するステップであって、スペクトル的なセンサデータの各バッチが周波数の関数として複数のスペクトル的なセンサ値を含む、ステップと、
(c)少なくとも1つの統計処理アルゴリズムを実装し、スペクトル的なセンサデータの複数のバッチについての複数のスペクトル的なセンサ値を処理して、複数の指標値を決定するステップであって、スペクトル的なセンサデータの各バッチについて、統計処理アルゴリズムの各々によって決定された指標値が存在する、ステップと、
(d)各統計処理アルゴリズムについての閾値および複数の指標値を利用して、関連する統計処理アルゴリズムについての閾値より大きい指標値を有する対象のスペクトル的なセンサデータのバッチを決定するステップと、
(e)対象のスペクトル的なセンサデータのバッチについて、複数のスペクトル的なセンサ値に基づいて対象の周波数範囲を決定するステップと
を含む。
【0027】
別の態様によれば、コンピュータプログラム要素が処理ユニットによって実行されると、前に記載したような方法ステップを実施するように適合される、前に記載したような装置またはシステムを制御するコンピュータプログラム要素が提供される。
【0028】
別の態様によれば、前に記載したようなコンピュータ要素を記憶したコンピュータ可読媒体がやはり提供される。
【0029】
上の態様および例は、以降に記載される実施形態から明らかとなり、実施形態を参照して解明されよう。
【0030】
例示的な実施形態は、以下の図を参照して以降で記載される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】3つのプロセス変数のデータセットについての、2つの主成分にまたがる主成分空間および残差空間の例を示す。
【
図2】T2ホテリングの統計量またはPREもしくはQ統計量のうちの1つについての統計量限度に対して、T2ホテリングの統計量を使用して計算した、またはPREもしくはQ統計量を使用して計算した異なるバッチについて決定した指標の例を示す概略図である。
【
図3】統計量限度を超えるバッチについてのスペクトル周波数エネルギスペクトルの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
ここで提供される、機器監視のための装置、システム、および方法は、ここで詳細に記載され、
図1~
図3への参照が行われる。機器監視のための装置の一例は、入力ユニット、処理ユニット、および出力ユニットを備える。入力ユニットは、機器についての時間的なセンサデータの複数のバッチを処理ユニットに提供するように構成される。時間的なセンサデータの各バッチは、時間の関数として、複数の時間的なセンサ値を含む。処理ユニットは、時間的なセンサデータの複数のバッチを処理して、スペクトル的なセンサデータの複数のバッチを決定するように構成される。スペクトル的なセンサデータの各バッチは、周波数の関数として、複数のスペクトル的なセンサ値を含む。処理ユニットは、少なくとも1つの統計処理アルゴリズムを実装して、スペクトル的なセンサデータの複数のバッチについての複数のスペクトル的なセンサ値を処理して、複数の指標値を決定するように構成される。スペクトル的なセンサデータの各バッチについて、統計処理アルゴリズムの各々によって決定された指標値がある。各統計処理アルゴリズムが関連する閾値を有し、処理ユニットは、少なくとも1つの閾値および複数の指標値を利用して、関連する統計処理アルゴリズムについての閾値より大きい指標値を有する対象のスペクトル的なセンサデータのバッチを決定するように構成される。処理ユニットは、対象のスペクトル的なセンサデータのバッチについて、複数のスペクトル的なセンサ値に基づいて対象の周波数範囲を決定するように構成される。
【0033】
こうして、装置は、実時間で動作し、機器の現場に存在して、その機器を監視することができる。または、装置は、異常な挙動を判定するために以前に取得されたデータを分析し、どの周波数が問題のあるものかを分析することができる。
【0034】
一例によれば、時間的なセンサデータの隣接するバッチ間の時間期間は、バッチ内の隣接するセンサデータ間の時間期間より大きい。
【0035】
一例では、時間的なセンサデータの隣接するバッチ間の時間期間は、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、12時間、24時間のうちの1つである。バッチ間の時間期間は、上で記載したものと異なってよい。
【0036】
一例では、バッチ内の隣接するセンサデータ間の時間期間は、0.0001s、0.0005s、0.001s、0.002s、0.003s、0.004s、0.005s、0.01s、0.02s、0.05sのうちの1つである。
【0037】
一例では、センサデータの各バッチは、10s、20s、30s、60s、120sのうちの1つの時間期間にわたって取得された。
【0038】
こうして、たとえばセンサは、60秒の間に1kHzの速度でデータを取得することができる。次いで、6時間待って、再び、60秒の間に1kHzの速度でデータを取得した。しかし、異なる時間期間の間の、異なるセンサデータ取得速度、およびセンサデータのバッチ間の異なる継続時間を利用することができる。
【0039】
一例によれば、少なくとも1つの統計処理アルゴリズムは、ホテリングの統計量を含む。
【0040】
一例によれば、スペクトル的なセンサデータの各バッチについて、ホテリングの統計量によって決定される指標値がある。
【0041】
一例によれば、対象のスペクトル的なセンサデータのバッチは、そのバッチについてホテリングの統計量によって決定された指標値がホテリングの統計量に関連する閾値より大きいときに、決定される。
【0042】
一例によれば、少なくとも1つの統計処理アルゴリズムは、2乗予測誤差またはQ統計量を含む。
【0043】
一例によれば、スペクトル的なセンサデータの各バッチについて、2乗予測誤差またはQ統計量によって決定される指標値がある。
【0044】
一例によれば、対象のスペクトル的なセンサデータのバッチは、そのバッチについて2乗予測誤差またはQ統計量によって決定された指標値が2乗予測誤差またはQ統計量に関連する閾値より大きいときに、決定される。
【0045】
一例によれば、対象のスペクトル的なセンサデータのバッチは、そのバッチについてホテリングの統計量によって決定された指標値がホテリングの統計量に関連する閾値より大きいときに、決定される。あるいは、対象のスペクトル的なセンサデータのバッチは、そのバッチについて2乗予測誤差またはQ統計量によって決定された指標値が2乗予測誤差またはQ統計量に関連する閾値より大きいときに、決定される。
【0046】
一例によれば、スペクトル的なセンサデータの複数のバッチの決定は、時間的なセンサデータの複数のバッチのうちの各バッチについて、時間的なセンサ値へのフーリエ変換アルゴリズムを利用することを含む。
【0047】
一例では、フーリエ変換アルゴリズムは、高速フーリエ変換アルゴリズムである。
【0048】
一例によれば、処理ユニットは、対象のスペクトルデータのバッチについてのスペクトル値を複数の周波数範囲へと細分するように構成され、対象の周波数範囲は、他の周波数範囲に関連する値より大きい値を示す周波数範囲として決定される。
【0049】
一例では、対象の周波数範囲は、他の周波数範囲に関連するスペクトルパワー値より大きいスペクトルパワー値を示す周波数範囲として決定される。
【0050】
一例では、センサデータは、回転センサデータである。
【0051】
こうして、時間的なセンサデータの複数のバッチを取得する少なくとも1つのセンサに結合されると、上で記載した装置が機器監視のためのシステムを実現することと理解される。
【0052】
また、一例は、機器監視のための方法に関係し、方法は、
(a)機器についての時間的なセンサデータの複数のバッチを提供するステップであって、時間的なセンサデータの各バッチが時間の関数として複数の時間的なセンサ値を含む、ステップと、
(b)時間的なセンサデータの複数のバッチを処理して、スペクトル的なセンサデータの複数のバッチを決定するステップであって、スペクトル的なセンサデータの各バッチが周波数の関数として複数のスペクトル的なセンサ値を含む、ステップと、
(c)少なくとも1つの統計処理アルゴリズムを実装し、スペクトル的なセンサデータの複数のバッチについての複数のスペクトル的なセンサ値を処理して、複数の指標値を決定するステップであって、スペクトル的なセンサデータの各バッチについて、統計処理アルゴリズムの各々によって決定された指標値が存在する、ステップと、
(d)各統計処理アルゴリズムについての閾値および複数の指標値を利用して、関連する統計処理アルゴリズムについての閾値より大きい指標値を有する対象のスペクトル的なセンサデータのバッチを決定するステップと、
(e)対象のスペクトル的なセンサデータのバッチについて、複数のスペクトル的なセンサ値に基づいて対象の周波数範囲を決定するステップと
を含む。
【0053】
一例では、時間的なセンサデータの隣接するバッチ間の時間期間は、バッチ内の隣接するセンサデータ間の時間期間より大きい。
【0054】
一例では、時間的なセンサデータの隣接するバッチ間の時間期間は、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、12時間、24時間のうちの1つである。
【0055】
一例では、バッチ内の隣接するセンサデータ間の時間期間は、0.0001s、0.0005s、0.001s、0.002s、0.003s、0.004s、0.005s、0.01s、0.02s、0.05sのうちの1つである。
【0056】
一例では、センサデータの各バッチは、10s、20s、30s、60s、120sのうちの1つの時間期間にわたって取得された。
【0057】
一例では、ステップ(c)において、少なくとも1つの統計処理アルゴリズムは、ホテリングの統計量を含む。
【0058】
一例では、スペクトル的なセンサデータの各バッチについて、ホテリングの統計量によって決定される指標値がある。
【0059】
一例では、ステップ(d)において、対象のスペクトル的なセンサデータのバッチは、そのバッチについてホテリングの統計量によって決定された指標値がホテリングの統計量に関連する閾値より大きいときに、決定される。
【0060】
一例では、ステップ(c)において、少なくとも1つの統計処理アルゴリズムは、2乗予測誤差またはQ統計量を含む。
【0061】
一例では、スペクトル的なセンサデータの各バッチについて、2乗予測誤差またはQ統計量によって決定される指標値がある。
【0062】
一例では、ステップ(d)において、対象のスペクトル的なセンサデータのバッチは、そのバッチについて2乗予測誤差またはQ統計量によって決定された指標値が2乗予測誤差またはQ統計量に関連する閾値より大きいときに、決定される。
【0063】
一例では、対象のスペクトル的なセンサデータのバッチは、そのバッチについてホテリングの統計量によって決定された指標値がホテリングの統計量に関連する閾値より大きいときに、決定される。あるいは、対象のスペクトル的なセンサデータのバッチは、そのバッチについて2乗予測誤差またはQ統計量によって決定された指標値が2乗予測誤差またはQ統計量に関連する閾値より大きいときに、決定される。
【0064】
一例では、ステップ(b)は、時間的なセンサデータの複数のバッチのうちの各バッチについて、時間的なセンサ値へのフーリエ変換アルゴリズムを利用することを含む。
【0065】
一例では、フーリエ変換アルゴリズムは、高速フーリエ変換アルゴリズムである。
【0066】
一例では、センサデータは、回転センサデータである。
【0067】
以下の詳細な記載は、回転機器の監視に関する。新しい手法では、多変量統計処理管理が新しい形で使用される。MSPCは、産業用プロセスを監視して、プロセスの異常な状況の解決においてプロセス操作者またはプロセス技術者をサポートするために使用されてきた。Kresta, J. V.、Macgregor, J. F.、およびMarlin, T. E. (1991)、「Multivariate statistical monitoring of process operating performance」The Canadian Journal of Chemical Engineering, 69(1), 35-47を参照せよ。しかし、この手法は、変形した形で、回転機器など機器の監視のために使用されてきている。標準的なMSPC手法が、プロセスセンサから集められた時系列を使用する一方で、回転機器は、スペクトルの性質によってより良好に特徴づけることができることが見いだされている。回転機器中の故障または機能不全は、回転によって誘起される周期性のために、周波数領域で局在化されるが、必ずしも時間領域では局在化されないという性質を有することが見いだされている。
【0068】
要約すると、新しい技法では、集められたセンサ値の各バッチについて、T2ホテリング指標およびQまたは2乗予測誤差(SPE)指標が計算され、適切な統計限度と比較される。特定の例では、「バッチ」方式で、「振動」測定が実施される。すなわち、測定値が所与の継続時間で周期的に記録される。たとえば、加速度/速度センサデータ測定値は、6時間毎に記録される。以下では、時間指標kへの参照が行われ、k=1、2、3、…、nとは、たとえば1KHzの速度で1分の継続時間の間、(6時間、12時間、18時間、…、n×6時間の)相対時間で、データのバッチが取得されることを意味する。こうして、この特定の例では、6時間毎に取得されたデータの各バッチまたは記録は、1000×60=60000のデータサンプルまたは値を有する。
【0069】
T2ホテリングおよびQ寄与プロットは、6時間毎に取得される複数のバッチのうちの、1つまたは複数の識別されたバッチから決定される。次いで、T2およびQ寄与プロットは、T2およびQ指標の、それらに対応する統計限度からの偏差に最も相関する周波数ビンを評価するために使用される。この指示によって、ユーザが振動信号のスペクトル中の変化を監視することが可能になり、回転機器が直面している故障のタイプをユーザが理解するのを助ける。
【0070】
こうして、2つの独立した統計的管理チャートを使用して、それらを閾値限度と比較することによって、異常な観測値が検出される。ホテリングのT2統計量が主成分空間で使用され、2乗予測誤差(SPEまたはQ)統計量が残差空間で使用される。
【0071】
主成分空間中の監視
ホテリングの統計量は、スコアがガウス型多変量分布にしたがうので、使用される。スコアはゼロ平均を有し、推定される試料共分散行列
【0072】
【0073】
は対角行列である。観測値、xtest∈R1×mでは、tスコアについてのホテリングの統計量は次式によって与えられる。
【0074】
【0075】
ここで、Pはその列が負荷ベクトルである行列、NPCがモデル中に保持される主成分の数、Λ1:NPCは、その要素が降順の大きさでモデル中に保持される試料共分散行列の固有値(データ行列Xの特異値)である対角行列である。Tは、主成分空間中のスコアである。
【0076】
ホテリングのT2統計量は、スケーリングしたスコアの合計である。ホテリングのT2統計量は、すべてのスコアからの情報を単一の指標に組み合わせる。より大きい特異値に対応する負荷だけが、T2統計量を計算するときに含まれる。ノイズに対応するより小さい特異値は、この統計量の計算において、反転される。これらのより小さい特異値を除去することによって、プロセス挙動のより良好な表現、およびモデル内部の着実な異常検出が可能になる。T2統計量は、主成分空間への観測値の投影と、主成分空間の原点の間の距離である。T2の閾値T2
∝は、次式を使用して計算される。
【0077】
【0078】
ここで、αは信頼レベル、Nはデータ行列中の観測値の数である。F∝(NPC, N-NPC)は、NPC, N-NPCの自由度を有するフィッシャー分散の100×α%臨界点である。上式から、スコアについての管理限度を導くことができる。
【0079】
【0080】
上式は、スコアについての信頼性の楕円体領域を記載する(たとえば、m=3, NPC=2を有する
図1を参照)。所与の観測値におけるT
2に対する変数の個々の寄与は次式によって与えられる。
【0081】
【0082】
残差空間における監視
残差空間における監視は、次式のように規定されるQ統計量を使用する。
【0083】
【0084】
ここでeiは、誤差行列Eの行ベクトルである。Q統計量は、主成分空間上への観測値の投影からの、観測値の偏差のユークリッドノルムである。Qの管理限度は、次式のように近似することができる。
【0085】
【0086】
ここで、Cαは1-αパーセンタイルに対応する正規分布の値であり、
【0087】
【0088】
および
【0089】
【0090】
である。
【0091】
管理限度Qαは、プロセス中のランダムな変動の閾値を表す。所与の観測値におけるQに対する変数の個々の寄与は、観測値に対応するEの要素によって与えられる。
【0092】
図1を参照すると、これは、3つの変数を含むデータセットを示す。3次元のデータ点(中空円)を、(楕円の主軸に沿った)より大きく説明される分散を有する第1の主成分、および第2の主成分(楕円の短軸)を有する主成分にまたがる2つの次元に減少させることができることがわかる。新しい観測値(PC1と標示される黒円)を考察すると、この新しい観測値は、主成分にまたがる2次元空間の中にあるが、スコア
【0093】
【0094】
の管理限度の外側にある。主成分空間の中に投影されると他の黒円によってマーキングされる新しいデータ点は、データ点がモデル中の他の点と異なるにもかかわらず、許容できることが見いだされる。この偏差がQ統計量によって取得される。
【0095】
こうして、多変量統計処理管理(MSPC)が、産業用機器を監視するために、新しい形で使用されている。主成分分析(PCA)を利用することができる。PCAによって、より低い次元空間上にデータセットを表すことが可能になる。加えて、PCAは、観測値空間を2つの下位空間へと分離する。1つの下位空間がプロセスの傾向を取得し、一方で、他の下位空間が、モデルの部分でないランダムノイズまたは新しい異常な偏差の効果を取得する。
【0096】
データ行列X∈Rn×mに、m個のセンサから集められたn個の観測値を持たせる。PCAは、主成分と呼ばれる直交する方向に、データ中の最大分散を抽出するデータ削減技法である。これらの主成分は、有用な情報(プロセスデータの変動性)を含む変数の線形結合である。PCAは、データ行列を、負荷ベクトル(p)およびスコアベクトル(t)と呼ばれる直交ベクトルへと分解する。分解は、データ行列Xの特異値分解(SVD)を使用して行われる。
【0097】
【0098】
ここで、Σ∈Rn×mは、大きさが減少する順序で(σ1>σ2>…>σmin(m,n))、実数で非負の特異値を含む。右固有ベクトルV∈Rm×mは、負荷ベクトルである。データ中に存在するモデル化ノイズを回避するため、r個のより大きい固有値およびそれらの対応する負荷ベクトルp=V(:,1:r), p∈Rm×rだけが保持される。主成分iの方向で取得された分散の量は、
【0099】
【0100】
である。独立負荷ベクトル(p)によって形成される空間上に投影されると、データ行列Xは、次式である。
t=X.p
ここで、t∈Rn×rは、スコア行列と呼ばれ、tの列が直交する。Xの第1の主成分に対応する、スコア行列の第1の列t1によって取得される分散は、第2の列t2によって取得される分散のものより大きい。元のm次元空間に戻されるスコアの投影は、次式を与える。
【0101】
【0102】
ここで、
【0103】
【0104】
はモデル化情報である。Xと
【0105】
【0106】
の間の差異は、残差行列Eと呼ばれ、残差行列にまたがる空間が残差空間と呼ばれる。この残差空間は、モデルに含まれなかったより小さい固有値中の分散に対応する。
【0107】
【0108】
新しい観測ベクトルxtest∈R1×mを試験するため、ベクトルがモデル上に投影される。負荷ベクトルによって形成される空間上への試験ベクトルの投影によって、試験データのスコアが与えられる。
ttest=xtest.p
【0109】
したがって、センサデータの取得および処理に戻って、xk(t)が、たとえば、時間kで始まり時間間隔Tにわたり集められた加速度計測定値といった、集められたセンサ値のベクトルを表すものとする。
xk(t)=[x(k+1), x(k+2),…x(k+T)]
xk(f)を、たとえば時間間隔(k, k+T)にわたる高速フーリエ変換アルゴリズムを使用して計算されたxk(t)のスペクトルであるとする。xk(f)は、集めたセンサ値の各バッチ、k=1, 2, 3, 4,…nについて計算され、ここで、nは、m個の周波数チャネルにおけるバッチの数である。上で議論したように、各バッチは、6時間毎に取得することができ、各バッチは、たとえば、0.001秒毎に取得される6000のデータサンプルを有することができる。しかし、各バッチは、たとえば2つのバッチ間に2時間あるように、各バッチ間の異なる時間期間で取得することができ、次いで、次のバッチは、たとえば6時間後に取得される。しかし、センサ値は、1つのバッチ内のT秒毎(たとえば、0.001s毎)に読み出される。
【0110】
こうして、バッチは、時間間隔Tの間に集められた一連のセンサ値である。各バッチについて、対応するパワースペクトルを推定するために、フーリエ変換が計算される。パワースペクトルの実際の実装は、フーリエ変換を計算する数値アルゴリズム、高速フーリエ変換アルゴリズム(FFT)に依拠する。FFTは、離散化スペクトル、すなわち、有限数の周波数でスペクトルの値を計算する。パワースペクトルが評価される周波数または周波数帯は、「周波数チャネル」と呼ばれる。
【0111】
すべてのバッチについて計算したスペクトルをオーバーレイすることによって、次の行列がもたらされる。
【0112】
【0113】
Xの主成分(PCA)分解によって、以下の近似がもたらされる。
【0114】
【0115】
ここで、
【0116】
【0117】
また、Eは、残差(近似)誤差、tは、スコアのベクトル、pは、負荷のベクトルである。
【0118】
次いで、T2ホテリング指標およびQ(SPE)指標が各バッチ指標について計算され、適切な統計限度と比較される。これは、
図2に示される。
図2では、T2ホテリング指標およびPREまたはQ指標が各バッチについて計算され、ここで、上で議論したように、kがバッチ(データセット指標)である。
図2に示されるように、バッチ12は限度を超えており、ここでは簡単にするため、ただ1つの組の指標値が示され、T2ホテリングの統計量について計算され、ただ1つの閾値が示されるが、実際には、2つのプロット、すなわち、T2ホテリングの統計量について1つ、PREまたはQ統計分析について1つがある。こうして、示されるように、バッチk=12は、統計限度T2
limまたはQ
limより上にある。統計限度T2
limまたはQ
limより上にあるこのバッチおよび他のバッチは、異常なレベルの振動と関連する。したがって、次いで、どの周波数がT2またはQの高い値を最も説明するかを決定するために、寄与プロットを分析することによって、これらのデータセット(バッチ)が調査される。そのような寄与プロットは、バッチ12について
図3に示され、異常なレベルの振動を有するそのバッチについて、FFTが決定したエネルギスペクトル成分から決定される。このようにして、T2およびQ寄与プロットは、T2およびQ指標が対応する統計限度からの、T2およびQ指標の偏差に最も相関する周波数ビンを評価するために使用される。
図3では、バッチ12についての周波数ビン[100Hz-150Hz]は他のスペクトル成分より著しく高く、QまたはT2指標中で検出された変化が[100Hz-150Hz]の周波数範囲中の成分の存在によって説明されることを示す。この指示によって、ユーザが振動信号のスペクトル中の変化を監視することが可能になり、回転機器が直面している故障のタイプをユーザが理解するのを助ける。
【0119】
別の例示的な実施形態では、適切なシステム上で上述の実施形態のうちの1つによる方法の方法ステップを実行するように構成することによって特徴づけられるコンピュータプログラムまたはコンピュータプログラム要素が提供される。
【0120】
したがって、コンピュータプログラム要素は、やはり実施形態の部分であってよい、計算ユニット上に記憶することができる。この計算ユニットは、上で記載した方法のステップを実施する、または実施をもたらすように構成することができる。さらに、計算ユニットは、上で記載した装置および/またはシステムの構成要素を動作させるように構成することができる。計算ユニットは、自動的に動作するように、および/または、ユーザの命令を実行するように構成することができる。コンピュータプログラムは、データプロセッサのワーキングメモリの中にロードすることができる。データプロセッサは、このようにして、上述の実施形態のうちの1つによる方法を実行するようにする手段を備えることができる。
【0121】
本発明のさらなる例示的な実施形態によれば、CD-ROMなどコンピュータ可読媒体が呈示され、コンピュータ可読媒体は、その上にコンピュータプログラム要素を記憶させ、そのコンピュータプログラム要素は、上述のセクションで記載される。
【0122】
本発明は、図および上の記載に詳細に図示および記載されてきた一方で、そのような図および記載は、説明または例示と考えるべきであり、限定と考えるべきでない。本発明は、開示される実施形態に限定されない。図、開示、および従属請求項の研究から、特許請求される発明を実施する際に、当業者ならば、開示される実施形態に対する他の変形形態を理解してもたらすことができる。