(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】固体撮像装置および電子機器
(51)【国際特許分類】
H04N 25/77 20230101AFI20240509BHJP
H04N 25/78 20230101ALI20240509BHJP
H03M 1/38 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
H04N25/77
H04N25/78
H03M1/38
(21)【出願番号】P 2021565384
(86)(22)【出願日】2020-11-18
(86)【国際出願番号】 JP2020043005
(87)【国際公開番号】W WO2021124774
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-10-16
(31)【優先権主張番号】P 2019229664
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江藤 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】池田 裕介
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-120091(JP,A)
【文献】特開2019-092143(JP,A)
【文献】特開2014-230012(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/77-25/78
H03M 1/34- 1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素アレイ部から延出する垂直信号線に接続された変換回路と、
所定電圧を出力する電圧生成回路と、
前記所定電圧を入力とし、前記変換回路の参照電圧を出力する参照電圧生成回路と、
を備え、
前記参照電圧生成回路は、
前記所定電圧を所定の倍率で増幅して前記参照電圧を出力するオペアンプと、
一端が前記オペアンプの、前記所定電圧が入力される入力端とは異なる入力端に接続される容量素子と、
前記容量素子の他端の接続先を、前記所定電圧が出力される前記電圧生成回路の出力端、または、前記オペアンプのフィードバックループのいずれかに切り替える第1切替回路と、
前記容量素子の一端を前記オペアンプの前記フィードバックループに接続するか否かを切り替える第2切替回路と、
を備える固体撮像装置。
【請求項2】
前記参照電圧生成回路は、前記オペアンプの出力を保持するサンプルホールド回路をさらに備える、請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記参照電圧生成回路は、前記オペアンプの前記フィードバックループを構成する抵抗回路をさらに備える、請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記抵抗回路は可変抵抗回路である、請求項3に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記抵抗回路は、前記フィードバックループに所定の分圧比の電圧を印加する、請求項3に記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記参照電圧生成回路は、
前記所定電圧を所定の倍率で増幅して前記参照電圧を出力する第2オペアンプと、
一端が前記第2オペアンプの、前記所定電圧が入力される入力端とは異なる入力端に接続される第2容量素子と、
前記第2容量素子の他端の接続先を、前記所定電圧が出力される前記電圧生成回路の出力端、または、前記第2オペアンプのフィードバックループのいずれかに切り替える第3切替回路と、
前記第2容量素子の一端を前記第2オペアンプの前記フィードバックループに接続するか否かを切り替える第4切替回路と、
をさらに備える請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記参照電圧生成回路は、前記第2オペアンプの出力を保持する第2サンプルホールド回路をさらに備える、請求項6に記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記参照電圧生成回路は、
一端が前記オペアンプの、前記所定電圧が入力される入力端とは異なる入力端に接続される第2容量素子と、
前記第2容量素子の他端の接続先を、前記所定電圧が出力される前記電圧生成回路の出力端、または、前記オペアンプの第2フィードバックループのいずれかに切り替える第3切替回路と、
前記第2容量素子の一端に前記オペアンプの前記第2フィードバックループを接続するか否かを切り替える第4切替回路と、
前記オペアンプの前記フィードバックループに接続され、前記オペアンプの出力を保持するサンプルホールド回路と、
前記オペアンプの前記第2フィードバックループに接続され、前記オペアンプの出力を保持する第2サンプルホールド回路と、
前記容量素子および前記第2容量素子のいずれか一方を前記オペアンプの入力端に接続するか否かを切り替える第5切替回路と、
をさらに備える請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項9】
固体撮像装置と、
前記固体撮像装置から出力される信号を処理する信号処理部と、
を備え、
前記固体撮像装置は、
画素アレイ部から延出する垂直信号線に接続された変換回路と、
所定電圧を出力する電圧生成回路と、
前記所定電圧を入力とし、前記変換回路の参照電圧を出力する参照電圧生成回路と、
を備え、
前記参照電圧生成回路は、
前記所定電圧を所定の倍率で増幅して前記参照電圧を出力するオペアンプと、
一端が前記オペアンプの、前記所定電圧が入力される入力端とは異なる入力端に接続される容量素子と、
前記容量素子の他端の接続先を、前記所定電圧が出力される前記電圧生成回路の出力端、または、前記オペアンプのフィードバックループのいずれかに切り替える第1切替回路と、
前記容量素子の一端を前記オペアンプの前記フィードバックループに接続するか否かを切り替える第2切替回路と、
を備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、固体撮像装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CCD(Charge Coupled Device)型の固体撮像装置に代わるイメージセンサとして、CMOS(Complementary Metal-oxide Semiconductor)型の固体撮像装置(以下、CMOSイメージセンサまたはCMOS型固体撮像装置とも称する)が注目を集めている。
【0003】
CMOS型固体撮像装置用のアナログ-デジタル変換器(Analog to Digital Converter:以下、ADCという)には、パイプライン型とカラム型とが存在する。また、カラム型のADC(以下、カラムADCという)には、ランプ状の参照信号を用いるシングルスロープ積分型と、ビットごとに参照電圧を切り替える逐次比較(Successive Approximation Register:以下、SARという)型とが存在する。SAR型のカラムADCは、シングルスロープ積分型のカラムADCに比べ、AD変換期間を飛躍的に短縮できるというメリットを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ビットごとに参照電圧を切り替えるSAR型のカラムADCにおいて、複数の参照電圧間で電圧差分が生じると、カラムADCに含まれるDACにおける出力信号の線形性に影響を与える。すなわち、参照電圧にオフセットが発生すると、カラムADCに含まれるDACにおける出力の線形性を維持できない恐れがある。
【0006】
そこで、本開示では、SAR型のカラムADCに入力する参照信号のオフセットを抑制することができる固体撮像装置および電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示によれば、固体撮像装置が提供される。固体撮像装置は、変換回路と、電圧生成回路と、参照電圧生成回路と、を備える。変換回路は、画素アレイ部から延出する垂直信号線に接続される。電圧生成回路は、所定電圧を出力する。参照電圧生成回路は、前記所定電圧を入力とし、前記変換回路の参照電圧を出力する。参照電圧生成回路は、オペアンプと、容量素子と、第1切替回路と、第2切替回路と、を備える。オペアンプは、前記所定電圧を所定の倍率で増幅して前記参照電圧を出力する。容量素子は、一端が前記オペアンプの、前記所定電圧が入力される入力端とは異なる入力端に接続される。第1切替回路は、前記容量素子の他端の接続先を、前記所定電圧が出力される前記電圧生成回路の出力端、または、前記オペアンプのフィードバックループのいずれかに切り替える。第2切替回路は、前記容量素子の一端を前記オペアンプの前記フィードバックループに接続するか否かを切り替える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の技術に係る固体撮像装置を搭載した電子機器の概略構成例を示すブロック図である。
【
図2】本開示の各実施形態に共通する固体撮像装置の構成例を示す説明図である。
【
図3】本開示の各実施形態に共通するカラム信号処理回路のAD変換器の構成例を示す図である。
【
図4】本開示の各実施形態に共通するDACの構成例を示す図である。
【
図5】参照電圧にオフセット電圧が含まれない場合のDACcodeと参照信号VDACとの関係を説明するための図である。
【
図6】参照電圧にオフセット電圧が含まれる場合のDACcodeと参照信号VDACとの関係を説明するための図である。
【
図7】参照電圧にオフセット電圧が含まれる場合のDACcodeと参照信号VDACとの関係を説明するための図である。
【
図8】本開示の第1実施形態に係る参照電圧生成回路の構成例を示す図である。
【
図9】オペアンプでオフセット電圧が発生しない場合におけるオペアンプのゲインを説明するための図である。
【
図10】オペアンプでオフセット電圧が発生する場合におけるオペアンプのゲインを説明するための図である。
【
図11】オペアンプでオフセット電圧が発生する場合におけるオペアンプのゲインを説明するための図である。
【
図12】本開示の第1実施形態に係る参照電圧生成回路の動作例を説明するための図である。
【
図13】本開示の第1実施形態に係る参照電圧生成回路によるオフセットキャンセルを説明するための図である。
【
図14】本開示の第1実施形態に係る参照電圧生成回路によるオフセットキャンセルを説明するための図である。
【
図15】本開示の第2実施形態に係る参照電圧生成回路の構成例を示す図である。
【
図16】本開示の第2実施形態に係る参照電圧生成回路の動作例を説明するための図である。
【
図17】本開示の第3実施形態に係る参照電圧生成回路の構成例を示す図である。
【
図18】本開示の第4実施形態に係る参照電圧生成回路の構成例を示す図である。
【
図19】本開示の第5実施形態に係る参照電圧生成回路の構成例を示す図である。
【
図20】本開示の第6実施形態に係る参照電圧生成回路の構成例を示す図である。
【
図21】本開示の第7実施形態に係る参照電圧生成回路の構成例を示す図である。
【
図22】本開示の第8実施形態に係る参照電圧生成回路の構成例を示す図である。
【
図23】本開示の第8実施形態に係る参照電圧生成回路およびカラムADCの構成例を示す図である。
【
図24】本開示の第9実施形態に係る参照電圧生成回路の構成例を示す図である。
【
図25】本開示の第9実施形態に係る参照電圧生成回路の動作例を説明するための図である。
【
図26】本開示に係る技術を適用した間接TOF方式距離画像センサのシステム構成の一例を示すブロック図である。
【
図27】本開示に係る技術を適用した間接TOF方式距離画像センサにおける画素の回路構成の一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0010】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.各実施形態に共通な構成
1.1.電子機器の構成例
1.2.固体撮像装置の構成例
1.3.カラムADCの構成例
1.4.DACの構成例
2.第1実施形態
3.第2実施形態
4.第3実施形態
5.第4実施形態
6.第5実施形態
7.第6実施形態
8.第7実施形態
9.第8実施形態
10.第9実施形態
11.適用例
11.1.システム構成例
11.2.画素の回路構成例
12.補足
【0011】
<1.各実施形態に共通な構成>
まず、本開示の各実施形態に共通な構成として固体撮像装置および電子機器について、図面を参照して説明する。
【0012】
<1.1.電子機器の構成例>
図1は、本開示の技術に係る固体撮像装置を搭載した電子機器の概略構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、電子機器1は、例えば、撮像レンズ10と、固体撮像装置100と、記憶部30と、プロセッサ20とを備える。
【0013】
撮像レンズ10は、入射光を集光してその像を固体撮像装置100の受光面に結像する光学系の一例である。受光面とは、固体撮像装置100における光電変換素子が配列する面であってよい。固体撮像装置100は、入射光を光電変換して画像データを生成する。また、固体撮像装置100は、生成した画像データに対し、ノイズ除去やホワイトバランス調整等の所定の信号処理を実行する。
【0014】
記憶部30は、例えば、フラッシュメモリやDRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)等で構成され、固体撮像装置100から入力された画像データ等を記録する。
【0015】
プロセッサ20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等を用いて構成され、オペレーティングシステムや各種アプリケーションソフトウエア等を実行するアプリケーションプロセッサや、GPU(Graphics Processing Unit)やベースバンドプロセッサなどが含まれ得る。プロセッサ20は、固体撮像装置100から入力された画像データや記憶部30から読み出した画像データ等に対し、必要に応じた種々処理を実行したり、ユーザへの表示を実行したり、所定のネットワークを介して外部へ送信したりする。
【0016】
<1.2.固体撮像装置の構成例>
図2は、本開示の各実施形態に共通する固体撮像装置100の構成例を示す説明図である。
図2に示すように、固体撮像装置100は、複数の撮像素子111が配置された画素アレイ部110と、当該画素アレイ部110を取り囲むように設けられた周辺回路とを有する。周辺回路は、垂直駆動回路132、カラム信号処理回路134、水平駆動回路136、出力回路138、制御回路140、電圧生成回路151および参照電圧生成回路152等を含む。以下に、画素アレイ部110および周辺回路の詳細について説明する。
【0017】
画素アレイ部110は、半導体基板上にマトリックス状に2次元配置された複数の撮像素子(画素)111を有する。さらに、複数の画素111には、画像生成用の画素信号を生成する通常画素と、焦点検出用の画素信号を生成する1対の位相差検出用画素とが含まれていてもよい。各画素111は、複数の光電変換素子と、複数の画素トランジスタ(図示省略)とを有している。さらに詳細には、当該画素トランジスタは、例えば、転送トランジスタ、選択トランジスタ、リセットトランジスタ、および、増幅トランジスタ等を含んでいてもよい。
【0018】
垂直駆動回路132は、例えばシフトレジスタによって形成され、画素駆動配線142を選択し、選択された画素駆動配線142に画素111を駆動するためのパルスを供給し、行単位で画素111を駆動する。すなわち、垂直駆動回路132は、画素アレイ部110の各画素111を行単位で順次垂直方向(
図2中の上下方向)に選択走査し、各画素111の光電変換素子の受光量に応じて生成された電荷に基づく画素信号を、垂直信号線144を通して後述するカラム信号処理回路134に供給する。
【0019】
カラム信号処理回路134は、画素111の列ごとに配置されており、1行分の画素111から出力される画素信号に対して画素列ごとにノイズ除去等の信号処理を行う。例えば、カラム信号処理回路134は、画素固有の固定パターンノイズを除去するためにCDS(Correlated Double Sampling:相関2重サンプリング)およびAD(Analog-Degital)変換等の信号処理を行う。カラム信号処理回路134は、例えばSAR型のカラムADCを有する。
【0020】
水平駆動回路136は、例えばシフトレジスタによって形成され、水平走査パルスを順次出力することによって、上述したカラム信号処理回路134の各々を順番に選択し、カラム信号処理回路134の各々から画素信号を水平信号線146に出力させる。
【0021】
出力回路138は、上述したカラム信号処理回路134の各々から水平信号線146を通して順次に供給される画素信号に対し、信号処理を行い出力する。出力回路138は、例えば、バッファリング(buffering)を行う機能部として機能してもよく、もしくは、黒レベル調整、列ばらつき補正、各種デジタル信号処理等の処理を行ってもよい。なお、バッファリングとは、画素信号のやり取りの際に、処理速度や転送速度の差を補うために、一時的に画素信号を保存することをいう。
【0022】
電圧生成回路151は、カラム信号処理回路134のAD変換時に使用する参照電圧を生成するための電圧を生成する。電圧生成回路151は、所定の電圧値の電圧を出力してもよく、異なる複数の電圧値の電圧を出力してもよい。
【0023】
参照電圧生成回路152は、電圧生成回路151が出力する電圧を例えば1以上の倍率で増幅して参照電圧を生成する。電圧生成回路151が所定の電圧値の電圧を出力する場合、参照電圧生成回路152は、当該電圧を異なる複数の倍率で増幅した参照電圧を生成する。電圧生成回路151が異なる複数の電圧値の電圧を出力する場合、参照電圧生成回路152は、当該電圧を所定の倍率で増幅して参照電圧を生成する。このように、本開示の各実施形態に係る参照電圧生成回路152は、複数の異なる電圧値の参照電圧を出力する。
【0024】
制御回路140は、入力クロックと、動作モードなどを指令するデータを受け取り、また画素111の内部情報等のデータを出力することができる。すなわち、制御回路140は、垂直同期信号、水平同期信号およびマスタクロックに基づいて、垂直駆動回路132、カラム信号処理回路134、水平駆動回路136、電圧生成回路151および参照電圧生成回路152等の動作の基準となるクロック信号や制御信号を生成する。そして、制御回路140は、生成したクロック信号や制御信号を、垂直駆動回路132、カラム信号処理回路134、水平駆動回路136、電圧生成回路151および参照電圧生成回路152等に出力する。
【0025】
なお、本実施形態に係る固体撮像装置100の構成例は、
図2に示される例に限定されるものではなく、例えば、他の回路部等を含んでもよく、特に限定されるものではない。
【0026】
<1.3.カラムADCの構成例>
図3は、本開示の各実施形態に共通するカラム信号処理回路134のAD変換器134Aの構成例を示す図である。カラム信号処理回路134は、例えば垂直信号線ごとに
図3に示すAD変換器134Aを有する。なお、以下、カラム信号処理回路134が有するAD変換器134AをカラムADC134Aとも記載する。
【0027】
図3に示すカラムADC134Aは、比較器1341、SAR(Successive Approximation Register)ロジック回路1342およびDAC(Digital to Analog Converter)1343を備える。
【0028】
比較器1341は、垂直信号線144を介して入力される画素信号と所定の基準信号とを比較する。比較器1341は、比較結果をSARロジック回路1342に出力する。
【0029】
SARロジック回路1342は、比較器1341の比較結果に基づいて、画素信号に近似するような基準信号の値を示すデジタル信号を求めてレジスタに保持し、その値に基準信号を更新させるための制御信号を生成する。
【0030】
DAC1343は、制御信号に対するDA(Digital to Analog)変換により、アナログの基準信号を更新する。
【0031】
初期状態において基準信号のレベルは、所定の参照信号をVREFとして、例えば、初期値VREF/2に設定される。そして、比較器1341は、選択した画素信号と、初期値の基準信号とを比較する。画素信号が基準信号より大きい場合、SARロジック回路1342は、デジタル信号DOUTのMSB(Most Significant Bit)を「1」にする。そして、SARロジック回路1342は、基準信号をVREF/4の分、上昇させる。
【0032】
一方、画素信号が基準信号以下の場合、SARロジック回路1342は、デジタル信号DOUTのMSBを「0」にする。そして、SARロジック回路1342は、基準信号をVREF/4の分、降下させる。
【0033】
そして、比較器1341は、次の比較を行い、画素信号が基準信号より大きい場合、SARロジック回路1342は、MSBの次の桁を「1」にする。そして、SARロジック回路1342は、基準信号をVREF/8の分、上昇させる。
【0034】
一方、画素信号が基準信号以下の場合、SARロジック回路1342は、MSBの次の桁を「0」にする。そして、SARロジック回路1342は、基準信号をVREF/8の分、降下させる。
【0035】
以下、同様の手順が、LSB(Least Significant Bit)まで継続される。これにより、アナログの画素信号が、デジタル信号DOUTにAD変換される。AD変換の終了時にSARロジック回路1342は、デジタル信号DOUTを出力する。このデジタル信号DOUTは、画素信号(リセットレベルまたは信号レベル)をAD変換したデータ(すなわち、画素データ)を示す。
【0036】
なお、参照電圧VREFを変更することにより、カラムADC134Aのゲインを制御することができる。
【0037】
<1.4.DACの構成例>
図4は、本開示の各実施形態に共通するDAC1343の構成例を示す図である。
図4に示すDAC1343は、上位ビット用の参照信号を生成する上位ビットDAC1343Mと、下位ビット用の参照信号を生成する下位ビットDAC1343Lと、を有する。DAC1343は、複数の容量素子C0~C10と、複数の容量素子C0~C10に対応して配置される複数のスイッチS0~S10と、を有する。
図4において、各容量素子C0~C10の容量Cは、比で示している。複数のスイッチS0~S10は、例えば後述する参照電圧生成回路152が出力する参照電圧VRT1、VRT4、VRB、VRB4、VRCのいずれかを切り替え可能に接続される。
【0038】
すなわち、DAC1343は、容量素子C0~C10の容量の値と、参照電圧の値との組み合わせによって、異なる値の参照信号VDACを比較器1341に供給するバイナリ方式のCDACである。
【0039】
このように、容量素子C0~C10の容量の値と、参照電圧の値との組み合わせによって、異なる値の参照信号VDACを出力することで、DAC1343の総容量値、すなわちDAC1343の面積を削減することができる。
【0040】
図4に示すDAC1343の容量素子C0~C10の総容量値は280Cである。一方、DAC1343に入力する参照電圧を例えば参照電圧VRT4、VRB4の1組だけにしてDAC1343を構成すると、容量素子C0~C10の容量値をBinaryの関係で増加させて行く必要があるため、総容量値が1024Cとなってしまう。容量素子C0~C10の面積は、容量値に応じて大きくなるため、容量素子C0~C10の総容量値が大きいとDAC1343の面積も大きくなってしまう。
【0041】
上述したように、DAC1343に複数の参照電圧を入力することで、Binaryの関係で変化する参照信号VDACを出力することができる。そのため、参照電圧が1組の場合に比べて容量素子C0~C10の総容量値を削減することができる。これにより、DAC1343の面積を削減することができる。
【0042】
ここで、参照電圧にオフセット電圧が含まれる場合について説明する。後述するが、参照電圧生成回路152にはオペアンプが含まれるため、参照電圧には、オペアンプに起因するオフセット電圧が含まれてしまう。
【0043】
このオフセット電圧は、DAC1343が出力する参照信号VDACの線形性に影響を与えるため、カラムADCの出力信号の線形性にも影響を与えてしまう。
【0044】
まず、参照電圧にオフセット電圧が含まれない場合の参照信号VDACについて説明する。ここで、
図4に示す参照電圧の関係が、VRT1-VRB=VREF、VRT4-VRB4=VREF/4であるとする。また、ここでは、参照電圧VRT1、VRT4にはオフセット電圧が含まれないものとする。
【0045】
複数のスイッチS0~S10が、容量素子C0~C10に印加される電圧として参照電圧VRCを選択しているものとする。なお、参照電圧VRCは、VRT1とVRBの中間値(VRC=VRT1-VREF/2)である。このとき、最上位ビット(MSB)に対応する容量C10に印加される電圧が、参照電圧VRCから参照電圧VRT1になるように、スイッチS10の接続先を切り替えたとする。このスイッチS10の切り替えにより変化するDAC1343の参照信号VDACの変化量は、128C/280C×VREF/2=64VREF/280となる。これは、512LSBの電圧変化量である。なお、280CはDAC1343の総容量値である。
【0046】
また、容量素子C6に対応するスイッチS6の接続先を参照電圧VRCから参照電圧VRT1に切り替えた場合、DAC1343の参照信号VDACの変化量は、8C/280C×VREF/2=4VREF/280となる。これは、32LSBの電圧変化量である。
【0047】
また、容量素子C5に対応するスイッチS5の接続先を参照電圧VRCから参照電圧VRT4に切り替えた場合、DAC1343の参照信号VDACの変化量は、16C/280C×VREF/8=2VREF/280となる。これは、16LSBの電圧変化量である。
【0048】
このように、容量素子C0~C10の容量値の関係がBinaryの関係でなくても、複数の参照電圧を利用することで、DAC1343の出力である参照信号VDACをBinaryの関係を満たすように変化させることができる。
【0049】
このように、参照電圧にオフセット電圧が含まれない場合、DACcodeと参照信号VDACとの関係は
図5に示すように線形性の関係となる。なお、
図5は、参照電圧にオフセット電圧が含まれない場合のDACcodeと参照信号VDACとの関係を説明するための図である。また、DAC1343が出力する参照信号VDACの電圧値は離散的な値であるが、
図5では、線形性の関係を見やすくするために参照信号VDACの変化を連続的に示している。
【0050】
詳細は後述するが、参照電圧生成回路152が、例えば生成する参照電圧ごとにオペアンプを有する場合、参照電圧ごとに異なるオフセット電圧が発生する。そのため、複数の参照電圧間には、オフセット電圧に応じた電圧差分ΔVが発生する。以下、説明を簡略化するために、参照電圧VRT1にはオフセット電圧が含まれないが、参照電圧VRT4にΔVのオフセット電圧が発生するものとして説明する。
【0051】
容量素子C5に対応するスイッチS5の接続先を参照電圧VRCから参照電圧VRT4に切り替えた場合について説明する。参照電圧VRT4には、ΔVのオフセット電圧が発生しているため、DAC1343の参照信号VDACの変化量は、16C/280C×(VREF/8+ΔV/2)=2VREF/280+8ΔV/280となる。これは、16LSB+ΔLSBの電圧変化量である。
【0052】
ここで、16LSB=2VREF/280であるため、ΔLSBは、ΔLSB=8ΔV/280÷2VREF/280=4ΔV×2/280=4ΔV×16LSB/VREFとなる。この式を整理すると、ΔLSB=ΔV/(VREF/4)×32LSB×1/2となる。
【0053】
ΔVがゼロより小さい、すなわちオフセット電圧が負の値であった場合、
図6に示すように、参照電圧が切り替わるDACcodeで参照信号VDACが小さくなり、線形性の関係を満たさなくなる。なお、
図6は、参照電圧にオフセット電圧が含まれる場合のDACcodeと参照信号VDACとの関係を説明するための図である。また、DAC1343が出力する参照信号VDACの電圧値は離散的な値であるが、
図6では、線形性の関係を見やすくするために参照信号VDACの変化を連続的に示している。
【0054】
一方、ΔVがゼロより大きい、すなわちオフセット電圧が正の値であった場合、
図7に示すように、参照電圧が切り替わるDACcodeで参照信号VDACが大きくなり、線形性の関係を満たさなくなる。なお、
図7は、参照電圧にオフセット電圧が含まれる場合のDACcodeと参照信号VDACとの関係を説明するための図である。また、DAC1343が出力する参照信号VDACの電圧値は離散的な値であるが、
図7では、線形性の関係を見やすくするために参照信号VDACの変化を連続的に示している。
【0055】
このように、参照電圧生成回路152が出力する参照電圧にオフセット電圧が含まれると、DAC1343やカラムADC134Aの出力の線形性を満たせない場合があった。本開示の技術は、この点に着目し、参照電圧に含まれるオフセット電圧をキャンセルすることで、オフセット電圧の影響を削減し、DAC1343の線形性を満たすようにするものである。以下、各実施形態において、参照電圧に含まれるオフセット電圧をキャンセルする参照電圧生成回路152について説明する。
【0056】
<2.第1実施形態>
続いて、本開示の第1実施形態に係る参照電圧生成回路152Aについて説明する。本実施形態に係る参照電圧生成回路152Aは、容量素子にオペアンプの入力に発生する入力換算のオフセット電圧を保持させ、保持したオフセット電圧を逆極性でオペアンプの入力に加算することでオフセットキャンセルを実行する。
【0057】
図8は、本開示の第1実施形態に係る参照電圧生成回路152Aの構成例を示す図である。参照電圧生成回路152Aは、オペアンプA1と、容量素子C11と、第1、第2スイッチSW11、SW12と、トランジスタTr1と、可変抵抗回路R11と、を有する。
【0058】
オペアンプA1は、電圧生成回路151が生成する基準電圧VREFを所定の倍率で増幅して出力する。なお、オペアンプA1の増幅率には1も含まれる。増幅率が1の場合、オペアンプA1は、バッファ回路として機能する。
【0059】
オペアンプA1の出力は、トランジスタTr1に入力される。トランジスタTr1はソースフォロア回路であり、オペアンプA1の出力を増幅した参照電圧VRTを出力する。このように、トランジスタTr1のソース端子から抵抗を介さず直接参照電圧VRTを出力することで、抵抗のインピーダンス成分による応答性の低下を抑制することができる。これにより、参照電圧生成回路152Aをより高速に動作させることができる。
【0060】
容量素子C11は、一端がオペアンプA1の基準電圧VREFが入力される入力端とは異なる入力端に接続され、他端が第1スイッチSW1に接続される。可変抵抗回路R11は、一端がトランジスタTr1に接続され、他端が基準電位VRBに接続される。可変抵抗回路R11によって、オペアンプA1のフィードバックループの抵抗値を変更することができる。フィードバックループの抵抗値が変わると、オペアンプA1の増幅率が変化する。そのため、可変抵抗回路R11を用いてフィードバックループの抵抗値を変えることで、参照電圧VRTの値を変更することができ、参照電圧生成回路152Aは、複数の参照電圧を生成することができる。
【0061】
第1スイッチSW11は、容量素子C11と参照電圧生成回路152Aの入力端、すなわち電圧生成回路151の出力端との間に配置される。第1スイッチSW11は、容量素子C11の他端の接続先を、電圧生成回路151の出力端、または、オペアンプA1のフィードバックループのいずれかに切り替える切替回路である。第1スイッチSW11は、例えばHigh状態の場合に、容量素子C11の他端と参照電圧生成回路152Aの入力端、すなわち電圧生成回路151の出力端とを接続する。また、第1スイッチSW11が例えばLow状態の場合に、容量素子C11の他端とオペアンプA1のフィードバックループとを接続する。
【0062】
第2スイッチSW12は、オペアンプA1のフィードバックループに配置される。第2スイッチSW12は、容量素子C11の一端を、オペアンプA1のフィードバックループに接続するか否かを切り替える切替回路である。また、第2スイッチSW12は、第1スイッチSW11と連動して容量素子C11の他端をオペアンプA1のフィードバックループに接続する。第2スイッチSW12は、例えばHigh状態の場合、容量素子C11の一端を、オペアンプA1のフィードバックループに接続する。また、第2スイッチSW12および第1スイッチSW11がLow状態の場合、容量素子C11の他端とオペアンプA1のフィードバックループとが接続される。
【0063】
ここで、上述したように、本実施形態に係る参照電圧生成回路152Aは、可変抵抗回路R11の抵抗値を調整することでオペアンプA1のゲインを調整し、複数の参照電圧を出力する。このとき、オペアンプA1にオフセット電圧が発生することで、オペアンプA1のゲインの線形性に影響が発生する。
【0064】
図9に示すように、オペアンプA1でオフセット電圧が発生しない場合、オペアンプA1の入力電圧である基準電圧VREFを1/8倍してV1=VREFからV2=VREF/8に変化させると、オペアンプA1の出力電圧である参照電圧VRTは、VRT=VREF/8になる。このように、オペアンプA1でオフセット電圧が発生しない場合、オペアンプA1のゲインの線形性には影響を与えない。なお、
図9は、オペアンプA1でオフセット電圧が発生しない場合におけるオペアンプA1のゲインを説明するための図である。
【0065】
一方、オペアンプA1でオフセット電圧が発生する場合について説明する。例えば、基準電圧VREFが参照電圧生成回路152Aに入力された場合に、参照電圧生成回路152Aが基準電圧VREFを出力するとする。この場合、参照電圧にはオフセット電圧が含まれるため、実際に参照電圧生成回路152Aが出力する参照電圧VRTは、VRT=VREF+ΔVになる。
【0066】
このような場合に、入力電圧である基準電圧VREFを1/8倍しても、オフセット電圧ΔVは1/8倍にならない。そのため、参照電圧生成回路152Aが出力する参照電圧VRTは、VRT=VREF/8+ΔVとなる。このように、参照電圧にオフセット電圧が含まれる場合、入力電圧である基準電圧VREFを1/8倍しても出力電圧である参照電圧VRTは1/8倍にならない。
【0067】
図10に示すように、オフセット電圧が0より大きい、すなわち、オフセット電圧が正の場合、入力電圧である基準電圧VREFを1/8倍しても、参照電圧VRTは基準電圧VREFの1/8倍より大きくなってしまう。また、
図11に示すように、オフセット電圧が0より小さい、すなわち、オフセット電圧が負の場合、入力電圧である基準電圧VREFを1/8倍しても、参照電圧VRTは基準電圧VREFの1/8倍より小さくなってしまう。なお、
図10、
図11は、オペアンプA1でオフセット電圧が発生する場合におけるオペアンプA1のゲインを説明するための図である。
【0068】
このように、オペアンプA1にオフセット電圧が発生すると、オペアンプA1のゲインの線形性に影響が発生する。そこで、本実施形態に係る参照電圧生成回路152Aでは、容量素子C11を用いてオペアンプA1のオフセット電圧をキャンセルする。これにより、本実施形態に係る参照電圧生成回路152Aは、オペアンプA1のゲインに与える線形性の影響を小さくすることができる。
【0069】
次に、
図12を用いて、本開示の第1実施形態に係る参照電圧生成回路152Aの第1、第2スイッチSW11、SW12の動作について説明する。
図12は、本開示の第1実施形態に係る参照電圧生成回路152Aの動作例を説明するための図である。
【0070】
図12に示すように、時刻t01で、参照電圧生成回路152Aの第1スイッチSW11はHigh状態となり、第2スイッチSW12はLow状態となる。これにより、
図13に示すように、容量素子C11の一端がオペアンプA1のフィードバックループに接続され、他端が電圧生成回路151の出力端に接続される。
【0071】
図13に示す容量素子C11の両端には、オペアンプA1に発生する入力換算のオフセット電圧V
OVRTと、トランジスタTr1のオフセット電圧V
OSFVRTとに応じたオフセット電圧V
OAMPが印加される。これにより、容量素子C11には、オフセット電圧V
OAMPをキャンセルするための電荷が蓄積される。時刻t01から時刻t02の間は、容量素子C11がオフセット電圧V
OAMPをサンプリングするオフセットサンプリング期間であるともいえる。なお、
図13は、本開示の第1実施形態に係る参照電圧生成回路152Aによるオフセットキャンセルを説明するための図である。
【0072】
図12に戻る。時刻t02において、第1スイッチSW11はLow状態となり、第2スイッチSW12はHigh状態となる。これにより、
図14に示すように、容量素子C11の一端がオペアンプA1の入力端に接続され、他端がオペアンプA1のフィードバックループに接続される。このように、容量素子C11は、他端がオペアンプA1のフィードバックループに接続されることで、オペアンプA1のフィードバックループを構成する構成要素となる。
【0073】
時刻t01から時刻t02の間で電荷を蓄積した容量素子C11は、時刻t02でそれまでとは逆極性でオペアンプA1のフィードバックループに接続されることで、フィードバックループのオフセット電圧V
OAMPをキャンセルする。このように、時刻t02から時刻t03の間は、容量素子C11によってオフセットキャンセルを実行しながらオペアンプA1が参照電圧を出力する期間(オフセットキャンセル期間)であるともいえる。なお、
図14は、本開示の第1実施形態に係る参照電圧生成回路152Aによるオフセットキャンセルを説明するための図である。
【0074】
図12に戻る。参照電圧生成回路152Aは、固体撮像装置100が画素111を1行読み出すごとにオフセットサンプリングを実行する。時刻t01から時刻t03の間に固体撮像装置100が1行分の画素111の読み出しを行うと、参照電圧生成回路152Aは、時刻t03において第1スイッチSW11をHigh状態とし、第2スイッチSW12をLow状態とする。これにより、容量素子C11によってオフセットがサンプリングされる。続いて、時刻t04において、参照電圧生成回路152Aは、第1スイッチSW11をLow状態とし、第2スイッチSW12をLow状態とする。これにより、容量素子C11によってオフセットがキャンセルされ、参照電圧生成回路152Aは、オフセット電圧を含まない参照電圧を出力する。
【0075】
このように、参照電圧生成回路152Aが、容量素子C11を用いてオフセット電圧のサンプリングおよびキャンセルを行う。これにより、カラムADC134AのDAC1343に入力する参照電圧のオフセットを抑制することができる。
【0076】
<3.第2実施形態>
続いて、本開示の第2実施形態について説明する。本開示の第2実施形態に係る参照電圧生成回路152Bは、
図8に示す参照電圧生成回路152Aの構成に加え、オペアンプA1の出力を保持するサンプルホールド回路を有する。
【0077】
図15は、本開示の第2実施形態に係る参照電圧生成回路152Bの構成例を示す図である。
図15に示すように、本実施形態の参照電圧生成回路152Bは、サンプルホールド回路を有する。
【0078】
サンプルホールド回路は、第3スイッチSW13および容量素子C12を有する。容量素子C12は、一端がオペアンプの出力端とトランジスタTr1のゲート端子との間に接続され、他端が基準電位VRBに接続される。第3スイッチSW13は、容量素子C12の一端とオペアンプA1の出力端との間に配置される。
【0079】
第3スイッチSW13がオン(High)状態となることで、容量素子C12にオペアンプA1の出力がサンプリングされる。また、第3スイッチSW13がオフ(Low)状態となると、容量素子C12にサンプリングされたオペアンプA1の出力がトランジスタTr1に出力される。
【0080】
次に、
図16を用いて、本開示の第1実施形態に係る参照電圧生成回路152Bの第1、第2スイッチSW11、SW12の動作について説明する。
図16は、本開示の第2実施形態に係る参照電圧生成回路152Bの動作例を説明するための図である。
【0081】
図16に示すように、時刻t11で、参照電圧生成回路152Bの第1スイッチSW11はHigh状態、第2スイッチSW12はLow状態となる。また、第3スイッチS13はHigh状態となる。これにより、容量素子C11には、オフセット電圧をキャンセルするための電荷が蓄積される。
【0082】
時刻t12において、第1スイッチSW11はLow状態となり、第2スイッチSW12はHigh状態となる。なお、第3スイッチSW13は、High状態を維持する。これにより、容量素子C11によってオフセットキャンセルが行われつつ、オペアンプA1が参照電圧を出力する。また、容量素子C12によって参照電圧がサンプリングされる。
【0083】
次に時刻t13で、第2スイッチSW12はLow状態となり、第3スイッチSW13はLow状態となる。なお、第1スイッチSW11は、Low状態を維持する。これにより、容量素子C12がサンプリングした参照電圧がトランジスタTr1を介してカラムADC134AのDAC1343に出力される。
【0084】
なお、参照電圧生成回路152Bが、固体撮像装置100が1行分の画素111の読み出す期間を1周期として、オフセット電圧のサンプリングおよびキャンセルを行う点は
図12に示す第1実施形態の場合と同様である。
【0085】
このように、参照電圧生成回路152Bが、サンプルホールド回路を有することで、オペアンプA1の出力をホールドすることができ、オペアンプA1の定常電流を削減し、固体撮像装置100の低電力化を実現することができる。
【0086】
<4.第3実施形態>
続いて、本開示の第3実施形態に係る参照電圧生成回路152Cについて説明する。
図17は、本開示の第3実施形態に係る参照電圧生成回路152Cの構成例を示す図である。本実施形態に係る参照電圧生成回路152Cは、
図8に示す可変抵抗回路R11のかわりに抵抗値が固定の抵抗R12を有する点を除き、第1実施形態に係る参照電圧生成回路152Aの構成および動作と同じである。
【0087】
なお、可変抵抗回路R11を抵抗R12に変更することで、オペアンプA1の増幅率を調整することができなくなってしまう。そこで、本実施形態では、参照電圧生成回路152Cに入力される基準電圧VREFを可変とすることで、参照電圧生成回路152Cが出力する参照電圧VRTの値を変更する。これにより、可変抵抗回路R11のかわりに抵抗値が固定の抵抗R12を有する場合であっても、参照電圧生成回路152Cは、値が異なる複数の参照電圧VRTを生成することができる。
【0088】
<5.第4実施形態>
続いて、本開示の第4実施形態に係る参照電圧生成回路152Dについて説明する。
図18は、本開示の第4実施形態に係る参照電圧生成回路152Dの構成例を示す図である。本実施形態に係る参照電圧生成回路152Dは、
図14に示す参照電圧生成回路152Cの構成に加え、オペアンプA1の出力を保持するサンプルホールド回路を有する。
【0089】
なお、サンプルホールド回路の構成は、
図15に示す第2実施形態に係る参照電圧生成回路152Bのサンプルホールド回路と同じである。
【0090】
可変抵抗回路R11の代わりに固定値の抵抗R12を設けた場合であっても、参照電圧生成回路152Dは、サンプルホールド回路を設けることで、オペアンプA1の定常電流を削減することができる。
【0091】
<6.第5実施形態>
続いて、本開示の第5実施形態に係る参照電圧生成回路152Eについて説明する。
図19は、本開示の第5実施形態に係る参照電圧生成回路152Eの構成例を示す図である。本実施形態に係る参照電圧生成回路152Eは、
図8に示す参照電圧生成回路152Aの構成に加え、さらに参照電圧VRT2を出力するための回路を有する。
【0092】
参照電圧生成回路152Eは、
図8に示す参照電圧生成回路152の構成に加え、
図19に示すように、オペアンプA2と、容量素子C21と、第1、第2スイッチSW21、SW22と、トランジスタTr2と、可変抵抗回路R21と、を有する。
【0093】
なお、オペアンプA2、容量素子C21、第1、第2スイッチSW21、SW22、トランジスタTr2および可変抵抗回路R21の構成および動作は、
図8に示す参照電圧生成回路152Aの構成および動作と同じである。
【0094】
図19に示すように、オペアンプA1、A2を用いて、それぞれ参照電圧VRT1、VRT2を生成すると、オペアンプA1、A2のオフセット電圧がそれぞれ異なるため、参照電圧VRT1、VRT2間で電圧差分が発生してしまう。
【0095】
本実施形態に係る参照電圧生成回路152Eでは、オペアンプA1に発生するオフセット電圧を、容量素子C11を用いてキャンセルし、オペアンプA2に発生するオフセット電圧を、容量素子C21を用いてキャンセルする。このように、オペアンプA1、A2のオフセット電圧をそれぞれキャンセルすることで、参照電圧VRT1、VRT2間の電圧差をより低減することができる。
【0096】
<7.第6実施形態>
続いて、本開示の第6実施形態について説明する。
図20は、本開示の第6実施形態に係る参照電圧生成回路152Fの構成例を示す図である。本開示の第6実施形態に係る参照電圧生成回路152Fは、
図19に示す参照電圧生成回路152Eの構成に加え、オペアンプA1、A2の出力を保持するサンプルホールド回路をそれぞれ有する。
【0097】
オペアンプA1の出力を保持するサンプルホールド回路は、
図15に示す参照電圧生成回路152Bのサンプルホールド回路と同じ構成および動作である。また、オペアンプA2の出力を保持するサンプルホールド回路は、第3スイッチSW23および容量素子C22を有するが、その構成および動作は
図15に示す参照電圧生成回路152Bのサンプルホールド回路と同じである。
【0098】
このように、参照電圧生成回路152Fが2つの参照電圧VRT1、VRT2を出力する場合であっても、サンプルホールド回路を設けることで、オペアンプA1、A2の定常電流を削減することができる。
【0099】
<8.第7実施形態>
続いて、本開示の第7実施形態に係る参照電圧生成回路152Gについて説明する。
図21は、本開示の第7実施形態に係る参照電圧生成回路152Gの構成例を示す図である。本実施形態に係る参照電圧生成回路152Gは、
図18に示す可変抵抗回路R11、R11のかわりに抵抗値が固定の抵抗R31~R33を有する点を除き、第5実施形態に係る参照電圧生成回路152Eの構成および動作と同じである。
【0100】
抵抗R31は、一端が参照電圧VRT1の出力端子に接続され、他端が基準電位VRBに接続される。抵抗R32および抵抗R33は、直列に接続される。抵抗R32の一端が参照電圧VRT2の出力端子に接続され、抵抗R33の他端が基準電位VRBに接続される。また、抵抗R32と抵抗R33との接続点が第2スイッチSW22に接続される。抵抗R32は、オペアンプA2のフィードバックループの一部である。これにより、オペアンプA2のフィードバックループには、抵抗R32、R33で構成される抵抗回路の分圧比に応じた電圧が印加される。オペアンプA2は、抵抗R32と抵抗R33との抵抗比に応じた増幅率で入力である電圧VREFを増幅し、参照電圧VRT2を生成する。
【0101】
例えば、抵抗R32と抵抗R33の抵抗比が、1:3である場合、オペアンプA2は、電圧VREFを4倍した参照電圧VRT2=4VREFを生成する。一方、オペアンプA1は、増幅率1で電圧VREFを増幅して参照電圧VRT1を生成する。換言すると、オペアンプA1は、電圧VREFをバッファして、参照電圧VRT1=VREFを生成する。したがって、この場合、参照電圧生成回路152Gは、1:4の参照電圧VRT1、VRT2を生成することができる。
【0102】
このように、固定の抵抗値の抵抗R31~R33を設けることで、所定の電圧比の参照電圧を生成することができる。
【0103】
<9.第8実施形態>
続いて、本開示の第8実施形態に係る参照電圧生成回路152Hについて説明する。
図22は、本開示の第8実施形態に係る参照電圧生成回路152Hの構成例を示す図である。本実施形態に係る参照電圧生成回路152Hは、
図21に示す参照電圧生成回路152Gの構成に加え、オペアンプA1、A2の出力を保持するサンプルホールド回路をそれぞれ有する。
【0104】
オペアンプA1、A2の出力を保持するサンプルホールド回路の構成は、
図20に示す参照電圧生成回路152Fと同じである。このように、参照電圧生成回路152Hが2つの参照電圧VRT1、VRT2を出力する場合であっても、サンプルホールド回路を設けることで、オペアンプA1、A2の定常電流を削減することができる。
【0105】
図23は、本開示の第8実施形態に係る参照電圧生成回路152HおよびカラムADC134Aの構成例を示す図である。
【0106】
図23に示すように、カラムADC134Aは、垂直信号線144ごとに設けられ、アナログの画素信号をデジタル信号に変換する。カラムADC134Aは、上述したように、比較器1341と、SARロジック回路1342と、DAC1343と、を有する。
【0107】
図23に示すDAC1343は、スイッチ群が、参照電圧VRT1と基準電位VRBとを切り替える、または、参照電圧VRT2と基準電位VRBとを切り替える点で、
図4に示すDAC1343とは異なる。しかしながら、
図23に示すDAC1343は、異なる電圧値の参照電圧に基づき、参照信号を生成する点において
図4に示すDAC1343と同じである。
【0108】
参照電圧生成回路152Hは、参照電圧VRT1、VRT2を生成し、複数のADC134Aそれぞれに出力する。
【0109】
このように、参照電圧生成回路152Hがオフセット電圧を除去した参照電圧VRT1、VRT2を複数のADC134Aそれぞれに出力することで、複数のADC134Aは、AD変換の出力信号の線形性を維持することができる。また、参照電圧生成回路152Hが異なる複数の参照電圧VRT1、VRT2を出力することで、DAC1433の総容量値を低減することができ、DAC1343の面積を低減することができる。DAC1343は、垂直信号線144ごとに設けられるため、DAC1343の面積を低減することで、固体撮像装置100の面積をより削減することができる。
【0110】
<10.第9実施形態>
続いて、本開示の第9実施形態に係る参照電圧生成回路152Iについて説明する。
図24は、本開示の第9実施形態に係る参照電圧生成回路152Iの構成例を示す図である。本実施形態に係る参照電圧生成回路152Iは、オペアンプA2を備えておらず、新たにスイッチSW3を備えている点を除き、
図20に示す参照電圧生成回路152Fと同じ構成要素を有する。
【0111】
図24に示すように、参照電圧生成回路152Iの容量素子C11は、一端がスイッチSW3を介してオペアンプA1に接続される。同様に、容量素子C21も一端がスイッチSW3を介してオペアンプA1に接続される。また、第3スイッチSW23は、一端がオペアンプA1に接続される。このように、スイッチSW3は、オペアンプA1と接続する容量素子を容量素子C11または容量素子C21のどちらかに切り替える。
【0112】
スイッチSW3は、オペアンプA1が参照電圧VRT1を生成するか、参照電圧VRT2を生成するか、を切り替える切替回路である。すなわち、本実施形態に係る参照電圧生成回路152Iは、スイッチSW3を切り替えることで参照電圧VRT1、VRT2を時分割して生成する。参照電圧生成回路152Iは、生成した参照電圧VRT1、VRT2をサンプルホールド回路で保持することで、時分割して生成した参照電圧VRT1、VRT2を後段のDAC1343に出力する。
【0113】
スイッチSW3は、例えばHigh状態でトランジスタTr1を含むフィードバックループがオペアンプA1に接続され、Low状態でトランジスタTr2を含むフィードバックループがオペアンプA1に接続されるように切り替える。すなわち、スイッチSW3は、例えばHigh状態で参照電圧生成回路152Iが参照電圧VRT1を生成し、Low状態で参照電圧VRT2が生成されるように切り替える。
【0114】
図25は、本開示の第9実施形態に係る参照電圧生成回路152Iの動作を説明するための図である。
【0115】
図25に示すように、時刻t51で、スイッチSW3、第3スイッチSW13および第1スイッチSW11がHigh状態になり、第2スイッチSW12、SW22、第3スイッチSW23および第1スイッチSW21がLow状態となる。これにより、容量素子C11の一端が電圧生成回路151の出力端子に接続され、他端がフィードバックループに接続される。そして、容量素子C11は、オペアンプA1のオフセット電圧をサンプリングする。
【0116】
続いて、時刻t52で、第1スイッチS11がLow状態となり、第2スイッチSW12がHigh状態となる。それ以外のスイッチは、時刻t51の状態を維持する。これにより、容量素子C11の他端がフィードバックループに接続され、容量素子C11が時刻t52までの間に蓄積した電荷がオペアンプA1のフィードバックループに逆極性で印加される。
【0117】
そのため、オペアンプA1のオフセット電圧がキャンセルされた状態で、オペアンプA1は、参照電圧VRT1を生成し、サンプルホールド回路の容量素子C12に参照電圧VRT1を保持する。
【0118】
次に、時刻t53において、スイッチSW3、第3スイッチSW13および第2スイッチSW12がLow状態となる。また、第3スイッチSW23および第1スイッチSW21がHigh状態となる。それ以外のスイッチは時刻t52の状態を維持する。これにより、容量素子C21の一端が電圧生成回路151の出力端子に接続され、他端がフィードバックループに接続される。そして、容量素子C21は、オペアンプA1のオフセット電圧をサンプリングする。
【0119】
続いて、時刻t54で、第1スイッチS21がLow状態となり、第2スイッチSW22がHigh状態となる。それ以外のスイッチは、時刻t53の状態を維持する。これにより、容量素子C21の他端がフィードバックループに接続され、容量素子C21が時刻t54までの間に蓄積した電荷がオペアンプA1のフィードバックループに逆極性で印加される。
【0120】
そのため、オペアンプA1のオフセット電圧がキャンセルされた状態で、オペアンプA1は、参照電圧VRT2を生成し、サンプルホールド回路の容量素子C22に参照電圧VRT2を保持する。
【0121】
次に、時刻t55で第3スイッチSW23および第2スイッチSW22がLow状態になると、容量素子C12、C22に保持されていた参照電圧VRT1、VRT2が参照電圧生成回路152Iから出力される。
【0122】
参照電圧生成回路152Iは、
図25の動作を、固体撮像装置100が画素信号を読み出す1行ごとに実行する。なお、
図25では、参照電圧生成回路152Iが参照電圧VRT1を生成してから参照電圧VRT2を生成する場合について説明したが、参照電圧VRT1、VRT2を生成する順番はこれに限定されず、参照電圧VRT2から先に生成してもよい。
【0123】
このように、参照電圧生成回路152IのオペアンプA1が1つであっても、オペアンプA1を時分割して使用することで、異なる電圧値の参照電圧VRT1、VRT2を生成することができる。これにより、オペアンプA1の数を削減することができ、参照電圧生成回路152Iの面積を削減することができる。
【0124】
<11.適用例>
本開示に係る技術は、前述したCMOSイメージセンサ等の撮像素子の他に、間接TOF(Indirect-Time of Flight)方式距離画像センサに対しても適用することができる。間接TOF方式距離画像センサは、光源から発した光が対象物で反射し、その反射光の到達位相差の検出に基づいて光飛行時間を計測することによって、対象物までの距離を測定するセンサである。
【0125】
<11.1.システム構成例>
図26は、本開示に係る技術を適用した間接TOF方式距離画像センサのシステム構成の一例を示すブロック図である。
【0126】
図26に示すように、間接TOF方式距離画像センサ10000は、センサチップ10001、および、当該センサチップ10001に対して積層された回路チップ10002を含む積層構造を有している。この積層構造において、センサチップ10001と回路チップ10002とは、ビア(VIA)やCu-Cu接続などの接続部(図示せず)を通して電気的に接続される。尚、
図26では、センサチップ10001の配線と回路チップ10002の配線とが、上記の接続部を介して電気的に接続された状態を図示している。
【0127】
センサチップ10001上には、画素アレイ部10020が形成されている。画素アレイ部10020は、センサチップ10001上に2次元のグリッドパターンで行列状(アレイ状)に配置された複数の画素10230を含んでいる。画素アレイ部10020において、複数の画素10230はそれぞれ、赤外光を受光し、光電変換を行ってアナログ画素信号を出力する。画素アレイ部10020には、画素列毎に2本の垂直信号線VSL1、VSL2が配線されている。画素アレイ部10020の画素列の数をM(Mは、整数)とすると、合計で2×M本の垂直信号線VSLが画素アレイ部10020に配線されている。
【0128】
複数の画素10230はそれぞれ、2つのタップA、B(その詳細については後述する)を有している。2本の垂直信号線VSL1、VSL2のうち、垂直信号線VSL1には、対応する画素列の画素10230のタップAの電荷に基づく画素信号AINP1が出力され、垂直信号線VSL2には、対応する画素列の画素10230のタップBの電荷に基づく画素信号AINP2が出力される。画素信号AINP1、AINP2については後述する。
【0129】
回路チップ10002上には、垂直駆動回路10010、カラム信号処理部10040、出力回路10060、および、タイミング制御部10050が配置されている。垂直駆動回路10010は、画素アレイ部10020の各画素10230を画素行の単位で駆動し、画素信号AINP1、AINP2を出力させる。垂直駆動回路10010による駆動の下に、選択行の画素10230から出力された画素信号AINP1、AINP2は、垂直信号線VSL1、VSL2を通してカラム信号処理部10040に供給される。
【0130】
カラム信号処理部10040は、画素アレイ部10020の画素列に対応して、例えば、画素列毎に設けられた複数のADC(上述のカラムADC134Aに相当)を有する構成となっている。各ADCは、垂直信号線VSL1、VSL2を通して供給される画素信号AINP1、AINP2に対して、AD変換処理を施し、出力回路10060に出力する。出力回路10060は、カラム信号処理部10040から出力されるデジタル化された画素信号AINP1、AINP2に対してCDS処理などを実行し、回路チップ10002外へ出力する。
【0131】
タイミング制御部10050は、各種のタイミング信号、クロック信号、および、制御信号等を生成し、これらの信号を基に、垂直駆動回路10010、カラム信号処理部10040、および、出力回路10060等の駆動制御を行う。
【0132】
<11.2.画素の回路構成例>
図27は、本開示に係る技術を適用した間接TOF方式距離画像センサにおける画素の回路構成の一例を示す回路図である。
【0133】
本例に係る画素10230は、光電変換部として、例えば、フォトダイオード10231を有している。画素10230は、フォトダイオード10231に加えて、オーバーフロートランジスタ10242、2つの転送トランジスタ10232、10237、2つのリセットトランジスタ10233、10238、2つの浮遊拡散層10234、10239、2つの増幅トランジスタ10235、10240、および、2つの選択トランジスタ10236、10241を有する構成となっている。2つの浮遊拡散層10234、10239は、
図26に示すタップA、Bに相当する。
【0134】
フォトダイオード10231は、受光した光を光電変換して電荷を生成する。フォトダイオード10231については、裏面照射型の画素構造とすることができる。裏面照射型の構造については、CMOSイメージセンサの画素構造で述べた通りである。但し、裏面照射型の構造に限られるものではなく、基板表面側から照射される光を取り込む表面照射型の構造とすることもできる。
【0135】
オーバーフロートランジスタ10242は、フォトダイオード10231のカソード電極と電源電圧VDDの電源ラインとの間に接続されており、フォトダイオード10231をリセットする機能を持つ。具体的には、オーバーフロートランジスタ10242は、垂直駆動回路10010から供給されるオーバーフローゲート信号OFGに応答して導通状態になることで、フォトダイオード10231の電荷をシーケンシャルに電源ラインに排出する。
【0136】
2つの転送トランジスタ10232、10237は、フォトダイオード10231のカソード電極と2つの浮遊拡散層10234、10239のそれぞれとの間に接続されている。そして、転送トランジスタ10232、10237は、垂直駆動回路10010から供給される転送信号TRGに応答して導通状態になることで、フォトダイオード10231で生成された電荷を、浮遊拡散層10234、10239にそれぞれシーケンシャルに転送する。
【0137】
タップA、Bに相当する浮遊拡散層10234、10239は、フォトダイオード10231から転送された電荷を蓄積し、その電荷量に応じた電圧値の電圧信号に変換し、画素信号AINP1、AINP2を生成する。
【0138】
2つのリセットトランジスタ10233、10238は、2つの浮遊拡散層10234、10239のそれぞれと電源電圧VDDの電源ラインとの間に接続されている。そして、リセットトランジスタ10233、10238は、垂直駆動回路10010から供給されるリセット信号RSTに応答して導通状態になることで、浮遊拡散層10234、10239のそれぞれから電荷を引き抜いて、電荷量を初期化する。
【0139】
2つの増幅トランジスタ10235、10240は、電源電圧VDDの電源ラインと2つの選択トランジスタ10236、10241のそれぞれとの間に接続されており、浮遊拡散層10234、10239のそれぞれで電荷電圧変換された電圧信号をそれぞれ増幅する。
【0140】
2つの選択トランジスタ10236、10241は、2つの増幅トランジスタ10235、10240のそれぞれと垂直信号線VSL1、VSL2のそれぞれとの間に接続されている。そして、選択トランジスタ10236、10241は、垂直駆動回路10010から供給される選択信号SELに応答して導通状態になることで、増幅トランジスタ10235、10240のそれぞれで増幅された電圧信号を画素信号AINP1、AINP2として2の垂直信号線VSL1、VSL2に出力する。
【0141】
2の垂直信号線VSL1、VSL2は、画素列毎に、カラム信号処理部10040内の1つのADCの入力端に接続されており、画素列毎に画素10230から出力される画素信号AINP1、AINP2をADCに伝送する。
【0142】
尚、画素10230の回路構成については、光電変換によって画素信号AIN
P1、AIN
P2を生成することができる回路構成であれば、
図27に例示した回路構成に限定されるものではない。
【0143】
上記の構成の間接TOF方式距離画像センサ10000において、カラム信号処理部10040に設けられた各ADCに入力される参照電圧を生成する参照電圧生成回路に対して、本開示に係る技術を適用することができる。すなわち、カラム信号処理部10040の各ADCに入力される参照電圧を生成する参照電圧生成回路として、第1~第9実施形態に係る参照電圧生成回路を用いることができる。
【0144】
<12.補足>
以上、添付図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0145】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本開示に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0146】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
画素アレイ部から延出する垂直信号線に接続された変換回路と、
所定電圧を出力する電圧生成回路と、
前記所定電圧を入力とし、前記変換回路の参照電圧を出力する参照電圧生成回路と、
を備え、
前記参照電圧生成回路は、
前記所定電圧を所定の倍率で増幅して前記参照電圧を出力するオペアンプと、
一端が前記オペアンプの、前記所定電圧が入力される入力端とは異なる入力端に接続される容量素子と、
前記容量素子の他端の接続先を、前記所定電圧が出力される前記電圧生成回路の出力端、または、前記オペアンプのフィードバックループのいずれかに切り替える第1切替回路と、
前記容量素子の一端を前記オペアンプの前記フィードバックループに接続するか否かを切り替える第2切替回路と、
を備える固体撮像装置。
(2)
前記参照電圧生成回路は、前記オペアンプの出力を保持するサンプルホールド回路をさらに備える、(1)に記載の固体撮像装置。
(3)
前記参照電圧生成回路は、前記オペアンプの前記フィードバックループを構成する抵抗回路をさらに備える、(1)または(2)に記載の固体撮像装置。
(4)
前記抵抗回路は可変抵抗回路である、(1)~(3)のいずれか1つに記載の固体撮像装置。
(5)
前記抵抗回路は、前記フィードバックループに所定の分圧比の電圧を印加する、(1)~(3)のいずれか1つに記載の固体撮像装置。
(6)
前記参照電圧生成回路は、
前記所定電圧を所定の倍率で増幅して前記参照電圧を出力する第2オペアンプと、
一端が前記第2オペアンプの、前記所定電圧が入力される入力端とは異なる入力端に接続される第2容量素子と、
前記第2容量素子の他端の接続先を、前記所定電圧が出力される前記電圧生成回路の出力端、または、前記第2オペアンプのフィードバックループのいずれかに切り替える第3切替回路と、
前記第2容量素子の一端を前記第2オペアンプの前記フィードバックループに接続するか否かを切り替える第4切替回路と、
をさらに備える(1)~(5)のいずれか1つに記載の固体撮像装置。
(7)
前記参照電圧生成回路は、前記第2オペアンプの出力を保持する第2サンプルホールド回路をさらに備える、(6)に記載の固体撮像装置。
(8)
前記参照電圧生成回路は、
一端が前記オペアンプの、前記所定電圧が入力される入力端とは異なる入力端に接続される第2容量素子と、
前記第2容量素子の他端の接続先を、前記所定電圧が出力される前記電圧生成回路の出力端、または、前記オペアンプの第2フィードバックループのいずれかに切り替える第3切替回路と、
前記第2容量素子の一端に前記オペアンプの前記第2フィードバックループを接続するか否かを切り替える第4切替回路と、
前記オペアンプの前記フィードバックループに接続され、前記オペアンプの出力を保持するサンプルホールド回路と、
前記オペアンプの前記第2フィードバックループに接続され、前記オペアンプの出力を保持する第2サンプルホールド回路と、
前記容量素子および前記第2容量素子のいずれか一方を前記オペアンプの入力端に接続するかを切り替える第5切替回路と、
(1)に記載の固体撮像装置。
(9)
固体撮像装置と、
前記固体撮像装置から出力される信号を処理する信号処理部と、
を備え、
前記固体撮像装置は、
画素アレイ部から延出する垂直信号線に接続された変換回路と、
所定電圧を出力する電圧生成回路と、
前記所定電圧を入力とし、前記変換回路の参照電圧を出力する参照電圧生成回路と、
を備え、
前記参照電圧生成回路は、
前記所定電圧を所定の倍率で増幅して前記参照電圧を出力するオペアンプと、
一端が前記オペアンプの、前記所定電圧が入力される入力端とは異なる入力端に接続される容量素子と、
前記容量素子の他端の接続先を、前記所定電圧が出力される前記電圧生成回路の出力端、または、前記オペアンプのフィードバックループのいずれかに切り替える第1切替回路と、
前記容量素子の一端を前記オペアンプの前記フィードバックループに接続するか否かを切り替える第2切替回路と、
を備える電子機器。
【符号の説明】
【0147】
1 電子機器
100 固体撮像装置
111 撮像素子
142 画素駆動配線
144 垂直信号線
134 カラム信号処理回路
134A AD変換器
1341 比較器
1342 SARロジック回路
1343 DAC
151 電圧生成回路
152 参照電圧生成回路