(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】クリーンサービスのためのフィルタエレメント係止機構
(51)【国際特許分類】
B01D 27/08 20060101AFI20240509BHJP
F01M 11/03 20060101ALI20240509BHJP
F02M 37/42 20190101ALN20240509BHJP
【FI】
B01D27/08
F01M11/03 E
F02M37/42
(21)【出願番号】P 2022063977
(22)【出願日】2022-04-07
(62)【分割の表示】P 2019511474の分割
【原出願日】2017-07-25
【審査請求日】2022-05-09
(32)【優先日】2016-09-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・エイ・モリス
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・アール・リース
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー・ジェイ・ベネット
【審査官】瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-530872(JP,A)
【文献】特開2008-267169(JP,A)
【文献】特開平11-247640(JP,A)
【文献】特開2000-279711(JP,A)
【文献】実開平03-119413(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 24/00-35/04;35/08-37/08
F01M 11/00-13/06
F02M 37/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタエレメントを第1および第2のフィルタハウジングに結合するように構成される結合組立体であって、前記結合組立体は:
前記
第1のフィルタハウジングに接合されるように構成され、円形断面を有する管状本体を含み、前記管状本体は長手方向軸線に沿って延在し、円錐台形端部と、前記円錐台形端部の大径端部に隣接して長手方向軸線に対して半径方向外向きに延び横方向に延びる突出部とを含む、カプラと;
前記フィルタエレメントに圧入されるか、一体的に形成されるかのいずれかであるように構成されるリテーナエレメント;および
前記カプラを前記リテーナエレメントに向かってバイアスするように構成された複数のフレキシブルフィンガーを含み、前記カプラに対して付勢力を加えて、前記カプラの第1の位置で前記リテーナエレメントに接触して前記カプラを保持し、前記カプラの第2の位置で前記リテーナエレメントから前記カプラを切り離すように構成される、付勢エレメントと、を備え、
前記リテーナエレメントは:
前記カプラの一部を受容するように構成されているリテーナ開口部であって、中央円形部と、該中央円形部の対応辺から延びる2つの対向する横方向スロットと、を含むリテーナ開口部と、
前記2つの対向する横方向スロットの対応間に延びる2つの円弧状ショルダ区分と、
前記2つの対向する横方向スロットを挟んである周方向位置において、前記2つの円弧状ショルダ区分のうちの片方の底面から第1の軸線方向距離延びている全タブと、
前記全タブから前記横方向スロットの反対側のある周方向位置にある前記2つの円弧状ショルダ区分のうちの他方の底面から前記第1の軸線方向距離未満の第2の軸線方向距離に延びる部分タブと、を含む、結合組立体。
【請求項2】
前記カプラは、
前記付勢エレメントに接触している間、軸方向および周方向に移動するように構成されている前記カプラの前記管状本体の前記円錐台形端部の外面と、
前記ハウジング内の前記フィルタエレメントの保持を可能にするために前記第1の位置で前記リテーナエレメントと係合するように前記付勢エレメントによって付勢されるように構成されている突出部の表面であって、前記リテーナエレメントとの係合から前記カプラが前記リテーナエレメントとの係合から解放され得る第2の位置まで、軸方向および周方向に移動させるように構成されている突出部の表面と、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の結合組立体。
【請求項3】
フィルタエレメントを第1および第2のフィルタハウジングに結合するように構成されている結合組立体であって、前記結合組立体は:
前記
第1のフィルタハウジングに接合されるように構成されているカプラと;
前記フィルタエレメントに圧入されるか、一体的に形成されるかのいずれかであるように構成されるリテーナエレメント;および
前記カプラに対して付勢力を加えて、前記カプラの第1の位置で前記リテーナエレメントに接触して前記カプラを保持し、前記カプラの第2の位置で前記リテーナエレメントから前記カプラを切り離すように構成される、付勢エレメントと、を備え、
前記カプラは、円錐台形端部と、前記円錐台形端部のベースに隣接して前記カプラから半径方向外向きに延びる2つの横方向突出部とを含み、前記カプラを軸方向および周方向に移動させながら、前記カプラの前記円錐台形端部の付勢エレメントに対する押圧係合が前記カプラを前記第1および第2の位置間で移動させ、
前記リテーナエレメントは:
前記カプラの一部を受容するように構成されているリテーナ開口部であって、中央円形部と、該中央円形部の対応辺から延びる2つの対向する横方向スロットと、を含むリテーナ開口部と、
前記2つの対向する横方向スロットの対応間に延びる2つの円弧状ショルダ区分と、
前記2つの対向する横方向スロットを挟んである周方向位置において、前記2つの円弧状ショルダ区分のうちの片方の底面から第1の軸線方向距離延びている全タブと、
前記全タブから前記横方向スロットの反対側のある周方向位置にある前記2つの円弧状ショルダ区分のうちの他方の底面から前記第1の軸線方向距離未満の第2の軸線方向距離に延びる部分タブと、を含む、ことを特徴とする結合組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フィルタエレメント係止機構(ロッキングメカニズム)に関し、より詳細には、クリーンサービスのためのフィルタエレメント係止機構に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮点火エンジン、火花点火エンジン、ガソリンエンジン、気体燃料エンジン、および他の内燃機関を含むエンジンは、汚染物質が除去されたオイルを用いてより効果的にそしてより長い稼働寿命で動作することができる。さらに、エンジンは、燃料がエンジンの燃料噴射システムまたは燃焼室に到達する前に汚染物質が除去された燃料を用いてより効果的に動作することができる。結果として、エンジンは、油および/または燃料から汚染物質を除去するために1つまたはそれ以上の流体濾過システムを備えることができる。
【0003】
フィルタシステムは、流体から汚染物質を除去するためのフィルタ媒体を有するフィルタエレメントを含むことが多い。フィルタ媒体は、捕捉された汚染物質がフィルタ媒体の上または中に蓄積するにつれて、フィルタ媒体を通る流体の流れに対してより抵抗になる可能性がある。この結果として、フィルタシステムの有効性を回復させるためには、フィルタ媒体を交換または清浄する必要が生じる。さらに、フィルタ媒体を交換または清浄する前に、エンジンが一時的に作動するために、フィルタシステムが流体システム内で流体を循環させ続けることができることが望ましい。
【0004】
従来のフィルタシステムのフィルタ媒体を交換または清浄のために取り外すとき、フィルタシステム、フィルタ媒体、および任意の関連部品を流体システムから取り外す行為の結果として、一般に、フィルタ媒体が取り外されるに伴い流体の一部がこぼれる可能性がある。例えば、一部のフィルターシステムは、フィルターエレメントを取り外すときにフィルタキャニスタの液抜きを必要とする。例えば、サービス技術員が、排出された液体が適切な容器に確実に取り込まれるように注意を払っていないと、こぼれが発生する可能性がある。特に流体システムがオイルまたは燃料のような石油ベースの製品を含むとき、環境をそのようなこぼれにさらすことは望ましくない。加えて、フィルタエレメントの交換または清浄は、サービス技術員にとっては、流体がフィルタシステムから自分の手や衣服にこぼれた場合、特に不快になることがある。結果として、フィルタ媒体が交換または清浄されるときにこぼれる可能性を低減し、かつサービス技術員がフィルタエレメントに触れる必要なしにフィルタハウジングからのフィルタエレメントの結合および結合解除を可能にするフィルタシステムを提供することが望ましい場合がある。
【0005】
ハウジングに結合されたフィルタは、2012年4月17日発行のWeindorfの米国特許第8,157,107B2号(「’107特許」)に記載されている。具体的には、’107特許にはドレン通路を有するフィルタハウジングを有する液体フィルタが記載されている。フィルタ媒体を含むフィルタエレメントがフィルタハウジング内に配置されている。フィルタ蓋は、フィルタハウジングに接続されるように構成されている。フィルター蓋には、液体がフィルターエレメントのフィルタ媒体を通過するときに高すぎる圧力損失が発生するときにフィルターエレメントを迂回(バイパス)するためのフィルタバイパス弁が設けられている。フィルタエレメントをフィルタ蓋に接続するために第1のバヨネットコネクタがフィルタ蓋に設けられ、かつ第2のバヨネットコネクタがフィルタエレメントに設けられている。二重同心シールがドレン通路を閉鎖するためにフィルタエレメント上に配置されている。
【0006】
’107特許の液体フィルタは、安価にかつ簡単に製造することができる方法でフィルタ蓋からフィルタエレメントの分離を容易にすることを目的としているが、それでもなお上述の1つまたはそれ以上の起こり得る欠点に対処し得ない。例えば、’107特許の二重同心シールは複雑でかつ製造が比較的高価になる可能性がある。さらに、’107特許の液体フィルタの構成の結果として、フィルタハウジングからフィルタエレメントを取り外す際に、望ましくないこぼれが生じる可能性がある。
【0007】
本明細書に開示されているフィルタエレメントおよびフィルタハウジング組立体は、上述の1つまたはそれ以上の考えられる欠点を軽減または克服することを目的としてもよい。
【発明の概要】
【0008】
本開示の第1の態様によれば、フィルタエレメントは、管状エレメントと、管状エレメントの反対側の端部とそれぞれ関連付けられた第1および第2のエンドキャップと、管状エレメントの周囲でかつ第1および第2のエンドキャップ同士の間に位置決めされたフィルタ媒体と、管状エレメントに関連付けられた付勢エレメントと、管状エレメントの第1の端部に位置決めされたリテーナエレメントと、を含むことができる。リテーナエレメントは、中央円形部分および中央円形部分の対応辺から延びる2つの対向する横方向スロットを含むリテーナ開口部と、2つの対向する横方向スロットの対応辺間に延びる2つの円弧状ショルダ区分とを含むことができる。全タブは、2つの対向する横方向スロットを挟んである周方向位置における2つの円弧状ショルダ区分のうちの片方の底面から第1の軸線方向距離延び、部分タブは、全タブから横方向スロットの反対側のある周方向位置における2つの円弧状ショルダ区分のうちの他方の底面から第2の軸線方向距離未満で第2の軸線方向距離延びる。
【0009】
本開示のさらなる態様によれば、フィルタハウジング組立体は、フィルタエレメントと、フィルタエレメントに選択的に結合されかつそれから結合解除されるように構成されているハウジングと、ハウジングに接合されかつハウジングとフィルタエレメントとの間の相対的な移動によりハウジングにフィルタエレメントを交互に結合および結合解除するように構成されるカプラと、を含むことができる。フィルタエレメントは、管状エレメントと、第1および第2のエンドキャップと、管状エレメントの周囲でかつ第1および第2のエンドキャップとの間に位置決めされたフィルタ媒体と、付勢エレメントと、管状エレメントの第1の端部に位置決めされたリテーナエレメントと、を含むことができる。リテーナエレメントは、カプラの一部を受け入れるように構成されたリテーナ開口部を含んでもよく、かつリテーナ開口部は、中央円形部分および中央円形部分の対応辺から延びる2つの対向する横方向スロットを含むことができる。2つの円弧状ショルダ区分は、2つの対向する横方向スロットの対応辺間に延び、全タブは2つの対向する横方向スロットを挟んである周方向位置における2つの円弧状ショルダ区分のうちの片方の底面から第1の軸線方向距離延び、部分タブは、全タブから横方向スロットの反対側のある周方向位置における2つの円弧状ショルダ区分のうちの他方の底面から第1の軸線方向距離未満で第2の軸線方向距離延びてもよい。
【0010】
本開示のさらに別の態様によれば、フィルタシステムは、ハウジングと、フィルタエレメントと、ハウジングをフィルタエレメントに接合するように構成されたカプラとを含むことができる。フィルタエレメントは、フィルタエレメントの1つの軸線方向端部に位置決めされたリテーナエレメントと、リテーナエレメントから軸線方向に離隔された付勢エレメントと、を含むことができる。カプラは、付勢エレメントと接触しながら軸線方向および周方向の両方に移動するように構成された第1の表面と、ハウジング内にフィルタエレメントの保持を可能にするために付勢エレメントによって第1の位置においてリテーナエレメントと係合するように付勢されるように構成されている第2の表面と、を含むことができる。第2の表面は、カプラがリテーナエレメントとの係合から解除され得る第2の位置までリテーナエレメントとの係合から外れて軸線方向および周方向に移動するように構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】フィルタシステムの例示的実施形態の透視図である。
【
図2】
図1に示す例示的実施形態の一部分の透視図である。
【
図3】フィルタハウジング組立体およびフィルタハウジング組立体内のフィルタエレメントを含むフィルタシステムの例示的実施形態の側面断面図である。
【
図4】フィルタシステムの第1のハウジングがフィルタシステムの第2のハウジングから分離されている状態で、
図3に示された例示的実施形態の側面断面図である。
【
図5】
図4に示すフィルタエレメントに結合された第1のハウジングの側面断面図である。
【
図6】
図3および
図4に示す第2のハウジング内に着座している例示的なフィルタエレメントの底部の詳細側面断面図である。
【
図7】
図3~
図5示す例示的なフィルタシステムにおいて第1のハウジングをフィルタエレメントに結合するためのカプラの例示的実施形態の斜視図である。
【
図8】
図3~
図5示す例示的なフィルタシステムのリテーナエレメントの例示的実施形態の斜視部分断面図である。
【
図9】
図3~
図5に示す例示的なフィルタシステムの第2のハウジングに組み付けられている第1のハウジングおよびフィルタエレメントの一部分の斜視詳細断面図である。
【
図10】第1の相対位置にある
図3のハウジングおよびフィルタエレメントの拡大斜視断面図である。
【
図11】第2の相対位置にある
図10のハウジングおよびフィルタエレメントの拡大斜視断面図である。
【
図12】
図3~
図5の例示的なフィルタシステムのための例示的なカプラの斜視図である。
【
図13】
図3~
図5に示す例示的なフィルタシステムのリテーナエレメントおよびハウジングに対する第1の位置における例示的なカプラの底面図である。
【
図14】
図3~
図5に示す例示的なフィルタシステムのリテーナエレメントおよびハウジングに対する第2の位置における
図13の例示的なカプラの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1~
図14は、フィルタシステム10および関連部品の例示的実施形態を示す。フィルタシステム10は、例えば、燃料、潤滑剤、冷却剤、および機械によって使用される油圧流体などの流体を濾過するために使用することができる。例えば、フィルタシステム10は、例えば自動車、トラック、農業用車両、および/または建設用車両(例えば、スキッド・ステアローダ、ホイールローダ、ブルドーザ、トラック型トラクタ、掘削機、地ならし機、オンハイウェイトラック、オフハイウェイトラック、およびまたは当業者に知られている他の任意の車両タイプなど)などの任意のタイプの地上車両などの機械で使用するための内燃機関または油圧システム用に提供することができる。加えて、内燃機関は、例えば電力を発生させるための発電機、または水、天然ガス、もしくは石油などの流体を圧送するためのポンプなどの任意の静止機械に電力を供給することができる。内燃機関は、例えば火花点火機関または圧縮点火機関であってもよい。他の種類のエンジンは、例えば、ロータリーエンジン、ガスタービンエンジン、および/またはガソリン、ディーゼル燃料、バイオディーゼル、エタノール、メタノール、およびそれらの組み合わせによって駆動されるエンジンを含むことができる。
【0013】
図1~
図9に示すフィルタシステム10は、フィルタシステム10を機械(例えば、機械のエンジン)に結合させるように構成されたフィルタ基部12と、フィルタエレメント16に選択的に結合させるように構成された第1のハウジング14と、フィルタ基部12に関連付けられた第2のハウジング14と、を含む。図示された例示的実施形態では、第1のハウジング14および第2のハウジング18は互いに結合され、かつフィルタエレメント16を収容するように構成されている。例えば、第1のハウジング14および第2のハウジング18は、互いに係合しかつ第1および第2のハウジング14および18を互いに対して固定するように構成された相補ねじ部19を、例えば、
図3に示すように、含むことができる。フィルタシステム10は、第1のハウジング14と第2のハウジング18とが互いに固定されたときに流体シールを提供するためにねじ部19と関連付けられたシール部材20(例えばO―リングシール)を含むことができる。
【0014】
例示的なフィルタ基部12は、フィルタ基部12を機械に結合するためのボルトなどのファスナ(図示せず)を受容されるように構成されたボス21(例えば、
図1参照)を含む。
図2に示すように、例示的な第2のハウジング18は、機械の流体システムから流体を受け取り、フィルタシステム10への流れ連通を提供するように構成された入口ポート22を含む。例示的な第2のハウジング18はまた、濾過された流体を機械の流体システムに戻すように構成され出口ポート23(
図3参照)を含み、フィルタシステム10と流体システムとの間に流れ連通を提供する。例示的な第2のハウジング18はまた、以下により詳細に説明されるように、フィルタエレメント16が第2のハウジング18から分離されたときにフィルタシステム10内の流体を流体システムに戻すように構成されたドレイン通路24(
図2~4参照)を含む。
【0015】
図3および
図4に示すように、フィルタシステム10の例示的なフィルタエレメント16は、第1のハウジング14に結合され、かつ第2のハウジング18によって受容されてフィルタハウジング組立体を形成している。第1のハウジング14が、第2のハウジング18と結合されると、フィルタエレメント16は第1のハウジング14および第2のハウジング18内に収容される。例示的なフィルタエレメント16は、第1の端部28と第2の端部30との間で長手方向軸線Xに沿って延びかつ内部空間32画定する管状エレメント26を含む。例示的なフィルタエレメント16はまた、管状エレメント26の第1の端部28に位置決めされたリテーナエレメント34を含み、この場合、リテーナエレメント34は、例えば第1のハウジング14に結合され、これにより、第1のハウジング14とフィルタエレメント16が、例えば、
図4に示されるように、一体として第2のハウジング18に挿入されかつ第2のハウジング18から取り外されることができる。
図3~
図5に示す実施形態において、リテーナエレメント34は管状エレメント26の第1の端部28に圧入されてもよい。
図8はフィルタハウジング組立体内の第2のハウジング18に面するリテーナエレメント34の底面からの詳細斜視図を示している。
【0016】
図3~
図5に示すように、例示的なフィルタエレメント16はまた、管状エレメント26によって画定されかつ管状エレメント26の第1の端部28と第2の端部30との間に位置決めされる弁座部材36を含むことができる。図示された例示的実施形態において、弁座部材36は、弁座開口部38は、管状エレメント26の第1端部28と管状エレメント26の第2端部30との間に流れ連通を提供するように構成された弁座開口部38を含む。
図3に示すように、弁座開口部38は、例えば、本明細書で説明されているように、弁ポペット40との流体シールを提供するように構成されてもよい。例えば、弁座開口部38は、円形としてもよく、かつ弁ポペット40との流体シールを提供するように構成された周縁部39(例えば面取りされた周縁部)を含むことができる。
【0017】
例示的なフィルタエレメント16はまた、管状エレメント26の第1の端部28に関連付けられた第1のエンドキャップ42を含む。第1のエンドキャップ42は、管状エレメント26の第1の端部28を通って流れ連通を提供するように構成された第1のエンドキャップ開口部44を画定してもよい。例えば、第1のエンドキャップ42は、管状エレメント26の長手方向軸線Xに対して直交(例えば垂直)しかつ管状エレメント26の第1の端部28に結合された環状壁45を含むことができる。環状壁45は第1のエンドキャップ開口部44を画定することができる。第1のエンドキャップ42は、プラスチック、金属、および/または同様の材料から形成されもよい。図示される例示的な実施形態では、フィルタエレメント16はまた、管状エレメント26の第2の端部30に関連付けられた第2のエンドキャップ46を含む。第2のエンドキャップ46は、管状エレメント26の内部空間32と第のハウジング18との間に流れ連通を提供するように構成された第2のエンドキャップ開口部48を画定することができる。第2のエンドキャップ46は、プラスチック、金属、および/または同様の材料から形成されてもよい。
【0018】
例示的なフィルタエレメント16はまた、管状エレメント26の周囲でかつ第1および第2のエンドキャップ42および46同士の間に設けられたフィルタ媒体50を含む。フィルタ媒体50は、フィルタシステム10を通過する流体中の汚染物質を捕獲するように構成されている。フィルタ媒体50は、例えば、フォームタイプ、スクリーンタイプ、紙タイプ(例えば、プリーツまたは折り畳み濾紙タイプ)、およびそれらの組み合わせなど、当業者に知られている任意のフィルタ媒体タイプであってもよい。いくつかの実施形態によれば、フィルタ媒体50は、第1の流体とは異なる特性を有する第2の流体からの第1の流体(例えば燃料からの水)の分離を促進するように構成された合体型媒体(coalescing-type media)とすることができ、その結果、第1の流体および第2の流体の一方が合体型媒体を通過するときに合体して液滴になり、かつ第1の流体の液滴が合体型媒体の下流表面上に形成する。いくつかの実施形態によれば、フィルタ媒体50は、流体がバリア型媒体を通過する前に第1の流体を第2の流体から分離するように構成されたバリア型媒体とすることができ、その結果、第1の流体の液滴がバリア型媒体の上流表面上に形成し、かつ第2の流体がバリア型媒体を通過する。いくつかの実施形態によれば、フィルタ媒体50は、上述の媒体タイプの組み合わせを含むことができる。
【0019】
図1~
図9に示す例示的な実施形態では、フィルタシステム10による濾過のための流体は、関連機械の流体システムと流れ連通している、第2のハウジング18の入口ポート22を介してフィルタシステム10に流入する。入口ポート22を介してフィルタシステム10に流入する流体は、フィルタ媒体50の外面52の周りを流れ、外面52からフィルタ媒体50内へ通る。管状エレメント26は、管状エレメント26の内周面と管状エレメント25の外周面との間で半径方向に延び、かつフィルタ媒体50と管状エレメント26の内部空間32との間に流れ連通を提供するように構成された複数の管状エレメント開口部54を含むことができる。いくつかの実施形態によれば、管状エレメント開口部54は、管状エレメント26の弁座部材36と第2の端部30との間に存在する。フィルタ媒体50を通って流れる流体は、それによって例えば、粒子状物質および/または濾過されている流体とは異なる流体などの汚染物質をその流体から除去する。フィルタ媒体50を通って流れると、濾過された流体は管状エレメント開口部54を通って半径方向内向きに内部空間32に流れる。内部空間32は第2のハウジング18の出口ポート23と流れ連通していて、かつ出口ポート23まで流れると、フィルタシステム10から流出して、機械の流体システムに戻る。
【0020】
いくつかの実施形態によれば、例えば、
図3および
図4に示すように、第2のエンドキャップ46は、管状エレメント26の第2の端部30およびフィルタ媒体50に結合されてもよい。いくつかの実施形態によれば、第2のエンドキャップ46は、フィルタエレメント16と第2のハウジング18内のドレイン通路24との間の流体シールを提供するように構成されていて、これにより、フィルタエレメント16が第2のハウジング18から分離されると、流体がフィルタエレメント16から第2のハウジング18内のドレイン通路24に流入する。例えば、
図3~
図5に示すように、例示的な第2のエンドキャップ46は、管状エレメント26の長手方向軸線Xに対して直交する(例えば垂直な)環状壁56と、フィルタ媒体50と反対の方向に環状壁56に対して直交して(例えば垂直な)延びる環状バリア58とを含む。第2のエンドキャップ46の例示的な環状壁56は、第2のエンドキャップ開口部48を画定する。例示的な環状バリア58は、例えば環状バリア58に対して半径方向外向きに面する環状凹部60を含む。図示の例示的実施形態は、環状凹部60内に収容されたシール部材62(例えば、Oリングシール)を含む。
図3、
図4、および
図6に示すように、例示的な第2のハウジング18は、フィルタエレメント16が第2のハウジング18内に完全に収容されたときにシール部材62が当接して流体シールを提供する相手の表面を提供する半径方向内向きに面する環状シール面64を含む。
図4に示すように、フィルタエレメント16が第2のハウジング18から引き抜かれると、シール部材62がシール面64から切り離され、それにより、流体がフィルタエレメント16から第2のハウジング18のドレン通路24に流れることを許容する。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、フィルタシステム10は、第2のハウジング18と関連付けられた(例えば、それに結合された)管状ガイド66をさらに含み、これにより、管状ガイド66が、複数の管状ガイド開口部67を介して管状エレメント26と出口ポート23との間の流れ連通を提供する。複数の管状ガイド開口部67は、管状ガイド66の内周面と管状ガイド66の外周面との間で半径方向に延び、かつ例えば、
図2に示されるように、フィルタ媒体50と管状エレメント26の内部空間32との間に流れ連通を提供するように構成されている。
図3および
図4に示すように、例示的な管状ガイド66は、管状ガイド開口部67と流れ連通し、かつ管状エレメント26の長手方向軸線Xと整列する(例えば同一直線上にある)長手方向軸線Gに沿って延びる通路68を画定する(
図3および
図4参照)。例えば、例示的な第2のハウジング18は、管状ガイド66の端部を受容するように構成された出口ポート23に隣接する円形凹部70を含む。例えば、凹部70は、
図3および
図4に示すように、出口ポート23に隣接する管状ガイド66の端部の雄ネジ74に係合するように構成された雌ネジ72を有することができる。いくつかの実施形態によれば、管状ガイド66は、(例えば、成形、鋳造、および/または機械加工によって)第2のハウジング18と一体的に形成されてもよく、それによって単一構造を形成する。
【0022】
いくつかの実施形態によれば、フィルタエレメント16の管状エレメント26は、管状ガイド66の少なくとも一部分を受容する。例えば、管状ガイド66は、
図3に示すように、管状エレメント26内に入れ子にすることができる。いくつかの実施形態によれば、流体シール76は、例えば
図4および
図6に示すように、管状ガイド66とフィルタエレメント16との間に設けられている。図示される例示的実施形態では、第2のエンドキャップ46に隣接する管状ガイド66の端部の半径方向外側周面は、半径方向外向きに面する凹部78および凹部78内に受容されたシール部材80(例えば、Oリングシール)を含む。この例示的な構成では、流体シール76は、例えば、
図4および
図6に示すように、フィルタエレメント16の第2のエンドキャップ18の内向きに面する半径方向表面と管状ガイド66との間に設けられている。流体シール76は、後述する場合を除いて、最初にフィルタ媒体50を通って流れることなく、流体が管状エレメント26および/または管状ガイド66に流れ込むのを防止するのに役立つ。
【0023】
例示的なフィルタシステム10は、
図3および
図4に示すように、管状ガイド66と関連付けられたバイパス弁82をさらに含み、ここで、バイパスバルブ82は、弁ポペット40が弁ポペット40と弁座部材36の弁座開口部38との間に流体シールを提供する第1の位置(例えば、
図3に示すように)と、弁座開口部38および管状ガイド66を介して管状エレメント26の第1の端部28と第2のハウジング18の出口ポート23との間で流れ連通が提供される第2の位置との間で移動するように構成されている、弁ポペット40を含む。いくつかの実施形態によれば、バイパス弁82は、弁ポペット40と管状ガイド66に結合されかつ弁ポペット40を弁座開口部38に対して付勢するように構成された付勢部材84をさらに含む。例えば、付勢部材84は、(例えば図示のような)螺旋ばね、あるいは弁ポペット40に付勢力を加えるように構成された他の任意の種類の部材であってもよい。
【0024】
図3および
図4に示すように、例示的なバイパス弁82は、管状エレメント26の第1の端部28の流体圧力が閾値圧力に達するとき、弁ポペット40が第2の位置に移動して管状エレメント26の第1の端部28と第2のハウジング18の出口ポート28との間に流れ連通を提供するように構成されている。この例示的な構成は、例えば、フィルタ媒体50が外面52と管状エレメント開口部54との間の流れに対して十分な抵抗を与えて管状エレメント26の第1の端部28に閾値圧力を生じさせる場合に有益であり得る。フィルタ媒体50がフィルタ媒体50を通過する流れを阻止するのに十分な量の汚染物質(例えば捕捉された粒子状物質)を捕集するとき、流れに対する抵抗が発生する可能性がある。これが発生する場合、閾値圧力により弁ポペット弁40にかかる力は、付勢部材84の付勢力に打ち勝ち、かつ弁ポペット弁40を第2の位置に移動させ、これにより、バイパス弁82を開いてフィルタシステ10および機械の流体システムを通過する流体の流れの停止を防止する。これにより、フィルタ媒体50が修理または交換されてフィルタ媒体50を通過する流れが回復するまで流体システムに関連付けられた機械の損傷を軽減または防止することができる。
【0025】
いくつかの実施形態によれば、フィルタシステム10は、フィルタエレメント16を第1のハウジング14に結合するように構成されたカプラ86を含むことができる。一実施形態では、カプラ86は、
図3~
図5、
図7、
図8、および
図10~
図15に示すように、リテーナエレメント34を介してフィルタエレメント16を第1のハウジング14に結合するように構成されてもよい。例えば、第1のハウジング14は、第1のハウジング14とフィルタエレメント16とが互いに組み付けられたときにフィルタエレメント16の方へ延びるように構成されたボス88を含むことができる。ボス88は、カプラ86を第1のハウジング14のボス88に接合するように構成されたファスナ92と係合するように構成されたレシーバ90を含むことができる。例えば、レシーバ90およびファスナ92はそれぞれ互いに係合するように構成される協働するねじを含むことができる。いくつかの実施形態によれば、ファスナ92はねじまたは同様のファスナであってもよい。
【0026】
いくつかの実施形態によれば、例えば、
図7に示すように、例示的なカプラ86は、例えば円形断面を有する管状本体94を含むことができる。管状本体94は、長手方向軸戦Bに沿って延びることができ、そしてフィルタシステム10に組み付けられたとき、管状本体94の長手方向軸線Bは、例えば
図3および
図4に示すように、フィルタエレメント16の管状エレメント26の長手方向軸線Xと整列する(例えば、同一直線上に並ぶ)ことができる。カプラ86はまた、円錐台形端部114と、円錐台形端部114の大径端部に隣接して長手方向軸線Bに対して半径方向外向きに延び横方向に延びる突出部102とを含むことができる。いくつかの実施形態によれば、例えば
図7に示すように、円錐台形端部114とは反対側のカプラ86の管状本体94の端部は、第1のハウジング14のボス88を係合させるためのノッチ118(例えば、キャスタレーション状のノッチ)を含むことができる。例えば、カプラ86が第1のハウジング14に係合されると、カプラ86のノッチ118はボス88の周りに嵌合するか、またはボス88内の対応するノッチと噛み合うことができる。
【0027】
いくつかの実施形態によれば、カプラ86およびリテーナエレメント34は、第1のフィルタハウジング14が、カプラ86およびリテーナエレメント34を互いに対して1回のフル回転未満の量だけ回転させることによってフィルタエレメント16から結合および結合解除され得るように構成されている。いくつかの例示的な実施形態では、リテーナエレメント34は管状エレメント26の第1の端部28に圧入されるかさもなければ関連付けられ、したがってリテーナエレメント34に対するカプラ86の回転は管状エレメント26およびフィルタエレメント16に対する第1のハウジング14の回転でもある。例えば、
図8に示すように、リテーナエレメント34は、カプラ86を受容するように構成されたリテーナ開口部96を含むことができる。図示された例示的実施形態では、リテーナ開口部96は、中央円形部分98から半径方向外向きに延びる2つの対向する横方向に延びるスロット100を含む。
図7に示すように、例示的なカプラ86は、管状本体94の長手方向軸線Bと直交する(例えば垂直な)方向に延びる少なくとも1つの横方向に延びる突出部102(例えば2つの対向する突出部)を含む。横方向に延びる突出部102は、カプラ86の本体94の円錐台形端部114がリテーナ開口部96の円形部分98を通過した後リテーナ開口部96の横方向に延びるスロット100を通過するように構成されている。
【0028】
図8に示すように、リテーナエレメント34は、中央円形部分98を画定する2つの円弧状ショルダ区分110およびリテーナ開口部96の横方向に延びるスロット100を含むことができる。円弧状ショルダ区分110はそれぞれ、2つの対向する横方向に延びるスロット100の対向辺間を延びてもよい。円弧状ショルダ区分110はまた、リテーナエレメント34の外周壁103から半径方向内向きに延びている。円弧状ショルダ区分110は、円錐台形端部114および横方向に延びる突出部102がリテーナ開口部96を通って挿入され、かつ突出部102が少なくとも部分的に円弧状ショルダ110の底面105の下方に位置決めされるようにカプラー86が回転されたとき、カプラ86の横方向に延びる突出部102の軸線方向移動に対するバリアを形成するように構成されている。
全タブ220は、リテーナエレメント34の外壁103から半径方向内向きにかつ2つの円弧状ショルダ区分110のうちの片方の底面105から第1の軸線方向距離にわたって外壁103の半径方向内側周面に沿って軸線方向に突出してもよい。代替実施形態では、全タブ220を外壁103の内周面に沿った他の周方向位置に位置決めしてもよいが、
図8に示す例示的実施形態では、全タブ220は、2つの対向する横方向に延びるスロット100の間のほぼ中間に位置してもよい。
【0029】
部分タブ222は、外壁103から半径方向内向きに突出し、かつ第1の軸線方向距離未満の第2の軸線方向距離にわたって外壁103の半径方向内側周面に沿って軸線方向に延びてもよい。部分タブ222は、全タブ220から横方向スロット100の反対側にある2つの対向する横方向に延びるスロット100間のほぼ中間の2つの円弧状ショルダ区分110のうちの他方の底面105から延びてもよい。代替実施形態では、部分タブ222を外壁103の内周面に沿った他の周方向位置に位置決めしてもよい。
図8に示すように、全タブ220は、三角形状の軸線方向断面を有してもよく、かつ円弧状ショルダ区分110のうちの片方の底面105からカプラ34の外周壁103の軸線方向端部まで実質的に軸線方向全距離にわたって延びてもよい。部分タブ222はまた、三角形状の軸線方向断面を有し、かつ円弧状ショルダ区分110のうちの他方の底面105から全タブ220の軸線方向長さ未満である軸線方向距離軸線方向に延びてもよい。全タブ220および部分タブ222の三角形状断面は、カプラ86の対向する横方向に延びる突出部102の対向側縁が全タブ220の一方の面および部分タブ222の一方の面に対して位置決めされるように構成されてもよい。これにより、カプラ86がいずれの周方向にも回転するのが防止される。全タブ220の軸線方向長さは、カプラ86の横方向に延びる突出部102が全タブ220を通り越して軸線方向に移動できないように構成されてもよい。したがって、全タブ220はカプラ86の運動の角度範囲を180度未満に制限してもよい。部分タブ222の軸線方向長さを短くしたことによって、突出部102が部分タブ222をクリアするためにカプラ86および横方向に延びる突出部102をリテーナ開口部96を通って十分遠くに挿入することができる。その結果として、カプラ86およびリテーナエレメント34の相対的寸法および位置は、部分タブ222の軸線方向底面を通り越してカプラ86および突出部102の回転を可能にするが、突出部102が全タブ220の両側に接触するとカプラ86の回転を止める。
【0030】
いくつかの実施形態によれば、リテーナエレメント34は、管状エレメント26の第1の端部28と関連付けられてもよい。リテーナエレメント34は、
図8に示すように、管状エレメント26の第1の端部28に圧入されてもよい。様々な代替実施形態では、リテーナエレメント34は、管状エレメント26と一体的に形成されてもよい。図示の例示的な実施形態では、リテーナエレメント34は、リテーナ開口部96を画定する円弧状ショルダ区分110を含む。円弧状ショルダ区分110の内径104は、リテーナ開口部96の中央円形部分98を少なくとも部分的に画定し、かつ横方向スロット100は、円弧状ショルダ区分110の周方向端部の間に画定されてもよい。
【0031】
図示の例示的な実施形態による組立中、カプラ86は、横方向に延びる突出部102がリテーナ開口部96の横方向に延びるスロット100と整列するように周方向に方向付けされてよく、かつカプラ86の円錐台形端部114および突出部102はリテーナ開口部を通して挿入されてもよい。突出部102が部分タブ222をクリアするのに十分な量だけいったんカプラ86がリテーナ開口部96に挿入されると、横方向に延びる突出部102が全タブ220によって止められるまでカプラ86が回転されかつ周方向に再方向付けされてもよい。この時点で、1つまたはそれ以上の突出部102(2つが図面の例示的実施形態に示されている)が円弧状ショルダ区分110の底面105の下方に位置決めされている。この例示的な方法では、カプラ86およびリテーナエレメント34は、リテーナ開口部96を通ってカプラ86の円錐台形端部114および突出部102を挿入または取り外し、かつカプラ86およびリテーナエレメント34を互いに対して1回のフル回転未満(例えば、4分の1回転)回転させることによって第1のハウジング14がフィルタエレメント16に結合および結合解除されるように構成されている。この例示的な方法では、工具を使用せずに、第1のハウジング14がフィルタエレメント16から結合または結合解除されてもよい。
【0032】
図3~
図5および
図9に示すように、例示的なフィルタエレメント16は、管状エレメント26の内部空間32内でかつ弁座部材36とリテーナエレメント34との間に付勢エレメント112を含むことができる。カプラ86の例示的な管状本体94は、付勢エレメント112に係合するように構成された円錐台形端部114の外面を含む。円錐台形端部114の外側円錐面は、付勢エレメント112と接触しながら軸線方向および回転方向の両方に移動するように構成されてもよい。カプラ86の円錐台形端部114が、管状本体94の横方向に延びる突出部102がリテーナエレメント34の円弧上ショルダ区分110をもクリアするのに十分な量だけリテーナ開口部96を通過したとき、付勢エレメント112はカプラ86を管状エレメント26の第1端部28に向けて付勢することができる。カプラ86の円錐台形端部114および横方向に延びる突出部102は、リテーナ開口部96を通過させてもよく、かつ突出部112が部分タブ222を通り越して軸線方向に移動するまで円錐台形端部114は付勢エレメント112に押圧されてもよい、その時点で突出部102のうちの1つが全タブ220によって停止されるまでカプラ86をいずれかの方向に回転させることができる。カプラ86の周方向位置において一方の横方向に延びる突出部102の一方の側の縁部が全タブ220に当接しつつあるとき、他方の横方向に延びる突出部102は部分タブ222に対して所定の位置にあってもよい、その結果、横方向に延びる突出部102が円弧状ショルダ区分110の底面105に当接するまで、付勢エレメント112の付勢力がカプラ86を管状エレメント26の第1の端部28に向かって軸線方向に移動させることができる。部分タブ222は、次いで、一方の横方向に延びる突出部102の側縁部(全タブ220に当接する他方の突出部102の側縁部とは反対側に)接触する、これにより、カプラ86がリテーナエレメント34に対して回転するのを防止する。横方向に延びる突出部102が円弧状ショルダ区分110の底面105と係合して、かつ全タブ220および部分タブ222によってリテーナエレメント34に対するカプラ86の回転が防止されている状態で、第1のフィルタハウジング14が第2のフィルタハウジング18に対する螺合から解除されるに伴いフィルタエレメント16が第1のフィルタハウジング14内に保持される。
【0033】
いくつかの実施形態によれば、付勢エレメント112は、管状エレメント26の第1の端部28と弁座開口部38との間に流れ連通を提供するように構成されてもよい。例えば、
図3~
図5および
図9に例示的実施形態では、例示的な付勢エレメント112は、管状本体94の円錐台形端部114に接触し、かつカプラ86をリテーナエレメント34に向かってバイアスするように構成された複数のフレキシブルフィンガー116を含み、これにより、カプラ86の横方向に延びる突出部102が円弧状ショルダ区分110の底面105に当接する。例示的なフィンガー116は、管状エレメント26の第1の端部28と弁座開口部38との間に流れ連通を提供するように構成されてもよい。この例示的な構成は、バイパス弁82の弁ポペット40が第2(開)位置に移動するとき流体がフィンガー116間に、弁座開口部38を通って、管状エレメント26を通って、そして出口ポートの中へ流れることを許容する。
【0034】
いくつかの実施形態によれば、カプラ86の横方向に延びる突出部102が円弧状ショルダ区分110のうちの片方の底面105から延びる部分タブ222をクリアするまで付勢エレメント112に打ち勝つために第1のハウジング14とフィルタエレメント16を一緒に押すことによって第1のハウジング14はフィルタエレメント16から分離され得る。いったん横方向に延びる突出部102が部分タブ222をクリアすると、突出部102がリテーナ開口部96の横方向に延びるスロット100と周方向に整列するようにカプラ86が周方向に回転および再方向付けされることができ、かつカプラ86がリテーナエレメント34のリテーナ開口部96から引き抜かれることができる。カプラ86が第1のハウジング14に結合されているので、カプラ86がリテーナエレメント34から分離されるとき、それによって第1のハウジング14はフィルタエレメント16から分離される。その後、新品または改装されたフィルタエレメント16が第1のハウジング14に結合されてよく、かつ第1のハウジング14およびフィルタエレメント16が第2のハウジング18に組み付けられてよい。この例示的な方法で、第1のハウジング14とフィルタエレメント16とを互いに対して周方向に回転(例えば、4分の1回転)させ、かつ第1のハウジング14とフィルタエレメント16とを引き離すことによって第1のハウジング14を使用済みフィルタエレメント16から分離することができる。その結果、いくつかの実施形態によれば、第1のハウジング14およびフィルタエレメント16はフィルタエレメント16を取り扱うことなく第2のハウジング18から分離されることができる。全タブ220および部分タブ222に対する横方向に延びる突出部102の側面の周方向係合は、付勢エレメント112の付勢力がカプラ86の突出部102を円弧状ショルダ区分110の底面105に対して押圧するとき、第1のフィルタハウジング14および第2のハウジング18の組立および分解中にリテーナエレメント34に対するカプラ86の回転を防止する。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本開示のフィルタシステムは、電力システム、冷却剤システム、油圧システム、および/または空気処理システムを含む様々な機械のための流体を濾過するのに有用であり得る。例えば、流体の供給は、流体導管を介してフィルタシステム10に供給され、フィルタシステム10を介して濾過され、そして導管を介して流体システムに再循環されてもよい。例えば、濾過される対象の流体は、第2のハウジング18の入口ポート22を介してフィルタシステム10に流入し、汚染物質が流体から除去されるフィルタエレメント16のフィルタ媒体50を通過し、管状エレメント開口部54を通過し、管状ガイド開口部67を通過し、管状エレメント26の内部空間32の中に流入し、そして第2のハウジング18の出口ポート23を介してフィルタシステム10から流出し、かつ流体システムに戻る。
【0036】
いくつかの実施形態によれば、フィルタシステム10のフィルタハウジング組立体は、取り外し時にフィルタシステム10からの流体の著しいこぼれを生じさせることなく、フィルタシステム10からのフィルタエレメント16の取り外しを容易にすることができる。例えば、
図1~
図14に示した例示的実施形態に関して説明したように、フィルタエレメント16が第2のハウジング18から分離されるに伴って、第2のエンドキャップ46のシール部材62が第2のハウジング18のシール面64から離脱し、それによってフィルタエレメント16内の流体がフィルタエレメント16から第2のハウジング18のドレイン通路24内に流入することを許容し、これは排出された流体を流体システムに戻す。
【0037】
いくつかの実施形態によれば、第1のハウジング14は、例えば、
図1~
図14に示される例示的な実施形態に関して上述したように、フィルタエレメント16に選択的に結合されてもよい。このような実施形態によれば、第1のハウジング14がカプラ86によってフィルタエレメント16に結合されている結果としてサービス技術員が第1のハウジング14を保持することによってフィルタエレメント16を取り外すことができるので、第2のハウジング18からフィルタエレメント16を取り外すサービス技術員はフィルタシステム10からの流体で手を汚さないで済む。フィルタエレメント16は、管状エレメント26と、第1のエンドキャップ42と、第2のエンドキャップ46と、管状エレメント26の周囲におよび第1のエンドキャップ42と第2のエンドキャップ46との間に設けられたフィルタ媒体50とを含む。管状エレメント26は、リテーナエレメント34および付勢エレメント112と関連付けられるかまたは一体的に形成されてもよい。いくつかの実施形態では、リテーナエレメント34は、管状エレメント26の第1端部28に圧入されてもよく、かつ付勢エレメント112は管状エレメント26と一体的に形成されるかあるいはそれに接合されてもよく、第1の端部28から管状エレメント26の第2の端部30に向かって軸線方向に間隔を置いて、かつ管状エレメント26の中心に向かって半径方向に延びてもよい。付勢エレメント112は、カプラ86の円錐台形端部114および横方向に延びる突出部102がリテーナエレメント34のリテーナ開口部96を通過させられるときに、カプラ86の円錐台形端部114の外側円錐面と係合するように構成された軸線方向に延びる可撓性フィンガー116を含むことができる。リテーナエレメント34のリテーナ開口部96は、リテーナエレメント34の外周壁103から半径方向内向きに延びる2つの円弧状ショルダ区分110によって画定されてもよい。リテーナ開口部96の中央円形部分98は、カプラ86の円錐台形端部114の通過を可能にするように構成されてもよく、かつリテーナ開口部96の横方向に延びるスロット100は、カプラ86の横方向に延びる突出部102の通過を可能にするように構成されてもよい。リテーナエレメント34の円弧状ショルダ区分110の底面105の下方に軸線方向に延びる全タブ220および部分タブ222は、カプラ86のフィルタエレメント16との選択的係合および係合解除を可能にする。カプラ86の円錐台形端部114に対する付勢エレメント112の付勢力が、リテーナエレメント34の円弧状ショルダ区分110の底面105にカプラ86の横方向に延びる突出部102を押し付ける。
【0038】
第1のハウジング14およびフィルタエレメント16を第2のハウジング18から結合解除して引き抜いた後、フィルタエレメント16を扱わなくても第1のハウジング14をフィルタエレメント16から分離され得る。第1のハウジング14をフィルタエレメント16から分離するためのプロセスは、フィルタエレメント16の第2のエンドキャップ46を表面の上に支持すること、および第1のハウジング14とフィルタエレメント16とを互いに押し付けるために軸線方向の力を第1のハウジング14に加えることを含むことができる。第1のハウジング14にかかる軸線方向の力はカプラ86に伝達され、それによって第1のハウジング14に装着されたカプラ86の円錐台形端部114に対する付勢エレメント112の付勢力に打ち勝つ。第1のハウジング14にかかる軸線方向の力を維持しながら、第1のハウジング14とフィルタエレメント16とを互いに対して4分の1回転周方向に回転させることができる。第1のハウジング14とフィルタエレメント16とを一緒に押すと、カプラ86の円錐台形端部114を付勢エレメント112の軸線方向に延びる可撓性フィンガー116に対して押圧し、それによってカプラ86はリテーナエレメント34のリテーナ開口部96を通ってさらに先へ移動可能である。カプラ86とリテーナエレメント34との間の軸線方向の相対移動の結果として、カプラ86の横方向に延びる突出部102は、円弧状ショルダ区分110の底面105から延びる部分タブ222を通り越えて軸線方向に移動される。カプラ86の横方向に延びる突出部102がリテーナエレメント34のスロット100と整列するまでカプラ86は、次いで、リテーナエレメント34に対して回転され得る。この周方向位置では、第1ハウジング14および装着されたカプラ86はフィルタエレメント16から引き離されてよい。第1ハウジング14およびフィルタエレメント16はバッグまたはレセプタクル内に設置されてよく、そして第1のハウジング14は、例えば、上述の通りフィルタエレメント16から分離されてもよい。その後、第1のハウジング14を新品または改装されたフィルタエレメント16に結合されてよく、かつ第1のハウジング14およびフィルタエレメント16を第2のハウジング18に組み付けられてよい。この例示的な方法では、フィルタエレメント16の取り外し時にフィルタシステム10から流体の著しいこぼれを伴わずに、かつ汚れたフィルタエレメントを取り扱わなくてもフィルタエレメント16の交換が行われてよく、これによって環境を保護し、メンテナンスの容易さと安全性をもたらす。
【0039】
開示された例示的なフィルタシステムおよびフィルタハウジング組立体に様々な修正および改変を加えることができることが当業者には明らかであろう。明細書の考察および開示された実施例の実施から他の実施形態は当業者には明らかであろう。明細書および実施例は例示としてのみ考慮されることを意図しており、真の範囲は以下の請求項の範囲およびそれらの均等物によって示される。