(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】排気ヒータ
(51)【国際特許分類】
H05B 3/10 20060101AFI20240509BHJP
F01N 3/027 20060101ALI20240509BHJP
F01N 3/20 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
H05B3/10 A
F01N3/027 C
F01N3/20 K
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022139019
(22)【出願日】2022-09-01
【審査請求日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】10 2021 122 681.3
(32)【優先日】2021-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】520050956
【氏名又は名称】プーレム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Purem GmbH
【住所又は居所原語表記】Homburger Strasse 95, 66539 Neunkirchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ファティ ウイサル
(72)【発明者】
【氏名】ザンドラ ヘッケル
【審査官】西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-078918(JP,U)
【文献】実開昭58-108217(JP,U)
【文献】実開平04-076920(JP,U)
【文献】特開平06-212948(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0156289(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/02- 3/82
F01N 3/027
F01N 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気装置用の排気ヒータであって、支持体ユニット(12)と、該支持体ユニット(12)に支持された、少なくとも1つの加熱導体(22,24)を備える加熱導体ユニット(20)とを有しており、前記支持体ユニットは、排気ヒータ長手方向軸線(L)を取り囲む、
金属薄板材料から成る環状の第1の支持体部材(14)と、該第1の支持体部材(14)とは別個に形成された、第1の結合領域(52,76)において前記第1の支持体部材(14)に結合されかつ第2の結合領域(54,90)において前記加熱導体ユニット(20)の連結領域(44,46)に結合された、
金属薄板材料から成る複数の第2の支持体部材(16,18)とを有して
おり、前記第2の支持体部材(16,18)は、その前記第1の結合領域(52,76)において電気的に絶縁されて、前記第1の支持体部材(14)に結合されている、排気ヒータ。
【請求項2】
前記第2の支持体部材(16,18)は、その前記第1の結合領域(52,76)において、結合部材(56,78)を介して前記第1の支持体部材(14)に結合されており、前記第1の結合領域(52,76)と、前記第1の支持体部材(14)との間に絶縁部材(66,86)が配置されているか、または/かつ前記第1の結合領域(52,76)と、前記結合部材(56,78)との間に絶縁部材(68,88)が配置されている、請求項
1記載の排気ヒータ。
【請求項3】
前記第1の支持体部材(14)は、少なくとも1つ
の前記第1の結合領域(52,76)に対応して、流れ遮蔽領域(58)を有しており、少なくとも1つ
の前記第1の結合領域(52,76)は、対応する前記流れ遮蔽領域(58)の流出側に配置されている、請求項1
または2記載の排気ヒータ。
【請求項4】
前記第1の支持体部材(14)は、全ての前記第1の結合領域(52,76)に対応して、流れ遮蔽領域(58)を有しており、全ての前記第1の結合領域(52,76)は、対応する前記流れ遮蔽領域(58)の流出側に配置されている、請求項3記載の排気ヒータ。
【請求項5】
前記第2の支持体部材(16,18)は、その前記第2の結合領域(54,90)において、材料結合
により、前記加熱導体ユニット(20)に結合されている、請求項1
または2記載の排気ヒータ。
【請求項6】
前記第2の支持体部材(16,18)は、その前記第2の結合領域(54,90)において、溶接により、前記加熱導体ユニット(20)に結合されている、請求項5記載の排気ヒータ。
【請求項7】
結合アームとして形成された少なくとも1つの前記第2の支持体部材(16)において、前記第1の結合領域(52)と、前記第2の結合領域(54)とは、半径方向に互いにずらされて配置されているか、または/かつ半径方向において重なり合っていない、請求項1
または2記載の排気ヒータ。
【請求項8】
結合アームとして形成された少なくとも1つ
の前記第2の支持体部材(16)は、その前記第2の結合領域(54)において、前記加熱導体ユニット(20)の半径方向内側の連結領域(44)に結合されている、請求項
7記載の排気ヒータ。
【請求項9】
結合アームとして形成された全ての前記第2の支持体部材(16)は、その前記第2の結合領域(54)において、前記加熱導体ユニット(20)の半径方向内側の連結領域(44)に結合されている、請求項7記載の排気ヒータ。
【請求項10】
結合クリップとして形成された少なくとも1つの前記第2の支持体部材(18)において、前記第1の結合領域(76)と、前記第2の結合領域(90)とは、半径方向に互いに実質的にずらされずに配置されているか、または/かつ半径方向において重なり合っている、請求項1
または2記載の排気ヒータ。
【請求項11】
結合クリップとして形成された少なくとも1つ
の前記第2の支持体部材(18)は、前記加熱導体ユニット(20)の半径方向外側の連結領域(46)に結合されている、請求項
10記載の排気ヒータ。
【請求項12】
結合クリップとして形成された全ての前記第2の支持体部材(18)は、前記加熱導体ユニット(20)の半径方向外側の連結領域(46)に結合されている、請求項11記載の排気ヒータ。
【請求項13】
結合クリップとして形成された少なくとも1つの前記第2の支持体部材(18)において、前記第1の結合領域(76)と、前記第2の結合領域(90)とは、半径方向に互いに実質的にずらされずに配置されているか、または/かつ半径方向において重なり合っており、結合アームとして形成された少なくとも2つの前記第2の支持体部材(16)の間に、結合クリップとして形成された少なくとも1つの前記第2の支持体部材(18)が設けられているか、または/かつ結合クリップとして形成された少なくとも2つの前記第2の支持体部材(18)の間に、結合アームとして形成された少なくとも1つの前記第2の支持体部材(16)が設けられている、請求項
7記載の排気ヒータ。
【請求項14】
前記加熱導体ユニット(20)は、実質的にプレート状に形成された少なくとも1つの前記加熱導体(22,24)を有しているか、または/かつ前記加熱導体ユニット(20)は、周方向に連続して配置された複数のメアンダ曲折エリア(26,28,30,32,34,36)により形成された少なくとも1つの前記加熱導体(22,24)を有しており、周方向に連続する前記メアンダ曲折エリア(26,28,30,32,34,36)は、半径方向内側の曲折エリア-結合領域(40)と、半径方向外側の曲折エリア-結合領域(42)とにおいて交互に相接して続いている、請求項1
または2記載の排気ヒータ。
【請求項15】
前記加熱導体ユニット(20)は、軸線方向に連続して配置された2つの前記加熱導体(22,24)を有している、請求項1
または2記載の排気ヒータ。
【請求項16】
前記加熱導体ユニット(20)の、前記第2の結合領域(54,90)との結合用に設けられた少なくとも1つ
の連結領域(44,46)において、少なくとも2つの前記加熱導体(22,24)は、互い
に結合されている、請求項
15記載の排気ヒータ。
【請求項17】
前記加熱導体ユニット(20)の、前記第2の結合領域(54,90)との結合用に設けられた全ての連結領域(44,46)において、少なくとも2つの前記加熱導体(22,24)は、互いに結合されている、請求項16記載の排気ヒータ。
【請求項18】
前記加熱導体ユニット(20)の、前記第2の結合領域(54,90)との結合用に設けられた少なくとも1つの連結領域(44,46)において、少なくとも2つの前記加熱導体(22,24)は、互いに材料結合式に結合されている、請求項16記載の排気ヒータ。
【請求項19】
前記加熱導体ユニット(20)は、周方向に連続して配置された複数のメアンダ曲折エリア(26,28,30,32,34,36)により形成された少なくとも1つの前記加熱導体(22,24)を有しており、周方向に連続する前記メアンダ曲折エリア(26,28,30,32,34,36)は、半径方向内側の曲折エリア-結合領域(40)と、半径方向外側の曲折エリア-結合領域(42)とにおいて交互に相接して続いており、前記加熱導体ユニット(20)の少なくとも1つの前記連結領域(44)は、前記半径方向内側の曲折エリア-結合領域(40)に設けられているか、または/かつ前記加熱導体ユニット(20)の少なくとも1つの前記連結領域(46)は、前記半径方向外側の曲折エリア-結合領域(42)に設けられている、請求項
16記載の排気ヒータ。
【請求項20】
請求項1
または2記載の排気ヒータ(10)を少なくとも1つ有している、車両に設けられる内燃機関用の排気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排気ヒータであって、自動車の排気装置において、排気装置内を流れる、内燃機関から放出された排気に熱を伝達することができ、これにより、特に内燃機関の運転の始動段階において、排気ヒータに対して下流側に配置された、例えば触媒または粒子フィルタ等のシステム領域を、より迅速に運転温度にもたらす、排気ヒータに関する。
【0002】
後から公開された独国特許出願公開第102021109568号明細書から公知の排気ヒータでは、支持体ユニットの、金属薄板材料から構成された、実質的にプレート状の2つの支持体部材の間に、加熱導体ユニットの、平材からの切出しにより準備された、実質的にプレート状もしくは面状に形成された2つの加熱導体が、排気主流れ方向に連続して配置されている。ピン状に形成された複数の結合部材により、支持体部材と、その間に配置された加熱導体との積層構造がまとめられて結合されている。支持体部材に対する加熱導体の電気的な絶縁もしくは加熱導体相互の電気的な絶縁を達成するために、これらの間にはそれぞれ、電気的に絶縁性の材料、例えばセラミック材料から成る複数の支持部材が配置されている。
【0003】
本発明の課題は、改良された熱伝達特性において、特に高い排気温度の場合に加熱導体ユニットと支持体ユニットとの安定的な結合が保証されている排気ヒータを提供することにある。
【0004】
この課題は本発明に基づき、内燃機関の排気装置用の排気ヒータであって、支持体ユニットと、支持体ユニットに支持された、少なくとも1つの加熱導体を備える加熱導体ユニットとを有しており、支持体ユニットは、排気ヒータ長手方向軸線を取り囲む環状の第1の支持体部材と、第1の支持体部材とは別個に形成された、第1の結合領域において第1の支持体部材に結合されかつ第2の結合領域において加熱導体ユニットの連結領域に結合された複数の第2の支持体部材とを有している、排気ヒータにより解決される。
【0005】
第2の支持体部材を別個の構成部材として形成することにより、第2の支持体部材を、加熱導体ユニットと、環状の第1の支持体部材の両方共に、それぞれに生じる熱負荷への適合が改良された形式で結合することが可能になり、これにより特に、加熱導体ユニットが支持体ユニットと支持相互作用状態にある連結領域における加熱導体ユニットの過剰な遮蔽を回避することができる。
【0006】
この場合、特に有利なもしくは好適な構成では、第2の支持体部材は、その第1の結合領域において電気的に絶縁されて、第1の支持体部材に結合されている。この場合、支持体部材と加熱導体ユニットとの間には電気的な絶縁手段が設けられている必要はないため、第2の結合領域に結合された連結領域において、加熱導体ユニットは、電気的な絶縁に用いられる構成部材により遮蔽されてはいない。
【0007】
例えば、第2の支持体部材は、その第1の結合領域において、結合部材を介して第1の支持体部材に結合されていてよく、この場合、第1の結合領域と、第1の支持体部材との間に絶縁部材が配置されているか、または/かつ第1の結合領域と、結合部材との間に絶縁部材が配置されている。
【0008】
この場合、排気の直接的な流れ込みを回避し、ひいては例えばピン状に形成された結合部材の挿入される領域が、それぞれ異なる熱膨張による安定的な保持相互作用の損失を回避するために、第1の支持体部材は、少なくとも1つの、好適には全ての第1の結合領域に対応して、流れ遮蔽領域を有しており、少なくとも1つの、好適には全ての第1の結合領域は、対応する流れ遮蔽領域の流出側に配置されている、ということを提案する。
【0009】
1つの簡単にかつ安定的に実現されるべき構成では、第2の支持体部材は、その第2の結合領域において、材料結合、好適には溶接により、加熱導体ユニットに結合されていてよい。このことは、第2の結合部材の領域における加熱導体ユニットのそれぞれ過剰な遮蔽を回避する。さらに、この結合形式は、第2の結合部材も加熱導体ユニットにより加熱されひいては加熱導体の周りを流れる排気に熱を伝達する表面積を拡大することができる、ということに寄与する。
【0010】
支持体ユニットに加熱導体ユニットを安定的に保持するために、結合アームとして形成された少なくとも1つの第2の支持体部材において、第1の結合領域と、第2の結合領域とは、半径方向に互いにずらされて配置されているか、または/かつ半径方向において重なり合っていない、ということを提案する。
【0011】
この場合、例えば結合アームとして形成された少なくとも1つの、好適には全ての第2の支持体部材は、その第2の結合領域において、加熱導体ユニットの半径方向内側の連結領域に結合されていてよい。
【0012】
さらに、支持体ユニットにおける加熱導体ユニットの安定的な保持は、結合クリップとして形成された少なくとも1つの第2の支持体部材において、第1の結合領域と、第2の結合領域とが、半径方向に互いに実質的にずらされずに配置されているか、または/かつ半径方向において重なり合っている、ということにより支援され得る。
【0013】
このことは、結合クリップとして形成された少なくとも1つの、好適には全ての第2の支持体部材が、加熱導体ユニットの半径方向外側の連結領域に結合されていることにより実現され得る。
【0014】
この場合、全周にわたり配分された、実質的に一様な保持作用を得ることができるようにするために、結合アームとして形成された少なくとも2つの第2の支持体部材の間に、結合クリップとして形成された少なくとも1つの第2の支持体部材が設けられているか、または/かつ結合クリップとして形成された少なくとも2つの第2の支持体部材の間に、結合アームとして形成された少なくとも1つの第2の支持体部材が設けられている、ということを提案する。
【0015】
加熱導体ユニットは、実質的にプレート状に形成された少なくとも1つの加熱導体を有していてよい。このようなプレート状もしくは面状に形成された加熱導体は、例えばプレート状の金属素材からの切出しにより形成され得る。排気ヒータを通流する排気と熱的に相互作用するための最大限の表面積を達成するために、加熱導体ユニットは、周方向に連続して配置された複数のメアンダ曲折エリアにより形成された少なくとも1つの加熱導体を有しており、この場合、周方向に連続するメアンダ曲折エリアは、半径方向内側の曲折エリア-結合領域と、半径方向外側の曲折エリア-結合領域とにおいて交互に相接して続いている、ということを提案する。
【0016】
さらに、排気ヒータを通流する排気との効率的な熱的な相互作用は、加熱導体ユニットが、軸線方向に連続して配置された2つの加熱導体を有していることにより達成され得る。
【0017】
並列接続された加熱導体では、加熱導体ユニットの、第2の結合領域との結合用に設けられた少なくとも1つの、好適には全ての連結領域において、少なくとも2つの加熱導体が、互いに好適には材料結合式に結合されていてよい。
【0018】
この場合、加熱導体ユニットの安定的な保持のために、加熱導体ユニットの少なくとも1つの連結領域は、半径方向内側の曲折エリア-結合領域に設けられているか、または/かつ加熱導体ユニットの少なくとも1つの連結領域は、半径方向外側の曲折エリア-結合領域に設けられている、ということが想定されていてよい。
【0019】
本発明はさらに、本発明により形成された少なくとも1つの排気ヒータを有する、車両に設けられる内燃機関用の排気装置に関する。
【0020】
以下に、添付の図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】
図1に示した排気ヒータを示す別の斜視図である。
【
図3】
図1および
図2に示した排気ヒータを軸線方向に見た部分図である。
【
図4】
図1および
図2に示した排気ヒータの、結合アームとして形成された第2の支持体部材の領域を詳細に示す斜視図である。
【
図7】
図1および
図2に示した排気ヒータの、結合クリップとして形成された第2の支持体部材の領域を詳細に示す斜視図である。
【0022】
図1~
図3には、全体的に符号10で表された、内燃機関の排気装置用の排気ヒータが、斜視図もしくは軸線方向に見た図で示されている。排気ヒータ10は、流動する排気により熱を排気ヒータ10に伝達するために用いられ、これにより、特に内燃機関の運転の始動段階において、排気ヒータ10の下流側に配置されたシステム領域、例えば触媒または粒子フィルタ等が、排気ヒータ10において加熱された排気により、実施されるべき各反応に必要とされる運転温度により迅速にもたらされる。
【0023】
排気ヒータ10は、全体的に符号12で表された支持体ユニットを有している。支持体ユニット12は、例えば金属薄板材料から成形された環状の第1の支持体部材14を有しており、第1の支持体部材14は、排気ヒータ長手方向軸線Lを、周方向において好適には実質的に完全に取り囲んでおりひいては例えば閉じられたリング構造を有していてよい。排気装置の排気案内コンポーネント内に収容された場合、排気ヒータ長手方向軸線Lは実質的に、内燃機関から放出された排気が排気ヒータ10に向かって流れる排気主流れ方向Aに向けられている。
【0024】
支持体ユニット12はさらに、結合アームとして形成された複数の第2の支持体部材16と、結合クリップとして形成された複数の第2の支持体部材18とを有している。第2の支持体部材16,18は、例えばやはり金属薄板材料もしくは金属材料から形成されており、第1の支持体部材14とは別個に形成された構成部材として提供されている。
【0025】
支持体ユニット12には、全体的に符号20で表された加熱導体ユニットが支持されている。加熱導体ユニット20は、図示の実施例では排気ヒータ長手方向軸線Lの方向に連続して配置された2つの加熱導体22,24を備えて形成されており、この場合、加熱導体22は、加熱導体24よりもさらに上流側に配置されている。
【0026】
2つの加熱導体22,24は、排気ヒータ長手方向軸線Lに対して実質的に直交する方向に広がるプレート状の構造を有しており、例えば金属材料素材からの切出しにより提供されている。排気ヒータ10を通流する排気と熱的に相互作用するための最大限の表面積を達成するために、軸線方向に連続して配置された加熱導体22,24は、周方向に連続して配置された複数のメアンダ曲折エリア26,28,30,32,34,36を有している。各メアンダ曲折エリア26,28,30,32,34,36内に、加熱導体22,24は、実質的に周方向に延びかつ半径方向に互いに段付けされて位置する複数のメアンダ曲折部分を有している。周方向において互いにすぐ隣り合うメアンダ曲折エリア26,28,30,32,34,36は、半径方向内側の曲折エリア-結合領域40または半径方向外側の曲折エリア-結合領域42において交互に互いに結合されている、もしくはこれらの半径方向内側の曲折エリア-結合領域40もしくは半径方向外側の曲折エリア-結合領域42において相接して続いている。
【0027】
個々のメアンダ曲折エリア26,28,30,32,34,36において、加熱導体22,24は、それらのメアンダ曲折部分でもって互いに軸線方向に間隔をあけて位置している一方で、加熱導体22,24は、半径方向内側の曲折エリア-結合領域40と、半径方向外側の曲折エリア-結合領域42とにおいて、加熱導体22,24が互いに接触するように成形されており、これにより、連結ユニット12に結合された、加熱導体ユニット20の半径方向内側の連結領域44もしくは半径方向外側の連結領域46が提供され、半径方向内側の連結領域44もしくは半径方向外側の連結領域46において、加熱導体ユニット20は支持体ユニット12もしくは支持体ユニット12の第2の支持体部材16,18に結合されている。
【0028】
互いにすぐ隣り合う2つのメアンダ曲折エリア26,28において、2つの加熱導体22,24は、それらの最も半径方向外側のメアンダ曲折部分でもって、加熱導体22,24の互いに結合された領域に、それぞれコンタクト部材48,50を提供しており、コンタクト部材48,50において、加熱導体ユニット20は、各コンタクトユニットを介して電圧源に導電接続され得る。
【0029】
図4には、結合アームとして形成された第2の支持体部材16が、より詳細に示されている。この第2の支持体部材16もしくは結合アームとして形成された各第2の支持体部材16は、実質的に半径方向に延びており、その半径方向外側の端部領域に、支持体ユニット12の第1の支持体部材14に取り付けられる第1の結合領域52を提供している。例えば金属薄板材料から成形されかつ結合アームとして形成された第2の支持体部材16は、その半径方向内側に位置する端部領域に、第1の結合領域52に対して半径方向にずらされた、第1の結合領域52と半径方向もしくは周方向において重ならない第2の結合領域54を提供しており、第2の結合領域54において第2の支持体部材16は、加熱導体ユニット20の半径方向内側の連結領域44に固く結合されている。この固い結合は、好適には材料結合により、つまり例えば溶接により行われ、この場合、この材料結合により、結合アームとして形成された第2の支持体部材16もしくは各第2の支持体部材16は、2つの加熱導体22,24に、各半径方向内側の連結領域44を提供する半径方向内側の曲折エリア-結合領域40において固く結合されている。つまりこの、支持体ユニット12に加熱導体ユニット20が結合されている領域に、加熱導体ユニット20の遮蔽手段、特に熱的な遮蔽手段は存在していない。
【0030】
結合アームとして形成された第2の支持体部材16は、その半径方向外側に位置する第1の結合領域52において、それぞれ実質的にピン状に形成された結合部材56を用いて第1の支持体部材14に結合されている。各第1の結合領域52に対応して、第1の支持体部材14には、半径方向内側に張り出した、上流側に向かってドーム状に形成された流れ遮蔽領域58が形成されており、流れ遮蔽領域58は、対応する第1の結合領域52を、周方向と半径方向とにおいて実質的に完全に被覆しており、流れ遮蔽領域58が、対応する第1の結合領域52に対して上流側に位置決めされている状態に基づき、第1の結合領域52を遮蔽し、排気が直接に流れ込まないようにしている。
【0031】
各結合部材56は、雄ねじ山付き軸部60および頭部62を備えたスタッドと、雄ねじ山付き軸部60にねじ嵌められるナット64とにより形成されている。結合アームとして形成された第2の結合部材16の電気的な絶縁を、第2の結合部材16の第1の結合領域52において達成するために、各第1の結合領域52と、第1の支持体部材14もしくは第1の支持体部材14に設けられた流れ遮蔽領域58との間には、例えばセラミック材料により形成されたディスク状の絶縁部材66が配置されている。同様に、第1の結合領域52と、対応する結合部材56の頭部62との間には、例えばセラミック材料により形成された絶縁部材68が配置されている。よって、各第1の結合領域52は、第1の結合領域52に対応して配置された2つの絶縁部材66,68の間で各結合部材60により安定的にかつ電気的に絶縁されて、第1の支持体部材14に支持されている。流れ遮蔽領域58により、絶縁部材66,68と、各結合部材56の主要領域も、排気が直接に流れ込まないように遮蔽されているため、この領域に過剰な熱的負荷が生じることはなく、結合アームとして形成された第2の支持体部材16と、環状の第1の支持体部材14との安定した機械的な結合が保証されている。
【0032】
図7には、結合クリップとして形成された第2の支持体部材18が、より詳細に示されている。結合クリップとして形成された各第2の支持体部材18は、2つのU字脚部70,72と、これらをつなぐ結合ウェブ74とを備えた実質的にU字形の構造を有している。例えば、U字脚部70,72の一方は、結合ウェブ74と一体に形成されていてよく、かつ別個の構成部材として形成された他方のU字脚部(図示の実施例ではU字脚部70)に、例えば材料結合により、例えば溶接等により、固く結合されていてよい。また、U字形の構造を備えて、つまり結合クリップとして形成される第2の支持体部材18を、金属薄板変形部材として一体に形成することも、基本的に可能である。
【0033】
第2の支持体部材18のU字脚部70には、第2の支持体部材18の第1の結合領域76が形成されており、第1の結合領域76において、結合クリップとして形成された第2の結合部材18は、例えばピン状に形成された結合部材78により第1の支持体部材14に結合されている。この結合部材78も、雄ねじ山付き軸部80と、雄ねじ山付き軸部80に設けられた頭部82と、雄ねじ山付き軸部80にねじ嵌められるナット84とにより形成されている。第1の結合領域76と、対応する、第1の支持体部材14に設けられた流れ遮蔽領域58との間には、絶縁部材86が設けられている。同様に、第1の結合領域76と、結合部材78の頭部82との間にも絶縁部材88が設けられており、これにより、第1の結合領域76は、排気が直接流れ込まないように実質的に遮蔽されかつ電気的に絶縁されて、第1の支持体部材14に支持されている。
【0034】
結合クリップとして形成された第2の支持体部材18の、第1の結合領域76と同じ半径方向領域において、第1の結合領域76と半径方向および周方向において実質的に完全に重なるように配置された第2の結合領域90は、加熱導体ユニット20の2つの加熱導体22,24の下流側に向いた側において、半径方向外側の連結領域46を提供する半径方向外側の曲折エリア-結合領域42に、背面から係合しており、そこで2つの加熱導体22,24に、材料結合、例えば溶接により、固く結合されている。
【0035】
図1~
図3では、支持体ユニット12は、半径方向に互いにずらされて位置しかつ重なり合わない第1および第2の結合領域52,54を備えた、周方向に連続する、それぞれ結合アームとして形成された第2の結合部材16と、半径方向に互いに実質的にずらされていない、重なり合った第1および第2の結合領域76,90を備えた、結合クリップとして形成された第2の支持体部材18とを有している、ということが認められる。これにより、加熱導体ユニット20の半径方向外側の領域と半径方向内側の領域とにおいて交互に、加熱導体ユニット20の安定的な保持が保証されることになる。さらにこの配置では、実質的に半径方向に延びる、結合アームとして形成された第2の支持体部材16は、第2の支持体部材16が、周方向において互いにすぐ隣り合う2つのメアンダ曲折エリア26,28,30,32,34,36の間に形成された中間スペース内に位置決めされているもしくはこれらの中間スペースを加熱導体ユニット20の上流側において被覆するように配置されている。これにより少なくとも、このような第2の支持体部材16により被覆された領域では、排気が加熱導体22,24との熱的な相互作用を生じることなしに加熱導体ユニット20を直接に通流することが回避される。さらに、第2の支持体部材16,18は、材料結合式にもしくは絶縁部材を介在させずに直接に加熱導体ユニット20に結合されているため、加熱導体ユニット20と直接に熱的に接触しており、その結果、コンタクト部材48,50に電圧が印加されることにより加熱導体ユニット20が加熱されると、第2の支持体部材16,18も加熱されひいては第2の支持体部材16,18の周りを流れる排気に熱が伝達され得る。
【0036】
本発明により提供される、簡単に構造化される少数の構成部材により製造可能な排気ヒータの場合、図示の実施例では互いに並列に接続された加熱導体は、排気が流入不可能なもしくは排気への熱伝達に利用不可能な長さ領域を実質的に一切有していない。このことは、熱伝達の効率を高める。同時に、加熱導体ユニットは、それぞれ異なる第2の支持体部材により、環状の第1の支持体部材に安定的に支持されており、この場合、加熱導体ユニットと、第1の支持体部材とに関して想定された結合形式に基づき、それぞれ異なる熱膨張が保持安定性の損失をもたらすという危険が十分に排除されている。このためには特に、電気的な絶縁に用いられる絶縁部材が、第2の支持体部材と加熱導体ユニットとの間で作用するのではなく、第2の支持体部材と第1の支持体部材との間で作用しひいては加熱導体により直接には加熱されない、ということが寄与する。
【0037】
最後に述べておくと、上述した排気ヒータを形成する場合は、本発明の原理から逸脱することなく様々な変化形が可能である。つまり、例えば加熱導体ユニットは、前記のような実質的にプレート状の加熱導体を1つだけ有していてもよく、この加熱導体は、例えば図示のように支持体ユニットに結合されていてよい。さらに、結合アームとして形成された第2の支持体部材と結合クリップとして形成された第2の支持体部材との周方向における順序は、図示のものと異なっていてもよい。絶縁部材の介在なしで想定された、加熱導体ユニットに対する第2の支持体部材の結合は、上述した材料結合式の結合に対して択一的または追加的に、例えばピン状の結合部材、例えばリベットボルト等により行われてもよい。