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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】魚ロボット
(51)【国際特許分類】
   A63H 11/00 20060101AFI20240509BHJP
   B25J 5/00 20060101ALI20240509BHJP
   B63C 11/48 20060101ALI20240509BHJP
   B63C 11/00 20060101ALI20240509BHJP
   A63H 23/10 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
A63H11/00 Z
B25J5/00 Z
B63C11/48 D
B63C11/00 B
A63H23/10 C
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022156100
(22)【出願日】2022-09-29
(65)【公開番号】P2023055666
(43)【公開日】2023-04-18
【審査請求日】2022-12-27
(31)【優先権主張番号】10-2021-0128611
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517430750
【氏名又は名称】アーティフィシャル インテリジェンス ロボット インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】(Iljik-dong)310-ho,311-ho,312-ho,313-ho,17 Deogan-ro 104beon-gil,Gwangmyeong-si,Gyeonggi-do 14353 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チョン キョンチョル
(72)【発明者】
【氏名】オ ヨンジョ
(72)【発明者】
【氏名】ソ ヒョギ
(72)【発明者】
【氏名】パク スサン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ホンシック
【審査官】鈴木 崇雅
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第111959730(CN,A)
【文献】特表2018-520016(JP,A)
【文献】特開2018-075702(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0196104(US,A1)
【文献】中国実用新案第204775952(CN,U)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0050123(KR,A)
【文献】特開2006-326053(JP,A)
【文献】米国特許第04832650(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00-37/00
B25J 5/00
B63C 11/48
B63C 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中における泳ぎが可能なようにシリンダー関節部を制御する制御部と、
魚ロボットを水中において泳がせるために、前記制御部の制御によってピストン運動をする前記シリンダー関節部と、
を備え、
前記シリンダー関節部は、
互いに離れた多数の隔壁と、
前記多数の隔壁のそれぞれに互いに離れるように配設された多数のシリンダーと、
前記多数の隔壁のうち、隣り合う隔壁の間に配設されて隣り合う隔壁同士を繋ぐ単一のジョイントと、を備える、魚ロボット。
【請求項2】
前記シリンダー関節部は、
前記制御部の制御に従って、前記多数のシリンダーをそれぞれ別々に駆動して当該魚ロボットを水中において泳がせる、請求項1に記載の魚ロボット。
【請求項3】
前記多数のシリンダーのそれぞれは、
油圧シリンダーまたは空圧シリンダーである、請求項2に記載の魚ロボット。
【請求項4】
前記制御部は、
当該魚ロボットが上方向、下方向、左方向、右方向、上下方向、左右方向泳げるように前記シリンダー関節部を制御する、請求項1に記載の魚ロボット。
【請求項5】
前記多数の隔壁は、
当該魚ロボットのボディ部の長手方向に沿って順次に並べられるが、互いに一定の間隔を隔てている、請求項1に記載の魚ロボット。
【請求項6】
前記多数のシリンダーは、
当該隔壁の上部に2つ、下部に2つ配設された、請求項1に記載の魚ロボット。
【請求項7】
前記多数のシリンダーのうち、第1のシリンダー及び第2のシリンダーが当該隔壁の上部に互いに離れるように配設され、
前記多数のシリンダーのうち、第3のシリンダー及び第4のシリンダーが当該隔壁の下部に互いに離れるように配設された、請求項6に記載の魚ロボット。
【請求項8】
前記第1のシリンダーと前記第2のシリンダーとの間の第1の距離及び前記第3のシリンダーと前記第4のシリンダーとの間の第2の距離は互いに同一であり、前記第1のシリンダーと前記第3のシリンダーとの間の第3の距離及び前記第2のシリンダーと前記第4のシリンダーとの間の第4の距離は互いに同一である、請求項7に記載の魚ロボット。
【請求項9】
前記制御部は、
当該魚ロボットの上方向への泳ぎのために、前記第1のシリンダーと前記第2のシリンダーをアウト(out)運動させ、前記第3のシリンダーと前記第4のシリンダーはイン(in)運動するようにする、請求項7に記載の魚ロボット。
【請求項10】
前記制御部は、
当該魚ロボットの下方向への泳ぎのために、前記第1のシリンダーと前記第2のシリンダーをイン(in)運動させ、前記第3のシリンダーと前記第4のシリンダーはアウト(out)運動するようにする、請求項7に記載の魚ロボット。
【請求項11】
前記制御部は、
当該魚ロボットの上下方向への泳ぎのために、
前記第1のシリンダーと前記第2のシリンダーをアウト(out)運動させ、前記第3のシリンダーと前記第4のシリンダーはイン(in)運動するようにする第1の制御と、
前記第1のシリンダーと前記第2のシリンダーをイン(in)運動させ、前記第3のシリンダーと前記第4のシリンダーはアウト(out)運動するようにする第2の制御と、 を交互に行う、請求項7に記載の魚ロボット。
【請求項12】
前記制御部は、
当該魚ロボットの左方向への泳ぎのために、
前記第1のシリンダーと前記第3のシリンダーをアウト(out)運動させ、前記第2のシリンダーと前記第4のシリンダーはイン(in)運動するようにする、請求項7に記載の魚ロボット。
【請求項13】
前記制御部は、
当該魚ロボットの右方向への泳ぎのために、
前記第1のシリンダーと前記第3のシリンダーをイン(in)運動させ、前記第2のシリンダーと前記第4のシリンダーはアウト(out)運動するようにする、請求項7に記載の魚ロボット。
【請求項14】
前記制御部は、
当該魚ロボットの左右方向への泳ぎのために、
前記第1のシリンダーと前記第3のシリンダーをアウト(out)運動させ、前記第2のシリンダーと前記第4のシリンダーはイン(in)運動するようにする第3の制御と、
前記第1のシリンダーと前記第3のシリンダーをイン(in)運動させ、前記第2のシリンダーと前記第4のシリンダーはアウト(out)運動するようにする第4の制御と、 を交互に行う、請求項7に記載の魚ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚ロボットに係り、さらに詳しくは、水平及び縦泳ぎが可能な魚ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の多関節魚ロボットは、図1及び図2に例示したような形態をとることができる。図1は、従来の2関節魚ロボットの一例を説明するための側面図であり、図2は、図1の平面図である。
【0003】
図1及び図2に示す魚ロボットが前に進むためには、ボディ1、2、3の間に配設された関節4、5を用いてボディ1、2、3を左右に揺動させて水を後方向に押し出し逆方向の抵抗力にて前に進む推進力を得ることになる。図1及び図2において、符号6は背びれを示し、符号7は胸びれを示し、符号8は尾びれを示す。
【0004】
そして、従来の魚ロボットは、図3の(a)に示すように、水の水平方向に前後のバランスが取られた状態で、当該魚ロボットは水平に泳ぎ、図3の(b)に示すように、第1のボディ1の内部にあるバッテリーブロック9が後ろに進むと、当該魚ロボットの頭は上を向くようになって、上を向いて泳ぐことになる。逆に、図3の(c)に示すように、バッテリーブロック9が前に進むと、当該魚ロボットの頭は下を向くようになって、下を向いて泳ぐことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】大韓民国登録特許第10-1094789号(魚状ロボット及びその泳ぎ手法)
【文献】大韓民国公開特許第10-2012-0138295号(ロボット魚の泳ぎのための制御方法)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述した従来の事情に鑑みて提案されたものであり、シリンダー方式の関節を実現して横泳ぎ(水平方向への泳ぎ)及び縦泳ぎ(垂直方向への泳ぎ)が可能なようにする魚ロボットを提供するところにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記のような目的を達成するために、本発明の好適な態様に係る魚ロボットは、水中における泳ぎが可能なようにシリンダー関節部を制御する制御部と、魚ロボットを水中において泳がせるために、前記制御部の制御によってピストン運動をする前記シリンダー関節部と、を備える。
【0008】
前記シリンダー関節部は、多数のシリンダーを備え、前記制御部の制御に従って、前記多数のシリンダーをそれぞれ別々に駆動して当該魚ロボットを水中において泳がせてもよい。
【0009】
前記多数のシリンダーのそれぞれは、油圧シリンダーまたは空圧シリンダーであってもよい。
【0010】
前記制御部は、当該魚ロボットが上方向、下方向、左方向、右方向、上下方向、左右方向に泳げるように前記シリンダー関節部を制御してもよい。
【0011】
前記シリンダー関節部は、互いに離れた多数の隔壁と、前記多数の隔壁のそれぞれに互いに離れるように配設された多数のシリンダーと、前記多数の隔壁のうち、隣り合う隔壁の間に配設されて隣り合う隔壁同士を繋ぐ単一のジョイントと、を備えていてもよい。
【0012】
前記多数の隔壁は、当該魚ロボットのボディ部の長手方向に沿って順次に並べられるが、互いに一定の間隔を隔てていてもよい。
【0013】
前記多数のシリンダーは、当該隔壁の上部に2つ、下部に2つ配設されてもよい。この場合、前記多数のシリンダーのうち、第1のシリンダー及び第2のシリンダーが当該隔壁の上部に互いに離れるように配設され、前記多数のシリンダーのうち、第3のシリンダー及び第4のシリンダーが当該隔壁の下部に互いに離れるように配設されてもよい。
【0014】
前記第1のシリンダーと前記第2のシリンダーとの間の第1の距離及び前記第3のシリンダーと前記第4のシリンダーとの間の第2の距離は互いに同一であり、前記第1のシリンダーと前記第3のシリンダーとの間の第3の距離及び前記第2のシリンダーと前記第4のシリンダーとの間の第4の距離は互いに同一であってもよい。
【0015】
前記制御部は、当該魚ロボットの上方向への泳ぎのために、前記第1のシリンダーと前記第2のシリンダーをアウト(out)運動させ、前記第3のシリンダーと前記第4のシリンダーはイン(in)運動するようにしてもよい。
【0016】
前記制御部は、当該魚ロボットの下方向への泳ぎのために、前記第1のシリンダーと前記第2のシリンダーをイン(in)運動させ、前記第3のシリンダーと前記第4のシリンダーはアウト(out)運動するようにしてもよい。
【0017】
前記制御部は、当該魚ロボットの上下方向への泳ぎのために、前記第1のシリンダーと前記第2のシリンダーをアウト(out)運動させ、前記第3のシリンダーと前記第4のシリンダーはイン(in)運動するようにする第1の制御と、前記第1のシリンダーと前記第2のシリンダーをイン(in)運動させ、前記第3のシリンダーと前記第4のシリンダーはアウト(out)運動するようにする第2の制御と、を交互に行ってもよい。
【0018】
前記制御部は、当該魚ロボットの左方向への泳ぎのために、前記第1のシリンダーと前記第3のシリンダーをアウト(out)運動させ、前記第2のシリンダーと前記第4のシリンダーはイン(in)運動するようにしてもよい。
【0019】
前記制御部は、当該魚ロボットの右方向への泳ぎのために、前記第1のシリンダーと前記第3のシリンダーをイン(in)運動させ、前記第2のシリンダーと前記第4のシリンダーはアウト(out)運動するようにしてもよい。
【0020】
前記制御部は、当該魚ロボットの左右方向への泳ぎのために、前記第1のシリンダーと前記第3のシリンダーをアウト(out)運動させ、前記第2のシリンダーと前記第4のシリンダーはイン(in)運動するようにする第3の制御と、前記第1のシリンダーと前記第3のシリンダーをイン(in)運動させ、前記第2のシリンダーと前記第4のシリンダーはアウト(out)運動するようにする第4の制御と、を交互に行ってもよい。
【発明の効果】
【0021】
このような構成の本発明によれば、シリンダー方式の関節を実現することにより、横泳ぎ及び縦泳ぎが可能になる。
【0022】
すなわち、本発明は、隣り合う隔壁間のジョイントを基準として4つのシリンダーを適切に駆動することにより、当該魚ロボットの泳ぎを種々に表現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】従来の2関節魚ロボットの一例を説明するための側面図である。
図2図1の平面図である。
図3】従来の2関節魚ロボットの泳ぎの推進原理を説明するための図である。
図4】本発明の実施形態に係る魚ロボットの内部構成図である。
図5図4に示すシリンダー関節部の拡大図である。
図6図5に示すシリンダー関節部の一部を右側から眺めた図である。
図7】本発明の実施形態に係る魚ロボットの作動状態図である。
図8】本発明の実施形態に係る魚ロボットの作動状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、様々な変更を加えることができ、種々の実施形態を有することができるので、特定の実施形態を図面に例示し、詳細な説明において詳しく説明する。
【0025】
しかしながら、これは、本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変更、均等物ないし代替物を含むものと理解されるべきである。
【0026】
本出願において用いた用語は、単に特定の実施形態を説明するために用いられたものであり、本発明を限定しようとする意図はない。単数の表現は、文脈からみて明らかに他の意味を有さない限り、複数の言い回しを含む。本出願において、「備える」または「有する」などの用語は、明細書に記載の特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するものに過ぎず、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解すべきである。
【0027】
本明細書中で特に指摘したり、明らかに文脈と矛盾したりしない限り、技術的や科学的な用語をはじめとしてこの開示において用いられる全ての用語は、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者にとって一般的に理解される意味と同じ意味を有している。一般に用いられる、辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有するものと解釈されるべきであり、この出願において明らかに定義しない限り、理想的な意味として、または過度に形式的な意味として解釈されない。
【0028】
以下、添付図面に基づいて、本発明の好適な実施形態について詳しく説明する。本発明について説明するに当たって、全体的に理解し易くするために、図中の同一の構成要素に対しては同一の参照符号を付し、同一の構成要素についての重複する説明は省略する。
【0029】
図4は、本発明の実施形態に係る魚ロボットの内部構成図であり、図5は、図4に示すシリンダー関節部の拡大図であり、図6は、図5に示すシリンダー関節部の一部を右側から眺めた図である。
【0030】
本発明の実施形態に係る魚ロボットは、水中において魚の形状で潜水または浮き上がりながら横泳ぎ及び縦泳ぎが可能なロボットである。
【0031】
本発明の実施形態に係る魚ロボットは、様々な形状に実現されてもよい。
【0032】
本発明の実施形態に係る魚ロボットにおいて、頭と口及びえらは、最も先頭のボディ部に形成される筈である。
【0033】
本発明の実施形態に係る魚ロボットは、電源部10と、センサー部12と、制御部14と、油圧ポンプ部16、及びシリンダー関節部30を備えていてもよい。
【0034】
電源部10は、当該魚ロボットの駆動のための電源を供給する。
【0035】
電源部10は、所定の数のバッテリーを備えていてもよい。
【0036】
センサー部12は、最も先頭のボディ部に配設されて、泳ぎ中の当該魚ロボットの周りの障害物をセンシングすることができる。
【0037】
例えば、センサー部12は、左右センサーと前面センサー及び下面センサーを備える障害物感知センサーを備えていてもよい。
【0038】
いうまでもなく、センサー部12は、底面との距離をセンシングすることができる。
【0039】
必要に応じて、センサー部12は、水圧をセンシング可能な水圧センサー、当該魚ロボットの魚首部と魚尾部の勾配を検出する勾配センサーなどをさらに備えていてもよい。
【0040】
制御部14は、本発明の実施形態に係る魚ロボットの全体的な動作を制御する。
【0041】
換言すれば、制御部14は、本発明の実施形態に係る魚ロボットの横泳ぎ及び縦泳ぎを制御することができる。
【0042】
特に、制御部14は、本発明の実施形態に係る魚ロボットの横泳ぎ及び縦泳ぎが可能なようにするために、油圧ポンプ部16の動作を制御することができる。
【0043】
いうまでもなく、制御部14は、センサー部12からの感知信号に基づいて障害物を回避して横泳ぎ及び縦泳ぎが可能なようにすることもできる。
【0044】
油圧ポンプ部16は、制御部14の制御によってシリンダー関節部30を駆動することができる。
【0045】
換言すれば、油圧ポンプ部16は、制御部14の制御によってポンピング動作を行ってシリンダー関節部30を駆動する。
【0046】
例えば、油圧ポンプ部16は、互いに離れた多数の油圧ポンプを備えていてもよい。ここで、それぞれの油圧ポンプのポンピングの度合いは、制御部14によって制御される。
【0047】
シリンダー関節部30は、本発明の実施形態に係る魚ロボットのボディ部の内部に配設されて関節の役割を果たす。
【0048】
特に、シリンダー関節部30は、油圧ポンプ部16と連結されて油圧ポンプ部16におけるポンピング動作に基づいてピストン運動を行うことができる。
【0049】
図5及び図6に例示したように、シリンダー関節部30は、互いに離れた多数の隔壁18a、18b、18c、18d、…と、多数の隔壁18a、18b、18c、18d、…のそれぞれに互いに離れるように配設された多数のシリンダー20a、20b、20c、20d、及び隣り合う隔壁18a、18b、18c、18d、…の間に配設されて隣り合う隔壁を繋ぐ単一のジョイント22を備える。
【0050】
多数の隔壁18a、18b、18c、18d、…は、本発明の実施形態に係る魚ロボットのボディ部の長手方向に沿って順次に並べられるが、互いに一定の間隔を隔てていてもよい。
【0051】
多数のシリンダー20a、20b、20c、20dは、当該隔壁の上部に2つ、下部に2つ配設されてもよい。
【0052】
換言すれば、当該隔壁の上部にはシリンダー20a、20bが互いに離れるように配設され、当該隔壁の下部にはシリンダー20c、20dが互いに離れるように配設される。
【0053】
好ましくは、シリンダー20a、20b間の距離及びシリンダー20c、20d間の距離は互いに同一であり、シリンダー20a、20c間の距離及びシリンダー20b、20d間の距離は互いに同一である。このようにしてはじめて、シリンダー20a、20b、20c、20dの作動に問題がなくなるので、当該魚ロボットの横泳ぎ及び縦泳ぎが円滑に行われることが可能になる。
【0054】
ここで、シリンダー20a、20b間の距離は、本発明の特許請求の範囲に記載の第1の距離の一例になることができ、シリンダー20c、20d間の距離は、本発明の特許請求の範囲に記載の第2の距離の一例になることができ、シリンダー20a、20c間の距離は、本発明の特許請求の範囲に記載の第3の距離の一例になることができ、シリンダー20b、20d間の距離は、本発明の特許請求の範囲に記載の第4の距離の一例になることができる。
【0055】
上述した隔壁18a、18b、18c、18d、…は、それぞれのシリンダー20a、20b、20c、20dを支持するためのものであるため、支持壁と称することができる。
【0056】
ここで、シリンダー20aは第1のシリンダーと称することができ、シリンダー20bは第2のシリンダーと称することができ、シリンダー20cは第3のシリンダーと称することができ、シリンダー20dは第4のシリンダーと称することができる。
【0057】
ジョイント22は、隣り合う隔壁18a、18b、18c、18d、…を繋ぐために、隣り合う隔壁18a、18b、18c、18d、…の間の中央に配設されるが、多数のシリンダー20a、20b、20c、20dからは離れるように配設されてもよい。
【0058】
例えば、隔壁18aと隔壁18bとの間のジョイント22について説明すれば、当該ジョイント22の一方の端は隔壁18aと連結され、当該ジョイント22の他方の端は隔壁18bに連結される。
【0059】
それにより、隔壁18bと隔壁18cとの間のジョイント22、隔壁18cと隔壁18dとの間のジョイント22の連結もまた上述したような説明により手軽に理解できる筈である。
【0060】
例えば、上述したジョイント22は、ボールジョイントなどの形態に構成されてもよいが、動力を伝達可能なジョイントであれば、いかなる形態であっても構わない。
【0061】
このように、シリンダー関節部30は、多数のシリンダー20a、20b、20c、20dを備えて関節の役割を果たすことができる。
【0062】
図4においては油圧ポンプ部16を示しているため、多数のシリンダー20a、20b、20c、20dは、油圧シリンダーから構成されることが好ましい。
【0063】
特に、上述した油圧ポンプ部16は、多数の隔壁18a、18b、18c、18d、…のそれぞれに配設された多数のシリンダー20a、20b、20c、20dを制御部14の制御に従って駆動することができる。
【0064】
上述した図5においては、隔壁を4つしか示していないが、実際にはそれ以上の数であってもよく、それ以下の数であってもよい。
【0065】
そして、図5において、隔壁18aと隔壁18bとの間の構成要素を第1のシリンダー関節部と称してもよく、隔壁18bと隔壁18cとの間の構成要素を第2のシリンダー関節部と称してもよく、隔壁18cと隔壁18dとの間の構成要素を第3のシリンダー関節部と称してもよい。
【0066】
上述した図4は、理解への一助となるためにそれぞれの機能ごとにブロックを示しているが、必要に応じては、油圧ポンプ部16が制御部14に組み込まれるようにしても構わない。
【0067】
一方、図4においては、油圧ポンプ部16を示しているが、必要に応じては、空圧ポンプ部に取り替えてもよい。もし、油圧ポンプ部16の代わりに空圧ポンプ部を用いるのであれば、シリンダー部30のシリンダー20a、20b、20c、20dは空圧シリンダーになる筈である。
【0068】
図7及び図8は、本発明の実施形態に係る魚ロボットの作動状態図である。
【0069】
本発明の実施形態に係る魚ロボットは、隣り合う隔壁間のジョイント22を基準として4つのシリンダー20a、20b、20c、20dを適切に駆動することにより、当該魚ロボットの泳ぎを種々に表現することができる。
【0070】
一例を挙げると、当該魚ロボットの上方向への泳ぎのためには、制御部14は、油圧ポンプ部16を作動させて隣り合う隔壁18a、18b、18c、18d、…の間のシリンダー20aとシリンダー20bをアウト(out)運動させ、シリンダー20cとシリンダー20dはイン(in)運動するようにする。これにより、4つのシリンダー20a、20b、20c、20dは、図7でのように作動することができる。
【0071】
本発明の実施形態において、シリンダーのアウト(out)運動は、シリンダー内のピストン(図示略)が直線運動をしてピストンロッド(図示略)が前方に所定の値だけ前進することを意味することもある。なお、シリンダーのイン(in)運動は、シリンダー内のピストン(図示略)が直線運動をしてピストンロッド(図示略)が後方に所定の値だけ後退することを意味することもある。
【0072】
このように、4つのシリンダー20a、20b、20c、20dが図7のような形態で作動すれば、当該魚ロボットは上方向に泳ぐことになる。ここで、4つのシリンダー20a、20b、20c、20dのイン運動の度合い(すなわち、ピストンロッドの後方への後退の度合い)及びアウト運動の度合い(すなわち、ピストンロッドの前方への前進の度合い)は、制御部14において十分に調節可能である。
【0073】
別の例を挙げると、当該魚ロボットの下方向への泳ぎのためには、制御部14は、油圧ポンプ部16を作動させて隣り合う隔壁18a、18b、18c、18d、…の間のシリンダー20aとシリンダー20bをイン(in)運動させ、シリンダー20cとシリンダー20dはアウト(out)運動するようにする。これにより、4つのシリンダー20a、20b、20c、20dは、図8でのように作動することができる。
【0074】
このように、4つのシリンダー20a、20b、20c、20dが図8のような形態で作動すると、当該魚ロボットは下方向に泳ぐことになる。ここで、4つのシリンダー20a、20b、20c、20dのイン運動の度合い(すなわち、ピストンロッドの後方への後退の度合い)及びアウト運動の度合い(すなわち、ピストンロッドの前方への前進の度合い)は、制御部14において十分に調節可能である。
【0075】
必要に応じては、図7に示すようなシリンダー20a、20b、20c、20dの作動及び図8に示すようなシリンダー20a、20b、20c、20dの作動が交互に行われるようにしてもよい。すなわち、上下方向への泳ぎは、制御部14の制御によって、図7に示すようなシリンダー20a、20b、20c、20dの作動及び図8に示すようなシリンダー20a、20b、20c、20dの作動が交互に行われるようにすることにより可能になる。換言すれば、当該魚ロボットの上下方向への泳ぎのために、制御部14は、シリンダー20aとシリンダー20bをアウト(out)運動させ、シリンダー20cとシリンダー20dは、イン(in)運動するようにする第1の制御と、シリンダー20aとシリンダー20bをイン(in)運動させ、シリンダー20cとシリンダー20dはアウト(out)運動するようにする第2の制御と、を交互に行ってもよい。
【0076】
一方、当該魚ロボットを左方向または右方向に泳がせるためには、図7及び図8の作動形態とは異なり、シリンダー20a、20b、20c、20dを駆動しなければならない。
【0077】
例えば、当該魚ロボットを左方向に泳がせるためには、制御部14は、油圧ポンプ部16を作動させて隣り合う隔壁18a、18b、18c、18d、…の間のシリンダー20aとシリンダー20cをアウト(out)運動させ、シリンダー20bとシリンダー20dはイン(in)運動するようにする。これにより、当該魚ロボットは、左方向に泳ぐことになる。ここで、4つのシリンダー20a、20b、20c、20dのイン運動の度合い(すなわち、ピストンロッドの後方への後退の度合い)及びアウト運動の度合い(すなわち、ピストンロッドの前方への前進の度合い)は、制御部14において十分に調節可能である。
【0078】
別の例を挙げると、当該魚ロボットを右方向に泳がせるためには、制御部14は、油圧ポンプ部16を作動させて隣り合う隔壁18a、18b、18c、18d、…の間のシリンダー20aとシリンダー20cをイン(in)運動させ、シリンダー20bとシリンダー20dはアウト(out)運動するようにする。これにより、当該魚ロボットは、右方向に泳ぐことになる。ここで、4つのシリンダー20a、20b、20c、20dのイン運動の度合い(すなわち、ピストンロッドの後方への後退の度合い)及びアウト運動の度合い(すなわち、ピストンロッドの前方への前進の度合い)は、制御部14において十分に調節可能である。
【0079】
必要に応じては、上述した左方向への泳ぎ動作及び右方向への泳ぎ動作が交互に行われるようにしてもよい。すなわち、左右方向への泳ぎは、制御部14の制御によって、上述した左方向への泳ぎ動作及び右方向への泳ぎ動作が交互に行われるようにすることにより可能になる。換言すれば、当該魚ロボットの左右方向への泳ぎのために、制御部14は、シリンダー20aとシリンダー20cをアウト(out)運動させ、シリンダー20bとシリンダー20dはイン(in)運動するようにする第3の制御と、シリンダー20aとシリンダー20cをイン(in)運動させ、シリンダー20bとシリンダー20dはアウト(out)運動するようにする第4の制御と、を交互に行ってもよい。
【0080】
以上でのように、図面と明細書において最適な実施形態が開示された。ここで、特定の用語が用いられたが、これは、単に本発明について説明するために用いられたものであり、意味の限定や特許請求の範囲に記載の本発明の範囲を制限するために用いられたものではない。よって、この技術分野において通常の知識を有する者であれば、これより様々な変形例及び均等な他の実施形態が採用可能であるという点が理解できる筈である。よって、本発明の真の技術的な保護範囲は、添付の特許請求の範囲の技術的な思想により定められるべきである。
【符号の説明】
【0081】
10 電源部
12 センサー部
14 制御部
16 油圧ポンプ部
18a、18b、18c、18d 隔壁
20a、20b、20c、20d シリンダー
22 ジョイント
30 シリンダー関節部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8