(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】発振回路及びデューティサイクル自動較正方法
(51)【国際特許分類】
H03B 5/32 20060101AFI20240509BHJP
【FI】
H03B5/32 J
(21)【出願番号】P 2022181215
(22)【出願日】2022-11-11
【審査請求日】2022-11-11
(32)【優先日】2021-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505141934
【氏名又は名称】リアルテック セミコンダクター コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100115679
【氏名又は名称】山田 勇毅
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】▲ダン▼ 平援
(72)【発明者】
【氏名】林 嘉亮
(72)【発明者】
【氏名】陳 家源
【審査官】石田 昌敏
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-053706(JP,A)
【文献】特開昭55-145406(JP,A)
【文献】特開2011-077724(JP,A)
【文献】特開2004-128593(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03B 5/30- 5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力端子と出力端子を備え、前記入力端子から受信した発振信号を反転及び増幅し、前記出力端子に出力発振信号を供給するように構成された増幅器と、
前記入力端子と前記出力端子との間に結合された帰還抵抗と、
前記帰還抵抗と並列に結合され、(1)前記発振信号の入力電圧が前記出力発振信号の出力電圧より少なくとも第1の閾値だけ高い状況、及び(2)前記出力電圧が前記入力電圧より少なくとも第2の閾値だけ高い状況、からなる複数の状況のうちの一方において、前記入力端子と前記出力端子とを互いに導通させるように構成された、第1のスイッチ回路と、
を備え、
前記第1のスイッチ回路は、前記帰還抵抗の抵抗値よりも小さい第1のオン抵抗値を有
し、
前記第1のスイッチ回路は、
第1の端子と、第2の端子と、制御端子とを備える第1のトランジスタと、
第1の端子と、第2の端子と、制御端子とを備える第2のトランジスタと、
を備え、
前記第1のトランジスタの前記第2の端子及び前記制御端子は、それぞれ前記出力端子及び前記入力端子と結合され、
前記第2のトランジスタの前記第1の端子、前記第2の端子及び前記制御端子は、それぞれ前記入力端子、前記第1のトランジスタの前記第1の端子及び前記出力端子と結合されている発振回路。
【請求項2】
前記第1のスイッチ回路は
、前記第1のトランジスタの前記第1の端子と前記第2のトランジスタの前記第2の端子の間に結合された、第1の補償抵
抗を備える請求項1記載の発振回路。
【請求項3】
前記第1のトランジスタと前記第2のトランジスタは、異なる型のトランジスタである、請求項
2記載の発振回路。
【請求項4】
前記帰還抵抗と並列に結合され、前記複数の状況のうちの他方において前記入力端子と前記出力端子とを互いに導通させるように構成された第2のスイッチ回路をさらに備え、前記第2のスイッチ回路は、前記帰還抵抗の抵抗よりも小さい第2のオン抵抗値を有する、請求項1記載の発振回路。
【請求項5】
前記第2のスイッチ回路は、第1の端子と、第2の端子と、制御端子とを備える第3のトランジスタを備え、前記第3のトランジスタの前記第1の端子は前記入力端子と結合され、前記第3のトランジスタの前記第2の端子及び前記制御端子は前記出力端子と結合されている、請求項
4記載の発振回路。
【請求項6】
前記第2のスイッチ回路は、
前記出力端子と結合された制御端子を備える第3のトランジスタと、
第2の補償抵抗と、
を備え、
前記第3のトランジスタと前記第2の補償抵抗とは、前記入力端子と前記出力端子との間に直列に結合される請求項
4記載の発振回路。
【請求項7】
前記第2のスイッチ回路は、
第1の端子と、第2の端子と、制御端子とを備える第3のトランジスタと、
第1の端子と、第2の端子と、制御端子とを備える第4のトランジスタと、
を備え、
前記第3のトランジスタの前記第1の端子及び前記制御端子は、それぞれ前記入力端子及び前記出力端子と結合され、
前記第4のトランジスタの前記第1の端子、前記第2の端子及び前記制御端子は、それぞれ前記第3のトランジスタの前記第2の端子、前記出力端子及び前記入力端子と結合されている、
請求項
4記載の発振回路。
【請求項8】
前記第2のスイッチ回路は、
第1の端子と、第2の端子と、制御端子とを備える第3のトランジスタと、
第1の端子と、第2の端子と、制御端子とを備える第4のトランジスタと、
前記第3のトランジスタの前記第2の端子と前記第4のトランジスタの前記第1の端子との間に結合された、第2の補償抵抗と、
を備え、
前記第3のトランジスタの前記第1の端子及び前記制御端子は、それぞれ前記入力端子及び前記出力端子と結合され、
前記第4のトランジスタの前記第2の端子及び前記制御端子は、それぞれ前記出力端子及び前記入力端子と結合されている、
請求項
4記載の発振回路。
【請求項9】
前記帰還抵抗の抵抗値は、前記第1のスイッチ回路の第1のオン抵抗値の10~500倍である、請求項1記載の発振回路。
【請求項10】
増幅器の入力端子から発振信号を受信するステップと
前記増幅器によって前記発振信号を反転及び増幅し、前記増幅器の出力端子に出力発振信号を供給するステップと
前記入力端子と前記出力端子との間に結合された第1のスイッチ回路を、(1)前記発振信号の入力電圧が前記出力発振信号の出力電圧より少なくとも第1の閾値だけ高い状況、及び(2)前記出力電圧が前記入力電圧より少なくとも第2の閾値だけ高い状況、からなる複数の状況のうちの一方において導通させるステップと、を備え、
前記入力端子と前記出力端子との間に帰還抵抗が結合され、前記第1のスイッチ回路は、前記帰還抵抗の抵抗値よりも小さい第1のオン抵抗値を有
し、
前記第1のスイッチ回路は、
第1の端子と、第2の端子と、制御端子とを備える第1のトランジスタと、
第1の端子と、第2の端子と、制御端子とを備える第2のトランジスタと、
を備え、
前記第1のトランジスタの前記第2の端子及び前記制御端子は、それぞれ前記出力端子及び前記入力端子と結合され、
前記第2のトランジスタの前記第1の端子、前記第2の端子及び前記制御端子は、それぞれ前記入力端子、前記第1のトランジスタの前記第1の端子及び前記出力端子と結合されているデューティサイクル自動較正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子発振器に関する。より詳細には、本開示は、発振回路及びデューティサイクル自動較正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の水晶発振システム(例えば、ピアス発振器)は、増幅器と水晶振動子(quartz crystal)を含み、これらは互いに協働して発振信号を生成する。発振信号のデューティサイクルを50%に保つために、通常、増幅器の入力ノードは固定電圧にバイアスされている。半導体製造プロセスの進歩に伴い、高速・高周波回路の実現に向け、トランジスタの小型化が進んでいる。しかし、高度な製造プロセスで製造された水晶発振システムでは、そのトランジスタのゲートリークが大きく、増幅器の入力端子が固定電圧からずれ、発振信号のデューティサイクルが50%から外れてしまうことがある。
【0003】
発振信号の周波数を上げるために使用される周波数二倍器が、増幅器の出力端子に結合されていてもよい。ある状況では、周波数二倍器は、発振信号のデューティサイクルを較正することができる。それにも関わらず、発振信号のデューティサイクルの偏差が大きくなると、周波数二倍器は、通常、較正の能力を向上させるために、より複雑な構造を必要とし、これは、全体の回路面積の増加をもたらすだけでなく、より多くのノイズを導入してしまう。したがって、このような較正方法は、高度な製造プロセスで作られた水晶発振システムには適用できない。
【0004】
なお、本発明に関して記載すべき先行技術文献はない。出願人が知っている先行技術が文献公知発明に係るものではないからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、発振回路の増幅器の入力端子の直流バイアス電圧を自動的に較正することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、増幅器と、帰還抵抗と、第1のスイッチ回路とを含む発振回路を提供する。増幅器は、入力端子と出力端子とを含み、入力端子から受信した発振信号を反転及び増幅して、出力端子に出力発振信号を供給するように構成される。帰還抵抗は、入力端子と出力端子との間に結合される。第1のスイッチ回路は、帰還抵抗と並列に結合され、(1)発振信号の入力電圧が出力発振信号の出力電圧より少なくとも第1の閾値だけ高い状況、及び、(2)出力電圧が入力電圧より少なくとも第2の閾値だけ高い状況、のうちの1つの状況で入力端子と出力端子とを互いに導通するよう構成される。さらに、第1のスイッチ回路は、帰還抵抗の抵抗値よりも小さい第1のオン抵抗値を有する。
【0007】
本開示は、デューティサイクル自動較正方法を提供する。この方法は、増幅器の入力端子によって発振信号を受信する動作と、増幅器によって発振信号を反転増幅し、増幅器の出力端子に出力発振信号を提供する動作と、(1)発振信号の入力電圧が出力発振信号の出力電圧より少なくとも第1の閾値だけ高い状況、及び(2)出力電圧が入力電圧より少なくとも第2の閾値だけ高い状況、のうちの1つの状況で入力端子と出力端子の間に結合された第1のスイッチ回路を導通する動作とを含んでいる。さらに、入力端子と出力端子との間に帰還抵抗が結合され、第1のスイッチ回路は、帰還抵抗の抵抗値よりも小さい第1のオン抵抗値を有する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、発振回路の増幅器の入力端子の直流バイアス電圧を自動的に較正できる。また、発振信号と出力発振信号とが同様の電圧レベルのときに較正動作を無効化して追加のノイズの取り込みを回避できる。
【0009】
前述の一般的な説明と以下の詳細な説明は、いずれも例示によるものであり、請求される開示のさらなる説明の提供を意図するものであることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る発振システムの簡略化された機能ブロック図である。
【
図2】
図2は、本開示の一実施形態に係るスイッチ回路の模式図である。
【
図3】
図3は、本開示の一実施形態に係るスイッチ回路の模式図である。
【
図4】
図4は、本開示の一実施形態に係るスイッチ回路の概略図である。
【
図5】
図5は、本開示の実施形態に係る入力端子と出力端子との間の総抵抗値を示す模式図である。
【
図6】
図6は、本開示の一実施形態に係るスイッチ回路の模式図である。
【
図7】
図7は、本開示の一実施形態に係るスイッチ回路の模式図である。
【
図8】
図8は、本開示の一実施形態に係るスイッチ回路の概略図である。
【
図9】
図9は、本開示の実施形態に係る入力端子と出力端子との間の総抵抗値を示す模式図である。
【
図10】
図10は、本開示の一実施形態に係る発振システムの簡略化された機能ブロック図である。
【
図11】
図11は、本開示の一実施形態に係るスイッチ回路の模式図である。
【
図12】
図12は、本開示の実施形態に係る入力端子と出力端子との間の総抵抗値を示す模式図である。
【
図13】
図13は、本開示の一実施形態に係るデューティサイクル自動較正方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
これより、本開示の本実施形態を詳細に参照し、その例を添付の図面に示す。可能な限り、図面及び説明において、同一又は同様の部品を参照するために同一の参照番号を使用する。
【0012】
図1は、本開示の一実施形態に係る発振システム1の簡略化された機能ブロック図である。発振システム1は、発振回路10と、第1のピンP1と、第2のピンP2と、水晶振動子Qzと、第1のキャパシタC1と、第2のキャパシタC2とを備える。発振回路10は、水晶振動子Qzから受信した水晶発振信号Crに基づいて出力発振信号Ouを生成するように、水晶振動子Qzを用いたフィードバック系を形成するように構成されている。なお、簡略化のため、発振システム1の他の機能ブロックは
図1に示していない。
【0013】
発振回路10は、第1のピンP1を介して水晶振動子Qzの第1の端子及び第1のキャパシタC1と結合されるように構成され、第2のピンP2を介して水晶振動子Qzの第2の端子及び第2のキャパシタC2と結合されるように構成される。いくつかの実施形態において、発振回路10はチップに封入されるものであってもよく、第1のピンP1及び第2のピンP2は、チップの接続パッドであってもよい。発振回路10は、増幅器11と、スイッチ回路12と、帰還抵抗Rfを備える。増幅器11は、第1のピンP1及び第2のピンP2とそれぞれ結合されるように構成された入力端子XI及び出力端子XOを備える。入力端子XIは、第1のピンP1を介して水晶振動子Qzから水晶発振信号Crを受信するように構成される。増幅器11は、水晶発振信号Crを増幅及び反転して出力端子XOに出力発振信号Ouを供給するように構成され、この出力発振信号Ouが第2のピンP2を介して水晶振動子Qzに伝達される。
【0014】
本実施形態では、増幅器11は、トランジスタTnとトランジスタTpとを備えるインバータによって実現されるが、本開示はこれに限定されない。増幅器11は、いくつかの実施形態において、様々な反転増幅器によって実現されるものであってもよい。トランジスタTnは、接地ノードと出力端子XOとの間に結合され、このとき、接地ノードは、接地電圧を供給するものであってもよい。トランジスタTpは、電源ノードと出力端子XOとの間に結合され、電源ノードは、動作電圧VDDを提供するように構成される。さらに、トランジスタTp及びTnの制御端子は、入力端子XIと結合される。
【0015】
帰還抵抗Rfは、入力端子XIと出力端子XOとの間に結合され、トランジスタTp及びトランジスタTnを線形領域でバイアスするように、入力端子XIの直流(DC)バイアス電圧(破線で表される)を設定する負帰還を提供するように構成される。直流バイアス電圧は、出力端子XOの直流バイアス電圧と同じ動作電圧VDDの半分(VDD/2)であってもよく、したがって、出力発振信号Ouは50%のデューティサイクルを有するが、本開示はこれに限定されるものではない。発振回路10は、発振を開始するために、第1のキャパシタC1及び第2のキャパシタC2によって提供される正帰還を必要とし、したがって、帰還抵抗Rfは、正帰還が相殺されないように負帰還を緩和するために、比較的大きな抵抗を有するものであってもよい。いくつかの実施形態では、帰還抵抗Rfは、100万Ω~1000万Ωの抵抗範囲を有するものであってもよい。
【0016】
図1に示すように、水晶発振信号Crと出力発振信号Ouは、互いにほぼ逆の位相を持つ。水晶発振信号Crの正の半周期において、トランジスタTnは導通し、リーク電流Lnを有していてもよい。同様に、水晶発振信号Crの負の半周期において、トランジスタTpは、リーク電流Lpを有していてもよい。このようなリーク電流Ln、Lpにより、入力端子XIの直流バイアス電圧がそれぞれ減少及び増加し、動作電圧VDDの半分から乖離する場合がある。入力端子XIと出力端子XOとの間に結合され、帰還抵抗Rfと並列に結合されたスイッチ回路12は、入力端子XIの直流バイアス電圧を動作電圧VDDの半分で安定させることが可能である。
【0017】
水晶発振信号Crの電圧(例えば
図1の正弦波、以下「入力電圧Vin」という)は入力端子XIの直流バイアス電圧に基づいて振れ、出力発振信号Ouの電圧(例えば
図1の矩形波、以下「出力電圧Vout」という)は出力端子XOの直流バイアス電圧に基づいて振れるものであってもよい。スイッチ回路12は、(1)入力電圧Vinが出力電圧Voutよりも少なくとも第1の閾値Vtha(
図5に図示)だけ高い状況、及び(2)出力電圧Voutが入力電圧Vinよりも少なくとも第2の閾値Vthb(
図9に図示)だけ高い状況、のいずれかにおいて導通するように、入力電圧Vinと出力電圧Voutとの電圧差を検出するものであってもよい。第1の状況で導通するスイッチ回路12は、リーク電流Lnに起因する電圧偏差を較正することが可能である。一方、スイッチ回路12が第2の状況で導通するように設計されている場合、スイッチ回路12は、リーク電流Lpに起因する電圧偏差を較正することが可能である。
【0018】
具体的には、スイッチ回路12を導通させると、導通したスイッチ回路12は、帰還抵抗Rfと並列に結合された等価抵抗として動作する。スイッチ回路12は、入力端子XIと出力端子XOとの間の総抵抗値Rt(
図5及び
図9に図示)を小さくするために、オン抵抗値が帰還抵抗Rfの抵抗値よりも小さくなっている。その結果、ずれている入力端子XIの直流バイアス電圧は、動作電圧VDDの実質的に半分を維持する出力端子XOの直流バイアス電圧によって安定化され、これにより自動電圧較正が実現する。いくつかの実施形態では、帰還抵抗Rfの抵抗値は、スイッチ回路12のオン抵抗値の10~500倍である。
【0019】
図2~
図4を参照する。以下の段落では、まず、入力電圧Vinが出力電圧Voutよりも高いという第1の状況において、スイッチ回路12が導通される実施形態を説明する。
【0020】
図2~
図4は、本開示のいくつかの実施形態に係る、スイッチ回路12の模式図である。まず
図2を参照する。この実施形態において、スイッチ回路12は、トランジスタ222を備え、トランジスタ222は、第1の端子と、第2の端子と、制御端子とを備える。いくつかの実施形態において、トランジスタ222は、N型トランジスタであってもよい。トランジスタ222の第1の端子及び制御端子は入力端子XIと結合され、トランジスタ222の第2の端子は、出力端子XOと結合される。トランジスタ222はダイオード接続を形成し、これにより、水晶発振信号Crの正の半周期において本実施形態のスイッチ回路12が導通する。より具体的には、本実施形態のスイッチ回路12は、入力電圧Vinが出力電圧Voutよりも少なくともトランジスタ222の閾値電圧だけ高い場合に導通する。したがって、前述した第1の状況の第1の閾値Vthaは、トランジスタ222の閾値電圧であってもよい。また、本実施形態のスイッチ回路12のオン抵抗値は、トランジスタ222のオン抵抗値、つまりトランジスタ222が導通したときのソース・ドレイン間抵抗であってもよい。
【0021】
次に、
図3を参照する。本実施形態では、スイッチ回路12は、入力端子XIと出力端子XOとの間に直列に接続されたトランジスタ322と補償抵抗324とを備え、トランジスタ322は、第1の端子と、第2の端子と、制御端子とを備える。いくつかの実施形態において、トランジスタ322は、N型トランジスタであってもよい。補償抵抗324は、入力端子XIとトランジスタ322の間に結合される。トランジスタ322の第1の端子、第2の端子及び制御端子は、それぞれ補償抵抗324、出力端子XO及び入力端子XIと結合される。いくつかの実施形態では、トランジスタ322と補償抵抗324の位置は互いに入れ替わっていてもよい。
図2で説明したものと同様に、本実施形態のスイッチ回路12は、入力電圧Vinが出力電圧Voutよりも少なくともトランジスタ322の閾値電圧だけ高い場合に導通するので、前述の第1状況の第1の閾値Vthaは、トランジスタ322の閾値電圧であってもよい。また、本実施形態におけるスイッチ回路12のオン抵抗値は、トランジスタ322のオン抵抗値と補償抵抗324の抵抗との合計であってもよい。
【0022】
図4を参照する。この実施形態では、スイッチ回路12は、トランジスタ422と、トランジスタ424と、補償抵抗426とを備え、トランジスタ422及び424の各々は、第1の端子と、第2の端子と、制御端子とを有する。いくつかの実施形態において、トランジスタ422はN型トランジスタであってもよく、トランジスタ424はP型トランジスタであってもよい。補償抵抗426は、トランジスタ422とトランジスタ424との間に結合される。トランジスタ422の第1の端子、第2の端子及び制御端子は、それぞれ補償抵抗426、出力端子XO及び入力端子XIと結合される。また、トランジスタ424の第1の端子、第2の端子及び制御端子は、それぞれ入力端子XI、補償抵抗426及び出力端子XOと結合される。本実施形態のスイッチ回路12は、入力電圧Vinが出力電圧Voutより少なくともトランジスタ422の閾値電圧だけ高い場合、又は少なくともトランジスタ424の閾値電圧の絶対値だけ高い場合に導通するものであってもよい。すなわち、前述の第1の状況の第1の閾値Vthaは、トランジスタ422の閾値電圧であってもよいし、トランジスタ424の閾値電圧の絶対値であってもよい。また、本実施形態のスイッチ回路12のオン抵抗値は、トランジスタ422のオン抵抗値と、トランジスタ424のオン抵抗値と、補償抵抗426の抵抗との合計であってよい。
【0023】
いくつかの実施形態では、
図4の補償抵抗426は省略されてもよい。トランジスタ422の第1の端子は、トランジスタ424の第2の端子に直接結合されてもよい。
【0024】
図5は、本開示の実施形態に係る、スイッチ回路12及び帰還抵抗Rfにより与えられる入力端子XIと出力端子XOとの間の総抵抗値Rtを示す模式図である。本実施形態において、スイッチ回路12は、
図2~
図4の実施形態におけるもののうちいずれか1つによって実現されるものであってもよい。入力電圧Vinを出力電圧Voutで減算した電圧差は、曲線S1によって表される。曲線S2は、スイッチ回路12が導通した状況の総抵抗値Rtを表す。線S3は、スイッチ回路12がオフしている状況の総抵抗値Rtを表す。
【0025】
図5に示すように、入力電圧Vinが出力電圧Voutより第1の閾値Vthaだけ高くないとき、スイッチ回路12はオフになるので、総抵抗値Rtは帰還抵抗Rf(線S3)の抵抗値となる。
【0026】
一方、入力電圧Vinが出力電圧Voutより少なくとも第1の閾値Vthaだけ高いときには、スイッチ回路12が導通するため、スイッチ回路12のオン抵抗値と帰還抵抗Rfの抵抗とで総抵抗値Rt(曲線S2)が構成される。このような場合、総抵抗値Rtは、式Iのように示される。
【数1】
【0027】
式I中の記号「Rost」は、スイッチ回路12のオン抵抗値を表す。
【0028】
また、トランジスタのオン抵抗値はソース・ドレイン電圧によって変化することがあるため、入力電圧Vinが出力電圧Voutよりも高い場合、スイッチ回路12のオン抵抗値(
図2~
図4の実施の形態のものによって実現される場合)は入力電圧Vinと負の相関がある。例えば、
図4の実施形態のスイッチ回路12に関して、
図4のスイッチ回路12が導通したときの総抵抗値Rtは、式IIのように示される。
【数2】
【0029】
記号「Rc」、「Ron」、「Rop」は、それぞれ補償抵抗426の抵抗値、トランジスタ422のオン抵抗値、トランジスタ424のオン抵抗値を表している。トランジスタ422のオン抵抗値及びトランジスタ424のオン抵抗値は、入力電圧Vinが高くなるにつれて減少し、その結果、
図4のスイッチ回路12のオン抵抗値は、入力電圧Vinと負の相関がある。そのため、入力端子XIと出力端子XOとの間の総抵抗値Rtは、入力電圧Vinが高くなるにつれて小さくなる。総抵抗値Rtを下げると、入力端子XIの直流バイアス電圧が出力端子XOの直流バイアス電圧によって安定化しやすくなり、高い入力電圧Vinによって生じる大きなリーク電流Lnの影響に対処することができるようになる。
【0030】
図6~
図8を参照する。以下の実施形態では、スイッチ回路12は、リーク電流Lpの影響を緩和するために、前述した第2の状況において導通する。
【0031】
図6~
図8は、本開示のいくつかの実施形態に係るスイッチ回路12の模式図である。
図6を参照する。この実施形態において、スイッチ回路12は、トランジスタ622を備え、トランジスタ622は、第1の端子と、第2の端子と、制御端子とを備える。いくつかの実施形態において、トランジスタ622は、N型トランジスタであってもよい。トランジスタ622の第1の端子は、入力端子XIと結合され、トランジスタ622の第2の端子及び制御端子は、出力端子XOと結合される。トランジスタ622は、水晶発振信号Crの負の半周期において本実施形態のスイッチ回路12が導通するようにダイオード接続を形成している。すなわち、本実施形態のスイッチ回路12は、出力電圧Voutが入力電圧Vinよりも少なくともトランジスタ622の閾値電圧だけ高い場合に導通する。したがって、前述した第2の状況の第2の閾値Vthbは、トランジスタ622の閾値電圧であってもよい。また、本実施形態のスイッチ回路12のオン抵抗値は、トランジスタ622のオン抵抗値であってもよい。
【0032】
図7を参照する。この実施形態では、スイッチ回路12は、入力端子XIと出力端子XOとの間に直列に結合されたトランジスタ722と補償抵抗724とを備え、トランジスタ722は、第1の端子と、第2の端子と、制御端子とを備える。いくつかの実施形態において、トランジスタ722は、N型トランジスタであってもよい。補償抵抗724は、トランジスタ722と出力端子XOとの間に結合される。トランジスタ722の第1の端子、第2の端子及び制御端子は、それぞれ入力端子XI、補償抵抗724及び出力端子XOと結合される。いくつかの実施形態では、トランジスタ722と補償抵抗724の位置は互いに入れ替わってもよい。
図6を参照して説明したものと同様に、本実施形態のスイッチ回路12は、出力電圧Voutが入力電圧Vinよりも少なくともトランジスタ722の閾値電圧だけ高い場合に導通する。したがって、前述した第2の状況の第2の閾値Vthbは、トランジスタ722の閾値電圧であってもよい。また、本実施形態のスイッチ回路12のオン抵抗値は、トランジスタ722のオン抵抗値と、補償抵抗724の抵抗との合計であってもよい。
【0033】
図8を参照する。この実施形態では、スイッチ回路12は、トランジスタ822と、トランジスタ824と、補償抵抗826とを備え、トランジスタ822及び824の各々は、第1の端子と、第2の端子と、制御端子とを備える。いくつかの実施形態において、トランジスタ822はN型トランジスタであってもよく、トランジスタ824はP型トランジスタであってもよい。補償抵抗826は、トランジスタ822とトランジスタ824の間に結合される。トランジスタ822の第1の端子と、第2の端子と、制御端子は、それぞれ入力端子XIと、補償抵抗826と、出力端子XOに結合される。また、トランジスタ824の第1の端子と、第2の端子と、制御端子は、それぞれ補償抵抗826と、出力端子XOと、入力端子XIに結合される。本実施形態のスイッチ回路12は、出力電圧Voutが入力電圧Vinより少なくともトランジスタ822の閾値電圧だけ高い場合、又は少なくともトランジスタ824の閾値電圧の絶対値だけ高い場合に導通することができる。すなわち、前述した第2の状況の第2の閾値Vthbは、トランジスタ822の閾値電圧であってもよいし、トランジスタ824の閾値電圧の絶対値であってもよい。また、本実施形態のスイッチ回路12のオン抵抗値は、トランジスタ822のオン抵抗値と、トランジスタ824のオン抵抗値と、補償抵抗826の抵抗との合計であってよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、
図8の補償抵抗826は省略されてもよい。トランジスタ822の第2の端子は、トランジスタ824の第1の端子に直接結合されていてもよい。
【0035】
図9は、本開示の実施形態に係る、スイッチ回路12及び帰還抵抗Rfにより与えられる入力端子XIと出力端子XOとの間の総抵抗値Rtを示す模式図である。本実施形態において、スイッチ回路12は、
図6~
図8の実施形態におけるもののうちのいずれか1つによって実現されるものであってもよい。入力電圧Vinを出力電圧Voutで減算した電圧差は、曲線S4で表される。曲線S5は、スイッチ回路12が導通した状況の総抵抗値Rtを表す。線S6は、スイッチ回路12がオフしている状況の総抵抗値Rtを表している。
【0036】
図9に示すように、出力電圧Voutが入力電圧Vinより第2の閾値Vthbだけ高くないとき、スイッチ回路12はオフになるので、総抵抗値Rtは帰還抵抗Rf(線S6)の抵抗値となる。
【0037】
一方、出力電圧Voutが入力電圧Vinよりも少なくとも第2の閾値Vthbだけ高いときには、スイッチ回路12が導通するので、スイッチ回路12のオン抵抗値と帰還抵抗Rfの抵抗(曲線S5)とで総抵抗値Rtが構成される。
【0038】
また、トランジスタのオン抵抗値はソース・ドレイン電圧によって変化することがあるため、スイッチ回路12のオン抵抗値(
図6~
図8の実施形態のものによって実現される場合)は、出力電圧Voutが入力電圧Vinより高いとき、入力電圧Vinと正の相関がある。そのため、入力端子XIと出力端子XOとの間の総抵抗値Rtは、入力電圧Vinが低下すると低下する。入力電圧Vinが低下したときに総抵抗値Rtを小さくすることで、低い入力電圧Vinによって生じる大きなリーク電流Lpの影響に対処することができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、
図2~
図3の実施形態におけるスイッチ回路12のトランジスタはP型トランジスタによって実現してもよく、これによって、
図2~
図3の実施形態におけるスイッチ回路12を第2の状況で導通して、リーク電流Lpの影響を緩和してもよい。
【0040】
他の実施形態では、
図6~
図7の実施形態におけるスイッチ回路12のトランジスタをP型トランジスタによって実現してもよく、これによって、
図6~
図7の実施形態におけるスイッチ回路12を第1の状況で導通して、リーク電流Lnの影響を緩和してもよい。
【0041】
図10は、本開示の一実施形態に係る発振システム2の簡略化された機能ブロック図である。発振システム2は、発振回路100を備え、さらに、
図1を参照して上述した、第1のピンP1と、第2のピンP2と、水晶振動子Qzと、第1のキャパシタC1と、第2のキャパシタC2とを備える。なお、
図10では、簡略化のため、発振システム2の他の機能ブロックは図示していない。発振回路100は、水晶振動子Qzから受信した水晶発振信号Crに基づいて出力発振信号Ouを生成するように、水晶振動子Qzを用いたフィードバック系を形成するように構成されている。発振回路100は、増幅器101と、帰還抵抗Rfと、スイッチ回路102、103とを備えている。
図10の発振回路100は、
図1の発振回路10と同様であるので、
図1を参照して上述された構成要素に対応する
図10の構成要素に関する説明は、以下において省略される。
【0042】
スイッチ回路102、103の各々は、入力端子XIと出力端子XOとの間に結合される(すなわち、帰還抵抗Rfと並列に結合される)。スイッチ回路102は、入力電圧Vinが出力電圧Voutよりも少なくとも第1の閾値Vthaだけ高いとき(すなわち、第1の状況)に導通するように構成され、リーク電流Lnの影響を緩和するようになっている。一方、スイッチ回路103は、出力電圧Voutが入力電圧Vinよりも少なくとも第2の閾値Vthbだけ高いとき(すなわち、第2の状況)に導通し、リーク電流Lpの影響を緩和するように構成されている。スイッチ回路102、103の各々は、帰還抵抗Rfの抵抗値よりも小さいオン抵抗値を有する。
【0043】
いくつかの実施形態において、スイッチ回路102は、
図2~
図4の実施形態のいずれか1つのスイッチ回路12によって実現されるものであってもよいし、
図6~
図7の実施形態のいずれか1つのスイッチ回路12のトランジスタをP型トランジスタで実現したものによって実現されるものであってもよい。また、スイッチ回路103は、
図6~
図8の実施形態のいずれか1つのスイッチ回路12によって実現されるものであってもよいし、
図2~
図3の実施形態のいずれか1つのスイッチ回路12のトランジスタをP型トランジスタで実現したものによって実現されるものであってもよい。スイッチ回路102、103がそれぞれ
図4のスイッチ回路12、
図8のスイッチ回路12によって実現した実装を、
図11を参照して説明する。
【0044】
図11は、本開示の一実施形態に係るスイッチ回路102及びスイッチ回路103の模式図である。スイッチ回路102は、トランジスタ1122と、トランジスタ1124と、補償抵抗1126とを備え、トランジスタ1122及び1124の各々は、第1の端子と、第2の端子と、制御端子とを備える。いくつかの実施形態において、トランジスタ1122はN型トランジスタであってもよく、トランジスタ1124はP型トランジスタであってもよい。補償抵抗1126は、トランジスタ1122とトランジスタ1124との間に結合される。トランジスタ1122の第1の端子、第2の端子及び制御端子は、それぞれ補償抵抗1126、出力端子XO及び入力端子XIと結合される。トランジスタ1124の第1の端子、第2の端子、及び制御端子は、それぞれ入力端子XI、補償抵抗1126、及び出力端子XOと結合される。
【0045】
スイッチ回路103は、トランジスタ1132と、トランジスタ1134と、補償抵抗1136とを備え、トランジスタ1132及び1134の各々は、第1の端子と、第2の端子と、制御端子とを備える。いくつかの実施形態において、トランジスタ1132はN型トランジスタであってもよく、トランジスタ1134はP型トランジスタであってもよい。補償抵抗1136は、トランジスタ1132とトランジスタ1134との間に結合される。トランジスタ1132の第1の端子、第2の端子及び制御端子は、それぞれ入力端子XI、補償抵抗826及び出力端子XOと結合される。トランジスタ1134の第1の端子、第2の端子及び制御端子は、それぞれ補償抵抗1136、出力端子XO及び入力端子XIと結合される。
【0046】
スイッチ回路102は、入力端子XIから出力端子XOへの電流の流れを提供し、スイッチ回路103は、これとは別の反対方向の電流の流れを提供するものであってもよい。すなわち、スイッチ回路102及び103が同時に導通することを回避するために、スイッチ回路102はスイッチ回路103とは逆並列接続される。
【0047】
いくつかの実施形態では、補償抵抗1126及び/又は1136は省略されてもよい。トランジスタ1122の第1の端子は、トランジスタ1124の第2の端子に直接結合されてもよく、トランジスタ1132の第2の端子は、トランジスタ1134の第1の端子に直接結合されてもよい。
【0048】
図12は、本開示の実施形態に係る、スイッチ回路102、スイッチ回路103及び帰還抵抗Rfにより与えられる入力端子XIと出力端子XOとの間の総抵抗値Rtを示す模式図である。入力電圧Vinを出力電圧Voutで減算した電圧差は、曲線S7で表される。曲線S8は、スイッチ回路102が導通し、スイッチ回路103がオフの状況の総抵抗値Rtを表す。曲線S9は、スイッチ回路102がオフで、スイッチ回路103が導通した状況の総抵抗値Rtを表す。直線S10は、スイッチ回路102とスイッチ回路103とが共にオフの状況での総抵抗値Rtを表す。
【0049】
図12に示すように、入力電圧Vinが出力電圧Voutより少なくとも第1の閾値Vthaだけ高いとき、スイッチ回路102は導通し、スイッチ回路103はオフとなる。総抵抗値Rt(曲線S8)は、スイッチ回路102のオン抵抗値と、帰還抵抗Rfの抵抗値とで構成されている。したがって、総抵抗値Rtは、入力電圧Vinと負の相関がある。
【0050】
一方、出力電圧Voutが入力電圧Vinより少なくとも第2の閾値Vthbだけ高いとき、スイッチ回路103は導通し、スイッチ回路102はオフとなる。総抵抗値Rt(曲線S9)は、スイッチ回路103のオン抵抗値と、帰還抵抗Rfの抵抗値とで構成されている。したがって、総抵抗値Rtは、入力電圧Vinと正の相関がある。
【0051】
さらに、入力電圧Vinが出力電圧Voutより高いが、当該2つの電圧の差が第1の閾値Vthaより小さい場合、又は出力電圧Voutが入力電圧Vinより高いが、当該2つの電圧の差が第2の閾値Vthb以下の場合、スイッチ回路102及びスイッチ回路103は共にオフとなる。したがって、総抵抗値Rtは、帰還抵抗Rfの抵抗となる。
【0052】
発振回路によっては、増幅器の入力電圧と出力電圧が同程度の電圧レベルである場合(すなわち、互いに交差している場合)、ノイズの影響を受けやすい場合がある。
図5、
図9、
図12から理解できるように、上記実施形態の発振回路10、100は、入力端子XIの直流バイアス電圧を自動的に較正できるだけでなく、水晶発振信号Crと出力発振信号Ouとが同様の電圧レベルのときに較正動作を無効化して(すなわち、すべてのスイッチ回路をオフして)追加のノイズの取り込みを回避することが可能である。
【0053】
図13は、本開示の実施形態に係るデューティサイクル自動較正方法130のフローチャートである。方法130又は本明細書に記載される他の方法の特徴の任意の組み合わせは、非一過性のコンピュータ可読媒体に格納される命令で具現化されるものであってもよい。1つ以上のプロセッサによって実行されると、命令は、そのような方法の一部又は全部を実行させるものであってもよい。本明細書で議論される方法のいずれかが、フローチャートに例示されるよりも多い又は少ない操作を含むものであってもよく、操作は、適宜、任意の順序で実行されるものであってもよいことが理解されるであろう。説明の便宜上、方法130は、
図10の発振回路100を参照して図示されているが、本開示はこれに限定されるものではない。方法130は、上記実施形態の発振回路のいずれか1つに適用可能である。
【0054】
動作S132において、増幅器101は、その入力端子XIにより、水晶振動子Qzから水晶発振信号Crを受信する。
【0055】
動作S134において、増幅器101は、水晶発振信号Crを反転して、その出力端子XOに出力発振信号Ouを供給する。
【0056】
動作S136では、入力電圧Vinと出力電圧Voutとの間の電圧差に応じてスイッチ回路102を導通させる。具体的には、スイッチ回路102は、(1)入力電圧Vinが出力電圧Voutよりも少なくとも第1の閾値Vthaだけ高い場合、及び(2)出力電圧Voutが入力電圧Vinよりも少なくとも第2の閾値Vthbだけ高い場合、のいずれかにおいて導通するよう構成される。例えば、スイッチ回路102は、入力電圧Vinが出力電圧Voutよりも少なくとも第1の閾値Vthaだけ高い場合に導通するものであってもよい。
【0057】
動作S138では、入力電圧Vinと出力電圧Voutとの電圧差に応じて、スイッチ回路103を導通させる。なお、スイッチ回路103は、上記のうち他の1つの状況で導通されるように構成されている。例えば、出力電圧Voutが入力電圧Vinよりも少なくとも第2の閾値Vthbだけ高い場合に、スイッチ回路103を導通するものであってもよい。
【0058】
特定の用語は、本明細書及び特許請求の範囲を通じて、特定の構成要素を指すために使用される。当業者は、構成要素が異なる名称として言及され得ることを理解されたい。本開示は、名称は異なるが機能は異なることのない構成要素を区別することを意図していない。本明細書及び特許請求の範囲において、用語「備える(comprise)」は非限定形式(open-ended fashion)で使用され、したがって「含むが、それに限定しない(include, but not limited to)を意味すると解釈されるべきである。用語「結合(couple)」は、任意の間接的又は直接的な接続を包括することを意図している。したがって、本開示が、第1のデバイスが第2のデバイスと結合されると言及した場合、第1のデバイスが、他の中間デバイス又は接続手段との電気接続、無線通信、光通信、又は他の信号接続を介して、直接的又は間接的に第2のデバイスに接続されるものであってもよいことを意味する。
【0059】
用語「及び/又は」は、関連する列挙された項目の1つ以上の任意の及び全ての組合せを備えるものであってよい。
【0060】
本開示の他の実施形態は、本明細書に開示された本開示の明細書及び実施例の実行を考慮することにより、当業者には明らかになるであろう。本明細書及び実施例は、例示的なものとしてのみ考慮されることが意図され、本開示の真の範囲及び精神は、以下の特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0061】
1、2…発振システム、10…発振回路、11…増幅器、12、102、103…スイッチ回路、100…発振回路、101…増幅器、222、322、422、424、622、722、822、824、1122、1124、1132、1134…トランジスタ、324、426、724、826、1126、1136…補償抵抗、C1…第1のキャパシタ、C2…第2のキャパシタ、P1…第1のピン、P2…第2のピン、Qz…水晶振動子