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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】音を発生するためのアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   H04R 23/00 20060101AFI20240509BHJP
   H04R 7/12 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
H04R23/00 310
H04R7/12 Z
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022205714
(22)【出願日】2022-12-22
(62)【分割の表示】P 2019518966の分割
【原出願日】2017-10-04
(65)【公開番号】P2023036809
(43)【公開日】2023-03-14
【審査請求日】2022-12-26
(31)【優先権主張番号】62/404,093
(32)【優先日】2016-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519121038
【氏名又は名称】モハレ, プラドネシュ
【氏名又は名称原語表記】MOHARE, Pradnesh
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】モハレ, プラドネシュ
(72)【発明者】
【氏名】コプカール, ラーフル
【審査官】大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-59885(JP,A)
【文献】特開平11-113086(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 23/00
H04R 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
音を発生するアセンブリであって、
1つ以上の波発生面であって、前記波発生面の動きが音波を発生するように構成されており、前記1つ以上の波発生面が、往復運動、周期運動、回転運動又は楕円運動のいずれか1つのために構成されている、1つ以上の波発生面と、
前記波発生面のうちの1つ以上を、音を発生するために第1の位置から第2の位置まで駆動するように構成されたドライバと、
(i)前記波発生面のうちの1つ以上の空気流特性、又は(ii)前記波発生面のうちの1つ以上の運動の方向若しくは速度のいずれかを修正するように構成された1つ以上のアクチュエータと、
を備えるアセンブリ。
【請求項2】
前記1つ以上の波発生面の各々が、モータに回転可能に取り付けられた回転羽根を備え、
音を発生する前記アセンブリが、第1の動作モードと第2の動作モードの間で選択的に切り換え可能であり、
前記第1の動作モードでは、各前記回転羽根が第1の羽根形状を有し、
前記第2の動作モードでは、各前記回転羽根が前記第1の羽根形状とは異なる第2の羽根形状を有し、
各回転羽根の羽根形状の前記第1の羽根形状から前記第2の羽根形状への変化が前記1つ以上のアクチュエータによって実現される、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項3】
前記1つ以上のアクチュエータのうち第1のアクチュエータが、前記1つ以上の波発生面のうちの少なくとも1つの空気流特性、又は前記1つ以上の波発生面のうちの少なくとも1つの運動の方向若しくは速度を修正するように構成され、前記第1のアクチュエータが、電磁アクチュエータ、電気アクチュエータ、電熱アクチュエータ、ソレノイドアクチュエータ、モータアクチュエータ、圧電アクチュエータ、バイメタル板アクチュエータ、加熱流体アクチュエータ、流体流アクチュエータ、液圧アクチュエータ、又は空気圧アクチュエータのいずれかである、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項4】
前記1つ以上の波発生面の各々が、外部円筒形構造体に回転可能に取り付けられた回転羽根を備えており、
各前記回転羽根は、前記回転羽根を覆う空気流を変化させるために前記回転羽根の位置が第1の位置から第2の位置へ選択的に変更可能なように前記外部円筒形構造体に取り付けられている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項5】
少なくとも1つの前記外部円筒形構造体及び少なくとも1つの前記回転羽根が、音導管を形成するように構成された構造体によって取り囲まれている、請求項4に記載のアセンブリ。
【請求項6】
前記1つ以上の波発生面が複数の波発生面を含み、前記波発生面の各々が、モータに回転可能に取り付けられた回転羽根を備え、
音を発生する前記アセンブリが、第1の動作モードと第2の動作モードの間で選択的に切り換え可能であり、
前記第1の動作モードでは、前記回転羽根が第1の構成にあり、
前記第2の動作モードでは、前記回転羽根が第2の構成にあり、
前記回転羽根が、前記第1の構成では互いに比較的近接して配置され、前記第2の構成では互いから比較的遠くに配置され、
音を発生する前記アセンブリが、前記1つ以上のアクチュエータによって前記第1の動作モードと前記第2の動作モードの間で切り換えられる、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項7】
前記回転羽根は、前記回転羽根を覆う空気流が前記回転羽根の縁部間にトルクを発生するように配置されている、請求項6に記載のアセンブリ。
【請求項8】
前記1つ以上の波発生面が複数の波発生面を含み、前記波発生面の各々が、モータに回転可能に取り付けられた回転羽根を備え、
前記回転羽根が、対をなした構成で前記モータに取り付けられており、前記回転羽根が、複数組の対になった羽根を含み、
前記対になった羽根の各組内の第1の対内羽根が、前記対になった羽根の前記組内の第2の対内羽根に制御可能に近づき又は該第2の対内羽根から制御可能に遠ざかることが可能である、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項9】
音を発生する前記アセンブリが、第1の動作モードと第2の動作モードの間で選択的に切り換え可能であり、
前記第1の動作モードでは、前記対になった羽根の各組内の前記第1の対内羽根が、前記対になった羽根の前記組内の前記第2の対内羽根からオフセットされており、
前記第2の動作モードでは、前記対になった羽根の各組内の前記第1の対内羽根が、前記対になった羽根の前記組内の前記第2の対内羽根と位置合わせされており、
音を発生する前記アセンブリが、前記1つ以上のアクチュエータによって前記第1の動作モードと前記第2の動作モードの間で切り換えられる、請求項8に記載のアセンブリ。
【請求項10】
前記対になった羽根の各組内の前記第1の対内羽根が、前記対になった羽根の前記組内の前記第2の対内羽根に係留され又は留められ、前記第1の対内羽根と前記第2の対内羽根の最大離隔が制限されるようになっている、請求項9に記載のアセンブリ。
【請求項11】
前記1つ以上の波発生面が、共通軸線に沿って取り付けられた羽根の2つの個別組を備え、前記羽根の2つの個別組は、前記羽根の2つの個別組からの空気流を制御するために前記羽根の2つの個別組の相対的な回転及び相対的な隔離の少なくとも一方が制御可能であるように構成されている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項12】
2つのモータを備える請求項1に記載のアセンブリであって、各前記モータには、対応する羽根アセンブリが取り付けられており、
前記2つのモータの各々が、前記対応する羽根アセンブリによって生じる対応する空気流を変化させるように制御可能であり、
前記1つ以上の波発生面が、共通軸線に沿って取り付けられた羽根の2つの個別組を備え、前記羽根の2つの個別組は、前記羽根の2つの個別組からの空気流を制御するために前記羽根の2つの個別組の相対的な回転又は相対的な隔離が制御可能であるように構成されている、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項13】
前記1つ以上の波発生面が振動面を備え、
音を発生する前記アセンブリが、前記振動面の形状又は制御面特性を制御するように構成された1つ以上の圧電バイモルフを含んでいる、請求項1に記載のアセンブリ。
【請求項14】
音を発生する前記アセンブリが、第1の動作モードと第2の動作モードの間で選択的に切り換え可能であり、
前記第1の動作モードでは、前記1つ以上の圧電バイモルフに送信された信号が前記振動面を収縮形状へと駆動し、
前記第2の動作モードでは、前記1つ以上の圧電バイモルフに送信された信号が前記振動面を伸長形状へと駆動する、請求項13に記載のアセンブリ。
【請求項15】
前記回転羽根が花弁構成又は傘構成に配置される、請求項6に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
[001]本出願は、2016年10月4日出願の米国特許仮出願第62/404,093号の優先権を主張し、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
[002]本発明は、音生成及び音発生に関する。特に本発明は、限定的なものではないが、スピーカアセンブリを含む、音を発生するための新規な構造及びアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
[003]従来のマイクロフォン及びスピーカには、様々な材料及び構成が使用される。一般に使用される1つのタイプのマイクロフォン/スピーカアセンブリは、少なくとも巻線コイルと、磁石(1つ以上)と、コイル及び磁石(1つ以上)の一方に張り付けられたダイアフラムとを備えるボイスコイルベースのアセンブリである。スピーカとしての動作では、コイルを励起すると磁場が作り出され、この磁場により磁石とコイルの間に相対運動が生じてダイアフラムが動くことになり、結果として音が発生する。
【0004】
[004]別の一般的なスピーカ構成は静電型スピーカであり、磁場感応ダイアフラムが2つの固定子の間に配置される。交番する極性の電流によって固定子の対を励起すると交流電場が発生して、ダイアフラムが2つの固定子の間で動くことになり、結果として音が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[005]しかし、高い感度、小さいサイズ、少ない重量、単純な設計及び構造、低いコスト、製造効率及びフォームファクタの改善、及び/又は以前にはあり得なかった用途、という利点を提供しながら音出力の忠実度を改善するスピーカアセンブリが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[006]本発明は、音を発生するアセンブリを提供する。このアセンブリは、電磁場/静電場発生構造体に結合された第1の面と、電磁場/静電場感応構造体に結合された第2の面とを備える。第1の面と第2の面は、電磁場/静電場発生構造体による電磁場/静電場の発生に応答して第1の面及び第2の面の少なくとも一方が、第1の面及び第2の面のもう一方に対して押し動かされるように、互いの間をあけることができる。
【0007】
[007]第1の面及び第2の面は、同軸上に配置された環状面とすることができる。一実施形態では、第1の面及び第2の面の一方がダイアフラムを備える。より特定の実施形態では、第1の面及び第2の面の一方が、伸張型構造体を有するダイアフラムを備える。
【0008】
[008]第1の面と第2の面は、複数の弾性係留具によって相互連結することができる。
【0009】
[009]第1の面及び第2の面の一方がダイアフラムを備える実施形態では、前記ダイアフラムは、可撓性を有する相互連結された複数のダイアフラムセグメントを備える。
【0010】
[0010]第1の面及び第2の面のそれぞれは、前記第1の面と第2の面が互いに離間されるように、スペーサの両側に取り付けることができる。
【0011】
[0011]第1の面及び第2の面の一方又は両方は、螺旋面を備えることができる。
【0012】
[0012]第1の面及び第2の面の少なくとも一方は、1つ以上の面剛性調整装置を備えることができる。
【0013】
[0013]第1の面及び第2の面の一方がダイアフラムである実施形態では、前記ダイアフラムには、荷電粒子、又は荷電層、又は磁気感応粒子、又は磁気感応層を配置することができる。
【0014】
[0014]ダイアフラムは、荷電粒子又は磁気感応粒子の1つ以上の層を備えることができ、このような荷電粒子又は磁気感応粒子の各層が、2つのダイアフラム基板層の間に配置されている。
【0015】
[0015]一実施形態では、第1の面及び第2の面の一方が、1つ以上の導電性構造体が付加された状態で又は削除された状態で形成されたダイアフラムを備える。
【0016】
[0016]第1の面及び第2の面の一方は、それぞれの導電性構造を有する1つ以上の導電性構造体が2つのダイアフラム基板層の間に配置されたダイアフラムを備えることができる。
【0017】
[0017]第1の面及び第2の面の一方がダイアフラムを備える実施形態では、前記ダイアフラムは導電性メッシュ構造体を備えることができ、非導電性フィラ材料が前記メッシュ構造体の導電性要素間の空間を占めており、各空間内のフィラ材料の外部周辺が、少なくとも1つの隣り合う空間内のフィラ材料の外部周辺から隔てられている。
【0018】
[0018]第1の面及び第2の面の一方がダイアフラムを備える別の実施形態では、前記ダイアフラムは導電性メッシュ構造体を備え、空隙が前記メッシュ構造体の導電性要素間の空間を占めている。
【0019】
[0019]第1の面及び第2の面の一方は、配置された導電性構造体を含むことができ、第1の面及び第2の面のもう一方は、配置された電磁場感応構造体を含むことができ、導電性構造体及び電磁場感応構造体は実質的に同一の構造を有する。
【0020】
[0020]第1の面及び第2の面の一方がダイアフラムを備えるさらなる実施形態では、前記ダイアフラムに複数の導電性構造体を配置することができ、複数の導電性構造体のそれぞれは互いに電気的に分離されている。
【0021】
[0021]複数の導電性構造体のうちの1つは電流を流すように構成することができ、複数の導電性構造体の少なくとも一方は、外部から加えられたどの電流とも分離することができる。
【0022】
[0022]より特定の実施形態では、複数の導電性構造体のうちの1つは第1の電流を流すように構成されており、複数の導電性構造体の別の1つは第2の電流を流すように構成されており、第1の電流と第2の電流は互いに電気的に分離されている。
【0023】
[0023]複数の導電性構造体のうちの1つは、複数の導電性構造体のうちの少なくとも1つの他のものと比較して異なる構造的特性を有することができる。
【0024】
[0024]第1の面及び第2の面の一方がダイアフラムを備える特定の実施形態では、前記ダイアフラムは第1の断面厚さを有することができ、少なくとも1つの追加のダイアフラム領域が、第1の断面幅と等しくない断面厚さを有することができる。
【0025】
[0025]アセンブリの一実施形態では、第1の面及び第2の面の一方がダイアフラムを備え、前記ダイアフラムは入力ダイアフラムとして構成されている。
【0026】
[0026]アセンブリの別の実施形態では、第1の面及び第2の面の一方はダイアフラムを備え、前記ダイアフラムはマイクロフォンダイアフラムとして構成されている。
【0027】
[0027]複数の別個の導電性構造体のうちの1つは、第1の音声チャネルに対応する第1の入力信号流に接続することができ、複数の別個の導電性構造体のうちの別の1つは、第2の音声チャネルに対応する第2の入力信号流に接続することができる。
【0028】
[0028]第1の面及び第2の面の一方がダイアフラムを備える実施形態では、前記ダイアフラムは、流体密封区画を形成するように合わせて封止された複数の非多孔質膜を備えることができ、前記流体密封区画は、大気圧より高いガスを使用して拡張される。前記流体密封区画の境界は、複数の非多孔質膜が上に取り付けられている剛性スペーサ、及び前記流体密封区画の周辺部を画定する1つ以上の留め具のうちの1つ以上によって画定することができる。
【0029】
[0029]別の実施形態では、本発明は音を発生するアセンブリを含むことができる。このアセンブリは、(i)1つ以上の波発生面であって、前記波発生面の動きが音波を発生するように構成されており、前記1つ以上の波発生面が、往復運動、周期運動、回転運動又は楕円運動のいずれか1つが得られるように構成されている1つ以上の波発生面と、(ii)波発生面のうちの1つ以上を、可聴音を発生するために第1の運動位置から第2の運動位置まで駆動するように構成されたドライバと、(iii)(a)波発生面のうちの1つ以上の空気流特性、又は(b)波発生面のうちの1つ以上の運動の方向若しくは速度、のいずれかを修正するように構成された1つ以上のアクチュエータとを備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1A】ラジアルスピーカアセンブリを示す図である。
図1B】ラジアルスピーカアセンブリを示す図である。
図1C】スピーカアセンブリのダイアフラムの例示的な実施形態を示す図である。
図1D】スピーカアセンブリのダイアフラムの例示的な実施形態を示す図である。
図1E】スピーカアセンブリのダイアフラムの例示的な実施形態を示す図である。
図1F】スピーカアセンブリのダイアフラムの例示的な実施形態を示す図である。
図1G】スピーカアセンブリのダイアフラムの例示的な実施形態を示す図である。
図1H】スピーカアセンブリのダイアフラムの例示的な実施形態を示す図である。
図2A】スピーカアセンブリの係留面の実施形態を示す図である。
図2B】スピーカアセンブリの係留面の実施形態を示す図である。
図3A】スピーカアセンブリのスペーサ取り付け面の実施形態を示す図である。
図3B】スピーカアセンブリのスペーサ取り付け面の実施形態を示す図である。
図3C】スピーカアセンブリのスペーサ取り付け面の実施形態を示す図である。
図3D】スピーカアセンブリのスペーサ取り付け面の実施形態を示す図である。
図3E】折り畳める、又は丸められるスピーカアセンブリの実施形態を示す図である。
図3F】折り畳める、又は丸められるスピーカアセンブリの実施形態を示す図である。
図3G】折り畳める、又は丸められるスピーカアセンブリの実施形態を示す図である。
図4A】張力調整可能スピーカアセンブリの実施形態を示す図である。
図4B】張力調整可能スピーカアセンブリの実施形態を示す図である。
図4C】張力調整可能スピーカアセンブリの実施形態を示す図である。
図5A】スピーカアセンブリの伸張型ダイアフラムを示す図である。
図5B】スピーカアセンブリの伸張型ダイアフラムを示す図である。
図6A】磁気又は電荷感応粒子が設けられたスピーカアセンブリのダイアフラムを示す図である。
図6B】磁気又は電荷感応粒子が設けられたスピーカアセンブリのダイアフラムを示す図である。
図7A】導電性構造体を備えるダイアフラム面の実施形態を示す図である。
図7B】導電性構造体を備えるダイアフラム面の実施形態を示す図である。
図8A】1つ以上の導電性構造体が配置されたダイアフラム面の実施形態を示す図である。
図8B】1つ以上の導電性構造体が配置されたダイアフラム面の実施形態を示す図である。
図8C】1つ以上の導電性構造体が配置されたダイアフラム面の実施形態を示す図である。
図8D】1つ以上の導電性構造体が配置されたダイアフラム面の実施形態を示す図である。
図8E】1つ以上の導電性構造体が配置されたダイアフラム面の実施形態を示す図である。
図8F】1つ以上の導電性構造体が配置されたダイアフラム面の実施形態を示す図である。
図8G】1つ以上の導電性構造体が配置されたダイアフラム面の実施形態を示す図である。
図8H】1つ以上の導電性構造体が配置されたダイアフラム面の実施形態を示す図である。
図8I】1つ以上の導電性構造体が配置されたダイアフラム面の実施形態を示す図である。
図8J】1つ以上の導電性構造体が配置されたダイアフラム面の実施形態を示す図である。
図8K】1つ以上の導電性構造体が配置されたダイアフラム面の実施形態を示す図である。
図9A】1つ以上の導電性構造体が配置されたダイアフラム面の実施形態を示す図である。
図9B】複数の断面を有するダイアフラム構造体を示す図である。
図9C】1つ以上の導電性構造体が配置されたダイアフラム面の実施形態を示す図である。
図9D】1つ以上の導電性構造体が配置されたダイアフラム面の実施形態を示す図である。
図10A】1つ以上の導電性構造体が配置されたダイアフラム面の実施形態を示す図である。
図10B】1つ以上の導電性構造体が配置されたダイアフラム面の実施形態を示す図である。
図11】1つ以上の導電性構造体が配置されたダイアフラム面の実施形態を示す図である。
図12A】回転スピーカアセンブリ及びその構成要素の実施形態を示す図である。
図12B】回転スピーカアセンブリ及びその構成要素の実施形態を示す図である。
図12C】回転スピーカアセンブリ及びその構成要素の実施形態を示す図である。
図12D】回転スピーカアセンブリ及びその構成要素の実施形態を示す図である。
図12E】回転スピーカアセンブリ及びその構成要素の実施形態を示す図である。
図12F】回転スピーカアセンブリ及びその構成要素の実施形態を示す図である。
図12F-F】回転スピーカアセンブリ及びその構成要素の実施形態を示す図である。
図12G】回転スピーカアセンブリ及びその構成要素の実施形態を示す図である。
図12H】回転スピーカアセンブリ及びその構成要素の実施形態を示す図である。
図12I】回転スピーカアセンブリ及びその構成要素の実施形態を示す図である。
図12J】回転スピーカアセンブリ及びその構成要素の実施形態を示す図である。
図12K】回転スピーカアセンブリ及びその構成要素の実施形態を示す図である。
図12L】回転スピーカアセンブリ及びその構成要素の実施形態を示す図である。
図12M】回転スピーカアセンブリ及びその構成要素の実施形態を示す図である。
図12N】回転スピーカアセンブリ及びその構成要素の実施形態を示す図である。
図12O】回転スピーカアセンブリ及びその構成要素の実施形態を示す図である。
図12P】回転スピーカアセンブリ及びその構成要素の実施形態を示す図である。
図12Q】回転スピーカアセンブリ及びその構成要素の実施形態を示す図である。
図12R】回転スピーカアセンブリ及びその構成要素の実施形態を示す図である。
図12S】振動スピーカアセンブリ及びその構成要素の実施形態を示す図である。
図12T】振動スピーカアセンブリ及びその構成要素の実施形態を示す図である。
図12T-T】振動スピーカアセンブリ及びその構成要素の実施形態を示す図である。
図12U】本発明の教示による膜構造体をベースとする新規のスピーカアセンブリ構造体の実施形態を示す図である。
図12V】本発明の教示による膜構造体をベースとする新規のスピーカアセンブリ構造体の実施形態を示す図である。
図13】本明細書の他のところで論じられているアセンブリの1つ以上の実施形態を組み込む例示的なドラムアセンブリを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[0045]本発明は、互いに固定する、又は可動とすることができる複数の面を使用して音を生成するためのアセンブリを提供する。これらの面は、実装される、熱的に活性化される、恒久的に磁化される、又は、それだけには限らないが、機械的な活性化を含む任意の他の手段によって活性化される、電磁変換器、静電変換器、圧電変換器とすることができる。
【0032】
[0046]以下で詳細に説明するように、これらの面は、様々な構成で、自由浮動にする、拘束する、空中浮揚させる、又はこれらの組み合わせとすることができる。これらの面はそれ自体で折り畳める、丸められる、広げられる、特殊化される、又はこれらの任意の組み合わせとすることができる。
【0033】
ラジアルスピーカアセンブリ
[0047]図1Aに示された第1の実施形態では、本発明は、第1の半径を有する第1の円筒形面102と、前記第1の半径よりも小さい第2の半径を有する第2の円筒形面104とを含むラジアル構成スピーカアセンブリを備え、第1及び第2の円筒形面は、その長手方向軸線のまわりに同軸上に配置される。別の言い方をすると、第1及び第2の円筒形面は、第2の円筒形面が第2の円筒形面の中で入れ子になるように共通長手方向軸線のまわりで同軸上に位置合わせされる。第1の円筒形面及び第2の円筒形面の少なくとも一方が静電場/電場発生構成要素と結合され、第1の円筒形面及び第2の円筒形面のもう一方が1つ以上の静電場/電場感応構成要素と結合される。静電場/電場発生構成要素によって発生する静電場を変えると、電磁場/電場感応構成要素による運動が生じて、同軸上に入れ子になっている第1及び第2の円筒形面の面間で相対運動が生じる。本発明の一実施形態では、第1の円筒形面102及び第2の円筒形面104の一方がダイアフラム面であり、スピーカアセンブリは、静電場発生構成要素によって発生する静電場を変えることによりダイアフラムの径方向の伸長又は径方向の収縮が生じ、結果として音が発生するように構成される。
【0034】
[0048]本発明の第1の実施形態では、ダイアフラム面は第1の円筒形面102を備える。本発明の別の実施形態では、ダイアフラム面は第2の円筒形面104を備える。
【0035】
[0049]第1の円筒形面102及び第2の円筒形面104は、任意の数の機構部によって適所に取り付けること、又は固定できることを理解されたい。1つの実施形態では、第1と第2の円筒形面は互いに、複数の弾性又は伸縮性の係留具によって係留される。図1Bは、第1の円筒形面102及び第2の円筒形面104の上面図と、前記面が互いに複数の弾性係留具106、108、110、112及び114によって張り付けられる方法とを示す。前記弾性係留具は、第1の円筒形面102と第2の円筒形面104が、前記円筒形面の一方又は両方の伸長又は収縮による相対運動が可能になるようにして互いに張り付けられるように選択され張り付けられる。加えて、前記係留具の弾性特性は、前記円筒形面の相対運動の原因である静電場が印加されなくなると前記面がその元の構成を回復する助けになる。本発明を実施する目的のためには、第1の面及び第2の面は必ずしも完全に円筒形である必要がなく、任意の同様の、又は実質的に同様の2D又は3Dの形状を含んでもよいことをさらに理解されたい。
【0036】
[0050]図1Cに示された一実施形態では、第1の円筒形面及び第2の円筒形面のいずれか一方(及び、一実施形態では両方)が、実質的に円筒形面又は多角形面を形成するように結合された複数のセグメント(たとえば、116、118及び120)から成るセグメント化面である。問題の円筒形面がダイアフラムである本発明の一実施形態では、円筒を形成するためのセグメントの結合は、1つ若しくは複数の継手、折り目、オリガミ型連結部、又はダイアフラムの伸長及び収縮を可能にする他の留め具を使用することによって実現することができる。図1Dは、結合されたダイアフラム構造体の上面図を示す。図1Cに示されたセグメントは実質的に細片形状であるが、他の任意の規則的又は不規則な形状が個々のセグメントに使用されてもよいことを理解されたい。
【0037】
[0051]図1Eに示された別の実施形態では、第1の円筒形面及び第2の円筒形面の一方又は両方が可撓性螺旋構造122を有することができ、それにより円筒形面は、螺旋コイルを締める、又は緩めることによって伸長又は収縮することが可能になる。図1Fは、螺旋構造122を有する円筒形面の上面図を示す。本発明の一実施形態では、螺旋構造122はスピーカダイアフラムを含む。図1Eは円筒形面の螺旋構造を示すが、第1の円筒形面及び第2の円筒形面は同様に、他の任意の弾性的に伸張可能な、又は弾性的に折り畳み可能な構造を含み得ることを理解されたい。
【0038】
[0052]図1G及び図1Hはそれぞれ、結合された複数のセグメント124、126、128を同時に備えながら螺旋構成を有する円筒形面の側面図及び上面図を示す。
【0039】
空中浮揚された、又は吊り下げられた面を有するスピーカアセンブリ
[0053]図2A及び図2Bに示された本発明の第2の実施形態は、第1の面202及び第2の面204を備えるスピーカアセンブリを含み、第1と第2の面は互いに複数の弾性留め具206~212によって弾性的に張り付けられている。本発明の一実施形態では、前記弾性留め具が弾性係留具又は他の留め具206~212を含んでもよく、これらは、励起段階では2つの面間の相対運動を可能にし、静止段階では2つの面が互いにその元の位置を再び占めることができるようにする。第1の面202及び第2の面204の少なくとも一方が静電場/電場発生構成要素に結合され、第1の面202及び第2の面204のもう一方が1つ以上の静電場/電場感応構成要素と結合される。励起段階では、静電場/電場発生構成要素によって発生する静電場/電場が変化すると、静電場/電場感応構成要素による運動が生じて、2つの面間の相対運動が生じ、静止段階では、2つの面が互いにその元の位置を再び占める。本発明の一実施形態では、第1の面202及び第2の面204の一方がダイアフラム面でもよく、スピーカアセンブリは、静電場/電場発生構成要素によって発生する静電場/電場を変えることによりダイアフラムの運動が生じ、結果として音が発生するように構成される。
【0040】
[0054]上述の構成を用いて第1の面202と第2の面204を互いに係留する、空中浮揚させる、又は吊り下げることができ、以て、前記第1と第2の面を互いに結び付けるための別個のハウジングが不要になる。好ましい実施形態では、第1と第2の面は互いに、最適な構成で配置された2つ以上の係留具(一実施形態では、実質的に三角形で配置された合計3つの係留具を含み得る)を使用して係留される。
【0041】
[0055]特定の実施形態では、第1及び第2の面は、たとえば一方の面の空中浮揚をもう一方に対して確実にする磁石、電荷、又は電場を使用して、互いの間で空中浮揚配置にできることを理解されたい。このような実施形態では、第1と第2の面は互いにさらに係留することができる。
【0042】
スペーサベースのスピーカアセンブリ
[0056]図3A及び図3Dに示された本発明の第3の実施形態は、第1の面302及び第2の面304を備えるスピーカアセンブリを含み、第1と第2の面は、少なくとも1つのスペーサアセンブリ306を使用して互いに動くことができるように互いの間で張り付けられる。図3Aに示されているように、第1の面302と第2の面304は、それぞれスペーサ306の両側に張り付けることができ、これは、一実施形態では第1の面302及び第2の面304のそれぞれをスペーサ306に張り付けることによって、又は別の実施形態では面302及び304をスペーサ306の上に引き伸ばし、その後前記2つの面の縁部を互いに張り付けることによって、実現することができる。図3Bに示されるように、スペーサ306は、面302と304を互いに分離するスペーサ又はフレーム構造を備えることができ、以てこれらの面の間の相対運動が可能になり得る。図3C及び図3Dはそれぞれ、面302及び304が乗っているスペーサ306の斜視図を示す。励起段階では、前記2つの面302及び304がスペーサ306に乗っていることにより、これら2つの面の間の相対運動が可能になり、静止段階では、2つの面が互いにその元の位置を再び占めることが可能になる。第1の面302及び第2の面304の少なくとも一方が静電場/電場発生構成要素に結合されてもよく、第1の面302及び第2の面304のもう一方が1つ以上の静電場感応構成要素と結合される。励起段階では、静電場/電場発生構成要素によって発生する静電場/電場が変化すると、電磁場/電場感応構成要素による運動が生じて、2つの円筒形面の面間の相対運動が生じ、静止段階では、2つの面が互いにその元の位置を再び占める。本発明の一実施形態では、第1の面302及び第2の面304の一方がダイアフラム面でもよく、スピーカアセンブリは、磁場/電場発生構成要素によって発生する静電場/電場を変えることによりダイアフラムの動きが生じ、結果として音が発生するように構成される。
【0043】
[0057]上述の構成を用いて第1の面302と第2の面304を互いに取り付けることができ、以て、前記第1と第2の面を互いに結び付けるための別個の外部ハウジングが不要になる。一実施形態では、第1及び第2の面302、304をスペーサ306に張り付けると、前記第1と第2の面の間に密封区画が作り出され、この区画は、様々な実施形態において加圧ガス、部分真空、又は通常大気圧のガス(たとえば空気)を含むことができる。
【0044】
[0058]本発明のスペーサには、第1の面及び第2の面をスペーサに両側配置で、又は実質的に両側配置で、前記第1と第2の面が規定された離隔距離で隔てられるように取り付けることを可能にする任意のスペーサフレームが含まれ得る。図3B~3Dに示されたスペーサは実質的に矩形のフレーム形状であるが、他の任意のスペーサ形状が、それだけには限らないが円形のフレーム形状、三角形のフレーム形状、又は他の任意の規則的又は不規則な多角形フレーム形状を含めて、同様に想起されることを理解されたい。
【0045】
[0059]本発明の特定の実施形態では、上で論じた種類のスペーサベースの複数のスピーカアセンブリが可撓性を有し相互連結されて、より大きいスピーカアセンブリが形成され得る。このような構成の例示的な実施形態が図3E~3Gに提示されている。図3Eの実施形態では、矩形アセンブリ306、308、312が、継手又は留め具314及び316によってより大きく直線的に構築されたアセンブリになるように組み合わされる。図3Fの実施形態では、矩形スピーカアセンブリ318、320、322、324、326、328が継手又は留め具330、332、334、336、338によって、より大きい矩形スピーカ形状になるように組み合わされる。図3Gに示された実施形態では、三角形スピーカアセンブリ340、342、344が継手346、348によって直線的に組み合わされて、より大きい不規則な形状のスピーカアセンブリを形成する。スピーカアセンブリがより大きい形状になるように組み合わされる場合、継手又は留め具(及び一実施形態では弾性又は可撓性の留め具)を使用して複数のスピーカアセンブリを組み合わせると張力が緩和されることになり、さらにそのようなより大きい形状が折り畳める、又は丸められることを確実にすることを理解されたい。
【0046】
外部拘束体ベースのスピーカアセンブリ
[0060]図4A~4Cに示された本発明の代替実施形態では、スピーカアセンブリが、取り付けリング404などの外部拘束体に取り付けられた面402を備え、任意選択で、面402の張力変更を可能にするように構成された1つ以上の張力調整装置(たとえば、張力ロッド406、408、410、412)を備える。一実施形態では、面402が第2の面(図示せず)と対向することがある。励起段階では、面402をリング404に取り付けると、面402と前記対向する第2の面との間の相対運動が可能になり、静止段階では、2つの面が互いにその元の位置を再び占めることが可能になる。面402及び対向する第2の面の少なくとも一方が静電場/電場発生構成要素に結合されてもよく、面402及び第2の面のもう一方が1つ以上の静電場感応構成要素と結合され得る。励起段階では、静電場/電場発生構成要素によって発生する静電場/電場が変化すると、静電場/電場感応構成要素による運動が生じて、2つの面間の相対運動が生じ、静止段階では、2つの面が互いにその元の位置を再び占める。本発明の一実施形態では、面402がダイアフラム面でもよく、スピーカアセンブリは、磁場/電場発生構成要素によって発生する静電場を変えることによりダイアフラムの動きが生じ、結果として音が発生するように構成される。
【0047】
伸張型ダイアフラムベースのスピーカアセンブリ
[0061]本発明の一実施形態では、スピーカアセンブリのダイアフラムは、伸張性構造体(たとえば、図5A又は図5Bに示された折り畳み又はプリーツ構造)を有することができる。図5Aは、フラットタイプ/シートタイプのダイアフラム502を示し、図5Bは、上で論じたラジアルスピーカアセンブリ実施形態に実装できるタイプのダイアフラム502を示す。ダイアフラムの伸張型(たとえばプリーツ)面構造を実現することによって、前記ダイアフラムが、実質的に同じ寸法の非伸張型ダイアフラムよりも多くの空気を動かせることが判明した。
【0048】
磁化ダイアフラム面を有するスピーカアセンブリ
[0062]従来技術の解決策には通常、固定永久磁石及び可動電磁石を使用することが伴う。本発明は、可動永久磁石及び固定又は可動の電磁石を含むスピーカアセンブリによって音を発生させようとするものである。
【0049】
[0063]本発明ではこれを、以下の新規のスピーカアセンブリ構成のうちの1つ以上によって実現する。
【0050】
[0064]図6Aに示された本発明の第1の実施形態では、可動永久磁石は、磁化されている可動スピーカ面(たとえばダイアフラム面)の形を取る。これは、それだけには限らないが、ダイアフラム面を磁性又は磁気感応の粒子及び/又は層でコーティングすること、磁性又は磁気感応の粒子及び/又は層がある前記ダイアフラム面を埋め込むこと、及び磁性又は磁気感応の粒子をダイアフラム面に付加的な印刷を用いて堆積することを含む、多くの様々な方法によって実現することができる。
【0051】
[0065]図6Aは、堆積された荷電粒子のコーティングを有するダイアフラム面602を示す。前記面を磁性又は磁気感応の粒子、又は導電性構造体でコーティングすることによって、前記面602は、磁気感応性又は導電性になるように構成されており、それにより前記面は、1つ以上の固定又は可動電磁石によって発生する磁場/静電場の変化に応答するようになり、或いは一代替実施形態では、導電性構造体に流れる電流を印加することによって磁場/静電場を発生させるために使用することができる。磁化粒子若しくは磁気感応粒子のコーティングを使用することによって、又はダイアフラム面602に導電性構造体を付けることによって、アセンブリは、かさばる磁石を必要としないようになり、スピーカアセンブリに様々な薄いフォームファクタ形状を採用できるようになる。コーティングを付けることにより磁性若しくは磁気感応の粒子、又は導電性構造体をダイアフラムに付けることに加えて、磁性若しくは磁気感応の粒子、又は導電性構造体はさらに、基板に張り付けられた金属シートのエッチングを含む削除処理によって、又は磁性若しくは磁気感応の粒子又は導電性構造体を所定のパターンで基板に堆積することを含む付加的処理によって、ダイアフラム面に埋め込むことができる。
【0052】
[0066]図6Bに示された特に有利な実施形態では、ダイアフラム604が、磁性若しくは磁気感応の要素、粒子若しくはコーティングの層610、又は導電性構造体を第1の基板606と第2の基板608の間に挟むことによって形成される。この構成を採用すると、磁性若しくは磁気感応の要素、粒子若しくはコーティング、又は導電性構造体の一部又は全部が、運動、衝撃又は通常の擦り切れによりダイアフラムの外層から分離又は脱落することが著しく低減することを理解されたい。
【0053】
[0067]磁性若しくは磁気感応の粒子、又は導電性構造体を基板に張り付ける際には、機械的、熱的又は化学的手段のいずれか1つ以上を用いることができる。荷電粒子又は磁気感応粒子を可動面に付着させることに関して、上記の実施形態のすべての教示は、1つ以上の導電性要素をスピーカアセンブリ内の可動面に張り付ける目的に同様に適用できることを理解されたい。
【0054】
導電性構造体を有するスピーカアセンブリ
[0068]図7Aに示された本発明の一実施形態では、スピーカアセンブリの可動面すなわちダイアフラム702は、電場が導電性構造体全体にわたって印加されることに応答して静電場を発生することができる導電性構造体704を備えることができ、導電性構造体間の1つ以上の空間は非導電性フィラ材料706を使用して充填され、一実施形態では、このフィラ材料は格子構造体の中に厳密に存在し、格子構造体とフィラ材料の間には重なりがない。適切なフィラ材料を選択することによって、ダイアフラム702は、それがスピーカアセンブリの中の可動面として機能するのに必要な、適切な可撓性又は弾性の特性を有することができる。別の実施形態では、フィラ材料は格子構造体と重なることがある。
【0055】
[0069]図7Bに示された本発明の一実施形態では、スピーカアセンブリの可動面すなわちダイアフラム708は、格子の導電性要素間に空間714を有する導電性格子すなわちメッシュ構造体712を備え得る。空間の面積が十分に小さいことを確実にすることによって、導電性格子すなわちメッシュ構造体712は、スピーカアセンブリ内で音を発生させるダイアフラムとして十分に動作することが判明した。導電性材料を取り囲む膜材料を除去することによって、ダイアフラムの重量及び厚さを低減しながら同時に、ダイアフラムによって発生する静電場の電界強度が強くなり、結果として重量が少なくなり、必要な信号電力が少なくなり、設計/製造の複雑さが少なくなり、コストが低くなり、効率、感度、忠実度が高まり、薄くなり、フォームファクタの数が増えることが判明した。
【0056】
[0070]スピーカアセンブリの上記の実施形態のすべてにおいて音響応答が、1つ以上の構造体を構成すること、電界強度、磁性若しくは磁気感応の構成要素又は導電性要素のパターン/分布、導電体サイズ、導電体の巻き数、電流、荷電粒子サイズを間隔調節すること、磁化、保磁力などによるものを含めて、高度に調整可能であることもまた判明した。本発明は、音響特性を形状、サイズ、厚さ可変性、材料、張力、懸架などに基づいて変えることをさらに可能にする。
【0057】
構成可能導電体形状を有するスピーカアセンブリ
[0071]導電性構造体をスピーカアセンブリのダイアフラムすなわち面の中に埋め込むための、(堆積ベースの)付加形態での又は(エッチングベースの)削除形態での製造方法を用いることが、かなり薄いダイアフラム又は面の製造を可能にすること、また加えて任意の所望の形状又はサイズの導電性構造体の製造を可能にすることを含めて、いくつかの利点を提供することが判明した。
【0058】
[0072]図8A~8Gは、本発明の教示に従って製造できるダイアフラム802~814の例示的な実施形態を示す。ダイアフラム802は、単一の環状の螺旋形導電性構造体802bが設けられたダイアフラム面802aを備える。ダイアフラム804は、単一の矩形の螺旋形導電性構造体804bが設けられたダイアフラム面804aを備える。ダイアフラム806は、単一の三角形の螺旋形導電性構造体806bが設けられた三角形ダイアフラム面806aを備える。ダイアフラム808は、実質的にe形の導電性構造体808bが設けられたダイアフラム面808aを備える。ダイアフラム810は、ジグザグ形の導電性構造体810bが設けられたダイアフラム面810aを備える。ダイアフラム812は、複数の螺旋形導電性構造体812b~812fが設けられたダイアフラム面812aを備える。ダイアフラム814は、第1の螺旋形導電性構造体814bと、第1の螺旋形導電性構造体814bの中に配置された第2の螺旋形導電性構造体814cとが設けられているダイアフラム面814aを備える。ダイアフラムに堆積された、又はその中に埋め込まれた導電性構造体の形状及びサイズを変えることによって、本発明は、電場又は磁場に対し特定の応答をするダイアフラムを構成できるようにすると理解されたい。図8F及び図8Gに示された種類の実施形態では、複数の別個の導電性構造体が同一のダイアフラムに存在することにより、ダイアフラムの第1の部分が電場又は磁場の変化に対し第1の様式で応答し、ダイアフラムの第2の部分が電場又は磁場の前記変化に対し第2の様式で応答することが可能になり、以て、別個に駆動可能な複数の領域が単一のダイアフラム内に作り出され、高度に調整可能なダイアフラム応答が可能になる。
【0059】
[0073]図8Hの図では、ダイアフラム816は、ダイアフラム面816aの中心に位置する第1の螺旋形導電性構造体816bが設けられた、また前記第1の螺旋形導電性構造体816bのまわりに第2、第3、第4及び第5の螺旋形導電性構造体816c、816d、816e及び816f(そのそれぞれが、第1の螺旋形導電性構造体816bと比較して相対的にサイズが小さい)が配置された、ダイアフラム面816aを備える。
【0060】
[0074]図8Iの図では、ダイアフラム818は、ダイアフラム面818aの中心に位置する第1の螺旋形導電性構造体818bが設けられた、また前記第1の螺旋形導電性構造体818bのまわりに第2、第3、第4及び第5の螺旋形導電性構造体818c、818d、818e及び818f(そのそれぞれが、第1の螺旋形導電性構造体818bと実質的に同じサイズである)が配置された、ダイアフラム面818aを備える。
【0061】
[0075]導電性構造体の構成及び位置を変えることによって、ダイアフラムの別々の領域を別々の音響応答を得るように調整することができる。
【0062】
[0076]さらに別の実施形態では、複数の別個の導電性構造体を複数の別個の入力信号流に接続することができ、それぞれの入力信号流が信号/音楽チャネルに対応し、以て、単一のダイアフラムによってマルチチャネル音を発生できるスピーカアセンブリが作り出される。
【0063】
[0077]いくつかの実施形態では、導電性構造体のサイズ又は寸法を、ダイアフラムの応答を構成するように変えることができる。特定の実施形態では、ダイアフラムの第1の部分の導電性構造体の寸法特性がダイアフラムの第2の部分の導電性構造体の寸法特性と異なり、結果として、たとえば電場、磁場又は静電場の状態の変化に対する前記ダイアフラムの前記第1と第2の部分の音響応答が異なることになり得る。
【0064】
[0078]図9Aに示された実施形態では、ダイアフラム902は、第1の導電性構造体902b及び第2の導電性構造体902cが配置されたダイアフラム面902aを備え、第1の導電性構造体の幅と第2の導電性構造体の幅は著しく異なる。他の実施形態では、第1の導電性構造体及び第2の導電性構造体の各要素の形状、長さ、サイズ、厚さ、深さ、密度、巻き数、又は他の任意の寸法特性が、場の変化に対する異なる応答を確実にする意図で互いに異なり得ることを理解されよう。
【0065】
[0079]図9Cの図では、ダイアフラム916は、第1、第2、第3及び第4の螺旋形導電性構造体916b、916c、916d及び916eが設けられたダイアフラム面916aを備え、導電性構造体916c及び916dは、導電性構造体916b及び916eよりも巻き密度が高い。
【0066】
[0080]図9Dの図では、ダイアフラム918は、第1、第2、第3及び第4の螺旋形導電性構造体918b、918c、918d及び918eが設けられたダイアフラム面918aを備え、導電性構造体918c及び918dは、導電性構造体918b及び918eよりも巻き数が少ない。
【0067】
[0081]導電性構造体の構成及び位置を変えることによって、ダイアフラムの別々の領域を別々の音響応答を得るように調整することができる。
【0068】
[0082]上記の実施形態のうちの1つ以上を実施することによって、複数の別個の導電性構造体を複数の別個の入力信号流に接続することができ、それぞれの入力信号流が信号/音楽チャネルに対応し、以て、単一のダイアフラムによってマルチチャネル音を発生できるスピーカアセンブリが作り出されることを理解されたい。
【0069】
[0083]他の実施形態では、複数の導電性構造体の位置は、所望の音響応答のダイアフラムを構成するように精密に選択することができる。たとえば、それだけには限らないが、様々な実施形態において導電性構造体は、ダイアフラム全体にわたって均一に分布することも、ダイアフラムの中心の方により高密度に分布することも、ダイアフラムの中心から離れる方に分布することもできる。
【0070】
[0084]他の実施形態では、複数の導電性構造体の位置は、単一の膜でマルチチャネル音用のダイアフラムを構成するように精密に選択することができる。たとえば、それだけには限らないが、様々な実施形態において導電性構造体は、別の導電性構造体を囲むことができる導電性構造体がないようにダイアフラム全体にわたって均一に分布することができ、或いは、同様の形状であるが、ダイアフラムの中心と、ダイアフラムの中心に近いそれぞれの導電性構造体の端部との間の距離が増大する同心円パターンとして分布することができる。
【0071】
[0085]ダイアフラムの音響応答はまた、いくつかの実施形態において単一のダイアフラムの中に厚さがそれぞれ異なる複数の領域を有することを含めて、ダイアフラム自体の厚さを変えることによって変更もできることをさらに理解されたい。図9Bは、複数の例示的なダイアフラム断面を示し、ダイアフラム904が均一な断面を有するのに対し、ダイアフラム906、908、910、912及び914は不均一な断面を有する。
【0072】
[0086]上記の構成可能パラメータのすべてについて、導電性構造体を有するダイアフラム実施形態との関連で説明してきたが、その教示はダイアフラム面の上又は中に荷電粒子又は磁気感応粒子を堆積する、張り付ける、又は埋め込むことに同様に適用できることを理解されたい。このような実施形態において変えることができる特定のパラメータには、荷電粒子又は磁気感応粒子の選択、粒子のサイズ、面の上/中の粒子密度、粒子付着の配置又はパターン、及び粒子の磁化レベル及び/又は保磁力が含まれる。
【0073】
[0087]音響応答を調整する目的で変えることができるダイアフラム面の特性には、ダイアフラム材料の選択、ダイアフラムの厚さ(断面が均一)、ダイアフラム厚さの可変性(ダイアフラムが不均一な断面を有するとき)、及びダイアフラムの外部張力が含まれ得る。
【0074】
[0088]本発明の一実施形態では、ダイアフラムの外部張力は、1つ以上のダイアフラム取付具、係留具、又は張力調整装置(たとえば張力ロッド)を調整することによって調整可能である。より特定の実施形態では、ダイアフラムの張力を手作業又はアルゴリズムで調整することができる。
【0075】
[0089]本発明の他の実施形態では、ダイアフラム特性は、可変数の保持具又は係留具を有すること、前記保持具又は係留具を配置すること、及びこのような保持具又は係留具の構造的特性(たとえば、ばね定数)によって、変えることができる。
【0076】
[0090]適合した導電体形状及び磁気材料形状を有するスピーカアセンブリ
[0091]本発明の一実施形態では、スピーカアセンブリは、導電性構造体が配置された第1の面と、磁性又は磁気感応の構造体が配置された第2の面とを備えることができ、前記第1の面及び第2の面は、導電性構造体全体にわたって電場を加える、又は導電性構造体に流れる電流を印加すると、第1及び第2の面の一方が前記第1及び第2の面のもう一方に対して動くことになるように構成される。この実施形態では、第1の面に配置された導電性構造体と、第2の面に配置された磁性又は磁気感応の構造体とは構造上実質的に同一であり、直線的な音響応答特性を示すスピーカアセンブリが得られることが判明した。前記導電性構造体及び/又は磁性若しくは磁気感応の構造体を生成するための付加的/削除的技法をさらに適用することによって、導電性構造体及び磁性若しくは磁気感応の構造体の構造的に同一の各形状を組み合わせることが、それだけには限らないが、効率、忠実度、感度、簡単な設計、構造、重量、サイズ、コスト、フォームファクタ、及び以前にはあり得なかった用途を含めて、他のスピーカアセンブリに対する多数の改善点を提供することが判明した。
【0077】
[0092]導電性構造体と磁性又は磁気感応の構造体との特定の相対的配置が、さらに改善された動作を提供することが判明した。たとえば、1つの実施形態では、2つの構造体は互いに隣り合っているが、どちらも他方を囲まず、他方に対する一方の相対運動は前記の構造体の平面に対して垂直である。別の実施形態では、2つの構造体は、一方が他方を囲むように互いに隣り合うことができ、この場合、2つの構造体間の相対運動は2つの構造体の平面内にあり、結果として形状変化(伸長/収縮)構造体になる。
【0078】
[0093]図10Aは、第1の面1002a及び第2の面1002bを有するスピーカアセンブリの一実施形態を示し、第1の面1002aに配置された三角形導電性構造体1004aと、第2の面1002bに配置された対応する三角形磁性構造体1004bとは、実質的に同じ構造を有する。図10Bは、第1の面1006a及び第2の面1006bを有するスピーカアセンブリの一実施形態を示し、第1の面1006aに配置された螺旋形導電性構造体1008aと、第2の面1006bに配置された対応する螺旋形磁性構造体1008bとは、実質的に同じ構造を有する。
【0079】
受動又は能動ダンピングを有するスピーカアセンブリ
[0094]本発明の一実施形態では、スピーカアセンブリのダイアフラム面は、複数の個別導電性構造体を備える。前記ダイアフラム面は、少なくとも一次電流流通用導電性構造体(すなわち一次駆動導電性構造体)を備え、前記導電性構造体に流れる電流を印加することによりダイアフラムが、第2の面の方向に、若しくはそこから離れる方向に、又は前記第2の面に付随する磁場、静電場若しくは電場の方向に、若しくはそこから離れる方向に動く。ダイアフラム面は、電流を流していることもいないこともある1つ以上の二次導電性構造体をさらに備える。
【0080】
[0095]図11に示された実施形態では、ダイアフラム面1102は、配置された一次電流流通用導電性構造体1104と、複数の二次導電性構造体1106~1112とを有する。二次導電性構造体のうちの1つ以上が受動構造体(両端が互いに接続されている導電性構造体)である実施形態では、ダイアフラムが動くことにより前記二次導電性構造体が、第2の面によって発生した静電場の中を動き、以て起電力、誘導電流、及び各二次導電性構造体に対応する静電場が発生する。本発明の実施形態では、1つ以上の二次導電性構造体は、一次電流流通用導電性構造体によって作り出された静電場と、各二次導電性構造体のまわりの前記発生した静電場との間の相互作用が、ダイアフラムの動きの方向に対抗し、ダイアフラム応答を制御及び微調整するためのダンピング機構として働くように構成し設置することができる。
【0081】
[0096]本発明の他の実施形態では、1つ以上の二次導電性構造体は、各二次導電性構造体によって発生した静電場(1つ以上)が、第2の面に付随する静電場と相互作用し、二次導電性構造体の構成及び位置に応じてダイアフラムの動きの方向に対抗又は補完するように構成され設置された外部励起源によって、活性状態とすること、及び励起することができる。特定の実施形態では、二次導電性構造体のうちの1つ以上を、振幅及び方向を変えることができる直流電流/直流電流に印加されたアクティブ信号によって駆動することができる。
【0082】
[0097]特定の実施形態では、一次及び二次導電性構造体の一方又は両方が、可変ループ長及び/又は可変巻き数を有するように構成され、それにより、効果的なループ長及び/又は巻き数を短絡によって変更し、以て、前記ループによって発生した対応する電場の強度を調整できるようになる。可変ループ長により、スピーカアセンブリの音響応答を微調整するためのさらなる機構が得られることを理解されたい。
【0083】
[0098]図8Jに示された本発明の一実施形態では、ダイアフラム820は、ダイアフラム面820aの中心に位置する第1の螺旋形導電性構造体820bが設けられた、また前記第1の螺旋形導電性構造体820bのまわりに第2、第3、第4及び第5の螺旋形導電性構造体820c、820d、820e及び820fが配置された、ダイアフラム面820aを備える。図で、第1の螺旋形導電性構造体は、直流電流/アクティブ信号によって駆動されるように構成された一次導電性構造体であり、第2、第3、第4及び第5の螺旋形導電性構造体820c、820d、820e及び820fのそれぞれは、電流/アクティブ信号を流さない閉ループ構造体である。一次電流流通用導電性構造体及び二次閉ループ構造体の数及び位置を選択することによって、ダイアフラムは特定の音響応答を得るように調整することができる。
【0084】
[0099]図8Kに示された本発明の一実施形態では、ダイアフラム822は、ダイアフラム面822aの中心に位置する第1の螺旋形導電性構造体822bが設けられた、また前記第1の螺旋形導電性構造体822bのまわりに第2、第3、第4及び第5の螺旋形導電性構造体822c、822d、822e及び822fが配置された、ダイアフラム面822aを備える。図で、(i)第1の螺旋形導電性構造体822bは、直流電流/アクティブ信号によって駆動されるように構成された一次導電性構造体であり、(ii)第2の螺旋形導電性構造体822cは、直流電流/アクティブ信号を流すように選択的に構成できる、又は選択的に短絡できる閉鎖可能ループで取り囲まれた閉ループを備える導電性構造体であり、(iii)第3の螺旋形導電性構造体822dは、直流電流/アクティブ信号を流すように構成された導電性構造体であり、(iv)第4の螺旋形導電性構造体822eは、単一の閉ループを備える導電性構造体であり、(v)第5の螺旋形導電性構造体822fは、同心円状に配置された2つの閉ループを備える導電性構造体である。電流流通用導電性構造体及び閉ループ構造体の番号位置、任意のタイプを選択することによって、ダイアフラムは特定の音響応答を得るように調整することができる。
【0085】
回転スピーカアセンブリ
[00100]本発明の一実施形態では、スピーカアセンブリは回転スピーカを備えることができ、回転速度は、音を変化させる目的で変えることができる。
【0086】
[00101]音は、空気などの媒体を動かし変化させて入力(音声)信号に応じた媒体の圧力変化を作り出すことによって生成される。典型的なスピーカでは、これらの機能の両方が、1つの共通の駆動/制御機構を介して同じ可動面(1つ以上)によって実現される。
【0087】
[00102]しかし、これらの機能を複数の機構、すなわち、空気の流れを作り出す第1の機構と、振幅、周波数、位相などの入力音声信号の特性を実現するように空気流を変化させる第2の機構とを介して実現させることが可能である。このような実施形態では、動力/エネルギー及び変化は、2つの別個のシステムによって対処され、この手法は、従来の音声信号増幅器を不要にすることができる。
【0088】
[00103]このような空気流の生成は、翼、羽根、帆などの複数の構造体の動きによって実現される。エーロフォイルがこのような構造体の形状である。
【0089】
[00104]上記のタイプの装置又はシステムは、空気流がどのようにして作り出されるかによって、すなわち、
1)振動運動(たとえば角運動、直線運動など)によって、及び
2)回転運動によって、
2つのカテゴリーに大きく分類することができる。
【0090】
[00105]従来技術の技法には、主として羽根のピッチを制御することによって音生成をするための空気流を変化させることが伴い、さらに特有の重点がピッチの線形又はねじり制御に置かれた。
【0091】
[00106]本発明は、空気流を変化させ音を作り出すための新規の技法を提供する。この技法は、以下を含む。
1)体積変化、折り畳みを含む直接の形状変化、及び、それだけには限らないが、以下の、方向舵、昇降舵、補助翼、ダンパ、スポイラ、エレボン、スタビレータ、フラップ、フラッペロン、トリムタブ、バランスタブ、アンチバランスタブ、サーボタブ、スラット、スロット、エーロフォイル面積変化、慣性モーメントなどのうちの1つ以上を使用することを含む、エーロフォイル制御による効果的な形状変化、などの手段によってエーロフォイルの空気流特性を変えること。
2)運動の方向及び/又は速度、並びにこのような速度の高次導関数を静的及び/又は動的ベースで変えること。
【0092】
[00107]必要な制御は1つ以上のアクチュエータで行うことができ、アクチュエータはそれ自体が、それだけには限らないが、電磁(たとえば、ソレノイド、モータ)、電気(たとえば、バイモルフ、マルチモルフを含む、圧電)、電熱(たとえば、バイメタル板、加熱流体)、流体流(たとえば、液圧、空気圧)などを含む、多数の手段によって実現され得る。
【0093】
[00108]さらに、このようなアクチュエータは、以下の、ロッド、振動円板、歯車、プーリー、ベルト、鎖、シングルリンク/マルチリンクのリンク板、斜板、液圧ホース、スリップリング、コミュテータ、水銀接点、誘導性、容量性、無線、光学などのうちの1つ以上によって、前記制御に影響を及ぼし得る。
【0094】
[00109]一実施形態では、制御方法/実装は、羽根構造自体に統合することができ、雑音、設計/製造の複雑さ、コストなどが低減し、効率、信頼性、性能、忠実度、感度などが向上することになる。
【0095】
[00110]本発明の一実施形態では、1つ以上の外部構造体を、空気流を所望の区域及び/又は方向に導く、及び/又は制限し、以て、音導管として効果的に機能するように使用することができる。
【0096】
[00111]これらの様々な方法は、さらなる実現及び/又は向上を生み出すために、さらに個別に組み合わせることができる。例示的な実現には、特定のパラメータ(たとえば周波数応答)に最適化された複数のドライバ、同軸配置の複数のドライバ構成などが含まれる。
【0097】
[00112]図12A~12Dは、モータ1200aと、前記モータに回転可能に取り付けられた回転羽根1200b~1200fとを備える、本発明の態様の第1の例示的な実施形態を示す。図12Aに示された第1の動作モードでは羽根1200b~1200fは第1の羽根形状を有し、図12Cに示された第2の動作モードでは、羽根1200b~1200fは、第1の羽根形状とは異なる第2の羽根形状を有する。図12B及び図12Dは、それぞれ第1及び第2の動作モードにおける羽根1200bの別の羽根形状をさらに示す。上で論じたように、第1と第2の動作モードの間の形状の変化は、それだけには限らないが、電磁(たとえば、ソレノイド、モータ)、電気(たとえば、バイモルフ、マルチモルフを含む、圧電)、電熱(たとえば、バイメタル板、加熱流体)、流体流(たとえば、液圧、空気圧)などを含む、任意の適切なアクチュエータ(1つ以上)によって実現することができる。図12A~12Dの実施形態では、空気流を変化させることは主に羽根の形状を変えることによって行われる。これは、上述の手段のいずれかによって実現される。好ましい実施形態では、羽根を連結するハブがなく、それゆえにハブ構造体による羽根の制御が行われない。さらに、この実施形態では羽根がロータに対して固定されているので、ねじり制御による羽根ピッチ変化により空気流を変化させること、それゆえに音を発生させることが行われない。
【0098】
[00113]図12E図12F及び図12F-Fは、別の構造体1208を示し、回転羽根1208b~1208fは、それぞれ外部円筒形構造体1208aに取り付けられ、各羽根は前記構造体に、1つ若しくは複数のピボット又は他の適切な連結器若しくは取付具1208g~1208kによって取り付けられている。羽根を円筒形構造体に旋回可能に取り付ける結果として、このような羽根の位置は選択的に変え(たとえば、図12E及び図12Fに示されたようにして、少なくとも第1の位置から第2の位置まで)、以て、羽根を覆う空気流を変化させることができる。図12E及び図12Fは構造体1208の上面図を示すが、図12F-Fは、前記構造体1208、並びにその構成要素の円筒形構造体1208a、羽根1208b、1208c及び1208d、及び対応する旋回可能取付具1208g、1208h及び1208iの断面図を示すことを理解されたい。
【0099】
[00114]再び、羽根を連結するハブがなく、それゆえにハブ構造体により羽根の制御が行われないことは注目に値する。空気流を変化させることは主に、羽根の実効的なピッチを変えることによって実現される。ピッチ制御は、上述の手段のいずれかによって実現することができる。
【0100】
[00115]図12Gに示されたさらなる実施形態1212では、例示的な円筒形構造体1208aすなわち回転羽根アセンブリは、音導管として使用できる外部円筒形構造体1212aによって取り囲むことができる。
【0101】
[00116]図12H図12Kは、モータ1214aと、モータ1214aの回転軸線のまわりを回転している複数の羽根1214b~1214dとを備える装置1214の例示的な実施形態を示す。この実施形態で羽根は、羽根の縁部間にトルクが発生するように配置されることは注目に値する。空気流を変化させることは主に、花弁又は傘を開く/閉じるのと同様に羽根構造体を動かして羽根の実効的なピッチを変えることによって実現される。ピッチ制御は、前に説明した複数の手段によってそれ自体が実現され得る1つ以上のアクチュエータによって行われ、電磁に限定されない。図12Hは第1の動作モードの側面図を提示し、図12Jは、その正面図を提示し、羽根1214b~1214dが互いに比較的近接しているのに対し(いくらか圧縮された、又は半近接構成の形で)、図12Iは第2の動作モードの側面図を提示し、図12Kは、その正面図を提示し、羽根1214b~1214dが展開構成で配置されている。第1と第2の動作モード(及び他のこのような動作モード)の間で切り換えることによって、装置1214は空気の流れを変化させることができ、またそれに応じて、発生した空気流による音の発生を変化させることができる。
【0102】
[00117]図12Lは、上述のタイプの例示的な羽根1214bを示し、また、その上を通過する空気流により前記羽根の端部間に発生するトルクの方向を示す。
【0103】
[00118]図12M~12Oは本発明の実施形態を示し、モータには対になっている羽根の組が回転可能に取り付けられており、各対内の羽根は、他の対内の羽根に制御可能に近づける、又は遠ざけることができる。図12M及び図12Nで、装置1224は、対になった羽根の3つの組、すなわち第1の対1224b、1224c、第2の対1224d、1224e、第3の対1224f、1224gを含む、6つの回転羽根1224b~1224gの組を有するモータ1224aを備える。図12Mに示された第1の動作モードでは、羽根の各対内の2つの羽根のそれぞれが互いにオフセットされており、そのため長手方向軸線に沿って見たときに、6つすべての羽根が共に見える。図12Nに示された第2の動作モードでは、羽根の各対内の2つの羽根のそれぞれが互いに位置合わせされており、そのため長手方向軸線に沿って見たときに、各羽根の対のうちの1つの羽根1224b、1224e、1224gだけが見える。図12Oは、図12M及び図12Nでより一般的に示された装置1224の、より特定の実施形態1228を示し、羽根1228bと1228c、1228dと128e、及び1228fと1228gの各対は、相互連結された対又は相互係留された対を含み、各対内の羽根は、係留具又は他の留め具1228h、1228i及び1228jを使用して互いに連結される。留め具の係留具は、各羽根対の中の羽根の最大許容離隔を制限するように選択される。各羽根対の中の羽根間の相対運動の駆動は、上述の任意の1つ以上のアクチュエータに基づくものを含めて、任意の数の方法で実現できることを理解されたい。
【0104】
[00119]図12Pは別の装置1230の斜視図を示し、図12Qは、その正面図を示し、羽根の2つの個別組1230a及び1230bが共通軸線に沿って取り付けられている。羽根の2つの個別組の相対回転及び/又は相対的隔離を制御することによって、前記羽根から生じる空気流を制御することができる。
【0105】
[00120]図12Rは、本発明の別の実施形態1232を示し、2つの別個のモータ1232a、1234a及び対応する羽根アセンブリ1232b、1234bが、空気流を変化させるために使用される。2つのアセンブリの一方又は両方によって生じるそれぞれの空気流を変化させることによって、空気流全体(及びこのような空気流によって発生する音を変化させることができる)。
【0106】
[00121]図12S図12T及び図12T-Tは、本発明のさらに別の実施形態1234を示し、圧電バイモルフを使用して振動面の形状/制御面特性を変化させることができる。図で、振動モータ1234aに振動面1234bが取り付けられており、振動面1234bには複数の圧電バイモルフ1234c~1234eが設けられている。図12Sは第1の動作モードを示し、圧電バイモルフまで伝送された信号により振動面1234bが収縮形状を呈し、図12Tは第2の動作モードを示し、圧電バイモルフまで伝送された信号により振動面1234bが伸長形状を呈する。振動面1234bの形状を変化させることによって、本発明は、前記振動面の振動、並びに、それだけには限らないが、ピッチ制御、形状制御、又は前に説明した他の任意の方法を含む他の方法の1つ以上によって発生させる空気流を制御し、それに応じて、結果として得られる音響信号を制御する。図12T-Tは、実施形態1234の側面図を、振動モータ1234aによって生じる振動面1234bの振動運動を示す図で示す。
【0107】
膜/ダイアフラム構築
[00122]空気を変位させるためにダイアフラム/面は、理想的にはそれ自体が変形して効率がなくなると共に変位した空気に歪みが導入されないように、堅いものである必要がある。しかし、堅さを得るための通常の方法は、ダイアフラム/面を強固にすることであり、これには適切な補強及び他の方法を要し、それゆえに重量が付加され、そうして効率が低下し、それゆえに忠実度が低下する。
【0108】
[00123]本発明は、非常に軽量であるが堅いダイアフラム/面を実現する。このダイアフラム材料は、応力及び運動を受けてもその形状を維持できる中空の、それゆえに軽量のポリマーフォームなどの材料の層から成る。この場合、このダイアフラム/面は、膜状の材料の非常に薄い層を用いて、それがダイアフラム/面を完全に封じ込め、強度及び構造的完全性を与えるように、ダイアフラム/面を全側面から覆うことによってさらに強化される。
【0109】
[00124]図12U及び図12Vに示された好ましい実施形態で、本発明は、重量に関連する顕著な利点(すなわち知られている構造体よりも著しく軽い)をもたらしながら例外的強度及び/又は堅さを有することが判明した追加構造体1238を提供する。構造体1238は、非多孔質材料の2つの薄い膜1238a及び1238b(又は単一の、それ自体が折り重ねられた膜)を含み、これらの膜は、互いに重ね合わせ(好ましくは、本明細書で前に論じられたタイプのスペーサ1238dによって隔てられて)、縁部で封止することができる。次に、得られた封止区画の中に加圧ガス(たとえば空気)を導入することができる。膨張するガスの性質が構造体全体に、非常に軽量でありながら剛性を与え、それゆえに堅さを与える。任意選択で、たとえば1つ以上の留め具1238c、1238e(たとえば、リベット、星形ステープル、ワイヤ又は他の留め具)である軽量機構を使用して、構造体全体が気球又はレンズのように不均一に膨張しないようにすることができる。この構造体は、構造的完全性を支えるために軽くて強い、たとえば軽量中空管である内部スペーサ1238を使用することによって堅くすることができる。このようなダイアフラムは、音響信号を発生するための制約された用途、又は非制約の用途の両方に使用することができ、非常に軽いが堅く、以て、コストを下げながら効率、忠実度、出力を向上させ、設計/製造性を簡単にすることが判明した。
【0110】
[00125]加えて、より優れた完全性及び/又は信頼性を得るために、導電体又は磁性材料を外面(1つ以上)で、さらには内面でも、ダイアフラムと対にすることができる。
【0111】
ドラムアセンブリ
[00126]本発明の一実施形態では、1つ以上のアセンブリをドラムアセンブリとして実現することができ、このドラムダイアフラムは、上で論じたダイアフラム特性のうちのいずれか1つ以上を有することができ、ドラムダイアフラムの音響又は衝突応答が、それだけには限らないが、ステッピングモータ、又はトーションねじ、又は上で論じた他の機構を含む、当業者には明らかな任意の手段を使用して調整されてもよい。
【0112】
[00127]図13は、ドラム本体12302と、導電性構造体1306が形成された第1の面1306と、磁性又は磁気感応の粒子が配置された第2の面1308とを含む、例示的なドラムアセンブリ1300の分解組立図を示す。
【0113】
[00128]本発明の上述のアセンブリによる導電性構造体と磁性又は磁気感応の構造体との組み合わせをドラムアセンブリの中で実施することによって、本発明は、(i)一体としたドラム/スピーカ、(ii)一体としたドラム/マイクロフォン、(iii)一体としたドラム/スピーカ/マイクロフォン、又は(iv)微調整可能ドラム、を含む多数の最終用途適用を可能にすることを理解されたい。上で論じたようにドラムアセンブリは、受動的若しくは標準的なものにする、内部で能動的に微調整可能にするか張力をかける、又は外部から調整可能にするか張力をかけることができる(手作業又はアルゴリズムで)。
【0114】
組み込みマイクロフォンアセンブリ
[00129]本発明の重要な特徴は、上述のアセンブリ又は構成のいずれかを使用して、固有の組み込みマイクロフォンを作り出すことである。マイクロフォンは複数のモードで、すなわち、スピーカだけのモード、マイクロフォンだけのモード、スピーカ/雑音消去(NC)組み合わせモードで使用することができる。これには、雑音の多い環境、たとえば作業場、乗り物などにおいて、さらなる用途がある。マイクロフォンの非常に大きい音収集面積によりマイクロフォンが高感度になり、したがって広範囲の用途に配備可能になる。アセンブリが薄いことで、アセンブリを使用できる用途が増進する。
【0115】
[00130]薄型/平型音響技術は、サウンドレンジ全体に完全に適用可能である。システムは、それだけには限らないが、単独型、スタンド/壁/天井/扉取り付け、家具取り付け(たとえば、テーブル下側、椅子背面/ヘッドレスト)、車両ヘッドレスト(標準/カスタム/耳ごとのアクティブ雑音消去付き、又はなし)、別の物品、たとえばランプの笠に巻き付け/一体化、照明器具、又は個人用/携帯型の形のたとえばヘッドフォン、イヤフォン、財布など、可能な形及び/又は用途を想像に任せて含む、様々な形を取ることができる。
【0116】
[00131]すべての適用例をさらに、様々なモードで、すなわち、スピーカだけのモード、マイクロフォンだけのモード、アクティブ雑音低減/消去のためのスピーカ/マイクロフォン組み合わせモードで、使用することができる。適用可能モードは、ユーザ及び/又はアプリケーションにより動的に選択することができる。
【0117】
[00132]本発明の例示的な実施形態について本明細書で説明し例示したが、これらは例示的なものに過ぎないことを理解されよう。当業者には、添付の特許請求の範囲によって定義された本発明の趣旨及び範囲から逸脱すること又は背くことなく、形状及び細部の様々な修正が加えられてもよいことが理解されよう。加えて、例示的に本明細書で適切に開示された本発明は、本明細書に具体的に開示されていないどんな要素もなしに実施することができ、また、具体的に企図された特定の実施形態では、本明細書に具体的に開示されていないどんな要素もなしに実施されることが意図されている。

図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図8H
図8I
図8J
図8K
図9A
図9B
図9C
図9D
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図12F
図12F-F】
図12G
図12H
図12I
図12J
図12K
図12L
図12M
図12N
図12O
図12P
図12Q
図12R
図12S
図12T
図12T-T】
図12U
図12V
図13