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特許7485755アッセイ干渉物質を検出し、ダイナミックレンジを増大させる方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】アッセイ干渉物質を検出し、ダイナミックレンジを増大させる方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/543 20060101AFI20240509BHJP
   G01N 33/536 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
G01N33/543 501D
G01N33/536 D
【請求項の数】 52
(21)【出願番号】P 2022507389
(86)(22)【出願日】2020-08-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-13
(86)【国際出願番号】 US2020045297
(87)【国際公開番号】W WO2021026403
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2023-07-21
(31)【優先権主張番号】62/883,919
(32)【優先日】2019-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/883,922
(32)【優先日】2019-08-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391008788
【氏名又は名称】アボット・ラボラトリーズ
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT LABORATORIES
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ポープ,マーク・アール
(72)【発明者】
【氏名】ハーシュバーガー,ステファン・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ルワン,チャオチャオ
(72)【発明者】
【氏名】スウィフト,ケリー・エム
(72)【発明者】
【氏名】テチン,セルゲイ・ワイ
(72)【発明者】
【氏名】マクドナルド,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ハーク,リチャード・エイ
【審査官】海野 佳子
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-510128(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0273272(US,A1)
【文献】特表2002-506518(JP,A)
【文献】特表2005-536748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48-33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)分析対象物質を特異的に結合する第1の特異的結合メンバーに付着している第1の検出可能な標識を含む第1のコンジュゲート、
(b)試料中の前記分析対象物質の検出に干渉する物質を特異的に結合する第2の特異的結合メンバーに付着している第2の検出可能な標識を含む第2のコンジュゲート、
(c)前記分析対象物質及び前記分析対象物質の検出に干渉する前記物質に同時に又は競合的に結合する、固体支持体に付着している第3の特異的結合メンバー、並びに任意選択的に
(d)前記分析対象物質の検出に干渉する前記物質に特異的に結合する、前記固体支持体に付着している第4の特異的結合メンバー
を含むキットであって、前記第1及び第2の検出可能な標識の少なくとも1つが、式(I)の化合物、又はその塩
【化1】
[式中、
Xは、-NH-又はジアミンリンカーであり、
Yは、窒素、酸素、及び硫黄から選択され、
Yが窒素であるとき、Rは、-SO-Aであり、Aは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、及びヘテロシクリルアルキルから選択され、
Yが酸素又は硫黄であるとき、Rは存在せず、
Qは、-SO-又は-CO-であり、
及びLはそれぞれ、アルキレン及びヘテロアルキレンから独立に選択され、
は、-COOZ及び-CNから選択され、
Zは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アリールオキシ、及びヘテロアルキルから選択され、
、R、R、R、R、R、R、及びRはそれぞれ、水素、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシ、スルホニル、ホスホリル、及びセレニルから独立に選択され、
それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アリールオキシ、ヘテロアルキル、アルキレン、及びヘテロアルキレンは、1、2、3、4、又は5個の置換基で独立に任意選択的に置換されている。]
を含む、キット。
【請求項2】
第2の特異的結合メンバーが、分析対象物質の存在下で分析対象物質の検出に干渉する物質に優先的に結合する、請求項1に記載のキット。
【請求項3】
分析対象物質が抗原であり、前記分析対象物質の検出に干渉する物質が、試料中の前記抗原に結合する自己抗体である、請求項1又は2に記載のキット。
【請求項4】
分析対象物質の検出に干渉する物質が、ビオチンである、請求項1~3のいずれか一項に記載のキット。
【請求項5】
(a)ビオチン分子及びそれに付着している第1の検出可能な標識を含む第1の特異的結合メンバーであって、分析対象物質を特異的に結合する第1の特異的結合メンバー、
(b)前記分析対象物質に特異的に結合する第2の特異的結合メンバーに付着している第2の検出可能な標識を含むコンジュゲート、並びに
(c)前記第1の特異的結合メンバーに付着している前記ビオチン分子及び試料中の前記分析対象物質の検出に干渉するビオチン分子に結合するストレプトアビジンでコーティングされた固体支持体
を含むキットであって、前記第1及び第2の検出可能な標識の少なくとも1つが、式(I)の化合物、又はその塩
【化2】
[式中、
Xは、-NH-又はジアミンリンカーであり、
Yは、窒素、酸素、及び硫黄から選択され、
Yが窒素であるとき、Rは-SO-Aであり、Aは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、及びヘテロシクリルアルキルから選択され、
Yが酸素又は硫黄であるとき、Rは存在せず、
Qは、-SO-又は-CO-であり、
及びLはそれぞれ、アルキレン及びヘテロアルキレンから独立に選択され、
は、-COOZ及び-CNから選択され、
Zは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アリールオキシ、及びヘテロアルキルから選択され、
、R、R、R、R、R、R、及びRはそれぞれ、水素、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシ、スルホニル、ホスホリル、及びセレニルから独立に選択され、
それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アリールオキシ、ヘテロアルキル、アルキレン、及びヘテロアルキレンは、1、2、3、4、又は5個の置換基で独立に任意選択的に置換されている。]
を含む、キット。
【請求項6】
(a)分析対象物質を結合する第1の特異的結合メンバーに付着している第1の検出可能な標識を含む第1のコンジュゲート、
(b)第2の特異的結合メンバーに付着している第2の検出可能な標識を含む第2のコンジュゲートであって、前記第2の特異的結合メンバーは、前記第1の特異的結合メンバーと同一の分析対象物質を結合し、前記分析対象物質に対する前記第1の特異的結合メンバーの結合親和性が、前記第2の特異的結合メンバーの結合親和性より大きい、第2のコンジュゲート、及び
(c)前記第1又は第2の特異的結合メンバーと同時に前記分析対象物質に結合することができる、固体支持体に付着している第3の特異的結合メンバー
を含むキットであって、前記第1及び第2の検出可能な標識の少なくとも1つが、式(I)の化合物、又はその塩
【化3】
[式中、
Xは、-NH-又はジアミンリンカーであり、
Yは、窒素、酸素、及び硫黄から選択され、
Yが窒素であるとき、Rは-SO-Aであり、Aは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、及びヘテロシクリルアルキルから選択され、
Yが酸素又は硫黄であるとき、Rは存在せず、
Qは、-SO-又は-CO-であり、
及びLはそれぞれ、アルキレン及びヘテロアルキレンから独立に選択され、
は、-COOZ及び-CNから選択され、
Zは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アリールオキシ、及びヘテロアルキルから選択され、
、R、R、R、R、R、R、及びRはそれぞれ、水素、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシ、スルホニル、ホスホリル、及びセレニルから独立に選択され、
それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アリールオキシ、ヘテロアルキル、アルキレン、及びヘテロアルキレンは、1、2、3、4、又は5個の置換基で独立に任意選択的に置換されている。]
を含む、キット。
【請求項7】
分析対象物質に対する第1の特異的結合メンバーと第2の特異的結合メンバーの結合親和性における差が、約5倍~約100倍である、請求項6に記載のキット。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のキットを使用する、2ステップサンドイッチイムノアッセイ。
【請求項9】
(a)分析対象物質を結合する第1の特異的結合メンバー及び第1の検出可能な標識を含む第1のコンジュゲート、
(b)第2の特異的結合メンバー及び第2の検出可能な標識を含む第2のコンジュゲートであって、(i)前記第1の特異的結合メンバー及び第2の特異的結合メンバーが同一であり又は異なり、(ii)前記第1及び第2の検出可能な標識が異なる、第2のコンジュゲート、
(c)前記第1又は第2の特異的結合メンバーと同時に前記分析対象物質に結合することができる、固体支持体に付着している第3の特異的結合メンバー
を含むキットであって、前記第1及び第2の検出可能な標識の少なくとも1つが、式(I)の化合物、又はその塩
【化4】
[式中、
Xは、-NH-又はジアミンリンカーであり、
Yは、窒素、酸素、及び硫黄から選択され、
Yが窒素であるとき、Rは-SO-Aであり、Aは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、及びヘテロシクリルアルキルから選択され、
Yが酸素又は硫黄であるとき、Rは存在せず、
Qは、-SO-又は-CO-であり、
及びLはそれぞれ、アルキレン及びヘテロアルキレンから独立に選択され、
は、-COOZ及び-CNから選択され、
Zは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アリールオキシ、及びヘテロアルキルから選択され、
、R、R、R、R、R、R、及びRはそれぞれ、水素、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシ、スルホニル、ホスホリル、及びセレニルから独立に選択され、
それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アリールオキシ、ヘテロアルキル、アルキレン、及びヘテロアルキレンは、1、2、3、4、又は5個の置換基で独立に任意選択的に置換されている。]
を含む、キット。
【請求項10】
式(I)の化合物におけるXが、
【化5】
から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載のキット。
【請求項11】
式(I)の化合物におけるXが、
【化6】
である、請求項1~10のいずれか一項に記載のキット。
【請求項12】
式(I)の化合物におけるYが、窒素である、請求項1~11のいずれか一項に記載のキット。
【請求項13】
式(I)の化合物におけるAが、非置換である又はC~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシ、スルホニル、ホスホリル、及びセレニルから選択される1、2、3、4、若しくは5個の置換基で置換されているアリールである、請求項12に記載のキット。
【請求項14】
式(I)の化合物におけるQが、-SO-である、請求項1~13のいずれか一項に記載のキット。
【請求項15】
式(I)の化合物におけるRが、-COOZである、請求項1~14のいずれか一項に記載のキット。
【請求項16】
式(I)の化合物におけるZが、水素及びC~Cアルキルから選択される、請求項1~15のいずれか一項に記載のキット。
【請求項17】
式(I)の化合物におけるL及びLがそれぞれ独立にC~C-アルキレンである、請求項1~16のいずれか一項に記載のキット。
【請求項18】
、R、R、R、R、R、R、及びRがそれぞれ水素である、請求項1~17のいずれか一項に記載のキット。
【請求項19】
化合物が、式(Ia)
【化7】
[式中、
Rはそれぞれ、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシ、スルホニル、ホスホリル、及びセレニルからなる群から独立に選択され、
mは、0、1、2、3、4、又は5であり、
nは、1、2、3、4、5、又は6である。]
を有する、請求項1~18のいずれか一項に記載のキット。
【請求項20】
式(Ia)の化合物におけるmが1であり、Rが、C~Cアルキルである、請求項19に記載のキット。
【請求項21】
式(Ia)の化合物におけるmが1であり、Rがメチルである、請求項19又は20に記載のキット。
【請求項22】
式(Ia)の化合物におけるnが3である、請求項19~21のいずれか一項に記載のキット。
【請求項23】
化合物が、式(Ib)
【化8】
を有する、請求項19~22のいずれか一項に記載のキット。
【請求項24】
第1及び第2のコンジュゲートが、式(II)
【化9】
[式中、Xは、-NH-又はジアミンリンカーであり、Yは、窒素、酸素、及び硫黄から選択され、Yが窒素であるとき、Rは-SO-Aであり、Aは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、及びヘテロシクリルアルキルから選択され、Yが酸素又は硫黄であるとき、Rは存在せず、Qは、-SO-又は-CO-であり、Lは、アルキレン及びヘテロアルキレンから選択され、Lは、リンカーであり、R、R、R、R、R、R、R、及びRはそれぞれ、水素、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシ、スルホニル、ホスホリル、及びセレニルから独立に選択され、それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アルキレン、及びヘテロアルキレンは、1、2、3、4、又は5個の置換基で独立に任意選択的に置換されている。]
である、請求項1~23のいずれか一項に記載のキット。
【請求項25】
フルオロフォアが、フルオレセイン、ローダミン、ホウ素-ジピロメテン、シアニン、オキサジン、チアジン、クマリン、ナフタルイミド、ロドール、ナフタレン、スクアライン、ポルフィリン、フラビン、及びランタニド系染料から選択される、請求項1~24のいずれか一項に記載のキット。
【請求項26】
フルオロフォアが、
【化10】
から選択される、請求項1~25のいずれか一項に記載のキット。
【請求項27】
第1、第2、第3、及び/又は第4の特異的結合メンバーが、抗体又はその抗原結合性断片である、請求項1~26のいずれか一項に記載のキット。
【請求項28】
第1及び第2の特異的結合メンバーが、それぞれ第1及び第2の検出可能な標識に直接付着している、請求項1~27のいずれか一項に記載のキット。
【請求項29】
固体支持体が、粒子、マイクロ粒子、ビーズ、電極、及びマルチウェルプレートから選択される、請求項1~28のいずれか一項に記載のキット。
【請求項30】
固体支持体が、2個以上の空間的に分離された電極を含む、請求項29に記載のキット。
【請求項31】
第1及び第2の検出可能な標識が異なる、請求項1~30のいずれか一項に記載のキット。
【請求項32】
試料中の分析対象物質の検出に干渉する物質を検出する方法であって、
(a)分析対象物質及び前記分析対象物質の検出に干渉する物質を含むと疑われる試料を請求項1~4のいずれか一項に記載のキットと、下記を可能にする条件下で接触させるステップ:
(i)前記分析対象物質の第3の特異的結合メンバーへの結合、
(ii)前記分析対象物質の検出に干渉する前記物質の前記第3の特異的結合メンバーへの特異的結合、又は前記分析対象物質の検出に干渉する前記物質の固体支持体表面への非特異的結合、
(iii)第1のコンジュゲートの前記分析対象物質への結合、
(iv)第2のコンジュゲートの前記分析対象物質の検出に干渉する前記物質への結合、及び任意選択的に
(v)第4の特異的結合メンバーの前記分析対象物質の検出に干渉する前記物質への結合;
(b)第1の検出可能な標識及び第2の検出可能な標識のシグナル強度を検出するステップ、並びに
(c)前記第1の検出可能な標識及び前記第2の検出可能な標識のシグナル強度を定量及び分析することによって、試料中の分析対象物質の検出に干渉する物質の存在を検出するステップ
を含む方法。
【請求項33】
試料中の分析対象物質の検出に干渉する物質を検出する方法であって、
(a)分析対象物質及び前記分析対象物質の検出に干渉する物質を含むと疑われる試料を請求項1~4のいずれか一項に記載のキットと、下記を可能にする条件下で接触させるステップ:
(i)前記分析対象物質の第3の特異的結合メンバーへの結合及び前記分析対象物質の分析対象物質の検出に干渉する前記物質への結合による分析対象物質-干渉物質複合体の形成、
(ii)第1のコンジュゲートの前記分析対象物質への結合、並びに
(iv)第2のコンジュゲートの前記分析対象物質の検出に干渉する前記物質又は前記分析対象物質-干渉物質複合体への結合、並びに任意選択的に
(v)第4の特異的結合メンバーの前記分析対象物質の検出に干渉する前記物質への結合;
(b)第1の検出可能な標識及び第2の検出可能な標識のシグナル強度を検出するステップ、並びに
(c)前記第1の検出可能な標識及び前記第2の検出可能な標識のシグナル強度を定量及び分析することによって、前記試料中の前記分析対象物質の検出に干渉する前記物質の存在を検出するステップ
を含む方法。
【請求項34】
試料中の分析対象物質の検出に干渉する物質を検出する方法であって、
(a)分析対象物質及び前記分析対象物質の検出に干渉する物質を含むと疑われる試料を請求項1~4のいずれか一項に記載のキットと、下記を可能にする条件下で接触させるステップ:
(i)前記分析対象物質の第3の特異的結合メンバーへの結合、
(ii)第1のコンジュゲートの前記分析対象物質への結合及び第1のコンジュゲートの前記分析対象物質の検出に干渉する前記物質への結合、並びに
(iv)第2のコンジュゲートの前記分析対象物質の検出に干渉する前記物質への結合、並びに任意選択的に
(v)第4の特異的結合メンバーの前記分析対象物質の検出に干渉する前記物質への結合;
(b)第1の検出可能な標識及び第2の検出可能な標識のシグナル強度を検出するステップ、並びに
(c)前記第1の検出可能な標識及び前記第2の検出可能な標識のシグナル強度を定量及び分析することによって、前記試料中の前記分析対象物質の検出に干渉する前記物質の存在を検出するステップ
を含む方法。
【請求項35】
試料中の分析対象物質の検出に干渉する物質を検出する方法であって、
(a)分析対象物質及び前記分析対象物質の検出に干渉する物質を含むと疑われる試料を請求項1~4のいずれか一項に記載のキットと、下記を可能にする条件下で接触させるステップ:
(i)前記分析対象物質の第3の特異的結合メンバーへの結合、
(ii)前記分析対象物質の検出に干渉する前記物質の固体支持体表面への特異的又は非特異的結合、
(iii)第1のコンジュゲートの前記分析対象物質への結合及び前記分析対象物質の検出に干渉する前記物質の第1のコンジュゲートへの特異的又は非特異的結合、それによる検出に利用可能な第1のコンジュゲートの量の増加、
(iv)第2のコンジュゲートの前記分析対象物質の検出に干渉する前記物質への結合、並びに
(v)第4の特異的結合メンバーの前記分析対象物質の検出に干渉する前記物質への結合;
(b)第1の検出可能な標識及び第2の検出可能な標識のシグナル強度を検出するステップ、並びに
(c)前記第1の検出可能な標識及び前記第2の検出可能な標識のシグナル強度を定量及び分析することによって、前記試料中の前記分析対象物質の検出に干渉する前記物質の存在を検出するステップ
を含む方法。
【請求項36】
請求項5に記載のキットを使用して、試料中の分析対象物質の検出に干渉するビオチン分子を検出する方法であって、
(a)干渉するビオチン分子が存在しない場合に、ストレプトアビジンでコーティングされた固体支持体に結合している第1の検出可能な標識の標準シグナル強度(R値)を確立するステップ、
(b)分析対象物質及び前記分析対象物質の検出に干渉するビオチン分子を両方含むと疑われる試料を請求項5に記載のキットと、下記を可能にする条件下で接触させるステップ:
(i)前記分析対象物質の第1の特異的結合メンバーへの結合による第1の複合体の形成、
(ii)コンジュゲートの前記第1の特異的結合メンバーに結合している前記分析対象物質への結合による免疫複合体の形成、並びに
(iii)前記ストレプトアビジンでコーティングされた固体支持体の前記第1の特異的結合メンバーに付着しているビオチン分子及び試料中の前記分析対象物質の検出に干渉する前記ビオチン分子への結合;
(c)前記第1の検出可能な標識及び第2の検出可能な標識のシグナル強度を検出するステップ、
(d)前記第2の検出可能な標識のシグナル強度に対する補正を行うステップ、並びに
(e)前記試料中の前記分析対象物質の検出に干渉する前記ビオチン分子の存在を検出するステップ
を含む方法。
【請求項37】
1ステップ、ディレイ1ステップ、2ステップ、競合、直接、間接、及びそれらの組合せから選択されるアッセイフォーマットを含む、請求項32~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
第1の検出可能な標識と第2の検出可能な標識のシグナル強度の比較が、前記第1の検出可能な標識のシグナル強度と前記第2の検出可能な標識のシグナル強度の比を決定するステップを含む、請求項32~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
イムノアッセイのダイナミックレンジを拡大する方法であって、
(a)分析対象物質を含むと疑われる試験試料を請求項6~8のいずれか一項に記載のキットと接触させるステップであって、前記分析対象物質が、第3の特異的結合メンバーに結合する、ステップ、
(b)前記第3の特異的結合メンバーに結合していない分析対象物質を洗浄することによって除去するステップ、
(c)第1のコンジュゲートを前記分析対象物質に結合させ、第2のコンジュゲートを前記分析対象物質に結合させるステップであって、前記第1及び第2のコンジュゲートが前記分析対象物質に同時には結合しない、ステップ、
(d)前記分析対象物質に結合していない第1及び第2のコンジュゲートを洗浄することによって除去するステップ、
(b)第1の検出可能な標識及び第2の検出可能な標識のシグナル強度を測定するステップ、並びに
(c)フラグ値に基づいて前記第1の検出可能な標識と前記第2の検出可能な標識のシグナル強度を比較することによって、前記分析対象物質の濃度を決定し、それによって前記イムノアッセイのダイナミックレンジが拡大されるステップ
を含む方法。
【請求項40】
アッセイのダイナミックレンジが、3桁以上を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
第1のコンジュゲート及び第2のコンジュゲートが、約100倍未満異なる所定のモル量で存在する、請求項39又は40に記載の方法。
【請求項42】
第1の検出可能な標識及び第2の検出可能な標識のシグナル強度の測定が、分析対象物質濃度の所定の範囲にわたって較正アッセイを行うステップを含み、方法が、フラグ値を確立するステップをさらに含む、請求項39~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
試験試料中の第2の検出可能な標識のシグナル強度が、
(a)フラグ値未満であるとき、第1の検出可能な標識のシグナル強度に由来する較正曲線を使用して、分析対象物質濃度が決定され、又は
(b)フラグ値より高いとき、前記第2の検出可能な標識のシグナル強度に由来する較正曲線を使用して、分析対象物質濃度が決定される、
請求項42に記載の方法。
【請求項44】
2ステップアッセイである、請求項39~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
イムノアッセイのフック効果を低減し、ダイナミックレンジを拡大する方法であって、
(a)分析対象物質を含むと疑われる試験試料を請求項9に記載のキットと接触させるステップであって、前記分析対象物質が、第3の特異的結合メンバーに結合し、第1のコンジュゲートが、前記分析対象物質に結合する、ステップ、
(b)結合していない分析対象物質及び結合していない第1のコンジュゲートをいずれも洗浄することによって除去するステップ、
(c)第2のコンジュゲートを前記分析対象物質に結合させるステップであって、前記第1及び第2のコンジュゲートが前記分析対象物質に同時には結合しない、ステップ、
(d)結合していない第2のコンジュゲートをいずれも洗浄することによって除去するステップ、
(b)第1の検出可能な標識及び第2の検出可能な標識のシグナル強度を測定するステップ、並びに
(c)フラグ値に基づいて前記分析対象物質の濃度を決定し、それによって前記イムノアッセイのフック効果が低減され、ダイナミックレンジが拡大されるステップ
を含む方法。
【請求項46】
試験試料中の第2の検出可能な標識のシグナル強度が、
(a)フラグ値以上であるとき、第1の検出可能な標識のシグナル強度に由来する較正曲線の下行部分を使用して、分析対象物質濃度が決定され、又は
(b)フラグ値未満であるとき、前記第1の検出可能な標識のシグナル強度に由来する較正曲線の上行部分を使用して、分析対象物質濃度が決定される、
請求項45に記載の方法。
【請求項47】
1ステップアッセイである、請求項45又は46に記載の方法。
【請求項48】
アッセイのダイナミックレンジが、3桁以上を含む、請求項45~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
第1のコンジュゲート及び第2のコンジュゲートが、約100倍未満異なる所定のモル量で存在する、請求項45~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
第1のコンジュゲート及び第2のコンジュゲートを、同一の反応混合物中で試料と接触させる、請求項32~35及び37~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
第1のコンジュゲート及び第2のコンジュゲートを、異なる反応混合物中で試料と接触させる、請求項32~35及び37~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
自動化又は半自動化システムを使用して行われる、請求項32~51のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年8月7日出願の米国仮特許出願第62/883,922号及び2019年8月7日出願の同第62/883,919号の利益を主張し、これらの内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
過去数十年間、イムノアッセイは、蛍光、化学ルミネセンス、又は分析対象物質に応答してシグナルを生成する他の手段を使用して行われてきた。イムノアッセイは、典型的に、抗原を含むと疑われる試料を固体支持体、例えばマイクロ粒子に付着している第1の抗体を含む試薬と組み合わせて、反応混合物を形成するものである。抗原は、試料中に存在する場合、第1の抗体に特異的に結合する。検出可能な標識が付着している第2の抗体を含むコンジュゲートが、反応混合物に導入され、先に述べたように固体支持体に付着している第1の抗体に特異的に結合している抗原に特異的に結合する。そのようなアッセイは、サンドイッチイムノアッセイ又はイムノメトリックアッセイと呼ばれる。次いで、結合していないコンジュゲートが反応混合物から典型的に洗浄ステップを行うことによって除去された後に、検出可能な標識に起因し得るシグナルは測定される。反応混合物の総体積に由来するシグナルが測定され、次いで較正曲線と比較して、試料中に存在する抗原の濃度を確立する。
【0003】
いくつかの異なるタイプのイムノアッセイが、誤った又は誤解を招くような結果を導く干渉物質の存在に苦慮する。イムノアッセイにおいて分析対象物質と試薬抗体の間の反応に干渉し得る物質としては、例えば、化学的相違点を有するが抗体と交差反応する構造的類似点を有する化合物、異好性抗体、ヒト抗動物抗体、自己分析対象物質抗体、リウマトイド因子、及び他のタンパク質が挙げられる。脂肪血症、交差反応性、及び分析前変動又は機器反応が原因である外因性干渉も、イムノアッセイ干渉を起こす要因になっていることがある。干渉物質は、反応における干渉の部位に応じて1つ以上のアッセイ系中の分析対象物質濃度を誤って高く又は誤って低くすることがある。イムノアッセイによって測定される広範囲の分析対象物質(例えば、ホルモン、バイオマーカー、薬物、心筋トロポニン、及び微生物血清)は、イムノアッセイ干渉によって影響されることがある。
【0004】
コンジュゲート抗体を導入する前に結合していない分析対象物質試料を除去する洗浄ステップを含むイムノアッセイは、一般に「2ステップアッセイ」と呼ばれる。抗体でコーティングされたマイクロ粒子に、中間の洗浄ステップなしにコンジュゲート抗体及び分析対象物質を一緒に導入するイムノアッセイは、一般に「1ステップ」アッセイと呼ばれる。1ステップフォーマットも2ステップフォーマットも限定されたアッセイダイナミックレンジを示すことがあり、したがって、一部の試料は希釈して再試験を必要とする。「フック効果」又は「阻止帯現象」は、圧倒的な量の抗原が「1ステップアッセイ」フォーマットで存在するときイムノアッセイにおいて観察される値が誤って低いという現象である。フック効果は、イムノアッセイにおいて不十分な捕捉抗体及び検出抗体によって引き起こされ、アッセイダイナミックレンジが限定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
試料中の分析対象物質の検出に干渉する物質を検出し、イムノアッセイのフック効果を低減しながらダイナミックレンジを増大させるシステム、キット、及び方法が求められている状態のままである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の簡単な要旨)
本開示は、a)分析対象物質を特異的に結合する第1の特異的結合メンバーに付着している第1の検出可能な標識を含む第1のコンジュゲート、(b)試料中の分析対象物質の検出に干渉する物質を特異的に結合する第2の特異的結合メンバーに付着している第2の検出可能な標識を含む第2のコンジュゲート、(c)分析対象物質及び分析対象物質の検出に干渉する物質に同時に又は競合的に結合する、固体支持体に付着している第3の特異的結合メンバー、並びに任意選択的に(d)分析対象物質の検出に干渉する物質に特異的に結合する、固体支持体に付着している第4の特異的結合メンバーを含むキットであって、第1及び第2の検出可能な標識の少なくとも1つが、式(I)の化合物、又はその塩
【0007】
【化1】
[式中、Xは、-NH-又はジアミンリンカーであり、Yは、窒素、酸素、及び硫黄から選択され、Yが窒素であるとき、Rは-SO-Aであり、Aは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、及びヘテロシクリルアルキルから選択され、Yが酸素又は硫黄であるとき、Rは存在せず、Qは、-SO-又は-CO-であり、L及びLはそれぞれ、アルキレン及びヘテロアルキレンから独立に選択され、Rは、-COOZ及び-CNから選択され、Zは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アリールオキシ、及びヘテロアルキルから選択され、R、R、R、R、R、R、R、及びRはそれぞれ、水素、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシ、スルホニル、ホスホリル、及びセレニルから独立に選択され、それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アリールオキシ、ヘテロアルキル、アルキレン、及びヘテロアルキレンは、1、2、3、4、又は5個の置換基で独立に任意選択的に置換されている。]
を含む、キットを提供する。
【0008】
本開示は、試料中の分析対象物質の検出に干渉する物質を検出する方法も提供する。一態様では、方法は、(a)分析対象物質及び分析対象物質の検出に干渉する物質を含むと疑われる試料を上記のキットのいずれか1つと、下記を可能にする条件下で接触させるステップ:(i)分析対象物質の第3の特異的結合メンバーへの結合、(ii)分析対象物質の検出に干渉する物質の第3の特異的結合メンバーへの特異的結合、又は分析対象物質の検出に干渉する物質の固体支持体表面への非特異的結合、(iii)第1のコンジュゲートの分析対象物質への結合、(iv)第2のコンジュゲートの分析対象物質の検出に干渉する物質への結合、及び任意選択的に(v)第4の特異的結合メンバーの分析対象物質の検出に干渉する物質への結合;(b)第1の検出可能な標識及び第2の検出可能な標識のシグナル強度を検出するステップ、並びに(c)第1の検出可能な標識及び第2の検出可能な標識のシグナル強度を定量及び分析することによって、試料中の分析対象物質の検出に干渉する物質の存在を検出するステップを含む。
【0009】
別の態様では、方法は、(a)分析対象物質及び分析対象物質の検出に干渉する物質を含むと疑われる試料を上記のキットのいずれか1つと、下記を可能にする条件下で接触させるステップ:(i)分析対象物質の第3の特異的結合メンバーへの結合及び分析対象物質の分析対象物質の検出に干渉する物質への結合による分析対象物質-干渉物質複合体の形成、(ii)第1のコンジュゲートの分析対象物質への結合、並びに(iv)第2のコンジュゲートの分析対象物質の検出に干渉する物質又は分析対象物質-干渉物質複合体への結合、並びに任意選択的に(v)第4の特異的結合メンバーの分析対象物質の検出に干渉する物質への結合;(b)第1の検出可能な標識及び第2の検出可能な標識のシグナル強度を検出するステップ、並びに(c)第1の検出可能な標識及び第2の検出可能な標識のシグナル強度を定量及び分析することによって、試料中の分析対象物質の検出に干渉する物質の存在を検出するステップを含む。
【0010】
さらなる態様では、方法は、(a)分析対象物質及び分析対象物質の検出に干渉する物質を含むと疑われる試料を上記のキットのいずれか1つと、下記を可能にする条件下で接触させるステップ:(i)分析対象物質の第3の特異的結合メンバーへの結合、(ii)第1のコンジュゲートの分析対象物質への結合及び第1のコンジュゲートの分析対象物質の検出に干渉する物質への結合、並びに(iv)第2のコンジュゲートの分析対象物質の検出に干渉する物質への結合、並びに任意選択的に(v)第4の特異的結合メンバーの分析対象物質の検出に干渉する物質への結合;(b)第1の検出可能な標識及び第2の検出可能な標識のシグナル強度を検出するステップ、並びに(c)第1の検出可能な標識及び第2の検出可能な標識のシグナル強度を定量及び分析することによって、試料中の分析対象物質の検出に干渉する物質の存在を検出するステップを含む。
【0011】
別の態様では、方法は、(a)分析対象物質及び分析対象物質の検出に干渉する物質を含むと疑われる試料を上記のキットのいずれか1つと、下記を可能にする条件下で接触させるステップ:(i)分析対象物質の第3の特異的結合メンバーへの結合、(ii)分析対象物質の検出に干渉する物質の固体支持体表面への特異的又は非特異的結合、(iii)第1のコンジュゲートの分析対象物質への結合及び分析対象物質の検出に干渉する物質の第1のコンジュゲートへの特異的又は非特異的結合、それによる検出に利用可能な第1のコンジュゲートの量の増加、(iv)第2のコンジュゲートの分析対象物質の検出に干渉する物質への結合、並びに(v)第4の特異的結合メンバーの分析対象物質の検出に干渉する物質への結合;(b)第1の検出可能な標識及び第2の検出可能な標識のシグナル強度を検出するステップ、並びに(c)第1の検出可能な標識及び第2の検出可能な標識のシグナル強度を定量及び分析することによって、試料中の分析対象物質の検出に干渉する物質の存在を検出するステップを含む。
【0012】
本開示は、(a)ビオチン分子及びそれに付着している第1の検出可能な標識を含む第1の特異的結合メンバーであって、分析対象物質を特異的に結合する第1の特異的結合メンバー、(b)分析対象物質に特異的に結合する第2の特異的結合メンバーに付着している第2の検出可能な標識を含むコンジュゲート、(c)第1の特異的結合メンバーに付着しているビオチン分子及び試料中の分析対象物質の検出に干渉するビオチン分子に結合するストレプトアビジンでコーティングされた固体支持体を含むキットであって、第1及び第2の検出可能な標識の少なくとも1つが、式(I)の化合物、又はその塩
【0013】
【化2】
[式中、Xは、-NH-又はジアミンリンカーであり、Yは、窒素、酸素、及び硫黄から選択され、Yが窒素であるとき、Rは-SO-Aであり、Aは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、及びヘテロシクリルアルキルから選択され、Yが酸素又は硫黄であるとき、Rは存在せず、Qは、-SO-又は-CO-であり、L及びLはそれぞれ、アルキレン及びヘテロアルキレンから独立に選択され、Rは、-COOZ及び-CNから選択され、Zは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アリールオキシ、及びヘテロアルキルから選択され、R、R、R、R、R、R、R、及びRはそれぞれ、水素、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシ、スルホニル、ホスホリル、及びセレニルから独立に選択され、それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アリールオキシ、ヘテロアルキル、アルキレン、及びヘテロアルキレンは、1、2、3、4、又は5個の置換基で独立に任意選択的に置換されている。]を含む、キットも提供する。上記のキットを使用して、試料中の分析対象物質の検出に干渉するビオチン分子を検出する方法も提供される。この方法は、(a)干渉するビオチン分子が存在しない場合に、ストレプトアビジンでコーティングされた固体支持体に結合している第1の検出可能な標識の標準シグナル強度(R値)を確立するステップ、(b)分析対象物質及び分析対象物質の検出に干渉するビオチン分子を両方含むと疑われる試料をキットと、下記を可能にする条件下で接触させるステップ:(i)分析対象物質の第1の特異的結合メンバーへの結合による第1の複合体の形成、(ii)コンジュゲートの第1の特異的結合メンバーに結合している分析対象物質への結合による免疫複合体の形成、並びに(iii)ストレプトアビジンでコーティングされた固体支持体の第1の特異的結合メンバーに付着しているビオチン分子及び試料中の分析対象物質の検出に干渉するビオチン分子への結合;(c)第1の検出可能な標識及び第2の検出可能な標識のシグナル強度を検出するステップ、(d)第2の検出可能な標識のシグナル強度に対する補正を行うステップ、並びに(e)試料中の分析対象物質の検出に干渉するビオチン分子の存在を検出するステップを含む。
【0014】
(a)分析対象物質を結合する第1の特異的結合メンバーに付着している第1の検出可能な標識を含む第1のコンジュゲート、(b)第2の特異的結合メンバーに付着している第2の検出可能な標識を含む第2のコンジュゲートであって、第2の特異的結合メンバーは、第1の特異的結合メンバーと同一の分析対象物質を結合し、分析対象物質に対する第1の特異的結合メンバーの結合親和性が、第2の特異的結合メンバーの結合親和性より大きい、第2のコンジュゲート、及び(c)第1又は第2の特異的結合メンバーと同時に分析対象物質に結合することができる、固体支持体に付着している第3の特異的結合メンバーを含むキットであって、第1及び第2の検出可能な標識の少なくとも1つが、式(I)の化合物、又はその塩
【0015】
【化3】
[式中、Xは、-NH-又はジアミンリンカーであり、Yは、窒素、酸素、及び硫黄から選択され、Yが窒素であるとき、Rは-SO-Aであり、Aは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、及びヘテロシクリルアルキルから選択され、Yが酸素又は硫黄であるとき、Rは存在せず、Qは、-SO-又は-CO-であり、L及びLはそれぞれ、アルキレン及びヘテロアルキレンから独立に選択され、Rは、-COOZ及び-CNから選択され、Zは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アリールオキシ、及びヘテロアルキルから選択され、R、R、R、R、R、R、R、及びRはそれぞれ、水素、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシ、スルホニル、ホスホリル、及びセレニルから独立に選択され、それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アリールオキシ、ヘテロアルキル、アルキレン、及びヘテロアルキレンは、1、2、3、4、又は5個の置換基で独立に任意選択的に置換されている。]を含む、キットも提供される。
【0016】
本開示は、イムノアッセイのダイナミックレンジを拡大する方法であって、(a)分析対象物質を含むと疑われる試験試料を上記のキットと接触させるステップであって、分析対象物質が、第3の特異的結合メンバーに結合する、ステップ、(b)第3の特異的結合メンバーに結合していない分析対象物質を洗浄することによって除去するステップ、(c)第1のコンジュゲートを分析対象物質に結合させ、第2のコンジュゲートを分析対象物質に結合させるステップであって、第1及び第2のコンジュゲートが分析対象物質に同時には結合しない、ステップ、(d)分析対象物質に結合していない第1及び第2のコンジュゲートを洗浄することによって除去するステップ、(e)第1の検出可能な標識及び第2の検出可能な標識のシグナル強度を定量するステップ、並びに(f)フラグ値に基づいて第1の検出可能な標識と第2の検出可能な標識のシグナル強度を比較することによって、分析対象物質の濃度を決定し、それによってイムノアッセイのダイナミックレンジが拡大されるステップを含む方法も提供する。
【0017】
本開示は、(a)分析対象物質を結合する第1の特異的結合メンバー及び第1の検出可能な標識を含む第1のコンジュゲート、(b)第2の特異的結合メンバー及び第2の検出可能な標識を含む第2のコンジュゲートであって、(i)第1の特異的結合メンバー及び第2の特異的結合メンバーは同一であり又は異なり、(ii)第1及び第2の検出可能な標識は異なる、第2のコンジュゲート、(c)第1又は第2の特異的結合メンバーと同時に分析対象物質に結合することができる、固体支持体に付着している第3の特異的結合メンバーを含むキットであって、第1及び第2の検出可能な標識の少なくとも1つが、式(I)の化合物、又はその塩
【0018】
【化4】
[式中、Xは、-NH-又はジアミンリンカーであり、Yは、窒素、酸素、及び硫黄から選択され、Yが窒素であるとき、Rは-SO-Aであり、Aは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、及びヘテロシクリルアルキルから選択され、Yが酸素又は硫黄であるとき、Rは存在せず、Qは、-SO-又は-CO-であり、L及びLはそれぞれ、アルキレン及びヘテロアルキレンから独立に選択され、Rは、-COOZ及び-CNから選択され、Zは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アリールオキシ、及びヘテロアルキルから選択され、R、R、R、R、R、R、R、及びRはそれぞれ、水素、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシ、スルホニル、ホスホリル、及びセレニルから独立に選択され、それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アリールオキシ、ヘテロアルキル、アルキレン、及びヘテロアルキレンは、1、2、3、4、又は5個の置換基で独立に任意選択的に置換されている。]を含む、キットを提供する。
【0019】
本開示は、イムノアッセイのフック効果を低減し、ダイナミックレンジを拡大する方法であって、(a)分析対象物質を含むと疑われる試験試料を上記のキットと接触させるステップであって、分析対象物質が、第3の特異的結合メンバーに結合し、第1のコンジュゲートが、分析対象物質に結合する、ステップ、(b)結合していない分析対象物質及び結合していない第1のコンジュゲートをいずれも洗浄することによって除去するステップ、(c)第2のコンジュゲートを分析対象物質に結合させるステップであって、第1及び第2のコンジュゲートが分析対象物質に同時には結合しない、ステップ、(d)結合していない第2のコンジュゲートをいずれも洗浄することによって除去するステップ、(e)第1の検出可能な標識及び第2の検出可能な標識のシグナル強度を定量するステップ、並びに(f)フラグ値に基づいて分析対象物質の濃度を決定し、それによってイムノアッセイのフック効果が低減され、ダイナミックレンジが拡大されるステップを含む方法をさらに提供する。
【0020】
第1のチャネルが低ゲイン/低減された増幅に設定され、第2のチャネルが標準高ゲインに設定された2チャネルの検出を伴う光電子増倍管(PMT)をさらに含む上記のキット及び/又は方法も提供され、その結果、アッセイダイナミックレンジが増大し、1つのPMTチャネルと比較して何桁も大きくなる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1A】実施例68に記載されているTg/抗Tgコンビネーションアッセイで測定されたチログロブリン(Tg)の濃度を示すグラフである。化学発光性シグナルを相対的発光単位(RLU)として測定した。
図1B】実施例68に記載されているTg/抗Tgコンビネーションアッセイで測定された抗Tg抗体の濃度を示すグラフである。化学発光性シグナルを相対的発光単位(RLU)として測定した。
図2A】実施例69に記載されているTnI/抗TnIコンビネーションアッセイで測定したトロポニン(TnI)の濃度を示すグラフである。化学発光性シグナルを相対的発光単位(RLU)として測定した。
図2B】実施例69に記載されているTnI/抗TnIコンビネーションアッセイで測定した抗TnI抗体の濃度を示すグラフである。化学発光性シグナルを相対的発光単位(RLU)として測定した。
図2C】ブルーチャネルシグナルレベルが、これらのそれぞれのグリーンチャネルレベルの3.8倍に増加し得ることを示すグラフであり、干渉抗体の存在を成功裏に裏付ける補正された、ブルーチャネルトロポニンシグナルを生成している。化学発光性シグナルを相対的発光単位(RLU)として測定した。
図3】ビオチンを含まない元のデータ並びにビオチン干渉実験からの補正されたシグナルを含む、実施例71に記載されているNGALアッセイから得た用量反応曲線のグラフである。
図4】シングルチャネルシステムとデュアルチャネルシステムの両方においてビオチンの存在下で行われた実施例71に記載されているNGALアッセイから得たデータを示すグラフである。二重チャネルシステムでは、NGALに対して補正されたシグナルがプロットされ、ビオチン濃度に関わらず一定のままである。
図5】実施例72に記載されているイムノアッセイの結果を表すグラフである。
図6】実施例73に記載されているイムノアッセイの結果を表すグラフである。
図7A】実施例74に記載されているような両方のチャネルにおけるTSH較正曲線を示すグラフである。
図7B】実施例74に記載されているような両方のチャネルにおける正規化されたTSHシグナルを示すグラフである。
図8】分析対象物質の検出干渉の2つの異なるシナリオの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示は、イムノアッセイ結果に干渉する物質が、分析対象物質を結合する第1の特異的結合メンバー及び試料中の分析対象物質の検出に干渉する物質を結合する第2の特異的結合メンバーを同時に利用することによって検出され得るという発見に基づいている。分析対象物質及び干渉物質のそれぞれ第1及び第2の特異的結合メンバーへの結合は、異なるシグナルを発するマルチコンジュゲートを使用して可視化され得る。この目的のために、本開示は、硬質なジアミンリンカーを介してリンクされたアクリジニウム部分とフルオロフォアを含む化学発光化合物を含むコンジュゲートを使用する。アクリジニウム部分の化学発光誘発時に、光出力は、付着しているフルオロフォアの発光波長にシフトされ得る。
【0023】
本開示は、2ステップイムノアッセイなどのアッセイのダイナミックレンジが、アッセイ内で高親和性抗体及び低親和性抗体を同時に利用することによって広げられ得るという発見にも基づいている。高親和性及び低親和性抗体への分析対象物質結合は、異なるシグナルを発するマルチコンジュゲートを使用して可視化され得る。次いで、別個の2つの較正曲線が作成され得る。この目的のために、本開示は、硬質なジアミンリンカーを介してリンクされたアクリジニウム部分とフルオロフォアを含む化学発光化合物を含むコンジュゲートを使用する。アクリジニウム部分の化学発光誘発時に、光出力は、付着しているフルオロフォアの発光波長にシフトされ得る。異なるフルオロフォアを使用する単一のアッセイにおけるマルチコンジュゲートの使用は、単一試験において1試料から2つ以上の分析対象物質の検出を可能にすることができ、インビトロ診断薬に特に有用なことがある。さらに、1ステップアッセイフォーマットでは、「フック効果」は、第1のコンジュゲートと異なる検出可能な標識(例えば、異なるカラー標識)を含む第2の抗体コンジュゲートを導入して、フック効果の発現を示して、解消され得る。
【0024】
定義
特定の官能基及び化学用語の定義について、より詳細に以下に記載する。本開示では、化学元素は、Periodic Table of the Elements、CAS version、Handbook of Chemistry and Physics、第75版、表紙裏に従って特定され、特定の官能基は、その中に記載されているように一般に定義される。さらに、有機化学の一般原則、並びに特定の官能部分及び反応性については、Sorrell、Organic Chemistry、第2版、University Science Books社、Sausalito、2006年;Smith, March’s Advanced Organic Chemistry:Reactions, Mechanism, and Structure、第7版、John Wiley & Sons, Inc.社、New York、2013年;Larock、Comprehensive Organic Transformations、第3版、John Wiley & Sons, Inc.社、New York、2018年;Carruthers、Some Modern Methods of Organic Synthesis、第3版、Cambridge University Press社、Cambridge、1987年に記載されており、これらのそれぞれの内容全体を参照により本明細書に組み込む。
【0025】
本明細書で使用される場合、用語「アルキル」は、1~16個の炭素原子(C~C16アルキル)、例えば1~14個の炭素原子(C~C14アルキル)、1~12個の炭素原子(C~C12アルキル)、1~10個の炭素原子(C~C10アルキル)、1~8個の炭素原子(C~Cアルキル)、1~6個の炭素原子(C~Cアルキル)、又は1~4個の炭素原子(C~Cアルキル)を含む直鎖又は分枝状の飽和炭化水素鎖を意味する。アルキルの代表例としては、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、iso-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、3-メチルヘキシル、2,2-ジメチルペンチル、2,3-ジメチルペンチル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、及びn-ドデシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
本明細書で使用される場合、用語「アルケニル」は、2~16個の炭素原子及び少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を含む直鎖又は分枝状の炭化水素鎖を指す。アルケニルの代表例としては、エテニル、2-プロペニル、2-メチル-2-プロペニル、3-ブテニル、4-ペンテニル、5-ヘキセニル、2-ヘプテニル、2-メチル-1-ヘプテニル、及び3-デセニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
本明細書で使用される場合、用語「アルキニル」は、2~16個の炭素原子及び少なくとも1個の炭素-炭素三重結合を含む直鎖又は分枝状の炭化水素鎖を指す。アルキニルの代表例としては、エチニル、プロピニル、及びブチニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
本明細書で使用される場合、用語「アルキレン」は、1~10個の炭素原子(C~C10アルキレン)、例えば1~6個の炭素原子(C~Cアルキレン)の直鎖又は分枝鎖の炭化水素に由来する2価基を指す。アルキレンの代表例としては、-CH-、-CHCH-、-CH(CH)-、-CHCHCH-、-CHCH(CH)-、-CHCHCHCH-、-CHCH(CH)CH-、-CHCHCH(CH)-、-CHCHCHCHCH-、-CHCH(CH)CHCH-、-CH(CH)CHCHCH-、-CHCHCHCHCHCH-、-CHCHCH(CH)CHCH-、-CHCH(CH)CHCHCH-、及び-CH(CH)CHCHCHCH-が挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
本明細書で使用される場合、用語「アルコキシ」は、酸素原子を通して親分子部分に付属している、本明細書に定義されるアルキル基を指す。アルコキシの代表例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、2-プロポキシ、ブトキシ及びtert-ブトキシが挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
本明細書で使用される場合、用語「アリール」は、フェニル基、又は二環式又は三環式の芳香族縮合環系を指す。二環式縮合環系は、親分子部分に付属し、1つのフェニル基に縮合しているフェニル基によって例示される。三環式縮合環系は、親分子部分に付属し、他の2つのフェニル基に縮合しているフェニル基によって例示される。二環式アリールの代表例としては、ナフチルが挙げられるが、これに限定されない。三環式アリールの代表例としては、アントラセニル及びフェナントレニル(phenanthreneyl)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
本明細書で使用される場合、用語「アリールオキシ」は、酸素原子を通して親分子部分に付属している、本明細書に定義されるアリール基を意味する。
【0032】
本明細書で使用される場合、用語「アリールアルキル」は、本明細書に定義されるアルキル基を通して親分子部分に付属している、本明細書に定義されるアリール基を指す。アリールアルキルの代表例としては、フェニルメチル(すなわち、ベンジル)及びフェニルエチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
本明細書で使用される場合、用語「シクロアルキル」は、3~10個の炭素原子及び0個のヘテロ原子を含む飽和炭素環式環系を指す。シクロアルキルは、単環式、二環式、架橋、縮合、又はスピロ環式とすることができる。シクロアルキルの代表例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、アダマンチル、ビシクロ[1.1.1]ペンタニル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、ビシクロ[3.2.1]オクタニル、及びビシクロ[5.2.0]ノナニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
本明細書で使用される場合、用語「シクロアルケニル」は、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を含み、好ましくは1環当たり5~10個の炭素原子を有する非芳香族単環式又は多環式の炭素環式環系を意味する。例示的な単環式シクロアルケニル環としては、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、及びビシクロ[2.2.1]ヘプテニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
本明細書で使用される場合、用語「シクロアルキルアルキル」は、本明細書に定義されるアルキレン基を通して親分子部分に付属している、本明細書に定義されるシクロアルキル基を指す。シクロアルキルアルキルの代表例としては、シクロヘキシルメチルが挙げられるが、これに限定されない。
【0036】
本明細書で使用される場合、用語「ジアミンリンカー」は、各端部にアミン官能基(-NH-又は-NR-)を有するリンカー部分を指す。ジアミンリンカーは、線状、分枝状、又は環式とすることができる。
【0037】
本明細書で使用される場合、用語「ハロゲン」又は「ハロ」は、F、Cl、Br、又はIを意味する。
【0038】
本明細書で使用される場合、用語「ハロアルキル」は、1個以上の水素原子がハロゲンによって置き換えられている、本明細書に定義されるアルキル基を意味する。例えば、1、2、3、4、5、6、7若しくは8個の水素原子がハロゲンによって置き換えられてもよく、又はすべての水素原子がハロゲンによって置き換えられてもよい。ハロアルキルの代表例としては、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、2-フルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、ペルフルオロエチル、2-フルオロ-2-メチルプロピル、及び3,3,3-トリフルオロプロピルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
本明細書で使用される場合、用語「ハロアルコキシ」は、本明細書に定義される少なくとも1つのハロアルキル基が酸素原子を通して親分子部分に付属していることを意味する。ハロアルコキシの代表例としては、トリフロオロメトキシが挙げられるが、これに限定されない。
【0040】
本明細書で使用される場合、用語「ヘテロアルキル」は、少なくとも1個の炭素原子が例えばN、O、P、又はSなどのヘテロ原子で置き換えられた、本明細書に定義されるアルキル基を指す。ヘテロアルキルの代表例としては、アルキルエーテル、第二級及び第三級アルキルアミン、アミド、並びにアルキルスルフィドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0041】
本明細書で使用される場合、用語「ヘテロアルキレン」は、少なくとも1個の炭素原子が例えばN、O、P、又はSなどのヘテロ原子で置き換えられた、本明細書に定義されるアルキレン基を指す。ヘテロアルキレン基の代表例としては、ポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシド鎖、ポリエチレンイミン基などが挙げられる。
【0042】
本明細書で使用される場合、用語「ヘテロアリール」は、芳香族単環式環又は芳香族二環式環系又は芳香族三環式環系を指す。芳香族単環式環は、N、O、及びSからなる群から独立に選択される少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、O、S、及びNから独立に選択される1、2、3、又は4個のヘテロ原子)を含む5又は6員環である。5員芳香族単環式環は2個の二重結合を有し、6員芳香族単環式環は3個の二重結合を有する。二環式ヘテロアリール基は、本明細書に定義される単環式アリール基又は本明細書に定義される単環式ヘテロアリール基に縮合している単環式ヘテロアリール環によって例示される。三環式ヘテロアリール基は、本明細書に定義される単環式アリール基又は本明細書に定義される単環式ヘテロアリール基から独立に選択される2つの環に縮合している単環式ヘテロアリール環によって例示される。単環式ヘテロアリールの代表例としては、ピリジニル(ピリジン-2-イル、ピリジン-3-イル、ピリジン-4-イルを含む)、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピロリル、ベンゾピラゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チエニル、フラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、1,2,4-トリアジニル、及び1,3,5-トリアジニルが挙げられるが、これらに限定されない。二環式ヘテロアリールの代表例としては、ベンゾイミダゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾピラゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾオキサゾリル、クロメニル、イミダゾピリジン、イミダゾチアゾリル、インダゾリル、インドリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリニル、ナフチリジニル、プリニル、ピリドイミダゾリル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、チアゾロピリジニル、チアゾロピリミジニル、チエノピロリル、及びチエノチエニルが挙げられるが、これらに限定されない。三環式ヘテロアリールの代表例としては、ジベンゾフラニル及びジベンゾチエニルが挙げられるが、これらに限定されない。単環式、二環式、及び三環式ヘテロアリールは、環内に含まれている任意の炭素原子又は任意の窒素原子を通して親分子部分に連結されている。
【0043】
本明細書で使用される場合、用語「ヘテロアリールアルキル」は、本明細書に定義されるアルキレン基を通して親分子部分に付属している、本明細書に定義されるヘテロアリール基を指す。ヘテロアリールアルキルの代表例としては、フル-3-イルメチル、1H-イミダゾール-2-イルメチル、1H-イミダゾール-4-イルメチル、1-(ピリジン-4-イル)エチル、ピリジン-3-イルメチル、6-クロロピリジン-3-イルメチル、ピリジン-4-イルメチル、(6-(トリフルオロメチル)ピリジン-3-イル)メチル、(6-(シアノ)ピリジン-3-イル)メチル、(2-(シアノ)ピリジン-4-イル)メチル、(5-(シアノ)ピリジン-2-イル)メチル、(2-(クロロ)ピリジン-4-イル)メチル、ピリミジン-5-イルメチル、2-(ピリミジン-2-イル)プロピル、チエン-2-イルメチル、及びチエン-3-イルメチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
本明細書で使用される場合、用語「ヘテロ環」又は「ヘテロ環式の」は、単環式ヘテロ環、二環式ヘテロ環、又は三環式ヘテロ環を意味する。単環式ヘテロ環は、O、N、及びSからなる群から独立に選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む3、4、5、6、7、又は8員環である。3又は4員環は、0又は1個の二重結合、並びにO、N、及びSからなる群から選択される1個のヘテロ原子を含む。5員環は、0又は1個の二重結合、並びにO、N及びSからなる群から選択される1、2又は3個のヘテロ原子を含む。6員環は、0、1又は2個の二重結合、並びにO、N、及びSからなる群から選択される1、2、又は3個のヘテロ原子を含む。7及び8員環は、0、1、2、又は3個の二重結合、並びにO、N、及びSからなる群から選択される1、2、又は3個のヘテロ原子を含む。単環式ヘテロ環の代表例としては、アゼチジニル、アゼパニル、アジリジニル、ジアゼパニル、1,3-ジオキサニル、1,3-ジオキソラニル、1,3-ジチオラニル、1,3-ジチアニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリニル、イソチアゾリジニル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、オキサジアゾリニル、オキサジアゾリジニル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、オキセタニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、ピロリニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロチエニル、チアジアゾリニル、チアジアゾリジニル、1,2-チアジナニル、1,3-チアジナニル、チアゾリニル、チアゾリジニル、チオモルホリニル、1,1-ジオキシドチオモルホリニル(チオモルホリンスルホン)、チオピラニル、及びトリチアニルが挙げられるが、これらに限定されない。二環式ヘテロ環は、フェニル基に縮合している単環式ヘテロ環、又は単環式シクロアルキルに縮合している単環式ヘテロ環、又は単環式シクロアルケニルに縮合している単環式ヘテロ環、又は単環式ヘテロ環に縮合している単環式ヘテロ環、又はスピロヘテロ環基、あるいは環の非隣接の2個の原子が1、2、3、若しくは4個の炭素原子のアルキレン架橋又は2、3、若しくは4個の炭素原子のアルケニレン架橋によってリンクされている架橋単環式ヘテロ環系である。二環式ヘテロ環の代表例としては、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、クロマニル、2,3-ジヒドロベンゾフラニル、2,3-ジヒドロベンゾチエニル、2,3-ジヒドロイソキノリン、2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル、アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル(2-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-イルを含む)、2,3-ジヒドロ-1H-インドリル、イソインドリニル、オクタヒドロシクロペンタ[c]ピロリル、オクタヒドロピロロピリジニル、及びテトラヒドロイソキノリニルが挙げられるが、これらに限定されない。三環式ヘテロ環は、フェニル基に縮合している二環式ヘテロ環、又は単環式シクロアルキルに縮合している二環式ヘテロ環、又は単環式シクロアルケニルに縮合している二環式ヘテロ環、又は単環式ヘテロ環に縮合している二環式ヘテロ環、あるいは二環式環の非隣接の2個の原子が1、2、3、若しくは4個の炭素原子のアルキレン架橋又は2、3、若しくは4個の炭素原子のアルケニレン架橋によってリンクされている二環式ヘテロ環によって例示される。三環式ヘテロ環の例としては、オクタヒドロ-2,5-エポキシペンタレン、ヘキサヒドロ-2H-2,5-メタノシクロペンタ[b]フラン、ヘキサヒドロ-1H-1,4-メタノシクロペンタ[c]フラン、アザ-アダマンタン(1-アザトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン)、及びオキサ-アダマンタン(2-オキサトリシクロ[3.3.1.13,7]デカン)が挙げられるが、これらに限定されない。単環式、二環式、及び三環式ヘテロ環は、環内に含まれている任意の炭素原子又は任意の窒素原子を通して親分子部分に連結されている。
【0045】
本明細書で使用される場合、用語「ヘテロシクリルアルキル」は、本明細書に定義されるアルキレン基を通して親分子部分に付属している、本明細書に定義されるヘテロシクリル基を指す。ヘテロシクリルアルキルの代表例としては、ピペリジン-4-イルメチル、ピペラジン-1-イルメチル、3-メチル-1-ピロリジン-1-イルブチル、(1R)-3-メチル-1-ピロリジン-1-イルブチル、(1S)-3-メチル-1-ピロリジン-1-イルブチル、及び3-モルホリノプロピルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0046】
本明細書で使用される場合、用語「ヒドロキシ」は、-OH基を意味する。
【0047】
本明細書で使用される場合、用語「ヒドロキシアルキル」は、少なくとも1つのヒドロキシ基で置換されている、本明細書に定義されるアルキル基を指す。ヒドロキシアルキルの代表例としては、ヒドロキシメチル、2-ヒドロキシエチル、3-ヒドロキシプロピル、2,3-ジヒドロキシプロピル、2,3-ジヒドロキシペンチル、4-ヒドロキシブチル、2-エチル-4-ヒドロキシヘプチル、3,4-ジヒドロキシブチル、及び5-ヒドロキシペンチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
場合によって、基(例えば、アルキル、アルコキシ、又はシクロアルキル)中の炭素原子の数は、接頭辞「Cx~Cy-」(ここで、xは基中の炭素原子の最小数であり、yは基中の炭素原子の最大数である)によって示される。したがって、例えば「C~C-アルキル」は、1~3個の炭素原子を含むアルキル基を指す。
【0049】
用語「置換基」は、指示された基の原子に置換されている基を指す。
【0050】
基又は部分が置換され得るとき、用語「置換された」は、「置換された」を使用する表現において指示された基の1個以上(例えば、1、2、3、4、5、又は6個;一部の実施形態では、1、2、又は3個;他の実施形態では、1又は2個)の水素が、記載された指示基の選択されたもの又は当業者に公知である好適な基(例えば、以下に記載される基の1つ以上)で置き換えられ得ることを示す。置換基としては、ハロゲン、=O、=S、シアノ、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環、シクロアルキルアルキル、ヘテロアリールアルキル、アリールアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキレン、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルアミノ、アミノアルキル、アリールアミノ、スルホニルアミノ、スルフィニルアミノ、スルホニル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、スルフィニル、カルボキシ(-COOH)、ケトン、アミド、カルバメート、ホスホリル、セレニル、及びアシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
キット
本開示は、(a)分析対象物質を特異的に結合する第1の特異的結合メンバーに付着している第1の検出可能な標識を含む第1のコンジュゲート、(b)試料中の分析対象物質の検出に干渉する物質を特異的に結合する第2の特異的結合メンバーに付着している第2の検出可能な標識を含む第2のコンジュゲート、(c)分析対象物質及び分析対象物質の検出に干渉する物質に同時に又は競合的に結合する、固体支持体に付着している第3の特異的結合メンバー、並びに任意選択的に(d)分析対象物質の検出に干渉する物質に特異的に結合する、固体支持体に付着している第4の特異的結合メンバーを含むキットを提供する。
【0052】
(a)ビオチン分子及びそれに付着している第1の検出可能な標識を含む第1の特異的結合メンバーであって、分析対象物質を特異的に結合する第1の特異的結合メンバー、(b)分析対象物質に特異的に結合する第2の特異的結合メンバーに付着している第2の検出可能な標識を含むコンジュゲート、並びに(c)第1の特異的結合メンバーに付着しているビオチン分子及び試料中の分析対象物質の検出に干渉するビオチン分子に結合するストレプトアビジンでコーティングされた固体支持体を含むキットも提供される。
【0053】
本開示は、(a)分析対象物質を結合する第1の特異的結合メンバーに付着している第1の検出可能な標識を含む第1のコンジュゲート、(b)第2の特異的結合メンバーに付着している第2の検出可能な標識を含む第2のコンジュゲートであって、第2の特異的結合メンバーは、第1の特異的結合メンバーと同一の分析対象物質を結合し、分析対象物質に対する第1の特異的結合メンバーの結合親和性が、第2の特異的結合メンバーの結合親和性より大きい、第2のコンジュゲート、及び(c)第1又は第2の特異的結合メンバーと同時に分析対象物質に結合することができる、固体支持体に付着している第3の特異的結合メンバーを含むキットをさらに提供する。
【0054】
(a)分析対象物質を結合する第1の特異的結合メンバー及び第1の検出可能な標識を含む第1のコンジュゲート、(b)第2の特異的結合メンバー及び第2の検出可能な標識を含む第2のコンジュゲートであって、(i)第1の特異的結合メンバー及び第2の特異的結合メンバーは同一であり又は異なり、(ii)第1及び第2の検出可能な標識は異なる、第2のコンジュゲート、並びに(c)第1又は第2の特異的結合メンバーと同時に分析対象物質に結合することができる、固体支持体に付着している第3の特異的結合メンバーを含むキットも提供される。
【0055】
キットに関連して以下に記載される成分は、本明細書に記載される方法においても有用であると認識される。
【0056】
ある特定の実施形態では、キットは、本明細書に記載されるアッセイ、例えばマイクロ粒子アッセイ又はポイントオブケアデバイスにおける使用のためのアッセイによって試験試料を分析対象物質についてアッセイするための指示書を含むことができる。指示書は、紙の形又はディスク、CD、DVDなどコンピュータ可読の形とすることができる。あるいは又はさらに、キットは、較正物質若しくは対照、例えば精製され、任意選択的に凍結乾燥された分析対象物質(又はその断片)、及び/又はアッセイを行うための少なくとも1つの容器(例えば、1つ以上の分析対象物質結合分子で以前にコーティングすることができるチューブ、マイクロタイタープレート又はストリップ)、及び/又はアッセイ緩衝剤若しくは洗浄緩衝剤などの緩衝剤を含むことができ、そのどちらか1つでも、濃縮溶液、検出可能な標識(例えば、化学発光標識)のためのトリガー溶液、又は停止液として用意することができる。理想的には、キットは、アッセイを行うのに必要なすべての成分、すなわち試薬、標準品、緩衝剤、希釈剤などを含む。指示書は、分析対象物質を定量するための検量線又は参照標準を作成するための指示書も含むことができる。
【0057】
コンジュゲート
一部の実施形態では、本明細書に記載されるキット及び方法は、分析対象物質を特異的に結合する第1の特異的結合メンバーに付着している第1の検出可能な標識を含む第1のコンジュゲート、及び第2の特異的結合メンバーに付着している第2の検出可能な標識を含む第2のコンジュゲートを含む。一部の実施形態では、第2の特異的結合メンバーは、試料中の分析対象物質の検出に干渉する物質を特異的に結合する。本明細書に記載されるキット及び方法は、分析対象物質と、一部の実施形態では分析対象物質の検出に干渉する物質とに同時に結合することができる、固体支持体に付着している第3の特異的結合メンバーも含む。一部の実施形態では、本明細書に記載されるキット及び方法は、分析対象物質の検出に干渉する物質に特異的に結合する、固体支持体に付着している第4の特異的結合メンバーを任意選択的に含むことができる。キットを使用して、試料中の分析対象物質の検出に干渉するビオチン分子を検出する実施形態では、第1の特異的結合メンバーは、ビオチン分子及びそれに付着している第1の検出可能な標識を含み、分析対象物質を特異的に結合し、コンジュゲートは、分析対象物質に特異的に結合する第2の特異的結合メンバーに付着している第2の検出可能な標識を含む。
【0058】
用語「特異的結合相手」、「特異的結合メンバー」、及び「結合メンバー」は、本明細書で同義に使用され、異なる2個以上の分子のうちの1個を、他の分子の実質的に低い認識に比べて特異的に認識するもう1個の分子を指す。「特異的に結合する」又は「結合特異性」とは、結合メンバーが、試料の分析対象物質分子と他の成分又は汚染物質を区別するのに十分な特異性を有する分析対象物質分子を結合することを意味する。当業者によって理解されているように、適切な特異的結合メンバーは、分析される分析対象物質によって決定される。一実施形態では、固体支持体は、望ましくは、その表面に固定化された、目的の分析対象物質に結合する特異的結合メンバーを多数(例えば、2以上、50以上、100以上、1,000以上、又は5,000以上)含む。本明細書で論じられるように、固体支持体と試料の十分なインキュベーション時間後に、試料中に存在する1つ以上の目的の分析対象物質は、望ましくは、固体支持体の表面に固定化された特異的結合メンバーを介して固体支持体の表面に捕捉される。本明細書で使用される場合、用語「固定化」は、結合メンバーと固体支持体の表面との安定な結合を指す。
【0059】
多種多様な標的分子のための結合メンバーが公知であり、又は公知の技法を使用して容易に見出す若しくは開発することができる。例えば、標的分析対象物質がタンパク質であるとき、結合メンバーとしては、タンパク質、特に抗体又はそれらの断片(例えば、抗原結合性断片(Fab)、Fab’断片、F(ab’)断片)、組換え抗体、キメラ抗体、単鎖Fv(「scFv」)、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、例えばラクダ科の動物に由来する可変重鎖ドメイン(「VHH」;「VHH断片」とも呼ばれる)(VHH及びそれらを作製する方法については、Gottlinら、Journal of Biomolecular Screening、14:77-85(2009)に記載されている)、組換えVHH単一ドメイン抗体、ジスルフィド連結Fv(「sdFv」)、抗イディオタイプ(「抗Id」)抗体、及び上記のいずれかの機能的に活性なエピトープ結合断片、全長ポリクローナル又はモノクローナル抗体、抗体様断片など、他のタンパク質、例えば受容体タンパク質、タンパク質A、又はタンパク質Cを挙げることができる。分析対象物質がステロイド、ビリン、レチノイド、又は脂質などの低分子である実施形態では、第1及び/又は第2の結合メンバーは、足場タンパク質(例えば、リポカリン)又は受容体とすることができる。場合によって、タンパク質分析対象物質のための結合メンバーは、ペプチドとすることができる。例えば、標的分析対象物質が酵素であるとき、好適な結合メンバーとしては、ペプチド、低分子などとすることができる酵素基質及び/又は酵素阻害薬を挙げることができる。場合によって、標的分析対象物質がリン酸化種であるとき、結合メンバーはホスフェート結合剤を含むことができる。例えば、ホスフェート結合剤は、金属イオン親和性媒体を含むことができる(例えば、米国特許第7,070,921号及び米国特許出願公開第2006/0121544号を参照のこと)。他の実施形態では、結合メンバーは、ビタミン、栄養物、栄養代謝物、医薬(例えば、抗生物質)、又は乱用薬物とすることができる。
【0060】
ある特定の場合では、特異的結合メンバーは、アプタマー、例えば米国特許第5,270,163号;同第5,475,096号;同第5,567,588号;同第5,595,877号;同第5,637,459号;同第5,683,867号;及び同第5,705,337号に記載されているものとすることができる。本明細書で使用される場合、用語「アプタマー」は、とりわけ高い親和性及び特異性を有する低分子、タンパク質、及びペプチドを含めて、前選択された標的に結合することができる核酸又はペプチド分子を指す。核酸アプタマー(例えば、一本鎖DNA分子又は一本鎖RNA分子)は、任意の標的分子を実質的に捕捉するために開発され得る。アプタマーは、より低い結合親和性のアプタマーが選択され得るが、典型的には非常に高い親和性で標的分子を高特異的、立体構造依存的に結合する。アプタマーは、標的分析対象物質分子を非常にわずかな構造的差異、例えばメチル又はヒドロキシル基の有無に基づいて識別することができ、ある特定のアプタマーは、D-とL-のエナンチオマー及びジアステレオマーを識別することができる。アプタマーは、薬物、金属イオン、及び有機染料、ペプチド、ビオチン、並びにタンパク質を含めて低分子標的を結合することができる。アプタマーは、ビオチン化、フルオレセイン標識後、並びにガラス表面及びミクロスフェアに付着しているとき機能活性を保持することができる。
【0061】
核酸アプタマーは、オリゴヌクレオチドであり、一本鎖オリゴデオキシヌクレオチド、オリゴリボヌクレオチド、又は修飾オリゴデオキシヌクレオチド若しくはオリゴリボヌクレオチドとすることができる。「修飾」オリゴデオキシヌクレオチド又はオリゴリボヌクレオチドは、共有結合で修飾された塩基及び/又は糖を有するヌクレオチドを指す。例えば、修飾ヌクレオチドとしては、糖が3’位のヒドロキシル基以外及び5’位のホスフェート基以外の低分子量有機基に共有結合しているヌクレオチドが挙げられる。こうした修飾ヌクレオチドとしては、2’置換糖、例えば2’-O-メチル;2-O-アルキル;2-O-アリル;2’-S-アルキル;2’-S-アリル;2’-フルオロ-;2’-ハロ又は2-アジド-リボース、炭素環式糖類似体、アノマー糖;エピマー糖、例えばアラビノース、キシロース又はリキソース、ピラノース糖、フラノース糖、及びセドヘプツロースも挙げることができる。
【0062】
ペプチドアプタマーは、タンパク質相互作用に干渉するように設計され得る。ペプチドアプタマーは、可変ペプチドループが付着され、それによってアプタマーの立体構造を制約するタンパク質足場をベースにすることができる。場合によって、ペプチドアプタマーの足場部分は、細菌チオレドキシンA(TrxA)に由来する。
【0063】
分析対象物質が炭水化物であるとき、好適な結合メンバーとしては、例えば抗体、レクチン、及びセレクチンが挙げられる。当業者によって理解されているように、目的の分析対象物質と特異的に結合することができる分子であればいずれも、結合メンバーとして潜在的に使用することができる。
【0064】
ある特定の実施形態では、好適な分析対象物質/結合メンバー複合体としては、抗体/抗原、抗原/抗体、受容体/リガンド、リガンド/受容体、タンパク質/核酸、酵素/基質及び/又は阻害物質、炭水化物(糖タンパク質及び糖脂質を含む)/レクチン及び/又はセレクチン、タンパク質/タンパク質、タンパク質/低分子などを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0065】
特定の実施形態では、特異的結合メンバーは、リンケージを介して固体支持体に付着され得る。それは、結合メンバーの支持体への付着を促進する、支持体及び/又は結合メンバーの任意の部分、機能化、又は修飾を含むことができる。結合メンバーと支持体とのリンケージは、1つ以上の化学的若しくは物理的(例えば、ファンデルワールス力、水素結合、静電的相互作用、疎水性/親水性相互作用などを介した非特異的付着)結合及び/又はそのような結合をもたらす化学的スペーサーを含むことができる。ある特定の実施形態は、タンパク質又はポリペプチドである結合メンバーを利用し、多数の技法を使用して、ポリペプチドを多種多様な固体支持体に付着させることができる(例えば、米国特許第5,620,850号;及びHeller、Acc. Chem. Res.、23:128(1990)を参照のこと)。
【0066】
一部の実施形態では、分析対象物質分子と結合メンバーとの結合親和性は、非特異的に結合している分子又は粒子を除去する洗浄ステップを含めてアッセイの条件下で結合された状態のままであるのに十分な程度であるべきである。場合によって、例えばある特定の生体分子の検出において、分析対象物質分子のその相補的結合メンバーへの結合定数は、少なくとも約10~約10-1、少なくとも約10~約10-1、少なくとも約10~約10-1、約10-1超、又はそれ以上とすることができる。
【0067】
ある特定の実施形態では、第1のコンジュゲートは、分析対象物質を特異的に結合する第1の特異的結合メンバー及び第1の検出可能な標識を含み、第2のコンジュゲートは、第2の特異的結合メンバー及び第2の検出可能な標識を含む。一部の実施形態では、第2の特異的結合メンバーは、以下にさらに記載するように試料中の分析対象物質の検出に干渉する物質を特異的に結合する。そのような実施形態では、第2の特異的結合メンバーは、分析対象物質の存在下で分析対象物質の検出に干渉する物質に優先的に結合することができる。特異的結合メンバーは、他よりも特定の結合相手に結合することを好む傾向を示すとき結合相手(例えば、分析対象物質又は分析対象物質検出に干渉する物質)に「優先的に結合する」。
【0068】
他の実施形態では、第2の特異的結合メンバーは、異なる親和性を有するが第1の特異的結合メンバーと同一の分析対象物質を結合する。この点で、分析対象物質に対する第1の特異的結合メンバーの結合親和性は、第2の特異的結合メンバーの結合親和性より大きい。一部の実施形態では、分析対象物質に対する第1の特異的結合メンバーと第2の特異的結合メンバーの結合親和性における差は、約3倍~約5倍、約5倍~約100倍、約5倍~約10倍、約5倍~約25倍、約25倍~約50倍、又は約50倍~約100倍に及ぶ。理想的には、分析対象物質に対する第1の特異的結合メンバーの結合親和性は、第2の特異的結合メンバーの結合親和性より約3倍、約5倍、約10倍、約25倍、約50倍、又は約100倍大きい。
【0069】
第1及び第2の特異的結合メンバーは、それぞれ第1及び第2の検出可能な標識に直接的又は間接的に付着され得る。一部の実施形態では、第1及び第2の特異的結合メンバーは同一であるが、異なる検出可能な標識を含む。他の実施形態では、第1及び第2の検出可能な標識は異なる。どちらにしても、第1及び第2の検出可能な標識は、理想的には異なる。一部の実施形態では、第3の特異的結合メンバーも、本明細書に記載される検出可能な標識を含むことができる。本明細書で使用される場合、用語「検出可能な標識」及び「標識」は、視覚的又は機器的手段によって検出可能なシグナルを生成することができる部分を指す。検出可能な標識は、例えばクロマゲン、蛍光化合物、酵素、化学発光化合物、放射性化合物などシグナル生成物質とすることができる。一実施形態では、第1及び第2の検出可能な標識の少なくとも1つは、式(I)の化合物、又はその塩
【0070】
【化5】
[式中、Xは、-NH-又はジアミンリンカーであり、Yは、窒素、酸素、及び硫黄から選択され、Yが窒素であるとき、Rは-SO-Aであり、Aは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、及びヘテロシクリルアルキルから選択され、Yが酸素又は硫黄であるとき、Rは存在せず、Qは、-SO-又は-CO-であり、L及びLはそれぞれ、アルキレン及びヘテロアルキレンから独立に選択され、Rは、-COOZ及び-CNから選択され、Zは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アリールオキシ、及びヘテロアルキルから選択され、R、R、R、R、R、R、R、及びRはそれぞれ、水素、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシ、スルホニル、ホスホリル、及びセレニルから独立に選択され、それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アリールオキシ、ヘテロアルキル、アルキレン、及びヘテロアルキレンは、1、2、3、4、又は5個の置換基で独立に任意選択的に置換されている。]を含む。
【0071】
X基は、-NH-又はジアミンリンカーである。一部の実施形態では、Xは-NH-である。一部の実施形態では、Xはジアミンリンカーである。一部の実施形態では、ジアミンリンカーは、式-NR’-L’-NR’’-を有することができ、式中、R’及びR’’はそれぞれ、水素及びメチルから独立に選択され、L’は、アルキレン、ヘテロアルキレン、シクロアルキレン、及びシクロアルケニレンから選択される。一部の実施形態では、ジアミンリンカーは、環式ジアミンリンカー(例えば、単環式又は二環式のジアミンリンカー)とすることができる。一部の実施形態では、ジアミンリンカーは、硬質なジアミンリンカーとすることができる。例示的な硬質なジアミンリンカーとしては、以下が挙げられる。
【0072】
【化6】
【0073】
一部の実施形態では、Xは、
【0074】
【化7】
から選択される。
【0075】
一部の実施形態では、Xは、
【0076】
【化8】
である。
【0077】
Y基は、窒素、酸素、及び硫黄から選択され、Yが窒素であるとき、Rは-SO-Aであり、Aは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、及びヘテロシクリルアルキルから選択され、Yが酸素又は硫黄であるとき、Rは存在しない。
【0078】
一部の実施形態では、Yは窒素であり、Rは-SO-Aである。一部の実施形態では、Aはアリールである。一部の実施形態では、Aはフェニルである。一部の実施形態では、Aは非置換である又はC~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、及びアミノから選択される1、2、3、4、若しくは5個の置換基で置換されている。一部の実施形態では、Aは、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、及びアミノから選択される1個の置換基で置換されているフェニルである。一部の実施形態では、Aは、C~Cアルキルから選択される1個の置換基で置換されているフェニルである。一部の実施形態では、Aは、1個のメチル基で置換されているフェニルである。一部の実施形態では、Aはp-トリルである。
【0079】
は、-COOZ及び-CNから選択され、Zは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アリールオキシ、及びヘテロアルキルから選択される。一部の実施形態では、Rは-COOZである。一部の実施形態では、Zは、水素及びC~Cアルキルから選択される。一部の実施形態では、Zは水素である。
【0080】
一部の実施形態では、Qは-CO-である。一部の実施形態では、Qは-SO-である。
【0081】
及びLはそれぞれ、アルキレン及びヘテロアルキレンから独立に選択される。一部の実施形態では、L及びLはそれぞれ独立にC~C-アルキレンである。一部の実施形態では、Lは-CHCHCH-である。一部の実施形態では、Lは-CHCHCH-である。
【0082】
一部の実施形態では、R、R、R、R、R、R、R、及びRはそれぞれ水素である。
【0083】
一部の実施形態では、化合物は、式(Ia)の化合物、
【0084】
【化9】
又はその塩であり、式中、Rはそれぞれ、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシ、スルホニル、ホスホリル、及びセレニルからなる群から独立に選択され、mは、0、1、2、3、4、又は5であり、nは、1、2、3、4、5、又は6である。
【0085】
一部の実施形態では、mは、1又は2である。一部の実施形態では、mは1である。一部の実施形態では、mは1であり、RはC~Cアルキルである。一部の実施形態では、mは1であり、Rはメチルである。一部の実施形態では、nは3である。
【0086】
一部の実施形態では、化合物は、式(Ib)の化合物、又はその塩である。
【0087】
【化10】
【0088】
本明細書における式(I)の化合物への言及はいずれも、はっきりと記載されていようといまいと式(Ia)又は式(Ib)の化合物への言及でもあると解釈されるべきである。
【0089】
一部の実施形態では、式(I)、式(Ia)、又は式(Ib)の化合物のいずれにおいても、フルオロフォアは、フルオレセイン、ローダミン、ホウ素-ジピロメテン、シアニン、オキサジン、チアジン、クマリン、ナフタルイミド、ロドール、ナフタレン、スクアライン、ポルフィリン、フラビン、及びランタニド系染料から選択される。
【0090】
好適なフルオロフォアとしては、QUASAR(登録商標)染料(Biosearch Technologies社、Novato、Calif.から入手可能)、フルオレセイン及びフルオレセイン染料(例えば、フルオレセインイソチオシアナート又はFITC、ナフトフルオレセイン、4’,5’-ジクロロ-2’,7’-ジメトキシ-フルオレセイン、6-カルボキシフルオレセイン(例えば、FAM)、VIC、NED、カルボシアニン、メロシアニン、スチリル染料、オキソノール染料、フィコエリトリン、エリトロシン、エオシン、ローダミン染料(例えば、カルボキシテトラメチルローダミン又はTAMRA、カルボキシローダミン6G、カルボキシ-X-ローダミン(ROX)、リッサミンローダミンB、ローダミン6G、ローダミングリーン、ローダミンレッド、テトラメチルローダミン又はTMR)、クマリン及びクマリン染料(例えば、メトキシクマリン、ジアルキルアミノクマリン、ヒドロキシクマリン及びアミノメチルクマリン又はAMCA)、オレゴングリーン染料(例えば、オレゴングリーン488、オレゴングリーン500、オレゴングリーン514)、テキサスレッド、テキサスレッド-X、スペクトルレッド(商標)、スペクトルグリーン(商標)、シアニン染料(例えば、Cy-3(商標)、Cy-5(商標)、Cy-3.5(商標)、Cy-5.5(商標))、アレクサフルオル染料(例えば、アレクサフルオル350、アレクサフルオル488、アレクサフルオル532、アレクサフルオル546、アレクサフルオル568、アレクサフルオル594、アレクサフルオル633、アレクサフルオル660及びアレクサフルオル680)、BODIPY染料(例えば、BODIPY FL、BODIPY R6G、BODIPY TMR、BODIPY TR、BODIPY 530/550、BODIPY 558/568、BODIPY 564/570、BODIPY 576/589、BODIPY 581/591、BODIPY 630/650、BODIPY 650/665)、IR染料(例えば、IRD40、IRD 700、IRD 800)などが挙げられるが、これらに限定されない。使用することができる他の好適な蛍光染料並びに蛍光染料をプローブなどのオリゴヌクレオチドにリンクさせる又は組み込む方法の例は、RP Haugland、「The Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals」、Publisher, Molecular Probes, Inc.社、Eugene, Oreg.(1992年6月))で見ることができる。蛍光染料及び標識キットは、例えばAmersham Biosciences, Inc.社(Piscataway, N.J.)、Molecular Probes Inc.社(Eugene, Oreg.)、及びNew England Biolabs Inc.社(Beverly, Mass.)から市販されている。
【0091】
当業者が理解するように、フルオロフォアは、フルオロフォアにある1つの反応性部分と分子の残部にある1つの反応性部分の2つの反応性部分の反応を経由して分子に付着され得る。例えば、多くの市販フルオロフォアは、反応性官能基、例えばカルボン酸、イソシアネート、イソチオシアネート、マレイミド、又はスクシンイミジル、ペンタフルオロフェニル若しくはテトラフルオロフェニルエステルなどのエステルで入手可能である。フルオロフォアは、分子の残部上の官能基と反応する反応性基を含むように選択され得る。例えば、フルオロフォアイソチオシアネート又はフルオロフォアスクシンイミジルエステルは、アミン基と反応することができる。本明細書に開示される分子を記載するときに使用される用語「フルオロフォア」は、蛍光部分自体と、蛍光部分を分子の残部に連結させる働きをする任意のリンキング原子を両方含むことが理解される。
【0092】
一部の実施形態では、フルオロフォアは、
【0093】
【化11】
から選択される。
【0094】
本明細書に記載される化合物について、基及びその置換基は、選択及び置換によって、例えば転位、環化、脱離などによる変化を自発的には受けない安定な化合物が生じるように、原子及び置換基の許容原子価に従って選択され得る。
【0095】
化合物は、不斉又はキラル中心が存在する立体異性体として存在することができる。立体異性体は、キラル炭素原子の周りの置換基の立体配置に応じて「R」又は「S」である。本明細書で用語「R」及び「S」は、IUPAC 1974 Recommendations for Section E, Fundamental Stereochemistry, in Pure Appl. Chem.、1976、45:13-30に定義される立体配置である。本開示は、様々な立体異性体及びそれらの混合物を考慮し、これらは、本発明の範囲内に具体的に含まれる。立体異性体は、エナンチオマー及びジアステレオマー及びエナンチオマー又はジアステレオマーの混合物を含む。化合物の個々の立体異性体は、不斉又はキラル中心を含む市販の出発物質から合成することによって、又はラセミ混合物の調製後、当業者に周知の分割方法を行うことによって調製され得る。これらの分割方法は、(1)Furniss、Hannaford、Smith、及びTatchell、「Vogel’s Textbook of Practical Organic Chemistry」、第5版(1989)、Longman Scientific & Technical社、Essex CM20 2JE, Englandに記載されているように、エナンチオマーの混合物のキラル補助物への付着、得られたジアステレオマー混合物の再結晶若しくはクロマトグラフィーによる分離、及び補助物からの光学純粋な生成物の任意選択な遊離、又は(2)光学エナンチオマーの混合物のキラルクロマトグラフ用カラムによる直接分離、又は(3)分別再結晶方法によって例示される。
【0096】
化合物は互変異性形及び幾何異性体を有することができ、これらはまた本発明の態様を構成することを理解すべきである。
【0097】
本開示は、1個以上の原子が自然界に通常見られる原子質量又は質量数と異なる原子質量又は質量数を有する原子によって置き換えられていること以外は、式(I)で記載されているものと同一である同位体標識化合物も含む。本発明の化合物に含まれるのに適している同位体の例は、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、及び塩素、例えばそれぞれH、H、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、及び36Clであるが、これらに限定されない。より重い同位体、例えば重水素、すなわちHによる置換は、代謝安定性の向上、例えばインビボ半減期の増大から生じるいくつかの利点をもたらすことができ、したがって一部の状況では好ましいことがある。化合物は、医用画像処理及びポジトロン放出断層撮影(PET)研究のためにポジトロン放出同位体を組み入れ、受容体の分布を決定することができる。式(I)の化合物に組み入れることができる好適なポジトロン放出同位体は、11C、13N、15O、及び18Fである。式(I)の同位体標識化合物は、一般に、当業者に公知の従来の技法又は非同位体標識試薬の代わりに適切な同位体標識試薬を使用する添付の実施例に記載されているものと類似している方法によって調製され得る。
【0098】
本明細書に開示される化合物は、塩の形をとることができる。塩は、化合物の最終の単離及び精製時に、又は別々に、例えば化合物の塩基性基(例えば、アミノ基)を好適な酸と反応させることによって、若しくは化合物の酸性基(例えば、カルボン酸基)を好適な塩基と反応させることによって調製され得る。
【0099】
酸塩は、化合物の最終の単離及び精製時に、又は別々に、化合物の好適な基、例えばアミノ基を好適な酸と反応させることによって調製され得る。例えば、化合物は、メタノールや水などこれらに限定されないが好適な溶媒に溶解され、少なくとも1当量の酸、例えば塩酸で処理され得る。得られた塩は沈殿し、減圧下における濾過及び乾燥によって単離され得る。あるいは、溶媒及び過剰の酸を減圧下で除去して、塩を得ることができる。代表的な塩としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、硫酸水素塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、ジグルコン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ギ酸塩、イセチオン酸塩、フマル酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ナフチレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、グルタミン酸塩、パラ-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩などが挙げられる。化合物のアミノ基は、またメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ラウリル、ミリスチル、ステアリルなどのアルキルクロリド、ブロミド及びヨージドで四級化され得る。
【0100】
塩基性付加塩は、開示された化合物の最終の単離及び精製時に、カルボキシル基と好適な塩基、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、若しくはアルミニウムなどの金属カチオンの水酸化物、炭酸塩、又は炭酸水素塩、又は有機第一級、第二級、若しくは第三級アミンの反応により調製され得る。第四級アミン塩、例えばメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N,N-ジメチルアニリン、N-メチルピペリジン、N-メチルモルホリン、ジシクロヘキシルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N,N-ジベンジルフェネチルアミン、1-エフェナミン及びN,N’-ジベンジルエチレンジアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペリジン、ピペラジンなどに由来するものが調製され得る。
【0101】
式(I)の化合物は、Adamczykら、J. Org. Chem.、1998, 63(16), 5636-5639によって記載されている化合物カルボキシプロピルスルホプロピル-アクリジニウム(CPSP-アクリジニウム、9-[N-トシル-N-(3-カルボキシプロピル)]-10-(3-スルホプロピル)アクリジニウムカルボキサミド)を出発物とするスキーム1に例示されるものを含めて様々な方法によって合成され得る。
【0102】
【化12】
【0103】
当業者は、スキーム1が特定の置換基(例えば、R、R、L、L、X、及びY基)を有するいくつかの化合物の合成を例示するが、対応する位置に他の基を有する化合物が同様にして調製され得ることを理解する。
【0104】
合成経路の反応条件、試薬及び順序の適切な操作、反応条件と適合性があるはずがない任意の化学官能性の保護、並びに方法の反応順序で好適な点における脱保護を含めて、ルーチンの実験法は、本開示の範囲に含まれる。好適な保護基及びそのような好適な保護基を使用して異なる置換基を保護及び脱保護する方法は、当業者に周知である。それらの例は、PGM Wuts及びTW Greene、Greene’s book titled Protective Groups in Organic Synthesis (第4版)、John Wiley & Sons社、NY(2006)に見ることができ、これは、全体として参照により本明細書に組み込まれる。本開示の化合物の合成は、本明細書に記載される合成スキーム及び具体例に記載されているものと類似している方法によって実施され得る。
【0105】
開示された化合物の光学活性形が必要とされるとき、(例えば、好適な反応ステップの不斉誘導によって調製された)光学活性出発物質を使用する本明細書に記載される手順の1つを実施することによって、又は標準手順(クロマトグラフ分離、再結晶又は酵素分割など)を使用する化合物若しくは中間体の立体異性体の混合物の分割によって得ることができる。
【0106】
同様に、化合物の純粋な幾何異性体が必要とされるとき、純粋な幾何異性体を出発物質として使用する上記の手順の1つを実施することによって、又はクロマトグラフ分離などの標準手順を使用する化合物若しくは中間体の幾何異性体の混合物の分割によって得ることができる。
【0107】
記載されている合成スキーム及び具体例は例示であり、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきでなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲に定義されると理解され得る。合成法及び具体例のすべての代替、修正、及び均等形態は、特許請求の範囲に含まれる。
【0108】
したがって、当業者には、本明細書に記載される第1及び第2のコンジュゲートが式(II)
【0109】
【化13】
[式中、Xは、-NH-又はジアミンリンカーであり、Yは、窒素、酸素、及び硫黄から選択され、Yが窒素であるとき、Rは-SO-Aであり、Aは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、及びヘテロシクリルアルキルから選択され、Yが酸素又は硫黄であるとき、Rは存在せず、Qは、-SO-又は-CO-であり、Lは、アルキレン及びヘテロアルキレンから選択され、Lは、リンカーであり、R、R、R、R、R、R、R、及びRはそれぞれ、水素、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、カルボキシ、スルホニル、ホスホリル、及びセレニルから独立に選択され、結合メンバーは、標的分析対象物質に結合することができる分子であり、それぞれのアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アルキレン、及びヘテロアルキレンは、1、2、3、4、又は5個の置換基で独立に任意選択的に置換されている。]
であることが明らかである。
【0110】
X、Y、R、A、L、R、R、R、R、R、R、R、R基、及びフルオロフォアは、式(I)について以上に記載されているものと同一である。式(I)の化合物について以上に記載されている任意の基又は基の組合せは、式(II)の化合物にも含まれ得る。
【0111】
式(II)の化合物では、Lはリンカーである。多種多様なリンカーは、式(II)の化合物において使用され得る。一部の実施形態では、リンカーは共有結合とすることができる。一部の実施形態では、リンカーは、C~C40アルキレンリンカーなどのアルキレンリンカー、例えばC~C30、C~C20、C~C12、C~C10、~C、C~C、又はC~Cアルキレンリンカーとすることができる。例えば、リンカーは、C、C、C、C、C、C、C、C、C、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C20、C21、C22、C23、C24、C25、C26、C27、C28、C29、C30、C31、C32、C33、C34、C35、C36、C37、C38、C39、又はC40アルキレンリンカーとすることができる。
【0112】
一部の実施形態では、リンカーは、ポリエチレングリコールリンカーなどヘテロアルキレンリンカーとすることができる。そのようなリンカーは、式-(CHCHO)n1-CHCH-を有することができ、式中、n1は1~20の整数である。例えば、一部の実施形態では、n1は、1~20、1~18、1~16、1~14、1~12、1~10、1~9、1~8、1~7、1~6、1~5、又は1~4の整数である。一部の実施形態では、n1は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20である。
【0113】
一部の実施形態では、リンカーは、E部分を含むことができ、ここで、Eは、2つの反応性基間の反応の生成物である。例えば、E基は、アミド、エステル、カルバメート、トリアゾール、スルホンアミド、ホスホルアミド、ホスフェート、又はスルフェートとすることができる。
【0114】
目的の分析対象物質
用語「分析対象物質」、「標的分析対象物質」、及び「目的の分析対象物質」は、本明細書で同義に使用され、特定のアッセイで測定される分子、化合物、又は物質を指す。当業者によって理解されているように、結合メンバー(例えば、第1の特異的結合メンバー、第2の特異的結合メンバー、第3の特異的結合メンバー、及び/又は第4の特異的結合メンバー)によって特異的に結合され得る任意の分析対象物質は、本開示のキット及び方法を使用して検出され、任意選択的に定量され得る。
【0115】
一部の実施形態では、分析対象物質は生体分子とすることができる。生体分子の非限定的な例としては、タンパク質、脂質、及び炭水化物などの高分子が挙げられる。ある特定の場合では、分析対象物質としては、ホルモン、抗体、増殖因子、サイトカイン、酵素、受容体(例えば、神経、ホルモン、栄養物、及び細胞表面受容体)又はそれらのリガンド、がんマーカー(例えば、PSA、TNF-アルファ)、心筋梗塞のマーカー(例えば、トロポニン、クレアチンキナーゼなど)、毒素、薬物(例えば、嗜癖薬物)、代謝作用剤(例えば、ビタミン)などが挙げられる。タンパク質分析対象物質の非限定的な実施形態としては、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質断片、タンパク質複合体、融合タンパク質、組換えタンパク質、ホスホタンパク質、糖タンパク質、又はリポタンパク質が挙げられる。
【0116】
ある特定の実施形態では、分析対象物質は、翻訳後修飾タンパク質(例えば、リン酸化、メチル化、グリコシル化タンパク質)とすることができ、(後述する)対応する結合メンバーは、翻訳後修飾に特異的な抗体とすることができる。修飾タンパク質は、固体支持体に固定化された第1の結合メンバーに結合され得る。その第1の結合メンバーは、修飾タンパク質に結合するが、未修飾タンパク質に結合しない。
【0117】
一部の実施形態では、分析対象物質は、例えば、循環腫瘍細胞、病原性細菌細胞、又は真菌細胞などの細胞とすることができる。他の実施形態では、分析対象物質は、ウイルス(例えば、レトロウイルス、ヘルペスウイルス、アデノウイルス、レンチウイルス、フィロウイルス(Ebola)、肝炎ウイルス(例えば、A、B、C、D、及びE)、又はヒトパピローマウイルス(HPV))とすることができる。
【0118】
本開示に従って分析され得る分析対象物質の非限定的な一覧には、サイログロブリン、プロラクチン、Aβ42アミロイドベータ-タンパク質、フェチュイン-A、タウ、セクレトグラニンII、プリオンタンパク質、アルファ-シヌクレイン、タウタンパク質、ニューロフィラメント軽鎖、パーキン、PTEN誘導推定キナーゼ1、DJ-1、ロイシンリッチリピートキナーゼ2、変異型ATP13A2、アポH、セルロプラスミン、ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体ガンマコアクチベータ-1アルファ(PGC-1α)、トランスチレチン、ビタミンD結合タンパク質、アポトーシス促進キナーゼR(PKR)及びそのリン酸化PKR(pPKR)、CXCL13、IL-12p40、CXCL13、IL-8、Dkk-3(精液)、p14エンドカン断片、血清、ACE2、CD25に対する自己抗体、hTERT、CAI25(MUC 16)、VEGF、sIL-2、オステオポンチン、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)、アルファ-フェトタンパク質(AFP)、アルブミン、アルブミン尿、微量アルブミン尿、好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)、インターロイキン18(IL-18)、腎傷害分子-1(KIM-1)、肝臓型脂肪酸結合タンパク質(L-FABP)、LMP1、BARF1、IL-8、胎児性癌抗原(CEA)、BRAF、CCNI、EGRF、FGF19、FRS2、GREB1、LZTS1、アルファ-アミラーゼ、胎児性癌抗原(CEA)、CA125、インターロイキン-8(IL-8)、チオレドキシン、ベータ-2ミクログロブリン、腫瘍壊死因子-アルファ受容体、CA15-3、濾胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)、T細胞リンパ腫浸潤転移1(TIAM1)、N-カドヘリン、EC39、アンフィレギュリン、dUTPアーゼ、分泌ゲルゾリン(pGSN)、PSA(前立腺特異抗原)、チモシンβl5、インスリン、血漿C-ペプチド、グリコシル化ヘモグロビン(HBA1c)、C反応性タンパク質(CRP)、インターロイキン-6(IL-6)、ARHGDIB(Rho GDP-解離阻害物質2)、CFL1(コフィリン-1)、PFN1(プロフィリン-1)、GSTP1(グルタチオンS-トランスフェラーゼP)、S100A11(タンパク質S100-A11)、PRDX6(ペルオキシレドキシン-6)、HSPE1(10kDa熱ショックタンパク質、ミトコンドリアl)、LYZ(リゾチームC前駆体)、GPI(グルコース-6リン酸イソメラーゼ)、HIST2H2AA(ヒストンH2Aタイプ2-A)、GAPDH(グリセルアルデヒド3リン酸脱水素酵素)、HSPG2(基底膜特異的ヘパラン硫酸プロテオグリカンコアタンパク質前駆体)、LGALS3BP(ガレクチン-3-結合タンパク質前駆体)、CTSD(カテプシンD前駆体)、APOE(アポリポタンパク質E前駆体)、IQGAP1(Ras GTPアーゼ活性化様タンパク質IQGAP1)、CP(セルロプラスミン前駆体)、及びIGLC2(IGLC1タンパク質)、PCDGF/GP88、EGFR、HER2、MUC4、IGF-IR、p27(kip1)、Akt、HER3、HER4、PTEN、PIK3CA、SHIP、Grb2、Gab2、PDK-1(3-ホスホイノシチド依存性タンパク質キナーゼ-1)、TSC1、TSC2、mTOR、MIG-6(ERBB受容体フィードバック阻害物質1)、S6K、src、KRAS、MEKマイトジェン活性化タンパク質キナーゼ1、cMYC、TOPO IIトポイソメラーゼ(DNA)IIアルファ 170kDa、FRAP1、NRG1、ESR1、ESR2、PGR、CDKN1B、MAP2K1、NEDD4-1、Fオキソ3A、PPP1R1B、PXN、ELA2、CTNNB1、AR、EPHB2、KLF6、ANXA7、NKX3-1、PITX2、MKI67、PHLPP、アディポネクチン(ADIPOQ)、フィブリノゲンアルファ鎖(FGA)、レプチン(LEP)、終末糖化産物特異的受容体(AGER又はRAGE)、アルファ-2-HS-糖タンパク質(AHSG)、アンジオゲニン(ANG)、CD14分子(CD14)、フェリチン(FTH1)、インスリン様増殖因子結合タンパク質1(IGFBP1)、インターロイキン2受容体、アルファ(IL2RA)、血管細胞接着分子1(VCAM1)及びVon Willebrand因子(VWF)、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)、IL1α、TNFα、核周囲型抗好中球細胞質抗体(p-ANCA)、ラクトフェリン、カルプロテクチン、ウィルムス腫瘍-1タンパク質、アクアポリン-1、MLL3、AMBP、VDAC1、E.コリ(E.coli)エンテロトキシン(易熱性エキソトキシン、耐熱性エンテロトキシン)、インフルエンザHA抗原、破傷風毒素、ジフテリア毒素、ボツリヌス毒素、志賀毒素、志賀毒素様毒素I、志賀毒素様毒素II、クロストリジウム・ディフィシレ毒素A及びB、グリア線維酸性タンパク質(GFAP)、ユビキチンカルボキシ末端ヒドロラーゼL1(UCH-L1)、S100B、ニューロフィラメント軽鎖ポリペプチド(NF-L)、タウ、pタウ、アミロイドベータ40及び42、ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、N末端(NT)-プロホルモンBNP(NT-proBNP)、CA19-9、胎盤増殖因子(PlGF)、sFlt-1、オピオイド、タクロリムス、ビタミンK欠乏によって誘発されるタンパク質-II(PIVKA-II)などが含まれる。
【0119】
分析対象物質の他の例としては、乱用薬物(例えば、コカイン)、タンパク質バイオマーカー(ヌクレオリン、核内因子-κB必須モジュレーター(NEMO)、CD-30、タンパク質チロシンキナーゼ7(PTK7)、血管内皮増殖因子(VEGF)、MUC1グリコフォーム、免疫グロブリンμ重鎖(IGHM)、免疫グロブリンE、αvβ3インテグリン、α-トロンビン、HIV gp120、NF-κB、E2F転写因子、HER3、プラスミノーゲンアクチベーター阻害物質、テネイシンC、CXCL12/SDF-1、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、胃がん細胞、及びHGC-27を含むがこれらに限定されない);細胞(非小細胞肺がん(NSCLC)、結腸直腸がん細胞、(DLD-1)、H23肺腺癌細胞、Ramos細胞、T細胞急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)細胞、CCRF-CEM、急性骨髄性白血病(AML)細胞(HL60)、小細胞肺がん(SCLC)細胞、NCIH69、ヒト膠芽腫細胞、U118-MG、PC-3細胞、HER-2過剰発現ヒト乳がん細胞、SK-BR-3、及び膵がん細胞(Mia-PaCa-2)を含むがこれらに限定されない);並びに感染病原体(マイコバクテリウム・ツベルクローシス(Mycobacterium tuberculosis)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、シゲラ・ディゼンテリエ(Shigella dysenteriae)、エシェリキア・コリ(Escherichia coli)O157:H7、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、シュードモナス・エルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)、サルモネラO8(Salmonella O8)、サルモネラ・エンテリティディス(Salmonella enteritidis)を含むがこれらに限定されない)が挙げられる。
【0120】
干渉物質
以上に論じたように、一部の実施形態では、開示されたキット及び方法は、試料中の分析対象物質の検出に干渉する物質を検出するのに有用である。そのような実施形態では、第2の特異的結合メンバーは、試料中の分析対象物質の検出に干渉する物質を特異的に結合する。イムノアッセイにおける分析対象物質検出及びその結果の解釈に干渉する物質(本明細書で「干渉物質」、「交差反応物」、又は「インターフェアランス」とも呼ばれる)は、当技術分野において公知である。一般に、干渉物質又は交差反応物は、試料中の測定可能な分析対象物質濃度を変更する物質又は抗体結合を変更する物質に類別され得る(Tate, J.及びG. Ward、Clin. Biochem. Rev.、25(2):105-120(2004))。測定可能な分析対象物質濃度を変更するインターフェアランス又は交差反応物としては、ホルモン結合タンパク質、分析前因子(例えば、抗凝固薬、試料貯蔵)、及び自己分析対象物質抗体が挙げられるが、これらに限定されない。ホルモン結合グロブリンは、分析対象物質からのそれらの除去又は分析対象物質のブロッキングによって、試料中の測定可能な分析対象物質濃度を変更することができる。例えば、ステロイドは、性ホルモン結合グロブリン又はコルチゾールに結合し、遊離の分析対象物質の濃度を低下させることができる(Slaatsら、Clin Chem.、33:300-302(1987);Masters, A.M.及びHahnel R、Clin Chem., 35:979-84(1989);並びにVining, R.F.、Clin. Biochem. Rev.、2:39-49(1981))。イムノアッセイに干渉する分析前因子としては、血清中に存在するカチオン(例えば、Mg2+又はCa2+)の、抗原立体構造及び測定可能な分析対象物質濃度を変化させる薬物又はタンパク質への結合が挙げられるが、これに限定されない。試料のタイプも、分析対象物質濃度に影響を及ぼすことができ、リチウムヘパリン、EDTA、及びフッ化ナトリウム/シュウ酸カリウム又は抗凝固薬を含まないチューブに集められた試料の結果に差がある。さらに、不適切な試料のタイプ及び検体処理又は貯蔵は、試料の特性を時間をかけて変化させ、結果に影響を及ぼすことができる。自己抗体は、例えば、マクロ-酵素(クレアチンキナーゼ、アミラーゼ)、甲状腺ホルモン(Symons R.G.、Clin Biochem Rev.、10:44-49(1989);Despres, N.及びGrant, A.M.、Clin. Chem.、44(3):440-54(1998);及びSakataら、Ann. Intern. Med.、103(4):579-89(1985))、サイログロブリン(Despres及びGrant、上記)、インスリン(Sapin, R.、Eur J Clin Chem Clin Biochem.、35(5):365-7(1997));及びCasesnovesら、Ann Clin Biochem.、35 (Pt 6):768-74(1998))、プロラクチン(Glezerら、Clin Endocrinol(Oxf).、57(1):135-9(2002))、及びテストステロン(Kuwaharaら、J Clin Endocrinol Metab.、83(1):14-6(1998))などのいくつかの分析対象物質のための非イムノアッセイでもイムノアッセイ方法でも干渉を引き起こすことがある。
【0121】
抗体結合を変更するインターフェアランス又は交差反応物としては、異好性抗体、ヒト抗動物抗体、及び高用量フック効果が挙げられるが、これらに限定されない。異好性抗体は、異なる化学組成の不均一で、はっきりと定義されていない抗原に対して多反応性であり、一般に低親和性及び弱結合性を示す自然抗体及び自己抗体を含む(Levinson S.S.、Miller J.J.、Clin. Chim Acta.、325(1-2):1-15(2002);及びBouvetら、J Immunol Methods、254(1-2):199-201(2001))。異好性抗体は、抗原に結合し、分析対象物質濃度に影響を及ぼすこと、又はその鏡像構造のために抗原の結合を模倣することによって、イムノアッセイにおける抗体への抗原結合に影響を及ぼすことができる。ヒト抗マウス抗体(HAMA)を含めてヒト抗動物抗体(HAAA)は、特異的動物免疫原ホールIgG又はIgM免疫グロブリンに対して産生された高親和性の特異的ポリクローナル抗体である(Kricka L.J.、Clin Chem.、45:942-56(1999))。HAAAは、単一化学組成の抗原と強力な結合性を示し、同一種の試薬抗体と交差反応して、誤ったシグナルを生成することによって試験抗原と競合するように高力価で産生される。分析対象物質濃度範囲が大きいイムノメトリックアッセイ(IMA)システム(例えば、フェリチン、成長ホルモン、hCG、プロラクチン、及びサイログロブリン)では、抗原-抗体反応は、抗原過剰状態に入ることがあり、その結果、偽陰性の結果をもたらすことがあり(Ryallら、Anal Biochem.、127:308-315(1982);Ohashiら、Horm Metab Res.、25:393-4(1993);Sturgeonら、Ann Clin Biochem., 35:460-91(1998);St-Jeanら、Clin Endocrinol.、44:305-9(1996);並びにDemers, L.M.及びSpencer, C.A.、Thyroid、13:57-67(2003))、誤診を潜在的に導く。特に、捕捉及び検出抗体が両方同時に加えられる2サイトイムノアッセイでは、遊離の分析対象物質及び標識抗体に結合している分析対象物質は、限定数の抗体-結合部位を求めて競合し、より高い分析対象物質濃度の存在下では、固相に結合している標識を増加させるより減少させる(当技術分野で「高用量フック効果」と呼ばれる)。
【0122】
開示されたキット及び方法は、例えばサイログロブリン(Tg)イムノアッセイにおいて使用され得る。サイログロブリン(Tg)は、660kDaのホモダイマー糖タンパク質である。それは、甲状腺における最大発現タンパク質であり、正常及び悪性の甲状腺濾胞細胞の両方に存在する。Tgは、チロキシン及びトリヨードチロニンの合成のためのタンパク質足場として、並びにチロキシン、トリヨードチロニンと、ヨウ素の両方のための貯蔵タンパク質として働く。それは、分化甲状腺がん患者の術後管理のための腫瘍マーカーであると特定された。甲状腺摘除術及び放射性ヨードアブレーション後のTgレベルの上昇は、再発癌を強く示唆する。Tgイムノアッセイにおける干渉には、典型的に分化甲状腺がん患者の最大30%に存在する内因性Tg抗体自己抗体(TgAb)が関わっている(Hjiyiannakisら、Clin Oncol.、11:240-4(1999))。
【0123】
他の実施形態では、開示された方法及びキットを使用して、プロラクチンのイムノアッセイにおける干渉物質又は交差反応物を検出することができる。当技術分野では、プロラクチンイムノアッセイを使用して、男性及び女性の不妊並びに下垂体機能不全の診断、男性及び女性の生殖腺障害のモニタリング、並びに無月経及び乳汁漏出の管理を助ける。抗プロラクチン自己抗体がマクロプロラクチン(macro-PRL)の形で存在すると、下垂体疾患なしで高プロラクチン血症を引き起こすことがあり、不必要な医学的又は外科的処置手技を招くことがある(Glezerら、Clin Endocrinol.、57:135-9(2002))。マクロ-PRL(「ビッグビッグプロラクチン」と呼ぶこともある)は、主に、プロラクチン(PRL)とPRL分子の特異的エピトープに対して作られるIgG抗体との巨大分子複合体である(Fahie-Wilson, M.N.、Ahlquist, J.A.、Clin. Endocrinol.、58, 683-5(2003))。「ビッグプロラクチン」は、プロラクチンのダイマーの形である。マクロプロラクチン及びビッグプロラクチンは共に、それらのバイオアベイラビリティの低下のために、一般に生物学的に不活性であるとみなされる。したがって、イムノアッセイにおけるビッグプロラクチン及びマクロプロラクチンの検出は、偽陽性の結果を表す(Lippi, G.及びPlebani, M.、Clin. Chem. Lab. Med.、54(4):519-522(2016);Sulimanら、Clinical Chemistry、49(9):1504-1509(2003);並びにVaishyaら、J. Reprod. Infertil.、11(3):161-167(2010))。現在、プロラクチンシグナルは、イムノアッセイを介して測定され、臨床医は、高い結果が(患者病歴、妊娠期間、及び他の因子に基づいて)高プロラクチン血症を真に表し、又はマクロプロラクチン/ビッグプロラクチン干渉の結果であるかどうか解釈しなければならない。マクロプロラクチン/ビッグプロラクチン干渉の疑いがある場合、患者試料を手動でポリエチレングリコール(PEG)で処置して、より大きい種を沈殿させ、次に遠心分離を行う(オフライン前処置)。PEG処置が完了すると、処置後の試料の上澄みを再試験する。次いで、第2のプロラクチンを第1のプロラクチンと比較し、第1と第2の結果の比を使用して、マクロプロラクチン/ビッグプロラクチン干渉が存在するかどうかを決定する。したがって、開示されたキット及び方法は、マクロプロラクチン/ビッグプロラクチン干渉物質の存在のより信頼性が高く迅速な評価を提供する。
【0124】
一部の実施形態では、干渉物質はビオチン分子とすることができる。例えば、「キャプチャーオンザフライ」イムノアッセイフォーマットにおいて、捕捉抗体は、典型的にビオチンで標識されており、検出抗体は、典型的にレポーター基(例えば、アクリジニウム)で標識されている。分析対象物質と反応させた後、免疫複合体は、ストレプトアビジンでコーティングされたマイクロ粒子を使用して捕らえられる。対象において、すでに高レベルのビオチンが血流中に存在する場合、遊離のビオチンもストレプトアビジンでコーティングされたマイクロ粒子に結合し、免疫複合体による結合をブロックするので、マイクロ粒子によって捕捉される免疫複合体の量が損なわれ得る。したがって、偽陰性及び/又は低減されたシグナルが生じ得る。
【0125】
固体支持体は、目的の分析対象物質が試料中に存在する場合それが、固体支持体の表面に固定化された第3の特異的結合メンバー、及び第1のコンジュゲート(例えば、本明細書に開示される式(II)のコンジュゲート)、又は一部の実施形態では、第1及び第2のコンジュゲートに結合する条件下で試料と接触される。一部の実施形態では、分析対象物質の検出に干渉する物質が試料中に存在する場合それは、固体支持体の表面に固定化された第3の特異的結合メンバー、及び第2のコンジュゲート(例えば、本明細書に開示される式(II)のコンジュゲート)に結合する。第3の特異的結合メンバーは、分析対象物質及び分析対象物質の検出に干渉する物質に同時に結合し得る。しかし、単一の第3の特異的結合メンバーは、分析対象物質又は干渉物質を結合し得る。言い換えれば、分析対象物質及び干渉物質は、同一の単一の特異的結合メンバーに結合し得ない。固体支持体に固定化された複数の第3の特異的結合メンバーのなかには、分析対象物質に結合する第3の特異的結合メンバーもあれば、干渉物質に結合するものもあると認識される。
【0126】
他の実施形態では、分析対象物質の検出に干渉する物質が試料中に存在する場合それは、分析対象物質を直接的に結合することができ、それによって第1のコンジュゲートが分析対象物質に到達し、それを結合することを妨げる。そのような場合、分析対象物質は、第3の特異的結合メンバー及び分析対象物質の検出に干渉する物質に結合しており、第1のコンジュゲートは、分析対象物質に結合し、第2のコンジュゲートは、分析対象物質の検出に干渉する物質に結合する。さらに別の構成で、分析対象物質は、第3の特異的結合メンバーに結合することができ、分析対象物質の検出に干渉する物質は、第4の特異的結合メンバーに結合し、第1のコンジュゲートは、分析対象物質に結合し、第2のコンジュゲートは、分析対象物質の検出に干渉する物質に結合する。他の実施形態では、干渉物質は、分析対象物質が固体支持体に固定化された第3の特異的結合メンバー(例えば、捕捉抗体)に結合することを妨げることができる。あるいは、干渉物質は、分析対象物質又は第1のコンジュゲートに結合することができ、それによって第1のコンジュゲートが捕捉された分析対象物質に結合することを妨げる。他の実施形態では、干渉物質は、分析対象物質に結合し、検出されたシグナルが増加する(例えば、第1のコンジュゲートが分析対象物質ではなく粒子に結合する)ように競合アッセイフォーマットを混乱させることがあり、分析対象物質濃度の人為的な増加を示す。分析対象物質干渉のシナリオは、図8に概略的に示される。
【0127】
固体支持体
ある特定の実施形態では、開示されたキットは、第3の特異的結合メンバー、及び任意選択的に固体支持体に付着している又は固定化された第4の特異的結合メンバーを含む。用語「固相」及び「固体支持体」は、本明細書で同義に使用され、1つ以上の特異的結合メンバーを付着する及び/又は引き付け、固定化するために使用することができる任意の材料を指す。例えば、特異的結合メンバーは、本明細書に開示される式(II)のコンジュゲートとすることができる。平面基材又はビーズの形をしたポリマー材料で作製された固体支持体を含むが、これに限定されない当技術分野において公知である任意の固体支持体は、本明細書に記載されるキット及び方法で使用することができる。好適な固体支持体の例としては、電極、試験管、ビーズ、マイクロ粒子、ナノ粒子、マイクロ-又はマルチ-ウェルプレートのウェル、ゲル、コロイド、生体細胞、シート、及びチップが挙げられる。一部の実施形態では、固体支持体は、2個以上の空間的に分離された電極を含む。ある特定の実施形態では、固体支持体は、粒子、例えばマイクロ粒子とすることができる。用語「ビーズ」及び「粒子」は、本明細書で同義に使用され、実質的に球状の固体支持体を指す。用語「マイクロ粒子」及び「マイクロビーズ」は、本明細書で同義に使用され、例えば検出モジュールの一連のウェルなど一連のウェルに居る又は定着することを可能にするマイクロビーズ又はマイクロ粒子を指す。マイクロ粒子又はマイクロビーズは、目的の分析対象物質に結合する少なくとも1つの特異的結合メンバーを含むことができ、その特異的結合メンバーは、検出可能な標識を含んでもよく、又は含まなくてもよい。
【0128】
一部の実施形態では、マイクロ粒子は、約0.1nm~約10ミクロン、約50nm~約5ミクロン、約100nm~約1ミクロン、約0.1nm~約700nm、約500nm~約10ミクロン、約500nm~約5ミクロン、約500nm~約3ミクロン、約100nm~700nm、又は約500nm~700nmとすることができる。例えば、マイクロ粒子は、約4~6ミクロン、約2~3ミクロン、又は約0.5~1.5ミクロンとすることができる。約500nm未満の粒子は、「ナノ粒子」と呼ばれ得る。したがって、マイクロ粒子は、任意選択的に約0.1nm~約500nm、約10nm~約500nm、約50nm~約500nm、約100nm~約500nm、約100nm、約150nm、約200nm、約250nm、約300nm、約350nm、約400nm、約450nm、又は約500nmのナノ粒子とすることができる。
【0129】
ある特定の実施形態では、固体支持体は、磁性ビーズ又は磁性粒子とすることができる。磁性ビーズ/粒子は、強磁性、フェリ磁性、常磁性、超常磁性又は強磁性流体とすることができる。例示的な強磁性材料としては、Fe、Co、Ni、Gd、Dy、CrO、MnAs、MnBi、EuO、NiO/Feが挙げられる。フェリ磁性材料の例としては、NiFe、CoFe、Fe(又はFeO.Fe)が挙げられる。ビーズは、磁性の固体コア部分が1層以上の非磁性層によって取り囲まれていることがある。あるいは、磁性部分は、非磁性コアの周りの層とすることができる。結合メンバーが固定化されている固体支持体は、乾燥した又は液体の形で貯蔵され得る。磁性ビーズは、試料を結合メンバーが固定化されている磁性ビーズと接触させる前又は後に磁場にかけることができる。
【0130】
固体支持体は、当技術分野において公知であるいずれか好適な方法を使用して、分析対象物質を含むと疑われる試料と接触され得る。本明細書で使用される場合、用語「接触させること」は、そこに固定化された特異的結合メンバーを試料中の目的の分析対象物質に、結合メンバーに特異的な目的の分析対象物質が試料中に存在する場合に結合相互作用が生じるように十分にぴったりと近づける任意のタイプの組合せ作用を指す。接触させることは、試料をマイクロ粒子と組み合わせること、又は分析対象物質のすぐ近くにマイクロ粒子を導入することによって標的分析対象物質を結合メンバーを含むマイクロ粒子に曝露することを含めて、様々な方式で達成され得る。接触させることは、必要に応じて何度繰り返してよい。
【0131】
一実施形態では、固体支持体と試料体積との接触は、特異的結合メンバーと分析対象物質又は干渉物質との結合相互作用が生じるようにするのに十分な時間維持される(すなわち、インキュベートされる)。この点に関して、例えば、試料体積は、固体支持体上で少なくとも30秒間及び最大で10分間インキュベートされ得る。例えば、試料は、固体支持体と共に約1、2、3、4、5、6、7、8、又は9分間インキュベートされ得る。別の実施形態では、試料は、マイクロ粒子と共に約2分間インキュベートされ得る。さらに、インキュベートすることは、例えば、アルブミン(例えば、BSA)、非イオン性洗浄剤(Tween-20、Triton X-100)、及び/又はプロテアーゼ阻害剤(例えば、PMSF)など、特異的結合相互作用を促進する結合緩衝剤中で行われ得る。特異的結合メンバーの結合親和性及び/又は特異性は、アッセイにおいて、結合緩衝剤を変えることによって操作され得る又は変更され得る。一部の実施形態では、結合親和性及び/又は特異性は、結合緩衝剤を変えることによって増加され得る又は低下され得る。例えば、温度及び塩濃度など結合相互作用の他の条件は、経験的に決定することができ、又は製造業者の指示書に基づくことができる。例えば、接触させることは、室温(21℃~28℃、例えば、23℃~25℃)、37℃、又は4℃で実施され得る。
【0132】
ある特定の実施形態では、固体支持体は、検出時における偽陽性シグナル又はシグナルの消失を導くことがある、アッセイ時における非捕捉成分(例えば、分析対象物質分子、結合メンバー)の結合表面への非特異的付着を無くす又は最小限に抑えることができる保護、ブロッキング、又は不動態化層も含むことができる。ある特定の実施形態では不動態化層を形成するために利用され得る材料の例としては、タンパク質の非特異的結合を忌避するポリマー(例えば、ポリエチレングリコール);天然タンパク質(例えば、血清アルブミン及びカゼイン);界面活性剤(例えば、双性イオン界面活性剤、スルホベタイン);天然長鎖脂質;ポリマーブラシ、及びサケ精子DNAなどの核酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0133】
試料
用語「試料」、「試験試料」、及び「生体試料」は、本明細書で同義に使用され、目的の分析対象物質を含む又は含むと疑われる流体試料を指す。場合によって、試料は、液体、流動性の粒子固体、又は固体粒子の流体懸濁液を含むことができる。ある特定の実施形態では、試料は、液体試料又は固体試料の液体抽出物とすることができる。場合によって、試料は、本明細書に記載される分析より前に処理され得る。例えば、試料は、分析より前にその供給源から分離され得る又は精製され得る。しかし、ある特定の実施形態では、分析対象物質を含む未処理試料は、直接アッセイされ得る。試料は、いずれか好適な供給源に由来し得る。例えば、試料供給源は、合成(例えば、実験室で生成)、環境(例えば、空気、土壌、流体試料、例えば、水供給物など)、動物(例えば、哺乳類)、植物、又はそれらの任意の組合せとすることができる。特定の例では、試料は、人体物質(例えば、体液、血液、血清、血漿、尿、唾液、汗、痰、精液、粘液、涙液、リンパ液、羊水、間質液、肺洗浄、脳脊髄液、糞便、組織、又は器官)である。組織としては、骨格筋組織、肝組織、肺組織、腎組織、心筋組織、脳組織、骨髄、頸部組織、皮膚などを挙げることができるが、これらに限定されない。ある特定の場合では、試料の供給源は、組織崩壊/細胞溶解によって可溶化され得る生検試料などの器官又は組織とすることができる。
【0134】
場合によって、流体試料は、アッセイにおいて使用前に希釈され得る。例えば、分析対象物質分子の供給源がヒト体液(例えば、血液、血清)である実施形態では、流体は、適切な溶媒(例えば、PBS緩衝剤などの緩衝剤)で希釈され得る。流体試料は、使用前に約1倍、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約10倍、約100倍、又はそれ以上希釈され得る。
【0135】
場合によって、上記のように、試料は、分析前処理を受けることができる。分析前処理は、非特異的タンパク質除去及び/又は効果的ではあるが安価で実行可能な混合機能性などの追加の機能性をもたらすことができる。分析前処理の一般方法は、当技術分野において公知である動電トラッピング、AC動電、表面弾性波、等速度電気泳動、誘電泳動、電気泳動、又は他の予濃縮技法の使用を含むことができる。場合によって、流体試料は、アッセイにおける使用より前に濃縮され得る。例えば、試料がヒト体液(例えば、血液、血清)である実施形態では、流体は、沈殿、蒸発、濾過、遠心、又はそれらの組合せによって濃縮され得る。流体試料は、使用より前に約1倍、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約10倍、約100倍、又はそれ以上濃縮され得る。
【0136】
干渉物質を検出する方法
本開示は、試料中の分析対象物質の検出に干渉する物質を検出する方法を提供する。一態様では、方法は、(a)分析対象物質及び分析対象物質の検出に干渉する物質を含むと疑われる試料を上記のキットのいずれか1つと、下記を可能にする条件下で接触させるステップ:(i)分析対象物質の第3の特異的結合メンバーへの結合、(ii)分析対象物質の検出に干渉する物質の第3の特異的結合メンバーへの特異的結合、又は分析対象物質の検出に干渉する物質の固体支持体表面への非特異的結合、(iii)第1のコンジュゲートの分析対象物質への結合、(iv)第2のコンジュゲートの分析対象物質の検出に干渉する物質への結合、及び任意選択的に(v)第4の特異的結合メンバーの分析対象物質の検出に干渉する物質への結合;(b)第1の検出可能な標識及び第2の検出可能な標識のシグナル強度を検出するステップ、並びに(c)第1の検出可能な標識及び第2の検出可能な標識のシグナル強度を定量及び分析することによって、試料中の分析対象物質の検出に干渉する物質の存在を検出するステップを含む。
【0137】
別の態様では、方法は、(a)分析対象物質及び分析対象物質の検出に干渉する物質を含むと疑われる試料を上記のキットのいずれか1つと、下記を可能にする条件下で接触させるステップ:(i)分析対象物質の第3の特異的結合メンバーへの結合及び分析対象物質の分析対象物質の検出に干渉する物質への結合による分析対象物質-干渉物質複合体の形成、(ii)第1のコンジュゲートの分析対象物質への結合、並びに(iv)第2のコンジュゲートの分析対象物質の検出に干渉する物質又は分析対象物質-干渉物質複合体への結合、並びに任意選択的に(v)第4の特異的結合メンバーの分析対象物質の検出に干渉する物質への結合;(b)第1の検出可能な標識及び第2の検出可能な標識のシグナル強度を検出するステップ、並びに(c)第1の検出可能な標識及び第2の検出可能な標識のシグナル強度を定量及び分析することによって、試料中の分析対象物質の検出に干渉する物質の存在を検出するステップを含む。
【0138】
別の態様では、方法は、(a)分析対象物質及び分析対象物質の検出に干渉する物質を含むと疑われる試料を上記のキットのいずれか1つと、下記を可能にする条件下で接触させるステップ:(i)分析対象物質の第3の特異的結合メンバーへの結合、(ii)第1のコンジュゲートの分析対象物質への結合及び第1のコンジュゲートの分析対象物質の検出に干渉する物質への結合、並びに(iv)第2のコンジュゲートの分析対象物質の検出に干渉する物質への結合、並びに任意選択的に(v)第4の特異的結合メンバーの分析対象物質の検出に干渉する物質への結合;(b)第1の検出可能な標識及び第2の検出可能な標識のシグナル強度を検出するステップ、並びに(c)第1の検出可能な標識及び第2の検出可能な標識のシグナル強度を定量及び分析することによって、試料中の分析対象物質の検出に干渉する物質の存在を検出するステップを含む。
【0139】
別の態様では、方法は、(a)分析対象物質及び分析対象物質の検出に干渉する物質を含むと疑われる試料を上記のキットのいずれか1つと、下記を可能にする条件下で接触させるステップ:(i)分析対象物質の第3の特異的結合メンバーへの特異的又は非特異的結合、(ii)分析対象物質の検出に干渉する物質の固体支持体表面への特異的又は非特異的結合、(iii)第1のコンジュゲートの分析対象物質への結合及び分析対象物質の検出に干渉する物質の第1のコンジュゲートへの特異的又は非特異的結合、それによる検出に利用可能な第1のコンジュゲートの量の増加、(iv)第2のコンジュゲートの分析対象物質の検出に干渉する物質への結合、並びに(v)第4の特異的結合メンバーの分析対象物質の検出に干渉する物質への結合;(b)第1の検出可能な標識及び第2の検出可能な標識のシグナル強度を検出するステップ、並びに(c)第1の検出可能な標識及び第2の検出可能な標識のシグナル強度を定量及び分析することによって、試料中の分析対象物質の検出に干渉する物質の存在を検出するステップを含む。
【0140】
以上に論じたように、干渉物質がビオチン分子である実施形態では、干渉するビオチン分子を検出する方法は、(a)干渉するビオチン分子が存在しない場合に、ストレプトアビジンでコーティングされた固体支持体に結合している第1の検出可能な標識の標準シグナル強度(R値)を確立するステップ、(b)分析対象物質及び分析対象物質の検出に干渉するビオチン分子を両方含むと疑われる試料を上記キットと、下記を可能にする条件下で接触させるステップ:(i)分析対象物質の第1の特異的結合メンバーへの結合による第1の複合体の形成、(ii)コンジュゲートの第1の特異的結合メンバーに結合している分析対象物質への結合による免疫複合体の形成、並びに(iii)ストレプトアビジンでコーティングされた固体支持体の第1の特異的結合メンバーに付着しているビオチン分子及び試料中の分析対象物質の検出に干渉するビオチン分子への結合;(c)第1の検出可能な標識及び第2の検出可能な標識のシグナル強度を検出するステップ、(d)第2の検出可能な標識のシグナル強度に対する補正を行うステップ、並びに(e)試料中の分析対象物質の検出に干渉するビオチン分子の存在を検出するステップを含む。
【0141】
開示されたキットと関連させて以上に記載された特異的結合メンバー、コンジュゲート、干渉物質、キット、分析対象物質、及びそれらの成分の説明は、試料中の分析対象物質の検出に干渉する物質を検出する方法にも適用可能である。
【0142】
一部の実施形態では、第1のコンジュゲート及び第2のコンジュゲート(例えば、本明細書に開示される式(II)の第1及び第2のコンジュゲート)は、同一の反応混合物中の試験試料と接触され得る。しかし、他の実施形態では、第1のコンジュゲート及び第2のコンジュゲートは、異なる反応混合物中の試験試料と接触され得る。ある特定の実施形態では、第1及び第2の結合メンバーは、第1及び第2のコンジュゲートの一部分である検出抗体として使用される。この点に関しては、第1及び第2のコンジュゲートは、識別可能な分光学的特性(例えば、異なる波長の化学発光シグナル)を有する異なる検出可能な標識を含む。第1及び第2の特異的結合メンバーから生じたシグナルは、それらの分光学的特性に基づいて別々に測定され得る。ある特定の実施形態では、第1の検出可能な標識と第2の検出可能な標識のシグナル強度を比較することは、第1の検出可能な標識のシグナル強度と第2の検出可能な標識のシグナル強度の比を決定するステップを含む。
【0143】
干渉物質がビオチンであるとき、方法は、まず干渉するビオチン分子が存在しない場合に、ストレプトアビジンでコーティングされた固体支持体に結合している第1の検出可能な標識の標準シグナル強度(「R値」と呼ばれる)を確立するステップを含む。R値が試料において検出された第1の検出可能な標識に由来するシグナルと等しい場合、試料は、ビオチン干渉物質を含まないと認識される。第1の検出可能な標識及び第2の検出可能な標識のシグナル強度の検出後に、干渉するビオチンの量は、第2の検出可能な標識のシグナル強度に対する補正を行うことによって決まる。そのようなシグナルの補正は、例えば、第2の検出可能な標識のシグナル強度にR値と第1の検出可能な標識のシグナル強度との比を掛けることによって達成され得る。
【0144】
ダイナミックレンジを拡大し、フック効果を低減する方法
本開示は、イムノアッセイのダイナミックレンジを拡大する方法であって、(a)分析対象物質を含むと疑われる試験試料を上記キットと接触させるステップであって、分析対象物質が、第3の特異的結合メンバーに結合する、ステップ、(b)第3の特異的結合メンバーに結合していない分析対象物質を洗浄することによって除去するステップ、(c)第1のコンジュゲートを分析対象物質に結合させ、第2のコンジュゲートを分析対象物質に結合させるステップであって、第1及び第2のコンジュゲートが分析対象物質に同時には結合しない、ステップ、(d)分析対象物質に結合していない第1及び第2のコンジュゲートを洗浄することによって除去するステップ、(e)第1の検出可能な標識及び第2の検出可能な標識のシグナル強度を測定するステップ、並びに(f)フラグ値に基づいて第1の検出可能な標識と第2の検出可能な標識のシグナル強度を比較することによって、分析対象物質の濃度を決定し、それによってイムノアッセイのダイナミックレンジが拡大されるステップを含む方法も提供する。
【0145】
本開示は、フック効果を低減し、イムノアッセイのダイナミックレンジを拡大する方法であって、(a)分析対象物質を含むと疑われる試験試料を上記のキットと接触させるステップであって、分析対象物質が、第3の特異的結合メンバーに結合し、第1のコンジュゲートが、分析対象物質に結合する、ステップ、(b)結合していない分析対象物質及び結合していない第1のコンジュゲートをいずれも洗浄することによって除去するステップ、(c)第2のコンジュゲートを分析対象物質に結合させるステップであって、第1及び第2のコンジュゲートが分析対象物質に同時には結合しない、ステップ、(d)結合していない第2のコンジュゲートをいずれも洗浄することによって除去するステップ、(e)第1の検出可能な標識及び第2の検出可能な標識のシグナル強度を測定するステップ、並びに(f)フラグ値に基づいて分析対象物質の濃度を決定し、それによってイムノアッセイのフック効果が低減され、ダイナミックレンジが拡大されるステップを含む方法も提供する。
【0146】
開示されたキットと関連させて以上に記載された特異的結合メンバー、コンジュゲート、キット、分析対象物質、及びそれらの成分の説明は、イムノアッセイのダイナミックレンジを拡大し、フック効果を低減する方法にも適用可能である。
【0147】
一般に、本明細書に記載されるダイナミックレンジを拡大するアッセイ及び方法は、サンドイッチアッセイにおいて3つの特異的結合メンバーを利用して、1ステップアッセイにおける「フック効果」を無くし、又は2ステップアッセイにおける線状アッセイダイナミックレンジを拡大することを必要とする。3つの特異的結合メンバーのうち2つは、検出のために使用されるが、それらの分析対象物質に対する相対的結合親和性は、例えば本明細書にさらに記載されるように異なることがあり、第1及び第2の特異的結合メンバーは、独立に分析対象物質を介して第3の特異的結合メンバーに結合する。一部の実施形態では、第1のコンジュゲート及び第2のコンジュゲート(例えば、本明細書に開示される式(II)の第1及び第2のコンジュゲート)は、同一の反応混合物中の試験試料と接触され得る。しかし、他の実施形態では、第1のコンジュゲート及び第2のコンジュゲートは、異なる反応混合物中の試験試料と接触され得る。どちらにしても、第1のコンジュゲート及び第2のコンジュゲートは、約100倍未満異なる所定のモル量で存在することが理想的である。一部の実施形態では、第1の分析対象物質結合分子及び第2の分析対象物質結合分子は、約100倍未満(例えば、約10倍~約100倍、約10倍~約50倍、約60倍~約100倍、約25倍、約50倍、又は約75倍)異なる所定のモル量で存在する。一部の実施形態では、アッセイのダイナミックレンジは、3桁以上(例えば、4、5、6、7、8、9、10桁以上)を含む。
【0148】
1ステップアッセイに関して、ある特定の実施形態では、第1及び第2の結合メンバーは、第1及び第2のコンジュゲートの一部分である検出抗体として使用される。この点に関して、第1及び第2のコンジュゲートは、識別可能な分光学的特性(例えば、異なる波長の化学発光シグナル)を有する異なる検出可能な標識を含む。第1及び第2の分析対象物質結合分子から生じたシグナルは、それらの分光学的特性に基づいて別々に測定され得る。第1及び第2の分析対象物質結合分子から得られたシグナルは、濃度決定のための較正曲線の正確な区分を選択するために指標としても使用され得る。この点に関して、第1の検出可能な標識と第2の検出可能な標識のシグナル強度を測定することは、分析対象物質濃度の所定の範囲にわたって較正アッセイを行うステップを含むことができ、方法は、フラグ値を確立するステップをさらに含む。フラグ値は、第1のコンジュゲートに由来する較正曲線の上行部分と下行部分を分離する変曲点であり、くぼみがマイナスからプラスに変化する。
【0149】
1ステップアッセイでは、試験試料中の第2の検出可能な標識のシグナル強度がフラグ値以上であるとき、第1の検出可能な標識のシグナル強度に由来する較正曲線の下行部分を使用して、分析対象物質濃度が決定される。あるいは、試験試料中の第2の検出可能な標識のシグナル強度がフラグ値未満であるとき、第1の検出可能な標識のシグナル強度に由来する較正曲線の上行部分を使用して、分析対象物質濃度が決定される。2ステップアッセイでは、第2の検出可能な標識のシグナル強度がフラグ値未満であるとき、第1の検出可能な標識のシグナル強度に由来する較正曲線を使用して、分析対象物質濃度が決定される。あるいは、第2の検出可能な標識のシグナル強度がフラグ値より高いとき、第2の検出可能な標識のシグナル強度に由来する較正曲線を使用して、分析対象物質濃度が決定される。
【0150】
分析対象物質分析
試料中に存在する目的の分析対象物質の量は、当技術分野において公知であるいずれか好適な方法を使用して決定(例えば、定量)され得る。以上に論じたように、第1及び第2の検出可能な標識から生じたシグナルは、それらの分光学的特性に基づいて別々に定量及び分析を行うことができる。他の実施形態では、第1及び第2の検出可能な標識から生じたシグナルは、第1の検出可能な標識と第2の検出可能な標識のシグナル強度を比較することによって(例えば、第1の検出可能な標識のシグナル強度と第2の検出可能な標識のシグナル強度の比を決定することによって)、定量及び分析を行うことができる。
【0151】
本明細書で論じられるように、第1及び第2のコンジュゲートの少なくとも1つは、硬質なジアミンリンカーを介してリンクされたアクリジニウム部分とフルオロフォアを含む化合物で検出可能に標識されている。したがって、アクリジニウム部分の化学発光誘発時に、光出力は、付着しているフルオロフォアの発光波長にシフトされ得る。均一化学発光アッセイにおける検出可能な標識としてのアクリジニウム化合物の使用は、例えば、Adamczykら、Bioorg. Med. Chem. Lett.、16:1324-1328(2006);Adamczykら、Bioorg. Med. Chem. Lett.、4:2313-2317(2004);Adamczykら、Biorg. Med. Chem. Lett,、14:3917-3921(2004);及びAdamczykら、Org. Lett.、5:3779-3782(2003))に記載されている。一実施形態では、アクリジニウム部分の化学発光誘発は、検出ステップより前に、過酸化水素を生体試料に添加するものである。過酸化水素は、上記コンジュゲートを含む特異的結合メンバーの添加の前に、それと同時に、又はその後に、生体試料に提供され得る又は供給され得る。過酸化水素の供給源は、過酸化水素を含むことが公知である1つ以上の緩衝剤又は他の溶液とすることができる。この点に関して、過酸化水素の溶液を生体試料に添加するだけでよい。
【0152】
それぞれの特異的結合メンバーに由来する蛍光又は化学発光シグナルは、光電子増倍管(PMT)、光ダイオードアレイ、又は電荷結合素子カメラに限定されないがこれらを含めて、当技術分野において公知であるいずれか好適なデバイスを使用して、可視化及び区別を行うことができる。一部の実施形態では、これらのデバイスに、1波長ごとに区別することができるフィルターを装着することができる。例えば、2チャネルの検出を伴う光電子増倍管は、異なるカラーの化学発光磁性マイクロ粒子イムノアッセイ(CMIA)コンジュゲートを使用するマルチプレックスアッセイに利用され得る。そのような2チャネルシステムは、単色のCMIA検出のダイナミックレンジも広げることができる。PMTの1つを低ゲイン/低減された増幅に設定することによって、又は例えば光の約99%をブロックする減光フィルターを挿入し、第2のPMTを標準高ゲインにしておくことによって、単一光子検出感度は、1つだけのPMTと比較して何桁も大きい組み合わされたダイナミックレンジをカバーすることができる。
【0153】
一部の実施形態では、実質的に正確に決定され得る試料中の分析対象物質の濃度は、約5000fM未満(フェムトモル濃度)、約3000fM未満、約2000fM未満、約1000fM未満、約500fM未満、約300fM未満、約200fM未満、約100fM未満、約50fM未満、約25fM未満、約10fM未満、約5fM未満、約2fM未満、約1fM未満、約500aM未満(アトモル濃度)、約100aM未満、約10aM未満、約5aM未満、約1aM未満、約0.1aM未満、約500zM未満(ゼプトモル濃度)、約100zM未満、約10zM未満、約5zM未満、約1zM未満、約0.1zM未満、又はそれ以下である。例えば、実質的に正確に決定され得る試料中の分析対象物質の濃度は、約5000fM~約0.1fM、約3000fM~約0.1fM、約1000fM~約0.1fM、約1000fM~約0.1zM、約100fM~約1zM、約100aM~約0.1zM、又は上記の値のうちの2つのいずれかによって定義される範囲である。
【0154】
一部の実施形態では、下方の検出限界(例えば、溶液状態で決定され得る分析対象物質の最低濃度)は、約100fM、約50fM、約25fM、約10fM、約5fM、約2fM、約1fM、約500aM(アトモル濃度)、約100aM、約50aM、約10aM、約5aM、約1aM、約0.1aM、約500zM(ゼプトモル濃度)、約100zM、約50zM、約10zM、約5zM、約1zM、約0.1zM以下である。
【0155】
上方の検出限界(例えば、溶液状態で決定され得る分析対象物質の上方濃度)は、少なくとも約100fM、少なくとも約1000fM、少なくとも約10pM(ピコモル濃度)、少なくとも約100pM、少なくとも約100pM、少なくとも約10nM(ナノモル濃度)、少なくとも約100nM、少なくとも約1000nM、少なくとも約10μM、少なくとも約100μM、少なくとも約1000μM、少なくとも約10mM、少なくとも約100mM、少なくとも約1000mM、又はそれ以上とすることができる。
【0156】
場合によって、試料中の分析対象物質の存在及び/又は濃度は、通常約1時間未満、例えば45分、30分、15分、10分、5分、1分、又は30秒で迅速に検出され得る。
【0157】
特定の機器用のキット及び方法の改変
本明細書に記載される概念、キット、及び方法は、任意の手動、自動化又は半自動化システムを含めて任意のシステム又は機器で実行され得る。理想的に、方法は、自動化又は半自動化システムを使用して行われる。開示された方法を実施するための例示的な改変及びシステムを以下に記載する。
【0158】
本明細書に記載されるキット(又はその成分)、及び試料中の分析対象物質の検出に干渉する物質を検出する方法は、(固体支持体が電極又はマイクロ粒子を含むものを含めて)様々な自動化及び半自動化システムにおける使用向けに改変され得る。例示的な自動化及び半自動化システムについては、例えば米国特許第5,089,424号及び同第5,006,309号に記載されており、例えばAbbott Laboratories社(Abbott Park, Ill.)によってARCHITECT(登録商標)として市販されている。本明細書に記載されるキット(又はその成分)及び方法は、例えば1ステップ、ディレイ1ステップ、2ステップ、競合、直接、及び間接フォーマット(及びそれらの組合せ)など様々なアッセイフォーマットにおける使用向けにも改変され得る。直接フォーマット(例えば、直接ELISA)では、分析対象物質(例えば、抗原)が固体支持体(例えば、マルチウェルプレート)に固定化されている。次いで、分析対象物質は、検出可能な標識(例えば、酵素)に直接コンジュゲートしている抗体で検出される。間接フォーマット(例えば、及び間接ELISA)は、2ステップ方法を使用して、分析対象物質(例えば、抗原)を固体支持体に吸着させ、分析対象物質を検出するものである。最初に、非標識一次抗体が特異的分析対象物質に結合する。次に、一次抗体の宿主種に対して作られた二次抗体にコンジュゲートしている検出可能な標識(例えば、酵素)が適用される。
【0159】
自動化又は半自動化システムを非自動化システム(例えば、ELISA)と比較した差の一部としては、捕捉特異的結合メンバー(例えば、本明細書に記載される第3の特異的結合メンバー)が付着されている(サンドイッチ形成及び分析対象物質反応性に影響を及ぼすことがある)基材、並びに捕捉、検出、及び/又はいずれか任意選択の洗浄ステップの長さ及びタイミングが挙げられる。ELISAなどの非自動化フォーマットでは、試料と捕捉試薬のインキュベーション時間が比較的長く(例えば、約2時間)必要とされ得るが、自動化又は半自動化フォーマット(例えば、ARCHITECT(登録商標)、Abbott Laboratories社)では、比較的短いインキュベーション時間(例えば、ARCHITECT(登録商標)の場合約18分)とすることができる。同様に、ELISAなどの非自動化フォーマットは、検出特異的結合メンバー(例えば、本明細書に記載される第1及び第2のコンジュゲートのそれぞれ第1及び第2の検出可能な標識)を比較的長いインキュベーション時間(例えば、約2時間)インキュベートすることがあるが、自動化又は半自動化フォーマット(例えば、ARCHITECT(登録商標))は、比較的短いインキュベーション時間(例えば、ARCHITECT(登録商標)の場合約4分)とすることができる。
【0160】
開示された方法と関連させて使用され得る、Abbott Laboratories社から入手可能な他のプラットフォームとしては、AXSYM(登録商標)、IMX(登録商標)(例えば、米国特許第5,294,404号を参照のこと)、PRISM(登録商標)、EIA(ビーズ)、及びQUANTUM(商標)II、並びに他のプラットフォームが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、本明細書に記載されるアッセイ、キット、及びキット構成要素は、他のフォーマットにおいて、例えば電気化学的又は他のハンドヘルド若しくはポイントオブケアアッセイシステムで利用され得る。本開示は、例えば、サンドイッチアッセイを行う市販のAbbott Point of Care(I-STAT(登録商標)、Abbott Laboratories社)電気化学的アッセイシステムに適用可能である。シングルユースの試験デバイスにおける免疫センサー及びそれらの製造及び操作方法については、例えば、米国特許第5,063,081号、並びに米国特許出願公開第2003/0170881号、同第2004/0018577号、同第2005/0054078号、及び同第2006/0160164号に記載されている。
【0161】
特に、アッセイのI-STAT(登録商標)システムへの改変に関して、以下の構成が有用であり得る。微細加工シリコンチップは、一対の金電流測定作用電極、及び銀-塩化銀参照電極を用いて製造される。作用電極の1つにおいて、固定化された高親和性捕捉分析対象物質結合分子を有するポリスチレンビーズ(直径0.2mm)は、電極にパターン形成されたポリビニルアルコールのポリマーコーティングに接着されている。固定化された低親和性捕捉分析対象物質結合分子は、第2の電極に接着されている。このチップは、アッセイに適した流体フォーマットのI-STAT(登録商標)カートリッジに組み立てられる。カートリッジの試料保持チャンバの壁の一部分に、アルカリホスファターゼ(又は他の標識)で標識されている検出分析対象物質結合分子を含む層が存在する。カートリッジの流体パウチ内に、p-アミノフェノールホスフェートを含む水性試薬がある。
【0162】
操作中に、分析対象物質を含む試料が、試験カートリッジの保持チャンバに添加され、カートリッジがI-STAT(登録商標)読み取り装置に挿入される。検出特異的結合メンバー(例えば、第1又は第2のコンジュゲートのそれぞれ第1又は第2の特異的結合メンバー)が試料に溶解した後、カートリッジ内のポンプ構成要素が、試料を、チップを含む導管に押し込む。この場合、それは、捕捉特異的結合メンバー(例えば、本明細書に記載される第3の特異的結合メンバー)、分析対象物質、及び標識された検出特異的結合メンバーの間でサンドイッチの形成を促進するように往復される。アッセイの最後から2番目のステップでは、流体は、パウチから押し出され、導管に押し込まれて、試料をチップから洗い落とし、廃棄物チャンバに洗い流す。アッセイの最終ステップで、アルカリホスファターゼ標識は、p-アミノフェノールホスフェートと反応して、ホスフェート基を切断し、遊離されたp-アミノフェノールが作用電極において電気化学酸化されることが可能になる。測定された電流に基づいて、リーダーが、組込みアルゴリズム及び工場で決定された較正曲線によって試料中の分析対象物質の量を計算することができる。
【0163】
本明細書に記載される方法及びキットは、他の試薬を含むことができ、特定のアッセイを実施する追加のステップを必要とすることがある。例えば、様々な緩衝剤は、例えば洗浄するためにコンジュゲート希釈剤及び/又は較正希釈剤として利用されるように容易に調製され得る又は最適化され得る。例示的なコンジュゲート希釈剤は、いくつかのキット(Abbott Laboratories社、Abbott Park, Ill.)で利用され、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、塩、タンパク質ブロッカー、抗菌剤、及び洗浄剤を含むARCHITECT(登録商標)コンジュゲート希釈剤である。例示的な較正希釈剤は、いくつかのキット(Abbott Laboratories社、Abbott Park, Ill.)で利用されるARCHITECT(登録商標)ヒト較正希釈剤であり、MES、他の塩、タンパク質ブロッカー、及び抗菌剤を含む緩衝剤を含む。さらに、米国特許第8,445,199号、同第9,207,246号、及び同第9,964,537号に記載されているように、シグナル生成は、例えばI-STAT(登録商標)カートリッジフォーマットで、シグナル増幅装置として検出可能な標識又は検出特異的結合メンバーにリンクされている核酸配列を使用して改良され得る。
【0164】
一実施形態では、本明細書に記載される方法は、デジタルマイクロ流体(DMF)デバイスなどのマイクロ流体デバイスを使用して行われ得る。例えば、国際出願第2007/136386号、同第2009/111431号、同第2010/040227号、同第2011/137533号、同第2013/066441号、同第2014/062551号、同第2014/066704号、及び米国特許第8,287,808号に記載されているものなど当技術分野において公知であるいずれか好適なマイクロ流体デバイスを使用して、本明細書に記載される方法を行うことができる。ある特定の場合に、デバイスは、分析対象物質分析が分析対象物質を含む又は含むと疑われる試料の小滴で実施され得るラボオンチップデバイスとすることができる。
【0165】
上記のデバイスの多くが、目的の分析対象物質の1分子の検出を可能にする。目的の1つ以上の分析対象物質の1分子検出を可能にする、当技術分野において公知である他のデバイス及びシステムも、本明細書に記載される方法で使用され得る。そのようなデバイス及びシステムとしては、例えば、Quanterix SIMOA(商標)(Lexington, MA)技術、Singulexの1分子カウント(SMC(商標))技術(Alameda, CA、例えば米国特許第9,239,284号を参照のこと)、並びに例えば米国特許出願公開第2017/0153248号及び同第2018/0017552号に記載されているデバイスが挙げられる。
【0166】
一般に、本キット及び方法は、任意の目的、例えば、様々な用途の中でもとりわけ、患者の治療的/予防的処置の有効性を診断する、予後判定する、又は評価する目的に利用され得る。
【実施例
【0167】
以下の実施例は、本発明をさらに説明するが、言うまでもなく、その範囲を限定するものと解釈すべきでない。
【0168】
[実施例1]
【0169】
【化14】
【0170】
1.0g(1.7ミリモル)のCPSP-アクリジニウム(J.Org.Chem.、1998年、63巻、5636~5639頁)を、25mLの塩化メチレン(DCM)中の2mLの[COCl](23ミリモル)で処理し、これに続いて5μLのジメチルホルムアミドを添加した。スラリーを室温で2時間撹拌し、黄色の溶液を得た。この後、揮発性成分を、真空下、回転式エバポレーターで反応物から除去して、二酸クロリドを黄色の粘着性泡状物質として得た。残渣をDCM(25mL)に再溶解した。フッ化水素カリウムの飽和水性溶液(15mL)を調製し、DCM溶液に加えた。2相系を2時間激しく撹拌した。この後、反応物の上側の水相をピペットで除去し、下側のDCM層を回転式エバポレーターで、真空下で蒸発させた。生成した黄色の固体を水(約25mL)に懸濁させ、Buchner漏斗を介して濾過した。固体を少ない分量の冷水(約65mL)で洗浄した。収量1.08gの黄色の固体。MS(M+):C2828FN+に対する計算値:正確な質量:587.13;分子量:587.66。UPLC/MS実測値587.39。
【0171】
[実施例2]
【0172】
【化15】
【0173】
磁気撹拌棒及び窒素入口を備えた25mL丸底フラスコに、0.1g(0.17mmol)の実施例1の生成物、DCM(10mL)を投入し、次いで0.14g(1.7mmol)のピペラジンを黄色のスラリーに一度に加えると、透明な溶液が生じた。反応物を室温で5.5日間撹拌した。この後、乳状の白色スラリーを得た。反応物を真空下で蒸発乾固し、固体を水(5mL)、メタノール(5mL)及び1N HCl(2mL)に溶解した。254nmでモニターするWaters Separations2000システムを有するYMC ODS AQ50×250mmI.D.スチールカラムを使用して、生成した溶液を逆相HPLCで精製した。リコーダーチャートスピードは5mm/分である。マニュアルステップ勾配法(流速70mL/分)、ACN/HO/HO~0.5TFAを使用した。生成物を含有する画分を合わせ、揮発性成分を、回転式エバポレーターで、真空中30℃で、これに続いて高真空で、室温で18時間除去した。収量:0.163gの黄色のガラス状物質(TFA塩としての表題化合物)。MS(M+):C3237+に対する計算値:正確な質量:653.21;分子量:653.79。UPLC/MS実測値653.33。
【0174】
[実施例3]
【0175】
【化16】
【0176】
実施例2の調製に対して概説されている同じ手順を使用して、0.1g(0.17mmol)の実施例1の生成物、DCM(5mL)及び0.057mL(0.85mmol)のエチレンジアミン(EDA)を利用して、表題化合物を調製した。収量0.027gの黄色のフィルム状物質(TFA塩としての表題化合物)。MS(M+):C3035+に対する計算値:正確な質量:627.1942;分子量:627.7510。UPLC/MS実測値627.43。
【0177】
[実施例4]
【0178】
【化17】
【0179】
実施例2の調製に対して概説されている同じ手順を使用して、0.026g(0.044mmol)の実施例1の生成物、DCM(5mL)及び0.1mL(0.45mmol)の4,7,10-トリオキサ-1,13-トリデカンジアミンを利用して、表題化合物を調製した。収量0.018gの黄色のフィルム状物質(TFA塩としての表題化合物)。MS(M+):C385110+に対する計算値:正確な質量:787.3041;分子量:787.9618。UPLC/MS実測値787.53。
【0180】
[実施例5]
【0181】
【化18】
【0182】
実施例2の調製に対して概説されている同じ手順を使用して、0.03g(0.051mmol)の実施例1の生成物、DCM(1mL)及び0.1g(0.57mmol)の1,8-ビス(メチルアミノ)-3,6-ジオキサオクタンを利用して、表題化合物を調製した。収量0.016gの黄色のフィルム状物質(TFA塩としての表題化合物)。MS(M+):C3647+に対する計算値:正確な質量:743.2779;分子量:743.9092。UPLC/MS実測値743.39。
【0183】
[実施例6]
【0184】
【化19】
【0185】
磁気撹拌棒及び窒素入口を備えた5mL丸底フラスコに、0.015g(0.026mmol)の実施例1の生成物、DMF(1mL)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(0.34mL、2mmol)を投入し、次いで(1S,4S)-(+)-2,5-ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタンジヒドロブロミド(0.14g、0.52mmol)を一度に加えた。反応物を室温で2日間撹拌した。254nmでモニターするWaters Separations2000システムを有するYMC ODS AQ 30×150mmI.D.スチールカラムを使用して、全溶液を逆相HPLCで精製した。リコーダーチャートスピードは5mm/分である。マニュアルステップ勾配法(流速40mL/分)を移動相ACN/HO/HO~0.5TFAで使用した。生成物を含有する画分を合わせ、揮発性成分を回転式エバポレーターで、真空中30℃で、これに続いて高真空で、室温で18時間除去した。収量0.0084gの黄色のフィルム状物質(TFA塩としての表題化合物)。MS(M+):C3337+に対する計算値:正確な質量:665.2098;分子量:665.7989。UPLC/MS実測値665.20。
【0186】
[実施例7]
【0187】
【化20】
【0188】
磁気撹拌棒及び窒素入口を備えた5mL丸底フラスコに、0.015g(0.026mmol)の実施例1の生成物、DCM(0.5mL)、DIEA(0.17mL、1mmol)を投入し、次いで(cis-ラセミ0-tert-ブチルヘキサヒドロピロロ[3,4-c]ピロール-2(1H)-カルボキシレート(0.055g、0.26mmol)を黄色のスラリーに一度に加えた。反応物を室温で18時間撹拌した。窒素流を使用して、反応物を蒸発乾固し、次いで少量のMeOHに溶解した。254nmでモニターするWaters Separations2000システムを有するYMC ODS AQ 30×150mmI.D.スチールカラムを使用して、全溶液を逆相HPLCで精製した。リコーダーチャートスピードは5mm/分である。マニュアルステップ勾配法(流速40mL/分)を移動相ACN/HO/HO~0.5ギ酸で使用した。生成物を含有する画分を合わせ、揮発性成分を回転式エバポレーターで、真空中30℃で、これに続いて高真空で、室温で18時間除去した。収量0.0205gの黄色のフィルム状物質(Boc保護されたアミン中間体)。MS(M+):C3947+に対する計算値:正確な質量:779.2779;分子量:779.9413。UPLC/MS実測値779.16。
【0189】
磁気撹拌棒を備えた4mLバイアルに、Boc保護したアミン中間体及びDCM(0.5mL)を投入した。トリフルオロ酢酸(TFA)(0.5mL)を加え、混合物をRTで1時間撹拌した。窒素流を使用して、反応物を終夜蒸発乾固した。粗生成物を少量のMeOHに溶解した。254nmでモニターするWaters Separations2000システムを有するYMC ODS AQ 30×150mmI.D.スチールカラムを使用して、全溶液を逆相HPLCで精製した。リコーダーチャートのスピードは5mm/分である。マニュアルステップ勾配法(流速40mL/分)を移動相ACN/HO/HO~0.5TFAで使用した。生成物を含有する画分を合わせ、揮発性成分を回転式エバポレーターで、真空中30℃で、これに続いて高真空で、室温で18時間除去した。収量0.0175gの黄色のフィルム状物質(TFA塩としての表題化合物)。MS(M+):C3439+に対する計算値:正確な質量:679.2255;分子量:679.8255。UPLC/MS実測値679.24。
【0190】
[実施例8]
【0191】
【化21】
【0192】
実施例7の調製に対して概説されている同じ手順を使用して、0.015g(0.026mmol)の実施例1の生成物、5-Boc-オクタヒドロ-ピロロ[3,4-c]ピリジン(0.01g、0.044mmol)、DCM(アミンカップリングに0.5mL及び脱保護ステップに0.5mL)、DIEA(アミンカップリング用、0.17mL、1mmol)、及びTFA(Boc脱保護用、0.5mL)を利用して、表題化合物を調製した。収量0.0074gの黄色のフィルム状物質(Boc保護されたアミン中間体)。MS(M+):C4049+に対する計算値:正確な質量:793.2935;分子量:793.9679。UPLC/MS実測値793.20。
収量0.0077gの黄色のフィルム状物質(TFA塩としての表題化合物)。MS(M+):C3541+に対する計算値:正確な質量:693.2411;分子量:693.8521。UPLC/MS実測値693.20。
【0193】
[実施例9]
【0194】
【化22】
【0195】
磁気撹拌棒及び窒素入口を備えた5mL丸底フラスコに、0.015g(0.026mmol)の実施例1の生成物、DCM(0.5mL)及びDIEA(0.17mL、1mmol)を投入した。trans-1,2-ジアミノシクロヘキサンを黄色のスラリーに一度に加えた。反応物を室温で18時間撹拌した。窒素流を使用して反応物を蒸発乾固し、次いで少量のMeOHに溶解した。254nmでモニターするWaters Separations2000システムを有するYMC ODS AQ 30×150mmI.D.スチールカラムを使用して、全溶液を逆相HPLCで精製した。リコーダーチャートのスピードは5mm/分である。マニュアルステップ勾配法(流速40mL/分)を移動相ACN/HO/HO~0.5%TFAで使用した。生成物を含有する画分を合わせ、揮発性成分を回転式エバポレーターで、真空中30℃で、これに続いて高真空で、室温で18時間除去した。収量0.010gの黄色のフィルム状物質(TFA塩としての表題化合物)。MS(M+):C3441+に対する計算値:正確な質量:681.2411;分子量:681.8414。UPLC/MS実測値681.27。
【0196】
[実施例10]
【0197】
【化23】
【0198】
実施例9の調製に対して概説されている同じ手順を使用して、0.015g(0.026mmol)の実施例1の生成物、DCM(0.5mL)、DIEA(0.17mL、1mmol)及び(+-)-trans-1,2-ジアミノシクロヘキサン(0.029g、0.26mmol)を利用して、表題化合物を調製した。収量0.0154gの黄色のフィルム状物質(TFA塩としての表題化合物)。MS(M+):C3441+に対する計算値:正確な質量:681.2411;分子量:681.8414。UPLC/MS実測値681.34。
【0199】
[実施例11]
【0200】
【化24】
【0201】
実施例9の調製に対して概説されている同じ手順を使用して、0.015g(0.026mmol)の実施例1の生成物、DCM(0.5mL)、DIEA(0.17mL、1mmol)及び(S,S)-(+)-n,N’-ジメチル-1,2-シクロヘキサンジアミン(0.037g、0.26mmol)を利用して、表題化合物を調製した。収量0.0056gの黄色のフィルム状物質(TFA塩としての表題化合物)。MS(M+):C3645+に対する計算値:正確な質量:709.2724;分子量:709.8946。UPLC/MS実測値709.27。
【0202】
[実施例12]
【0203】
【化25】
【0204】
磁気撹拌棒及び窒素入口を備えた5mL丸底フラスコに、0.005g(0.0065mmol)の実施例2の生成物、DMF(0.5mL)及び0.01g(0.021mmol)の(5)6-カルボキシフルオレセイン-NHSエステルの混合物を投入し、これに続いてDIEA(0.05mL、0.28mmol)を加えた。反応物を室温で2.5日間撹拌した。数滴の水を加え、混合物を室温で30分間撹拌した。反応物をMeOH(2mL)で希釈し、254nmでモニターするWaters Separations2000システムを有するYMC ODS AQ 30×150mmスチールカラムを使用して、逆相HPLCで精製した。リコーダーチャートのスピードは5mm/分である。マニュアルステップ勾配法(流速40mL/分)を移動相ACN/HO/HO~0.5TFAで使用した。生成物を含有する画分を合わせ、揮発性成分を回転式エバポレーターで、真空下30℃で除去し、高真空で(1mmHg)2時間にわたり乾燥させた。収量:0.0012gの黄色のフィルム状物質(表題化合物)。MS(M+):C534713+に対する計算値:正確な質量:1011.2576;分子量:1012.0887。UPLC/MS実測値1011.39。
【0205】
磁気撹拌棒及び窒素入口を備えた5mL丸底フラスコに、0.012gの上記ステップの生成物、DMF(0.5mL)及びピリジン((0.5mL、0.62mmol)を投入した。次いで、ペンタフルオロフェニルトリフルオロ酢酸塩(0.05mL、0.3mmol)を混合物に一度に加え、反応物を室温で1時間撹拌した。揮発性成分を真空下で混合物から除去し、残渣を1:1エーテル-ヘキサンで5×粉砕し、トレース揮発性成分を高真空で(1mmHg)で2時間にわたり除去した。収量0.008gの黄色のフィルム状物質(表題化合物、R=-O-ペンタフルオロフェニル)。MS(M+):C594613+に対する計算値:正確な質量:1177.2417;分子量:1178.1370。UPLC/MS実測値1177.21。次の反応及びコンジュゲーション用に生成物を2つの等しい部分に分割した。
【0206】
最後のステップからの0.004gのペンタフルオロフェニルエステル生成物をDCM(0.5mL)に溶解した。次いで、DCM(0.5mL)中アジド-dPEG3-アミン(0.1g、0.45mmol)を滴下添加し、反応混合物を室温で1時間撹拌した。揮発性成分を、窒素流の下で18時間にわたり反応混合物から除去した。反応混合物をMeOH(1mL)及び水(1mL)で希釈し、254nmでモニターするWaters Separations2000システムを有するYMC ODS AQ 30×150mmスチールカラムで溶出させることにより、逆相HPLCで精製した。リコーダーチャートのスピードは5mm/分である。マニュアルステップ勾配法(流速40mL/分)を移動相ACN/HO/HO~0.5%TFAで使用した。生成物を含有する画分を合わせ、揮発性成分を回転式エバポレーターで、真空下30℃で除去し、高真空で(1mmHg)18時間にわたり乾燥させた。収量0.007gの黄色のフィルム状物質(表題化合物、R=-O-PEG-アジド)。MS(M+):C616315+に対する計算値:正確な質量:1211.3849;分子量:1212.3270。UPLC/MS実測値1211.47。
【0207】
[実施例13]
【0208】
【化26】
【0209】
実施例12の調製に対して概説されている同じ手順を使用して、0.039g(0.049mmol)の実施例3の生成物、DMF(2.0mL)、0.028g(0.06mmol)の(5)6-カルボキシフルオレセイン-NHSエステル及びDIEA(0.1mL、0.6mmol)の混合物を利用して、表題化合物を調製した。収量0.008gの黄色のフィルム状物質(表題化合物)。MS(M+):C514513+に対する計算値:正確な質量:985.2419;分子量:986.0515。UPLC/MS実測値985.49。
【0210】
[実施例14]
【0211】
【化27】
【0212】
実施例12の調製に対して概説されている同じ手順を使用して、0.01g(0.013mmol)の実施例2の生成物、DMF(0.25mL)、0.03g(0.055mmol)の5-カルボキシフルオレセイン-PFPエステル(5-カルボキシフルオレセイン及びペンタフルオロフェニルトリフルオロアセテートから得た)及びDIEA(0.025mL、0.055mmol)を利用して、表題化合物を調製した。収量0.0018gの黄色のフィルム状物質(表題化合物)。MS(M+):C534713+に対する計算値:正確な質量:1011.2576;分子量:1012.0887。UPLC/MS実測値1011.38。
【0213】
[実施例15]
【0214】
【化28】
【0215】
実施例12の調製に対して概説されている同じ手順を使用して、0.01g(0.013mmol)の実施例2の生成物、DMF(0.25mL)、0.03g(0.055mmol)の6-カルボキシフルオレセイン-PFPエステル(6-カルボキシフルオレセイン及びペンタフルオロフェニルトリフルオロアセテートから得た)及びDIEA(0.025mL、0.055mmol)を利用して、表題化合物を調製した。収量0.0029gの黄色のフィルム状物質(表題化合物)。MS(M+):C534713+に対する計算値:正確な質量:1011.2576;分子量:1012.0887。UPLC/MS実測値1011.45。
【0216】
[実施例16]
【0217】
【化29】
【0218】
実施例12の調製に対して概説されている同じ手順を使用して、0.01g(0.013mmol)の実施例2の生成物、DMF(0.25mL)、0.011g(0.021mmol)の(5)6-TAMRA-NHSエステル及びDIEA(0.025mL、0.055mmol)の混合物を利用して表題化合物を調製した。個々の生成物異性体を精製中に分離した。収量、画分9から異性体A:0.002gの紫色のフィルム状物質(表題化合物)。MS(M+):C575711+に対する計算値:正確な質量:1065.3521;分子量:1066.2255。UPLC/MS実測値1065.55(弱);M++533.45(強)。
【0219】
収量、画分10から異性体B:0.002g紫フィルム状物質を生成(表題化合物)。MS(M+):C575711+に対する計算値:正確な質量:1065.3521;分子量:1066.2255。UPLC/MS実測値1065.48(弱);M++533.45(強)。
【0220】
[実施例17]
【0221】
【化30】
【0222】
実施例12の調製に対して概説されている同じ手順を使用して、0.01g(0.011mmol)の実施例4の生成物、DMF(0.25mL)、0.014g(0.026mmol)の6-カルボキシフルオレセイン-PFPエステル(6-カルボキシフルオレセイン及びペンタフルオロフェニルトリフルオロアセテートから調製)及びDIEA(0.025mL、0.055mmol)を利用して、表題化合物を調製した。収量0.005gの黄色のフィルム状物質(表題化合物)。MS(M+):C596116+に対する計算値:正確な質量:1145.3518;分子量:1146.2623。UPLC/MS実測値1145.30。
【0223】
[実施例18]
【0224】
【化31】
【0225】
実施例12の調製に対して概説されている同じ手順を使用して、0.0049g(0.0057mmol)の実施例5の生成物、DMF(0.25mL)、0.01g(0.016mmol)のローダミンB-PFPエステル(ローダミンB及びペンタフルオロフェニルトリフルオロアセテートから調製)及びDIEA(0.025mL、0.055mmol)を利用して表題化合物を調製した。収量0.0016gの紫色のフィルム状物質(表題化合物)。MS(M+):C647511+に対する計算値:正確な質量:1167.49;分子量:1168.45。UPLC/MS実測値1167.61。
【0226】
[実施例19]
【0227】
【化32】
【0228】
実施例12の調製に対して概説されている同じ手順を使用して、0.0042g(0.0054mmol)の実施例6の生成物、DMF(0.2mL)、0.008g(0.017mmol)の5-カルボキシフルオレセイン-PFPエステル(5-カルボキシフルオレセイン及びペンタフルオロフェニルトリフルオロアセテート)及びDIEA(0.01mL、0.06mmol)を利用して、表題化合物を調製した。収量0.0048gのオレンジ色の黄色のフィルム状物質(表題化合物)。MS(M+):C544713+に対する計算値:正確な質量:1023.2576;分子量:1024.0994。UPLC/MS実測値1023.22。
【0229】
[実施例20]
【0230】
【化33】
【0231】
実施例12の調製に対して概説されている同じ手順を使用して、0.0045g(0.005mmol)の実施例7の生成物、DMF(0.2mL)、0.008g(0.017mmol)の5-カルボキシフルオレセイン-PFPエステル(5-カルボキシフルオレセイン及びペンタフルオロフェニルトリフルオロアセテートから得た)及びDIEA(0.01mL、0.06mmol)を利用して、表題化合物を調製した。収量0.0033gのオレンジ色-黄色のフィルム状物質(表題化合物)。MS(M+):C554913+に対する計算値:正確な質量:1037.2732;分子量:1038.1260。UPLC/MS実測値1037.18。
【0232】
[実施例21]
【0233】
【化34】
【0234】
実施例12の調製に対して概説されている同じ手順を使用して、0.0038g(0.0042mmol)の実施例8の生成物、DMF(0.2mL)、0.008g(0.017mmol)の5-カルボキシフルオレセイン-PFPエステル(5-カルボキシフルオレセイン及びペンタフルオロフェニルトリフルオロアセテートから得た)及びDIEA(0.01mL、0.06mmol)を利用して、表題化合物を調製した。収量0.0023gのオレンジ色-黄色のフィルム状物質(表題化合物)。MS(M+):C544713+に対する計算値:正確な質量:1051.2889;分子量:1052.1526。UPLC/MS実測値1051.30。
【0235】
[実施例22]
【0236】
【化35】
【0237】
実施例12の調製に対して概説されている同じ手順を使用して、0.005g(0.0063mmol)の実施例9の生成物、DMF(0.2mL)、0.008g(0.017mmol)の5-カルボキシフルオレセイン-PFPエステル(5-カルボキシフルオレセイン及びペンタフルオロフェニルトリフルオロアセテートから得た)及びDIEA(0.01mL、0.06mmol)を利用して、表題化合物を調製した。収量0.0042gの黄色のフィルム状物質(表題化合物)。MS(M+):C555113+に対する計算値:正確な質量:1039.2889;分子量:1040.1419。UPLC/MS実測値1039.29。
【0238】
[実施例23]
【0239】
【化36】
【0240】
実施例12の調製に対して概説されている同じ手順を使用して0.0057g(0.0072mmol)の実施例10の生成物、DMF(0.2mL)、0.008g(0.017mmol)の5-カルボキシフルオレセイン-PFPエステル(5-カルボキシフルオレセイン及びペンタフルオロフェニルトリフルオロアセテートから得た)及びDIEA(0.01mL、0.06mmol)を利用して、表題化合物を調製した。収量0.0024gの黄色のフィルム状物質(表題化合物)。MS(M+):C555113+に対する計算値:正確な質量:1039.2889;分子量:1040.1419。UPLC/MS実測値1039.21。
【0241】
[実施例24]
【0242】
【化37】
【0243】
実施例12の調製に対して概説されている同じ手順を使用して0.003g(0.0036mmol)の実施例11の生成物、DMF(0.2mL)、0.008g(0.017mmol)の5-カルボキシフルオレセイン-PFPエステル(5-カルボキシフルオレセイン及びペンタフルオロフェニルトリフルオロアセテートから得た)及びDIEA(0.01mL、0.06mmol)を利用して、表題化合物を調製した。収量0.0006gの黄色のフィルム状物質(表題化合物)。MS(M+):C575513+に対する計算値:正確な質量:1067.32;分子量:1068.20。UPLC/MS実測値1067.14。
【0244】
[実施例25]
【0245】
【化38】
【0246】
実施例12の調製に対して概説されている同じ手順を使用して、0.006g(0.008mmol)の実施例2の生成物、DMF(0.2mL)、0.008g(0.013mmol)のローダミンB-PFPエステル(ローダミンB及びペンタフルオロフェニルトリフルオロアセテートから調製)及びDIEA(0.01mL、0.06mmol)を利用して、表題化合物を調製した。収量0.0031gの紫色のフィルム状物質を(表題化合物)。MS(M+):C6065+に対する計算値:正確な質量:1077.42;分子量:1078.33。UPLC/MS実測値1077.51。
【0247】
[実施例26]
【0248】
【化39】
【0249】
CP-アクリジンメチルエステル(J.Org.Chem.、1998年、63巻、5636~5639頁)(0.012g、0.025mmol)及び5-(ヨードアセトアミド)フルオレセイン(0.015g、0.029mmol)を、窒素入口を備えた5mL丸底フラスコ内で混合した。溶媒なしで、フラスコを油浴内で、160~170℃で15分間加熱した。この後LCMSは、構成成分として、出発材料が両方とも並びに表題化合物が存在する複合混合物を示した。反応物をDMF/MeOH/水(それぞれ約0.5mL)中に溶解させ、254nmでモニターするWaters Separations2000システムを有するYMC ODS AQ 30×150mmスチールカラムを使用して、逆相HPLCで精製した。リコーダーチャートのスピードは5mm/分である。マニュアルステップ勾配法(流速40mL/分)を移動相ACN/HO/HO~0.5%ギ酸で使用した。揮発性成分を回転式エバポレーターで、真空下30℃で除去し、高真空で(1mmHg)24時間にわたり乾燥させた。収量0.0007gの黄色のフィルム状物質(表題化合物)。MS(M+):C483811S+に対する計算値:正確な質量:864.2222;分子量:864.8933。UPLC/MS実測値864.43。
【0250】
[実施例27]
【0251】
【化40】
【0252】
実施例26の調製に対して概説されている同じ手順を使用して、0.012g(0.025mmol)のCP-アクリジニウムメチルエステル及び0.006g(0.012mmol)の6-(ヨードアセトアミド)フルオレセインを利用して、表題化合物を調製した。収量0.0011gの黄色のフィルム状物質(表題化合物)。MS(M+):C483811S+に対する計算値:正確な質量:864.2222;分子量:864.8933。UPLC/MS実測値864.51。
【0253】
[実施例28]
【0254】
【化41】
【0255】
上記化合物は、
【0256】
【化42】
から調製した。
【0257】
SPCN(0.048g)、(Organic Letters、2003年、5巻(21号)、3779頁)を0.5mLのDMFに溶解した。0.128mLのDIEAを加え、これに続いてPyAOP(0.032g)を加えた。反応物を周辺温度で5分間撹拌した(予備活性化)。0.032gの5-アセトアミドアミノフルオレセイン(5-AAF)(Chemistry of Materials、1992年、4巻(4号)、879~84頁)を1mLのDMF及び0.064mLのDIEAに溶解した。5-AAF溶液をSPCN溶液に加えた。18時間後、反応物を3mLの水で処理した。溶液をYMC ODS-AQカラム(40×100)に直接注入することにより、溶液をHPLCで精製した。45mL/分で、5~40%アセトニトリルの勾配で70分間にわたり溶出した(移動相ACN/HO/HO~0.5%TFA)。生成物を含有する画分を凍結し、凍結乾燥した。収量0.026g(表題化合物)。MSは表題化合物と一致する。
【0258】
[実施例29]
【0259】
【化43】
【0260】
実施例12の調製に対して概説されている類似の手順を使用して、0.01gの実施例2の生成物、DMF(0.5mL)、0.005g(0.012mmol)のBODIPY(商標)493/503NHSエステル(ThermoFisher)及びDIEA(0.01mL、0.06mmol)を利用して、表題化合物を調製した。反応物を終夜撹拌した。収量0.0021gの赤色のフィルム状物質(表題化合物)。MS(M+):C4854BF+に対する計算値;正確な質量:955.3500;分子量:955.9203。UPLC/MS実測値955.38。
【0261】
[実施例30]
【0262】
【化44】
【0263】
実施例12の調製に対して概説されている類似の手順を使用して、0.014g(0.018mmol)の実施例2の生成物、DMF(0.5mL)、0.005g(0.011mmol)のBDP558/568NHSエステル(Lumiprobe)及びDIEA(0.01mL、0.06mmol)を利用して、表題化合物を調製した。反応物を終夜撹拌した。収量0.0033gの紫色のフィルム状物質(表題化合物)。MS(M+):C4848BF+に対する計算値;正確な質量:981.2751;分子量:981.9323。UPLC/MS実測値981.33。
【0264】
[実施例31]
【0265】
【化45】
【0266】
実施例12の調製に対して概説されている類似の手順を使用して、0.03g(0.039mmol)の実施例2の生成物、DMF(1mL)、0.01g(0.025mmol)のBDP FL NHSエステル(Lumiprobe)及びDIEA(0.02mL、0.12mmol)を利用して、表題化合物を調製した。反応物を終夜撹拌した。収量0.0026gの赤色のフィルム状物質(表題化合物)。MS(M+):C4650BF+に対する計算値;正確な質量:927.3187;分子量:927.8663。UPLC/MS実測値927.52。
【0267】
[実施例32]
【0268】
【化46】
【0269】
実施例12の調製に対して概説されている類似の手順を使用して、0.03g(0.039mmol)の実施例2の生成物、DMF(1mL)、0.014g(0.027mmol)のBDP TR NHSエステル(Lumiprobe)及びDIEA(0.02mL、0.12mmol)を利用して、表題化合物を調製した。反応物を終夜撹拌した。収量0.019gの青色のフィルム状物質(表題化合物)。MS(M+):C5350BF+に対する計算値;正確な質量:1059.2857;分子量:1060.0023。UPLC/MS実測値1059.26。
【0270】
[実施例33]
【0271】
【化47】
【0272】
磁気撹拌棒及び窒素入口を備えた4mL反応バイアルに、0.005g(0.0069mmol)のAlexa Fluor 532カルボン酸、0.0029gのHBTU(0.0076mmol)、DMSO(0.5mL)及びDIEA(0.05mL、0.3mmol)を投入した。反応物を室温で15分間撹拌してから、実施例2の生成物(0.015g、0.020mmol)を含有するDMSO溶液(0.5mL)を加えた。反応物を終夜撹拌した。粗製の反応混合物をMeOH及び水で希釈した。254nmでモニターするWaters Separations2000システムを有するYMC ODS AQ 30×150mmI.D.スチールカラムで溶出することにより、全溶液を逆相HPLCで精製した。リコーダーチャートのスピードは5mm/分である。マニュアルステップ勾配法(流速40mL/分)を移動相ACN/HO/HO~0.5%TFAで使用した。生成物を含有する画分を合わせ、揮発性成分を回転式エバポレーターで、真空中30℃で、これに続いて高真空で、室温で18時間除去した。収量0.0025gの赤色のフィルム状物質。MS(M+):C626415に対する計算値:正確な質量:1260.3312;分子量:1261.4610。UPLC/MS実測値1262.42。
【0273】
[実施例34]
【0274】
【化48】
【0275】
実施例33の調製に対して概説されている類似の手順を使用して、0.012g(0.016mmol)の実施例2の生成物、DMSO(1mL)、0.005g(0.0059mmol)のAlexa Fluor 488カルボン酸、0.0025g(0.0066mmol)のHBTU、及びDIEA(0.05mL、0.3mmol)を利用して、表題化合物を調製した。収量:0.002gの赤色のフィルム状物質(表題化合物5(6)-混合異性体)。MS(M+):C534817に対する計算値;正確な質量:1168.1959;分子量:1169.2320。UPLC/MS実測値1169.28。
【0276】
[実施例35]
【0277】
【化49】
【0278】
実施例33の調製に対して概説されている類似の手順を使用して、0.0085g(0.011mmol)の実施例2の生成物、DMSO(1mL)、0.005g(0.005mmol)のAlexa Fluor 568カルボン酸、0.0021g(0.0055mmol)のHBTU、及びDIEA(0.05mL、0.3mmol)を利用して、表題化合物を調製した。収量0.0025gの紫色のフィルム状物質(表題化合物5(6)-混合異性体)。MS(M+):C656417に対する計算値;正確な質量:1328.3211;分子量:1329.4920。UPLC/MS実測値1330.24。
【0279】
[実施例36]
【0280】
【化50】
【0281】
磁気撹拌棒を備えた20mL反応バイアルに、0.075g(0.17mmol)のメチル-4-カルボキシ-ケイ素ローダミン(Angew.Chemi.Int.Ed.、2018年、57巻、2436~2440頁)及び水性HCl(1mL、6M)を投入した。内容物を90℃に1時間加熱した。混合物を室温に冷却してから、4:1のCHCl:メタノール溶媒混合物で希釈した。有機層を水で洗浄し、次いでブラインで洗浄してから、硫酸ナトリウムで脱水した。溶媒を真空下で除去した。粗製の固体をMeOH及び水に溶解した。254nmでモニターするWaters Separations2000システムを有するYMC ODS AQ 50×250mmI.D.スチールカラムで溶出することにより、全溶液を逆相HPLCで精製した。リコーダーチャートのスピードは5mm/分である。マニュアルステップ勾配法(流速70mL/分)を移動相ACN/HO/HO~0.5%TFAで使用した。生成物を含有する画分を合わせ、揮発性成分を回転式エバポレーターで、真空下30℃で、これに続いて高真空で、室温で18時間除去した。収量0.054gの青色のフィルム状物質。MS(M+):C2629Si+に対する計算値;正確な質量:429.1993;分子量:429.6145。UPLC/MS実測値429.19。
【0282】
[実施例37]
【0283】
【化51】
【0284】
実施例12の調製に対して概説されている類似の手順を使用して、0.025g(0.033mmol)の実施例2の生成物、DMF(1mL)、0.009g(0.015mmol)の4-カルボキシ-SiR-PFPエステル(実施例37及びペンタフルオロフェニルトリフルオロアセテート)及びDIEA(0.1mL、0.6mmol)を利用して、表題化合物を調製した。収量0.004gの青色のフィルム状物質(表題化合物)。MS(M+):C5864Si2+に対する計算値;正確な質量:1064.3985;分子量:1065.3879。UPLC/MS実測値1064.44(弱);M++532.46(強)。
【0285】
[実施例38]
【0286】
【化52】
【0287】
磁気撹拌棒を備えた20mL反応バイアルに、0.315g(0.84mmol)の5-カルボキシフルオレセイン及び発煙硫酸(5mL、30%遊離SOベース)を投入し、90℃に1時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、次いで氷を含有するビーカーに慎重に加えてから、KCl(1g)を加えると、黄色の沈殿物が生じた。固体を濾過し、冷水及びアセトンで洗浄し、高真空下で18時間乾燥させた。固体はさらに精製せずに次のステップで使用した。収量0.250gの黄色の固体。MS(M-):C211113-に対する計算値;正確な質量:534.9647;分子量:535.4265。UPLC/MS実測値534.93。
【0288】
[実施例39]
【0289】
【化53】
【0290】
実施例12の調製に対して概説されている類似の手順を使用して、0.009g(0.012mmol)の実施例2の生成物、DMF(0.5mL)、0.009g(0.015mmol)の5-カルボキシ-4’,5’-ジスルホフルオレセイン-PFPエステル(実施例38及びペンタフルオロフェニルトリフルオロアセテート)及びDIEA(0.05mL、0.3mmol)を利用して、表題化合物を調製した。収量0.007gの黄色のフィルム状物質。MS(M-):C534519 に対する計算値;正確な質量:1169.1566;分子量:1170.1925。UPLC/MS実測値1169.99。
【0291】
[実施例40]
【0292】
【化54】
【0293】
磁気撹拌棒及び窒素入口を備えた4mL反応バイアルに、0.013g(0.04mmol)のフルオレセイン、0.014gのHBTU(0.037mmol)、DMSO(1mL)及びDIEA(0.1mL、0.6mmol)を投入した。反応物を45℃で60分間撹拌した。次いで、溶液を室温に冷却してから、実施例2の生成物(0.04g、0.052mmol)を含有するDMSO溶液(0.5mL)を加えた。反応物を終夜撹拌した。粗製の反応混合物をMeOH及び水で希釈した。254nmでモニターするWaters Separations2000システムを有するYMC ODS AQ 50×250mmI.D.スチールカラムで溶出することにより、全溶液を逆相HPLCで精製した。リコーダーチャートのスピードは5mm/分である。マニュアルステップ勾配法(流速70mL/分)を移動相ACN/HO/HO~0.5%TFAで使用した。生成物を含有する画分を合わせ、揮発性成分を回転式エバポレーターで、真空中30℃で、これに続いて高真空で、室温で18時間除去した。収量0.002gの赤色のフィルム状物質。MS(M+):C524711+に対する計算値;正確な質量:967.2677;分子量:968.0845。UPLC/MS実測値967.32(弱);M++484.38(強)。
【0294】
[実施例41]
【0295】
【化55】
【0296】
実施例12の調製に対して概説されている類似の手順を使用して、0.015g(0.020mmol)の実施例2の生成物、DMF(0.5mL)、0.008g(0.016mmol)のローダミン19-NHSエステル(ローダミン19及びTSTU)及びDIEA(0.05mL、0.3mmol)を利用して、表題化合物を調製した。収量:0.002gの赤色のフィルム状物質。MS(M+):C5862 2+に対する計算値;正確な質量:1050.4009;分子量:1051.2859。UPLC/MS実測値1049.31(弱);M++525.46(強)。
【0297】
[実施例42]
【0298】
【化56】
【0299】
実施例12の調製に対して概説されている類似の手順を使用して、0.0065g(0.0085mmol)の実施例2の生成物、DMF(0.4mL)、0.002g(0.003mmol)のAtto 700 NHS-エステル、及びDIEA(0.05mL、0.3mmol)を利用して、表題化合物を調製した。収量:0.003gの緑色のフィルム状物質。MS(M+):C627012+に対する計算値;正確な質量:1200.4239;分子量:1201.4585。UPLC/MS実測値1200.56(弱);M++600.92(強)。
【0300】
[実施例43]
【0301】
【化57】
【0302】
磁気撹拌棒及び窒素入口を備えた20mL反応バイアルに、0.2g(0.30mmol)のIR780ヨウ化物、DMF(2mL)、及びメチルアミンのTHF(3mL、2M)中溶液を投入した。これを80℃に1時間加熱し、この間溶液の色が緑色から青色に変わった。反応混合物を室温に冷却してから、生成物をジエチルエーテル中で粉砕した。生成物はさらに精製せずに次のステップで使用した。収量:0.160gの青色の粉末。MS(M+):化学式に対する計算値:C3748+;正確な質量:534.3843;分子量:534.8115。UPLC/MS実測値534.37。
【0303】
[実施例44]
【0304】
【化58】
【0305】
磁気撹拌棒及び窒素入口を備えた20mL反応バイアルに、0.025g(0.038mmol)の実施例43の生成物、DCM(10mL)、及び0.033g(0.114mmol)のトリホスゲンを投入した。反応混合物を氷浴内で0℃に冷却してから、0.3mLのDIEAを加えた。撹拌を1時間継続してから、溶媒を真空下で除去した。次いで、粗材料に、0.040g(0.052mmol)の実施例2の生成物、DMF(1mL)、及びDIEA(0.1mL、0.6mmol)を投入した。反応混合物を室温で36時間撹拌した。粗製の反応混合物をMeOH及び水で希釈した。254nmでモニターするWaters Separations2000システムを有するYMC ODS AQ 50×250mmI.D.スチールカラムで溶出することにより、全溶液を逆相HPLCで精製した。リコーダーチャートのスピードは5mm/分である。マニュアルステップ勾配法(流速70mL/分)を移動相ACN/HO/HO~0.5%TFAで使用した。生成物を含有する画分を合わせ、揮発性成分を回転式エバポレーターで、真空中30℃で、これに続いて高真空で、室温で18時間除去した。収量0.004gの緑色のフィルム状物質。MS(M+):C7083 2+に対する計算値;正確な質量:1213.5734;分子量:1214.5939。UPLC/MS実測値1212.50(弱);M++607.05(強)。
【0306】
[実施例45]
【0307】
【化59】
【0308】
実施例12の調製に対して概説されている類似の手順を使用して、0.0165g(0.021mmol)の実施例2の生成物、DMF(1mL)、0.008g(0.015mmol)のルシファーイエローVS二リチウム塩、及びDIEA(0.05mL、0.3mmol)を利用して、表題化合物を調製した。収量:0.009gの黄色の粉末。MS(M-):C524917 に対する計算値;正確な質量:1189.1763;分子量:1190.2895。UPLC/MS実測値1189.42。
【0309】
[実施例46]
【0310】
【化60】
【0311】
磁気撹拌棒を備えた4mL反応バイアルに、0.110g(0.30mmol)のルシファーイエロー無水物、0.123g(1.65mmol)のグリシン、及び酢酸ナトリウム(3mL、1M)の水溶液を投入した。混合物を90℃に加熱し、終夜撹拌した。粗製の反応混合物をMeOH及び水で希釈した。254nmでモニターするWaters Separations2000システムを有するYMC ODS AQ 50×250mmI.D.スチールカラムで溶出することにより、全溶液を逆相HPLCで精製した。リコーダーチャートのスピードは5mm/分である。マニュアルステップ勾配法(流速70mL/分)を移動相ACN/HO/HO~0.5%TFAで使用した。生成物を含有する画分を合わせ、揮発性成分を回転式エバポレーターで、真空中30℃で、これに続いて高真空で、室温で18時間除去した。収量:0.120gの黄色の粉末。MS(M-):C1410に対する計算値;正確な質量:428.9704;分子量:429.3505。UPLC/MS実測値429.05。
【0312】
[実施例47]
【0313】
【化61】
【0314】
実施例12の調製に対して概説されている類似の手順を使用して、0.085g(0.11mmol)の実施例2の生成物、DMF(1mL)、0.040g(0.076mmol)の実施例46の生成物-NHSエステル(実施例46及びTSTU)及びDIEA(0.17mL、1mmol)を利用して、表題化合物を調製した。収量:0.018gの黄色の粉末。MS(M-):C464316-に対する計算値、正確な質量:1063.1624、分子量:1064.1165。UPLC/MS実測値1063.24。
【0315】
[実施例48]
【0316】
【化62】
【0317】
磁気撹拌棒及び窒素入口を備えた4mL反応バイアルに、0.013g(0.012mmol)の実施例47の生成物、0.0055mg(0.018mmol)のTSTU、DMSO(0.5mL)、及びDIEA(0.05mL、0.3mmol)を投入した。ミックスを室温で1時間撹拌してから、少量のACN中で希釈した。254nmでモニターするWaters Separations2000システムを有するYMC ODS AQ 30×150mmI.D.スチールカラムで溶出することにより、全溶液を逆相HPLCで精製した。リコーダーチャートのスピードは5mm/分である。マニュアルステップ勾配法(流速40mL/分)を移動相ACN/HO/HO~0.05%ギ酸で使用した。生成物を含有する画分を合わせ、揮発性成分を回転式エバポレーターで、真空中30℃で、これに続いて高真空で、室温で18時間除去した。収量:0.008mgの黄色のフィルム状物質。MS(-):C504618-に対する計算値;正確な質量:1160.1788;分子量:1161.1895。UPLC/MS実測値1160.28。
【0318】
[実施例49]
【0319】
【化63】
【0320】
磁気撹拌棒及び窒素入口を備えた4mL反応バイアルに、0.006g(0.0052mmol)の実施例48の生成物、0.020g(0.062mmol)のアミノ-dPEG(登録商標)-t-ブチルエステル、DMF(0.5mL)、及びDIEA(0.1mL、0.6mmol)を投入した。混合物を1時間撹拌してから、少量のACN中で希釈した。254nmでモニターするWaters Separations2000システムを有するYMC ODS AQ 30×150mmI.D.スチールカラムで溶出することにより、全溶液を逆相HPLCで精製した。リコーダーチャートのスピードは5mm/分である。マニュアルステップ勾配法(流速40mL/分)を移動相ACN/HO/HO~0.5%ギ酸で使用した。生成物を含有する画分を合わせ、揮発性成分を回転式エバポレーターで、真空中30℃で、これに続いて高真空で、室温で18時間除去した。精製した材料を、撹拌棒を備えた4mL反応バイアルに移し、1mLのDCM及び1mLのTFAに溶解した。混合物を1時間撹拌してから、溶媒を回転式エバポレーターで、真空中30℃で、これに続いて高真空で、室温で18時間除去した。さらなる精製は必要なかった。収量:0.0088gの黄色のフィルム状物質。MS(-):C576421-に対する計算値;正確な質量:1310.3044;分子量:1311.4075。UPLC/MS実測値1310.82。
【0321】
[実施例50]
【0322】
【化64】
【0323】
実施例48の調製に対して概説されている類似の手順を使用して、0.0088g(0.0067mmol)の実施例49の生成物、0.003g(0.010mmol)のTSTU、DMF(0.5mL)、及びDIEA(0.05mL、0.3mmol)を利用して、表題化合物を調製した。精製及び蒸発後、10%の材料を加水分解して、カルボン酸形態に戻した。収量:0.006g。MS(-):C616723-に対する計算値;正確な質量:1407.3207;分子量:1408.4805。UPLC/MS実測値1408.50。
【0324】
[実施例51]
【0325】
【化65】
【0326】
磁気撹拌棒及び窒素入口を備えた4mL反応バイアルに、0.007g(0.0072mmol)の実施例29の生成物、0.0026g(0.017mmol)のEDC、0.0036g(0.017mmol)のN-ヒドロキシスルホスクシンイミドナトリウム塩、DMF(0.5mL)、及びDIEA(0.01mL、0.06mmol)を投入した。反応物を終夜撹拌してから、少量のACN中で希釈した。254nmでモニターするWaters Separations2000システムを有するYMC ODS AQ 30×150mmI.D.スチールカラムで溶出することにより、全溶液を逆相HPLCで精製した。リコーダーチャートのスピードは5mm/分である。マニュアルステップ勾配法(流速40mL/分)を移動相ACN/HO/HO~0.05%ギ酸で使用した。生成物を含有する画分を合わせ、揮発性成分を回転式エバポレーターで、真空中30℃で、これに続いて高真空で、室温で18時間除去した。収量:0.0025g。MS(+):C5256BF13に対する計算値;正確な質量:1131.3159;分子量:1132.0428。UPLC/MS実測値(M-F)+1112.20。
【0327】
[実施例52]
【0328】
【化66】
【0329】
実施例51の調製に対して概説されている類似の手順を使用して、0.009g(0.0085mmol)の実施例32の生成物、0.0026g(0.017mmol)のEDC、0.0036g(0.017mmol)のN-ヒドロキシスルホスクシンイミドナトリウム塩、DMF(0.5mL)、及びDIEA(0.01mL、0.06mmol)を利用して、表題化合物を調製した。収量:0.0013g。MS(+):C5752BF14に対する計算値;正確な質量:1235.2516;分子量:1236.1248。UPLC/MS実測値(M-F)+1216.40。
【0330】
[実施例53]
【0331】
【化67】
【0332】
撹拌棒及び窒素入口を備えた100mL RBフラスコに、プロパルギルトリフレート(J.Org Chem.、1977年、42巻、3109~3113頁)(20.98mmol)及びCHCl(25mL)を投入した。この溶液に、2,6-ジ-tert-ブチルピリジン(6.96mL、31.45mmol)を加え、これに続いてアクリジン(J.Org Chem.、1998年、63巻、5636~5639頁)(1.00g、2.10mmol)を加え、18時間撹拌した。混合物を真空中で濃縮した。10%~90%アセトニトリル/0.5%TFAを含むHOの勾配法を使用して、残渣を逆相HPLCで精製した。所望の画分を収集し、プールし、凍結し、凍結乾燥させて、1.213gの表題化合物を黄色の固体として生成した(定量的収量)。収量:1.213gの黄色の固体。MS(+):C2927に対する計算値;正確な質量:515.6;分子量:515.6。UPLC/MS実測値(M)+514.85。
【0333】
[実施例54]
【0334】
【化68】
【0335】
撹拌棒及び窒素入口を備えた50mL Rbフラスコに、実施例53の生成物(0.014g、0.027mmol)、5-アジドフルオレセイン(J.Am.Chem.Soc.2012年、134巻、17428~17431頁)(0.010g、0.027mmol)及びDMF:HO(2mL、1:1)の溶液を投入した。この混合物に、銅(II)硫酸塩(0.001g、0.001mmol)のHO(100μL)中溶液を加え、これに続いてアスコルビン酸ナトリウム(0.001g、0.005mmol)のHO(100μL)中溶液を加え、18時間撹拌した。混合物を、10%~90%アセトニトリル/0.5%TFAを含むHOの勾配法を使用して精製した逆相HPLCで精製した。所望の画分を収集し、凍結し、凍結乾燥して、14mgの表題化合物を生成した(58%)。収量:0.014g。MS(+):C493911に対する計算値;正確な質量:888.23;分子量:888.92。UPLC/MS実測値(M)+888.46。
【0336】
[実施例55]
【0337】
【化69】
【0338】
撹拌棒及び窒素入口を備えた25mL RBフラスコに、CPSP(0.020g、0.034mmol)、HBTU(0.014g、0.037mmol)、HOBt(0.005g、0.037mmol)及びDMF(2mL)を投入した。この混合物に、DIEA(0.030mL、0.171mmol)を加え、30分間撹拌した。この混合物に、4’-アミノメチルフルオレセイン(米国特許第4,510,251号、1985年)(0.034g、0.094mmol)を加え、18時間撹拌した。混合物を真空中で濃縮した。10%~90%アセトニトリル/0.5%TFAを含むHOの勾配法を使用して、残渣を逆相HPLCで精製した。所望の画分を収集し、凍結し、凍結乾燥させて、0.010gの表題化合物を黄色-オレンジ色の固体を生成した(32%)。収量:0.010gの黄色-オレンジ色の固体。MS(+):C494112 に対する計算値;正確な質量:927.21;分子量:928.00。UPLC/MS実測値(M)+928.50。
【0339】
[実施例56]
【0340】
【化70】
【0341】
撹拌棒及び窒素入口を備えた25mL RBフラスコに、CPSP(0.050g、0.086mmol)、HBTU(0.036g、0.094mmol)、及びHOBt(0.013g、0.094mmol)及びDMF(2mL)を投入した。この混合物に、DIEA(0.074mL、0.428mmol)を加え、反応物を30分間撹拌した。この混合物に、5-アミノメチルフルオレセイン(Bioconjugate Chem.、1992年、3巻、430~431頁)(0.034g、0.094mmol)を加え、18時間撹拌した。混合物を真空中で濃縮した。10%~90%アセトニトリル/0.5%TFAを含むHOの勾配法を使用して、残渣を逆相HPLCで精製した。所望の画分を収集し、凍結乾燥して、0.027gの表題化合物を黄色-オレンジ色の固体を生成した(34%)。収量:0.027gの黄色の-オレンジ色の固体。MS(+):C494112 に対する計算値;正確な質量:927.21;分子量:928.00。UPLC/MS実測値(M+H)+929.45。
【0342】
[実施例57]
【0343】
【化71】
【0344】
磁気撹拌棒及び窒素入口を備えた4mL反応バイアルに、0.007g(0.0072mmol)の実施例2の生成物、0.003g(0.003mmol)のDTBTA-Eu3+(Inorg.Chem.、2006年、4巻、4088~4096頁)、DMF(0.5mL)、及びDIEA(0.01mL、0.06mmol)を投入した。反応物を終夜撹拌してから、少量のACN/HO中で希釈した。254nmでモニターするWaters Separations2000システムを有するYMC ODS AQ 30×150mmI.D.スチールカラムで溶出することにより、全溶液を逆相HPLCで精製した。リコーダーチャートのスピードは5mm/分である。マニュアルステップ勾配法(流速40mL/分)を移動相ACN/HO/HO~0.05ギ酸で使用した。生成物を含有する画分を合わせ、揮発性成分を回転式エバポレーターで、真空中30℃で、これに続いて高真空で、室温で18時間除去した。収量0.002gの薄黄色の粉末。MS(M+):C7265ClEuN1315 4+に対する計算値;正確な質量:1603.3043;分子量:1603.9198。UPLC/MS実測値1604.65。
【0345】
[実施例58]
【0346】
【化72】
【0347】
実施例49の調製に対して概説されている類似の手順を使用して、0.011g(0.0095mmol)の実施例48の生成物、0.045g(0.090mmol)のアミノ-dPEG(登録商標)-t-ブチルエステル、DMF(0.5mL)、及びDIEA(0.1mL、0.6mmol)を利用して、表題化合物を調製した。収量:0.006gの黄色のフィルム状物質。MS(-):C658125-に対する計算値;正確な質量:1487.4165;分子量:1488.6270。UPLC/MS実測値1487.71。
【0348】
[実施例59]
【0349】
【化73】
【0350】
実施例48の調製に対して概説されている類似の手順を使用して、0.006g(0.0067mmol)の実施例58の生成物、0.002g(0.0067mmol)のTSTU、DMF(0.5mL)、及びDIEA(0.03mL、0.17mmol)を利用して、表題化合物を調製した。収量:0.004gMS(-):C698427-に対する計算値;正確な質量:1584.4329;分子量:1585.7000。UPLC/MS実測値1584.75。
【0351】
[実施例60]
【0352】
【化74】
【0353】
磁気撹拌棒及び窒素入口を備えた4mL反応バイアルに、0.006g(0.0052mmol)の実施例48の生成物、0.025g(0.25mmol)の3-アジド-1-プロパンアミン、DMF(0.5mL)、及びDIEA(0.1mL、0.6mmol)を投入した。混合物を1時間撹拌してから、少量のACN中で希釈した。254nmでモニターするWaters Separations2000システムを有するYMC ODS AQ 30×150mmI.D.スチールカラムで溶出することにより、全溶液を逆相HPLCで精製した。リコーダーチャートのスピードは5mm/分である。マニュアルステップ勾配法(流速40mL/分)を移動相ACN/HO/HO~0.5%ギ酸で使用した。生成物を含有する画分を合わせ、揮発性成分を回転式エバポレーターで、真空中30℃で、これに続いて高真空で、室温で18時間除去した。収量:0.003gの黄色のフィルム状物質。MS(-):C49501015 に対する計算値;正確な質量:1145.2267;分子量:1146.2265。UPLC/MS実測値1145.63。
【0354】
[実施例61]
【0355】
【化75】
【0356】
実施例60の調製に対して概説されている類似の手順を使用して、0.006g(0.0052mmol)の実施例48の生成物、0.030g(0.076mmol)のアジド-dPEG(登録商標)-アミン、DMF(0.5mL)、及びDIEA(0.1mL、0.6mmol)を利用して、表題化合物を調製した。収量:0.004gの黄色のフィルム状物質。MS(-):C62761022に対する計算値;正確な質量:1440.4018;分子量:1441.5780。UPLC/MS実測値1440.82。
【0357】
[実施例62]
【0358】
【化76】
【0359】
実施例60の調製に対して概説されている類似の手順を使用して、0.0075g(0.0065mmol)の実施例48の生成物、0.020g(0.076mmol)のMPS-EDA(Quanta Biodesign)、DMF(0.5mL)、及びDIEA(0.1mL、0.6mmol)を利用して、表題化合物を調製した。収量:0.002gの黄色のフィルム状物質。MS(-):C555418 に対する計算値;正確な質量:1256.2475;分子量:1257.3225。UPLC/MS実測値1256.53
【0360】
[実施例63]
【0361】
【化77】
【0362】
実施例60の調製に対して概説されている類似の手順を使用して0.006g(0.0052mmol)の実施例48の生成物、0.005g(0.0067mmol)の2-(6-アミノヘキサンアミド)-チロキシン(Bioconjugate Chem.、1997年、8巻、133~145頁)、DMF(0.5mL)、及びDIEA(0.01mL、0.06mmol)を利用して、表題化合物を調製した。収量:0.005gの黄色のフィルム状物質。MS(-):C676520 に対する計算値;正確な質量:1810.0332;分子量:1811.2464。UPLC/MS実測値1810.59(弱);M2-904.99(強)。
【0363】
[実施例64]
【0364】
【化78】
【0365】
磁気撹拌棒及び窒素入口を備えた4mL反応バイアルに、0.004g(0.0025mmol)の実施例59の生成物、0.0082g(0.013mmol)のチロキシン、DMF(0.5mL)、及びDIEA(0.01mL、0.06mmol)を投入した。混合物を1時間撹拌してから、少量のACN中で希釈した。254nmでモニターするWaters Separations2000システムを有するYMC ODS AQ 30×150mmI.D.スチールカラムで溶出することにより、全溶液を逆相HPLCで精製した。リコーダーチャートのスピードは5mm/分である。マニュアルステップ勾配法(流速40mL/分)を移動相ACN/HO/HO~0.5%ギ酸で使用した。生成物を含有する画分を合わせ、揮発性成分を回転式エバポレーターで、真空中30℃で、これに続いて高真空で、室温で18時間除去した。収量:0.002gの黄色のフィルム状物質。MS(-):C809028 に対する計算値;正確な質量:2119.1887;分子量:2120.5820。UPLC/MS実測値M2-1059.82
【0366】
[実施例65]
【0367】
【化79】
【0368】
実施例50(0.0018g、0.0013mmol)のDMF(0.25mL)中溶液を、ビオチン-dPEG7-NH2(Quanta BioDesignカタログ#10826、0.030g)のDMF(1mL)中で処理することにより表題化合物を調製した。反応物を室温で1時間撹拌した。254nmでモニターするWaters Separations2000システムを有するYMC ODS AQ 30×150mmI.D.スチールカラムを使用して、生成した溶液を逆相HPLCで精製した。リコーダーチャートのスピードは5mm/分である。マニュアルステップ勾配法(流速40mL/分)をACN/H2O/H2O~0.5TFAで使用した。生成物を含有する画分を合わせ、揮発性成分を回転式エバポレーターで、真空中30℃で、これに続いて高真空で、室温で18時間除去した。収率0.0024gの黄色のフィルム状物質。MS(-):C831121129 に対する計算値;正確な質量:1886.6236;分子量:1888.16。UPLC/MS実測値1887.59。
【0369】
[実施例66]
化学発光データ
可視波長帯における全化学発光スペクトルの測定のためのプロトコル。装置:Andor Shamrock 303i画像分光器、50ライン/mmでの刻線格子、600nmブレーズ、MgF2コーティングしたアルミニウム、100μm入射スリット。Andor iXonEM+512×512CCDカメラ、モデルDU-897E-CSO-#BV、550nmARコーティングした裏面照射型センサー。CCD検出器チップは、16μmピクセルを有する、電子増倍読出し付きE2V Tech CCD97。熱電冷却は-70℃までであった。最大感受性のために、チップの大部分の範囲をカバーする、垂直線に沿ったピクセル(カラム)ビニング(スリットの画像)を選択した。分光器のソフトウエアを使用して、Ar-Hgペンランプのいくつかの水銀ラインにより、検出波長を較正し、検出器において得たスペクトル分散はおよそ1nm/ピクセルであった。統合は5秒であった。これは普通、化学発光の約5の減衰寿命である。ソフトウエア:Andor Solis for Spectroscopy:X3964、バージョン4.3。試薬:Architectプレトリガー溶液、6E23-65と洗剤、酸性、及び過酸化水素;Architectトリガー溶液、6C55-60と洗剤及び塩基。方法:Hi-Tech Rapid Kinetics Accessory、モデルSFA-11を使用して、ユーザーマニュアルに従い、チャンバ内で、20ms未満の溶液を混合した。ホットキーによりソフトウエアデータ収集をトリガーし、2本の2.5mLシリンジを手作業で押して、キュベット内で50:50の混合を達成した。統合の開始から混合までの遅延は0.5秒未満であると予測された。2mmの経路長をもたらすようにキュベットを方向づけた。蛍光体ごとに適当な波長においてUV吸光度により決定される場合、試料は通常500ナノモル濃度で試験した。
【0370】
複数波長での化学発光の照度計プレートリーダー測定に対するプロトコル。装置:Berthold Mithras LB940マイクロプレートリーダー;オプティカルフィルター、Semrock Brightline シングル-バンドバンドパス、多層誘電体、442/46nm、531/46nm;ホワイト96ウェルプレート、Microfluor I、Thermo 6905。ソフトウエア:Mikrowin 2000v.4.41。試薬:Architectプレトリガー溶液、6E23-65と洗剤、酸、及び過酸化水素;Architectトリガー溶液、6C55-60と洗剤及び塩基。Architectプレトリガー溶液中の50μLの試験化合物を96ウェルプレートのウェル内に配置し、各波長測定に対して別個のウェルに充填した。方法:蛍光体ごとの適当な波長における吸光度により決定される場合、試料は通常20~200pM濃度で試験した。照度計において、適当な波長のオプティカルフィルターを読出し用に選択した。75μLのArchitectトリガー溶液を検出直前に各ウェルに注入した。0.1秒間隔で10秒にわたり、光カウント数を光電子増倍管により測定した。読み取り値は三重反復で測定した。上記アッセイの結果は表1に提示されている。
【0371】
【表1】
【0372】
[実施例67]
アセトアミドリンカー及びフルオレセインの単離した5カルボキシ異性体及び6カルボキシ異性体を使用して、蛍光体結合点及びリンカー長を試験した。図1に示されているデータにより、シフトした発光は、蛍光体結合点により決定され、この蛍光体結合点は、2つの種又は種の凝集の全体的方向性に違いをもたらすことができ、短いリンカー構成において発光をシフトさせる能力を変化させたことが実証されている。
【0373】
フルオレセインの5及び6カルボキシ異性体を、ピペラジンリンカーを使用してさらに試験した。データは図2に示されている。シフトした発光は100%付近の効率で観察されたが、強度の差異が5異性体部分と6異性体部分の間で観察された。強度の差異は、化学発光、若しくは好ましくない方向性を促進し、おそらくクエンチ若しくは非放射性減衰経路をもたらす化学反応の障害、又は吸光度/発光プロファイルの変化をもたらす化合物の凝集に起因し得る。これらの結果は、蛍光体結合点の選択がシフトした発光に対する重要な要素であることを表している。
【0374】
5/6カルボキシローダミン染料混合物と2カルボキシローダミン染料の両方を使用して、発光効率について蛍光体結合点及びリンカー長も試験した。データは図3に示されている。5/6カルボキシローダミンは効率的なシフトした発光を示した一方で、2カルボキシローダミンは、大部分の状況で効率的なシフトした発光を示したが、リンカーの種類に応じて一部の相違があった。例えば、2-カルボキシローダミンBはジメチル-PEG(2)-ジアミンリンカーを介してアクリジニウムに結合した場合、効率的な安定した、シフトした発光を示したが、同じ2-カルボキシローダミンBはピペラジン連結を介してアクリジニウムに結合した場合、測定間隔内でアクリドンの発光レベルの増加を示した。これらの知見は、構造体は利用したトリガー条件下で安定し得ないことを示唆している。対照的に、2カルボキシローダミン6Gは、シフトした発光が90%のみで、10%の青色光が観察されたが、ピペラジン連結を介してアクリジニウムに結合した場合、安定したシフトした発光を生成するようにみえた。
【0375】
カルボキシプロピルスルホプロピルアクリジニウムの、スルホプロピル部分とカルボキシプロピル部分の間で蛍光体の位置を変化させて、開始剤結合点について試験した。カルボキシプロピル基への結合は、蛍光体をアクリジニウム/アクリドン分子の脱離基上に位置づける。したがって、トリガーすると、蛍光体は生成したアクリドン部分から解離する。2つのフルオレセイン化合物を、キサンテン環結合点又はフェニル環結合点を介してアクリジニウムに結合させて、2つの異なる分子の方向性を試験した。442nm及び531nmフィルターを装着した照度計で発光を測定した。データは図4に示されている。カルボキシプロピル開始剤の結合を用いて調製したフルオレセイン化合物は、シフトした発光を示すことができず、アクリジニウム対照と類似の波長光を生成した。好ましいピペラジン連結でのカルボキシプロピルの修飾も試したが、アクリジニウム対照と類似の発光をもたらした。図4は、調製したカルボキシプロピル化合物の選択に対して、各フィルターチャネルにおける光の出力及び分布が、アクリジニウム対照化合物のものと合致したことを示している。
【0376】
様々な長さ及び剛性のジアミンリンカーを使用して、リンカーの種類及びリンカー長を試験した。剛性リンカーは、開始剤及び受容体を、シフトした発光に対して好ましい方向性に保持することができる一方、より長いリンカーは好ましい方向性へと曲げる及び巻き付けるための柔軟性を有し得る。データは図5に示されている。シフトした発光は化合物のそれぞれに対して100%付近の効率で観察された。しかし強度の差異がエチレンジアミンリンカーに対して観察された。強度の差異は、化学発光、又は好ましくない方向性を促進し、おそらくクエンチ又は非放射性減衰経路をもたらす化学反応の障害に起因し得る。これらのデータは、リンカーの選択がシフトした発光に対して重要な要素であり得ることを例示している。
【0377】
本実施例は、いくつかの構造的要素が、シフトした波長発光を有する化学発光性アクリジニウム化合物を開発する上で重要であることを実証している。トリガー条件に対する蛍光体の安定性は有意な重要性を持つ。例えば、シアニン及びケイ素ローダミン染料のアクリジニウムへの連結は、短いシフトした発光、これに続くアクリドン発光をもたらし、これは、マトリックスをトリガーする上で起こり得る構造体の不安定さを示している。水溶性は、イムノアッセイなど、水性ベースでの使用に機能するために必要とされる別の要素である。全体として、リンカー長、蛍光体結合点、及び開始剤結合の選択は、シフトした発光を促進する。理論により限定されることを望むことなく、これら3つの基準は互いに対する蛍光体及び開始剤の方向性、したがってシフトした発光の効率を決定するようにみえる。
【0378】
[実施例68]
HIV p24mAb-アクリジニウム-ルシファーイエローコンジュゲート。乾燥粉末をジメチルスルホキシド(DMSO)中で再構成することにより、実施例48の化合物のストック溶液を調製した。pH5.5 MES緩衝液を使用して、ストック溶液の2つの100×希釈物を調製した。Cary60 UV-Vis分光光度計を使用して、吸光度を370nmで読み取ることにより濃度を決定した。
【0379】
およそ0.3mgのHIV p24 mAbを、35μLの10mMリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に加え、5μLのスパイキング緩衝液(7.5%CHAPSを含む250mM PBS、pH8)を使用してpHを調節して、別個の反応容器内で最終反応pH7.5及び最終CHAPS濃度0.5%を達成した。容器を光から保護し、mAbのモルに対してモルインプット比6、9、又は12を達成するように、実施例48の化合物のストック溶液をそれぞれ反応容器に加えた。反応容器を軽くボルテックスして、次いで、光から保護しながら、終夜およそ20時間静的にインキュベートした。この後、反応容器を遠心分離して、不溶性凝集物を分離し、移動相10mM PBS pH6.3を有するTSKGel G3000SWxlカラム上で、HPLCにより、上澄み液中に残留するタンパク質を精製した。流速1mL/分を使用し、溶出液をフォトダイオードアレイ検出器で、280nm、370nm、及び431nmでモニターした。タンパク質及び実施例48の標識濃度をUV-Vis(それぞれ280及び370nm)で決定した。HIV mAbのモル濃度に対して実施例48のモル濃度を割り算することにより、タンパク質組込み比(IR)に対する標識を決定した。最終IR値2.0、2.5、及び3.0を、1:6、1:9、1:12のモルインプット比に対してそれぞれ達成した。タンパク質コンジュゲートは、使用時まで、光から保護しながら2~8℃で貯蔵した。
【0380】
補正したA280濃度(A280吸光度から、アクリジニウムのA280寄与率を引いたもの)をアクリジニウムのA370吸光度で割ることにより、タンパク質組込み比に対する標識を決定した。タンパク質コンジュゲートは、使用時まで2~8℃で貯蔵した。
【0381】
[実施例69]
抗ヒトIgM mAb-アクリジニウム-ルシファーイエローコンジュゲート。乾燥粉末をDMSO中で再構成することにより、実施例48の化合物のストック溶液を調製した。pH5.5 MES緩衝液を使用して、ストック溶液の2つの100×希釈物を調製した。Cary60 UV-Vis分光光度計を使用して、吸光度を370nmで読み取ることにより濃度を決定した。
【0382】
およそ0.3mgの抗ヒトIgM mAbを35μLの10mMリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に加え、5μLのスパイキング緩衝液(7.5%CHAPSを含む250mM PBS、pH8)を使用してpHを調節して、最終反応pH7.5及び最終CHAPS濃度0.5%を達成した。容器を光から保護し、mAbのモルに対してモルインプット比8.5を達成するように、実施例48の化合物のストック溶液を加えた。反応容器を軽くボルテックスして、次いで、光から保護しながら、5時間静的にインキュベートした。この後、反応容器を遠心分離して、不溶性凝集物を分離し、移動相10mM PBS、pH6.3を有するTSKGel G3000SWxlカラム上で、HPLCにより、上澄み液中に残留するタンパク質を精製した。流速1mL/分を使用し、溶出液をフォトダイオードアレイ検出器で、280nm、370nm、及び431nmでモニターした。タンパク質及び実施例48の標識濃度を、UV-Vis(それぞれ280及び370nm)で決定した。HIV mAbモル濃度に対して実施例48のモル濃度を割り算することにより、タンパク質組込み比(IR)に対する標識を決定した。最終IR値2.6を、1:8.5モルのインプット比に対して達成した。タンパク質コンジュゲートは、使用時まで、光から保護しながら2~8℃で貯蔵した。
【0383】
[実施例70]
抗ヒトIgG mAb-アクリジニウム-フルオレセインコンジュゲート。乾燥粉末をDMSO中で乾燥重量5mg/mLに再構成することにより実施例12の活性エステル化合物のストック溶液を調製した。
【0384】
別個の反応容器内で、およそ2mgの抗ヒトIgG抗体をおよそ890μLの10mMリン酸緩衝生理食塩水pH8.0に加えた。容器を光から保護し、mAbのモルに対してモルインプット比3、5、又は7を達成するように、実施例12溶液の活性エステルを各反応容器に加えた。反応容器を軽くボルテックスして、次いで、光から保護しながら、終夜、およそ16時間静的にインキュベートした。この後、反応容器を遠心分離して、不溶性凝集物を分離し、移動相10mM PBS pH6.3を有するPD10 G25脱塩カラムを使用して、上澄み液中に残留するタンパク質を脱塩した。70ng/mLコンジュゲートを、Architectプレトリガー及びトリガーに加えることにより、トリガー可能なカウント数を、Mithras LB 940照度計で測定した。タンパク質コンジュゲートは、使用時まで光から保護しながら2~8℃で貯蔵した。
【0385】
[実施例71]
HIV p24 mAb-アクリジニウム-フルオレセインコンジュゲート。乾燥粉末をジメチルスルホキシド(DMSO)中で再構成することにより、DBCO-PEG-NHS(Click Chemistry Tools A134)の10mg/mLストック溶液を調製した。zebaスピンカラムを使用して、HIV p24 mAbを脱塩し、抗体濃度をUV-Vis吸光度280nmで決定した。反応容器を光から保護し、mAbのモルに対してモルインプット比8を達成するように、DBCO溶液を加えた。反応容器を軽くボルテックスして、次いで、終夜(およそ20時間)静的にインキュベートした。生成した溶液をHPLCで精製した。DBCO抗体濃度をUV-Vis吸光度280nmで再度決定した。実施例12のアジド化合物のストック溶液をDMSO中乾燥重量3.2μMで調製した。DBCO抗体を、50μLの実施例12アジド溶液を含む50μLのDBCO抗体溶液と共に、反応容器内で、光から保護しながら終夜(20時間)室温でインキュベートすることにより、実施例12アジドと反応させた。HIV mAbのモル濃度に対して実施例12のモル濃度を割り算することにより、タンパク質組込み比(IR)に対する標識を決定した。最終IR値およそ2.0を達成した。タンパク質コンジュゲートは、光から保護しながら使用時まで2~8℃で貯蔵した。
【0386】
[実施例72]
HIV p24 mAb-アクリジニウム-BODIPY493コンジュゲート。乾燥粉末をDMSO中で再構成することによって、実施例51の化合物のストック溶液を調製した。pH5.0 MES緩衝液を使用して、ストック溶液の2つの100×希釈物を調製した。Cary60 UV-Vis分光光度計を使用して、吸光度を370nmで読み取ることにより濃度を決定した。
【0387】
およそ0.3mgのHIV p24 mAbを別個の反応容器内のおよそ40μLの10mMリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に加えた。容器を光から保護し、mAbのモルに対してモルインプット比5、10、又は15を達成するように、実施例51の化合物のストック溶液を各反応容器に加えた。反応容器を軽くボルテックスして、次いで、光から保護しながら、終夜、およそ16時間静的にインキュベートした。この後、反応容器を遠心分離して、不溶性凝集物を分離し、移動相10mM PBS pH6.3を有するTSKGel G3000SWxlカラム上で、HPLCにより上澄み液中に残留するタンパク質を精製した。流速1mL/分を使用して、溶出液をフォトダイオードアレイ検出器で、280nm、370nm、及び431nmでモニターした。タンパク質及び実施例51標識濃度をUV-Vis(それぞれ280及び370nm)で決定した。HIV mAbのモル濃度に対して実施例51のモル濃度を割り算することにより、タンパク質組込み比(IR)に対する標識を決定した。溶解性コンジュゲート凝集物は、IR値8.8、7.9、及び8.4をそれぞれ1:5、1:10、1:15モルインプット比に対して生成し、調査したインプット比を有するIRに対する飽和点を表している。タンパク質コンジュゲートは、光から保護しながら使用時まで2~8℃で貯蔵した。
【0388】
[実施例73]
HIV p24 mAb-アクリジニウム-BODIPY Texas Red (TR)コンジュゲート。乾燥粉末をDMSO中で再構成することにより、実施例52の化合物のストック溶液を調製した。pH5.5 MES緩衝液を使用して、ストック溶液の2つの100×希釈物を調製した。Cary 60 UV-Vis分光光度計を使用して、370nmで吸光度を読み取ることにより濃度を決定した。
【0389】
およそ0.3mgのHIV p24 mAbを、別個の反応容器内のおよそ7.5μLの10mMリン酸緩衝液に加えた。容器を光から保護し、実施例52の化合物のストック溶液を各反応容器に加えていずれかの1:10のモルインプット比を達成した。実施例52の化合物の可溶化を助けるため、量を30%の反応容量まで増加させながら、DMSOを加えた。最終反応容量は25μLであった。反応容器を軽くボルテックスし、次いで光から保護しながら、終夜、およそ16時間、静的にインキュベートした。この後、反応容器を遠心分離して、不溶性凝集物を分離し、移動相10mM PBS pH6.3を有するTSKGel G3000SWxlカラム上でHPLCにより上澄み液中に残留するタンパク質を精製した。流速1mL/分を使用して、溶出液をフォトダイオードアレイ検出器で、280nm、370nm、及び431nmでモニターした。溶解性凝集物が観察され、さらなる試験のために単離した。タンパク質コンジュゲートは、光から保護しながら使用時まで2~8℃で貯蔵した。
【0390】
[実施例74]
HIV p24 mAb-PEG-アクリジニウム-ルシファーイエローコンジュゲート。乾燥粉末をDMSO中で再構成することにより、実施例50の化合物のストック溶液を調製した。pH5.5 MES緩衝液を使用して、ストック溶液の2つの100×希釈物を調製した。Cary60 UV-Vis分光光度計を使用して、370nmで吸光度を読み取ることにより濃度を決定した。
【0391】
およそ0.3mgのHIV p24 mAbを、35μLの10mMリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に加え、5μLのスパイキング緩衝液(7.5%CHAPSを含む250mMPBS、pH8)を使用してpHを調節して、最終反応pH7.5及び最終CHAPS濃度0.5%を達成した。容器を光から保護し、mAbのモルに対してモルインプット比20を達成するように、実施例50のストック溶液からの化合物を反応容器に加えた。反応容器を軽くボルテックスして、次いで、光から保護しながら、終夜、およそ16時間静的にインキュベートした。この後、反応容器を遠心分離して、不溶性凝集物を分離し、上澄み液中に残留するタンパク質を、移動相10mM PBS pH6.3を有するTSKGel G3000SWxlカラム上で、HPLCにより精製した。流速1mL/分を使用し、フォトダイオードアレイ検出器で、280nm、370nm、及び431nmで溶出液をモニターした。タンパク質及び実施例50標識濃度をUV-Vis(それぞれ280及び370nm)で決定した。HIV mAbのモル濃度に対して実施例50のモル濃度を割り算することにより、タンパク質組込み比(IR)に値する標識を決定した。1:20モルインプット比に対して、最終IR値4.0を達成した。タンパク質コンジュゲートは、光から保護しながら使用時まで2~8℃で貯蔵した。
【0392】
[実施例75]
抗ヒトIgG MAB-ルシファーイエロー-CPSP-PEG4アクリジニウムコンジュゲート。乾燥粉末をDMSO中で9.3mg/mLに再構成することにより、ルシファーイエロー-CPSP-PEG4活性エステル(実施例50)のストック溶液を調製した。
【0393】
およそ1mgの抗ヒトIgG mAbを、50mMリン酸カリウム150mM塩化カリウムpH8.0に対して、0.2L/mLの比で透析した。透析後、光から保護された反応容器内で、0.7mgの抗体を、シクロデキストリン(反応物中30%)を含有する60μLのリン酸カリウム緩衝液、pH8.0に加えた。mAbのモルに対してモルインプット比10を達成するように、ルシファーイエロー-CPSP-PEG4アクリジニウム溶液を反応容器に加えた。反応容器を軽くボルテックスし、光から保護しながら、終夜、およそ22時間静的にインキュベートした。反応容器を遠心分離して不溶性凝集物を分離し、移動相10mM PBS pH6.3を有するG3000カラム上でSEC-HPLCを介して残留する上澄み液を精製した。UV-VISを介してコンジュゲートIRを決定し、A280及びA370を測定した。タンパク質コンジュゲートは2~8℃で貯蔵した。
【0394】
[実施例76]
抗TSHMAB-ルシファーイエロー-CPSP-PEG4アクリジニウムコンジュゲート。乾燥粉末をDMSO中で9.3mg/mLに再構成することにより、ルシファーイエロー-CPSP-PEG4活性エステル(実施例50)のストック溶液を調製した。
【0395】
およそ3mgの抗TSH mAbをZeba脱塩カラム上でリン酸緩衝液pH8.0へと脱塩した。脱塩後、光から保護された反応容器内で、2.6mgの抗体をシクロデキストリン(反応物中30%)、pH8.0を含有する200μLのリン酸緩衝液に加えた。mAbのモルに対してモルインプット比7.5を達成するように、ルシファーイエロー-CPSP-PEG4アクリジニウム溶液を反応容器に加えた。反応容器を軽くボルテックスして、光から保護しながら、終夜およそ18時間静的にインキュベートした。反応容器を遠心分離して、不溶性凝集物を分離し、移動相10mM PBS pH6.3を有するSephacryl S-300カラム上でSECを介して、残留する上澄み液を精製した。UV-VISを介してコンジュゲートIRを決定し、A280及びA370を測定した。タンパク質コンジュゲートは2~8℃で貯蔵した。
【0396】
[実施例77]
抗NGAL mAbビオチン-アクリジニウム-ルシファーイエロー(LY)。DMSO中で乾燥粉末を乾燥重量10mg/mLへと別々に再構成することにより、ビオチン活性エステル(購入したもの)及びアクリジニウムルシファーイエロー(実施例48)のストック溶液を調製した。
【0397】
およそ200μgの抗NGAL IgG抗体をおよそ100μLの10mMリン酸緩衝生理食塩水pH8.0に加えた。容器を光から保護し、mAbのモルに対して5倍のモルインプット比を達成するように、ビオチンの活性エステル溶液を加えた。反応容器を軽くボルテックスし、次いで、光から保護しながら、終夜、およそ16時間静的にインキュベートした。次いで、溶液を脱塩カラム(Zebaスピン脱塩カラム、Thermo Scientifics製)に充填した。吸収スペクトルをA280nmで測定することにより、標識した抗体の濃度を決定した。A280に対する吸光係数は1.45/mg/mLであった。次いで、精製したタンパク質を、1:0.5のモル比(mAb:アクリジニウム-LY)で、アクリジニウム-ルシファーイエローの活性エステルともう16時間反応させた。標識に使用したアクリジニウム-LYの量は、故意に低く保持した。未反応のアクリジニウム-LYを別の脱塩カラムで除去することが好ましいが、生成物はさらに精製せずに使用することもできる。タンパク質コンジュゲートは、光から保護しながら使用時まで2~8℃で貯蔵した。
【0398】
[実施例78]
本実施例は、本開示によるプロラクチンを検出するためのイムノアッセイにおいてマクロプロラクチン干渉物質を検出する方法を実証する。
【0399】
本開示は、識別されたリポーターコンジュゲート(発光波長又は時間分解発光)の使用について記載しており、プロラクチンを標的とするものもあり、マクロプロラクチン/大プロラクチン(干渉分子)を標的とするものもある。干渉分子を標的とするコンジュゲートは、抗ヒトIgG、抗マクロプロラクチンAb、又はプロラクチンの存在下でマクロプロラクチンと優先的に結合する任意の他の構造体であってよい。捕捉剤(抗プロラクチン抗体又は他の捕捉剤をコーティングした固形担体)は、試料中のプロラクチンとマクロプロラクチンの両方を捕捉する。次いで、これら2つのコンジュゲートを添加し、発光は、発光波長(例えば複数の、フィルターを通した光電子増倍管(PMT)構成又は電荷結合デバイス(CCD)カメラ)又は時間分解発光を識別することが可能な検出システムを介して読み取る。マクロプロラクチンの存在は、マクロプロラクチンコンジュゲートの応答に対する閾値又はプロラクチンコンジュゲートとマクロプロラクチンコンジュゲート応答との比のいずれかを使用して決定される。
【0400】
この目的を達成するために、抗ヒトIgG mAb-アクリジニウム-ルシファーイエローコンジュゲートを調製することができる。乾燥粉末をDMSO中で再構成することにより、アクリジニウム-ルシファーイエローの活性エステルのストック溶液を調製する。pH5.5 MES緩衝液を使用して、ストック溶液の2つの100×希釈物を調製する。Cary60 UV-Vis分光光度計を使用して、吸光度を370nmで読み取ることにより濃度を決定する。
【0401】
およそ0.3mgの抗ヒトIgGmAbを35μLの10mMリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に加える。5μLのスパイキング緩衝液(250mM PBSと7.5%CHAPS、pH8)を使用して、pHを調節して、最終反応物pH7.5及び最終CHAPS濃度0.5%を達成した。容器を光から保護し、mAbのモルに対してモルインプット比8.0を達成するように、標識ストック溶液を加える。反応容器を軽くボルテックスし、次いで、光から保護しながら5時間静的にインキュベートする。この後、反応容器を遠心分離して、不溶性凝集物を分離し、移動相10mM PBS pH6.3を有するTSKGel G3000SWxlカラム上でHPLCにより上澄み液中に残留するタンパク質を精製する。流速1mL/分を使用し、フォトダイオードアレイ検出器を用いて280nm、370nm、及び431nmで溶出液をモニターする。タンパク質及び標識濃度をUV-Vis(それぞれ280及び370nm)で決定する。抗ヒト IgG mAbのモル濃度に対してアクリジニウム-ルシファーのモル濃度を割り算することにより、タンパク質組込み比(IR)に対する標識を決定する。タンパク質コンジュゲートは2~8℃で貯蔵し、使用時まで光から保護する。
【0402】
干渉検出に対するプロラクチン及びマクロプロラクチンコンビネーションアッセイを次いで実施する。具体的には、マクロプロラクチン検出用の抗マクロプロラクチンmAb-アクリジニウム-ルシファーイエローコンジュゲート及びプロラクチン検出用の抗プロラクチンmAb-アクリジニウムコンジュゲート(50ng/mL)を、リン酸緩衝液及びタンパク質(魚及びウシ)安定剤を含有するARCHITECT(登録商標)(Abbott、Abbott Park、IL)プロラクチンコンジュゲート希釈剤中で希釈することにより、プロラクチン及びマクロプロラクチン検出キットを組み立てる。実験用コンジュゲートのビンを市販のAbbottプロラクチンマイクロ粒子(Abbottリスト番号7K76)と対にする。アッセイ試験は、2チャネル光学機器構成で改変したARCHITECT(登録商標)自動化イムノアッセイ分析器で実施する。簡単に説明すると、デュアル光電子増倍管(PMT)集合体を構築し、500nmにおいて波長カットオフを有するダイクロイックミラーを使用して、垂直PMTに低い波長光(ブルー)を反射させ、その一方でより高い波長光(グリーン)は、鏡を介して第2のPMTに反射させる。それぞれのPMTに到達する前に、所望の光をさらにフィルターにかけるために、ダイクロイックミラーの後に適当なフィルターを配置する。ARCHITECT(登録商標)装置のハードウエアを使用して、反射した(ブルー)PMTからの出力を読み取り、その一方で別個のカウンターモジュール及びラップトップコンピュータインターフェイスを使用して、インライン(グリーン)PMTからのシグナルをコンパイルする。特注のIDLコードを使用して、インラインPMTからのシグナルを自動的にプロセスする。
【0403】
アッセイ試験は、CMIA技術を使用して2ステップイムノアッセイを実施する市販のARCHITECT(登録商標)プロラクチンアッセイファイルを使用して実施する。簡単に説明すると、試料、ARCHITECT(登録商標)Wash Buffer、アッセイ希釈剤、及びマイクロ粒子を第1ステップで合わせる。試料中に存在するプロラクチン及びマクロプロラクチンは抗プロラクチンコーティングしたマイクロ粒子に結合する。洗浄後、アクリジニウム標識したコンジュゲートが加えられ、マイクロ粒子に捕捉されたプロラクチン及びマクロプロラクチンに結合する。もう1つの洗浄サイクル後、プレトリガー及びトリガー溶液を反応混合物に加えて、化学発光性シグナルを誘発し、これを相対的光単位(RLU)として測定する。
【0404】
干渉試験を実施し、この試験では、公知の量のプロラクチンを含有するヒト血漿を、0ng/mLから予め決定した上側の範囲まで増加するレベルのマクロプロラクチンを加える。両方のデータチャネルで生成されたシグナルを処理及び分析する。マクロプロラクチン干渉の存在は、マクロプロラクチンコンジュゲート応答に対する閾値及びプロラクチンコンジュゲート応答とマクロプロラクチンコンジュゲート応答との比の両方を使用することにより決定される。結果はポリエチレングリコール沈殿法で検証される。
【0405】
[実施例79]
この実施例は、本開示によるチログロブリン(Tg)検出イムノアッセイにおいて抗チログロブリン抗体干渉物質を検出する方法を実証する。
【0406】
抗Tg抗体の存在下でのTgのイムノアッセイ検出は重要である。これは、多くのTgアッセイがTgAb-複合体を形成したTgを認識することに失敗し、したがって、Tgの真の濃度を低く見積もっているからである。この干渉は間違いなく、サンドイッチフォーマットTgイムノアッセイの臨床的有用性が直面している主要な問題である(Feldt-Rasmussen、U及びRasmussen、K.、J Endocrinol Invest.、8巻:571~576頁(1985年);及びSchaadtら、Thyroid、5巻(3号):165~170頁(1995年))。抗Tg抗体は、甲状腺癌患者の30~60%の症例において検出されており、問題が比較的広範囲に及ぶことを実証している。抗Tg抗体の定量的評価は潜在的抗Tg Ab 干渉を同定するためのTgのすべての測定と共に推奨されている(Haugenら、Thyroid、26巻(1号):1~133頁(2016年);及びPerrosら、Clin Endocrinol.、81巻(s1):1~122頁(2014年))。
【0407】
識別されたリポーターコンジュゲート(発光波長又は時間分解発光)を使用して、本開示によるTg/抗Tgコンビネーションアッセイ(Tg combo)を作り出すことができる。アッセイフォーマットは、抗Tgコンジュゲートと対になった、Tgコーティングしたマイクロ粒子及び識別された抗ヒトIgG抗体コンジュゲートを含む。試料からのTgは、抗Tgコンジュゲートの結合に対してTgマイクロ粒子と競合する(競合アッセイ)一方、抗ヒトIgGコンジュゲートは、Tgマイクロ粒子で捕捉された試料からの抗Tg抗体と結合し、これを検出する(サンドイッチフォーマット)。発光は、発光波長(例えば、複数の、フィルターを通した光電子増倍管(PMT)構成又は電荷結合デバイス(CCD)カメラ)又は時間分解発光を識別することが可能な検出システムを介して読み取られる。Tg comboアッセイは、予測のために2つの別個のアッセイを実施する必要性を排除する。
【0408】
この目的を達成するために、2つのコンジュゲート、すなわちTg検出用の抗Tg mAb-アクリジニウムコンジュゲート及び抗Tg抗体検出用の抗ヒトIgGmAb-アクリジニウム-ルシファーイエローコンジュゲート(実施例75に記載の通り、最終40ng/mL)を作製し、両方ともMES緩衝液及びタンパク質(ウシ)安定剤を含有するARCHITECT(登録商標)抗Tgコンジュゲート希釈剤中で希釈することにより、Tg combo検出キットを組み立てた。実験用コンジュゲートのビンを市販のAbbott抗Tgマイクロ粒子(Abbottリスト番号2K46)と対にした。2チャネル光学機器構成で改変されたARCHITECT(登録商標)(Abbott、Abbott Park、IL)自動化イムノアッセイ分析器でアッセイ試験を実施した。簡単に説明すると、デュアル光電子増倍管(PMT)集合体を構築し、500nmにおいて波長カットオフを有するダイクロイックミラーを使用して、垂直PMTに低い波長光(ブルー)を反射させ、その一方でより高い波長光(グリーン)は、鏡を介して第2のPMTに反射させた。それぞれのPMTに到達する前に、所望の光をさらにフィルターにかけるために、ダイクロイックミラーの後に適当なフィルターを配置した。ARCHITECT(登録商標)装置のハードウエアを使用して、反射した(ブルー)PMTからの出力を読み取り、その一方で別個のカウンターモジュール及びラップトップコンピュータインターフェイスを使用して、インライン(グリーン)PMTからのシグナルをコンパイルした。インラインPMTからのシグナルを自動的にプロセスするための特注のコンピュータプログラム(IDLコード)を開発した。
【0409】
1ステップ/2ステップを合わせたフォーマットで、CMIA技術を使用して、アッセイ試験を実施した。簡単に説明すると、試料、アッセイ希釈剤、マイクロ粒子及び抗TgmAbコンジュゲートを合わせ、インキュベートし、これに続いて洗浄ステップ及び第2のコンジュゲートインキュベーションステップを行った。洗浄サイクル後、プレトリガー及びトリガー溶液を反応混合物に加えて、化学発光性シグナルを誘発し、これらのシグナルを相対的な発光単位(RLU)として測定した。
【0410】
干渉試験を実施し、この試験において、ヒト血漿の4種の試料を混合し、すべての4種が300ng/mLのTgを含有するようにし、その一方で抗Tg抗体は、0、100、200、及び400IU/mLのレベルで加えた。両方のデータチャネルで生成されたシグナルを処理及び分析し、結果が図1A及び1Bに示されている。抗Tg抗体干渉の存在は、抗Tg抗体コンジュゲート応答に対する閾値及び抗Tg抗体コンジュゲート応答とTgコンジュゲート応答との比の両方を使用することにより決定した。
【0411】
[実施例80]
本実施例は、第2の色チャネルで検出及び定量化された抗トロポニン抗体濃度情報を使用して、干渉性抗トロポニン抗体の存在により引き起こされるバイアスを補正して、トロポニンを検出及び定量化する能力を実証する。
【0412】
市販のAbbottトロポニンアッセイは、抗トロポニン捕捉抗体でコーティングしたマイクロ粒子からなり、これらマイクロ粒子は、アクリジニウム標識した、第2の抗トロポニン抗体-コンジュゲートでその後検出されるトロポニン分子を捕捉する。患者試料がヒト免疫系で作られた抗トロポニン抗体も含有する場合、これらの抗体はまたトロポニンに結合し、アッセイにおけるトロポニンの捕捉及び/又は検出を遮断し、人為的に低下させられたトロポニンシグナルをもたらす。
【0413】
ここで、第3の抗トロポニンヒトキメラの抗体を試料に混合し(ヒト自己抗体応答を模倣するため)、ルシファーイエロー結合したアクリジニウムコンジュゲートで標識した抗ヒト抗体からなるグリーンチャネルコンジュゲートを構築した(実施例75)。増加するレベルのヒトキメラ抗トロポニン抗体(0、3、10、30、100、300、1000、2000、及び10,000ng/mL)を含有するように、トロポニンCalibrator E(10ng/mL)の9種の100μL試料を混合した。混合した試料は、2ステップアッセイとしてAbbott ARCHITECT(登録商標)(Abbott、Abbott Park、IL)装置でアッセイし、このアッセイでは、マイクロ粒子、試料、及びSTATトロポニンコンジュゲート(ブルーチャネル)を混合し、18分間インキュベートした。洗浄ステップ後、結合した複合体を有するマイクロ粒子を第2のコンジュゲート(200ng/mL、グリーンのチャネル)と共に4分間インキュベートした。もう1回の洗浄サイクル後、プレトリガー及びトリガーを加えて、化学発光性反応を促進した。ダイクロイックミラー(500nmカットオフ)で分離したグリーン及びブルーシグナルを、2つのPMTで検出した。ブルーシグナルの減少(バイアス)とグリーンチャネルの増加(干渉物質濃度レベル)との間の相関関係は傾き約3.8の直線であると決定された。図2A~2Cに示されている通り、ブルーチャネルシグナルレベルは、干渉抗体の存在を成功裏に裏付ける補正された、ブルーチャネルトロポニンシグナルを生成し、これらのそれぞれのグリーンチャネルレベルの3.8倍に増加し得る。
【0414】
本実施例は、試料の干渉/交差反応において数学的に排除するデュアルチャネル検出及びデュアルチャネル較正の有用性を実証している。
【0415】
[実施例81]
デュアルチャネルアッセイ系を使用して、ビオチン干渉を検出及び補正することができる。
【0416】
「キャプチャーオンザフライ」のイムノアッセイフォーマットでは、捕捉抗体はビオチンで標識し、検出抗体はレポーター基(例えばアクリジニウム)で標識する。分析対象物質との反応後、ストレプトアビジンコーティングしたマイクロ粒子を使用して、免疫複合体を引き込む。患者の血流中にすでに高レベルのビオチンが存在する場合、遊離ビオチンもまたストレプトアビジンコーティングしたマイクロ粒子に結合し、免疫複合体を遮断するので、マイクロ粒子により捕捉される免疫複合体の量に支障をきたす恐れがある。これにより、シグナルは低減し、偽陰性となる。
【0417】
この現象に対処するため、デュアル標識(ビオチン及びレポーター基、標識2)を有する捕捉抗体を生成する。検出抗体は異なるレポーター基(標識1)で標識される。分析対象物質を含有する試料は、水溶液中で捕捉抗体及び検出抗体と反応して、免疫複合体を形成する。次いで、免疫複合体はストレプトアビジンマイクロ粒子により捕捉される。洗浄ステップ後、検出抗体(標識1)及び捕捉抗体(標識2)から放出されるシグナルをチャネル1及びチャネル2でそれぞれ同時に測定する。ビオチン干渉の不在下で、捕捉抗体シグナル(チャネル2)は、純粋に引き込み効率により決定されるので、分析対象物質濃度に関わらず一定のままである。検出抗体(チャネル1)からのシグナルは分析対象物質濃度を反映する。ビオチン干渉が存在する場合、両チャネルからのシグナルは、すべての分析対象物質の濃度に対して低減する。しかし、チャネル2からのシグナルを使用して、ビオチン干渉のバイアス作用に対してチャネル1からのシグナルを補正することができる。
【0418】
上記システムを使用して、高い過剰レベルのビオチンの存在下で、好中球ゼラチナーゼに伴うリポカリン(NGAL)を検出する実験を実施した。第1の実験に対して、以下の試薬を使用した:ビオチン及びルシファーイエロー-アクリジニウムで標識した抗NGAL mAb A(捕捉抗体)、アクリジニウムで標識した抗NGAL mAb B(検出抗体)、及びストレプトアビジンコーティングしたマイクロ粒子(M270)(ThermoFisher Scientific、Waltham、MA)。捕捉抗体及び検出抗体はNGALに同時に結合し、免疫複合体を形成することができる。様々な濃度のNGALを捕捉抗体と検出抗体の両方を含有する混合物に加え、短いインキュベーション後、ストレプトアビジンコーティングしたマイクロ粒子を溶液に加えて、捕捉抗体及び免疫複合体を引き込んだ。次いで、洗浄ステップを導入して、未結合の抗体及び分析対象物質を除去した。最後に、捕捉抗体(チャネル2)、及び検出抗体(チャネル1)からのシグナルを同時に測定した。2μg/mlのビオチンを各試料に導入するというわずかな修正を行い、同じ実験を繰り返した。結果は表2及び3、及び図3に示されている。
【0419】
【表2】
【0420】
【表3】
【0421】
2μg/mlのビオチンの存在下で、チャネル1及びチャネル2の両方からのシグナルは有意に減少した(表3と表2を比較)。しかし、補正率を使用した場合、補正率(4番目の列)をチャネル1のシグナル(2番目の列)に掛けることにより、チャネル1からのシグナルは補正することができる。各試料に対する補正率は、対照シグナル(表1の太字の値)のそれぞれ対応するチャネル2シグナル(3番目の列)に対する比から計算した。
【0422】
以下の試薬、すなわち、ビオチンで標識した抗NGAL mAb A(捕捉抗体1)、ビオチン及びルシファーイエロー-アクリジニウムで標識した抗NGAL mAb A(捕捉抗体2)、アクリジニウムで標識した抗NGAL mAb B(検出抗体)、及びストレプトアビジンコーティングしたマイクロ粒子(M270)(ThermoFisher Scientific、Waltham、MA)を使用して第2の実験を実施した。シングル及びデュアルチャネルシステムを評価した。シングルチャネルシステムに対して、100μLの70nM NGALを、捕捉抗体1と検出抗体の両方を含有する900μLの混合物に加え、5つの試料カップにアリコートした。様々な量のビオチンを試料カップに加えた(最終ビオチン濃度は10ng/mL~10μg/mLの範囲)。短いインキュベーション後、ストレプトアビジンコーティングしたマイクロ粒子を反応混合物に加え、これに続いて洗浄ステップにより未結合のビオチン、抗体、及び分析対象物質を除去した。最後に、検出抗体(チャネル1)からのシグナルを測定した。
【0423】
デュアルチャネルシステムに対して、100μLの70nM NGALを、900μLの抗体混合物(捕捉抗体2と検出抗体の両方を含有する)に加え、5つの試料カップにアリコートした。シングルチャネルに対して使用した同じ量のビオチンを試料カップに再度加え、これに続いて同等のインキュベーション及び洗浄ステップを行った。捕捉抗体2(チャネル2)と検出抗体(チャネル1)の両方からのシグナルを同時に測定した。
【0424】
シングルチャネルシステムとデュアルチャネルシステムの両方に対する結果が表4及び図4に示されている。表4は一連の試料から測定されたシグナルを示しているが、測定は、シングルチャネルとデュアルチャネルの両方の検出構成を使用して、NGAL濃度を一定に保ち、ただし様々な量のビオチンの存在下で行われた。
【0425】
【表4】
【0426】
シングルチャネルシステムでは、過剰の量のビオチンはアッセイシグナルを有意に低減させた(表4、2番目の列)。デュアルチャネルシステムでは、過剰の量のビオチンはまたアッセイシグナルを有意に低減させたが(表4、3番目の列)、チャネル2を使用して、補正率を生成することができ(表4、4番目の列)、補正されたチャネル1(表4、最後の列)は、ビオチンの干渉にもかかわらず真のNGALシグナルレベルを回復することができた。
【0427】
[実施例82]
本実施例は、2ステップイムノアッセイのダイナミックレンジを拡大する方法について記載する。
【0428】
この2ステップ免疫サンドイッチアッセイフォーマットでは、標的分析対象物質は抗体をコーティングしたマイクロ粒子で最初に捕捉され、未結合の分析対象物質を除去した後、次いで(i)標的分析対象物質に異なる親和性を有する、(ii)はっきりと異なる標識で構築されている、及び(iii)異なる濃度で存在する、2種の抗体コンジュゲートで検出される。図5に示されている通り、標的分析対象物質に対してより高い親和性を有するコンジュゲート(コンジュゲート1)は、非特異性結合を最小化するために比較的低い濃度で存在する。コンジュゲート1により放出されるシグナルはチャネル1で測定され、反応液中の利用可能なコンジュゲートのすべてが分析対象物質に結合すると、高い分析対象物質濃度において水平状態に達する。対照的に、コンジュゲート2/チャネル2(より低い親和性、高濃度)からのシグナルは低い分析対象物質濃度では比較的平坦であるが、高い分析対象物質濃度において良い用量反応性を有する。組み合わせて使用すると、コンジュゲート1及び2は、より幅広いダイナミックレンジをカバーするアッセイを可能にする。公知の分析対象物質濃度から構築された区分的較正曲線は、チャネル1からの第1のセグメント(太字で示されている)、境界を線引きするフラグ、及びチャネル2からの第2のセグメント(太字で示されている)を含む。
【0429】
[実施例83]
本実施例は、本開示による、より広いダイナミックレンジを有する、改変されたワンステップイムノアッセイフォーマットについて記載する。
【0430】
ここでは、1種の捕捉抗体及び1種の検出抗体が使用されるが、検出抗体は、2種のはっきりと異なる標識(標識1又は標識2)を含む2種の亜集団で構成される。第1のアッセイステップでは、分析対象物質、マイクロ粒子、及び標識1を有するコンジュゲート(コンジュゲート1)を一緒に反応させる。インキュベーション及び洗浄ステップ後、標識2のタグを付けた同じ検出抗体(コンジュゲート2)を加える。第2のインキュベーション及び洗浄ステップ後、図6に示されているように、チャネル1(コンジュゲート1の検出用)及びチャネル2(コンジュゲート2の検出用)からのシグナルを同時に読み取る。チャネル1からのシグナルを使用して、一連の公知の分析対象物質濃度から較正曲線を生成する。チャネル2からのシグナルは、所与の測定結果に対して較正曲線の上昇セクション又は下行セクションを参照すべきかどうか示すフラグシグナルとして使用する。例えば、チャネル2からのシグナルが指定されたフラグ値より低い場合、チャネル1からのシグナルを、較正曲線の上昇セクションと比較して、分析対象物質濃度を決定する。チャネル2からのシグナルがフラグ値より高い場合には、較正曲線の下行セクションを使用して分析対象物質濃度を決定すべきである。フラグ値はチャネル2から測定され、チャネル1の較正曲線における屈曲点に対応すると定義される。
【0431】
デュアル-カラーTSHアッセイを実施して、この手法の実現可能性を実証した。0pM対照を含めて、351nMから1.3pMまでの2倍段階希釈で20種のTSH試料を調製した。TSHアッセイキットは以下の試薬、すなわち、TSH捕捉抗体-コーティングしたマイクロ粒子、TSHAb-アクリジニウム(コンジュゲート1)、TSHAb-アクリジニウム-ルシファーイエロー(コンジュゲート2)、及びアッセイに特異的な希釈剤(ASD)を含む。コンジュゲート1及びコンジュゲート2は異なる標識を有する同じ抗体である。アッセイでは、25μLのマイクロ粒子、150μLの試料、70μLのASD、及び50μLのコンジュゲート1を混合し、8分間インキュベートした。洗浄ステップ後、50μLのコンジュゲート2をこの反応チャンバに加え、4分間インキュベートした。第2の洗浄ステップ後、プレトリガー及びトリガー溶液をこの反応チャンバに加えた。ダイクロイックミラーを組み込んだデュアル-チャネル検出システムを使用して、コンジュゲート1及びコンジュゲート2からのシグナルを分離し、収集した。図7Aは両チャネルのTSH較正曲線を示している。図7Bは、それぞれの曲線形状のより明白な表示のために正規化されたシグナルを示している。チャネル1シグナルは1.4nM(TSH)においてそのピーク値に到達した一方、チャネル2シグナルは、約20nMにおいて水平状態に達するまで継続して増大した。フラグ値を特定し、39,000カウント数で固定した。未知の試料を試験する場合、チャネル2からのRLUが39,000未満の場合、分析対象物質濃度は、チャネル1からの曲線の上昇セクションを使用して決定すべきである。チャネル2からのシグナルが39,000より高い場合、分析対象物質濃度は、チャネル1からの曲線の下行セクションを使用して決定すべきである。較正曲線の形状はそれぞれ試薬の濃度に依存する。試薬レベルを調節した場合、屈曲点は、より高い又はより低いTSH濃度へとシフトさせることができる。
【0432】
刊行物、特許出願、及び特許を含む、本明細書で引用されたすべての参考文献は、各参考文献が参照により組み込まれていると個々に及び具体的に示されているかのように参照により本明細書に組み込まれており、その全体が本明細書で記載されている。
【0433】
「a」及び「an」及び「the」及び「少なくとも1つ」という用語並びに類似の指示対象の使用は、本明細書で他に指摘されていない限り又は文脈において明確に矛盾しない限り、本発明を記載する文脈において(特に以下の特許請求の範囲の文脈で)単数と複数の両方を網羅すると解釈されるものとする。「少なくとも1つ」という用語、これに続く1つ以上の項目のリスト(例えば、「A及びBの少なくとも1つ」)の使用は、本明細書で他に指摘されていない限り又は文脈において明確に矛盾しない限り、列挙された項目から選択される1つの項目(A又はB)、又は列挙された項目の2つ以上の任意の組合せ(A及びB)を意味すると解釈されるものとする。「含む(comprising)」、「有する」、「含む(including)」及び「含有する」という用語は、別途明示されていない限り、制限のない用語(すなわち、「これらに限定されないが、~を含む」を意味する)と解釈されるものとする。本明細書での値の範囲の列挙は、本明細書で他に指摘されていない限り、範囲内に入るそれぞれ別個の値を個々に指す簡単な方法として機能することを単に意図するものであり、別個の各値は、本明細書でまるで個々に列挙されているかのように本明細書に組み込まれている。本明細書に記載されているすべての方法は、本明細書で他に指摘されていない限り又はさもなければ文脈において明確に矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施することができる。本明細書に提供されているいずれか及びすべての例、又は例示的言語(例えば、「例えば」)の使用は、単に本発明をより良く解明することを意図するもので、特に特許請求されていない限り、本発明の範囲に対する制限を提示するものではない。明細書におけるいかなる言語も、特許請求されていない任意の要素を本発明の実施に必要不可欠であると指摘するものと解釈されるべきではない。
【0434】
本発明を実行するために、発明者らが知る最も良いモードを含む本発明の好ましい実施形態が本明細書に記載されている。それら好ましい実施形態の変化形は、前述の説明を読むことで当業者に明らかとなり得る。発明者らは、当業者が必要に応じてこのような変化形を利用することを予想し、発明者らは、本発明が具体的に本明細書に記載されている方法とは別の方法で実施されることを意図する。したがって、本発明は、適用可能な法律で許可されている、本明細書に付随する特許請求の範囲に列挙された主題のすべての修飾及び同等物を含む。さらに、すべての起こり得るその変化形における上に記載された要素の任意の組合せは、本明細書で他に指摘されていない限り又は他の文脈において明確に矛盾しない限り、本発明に包含される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8