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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】コントローラ
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20240509BHJP
【FI】
G06F3/01 510
G06F3/01 560
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2022510235
(86)(22)【出願日】2020-03-25
(86)【国際出願番号】 JP2020013441
(87)【国際公開番号】W WO2021192115
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】310021766
【氏名又は名称】株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】100122275
【弁理士】
【氏名又は名称】竹居 信利
(72)【発明者】
【氏名】小西 由香理
(72)【発明者】
【氏名】中村 仁
(72)【発明者】
【氏名】中川 佑輔
【審査官】木内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2019-0041279(KR,A)
【文献】特開2018-088254(JP,A)
【文献】特開2009-109540(JP,A)
【文献】特開2008-258116(JP,A)
【文献】国際公開第2012/093725(WO,A1)
【文献】特開2020-027537(JP,A)
【文献】特開2010-086500(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
G06F 3/048 - 3/04895
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性変形可能な弾性部材を有するコントローラであって、
情報処理装置に接続され、
情報処理装置から入力される信号に応じて、前記弾性部材の形状を変形する形状制御部と、
弾性変形可能な弾性部材を用いたセンサであって、前記弾性部材に対するユーザの接触ないし変形操作を検出し、当該検出した接触ないし変形操作に基づく電気的信号を出力するセンサと、
前記センサが出力する電気的信号に基づいて、変形操作の内容を表す信号に応じて提示する温度を設定し、前記弾性部材の温度を変化させる温度制御部とを有するコントローラ。
【請求項2】
請求項1記載のコントローラであって、
前記温度制御部が、前記情報処理装置から入力される信号に応じ、前記弾性部材の温度を変化させコントローラ。
【請求項3】
弾性変形可能な弾性部材を用いたセンサであって、前記弾性部材に対するユーザの接触ないし変形操作を検出し、当該検出した接触ないし変形操作に基づく電気的信号を出力するセンサを備え、
情報処理装置に接続されて、
前記弾性部材は、比較的弾性率の低い複数の部材間に介在し、前記比較的弾性率の低い部材に対するユーザの操作による前記弾性部材の変形を検出し、当該検出した変形に基づく電気的信号を出力し、
前記比較的弾性率の低い部材は、ベース部材と操作部材とを含み、
前記ベース部材上に、弾性部材と、振動部材とを順次積層した積層体を配し、当該積層体上に操作部材が配され、
前記振動部材は、前記情報処理装置から入力される信号に応じて振動し、前記弾性部材に当該振動を伝達するコントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
ゲーム等で用いるコントローラは、一般的にプラスチック等、比較的弾性変形しにくい材質で形成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、近年ではゲーム等におけるユーザ体験の豊富化のため、振動や力覚を提示したりといった技術が広く利用されつつある。
【0004】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、触覚的体験の豊富化を図ることのできるコントローラを提供することを、その目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記従来例の問題点を解決する本発明の一態様はコントローラであって、弾性変形可能な弾性部材を用いたセンサを含み、このセンサが前記弾性部材に対するユーザの接触ないし変形操作を検出し、当該検出した接触ないし変形操作に基づく電気的信号を出力することとしたものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の例によると、ユーザの触覚的体験の豊富化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施の形態に係るコントローラの構成例を表す概略図である。
図2】本発明の実施の形態に係るコントローラの弾性部材における案内の例を表す説明図である。
図3】本発明の実施の形態に係るコントローラの弾性部材における案内部材の形成例を表す説明図である。
図4】本発明の実施の形態に係るコントローラの例を表す概略外観図である。
図5】本発明の実施の形態に係るコントローラにおける弾性部材の配置例を表す説明図である。
図6】本発明の実施の形態に係るコントローラにおける弾性部材の配置例を表すもう一つの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[基本構成]
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本発明の実施の形態の一例に係るコントローラ1は、図1(a),(b)に例示するように、弾性部材11と、この弾性部材11に内包され、または弾性部材11の表面に配される回路部12とを含んで構成され、情報処理装置2との間で有線または無線にて接続される。
【0009】
なお、図示した各部の大きさ、形状、大きさや長さの比率等は例示または図示上の都合であり、実際の大きさや形状、比率等はこれと異なっていても構わない。
【0010】
ここで弾性部材11は、例えばシリコーン系高分子ゲル素材、ウレタン系ゲル素材等の高分子ゲル素材、ポリスチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等の種々のエラストマー素材など、弾性変形可能な材料を用いて構成される。
【0011】
また回路部12は、センサ121と、入出力回路部122とを含む。ここでセンサ121は、静電センサ、圧力センサ、歪みセンサ、加速度センサ、温度センサその他、少なくとも一つの所定の物理的特性を検出する。このセンサ121は、弾性部材11に対するユーザの接触ないし変形操作を検出し、当該検出した接触ないし変形操作に基づく電気的信号を入出力回路部122に出力する。
【0012】
入出力回路部122は、USB等の有線、またはブルートゥース(登録商標)等の無線通信方式にて情報処理装置2に接続されており、センサ121が出力した電気的信号を表す情報を、情報処理装置2に対して出力する。
【0013】
本実施の形態の例においてセンサ121は、弾性部材11内に複数配されてよく、例えば弾性部材11の変形とともにセンサ121に加わる圧力を検出して、当該検出した圧力の大きさ及び方向を表す信号、あるいは変形の状態やその大きさを表す信号を出力する。ここで出力する信号は、センサ121の出力する信号の値そのものであってもよいし、当該信号の値に対する変形の内容や変形の大きさを機械学習した状態にある機械学習モデルを用いて変形の内容及び変形の大きさを表す情報を生成して出力するものであってもよい。
【0014】
また本実施の形態の別の例では、センサ121は、弾性部材11の表面に配されてもよい。このようなセンサ121の例としては、例えばSungwon Lee, et.al., “A strain-absorbing design for tissue-machine interfaces using a tunable adhesive gel”, Nacure Communications 5, doi: 19.1038/ncomms6898 などに開示されたセンサ等があり、広く知られているものを採用できるので、ここでの詳しい説明は省略する。
【0015】
例えば図1(b)の例では、実質的に球体をなす弾性部材11の表面に、当該弾性部材11の中心からみて互いに直交する6方向にそれぞれセンサ121が配されている。
【0016】
[検出する操作の例]
この構成を有するコントローラ1を用いると、ユーザが、
(1)弾性部材11に触れる操作
(2)弾性部材11の一部を指で押し込む操作
(3)弾性部材11を捩じる操作
(4)弾性部材11の一部をつまむ操作(つまんで引っ張る操作)
(5)弾性部材11全体を押しつぶす、握りつぶす操作
(6)弾性部材11に手を近づける操作
(7)手の平や指で表面をこする操作
などを行うとき、例えば
(1)弾性部材11に触れる操作や(6)弾性部材11に手を近づける操作、については、静電センサをセンサ121として用いることで検出できる。あるいは、弾性部材11の内部に導電性糸を縫い込んで、当該導電性糸をセンサ121として用い、この導電性糸により静電容量の変化を検出して(1)弾性部材11に触れる操作や(6)弾性部材11に手を近づける操作を検出してもよい。
【0017】
また、(2)弾性部材11の一部を指で押し込む操作、(3)弾性部材11を捩じる操作、(4)弾性部材11の一部をつまむ操作(つまんで引っ張る操作)、具体的には片手で弾性部材11を含むコントローラ1を把持した状態で、弾性部材11をつまんで、その一部を引っ張るような操作、(5)弾性部材11全体を押しつぶす、握りつぶす操作などは、圧力センサや歪みセンサ、加速度センサ等をセンサ121として用いることで検出できる。
【0018】
この場合も弾性部材11の内部に導電性糸を縫い込んで、当該導電性糸をセンサ121として用い、この導電性糸の抵抗値の変化を検出して種々の変形を検出してもよい。
【0019】
さらに、(7)手の平や指で表面をこする操作は、歪みセンサや静電センサ、あるいは上記のように弾性部材11内に縫い込んだ導電性糸をセンサ121として用いて検出できる。
【0020】
[ホームポジション]
本実施の形態の一例では、弾性部材11は、ユーザが操作していない(触れていない)状態では、予め定められた形状(以下では自然形状と呼ぶ)へ復帰する弾性を有する。またコントローラ1には上下、または左右(あるいはその双方)を規定して、例えば弾性部材11の左側の一部を引っ張る操作と、右側の一部を引っ張る操作とを区別したい場合もある。
【0021】
しかしながら、弾性部材11が弾性変形をする材質であり、操作中は形状が変化するので、ユーザはいわゆるホームポジション(通常、親指など各指を置くべきポジション)を把握しにくいという問題がある。ホームポジションが把握できない場合、コントローラ1の上下左右などの方向も規定しにくい。
【0022】
そこで本実施の形態の一例では、弾性部材11の自然形状を非対称の形状としてもよい。例えば前方をやや細めにした楕円形(いわば卵形)とすると、コントローラ1の上下方向の認識が容易となる。
【0023】
また、弾性部材11の、親指など所定の指を配するべき位置(規定位置と呼ぶ)に、当該位置を表すマーカーMを配してもよい。このマーカーMは、図2に例示するように、弾性部材11の規定位置の表面に何らかの図柄を印刷等したものであってもよい(図2(a))。ここでマーカーMの図柄は、前後あるいは左右などの所定の方向がユーザに認識できるよう、その形状、あるいは各部の配色等が非対称となっていてもよい。
【0024】
さらに、このマーカーMは、他の部分と触感の異なる部材で形成されてもよい。例えば、弾性部材11のマーカーMの部分を、他の部分とは異なりシボ加工を施すなどして、ざらつく触感を与える部分としてもよい。または、当該マーカーMの部分に凹凸を形成してもよい。当該凹凸は点字となっていてもよい。
【0025】
また弾性部材11の規定位置の表面に近い、比較的浅い位置に、所定形状(例えば輪状)の、弾性部材11よりも比較的弾性の低い部材(案内部材)131を埋め込んであってもよい(図2(b))。
【0026】
さらに弾性部材11の表面の規定位置には、対応する指を通すための輪など、ユーザの所定の指が接触する位置を案内する形状部分である案内部材132が形成されていてもよい(図2(c))。
【0027】
また弾性部材11自体に案内部材を埋め込み、またはその形状を変形するのではなく、弾性部材11を例えばゴムなど伸縮性のある材料で形成したカバー13で覆ってもよい。この例では当該カバー13の、上記規定位置に当接する位置に案内部材を配し、あるいは、当該規定位置に当接する位置に対応する外側面に、対応する指を通すための輪状の支持体14が形成されてもよい(図3)。この例では、ユーザは、この支持体14に規定位置に配するべき指を通してコントローラ1を把持することとする。
【0028】
さらにここでの例のように、指を通すための輪状部分を設ける場合、当該輪状部分に通した指を持ち上げることで弾性部材11を変形させる操作(親指を通した場合、いわゆるサムズアップのような動作をする操作)を、コントローラ1が検出できる。
【0029】
この例によると、弾性部材11を押した方向、引っ張った方向等、変形の方向や変形量、変形速度等を検出でき、情報処理装置2では、これらの操作を表す情報を受け入れて、当該情報に基づいてゲーム空間内の三次元オブジェクトの移動方向、移動量、移動速度等の制御に用いることができる。
【0030】
[ちぎる操作、くっつける操作]
また、弾性部材11内に配する回路部12は、一つでなくてもよい。回路部12を弾性部材11内に複数配することで、弾性部材11を、少なくとも一つの回路部12を含む部分ごとにちぎるなどして分離し、あるいは、くっつけて元の形状に戻す(接合)といった操作を認識可能としてもよい。このような弾性部材11としては、例えばRyota Tamate, et.al., “Self-Healing Micellar Ion Gels Based on Multiple Hydrogen Bonding”, Advanced Materials, DOI: 10.1002/adma.201802792など、自己修復性を有する素材を用いてもよい。
【0031】
この例では、弾性部材11内の回路部12は相互に通信を行い、その距離の変化などに基づいて分離、接合を認識することとしてもよい。
【0032】
[フィードバック]
さらに本実施の形態では、弾性部材11を変形等する操作を検出するとともに、あるいは検出することに代えて、回路部12が弾性部材11の形状、弾性率、硬度、温度を変化させ、あるいは弾性部材11を振動させるよう制御してもよい。
【0033】
この例では、例えば弾性部材11の素材には磁性流体(MR流体)や電気粘性流体(ER流体)等の機能性流体を混入しておく。また回路部12は電場または磁場を印加する外場印加部(電極板や電磁石等)を設け、この外場印加部により弾性部材11に電場や磁場を印加することで、MR流体やER流体を制御して弾性部材11の形状を変更する。つまりこの例では、回路部12が本発明の形状制御部の例として動作する。
【0034】
また別の例では、弾性部材11の素材に気泡を混入しておき、この気泡内にガス(空気等)を封入しておくこととしてもよい。この例では回路部12はペルチエ素子等、温度を制御する温度制御装置を備えて、当該温度制御装置により弾性部材11の温度を変化させ、それにより気泡内のガスの体積を制御して、弾性部材11の形状を変化させることとしてもよい。
【0035】
また弾性部材11を、熱により弾性率や硬度が変化するゲル等の素材で形成しておき、上記温度制御装置を用いて温度を変化させることで、弾性率や硬度を制御することとしてもよい。
【0036】
これらの例では、回路部12は、複数の外場印加部あるいは温度制御装置を、弾性部材11の各部に配し、また情報処理装置2から入力される指示により、各外場印加部が印加する外場の方向、及び強度、あるいは各温度制御装置が提示する温度を設定する。
【0037】
また弾性部材11の表面、または内部にペルチェ素子など、電気的に温度を変化させることのできる温度制御装置を配し、回路部12が情報処理装置2から入力される指示により、温度制御装置が提示する温度を設定してもよい。この例では、情報処理装置2は、弾性部材11に対するユーザの接触ないし変形等の操作を表す情報を受けて、ユーザに提示する温度を指示する情報を生成してコントローラ1に送出する。そしてコントローラ1の回路部12が、当該情報処理装置2から入力される情報により指示される温度を提示するようペルチェ素子等の温度制御装置を制御する。
【0038】
なお、回路部12は、情報処理装置2から入力される指示に代えて、またはそれとともに、センサ121が検出した弾性部材11に対するユーザの接触ないし変形操作の内容を表す信号に応じ、温度制御装置が提示する温度を設定してもよい。この場合、ユーザがコントローラ1を変形させると、当該変形に対応して予め設定された温度を提示するよう、例えば弾性部材11内に配されたペルチェ素子等の温度制御装置が制御される。例えば変形量が大きいほど、高温となるよう制御してもよい。これによりユーザは、変形に応じた温度の変化を感得できる。
【0039】
さらにこれらの温度制御装置を利用する種々の例では、熱伝導率の比較的高い弾性部材11を用いると、温度制御装置が提示した温度を、温度制御装置から比較的近い、弾性部材11の表面側に伝達でき、ユーザに熱さ、冷たさを伝達できる。
【0040】
また弾性部材11を振動させる場合、バイブレータ等の駆動部を備えた回路部12を、弾性部材11内に配する。なお、弾性部材11が振動吸収材として機能してしまうことを考慮して、バイブレータは、弾性部材11の表面から比較的浅い位置に配することとしてもよい。つまり、バイブレータを配する位置では弾性素材11を比較的薄めに形成してもよい。
【0041】
また別の例では、弾性部材11の材質にあわせ、弾性部材11が吸収しやすい周波数の振動を比較的強く出力できる種類のバイブレータを選択して用いてもよい。
【0042】
[従来のコントローラとの組み合わせ]
また本実施の形態では、図4に例示するように、コントローラ1が従来のコントローラと同様の筐体部30と、操作部31とを備え、一部に弾性部材11を配したものであってもよい。この例では、筐体部30内に回路部12が配されてもよいが、弾性部材11内部または弾性部材11に接触してセンサ121や、外場制御部、温度制御装置、バイブレータ、アクチュエータ等が設けられる。
【0043】
図4の例では、筐体部30が略長方形状の本体部30aの表面に操作部31を備える、操作部31は、例えばボタン31aや、ジョイスティック31b等を含む。本体部30aの左右側端部から手前には、それぞれ把持部30bが延設されている。図4には左右の把持部30bの手前側に、それぞれ弾性部材11を配した例を示している。
【0044】
この例では、ユーザは、弾性部材11を捩じる、引っ張る、あるいは曲げるなどの操作を行う。回路部12は、操作部31でのユーザの操作のほか、弾性部材11に対するユーザの操作(弾性部材11の変形等)を検出して、当該検出した操作の内容を表す情報を生成し、情報処理装置2に対して出力する。
【0045】
また、このようなコントローラ1において回路部12が、弾性部材11の形状、弾性率、硬度、温度を変化させ、あるいは弾性部材11を振動させるよう制御を行うと、ユーザに対して、グリップがユーザごとに設定された、ユーザの好みの硬さ、太さなどを反映した形状に変化させることが可能となる。また、ゲーム等、情報処理装置2の処理に応じて、弾性部材11部分(グリップ)の形状や硬度が変化し、ユーザに対して例えばゲーム空間内の仮想的物体の材質を触覚として提示する、あるいは仮想的物体の温度を温冷覚として提示する等の制御が可能となる。
【0046】
さらに本実施の形態のこの例では、把持部30bの手前側全体を弾性部材11とするのではなく、図5に例示するように、把持部30bの一部を弾性部材11で形成してもよいし(図5(a))、把持部30bの表面に弾性部材11が露出するよう、弾性部材11を配してもよい(図5(b))。また、弾性部材11をコントローラ1の本体から取り外させないよう、フレーム30c(枠体)を形成してもよい。この例では、フレーム30c内に弾性部材11を収容し、枠体の開口部を通じてユーザが弾性部材11に接触し、弾性部材11に対して押圧、引っ張りなどの操作を行うことを可能とし、また弾性部材11の変形や、弾性率、硬度、温度の変化、振動等を知覚できるようにしておく(図5(c))。
【0047】
この図5の例によると、把持部30bの手前側全体を弾性部材11とするのに比べ、形状が維持されやすいため、容易に把持可能となるとともに弾性部材11に対する操作が可能となる。
【0048】
また別の例では、コントローラ1の弾性部材11は、図6に例示するように、筐体部30(ベース部材)と、ボタン31aのボタントップ(図6(a))、あるいはジョイスティック31bのスティック(図6(b))等の操作部材との間に介在するように配されてもよい。ここで筐体部30や操作部材は、弾性部材11に比べ、比較的弾性率の低い素材から構成されているものとする。
【0049】
この例では、コントローラ1の回路部12は、操作部材に対するユーザの操作(押下、移動、引っ張り、傾倒など)による弾性部材11の変形を検出し、情報処理装置1に対して、当該検出した変形の内容を表す情報を送出する。
【0050】
また、このようにベース部材である筐体部30と、ボタントップ等の操作部材との間に弾性部材11を介在させる場合には、筐体部30上に弾性部材11とバイブレータ等を含んだ振動部材41とをこの順に積層した積層体を配し、この積層体の上に操作部材(31a)を配置する(図6(c))。なお、筐体部30内に配した回路部12から振動部材への配線は、弾性部材11内を貫通してもよい。
【0051】
この例では回路部12は、情報処理装置2から入力される指示に従って、振動部材を振動させるよう制御する。この例によれば、振動部材41が振動したとき、操作部材との間には弾性部材11が介在しないので、振動が減衰されずに直接的にその振動が伝達される一方、弾性部材11が介在する筐体部30側には振動が減衰された状態で伝達されて、筐体が振動することにより余計な音が発生するなどといった現象を軽減できる。
【0052】
またこのようにベース部材である筐体部30と、操作部材との間に弾性部材11を配する場合も、回路部12からの制御により、情報処理装置2から入力される指示に基づいて弾性部材11の形状、弾性率、硬度、温度を変化させてもよい。これらの例によれば、操作部材を操作しているユーザに力覚や温冷覚を提示できる。
【0053】
[変形例]
また弾性部材11の形状を制御する方法は、上述のような機能性流体を混入するなどの方法のほか、人工筋肉やソフトアクチュエータを弾性部材11内に配し、あるいは弾性部材11の表面に縫合するなどして配してもよい。また弾性部材11の素材に混入する物質は、カーボンや銀、銅など、導電性、熱伝導性を有する物質であってもよい。
【0054】
さらに弾性部材11に混入する物質は熱等により色を変化させる物質であってもよい。この例では回路部12が温度制御装置を備えて、弾性部材11の温度を制御する。
【0055】
またフィードバックの例もここまでに述べた例に限られず、発光するよう制御したり、音声を鳴動するよう制御したり、電流を流すよう制御したりといった種々の変形例があり得る。
【0056】
また弾性部材11の素材は、防振/制振/衝撃吸収性能、導電性、導磁性(magnetic permeability)、熱伝導性、耐熱性、防水/防塵性能、絶縁性能、難燃性を有するか否か、などの観点で選択すればよい。本実施の形態によれば、触覚的体験の豊富化を図ることが可能となる。
【符号の説明】
【0057】
1 コントローラ、2 情報処理装置、11 弾性部材、12 回路部、13 カバー、14 支持体、30 筐体部、31 操作部、41 振動部材、121 センサ、122 入出力回路部、131,132 案内部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6