(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】放熱装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H01L 23/427 20060101AFI20240509BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20240509BHJP
F28D 15/02 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
H01L23/46 B
H05K7/20 R
H05K7/20 B
F28D15/02 L
F28D15/02 D
(21)【出願番号】P 2022510705
(86)(22)【出願日】2021-03-25
(86)【国際出願番号】 JP2021012748
(87)【国際公開番号】W WO2021193880
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-04-04
(31)【優先権主張番号】P 2020059184
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】310021766
【氏名又は名称】株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サベルストロム ニルス
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 千佳
(72)【発明者】
【氏名】土田 真也
(72)【発明者】
【氏名】青木 圭一
(72)【発明者】
【氏名】鳳 康宏
【審査官】井上 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特開平6-216554(JP,A)
【文献】特開2001-166851(JP,A)
【文献】特開2017-079306(JP,A)
【文献】国際公開第2019/131814(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/427
H05K 7/20
F28D 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路に対して第1の方向に位置し前記集積回路と熱的に接続される受熱部をそれぞれ有している複数のヒートパイプと、
前記複数のヒートパイプと接続される少なくとも1つのヒートシンクと、
前記複数のヒートパイプの前記受熱部と前記集積回路との間に配置されている伝熱部材と
を有し、
前記複数のヒートパイプの前記受熱部は前記第1の方向に対して直交する第2の方向で並び、隣のヒートパイプの前記受熱部と接しており、
前記受熱部は前記第1の方向で第1の幅を有し、前記第2の方向で前記第1の幅よりも小さい第2の幅を有し、
前記伝熱部材には、集積回路に対して第1の方向に位置する溝が形成され、
前記複数のヒートパイプの前記受熱部は前記溝の内側に配置され
前記第2の方向での前記溝の幅は、前記第2の方向での、前記複数のヒートパイプの前記受熱部の全体の幅に対応している
放熱装置。
【請求項2】
前記第2の幅は前記第1の幅の3/4より小さい
請求項1に記載される放熱装置。
【請求項3】
前記第2の方向での、前記複数のヒートパイプの前記受熱部の全体の幅は、前記集積回路の前記第2の方向での幅に対応している
請求項1に記載される放熱装置。
【請求項4】
集積回路に対して第1の方向に位置し前記集積回路と熱的に接続される受熱部をそれぞれ有している複数のヒートパイプと、
前記複数のヒートパイプと接続される少なくとも1つのヒートシンクと、
前記複数のヒートパイプの前記受熱部と前記集積回路との間に配置されている伝熱部材と
を有し、
前記複数のヒートパイプの前記受熱部は前記第1の方向に対して直交する第2の方向で並び、隣のヒートパイプの前記受熱部と接しており、
前記受熱部は前記第1の方向で第1の幅を有し、前記第2の方向で前記第1の幅よりも小さい第2の幅を有し、
前記伝熱部材には溝が形成され、
前記第2の方向での前記溝の幅は、
前記第2の方向での、前記複数のヒートパイプの前記受熱部の全体の幅に対応し、且つ前記集積回路の前記第2の方向での幅に対応している
放熱装置。
【請求項5】
集積回路に対して第1の方向に位置し前記集積回路と熱的に接続される受熱部をそれぞれ有している複数のヒートパイプと、
前記複数のヒートパイプと接続される少なくとも1つのヒートシンクと、
前記複数のヒートパイプの前記受熱部と前記集積回路との間に配置されている伝熱部材と
を有し、
前記複数のヒートパイプの前記受熱部は前記第1の方向に対して直交する第2の方向で並び、隣のヒートパイプの前記受熱部と接しており、
前記受熱部は前記第1の方向で第1の幅を有し、前記第2の方向で前記第1の幅よりも小さい第2の幅を有し、
前記伝熱部材には溝が形成され、
前記第2の方向での前記溝の幅は、前記第2の方向での、前記複数のヒートパイプの前記受熱部の全体の幅に対応し、
前記第1の方向での前記溝の深さは、前記第1の方向での前記受熱部の幅に対応している
放熱装置。
【請求項6】
集積回路に対して第1の方向に位置し前記集積回路と熱的に接続される受熱部をそれぞれ有している複数のヒートパイプと、
前記複数のヒートパイプと接続される少なくとも1つのヒートシンクと
を有し、
前記複数のヒートパイプの前記受熱部は前記第1の方向に対して直交する第2の方向で並び、隣のヒートパイプの前記受熱部と接しており、
前記受熱部は前記第1の方向で第1の幅を有し、前記第2の方向で前記第1の幅よりも小さい第2の幅を有し、
前記複数のヒートパイプのうち少なくとも1つのヒートパイプの前記第1の方向で幅と前記第2の方向での幅との比は、前記少なくとも1つのヒートパイプの延伸方向において変化している
放熱装置。
【請求項7】
前記複数のヒートパイプのうち少なくとも1つのヒートパイプは、前記少なくとも1つのヒートパイプの延伸方向において前記受熱部から離れた位置に放熱部を有し、
前記放熱部は、前記少なくとも1つのヒートシンクに対して第3の方向に位置し前記少なくとも1つのヒートシンクと接続しており、
前記放熱部は前記第3の方向において第3の幅を有し、前記第3の方向に対して直交する第4の方向において、前記第3の幅よりも大きい第4の幅を有している
請求項
6に記載される放熱装置。
【請求項8】
前記第1の方向と前記第3の方向は同じ方向である
請求項
7に記載される放熱装置。
【請求項9】
前記第1の幅は前記第3の幅より大きい
請求項
7に記載される放熱装置。
【請求項10】
前記第4の幅は前記第2の幅より大きい
請求項
7に記載される放熱装置。
【請求項11】
前記複数のヒートパイプのうち少なくとも1つのヒートパイプは、第5の方向に曲がっている湾曲部を有し、
前記湾曲部は前記第5の方向において第5の幅を有し、前記第5の方向に対して直交する第6の方向において、前記第5の幅よりも大きい第6の幅を有している
請求項
6に記載される放熱装置。
【請求項12】
前記第1の方向と前記第5の方向は同じ方向である
請求項
11に記載される放熱装置。
【請求項13】
前記複数のヒートパイプのうち少なくとも1つのヒートパイプは、前記少なくとも1つのヒートパイプの延伸方向において前記受熱部から離れた位置に放熱部を有し、
前記少なくとも1つのヒートシンクは、第1フィンブロックと第2フィンブロックとを有し、
前記第1フィンブロックは前記受熱部に接続し、
前記第2フィンブロックは前記放熱部に接続している
請求項
6に記載される放熱装置。
【請求項14】
集積回路と部品とが実装されている回路基板
と、
前記集積回路に対して第1の方向に位置し前記集積回路と熱的に接続される受熱部をそれぞれ有している複数のヒートパイプと、前記複数のヒートパイプと接続される少なくとも1つのヒートシンクとを有している放熱装置と
を有し、
前記複数のヒートパイプの前記受熱部は前記第1の方向に対して直交する第2の方向で並び、隣のヒートパイプの前記受熱部と接しており、
前記受熱部は前記第1の方向で第1の幅を有し、前記第2の方向で前記第1の幅よりも小さい第2の幅を有し、
前記複数のヒートパイプのうち少なくとも1つのヒートパイプの前記第1の方向で幅と前記第2の方向での幅との比は、前記少なくとも1つのヒートパイプの延伸方向において変化しており、
前記複数のヒートパイプのうち少なくとも1つのヒートパイプは、前記少なくとも1つのヒートシンクと前記回路基板の前記部品との間に位置している途中部を含み、
前記途中部は前記ヒートシンクに向いている第1の面と、前記回路基板に向いている第2の面とを有し、
前記第1の方向における前記途中部の幅が徐々に小さくなるように、前記第2の面に斜面又は段差が形成されている
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は電子機器の冷却性能を向上する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータや、ゲーム機などの電子機器は、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などの集積回路を冷却する冷却装置として、多くの場合、ヒートシンクと冷却ファンとを有している。国際公開第2014/185311号公報では、回路基板の下側に冷却ファンとヒートシンクとが配置されている。冷却ファンが送り出す空気はまずヒートシンクに供給され、その後に電子機器の後部に配置されている電源ユニットに送られる。空気は電源ユニットを通過した後に、電子機器の後側に排出される。近年では、集積回路の性能向上にともない、集積回路の発熱量が増し、それに対応するためにヒートシンクが大型化している。ヒートシンクの全体に熱を広げるために、ヒートパイプが利用されることも多くなっている。
【発明の概要】
【0003】
本開示で提案する放熱装置は、集積回路に対して第1の方向に位置し前記集積回路と熱的に接続される受熱部をそれぞれ有している複数のヒートパイプと、前記複数のヒートパイプと接続される少なくとも1つのヒートシンクとを有している。前記複数のヒートパイプの前記受熱部は前記第1の方向に対して直交する第2の方向で並び、隣のヒートパイプの前記受熱部と接している。前記受熱部は前記第1の方向で第1の幅を有し、前記第1の幅よりも小さい第2の幅を前記第2の方向で有している。本開示で提案する電子機器は前記放熱装置を有している。この放熱装置と電子機器とによると、集積回路に対する冷却性能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1A】本開示で提案する電子機器の一例を示す斜視図である。
【
図2A】上記電子機器が有する機器本体と上下の外装パネルとを分解して示す分解斜視図である。
【
図2B】上記電子機器が有する機器本体と上下の外装パネルとを分解して示す分解斜視図である。
【
図3】上記電子機器の内部装置を示す分解斜視図である。
【
図4】上記機器本体が有するハウジングとフロントカバーの分解斜視図である。
【
図5】上ハウジング部材の内側を示す斜視図である。
【
図6B】回路基板の上側に形成されている空気流路及び部品の位置関係を示す平面図である。
【
図7A】
図6BにあるVIIa-VIIa線で示す切断面で得られる機器本体の断面図である。
【
図7B】
図6BにあるVIIb-VIIb線で示す切断面で得られる機器本体の断面図である。
【
図7C】
図6BにあるVIIc-VIIc線で示す切断面で得られる機器本体の断面図である。
【
図8B】回路基板の下側に形成されている空気流路及び部品の位置関係を示す底面図である。
【
図9】
図7AにあるIX-IX線で示す切断面で得られる機器本体の断面図である。
【
図10B】
図10AにあるXb-Xb線で示すファンガードと冷却ファンの断面図である。
【
図12】
図6BにあるXII-XII線で示す切断面で得られる機器本体の断面図である。
【
図13A】
図3で示す、回路基板の上側に配置される放熱装置の平面図である。
【
図13B】
図13Aで示す放熱装置の底面図である。この図においてフィンを支持するベースプレートは省略されている。
【
図14A】
図13AにあるXIVa-XIVa線で示す切断面で得られる放熱装置と回路基板の断面図である。
【
図14B】
図13AにあるXIVb-XIVb線で示す切断面で得られる放熱装置の断面図である。
【
図14C】
図13BにあるXIVc-XIVc線で示す切断面で得られる放熱装置と回路基板の断面図である。
【
図16A】
図15にあるXVIa-XVIa線で示す回路基板と基板シールドの断面図であり、放熱装置の側面が示されている。
【
図16B】放熱装置を回路基板側から臨む図(平面図)である。
【
図17A】変形例による放熱装置を回路基板側から臨む図(平面図)である。
【
図17B】
図17AにあるXVIIb-XVIIb線で示す切断面で得られる断面図である。
【
図18A】
図8AにあるXVIIIa-XVIIIa線で示す切断面で得られる断面図である。
【
図18B】
図18AにあるXVIIIb-XVIIIb線で示す切断面で得られる断面図である。
【
図18C】
図18AにあるXVIIIc-XVIIIc線で示す切断面で得られる断面図である。
【
図19】メモリ収容室を示す平面図である。この図では、基板シールドが描かれている。
【
図20A】
図1DにあるXXa-XXa線で示す切断面で得られる、外装パネルとハウジングの断面図である。
【
図20B】
図1DにあるXXb-XXb線で示す切断面で得られる、外装パネルとハウジングの断面図である。
【
図21A】光ディスクドライブを搭載していない電子機器の外装パネルとハウジングの断面図である。切断面は、
図1DにあるXXa-XXa線で示す切断面と同じである。
【
図21B】
図21Aで示す外装パネルとハウジングの断面図である。切断面は、
図1DにあるXXb-XXb線で示す切断面と同じである。
【
図22】
図1DにあるXX-XX線で示す切断面で得られる上外装パネルと上ハウジング部材の断面図である。
【
図23】上外装パネルと上ハウジング部材の取付構造を説明するための模式図である。
【
図24】上外装パネルと上ハウジング部材の取付構造の変形例を説明するための斜視図である。
【
図25】
図1CにあるXXV-XXV線で示す切断面で得られる電子機器の断面図である。
【
図26B】
図26Aで示す放熱装置の側面図であり、同図のXXVIbで示す矢印の方向で放熱装置を臨む図である。
【
図26C】
図26Aで示す放熱装置の平面図であり、ヒートシンクが省略されている。
【
図28A】
図6B、
図13A~
図14Cを参照しながら説明した放熱装置の変形例を示す平面図である。この図は、変形例による放熱装置と、電源ユニットと、冷却ファンとの位置関係を示している。
【
図28C】
図28Bで示すXXVIIIc-XXVIIIc線に沿った切断面で得られる放熱装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1等においては、実施形態の一例として電子機器1が示されている。以下の説明では、
図1A~
図1Hに示すX1及びX2をそれぞれ右方向及び左方向とし、Y1及びY2をそれぞれ前方及び後方とし、Z1及びZ2をそれぞれ上方及び下方とする。ただし、これらの方向は、電子機器1の要素(部品、部材、及び部分)の形状や相対的な位置関係、動きなどを説明するため規定され、使用時における電子機器1の姿勢を限定するものではない。例えば、
図1A等において、横置き姿勢にある電子機器1が示されているが、使用時において電子機器1は縦置き姿勢に配置されてもよい。(「縦置き姿勢」とは、電子機器1の右側面又は左側面が下側になる姿勢である。)
【0006】
電子機器1は、例えば、ゲーム装置やオーディオ・ビジュアル機器として機能するエンタテインメント装置である。電子機器1は、ゲームプログラムの実行により生成した動画像データや、ネットワークを通して取得した映像・音声データ、光ディスクなどの記録媒体から取得した映像・音声データをテレビジョンなどの表示装置に出力する。電子機器は、例えばパーソナルコンピュータであってもよい。
【0007】
[全体構成]
図2Aで示すように、電子機器1は、機器本体10と、機器本体10の上側を覆っている上外装パネル20Aと、機器本体10の下側を覆っている下外装パネル20Bとを有している。機器本体10は、
図3で示すように、回路基板50や、放熱装置70などの内部装置と、内部装置を収容しているハウジング30とを有している。ハウジング30は、回路基板50の上側を覆う上ハウジング部材30Aと、回路基板50の下側を覆う下ハウジング部材30Bとを有し、これらは上下方向で組み合わせられている。上ハウジング部材30Aは機器本体10の上面を構成し、下ハウジング部材30Bは機器本体10の下面を構成している。上外装パネル20Aは上ハウジング部材30Aに脱着可能であってよく、下外装パネル20Bは下ハウジング部材30Bに脱着可能であってよい。外装パネル20A・20Bとハウジング部材30A・30Bは、例えばacrylonitrile butadiene styrene (ABS)樹脂やポリカーボネートなどの樹脂で形成される。
【0008】
図1Aで示すように、機器本体10は、その前面に、電源ボタン2aや、光ディスクの取り出しボタン2bを有してよい。また、機器本体10は、その前面に、コネクタ3a・3bを有してもよい。さらに機器本体10は、その背面に、コネクタ4a~4e(
図1G参照)を有してもよい。
【0009】
図3で示すように、機器本体10は、内部装置として、回路基板50と電源ユニット60とに加えて、冷却ファン5と、放熱装置70と、光ディスクドライブ6とを有している。放熱装置70は、後述するように、ヒートシンク71・72(
図6B参照)や、ヒートパイプ73A~73F(
図13B参照)によって構成される。回路基板50の上面は、上面に実装される電子部品からの電磁波を遮断する上基板シールド51によって覆われている。回路基板50の下面は、下面に実装されている電子部品からの電磁波を遮断する下基板シールド52によって覆われている。基板シールド51・52は回路基板50の上面と下面とにそれぞれ取り付けられている。基板シールド51・52は金属板であり、その材料は、例えば鉄や、ステンレス、アルミニウムなどであってよい。
【0010】
[部品レイアウトの概要]
電源ユニット60と放熱装置70は、例えば回路基板50の上側(より詳細には上基板シールド51の上側)に配置されている。回路基板50の上面には、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)などとして機能する集積回路50a(
図3参照)が実装されている。集積回路50aは発熱装置であり、放熱装置70に接続されている。電源ユニット60も発熱装置である。冷却ファン5が生じる空気流は、放熱装置70と電源ユニット60とに供給される。放熱装置70や、電源ユニット60、冷却ファン5などの内部装置のレイアウトは、電子機器1の例に限られない。
【0011】
光ディスクドライブ6は、例えば回路基板50の下側(より詳細には下基板シールド52の下側)に配置される。回路基板50の下側に、放熱装置80(
図7A参照)が配置されてよい。回路基板50の下面に電子部品(例えば、集積回路50aの駆動電力を生成するパワートランジスタ)が実装され、放熱装置80はこの電子部品に接続されてよい。
【0012】
[冷却ファン]
図7Aで示すように、冷却ファン5は、その回転中心線Cfが回路基板50の厚さ方向(電子機器1において、上下方向)に沿うように配置されている。また、冷却ファン5は、回路基板50の外縁の外側に配置されている。冷却ファン5は、例えば回路基板50の右縁の右側に配置される。ここでの説明において、電子機器1の上下方向とは、回路基板50の垂線に沿った方向である。また、本明細書で言及する方向は、使用時における電子機器1の姿勢を限定するものではない。したがって、例えば電子機器1が縦置き姿勢に配置されている場合には、冷却ファン5の回転中心線Cfは左右方向に沿った線となる。
【0013】
冷却ファン5は、回路基板50を含む水平面Hp1の上方に位置している部分と、回路基板50を含む水平面Hp1の下方に位置している部分とを有してよい。より詳細には、回転中心線Cfを中心として回転する複数のフィン5aのそれぞれが、水平面Hp1の上方に位置する部分5bと、水平面Hp1の下方に位置している部分5cとを有してよい。冷却ファン5のこの配置により、回路基板50の上面に沿った空気流F1と、回路基板50の下面に沿った空気流F2とを生じさせることができる。そのため、部品数を増加させることなく、回路基板50の上側に配置或いは実装されている発熱装置と、回路基板50の下側に配置或いは実装されている発熱装置とを冷却できる。
【0014】
上ハウジング部材30Aは、
図2Aで示すように、冷却ファン5の上側に位置している上吸気口31aを有している。下ハウジング部材30Bは、
図2Bで示すように、冷却ファン5の下側に位置している下吸気口31bを有している。このようにハウジング30の上面と下面とに吸気口31a・31bがそれぞれ形成されことによって、空気をハウジング30内に効率的に取り込むことができる。
【0015】
回路基板50の上面に配置されている発熱装置の発熱量は、回路基板50の下面に配置されている発熱装置の発熱量よりも大きくてもよい。例えば、回路基板50の上面に配置されている集積回路50aと電源ユニット60の総発熱量が、回路基板50の下面に配置されている電子部品50c(例えば、パワートランジスタや、メモリなどの集積回路)の総発熱量より大きくてよい。発熱装置がこのように配置されるとき、
図7Aで示すように、上下方向における冷却ファン5の中心Chは回路基板50を含む水平面Hp1より上方に位置してよい。こうすることで、発熱量の大きな装置に多くの空気を供給できる。
【0016】
図7Aで示すように、上吸気口31aと下吸気口31bとの距離D5は、冷却ファン5の上下方向での幅に対応している。このため、空気は吸気口31a・31bから吸い込まれて、冷却ファン5の半径方向に向けてスムーズに流れる。電子機器1の例では、冷却ファン5の下部(具体的には、ベースプレート5d、
図3参照)が下吸気口31bの縁に取り付けられている。その一方で、冷却ファン5の上端(具体的には、ロータ5eの上端)は吸気口31aの縁と実質的に同じ高さに位置している。
【0017】
吸気口31a・31bの位置での上ハウジング部材30Aと下ハウジング部材30Bの上下方向での距離、すなわち吸気口31a・31bの距離D5(
図7A参照)は、その他の位置での上ハウジング部材30Aと下ハウジング部材30Bとの距離よりも小さくてよい。電子機器1の例では、上ハウジング部材30Aは、その上面に凹板部32a(
図2A参照)を有している。凹板部32aは、上面における他の部分32cに対して回路基板50側に凹んでいる。(ここでの説明では、他の部分32cを「主板部」と称する。)上吸気口31aはこの凹板部32aに形成されている。主板部32cと回路基板50との間に、放熱装置70や電源ユニット60などが配置されている。
【0018】
下ハウジング部材30Bは、上ハウジング部材30Aと同様、その下面に凹板部32bを有している。
図2Bで示すように、凹板部32bは、下面における他の部分32dに対して凹んでいる。(ここでの説明では、他の部分32dを「主板部」と称する。)下吸気口31bはこの凹板部32bに形成されている。主板部32dと回路基板50との間に、放熱装置80のフィン81(
図8A及び
図8B参照)が配置されている。
【0019】
そして、上下の凹板部32a・32bの距離が、冷却ファン5の高さに対応している。この構造によると、吸気口31a・31bの距離を冷却ファン5の高さに対応させつつ、上下の主板部32c・32dの距離を十分に確保し、それらの間に配置される放熱装置70・80の容量を十分に確保できる。
【0020】
図3で示すように、冷却ファン5は、複数のフィン5aを有しているロータ5eと、ロータ5eを支持しているベースプレート5dとを有している。ロータ5eはベースプレート5dに対して相対回転可能である。
図8Bで示すように、ベースプレート5dは、例えば、リング状の外周部5fと、外周部5fの内側に位置している中央部5gと、外周部5fと中央部5gとをつなぐブリッジ5iとを有してよい。このようなベースプレート5dは、下ハウジング部材30Bに取り付けられてよい。具体的には、リング状の外周部5fが下吸気口31bの縁に取り付けられてよい。
【0021】
このようなベースプレート5dが冷却ファン5の下側に位置しているため、冷却ファン5の上部の空気抵抗は、冷却ファン5の下部の空気抵抗よりも小さい。上述したように、回路基板50の上面に配置されている発熱装置の発熱量は、回路基板50の下面に配置されている発熱装置の発熱量よりも大きい。つまり、空気抵抗の小さい冷却ファン5の上部が発熱量の大きな装置が配置される流路に対応するように、冷却ファン5が配置されている。
【0022】
回路基板50はその右縁に円弧状に湾曲している湾曲縁50b(
図15参照)を有してよい。冷却ファン5は湾曲縁50bの内側に配置されている。回路基板50と冷却ファン5のこの配置によると、電子機器1の大型化を抑えながら、回路基板50の上面及び下面の双方に空気流を生じさせることができる。
【0023】
[冷却ファンとヒートシンクとの位置関係]
電源ユニット60と放熱装置70は左右方向で並んでよい。例えば、
図6Bで示すように、電源ユニット60の右方に第1ヒートシンク71が配置される。冷却ファン5は、その中心線Cfが第1ヒートシンク71の右端よりも右方に位置するように配置されてよい。電子機器1の例では、冷却ファン5の全体が第1ヒートシンク71の右端よりも右方に位置している。このレイアウトによると、第1ヒートシンク71の前後方向でのサイズを大きくしても、第1ヒートシンク71と冷却ファン5との干渉が生じない。そのため、第1ヒートシンク71の前後方向での大きさを十分に確保しつつ、電子機器1の全体の前後方向でのサイズの大型化を抑えることができる。ここでの説明において、ヒートシンク71の前後方向とは、ヒートシンク71を空気が通過する方向である。左右方向とは、ヒートシンク71を空気が通過する方向に対して直交する方向である。また、本明細書で言及する方向は、使用時における電子機器1の姿勢を限定するものではない。したがって、例えば電源ユニット60と放熱装置70とが前後方向に並んで配置され、冷却ファン5とヒートシンク71も前後方向に並んで配置されてよい。この場合、ヒートシンク71の左右方向でのサイズを大きくできる。
【0024】
図6Bで示すように、冷却ファン5が、後述する電源ユニットケース61の前端61nよりも後方に位置している。また、冷却ファン5の中心線Cfは、第1ヒートシンク71の前端よりも後方に位置している。
【0025】
図6Bで示すように、第1ヒートシンク71の右方に、第2ヒートシンク72(放熱装置)が配置されてよい。そして、冷却ファン5の少なくとも一部が第2ヒートシンク72の前方に位置してよい。冷却ファン5と第2ヒートシンク72のこの配置によると、冷却ファン5から後方へ流れる空気も有効に利用できる。
【0026】
図6Bで示すように、前後方向での第2ヒートシンク72の幅は、前後方向での第1ヒートシンク71の幅より小さくてよい。そして、第2ヒートシンク72の前方に冷却ファン5が配置されてよい。ヒートシンク71・72と冷却ファン5のこの配置によると、電子機器1の前後方向でのサイズの大型化を抑えながら、冷却ファン5から後方へ流れる空気も有効に利用できる。
【0027】
後において詳説するように、放熱装置70は、複数のヒートパイプ73A~73F(
図13B参照)を有している。2つのヒートシンク71・72はこれら複数のヒートパイプ73によって熱的に接続されている。また、2つのヒートシンク71・72は共通のベースプレート75(
図13A参照)に固定されている。
【0028】
なお、電子機器1の例とは異なり、第1ヒートシンク71と第2ヒートシンク72は、ヒートパイプなどの伝熱手段によって繋がっていなくてもよい。例えば、第2ヒートシンク72は、第1ヒートシンク71が接続されている集積回路50aとは異なる発熱部品(例えば、電子部品)の冷却のために使用されてもよい。また、第1ヒートシンク71の右方且つ冷却ファン5の後方に配置される部品は、ヒートシンク72でなくてもよい。例えば、冷却ファン5の後方に、冷却対象である発熱部品(例えば、電子部品)が配置されてもよい。
【0029】
[ハウジングと外装パネルとの間の空気流路]
ハウジング30の上面は上外装パネル20Aによって覆われている。ハウジング30の上面と上外装パネル20Aとの間に、上吸気口31aに向けた空気の流通を許容する隙間Ua(
図20A参照)が形成されてよい。(以下では、この隙間Uaを上側流路と称する。)上述したように、上ハウジング部材30Aの上面は、主板部32cに対して凹んでいる凹板部32a(
図2A参照)を有している。凹板部32aは、例えば、上ハウジング部材30Aの右前部に形成され、上吸気口31aはこの凹板部32aに形成されている。例えば、この凹板部32aと上外装パネル20Aとの間に上側流路Uaが確保される。
【0030】
この上側流路Uaは、例えば電子機器1の前側及び/又は右側に向かって開口してよい。すなわち、上ハウジング部材30Aの上面の前縁(具体的には、凹板部32aの前縁)と、上外装パネル20Aの前縁との間に吸気口を有したり、或いは、上ハウジング部材30Aの上面の右縁(具体的には、凹板部32aの右縁)と、上外装パネル20Aの右縁との間に吸気口を有してよい。電子機器1の例では、
図1C及び
図1Eで示すように、上ハウジング部材30Aの上面と上外装パネル20Aの前縁から右縁まで続く吸気口Eaが設けられている。吸気口Eaは、例えば上外装パネル20Aの前縁の左右方向での中心から上外装パネル20Aの右縁の後部まで続いてよい。上ハウジング部材30Aは、この吸気口Eaにルーバー33Aを有してよい。
【0031】
ハウジング30の下面は下外装パネル20Bによって覆われている。電子機器1は、ハウジング30と上外装パネル20Aの上述した構造と同じ構造を、ハウジング30の下面と下外装パネル20Bとに有してよい。
【0032】
すなわち、ハウジング30の下面と下外装パネル20Bとの間に、下吸気口31bに向けた空気の流通を許容する隙間Ub(
図20A参照)が形成されてよい。(以下では、この隙間Ubを下側流路Ubと称する。)上述したように、下ハウジング部材30Bの下面は、主板部32dに対して凹んでいる凹板部32b(
図2B参照)を有している。凹板部32bは、例えば、下ハウジング部材30Bの右前部に形成され、下吸気口31bはこの凹板部32bに形成されている。例えば、この凹板部32bと下外装パネル20Bとの間に下側流路Ubが確保される。
【0033】
この下側流路Ubもまた、例えば電子機器1の前側及び/又は右側に向かって開口してよい。すなわち、下ハウジング部材30Bの下面の前縁(具体的には、凹板部32bの前縁)と、下外装パネル20Bの前縁との間に吸気口を有したり、或いは、下ハウジング部材30Bの下面の右縁(具体的には、凹板部32bの右縁)と、下外装パネル20Bの右縁との間に吸気口を有してよい。電子機器1の例では、
図1C及び
図1Eで示すように、下ハウジング部材30Bの下面と下外装パネル20Bの前縁から右縁まで続く吸気口Ebが設けられている。吸気口Ebは、例えば下外装パネル20Bの前縁の左右方向での中心から下外装パネル20Bの右縁の後部まで続いてよい。下ハウジング部材30Bは、この吸気口Ebにルーバー33Bを有してよい。
【0034】
上ハウジング部材30Aの上面において凹板部32a以外の部分、すなわち主板部32cと、上外装パネル20Aは近接している。主板部32cと上外装パネル20Aは接していてもよいし、それらの間に、上下方向での幅が上側流路Uaよりも小さな隙間が形成されていてもよい。
【0035】
冷却ファン5の駆動により形成された空気流は、ハウジング30の背面に形成された排気口M(
図1G及び
図6A参照)から後側に向かって排出される。排気口Mにはルーバー33C・33Dが形成されていてよい。
図2Aで示すように、主板部32cは凹板部32aの後側に位置する部分32eを有してよい。この構造によると、排気口Mから後側に向かって排出された空気が再び吸気口31aに向かって流れることを、この主板部32cによって抑えることができる。
【0036】
下ハウジング部材30Bの下面において凹板部32b以外の部分、すなわち主板部32dと、下外装パネル20Bは近接している。主板部32dと下外装パネル20Bは接していてもよいし、それらの間に、上下方向での幅が下側流路Ubよりも小さな隙間が形成されていてもよい。
図2Bで示すように、主板部32dは凹板部32bの後側に位置する部分32fを有してよい。この構造によると、排気口Mから後側に向かって排出された空気が再び吸気口31bに向かって流れることを、この主板部32dによって抑えることができる。
【0037】
電子機器1の上下方向での幅が吸気口31a・31bが形成されている電子機器1の右前部において大きくなるように、電子機器1の外面は湾曲している。言い換えれば、外装パネル20A・20Bは、外装パネル20A・20Bの距離が電子機器1の右前部において大きくなるように湾曲している。電子機器1のこの外観形状によって、上述した流路Ua・Ubの上下方向での幅を十分に確保することが容易となっている。外装パネル20A・20Bの湾曲については後において詳説する。
【0038】
なお、ハウジング30に形成されている吸気口31a・31bの位置や、ハウジング30と外装パネル20A・20Bとの間に形成されている吸気口Ea・Ebの位置は、電子機器1で示す例に限られない。例えば、吸気口31a・31bは、ハウジング30の左部に形成されてよい。また、吸気口31a・31bは、ハウジング30の上面と下面のうちの一方にだけ形成されていてもよい。吸気口Ea・Ebの位置は吸気口31a・31bの位置に合わせて適宜変更されてよい。
【0039】
図6Aで示すように、電子機器1は、吸気口31aの縁に取り付けられ冷却ファン5の上側を覆うファンガード38Aを有してよい。同様に、電子機器1は、吸気口31bの縁に取り付けられ冷却ファン5の下側を覆うファンガード38Bを有してよい。
【0040】
ファンガード38Aは、
図10Aで示すように、複数のリング38aと、複数のリング38aの中心に位置している中心部38bと、外側のリング38aから中心部38bに向かって伸びている複数のスポーク38cとを有している。電子機器1の例では、冷却ファン5は、平面視において時計回り方向に回転する。スポーク38cは冷却ファン5の回転方向に倣うように傾斜している。詳細には、スポーク38cは、中心Cfに近づくに従って時計回り方向に進むように、半径方向に対して傾斜している。この構造によると、スポーク38cが空気抵抗となることを抑えることができる。
【0041】
図10Bで示すように、複数のリング38aの位置と中心部38bの位置は、中心Cfに近づくに従って高くなっている。また、スポーク38cは中心Cfに近づくに従って高くなるように斜めに伸びている。こうすることによって、リング38aとスポーク38cとの間に形成されている開口の面積を拡大できる。
【0042】
上述したように、スポーク38cは中心Cfに近づくに従って高くなるように斜めに伸びている。一方、各リング38aは、冷却ファン5の回転中心線Cfに対して垂直な平面(
図10Bにおいて平面Hp5)に沿った断面を有してよい。こうすることによって、リング38aとスポーク38cとの間に形成されている開口の面積を拡大できる。ファンガード38Aの上側には、上外装パネル20Aが配置されている。上述したように、上外装パネル20Aは湾曲している。ファンガード38Aは、上外装パネル20Aの湾曲に合わせて湾曲していてよい。
【0043】
冷却ファン5の下側を覆うファンガード38Bは、上側のファンガード38Aと同じ構造を有してよい。すなわち、ファンガード38Bは、ファンガード38Aの上面と下面とが反転したものであってよい。
【0044】
[電源ユニット]
図7Bで示すように、電源ユニット60は、電源回路62と、電源回路62を収容している電源ユニットケース61とを有している。電源ユニットケース61は、第1ヒートシンク71の前方に位置している壁部61aを有している。壁部61aには複数の吸気孔61bが形成されてよい。(以下では、この壁部61aを「吸気壁」と称する。)
図6Bで示すように、ヒートシンク71・72は、左右方向で並んでいる複数のフィン71a・72aを有している。そのため、空気はヒートシンク71・72を前後方向に通過する。吸気壁61aは、前後方向と左右方向に対して斜めに配置され、その外面は第1ヒートシンク71に向いている。ここで、「吸気壁61aの外面が第1ヒートシンク71に向いている」とは、外面から伸びており且つ外面に垂直な直線が第1ヒートシンク71と交差することを意味する。冷却ファン5は、吸気壁61aに向けて空気を送るように配置されている。電子機器1の例では、冷却ファン5は吸気壁61aの外面から右方に離れており、後述する流路壁34A・34Bによって冷却ファン5から吸気壁61aに向かう空気流が形成される。
【0045】
電源ユニットケース61のこの形状と配置によると、
図6Bで示すように、吸気壁61aに達した空気の一部は吸気孔61bを通過して電源ユニットケース61内に入る。また、吸気壁61aに達した空気の別の一部は、吸気壁61aによって案内されて第1ヒートシンク71に向かう。つまり、吸気壁61aによって、第1ヒートシンク71に供給する空気流が確保でき、それと同時に、冷たい空気(他の発熱装置や放熱装置によって温められていない空気)で電源ユニット60を冷却できる。電源ユニット60を冷たい空気で冷却できると、電源回路62を構成している回路部品62a・62b(例えば、変圧器や、コンデンサ)間の隙間を低減でき、電源ユニット60を小型化できる。
【0046】
電源ユニットケース61は、第1ヒートシンク71の左方に位置しているケース後部61cと、第1ヒートシンク71の前端の位置を超えて前方に伸びているケース前部61dとを有している。電子機器1の例において、吸気壁61aはケース前部61dの右側壁であり、ケース後部61cの右側壁61fから斜め前方且つ右方に伸びている。一方、電源ユニットケース61の左側壁61eはケース後部61cからケース前部61dに向けてまっすぐ前方に伸びている。従って、ケース前部61dの左右方向での幅は前方に向かって徐々に大きくなっている。
【0047】
図11Bで示すように、吸気孔61bは吸気壁61aに対して斜めに形成されていてよい。すなわち、吸気孔61bの中心線Ch1が吸気壁61aに対して傾斜していてよい。例えば、吸気孔61bの中心線Ch1は左右方向に沿っていてよい。こうすることによって、冷却ファン5から出た空気が吸気壁61aを通過し易くなる。なお、吸気孔61bの構造は、電子機器1の例に限られない。吸気孔61bの中心線Ch1は、空気流の方向に合わせて、左右方向と前後方向の双方に対して傾斜していてよい。例えば、中心線Ch1は吸気壁61aから斜め前方且つ右方に伸びていてもよい。
【0048】
図11A及び
図11Bで示すように、ケース後部61cの右側壁61fにも吸気孔61mが形成されてよい。この場合、吸気孔61mが右側壁61fを貫通する方向、すなわち、吸気孔61mの中心線Ch2の方向は、吸気壁61aの吸気孔61bと同じであってよい。こうすることによって、2種類の吸気孔61b・61mの形成を容易化できる。
【0049】
図7Bで示すように、吸気壁61aの傾斜により確保されたケース前部61d内のスペース、言い換えれば、吸気壁61aの内側に形成されているスペースSf(
図6B参照)にも、電源回路62の一部が配置されてよい。電源回路62を構成する回路部品62bはこのスペースに収容されており、第1ヒートシンク71の前方に位置している。このようなレイアウトによると、電源ユニットケース61の容量を有効に利用できる。
【0050】
吸気壁61aの内側に形成されているスペースに配置されている回路部品62bは、その他の部品62aよりも小さなサイズを有してよい。こうすることで、電源ユニットケース61内の空気流を円滑化できる。
【0051】
ケース後部61cに複数の排気孔61g・61hが形成されてよい。より詳細には、
図7Cで示すように、ケース後部61cの後壁61iに複数の排気孔61gが形成され、電源ユニットケース61の上壁61jの後部61kに複数の排気孔61hが形成されてよい。電子機器1の例では、上壁61jの後部61kは、上壁61jの前部に対して凹んでいる。この凹みによって、上ハウジング部材30Aと後部61kとの間に空気流路Seが確保されている。
【0052】
排気孔61g・61hの位置は、電子機器1で表す例に限られない。例えば、上壁61jに形成されている排気孔61hは無くてもよい。左側壁61eの最後部に複数の排気孔が形成されてもよい。
【0053】
[空気流路を規定する流路壁]
放熱装置70は、左右方向で並んでいる第1ヒートシンク71と第2ヒートシンク72とを有している。冷却ファン5は第2ヒートシンク72の前方に位置している。
図4及び
図6Bで示すように、上ハウジング部材30Aは、冷却ファン5から送り出される空気流の流路を規定し第1ヒートシンク71に向けて空気流を案内する流路壁34Aを有してよい。流路壁34Aは、冷却ファン5の外周に沿って湾曲している部分を有している。電子機器1の例では、流路壁34Aの全体が湾曲している。
【0054】
図6Bで示すように、流路壁34Aの始点34aから流路壁34Aの延伸方向に遠ざかるにつれて、冷却ファン5から流路壁34Aまでの距離(冷却ファン5の半径方向での距離)が増している。流路壁34Aは、冷却ファン5の外周から電源ユニットケース61の吸気壁61aに向かって伸びている。流路壁34Aの終端34bの延長上に吸気壁61aが位置している。このような流路壁34Aによって、冷却ファン5からの空気を吸気壁61aに向けてスムーズに送ることができる。
【0055】
吸気壁61aは、流路壁34Aと同様、湾曲していてもよい。例えば、流路壁34Aは、所定の関数で規定される曲線に沿って形成される。吸気壁61aも同じ曲線に沿って配置されてよい。例えば、流路壁34Aは、冷却ファン5の回転中心線Cfを原点とするクロソイド曲線に沿って形成される。この場合、吸気壁61aも同じクロソイド曲線に沿って湾曲していてよい。こうすることで、スムーズな空気流が冷却ファン5から吸気壁61a及び第1ヒートシンク71に向けて形成される。なお、流路壁34Aと吸気壁61aの湾曲が依拠する曲線は、クロソイド曲線でなく、例えばインボリュート曲線や、対数螺旋、Nielsen螺旋などであってよい。
【0056】
流路壁34Aは、回路基板50の外縁の外側に位置している冷却ファン5の外周を取り囲んでいる。流路壁34Aは、上ハウジング部材30Aにおいて機器本体10の上面を構成する部分(電子機器1の例において凹板部32a)から下方に伸びている。流路壁34Aの下縁は下ハウジング部材30Bに達していてよい。
【0057】
電子機器1の例では、
図4及び
図8Bで示すように、上方に突出している流路壁34Bが下ハウジング部材30Bに形成されている。流路壁34Bは、流路壁34Aと同様、冷却ファン5から送り出される空気流の流路を規定する。流路壁34Bは、冷却ファン5の外周に沿って湾曲している部分を有している。電子機器1の例では、流路壁34Aと同様、流路壁34Bの全体が湾曲している。
【0058】
図7Bで示すように、上ハウジング部材30Aの流路壁34Aの下縁は、下ハウジング部材30Bの流路壁34Bに上下方向において接続している。流路壁34A・34Bは、互いに接続して、冷却ファン5の外周に沿って伸びている1つの壁を構成している。電子機器1の例では、流路壁34A・34Bは、冷却ファン5の前側の壁として機能している。
【0059】
流路壁34A・34Bの構造は、電子機器1の例に限られない。例えば、上ハウジング部材30Aと下ハウジング部材30Bのうち一方にだけ流路壁が形成されてもよい。そして、この一方のハウジング部材に形成された流路壁が他方のハウジング部材に達するまで上方又は下方に伸びていてもよい。
【0060】
図4で示すように、電子機器1は、外装部材の一部として、流路壁34A・34Bを覆っている前外装パネル35を有している。前外装パネル35は湾曲している流路壁34A・34Bの前側と右側とに位置し、流路壁34A・34Bの全体を覆っている。前外装パネル35の存在によって、流路壁34A・34Bの形状について自由度を確保できる。前外装パネル35には、電源ボタン2aや、光ディスクの取り出しボタン2bによって操作されるスイッチが実装された回路基板が取り付けられたり、コネクタ3a・3bが実装された回路基板が取り付けられていてよい。
【0061】
[回路基板の下側の空気流路]
上述したように、回路基板50の上面に、電源ユニット60と放熱装置70とが配置され、それらは左右方向で並んでいる。冷却ファン5から送り出された空気は、放熱装置70と電源ユニットケース61とを通過する。したがって、回路基板50と上ハウジング部材30Aとの間に空間の全体に、空気流が形成される。これに対し、回路基板50の下側には、回路基板50と下ハウジング部材30Bとの間の空気流路の幅を低減する部材が設けられてよい。そして、回路基板50の下面と下ハウジング部材30Bとの間の空気流路の幅が、回路基板50の上面と上ハウジング部材30Aとの間の空気流路の幅よりも狭くてよい。こうすることによって、回路基板50の下側に形成される空気流の速さが確保し易くなる。
【0062】
電子機器1の例では、光ディスクドライブ6が回路基板50の下側に配置されている。光ディスクドライブ6が回路基板50と下ハウジング部材30Bとの間の空気流路の幅を低減している。
【0063】
図8Bで示すように、光ディスクドライブ6は、電子機器1の平面視において、冷却ファン5から左方に離れている。光ディスクドライブ6はディスクドライブケース6aを有し、その内側に、光ディスクを回転するスピンドルモータ(不図示)や、ピックアップモジュール(不図示)などが配置されている。
【0064】
図8Bで示すように、冷却ファン5とディスクドライブケース6aとの間に、冷却ファン5から排気口M(
図8A参照)に向かう空気流路Sbが形成されている。空気流路Sbは、ディスクドライブケース6aによって、回路基板50上の右領域に限定されている。ディスクドライブケース6aは、冷却ファン5に向いており且つ冷却ファン5から左方に離れた位置で前後方向に伸びている右側壁6bを有している。この右側壁6bと冷却ファン5との間に空気流路Sbが形成されている。空気流路Sbの途上に、放熱装置80が有している複数のフィン81が配置されている。
【0065】
下ハウジング部材30Bに、空気流路Sbを規定する壁が形成されてもよい。
図4及び
図8Bで示すように、例えば、下ハウジング部材30Bは冷却ファン5の外周から放熱装置80に向かって伸びている流路壁34cを有してもよい。電子機器1の例では、流路壁34cは、冷却ファン5の外周で湾曲している上述した流路壁34Bの始点から放熱装置80に向かって伸びている。
【0066】
なお、電子機器1は光ディスクドライブ6を有していなくてもよい。この場合、空気流路Sbを制限するのは壁でもよい。回路基板50と下ハウジング部材30Bとの間の空気流路の幅を、回路基板50と上ハウジング部材30Aとの間の空気流路に比して低減する部材として、下ハウジング部材30Bに形成されている壁部が利用されてよい。
【0067】
図4で示すように、下ハウジング部材30Bには、ディスクドライブケース6aのサイズ及び形状に対応している開口30cが形成されている。ディスクドライブケース6aの下面はこの開口30cから下方に露出してよい。この構造によると、電子機器1の上下方向での幅を、下ハウジング部材30Bの厚さだけ低減できる。
【0068】
[集塵室]
図6Bで示すように、流路壁34Aに集塵室Dsが設けられてもよい。集塵室Dsは、回路基板50の上側に形成される空気流に含まれる塵を補足し、この補足した塵を溜める。この構造によると、第1ヒートシンク71や電源ユニット60など、集塵室Dsより下流に配置される装置に入る塵の量を低減できる。
【0069】
集塵室Dsは、集塵室壁34C(
図5参照)によって規定されている。集塵室壁34Cは後述する2方向に開口した箱形である。集塵室壁34Cは、例えば上ハウジング部材30Aと一体的に形成される。こうすることにより、部品数を増すことなく集塵室Dsを確保できる。また、上ハウジング部材30Aは内部装置の全体を覆っている部材であるので、集塵室壁34Cを上ハウジング部材30Aと一体的に形成すると、集塵室Dsの位置の自由度が確保できる。
【0070】
電子機器1の平面視において、冷却ファン5は回転中心線Cfを中心として時計回り方向に回転する。電子機器1の例において、流路壁34Aは、冷却ファン5の外周に沿って流路壁34Aの始点34aから時計回り方向に伸びている。流路壁34Aの全体が湾曲している。集塵室Dsはこのように湾曲している流路壁34Aに設けられてよい。より具体的には、集塵室Dsは流路壁34Aの端部に位置してよい。集塵室Dsの位置は、電子機器1の例に限られず、集塵室Dsは流路壁34Aの途中に設けられてもよい。
【0071】
流路壁34Aが形成する空気流路の下流に、それぞれが発熱装置又は放熱装置である2つの装置が配置されてよい。集塵室Dsはこの2つの装置に対して上流に位置してよい。電子機器1の例では、電源ユニット60と第1ヒートシンク71が、流路壁34Aが規定している空気流路の下流に位置している。集塵室Dsは電源ユニット60と第1ヒートシンク71の上流に位置している。このことによって、2つの装置に塵が送られることを1つの集塵室Dsによって防ぐことができる。電子機器1の例では、集塵室Dsは電源ユニットケース61の吸気壁61aと流路壁34Aとの間に位置している。
【0072】
図12で示すように、集塵室Dsは、流路壁34Aと吸気壁61aとが規定している空気流路Saに向かって回路基板50に沿った方向で開口している第1開口A1を有している。空気流路Saを流れる空気に含まれる塵は第1開口A1から集塵室Dsに取り込まれる。集塵室Dsは、さらに、回路基板50に交差する方向で空気流路Saの外側に向けて開口している第2開口A2を有している。集塵室Dsのこの構造によると、集塵室Dsに塵を溜めることができ、溜まった塵を比較的簡単な作業で第2開口A2を通して排出できる。
【0073】
第2開口A2が開口している方向は、例えば、回路基板50に対して直交する方向である。第2開口A2はハウジング30の外側に向けて、より具体的には上ハウジング部材30Aの上側に向けて開口している。上外装パネル20Aは第2開口A2を覆い、第2開口A2の外部への露出を防いでいる。ユーザは上外装パネル20Aを上ハウジング部材30Aから取り外すことによって、第2開口A2を露出させ、集塵室Dsに溜まっている塵を取り出すことができる。例えば、集塵室Dsに溜まっている塵を掃除機で吸い出すことができる。また、第2開口A2を覆う部材として上外装パネル20Aを使用するため、部品数の増加を抑えることができる。
【0074】
集塵室Dsを規定する集塵室壁34Cは、第2開口A2の縁から下方に伸びている側壁34e(
図12参照)を有している。
図6Bで示すように、側壁34eの一部34fは、流路壁34Aと吸気壁61aとの間に位置し、空気流路Saに面している。(以下では、この一部34fを「内壁」と称する。)内壁34fは流路壁34Aに合わせて湾曲していてもよい。例えば、内壁34fは、流路壁34Aの湾曲を規定する関数(例えば、クロソイド曲線)の曲線に沿って形成されてもよい。さらに他の例では、
図6Bにおいて破線で示されるように、内壁34fは、流路壁34Aの湾曲を規定する関数(例えば、クロソイド曲線)の曲線より内側に伸びていてもよい。こうすることによって、第1開口A1を大きくでき、集塵室Dsに入る空気の量を増すことができる。
【0075】
図12で示すように、集塵室壁34Cは、側壁34eの下縁に位置している底部34gを有してよい。集塵室Dsに取り込まれた塵はこの底部34g上に溜まる。底部34gは、第1開口A1の縁に沿って土手部34hを有してもよい。これによれば、底部34gに溜まった塵が空気流路Saに戻ることを抑えることができる。底部34gは、ボス34iや螺子59によって回路基板50に取り付けられていてよい。
【0076】
なお、上外装パネル20Aが上ハウジング部材30Aに取り付けられているとき、第2開口A2の縁と上外装パネル20Aとの間に隙間が形成されていてもよい。こうすることによって、第1開口A1から集塵室Dsに入り、集塵室Dsから第2開口A2を通って外部に出る空気流が形成され易くなる。
【0077】
なお、集塵室Dsの構造は、電子機器1の例に限られない。例えば、上外装パネル20Aが第2開口A2を覆うカバーとして利用されるのではなく、第2開口A2を覆う専用のカバー(蓋)が第2開口A2に設けられてもよい。別の例では、集塵室Dsは、上ハウジング部材30Aではなく、電源ユニットケース61に形成されてもよい。
【0078】
図27で示すように、上ハウジング部材30Aには、集塵室Dsの第2開口A2に加えて、第3開口A3が形成されてよい。
図27に示す例において、上ハウジング部材30Aは、放熱装置70の変形例である後述する放熱装置170(
図26A~
図26C参照)を覆っている。前側のヒートシンク171Aのフィン171aは、前後方向と左右方向とに対して傾斜している。そのため、ヒートシンク171Aにおいて端部に位置しているフィン171cと電源ユニットケース61の右壁部61fとの間に、略三角形のスペースが生じている。第3開口A3は、この隙間の直上に位置している。この構造によると、前側のヒートシンク171Aと電源ユニットケース61の右壁部61fとの間のスペースに溜まる塵を、第3開口A3を通して取り出すことができる。例えば、このスペースに溜まっている塵を掃除機で吸い出すことができる。
【0079】
[上側の放熱装置]
図13Bで示すように、放熱装置70は、ヒートシンク71・72に加えて、複数のヒートパイプ73A~73Fを有している。電子機器1の例では、放熱装置70は6本のヒートパイプ73A~73Fを有しているが、その数は2本や、3本でもよいし、6本より多くてもよい。以下の説明では、複数のヒートパイプ73A~73Fを区別しない場合、複数のヒートパイプ73A~73Fについて符号73を用いる。また、放熱装置70は、
図13Aで示すように、ベースプレート75を有してよい。ヒートシンク71・72はベースプレート75の上側に固定されている。ヒートシンク71・72のフィン71a・72aは例えば半田によってベースプレート75に固定される。
【0080】
図14Aで示すように、各ヒートパイプ73は、回路基板50に実装されている集積回路50aと熱的に接続している受熱部73aを有している。ここで、「受熱部73aが集積回路50aと熱的に接続している」とは、集積回路50aの熱が受熱部73aに伝わるように、それらが直接的に接している、或いは銅やアルミニウムなど高い熱伝導率を有する金属部品を介して接続していることを意味する。電子機器1の例においては、受熱部73aは集積回路50aの直上に位置する部分である。放熱装置70は、ヒートパイプ73と集積回路50aとの間に配置されている伝熱部材74を有してよい。受熱部73aは伝熱部材74を介して集積回路50aに接続してよい。
【0081】
図14Aで示すように、複数のヒートパイプ73の受熱部73aは左右方向で並んでおり、且つ隣のヒートパイプ73の受熱部73aと接してよい。受熱部73aの断面は略矩形であり、上面、下面、左側面、及び右側面を有している。受熱部73aは隣の受熱部73aとそれらの側面で接している。隣り合う2つの受熱部73aは直接的に接していてよいし、或いは熱伝導グリースなどの層を介して接していてよい。
【0082】
図14Aで示すように、各受熱部73aは上下方向において幅W1を有し、左右方向において幅W2を有している。上下方向での幅W1は左右方向での幅W2よりも大きい。この構造によると、ヒートパイプ73の数を増すことが容易となる。その結果、ヒートパイプ73を通して集積回路50aの熱が伝えられるヒートシンク71・72のサイズを増すことが容易となる。電子機器1の例では、左右方向での幅W2は上下方向での幅W1の3/4よりも小さい。左右方向での幅W2は上下方向での幅W1の2/3より小さくてもよい。左右方向での幅W2は上下方向での幅W1の1/2より大きくてよい。
【0083】
図14Aで示すように、複数のヒートパイプ73の受熱部73aの全体幅Wa(左右方向での幅)は、集積回路50aの左右方向での幅に対応していてよい。より具体的には、全体幅Waと集積回路50aの幅との差は、1本のヒートパイプ73の太さ(受熱部73aの左右方向での幅W2)よりも小さくてよい。電子機器1の例において、この差は、1本のヒートパイプ73の太さの半分よりも小さい。このように、全体幅Waが集積回路50aの幅に対応していることによって、全てのヒートパイプ73を有効に機能させることができる。
【0084】
図14Aで示すように、伝熱部材74は、左右方向で離れている2つの側部74bと、2つの側部74bの間に形成されている溝74aとを有している。左右方向での溝74aの幅は、複数のヒートパイプ73の受熱部73aの全体幅Waに対応しており、全ヒートパイプ73の受熱部73aがこの溝74aの内側に配置されている。右端と左端にそれぞれ位置している受熱部73aの側面は、伝熱部材74の溝74aの内面(側部74b)に接してよい。溝74aの深さは受熱部73aの上下方向での幅W1に対応している。そのため、受熱部73aの上面の高さと側部74bの上面の高さは実質的に一致している。側部74bの上面にヒートシンク71を構成しているフィン71aの下縁が固定されている。フィン71aは例えば半田によって側部74bの上面に固定される。この側部74bによると、受熱部73aの右側と左側にあるフィン71aにも熱を伝えることができる。
【0085】
ヒートパイプ73の上下方向での幅と左右方向での幅は、ヒートパイプ73の延伸方向において変化していてよい。そして、ヒートパイプ73は、受熱部73aとは反対に、上下方向での幅が左右方向での幅よりも小さい部分を含んでよい。こうすることによって、ヒートパイプ73の曲げを容易にしたり、ヒートパイプ73からヒートシンク71・72への熱の伝導性を向上できる。電子機器1の例では、全てのヒートパイプ73の上下方向での幅は、ヒートパイプ73の延伸方向で変化している。電子機器1の例とは異なり、一部のヒートパイプ73においてのみ、上下方向の幅がヒートパイプ73の延伸方向で変化してもよい。
【0086】
図13Bで示すように、各ヒートパイプ73は、ヒートパイプ73の延伸方向において受熱部73a(
図14A参照)から離れた位置に、ヒートシンク71・72と接している部分73b・73cを有している。以下では、第1ヒートシンク71に接している部分73bを第1放熱部と称し、第2ヒートシンク72に接している部分73cを第2放熱部と称する。例えば、
図14Bで示すように、ヒートパイプ73C・73Dは、第2ヒートシンク72の下側で右方に伸びており各フィン72aの下縁に接続している第2放熱部73cを有している。ヒートパイプ73E・73Fは、第2ヒートシンク72の上側で右方に伸びており各フィン72aの上縁に接続している第2放熱部73cを有している。また、
図13Bで示すように、ヒートパイプ73A~73Fは、第1ヒートシンク71の下縁に接している第1放熱部73bを有している。
【0087】
第2放熱部73cの延伸方向と上下方向とに直交している方向において第2放熱部73cが有している幅は、第2放熱部73cが上下方向において有している幅よりも大きくてよい。電子機器1の例においては、
図14Bで示すように、第2放熱部73cは、上下方向において幅W3を有し、前後方向において幅W4を有している。そして、前後方向での幅W4は上下方向での幅W3よりも大きい。このことによって、第2放熱部73cから第2ヒートシンク72へ熱を効率的に伝えることができる。
【0088】
同様に、第1放熱部73bの延伸方向と上下方向とに直交している方向において第1放熱部73bが有している幅は、第1放熱部73bが上下方向において有している幅よりも大きくてよい。このことによって、第1放熱部73bから第1ヒートシンク71への熱伝導性を向上できる。
【0089】
各ヒートパイプ73において、受熱部73aの上下方向での幅W1は、放熱部73b・73cの上下方向での幅よりも大きい(W1>W3)。その一方で、放熱部73b・73cの延伸方向と上下方向とに直交する方向での放熱部73b・73cの幅(例えば、第2放熱部73cについて幅W4)は、受熱部73aの延伸方向と上下方向とに直交する方向での受熱部73aの幅(すなわち、幅W2)よりも大きい(W4>W2)。この構造によると、各ヒートパイプ73の断面の外周長が変化することを避けることができる。
【0090】
なお、放熱部73b・73cはヒートシンク71・72の上側又は下側に配置されていなくてもよい。例えば、第2放熱部73cは、第2ヒートシンク72の前側或いは後側で左右方向に伸びていてもよい。この場合、第2放熱部73cの上下方向での幅が前後方向での幅より大きくてよい。さらに他の例では、第2ヒートシンク72の各フィン72aにそれらを左右方向に貫通する孔が形成されてもよい。そして、第2放熱部73cはこの貫通孔に挿入されていてもよい。この場合、第2放熱部73cの上面及び/又は下面がヒートシンク72貫通孔の縁に接してよい。そして、第2放熱部73cの前後方向での幅は上下方向での幅よりも大きくてもよい。
【0091】
受熱部73aの角部73d(
図14A参照)の曲率半径は、放熱部73b・73cの角部又は側部(例えば、
図14Bで示す側部73e)の曲率半径より小さくてよい。こうすることによって、受熱部73aの断面が矩形に近くなるので、複数のヒートパイプ73を集積回路50aの上側に効率的に配置できる。
【0092】
図14Cで示すように、各ヒートパイプ73は、回路基板50に実装されている集積回路50aと、第1ヒートシンク71との間に位置している途中部73hを有している。途中部73hは、受熱部73aと第1放熱部73bとの間に位置する部分である。複数のヒートパイプ73の途中部73hは、放熱装置70の平面視において、各受熱部73aの延伸方向に対して直交している方向(電子機器1の例において左右方向)に広がっている(
図13B参照)。
【0093】
図14Cで示すように、途中部73hの上面73iは第1ヒートシンク71のフィン71aの下縁に接続している。上面73iは回路基板50やフィン71aの下縁と平行である。一方、途中部73hの下面73jは、途中部73hの上下方向での幅W7が受熱部73aから遠ざかるにつれて徐々に小さくなるように傾斜してよい。このことによって、途中部73hの下方において、電子部品50cのレイアウトの自由度を向上できる。なお、途中部73hの下面73jは必ずしも傾斜していなくてもよい。途中部73hの上下方向での幅W7が徐々に小さくなるように、下面73jには複数の段差が形成されていてもよい。
【0094】
ベースプレート75は途中部73hの下方に位置する底部75cを有している。底部75cには複数の段差が形成され、途中部73hの下面73jをヒートシンク71側に付勢してよい。
【0095】
上述したように、ヒートパイプ73E・73Fの第2放熱部73cは第2ヒートシンク72の上側に沿って配置されている。そのため、
図13Aで示すように、この2本のヒートパイプ73E・73Fは、第1ヒートシンク71の下側から第2ヒートシンク72の上側に向かって上方に曲がっている湾曲部73gを有してよい。
【0096】
図9で示すように、湾曲部73gは上下方向において幅W5を有している。また、湾曲部73gは、湾曲部73gの延伸方向と上下方向とに直交する方向(
図9で示す例において、前後方向)で幅W6を有している。そして、この幅W6は上下方向での幅W5よりも大きくてよい。ヒートパイプ73E・73Fのこの構造によると、ヒートパイプ73E・73Fを上側に向けて曲げることが容易となる。
【0097】
なお、湾曲部73gが曲げられる方向は、上下方向に限られない。例えば、第2放熱部73cが第2ヒートシンク72の前側或いは後側に配置されている場合、湾曲部73gは前側或いは後側に向けて曲げられていてもよい。このとき、上下方向での湾曲部73gの幅は、前後方向での湾曲部73gの幅よりも大きくてよい。
【0098】
図26A~
図26Cは、放熱装置70の変形例として、放熱装置170を示す図であり、
図27は放熱装置170を有している機器本体10の平面図である。
図27において放熱装置170は上ハウジング部材30Aによって覆われている。
【0099】
放熱装置170において、
図13A等で示した第1ヒートシンク71は、
図26Aで示すように空気流に沿った方向(電子機器1の例において前後方向)で2つのヒートシンク171A・171B(2つのフィンブロック)に分離されている。ヒートシンク171A・171Bは共通のベースプレート75に固定されている。また、ヒートシンク171A・171Bは回路基板50に実装されている集積回路50aと熱的に接続している受熱部73aを有する共通のヒートパイプ73により繋がっている。前側のヒートシンク171Aは、冷却ファン5の中心線Cfの左方に位置し、左右方向に沿った線は中心線Cfとヒートシンク171Aとを通過する(
図27参照)。前側のヒートシンク171A(前側のフィンブロック)には伝熱部材74とヒートパイプ73の受熱部73aとが固定され、伝熱部材74と受熱部73aとを通して集積回路50aに接続している。後側のヒートシンク171B(後側のフィンブロック)はヒートシンク171Aの後方に位置している。後側のヒートシンク171Bには複数のヒートパイプ73の放熱部73cが固定されている。第2ヒートシンク72と後側のヒートシンク171Bは左右方向で並んでいる。
【0100】
以下の説明では、前側のヒートシンク171Aを第1前ヒートシンクと称し、ヒートシンク171Bを第1後ヒートシンクと称し、ヒートシンク72を
図13Aの例と同様に第2ヒートシンクと称する。
【0101】
図26Aで示すように、第1後ヒートシンク171Bの前縁は、第1前ヒートシンク171Aの後縁から後方に離れており、第1後ヒートシンク171Bの前縁と、第1前ヒートシンク171Aの後縁との間に、隙間Gnが確保されている。この構造によると、第1前ヒートシンク171Aの後縁を通過した空気は、隙間Gnにおいて混じり合い(すなわち隙間Gnにおいてその流れが乱れ)、その後に、第1後ヒートシンク171Bに入る。このため、第1後ヒートシンク171Bの全体に放熱すべき空気が行き渡り易くなる。その結果、第1後ヒートシンク171Bを有効利用でき、冷却性能を向上できる。
【0102】
図26Aで示すように、放熱装置170においては、ヒートシンク171A・171Bは左右方向で並んでいる複数のフィン171a・171bをそれぞれ有している。第1前ヒートシンク171Aを構成するフィン171aは前後方向と左右方向の双方に対して傾斜している。第1前ヒートシンク171Aの前方に、第1前ヒートシンク171Aに向けて空気を送る壁61a(電源ユニットケース61の吸気壁、
図6B参照)が形成されている。各フィン171aは壁61aと同じ方向に傾斜していてよい。このことによって、空気はスムーズにヒートシンク171Aを通過し得る。電子機器1の例においては、壁61aは、その前縁から、斜め後方且つ左方に伸びている。各フィン171aは、壁61aと同様、その前縁から、斜め後方且つ左方に伸びている。フィン171aと壁61aは平行でなくてもよい。
【0103】
一方、第1後ヒートシンク171Bの各フィン171bは前後方向に沿って配置されている。そのため、第1前ヒートシンク171Aのフィン171aは、第1後ヒートシンク171Bのフィン171bに対して傾斜している。
【0104】
隙間Gnは、空気が混ざるのに必要な大きさが確保されるのが望ましい。隙間Gnは、例えば、第1前ヒートシンク171Aの前後方向での幅の1/5より大きくてよい。隙間Gnは、第1前ヒートシンク171Aの前後方向での幅の1/4より大きくてよい。
【0105】
図26Aで示す例では、複数のヒートパイプ73の途中部73hが隙間Gnにおいて露出している。
図26Bで示すように、第1前ヒートシンクのフィン171aの下縁に、ヒートパイプ73の受熱部73aの上面と伝熱部材74の上面とが接している。第1後ヒートシンク171Bのフィン171bの下縁に、複数のヒートパイプ73の放熱部73cが接している。したがって、
図26A~
図26Cで示す例では、ヒートシンク171A・171Bはいずれもヒートパイプ73の上下方向での幅W1・W3(
図14A、
図14B)が均一な部分においてヒートパイプ73に接している。
【0106】
[下側の放熱装置]
図15で示すように、回路基板50の下面に配置されている放熱装置80は、ベースプレート82と、複数のフィン81と、ヒートパイプ83とを有している。
図16Aで示すように、ヒートパイプ83は下基板シールド52と回路基板50との間に配置されている。下基板シールド52には開口52aが形成されている。フィン81は開口52aの内側に配置されて、下基板シールド52の外側(電子機器1の例において、下基板シールド52の下側)に露出している。フィン81は、回路基板50と下ハウジング部材30Bとの間に形成されている上述した空気流路Sb(
図8B参照)に配置されている。
【0107】
ベースプレート82は、例えば、銅や、アルミニウム、ステンレスなどの金属板である。ベースプレート82は、金属板にプレス加工を施すことによって形成されている。すなわち、ベースプレート82が有する部位は、1枚の金属板から形成されている。複数のフィン81はベースプレート82によって支持されている。フィン81は、例えばベースプレート82の下面に、例えば半田で固定される。
【0108】
図15で示すように、ヒートパイプ83は、フィン81から離れた位置に受熱部83nを有している。ヒートパイプ83は、例えばL字形状である。受熱部83nは上述した光ディスクドライブ6と回路基板50との間に配置される。フィン81は光ディスクドライブ6とは重複しない領域(電子機器1の例では、光ディスクドライブ6の右側の領域)に配置される。回路基板50の製造過程(回路基板50に電子部品を実装する工程)では、冶具が回路基板50の表面に押し当てられ、回路基板50の反りを抑えてよい。ヒートパイプ83はその冶具が押し当てられる領域に合わせた形状であってよい。
【0109】
受熱部83nは、回路基板50の下面に実装されている電子部品50cに接する。電子部品50cは、例えば電源ユニット60から供給される電力から回路基板50の上面に実装されている集積回路50a(具体的には、CPU)の駆動電力を生成するパワートランジスタである。放熱装置80が冷却する部品・装置はトランジスタに限られず、放熱装置80はメモリを冷却するために利用されてもよい。
【0110】
図16Aで示すように、ヒートパイプ83は、受熱部83nとは反対側に接続部83aを有している。接続部83aは、フィン81と回路基板50との間に位置し、左右方向で伸びている。ベースプレート82の下面に、左右方向で伸びている保持凹部82fが形成されている。ベースプレート82の下面は保持凹部82fにおいて上方に凹んでいる。保持凹部82fの左端には、ベースプレート82を左右方向で貫通している第1貫通孔82gが形成され、保持凹部82fの右端には、ベースプレート82を左右方向で貫通している第2貫通孔82hが形成されている。接続部83aは、保持凹部82fに、例えば左側の第1貫通孔82gから挿入されて、保持凹部82fの内側で保持される。接続部83aは例えば保持凹部82fに半田で固定されている。保持凹部82fと接続部83aはともに直線的に伸びている部分である。
【0111】
図16Aで示すように、下基板シールド52の開口52aの縁とフィン81との間には、隙間G1・G2が生じる。詳細には、開口52aの縁(左縁)と、左端に位置しているフィン81との間に隙間G1が生じ、開口52aの縁(右縁)と、右端に位置しているフィン81との間に隙間G2が生じている。
【0112】
図16Aで示すように、ベースプレート82は、保持凹部82fに対して左方に位置しているプレート左部82cを有してよい。プレート左部82cは、ヒートパイプ83の下面(基板シールド52側の面)を覆い、且つ隙間G1を塞いでよい。このことによって、電磁波が隙間G1から下基板シールド52の外側に出ることを抑えることができる。プレート左部82cは、前後方向においては隙間G1より大きなサイズを有し、隙間G1の全体を塞いでよい。
【0113】
同様に、
図16Aで示すように、ベースプレート82は、保持凹部82fに対して右方に位置しているプレート右部82dを有してよい。プレート右部82dは、ヒートパイプ83の下面(基板シールド52側の面)を覆い、且つ隙間G2を塞いでよい。このことによって、電磁波が隙間G2から下基板シールド52の外側に出ることを抑えることができる。プレート右部82dは、前後方向においては隙間G2より大きなサイズを有し、隙間G2の全体を塞いでよい。
【0114】
図16Aで示すように、プレート左部82cは、複数のフィン81のうち左端に位置しているフィン81と基板シールド52の開口52aの縁(左縁)との間の距離(隙間G1)よりも大きな幅T1を有している。そのため、プレート左部82cは、回路基板50の平面視において、左端に位置しているフィン81に重なるとともに、基板シールド52の開口52aの縁とも重なっている。その結果、隙間G1から電磁波が漏れることを、効果的に抑えることができる。電子機器1の例では、プレート左部82cには複数のフィン81が重なっている。
【0115】
図16Aで示すように、プレート右部82dは、複数のフィン81のうち右端に位置しているフィン81と基板シールド52の開口52aの縁(右縁)との間の距離(隙間G2)よりも大きな幅T2を有している。そのため、プレート右部82dは、回路基板50の平面視において、右端に位置しているフィン81に重なるとともに、基板シールド52の開口52aの縁とも重なっている。その結果、隙間G2から電磁波が漏れることを、効果的に抑えることができる。電子機器1の例では、プレート右部82dにも複数のフィン81が重なっている。
【0116】
図16Bで示すように、ベースプレート82は、保持凹部82fを挟んで前後方向において互いに反対側に位置しているプレート前部82aとプレート後部82bとを有している。プレート前部82a、プレート後部82b、プレート左部82c、及びプレート右部82dは互いに繋がっており、保持凹部82fを取り囲んでいる。4つの部分82a~82dは回路基板50に沿った同一平面に位置している。フィン81の縁はプレート前部82aの下面とプレート後部82bの下面とに、例えば半田によって、固定されている。ヒートパイプ83から保持凹部82fに伝わった熱はプレート前部82aとプレート後部82bとを介してフィン81に伝わる。
【0117】
プレート前部82aは保持凹部82fから前方に伸び、基板シールド52の開口52aの縁と重なっている。プレート後部82bは保持凹部82fから後方に伸び、基板シールド52の開口52aの縁と重なっている。このように、ベースプレート82は、基板シールド52の開口52aの縁の全周と重なっていてよい。これにより、電磁波が漏れることを、効果的に抑えることができる。
【0118】
部分82a~82dのそれぞれが螺子やリベットなどの固定具によって、基板シールド52の開口52aの縁に固定されてよい。ベースプレート82と下基板シールド52の固定構造は、電子機器1の例に限られない。例えば、プレート前部82aとプレート後部82bだけに、ベースプレート82を下基板シールド52に固定するための固定具が設けられてもよい。
【0119】
図16Bで示すように、第1貫通孔82gの左右方向での幅W11は1枚のフィン81の幅(左右方向での幅)よりも大きくてよい。同様に、第2貫通孔82hの左右方向での幅W12は、1枚のフィン81の幅(左右方向での幅)よりも大きくてよい。第1貫通孔82gは複数のフィン81によって閉じられている。第2貫通孔82hも複数のフィン81によって閉じられている。各フィン81は、その上縁に、隣のフィン81に向けて折り曲げられた固定部81bを有している。固定部81bは隣のフィン81に接しており、隣り合う2枚のフィン81の間に隙間がない。このことによって、隣り合う2枚のフィン81の間から電磁波が漏れ出ることも抑えることができている。
【0120】
図16Bで示すように、ベースプレート82は、ヒートパイプ83の左右方向での先端(電子機器1の例において、右端)と左右方向で向き合っているストッパ82kを有してよい。放熱装置80の製造過程において、ヒートパイプ83の接続部83aを左側から保持凹部82fに挿入したとき、ストッパ82kは接続部83aと保持凹部82fとの相対位置のずれを低減できる。
【0121】
なお、電子機器1の例では、ベースプレート82は、保持凹部82fの右側と左側とに、基板シールド52の開口52aの縁と重なるプレート左部82cとプレート右部82dとをそれぞれ有している。この例とは異なり、プレート左部82cとプレート右部82dのうちの一方だけが、基板シールド52の開口52aの縁と重なってよい。
【0122】
さらに他の例では、ベースプレート82は保持凹部82fを有していなくてもよい。この場合、放熱装置80はベースプレート82とともにヒートパイプ83の接続部83aを挟むバックプレートを有してもよい。
図17A~
図17Cはこのような放熱装置の例を示す図である。
【0123】
これらの図で示す例では、放熱装置180は、ベースプレート182とバックプレート184とを有している。
図17Bで示すように、ベースプレート182はヒートパイプ83の接続部83aとフィン81との間に配置されている。フィン81の上縁はベースプレート182に固定されている。上述したベースプレート82とは異なり、ベースプレート182に保持凹部は形成されていない。バックプレート184は、接続部83aの上面を覆い、且つベースプレート182に取り付けられている。バックプレート184には左右方向で伸びている保持凹部184aが形成されており、この保持凹部にヒートパイプ83の接続部83aが嵌められている。バックプレート184は保持凹部184aを挟んで互いに反対側に位置するプレート前部184bとプレート後部184cとを有している。この部分184b・184cがベースプレート182に取り付けられている。なお、放熱装置180では、放熱装置80とは異なり、ヒートパイプ83の接続部83aは直線状でなく、例えば湾曲していてもよい。この場合、保持凹部184aは接続部83aに合わせて湾曲していてよい。
【0124】
図17Cで示すように、ベースプレート182はフィン81の左方に位置しているプレート左部182cと、フィン81の右方に位置しているプレート右部182dとを有している。プレート左部182cは隙間G1を閉じており、プレート右部182dは隙間G2を閉じている。これにより、隙間G1・G2から電磁波が漏れることを抑えることができる。
【0125】
図17Cで示すように、プレート左部182cは基板シールド52の開口52aの縁(左縁)を超えて左方に伸び、基板シールド52と重なっている。プレート右部182dは基板シールド52の開口52aの縁(右縁)を超えて右方に伸び、基板シールド52と重なっている。これにより、隙間G1・G2から電磁波が漏れることを、より効果的に抑えることができる。
【0126】
図17Bで示すように、ベースプレート182は、接続部83aを挟んで前後方向において互いに反対側に位置しているプレート前部182aとプレート後部182bとを有している。これらも基板シールド52の開口52aの縁を超えて前方及び後方にそれぞれ伸び、基板シールド52と重なっている。このように、ベースプレート182は、基板シールド52の開口52aの縁の全周と重なっていてよい。これにより、電磁波が漏れることを、効果的に抑えることができる。
【0127】
バックプレート184は、左右方向と前後方向の少なくとも一方において、ベースプレート182と実質的に同じサイズを有してよい。電子機器1の例においては、
図17Aで示すように、バックプレート184の前後方向でのサイズK2は、ベースプレート182と同じである。また、バックプレート184の左右方向でのサイズK1は、ベースプレート182と同じである。バックプレート184とベースプレート182のこの構造によると、ヒートパイプ83からバックプレート184に伝わった熱が、ベースプレート182の全体に伝わりやすくなり、そのためフィン81の全体に伝わりやすくなる。なお、バックプレート184は、左右方向と前後方向のうち一方の方向においてのみ、ベースプレート182と実質的に同じサイズを有してよい。ここで、バックプレート184とベースプレート182が前後方向において同じサイズであるとは、それらの最前部が共通の固定具(螺子やリベット)で基板シールド52に取り付け可能であり、また、それらの最後部が共通の固定具で基板シールド52に取り付け可能であることを意味する。例えば、プレート184・182の最前部と最後部のそれぞれに、共通の固定具が差し込まれる取付穴が形成されている。同様に、バックプレート184とベースプレート182が左右方向において同じサイズであるとは、それらの最右部が共通の固定具で基板シールド52に取り付け可能であり、また、それらの最左部が共通の固定具で基板シールド52に取り付け可能であることを意味する。
【0128】
また、この構造によると、上述したベースプレート82とは異なり、ベースプレート182を貫通する孔(上述した貫通孔82g・82h)が形成されない。そのため、電磁波の漏れをより効果的に抑えることができる。
【0129】
[メモリ収容室]
図15で示すように、回路基板50の下面には、導体で形成され電気的なグランドとして機能するグランドパターン50fが形成されている。
図15においてグランドパターン50fには網掛けが施されている。グランドパターン50fは、電子部品50c・50e等が実装されている領域B1(以下においてシールド領域と称する)の全周を取り囲んでいる。下基板シールド52はこのシールド領域B1を覆っている。下基板シールド52は、グランドパターン50fに螺子などの固定具で固定されているグランドコンタクト部52b(
図7C参照)を有している。
【0130】
図15で示すように、回路基板50の下面における、シールド領域B1の外側の領域に、半導体メモリ55(
図18A参照)が脱着可能なメモリコネクタ50gが実装されてよい。電子機器1の例では、半導体メモリ55はメモリコネクタ50gから右方に向かって配置されている。下基板シールド52は、メモリコネクタ50gを覆うコネクタカバー52c(
図18A参照)を有してよい。回路基板50の下側には、この半導体メモリ55を収容するメモリ収容室R1(
図18A参照)が規定されている。
【0131】
図18Cで示すように、下基板シールド52は、メモリ収容室R1に沿って形成されているシールド壁52e・52fを有している。この構造によると、部品数の増加を抑えながら、半導体メモリ55に対する静電気の影響を軽減できる。シールド壁52e・52fは半導体メモリ55よりも高い壁であり、また半導体メモリ55に対応した長さ(左右方向での幅)を有している。
【0132】
電子機器1の例において、メモリ収容室R1は電子機器1の前面10a(
図8A参照)寄りに規定されている。
図15で示すように、メモリ収容室R1は前後方向での回路基板50の中心よりも前方に位置し、例えば回路基板50の前縁50hに沿って形成される。シールド壁52eは、メモリ収容室R1の前側に形成されている。この構造によると、ユーザが電子機器1の前面10aに触れたときに、半導体メモリ55に静電気が流れることをシールド壁52eによって抑えることができる。
【0133】
図18Cで示すように、メモリ収容室R1の後側にシールド壁52fが形成されてよい。これによると、半導体メモリ55に対する静電気の影響を、より効果的に抑えることができる。
【0134】
図15で示すように、グランドパターン50fは、メモリ収容室R1に沿って形成されているグランド部50i・50jを有してよい。グランド部50i・50jは、例えばメモリ収容室R1に対応した長さ(左右方向での長さ)を有している。グランド部50iはメモリ収容室R1の前側に形成され、グランド部50jはメモリ収容室R1の後側に形成されている。以下では、グランド部50iを前グランド部と称し、グランド部50jを後グランド部と称する。
【0135】
下基板シールド52は、
図18Cで示すように、前グランド部50iに接しているコンタクト部52gと、後グランド部50jに接しているコンタクト部52hとを有している。前側のシールド壁52eはこのコンタクト部52gから下方に伸びており、後側のシールド壁52fはこのコンタクト部52hから下方に伸びている。この構造によると、シールド壁52e・52fから回路基板50のグランドパターン50fまでの距離が小さくなる。その結果、静電気の影響をより効果的に低減できる。
【0136】
なお、グランドパターン50fの構造や、下基板シールド52の構造は、電子機器1で示す例に限られない。例えば、グランドパターン50fは、2つのグランド部50i・50jのうち一方(例えば、前グランド部50i)だけを有していてもよい。この場合、下基板シールド52は、2つのコンタクト部52g・52hのうち一方(例えば、前側のコンタクト部52g)だけを有していてもよい。
【0137】
図18Aで示すように、メモリ収容室R1はメモリカバー56によって覆われてよい。メモリカバー56は、例えば導電材料(例えば、銅や、アルミニウム、鉄などの金属)によって形成され、シールド壁52e・52fに電気的に接続される。これによると、半導体メモリ55に対する静電気の影響をさらに効果的に抑えることができる。
【0138】
電子機器1の例では、メモリカバー56は、メモリカバー56の縁と前側のシールド壁52eの縁との間に配置されている導電性のクッション56a(
図18C)を通して、シールド壁52eと電気的に接続している。また、メモリカバー56は、メモリカバー56の縁と後側のシールド壁52fの縁との間に配置されている導電性のクッション56bを通して、シールド壁52fと電気的に接続している。
【0139】
図18Cで示すように、下ハウジング部材30Bには、メモリ収容室R1を露出させる開口30dが形成されている。下ハウジング部材30Bには、メモリ収容室R1を取り囲んでいる支持壁37a・37b・37cが形成されてよい。この支持壁37a・37b・37cは開口30dの縁から回路基板50に向かって伸びている壁である。支持壁37a・37b・37cによって、下ハウジング部材30Bの強度を開口30dの周辺で確保できる。
【0140】
図18Cで示すように、シールド壁52e・52fは、支持壁37a・37b・37cの内側に位置していてよい。前側のシールド壁52eは、例えば、前側の支持壁37aの内側で、支持壁37aに沿って配置される。後側のシールド壁52fは、例えば、後側の支持壁37bの内側で、支持壁37bに沿って配置される。電子機器1の例では、基板シールド52は、メモリ収容室R1の右側に形成されている支持壁37cの内側に位置するシールド壁を有していない。電子機器1の例とは異なり、基板シールド52は、支持壁37cの内側に位置するシールド壁を有してよい。
【0141】
メモリカバー56の外周縁は、例えば、支持壁37a・37b・37cの下縁に配置される。
図18Aで示すように、メモリカバー56の端部(電子機器1で示す例において左端)には突部56cが形成されている。下ハウジング部材30Bには、突部56cが水平方向に嵌まる開口が形成されている。メモリカバー56の反対側の端部(電子機器1で示す例において右端)は、支持壁37c上に配置され、この支持壁37cに固定されている。例えば、支持壁37cに穴が形成され、メモリカバー56の端部はこの穴に螺子58aなどの固定具によって固定される。
【0142】
半導体メモリ55は、メモリコネクタ50gから離れた位置で、回路基板50或いは上基板シールド51に固定されてよい。例えば、
図18Aで示すように、半導体メモリ55の右端55aが、上基板シールド51に形成されている螺子穴51bに、螺子58bによって固定されてよい。この場合、上基板シールド51と半導体メモリ55の右端55aとの間にスペーサ57が配置されてよい。回路基板50には、この螺子穴51bに対応する位置に、スペーサ57を配置するための穴50kが形成されてよい。
【0143】
電子機器1においては、記憶容量の異なる複数の半導体メモリが選択的に利用可能であってよい。このような半導体メモリは、その記憶容量に応じて、左右方向において異なる長さを有する。そこで、
図18Aで示すように、このような長さが異なる複数の半導体メモリが上基板シールド51に固定できるように、複数の螺子穴51bが上基板シールド51に形成されてよい。また、回路基板50には、この螺子穴51bに対応する位置に、スペーサ57を配置するための穴が形成されてよい。
【0144】
メモリ収容室R1には、メモリカバー56を閉じている状態で、メモリ収容室R1の内部と外部での空気の流れを許容する通気口H1(
図18A及び
図18B参照)が形成されてよい。こうすることで、半導体メモリ55のための放熱性を向上できる。
【0145】
上述したように、メモリ収容室R1は、電子機器1の前面10a寄りに設けられている。通気口H1は、メモリ収容室R1の後側の壁部に形成されてよい。電子機器1の例においては、通気口H1は、後側のシールド壁52f或いは後側の支持壁37bに設けられてよい。また、通気口H1は、電子機器1の後側に向けて開口してよい。通気口H1のこの構造によると、通気口H1が電子機器1の前面10aから遠いので、通気口H1が静電気の通路となることを効果的に抑えることができる。
【0146】
電子機器1の例では、後側のシールド壁52fに、複数の隙間52i(
図19参照)が形成されている。
図18Bで示すように、下ハウジング部材30Bの支持壁37bの下縁は、この隙間52iに対応する位置に、凹部37eを有している。この凹部37eとメモリカバー56の縁との間に、電子機器1の後側に向けて開口している通気口H1が形成されている。隙間52iに、下基板シールド52のグランドコンタクト部52hを回路基板50に固定するための取付穴52j(
図18B参照)が形成されてよい。
【0147】
下ハウジング部材30Bの下面と下外装パネル20Bとの間に、上述した下側流路Ub(
図20A参照)が形成されている。通気口H1は、この下側流路Ubにおいて開口している。また、通気口H1はメモリ収容室R1から下ハウジング部材30Bの吸気口31bに向かって開口している(
図8A参照)。このため、冷却ファン5が駆動すると、メモリ収容室R1の内側から通気口H1を通って吸気口31bに向かう空気流が形成される。
【0148】
シールド壁52e・52fや、支持壁37a・37b・37c、回路基板50などメモリ収容室R1を規定している壁部には、通気口H1の他にも、メモリ収容室R1の外側に向けて開口している穴が形成されてよい。冷却ファン5が駆動すると、空気はその穴を通してメモリ収容室R1の内側に流れ込む。メモリ収容室R1の外側に向けて開口している穴、すなわち吸気孔は、例えば半導体メモリ55を固定するために回路基板50に形成されている穴50kである。
【0149】
[外装パネル]
電子機器1は、上述したように、機器本体10の上面に取り付けられる上外装パネル20Aと、機器本体10の下面に取り付けられる下外装パネル20Bとを有している。機器本体10は上下方向で組み合わされる上ハウジング部材30Aと下ハウジング部材30Bとを有している。上外装パネル20Aは、上ハウジング部材30Aの上面に取り付けられ、下外装パネル20Bは、下ハウジング部材30Bの下面に取り付けられている。
【0150】
図1Cで示すように、上外装パネル20Aは、その右側に、機器本体10の右側面10b(前外装パネル35の右側の外面)の位置を超えて右方に張り出している右突出部20aを有してよい。また、上外装パネル20Aは、その左側に、機器本体10の左側面10c(ハウジング30の左側面)の位置を超えて左方に張り出している左突出部20b(
図1G)を有してよい。突出部20a・20bは、
図1Bで示すように、上外装パネル20Aの後縁から前縁まで続いていてよい。
【0151】
突出部20a・20bによって機器本体10を保護できる。例えば、電子機器1の右側面10bが下側になるように電子機器1を縦置きしたときに、右突出部20aが床面にあたり、機器本体10を支持するので、機器本体10の側面が傷ついたり、汚れることを抑えることができる。
【0152】
上外装パネル20Aと同様、下外装パネル20Bは、
図1Cで示すように、その右側に、機器本体10の右側面10bの位置を超えて右方に張り出している右突出部20cを有し、その左側に機器本体10の左側面10cの位置を超えて左方に張り出している左突出部20d(
図1G参照)を有してよい。突出部20c・20dは下外装パネル20Bの後縁から前縁まで続いていてよい。外装パネル20A・20Bのこの構造によると、機器本体10の保護をより効果的に行うことができる。
【0153】
図1Eで示すように、上外装パネル20Aは、その前側に、機器本体10の前面10a(前外装パネル35の前面)の位置を超えて前方に張り出している前突出部20eを有してよい。同様に、下外装パネル20Bは、その前側に、機器本体10の前面10aの位置を超えて前方に張り出している前突出部20fを有してよい。外装パネル20A・20Bのこの構造によると、機器本体10の前面10aや前面10aに配置されている部品(例えばボタン2a・2bやコネクタ3a・3bなど)を保護できる。前突出部20eは上外装パネル20Aの右縁から左縁まで続いており、前突出部20fは下外装パネル20Bの右縁から左縁まで続いている。また、外装パネル20A・20Bは、機器本体10の後面(ハウジング30の後面)の位置を超えて後方に張り出している後突出部を有してよい。
【0154】
なお、外装パネル20A・20Bは、それらの右側、左側、及び前側のうち一部にだけ突出部を有してよい。例えば、外装パネル20A・20Bは前側の突出部20e・20fを有していなくてもよい。また、2つの外装パネル20A・20Bのうち一方の外装パネル20A・20Bだけが突出部を有してよい。
【0155】
図1Aで示すように、上外装パネル20Aは、1枚の板をその厚さ方向で緩やかに湾曲させた形状であり、その外周縁に、下外装パネル20Bに向かって下がる壁部を有していない。つまり、上外装パネル20Aは箱状ではない。したがって、上外装パネル20Aは、右方に向いており且つ上外装パネル20Aの厚さに対応する幅T3(上下方向での幅)を有している右端面20g(
図1E参照)を有している。同様に、上外装パネル20Aは、左方に向いており且つ上外装パネル20Aの厚さに対応する幅を有している左端面と、前方に向いており且つ上外装パネル20Aの厚さに対応する幅を有している前端面と、後方に向いており且つ上外装パネル20Aの厚さに対応する幅を有している後端面とを有している。
【0156】
下外装パネル20Bも、上外装パネル20Aと同様、その外周縁に上外装パネル20Aに向かって延びている壁部を有していない。したがって、下外装パネル20Bは、右方に向いており且つ下外装パネル20Bの厚さに対応する幅T4(上下方向での幅)を有している右端面20h(
図1G参照)と、左方に向いており且つ下外装パネル20Bの厚さに対応する幅を有している左端面と、前方に向いており且つ下外装パネル20Bの厚さに対応する幅を有している前端面と、後方に向いており且つ下外装パネル20Bの厚さに対応する幅を有している後端面とを有している。
【0157】
[外装パネルの湾曲]
上外装パネル20Aは、上下方向に沿っており且つ左右方向に対して交差する切断面において、湾曲した断面を有してよい。こうすることによって、上外装パネル20Aが平らな板である場合よりも、電子機器1を縦置きしたときの外装部材の強度を増すことができる。上外装パネル20Aは、
図20A及び
図20Bで示されるように、上下方向に沿っており且つ互いに交差している2つの切断面において、異なる態様で湾曲した断面を有してよい。ここで2つの切断面は、例えば、
図1Dで示されるXXa-XXa線で示す切断面と、XXb-XXb線で示す切断面である。切断面は、
図1Dで示す例に限られず、例えば上下方向と前後方向とに沿った面であってもよい。この場合でも、上外装パネル20Aの強度(左右方向に作用する力に対する強度)を増すことができる。
【0158】
図1Dでは、上外装パネル20Aの4つの角に、第1の位置P1と、第1の位置P1とは上外装パネル20Aの中心Pcを挟んで反対側に位置している第2の位置P2と、第3の位置P3と、第3の位置P3とは上外装パネル20Aの中心Pcを挟んで反対側に位置している第4の位置P4とが付されている。
図1Dでは、右前角に第1の位置P1が付与され、左後角に第2の位置P2が付与され、左前角に第3の位置P3が付与され、右後角に第4の位置P4が付与されている。
【0159】
電子機器1の例において4つの位置がこのように規定されるとき、第1の位置P1と第2の位置P2とを結び、上外装パネル20Aの上面に沿っている線L1は、
図20Aで示すように下側に膨らんだ曲線となる。言い換えると、電子機器1の第1の対角線に沿った切断面を見たとき、上外装パネル20Aから上方に離れている点を中心とする円弧に沿って上外装パネル20Aは湾曲する。ここで、「第1の対角線」は、
図1Dで示されるXXa-XXa線である。
【0160】
その一方で、第3の位置P3と第4の位置P4とを結び、上外装パネル20Aの上面に沿っている線L2は、
図20Bで示すように上側に膨らんだ曲線となる。言い換えると、電子機器1の第2の対角線に沿った切断面を見たときには、上外装パネル20Aから下方に離れている点を中心とする円弧に沿って、上外装パネル20Aは湾曲してよい。ここで、「第2の対角線」は、
図1Dで示されるXXb-XXb線である。
【0161】
このような上外装パネル20Aの湾曲によると、
図20Aで示すように、電子機器1の右前角(第1の位置P1)での電子機器1の厚さ(上下方向での幅)と、電子機器1の左後角(第2の位置P2)での電子機器1の厚さ(上下方向での幅)とが大きくなる。そのため、電子機器1を縦置きしたときの電子機器1の姿勢を安定させることができる。
【0162】
例えば、電子機器1の右側面が下側になるように電子機器1を縦置きしたとき、大きな厚さを有する右前角(第1の位置P1)が下側になり、電子機器1を支える。また、電子機器1の前面が下側になるように電子機器1を置いたときにも、大きな厚さを有する右前角(第1の位置P1)が下側になる。一方、電子機器1の左側面が下側になるように電子機器1を縦置きしたときには、大きな厚さを有する左後角(第2の位置P2)が下側になり、電子機器1を支える。したがって、上述した上外装パネル20Aの湾曲によると、電子機器1を縦置きしたときの姿勢を安定化できる。
【0163】
図20Aでは、回路基板50を含む水平面Hp1から上外装パネル20Aの上面までの距離として、第1の位置P1(右前角)での第1の距離D1と、第2の位置P2(左後角)での第2の距離D2とが示されている。また、
図20Bでは、回路基板50を含む水平面Hp1から上外装パネル20Aの上面までの距離として、第3の位置P3(左前角)での第3の距離D3と、第4の位置P4(右後角)での第4の距離D4とが示されている。上述したように、上外装パネル20Aの対角線上に規定されている第1の位置P1と第2の位置P2とを結ぶ線L1は、下側に膨らんだ曲線となり、上外装パネル20Aの別の対角線上に第3の位置P3と第4の位置P4とを結ぶ線L2は上側に膨らんだ曲線となっている。そのため、第1の距離D1と第2の距離D2のそれぞれは、第3の距離D3と第4の距離D4のそれぞれよりも大きい。そのため、第1の位置P1の近くと、第2の位置P2の近くとに、冷却系の装置や部品を配置することによって、スムーズな吸気と排気とを実現できる。
【0164】
例えば、
図1Dで示されるように、電子機器1の平面視において、上外装パネル20Aの中心Pcと第1の位置P1とを結ぶ線(切断面を示すXXa-XXa線)は、上外装パネル20Aと上ハウジング部材30Aの上面との間に形成される吸気口Ea(
図1C参照)を通過している。また、上外装パネル20Aの中心Pcと第1の位置P1とを結ぶ線は、上外装パネル20Aと上ハウジング部材30Aの凹板部32a(
図2A参照)との間に形成される上側流路Ua(
図20A参照)を通過している。こうすることによって、吸気口Eaの上下方向での幅と、上側流路Uaの上下方向での幅を十分に確保することが容易となる。
【0165】
また、電子機器1の平面視において、上外装パネル20Aの中心Pcと第2の位置P2とを結ぶ線(切断面を示すXXa-XXa線)は、冷却ファン5から電子機器1の背面に設けられている排気口Mに至る流路を通過してよい。電子機器1の例では、冷却ファン5から流れ出た空気は、電源ユニットケース61の内部を通過して排気口Mから排出される。上外装パネル20Aの中心Pcと第2の位置P2とを結ぶ線(切断面を示すXXa-XXa線)は、電子機器1の平面視において、電源ユニットケース61の後部(ケース後部61c)に形成される空気流路を通過する。そのため、電源ユニットケース61の後部の上下方向でのサイズを十分に確保することが容易となり、排気効率を向上できる。
【0166】
また、上外装パネル20Aの中心Pcと第2の位置P2とを結ぶ線は、電子機器1の平面視において、排気孔61gが形成されている電源ユニットケース61の後壁61i(
図7C参照)と、排気孔61hが形成されている、上壁61jの後部61k(
図7C参照)とを通過する。こうすることによって、電源ユニットケース61の後壁61iの上下方向でのサイズを十分に確保したり、上壁61jの後部61kと上ハウジング部材30Aとの間に形成される空気流路Se(
図7C参照)の上下方向での幅を十分に確保することが容易となる。
【0167】
下外装パネル20Bも全体的に湾曲していてよい。例えば、
図20Aで示されように、電子機器1の第1の対角線(
図1DにおいてXXa-XXa線)に沿った切断面を見たとき、下外装パネル20Bは湾曲している。
図20Bで示されように、電子機器1の第2の対角線(
図1DにおいてXXb-XXb線)に沿った切断面を見たとき、下外装パネル20Bは、
図20Aで示される切断面とは異なる態様で湾曲してよい。上述したように、回路基板50の下側には光ディスクドライブ6が配置されている。光ディスクドライブ6は、電子機器1の左部に位置している。そのため、下外装パネル20Bの左部はこの光ディスクドライブ6の下側を覆うように下方に膨らんでいる。下外装パネル20Bの右部Brは、上外装パネル20Aの右部と対称の形状を有してよい。
【0168】
なお、電子機器1は、回路基板50の下側に光ディスクドライブ6を有していなくてもよい。この場合、下外装パネル20Bの形状(湾曲)の全体が、上外装パネル20Aの形状(湾曲)と対称であってもよい。
図21A及び
図21Bは、このような変形例による下外装パネルを示す断面図である。これらの図で示す例では、下外装パネル120Bと上外装パネル20Aは水平面Hp2に対して対称の形状を有している。
図21Aは、
図1DにあるXXa-XXa線で示す切断面と同じ切断面で得られる外装パネル20A・120Bの断面を示し、
図21Bは、
図1DにあるXXb-XXb線で示す切断面と同じ切断面で得られる外装パネル20A・120Bの断面を示している。
図21Cは、
図21A及び
図21Bで示す外装パネル20A・120Bを有する電子機器101の正面図である。
【0169】
図21A及び
図21Bで示す例においては、下外装パネル120Bの4つの角に、第5の位置P5と、第5の位置P5とは下外装パネル120Bの中心Pcを挟んで反対側に位置している第6の位置P6と、第7の位置P7と、第7の位置P7とは下外装パネル120Bの中心Pcを挟んで反対側に位置している第8の位置P8とが付されている。例えば、下外装パネル120Bの右前角に第5の位置P5が付与され、左後角に第6の位置P6が付与され、左前角に第7の位置P7が付与され、右後角に第8の位置P8が付与されている。したがって、電子機器1の平面視においては、第5の位置P5、第6の位置P6、第7の位置P7、第8の位置P8は、上述した第1の位置P1、第2の位置P2、第3の位置P3、第4の位置P4にそれぞれ対応している。
【0170】
下外装パネル120Bにおいて4つの位置がこのように規定されるとき、第5の位置P5と第6の位置P6とを結び、下外装パネル120Bの下面に沿っている線L3は、
図21Aで示すように上側に膨らんだ曲線となってよい。その一方で、第7の位置P7と第8の位置P8とを結び、下外装パネル120Bの下面に沿っている線L4は、
図21Bで示すように下側に膨らんだ曲線となってよい。
【0171】
なお、上外装パネル20Aの湾曲形態は、電子機器1の例に限られない。例えば、上外装パネル20Aの湾曲形態を規定する上述した4つの位置P1~P4は、上外装パネル20Aの4つの角でなくてもよい。例えば、第1の位置P1は上外装パネル20Aの前縁の中心に規定され、第2の位置P2は上外装パネル20Aの中心Pcを挟んで第1の位置P1とは反対側に規定され、第3の位置P3は上外装パネル20Aの右縁の中心に規定され、第4の位置P4は上外装パネル20Aの中心Pcを挟んで第3の位置P3とは反対側に規定されてよい。4つの位置P1~P4がこのように規定されるとき、第1の位置P1と第2の位置P2とを結び、上外装パネル20Aの上面に沿っている線は、例えば下側に膨らんだ曲線となってよい。その一方で、第3の位置P3と第4の位置P4とを結び、上外装パネル20Aの上面に沿っている線は、上側に膨らんだ曲線となってよい。
【0172】
この場合、下外装パネル20Bの湾曲形態も、上外装パネル20Aの湾曲形態に応じたものであってよい。例えば、下外装パネル20Bの形状(湾曲)の全体が、上外装パネル20Aの形状(湾曲)と対称であってもよい。さらに他の例では、上外装パネル20Aだけが上述したように湾曲する一方で、下外装パネル20Bは平らな板状であってよい。さらに他の例では、上外装パネル20Aの一部又は下外装パネル20Bの一部に平らな面が含まれていてもよい。
【0173】
[外装パネルの取付構造]
図2A及び
図22で示すように、機器本体10の上面(上ハウジング部材30Aの上面)に複数の取付穴30e・30fが形成されている。上外装パネル20Aの下面には、複数の被取付突部21・22(
図2B参照)が形成されている。被取付突部21・22はそれぞれ取付穴30e・30fに嵌まっている。取付穴30e・30fは、例えば、上ハウジング部材30Aを貫通する穴である。
【0174】
図22において、各被取付突部21・22の取付穴30e・30fへの嵌合方向が矢印Daで示されている。嵌合方向Daは、例えば、上外装パネル20Aの下面からの被取付突部21・22の突出方向に対応している。また、嵌合方向Daは、例えば、取付穴30e・30fが上ハウジング部材30Aを貫通する方向に対応している。複数の被取付突部21・22の取付穴30e・30fへの嵌合方向Daはいずれも平行である。この嵌合方向Daは、上下方向に対して垂直な面(
図22において回路基板50と平行な水平面Hp3)に対して傾斜していてよい。例えば、嵌合方向Daはこの水平面Hp3に対して傾斜し、且つ上下方向と左右方向とに平行な面に沿った方向であってよい。
【0175】
上述したように、上外装パネル20Aは、上下方向に沿っており且つ互いに交差している2枚の切断面において、互いに異なる態様で湾曲している。すなわち、上外装パネル20Aは、第1の対角線(
図1DにおいてXXa-XXa線)に沿った切断面において下側に膨らむように湾曲し、第2の対角線(
図1DにおいてXXb-XXb線)に沿った切断面においては上側に膨らむように湾曲している。
図22で示されるように、機器本体10の上面も、上外装パネル20Aに合わせて湾曲している。嵌合方向Daを水平面Hp3に対して傾斜させることによって、湾曲している上外装パネル20Aを同じく湾曲している機器本体10の上面に取り付けて、それらを密着させることができる。
【0176】
図23は、このことを説明するための模式図である。この図に示す例では、上ハウジング部材30Aに水平部30iと傾斜部30jとが形成されている。上外装パネル20Aにも、水平部20iと傾斜部20jとが形成されている。被取付突部21・22は、水平面に対して傾斜した方向Daに突出している。取付穴30e・30fは、水平面Hp3に対して傾斜した方向Daにおいて上ハウジング部材30Aを貫通している。嵌合方向Daは、傾斜部30j・20jよりも大きく傾斜している。すなわち、水平面Hp3と嵌合方向Daとがなす角度θ1は、水平面Hp3と傾斜部20j・30jとがなす角度θ2よりも大きい。そのため、傾斜部20jと傾斜部30jとの干渉や、水平部20iと水平部30iとの干渉を生じることなく、被取付突部21・21を取付穴30e・30fに挿入できる。また、被取付突部21・21の挿入後には、傾斜部20jと傾斜部30jとを密着させ、水平部20iと水平部30iとを密着させることができる。
【0177】
電子機器1の上下方向でのサイズを抑えるためには、例えば上外装パネル20Aを上ハウジング部材30Aに対して右方又は左方にスライドさせることで、それらを互いに取り付ける方法が有効である。しかしながら、その方法では、傾斜部20j・30jの間に隙間が生じたり、上外装パネル20Aの他の傾斜部と上ハウジング部材30Aとが干渉する。これに対し、電子機器1の例では、嵌合方向Daが傾斜部20j・30jよりも大きく傾斜しているので、そのような隙間や干渉を生じることなく、上外装パネル20Aを上ハウジング部材30Aに取り付けることができる。したがって、被取付突部21・22と取付穴30e・30fの嵌合方向Daは、上外装パネル20Aにおいて最も大きく傾斜している部分より大きく、水平面Hp3に対して傾斜していることが望ましい。
【0178】
なお、複数の取付穴30e・30fは上ハウジング部材30Aの上面の全体に分散しているとよい。こうすることによって、上外装パネル20Aの全体を上ハウジング部材30Aの上面に密着させることができる。電子機器1の例では、上ハウジング部材30Aの上面に、凹板部32aが形成されている。取付穴30e・30fは凹板部32a以外の領域において分散しているのが望ましい。
【0179】
図22で示すように、被取付突部21はその基部に係合凸部21aを有している。取付穴30eの底面には凹部30hが形成されている。係合凸部21aは凹部30hに嵌まっており、被取付突部21の取付穴30eからの抜けを規制している。一方、被取付突部22はその基部に凸部を有していない。係合凸部21aは、取付穴30eからの被取付突部21の抜き方向に向いた面21bを有し、この面21bにおいて凹部30hに対して引っかかっている。(以下では、面21bを係止面と称する。)上外装パネル20Aは、被取付突部21の係止面21bと被取付突部22とで上ハウジング部材30Aの上面を掴んでいる。上外装パネル20Aの左縁に沿って複数の被取付突部22が並んでいる。被取付突部21とは異なり、被取付突部22の基部には凸部が形成されていなくてよい。
【0180】
下外装パネル20Bの下ハウジング部材30Bへの取付構造は、上外装パネル20Aの上ハウジング部材30Aへの取付構造と同じであってよい。すなわち、
図2Aで示すように、下外装パネル20Bは、基部に凸部が形成されている被取付突部25と、そのような凸部が形成されていない被取付突部24とを有してよい。下ハウジング部材30Bの下面にはこれら被取付突部24・25が嵌まる取付穴が形成されてよい。
【0181】
なお、上外装パネル20Aを上ハウジング部材30Aに固定する構造は、電子機器1の例に限られない。例えば、
図24で示すように、被取付突部21の基部に形成されている係合凸部21aに替えて、上外装パネル20Aの下面に、係合凸部26が形成されてよい。係合凸部26は、例えば、その中心線が上下方向に沿うように形成されてよい。一方、上ハウジング部材30Aには、この係合凸部26が嵌まる孔又は凹部が形成されてよい。この構造によると、被取付突部21の係合凸部21aに比して、凸部のサイズを大きくすることが容易となる。その結果、係合凸部の強度を増すことができる。
【0182】
[ディスク挿入口]
図1B及び
図25で示すように、下外装パネル20Bには、光ディスクドライブ6に向けて光ディスクを挿入するためのディスク挿入口23aが形成されてよい。下外装パネル20Bは、その前側に、前斜面23を有している。前斜面23は、下外装パネル20Bの前縁20kから斜め下方且つ後方に伸びている面である。ディスク挿入口23aはこの前斜面23に形成されている。このことによって、ディスク挿入口23aが目立つことを抑えることができる。
【0183】
図25で示すように、ディスク挿入口23aの上部には、ディスク挿入口23aの縁に繋がるガイド曲面23cが形成されている。このガイド曲面23cは光ディスクDのガイドとして機能し得る。例えば光ディスクDの挿入時に下外装パネル20Bの前縁20kの直ぐ下側に光ディスクの前縁が衝突した場合、このガイド曲面23cによって光ディスクDがディスク挿入口23aの内側に案内される。
【0184】
電子機器1の例において、ディスク挿入口23aは電子機器1の左部に位置している。ディスク挿入口23aが形成されている前斜面23は、その右部(電子機器1の左右方向の中心寄りの部分)が左部よりも前方に位置するように斜めに形成されている。そのため、
図1Hで示すように、ディスク挿入口23aの前縁23eは、電子機器1の底面視において、前縁23eの左端から電子機器1の中心(左右方向での中心)に向かって前方に傾斜している。このため、光ディスクDの挿入時、光ディスクDの案内が電子機器1の中心寄りで早期に開始する。
【0185】
図25で示すように、ディスク挿入口23aの下縁には斜面23dが形成されている。斜面23dは、その前縁から斜め後方且つ上方に伸びている。この斜面23dに光ディスクの前縁が衝突した場合、斜面23dは、ディスクドライブケース6aの前面に形成された挿入口6cに向けて光ディスクDを案内する。
【0186】
ディスクドライブケース6aの前面に形成されている挿入口6cは、斜面23dの下部の上方に位置している。これによって、挿入口6cから、下ハウジング部材30Bに形成されているディスク挿入口23aまでの距離が小さくなる。その結果、光ディスクDの挿入作業を円滑化できる。
【0187】
以上説明したように、電子機器1において、ハウジング30は回路基板50の上面を覆っている上ハウジング部材30Aと、回路基板50の下面を覆っている下ハウジング部材30Bとを有している。冷却ファン5は、回路基板50の外縁の外側に配置され、回路基板50の厚さ方向である上下方向に沿った回転中心線Cfを有し、回路基板50の上面と上ハウジング部材30Aとの間の空気流と、回路基板50の下面と下ハウジング部材30Bとの間の空気流とを形成する。上ハウジング部材30Aは、冷却ファン5の上方に規定されている上吸気口31aを有している。下ハウジング部材30Bは、冷却ファン5の下方に規定されている下吸気口31bを有している。この電子機器1によると、1つの冷却ファン5で回路基板50の両面に空気を送ることができるので、部品数を増加させることなく回路基板50の両面に配置される部品を冷却できる。また、ハウジング30に上吸気口31aと下吸気口31bとが形成されているので、空気を効率的に取り込むことができ、冷却性能を向上できる。
【0188】
また、電子機器1は、空気が前後方向で通過することを許容する第1ヒートシンク71と、電源回路62と電源回路62を収容し複数の吸気孔61bが形成されている吸気壁61aを有している電源ユニットケース61とを有している電源ユニット60と、冷却ファン5とを有している。吸気壁61aは第1ヒートシンク71の前方に位置している。また、吸気壁61aは、前後方向と左右方向の双方に対して傾斜し且つ第1ヒートシンク71に向いている外面を有している。冷却ファン5は前記吸気壁に向けて空気を送るよう配置されている。このような吸気壁61aによって、第1ヒートシンク71に供給する空気流が確保でき、それと同時に、冷たい空気(他の発熱装置や放熱装置によって温められていない空気)で電源ユニット60を冷却できる。電源ユニット60を冷たい空気で冷却できると、電源回路62を構成している回路部品62a・62b(例えば、変圧器や、コンデンサ)間の隙間を低減でき、電源ユニット60を小型化できる。
【0189】
また、電子機器1は、回路基板50と、回路基板50に実装される部品を冷却する空気流を形成する冷却ファン5と、冷却ファン5から送り出される空気流の流路を規定する流路壁34Aと、流路壁34Aに設けられている、空気流中の塵を補足し補足した塵を溜める集塵室Dsとを有している。この構造によると、第1ヒートシンク71や電源ユニット60など、集塵室Dsより下流に配置される装置に入る塵の量を低減できる。また、集塵室Dsは、回路基板50に沿った方向で空気流路Saに向かって開口している第1開口A1と、回路基板50に交差する方向で集塵室Dsの外部に向けて開口している第2開口A2とを有している。電子機器1の例において、第2開口A2が開口している方向は、回路基板50に対して直交する方向である。集塵室Dsのこの構造によると、集塵室Dsに塵を溜めることができ、溜まった塵を比較的簡単な作業で第2開口A2を通して排出できる。
【0190】
また、放熱装置70は、集積回路50aの上方に位置し集積回路50aと熱的に接続される受熱部73aをそれぞれ有している複数のヒートパイプ73A~73Fと、複数のヒートパイプ73A~73Fと接続されるヒートシンク71・72とを有している。ヒートパイプ73A~73Fの受熱部73aは左右方向で並び且つ隣のヒートパイプ73の受熱部73aと接している。受熱部73aは上下方向で第1の幅W1を有し、第1の幅W1よりも小さい第2の幅W2を左右方向で有している。この構造によると、ヒートパイプ73の数を増すことが容易となる。その結果、ヒートパイプ73を通して集積回路50aの熱が伝えられるヒートシンク71・72のサイズを増すことが容易となる。このため、集積回路50aに対する冷却性能を向上できる。
【0191】
また、電子機器1は、回路基板50と、前記回路基板50を覆っており且つ開口52aが形成されている基板シールド52と、放熱装置80とを有している。放熱装置80は、開口52aの内側に配置されている複数のフィン81と、複数のフィン81と回路基板50との間に位置し回路基板50に沿った左右方向に延びている接続部83aを有しているヒートパイプ83と、複数のフィン81を支持しているベースプレート82・182とを有している。ベースプレート82・182はプレート左部82c・182cを有している。プレート左部82c・182cは、ヒートパイプ83の基板シールド52側に向いている下面を覆い、複数のフィン81の左端と基板シールド52の開口52aの左縁との間の隙間G1を塞いでいる。この構造によると、複数のフィン81の左端と基板シールド52の開口52aの左縁との間の隙間G1からの電磁波の漏れを効果的に抑えることができる。
【0192】
以上説明したように、電子機器1において、回路基板50の下面は、電子部品50c・50eが配置されているシールド領域B1を有し、基板シールド52はこのシールド領域を覆っている。シールド領域の外側には半導体メモリ55を収容可能なメモリ収容室R1が規定されている。基板シールド52はメモリ収容室R1に沿ったシールド壁52e、52fを有している。この電子機器1では基板シールド52にシールド壁52e・52fが形成されているので、部品数の増加を抑えながら、半導体メモリ55を静電気から保護できる。
【0193】
以上説明したように、電子機器1は、上面を有している上外装パネル20Aを有している。上外装パネル20Aの上面は、その外周部に、第1の位置P1と、第1の位置P1とは上面の中心Pcを挟んで反対側に規定されている第2の位置P2と、第3の位置P3と、第3の位置P3とは中心Pcを挟んで反対側に規定されている第4の位置P4とを有している。第1の位置P1と第2の位置P2を結び上面に沿って形成される線L1は、下側に膨らんだ曲線となり、第3の位置P3と第4の位置P4を結び上面に沿って形成される線L2は、上側に膨らんだ曲線となる。この電子機器1によると、外観を向上するとともに、外装パネル20Aの強度が確保し易くなる。なお、外装パネル20Aを有していない電子機器に適用されてもよい。この場合、回路基板50などの内部装置を収容するハウジジングの上面が上述のように湾曲していてもよい。
【0194】
また、電子機器1は、上面と右側面10bとを有している機器本体10と、湾曲している上外装パネル20Aとを有している。上外装パネル20Aは機器本体10の上面を覆い当該上面に取り付けられている。上外装パネル20Aは、右側面10bの位置を超えている右突出部20aを上外装パネル20Aの端部に有している。この電子機器1によると、右側面10bが下側になるように電子機器1を縦置きしたとき、機器本体10を上外装パネル20Aで保護できる。また、上外装パネル20Aが湾曲しているので、例えば上外装パネル20Aが平らな板状である場合に比して、その強度を確保できる。また、上外装パネル20Aは、上下方向に沿っており且つ左右方向に交差する切断面(具体的には、
図1DにあるXXa-XXa線で示す切断面)において、湾曲した断面を有している。これによると、外装パネル20Aの強度を十分に確保できる。上下方向に沿っており且つ左右方向に交差する切断面は、例えば、上下方向と前後方向とに沿った面であってもよい。この場合でも、左右方向で作用する外力に対する外装パネル20Aの強度を十分に確保できる。
【0195】
また、上外装パネル20Aは、上面と右側面10bとを有しているハウジング30に取り付けてハウジング30の上方に配置するためのパネルである。上外装パネル20は、湾曲しており、ハウジング30の上面に形成された複数の取付穴30e・30fにそれぞれ取り付けるための複数の被取付突部21・22を有し、右側面10bの位置を超える右突出部20aを端部に有している。この上外装パネル20Aによると、右側面10bが下側になるように電子機器1を置いたときに、機器本体10を上外装パネル20Aで保護できる。
【0196】
図28A~
図28Cは、
図6B、
図13A~
図14C、
図26A~
図26Cを参照しながら説明した放熱装置70・170の変形例を示す図である。
図28Aは、変形例による放熱装置270と、電源ユニット60と、冷却ファン50との位置関係を示す平面図である。
図28Bは放熱装置270の斜視図である。
図28Cは
図28Bで示すXXVIIIc-XXVIIIc線に沿った切断面で得られる放熱装置270の断面図である。以下では、これまで説明した放熱装置70・170と放熱装置270との相違点を中心にして説明する。放熱装置270について説明のない事項は放熱装置70(又は170)と同じであってよい。
【0197】
図28Aで示すように、放熱装置270は第1ヒートシンク(フィンブロック)271A、第2ヒートシンク(フィンブロック)271B、第3ヒートシンク(フィンブロック)271Cとを有している。これらは機器本体10の前側からこの順番に並んでいる。ヒートパイプ73A~73Fは第1ヒートシンク271Aと第2ヒートシンク271Bの下側に沿って配置される。ヒートパイプ73C・73Dは第3ヒートシンク271Cの下側に沿って配置されている。ヒートパイプ73E・73Fは、その途中に上側に湾曲する湾曲部73gを有しており、第3ヒートシンク271Cの上側に沿って延びている。
【0198】
湾曲部73gが配置されている領域E1は、第2ヒートシンク271Bの後方であり且つ第3ヒートシンク271Cの左方に位置している。領域E1は、第2ヒートシンク271Bを挟んで、第1ヒートシンク271Aとは反対側である。したがって、第1ヒートシンク271Aの後方に配置されるヒートシンクは第2ヒートシンク271Bのみであり、第3ヒートシンク271Cは第1ヒートシンク271Aの後面(空気を排出する面)271aの後方に位置する部分を有していない。ヒートシンク271A~271Cのこの配置によると、放熱装置270のヒートシンク271A~271Cを効率的に利用できる。
【0199】
3つのヒートシンクが前後方向で並んでいる構造では、最前のヒートシンク(CPUに接続しているヒートシンク)で温められた空気は第2ヒートシンクにおいてさらに温められる。そして、第2ヒートシンクで温められた空気が第3ヒートシンクに入る。このため、第3ヒートシンクの冷却性能を十分に利用することが難しい場合がある。
図28Aの構造では、第3ヒートシンク271Cは第1ヒートシンク271Aの後面(空気を排出する面)271aの後方に位置する部分を有していないので、第3ヒートシンク271Cの冷却性能を効果的に利用できる。
【0200】
図28Aで示すように、第2ヒートシンク271Bと第3ヒートシンク271Cは、第1ヒートシンク271Aの後面271aよりも右方の領域に配置されている。この領域においても、前後方向において並んでいるヒートシンクの数は2つ(第2ヒートシンク271Bと第3ヒートシンク271C)だけである。これによって、各ヒートシンク271A~271Cを効率的に利用できる。
【0201】
第1ヒートシンク271Aと第2ヒートシンク271Bとの間には隙間G3が確保されている。この隙間G3には、ヒートシンク271A~271Cを通過していない空気F3(未だ温められていない空気)が、右側(冷却ファン50側)から流れ込む。この空気F3は第1ヒートシンク271Aを通過した空気と混ざり合い、空気の温度を下げる。その温度が下がった空気が第2ヒートシンク271Bに流れ込む。このようの構造によると、ヒートシンク271A~271Cのサイズを低減しつつ、放熱装置270の冷却性能を確保できる。
【0202】
この隙間G3の前後方向(空気流の方向)での幅は、隙間G3の左右方向での長さの5%よりも大きい。より望ましくは、隙間G3の前後方向での幅は、隙間G3の左右方向での長さの10%より大きくてよい。また、隙間G3の前後方向での幅は、隙間G3の左右方向での長さの30%より小さくてよい。
【0203】
図28Aで示すように、第2ヒートシンク271Bと第3ヒートシンク271Cとの間には隙間G4が確保されている。この隙間G4には、ヒートシンク271A~271Cを通過していない空気F4(未だ温められていない空気)が右側(冷却ファン50側)から流れ込む。この空気F4は第2ヒートシンク271Bを通過した空気と混ざり合い、空気の温度を下げる。温度が下がった空気が第3ヒートシンク271Cに流れる。このようの構造によると、ヒートシンク271A~271Cのサイズを低減しつつ、放熱装置270の冷却性能を確保できる。
【0204】
この隙間G4の前後方向(空気流の方向)での幅は、隙間G4の左右方向での長さの5%よりも大きい。隙間G4の前後方向での幅は、隙間G4の左右方向での長さの10%より大きくてもよい。また、隙間G4の前後方向での幅は、隙間G4の左右方向での長さの30%より小さくてよい。
【0205】
図28Bで示すように、放熱装置270はベースプレート75を有している。ヒートシンク271A・271B・271Cはベースプレート75の上側に固定されている。ベースプレート75は上基板シールド51の上側に配置されている。ベースプレート75は1枚の金属板であってもよいし、材質の異なる複数の金属板で構成されてもよい。ベースプレート75の材料としては、銅や、鉄、アルミニウムなどがある。
【0206】
図28B及び
図28Cで示すように、ベースプレート75は、冷却ファン5側に、ヒートシンク271A~271Cが配置されている部分よりも下がっている低部75cを有している。図で示す例では、低部75cは、第3ヒートシンク271Cの前側、及び第2ヒートシンク271Bの右側に形成されている。すなわち、底部75cは、冷却ファン5から流れ出た空気が第3ヒートシンク271Cを通る空気と隙間G4を通る空気F4とに分かれる領域に形成されている。
【0207】
図28Cで示すように、低部75cは第3ヒートシンク271Cが固定されるプレート後部75aよりも下がっている。ベースプレート75は底部75cとプレート後部75aとの間にガイド斜面75bを有している。ガイド斜面75bは冷却ファン5からの空気を第3ヒートシンク271Cに案内する。
【0208】
図28Cで示すように、ガイド斜面75bは、第3ヒートシンク271Cを構成する複数の第1フィン271dの下縁271eの最前部の下方に位置している。この構造によると、空気F5(
図28C参照)はベースプレート75の低部75cに沿って流れ、その後、ガイド斜面75bに沿って斜め上方に流れ、第1フィン271dの下縁271eを通過して第3ヒートシンク271Cに流れ込む。これによって、第3ヒートシンク271Cの利用効率を増すことができる。
【0209】
図28Bで示すように、第3ヒートシンク271Cは、上述した第1フィン271dに加えて、第2フィン271fを有している。第2フィン271fは、その下縁に、ベースプレート75に沿った方向に折り曲げられており且つベースプレート75に溶接される取付部271gを有している。一方、ガイド斜面75bの上方に位置する下縁271eを有する第1フィン271dは、その最前部には、取付部271gを有していない。これによって、空気F5(
図28C参照)はガイド斜面75bに沿って斜め上方に流れ、第1フィン271dの下縁271eを通過して第3ヒートシンク271Cに流れ込む。
【0210】
本開示で提案する電子機器は、
図1~
図28Cを参照しながら説明した例に限られず、設計上の要求やその他の要因に応じて、様々な変更がなされてよい。