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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】発熱体
(51)【国際特許分類】
   F28D 1/02 20060101AFI20240509BHJP
   F24H 9/00 20220101ALI20240509BHJP
   F28D 7/10 20060101ALI20240509BHJP
   F28D 15/02 20060101ALI20240509BHJP
   F24D 19/00 20060101ALN20240509BHJP
【FI】
F28D1/02
F24H9/00 A
F28D7/10 A
F28D15/02 D
F28D15/02 102A
F28D15/02 102H
F28D15/02 104A
F24D19/00 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022536506
(86)(22)【出願日】2019-12-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-15
(86)【国際出願番号】 EP2019085116
(87)【国際公開番号】W WO2021115617
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-10-17
(31)【優先権主張番号】102019133802.6
(32)【優先日】2019-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】522232617
【氏名又は名称】ウルダー、ネイジェット
【氏名又は名称原語表記】ULUDAG,NEJDET
【住所又は居所原語表記】Trommelstrasse 30,22767 Hamburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ウルダー、ネイジェット
(72)【発明者】
【氏名】オゼルサジログル、ムスタファ
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-274488(JP,A)
【文献】特開2004-353874(JP,A)
【文献】特開2003-130378(JP,A)
【文献】仏国特許出願公開第02654808(FR,A1)
【文献】特開平04-203891(JP,A)
【文献】米国特許第05921315(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 1/00 - 15/06
F24H 9/00
F24D 7/00
F24D 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動媒体(12)で満たされて、主として平行又は基本的に平行に延在し、それぞれ第1の端部(20)と第2の端部(22)を備えた複数のヒートパイプ(14)と、
前記ヒートパイプ(14)の前記第1及び/又は第2の端部(20、22)と熱的に結合されている熱源(16
を含み、
前記ヒートパイプ(14)の前記第1の端部(20)が開放されて形成されていて、第1の横方向接続管(24)と流体的に接続された状態であること、及び前記ヒートパイプ(14)の前記第2の端部(22)が開放されて形成されていて、第2の横方向接続管(26)と流体的に接続された状態であり、前記ヒートパイプ(14)と前記横方向接続管(24、26)が前記作動媒体(12)で満たされた1つの共通の空室を形成すること、及び前記第1の横方向接続管(24)が、前記熱源(16)から熱を取り入れる目的で前記熱源(16)と熱的に結合され、
前記熱源(16)が気体状又は液体状の熱媒体(18)が貫流可能な加熱管であり、前記加熱管(16)が前記第1の横方向接続管(24)の中に長手軸に沿って同軸配置され、前記作動媒体(12)に包囲されていることと、前記加熱管(16)の連結管継手(32、34)の先端が耐圧性と液密性を備えて前記第1の横方向接続管(24)と接続され、発熱体(46、66)が往流路連結具(50、72)と復流路連結具(62、86)を備えた連結システム(48、70)を有し、前記往流路が第1のバイパス管(52、74)を介して、前記第2の横方向接続管(26)の先端から突出する管継手(56、78)に連結されている制御バルブ(54、76)と接続されていることと、前記制御バルブ(54、76)から、第2のバイパス管(58、80)が前記第1のバイパス管と主として平行に延在し、前記加熱管(16)と流体的に接続された状態であって、前記復流路連結具(62、86)と結合されていることを特徴とする、発熱体(46、66)。
【請求項2】
前記ヒートパイプ(14)が互いに平行に配置されていて、動作位置において鉛直に延在することを特徴とする、請求項1に記載の発熱体。
【請求項3】
前記ヒートパイプ(14)が重力式ヒートパイプとして形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の発熱体。
【請求項4】
前記作動媒体(12)が、市販されていて、自由に入手でき、部分的及び/又は完全にハロゲン化されたハイドロフルオロカーボン(Hydrofluorocarbon:HFC)類に属する、それぞれGWP値(地球温暖化係数)が2500未満とGWP値が750未満の冷媒及び/又は混合冷媒(非共沸混合物)、及び/又は適切な冷媒であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の発熱体。
【請求項5】
前記第1の下部横方向接続管(24)が前記作動媒体(12)の蒸発器と成ることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の発熱体。
【請求項6】
前記第2の上部横方向接続管(26)が前記作動媒体(12)の凝縮器と成ることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の発熱体。
【請求項7】
前記ヒートパイプ(14)が長手方向に沿って平面要素、リブ又はラジエータといった熱放射要素(40、42、44、88、90、92、94、96)を有することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の発熱体。
【請求項8】
前記個々のヒートパイプ及び/又はバイパス管の平面要素(40、42、92、94)が同一平面上に位置することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の発熱体。
【請求項9】
前記加熱管(16)が前記第1又は第2の横方向接続管(24,26)と平行又は基本的に平行に延在し、これと熱的に接続されていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の発熱体。
【請求項10】
前記加熱管(16)の中に、水といった前記熱媒体(18)の貫流調整のための流れ分割装置(60、82)が配置されていることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の発熱体。
【請求項11】
前記流れ分割装置(60、82)が、前記加熱管(16)の先端開口部に配置されたバッフル(64、84)から出て前記加熱管(16)の長手方向において同軸上に延びることと、前記バッフル(64、84)を用いて前記発熱体(46、66)の連結方式が予め調整可能であることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の発熱体。
【請求項12】
前記ヒートパイプ(14)と結合された前記熱放射要素が、対流放熱器用フィン(114)として形成されていることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の発熱体。
【請求項13】
2つ以上の発熱体(112)が並列又は直列に相互接続されて、単式発熱体に対して熱出力のより高い1つの加熱コイル(122)つまり1つの発熱体になっていることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の発熱体。
【請求項14】
前記発熱体(112、122)が、流れ方向が前記発熱体(112、122)の広がる平面に対して直角に延在するファン(116、142)と結合されていることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の発熱体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は請求項1の上位概念に記載の発熱体並びに請求項22の上位概念に記載の代替実施形態に関する。
【背景技術】
【0002】
冒頭に記載の方式の発熱体は独国実用新案第202007015734号明細書から知られている。組立て式の発熱体が、鉛直配置され加熱された1つのフロントパネル、及び、フロントパネルの背面でフロントパネルと熱伝導的に接続されて垂直配置され、相互に間隔を開けて、冷媒で満たされている複数の閉鎖された中空成形品で構成されている。中空成形品の端部の一方はフロントパネルから突出して、フロントパネルの下方に位置し熱媒体が貫流する水平の搬送横断面管に収容されている。搬送横断面管には、少なくとも1つの入口管継手と少なくとも1つの出口管継手、並びに中空成形品の末端部を熱伝導的かつ形状結合式に収容するための開口部が含まれる。したがって、フロントパネルと熱伝導的に接続された中空成形品を含めて、加熱されたフロントパネルは、熱媒体の遮断と排出無しで搬送横断面管から分離され得る。
【0003】
上記の周知の実施形態において、中空成形品は単一要素として、端部が閉鎖されて形成されている。
【0004】
欧州特許第1307698号明細書は、基本的に鉛直な1つの加熱管を含み、該管が、該管から基本的に水平な方向に延びて、該管に回転可能に配置されている少なくとも1つの追加的な加熱管と接続されている加熱器に関する。加熱管の少なくとも1つは少なくとも部分的に排水されていて、作動流体を収容するための内部空室を有する。更に、加熱管の少なくとも1つは内部又は外部熱源から熱を取り入れるのに適している。
【0005】
伝熱媒体として温水を有する室内暖房に関しては、様々な形式の発熱体が知られている。その構造方式と機能に応じて、温水発熱体は対流放熱器、コンポーネント式発熱体、管状発熱体とパネル式発熱体に分類される。
【0006】
前述の温水発熱体は基本的にその構造方式と、放射及び/又は対流の形態の放熱方式によって区別される。室内気候にとって決定的に重要であるのは、室内への放熱方式である。放射熱の割合が高いほど、暖房快適性すなわち快適性の知覚がより好ましいものになる。
【0007】
対流熱は発熱体表面に沿った冷気の加熱によって発生し、それによって、室内の空気とダストの循環が増大する。それとは異なり、放射熱(赤外領域の波長)は、固形物、物体、壁、家具、及び/又はバイオマスを含めてあらゆる種類の物質のみを加熱する。赤外放射によって室内空気といった気体も加熱されるが、対流熱によるより基本的に僅かであり、それによって、放射熱によるダストの巻き上げは実際には起こらないという結果になる。
【0008】
受動的対流放熱器は、フィンを備えた導水空隙、例えば管、の表面でより冷たい周囲空気を加熱する発熱体である。大抵の場合垂直なフィン表面の局所的加熱によって、強制的に鉛直方向に向かう空気循環が発生する。フィンによって、該空隙を覆う材料の放熱面積が拡大される。管とフィンは熱伝導性を有する材料で形成しておくことができる。
【0009】
能動的対流放熱器は、少なくとも1つのファンを用いて、フィンを備えた導水管の表面で加熱するべき空気を強制的に通過させて加熱する発熱体である。管とフィンは同様に熱伝導性を有する材料で形成しておくことができる。典型的な構造形態は例えば加熱コイルである。
【0010】
コンポーネント式発熱体は個別コンポーネントを組み立てて構成される。放熱は主に対流によって、主として3/4の対流熱と1/4の放射熱として行われる。発熱体コンポーネントは鋼鉄又は鋳鉄といった熱伝導性を有する金属で形成されている。
【0011】
管状発熱体は、並行して配置されたフィン無しの管から成り、その先端はそれぞれ平行な接続管と液密に接続されている。その効率はコンポーネント式発熱体の効率にほぼ相当し、熱の3/4が対流熱として、熱の1/4が放射熱として放出される。発熱体コンポーネントは熱伝導性を有する材料、主として鋼鉄、銅及び/又はアルミニウムで形成されている。典型的な構造形態は例えばタオルレールである。
【0012】
パネル式発熱体は発熱体の標準形態である。これは、水路/空隙が予め形成されている両パネル片を溶接したものである。導水空室はより平面的に発熱体内に形成されている。それによって、水量に対する伝熱面積の割合がコンポーネント式発熱体の場合より有利である。当然、熱出力が同じ場合にパネル式発熱体が必要とする温水は、コンポーネント式発熱体より僅かであり、パネル式発熱体はコンポーネント式発熱体より約30%節約される。構造形態に応じて、パネル式発熱体は50%から70%の放射熱と30%から50%の対流熱を放射する。
【0013】
溶接されたパネルチャンバの表面に対流フィン(リブ)を平行に垂直配置することによって、対流の割合が増加する。熱出力は、液密に接続されている平行なパネル体によって変更され得る。
【0014】
前述の発熱体に対する伝熱媒体は温水である。構造方式すなわち形式によって、熱産生量すなわち出力が同等な場合の水量が決定される。特にパネル式発熱体における熱放射はパネル表面に渡って常に均等に分配されているわけではない。熱放射はとりわけ往流路及び/又は復流路の連結の方法と位置に依存している。根本的には、同側式、交互式、跨座式、及び/又は懸垂式連結に区別される。単管式連結や中央式連結といった特殊形態も知られている。
【0015】
同側式及び/又は交互式連結においては、この連結の組合せが温水発熱体の熱出力に影響を及ぼすことのないことが一般的に知られている。跨座式及び懸垂式連結においては、15%までの出力低下を考慮に入れなければならない。発熱体の熱出力は基本的に構造方式、寸法、温水の往流温度、水の体積流量、及び/又は往流路及び/又は復流路の連結位置によっても決定される。また、発熱体は所謂「熱慣性」の影響も受ける。
【0016】
熱コストを使用量に応じて計算するための熱コストアロケータは、コンポーネント式発熱体、管状発熱体又はパネル式発熱体においては、標準化された所定の位置に配置され得る。「単なる」対流放熱器における熱コストの算出は水循環内の熱量計によって行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【文献】独国実用新案第202007015734号明細書
【文献】欧州特許第1307698号明細書
【発明の概要】
【0018】
上記に基づき、本発明には冒頭に記載の方式の発熱体を、効率が向上し、加熱時間が短縮され、均一な熱分布が達成されるように更に発展させるという課題がある。
【0019】
上記の課題は発明により、請求項1の特徴によって、及び代替として請求項22の特徴によって解決される。
【0020】
本発明により、ヒートパイプの第1の端部が開放されて形成されていて、第1の横方向接続管と流体的に接続された状態であること、及び/又はヒートパイプの第2の端部が開放されて形成されていて、第2の横方向接続管と流体的に接続された状態であり、その際、ヒートパイプと横方向接続管は作動媒体で満たされた1つの共通の空室を形成すること、及び第1又は第2の横方向接続管が、熱源から熱を取り入れる目的で熱源と熱的に結合されていることが想定されている。
【0021】
横方向接続管を用いたヒートパイプの第1の開放端部同士あるいは第2の開放端部同士の接続によって、個々のヒートパイプ間のヒートバランスが取られ、それによって、最新技術に従った発熱体に対して、より均一な温度分布が達成される。最新技術に従った温水発熱体に比べて、本発明により熱産生量が増大している。また、発熱体の空隙内の水量、したがって循環水量も減らすことができる。更に、熱線を放出する平面、リブ及び/又はフィンが所定の温度により速く到達することを確認することができた。
【0022】
均一な温度分布によって、熱コスト記録装置の位置決定が簡素化され得る。特に、熱出力は連結方式に関わらず一定である。本発明による形態によって、熱放射面の迅速な加熱、放射する表面、リブ及び/又はフィンの均一な熱分布、連結方式に関わらず迅速な制御挙動、及び従来の発熱体に対して40%に至るまでのエネルギーコスト削減の達成が達成される。
【0023】
1つの好ましい実施形態は、ヒートパイプが互いに平行に配置されていて、動作位置において鉛直に延在することを想定する。この形態において、ヒートパイプは主として重力式ヒートパイプとして形成されている。
【0024】
作動媒体は主として、市販されていて、自由に入手でき、部分的及び/又は完全にハロゲン化されたハイドロフルオロカーボン(Hydrofluorocarbon:HFC)類に属する、それぞれGWP値(地球温暖化係数)が2500未満とGWP値が750未満の冷媒及び/又は混合冷媒(非共沸混合物)、及び/又は適切な冷媒である。
【0025】
更なる好ましい実施形態において、第1の下部横方向接続管が熱源と接続されていて、作動媒体の蒸発器と成り、一方で、第2の上部横方向接続管は作動媒体の凝縮器と成ることが想定されている。
【0026】
熱放射を向上させる目的で、ヒートパイプ及び/又は横方向接続管が長手方向に沿って平面要素、リブ及び/又はフィンといった熱放射要素を有することが想定されている。
【0027】
主として、個々のヒートパイプ及び/又は横方向接続管の平面要素は同一平面上に位置する。
【0028】
主として、熱源は水といった気体状又は液体状の熱媒体が貫流可能な加熱管である。加熱管は第1又は第2の横方向接続管の中に長手軸に沿って同軸配置され、作動媒体に包囲されている。
【0029】
主として、加熱管の往流路及び復流路用の連結管継手の先端は耐圧性と液密性を備えて横方向接続管と接続されている。
【0030】
代替として、加熱管は第1又は第2の横方向接続管と平行又は基本的に平行に延在し、これと熱的に結合しておくこともできる。
【0031】
本発明による発熱体を様々な連結形式に適合させる目的で、加熱管が往流路と復流路を有し、その際、往流路が第1のバイパス管を介して、第2の横方向接続管の先端から出る管継手に連結されている主として市販の制御バルブと接続されていること、及び、制御バルブから、第2のバイパス管が第1のバイパス管と主として平行に延在し、加熱管と流体的に接続された状態であって、復流路と結合されていることが想定されている。
【0032】
上記の実施形態において、加熱管の中に、水といった熱媒体の貫流調整のための流れ分割装置の配置されていることが、補足的に想定されている。流れ分割装置は、加熱管の先端開口部に配置されたバッフルから出て加熱管の長手方向において同軸上に延びることができ、その際、バッフルを用いて発熱体の連結方式が予め調整可能である。
【0033】
代替として、熱源が電気加熱ロッドといった電気熱源であることが想定されている。主として、電気加熱ロッドは、第1又は第2の横方向接続管と熱的に結合され、主として少なくとも部分的に作動媒体によって包囲されている管の中に収容されている。電気熱源によって、熱線を放出する平面、リブ及び/又はフィンが所定の温度により速く到達するという利点が達成される。また、発熱体の温度、したがって室温がより速く制御され得る。
【0034】
特に好ましい実施形態は、第1及び/又は第2の横方向接続管が二重壁の管構造として形成されていて、その際、加熱ロッドを収容するための管が二重壁の管構造の内管であり、加熱ロッド用の少なくとも1つの先端開口部と形状結合して横方向接続管の中に挿入され、主として液密性と圧力耐性を備えて接続されていることを特徴とする。
【0035】
電気加熱ロッドと内管の間の熱伝達を向上させる目的で、電気加熱ロッドが、主として熱伝導ペーストといった熱伝導媒体を介して、上記の管つまり第1又は第2の横方向接続管の内管と熱的に結合されていることが想定されている。
【0036】
主として、ヒートパイプと結合された熱放射要素は、ヒートパイプに対して横に延在する対流放熱器用フィン又はヒートパイプと平行に延在する平面的な要素として形成されている。
【0037】
また、2つ以上の発熱体を並列又は直列に相互接続して、1つの加熱コイルにしておくことができる。
【0038】
有利に、発熱体あるいは加熱コイルは、流れ方向が発熱体の広がる平面に対して直角に延在するファンと結合しておくことができる。それによって、放熱を向上させる目的で、空気が対流放熱器用フィンを通して運ばれ得る。
【0039】
1つの代替形態は、排気され、作動媒体で満たされていて、第1及び第2の端部を備えた少なくとも1つのヒートパイプ、並びにヒートパイプと熱的に結合されている熱源を含む発熱体に関する。
【0040】
上記の代替発明により、ヒートパイプが曲げられて、直線的に平行に延在する部分と該平行部分を接続する上部及び下部の湾曲部分を含む蛇行形状の管束になっていて、その際、管束の下部又は上部の湾曲部分が熱源と熱的に結合されていることが想定されている。
【0041】
特に好ましい実施形態は、管束の両端部が互いに液密に接続されていることを想定する。
【0042】
効率的な熱結合を目的として、管束の下部弓形部分がそれぞれ蒸発器と成り、熱伝導体と熱的に結合されていて、その際、熱伝導体が熱源と熱的に結合されていることが想定されている。
【0043】
熱伝導体は主として、銅又はアルミニウムといった熱伝導性を有する材料で形成されている。
【0044】
主として、管束は重力式ヒートパイプ束である。
【0045】
熱源は、熱伝導体が通過し、水といった熱媒体が貫流する加熱管であり得る。
【0046】
代替として、熱源は電気熱源、主として熱伝導体と熱的に結合されている電気加熱ロッドであり得る。
【0047】
管束の鉛直部分は主として、鉛直部分に対して横又は縦に延在する熱伝導フィンあるいは対流放熱器用フィンを有する。
【0048】
複数の管束を並列又は直列に相互接続して、1つの加熱コイルにしておくことができ、その際、下部湾曲部分は共通の熱伝導体の中に収容されている。
【0049】
本発明の更なる詳細、利点及び特徴は、請求項、請求項から看取され得る特徴-単独で、かつ/又は組合せによる-からだけではなく、以下の好ましい実施例の説明からも明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】ヒートパイプを備えた発熱体の第1の実施形態の断面図である。
図2図1に従う発熱体のヒートパイプの斜視図である。
図3】作動媒体で満たされた図1に従う発熱体の断面図である。
図4】熱媒体で満たされた図1に従う発熱体の断面図である。
図5】部分的に断面が示されている、平面的な熱放射要素を備えた図1に従う発熱体の正面図である。
図6】ラジエータとしての平面的な熱放射要素を備えた図5に従う発熱体のヒートパイプを90°回転して示した図である。
図7】主として鋼鉄製の、往流路と復流路並びに自在連結用のバイパス管を含む、連結装置を備えた図1に従う発熱体の断面図である。
図8】主としてアルミニウム製の、往流路と復流路並びに自在連結用のバイパス管を含む、連結装置を備えた図1に従う発熱体の断面図である。
図9】作動媒体で満たされた図7に従う発熱体の断面図である。
図10】作動媒体で満たされた図8に従う発熱体の断面図である。
図11】熱媒体で満たされた図7に従う発熱体の断面図である。
図12】熱媒体で満たされた図8に従う発熱体の断面図である。
図13】主としてアルミニウム製の、往流路と復流路並びに跨座式連結用と右下部連結用のバイパス管を含む、連結装置を備えた図8に従う発熱体の断面図である。
図14a】熱放射要素の例示的な第1の形態を備えた、図7又は図8に従う発熱体の正面図である。
図14b】熱放射要素の例示的な代替形態を備えた、図7又は図8に従う発熱体の正面図である。
図15】ラジエータとしてのリブの形態の熱放射要素を備えた図14に従う発熱体のヒートパイプを90°回転して示した図である。
図16】電気加熱ロッドの形態の電気熱源を備えた発熱体の第2の実施形態の断面図である。
図17】作動媒体で満たされた図16に従う発熱体の断面図である。
図18】部分的に断面が示されている、熱源としての電気加熱ロッドを備え、例示的に右側が熱放射要素で覆われた図16に従う発熱体の正面図である。
図19】熱放射要素としてのフィンを備えた加熱コイルの形態の発熱体の第3の実施形態の断面図である。
図20】作動媒体で満たされた図19に従う発熱体の断面図である。
図21】熱媒体で満たされた図19に従う発熱体の断面図である。
図22】熱源としての電気加熱ロッドを備えた加熱コイルの形態の発熱体の第4の実施形態の断面図である。
図23a図19に従う加熱コイル2つを並列接続した発熱体の断面図である。
図23b図23aに従う発熱体の上面図である。
図23c図23aに従う発熱体の側面図である。
図24図23aから図23cに従う加熱コイル式発熱体の概略図である。
図25a】熱源としての電気加熱ロッドを備えた図22に従う加熱コイル2つを並列接続した発熱体の断面図である。
図25b図25aに従う発熱体の上面図である。
図25c図25aに従う発熱体の側面図である。
図26図25aから図25cに従う加熱コイル式発熱体の概略図である。
図27】加熱管の形態の熱源を備えた蛇行形状のヒートパイプ管束の形態の発熱体の第5の実施形態の断面図である。
図28】電気加熱ロッドの形態の熱源を備えた蛇行形状のヒートパイプ管束の形態の発熱体の第6の実施形態の断面図である。
図29a】3つのコイルセグメントを備え、管束が直列接続され、コイルセグメントが図27に従って平行配置され、熱媒体管が並列接続されている、管束状加熱コイルの形態の発熱体の第8の実施形態の断面図である。
図29b図29aに従う管束状加熱コイルの上面図である。
図29c図29aに従う管束状加熱コイルの、切断線A-Aに沿った断面図である。
図29d図29aに従う管束状加熱コイルの、切断線C-Cに沿った断面図である。
図29e図29aに従う管束状加熱コイルの、図29c、図29dに従う切断線B-Bに沿った側面図と断面図である。
図29f図29dに従う管束状加熱コイルの側面図である。
図30a】例示的に3つのコイルセグメントを備え、管束が直列接続され、コイルセグメントが電気熱源と並列接続されている、図28に従う管束状加熱コイルの形態の発熱体の第9の実施形態の断面図である。
図30b図30aに従う管束状加熱コイルの上面図である。
図30c図30aに従う管束状加熱コイルの、切断線A-Aに沿った断面図である。
図30d図30aに従う管束状加熱コイルの、切断線C-Cに沿った断面図である。
図30e図30aに従う管束状加熱コイルの、図30c、図30dに従う切断線B-Bに沿った側面図と断面図である。
図31a】例示的に平行配置された3つのコイルセグメントを備え、管束が熱源としての主として水と直列接続され、熱媒体管が並列接続されている、管束状加熱コイルの形態の発熱体の第10の実施形態の断面図である。
図31b図31aに従う管束状加熱コイルの上面図である。
図31c図31aに従う管束状加熱コイルの、切断線A-Aに沿った断面図である。
図31d図31aに従う管束状加熱コイルの、切断線C-Cに沿った断面図である。
図31e図31aに従う管束状加熱コイルの、図31c、図31dに従う切断線B-Bに沿った側面図と断面図である。
図31f図31dに従う管束状加熱コイルの側面図である。
図32a】例示的に平行配置された3つのコイルセグメントを備え、管束が直列接続され、熱媒体管が直列接続されている、図27に従う管束状加熱コイルの形態の発熱体の第11の実施形態の断面図である。
図32b図32aに従う管束状加熱コイルの上面図である。
図32c図32aに従う管束状加熱コイルの、切断線A-Aに沿った断面図である。
図32d図32aに従う管束状加熱コイルの、切断線C-Cに沿った断面図である。
図32e図32aに従う管束状加熱コイルの、図32c、図32dに従う切断線B-Bに沿った側面図と断面図である。
図32f図32dに従う管束状加熱コイルの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1は、排気され、作動媒体12で満たされて平行又は基本的に平行に延在する複数のヒートパイプ14、並びに、水といった熱媒体18が貫流し、ヒートパイプ14と熱的に結合されている加熱管の形態の熱源16を有する発熱体10の断面図である。
【0052】
本発明により、ヒートパイプ14は重力式ヒートパイプとして形成されていて、それぞれ第1の開放端部20と第2の開放端部22を有する。第1の開放端部は第1の閉鎖された横方向接続管24に通じ、これと液密に接続されている。第2の開放端部22は閉鎖された第2の横方向接続管26に通じ、これと液密に流体的に接続されている。
【0053】
ヒートパイプ14の空室並びに横方向接続管24、26の空室は、排気され、作動媒体12で満たされている単一の空室を形成する。作動媒体として、例えば非共沸混合物における部分的にハロゲン化されたハイドロフルオロカーボン(Hydrofluorocarbon:HFC)類に属するような、主として不燃性で、市販の、自由に入手できる混合冷媒が用いられる。ヒートパイプ14と横方向接続管24、26の内部の圧力は、70℃までの発熱体の表面温度に応じて、主として33バールである。適切な作動媒体を用いることで温水式暖房機の範囲外の温度にも到達し得る。
【0054】
横方向接続管24は加熱管16を同軸方向に収容し、その際横方向接続管の先端28、30は液密に閉鎖されていて、加熱管の連結管継手32、34のみが先端面28、30から外に通じる。第2の横方向接続管の主として先端には注入バルブ36が、そして例示的に管壁の中央には安全バルブ38が配置されている。構造上、横方向接続管における安全バルブのあらゆる他の有利な位置、又は作動媒体が満たされた複数の空室も可能である。技術的指針によって必要である場合は、該バルブの有利な安全カバーが装備されている。第1の下部横方向接続管24は基本的に蒸発器(液体収集器)と成り、第2の上部横方向接続管26は凝縮器(蒸気収集器)と成る。
【0055】
図2は重力式ヒートパイプの形態のヒートパイプ14を単純な形態で示す。ヒートパイプ14並びに横方向接続管24、26はアルミニウム、銅、炭素鋼及び/又はステンレス鋼、又は他の熱伝導性の固体材料、並びに様々な材料の組合せで製造しておくことができる。
【0056】
ヒートパイプ14は熱輸送に用いられる装置であり、この目的で、循環において蒸発して再び凝縮する可動な作動媒体、例えば水、アンモニア、又は冷媒を使用する。作動媒体は最初は液体であり、第1の横方向接続管24の中の加熱管16を通って熱、蒸発熱を吸収して蒸発する。その後作動媒体は第1の開放端部20からヒートパイプ14を通って第2の開放端部22へと移動し、そこで、熱を放出して再び凝縮する。その後該液体は再び第1の開放端部すなわち第1の横方向接続管へと戻る。
【0057】
この場合、作動媒体が基本的に顕熱輸送ではなく潜熱輸送を行うことが看取され得る。これは、温度変化がほとんど起こらないで、蒸発あるいは凝縮が起こり、その結果、蒸発熱あるいは凝縮熱が伝達されることを意味する。
【0058】
本発明による、横方向接続管とヒートパイプから成る管構造は、意外なことに二相熱サイフォンとして作動する。作動媒体の循環は、熱サイフォンにおいてはヒートパイプのほぼ鉛直方向の配置を必要とし、その結果、熱輸送は下から上へのみ機能する。所謂重力式ヒートパイプである。すなわち、液状の作動媒体は重力によって下方に、本明細書の場合は、第1の横方向接続管(蒸発器)へと流れ、一方、そこで蒸発した媒体は上方に、第2の横方向接続管(凝縮器)へと上昇し得る。作動媒体がまだ確実に下方に流れ得る限りは、比較的平面的な配置が可能である。熱サイフォンの場合は重力(引力)が利用されることから、重力式ヒートパイプという言葉も用いられる。
【0059】
前述の原理は以下の様々な発熱体の実施形態においても用いられる。
【0060】
図3は、ヒートパイプ14と横方向接続管24、26によって形成された空室が作動媒体12で満たされ、灰色で表示されている、図1に従う発熱体10の断面図である。
【0061】
図4は、加熱管16の中で流れる、水といった熱媒体18が灰色で表示されている、発熱体10の断面図である。
【0062】
図5は、発熱体10を、一部は断面図として、一部はヒートパイプ14と横方向接続管24、26がそれぞれ熱的に結合されているカバー要素42と放熱板40を備えた状態で示す。
【0063】
図6は、対流要素としての接続板44を介してヒートパイプ14と熱的に結合されている平面的な熱放射要素40を備えたヒートパイプ14の斜視図である。複数の熱放射要素40は組み立てられた状態において同一平面上にあり、主として発熱体の前面にも背面にもある。
【0064】
図7は、主として鋼鉄製の、様々な発熱体連結具に適応可能な連結システム48を備えた発熱体46の第2の実施形態を示す。連結システム48には、バイパス管52を介して主として市販の制御バルブ54の入口と接続されている往流路連結具50が含まれ、該バルブは第2の横方向接続管26から出るドッキング用管端部56に連結されている。制御バルブ54から第2のバイパス管58が加熱管16の方向に延在し、加熱管と流体的に接続されている。加熱管16の内部において同軸上に熱媒体分流器60が配置されていて、これを介して熱媒体が第2のバイパス管58から加熱管16を通って導かれ、復流路連結具62へと戻される。熱媒体分流器60は、加熱管16の先端横断面に配置されたバッフル64から出て、加熱管16の連結管継手32、34か往流路及び復流路連結具50、62のいずれかを介して発熱体を作動させることを目的としている。
【0065】
図8は、主としてアルミニウム製の発熱体66の第3の実施形態を示す。この実施形態は、第1の横方向接続管24と加熱管16が並んで平行に延在し、熱的に結合されている点で、図7に従う実施形態と区別される。主として、第1の横方向接続管24と加熱管16は押出し形材68、主としてアルミニウム押出し形材として形成されている。
【0066】
発熱体66には、第1のバイパス管74を介して市販の発熱体制御バルブ76と接続されている流入口72を備えた自在連結システム70が同様に含まれ、該バルブは第2の横方向接続管26のドッキング用管端部78と連結されている。制御バルブ76から第2のバイパス管80が加熱管16の方向に延在し、加熱管と流体的に接続されている。加熱管16の内部において同軸上に熱媒体分流器82が延在し、これは加熱管16の先端開口部に配置されているバッフル84と接続されている。第2のバイパス管80を介して、熱媒体は熱媒体分流器82に沿って、加熱管の長手方向に導かれ、復流路連結具86へと戻される。
【0067】
図9は作動媒体が満たされた鋼鉄製の発熱体46を示し、図10は作動媒体が満たされたアルミニウム製の発熱体66を示していて、作動媒体はそれぞれ灰色で表示されている。
【0068】
図11図12は、それぞれ灰色で表示されている熱媒体が満たされた発熱体46と66をそれぞれ示す。
【0069】
図13は、図8に従う発熱体66の実施形態を示す。この実施形態は、流入口86を備えた連結システム70が第1のバイパス管74を介して第2のバイパス管80及び復流路連結具72と熱的に結合されている点で、図8に従う実施形態と区別される。該連結システムは連結具72が往流路であり、連結具86が復流路である場合も機能する。該発熱体は、熱媒体18の流れ方向(往流路/復流路)とは関係なく、「跨座式連結」つまり「下部連結」に対してのみ適している。
【0070】
図14aと図14bは、ヒートパイプ14、図7に従うバイパス管58及び図8図13に従うバイパス管80に沿って延びる、熱を放射する平らな平面要素88、92を備えた発熱体46、66の異なる実施形態を例示的に示す。平面要素90、94は例示的なカバーである。
【0071】
図15は、対流要素96としての接続板を介して長手方向にヒートパイプ14と熱的に結合されている平面的な熱放射要素88、92を備えた図14a、図14bに従うヒートパイプ14の斜視図である。複数の熱放射要素88、92は複数の対流要素96と組み立てられた状態において平行に配置され、主として発熱体の前面においても背面においても接合技術的に接続されている。
【0072】
図16は、図1に従う発熱体と基本的に同じ構造を有する発熱体98の第4の実施形態の断面図であり、同じ要素には同じ参照符号が付されている。
【0073】
第1の横方向接続管24は、図1に示されているように、中心軸に沿って同軸管100を有し、同軸管は図示した実施例においては電気加熱ロッド102を長手方向に収容する。加熱ロッド102と該管100の間の最適な熱伝達を達成する目的で、加熱ロッド102と該管100の間に主として熱伝導媒体104が配置されることが想定されている。該管100の先端は横方向接続管24と液密に接続されていて、その外側の周囲を作動媒体12が流れる。
【0074】
加熱ロッドの連結は図示された側に限定されておらず、前述したような必要な液状封止材を用いて、対向する管端部においても行われ得る。
【0075】
図17は灰色で表示された作動媒体12が満たされた発熱体98を示す。
【0076】
図18は、発熱体98を、一部は断面図として、一部は、ヒートパイプ14の長手方向に延在する平面的な熱放射要素106の形態のカバーを備えた状態で示す。平面要素108、109、110は例示的なカバーである。
【0077】
図19は、図1に従う発熱体10と基本的に同じ構造を有するが、ヒートパイプ14が横に延在するフィン114を介して熱的に結合されている、発熱体112の第5の実施形態を示す。更に、フィン114の間に形成される開口部を通して気流118を導き得るファン116が装備されている。
【0078】
図20は、灰色で表示された作動媒体12が満たされた図19に従う発熱体112を示す。
【0079】
図21は、灰色で表示された、水18といった熱媒体が満たされた図19に従う発熱体112を示す。
【0080】
図22は、図16に従う発熱体98と基本的に同じ構造を有するが、ヒートパイプ14が横に延在するフィン114を介して熱的に結合されている、発熱体120の第6の実施形態を示す。更に、フィン114の間に形成される開口部を通して気流118を導き得るファン116が装備されている。
【0081】
図23aから図23cは、2つの並列接続された図19に従う発熱体112で構成される発熱体122を、それぞれ異なる方向から見た図である。図23aに従って、発熱体122には第1の加熱コイルセグメント124並びに第2の加熱コイルセグメント126が含まれ、加熱管16は並列接続されている。この目的で、連結管継手128、130が接続要素132を介して共に往流路管継手134と接続されていることが想定されている。出口側において、出口管継手136、138が管接続具を介して連結管継手140と接続されている。該連結システムは連結具140が往流路であり、連結具134が復流路である場合も機能する。
【0082】
加熱コイルセグメント124、126は、図19から図21に関して記載されたように、基本的に発熱体112の構造に相応する構造を有する。
【0083】
更に、長手軸144が該セグメントの広がる平面に対して基本的に直角に延在するファン142が装備されていて、それによって、フィン114の間の開口部を通る気流が生成され得る。
【0084】
図24は発熱体122の貫流原理を簡略化して示した単なる概略図である。加熱コイルセグメント124、126のヒートパイプ14はそれぞれ横方向接続管24、26と流体的に接続されている。横方向接続管24と同軸上に、図示した実施例では熱媒体として水を導く加熱管16が延在する。該管の入口側と出口側は、水圧バランスを取るために並列接続されている。代替として、図示した通り、水圧バランスバルブを追加で装備し得る。また、もう1つの横方向接続管によって示されているように、更なるセグメントを並列接続する可能性も存在する。
【0085】
図25aから図25cは、熱媒体として電気加熱ロッド102を備えている、図23に従う発熱体122の実施形態をそれぞれ異なる方向から見た図である。該加熱コイルには第1の発熱体部分124と第2の発熱体部分126が含まれる。
【0086】
加熱コイルセグメント124、126は、図19から図22に関して記載されたように、基本的に図22の発熱体120の構造に相応する構造を有する。
【0087】
加熱ロッドの連結は図示された側に限定されておらず、前述したような必要な液状封止材を用いて、対向する管端部においても行われ得る。
【0088】
図26は発熱体122の貫流原理を簡略化して示した単なる概略図である。加熱コイルセグメント124、126のヒートパイプ14はそれぞれ横方向接続管24、26と流体的に接続されている。横方向接続管24と同軸上に、図示した実施例では電気加熱ロッド102を収容する管100が延在する。また、もう1つの横方向接続管によって示されているように、更なるセグメントを並列接続する可能性も存在する。
【0089】
図27は、蛇行形状に形成され、作動媒体150で満たされて、その端部152、154において液密に閉鎖されている、ヒートパイプ束148の形態の発熱体146の第7の形態の断面図である。該管束148の平行に延在する管部分156はヒートパイプと成り、一方で、第1の弓形管部分158は蒸発器160、第2の弓形管部分156は凝縮器162と成る。
【0090】
蒸発器として機能する管部分158は、加熱管といった熱源164と熱的に結合されている。本明細書の場合は、加熱管164は、アルミニウム又は銅といった熱伝達媒体又は有利な熱伝導性を有する材料で形成されている熱伝導体166の中に延在する。管部分158へ熱を伝達する目的で、水といった熱媒体18が加熱管164を貫流する。
【0091】
管部分の端部152には主として安全バルブ38が、管束の端部154には注入バルブ36が配置されている。構造上、安全バルブ38と注入バルブ36のあらゆる他の有利な位置、又は作動媒体が満たされた複数の空室も可能である。技術的指針によって必要である場合は、バルブ38の有利な安全カバーが装備されている。
【0092】
代替として、安全バルブ38の前の端部152と注入バルブ36の前の端部154を配管部品によって互いに接続することもでき、その結果として1つの閉鎖された管構造が生じる。それによって、管束がはめ込まれた空室の内部における作動媒体の作用の分配が改善され得る。
【0093】
図28は、熱源が連結具172を備えた電気加熱ロッド170として形成されている、図27に従う発熱体168の更なる実施形態を示す。電気加熱ロッド170は熱伝導体166の開口部174の中で延びる。熱伝達を向上させる目的で、電気加熱ロッド170と熱伝導体166の間の移行部には熱伝導媒体176が備わっている。
【0094】
加熱ロッドの連結は図示された側に限定されておらず、前述したような必要な液状封止材を用いて、対向する管端部においても行われ得る。
【0095】
図29aから図29fは、図27に従う発熱体146に基づく発熱体178の実施形態を異なる方向から見た図である。図29a)は正面断面図である。図29b)は発熱体178の上面図である。図29c)は図29a)の切断線A-Aに沿った上面断面図である。図29d)は図29a)の切断線C-Cに沿った上面断面図である。図29e)は図29c、図29d)の切断線B-Bに沿った側面断面図であり、図29f)は連結フランジを右から見た側面図である。
【0096】
図29a)は発熱体178の断面図である。湾曲管部分158は共通の熱伝導体180の中で熱的に結合されている。湾曲管部分158と平行に、図29e)に従う側面図に示されているように、加熱管182、184、186、188が延在する。
【0097】
加熱管は、一方の端部ともう一方の端部に、それぞれ連結部品190と198、192と200、194と202、196と204を有し、これらはそれぞれ有利に共通のフランジ206、208に通じる。加熱管は並列接続されている。往流路/復流路の連結は熱媒体の流れ方向とは無関係である。
【0098】
図30a)から図30e)は、基本的に図29a)から図29e)に従う発熱体178に相応し、熱媒体である水が貫流する管路182、184、186、188の代わりに、電気加熱ロッド212、214、216、218が熱源として使用されるという相違点を有する、発熱体210の実施形態を複数の方向から見た図である。
【0099】
加熱ロッドの連結は図示された側に限定されておらず、前述したような必要な液状封止材を用いて、対向する管端部においても行われ得る。
【0100】
図31a)から図31f)は、基本的に図29a)から図29e)に従う発熱体178に相応し、加熱管182、184、186、188の端部190、192、194、196と端部198、200、202、204が共通のフランジ206、208には通じず、それぞれ2つの端部190と198、192と200、194と202、196と204が別々の管フランジ222、224に通じるという相違点を有する、発熱体220の実施形態を複数の方向から見た図である。
【0101】
加熱管は並列接続されている。往流路/復流路の連結は熱媒体の流れ方向とは無関係である。
【0102】
図32a)から図32f)は、基本的に図29a)から図29e)に従う発熱体178に相応し、加熱管182、184、186、188の端部190、192、194、196と端部198、200、202、204が共通のフランジ206、208に至るのではなく、連結接続具228、230を用いて直列接続されているという相違点を有する、発熱体226の実施形態を複数の方向から見た図である。
【0103】
フランジの連結230は図示された側に限定されておらず、対向する管端部においても行われ得る。往流路/復流路の連結は熱媒体の流れ方向とは無関係である。

以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 作動媒体(12)で満たされて、主として平行又は基本的に平行に延在し、それぞれ第1の端部(20)と第2の端部(22)を備えた複数のヒートパイプ(14)と、
前記ヒートパイプ(14)の前記第1及び/又は第2の端部(20、22)と熱的に結合されている熱源(16、102)
を含み、
前記ヒートパイプ(14)の前記第1の端部(20)が開放されて形成されていて、第1の横方向接続管(24)と流体的に接続された状態であること、及び/又は前記ヒートパイプ(14)の前記第2の端部(22)が開放されて形成されていて、第2の横方向接続管(26)と流体的に接続された状態であり、その際、前記ヒートパイプ(14)と前記横方向接続管(24、26)が前記作動媒体(12)で満たされた1つの共通の空室を形成すること、及び前記第1又は第2の横方向接続管(24、26)が、前記熱源(16、102)から熱を取り入れる目的で前記熱源(16、102)と熱的に結合されていることを特徴とする、発熱体(10、46、66、98、112、120、122)。
[2] 前記ヒートパイプ(14)が互いに平行に配置されていて、動作位置において鉛直に延在することを特徴とする、[1]に記載の発熱体。
[3] 前記ヒートパイプ(14)が重力式ヒートパイプとして形成されていることを特徴とする、[1]又は[2]に記載の発熱体。
[4] 前記作動媒体(12)が、市販されていて、自由に入手でき、部分的及び/又は完全にハロゲン化されたハイドロフルオロカーボン(Hydrofluorocarbon:HFC)類に属する、それぞれGWP値(地球温暖化係数)が2500未満とGWP値が750未満の冷媒及び/又は混合冷媒(非共沸混合物)、及び/又は適切な冷媒であることを特徴とする、[1]から[3]のいずれか一項に記載の発熱体。
[5] 前記第1の下部横方向接続管(24)が前記作動媒体(12)の蒸発器と成ることを特徴とする、[1]から[4]のいずれか一項に記載の発熱体。
[6] 前記第2の上部横方向接続管(26)が前記作動媒体(12)の凝縮器と成ることを特徴とする、[1]から[5]のいずれか一項に記載の発熱体。
[7] 前記ヒートパイプ(14)が長手方向に沿って平面要素、リブ又はラジエータといった熱放射要素(40、42、44、88、90、92、94、96)を有することを特徴とする、[1]から[6]のいずれか一項に記載の発熱体。
[8] 前記個々のヒートパイプ及び/又はバイパス管の平面要素(40、42、92、94)が同一平面上に位置することを特徴とする、[1]から[7]のいずれか一項に記載の発熱体。
[9] 前記熱源(16)が水といった気体状又は液体状の熱媒体(18)が貫流可能な加熱管であることを特徴とする、[1]から[8]のいずれか一項に記載の発熱体。
[10] 前記加熱管(16)が前記第1又は第2の横方向接続管(24、26)の中に長手軸に沿って同軸配置され、前記作動媒体(12)に包囲されていることと、前記加熱管(16)の連結管継手(32、34)の先端が耐圧性と液密性を備えて前記横方向接続管(24、26)と接続されていることを特徴とする、[1]から[9]のいずれか一項に記載の発熱体。
[11] 前記加熱管(16)が前記第1又は第2の横方向接続管(24,26)と平行又は基本的に平行に延在し、これと熱的に接続されていることを特徴とする、[1]から[10]のいずれか一項に記載の発熱体。
[12] 前記発熱体(46、66)が往流路連結具(50、72)と復流路連結具(62、86)を備えた連結システム(48、70)を有し、その際、前記往流路が第1のバイパス管(52、74)を介して、前記第2の横方向接続管(26)の先端から突出する管継手(56、78)に連結されている主として市販の制御バルブ(54、76)と接続されていることと、前記制御バルブ(54、76)から、第2のバイパス管(58、80)が前記第1のバイパス管と主として平行に延在し、前記加熱管(16)と流体的に接続された状態であって、前記復流路連結具(62、86)と結合されていることを特徴とする、[1]から[11]のいずれか一項に記載の発熱体。
[13] 前記加熱管(16)の中に、水といった前記熱媒体(18)の貫流調整のための流れ分割装置(60、82)が配置されていることを特徴とする、[1]から[12]のいずれか一項に記載の発熱体。
[14] 前記流れ分割装置(60、82)が、前記加熱管(16)の先端開口部に配置されたバッフル(64、84)から出て前記加熱管(16)の長手方向において同軸上に延びることと、前記バッフル(64、84)を用いて前記発熱体(46、66)の連結方式が予め調整可能であることを特徴とする、[1]から[13]のいずれか一項に記載の発熱体。
[15] 前記熱源(16)が電気加熱ロッド(102)といった電気熱源であることを特徴とする、[1]から[14]のいずれか一項に記載の発熱体。
[16] 前記電気加熱ロッド(102)が、前記第1及び/又は第2の横方向接続管(24、26)と熱的に結合され、主として少なくとも部分的に前記作動媒体(12)によって包囲されている管(100)の中に収容されていることを特徴とする、[1]から[15]のいずれか一項に記載の発熱体。
[17] 前記第1及び/又は第2の横方向接続管(24、26)が二重壁の管構造として形成されていて、その際、前記管(100)が前記二重壁の管構造の内管であり、前記加熱ロッド用の少なくとも1つの先端開口部と形状結合して前記横方向接続管の中に挿入され、主として液密性と圧力耐性を備えて接続されていることを特徴とする、[1]から[16]のいずれか一項に記載の発熱体。
[18] 前記電気加熱ロッド(102)が、熱伝導ペースト(104)といった熱伝導媒体又はその他の有利な熱伝導要素を介して、前記管(100)つまり前記第1又は第2の横方向接続管(24、26)の内管と熱的に結合されていることを特徴とする、[1]から[17]のいずれか一項に記載の発熱体。
[19] 前記ヒートパイプ(14)と結合された前記熱放射要素が、対流放熱器用フィン(114)として形成されていることを特徴とする、[1]から[18]のいずれか一項に記載の発熱体。
[20] 2つ以上の発熱体(112)が並列又は直列に相互接続されて、単式発熱体に対して熱出力のより高い1つの加熱コイル(122)つまり1つの発熱体になっていることを特徴とする、[1]から[19]のいずれか一項に記載の発熱体。
[21] 前記発熱体(112、122)が、流れ方向が前記発熱体(112、122)の広がる平面に対して直角に延在するファン(116、142)と結合されていることを特徴とする、[1]から[20]のいずれか一項に記載の発熱体。
[22] 作動媒体(150)で満たされていて、第1及び第2の端部(152、154)を備えた少なくとも1つのヒートパイプ(148)と、前記ヒートパイプ(148)と熱的に結合されている熱源(164)を含み、
前記ヒートパイプ(148)が曲げられて、直線的に平行に延在する部分(156)と前記平行部分を接続する上部及び下部の湾曲部分(156、158)を含む蛇行形状の管束(148)になっていて、その際、前記管束(148)の前記下部又は上部の湾曲部分(156、158)が前記熱源(164)と熱的に結合されていることを特徴とする、発熱体(146、168、178、210、220)。
[23] 前記管束(148)の両端部(152、154)が、液密に、バルブ(36、38)を用いて密封されている、又は相互に接続されていることを特徴とする、[1]から[22]のいずれか一項に記載の発熱体。
[24] 前記管束(148)の下部弓形部分(158)がそれぞれ蒸発器と成り、熱伝導体(166)と熱的に結合されていて、その際、前記熱伝導体(166)が前記熱源(164)と熱的に結合されていることを特徴とする、[1]から[23]のいずれか一項に記載の発熱体。
[25] 前記熱伝導体(166)が銅又はアルミニウムといった熱伝導性材料で形成されている、又は適切な凝集状態の有利な熱伝導性材料で形成されていることを特徴とする、[1]から[24]のいずれか一項に記載の発熱体。
[26] 前記管束(148)が重力式ヒートパイプ束であることを特徴とする、[1]から[25]のいずれか一項に記載の発熱体。
[27] 前記熱源(164)が、前記熱伝導体(166)が通過し、水といった熱媒体が貫流する少なくとも1つの加熱管(164)であることを特徴とする、[1]から[26]のいずれか一項に記載の発熱体。
[28] 前記熱源(164)が電気熱源、主として前記熱伝導体(166)と熱的に結合されている電気加熱ロッド(170)であることを特徴とする、[1]から[27]のいずれか一項に記載の発熱体。
[29] 前記管束の前記鉛直部分(156)が熱伝導フィン(144)を有することを特徴とする、[1]から[28]のいずれか一項に記載の発熱体。
[30] 複数の前記管束(148)が並列又は直列に相互接続されて、1つの加熱コイル(178、210、220)になっていて、その際、前記下部湾曲部分(158)が共通の熱伝導体(180)の中に収容されていることを特徴とする、[1]から[29]のいずれか一項に記載の発熱体。
[31] 熱源(164)として他の媒体も、液体状又は気体状で有効であることを特徴とする、[1]から[30]のいずれか一項に記載の発熱体。
[32] 水の温度範囲外の温度が可能であり、その際、前記ヒートパイプ(14、148)の中の前記作動媒体(12)が前記発熱体の温度範囲を決定することを特徴とする、[1]から[31]のいずれか一項に記載の発熱体。
[33] 前記ヒートパイプ(14、148)の中の前記作動媒体(12)が前記発熱体の温度範囲を決定することを特徴とする、[1]から[32]のいずれか一項に記載の発熱体。
[34] 前記ヒートパイプ(14、148)の中の前記作動媒体(12)が前記発熱体の熱出力を決定することを特徴とする、[1]から[33]のいずれか一項に記載の発熱体。
図1
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