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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】空気調和機の室外機
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/56 20110101AFI20240509BHJP
【FI】
F24F1/56
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022549751
(86)(22)【出願日】2022-04-28
(86)【国際出願番号】 JP2022019302
(87)【国際公開番号】W WO2023209957
(87)【国際公開日】2023-11-02
【審査請求日】2022-08-18
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-10
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】316011466
【氏名又は名称】日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】大川 貴史
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 慎也
(72)【発明者】
【氏名】井上 俊太郎
(72)【発明者】
【氏名】早稲田 新也
【合議体】
【審判長】水野 治彦
【審判官】村山 美保
【審判官】槙原 進
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/250801(WO,A1)
【文献】特開2018-004230(JP,A)
【文献】特開2013-029242(JP,A)
【文献】国際公開第2022/064936(WO,A1)
【文献】特開2020-134021(JP,A)
【文献】国際公開第2016/080352(WO,A1)
【文献】特開2004-156814(JP,A)
【文献】特開2018-98560(JP,A)
【文献】特開2014-96717(JP,A)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属を主成分とする室外機の筐体と、
金属を主成分とし、前記筐体から取り外し可能な補修用のメンテナンスカバーと、
電波の透過性を有する樹脂を主成分とし、前記筐体に直接に固定される支持部と、
前記筐体に前記支持部を介して間接に固定される通信ユニット部と、を有し、
前記通信ユニット部は、NFCアンテナを有するNFC基板であり、
前記室外機の前記メンテナンスカバーは、前記NFCアンテナが位置する部分に開口が設けられ、前記開口の少なくとも一部は樹脂カバーで覆われている空気調和機の室外機。
【請求項2】
金属を主成分とする室外機の筐体と、
金属を主成分とし、前記筐体から取り外し可能な補修用のメンテナンスカバーと、
電波の透過性を有する樹脂を主成分とし、前記メンテナンスカバーに直接に固定される支持部と、
前記メンテナンスカバーに前記支持部を介して間接に固定される通信ユニット部と、を有し、
前記通信ユニット部は、NFCアンテナを有するNFC基板であり、
前記室外機の前記メンテナンスカバーは、前記NFCアンテナが位置する部分に開口が設けられ、前記開口の少なくとも一部は樹脂カバーで覆われている空気調和機の室外機。
【請求項3】
前記NFCアンテナから前記室外機の外面までの距離は前記NFCアンテナの通信距離より短いことを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の室外機。
【請求項4】
前記NFCアンテナから前記室外機の外面までの距離は前記NFCアンテナの通信距離より短いことを特徴とする請求項2に記載の空気調和機の室外機。
【請求項5】
前記NFCアンテナから前記室外機の外面までの距離は、前記NFCアンテナの通信距離の半分より短いことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の空気調和機の室外機。
【請求項6】
前記開口を65mm×65mm以上の寸法、かつ、前記NFCアンテナと前記NFCアンテナの背面側に搭載される板金との距離を20mm以上確保し、前記NFCアンテナの通信距離は40mm以上であり、
前記NFC基板から前記室外機の外面までの距離は40mm未満であることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の空気調和機の室外機。
【請求項7】
前記NFCアンテナから前記樹脂カバーまでの距離は、前記筐体の前記支持部を固定する部分から前記NFCアンテナまでの距離より短いことを特徴とする請求項3に記載の空気調和機の室外機。
【請求項8】
前記NFCアンテナから前記樹脂カバーまでの距離は、前記メンテナンスカバーの前記支持部を固定する部分から前記NFCアンテナまでの距離より短いことを特徴とする請求項4に記載の空気調和機の室外機。
【請求項9】
前記筐体は、前記樹脂カバーが設けられた第1の面と、前記第1の面を前面とした場合に側面となる第2の面とを有し、
前記NFCアンテナから前記樹脂カバーまでの距離は、前記NFCアンテナから前記第2の面までの距離より短いことを特徴とする請求項3に記載の空気調和機の室外機。
【請求項10】
前記樹脂カバーが設けられた前記メンテナンスカバーを第1の面とすると、前記筐体は前記第1の面を前面とした場合に側面となる第2の面を有し、
前記NFCアンテナから前記樹脂カバーまでの距離は、前記NFCアンテナから前記第2の面までの距離より短いことを特徴とする請求項4に記載の空気調和機の室外機。
【請求項11】
前記樹脂カバーはNFC通信用の情報端末をタッチするタッチ部を有することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の空気調和機の室外機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機の室外機に関する。
【背景技術】
【0002】
近距離無線通信いわゆるNFC(Near Field Communication)の機能を有する送受信部を冷凍サイクル装置たとえば空気調和機の室外機に配置し、その送受信部と情報端末との間の非接触のデータ通信により、室外機の運転に必要な各種データを設定し、室外機の状態を診断する設定・診断システムが知られている。
【0003】
特許文献1には、室外機の給電コイル及び送受信コイルは、制御基板上か、室外機の筐体に設置されている。室外機は、一般的に、筐体がメッキ鋼板などの金属で形成されているため、電磁誘導方式では、受電コイル、送受信コイルと、給電コイル、送受信コイルとの間に金属があると、電磁誘導結合ができなくなる。そこで、設定診断部に、開閉可能な扉が設けられていることが記載されている。なお、設定診断部の部分だけ、筐体を樹脂のような非磁性体材料とすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5197549号公報(図10
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の場合、給電コイル及び送受信コイルが筐体に設置されているため、磁界が小さくなり通信距離が短くなる課題がある。
【0006】
本発明は、前記の課題を解決するための発明であって、通信距離を確保できる空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明の空気調和機の室外機は、金属を主成分とする室外機の筐体と、金属を主成分とし、前記筐体から取り外し可能な補修用のメンテナンスカバーと、電波の透過性を有する樹脂を主成分とし、前記筐体に直接に固定される支持部と、前記筐体に前記支持部を介して間接に固定される通信ユニット部と、を有し、前記通信ユニット部は、NFCアンテナを有するNFC基板であり、前記室外機の前記メンテナンスカバーは、前記NFCアンテナが位置する部分に開口が設けられ、前記開口の少なくとも一部は樹脂カバーで覆われていることを特徴とする。本発明のその他の態様については、後記する実施形態において説明する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、通信距離を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る空気調和機の室外機の外観構成を示す図である。
図2】空気調和機の室外機の正面図を示す図である。
図3】空気調和機の室外機のサービスパネルを外した状態を示す図である。
図4】NFC基板(通信ユニット部)を示す図である。
図5】NFC基板とタッチ部との関係を示す断面斜視図である。
図6】筐体とNFC基板とタッチ部との関係を示す断面図である。
図7図6のNFC基板とタッチ部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
まず、最初に空気調和機の全体構成について説明する。
空気調和機の全体構成は、室外機と複数台の室内機とが冷媒配管で接続されている。室外機は、室外熱交換器と、室外ファンと、圧縮機と、膨張弁と、四方弁等を含み構成されている。各室内機は、室内熱交換器と、室内ファン等を含み構成されている。室外機の制御部と室内機とは、通信線を介して通信される。
【0011】
室外機と各室内機とは、冷媒配管としてガス側冷媒配管および液側冷媒配管で接続される。ガス側冷媒配管を例に説明すると、ガス側冷媒配管は、室外機側からみて各室内機に対し順に分岐していくライン分岐で室内機に接続される。ここで、分岐する部分には、冷媒が流れる流路を遮断する遮断弁付きのガス側分岐配管ユニットが設けられている。液側冷媒配管についても同様となっている。なお、暖房時は、ガス側冷媒配管は分岐しつつ各室内機にガス冷媒を供給するが、冷房時は、ガス側冷媒配管は合流しつつ各室内機からのガス冷媒を室外機に供給する。
【0012】
空気調和機の一実施例として挙げられるマルチ型の空気調和機(マルチエアコン)では、1台の室外機と複数台の室内機および各ユニットを接続するガス側冷媒配管、液側冷媒配管で構成されている。ガス側冷媒配管と液側冷媒配管は、ガス側分岐配管ユニットおよび液側分岐配管ユニットで分岐接続され、室内機に分配して冷媒を供給する。室外機の室外ガス側阻止弁にガス側冷媒配管を接続し、室外機の室外液側阻止弁に液側冷媒配管を接続することで、1つの冷凍サイクル系統を構成している。
【0013】
室内機は、ルームエアコンであり、前記したように、室内ファン、室内熱交換器等で構成されている。なお、室内機内に、機内に減圧装置(膨張弁)を有する室内機(パッケージエアコン)であってもよい。
【0014】
室内機のリモコンは、室内機に制御指令(運転/停止、運転モード、温度、風量/風向などの設定)を与えるリモコンであり、室内機とはリモコン線で接続されている。マルチ型の空気調和機には、全体の動作を制御する上位の集中管理制御機器があり、室外機の制御部とは通信線で接続されている。
【0015】
室外機においては、前記したように、圧縮機、四方弁、室外ファン、室外熱交換器、膨張弁、冷媒タンク、アキュームレータで構成されている。室外機の制御部は、通信線を介して集中管理制御機器と接続されており、通信線を介して室内機と接続されている。
【0016】
即ち、室外機、室内機、上位の集中管理制御機器、リモコンは、お互いに情報を交換し、予め記憶された制御プログラムに基づいて制御されることになる。
以上の空気調和機において、次に本願の室外機について説明する。
【0017】
図1は、実施形態に係る空気調和機の室外機100の外観構成を示す図である。図2は、空気調和機の室外機の正面図を示す図である。
【0018】
室外機100は、直方体形の筐体10で外観が形成されている。筐体10の上部には、室外ファン11が設置されている。室外機100の正面にはサービスパネル上21、サービスパネル下22を有し、それぞれ筐体10から着脱が自在である。サービスパネル上21、サービスパネル下22は、金属製であり、内部機器が風雨にさらされることのないように開口を有していない(後記するように本実施形態では板金開口部23を有しているがNFCカバー31で塞いている)。なお、サービスパネル上21、サービスパネル下22は、本願請求項のメンテナンスカバーに相当する。
【0019】
サービスパネル下22の右上には、NFC通信用の情報端末200をタッチするタッチ部30を有している。ここでのタッチ部30とは、筐体10内部にあるNFC(Near Field Communication)の機能を有するNFCアンテナ54(図4参照)を有するNFC基板50(通信ユニット部)(図3参照)に、情報端末200を近接接近させることを含む。すなわち、「タッチ」とは、接触させるという意味の他、非接触で近接接近させるという意味も含むものとする。
【0020】
図3は、空気調和機の室外機100のサービスパネル(サービスパネル上21、サービスパネル下22)を外した状態を示す図である。筐体10の上部には、電気箱40を有している。電気箱40には、圧縮機や室外ファン11,12などを駆動する複数の駆動回路が収容されているとともに、メイン制御部(回路基板)が収容されている。メイン制御部は、冷凍サイクル構成部品および各駆動回路の動作を制御するとともに、後述するNFC基板50(通信ユニット部)および情報端末200の相互間のデータ通信に基づいて当該室外機100の運転に必要なデータを設定し、かつ、当該室外機100の状態を診断する。筐体10内の部品の交換・修理等の作業は、図3に示したように、サービスパネル上21、サービスパネル下22を取り外して行われる。
【0021】
NFC基板50(通信ユニット部)は、図3に示すように、タッチ部30に対向する位置に(タッチ部30の背後側に)、筐体10の支柱に支持部56を介して固定(筐体10に間接に固定)されている。支持部56は樹脂で形成されている。樹脂で形成された支持部56を介して固定することで、磁界が小さくなり通信距離が短くなるのを抑制することができる。
【0022】
図4は、NFC基板50(通信ユニット部)を示す図である。NFC基板50には、電気箱用インターフェース51、MCU52、NFCタグIC53、NFCアンテナ54、ブート部55(boot部)等を有する。MCU(Micro Controller Unit)は、マイクロプロセッサをベースとした制御装置である。NFCアンテナ54は、電波の送受を行う。NFCアンテナ54は、本実施形態では、正方形状のアンテナである。情報端末200を、NFCアンテナ54に近づけると、情報端末200とNFC基板50(通信ユニット部)の双方が認識し、情報を交換することができる。
【0023】
NFC基板50(通信ユニット部)は、例えば1cm~10cm程度のごく短い距離の範囲に近接する情報端末200との間で、近距離無線通信いわゆるNFCの技術による非接触のデータ通信を行う。
【0024】
NFCタグIC53は、NFCアンテナ54を通して信号を送受信するとともに、NFCアンテナ54が電波を受けたときの電磁誘導により生じる電力を当該NFC基板50の動作電力として取込む。MCU52は、データ通信のための各種処理を実行する。電気箱用インターフェース51は、MCU52と電気箱40との間の有線によるデータ通信を行う。
【0025】
電気箱40内には、室外機回路基板及びスイッチモジュール等が配置されている。室外機回路基板には、室外制御部を有し、室外制御部は、プロセッサやメモリを含む。そして、室外制御部は、メモリに記憶されたコンピュータプログラムをプロセッサが実行することにより、室内機と連携した室外機100の運転制御や、室外機100及び室内機などの設定に関する処理を実行する。
【0026】
情報端末200は、通信ユニット、端末制御部、インターフェース等を備える。通信ユニットは、アンテナ、送受信部、制御部、メモリ、通信回路などを含み、NFC基板50との間で電波を介した非接触の通信を行う。
【0027】
図5は、NFC基板50とタッチ部30との関係を示す断面斜視図である。図6は、筐体10とNFC基板50とタッチ部30との関係を示す断面図である。図7は、図6の破線部分のNFC基板50とタッチ部30の拡大図である。
【0028】
NFCは近距離での通信を行う通信方式であるため、製品のサービスカバーに設けた情報端末200をタッチするタッチ部30とNFCモジュール(例えば、NFC基板50)が独立した構造において、NFCモジュールを室外機100の内部に配置すると、情報端末200をNFCアンテナ54に近づけることができず、情報端末200とNFCアンテナ54との間で通信を行えないおそれがある。
【0029】
そこで、図5に示すように、
(1)NFCアンテナ54とタッチ部30間の距離:L1
(2)タッチ部30と情報端末200間の通信可能距離:L2
(3)NFCアンテナ54と情報端末200間の通信可能距離:L3
とすると、
(3)の距離L3に対し(1)の距離L1が短い配置の構造(L3>L1)とすることで、(2)の距離L2を確保し、情報端末200がタッチ部30に触れなくても通信可能となる。
また、(2)の距離L2および(3)の距離L3は、タッチ部30の板金開口部23を拡げることで、距離を伸ばすことができる。本実施形態では、L3>L1を確実に実現するために開口部寸法の評価・調整も行った。
【0030】
図6及び図7は、筐体10内の背面側に搭載される板金15も考慮して、電波の届く範囲を長くするように調整した配置構成を示す。適宜図4を参照する。図6及び図7において、タッチ部30のカバーをNFCカバー31で示す。即ち、NFCカバー31がタッチ部30をなす。なお、NFCカバー31は、電波を良好に透過する材質として樹脂で構成されているが、ガラスでもよい。また、本実施形態では、NFCカバー31は、外側から板金開口部23にワンタッチではめ込めるように構成されている。この例では、板金開口部23にはめ込まれたNFCカバー31を外側から簡便に取り外すことは想定していないので、接着剤でNFCカバー31を板金開口部23に取り付けるようにしてもよい。また、必要に応じて、ねじ止めなどにして外側から取り外せるようにしてもよい。取り付け方等は、特に限定されない。サービス担当者に分かりやすい表示をNFCカバー31に記載などしてもよい。
【0031】
NFCは、情報端末200から発する磁界で、NFCアンテナ54を介し誘導電流を発生させ、NFCタグIC53を起動させ通信を行う。磁界を利用することから、NFCアンテナ54近傍に板金等遮へい物がある場合、磁界が小さくなり通信距離が短くなり、通信不可となることがある。このため、実験により、NFCアンテナ54とNFCアンテナ54の背面側に搭載される板金15との距離LAが、10mm、20mm、30mmと変化させ、通信距離の相違を検討した。距離LAが20mm以上からNFCアンテナ54からの通信距離は40mm以上を確保できた。
【0032】
図6及び図7では、NFCアンテナ54の大きさは、46.5mm×46.5mmとし、板金開口部23を65mm×65mm以上の寸法としている。NFCアンテナ54とNFCアンテナ54の背面側に搭載される板金15との距離LAを20mm以上確保した。その結果、NFCアンテナ54からの通信距離は40mm以上である。また、NFCモジュール(NFC基板50)から室外機100の外面までの距離LBは40mm未満としている。
【0033】
本実施形態では、NFCアンテナ54とNFCアンテナ54の背面側に搭載される板金15との距離LAを20mm以上確保して、通信距離を伸ばしているがこれに限定されるものではない。例えば、NFCアンテナ54と板金15との間に、誘電体を挿入することにより、通信距離を伸ばすこともできる。誘電体には、ポリエチレン等を使用できる。
【0034】
また、NFCアンテナ54からNFCカバー31までの距離(図5の前後方向)は、筐体10の支持部56(図3参照)を固定する部分からNFCアンテナ54までの距離(図5の左右方向)より短くしている。言い換えると、筐体10の支持部56(図3参照)を固定する部分からNFCアンテナ54までの距離は、NFCアンテナ54からNFCカバー31までの距離よりも長くしている。これにより、NFCアンテナ54からの磁界は、金属を主成分とする室外機100の筐体10からの影響を小さくできる。
【0035】
また、筐体10は、NFCカバー31が設けられた第1の面(図1のタッチ部30を有する前面)と、第1の面を前面とした場合に側面となる第2の面とを有しており、NFCアンテナ54からNFCカバー31までの距離は、NFCアンテナ54から第2の面までの距離より短くしている。言い換えると、NFCアンテナ54から第2の面までの距離は、NFCアンテナ54からNFCカバー31までの距離より長くしている。これにより、NFCアンテナ54からの磁界は、金属を主成分とする室外機100の筐体10からの影響を小さくできる。
【0036】
図3では、NFC基板50を筐体10に支持部56を介して間接的に固定することを説明したが、これに限定されない。サービスパネル下22(メンテナンスカバー)に支持部を介して間接に固定してもよい。室外機100のメンテナンスカバーは、NFCアンテナ54が位置する部分に開口(板金開口部23)が設けられ、開口の少なくとも一部はNFCカバー31で覆われている。
【0037】
NFCアンテナ54からNFCカバー31までの距離(図5の前後方向)は、メンテナンスカバーの支持部を固定する部分からNFCアンテナ54までの距離(図5の左右方向)より短くしている。言い換えると、メンテナンスカバーの支持部を固定する部分からNFCアンテナ54までの距離は、NFCアンテナ54からNFCカバー31までの距離よりも長くしている。これにより、NFCアンテナ54からの磁界は、金属を主成分とする室外機100のメンテナンスカバーからの影響を小さくできる。
【0038】
NFCカバー31が設けられたメンテナンスカバーを第1の面(図1のタッチ部30を有する前面)とすると、筐体10は第1の面を前面とした場合に側面となる第2の面を有しており、NFCアンテナ54からNFCカバー31までの距離は、NFCアンテナ54から第2の面までの距離より短くしている。言い換えると、NFCアンテナ54から第2の面までの距離は、NFCアンテナ54からNFCカバー31までの距離より長くしている。これにより、NFCアンテナ54からの磁界は、金属を主成分とする室外機100の筐体10からの影響を小さくできる。
【0039】
以上、本実施形態の空気調和機の室外機100は、次の特徴を有する。
(1)空気調和機の室外機100は、金属を主成分とする室外機100の筐体10と、樹脂を主成分とする支持部56と、筐体10に支持部56を介して間接に固定される通信ユニット部(例えば、NFC基板50)と、を有する。これにより、樹脂で形成された支持部56を介して固定することで、磁界が小さくなり通信距離が短くなるのを抑制することができる。
【0040】
(2)空気調和機の室外機100は、金属を主成分とする室外機100の筐体10と、金属を主成分とし、筐体10から取り外し可能な補修用のメンテナンスカバー(例えば、サービスパネル下22)と、樹脂を主成分とする支持部56と、メンテナンスカバーに支持部56を介して間接に固定される通信ユニット部と、を有していてもよい。これにより、樹脂で形成された支持部56を介して固定することで、磁界が小さくなり通信距離が短くなるのを抑制することができる。なお、通信ユニット部の電気箱用インターフェース51と電気箱40との接続線は、メンテナンスカバーを外した際に支障がないように、長めにしておくとよい。これにより、室外機100のメンテナンスのためにメンテナンスカバーを容易に外すことができる。
【0041】
(3)(1)において、通信ユニット部は、NFCアンテナ54を有するNFCモジュールであり、NFCアンテナ54から室外機100の外面までの距離はNFCアンテナ54の通信距離より短い。これにより、情報端末200は、確実にNFCモジュールと通信可能となる。
【0042】
(4)(2)において、通信ユニット部は、NFCアンテナ54を有するNFCモジュールであり、NFCアンテナ54から室外機100の外面までの距離はNFCアンテナ54の通信距離より短い。これにより、情報端末200は、確実にNFCモジュールと通信可能となる。
【0043】
(5)(3)において、室外機100の筐体は、NFCアンテナ54が位置する部分に開口が設けられ、開口の少なくとも一部(本実施形態では板金開口23の全部)は樹脂カバー(NFCカバー31)で覆われている。
【0044】
(6)(4)において、室外機100のメンテナンスカバーは、NFCアンテナが位置する部分に開口が設けられ、開口の少なくとも一部は樹脂カバー(NFCカバー31)で覆われている。
【0045】
(7)(3)又は(4)において、NFCアンテナ54から室外機100の外面までの距離は、NFCアンテナ54の通信距離の半分より短いとよい。
【0046】
(8)(5)又は(6)において、開口を65mm×65mm以上の寸法、かつ、NFCアンテナ54とNFCアンテナ54の背面側に搭載される板金15との距離を20mm以上確保し、NFCアンテナ54の通信距離は40mm以上であり、NFCモジュール(例えば、NFC基板50)から室外機100の外面までの距離は40mm未満である。
【0047】
(9)(5)において、NFCアンテナ54から樹脂カバーまでの距離は、筐体の支持部を固定する部分からNFCアンテナまでの距離より短いとよい。
(10)(6)において、NFCアンテナ54から樹脂カバーまでの距離は、メンテナンスカバーの支持部を固定する部分からNFCアンテナまでの距離より短いとよい。
【0048】
(11)(5)において、筐体は、樹脂カバーが設けられた第1の面と、第1の面を前面とした場合に側面となる第2の面とを有し、NFCアンテナ54から樹脂カバーまでの距離は、NFCアンテナ54から第2の面までの距離より短いとよい。
【0049】
(12)(6)において、樹脂カバーが設けられたメンテナンスカバーを第1の面とすると、筐体は第1の面を前面とした場合に側面となる第2の面を有し、 NFCアンテナ54から樹脂カバーまでの距離は、NFCアンテナ54から第2の面までの距離より短いとよい。
【0050】
(13)(5)又は(6)において、樹脂カバーはNFC通信用の情報端末をタッチするタッチ部30を有する。
【0051】
本実施形態では、空気調和機の室外機について説明したがこれに限定されるものではない。室外機は、チラーや給湯機等の他種の冷凍サイクル装置を構成するものであってもよい。なお、チラーとは、水をはじめとした液体の温度をコントロールするための機械の名称である。また、NFCアンテナ54とNFCカバー31の間に、電波を導く導波管が設けられていてもよい。
【0052】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【符号の説明】
【0053】
10 筐体
11 室外ファン
15 板金
21 サービスパネル上(メンテナンスカバー)
22 サービスパネル下(メンテナンスカバー)
23 板金開口部(開口)
30 タッチ部
31 NFCカバー(樹脂カバー)
40 電気箱
50 NFC基板(NFCモジュール,通信ユニット部)
51 電気箱用インターフェース
52 MCU
53 NFCタグIC
54 NFCアンテナ
55 ブート部(boot部)
56 支持部
100 室外機
200 情報端末
L1,L2,L3 距離
LA 距離(NFCアンテナと背面側に搭載される板金との距離)
LB 距離(NFCアンテナとサービスパネル下の外面までの距離)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7