(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】無線路側機、交通通信システム、及び交通通信方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20240509BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240509BHJP
H04W 88/08 20090101ALI20240509BHJP
H04W 4/44 20180101ALI20240509BHJP
H04W 72/0446 20230101ALI20240509BHJP
【FI】
G08G1/09 F
G08G1/09 H
G08G1/16 A
H04W88/08
H04W4/44
H04W72/0446
(21)【出願番号】P 2022565359
(86)(22)【出願日】2021-11-24
(86)【国際出願番号】 JP2021042934
(87)【国際公開番号】W WO2022113983
(87)【国際公開日】2022-06-02
【審査請求日】2023-04-03
(31)【優先権主張番号】P 2020196394
(32)【優先日】2020-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】藤田 博己
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 剛
【審査官】田中 将一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/138232(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/004320(WO,A1)
【文献】特開2019-185592(JP,A)
【文献】特開2016-208148(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交通通信システムにおいて車載通信機との路車間通信を行う無線路側機であって、
路車間メッセージを周期的に送信する路車間通信部と、
前記路車間通信部が前記車載通信機からの車両情報メッセージを受信しない場合、前記無線路側機の通信範囲内に前記車載通信機が存在しないとみなし、前記路車間メッセージの周期的な送信を抑制する抑制制御を行う制御部と、を備え
、
前記路車間通信部は、所定フォーマットを有する第1路車間メッセージを所定周期で送信し、交通における危険の有無に関する第2路車間メッセージを前記所定周期よりも短い短周期で送信し、
前記制御部は、前記車載通信機からの車両情報メッセージを前記路車間通信部が受信しない場合、前記第1路車間メッセージの送信に前記抑制制御を適用せずに、前記第2路車間メッセージの送信に前記抑制制御を適用する、無線路側機。
【請求項2】
前記抑制制御は、前記路車間メッセージの周期的な送信を停止する制御を含む、請求項1に記載の無線路側機。
【請求項3】
前記抑制制御は、前記路車間メッセージを送信する周期を延長する制御を含む、請求項1又は2に記載の無線路側機。
【請求項4】
前記制御部は、前記抑制制御を開始した後、前記車載通信機からの車両情報メッセージを前記路車間通信部が受信した場合、前記抑制制御を中止する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の無線路側機。
【請求項5】
他の無線路側機との路路間通信を行う路路間通信部をさらに備え、
前記路路間通信部は、前記他の無線路側機に割り当てられた路車間通信リソースのうち前記他の無線路側機が前記抑制制御により使用しない路車間通信リソースを特定する情報を前記他の無線路側機から受信し、
前記路車間通信部は、前記特定された路車間通信リソースを用いて前記路車間メッセージを送信する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の無線路側機。
【請求項6】
前記制御部は、他の無線路側機に割り当てられた路車間通信リソースのうち前記他の無線路側機が前記抑制制御により使用しない路車間通信リソースを、キャリアセンスにより特定し、
前記路車間通信部は、前記特定された路車間通信リソースを用いて前記路車間メッセージを送信する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の無線路側機。
【請求項7】
車車間メッセージを送信する車車間通信部をさらに備え、
前記車車間通信部は、前記制御部が前記危険を検知した場合、前記危険が有ることを示す前記車車間メッセージを送信する、請求項
1に記載の無線路側機。
【請求項8】
車載通信機との路車間通信を行う路車間通信部を有する無線路側機と、
前記路車間通信部を制御する制御部と、を備え、
前記路車間通信部は、路車間メッセージを周期的に送信し、
前記制御部は、前記車載通信機からの車両情報メッセージを前記路車間通信部が受信しない場合、前記無線路側機の通信範囲内に前記車載通信機が存在しないとみなし、前記路車間メッセージの周期的な送信を抑制する抑制制御を行
い、
前記路車間通信部は、所定フォーマットを有する第1路車間メッセージを所定周期で送信し、交通における危険の有無に関する第2路車間メッセージを前記所定周期よりも短い短周期で送信し、
前記制御部は、前記車載通信機からの車両情報メッセージを前記路車間通信部が受信しない場合、前記第1路車間メッセージの送信に前記抑制制御を適用せずに、前記第2路車間メッセージの送信に前記抑制制御を適用する、交通通信システム。
【請求項9】
車載通信機と無線路側機との路車間通信を行う交通通信システムで用いる交通通信方法であって、
前記無線路側機が、路車間メッセージを周期的に送信することと、
前記車載通信機からの車両情報メッセージを前記無線路側機が受信しない場合、前記無線路側機が、前記無線路側機の通信範囲内に前記車載通信機が存在しないとみなし、前記路車間メッセージの周期的な送信を抑制する抑制制御を行うことと、
前記無線路側機が、所定フォーマットを有する第1路車間メッセージを所定周期で送信し、交通における危険の有無に関する第2路車間メッセージを前記所定周期よりも短い短周期で送信することと、
前記無線路側機が、前記車載通信機からの車両情報メッセージを前記路車間通信部が受信しない場合、前記第1路車間メッセージの送信に前記抑制制御を適用せずに、前記第2路車間メッセージの送信に前記抑制制御を適用することと、を有する交通通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線路側機、交通通信システム、及び交通通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通事故の危険を回避可能な技術として高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport System)が注目されている。このような背景下において、非特許文献1には、路側に設けられる基地局である無線路側機と、車両に設けられる移動局である車載通信機とを有する交通通信システムの標準規格について規定されている。
【0003】
このような交通通信システムは、無線路側機及び車載通信機が同じ周波数帯を時分割で共用する。例えば、所定の制御周期内において複数の路車間通信期間が設けられており、無線路側機は、路車間通信期間において無線信号を送信する。車載通信機は、路車間通信期間以外の時間及び基地局に未割当の路車間通信期間において、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)方式により無線信号を送信する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】ARIB STD-T109 1.3版 「700MHz帯高度道路交通システム」
【発明の概要】
【0005】
第1の態様に係る無線路側機は、交通通信システムにおいて車載通信機との路車間通信を行う。無線路側機は、路車間メッセージを周期的に送信する路車間通信部と、前記路車間通信部が前記車載通信機からの車両情報メッセージを受信しない場合、前記路車間メッセージの周期的な送信を抑制する抑制制御を行う制御部とを備える。
【0006】
第2の態様に係る交通通信システムは、車載通信機との路車間通信を行う路車間通信部を有する無線路側機と、前記路車間通信部を制御する制御部とを備える。前記路車間通信部は、路車間メッセージを周期的に送信する。前記制御部は、前記車載通信機からの車両情報メッセージを前記路車間通信部が受信しない場合、前記路車間メッセージの周期的な送信を抑制する抑制制御を行う。
【0007】
第3の態様に係る交通通信方法は、車載通信機と無線路側機との路車間通信を行う交通通信システムで用いる方法である。交通通信方法は、前記無線路側機が、路車間メッセージを周期的に送信することと、前記車載通信機からの車両情報メッセージを前記無線路側機が受信しない場合、前記無線路側機が、前記路車間メッセージの周期的な送信を抑制する抑制制御を行うこととを有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る交通通信システムの構成例を示す図である。
【
図3】一実施形態に係る無線路側機の構成例を示す図である。
【
図4】一実施形態に係る車両の構成例を示す図である。
【
図5】一実施形態に係る交通通信システムの動作環境の一例を示す図である。
【
図6】一実施形態に係る交通通信システムの第1動作例を示す図である。
【
図7】一実施形態に係る交通通信システムの第1動作例を示す図である。
【
図8】一実施形態に係る交通通信システムの第1動作例を示す図である。
【
図9】一実施形態に係る交通通信システムの第2動作例を示す図である。
【
図10】一実施形態に係る交通通信システムの第2動作例を示す図である。
【
図11】一実施形態に係る交通通信システムの第2動作例を示す図である。
【
図12】一実施形態に係る交通通信システムの第2動作例を示す図である。
【
図13】一実施形態に係る無線路側機の構成の変更例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
無線路側機は、自身に割り当てられた路車間通信期間(タイムスロット)を用いて、所定周期で路車間メッセージを送信することが一般的である。この所定周期は、例えば制御周期の整数倍である。
【0010】
しかしながら、無線路側機は、自身の通信範囲内に車載通信機が存在しないような場合であっても、路車間メッセージを周期的に送信する。このため、路車間メッセージに関わる無線リソースの無駄が生じるという問題がある。
【0011】
そこで、本発明は、路車間メッセージに関わる無線リソースを効率的に使用することを可能とすることを目的とする。
【0012】
一実施形態に係る交通通信システムについて図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0013】
(交通通信システムの構成)
まず、一実施形態に係る交通通信システムの構成について説明する。以下において、非特許文献1の標準規格に基づく無線通信を行う交通通信システムについて主として説明するが、この標準規格に限定されるものではなく、例えば3GPP(Third Generation Partnership Project)のV2X(Vehicle to Everything)規格に基づく無線通信を行ってもよい。
【0014】
図1は、一実施形態に係る交通通信システム1の構成例を示す図である。
図1に示すように、交通通信システム1は、道路を走行する複数の車両100と、道路付近に設けられる複数の無線路側機200とを有する。
【0015】
図1において、複数の車両100として車両100A及び100Bを例示し、複数の無線路側機200として無線路側機200A及び200Bを例示している。なお、車両100としては普通自動車や軽自動車等の自動車を例示しているが、道路を通行する車両であればよく、例えば自動二輪車(オートバイ)等であってもよい。車両100は、自動運転車両であってもよい。
【0016】
各車両100には、車載通信機150が設けられている。車載通信機150は、車両100に固定的に設けられる据置型の通信機であってもよいし、車両100にケーブルを介して一時的に接続される可搬型の通信機であってもよい。
【0017】
各無線路側機200は、道路付近に設置されている。
図1に示す例おいて、無線路側機200Aは、交通信号灯器300又はその支柱に設置されており、交通信号灯器300と連携して動作する。無線路側機200Bは、支柱に設置されている。各無線路側機200は、通信回線を介してサーバ装置400に接続されている。サーバ装置400は、中央装置と呼ばれることもある。サーバ装置400は、無線路側機200が受信する情報に基づいて各種の交通情報を収集し、道路交通を管理する。
【0018】
このような交通通信システム1において、無線路側機200と車載通信機150との間で路車間通信を行い、車載通信機150間で車車間通信を行う。一実施形態において、車載通信機150は、700MHz帯の搬送波周波数(周波数帯)を時分割で無線路側機200と共用する。
【0019】
例えば、路車間通信により、無線路側機200から送信される路車間メッセージを車載通信機150が受信し、車載通信機150から送信される車両情報メッセージを無線路側機200が受信する。また、車車間通信により、1つの車載通信機150から送信される車両情報メッセージを他の車載通信機150が受信する。路車間通信及び車車間通信により、周辺車両の状態、交通情報、歩行者の有無等を認識し、交通事故の危険を回避するための支援を行うことができる。また、無線路側機200が受信する車両情報メッセージを交通流の円滑化等に用いることができる。
【0020】
路車間メッセージは、道路に関する情報を含むメッセージである。路車間メッセージは、例えば、UTMS(Universal Traffic Management System)協会発行の「ITS無線路側機 通信アプリケーション共通規格」や「5.8GHz帯/700MHz帯無線式DSSS用 通信アプリケーション(光・電波実験)規格」に準拠した所定フォーマットを有する。
【0021】
車両情報メッセージは、車両100に関する情報を含むメッセージである。車両情報メッセージは、例えば、ITS Connect推進協議会発行の「ITS Connectシステム 車車間通信メッセージ仕様」に準拠した所定フォーマットを有する。
【0022】
さらに、交通通信システム1において、無線路側機200間で路路間通信を行う。路路間通信により、1つの無線路側機200から送信される路路間メッセージを他の無線路側機200が受信する。
【0023】
路車間通信、車車間通信、及び路路間通信のそれぞれには、ブロードキャストによる無線通信が用いられてもよい。例えば、送信される無線信号(通信パケット)について、宛先アドレス(宛先MACアドレス)としてブロードキャストアドレスのみが規定されていてもよい。
【0024】
(路車間通信期間)
次に、一実施形態に係る交通通信システム1における路車間通信期間について説明する。
図2は、路車間通信期間の一例を示す図である。
【0025】
図2に示すように、無線路側機200は、100ms周期での通信を基本とする。無線路側機200は、自身の送信情報として送信時刻及び路車間通信期間情報(転送回数・路車間通信期間長)を含む路車間メッセージを周囲の車載通信機150に送信することにより、自身の送信時間を確保する。また、無線路側機200間では±16μs以下の同期精度を保つこととされている。
【0026】
車載通信機150は、無線路側機200から受信した送信時刻に基づいて時刻同期し、路車間通信期間情報に基づいて自身の送信を停止することで、無線路側機200の送信期間以外のタイミングで送信を行う。具体的には、車載通信機150は、路車間通信期間以外の時間及び無線路側機200に未割当の路車間通信期間において、CSMA/CA方式により車両情報メッセージを送信する。
【0027】
100msの制御周期内において16μsを制御単位時間(ユニット)としており、制御周期は6250ユニットで構成される。1制御周期中に設定可能な路車間通信期間(タイムスロット)の数の最大値は「16」であり、制御周期の先頭から390ユニット(6240μs)間隔で配置する。設定可能な路車間通信期間長の最大値は、189ユニット(3024μs)である。
【0028】
無線路側機200には、1制御周期中にある16の路車間通信期間のうち少なくとも1つの路車間通信期間を使用可能である。無線路側機200は、自身の路車間通信期間に関する情報を含む路車間メッセージをブロードキャストする。
【0029】
車載通信機150は、路車間通信期間情報に基づいて、無線路側機200が使用している路車間通信期間を把握し、無線路側機200が使用している路車間通信期間において無線信号を送信しないようにする。また、車載通信機150は、無線路側機200から受信した路車間通信時間情報を管理し、管理している路車間通信期間情報を含む車車間メッセージをブロードキャストする。
【0030】
(無線路側機の構成)
次に、一実施形態に係る無線路側機200の構成について説明する。
図3は、無線路側機200の構成例を示す図である。
【0031】
図3に示すように、無線路側機200は、アンテナ21aと、無線通信部21と、制御部22と、インターフェイス23とを有する。
【0032】
無線通信部21は、アンテナ21aを介して無線通信を行う。アンテナ21aは、無指向性アンテナであってもよいし、指向性を有する指向性アンテナであってもよい。アンテナ21aは、指向性を動的に変更可能なアダプティブアレイアンテナであってもよい。
【0033】
一実施形態において、無線通信部21の無線通信方式は、ARIB(Association of Radio Industries and Businesses) T109に準拠した方式である。但し、無線通信部21の無線通信方式は、3GPPのV2X規格に準拠した方式であってもよいし、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11シリーズ等の無線LAN規格に準拠した方式であってもよい。無線通信部21は、これらの通信規格の全てに対応可能に構成されていてもよい。
【0034】
無線通信部21は、アンテナ21aが受信する無線信号をベースバンド信号に変換して制御部22に出力する。また、無線通信部21は、制御部22が出力するベースバンド信号を無線信号に変換してアンテナ21aから送信する。
【0035】
無線通信部21は、車載通信機150との路車間通信を行う路車間通信部21bと、他の無線路側機200との路路間通信を行う路路間通信部21cとを有する。一実施形態において、路車間通信及び路路間通信は、ブロードキャストで行われる。但し、路車間通信及び路路間通信は、ユニキャストで行われてもよいし、マルチキャストで行われてもよい。
【0036】
路車間通信により車両100に送信される路車間メッセージを構成するパケットは、送信元の識別に用いる識別情報、無線路側機200に対する同期方法を示す同期情報、パケットの送信時刻、路車間通信の期間を示す期間情報(例えば、路車間通信の転送回数、路車間通信の期間長)等を含んでもよい。
【0037】
制御部22は、無線路側機200における各種の機能を制御する。制御部22は、少なくとも1つのメモリと、メモリと電気的に接続された少なくとも1つのプロセッサとを有する。メモリは、揮発性メモリ及び不揮発性メモリを含み、プロセッサにおける処理に用いる情報と、プロセッサにより実行されるプログラムとを記憶する。プロセッサは、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより各種の処理を行う。
【0038】
インターフェイス23は、有線回線及び/又は無線回線を介して、少なくとも1つの路側センサ500と接続される。路側センサ500は、道路における障害物(危険物)を検知するためのセンサである。一実施形態において、路側センサ500は、道路を撮影して得た撮影画像を出力する画像センサである。なお、路側センサ500は、無線路側機200に組み込まれていてもよい。路側センサ500は、移動体を検出して検出データ(点群データ)を出力するLiDAR(Light Detection and Ranging)センサであってもよい。路側センサ500は、道路上の障害物を検知可能なセンサであればどのようなものであってもよく、ミリ波センサ、超音波センサ、又は赤外線センサ等であってもよい。
【0039】
また、インターフェイス23は、有線回線及び/又は無線回線を介してサーバ装置400と接続される。インターフェイス23は、有線回線及び/又は無線回線を介して交通信号灯器300と接続されていてもよい。
【0040】
例えば、制御部22は、インターフェイス23を介して取得する情報に基づいて路車間メッセージを生成し、生成した路車間メッセージを路車間通信部21bに出力する。路車間通信部21bは、所定周期で路車間メッセージを送信(ブロードキャスト)する。所定周期は、例えば制御周期(100ms)の整数倍である。
【0041】
(車両の構成)
次に、一実施形態に係る車両100の構成について説明する。
図4は、車両100の構成例を示す図である。
【0042】
図4に示すように、車両100は、車載通信機150と、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機12と、提示部13と、駆動制御部14とを有する。車載通信機150は、アンテナ11aと、無線通信部11と、制御部15とを有する。
【0043】
無線通信部11は、アンテナ11aを介して無線通信を行う。一実施形態において、無線通信部11の無線通信方式は、ARIB T109に準拠した方式である。但し、無線通信部11の無線通信方式は、3GPPのV2X規格に準拠した方式であってもよいし、IEEE802.11シリーズ等の無線LAN規格に準拠した方式であってもよい。無線通信部11は、これらの通信規格の全てに対応可能に構成されていてもよい。
【0044】
無線通信部11は、アンテナ11aが受信する無線信号をベースバンド信号に変換して制御部15に出力する。また、無線通信部11は、制御部15が出力するベースバンド信号を無線信号に変換してアンテナ11aから送信する。
【0045】
無線通信部11は、無線路側機200との路車間通信を行う路車間通信部11bと、他の車載通信機150(他の車両100)との車車間通信を行う車車間通信部11cとを有する。一実施形態において、路車間通信及び車車間通信は、ブロードキャストで行われる。但し、路車間通信及び車車間通信は、ユニキャストで行われてもよいし、マルチキャストで行われてもよい。
【0046】
無線通信部11は、例えばARIB T109規格に準拠している場合、キャリアセンスを行って電波の周波数(例えば、700MHz帯)の空き状態を判定する機能を有していてもよい。無線通信部11は、キャリアセンスの結果に応じて決定されたタイミングで車両情報メッセージを送信してもよい。
【0047】
GNSS受信機12は、GNSS衛星信号に基づいて測位を行い、車両100の現在の地理的な位置(緯度・経度)を示すGNSS位置情報を制御部15に出力する。GNSS受信機12は、例えば、GPS、GLONASS(Global Navigation
Satellite System)、IRNSS(Indian Regional
Navigational Satellite System)、COMPASS、Galileo、及びQZSS(Quasi-Zenith Satellite System)のうち少なくとも1つのGNSSの受信機を含んで構成される。
【0048】
提示部13は、制御部15の制御下で、車両100の運転者に対する情報の提示を行う。例えば、提示部13は、情報を表示するディスプレイ及び情報を音声出力するスピーカのうち少なくとも一方を含む。
【0049】
駆動制御部14は、動力源としてのエンジン又はモータ、動力伝達機構、及びブレーキ等を制御する。車両100が自動運転車両である場合、駆動制御部14は、制御部15と連携して車両100の駆動を制御してもよい。
【0050】
制御部15は、車載通信機150(及び車両100)における各種の機能を制御する。制御部15は、少なくとも1つのメモリと、メモリと電気的に接続された少なくとも1つのプロセッサとを有する。メモリは、揮発性メモリ及び不揮発性メモリを含み、プロセッサにおける処理に用いる情報と、プロセッサにより実行されるプログラムとを記憶する。プロセッサは、メモリに記憶されたプログラムを実行することにより各種の処理を行う。
【0051】
例えば、制御部15は、無線路側機200から路車間通信部11bが受信する路車間メッセージに基づいて提示部13を制御する。このような路車間メッセージは、交通信号灯器300の信号灯色に関する信号情報を含んでもよい。制御部15は、信号情報を表示するように提示部13を制御する。車両100が自動運転車両である場合、制御部15は、駆動制御部14と連携し、信号情報に基づいて車両100の駆動を制御してもよい。
【0052】
制御部15は、車両情報メッセージを生成し、車両情報メッセージを無線通信部11(路車間通信部11b及び車車間通信部11c)に出力する。無線通信部11は、キャリアセンスの結果に応じて決定されたタイミングで車両情報メッセージを送信する。車両情報メッセージは、例えば、車両100の位置(GNSS位置情報)や車速等を含む。
【0053】
(交通通信システムの動作環境の一例)
次に、一実施形態に係る交通通信システム1の動作環境の一例について説明する。
図5は、一実施形態に係る交通通信システム1の動作環境の一例を示す図である。
【0054】
図5に示すように、道路を車両100が通行する。
図5に示す例において、車両100は、自動運転車両、具体的には、自動運転バスである。車両100は、自車両の車載センサを用いた自動運転(自律走行)を行ってもよい。道路は、自動運転バスが専用で用いるバス専用道路であってもよい。
【0055】
また、車両100は、交通インフラからの情報を自動運転に利用する。
図5に示す例において、道路は、車両100から見て左へのカーブを有する。このようなカーブの先の状況を車両100の車載センサが検知することは困難である。カーブの先の道路上には、障害物601が存在する場合がある。障害物601とは、車両の通行を妨げるものをいうが、障害物601の種別としては、例えば、歩行者、落下物、故障車、又は道路破損(例えば、穴)等がある。
【0056】
車両100は、進行方向前方の道路上の障害物601を検知すると、障害物601との衝突を回避するために減速し、障害物601の手前で停止する。このような動作を行うためには、車両100が例えば時速60kmで走行する場合、100m先の障害物601を検知する必要があるが、車両100は、カーブの先の状況を車載センサにより検知することは困難である。
【0057】
一実施形態において、カーブの先の状況を車両100に通知するために、路側センサ500と接続された無線路側機200がカーブの手前に設置される。無線路側機200は、路車間通信により、路側センサ500による検知結果に基づく危険通知データを含む路車間メッセージを車両100(車載通信機150)に送信する。これにより、車載センサにより検知困難な障害物601を無線路側機200の補助により車両100が検知可能になる。
【0058】
(交通通信システムの第1動作例)
次に、一実施形態に係る交通通信システム1の第1動作例について説明する。
【0059】
上述のように、無線路側機200が、路側センサ500の出力に基づいて、交通における危険(例えば、障害物の存在)を車載通信機150に通知することにより、交通事故の危険を回避できる。
【0060】
しかしながら、無線路側機200は、自身に割り当てられた路車間通信期間(タイムスロット)を用いて、所定周期で路車間メッセージを送信することが一般的である。この所定周期は、例えば制御周期の整数倍である。このため、無線路側機200が路車間メッセージを送信した直後に危険を検知したような場合、次の路車間メッセージの送信機会まで車載通信機150への通知を行うことができない。よって、車載通信機150への危険通知に遅延が生じるという問題がある。
【0061】
一実施形態に係る無線路側機200において、路車間通信部21bは、所定フォーマットを有する第1路車間メッセージを所定周期(制御周期の整数倍の周期)で送信する。制御部22は、路側センサ500の出力に基づいて、交通における危険の有無に関する第2路車間メッセージを生成する。路車間通信部21bは、所定周期よりも短い短周期で第2路車間メッセージを送信する。このように、所定周期よりも短い短周期で、交通における危険の有無に関する第2路車間メッセージを送信することにより、車載通信機150への危険通知における遅延を削減できる。
【0062】
図6は、一実施形態に係る交通通信システム1の第1動作例を示す図である。
【0063】
図6に示すように、比較例では、無線路側機200の路車間通信部21bは、所定フォーマットを有する第1路車間メッセージを所定周期(ここでは、100msの制御周期)で送信する。1制御周期内に16の路車間通信期間(タイムスロット)が存在し、1番目の路車間通信期間が無線路側機200に割り当てられているとする。ここで、1番目の路車間通信期間において路車間メッセージを送信した直後に、路側センサ500により障害物が検知されたとする。比較例では、次の1番目の路車間通信期間まで路車間メッセージを送信できないため、大きな通知遅延Aが生じている。このような大きな通知遅延Aが生じると、車両100が障害物601との衝突を回避するために減速して障害物601の手前で停止することが困難になり得る。
【0064】
これに対し、一実施形態に係る無線路側機200の路車間通信部21bは、所定周期(ここでは、100msの制御周期)よりも短い短周期(例えば、20ms周期)で、交通における危険の有無に関する第2路車間メッセージを送信する。このため、1番目の路車間通信期間において第1路車間メッセージを送信した直後に、路側センサ500により障害物が検知された場合であっても、3番目の路車間通信期間で第2路車間メッセージを送信できる。このため、第2路車間メッセージは、小さな通知遅延Bで済んでいる。このようにして通知遅延が削減されると、車両100が障害物601との衝突を回避するために減速して障害物601の手前で停止することが容易になる。
【0065】
なお、「危険が有る」とは、障害物が有る、又は危険度が高いという意味であってもよい。また、「危険が無い」とは、障害物が無い、又は危険度が低いという意味であってもよい。
【0066】
一実施形態において、車両100の車載通信機150(制御部15)は、危険が有ることを示す第2路車間メッセージを路車間通信部11bが受信したことに応じて、車両100の速度を低下させるための制御を行ってもよい。例えば、車両100の制御部15は、車両100の減速を促す情報を運転者に提示するように提示部13を制御する。車両100が自動運転車両である場合、車両100の制御部15は、駆動制御部14と連携して車両100を自動で減速させてもよい。
【0067】
第2路車間メッセージのデータサイズは、第1路車間メッセージのデータサイズよりも小さい。例えば、第1路車間メッセージは、道路線形情報、サービス支援情報、信号情報、規制情報、車両検知情報、及び横断歩行者検知情報等の様々な情報を含むメッセージである。これに対し、第2路車間メッセージは、道路線形情報、サービス支援情報、信号情報、及び規制情報を含まずに、車両検知情報及び/又は横断歩行者検知情報を含むメッセージであってもよい。第2路車間メッセージは、単に危険の有無を示す1ビットのフラグを含むメッセージであってもよい。
【0068】
一実施形態において、無線路側機200の路車間通信部21bは、所定周期内に設けられる複数のタイムスロット(ここでは、16の路路間通信期間)のうち、短周期で予約された予約タイムスロットを用いて第2路車間メッセージを送信する。
図6の例において、短周期で予約された予約タイムスロットは、3番目、6番目、9番目、12番目、及び15番目のタイムスロットである。このような予約を行うことにより、第2路車間メッセージの送信機会が保証される。
【0069】
一実施形態において、無線路側機200の路車間通信部21bは、予約タイムスロットの一部の時間区間のみを用いて第2路車間メッセージを送信する。
図6の例において、3番目、6番目、9番目、12番目、及び15番目の各予約タイムスロットの先頭の一部の時間区間(サブスロット)は、無線路側機200による第2路車間メッセージの送信に用いられる。ここで、各予約タイムスロットにおける一部の時間区間以外の時間区間は、他の無線路側機200により利用される。すなわち、1つのタイムスロットを複数の無線路側機200が時分割で共用する。これにより、路車間通信リソースの有効活用を図り、リソース利用効率を高めることができる。
【0070】
なお、
図6の例においては、1番目のタイムスロットの全体を、無線路側機200が第1路車間メッセージを送信するための路路間通信期間として用いる一例を示している。
【0071】
一実施形態において、無線路側機200の路車間通信部21bは、制御部22が路側センサ500の出力に基づいて危険(例えば、障害物)を検知した場合、危険の詳細を示す詳細情報を含む第1路車間メッセージを所定周期で送信する。例えば、第2路車間メッセージは単に危険の有無を通知するだけのメッセージとし、当該危険の詳細、例えば、障害物の種別に関する情報、障害物の位置に関する情報、及び路側センサの情報の少なくとも1つを第1路車間メッセージにより通知する。これにより、車両100は、第2路車間メッセージの受信に応じて減速を開始し、その後、第1路車間メッセージの受信に応じて危険の詳細を把握できる。
【0072】
無線路側機200の路車間通信部21bは、制御部22が路側センサ500の出力に基づいて危険(例えば、障害物)を検知した場合、危険が有ることを示す第2路車間メッセージを短周期で送信する。危険が有ることを示す第2路車間メッセージは、例えば、危険が有ることを示すフラグ情報を含む路車間メッセージであってもよい。
【0073】
無線路側機200の路車間通信部21bは、制御部22が路側センサ500の出力に基づいて危険(例えば、障害物)を検知しない場合、
図7に示すように、危険が無いことを示す第2路車間メッセージを短周期で送信してもよい。危険が無いことを示す第2路車間メッセージは、例えば、危険が無いことを示すフラグ情報を含む路車間メッセージであってもよい。これにより、車両100は、危険が無いことを確認したうえで道路を走行できる。
【0074】
図7の例では、無線路側機200の路車間通信部21bは、まず、第1制御周期内において、第1路車間メッセージを送信(ステップS101)した後、危険が無いことを示す第2路車間メッセージを短周期で送信(ステップS102、S103)する。
【0075】
次に、無線路側機200の制御部22は、路側センサ500の出力に基づいて障害物を検知(ステップS104)すると、危険が有ることを示す第2路車間メッセージを短周期で送信(ステップS105乃至S107)するように路車間通信部21bを制御する。
【0076】
次に、無線路側機200の制御部22は、第2制御周期内において、ステップS104で検知した障害物(危険)に関する詳細情報を含む第1路車間メッセージを送信(ステップS108)するように路車間通信部21bを制御する。そして、無線路側機200の制御部22は、危険が有ることを示す第2路車間メッセージを短周期で送信(ステップS109、S110)する。
【0077】
次に、無線路側機200の制御部22は、路側センサ500の出力に基づいて障害物を検知しなくなる(ステップS111)。そして、無線路側機200の制御部22は、危険が無いことを示す第2路車間メッセージを短周期で送信(ステップS112乃至S114)する。
【0078】
或いは、路車間通信部21bは、制御部22が路側センサ500の出力に基づいて危険(例えば、障害物)を検知しない場合、
図8に示すように、第2路車間メッセージの送信を停止してもよい。これにより、第2路車間メッセージの頻繁な送信を抑制し、無線路側機200の消費電力を削減できるとともに、無線リソースの節約に寄与できる。
【0079】
図8の例では、無線路側機200の路車間通信部21bは、まず、第1制御周期内において、第1路車間メッセージを送信(ステップS201)する。無線路側機200の制御部22は、危険が検知されていない間は、第2路車間メッセージを送信しないように路車間通信部21bを制御する。
【0080】
次に、無線路側機200の制御部22は、路側センサ500の出力に基づいて障害物を検知(ステップS202)すると、危険が有ることを示す第2路車間メッセージを短周期で送信(ステップS203乃至S205)するように路車間通信部21bを制御する。
【0081】
次に、無線路側機200の制御部22は、第2制御周期内において、ステップS202で検知した障害物(危険)に関する詳細情報を含む第1路車間メッセージを送信(ステップS206)するように路車間通信部21bを制御する。そして、無線路側機200の制御部22は、危険が有ることを示す第2路車間メッセージを短周期で送信(ステップS207、S208)する。
【0082】
次に、無線路側機200の制御部22は、路側センサ500の出力に基づいて障害物を検知しなくなる(ステップS209)。無線路側機200の制御部22は、第2路車間メッセージの送信を停止する。
【0083】
(交通通信システムの第2動作例)
次に、一実施形態に係る交通通信システム1の第2動作例について説明する。
【0084】
上述のように、無線路側機200は、自身に割り当てられた路車間通信期間(タイムスロット)を用いて、周期的に路車間メッセージを送信(ブロードキャスト)する。しかしながら、無線路側機200は、自身の通信範囲内に車載通信機150が存在しないような場合であっても、路車間メッセージを周期的に送信するため、無線リソースの無駄が生じるとともに、無線路側機200の消費電力が増大するという問題がある。特に、上述の第2路車間メッセージは短周期で送信されるため、このような問題が顕著になり得る。
【0085】
図9は、交通通信システム1の第2動作例を示す図である。
【0086】
図9に示すように、車両100(車載通信機150)は、車両情報メッセージを送信(ブロードキャスト)する。この車両情報メッセージを無線路側機200が受信した場合、無線路側機200の通信範囲内に車載通信機150が存在するとみなすことができる。他方、車両情報メッセージを無線路側機200が受信しない場合、無線路側機200の通信範囲内に車載通信機150が存在しないとみなすことができる。
【0087】
一実施形態に係る無線路側機200の制御部22は、路車間通信部21bが車載通信機150からの車両情報メッセージを受信しない場合、路車間メッセージの周期的な送信を抑制する抑制制御を行う。これにより、無線リソースの利用効率を高めるとともに、無線路側機200の消費電力を削減できる。なお、「車両情報メッセージを受信しない場合」とは、車両情報メッセージを受信しない状態が一定時間継続した場合であってもよい。
【0088】
抑制制御は、路車間メッセージの周期的な送信を停止する制御(以下、「停止制御」と呼ぶ)を含んでもよい。これにより、無線リソースの利用効率の改善効果及び無線路側機200の消費電力削減効果を高めることができる。
【0089】
抑制制御は、路車間メッセージを送信する周期を延長する制御(以下、「延長制御」と呼ぶ)を含んでもよい。これにより、路車間メッセージの送信機会を保証しつつ、無線リソースの利用効率を高めるとともに無線路側機200の消費電力を削減できる。延長制御は、路車間通信部21bが車載通信機150からの車両情報メッセージを受信しない時間の経過に応じて、路車間メッセージを送信する周期を段階的に延長する制御であってもよい。例えば、路車間通信部21bが車載通信機150からの車両情報メッセージを受信しない時間が10秒継続した場合は、路車間メッセージを送信する周期を基本の周期の2倍にし、さらにもう10秒継続した場合は、路車間メッセージを送信する周期を基本の周期の3倍にするといった制御であってもよい。
【0090】
抑制制御は、停止制御及び延長制御の組み合わせであってもよい。例えば、路車間通信部21bが車載通信機150からの車両情報メッセージを受信しない時間が10秒継続した場合は、路車間メッセージを送信する周期を基本の周期の2倍にし、さらにもう10秒継続した場合は、路車間メッセージの周期的な送信を停止するといった制御であってもよい。
【0091】
一実施形態において、無線路側機200の制御部22は、抑制制御を開始した後、車載通信機150からの車両情報メッセージを路車間通信部21bが受信した場合、
図10に示すように、抑制制御を中止する。すなわち、路車間メッセージの周期的な送信(具体的には、基本の周期での送信)を再開する。これにより、無線路側機200の通信範囲内に車載通信機150が現れたとみなされる場合、無線路側機200から路車間メッセージを提供できる。
【0092】
図10の例では、無線路側機200の制御部22は、路車間メッセージの周期的な送信を開始(ステップS301)した後、車載通信機150からの車両情報メッセージを路車間通信部21bが受信したか否かを判定(ステップS302)する。車載通信機150からの車両情報メッセージを路車間通信部21bが受信しないと判定された場合(ステップS302:NO)、無線路側機200の制御部22は、抑制制御を開始(ステップS303)する。
【0093】
その後、無線路側機200の制御部22は、車載通信機150からの車両情報メッセージを路車間通信部21bが受信したか否かを判定(ステップS304)する。車載通信機150からの車両情報メッセージを路車間通信部21bが受信したと判定された場合(ステップS304:YES)、無線路側機200の制御部22は、抑制制御を中止(ステップS305)するとともに、路車間メッセージの周期的な送信を再開(ステップS301)する。
【0094】
このような抑制制御は、上述の第1路車間メッセージの送信には適用せずに、上述の第2路車間メッセージの送信に適用してもよい。具体的には、無線路側機200の制御部22は、車載通信機150からの車両情報メッセージを路車間通信部21bが受信しない場合、第1路車間メッセージの送信に抑制制御を適用せずに、第2路車間メッセージの送信に抑制制御を適用する。
【0095】
第2路車間メッセージは短周期で送信されるため、第2路車間メッセージの送信に抑制制御を適用することにより、無線リソースの利用効率の改善効果及び無線路側機200の消費電力削減効果を高めることができる。また、第1路車間メッセージには抑制制御を適用しないため、車載通信機150に対して第1路車間メッセージを提供する信頼性を維持できる。
【0096】
他方、抑制制御により周期的な路車間メッセージの送信が抑制された場合、路車間メッセージの送信に割り当てられた路車間通信リソース(タイムスロット又はサブスロット)を他の無線路側機200が利用できることが望ましい。これにより、無線リソースの利用効率を高めることができる。
【0097】
例えば、無線路側機200の路路間通信部21cは、
図11に示すように、他の無線路側機200に割り当てられた路車間通信リソースのうち当該他の無線路側機200が抑制制御により使用しない路車間通信リソースを特定する情報を当該他の無線路側機200から受信(ステップS401)する。このような情報は、例えば、他の無線路側機200が抑制制御により使用しないタイムスロット又はサブスロットの識別情報(識別番号)である。無線路側機200の制御部22は、当該情報に基づいて、他の無線路側機200が抑制制御により使用しないタイムスロット又はサブスロットを特定(ステップS402)する。そして、無線路側機200の制御部22は、特定されたタイムスロット又はサブスロットを用いて路車間メッセージを送信(ステップS403)するように路車間通信部21bを制御する。
【0098】
或いは、無線路側機200の制御部22は、
図12に示すように、他の無線路側機200に割り当てられた路車間通信リソースのうち当該他の無線路側機200が抑制制御により使用しない路車間通信リソースを、キャリアセンス(ステップS501)により特定(ステップS502)してもよい。そして、無線路側機200の制御部22は、特定されたタイムスロット又はサブスロットを用いて路車間メッセージを送信(ステップS503)するように路車間通信部21bを制御する。
【0099】
(その他の実施形態)
上述の実施形態において、無線路側機200は、
図13に示すように、車車間メッセージを送信する車車間通信部21dをさらに有してもよい。車車間通信部21dは、キャリアセンスを行って電波の周波数(例えば、700MHz帯)の空き状態を判定し、キャリアセンスの結果に応じて決定されたタイミングで車車間メッセージを送信してもよい。車車間通信部21dは、制御部22が路側センサ500の出力に基づいて危険を検知した場合、危険が有ることを示す車車間メッセージを送信する。これにより、無線路側機200は、車車間メッセージを利用して、車両100(車載通信機150)に対して危険を通知できる。
【0100】
上述の実施形態において、サーバ装置400は、無線路側機200の近くに配置されるエッジサーバであってもよい。このようなエッジサーバを無線路側機200の一部とみなしてもよい。エッジサーバは、無線路側機200とインターネットとの間に設けられ、所定範囲に限定されたエリア内の道路を管轄する。エッジサーバは、WAN(Wide Area Network)を介さずに、LAN(Local Area Network)を介して無線路側機200と接続されてもよい。
【0101】
上述の実施形態において、無線路側機200の制御部22の機能をサーバ装置400に持たせてもよい。すなわち、上述の制御部22をサーバ装置400が有していてもよい。
【0102】
上述した実施形態に係る各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。
【0103】
以上、図面を参照して実施形態について詳しく説明したが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【0104】
本願は、日本国特許出願第2020-196394号(2020年11月26日出願)の優先権を主張し、その内容の全てが本願明細書に組み込まれている。
【符号の説明】
【0105】
1 :交通通信システム
11 :無線通信部
11a :アンテナ
11b :路車間通信部
11c :車車間通信部
12 :GNSS受信機
13 :提示部
14 :駆動制御部
15 :制御部
21 :無線通信部
21a :アンテナ
21b :路車間通信部
21c :路路間通信部
21d :車車間通信部
22 :制御部
23 :インターフェイス
100 :車両
150 :車載通信機
200 :無線路側機
300 :交通信号灯器
400 :サーバ装置
500 :路側センサ
601 :障害物