(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】同時の白色光及びハイパースペクトル光撮像システム
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20240509BHJP
A61B 1/045 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
A61B1/00 510
A61B1/045 622
A61B1/00 522
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023052601
(22)【出願日】2023-03-29
(62)【分割の表示】P 2019513397の分割
【原出願日】2017-09-08
【審査請求日】2023-04-21
(32)【優先日】2016-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510253996
【氏名又は名称】インテュイティブ サージカル オペレーションズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】マクドウォール,イアン,イー.
(72)【発明者】
【氏名】ディカルロ,ジェフリー エム.
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン,ブライアン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】カルマン,ウィリアム ジェイソン
【審査官】▲高▼原 悠佑
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-024283(JP,A)
【文献】特開2012-085916(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0268015(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0160279(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0042513(US,A1)
【文献】国際公開第2005/092008(WO,A2)
【文献】特開2011-050470(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00-1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術システムのコントローラによって、前記手術システムの画像キャプチャユニットによって取り込まれる可視画像を受信することと、
前記コントローラによって、前記手術システムの前記画像キャプチャユニットによって同じ波長帯で取り込まれる複数のハイパースペクトル画像を受信することと、
前記コントローラによって、前記複数のハイパースペクトル画像から複合ハイパースペクトル画像を生成することと、
前記コントローラによって、前記複合ハイパースペクトル画像を前記可視画像と空間的に位置合わせすることと、を含む、
方法。
【請求項2】
前記複数のハイパースペクトル画像は、異なるカメラ場所で取り込まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記可視画像及び前記複数のハイパースペクトル画像に含まれるハイパースペクトル画像は、同じカメラ場所から実質的に同時に取り込まれる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数のハイパースペクトル画像に含まれる第2のハイパースペクトル画像が、前記同じカメラ場所とは異なる第2のカメラ場所から取り込まれる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のハイパースペクトル画像は、カメラの視野が手術部位の上で空間的にスキャンされるときに、異なる場所から取り込まれる、請求項1~4のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記画像キャプチャユニットは、第1の解像度で前記可視画像を取り込み、前記複数のハイパースペクトル画像の各ハイパースペクトル画像を第2の解像度で取り込み、前記第2の解像度は、前記第1の解像度よりも少ない、請求項1~5のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記複合ハイパースペクトル画像は、前記第2の解像度よりも大きな解像度を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記コントローラによって、ディスプレイデバイスに、前記複合ハイパースペクトル画像でオーバーレイされた前記可視画像を表示させることを更に含む、請求項1~7のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記ディスプレイデバイスが前記複合ハイパースペクトル画像でオーバーレイされた前記可視画像を表示する第1の視認モードと、前記ディスプレイデバイスが前記複合ハイパースペクトル画像でオーバーレイされていない前記可視画像を表示する第2の視認モードとの間で切り替えることを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記複合ハイパースペクトル画像でオーバーレイされた前記可視画像は、ピクチャ・イン・ピクチャビューにおいて表示される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記複合ハイパースペクトル画像でオーバーレイされた前記可視画像は、立体視ディスプレイによって表示される、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記複合ハイパースペクトル画像でオーバーレイされた前記可視画像が表示される間に、前記手術システムの手術器具の動きを抑制することを更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記コントローラによって、前記手術システムの前記画像キャプチャユニットによって取り込まれる第2の可視画像を受信することを更に含み、前記第2の可視画像は、前記複合ハイパースペクトル画像を前記可視画像と空間的に位置合わせするために使用される、請求項1~5のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記画像キャプチャユニットは、
可視光を取り込む第1の画像キャプチャセンサと、
可視光及びハイパースペクトル光を取り込む第2の画像キャプチャセンサと、を含み、
前記第2の画像キャプチャセンサによって取り込まれる前記可視光は、前記複合ハイパースペクトル画像を前記可視画像と空間的に位置合わせするために使用される、
請求項1~5のうちのいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
プロセッサと、
前記プロセッサに結合され、前記プロセッサによって実行可能な命令を格納する、メモリと、を含む、
手術システムであって、
前記プロセッサは、
前記手術システムの画像キャプチャユニットによって取り込まれる可視画像を受信し、
前記手術システムの前記画像キャプチャユニットによって同じ波長帯で取り込まれる複数のハイパースペクトル画像を受信し、
前記複数のハイパースペクトル画像から複合ハイパースペクトル画像を生成し、
前記複合ハイパースペクトル画像を前記可視画像と空間的に位置合わせする、
手術システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
この出願は、(Ian E. McDowell et al.が2016年9月9日に出願した「SIMULTANEOUS WHITE LIGHT AND HYPERSPECTRAL LIGHT IMAGING SYSTEMS」という名称の)米国特許出願第62/385,700号の優先権及び利益を主張する。
【0002】
本発明は、一般的には、外科的処置において使用される撮像技法に関し、より具体的には、視覚的撮像(visual imaging)と組み合わせられたハイパースペクトル撮像(hyperspectral imaging)に関する。
【背景技術】
【0003】
コンピュータ支援手術システムは、身体への外傷の削減、より迅速な回復、より短い入院のような、多くの利点を患者に提供する。コンピュータ支援手術システムの1つの鍵となるコンポーネント(構成要素)は、2チャンネル(即ち、左右)のビデオキャプチャ及び可視画像の表示を提供して外科医に立体視の視認(stereoscopic viewing)を提供する能力である。
【0004】
そのような電子立体視撮像システムは、高精細度ビデオ画像を外科医に出力することがあり、外科医が特定の組織の種類及び特性(characteristics)を識別することを可能にする並びに増大した精度で作業することを可能にする「拡大(magnified)」ビューを提供するよう、ズームのような特徴(構成)(features)を可能にすることがある。
【0005】
典型的な最小侵襲外科分野では、特定の組織の種類を識別するのが困難であり、或いは関心組織(tissue of interest)が他の組織によって少なくとも部分的に覆い隠されることがある。これは外科的処置を複雑にする。幾つかの用途では、蛍光画像及び反射白色光画像が最小侵襲手術において使用される。蛍光画像は、関心組織を識別するのを助ける。
【0006】
様々な蛍光撮像モダリティがある。蛍光は、例えば、注射可能な染料、蛍光タンパク質、又は蛍光タグ付き抗体の使用に起因することがある。蛍光は、例えば、レーザ又は他のエネルギ源による励起に起因することがある。蛍光画像は、病理学情報(例えば、蛍光腫瘍)又は解剖学的情報(例えば、蛍光タグ付き腱)のような、手術に重要な死活的な生体内患者情報を提供することができる。
【0007】
よって、蛍光撮像を用いた組織の視覚化は、最小侵襲手術において知られている。更に、蛍光剤としてインドシアニングリーン(ICG; Akorn, Lake Forest, IL, USA)を用いた近赤外(NIR)光技術を使用することは、da Vinci Si Surgical Systemを用いた最小侵襲手術において使用されている。
【0008】
例えば、Hellen at al., “The influence of fluorescence imaging on the location of bowel transection during robotic left-sided colorectal surgery,” Surg. Endosc., 03 January 2014, DOI 10.1007/s00464-013-3377-6は、インドシアニングリーン(ICG)及び近赤外光技術を用いた灌流の評価に基づいて、結腸及び直腸離断線の場所に対する蛍光撮像の影響を系統的に評価することを記述している。
【0009】
例えば、尿管を探し出す際に蛍光を使用することも知られている。赤外線照明を使用して尿管を画像化するために、近赤外(NIR)蛍光体(fluorophore)のIV注射又はカテーテルベースの逆行注射が使用された。周囲組織に埋め込まれるときでさえも尿管を視覚化することができ、目に見えない光を使用してリアルタイムで損傷を評価することができたことが報告された。Eiichi Tanaka, et al. “Real-Time Intraoperative Ureteral Guidance Using Near-Infrared Fluorescence,” J. Urol. 178(5), pgs. 197-2201(2007)は、LI-COR(Lincoln, NE)からの、インドシアニングリーン(ICG)及びCW800-CA、カルボン酸形態のIRDyeTM800CW NIR dyeを、NIR発光体として使用することを記述している。Aya Matsui, M.D., et al., “Real-Time Near-Infrared Fluorescence-Guided Identification of the Ureters using Methylene Blue,” Surgery, 148(1) pgs. 78-86(2010)は、メチレンブルーをNIR発光体として使用する。
【0010】
尿管を探し出す他のアプローチは、赤外線サーモグラフィを使用した。室温生理食塩水が手術野内の洗浄剤として使用されたので、手術野全体は一時的に冷却された。手術野が異なって再加温されると、血管のような構造は急速に再加温され、赤外線画像中の暗い背景に対して白線として現れた。この同じ着想の第2の適用は、上部泌尿器系に室温生理食塩水を充填することを含んだ。骨盤と尿管は、赤外線画像中で白色に見えたより温かい背景に対して黒色に見えた。Jeffrey A. Cadeddu, M.D., et al, “Laparoscopic Infrared Imaging,” Journal of Endourology, Vol. 15, No. 1, pgs. 111-116(2001)を参照のこと。
【発明の概要】
【0011】
手術システムが、照明器と、カメラとを含む。照明器は、白色照明源と、ハイパースペクトル照明源とを含む。カメラは、センサアセンブリを有する。センサアセンブリは、第1の画像キャプチャセンサと、第2の画像キャプチャセンサとを含む。第1の画像キャプチャセンサは、可視カラーフレームを取り込むように構成され、第2の画像キャプチャセンサは、ハイパースペクトルフレームを取り込むように構成される。第1及び第2の画像キャプチャセンサは、可視カラーフレーム及びハイパースペクトルフレームを実質的に同時に取り込む。
【0012】
1つの態様において、カメラは、手術システムのロボットアームに取り付けられる。手術システムのコントローラが、照明器に連結され、カメラに連結される。コントローラは、ロボットアームに命令して、カメラを複数の場所の各々に移動させる、ように構成され、コントローラは、カメラに命令して、複数の場所の各々で、可視カラーフレーム及びハイパースペクトルフレームを同時に取り込ませる、ように構成される。
【0013】
他の態様において、コントローラは、照明器に命令して、ハイパースペクトル波帯の時間シーケンスを出力させる、ように構成される。この態様において、コントローラは、カメラに命令して、複数のハイパースペクトル波帯の各々について、可視カラーフレーム及びハイパースペクトルフレームを実質的に同時に取り込ませる、ように構成される。
【0014】
更に他の態様において、コントローラは、カメラに命令して、ハイパースペクトルフレームのセットを取り込ませ、可視フレームを取り込ませる、ように構成される。コントローラは、ハイパースペクトルフレームのセットから複合フレームを生成する、ように構成される。可視フレームは、手術部位の可視シーンを含み、複合フレームは、可視シーンにおいて視覚的に顕著な手術部位の特徴を含む。
【0015】
手術システムは、複合フレームと可視フレームとを受け取るようにコントローラに連結されるディスプレイユニットも含む。フレームは、(複数の)特徴を識別する(或いは特徴の可視性を強化する)ように処理され、ディスプレイユニットは、可視シーンと重ね合わせられた(複数の)特徴を表示する。他の態様において、ディスプレイユニットは、ピクチャ内ピクチャ(a picture within a picture)中の可視シーンと重ね合わせられた特徴を表示するように構成される。
【0016】
カメラは、第1の画像キャプチャセンサ及び第2の画像キャプチャセンサに共通するレンズアセンブリを含む。カメラは、レンズアセンブリと第1及び第2の画像キャプチャセンサとの間に位置付けられるビームスプリッタも含む。1つの態様において、ビームスプリッタと第2の画像キャプチャセンサとの間に位置付けられるフィルタアセンブリを含む。
【0017】
フィルタアセンブリは、第2の画像キャプチャセンサの上に集束される光をフィルタリングする(filter)よう位置付けられる。1つの態様において、フィルタアセンブリは、縞付きフィルタ(striped filter)である。他の態様において、フィルタアセンブリは、一次元における波長で線形に可変なフィルタ(filter linearly variable with wavelength in one dimension)である。
【0018】
1つの態様では、内視鏡が、照明器と、カメラとを含む。他の態様では、内視鏡が、第1のマニピュレータに取り付けられる。内視鏡は、カメラを含む。手術デバイスが、第2のマニピュレータに取り付けられる。手術デバイスは、照明器を含む。
【0019】
他の態様では、手術システムが、可視カラーフレームのシーケンスとハイパースペクトルフレームのシーケンスとを受け取るように構成されたコントローラを含む。コントローラは、カラーフレームのシーケンス中の可視カラーフレームの各々の可視カラーフレームに対応するハイパースペクトルフレームのシーケンス中のハイパースペクトルフレームのセットから複合ハイパーフレームを創成する、ように構成される。ディスプレイユニットが、可視フレームの各々について複合フレーム及び可視フレームのシーケンスを受け取るよう、コントローラに連結される。
【0020】
1つの態様において、ディスプレイユニットは、可視フレームのシーケンスを表示するように構成され、可視フレームのシーケンスの表示中にピクチャ・イン・ピクチャ(a picture-in-a-picture)を表示するように構成され、ピクチャ・イン・ピクチャは、対応する複合フレームと重ね合わせられた可視フレームの各々の可視フレームのシーケンスである。
【0021】
更なる態様では、手術システムが、第1の手術デバイスと、第2の手術デバイスとを含む。第1の手術デバイスは、可視カラーフレームを取り込むように構成された第1の画像キャプチャユニットを含む。第2の手術デバイスは、ハイパースペクトルフレームを取り込むように構成された第2の画像キャプチャユニットを含む。第1及び第2の画像キャプチャユニットは、可視カラーフレーム及びハイパースペクトルフレームを実質的に同時に取り込み、画像処理ユニットに画像を提供する。
【0022】
1つの態様において、第2の手術デバイスは、深さ感知ユニットを含む。他の態様において、第2の手術デバイスは、カニューレである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】同時の視覚的及びハイパースペクトル撮像能力を含むコンピュータ支援手術システムの高レベルの概略図である。
【0024】
【
図2】
図1のコンピュータ支援手術システム100の一例の態様のより詳細な例示である。
【0025】
【
図3】
図2のシステムの動作についてのプロセスフロー図である。
【0026】
【
図4】
図2のシステムにおける組織の照明及び画像のキャプチャのためのタイミング図である。
【0027】
【
図5A】可視フレーム内に含まれる可視手術部位シーンの抽象的表現である。
【0028】
【
図5B】
図5Aの手術部位シーンのスキャンの抽象的表現である。
【0029】
【
図5C】
図5Aの手術部位シーンについてのピクチャ内ピクチャの例示である。
【0030】
【
図6】
図3の空間的位置合わせプロセスの1つの実施のブロック図である。
【0031】
【
図7】時間順次ハイパースペクトル照明を使用して取り込まれたハイパースペクトルフレームの表現である。
【0032】
【
図8A】可視フレームとハイパースペクトルフレームとを同時に取り込む時定ハイパースペクトル照明と共に使用されるカメラの図である。
【0033】
【
図8B】
図8Aのカメラにおける使用に適した第1の種類のフィルタの例示である。
【0034】
【
図8C】
図8Aのカメラにおける使用に適した第2の種類のフィルタの例示である。
【0035】
【
図9】可視フレームとハイパースペクトルフレームとを同時に取り込む時定ハイパースペクトル照明と共に使用される別のカメラの図である。
【0036】
【0037】
【
図10B】可視フレームとハイパースペクトルフレームとを同時に取り込む時間順次ハイパースペクトル照明と共に使用されるカメラの図である。
【0038】
【
図11A】本明細書に記載する手術デバイスを使用する別のコンピュータ支援手術システムの例示である。
【0039】
【
図11B】
図1のコンピュータ支援手術システム又は
図11Aのコンピュータ支援手術システムにおいて使用される2つの手術デバイスのより詳細な例示である。
【0040】
【
図12A】
図11Aの第1の手術器具において時定ハイパースペクトル照明と共に使用されるカメラの図である。
【0041】
【
図12B】
図11Aの第1の手術器具において時間順次ハイパースペクトル照明と共に使用されるカメラの図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明の態様は、手術中に臨床的に関心のある組織又は他の態様を識別するために可視画像及び代替モダリティ画像の両方を組み込むことによって、手術デバイス、例えば、Sunnyvale, CaliforniaのIntuitive Surgical, Inc.によって商業化されているda Vinci(登録商標)Surgical Systemのような、コンピュータ支援手術システムのビデオキャプチャ及びビデオ視聴能力を強化する。(da Vinciは、Sunnyvale, CaliforniaのIntuitive Surgical, Inc.の登録商標である)。本明細書では、コンピュータ支援手術システムが例として使用されるが、本発明の態様は、外科的処置中に外科医を支援するために手術野の画像を表示する任意のデバイス又はシステムと共に使用されることができる。
【0043】
本発明の態様は、コンピュータ支援手術システムを用いて外科的処置を行うときに外科医が普通使用する可視画像に加えて、臨床的に関心のある組織又は他の特徴(構成)(features)を識別する代替モダリティ画像を同時に提供する。1つの態様では、組織が手術野の通常の可視画像中で不明瞭であることがあるとしても、その組織を安全かつ効率的に画像化するために、関心組織からのハイパースペクトル光(hyperspectral light)が使用される。他の態様では、以前には利用可能でなかった組織又は他の身体機能に関する詳細及び情報を提供するために、可視撮像及びハイパースペクトル撮像の組み合わせが分析される。本明細書において、ハイパースペクトル光は、人間が見ることができる特徴に関係しない光の中のスペクトル情報を指す。
【0044】
この撮像の組み合わせは、可視画像及び代替画像のオーバーレイであってよく、代替画像のオーバーレイは、(例えば、da Vinci(登録商標)Surgical Systemの外科医コンソールにあるフットペダルを使用することによって或いはマスタフィンガグリップをダブルクリックすることによって)オンオフに切り替えられてよい。1つの態様において、可視画像及び代替画像-結合画像-の重合わせは、ピクチャ内のピクチャとして提示され、ここで、結合ピクチャは、外科医によって見られる手術部位の正常に表示されたシーン内のピクチャとして提示されるか、或いは代替的に、手術部位の正常に表示されたシーンは、結合ピクチャ内のピクチャとして提示される。1つの態様において、結合ピクチャ内のシーンは、結合ピクチャを生成するために必要とされる処理の故に、外科医に通常表示されるシーンに時間において後れを取る。
【0045】
図1は、コンピュータ支援手術システム100、例えば、da Vinci(登録商標)Surgical Systemの高レベルの概略図である。この例では、外科医が、外科医コンソール114を用いて、ロボットマニピュレータアーム113を用いて内視鏡101を遠隔操作する。外科医は、他のロボットマニピュレータアームに取り付けられた手術器具を操作することもできる。コンピュータ支援手術システム100と関連付けられる他の部品、ケーブルなどがあるが、これらは開示を損なうことを避けるために
図1に例示されていない。コンピュータ支援手術システムに関する更なる情報は、例えば、(「Minimally invasive Surgical System」を開示する2007年6月13に出願された)米国特許出願公開第2008/0065105A1号明細書及び(「Surgical Robotic Tools, Data Architecture, and Use」を開示する2001年12月18に出願された)米国特許第6,331,181号明細書に見出されることがあり、それらの両方の全文が参照として本明細書に援用される。
【0046】
以下により完全に説明するように、照明システム(図示せず)が、内視鏡101に連結されるか、或いは代替的に内視鏡101内に含められる。1つの態様において、照明システムは、白色光照明又は白色光照明とハイパースペクトル光照明との組み合わせを提供する。1つの態様において、この光の全部又は一部は、内視鏡101内の少なくとも1つの照明経路に連結される。他の態様において、照明源は、内視鏡101の遠位先端又は遠位先端付近に、或いはバックエンドハウジング内に配置される。1つの態様において、可視白色光照明及びハイパースペクトル照明の両方は、外科的処置中に一定である。他の態様において、可視照明は、時間において一定であるが、ハイパースペクトル照明のスペクトルは、時間と共に変化する。
【0047】
この態様において、内視鏡101からの光は、患者111の組織103を照明する。内視鏡101は、1つの態様において、組織からの光、例えば、反射白色光及び反射又は放射ハイパースペクトル光を通す2つの光学チャネル(optical channels)、例えば、左光学チャネル及び右光学チャネルを含む。立体視内視鏡である。内視鏡101は、他の態様において、組織から光、例えば、反射白色光及び反射又は放射ハイパースペクトル光を通す単一の光学チャネルを含む、平面視内視鏡である。
【0048】
以下により完全に説明するように、両方の種類の内視鏡について、反射白色光は、画像キャプチャシステム120によって可視光フレーム121として取り込まれる。可視光フレーム121は、組織103の画像を含む可視シーンを含み、可視光フレーム121を可視フレーム121と呼ぶことがある。
【0049】
反射及び/又は放射ハイパースペクトル光は、画像キャプチャシステム120によってハイパースペクトル光フレーム122として取り込まれる。ハイパースペクトル光フレーム22は、組織103又は内視鏡101の視野内の他の特徴のハイパースペクトルシーンを含む。ハイパースペクトル光フレーム122をハイパースペクトルフレーム122と呼ぶことがある。画像キャプチャユニット120は、可視フレーム及びハイパースペクトルフレームを実質的に同時に取り込む。ここで、可視フレーム及びハイパースペクトルフレームの実質的に同時の、効果的に同時の、ほぼ同時の、及び実質的に同時のキャプチャ(取込み)とは、人間の観点から、2つのフレームが同一の時点で取り込まれるように見えることを意味する。
【0050】
1つの態様では、画像キャプチャシステム120内のカメラが、内視鏡101の近位端に取り付けられる。別の態様において、カメラは、内視鏡101の遠位端に取り付けられる。ここで、遠位とは、手術部位に近い方を意味し、近位とは、手術部位から遠い方を意味する。以下により完全に説明するように、カメラは、1つの態様において、同じフロントエンド光学系(front end optics)を通じて可視フレーム及びハイパースペクトルフレームを取り込む。これはハイパースペクトルフレームを取り込むために特殊なフロントエンド光学系を利用するシステムと対照的である。
【0051】
1つの態様では、所定の時間間隔で、ハイパースペクトルフレーム122の立体視ペアが、立体視可視フレーム121の対応するペアと実質的に同時に取り込まれる。よって、画像キャプチャシステム120は、白色光シーン、例えば、可視カラーシーンを有するフレーム121のキャプチャを可能にし、可視カラーシーンにおいて顕著でない情報のキャプチャ、即ち、ハイパースペクトルフレーム122のキャプチャも可能にする。典型的には、取り込まれるハイパースペクトルフレーム122は、取り込まれる可視フレーム121と同じ分解能(resolution)を必ずしも有さない。何故ならば、ハイパースペクトルフレーム122を取り込むために使用されるセンサの分解能は、場合によっては、可視フレーム121を取り込むために使用されるセンサの分解能よりも少ないことがあるからである。可視画像及びハイパースペクトル画像のための画像センサを実装するために使用される技術は、撮像のために必要とされる所要波長範囲内の最良の感度、ノイズ削減、及び撮像性能についての実装詳細に基づいて異なってよい。
【0052】
結果的に、1以上(1つ又はそれよりも多く)のハイパースペクトルフレームのセットが取り込まれ、ハイパースペクトルフレームのこのセットは、対応する取り込まれる可視フレームに空間的に位置合わせされる(registered)。空間的に位置合わせされる(spatially registered)とは、ハイパースペクトルフレームの各ハイパースペクトルフレーム内の空間点(spatial points)が、ハイパースペクトルフレームのセットを重ね合わせて或いはほぼ重ね合わせて複合ハイパースペクトルフレーム(composite hyperspectral frame)を形成し得るよう、取り込まれるハイパースペクトルフレームの各ハイパースペクトルフレーム内の共通の空間点を整列させ得るように、マッピングされること、並びに、複合ハイパースペクトルフレームの空間点が、複合ハイパースペクトルフレーム及び可視フレームを重ね合わせて、強化シーン(augmented scene)と呼ぶことがある組み合わせフレーム(combination frame)を形成し得るように、可視フレーム内の対応する空間点にマッピングされることを意味する。
【0053】
手術部位の組織は、典型的には、例えば、呼吸、心臓の拍動、他の身体の動き又は蠕動、及び/又は血流のうちのいずれか1つ又はいずれかの組み合わせの故に、移動している。この移動は、空間的な位置合わせをより困難にするが、コンピュータ支援手術システムにおいて、カメラの姿勢(位置座標及び向き座標)は、各々の取り込まれる画像に関して知られており、空間的な位置合わせプロセスにおいて使用されることができる。
【0054】
1つの態様において、画像処理システム130は、増強シーン141を創成する。即ち、可視フレーム内の可視シーンは、ハイパースペクトルフレームのセットの重ね合わせによって形成される複合シーンと重ね合わせられる。幾つかの態様において、可視データ及びハイパースペクトルデータの組み合わせは、外科医への提示のために変換され、例えば、データは、特定の関心特徴(features of interest)を識別するために処理される。増強シーン141は、外科医コンソール114の立体視ビューアに表示される。ハイパースペクトルフレームのセットは、可視シーン内で顕著でない特徴、例えば、可視フレームのシーン内で見えない或いは明瞭に見えない特徴を取り込むので、増強画像は、可視シーン内で入手可能なものよりも多くの情報、例えば、罹患組織、神経、尿管などのような、関心組織の場所を、外科医に提供する。
【0055】
別の態様において、外科医コンソール114の立体視ビューアは、ピクチャ・イン・ピクチャ能力(a picture in a picture capability)を有する。システム100のユーザがピクチャビューモードにおいてピクチャを選択すると、手術部位の通常のビューが提示され、ピクチャ内のピクチャは、顕著でない特徴が強調された手術部位の別のビューを外科医に提示する。代替的に、ピクチャ・イン・ピクチャビューモードにおけるピクチャにおいて、外科医は、顕著でない特徴が強調された手術部位のビューを提示され、ピクチャ内のピクチャは、手術部位の通常のビューを提示した。両方の場合において、同じ可視手術部位シーンが両方のピクチャ内に表示されるが、増強シーンにおいて、可視手術部位シーンは、通常のビュー内の同じ手術部位シーンに時間において後れを取ることがある。
【0056】
また、深さ情報が、例えば、立体視カメラによって取り込まれるフレームから或いは深さ感知デバイスを含む内視鏡から入手可能なときには、ハイパースペクトルフレーム内の情報を分析して、組織の相対反射率と比較されるような絶対反射率を決定することができる。絶対反射率は、例えば、疾患組織の決定又は絶対項内の肝機能速度の臨床的評価を可能にする。
【0057】
図2は、
図1のコンピュータ支援手術システム100の一例の態様のより詳細な例示である。
図3は、
図2のシステムの作動についてのプロセスフロー図であり、
図4は、
図2のシステムにおける組織の照明及び画像のキャプチャについてのタイミング図である。タイミング図は、一定ハイパースペクトル照明(constant hyperspectral illumination)及び時間順次ハイパースペクトル照明(time sequential hyperspectral illumination)の両方に当て嵌まる。
【0058】
図2の実施形態において、コンピュータ支援手術システム100は、組み合わせ光源210である照明器を含む。組み合あわせ光源210は、可視光照明器211、例えば、白色光源と、ハイパースペクトル光照明器212とを含む。組み合わせ光源210が以下により完全に記載する能力を有する限り、照明器211及び212の具体的な実施は重要でない。
【0059】
この態様において、組み合わせ光源210は、立体視内視鏡101内の少なくとも1つの照明経路と共に使用されて、組織103を照らす。1つの態様において、組み合わせ光源210は、少なくとも2つの動作モード、即ち、通常視認モード(normal viewing mode)と、増強視認モード(augmented viewing mode)とを有する。1つの態様において、増強視認モードは、一定ハイパースペクトル照明モードと、時間順次ハイパースペクトル照明モードに分割される。
【0060】
通常視認モードにおいて、可視光照明器211は、白色光で組織103を照らす照明を提供する。ハイパースペクトル光照明器212は、通常視認モードにおいて使用されない。
【0061】
増強視認モードにおいて、可視光照明器211は、白色光で組織103を照らす照明を提供する。1つの態様において、ハイパースペクトル光照明器212は、ハイパースペクトル光の時間において一定のスペクトル、例えば、赤外スペクトル内の光で組織103を照らす照明を提供する。別の態様において、ハイパースペクトル光照明器212は、ハイパースペクトル光の時間順次波帯、例えば、赤外スペクトル内の光の波帯で組織103を照らす照明を提供する。
【0062】
ハイパースペクトル照明の例としての赤外線又は近赤外線の使用は、例示的であるに過ぎず、この特定の態様に限定することを意図しない。開示の観点から、当業者は、取り込まれる可視フレーム内の顕著でない特徴を、取り込まれるハイパースペクトルフレーム内で顕著にする、ハイパースペクトル照明を選択することができる。
【0063】
1つの態様において、可視光照明器211は、異なる可視カラー照明コンポーネントの各々のための光源を含む。赤色-緑色-青色の実施では、一例において、光源は、レーザ、赤色レーザ、2つの緑色レーザ及び青色レーザである。
【0064】
可視光照明器211におけるレーザの使用は、例示的であるに過ぎず、限定的であることを意図しない。可視光照明器211は、例えば、レーザの代わりに複数のLED光源で実現されることもできる。代替的に、可視光照明器211は、楕円形の後方反射器及び帯域通過フィルタコーティングを備えるキセノンランプを使用して、可視画像のための広帯域白色照明光を創成することができる。キセノンランプの使用も例示的であるに過ぎず、限定的であることを意図しない。例えば、高圧水銀アークランプ、他のアークランプ、又は他の広帯域光源が使用されてよい。
【0065】
ハイパースペクトル光照明器212の実施は、関心のあるハイパースペクトルのスペクトルに依存する。典型的には、レーザモジュール、複数のレーザモジュール、発光ダイオード又は複数の発光ダイオードが、ハイパースペクトル光照明器212として使用される。ハイパースペクトル光照明器212がハイパースペクトル光の時定(time constant)スペクトルを提供するならば、回転フィルタを用いてハイパースペクトル光照明器212の出力をフィルタリングすることにより、ハイパースペクトル光の時間順次波帯を生成することができる。線形可変フィルタが使用されてもよく、光路に亘ってスライドさせられてもよい。照明のバンド(帯)を選択的に生成するために、2つのそのようなフィルタが用いられてもよい。この方法において使用されるフィルタは、互いに対して移動させられるときに、所望のスペクトル発光体が創成されるような方法において、パターン化されてもよい。
【0066】
通常視認モード及び増強視認モードにおいて、可視光照明器211からの光又は可視光照明器211からの光及びハイパースペクトル光照明器212からの光は、コネクタ212内に向けられる。コネクタ216は、光を立体視内視鏡101内の照明路(illumination path)に提供し、次に、それは光を組織103に導く。コネクタ216及び立体視内視鏡101内の照明路の各々は、例えば、光ファイバ束、単一の剛性又は可撓性ロッド、又は光ファイバで実現されることができる。
【0067】
手術部位103(
図2)からの光は、内視鏡101内の立体視光学チャネル、例えば、左光学チャネル及び右光学チャネル、又は代替的に、第1の光学チャネル及び第2の光学チャネルによって、カメラ220L,220Rに送られる。以下により完全に説明するように、左カメラ220Lは、左可視カラー画像キャプチャセンサ221L_Vと、左ハイパースペクトル画像キャプチャセンサ22L_HSとを含む。左可視カラー画像キャプチャセンサ221L_Vは、立体視内視鏡101の左チャネルから受光する可視光を左可視フレーム222L_Vとして取り込む。左ハイパースペクトル画像キャプチャセンサ221L_HSは、立体視内視鏡101の左チャネルから受光するハイパースペクトル光又はハイパースペクトル光及び可視光を左ハイパースペクトルフレーム221L_HSとして取り込む。
【0068】
同様に、右カメラ220Rは、右可視カラー画像キャプチャセンサ221R_Vと、右ハイパースペクトル画像キャプチャセンサ221R_HSとを含む。右可視カラー画像キャプチャセンサ221R_Vは、立体視内視鏡101の右チャンネルから受光する可視光を右可視フレーム222R_Vとして取り込む。右ハイパースペクトル画像キャプチャセンサ221R_HSは、立体視内視鏡101の右チャネルから受光するハイパースペクトル光又はハイパースペクトル光及び可視光を右ハイパースペクトルフレーム222R_HSとして取り込む。
【0069】
左カメラ220L及び右カメラ220Rの両方は、可視フレーム及びハイパースペクトルフレームを実質的に同時に取り込む。取り込んだ可視フレーム及び取り込んだハイパースペクトルフレームは、同じフロントエンド光学系を通じて取り込まれる。これはハイパースペクトル画像を取り込むために特殊なフロントエンド光学系を利用する以前のハイパースペクトル画像キャプチャシステムと対照的である。
【0070】
典型的には、必ずしも必要ではないが、ハイパースペクトル画像キャプチャセンサの分解能は、可視カラー画像キャプチャセンサの分解能よりも少ない。例えば、可視カラー画像キャプチャセンサの画素は、1.2~2.2マイクロメートルの範囲のサイズを有する一方で、ハイパースペクトル画像キャプチャセンサの画素は、2~10マイクロメートルの範囲のサイズを有する。従って、有用なハイパースペクトル画像を得るために、以下により完全に説明するように、複数のハイパースペクトルフレームを使用して、ある時点についての複合ハイパースペクトルフレームを生成する。複合ハイパースペクトルフレームは、典型的には取り込まれる可視フレーム内で顕著でない情報を含む。
【0071】
カメラ220Lは、左カメラ制御ユニット230L及び画像処理モジュール240によって、外科医コンソール114内の立体視ディスプレイ251に結合される。画像処理モジュール240は、画像処理システム130の一部である。カメラ220Rは、右カメラ制御ユニット230R及び画像処理モジュール240によって外科医コンソール114内の立体視ディスプレイ251に結合される。カメラ制御ユニット230L,230Rは、システムプロセス制御モジュール262から信号を受信する。システムプロセス制御モジュール262は、システム100内の様々なコントローラを表している。
【0072】
ディスプレイモード選択スイッチ252が、ユーザインタフェース261に信号を提供し、次に、ユーザインタフェース261は、選択されたディスプレイモードをシステムプロセス制御モジュール262に送る。システムプロセス制御モジュール262内の様々なコントローラは、照明コントローラ215を構成し、左右のカメラ制御ユニット230L及び230Rを構成して所望の画像を取得し、外科医が立体視ディスプレイ251内で所要のシーンを提示されるよう取得シーンを処理するのに必要とされる画像処理モジュール240内の任意の他の要素を構成する。画像処理モジュール240は、本明細書に提供される詳細を除き、既知の画像処理パイプラインと均等の画像処理パイプラインを実装する。
【0073】
立体視ディスプレイ251上のビデオ出力は、例えば、フットスイッチ、手術器具を制御するために使用されるマスタグリップのダブルクリック、音声制御、及び他の同様の切替方法を使用することによって、通常視認モードと増強視認モードとの間で切り替えられて(toggled)よい。視認モード間の切替えのためのトグルは、ディスプレイモードセレクタ252として
図2に表されている。
【0074】
中央コントローラ260及びシステムプロセス制御モジュール262は、以下により完全に記載する態様を除いて、以前のシステムに類似している。中央コントローラ260として記載されるが、コントローラ260は、実際には任意の数のモジュールによって実装されてよく、各モジュールは、コンポーネントの任意の組み合わせを含んでもよいことが理解されるべきである。各モジュール及び各コンポーネントは、ハードウェア、プロセッサ上で実行されるソフトウェア、及びファームウェア、又はこれらの3つの任意の組み合わせを含んでよい。
【0075】
また、本明細書に記載されるような、コントローラ260及びシステムプロセス制御モジュール262の機能及び動作は、1つのモジュールによって実行されてよく、或いは異なるモジュール間で分割されてよく、モジュールの異なるコンポーネントの間で分割されてさえよい。異なるモジュール又はコンポーネントの間で分割されるとき、モジュール又はコンポーネントは、1つの場所に集中させられてよく、或いは分散処理の目的のためにシステム100に亘って分散されてよい。よって、中央コントローラ260及びシステムプロセス制御モジュール262は、幾つかの態様におけるように単一の物理的実体を必要とするものと解釈されるべきでなく、両方ともシステム100に亘って分散される。
【0076】
ここで、カメラ220Lによって取り込まれる画像のキャプチャ、処理、及び表示は、カメラ20Rによって取り込まれる画像のキャプチャ、処理、及び表示と同じである。よって、以下の記述では、立体視内視鏡の1つのチャンネル内の光から取り込まれるフレームのみが議論されるとき、その議論は、立体視内視鏡の他のチャンネル内の光から取り込まれるフレームにも直接的に適用可能である。よって、立体視内視鏡の他のチャンネルについて記述を繰り返さない。
【0077】
その上、平面視内視鏡では、例えば、カメラ220Lによって取り込まれるフレームと均等なフレームのみが利用可能である。よって、立体視画像を必要としない本明細書に記載の態様は、平面視内視鏡にも直接的に適用可能である。
【0078】
コンピュータ支援手術システムに関する更なる情報は、例えば、(「Minimally Invasive Surgical System」を開示する2007年6月23日に出願された)米国特許出願第11/762,165号、(「Arm Cart for Telerobotic Surgical System」を開示する2001年10月1日に出願された)米国特許第6,837,883B2号、及び(「Surgical Robotic Tools, Data Architecture, and Use」を開示する2001年12月28日に出願された)米国特許第6,331,181号に見出され、それらは全てが参照として本明細書に援用される。
【0079】
図2では、カメラ220L,220R及び組み合わせ光源210が、内視鏡101の外部にあるように示されている。しかしながら、1つの態様において、カメラ220L,220R及び光源210は、組織103に隣接する内視鏡101の遠位先端、又は内視鏡101のバックエンドハウジング内に含まれる。
【0080】
図3は、システム100の撮像動作300の1つの態様のプロセスフロー図である。撮像動作300は、2つのパイプライン、即ち、可視画像処理パイプライン310(visible image processing pipeline)と、ハイパースペクトル画像処理パイプライン320(hyperspectral image processing pipeline)とを含む。可視画像処理パイプライン310は、1つの態様において可視ビデオシーケンス421L_V,421R_V(
図4)がハイパースペクトル画像処理パイプライン320のために保存されて使用されることを除いて、以前のコンピュータ支援手術システムの可視画像処理パイプラインと類似する。
【0081】
図3の例では、増強視認モードにおいて、可視画像処理パイプライン310とハイパースペクトル画像処理パイプライン320の両方が、1つの態様においてビデオ出力を同時に表示している。別の態様では、増強視認モードにおいて、ハイパースペクトル画像処理パイプライン320のみがビデオ出力を表示している。いずれの場合においても、増強画像処理パイプライン320は、典型的には可視ビデオ画像シーケンスにおいて観察し得ない特徴又は情報をディスプレイに出力する。
【0082】
通常視認モードを選択するディスプレイモード選択252からのユーザ入力に応答して、通常視認モードを示すディスプレイ選択信号301(
図3)が、ユーザインタフェース261の視認モード確認プロセス302(
図3)に提供され、次に、ユーザインタフェース261は、白色光で組織を照らすプロセス303に白色光照明アクティブ制御信号を提供する。ユーザインタフェース261は、1つの態様において、ユーザ制御モジュールによって生成される。
【0083】
1つの態様において、通常視認モードは、デフォルトモードである。この態様において、ディスプレイモード選択252は、外科医が通常視認モードから増強視認モードに或いは増強視認モードから通常視認モードに切り替えることを欲するまで使用されない。
【0084】
白色光で組織を照らすプロセス303は、組み合わせ光源210内の光コントローラ215に白色光動作コマンドを送信する。光コントローラ215は、便宜上、組み合わせ光源210内に位置するものとして例示されており、光コントローラ215の場所をこの特定の場所に限定することを意図しない。
【0085】
白色光動作コマンドに応答して、光コントローラ215は、光照明器212がオンであるならば、ハイパースペクトル光照明器212をオフにし、組織103が白色光によって照らされるように可視光照明器211を可能にする。当業者は、照明器211及び212の電源をオンオフする代わりに、コントローラ215が、電力を常にオンに維持し、照明器からの出力をコネクタ216に並びにコネクタ216から離れるように導き、同じ結果を達成し得ることを認識する。
【0086】
よって、動作の通常視認モードにおいて、白色光で組織を照らすプロセス303は、組織が白色光で照らされるようにさせる。組織103(
図2)からの可視光は、内視鏡101内の立体視光学チャネルによって画像キャプチャシステム220に送られる。この態様において、画像キャプチャシステム220は、左可視カラー画像キャプチャセンサ221L_Vを含む左カメラ220Lと、右可視カラー画像キャプチャセンサ221R_Rを含む右カメラ220Rとを含むことを思い起こされたい。
【0087】
よって、可視画像をキャプチャするプロセス304(
図3)において、左可視カラー画像キャプチャセンサ221L_Vは、可視左フレームを取り込み、右可視カラー画像キャプチャセンサ221R_Vは、可視右フレームを取り込む。取り込まれる左右の可視フレームは、手術部位のカラーシーン、例えば、赤色-緑色-青色のシーンを含む。
【0088】
左可視カラー画像キャプチャセンサ221L_V及び右可視カラー画像キャプチャセンサ221R_Vは、それぞれ、複数の電荷結合デバイス(CCD)であることができ、各電荷結合デバイスは、各CCDは、異なる可視カラーコンポーネントを取り込み、単一のCCDは、特定の可視カラーコンポーネントなどを取り込むCCDの異なる領域を備える。3チップCCDセンサは、例示的であるに過ぎない。左可視カラー画像キャプチャセンサ221L_V及び右可視カラー画像キャプチャセンサ221R_Vの各々のために、カラーフィルタアレイを備える単一のCMOS画像キャプチャセンサ又は3CMOSカラー画像キャプチャセンサアセンブリも使用されてよい。
【0089】
左右の可視フレームが取得された後、増強確認プロセス305が、視認モードが増強されているか又は通常であるかを決定する。視認モードが増強されると、増強確認プロセス305は、取得した左右の可視フレームを保存する可視画像を保存するプロセス306に移行する。視認モードが通常であるとき、増強確認プロセス305は、可視画像を送信するプロセス307に移行する。
【0090】
よって、動作の通常視認モードにおいて、取得された可視左フレーム及び取得された可視右フレームは、可視画像を送信するプロセス307(
図3)を実行する中央コントローラ260内の画像処理モジュール240(
図2)に提供される。可視画像を送信するプロセス307では、フレーム内に取り込まれるシーンが表示されるときにカメラの視野内の手術部位の部分が正確に再現されるよう、2つの取得された可視フレームの任意の処理が行われる。この処理は、以前のシステムで行われたものと同じである。可視画像を送信するプロセス307は、処理された可視左フレーム及び処理された可視右フレームを立体視ディスプレイ251に送信し、立体視カラーシーンが、立体視ディスプレイ251によって、可視画像を表示するプロセス308において表示される。
【0091】
増強確認プロセス305を除き、動作の通常視認モードにおける処理は、従来的なコンピュータ支援手術システムにおける処理と均等であり、従って、当業者に知られている。また、プロセス304、307及び308は、外科医が組織103を含むリアルタイムビデオシーンを見るように、各フレームについて繰り返し実行される。
【0092】
動作の通常視認モードの間、外科医は、組織103の通常の三次元カラービューを提供される。しかしながら、外科医は、組織103の三次元ビュー内の強調された組織103内の関心領域又は複数の関心領域を見たいと欲することがある。例えば、外科医は、組織103の通常の三次元カラービューにおいては見えない或いは明瞭に見えない、組織の疾病部分及び/又は特定の組織、例えば、腱又は器官を見ることを欲することがある。よって、時刻t
0(
図4)に、外科医は、ディスプレイモード選択252を使用して、時定ハイパースペクトル照明を伴う動作の増強視認モードに切り替える。
【0093】
(時定ハイパースペクトル照明)
ディスプレイモード選択252からのユーザ入力に応答して、一定ハイパースペクトル照明を伴う増強視認モードを示す増強ディスプレイ選択コマンドが、ユーザインタフェース261の視認モード確認プロセス302に提供される。一定ハイパースペクトル照明コマンドを備える増強視認モードに応答して、確認プロセス302は、この態様において、可視画像処理パイプライン310内の白色光で組織を照らすプロセス303にアクティブ白色光照明制御信号を提供し、ハイパースペクトル画像処理パイプライン320内のハイパースペクトル光で組織を照らすプロセス321にアクティブハイパースペクトル一定照明制御信号提供する。
【0094】
可視画像処理パイプライン310内の動作は上述されたので、ここではこの増強視認モードについて繰り返されない。何故ならば、動作は上述のものと同じだからである。
【0095】
アクティブハイパースペクトル一定照明制御信号に応答して、ハイパースペクトラル光で組織を照らすプロセス321が、組み合わせ光源210内の光コントローラ215に一定ハイパースペクトル光動作信号を送信する。一定ハイパースペクトル光動作信号に応答して、光コントローラ215は、ハイパースペクトル光の時定スペクトルをコネクタ216に提供するように、ハイパースペクトル光照明器212を構成する。
【0096】
白色光で組織を照らすプロセス303は、組み合わせ光源210内の光コントローラ215に白色光動作信号を送信するので、光コントローラ215は、白色光をコネクタ216に供給するように可視光照明器211を構成する。よって、この増強モードにおいて、組織103は、白色光とハイパースペクトル光の組み合わせで照らされる。
【0097】
組織103(
図2)からの光は、内視鏡101内の立体視光学チャネルによって画像キャプチャシステム220に送られる。1つの態様では、以下により完全に説明するように、画像キャプチャユニット220L,220Rと呼ぶことがあるカメラ220L,220Rによって取り込まれる(複数の)ハイパースペクトル波長スペクトルを選択するために、フィルタが使用される。
【0098】
動作のこの増強視認モードでは、時刻t
0に、可視画像を取り込むプロセス304(
図3)が、左可視画像キャプチャセンサ221L_Vで第1の可視左カラーフレーム421L_V_t0を取得し、右可視画像キャプチャセンサ221R_Vで第1の可視右カラーフレーム421R_V_t0を取得する(
図4)。同様に、時刻t
0に、ハイパースペクトル画像を取り込むプロセス322(
図3)が、左ハイパースペクトル画像キャプチャセンサ221L_HS_t0で第1のハイパースペクトル左フレーム421L_HS_t0を取得し、右ハイパースペクトル画像キャプチャセンサ221R_HSで第1のハイパースペクトル右フレーム421R_HS_t0を取得する。可視画像を取り込むプロセス304及びハイパースペクトル画像を取り込むプロセス322が、
図8Aに関して以下により完全に議論するような、画像キャプチャユニットの構造、並びに可視フレーム及びハイパースペクトルフレームのキャプチャプロセスにおける動作の同期化の故に、実質的に同時に実行される。
【0099】
先に説明したように、時刻t0で取り込まれる第1の可視左カラーフレーム421L_V_t0及び第1の可視右カラーフレーム421R_V_t0は、任意の増強視認モードのための可視画像を保存するプロセス306によって保存される。可視画像を保存するプロセス306は、ピクチャ・イン・ピクチャ(PIP)モード確認プロセス309に移行する。可視画像を保存するプロセス306によって保存されるフレームは、空間的位置合わせプロセス324に利用可能である。
【0100】
1つの態様において、コンピュータ支援手術システム100のユーザは、ユーザインタフェースを使用して、ピクチャ・イン・ピクチャモード又はサーチ増強モードを特定する。ユーザがピクチャ・イン・ピクチャ増強モードを選択するならば、ピクチャ・イン・ピクチャ(PIP)モード確認プロセス309は、可視画像を送信するプロセス307に移行し、さもなければ、時刻t1で可視フレームの他のセットを取り込む仮想画像を取り込むプロセス304に移行する。よって、ピクチャ・イン・ピクチャ増強モードにおいて、視覚画像処理パイプライン310(visual image processing pipeline)は、ディスプレイ251上にフレームの通常手術部位ビデオシーケンスを生成する。サーチ増強モードにおいて、視覚画像処理パイプライン310は、手術部位ビデオシーケンスを生成せず、よって、典型的には、表示されるシーンを生成するために必要とされる処理遅延の故に、手術器具の使用が抑制されるか或いは動作速度が制約される。
【0101】
ハイパースペクトル画像処理パイプライン320に戻ると、ハイパースペクトル画像を取り込むプロセス322の完了後、処理は、ハイパースペクトル画像を保存するプロセス323に移行する。画像プロセス323は、第1のハイパースペクトル左フレーム421L_HS_t0と、第1のハイパースペクトル右フレーム421R_HS_t0とを保存し、次に、プロセス324と呼ぶことがある空間的位置合わせプロセス324に移行する。
【0102】
上記で説明したように、ハイパースペクトルフレームのハイパースペクトルシーンの分解能は、場合によっては、可視フレームの可視カラーシーンの分解能よりも少ない。よって、有用なハイパースペクトル画像を得るためには、受け入れ可能な分解能で複合ハイパースペクトル画像を作成するために組み合わせ得る複数のハイパースペクトル画像を取り込むことが必要である。複数のハイパースペクトル画像におけるハイパースペクトル画像の数は、ハイパースペクトル光照明器212の出力に部分的に依存する。
【0103】
ハイパースペクトル光照明器212がハイパースペクトル光の時定スペクトルを出力するならば、ハイパースペクトル画像キャプチャセンサの各画素、即ち、左ハイパースペクトル画像キャプチャセンサ221L_HSの各画素及び右ハイパースペクトル画像キャプチャセンサ221R_HSの各画素は、画素の位置におけるハイパースペクトル光のスペクトルの一部分のみを取り込む。よって、手術部位は、ハイパースペクトル光の全スペクトル又は全スペクトルのうちの少なくとも十分なスペクトルがシーン内の各場所で測定されて、空間的及びスペクトル的に受け入れ可能な分解能を有する複合ハイパースペクトルフレームを形成することができるよう、スキャン(走査)される。ここで、受け入れ可能な分解能(acceptable resolution)とは、時刻t0について創成される複合ハイパースペクトル画像が時刻t0で取り込まれる対応する視覚画像の上に重ね合わせられるときに、複合ハイパースペクトルフレームから導き出されることができ且つ複合ハイパースペクトルフレーム中に提示されることができる特徴が視認者にとって有用であるのに十分である程に詳細であるような、分解能を意味する。
【0104】
各場所で、画像キャプチャシステム220の視野は手術部位に亘ってスキャンされると、ハイパースペクトルフレームが取り込まれる。これらの場所の各々において、画像キャプチャシステム220の姿勢は知られている。即ち、カメラ220Lの姿勢及びカメラ220Rの姿勢は知られている。
【0105】
手術部位に亘るスキャン(走査)から必要とされるハイパースペクトルフレームの数は、生フレームから特徴を抽出するために使用されるアルゴリズムの性能に基づいて経験的に決定される。具体的には、手術部位は、ハイパースペクトルフレームが取り込まれる異なる数の場所を用いてスキャンされ、ハイパースペクトルフレームの各セットについて、以下により完全に記載するように、複合ハイパースペクトルフレームが生成される。これは複合ハイパースペクトルフレームのセットを生成する。人間のグループ、アルゴリズム、ニューラルネットワーク、又は他の機械学習構造が、関心特徴(feature of interest)を適切に表示する或いは特徴を導き出すことがある、複合ハイパースペクトルフレーム、又は複数の複合ハイパースペクトルフレーム又は複合ハイパースペクトルフレームの組み合わせを選択するよう要求されてよい。1つの態様では、関心特徴の受け入れ可能な画像を提供する最少の数の場所を必要とする複合ハイパースペクトルフレームが選択される。故に、一定ハイパースペクトル照明のために、セット内のハイパースペクトルフレームの数Nは、経験的に決定され、よって、後続の場合について知られている。
【0106】
空間的位置合わせプロセス324に戻ると、プロセス324は、N個のハイパースペクトルフレームのセットを分析し、次に、N個のハイパースペクトルフレームを処理して、手術部位の複合ハイパースペクトルシーンを含む複合ハイパースペクトルフレームを形成する。セット内のハイパースペクトルフレームの互いに対する空間的位置合わせは、1つの態様において、先ず、各ハイパースペクトルフレームにおける特徴を識別し、次に、ハイパースペクトルフレームのセット内でフレームからフレームにこれらの特徴を追跡することによって行われる。特徴又は複数の特徴の場所が全てのフレームの一部において知られているとき、これは、特徴又は複数の特徴が複合ハイパースペクトル画像内の共通の場所にあるように、フレームを再整列させることを可能にする。よって、特徴の追跡は、ハイパースペクトルフレームのセットの重ね合わせを可能にする。
【0107】
1つの態様では、ハイパースペクトル画像を保存するプロセス323が、処理を空間的位置合わせプロセス324の特徴抽出プロセス325に転送する。特徴抽出プロセス325は、受信した各ハイパースペクトルフレーム内の、ナビゲーションランドマーク(navigation landmarks)と呼ぶことがある特徴を識別する。特徴抽出プロセス325は、セット(SET)確認プロセス326に移行する。
【0108】
図5Aは、可視フレーム510内に含められる可視手術部位シーンの抽象的表現である。関心特徴506が、フレーム510内で顕著でない。例えば、特徴506は、可視フレーム510内に含められる可視手術部位シーン内で隠されているか或いは人間によって識別可能でない。しかしながら、円501,503,505及び三角502,504によって表されるナビゲーションランドマークは、フレーム510内で見え、顕著である。実際の手術部位シーンにおいて、通常のナビゲーションランドマークは、例えば、血管のパターン、組織のパターン、又は異なる組織のパターン、又は血管若しくは他の類似の特徴の交差によって創生される特徴の小さな集合(constellations)であり得る。よって、新しいハイパースペクトルフレームが空間的位置合わせプロセス324によって受信されると、特徴抽出プロセス325は、そのフレーム内のナビゲーションランドマークを決定する。
【0109】
セット確認プロセス326は、取り込んだハイパースペクトルフレームの数がNに等しいかどうかを決定し、ここで、Nは非負の整数である。セット内のハイパースペクトルフレームの数Nは、チャネル内に取り込まれるハイパースペクトルフレームの数であり、よって、N個のハイパースペクトルフレームのセットが、左右のチャネルの各々の内に取り込まれる。取り込まれるハイパースペクトルフレームの数がN未満であるならば、セット確認プロセス326は、一定照明(ILL.)モード確認プロセス329に移行するが、取り込まれるハイパースペクトル画像の数がNに等しいならば、セット確認プロセス326は、空間的位置合わせプロセス324の特徴を追跡するプロセス及び設定カウンタをリセットするプロセス328に移行し、代替的に、Nハイパースペクトルフレームは、カウンタが、Nフレームにインデックスし(indexing)、そして、新しいものが到着するときに、リセットする代わりに、単にNを法としてNのスタック内のハイパースペクトルフレームを置換するように、フレームの円形バッファとして処理されてよい。
【0110】
時刻t0でハイパースペクトル画像421L_HS_t0のキャプチャ後、取り込まれたハイパースペクトル画像の数はNよりも小さく、よって、セット確認プロセス326は、一定照明(Ill.)モード確認プロセス329に移行する。この例において、ハイパースペクトル照明スペクトルは、時間において一定であり、よって、一定照明モード確認プロセス329は、カメラを移動するプロセス330に処理を移行させる。
【0111】
カメラを移動するプロセス330は、手術部位のスキャンのためのカメラ220を次の場所に移動させ、次に、プロセス322、323、324、及び330は繰り返される。よって、時刻t
1で、ハイパースペクトル画像を取り込むプロセス323(
図3)は、左ハイパースペクトル画像キャプチャセンサ221L_HSで第2のハイパースペクトル左フレーム421L_HS_t1(
図4)を取得し、右ハイパースペクトル画像キャプチャセンサ221R_HSで第2のハイパースペクトル右フレーム421R_HS_t1を取得する。時刻t
1で、可視画像を取り込むプロセス304(
図3)が左可視画像キャプチャセンサ221L_Vで第2の可視左カラーフレーム421L_V_t1を取得し、右可視画像キャプチャセンサ221R_Vで第2の可視右カラーフレーム421R_V_t1を取得するよう、可視画像を取り込むプロセス304は、ハイパースペクトル画像を取り込むロセス322と同期される。
【0112】
プロセス330,322,323,324は、時刻tN-1まで繰り返され、ハイパースペクトル画像を取り込むプロセス322(
図3)は、左ハイパースペクトル画像キャプチャセンサ221L_HSでN番目のハイパースペクトル左フレーム21L_HS_tN-1を取得し、右ハイパースペクトル画像キャプチャセンサ221R_HSでN番目のハイパースペクトル右フレーム421R_HS_tN-1を取得し、可視画像を取り込むプロセス304(
図3)は、左可視画像キャプチャセンサ221L_VでN番目の可視左カラーフレーム421L_V_tH-1を取得し、右可視画像キャプチャセンサ221R_VでN番目の可視カラーフレーム421R_V_tN-1を取得する。取り込まれるハイパースペクトルフレームの数は今やNに等しいので、セット確認プロセス326は、特徴を追跡するプロセス327及びセットカウンタをリセットするプロセス328に移行する。
【0113】
図5Bは、
図5Aの手術部位シーンのスキャンの抽象的な表現である。シーン内の各ボックスは、取り込まれるハイパースペクトルフレームの1つを表している。
図5Bは、縮尺通りに描写されておらず、ボックスは、取り込まれたハイパースペクトルフレームだけを表しており、フレームのサイズを表していない。取り込まれたハイパースペクトルフレームのサイズは、例えば、画像を創成する光学系の特性と共に、ハイパースペクトル画像キャプチャセンサ内の画素のサイズ及び数によって決定される。取り込まれたハイパースペクトルフレームは、ナビゲーションランドマーク501乃至505の一部又は全部の画像を含む。
【0114】
セットカウンタをリセットするプロセス328は、セットに取り込まれたハイパースペクトルフレームの数についてのカウンタをリセットし、一定照明(Ill.)モード確認プロセス329に移行する。この例において、出力照度は一定であり、よって、一定照明モード確認プロセス329は、カメラを移動するプロセス330に処理を移行させる。
【0115】
カメラを移動するプロセス330は、手術部位のスキャンのためにカメラ220を移動し、次に、プロセス322,323,324,330は、取り込まれたハイパースペクトルフレームの第2のセットについて繰り返される。よって、時刻t
Nで、ハイパースペクトル画像を取り込むプロセス322(
図3)は、左ハイパースペクトル画像キャプチャセンサ221_HSで第1のハイパースペクトル左フレーム421L_HS_tNを取得し、ハイパースペクトル画像の第2のセットにおける右ハイパースペクトル画像キャプチャセンサ221R_HSで第1のハイパースペクトル右フレーム421R_HS_tNを取得する。時刻t
Nで、可視画像を取り込むプロセス304(
図3)は、左可視画像キャプチャセンサ221L_VでN+1可視左カラーフレーム421L_V_t1を取得し、右可視画像キャプチャセンサ221R_VでN+1可視右カラーフレーム421R_V_t1を取得する。
【0116】
プロセス330,322,323,324は、第1のセットについてちょうど記載したのと同じ方法で、ハイパースペクトル画像の第2のセットについて繰り返される。取得が円形バッファ技法を使用して実行されるならば、ハイパースペクトル画像のセットは、常にN個の最新フレームを含み、上述のプロセスは、そのN個の深いバッファを満たす。又はイパースペクトルフレーム間の時間間隔は、可視光フレーム間の時間間隔よりも大きくても小さくてもよい-外科医に示される画像の再整列(realignment)及び組成(composition)に根本的な変化はないことにも留意のこと。
【0117】
第1のセットのハイパースペクトル画像のキャプチャ完了後に、処理は、空間的位置合わせプロセス324の特徴を追跡するプロセス327に移行することを思い出されたい。ハイパースペクトルフレーム内に取り込まれた可視ナビゲーションランドマーク501乃至505は、組織追跡プロセスが、異なる時点で取り込まれるハイパースペクトルフレーム内に取得されるスペクトルデータを整列させて、時刻t0についての複合ハイパースペクトル画像を形成することを可能にする。時刻t0で取り込まれるハイパースペクトルフレームと時刻t0で取り込まれる可視フレームとの間の空間的関係は知られているので、ハイパースペクトル手術部位シーン内の物体の場所が時間と共に僅かに変化することがあるとしても、複合ハイパースペクトルフレームは、時刻t0で取り込まれる可視フレーム510と重ね合わせられることができる。代替的に、ハイパースペクトル画像内の特徴は、各ハイパースペクトルフレームを可視フレームに整列させるために、可視画像内の対応する可視特徴に整列させられることができる。更に別の態様において、ハイパースペクトル画像内の特徴は、ハイパースペクトル画像を整列させるために使用され、次に、複合ハイパースペクトルフレームは、可視フレームに整列させられる。可視センサに対するハイパースペクトルセンサの整列は、カメラ製造業者較正から知られている。
【0118】
故に、1つの態様において、空間的位置合わせプロセス324では、例えば、スケール不変特徴変換(scale-invariant feature transform)(SIFT)を使用して、特徴がコンピュータ生成され、これらのコンピュータで生成される特徴は、視覚的同時局所化及びマッピング(visual Simultaneous Localization and Mapping)(vSLAM)モデルと共に使用され、ここで、組織の表面上の特徴(点の場所)は、組織が(呼吸及び心拍数などに起因して)移動するときに並びにフレームを取り込むカメラの位置及び向きが追跡されるときに、時間の経過と共に追跡される。SIFT及びvSLAMは、詳細に記載されない。何故ならば、これらの2つの組み合わせは知られているからである。例えば、参照として援用するNiklas Karlsson, Luis Goncalves, Mario E. Munich and Paolo Pirjanian, “The vSLAM Algorithm for Navigation in Natural Environments,” Korean Robotics Society Review, Vol. 2, No. 1, pp. 51-67, 2005を参照のこと。
【0119】
加えて、カメラシステムが立体視であるならば、時間における各インスタンスで取り込まれるハイパースペクトルフレーム又は可視フレームのペアからの追加的な情報を使用して、時間に亘る組織の追跡を向上させることができる。立体視ハイパースペクトルフレーム又は可視フレームの各ペアは、手術シーンの深さマップを創成するために使用されてよい。深さマップは、時間に関してどの特徴が見えるかについての情報を提供し、よって、幾つかの特徴を追跡する能力を向上させる。
【0120】
図6は、空間的位置合わせプロセス324を実行する空間的位置合わせモジュール624の1つの実施形態のブロック図である。特徴抽出モジュール625内のSIFTアナライズモジュール601が、カメラ220によって取り込まれるハイパースペクトルフレームのセットの各フレームを入力として受信する。SIHTアナライザモジュール601は、セット内の取り込まれた各ハイパースペクトルフレーム内の特徴の場所を検出し、特徴を特徴付ける情報をランドマークデータベース603に保存する。ここで、カメラ220は、カメラ220R及びカメラ220Lのうちの1つである。取り込まれる左右のハイパースペクトルフレームセットの処理は同じであることを思い出されたい。この態様において、抽出モジュール625は、特徴抽出プロセス325を実行する。同様に、視覚フレームも処理され、それらの特徴が抽出される。
【0121】
空間的位置合わせモジュール624内の確認モジュール626は、前述したセット確認プロセス326を実行する。
【0122】
カメラコントローラ630は、(異なる時間の瞬間に取り込まれることがある)各ハイパースペクトルフレーム及び可視フレームについてのカメラ姿勢のvSLAMアナライザモジュール602を提供する。vSLAMアナライザモジュール602は、空間的位置合わせモジュール624の追跡モジュール627内に含められる。追跡モジュール627は、この態様において、追跡特徴プロセス327を実行する。
【0123】
vSLAMアナライザモジュール602は、ランドマークデータベース603内の情報を使用し、時間に亘ってランドマークの場所を追跡するので、セット内のフレームを重ね合わせて空間的位置合わせプロセス625によって出力される複合ハイパースペクトルフレーム605を形成することができる。カメラ姿勢情報は、追跡プロセスをより堅牢(ロバスト)にする。
【0124】
上述のように、モジュール624,625,626,627,602の各々は、ハードウェア、RTL、プロセッサ上で実行されるソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの任意の組み合わせを含んでよい。
【0125】
よって、
図3に戻ると、空間的位置合わせプロセス324の結果は、取り込まれるハイパースペクトルフレームのセットから形成される複合ハイパースペクトルフレームである。ハイパースペクトルフレーム内の画素は、時刻t
0で取り込まれる可視フレーム内の画素に対応するので、複合ハイパースペクトルフレームが時刻t
0で可視フレーム上に重ね合わせられるときに、特徴506は正しい場所にあり、見える、複合ハイパースペクトルフレーム内の特徴は、2つのフレームが重ね合わせられるときに、可視フレームに対して強調される。例えば、複合ハイパースペクトルフレーム内の特徴は、手術部位シーンにおいて典型的に見られない色、例えば、緑色を使用して、誤って着色され得る。別の態様において、組み合わせ視覚及びハイパースペクトル画像は、特定の組織種類などを識別するために、例えば、機械学習分類器又は類似のプロセスによって処理される。
【0126】
ハイパースペクトルフレームを可視フレームと共に何らかの方法において更に処理して、外科医の中には時には画像を見るのが困難なこともある特徴の追加的な視覚的顕著性をもたらす複合出力を生成してよい。例えば、複合画像は、視覚画像に全く現れない構造を強調してよく、それ故に、外科医に情報を提供する。ハイパースペクトルデータ及び可視画像から創成されるこれらの強化された画像は、非常に経験豊富な外科医が決定できるがレジデント(専門医療実習生)又はフェロー(特別研究員)決定するのが困難なことがある情報を明らかにすることがある。
【0127】
完了後、空間的位置合わせプロセス324は、プロセス1と呼ぶことがある任意的な特殊特性決定プロセス331に移行する。プロセス331は、任意的である。何故ならば、プロセスは、立体視内視鏡が使用されるときに、並びに組織からの絶対反射率又は光の発光のようなパラメータが、表示されるべき画像、表示されるシーン内の情報を解釈するために必要とされるときに、利用されるからである。
【0128】
故に、空間的位置合わせプロセス324又は特殊特徴プロセス331のいずれかは、プロセス332と呼ぶことがある可視画像及び複合画像を送信するプロセス3322に移行する。プロセス332は、時間t0についての可視フレーム421R_V_t0及び421L_V_t0並びに複合ハイパースペクトルフレームを立体視ディスプレイ251に送信し、或いは代替的に、可視画像及びハイパースペクトル画像の重ね合わせを2つのチャネルの各々に送信する。可視画像及び複合画像を表示するプロセス333において立体視ディスプレイによって表示される画像は、システム100のユーザによって選択される特定の増強されたディスプレイモードに依存する。
【0129】
例えば、サーチのみ増強モードにおいて、PIPモード確認プロセス309は、可視画像を送信するプロセス307に移行せず、よって、可視画像及び複合画像を表示するプロセス333では、関心特徴506を含む複合ハイパースペクトルシーンと重ね合わせられる組織103を含む立体視カラー可視シーンが、立体視ディスプレイ21上に提示される。このモードにおいて、立体視ディスプレイ上の初期的な表示は、ハイパースペクトル画像処理パイプライン320によって必要とされる処理時間、例えば、約100~500ミリ秒をもたらすために遅延され、次に、連続ビデオシーケンスが、システム100のユーザに提示される。
【0130】
別の態様では、ピクチャ・イン・ピクチャ増強モードにおいて、PIPモード確認プロセス309は、可視画像を送信するプロセス307に移行し、可視画像を送信するプロセス307は、次に、可視画像を表示するプロセス308に移行し、それは組織103を含む可視シーンのビデオシーケンスを立体視ディスプレイ251上の主ディスプレイシーン520(
図5C)として表示する。可視画像及び複合画像を表示するプロセス333は、関心特徴506を含む複合ハイパースペクトルシーンと重ね合わせられた組織103を含む立体視カラー可視シーンを立体視ディスプレイ251上のピクチャシーン525内のピクチャとして提示する。
【0131】
ハイパースペクトル画像処理パイプライン320は、可視画像処理パイプライン310よりも多くの処理時間を必要とするので、ピクチャ内ピクチャ中の重ね合わせられた複合画像を伴う組織103の可視画像は、主ディスプレイシーン520に時間において後れを取る。しかしながら、ピクチャ内ピクチャ中の可視画像は、主ディスプレイシーン520中に現れる可視画像と同じである。例えば、フレーム421R_V_t0及び421L_V_t0は、主ディスプレイシーン520中に表示され、次に、後に、時刻t0について複合ハイパースペクトルフレームと重ね合わせられたフレーム421R及び421L_V_t0は、ピクチャシーン525内のピクチャ中に表示される。しかしながら、2つのディスプレイ内の可視画像シーンは同じであるので、ピクチャシーン内のピクチャ中の僅かな遅延は、システム100のユーザにとって受け入れ可能である。
【0132】
(時間順次ハイパースペクトル照明)
ハイパースペクトル画像処理パイプライン230の先の例では、ハイパースペクトル照明が時間及びスペクトルにおいて一定であること、並びに、シーンを横断してカメラをスキャンしてハイパースペクトルフレームを取り込み、取り込まれるシーンの部分が時間に関して移動させられたとしてもハイパースペクトルフレームを組み合わせて複合フレームを形成することができることが想定された。しかしながら、別の例において、ハイパースペクトル照明のスペクトルは、時間と共に順次的に変化し、ハイパースペクトルフレームは、ハイパースペクトル照明の各時間順次波帯に亘って或いは代替的にハイパースペクトル照明の各時間順次波長に亘って取り込まれる。本明細書で使用するとき、ハイパースペクトル光の波帯(waveband)は、ハイパースペクトル光のスペクトルである。波帯が単一の波長のみを含むならば、波帯(典型的には、波長の範囲)及び波長は同じものである。やはり、取り込まれるシーンの態様は、時間と共に移動することができるので、同じシーンが各フレーム内に取り込まれることがある一方で、取り込まれるシーン内の要素の場所はフレーム毎に異なり得る。
【0133】
時間順次照射でのハイパースペクトル画像処理パイプライン320を検討する前に、
図7は、ハイパースペクトル画像処理パイプライン320を介して取り込まれたハイパースペクトルフレームのシーケンスの例示である。立体視画像キャプチャシステムが使用されるならば、
図7のフレームのシーケンスは、取り込まれる左右のハイパースペクトルフレームの両方を表す。時刻t
0で、組織103は、ハイパースペクトル光波帯L
0で照らされ、組織103からのハイパースペクトル光は、フレーム821_HS_t0内に取り込まれる。時刻t
1で、組織103は、ハイパースペクトル光波帯L
1で照らされ、組織103からのハイパースペクトル光は、フレーム821_HS_t1内に取り込まれる。時刻t
2で、組織103は、ハイパースペクトル光波帯L
2で照らされ、組織103からのハイパースペクトル光は、フレーム821_HS_t2内に取り込まれる。時刻t
N-1で、組織103は、ハイパースペクトル光波帯L
N-1で照らされ、組織103からのハイパースペクトル光は、フレーム821_HS_tN-1内に取り込まれる。時刻t
Nで、組織103は、ハイパースペクトル光波帯L
0で照らされ、組織103からのハイパースペクトル光は、フレーム821_HSZ_tN内に取り込まれる。
【0134】
ここで、第1のハイパースペクトル光波帯L0、第2のハイパースペクトル光波帯L1、第3のハイパースペクトル光波帯L2、...、及びN番目のハイパースペクトル光波帯における、第1の、第2の、第3の、...、第Nのという形容詞は、波長帯における波長の如何なる順序及び波長に関する波帯の如何なる順序をも意味せず、むしろハイパースペクトル光の異なるスペクトルが使用されることを意味する。また、以下に説明するように、各ハイパースペクトルフレームは、可視カラーフレームと実質的に同時に取り込まれる。実質的に同時に(substantially simultaneously)の意味は、上述と同じである。
【0135】
よって、この例では、N波帯が使用され、ここで、Nは、2以上の整数番号である。使用される順次波帯の数Nは知られており、典型的には、関心組織に依存する。典型的には、10未満の異なる順次波帯が使用されるが、10よりも大きい順次波帯が使用されることもできる。例えば、1つの態様では、尿管を画像化するために3つの波帯が使用される。その全文を本明細書に援用する(2014年12月16日に出願された「Ureter
Detection Using Waveband Selective imaging」を開示する)米国特許出願第62/092,651号明細書を参照のこと。
【0136】
図3に戻ると、ディスプレイモード選択252からのユーザ入力に応答して、時間順次ハイパースペクトル照明を伴う増強視認モードを示す増強ディスプレイ選択コマンドが、ユーザインタフェース261の視認モードを確認するプロセス302に提供される。時間順次ハイパースペクトル照明コマンドでの増強視認モードに応答して、確認プロセス302は、この態様において、アクティブ白色光照明制御信号を可視画像処理パイプライン310内の白色光で組織を照らすプロセス303に提供し、アクティブハイパースペクトル時間順次照明アクティブ信号をハイパースペクトル画像処理パイプライン320内のハイパースペクトル光で組織を照らすプロセス321に提供する。
【0137】
可視画像処理パイプライン10内の動作(acts)は上記に記載されているので、ここではこの増強視認モードについて繰り返されない。何故ならば、それらの動作は上述と同じだからである。
【0138】
ハイパースペクトル時間順次照明制御信号に応答して、ハイパースペクトラル光で組織を照らすプロセス321は、時間順次ハイパースペクトル光動作信号を組み合わせ光源210内の光コントローラ215に送信する。時間順次ハイパースペクトル光動作信号に応答して、光コントローラ215は、ハイパースペクトル光の第1の波帯L0をコネクタ216に提供するようにハイパースペクトル光照明器212を構成する。
【0139】
白色光で組織を照らすプロセス303は、白色光動作信号を組み合わせ光源210内の光コントローラ215に送信するので、光コントローラ215は、白色光をコネクタ216に提供するように可視光照明器211を構成する。よって、この増強モードにおいて、組織103は、白色光とハイパースペクトル光の第1の波帯との組み合わせで照らされる。
【0140】
組織103(
図2)からの光は、内視鏡101内の立体視光学チャネルによって画像キャプチャシステム220に送られる。動作のこの増強視認モード動作において、時刻t
0で、可視画像を取り込むプロセス304(
図3)は、左可視画像キャプチャセンサ221L_Vで第1の可視左カラーフレーム421L_V_t0を取得し、右可視画像キャプチャセンサ221R_Vで第1の可視右カラーフレーム421_r_V_t0を取得する。同様に、時刻t
0で、ハイパースペクトル画像を取り込むプロセス322(
図3)は、左ハイパースペクトル画像キャプチャセンサ221L_HSで第1のハイパースペクトル左フレーム421L_HS_t0を取得し、右ハイパースペクトル画像キャプチャセンサ221L_HSで第1のハイパースペクトル右フレーム421R_HS_t0(
図4)を取得する。可視画像を取り込むプロセス304及びハイパースペクトル画像を取り込むプロセス322は、
図10Bに関して以下により完全に議論するような画像キャプチャユニットの構造、並びに可視フレーム及びハイパースペクトルフレームのキャプチャプロセスにおける動作の同期化の故に、実質的に同時に実行される。
【0141】
先に説明したように、時刻t0で取り込まれる第1の可視左カラーフレーム421R_V_t0及び第1の可視右カラーフレーム421R_V_t0は、任意の増強ディスプレイモードのために、可視画像を保存するプロセス306によって保存される。可視画像を保存するプロセス306は、ピクチャ・イン・ピクチャ(PIP)モード確認プロセス309に移行する。可視画像を保存するプロセス306によって保存されるフレームは、空間的位置合わせプロセス324に利用可能であり、ピクチャ・イン・ピクチャ(PIP)モード確認プロセス309は上述のように動作するので、記述はここで繰り返されない。
【0142】
ハイパースペクトル画像処理パイプライン320に戻ると、ハイパースペクトル画像を取り込むプロセス322の完了後、処理はハイパースペクトル画像を保存するプロセス323に移行する。ハイパースペクトル画像を保存するプロセス323は、第1のハイパースペクトル左フレーム421L_HS_t0及び第1のハイパースペクトル右フレーム421R_HS_t0を保存し、次に、特徴抽出プロセス325に移行する。
【0143】
プロセス325は、1つの態様において、上述の記述と均等であるので、記述はここでは説明を繰り返されない。特徴抽出プロセス325は、処理をセット確認プロセス326に移行させる。
【0144】
やはり、セットを構成するのに必要とされるハイパースペクトルフレームの数Nは知られている。上記で説明したように、ハイパースペクトルフレームのハイパースペクトルシーンの分解能は、可視フレームの可視カラーシーンの分解能よりもずっと少なくてよい。よって、そのような場合に、臨床的に有用なハイパースペクトル画像を得るためには、受け入れ可能な分解能を備える複合ハイパースペクトル画像を作るために組み合わせることができる複数のハイパースペクトル画像を取り込むことが必要である。複数のハイパースペクトル画像におけるハイパースペクトル画像の数は、使用される照明波帯の数Nに依存する。
【0145】
この態様において、ハイパースペクトル光照明器212は、時間シーケンス内のハイパースペクトル光の波帯、例えば、時刻t0での第1の波帯L0、時刻t1での第2の波帯L1などを出力し、ハイパースペクトル画像のセット内のハイパースペクトル画像の数は、ハイパースペクトル光照明器212によって出力される時間順次照明波帯の数Nに等しい。ハイパースペクトル光照明器212が、時間シーケンス内でハイパースペクトル光の異なる波帯、例えば、時刻t0での第1の波帯L0、時刻t1での第2の波帯L1などを出力し、カメラ220の視野が、各波帯について手術部位に亘ってスキャンされるならば、各波帯についてのハイパースペクトル画像のセットにおけるハイパースペクトル画像の数は、ハイパースペクトル光照明器212からの時定出力について記載されるものと均等な方法において経験的に決定される。この態様では、制御する2つの数がある。第1の数は、各波帯について手術部位の空間スキャンにおいて取り込まれるハイパースペクトルフレームの数mであり、第2の数kは、使用される時間順次波帯の数である。この態様では、複合ハイパースペクトルフレームは、各波帯について一定照明の例に均等な方法において、m個のハイパースペクトルフレームを使用して形成される。これはk個の複合ハイパースペクトルフレームを生成する。次に、時間順次照明のための位置合わせプロセスを使用してk個の複合フレームを重ね合わせて、最終的な複合画像を形成する。
【0146】
空間スキャンを伴わない時間順次ハイパースペクトル照明について、セット内のハイパースペクトルフレームの数Nは知られており、セット確認プロセス326は、取り込まれたハイパースペクトルフレームの数がNに等しいかどうかを決定し、ここで、Nは非負の整数である。セット内のハイパースペクトルフレームの数Nは、やはり、チャネル内に取り込まれるハイパースペクトルフレームの数であり、よって、N個のハイパースペクトルフレームのセットは、左右のチャネルの各々の内に取り込まれる。取り込まれるハイパースペクトルフレームの数がN未満であるならば、セット確認プロセス326は、一定照明(Ill.)モード確認プロセス329に移行するが、取り込まれるハイパースペクトル画像の数がNに等しいならば、セット確認プロセス326は、特徴を追跡するプロセス327及びセットカウンタをリセットするプロセス328に移行する。
【0147】
時刻t0でのハイパースペクトル画像421L_HS_t0の取込後、取り込まれたハイパースペクトル画像の数はNよりも小さく、よって、セット確認プロセス326は、一定照明(Ill.)モード確認プロセス329に移行する。この例において、出力照明は、時間順次的であり、よって、一定照明モード確認プロセス329は、処理をハイパースペクトル光で組織を照らすプロセス321に移行させる。
【0148】
ハイパースペクトル光で組織を照らすプロセス321は、1つの態様において、セットカウンタの値を用いて、組織103を照らす波帯を決定する。故に、この例において、ハイパースペクトル光で組織を照らすプロセス321は、組み合わせ光源210内の光コントローラ215に、第2の波帯L1についての時間順次ハイパースペクトル光動作信号を送信する。第2の波帯L1についての時間順次ハイパースペクトル光動作信号に応答して、光コントローラ215は、ハイパースペクトル光の第2の波帯L1をコネクタ216に提供するようハイパースペクトル光照明器212を構成する。よって、組織103は、ハイパースペクトル光の第2の波帯L1で照らされる。
【0149】
ハイパースペクトル光で組織を照らすプロセス321の完了後、プロセス322,323,324,325,326は繰り返される。よって、時刻t
1で、ハイパースペクトル画像を取り込むプロセス322(
図3)は、左ハイパースペクトル画像キャプチャセンサ221L_HSで第2ハイパースペクトル左フレーム421L_HS_t1を取得し、右ハイパースペクトル画像キャプチャセンサ221R_HSで第2ハイパースペクトル右フレーム421R_HS_t1を取得する。可視画像を取り込むプロセス304は、ハイパースペクトル画像を取り込むプロセス322と同期させられるので、時刻t
1で、可視画像を取り込むプロセス304(
図3)は、左可視画像キャプチャセンサ221L_Vで第2の可視左カラーフレーム421L_V_t1を取得し、右可視画像キャプチャセンサ221R_Vで第2の可視右カラーフレーム421R_V_t1を取得する。
【0150】
プロセス329,321,322,323,325,326は、時刻t
N-1で、ハイパースペクトル画像を取り込むプロセス322(
図3)が、左ハイパースペクトル画像キャプチャセンサ221L_HSで第Nのハイパースペクトル左フレーム421L_HS_tN-1を取得し、右ハイパースペクトル画像キャプチャセンサ221R_HSで第Nのハイパースペクトル右フレーム421R_HS_tN-1を取得し、可視画像を取り込むプロセス304(
図3)が、左可視画像キャプチャセンサ221L_Vで第Nの可視左カラーフレーム421L_V_tN-1を取得し、右可視画像キャプチャセンサ221R_Vで第Nの可視右カラーフレーム421R_V_tN-1を取得するまで、繰り返される。取り込まれるハイパースペクトルフレームの数は今やNに等しいので、セット確認プロセス326は、特徴追跡プロセス327及びセットカウンタをリセットするプロセス328に移行する。
【0151】
セットカウンタをリセットするプロセス328は、セット内に取り込まれるハイパースペクトルフレームの数についてカウンタをリセットし、処理を一定照明(Ill.)モード確認プロセス329に移行させる。プロセス328は、議論の容易さのために使用されており、必要とされることを意図しないことに留意のこと。上記のように、円形バッファが使用されるならば、取り込まれるフレームの数を追跡することは必要でない。また、或いはN個の事象後に再循環する組み合わせ光源200内で制御ロジックが使用されるか或いは回転フィルタが使用されるならば、カウンタの維持及びリセットは必要でない。
【0152】
この例において、出力照明は、時間順次的であり、よって、一定照明モード確認プロセス329は、処理をハイパースペクトル光で組織を照らすプロセス321に移行させる。ハイパースペクトル光で組織を照らすプロセス321は、組み合わせ光源210内の光コントローラ215に、波帯L0についての時間順次ハイパースペクトル光動作信号を送信する。波帯L0についての時間順次ハイパースペクトル光動作信号に応答して、光コントローラ215は、ハイパースペクトル光の第1の波帯L0をコネクタ216に提供するようハイパースペクトル光照明器212を構成する。よって、時刻tNで、ハイパースペクトル画像を取り込むプロセス322(
図3)は、左ハイパースペクトル画像キャプチャセンサ221L_HSで第1のハイパースペクトル左フレーム421L_HS_tHを取得し、ハイパースペクトル画像の第2のセット内の右ハイパースペクトル画像キャプチャセンサ221R_HSで第1のハイパースペクトル右フレーム421R_HS_tNを取得する。時刻tNで、可視画像を取り込むプロセス304(
図3)は、左可視画像キャプチャセンサ221L_VでN+1可視左カラーフレーム421L_V_t1を取得し、右可視画像キャプチャセンサ221R_VでN+1可視右カラーフレーム421R_V_t1を取得する。プロセス322,323,324は、第1のセットについてちょうど記載したのと同じ方法において、ハイパースペクトル画像の第2のセットについて、必要に応じて、繰り返される。
【0153】
第1のセットのハイパースペクトル画像のキャプチャ完了後に、処理は特徴を追跡するプロセス327にも移行されることを思い出されたい。特徴を追跡するプロセス327は可視画像及び複合画像を表示するプロセス333を通じて前述のように機能し、よって、ここでは記載は繰り返されない。
【0154】
上記の例は、時間順次ハイパースペクトル照明及び時定ハイパースペクトル照明のための空間的位置合わせプロセス324が同じプロセスであると仮定した。これは例示であるに過ぎず、限定的であることを意図しない。
【0155】
別の態様では、異なる空間的位置合わせプロセス324が、時間順次ハイパースペクトル照明のために使用される。この態様では、立体視内視鏡が使用され、よって、各ハイパースペクトル照明波帯についてハイパースペクトル深さマップを形成することができる。よって、左右画像間の立体視対応を用いて、N個のハイパースペクトル深さマップが創成される。
【0156】
カメラ姿勢はN個のハイパースペクトル深さマップについて変化しないので、N個のハイパースペクトル深さマップを使用してN個のハイパースペクトルフレームを整列させることができることで、これらのフレームを組み合わせて複合ハイパースペクトルフレームを形成することができる。整列は、点群(ポイントクラウド)間の二乗距離の合計を最小に抑えることによって最も近いマッチを見出す最小化プロセスを用いて深さマップ間の最良のマッチを見出すことによって達成されることがある。例えば、反復的最近点プロセス(iterative closest point process)を使用することができる。複合ハイパースペクトルフレームは、時定照明について上述したのと同じ方法において可視フレームの上に重ね合わせられる。
【0157】
(時定照明のための画像キャプチャユニット)
図8Aは、時定ハイパースペクトル照明源及び白色光照明源を備えるカメラ220L及び220Rとしての使用に適した画像キャプチャユニット920の1つの態様の例示である。内視鏡101内の1以上の照明チャネルからの光は、この例において、組織103を照らす。
図8Aには示されていないが、内視鏡101の視野内の1以上の手術器具も、照明チャネル又は複数の照明チャネルからの光を介して照らされてよい。内視鏡内の照明チャネル又は複数の照明チャネルの使用は、例示的であるに過ぎず、本明細書に提示する様々な例に限定されることを意図しない。照明は、内視鏡内の照明源によって或いは内視鏡の内部又は外部にある他の装置によって提供されてよい。
【0158】
組織103から反射される光及び任意の蛍光は、レンズアセンブリ905によって光901として受光される。レンズアセンブリ905は、受光した光をセンサアセンブリ921に導く1以上の光学コンポーネントのうちの1つを含んでよい。レンズアセンブリは、ハイパースペクトル光を処理するための如何なる種類のスリットをも含まないことに留意のこと。幾つかの態様において、レンズアセンブリ905は、折り畳まれる。
【0159】
レンズアセンブリ905からの光は、センサアセンブリ921に進む。幾つかの態様において、レンズアセンブリ905は、長手方向色(longitudinal color)を補正しない。
【0160】
センサアセンブリ921内で、光は、この態様において、ビームスプリッタキューブ910(beam splitter cube)の対角線上に配置されたビームスプリッタ911によって受光される。1つの態様において、ビームスプリッタ911は、埋込み被覆面(buried coated surface)として実装される。
【0161】
ビームスプリッタキューブの使用は、例示的なあるに過ぎず、限定的であることを意図しない。例えば、ビームスプリッタ911は、空間内で浮遊するフィルタであり得る。
【0162】
ビームスプリッタ911は、レンズアセンブリ905から受光する光の第1の部分902を可視カラー画像キャプチャセンサ921_Vに導き、レンズアセンブリ905から受光する光の第2の部分903をフィルタアセンブリ940と呼ぶことがある位置合わせ支援フィルタアセンブリ940に導く。
図8Aの例において、ビームスプリッタ911は、レンズアセンブリ905から受光する光の第1の部分902を可視カラー画像キャプチャセンサ921_Vに反射し、レンズアセンブリ05から受光する光の第2の部分903をフィルタアセンブリ940に伝える。本明細書に記載する各態様において、光は、画像キャプチャセンサの表面に向けられ、従って、簡潔性のために、光は画像キャプチャセンサ上に向けられると言われる。
【0163】
光の第1の部分902及び光の第2の部分903における光の波長は、ビームスプリッタ911の特性によって決定される。一例において、ビームスプリッタ911は、光の第1の部分902がレンズアセンブリ905から受光する可視光の第1の部分であり、光の第2の部分903がレンズアセンブリ905から受光する可視光の第2の部分とレンズアセンブリ905から受光するハイパースペクトル光との組み合わせである、ように構成される。一例において、ビームスプリッタ911は、第1の部分902がレンズアセンブリ905から受光する可視光、例えば、700ナノメートル(nm)以下の波長を備える光であり、光の第2の部分903がレンズアセンブリ905から受光する可視光とハイパースペクトル光との組み合わせ、例えば、700ナノメートル以上であり且つ2.4マイクロメートル以下である波長を備える光である、ように構成される。
【0164】
可視光の第1の部分902は、可視カラー画像キャプチャセンサ921_Vに集束される。1つの態様において、可視カラー画像キャプチャセンサ921_Vは、400ナノメートル~700ナノメートルの範囲内の波長を有する光を取り込む。例えば、可視カラー画像キャプチャセンサ921_Vは、バイエル(Byer)の赤-緑-青カラーフィルタアレイ又は赤-緑-青-白カラーフィルタアレイを備える小画素CMOS画像キャプチャセンサである。センサ921_Vと呼ぶことがある可視カラー画像キャプチャセンサ921_Vは、機械的構造及びエレクトロニクス927(mechanicals and electronics)に連結される。機械的構造及びエレクトロニクス927は、センサ921_Vを保持する機械的構造と、センサ921_Vに接続されるエレクトロニクスとを含む。
【0165】
レンズアセンブリ905からの光の第2の部分903は、ハイパースペクトル画像キャプチャセンサ921_HSに集束される。ハイパースペクトル画像キャプチャセンサ921_HSは、フレームを構成する画素の行列を含む。よって、ハイパースペクトル画像キャプチャセンサ921_HSは、情報のフレームを取り込み、幾つかの従来技術のハイパースペクトルカメラにおけるように一度に一行又は一列の情報のみを取り込まない。
【0166】
1つの態様において、ハイパースペクトル画像キャプチャセンサ921_HSは、700ナノメートル~2.4マイクロメートルの範囲内の波長を有する光を取り込む。取り込まれる波長の範囲は、以下により完全に記載するフィルタアセンブリ940の特性に依存する。ハイパースペクトル画像キャプチャセンサ921_HSは、単色大画素画像キャプチャセンサ、例えば、5~20マイクロメートルの画素を備えるInGsAsセンサ又は類似のサイズの画素を備えるHgCdTeセンサである。
【0167】
ハイパースペクトル画像キャプチャセンサ921_HS及び可視カラー画像キャプチャセンサ921_Vは、異なる半導体技術で実装されることができ、異なる又は同じシャッタ、例えば、可視カラー画像キャプチャセンサ921_Vのためのロールシャッタ(rolling shutter)及びハイパースペクトル画像キャプチャセンサ921_HSのためのグローバルシャッタ(global shutter)を有してよい。シャッタ方法論は、選択される半導体プロセスにおける画素実装の特性である。画像センサ921_V及び921_HSは、レンズ905の後方から異なる距離に配置されることができる。何故ならば、画像センサの場所は独立しているからである。即ち、プリズム910と画像センサ921_Vとの間の間隙は、プリズム910から画像センサ921_HSまでの距離に等しくなくてよく、よって、各々は独立して集束させられることができる。半導体特性は異なる可能性が高いので、画像センサ921_HS及び921_Vは、異なる画素サイズを有する可能性が高い。1つの撮像素子(イメージャ)のアクティブ領域が他方のものよりも小さいならば、そのセンサについての画像は、他のセンサによって見られる画像の一部を覆う。
【0168】
センサ921_HS又は画像センサ921_HSと呼ぶことがあるハイパースペクトル画像キャプチャセンサ921_HSは、機械的構造、冷却構造(cooling)、及びエレクトロニクス926に連結される。機械的構造、冷却、及びエレクトロニクス926は、センサ921_HSを保持するための機械的構造と、センサ921_HSのための冷却構造と、及びセンサ9921_HSに接続されたエレクトロニクスとを含む。
【0169】
上述のように、ハイパースペクトル画像キャプチャセンサ921_HSに入射する光は、フィルタアセンブリ940を通過する。1つの態様において、フィルタアセンブリ940は、第1のノッチフィルタ941を含む。ノッチフィルタ941は、例えば、幅に亘って、線形に可変であり、例えば、フィルタ941の左側で、例えば、900ナノメートル波長(λ)光が透過させられ、フィルタ941の右側で、例えば、1200ナノメートル波長光が透過させられる。
【0170】
別の態様において、フィルタアセンブリ940は、第2のノッチフィルタ942を含む。ノッチフィルタ942は、2つの複数の縞、即ち、暗い縞で表される第1の複数の縞943と、白い縞で表される第2の複数の縞944とを含む。第1の複数の縞943の各々は、ハイパースペクトル光の波帯を通し、即ち、透過し、光の他の波帯を遮断する。暗い縞の各々は、ハイパースペクトル光の異なる波帯を通すことができ、或いは代替的に、縞の一部は、ハイパースペクトル光の同じ波帯を通ることができる。例えば、パターンは、12342233441111114123などであることができ、ここで、各異なる桁は、ハイパースペクトル光の異なる波帯を表す。よって、この例では、ハイパースペクトル光の4つの異なる波帯が、ノッチフィルタ942によって、センサ921_HSに通される。更に、複数の縞943内の縞は、波長に関して如何なる特定の順序にある必要もない。また、複数の縞943内の縞は、一定の幅を有することを要求されない。別の態様では、ノッチフィルタ942を形成するために、透明な縞が直線的に可変なノッチフィルタ941上に作られる。
【0171】
第2の複数の縞944の各々は、第2の複数の縞944が可視光を通す、即ち、透過するよう透明である。第2の複数の縞944内の縞は、一定の幅を有することを要求されない。ハイパースペクトル画像キャプチャセンサ921_HSによって取り込まれる可視光は、前述のように、対応する可視フレームへのハイパースペクトルフレームの空間的位置合わせにおいて使用される。第2の複数の縞944内の縞は、任意のパターン、規則的なパターン、又は所望のノッチフィルタを作るために使用されるアセンブリプロセスによって指示されるパターンにあることができる。
【0172】
第1の複数の縞942内の縞の一部は、如何なる光も透過しない黒い縞であることができる。黒い縞は、取り込まれるフレーム内に局所的な黒いレベルをもたらす。
図8Cにおいて、縞は垂直な縞として示されているが、縞は、水平又は垂直であることができ、或いはドットの任意のパターンによって形成されることができる。
【0173】
図9は、カメラ220としての使用に適した立体視カメラ1020を含む立体視内視鏡1002の遠位端のブロック図である。カメラ1020は、時定ハイパースペクトル照明源及び白色光照明源と共に使用される。
【0174】
立体視カメラ1020は、カメラ1020Lと呼ぶことがある左画像キャプチャユニット1020Lと、カメラ1020Rと呼ぶことがある右画像キャプチャユニット1020Rと、照明チャネル1005とを含む。各画像キャプチャユニット1020R,1020Lは、レンズアセンブリ1001R,1001Lと、センサアセンブリ1025R,1025Lとを含む。センサアセンブリ1025R,1025Lは、レンズアセンブリ1001R,1001Lを通過する光を受光するように位置決めされる。各センサアセンブリ1025R,1025Lは、1つの態様において、プリズムアセンブリ1030R,1030Lと、反射アセンブリ1040R,1040Lとを含み、この態様では、共面画像キャプチャセンサ(1010R_V,1015R_HS)(1010L_V,1015L_HS)を含む。立体視内視鏡1002は、立体視内視鏡101の一例である。
【0175】
図9に例示するように、内視鏡1002と呼ぶことがある立体視内視鏡1002の遠位端内の各立体視チャンネルは、同じコンポーネント構成を有する。この
図9の態様において、(左立体視チャネルのための)画像キャプチャユニット1020L及び(右立体視チャネルのための)画像キャプチャユニット1020Rは、内視鏡1002の中心長手軸1090と交差する平面に対して対称的である(即ち、それらは互いの鏡像として位置付けられる)。矢印1035によって示すように、遠位方向は、組織1003に向かっており、近位方向は、組織1003から離れている。
【0176】
内視鏡1002内の1以上の照明チャネル1005からの光は、この例において、組織003を照らす。
図9に示されていないが、内視鏡1002の視野内の1以上の手術器具も、照明チャネル1005からの光を介して照らされてよい。内視鏡内の照明チャネルの使用は、例示的であるに過ぎず、本明細書に提示する様々な実施例において限定的であることを意図しない。照明は、内視鏡内の照明源によって或いは内視鏡の内部又は外部にある他の装置によって提供されてよい。
【0177】
組織1003から反射される光及び任意の蛍光は、レンズアセンブリ1001L及び1001Rによって受光される。レンズアセンブリ1001L及び1001R内のレンズ1004L及び1004Rは、それぞれ、受光する光をセンサアセンブリ1025L及びセンサアセンブリ1025Rに導く1以上の光学コンポーネントを含んでよい。他の態様において、レンズアセンブリ1001L及び1001Rは折り畳まれる。
【0178】
レンズ1004L及び1004Rからの光は、それぞれ、センサアセンブリ1025L,1025Rに進む。センサアセンブリ1025L,1025R内で、光は、ビームスプリッタキューブ1030L,1030R内の、ビームスプリッタ1031L及び1031Rによってそれぞれ受光される。1つの態様において、ビームスプリッタ1031L及び1031Rの各々は、埋込み被覆面1031L,1031Rとして実装される。上記で説明したように、ビームスプリッタ1031L,1031Rの各々の上にある塗膜又は複数の塗膜は、特定の機能性を提供するように選択される。埋込み被覆面の特性は、ビームスプリッタ911について上述した特性と均等である。
【0179】
ビームスプリッタ1031Lは、受光する光の第1の部分を第1の可視カラー画像キャプチャセンサ1010L_V、例えば、画像キャプチャユニット1020L内の可視カラー画像キャプチャセンサ1010L_Vの表面1011L_Vに方向付け、受光する光の第2の部分を反射アセンブリ1040Lに方向付ける。同様に、ビームスプリッタ1031Rは、受光する光の第1の部分を第2の可視カラー画像キャプチャセンサ1010R_V、例えば、画像キャプチャユニット1020R内の可視カラー画像キャプチャセンサ1010R_Vの表面1011R_Vに方向付け、受光する光の第2の部分を反射アセンブリ1040Rに方向付ける。
【0180】
ビームスプリッタ1031L及び1031Rからの光は、それぞれ、反射アセンブリ1040L及び1040Rによって受光される。反射ユニット1040Lは、受光する光を、フィルタアセンブリ1050Lと呼ぶことがある第1の位置合わせ支援フィルタアセンブリ1050Lに導く。フィルタアセンブリ1050L内のフィルタを通過する光は、ハイパースペクトル画像キャプチャセンサ1015L_HSの上に集束され、例えば、反射ユニット1040Lは、受光する光を、画像キャプチャユニット1020L内のハイパースペクトル画像キャプチャセンサ1015L_HSの表面1016Lの上に集束する。同様に、反射ユニット1040Rは、受光する光を、フィルタアセンブリ1050Rと呼ぶことがある第2の位置合わせ支援フィルタアセンブリ1050Rに導く。フィルタアセンブリ1050R内のフィルタを通過する光は、ハイパースペクトル画像キャプチャセンサ1015R_HSの上に集束され、例えば、反射ユニット1040Rは、受光する光を、画像キャプチャユニット1020R内のハイパースペクトル画像キャプチャセンサ1015R_HSの表面1016R_HSの上に集束する。本明細書に記載する態様の各々において、光は画像キャプチャセンサの表面に向けられ、よって、簡潔性のために、光は画像キャプチャセンサ上に方向付けられると言われる。
【0181】
反射アセンブリ1040L及び1040Rの各々は、受光する光を反射する反射面1041L,1041R、例えば、鏡面を含む。
図9の例では、反射アセンブリ1040L及び1040Rは、それぞれ、反射被膜を有する1つの面を備えるプリズムとして実装されるか或いは各々がプリズムの斜辺での全反射(total internal reflection)を使用して実装される。1つの態様では、反射面1041Rを含む平面と画像キャプチャセンサ1010R_Vの表面1011R及び画像キャプチャセンサ1015R_HSの表面1016R_HSを含む平面との交差によって形成される角度θが45度の角度であり、よって、プリズムを45度プリズムと呼ぶ。45度プリズムの表面1041Rは、表面1014Rに近接する媒体が空気であり、よって、表面1041Rが反射性表面であるときに、全反射を示す。
【0182】
可視カラー画像キャプチャセンサ1010L_V及びハイパースペクトル画像キャプチャセンサ1015_HSは共平面である。即ち、センサ頂面1011L_V及び1016L_HSは、効果的に同じ平面にある。センサの底面1010L_V及び1015L_HSは、プラットフォーム1012の第1の表面によって定められる平面上にある。同様に、視覚画像キャプチャセンサ1010R_V及びハイパースペクトル画像キャプチャセンサ1015R_HSは、同一平面にあり、例えば、頂面1011R_V及び1016R_HSは、効果的に同じ平面にある。センサの底面1010R_V及び1015R_HSは、プラットフォーム1012の第2の表面によって定められる平面上にある。プラットフォーム1012は、2つの平面部品、例えば、軸1090に沿って接合された2つのセラミック部品で構成されてよい。プラットフォーム1012の第1の表面は、プラットフォーム1012の第2の表面の反対側にあり、除去される。
【0183】
1つの態様では、2つの画像キャプチャセンサ1010R_V,1015R_HSを含む第1の半導体ダイ1017Rが、第1のセラミックプラットフォーム上に取り付けられる。2つの画像キャプチャセンサ1010L_V,1015L_HSを含む第2の半導体ダイ1017Lが、第2のセラミックプラットフォーム上に取り付けられる。次に、2つのセラミックプラットフォームを互いに接合してプラットフォーム102を形成する。2つのダイ1017R,1017Lへのワイヤは、プラットフォーム1012内のチャネルを通される。ダイにおける2つの画像キャプチャセンサの使用は、例示的であるに過ぎず、限定的であることを意図しない。幾つかの態様において、2つの画像センサは、別個のダイにある(
図8Aを参照)。
【0184】
幾つかの態様において、プラットフォーム1012は使用されなくてよく、2つのセットの画像キャプチャセンサは、所要の接続に電力、制御、及びビデオケーブルを提供するように構成された、単一の構造に含められる。また、
図9に示すような画像キャプチャユニットにおける2つの共面画像キャプチャセンサの使用は、例示的であるに過ぎず、限定的であることを意図しない。
【0185】
画像キャプチャセンサの共面構成は、画像キャプチャセンサ1010R_V/1015R_HS(第1のペア)及び1010L_V/1015L_HS(第2のペア)によって取り込まれる異なる画像の再位置合わせ及びレンズアーチファクトを補償するための較正の必要性を排除する。上述のように、所与のペア内の2つの画像キャプチャセンサ間の空間関係は一定であり、所与のペア内の画像キャプチャセンサは共通のレンズアセンブリ、即ち、共通フロントエンド光学構造を共有するので、2つの画像キャプチャセンサによって取り込まれる画像のペアの空間的位置合わせは、焦点を変更することのような光学条件の変更中に時間に亘って一定のままである。平面視内視鏡では、画像キャプチャユニット1020L,1020Rのうちの1つのみが使用される。
【0186】
可視カラー画像キャプチャセンサ1010R_V及び1010L_Vは、それぞれ、可視カラー画像キャプチャセンサ921_Vと均等である。従って、可視カラー画像キャプチャセンサ921_Vに関して上述した態様は、ここでは繰り返されない。
【0187】
フィルタアセンブリ1050L及び1050Rは、それぞれ、フィルタアセンブリ940と均等である。従って、位置合わせ支援フィルタアセンブリ940に関して並びにフィルタ941及び942に関して上述した態様は、ここでは繰り返されない。
【0188】
(時間順次照明のための画像キャプチャユニット)
図10Aは、可視フレーム及びハイパースペクトルフレームを同時に取り込む新規な画像キャプチャユニットを含む更に別の内視鏡1150の例示である。内視鏡1150は、内視鏡1011の一例である。
【0189】
1つの態様において、内視鏡1150は、白色光照明及び時間順次ハイパースペクトル照明の組み合わせと共に使用される。この例において、内視鏡1150は、立体視内視鏡であるが、別の態様において、内視鏡1150は、平面視内視鏡である。画像キャプチャユニット又は複数の画像キャプチャユニットは、内視鏡1150の遠位端内に配置されることができ、或いは内視鏡1150の近位端で内視鏡の本体の外側に配置されることができる。矢印1190は、遠位方向及び近位方向を定める。
【0190】
態様において、内視鏡1150の遠位端は、2つの光パイプガイド領域1152,1153を含み、それらは、1つの態様において、組織1160上の白色光照明又は白色光照明及びハイパースペクトル照明の組み合わせのコーン1170を提供する。組織1160の特徴1163は、ハイパースペクトル照明、例えば、近赤外線照明で照らされるときに、より顕著である。
【0191】
内視鏡1150の遠位端は、この態様では、第1の画像キャプチャユニット窓1151Lや、第2の画像キャプチャユニット窓1151Rも含む。画像キャプチャユニット窓1151Lに連結される第1の画像キャプチャユニットが、第1の視野1154Lを有する。画像キャプチャユニット窓1151Rに連結される第2の画像キャプチャユニットが、第2の視野1154Rを有する。
【0192】
図10Bは、時間順次ハイパースペクトル照明源及び白色光照明源を備えるカメラ220L及び220Rとしての使用に適した画像キャプチャユニット1120の1つの態様の例示である。内視鏡1150内の1以上の照明チャネルからの光は、この例において、組織1160を照らす。
図10Bに示されていないが、内視鏡1150の視野内の1以上の手術器具も、照明チャネルからの光を介して照らされてよい。内視鏡内の照明チャネルの使用は、例示的であるに過ぎず、本明細書に提示する様々な例において限定的であることを意図しない。照明は、内視鏡内の照明源によって或いは内視鏡の内部又は外部にある他の装置によって提供されてよい。
【0193】
組織1160から反射される光及び任意の蛍光は、レンズアセンブリ1105によって光1101として受光される。レンズアセンブリ1105は、受光する光をセンサアセンブリ1121に導く1以上の光学コンポーネントを含んでよい。幾つかの態様において、レンズアセンブリ1105は、折り畳まれる。
【0194】
レンズアセンブリ1105からの光は、センサアセンブリ1121に進む。幾つかの態様において、レンズアセンブリ1105は、画像センサ1121_V及び1121_HSの機械的分離によって与えられる異なる後方焦点距離を利用し、長手方向の色収差は、表面1111から異なる距離でセンサを位置付けることによって順応させられる。
【0195】
センサアセンブリ1121内で、光は、この態様においてビームスプリッタキューブ1110の対角線上に配置されたビームスプリッタ1111と相互作用する。1つの態様において、ビームスプリッタ1111は、埋込み被覆面として実装される。
【0196】
ビームスプリッタキューブの使用は、例示的であるに過ぎず、限定的であることを意図しない。例えば、ビームスプリッタ1111は、空間内に位置付けられたフィルタであることができる。
【0197】
ビームスプリッタ1111は、レンズアセンブリ1105から受光する光の第1の部分1102を可視カラー画像キャプチャセンサ1121_Vに導き、レンズアセンブリ1105から受光する光の第2の部分1103をハイパースペクトル画像キャプチャセンサ1121_HSに導く。
図10Bの例において、ビームスプリッタ1111は、レンズアセンブリ1105から受光する光の第1の部分1102を可視カラー画像キャプチャセンサ1121Vに反射し、レンズアセンブリ1105から受光する光の第2の部分1103をハイパースペクトル画像キャプチャセンサ121_HSに伝える。本明細書に記載する態様の各々において、光は、画像キャプチャセンサの表面に向けられる、即ち、集束されるので、簡潔性のために、光は画像キャプチャセンサ上に向けられると言われる。
【0198】
光の第1の部分1102及び光の第2の部分1103内の光の波長は、ビームスプリッタ1111の特性によって決定される。一例において、ビームスプリッタ1111は、光の第1の部分1102が、レンズアセンブリ1105から受光する可視光の第1の部分であり、光の第2の部分1103が、レンズアセンブリ1105から受光する可視光の第2の部分とレンズアセンブリ1105から受光するハイパースペクトル光との組み合わせである、ように構成される。一例において、第1の部分1102は、約670nm以下の波長を備える可視スペクトル内の可視光であり、光1101の第2の部分1103は、670nmを超える波長を備える可視光及びレンズアセンブリ1105から受光するハイパースペクトル光、例えば、約670ナノメートルよりも長く1.7マイクロメートル以下である波長を備える光である。ここで、約670ナノメートルが使用されるのは、ビームスプリッタ1111が埋込み被覆層として実装されるときに、被覆層は入射光の一部が両方の画像キャプチャセンサに向けられる移行ゾーンを有するからである。例えば、670nm±20nmの波長を備える光は、可視カラー画像キャプチャセンサ1121_Vに行くことからハイパースペクトル画像キャプチャ1121_HSに移行する。故に、約670ナノメートルは、約670ナノメートルの移行ゾーン内を意味する。
【0199】
光1101の第1の部分1102は、可視カラー画像キャプチャセンサ1121_Vの上に集束される。1つの態様において、可視カラー画像キャプチャセンサ1121_Vは、400ナノメートル~約670ナノメートルの範囲内の波長を有する光を取り込む。例えば、可視カラー画像キャプチャセンサ1121_Vは、バイエルの赤-緑-青カラーフィルタアレイ又は赤-緑-青-白カラーフィルタアレイを備える小型画素COMS画像キャプチャセンサである。センサ1121_Vと呼ぶことがある可視カラー画像キャプチャセンサ1121_Vは、機械的構造及びエレクトロニクス1127に連結される。機械的構造及びエレクトロニクス1127は、センサ1121_Vを保持するための機械的構造と、センサ1121_Vに接続されるエレクトロニクスとを含む。
【0200】
レンズアセンブリ1105からの光1101の第2の部分1103は、ハイパースペクトル画像キャプチャセンサ1121_HSの上に集束される。1つの態様において、ハイパースペクトル画像キャプチャセンサ1121_HSは、約670ナノメートル~1.7マイクロメートルの範囲内の波長を有する光を取り込む。ハイパースペクトル画像キャプチャセンサ1121_HSは、単色大型画素画像キャプチャセンサ、例えば、5~20マイクロメートルの画素を備えるInGsAsセンサ又は類似のサイズの画素を備えるHgCdTeセンサである。
【0201】
ハイパースペクトル画像キャプチャセンサ1121_HS及び可視カラー画像キャプチャセンサ1121_Vは、異なる半導体技術で実装されることができ、従って、異なるシャッタアーキテクチャ、例えば、可視カラー画像キャプチャセンサ1121_Vのためのロールシャッタ及びハイパースペクトル画像キャプチャセンサ1121_HSのためのグローバルシャッタを有してよい。2つの画像センサの位置決めは、製造時に独立した焦点合わせ(focusing)を可能にする。加えて、2つの画像センサは、異なる画素サイズ及び異なるアクティブ領域を有してよい。
【0202】
センサ1121_HSと呼ぶことがあるハイパースペクトル画像キャプチャセンサ1121_HSは、機械的構造、冷却、及びエレクトロニクス1126に連結される。機械的構造、冷却構造、及びエレクトロニクス1126は、センサ1121_HSを保持するための機械的構造、センサ1121_HSのための冷却構造、及びセンサ1121_HSに接続されるエレクトロニクスを含む。
【0203】
画像キャプチャユニット1120は、
図9に示すように実装されることもできる。しかしながら、時間順次ハイパースペクトル照明のために、位置合わせ支援フィルタアセンブリ1050L及び1050Rは取り外される。
【0204】
1つの態様では、単色ハイパースペクトル画像キャプチャセンサ1121_HSの代わりに、センサ1121_HSの画素上のカラーフィルタアレイが、瞬時照明スペクトル成分と画素上のフィルタとの組み合わせである「原色(primaries)」の他のセットを生成する。これは順次照明パターンの数を減らす。何故ならば、照明は、各フィルタの背後の画素を照らす光を同時に含むことができるからである。これは有益である。何故ならば、それは取得のための時間を短縮し、時間順次撮像と関連付けられる時間アーチファクトを除去することの故にプロセスを簡素化するからである。よって、このアプローチは、組織追跡及び画像の再整列の必要性を排除する。何故ならば、ハイパースペクトル撮像素子からの画像が全ての波帯についての情報を同時に含むからである。トレードオフは、空間分解能の低下である。
【0205】
レンズアセンブリ1105は、組織内の蛍光体を励起するために使用される光の幾らかの波長を遮断するフィルタを含んでよい。-例えば、蛍光及び励起がスペクトルの近赤外部分内にあるならば、これは可視画像の画質を妥協せずに行われることがある。その場合、照明器は、励起光を時間順次波帯の1つとして使用してよく、蛍光体信号は、レンズアセンブリ1105内の遮断フィルタの故に、カメラによって「見られ」、励起によって圧倒されない。蛍光体は、天然に発生する分子、又は特定の組織タイプ、状態、若しくは臨床的に関心のある他の要素をタグ付けするために組織内に導入される分子であってよい。よって、スペクトルイ撮像を用いた蛍光体の検出を散在させることができる。
【0206】
(内視鏡及びハイパースペクトル能力を備える第2のツール)
上記の例では、平面視又は立体視の内視鏡が、1つの態様において、コンピュータ支援手術システムのアームに取り付けられ、他の手術器具が、コンピュータ支援手術システムの別のアームに取り付けられた。
図1を参照のこと。別の態様では、単一の入口ポートが使用される。
図11Aは、全てが有線(電気的又は光学的)又は無線接続1296によって相互接続された、内視鏡撮像システム1292、外科医コンソール1294(マスタ)、及び患者側支持システム1210(スレーブ)を含む、手術システム1200の態様を例示する概略側面図である。1以上の電子データプロセッサが、システム機能性を提供するためにこれらの主要コンポーネント内に様々に配置されてよい。複数の例が、本明細書に参照として援用する米国特許出願第11/762,165号に開示されている。
【0207】
患者側支持システム1210は、入口ガイドマニピュレータを含む。少なくとも1つの手術デバイスアセンブリが、入口ガイドマニピュレータに連結される。各手術デバイスアセンブリは、手術器具又はカメラ器具のいずれかを含む。例えば、
図11Aにおいて、1つの手術デバイスアセンブリは、外科的処置中に入口ガイド1215を通じて延びるシャフト1237-1を備える器具1235-1を含む。典型的には、入口ガイド1215は、複数のチャネルを含む。
【0208】
撮像システム1292は、例えば、本明細書に記載するように、手術部位の取り込まれた内視鏡撮像データ及び/又は患者外部の他の撮像システムからの術前若しくはリアルタイム画像データに対して、画像処理機能を実行する。撮像システム1292は、処理された画像データ(例えば、手術部位の画像並びに関連する制御及び患者情報)を外科医コンソール1294にいる外科医に出力する。幾つかの態様において、処理された画像データは、他の手術室要員に見える任意の外部モニタに或いは手術室から離れた1以上の場所に出力される(例えば、他の場所にいる外科医がビデオをモニタリングしてよい、トレーニングのためにライブフィードビデオが使用されてよいなど)。
【0209】
外科医コンソール1294は、外科医が、集合的にスレーブと呼ぶ、器具、(複数の)入口ガイド、及び撮像システムデバイスを操作することを可能にする、多自由度(「DOF」)機械入力デバイス(「マスタ」)を含む。これらの入力デバイスは、幾つかの態様において、器具及び手術デバイスアセンブリコンポーネントから外科医に触覚フィードバックを提供することがある。コンソール1294は、ディスプレイ上の画像がディスプレイスクリーンの背後/下方で働く外科医の両手に対応する距離に概ね集束されるように位置付けられる、立体視ビデオ出力ディスプレイも含む。これらの態様は、本明細書に参照として援用する米国特許第6,671,581号でより十分に論じられている。
【0210】
器具の挿入中の制御は、例えば、外科医がマスタの一方又は両方で画像中に提示される器具を動かすことによって達成されることがあり、外科医は、マスタを使用して、画像中の器具を左右に移動させ、器具を外科医に向かって引く。マスタの動作は、撮像システム及び関連する手術デバイスアセンブリに命令して、出力ディスプレイ上の固定的な中心点に向かって進ませ、患者の内側に前進させる。
【0211】
1つの態様において、カメラ制御は、マスタハンドルが移動させられるのと同じ方向に画像が移動するように、マスタが画像に固定される、という印象を与えるように設計される。この設計は、外科医がカメラ制御から出るときに、マスタが器具を制御する正しい場所にあるようにさせ、結果的に、この設計は、器具制御の開始又は再開の前に、マスタをクラッチ操作(係合解除)し(clutch (disengage))、移動させ(move)、且つクラッチ解除(係合)して(declutch (engage))適所に戻す必要性を回避する。
【0212】
幾つかの態様において、マスタ位置は、大きなマスタ作業空間を使用することを避けるために、挿入速度に比例させられてよい。代替的に、外科医は、マスタをクラッチ操作及びクラッチ解除して、挿入のためにラチェット動作を使用してよい。幾つかの態様において、挿入は、(例えば、手動ホイールによって)手動で制御されてよく、次に、手術デバイスアセンブリの遠位端が手術部位に近いときに、自動挿入(例えば、サーボモータ被駆動ローラ)が行われる。挿入軌跡に利用可能な空間及び患者の解剖学的構造の術前又はリアルタイム画像データ(例えば、MRI、X線)が挿入を支援するために使用されてよい。
【0213】
患者側支持システム1210が、フロア取付けベース1201又は代替的に天井取付けベース(図示せず)を含む。ベース1201は、移動可能であってよく、或いは(例えば、フロア、天井、壁、又は手術台のような他の機器に)固定されてよい。
【0214】
ベース1201は、受動的な制御されないセットアップアームアセンブリ1220と、能動的に制御されるマニピュレータアームアセンブリ1230とを含む、アームアセンブリを支持する。能動的に制御されるマニピュレータアームアセンブリ1230を入口ガイドマニピュレータ1230と呼ぶ。
【0215】
カニューレ1216が、カニューレマウントに取り外し可能に連結される。この記述において、カニューレは、典型的には、器具又は入口ガイドが患者組織上で擦れるのを防止するために使用される。カニューレは、切開部及び自然開口部の両方のために用いられる。器具又は入口ガイドがその挿入軸(長手軸)に対して頻繁に並進又は回転しない状況において、カニューレは使用されないことがある。通気(insufflation)を必要とする状況において、カニューレは、器具又は入口ガイドを通り過ぎる過剰な通気ガス漏れを防止するシールを含んでよい。手術部位で通気ガスを必要とする処置及び通気を支持するカニューレアセンブリの例は、(2010年2月12日に出願された「Entry Guide for Multiple Instruments in a Single Port System」を開示する)米国特許出願第12/705,439号に見出されることがあり、その全文を全ての目的のために本明細書に参照として援用する。通気を必要としない胸部手術では、カニューレシールは省略されてよく、器具又は入口ガイド挿入軸の動きが最小であるならば、カニューレ自体が省略されてよい。剛的な入口ガイドは、入口ガイドに対して挿入される器具のための幾つかの構成において、カニューレとして機能することがある。カニューレ及び入口ガイドは、例えば、鋼又は押出プラスチックであってよい。鋼よりも安価なプラスチックは、1回限りの使用に適することがある。
【0216】
様々な受動セットアップジョイント/リンク及び能動ジョイント/リンクは、患者が可動テーブル上の様々な位置に配置されるときに、器具及びカメラアセンブリを大きな可動域(range of motion)で移動させる器具マニピュレータの位置決めを可能にする。幾つかの実施形態において、カニューレマウントは、第1のマニピュレータリンクに連結されてよい。
【0217】
マニピュレータアームにおける特定のセットアップ並びに能動ジョイント及びリンクは、手術システムのサイズ及び形状を減少させるために省略されてよく、或いはジョイント及びリンクは、自由度を増加させるために追加されてよい。マニピュレータアームは、手術のための所要の範囲の姿勢を達成するために、リンク、受動ジョイント、及び能動ジョイントの様々な組み合わせを含んでよい(冗長DOFが提供されてよい)ことが理解されるべきである。更に、様々な器具のみ又は入口ガイドを含む手術デバイスアセンブリ、複数の器具、及び/又は複数の入口ガイド、並びに(例えば、器具伝動手段(instrument transmission means)又は器具マニピュレータの近位面又は遠位面上で)様々な構成を介して器具マニピュレータ(例えば、アクチュエータアセンブリ)に連結される器具は、本開示の態様において適用可能である。
【0218】
複数の手術デバイスアセンブリ1280の各々は、器具マニピュレータアセンブリと、手術器具及びカメラアセンブリのうちの1つとを含む。
図11Aでは、複数の手術デバイスアセンブリ1280のうちの2つが見え、2つの可視手術デバイスアセンブリの各々は、器具マニピュレータアセンブリと、手術器具又はカメラアセンブリとを含む。器具マニピュレータアセンブリ1240-1及び1240-2の各々は、1つの態様において、コンピュータ支援され、よって、それらの各々をコンピュータ支援器具マニピュレータアセンブリと呼ぶことがある。器具マニピュレータアセンブリ1240-1,1240-2の各々は、異なる挿入アセンブリによって入口ガイドマニピュレータアセンブリ1233に連結され、例えば、器具マニピュレータアセンブリ1240-1は、挿入アセンブリ1236-1によって入口ガイドマニピュレータアセンブリ1233に連結される。
【0219】
1つの態様において、挿入アセンブリ1236-1は、対応する手術デバイスアセンブリを入口ガイドマニピュレータアセンブリ1233から離れる方向及び入口ガイドマニピュレータアセンブリ1233に向かう方向に移動させる伸縮アセンブリ(telescoping assembly)である。
図11Aにおいて、挿入アセンブリ1236-1は、完全に引っ込められた位置にある。
【0220】
各器具マニピュレータアセンブリ1240-1,1240-2は、器具マニピュレータアセンブリ1240-1,1240-2の出力インタフェースにおいて複数の出力を駆動する複数のモータを含む。器具1235-1,1235-2の各々は、伝動装置ユニット(transmission unit)を収容する本体を含む。伝動装置ユニットは、複数の入力を含む入力インタフェースを含む。器具1235-1,1235-2の各々は、本体から遠位方向に延びる主チューブと呼ぶことがあるシャフト1237-1,1237-2も含む。エンドエフェクタが、手術器具のシャフトの遠位端に連結され、画像キャプチャユニット、例えば、カメラが、内視鏡と呼ぶことがあるカメラ器具のシャフトの遠位端内に含められる。器具マニピュレータアセンブリ及び手術器具の一例について、参照として援用する(2013年8月15日に出願された)米国特許出願第61/866,115号を参照のこと。
【0221】
器具1235-1,1235-2の各々は、器具1235-1,1235-2内の伝動装置ユニットの入力インタフェースにおける複数の入力が器具マニピュレータアセンブリ1240-1,1240-2の器具マウントインタフェースにおける複数の出力によって駆動されるように、対応する器具マニピュレータアセンブリ1240-1,1240-2の器具マウントインタフェースに連結される。(2013年8月13日に出願された)米国特許出願第61/866,115号を参照のこと。
【0222】
1つの態様において、1以上の器具マニピュレータアセンブリは、カメラ器具のような特定の種類の器具を支持して作動させるように構成されてよい。
図11Aに示すように、複数の手術デバイスアセンブリ1280のシャフトは、器具の本体から遠位に延びる。シャフトは、入口ポートに配置されたる共通カニューレ1216を通じて(例えば、体壁又は自然開口部を通じて)患者内に延びる。1つの態様では、入口ガイド1215がカニューレ1216内に位置付けられ、各器具シャフトは、器具シャフトのための追加的な支持をもたらすよう、入口ガイド1215内のチャネルを通じて延びる。
【0223】
手術システム1200を使用して実行することができる手術は、身体の異なる領域で実行されてよい。例えば、1つの手術は、患者の口を通じて実行されてよい。他の手術は、患者の肋骨の間で実行されてよい。他の手術は、患者の他の開口部又は患者の切開部を通じて実行されてよい。患者内への各々の異なる入力は、入口ガイドの異なる形状及び/又は異なるサイズを必要とすることがある。よって、特定の手術のために適切な入口ガイド1215が選択される。
【0224】
上述の態様において、内視鏡は、可視フレーム及びハイパースペクトルフレームを同時に取り込んだ画像キャプチャユニットを含むか或いはそのような画像キャプチャユニットに連結された。しかしながら、別の態様では、標準カメラ器具135-2、例えば、立体視内視鏡が、ハイパースペクトル画像キャプチャユニット及び深さ測定デバイス、例えば、深さカメラ、超音波デバイスなどを含む、第2のツール、例えば、手術器具1235-1と共に使用される。
【0225】
図11Bは、内視鏡1235-2B及び別の手術器具1235-1Bのより詳細な例示である。手術器具1235-1Bは、ハイパースペクトル画像キャプチャ能力を有する。
【0226】
1つの態様において、内視鏡1235-2Bは、白色光照明と時定又は時間順次ハイパースペクトル照明のいずれかとの組み合わせと共に使用される。この例において、内視鏡1235-2Bは、立体視内視鏡であるが、別の態様において、内視鏡1235-2Bは、平面視内視鏡である。画像キャプチャユニット又は複数の画像キャプチャユニットを内視鏡1235-2Bの遠位端内に配置することができ、或いは内視鏡1235-2Bの近位端で内視鏡の本体の外側に配置することができる。矢印1290は、遠位方向及び近位方向を定めている。
【0227】
この態様において、内視鏡1235-2Bの遠位端は、1つの態様において、組織1260上の白色光照明又は白色光照明とハイパースペクトル照明との組み合わせのコーン1270を提供する、2つの光パイプガイド領域1252,1253を含む。組織1260の特徴1263は、ハイパースペクトル照明、例えば、近赤外線照明で照らされるときに、より顕著である。
【0228】
内視鏡1235-2Bの遠位端は、この態様において、第1の画像キャプチャユニット窓1251Lと、第2の可視画像キャプチャユニット窓1251Rとを含む。画像キャプチャユニット窓1251Lに連結される第1の可視画像キャプチャユニットが、第1の視野1254Lを有する。画像キャプチャユニット窓1251Rに連結される第2の可視画像キャプチャユニットが、第2の視野1254Rを有する。可視画像キャプチャユニットによって取り込まれるフレームは、可視画像処理パイプライン310について上述したように処理されて、外科医コンソール1294上に立体視可視画像のビデオシーケンスを生成する。
【0229】
手術器具1235-1Bの遠位端は、この態様において、ハイパースペクトル画像キャプチャユニットウィンドウ1256や、深さ感知ユニット窓1257も含む。ハイパースペクトル画像キャプチャユニット窓1256に結合されるハイパースペクトル画像キャプチャユニットが、第3の視野1258を有する。深さ感知窓1257に連結される深さ感知ユニットが、第4の視野1259を有する。
【0230】
縮尺通りでない
図11Bに示すように、立体視内視鏡1235-2Bの視野は、ハイパースペクトル画像キャプチャユニットの視野1258及び視野1259と重なり合う(オーバーラップする)。視野の各々は、組織1260の特徴1263を含む。
【0231】
図12A及び
図12Bは、手術器具1235-1Bにおける使用に適したハイパースペクトルカメラの例である。
図12Aの例において、ハイパースペクトル画像キャプチャユニット1320Aは、時定ハイパースペクトル照明源のための手術器具1235-1Bにおいて使用される。
【0232】
ハイパースペクトル画像キャプチャユニット1320Aは、手術器具の遠位端にある窓1256Aを含む。窓1256Aは、関心波長、例えば、700ナノメートル~2.4マイクロメートルの波長を通す被膜1311(コーティング)を含む。よって、組織1260から反射される光及び組織1260からの任意の蛍光である光1301は、窓1256Aによって受光される。ハイパースペクトル画像キャプチャユニット1320Aのレンズアセンブリ1305は、窓1256A上の被膜1311を通過する光1302を受光する。別の態様では、フィルタが、窓1256A上のコーティングを使用する代わりに、窓1256Aとレンズアセンブリ1305との間に配置される。フィルタ1311は、組織1260から受光するハイパースペクトル光及び組織260から受光する可視光の一部分の組み合わせを通すように構成される。
【0233】
レンズアセンブリ1305は、受光する光をセンサアセンブリ1321に向ける、即ち、集束する、1以上の光学コンポーネントを含んでよい。幾つかの態様において、レンズアセンブリ1305は、折り畳まれる。
【0234】
レンズアセンブリ1305から受光する可視光とレンズアセンブリ1305から受光するハイパースペクトル光との組み合わせは、ハイパースペクトル画像キャプチャセンサ1321の上に集束される。1つの態様において、ハイパースペクトル画像キャプチャセンサ1321は、700ナノメートル~1.7又は2.4マイクロメートルの範囲内の波長を有する光を取り込む。画像キャプチャセンサ1324の各画素によって取り込まれる波長の範囲は、フィルタアセンブリ1340の特性及びセンサ1321のスペクトル応答に依存する。フィルタアセンブリ1340は、上述のフィルタアセンブリ940と均等であり、よって、記述はここでは繰り返されない。ハイパースペクトル画像キャプチャセンサ1321は、単色大画素画像キャプチャセンサ、例えば、5~20マイクロメートルの画素を備えるInGsAsセンサ又は類似のサイズの画素を備えるHgCdTeセンサである。ハイパースペクトル画像キャプチャユニット1320は、グローバルシャッタ又はロールシャッタのいずれかを有することができる。
【0235】
センサ1321と呼ぶことがあるハイパースペクトル画像キャプチャセンサ1321は、機械的構造、冷却構造、及びエレクトロニクス1326に連結される。機械的構造、冷却構造、及びエレクトロニクス1326は、センサ1321を保持するための機械的構造、センサ1321のための冷却構造、及びセンサ1321に接続されるエレクトロニクスを含む。
【0236】
一定ハイパースペクトル照明を備えるシステムのために、1以上の波帯がシーンを照明しており、画像キャプチャセンサ1321に近接するフィルタアセンブリ1340は、ハイパースペクトル情報を単一フレームに符号化する画像を提供するよう、画素化される。
【0237】
図12Bは、時間順次ハイパースペクトル照明源及び白色光照明源を備える手術器具1235-1Bにおける使用に適した画像キャプチャユニット1320Bの1つの態様の例示である。ハイパースペクトル画像キャプチャユニット1320Bは、手術器具の遠位端にある窓1256Bを含む。窓1256Bは、関心波長、例えば、約670ナノメートルより長く1.7マイクロメートル以下である波長を通す、被膜を含む。よって、組織1260から反射される光及び任意の蛍光である光1331は、窓1256Bによって受光される。ハイパースペクトル画像キャプチャユニット1320Bのレンズアセンブリ1315は、窓1256Bの被膜を通過する光1332を受光する。別の態様では、フィルタ1341が、窓1256B上の被膜を使用する代わりに、窓1256Bとレンズアセンブリ1315との間に配置され、或いは被膜はレンズアセンブリ1315内に含められる。フィルタ1341は、組織1260から受光するハイパースペクトル光及び組織1260から受光する可視光の一部分との組み合わせを通るように構成される。
【0238】
レンズアセンブリ1315は、受光する光をセンサアセンブリ1322に導く1以上の光学コンポーネントを含んでよい。幾つかの態様において、レンズアセンブリ1315は、画像センサの前に折畳みプリズム(fold prism)と共に折り畳まれる。
【0239】
レンズアセンブリ1315からの光は、ハイパースペクトル画像キャプチャセンサ1322に進み、例えば、ハイパースペクトル画像キャプチャセンサ1322の上に集束される。1つの態様において、ハイパースペクトル画像キャプチャセンサ1322は、670ナノメートル~1.7マイクロメートルの範囲内の波長を有する光を取り込む。ハイパースペクトル画像キャプチャセンサ1322は、単色大画素画像キャプチャセンサ、例えば、5~20マイクロメートルの画素を備えるInGsAsセンサ又は類似のサイズの画素を備えるHgCdTeセンサである。
【0240】
センサ1322と呼ぶこともあるハイパースペクトル画像キャプチャセンサ1322は、機械的構造、冷却構造、及びエレクトロニクス1327に連結される。機械的構造、冷却構造、及びエレクトロニクス1327は、センサ1322を保持するための機械的構造、センサ1322のための冷却構造、及びセンサ1322に接続されるエレクトロニクスを含む。
【0241】
本発明の態様及び実施形態を例示する上記記述及び添付の図面は、限定的であると理解されてならない-クレームが、保護される発明を定義する。本記述及び請求項の精神及び範囲から逸脱せずに様々な機械的、組成的、構造的、電気的、及び動作的変更が行われてよい。幾つかの例において、周知の回路、構造、及び技法は、発明的な態様を不明瞭にすることを避けるために、詳細に示されておらず或いは記載されていない。
【0242】
更に、この記述の用語は、本発明を限定することを意図しない。例えば、「下方(beneath)」、「下(below)」、「下方(lower)」、「上(above)」、「上方(upper)」、「近位(proximal)」、「遠位(distal)」、及び同等の表面のような、空間的に相対的な用語は、図に例示されるような他の要素又は特徴に対する1つの要素又は特徴の関係を記述するために使用されることがある。これらの空間的に相対的な用語は、図に示される位置及び向きに加えて、使用又は動作中のデバイスの異なる位置及び向きを包含することが意図されている。例えば、図中のデバイスがひっくり返されるならば、他の要素又は特徴のが「下」又は「下方」として記述される要素は、次に、他の要素又は特徴の「上」又は「上方」となるであろう。よって、例示的な用語「下」は、上及び下の位置及び向きの両方を包含することができる。デバイスは、(90度又は他の配向で回転させられた)他の方向に向けられてよく、本明細書で使用する空間的に相対的な記述子は、相応して解釈される。
【0243】
単数の形態は、文脈が他のことを示さない限り、複数の形態も含むことを意図する。「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(includes)」、及び同等の表現は、記載される特徴、ステップ、動作、要素、及び/又はコンポーネントの存在を特定するが、1以上の他の特徴、ステップ、動作、要素、コンポーネント、及び/又はグループの存在又は追加を排除しない。
【0244】
全ての例及び例示的参照は、非限定的であり、本明細書に記載する特定の実施及び実施形態並びにそれらの均等物に請求項を限定するために使用されてならない。あらゆる見出しは専らフォーマットのためであり、主題を如何様に限定するためにも使用されてならない。何故ならば、1つの見出しの下の本文は、1以上の見出しの下の本文を相互参照するか或いは1以上の見出しの下の本文に当て嵌まることがあるからである。最後に、この開示を鑑みて、1つの態様又は実施形態に関連して記載される特定の特徴は、たとえ図面に具体的に示されておらず或いは本文に記載されていないとしても、本発明の他の開示の態様又は実施形態に適用されてよい。
【0245】
メモリは統合された構造として例示されているが、これは全てのメモリが同じ物理的場所にあることを要求するものと解釈されてならない。メモリの全部又は一部は、プロセッサとは異なる物理的場所にあることができる。メモリとは、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、又はこれら2つの任意の組み合わせを指す。
【0246】
プロセッサは、プロセッサによって実行される指令を含むメモリに連結される。これはコンピュータシステム内で達成されることができ、或いは代替的に、モデム及びアナログライン又はデジタルインタフェース及びデジタルキャリアラインを介した別のコンピュータへの接続を介して達成することができる。
【0247】
ここで、コンピュータプログラム製品(コンピュータプログラム)は、本明細書に記載する方法及び/又はプロセスの任意の1つ又は任意の組み合わせに必要なコンピュータ可読コードを格納するように構成された媒体、或いは本明細書に記載する方法及び/又はプロセスの任意の1つ又は任意の組み合わせのためのコンピュータ可読コードが格納される媒体を含む。コンピュータプログラム製品の幾つかの例は、CD-ROMディスク、DVDディスク、フラッシュメモリ、ROMカード、フロッピーディスク、磁気テープ、コンピュータハードドライブ、ネットワーク上のサーバ、及びコンピュータ可読プログラムコードを表すネットワークを通じて送信される信号である。有形のコンピュータプログラム製品は、本明細書に記載する方法及び/又はプロセスの任意の1つ又は任意の組み合わせのためのコンピュータ可読指令を格納するように構成された媒体、或いは本明細書に記載する方法及び/又はプロセスの任意の1つ又は任意の組み合わせのためのコンピュータ可読指令が格納される媒体を含む。有形のコンピュータプログラム製品は、CD-ROMディスク、DVDディスク、フラッシュメモリ、ROMカード、フロッピーディスク、磁気テープ、コンピュータハードドライブ及びその他の物理的記憶媒体である。
【0248】
この開示に鑑みて、本明細書に記載する方法及び/又はプロセスの任意の1つ又は任意の組み合わせのための指令は、ユーザが関心を有するオペレーティングシステム及びコンピュータプログラミング言語を使用して、多種多様なコンピュータシステム構成において実装されることができる。