(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】椎弓根ベースの椎間板内固定
(51)【国際特許分類】
A61B 17/70 20060101AFI20240509BHJP
A61B 17/86 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
A61B17/70
A61B17/86
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023064007
(22)【出願日】2023-04-11
【審査請求日】2023-04-11
(32)【優先日】2022-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507400686
【氏名又は名称】グローバス メディカル インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】マーク ウェイマン
(72)【発明者】
【氏名】マイルス サリヴァン
(72)【発明者】
【氏名】カーリー トーヴェンクラウト
(72)【発明者】
【氏名】チャド グレラム
(72)【発明者】
【氏名】コーベット マクラフリン
【審査官】段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0057141(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0160967(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/70
A61B 17/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
椎弓根ベースの椎間板内インプラントであって、
外側ねじ山付き部分を有する近位端から、骨を係合するように構成された、鋭利な先端を有する遠位端まで延在する曲げ可能なロッドと、
ねじ山付きねじ頭と、中央長手方向軸に沿って延在するシャフトと、を有する骨締結具であって、前記骨締結具は、前記曲げ可能なロッドを受容するためのチャネルを画定し、前記チャネルは、前記中央長手方向軸に沿って延在する直線部分と、前記シャフトの側壁を通る出口を備えた湾曲部分と、を有する、骨締結具と、
前記骨締結具の前記ねじ頭と係合するための雌ねじ山付き座部と、前記曲げ可能なロッドの前記近位端を受容するための空洞を画定する中央突出部と、を有する係止キャップと、を備える、椎間板内インプラント。
【請求項2】
前記係止キャップは、前記雌ねじ山付き座部に対向する駆動凹部を画定する円筒体を有する、請求項1に記載の椎間板内インプラント。
【請求項3】
前記係止キャップの前記中央突出部内の前記空洞は、ねじ山付きではなく、前記ロッドを前方に押し、それによって前記ロッドをしっかり圧迫するように構成されている、請求項1に記載の椎間板内インプラント。
【請求項4】
前記係止キャップの前記中央突出部内の前記空洞はねじ山付きであり、前記曲げ可能なロッドの前記外側ねじ山付き部分と嵌合し、それによって、前記ロッドを後方に引いて前記ロッドを固定するように構成されている、請求項1に記載の椎間板内インプラント。
【請求項5】
前記チャネルの前記直線部分は、前記ねじ頭を通って、前記骨締結具の遠位端に向かって前記シャフトに沿って延在し、前記チャネルの前記湾曲部分は、前記骨締結具の前記遠位端の近くに位置する、請求項1に記載の椎間板内インプラント。
【請求項6】
前記曲げ可能なロッドは、前記ロッドが直線構成を有し、湾曲構成へと曲げることができるように可撓性である、請求項1に記載の椎間板内インプラント。
【請求項7】
前記湾曲構成では、前記曲げ可能なロッドは、直線部分と、前記ロッドが180°まで弧状に湾曲する湾曲部分と、を有する、請求項6に記載の椎間板内インプラント。
【請求項8】
前記曲げ可能なロッドは、形状記憶材料で形成される、請求項1に記載の椎間板内インプラント。
【請求項9】
前記曲げ可能なロッドは、ニチノールで形成される、請求項8に記載の椎間板内インプラント。
【請求項10】
前記曲げ可能なロッドの遠位部分は、平坦面を伴う多角形断面を有し、前記曲げ可能なロッドの近位部分は、円筒形状を有する、請求項1に記載の椎間板内インプラント。
【請求項11】
前記骨締結具は椎弓根ねじであり、前記椎弓根ねじは、前記椎弓根ねじを挿入するための器具を受容するように構成された凹部を含む近位端と、下椎骨の椎弓根に挿入されるように構成された先端を有する遠位端と、を有する、請求項1に記載の椎間板内インプラント。
【請求項12】
ハイブリッドインプラントであって、
骨を係合するように構成された曲げ可能なロッドと、
ねじ頭と、シャフトと、を有する骨締結具であって、前記骨締結具は、前記曲げ可能なロッドを受容するためのチャネルを画定し、前記チャネルは、前記ねじ頭を通って前記シャフトの一部に沿って延在する直線部分と、前記シャフトの側壁を通る出口を備えた湾曲部分と、を有する、骨締結具と、
前記骨締結具の前記ねじ頭と係合するための内側座部と、前記曲げ可能なロッドの一端を受容するための空洞を画定する中央突出部と、を含む、係止キャップと、
前記係止キャップに連結されたチューリップヘッドであって、前記チューリップヘッドは、脊椎ロッドを受容するサイズであり、前記脊椎ロッドを受容するように構成された、ロッドスロットを画定している一対の対向するアームを備えた本体を有する、チューリップヘッドと、を備える、インプラント。
【請求項13】
前記チューリップヘッドは、剛性アームを用いて前記係止キャップに一体的に連結される、請求項12に記載のインプラント。
【請求項14】
前記チューリップヘッドは、前記係止キャップに対して側方にオフセットしている、請求項12に記載のインプラント。
【請求項15】
前記ねじ頭は雄ねじ山付きであり、前記係止キャップの前記内側座部は雌ねじ山付きであり、それによって前記ねじ頭と螺合する、請求項12に記載のインプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、外科用デバイスに関し、より具体的には、椎弓根ベースの椎間板内固定デバイス及び関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
外傷又は老化など様々な要因によって変性した椎間板に関連する疼痛に対処するための一般的な処置には、1つ以上の隣接する椎体を固定するための椎弓根ねじ固定及び/又は椎間固定の使用が含まれ得る。概して、例えば、ロッド構造体を用いた両側椎弓根ねじ固定は、例えば、脊椎固定の補助として、2つ以上の隣接する椎体を安定化させるための治療の標準として、変性椎間板疾患及び多数の他の脊椎病変を治療するために使用され得る。
【0003】
残念ながら、多くの医原性病理は椎弓根ねじ固定に関連しており、その例としては、ねじの誤配置、挿入中の筋肉/靭帯断裂、下椎弓根ねじ構造体による、隣接する上椎間関節障害に起因した隣接セグメント疾患、処置時間の増加、及び/又は器具類の不具合などが挙げられるが、これらに限定されない。脊椎固定の補助として使用され得る2つの隣接する椎体を安定させつつ、後方アプローチからの両側椎弓根ねじ構造体の医原性効果を低減させる固定システム及び方法に対する臨床的必要性が存在する。
【発明の概要】
【0004】
本出願によると、椎弓根ベースの椎間板内デバイス、システム、及び方法が提供される。特に、椎弓根ベースの椎間板内固定は、1つ以上の独立型デバイスとして使用され得るか、又は椎体間固定デバイスと併せて使用され得る。固定法は、下椎骨の椎弓根を通って、下脊椎骨の椎体内に、椎間板腔を通ってデバイスを挿入することと、隣接する上椎骨の椎体にデバイスを固定することと、を含み得る。本明細書に記載の椎弓根ベースの椎間板内固定デバイス及び方法は、脊椎固定のための十分な安定化力を提供しつつ、アクセス関連罹病率を改善し得る。
【0005】
一実施形態によると、下椎骨及び上椎骨を安定化させるための椎弓根ベースの椎間板内インプラントは、曲げ可能なロッドと、骨締結具と、係止キャップと、を含む。曲げ可能なロッドは、外側ねじ山付き部分を有する近位端から、骨を係合するように構成された、鋭利な先端を有する遠位端まで延在する。骨締結具は、ねじ山付きねじ頭と、中央長手方向軸に沿って延在するシャフトと、を有する。骨締結具は、曲げ可能なロッドを受容するためのチャネルを画定する。チャネルは、中央長手方向軸に沿って延在する直線部分と、シャフトの側壁を通る出口を備えた湾曲部分と、を有する。係止キャップは、骨締結具のねじ頭と係合するための雌ねじ山付き座部と、曲げ可能なロッドの近位端を受容するための空洞を画定する中央突出部と、を含む。
【0006】
椎弓根ベースの椎間板内インプラントは、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。係止キャップは、雌ねじ山付き座部に対向する駆動凹部を画定する円筒体を有し得る。係止キャップの中央突出部内の空洞は、ねじ山付きではなく、ロッドを前方に押し、それによってロッドをしっかり圧迫するように構成され得る。あるいは、係止キャップの中央突出部内の空洞は、ねじ山付きであり、曲げ可能なロッドの外側ねじ山付き部分と嵌合し、それによってロッドを後方に引いてロッドを固定するように構成され得る。チャネルの直線部分は、ねじ頭を通って、骨締結具の遠位端に向かってシャフトに沿って延在し得、チャネルの湾曲部分は、骨締結具の遠位端の近くに位置し得る。曲げ可能なロッドは、ロッドが直線構成を有し、湾曲構成へと曲げることができるように可撓性であり得る。湾曲構成では、曲げ可能なロッドは、直線部分と、ロッドが180°まで弧状に湾曲する湾曲部分と、を有し得る。曲げ可能なロッドは、ニチノールなど形状記憶材料で形成され得る。曲げ可能なロッドの遠位部分は、平坦面を伴う多角形断面を有し得、曲げ可能なロッドの近位部分は、円筒形状を有し得る。骨締結具は椎弓根ねじであり得、椎弓根ねじは、椎弓根ねじを挿入するための器具を受容するように構成された凹部を含む近位端と、下椎骨の椎弓根に挿入されるように構成された先端を有する遠位端と、を有する。
【0007】
別の実施形態によると、再置換処置で使用するのに好適なハイブリッドインプラントは、骨を係合するように構成された曲げ可能なロッドと、骨締結具と、係止キャップと、係止キャップに連結されたチューリップヘッドと、を含み得る。骨締結具は、ねじ頭と、シャフトと、を有する。骨締結具は、曲げ可能なロッドを受容するためのチャネルを画定する。チャネルは、ねじ頭を通って、シャフトの一部に沿って延在する直線部分と、シャフトの側壁を通る出口を備えた湾曲部分と、を有する。係止キャップは、骨締結具のねじ頭と係合するための内側座部と、曲げ可能なロッドの一端を受容するための空洞を画定する中央突出部と、を含む。チューリップヘッドは、脊椎ロッドを受容するサイズであり、脊椎ロッドを受容するように構成された、ロッドスロットを画定している一対の対向するアームを備えた本体を有する。
【0008】
ハイブリッドインプラントは、以下の特徴のうちの1つ以上を含み得る。チューリップヘッドは、剛性アームを用いて係止キャップに一体的に連結され得る。チューリップヘッドは、係止キャップに対して側方にオフセットし得る。チューリップヘッドのロッドスロットは、曲げ可能なロッドに平行に整列し得る。ねじ頭は雄ねじ山付きであり得、係止キャップの内側座部は雌ねじ山付きであり、それによってねじ頭と螺合し得る。
【0009】
更に別の実施形態によると、下椎骨及び上椎骨を安定化させるための方法は、任意の好適な順序で、以下のステップ、すなわち、(1)患者の脊椎に後方からアクセスすること、(2)ヘッド及びシャフトを有する締結具を、下椎骨の椎弓根及び下椎骨の椎体に挿入すること、(3)ロッドの遠位部分が、チャネルを通り、締結具の外側で湾曲して下椎弓根の椎体に入り、椎間板腔を通り、上椎骨の椎体に入るように、締結具内のチャネルを通してロッドを移動させること、並びに(4)係止キャップを締結具のヘッドにねじ込んでロッドと係合させ、それによって締結具及びロッドの位置決めを固定すること、のうちの1つ以上を含み得る。締結具及びロッドは、同時に展開され得るか、又は締結具が最初に展開され、ロッドがその後に展開され得る。本方法は、締結具内のチャネルを通してロッドを移動させる前に、ねじ山付き接合部を用いてロッドの近位端に器具を取り付けることを含み得る。本方法は、締結具内のチャネルを通してロッドを移動させる前に、ロッドを直線状にすることを含み得る。本方法は、下椎骨の同側椎弓根から展開される第1の締結具及び第1のロッドと、下椎骨の対側椎弓根を通して展開される第2の締結具及び第2のロッドと、を含む、2つのインプラントを設置することを含み得る。
【0010】
また、様々なタイプ及びサイズの椎弓根ベースの椎間板内固定デバイス、様々なタイプ及びサイズの椎体間固定デバイス、ロッド、締結具又はアンカー、k-ワイヤ、挿入ツール、及び他の器具、並びに手術を行うための他の構成要素を含むキットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本発明のより完全な理解、及びその付随する利点及び特徴は、添付の図面と併せて考慮される場合、以下の詳細な説明を参照することによってより容易に理解されるであろう。
【
図1】一実施形態による、下椎骨の椎弓根を通して埋め込まれ、上椎骨の椎体と係合された、椎弓根ベースの椎間板内固定インプラントを備える2つの椎骨の矢状図である。
【
図2】
図1の椎骨及び椎弓根ベースの椎間板内固定デバイスの後面図である。
【
図3】骨締結具、湾曲ロッド、及び係止キャップを含む、
図1の椎弓根ベースの椎間板内固定デバイスの斜視図である。
【
図4】
図3の椎弓根ベースの椎間板内固定デバイスの側面図である。
【
図5】一実施形態による、骨締結具に挿入された直線配向のロッドの断面図を示す。
【
図6】一実施形態による、骨締結具を通して位置付けられた、湾曲配向のロッドの断面図を示す。
【
図7】一実施形態による、湾曲ロッドが骨締結具から突出し、係止キャップが湾曲ロッドを固定する、椎弓根ベースの椎間板内固定デバイスの斜視図である。
【
図8】
図7の椎弓根ベースの椎間板内固定デバイスの側面図である。
【
図9】一実施形態による、カニューレ状骨締結具の斜視図である。
【
図10】一実施形態による、湾曲ロッドの斜視図である。
【
図11】一実施形態による、カニューレ状骨締結具の断面図である。
【
図12】一実施形態による、カニューレ状骨締結具及び直線配向のロッドの断面図を重ね合わせた側面図を示す。
【
図13】一実施形態による、カニューレ状骨締結具及び直線状のロッドを骨締結具内に位置付ける器具の断面図を示す。
【
図14】一実施形態による、器具を介して骨締結具を通って移動するロッド及び遠位端で湾曲を開始するロッドを示す。
【
図15】一実施形態による、器具を介して骨締結具内に完全に挿入されたロッド及び湾曲配向のロッドを示す。
【
図16】一実施形態による、骨締結具、湾曲ロッド、及びロッドをその中に固定する係止キャップを含む最終構造体を示す。
【
図17】ロッドを固定するための係止キャップの一実施形態の拡大断面図を示す。
【
図18】ロッドを固定するための係止キャップの別の実施形態の拡大断面図を示す。
【
図19】一実施形態による、下椎骨の椎弓根を通して埋め込まれ、上椎骨の椎体と係合される、一対の椎弓根ベースの椎間板内固定インプラントを備える2つの椎骨の後面図である。
【
図20】
図19に示す、2つの椎骨及び一対の椎弓根ベースの椎間板内固定インプラントの側面図である。
【
図21】
図19に示す、2つの椎骨及び椎弓根ベースの椎間板内固定インプラントの矢状図である。
【
図22】一実施形態による、改良されたチューリップヘッドを用いるハイブリッド事例用に構成された、椎弓根ベースの椎間板内固定デバイスの斜視図である。
【
図23】
図22に示す、改良されたチューリップヘッドを備える椎弓根ベースの椎間板内固定デバイスの代替的な斜視図である。
【
図24】
図22に示す、改良されたチューリップヘッドを備える椎弓根ベースの椎間板内固定デバイスの後面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
両側椎弓根ねじ固定は、変性椎間板疾患及び他の脊椎病変を治療するために使用されてきた。しかしながら、多くの医原性病変は、椎弓根ねじ固定に関連している。したがって、2つの隣接する椎体を安定させつつ、後方アプローチからの両側椎弓根ねじ構造体の医原性効果を低減させる固定法に対する必要性が存在する。一実施形態によると、下椎弓根ベースの椎間板内固定法は、独立した方法で、又は椎体間固定デバイスと併せて使用され得る。システムは、処置ステップを低減し、軟組織の断裂を最小限に抑え、最終的には、脊椎固定デバイスを併用して改善された安定性を提供しつつ、上椎間関節障害を排除して隣接セグメント疾患のリスクを低減することによって、アクセス関連罹病率を改善し得る。したがって、本出願の実施形態は、概して、2つの隣接する椎骨の椎弓根ベースの椎間板内固定のためのデバイス、システム、及び方法を対象とする。デバイス、固定デバイス、及びインプラントという用語は、本明細書において互換的に使用され得る。
【0013】
本発明の例示的な実施形態の追加の態様、利点、及び/又は他の特徴は、以下の詳細な説明を考慮して明らかになるであろう。本明細書で提供される記載された実施形態は、単に例示的かつ例示的であり、限定的ではないことが当業者には明らかであろう。多数の実施形態及びその修正が、本開示の範囲及びそれに対する等価物に該当するものとして企図される。
【0014】
ここで
図1及び
図2を参照すると、一実施形態による椎弓根ベースの椎間板内固定デバイス20を、2つの隣接する椎骨2、すなわち上椎骨4及び下椎骨6に埋め込まれた状態で示している。固定法は、例えば、後方から脊柱にアクセスし、デバイス20を下椎骨6の椎弓根8に挿入することを含み得る。必要に応じて、デバイス20の配置を容易にするために、下椎弓根8及び/又は下椎骨6の椎体12から骨が除去され得る。デバイス20は、下椎骨6の椎体12内へと更に進められ得る。デバイス20の位置及び配向は、外科医によって選択され得る。デバイス20は、隣接する上椎骨4の椎体10に挿入され、そこに固定されるように更に構成され得る。したがって、デバイス20は、2つの椎骨2の間の椎間板及び/又は椎間板腔14を横断し得る。このようにして、デバイス20は、後方アプローチから両方の椎骨2に埋め込まれ、それによって、隣接する椎骨2の固定を可能にするように構成され得る。1つ以上の椎弓根ベースのデバイス20は、単独で、又は椎体間固定デバイスと併せて使用され得る。本方法は、単一の下椎弓根8に関して示しているが、他の下椎弓根もまた、同一又は類似デバイスを受容し得ることを理解されたい。同一又は類似デバイスが、隣接するレベル又は他のレベルで使用され得ることも理解されたい。
【0015】
ここで
図3~
図8を参照すると、椎弓根ベースの椎間板内固定インプラント20をより詳細に示している。椎弓根ベースの固定インプラント20は、3つの生体適合性構成要素、すなわち、骨締結具22、ロッド24、及び係止キャップ26を含み得る。
図5及び
図6に最もよく示すように、骨締結具22は、ロッド24が進むためのカニューレ状経路42を含む。
図5に示すように、ロッド24が最初に骨締結具22に挿入されるとき、ロッド24は直線構成を有する。カニューレ状経路42は、締結具22の長さに沿って延在し、湾曲して締結具のシャフト38の側壁から出る。
図6に示すように、ロッド24が骨締結具22を通して完全に展開されると、ロッド24は湾曲し、締結具22の外側に突出する。ロッド24の湾曲部分は、下椎体6、椎間板腔14、及び上椎体4を通して固定されるように構成されている。
【0016】
ここで
図9及び
図11を参照すると、骨締結具22は、ねじ頭30を有する近位端から先端32を有する遠位端まで延在する椎弓根ねじなどねじであり得る。骨締結具22は、近位端と遠位端との間で中央長手方向軸Aに沿って延在する。ねじ頭30は、ねじ駆動器具又は他のデバイスによって係合され得る駆動凹部34(例えば、雌型六角状凹部又は他の好適な形状)を画定し得る。ねじ頭30は、シャフト38の直径に対して拡大され得る。ねじ頭30は、任意の好適な形状を有し得る。図示の実施形態では、ねじ頭30は、その周囲にねじ山36が付けられ、係止キャップ26と係合するように構成されている、曲面又は球面を有する。ねじ頭30のねじ山付き部分36は、係止キャップ26の座部62と螺合するように構成されている。ねじ頭30は、うね付きであり得る、粗面化され得る、又は係止キャップ26と嵌合するように別様に構成され得ることを理解されたい。
【0017】
ねじ22は、骨を係合するように構成された複数のねじ山40を有するシャフト38を有する。ねじ山40は、リード、ねじ山ピッチ、ねじ山角、シャフト径対ねじ山径、シャフトの全体形状などいくつかの異なる特徴を有して、挿入及び/又は骨への取り付けを向上させ得ることを理解されたい。また、ねじ山付きシャフト38は、骨を係合するように構成されたアンカー、クランプなど別の好適な骨締結具で置換され得ることも企図される。シャフト38は、先端32において遠位で終端する。遠位先端32は、鈍らか、尖っているか、鋭利であるか、又は骨に挿入するために別様に構成され得る。
【0018】
骨締結具22はカニューレ状であり、ロッド24を受容し、誘導するための中空体を画定する。カニューレ状経路、すなわちチャネル42は、ねじ頭30の凹部34から、シャフト38を通り、シャフト38の側壁を通って延在する。チャネル42は、中央長手方向軸Aに沿って、近位端から遠位先端32に向かってある距離を延在する直線部分を有する。チャネル42が遠位先端32に近づくにつれて、チャネル42は、シャフト38の外壁を通る出口44を備えた湾曲部分を有する。このようにして、チャネル42は、締結具22の全長には延在せず、遠位先端32からは出ない。チャネル42の曲線は、90°未満の鋭角を有する劣弧を含み得る。チャネル42は、その長さに沿って平滑な内面を有し得る。平滑な湾曲は、ロッド24がシャフト38の側部から突出し、ロッド24が締結具22の外側で湾曲するように、締結具22を通ってロッド24を誘導するのに役立ち得る。
【0019】
骨締結具22は、1つ以上の生体適合性材料から構成され得る。例えば、骨締結具22は、チタン、ステンレス鋼、コバルトクロム、炭素複合材、又は好適な合金など金属で作製され得る。これらの材料は、CNC工作などを介して機械加工され、3次元(3D)印刷、除去製造、又はハイブリッド製造プロセスなど付加製造から構築され得る。例示的な実施形態では、骨締結具22は、チタンを用いた3D印刷によって構築される。3D印刷は、従来受け入れられている機械加工と比較して、より自由な設計を可能にすることができ、ねじの幾何学的形状は独特であり得、ワークフローを合理化する。本明細書に記載の材料が例であるが、任意の好適な材料及び構造が選択され得ることを理解されたい。
【0020】
図10を重点的に検討すると、曲げ可能なロッド24は、係止キャップ26と嵌合するように構成された近位端50と、骨を係合するように構成された遠位端52と、を含む。ロッド24は、ニチノール又は他の形状記憶材料から構成され得、これにより、ロッド24が展開時に湾曲状態に曲がることが可能になる。形状記憶材料の特性により、ロッド24は、その自然な湾曲状態から直線構成に引き込まれることが可能になり得る。その弛緩状態において、ロッド24は、その直線構成に対して、例えば、180°までの湾曲、すなわち曲げ状態を有し得る。ニチノールの超弾性特性により、
図5に示す薄型構成をそのまま締結具22内に装填することが可能になる。ニチノールロッド24は、完全に展開されたときに上椎骨2を動かすのに好適な規定の曲げ半径、終端角度、及び先端形状を有する曲率を形状設定するように熱処理され得る。
【0021】
曲げ可能なロッド24は、ロッド24の長さに対して垂直に異なる断面形状を有する近位部分54及び遠位部分56を含み得る。断面が異なっていても、曲げ可能なロッド24は、その長さに沿って概ね同じ直径を有し得る。ニチノールロッド24の本体の遠位部分56は、平坦面を有する多角形の断面を有し得る。例えば、本体の遠位部分56は、正方形など略四辺形の断面形状を有し得る。遠位端52は、骨を穿孔するように構成された、尖った又は鋭利な先端(例えば、ピラミッド形)を含み得る。その弛緩状態では、ニチノールロッド24の遠位部分56は、約180°の角度の半円を伴う曲線若しくは弧、又は180°までの鋭角を伴う曲線もしくは劣弧を有し得る。ロッド24の近位部分54は、略円形状又は略円筒形状を含み得、近位端50は、円錐形状で終端し得る。ロッド24の近位部分54は、遠位部分56がほぼ所定の曲げ半径で曲がるときであっても、直線構成を概ね保持し得る。近位部分54は、近位端50付近にねじ山付き部分58を含み得、ねじ山付き部分58は、係止キャップ26と嵌合するように構成され得る。
【0022】
係止キャップ26は、ロッド24を定位置に、及び/又は締結具22に固定するように構成された略円筒体を含み得る。係止キャップ26は、その近位端に駆動凹部60を画定し得る。駆動凹部60は、雌型六角形凹部又は他の好適な形状であり得る。駆動凹部60は、駆動器具又は他のデバイスを駆動して、キャップ26を回転させて締結具22のねじ頭30に固定することによって係合され得る。係止キャップ26は、骨締結具22のねじ頭部30を受容するように構成された駆動凹部60に対向する空洞、すなわち座部62を画定する。座部62は、ねじ頭部30の外側の対応するねじ山36と嵌合するように構成された複数の雌型ねじ山64を含み得、それによって係止キャップ26を締結具22にねじ込み式に固定する。係止キャップ座部62は、うね付きであり得る、粗面化され得る、又はねじ頭30と嵌合するように別様に構成され得ることを理解されたい。係止キャップ26は、骨締結具22について説明したものと同一又は類似の生体適合性材料で構成され得る。
【0023】
図17及び
図18を重点的に検討すると、係止キャップ26は、ロッド24の近位端50と係合し、それによってロッド24を構造体内に固定し得る。
図17に示す実施形態では、係止キャップ26Aは、湾曲したニチノールロッド24をやや前方に、すなわち遠位に押して、ロッド24をしっかり圧迫する。例えば、係止キャップ座部62は、ロッド24の近位端50を受容するための空洞68を伴う中央突出部66を画定し得る。中央突出部66は、ねじ頭部30の駆動凹部34に部分的に入り得る。中央突出部66及び空洞68は、インプラント20の中央長手方向軸Aに沿って、ロッド24の近位部分54と整列し得る。係止キャップ26がねじ込み式でねじ頭30に固定されると、ロッド24は、近位端50が空洞68の底面に当接するように空洞68内に着座する。このようにして、係止キャップ26Aは、ロッド24を遠位に押し、それによってロッド24を圧迫する。
【0024】
あるいは、
図18に示す実施形態では、係止キャップ26Bはロッド24と螺合されて、張力下でロッド24をわずかに引き戻して固定する。このようにして、係止キャップ26Bは、椎弓根ねじ22及び湾曲したニチノールロッド24の両方のねじ山36、58を係合することができ、これにより、それらの位置決め及び接合部をしっかりと固定する。この実施形態では、空洞68は、ロッド24の近位部分54の対応するねじ山58と接合するように構成された複数のねじ山70を含む。中央突出部66は、突出部66が凹部34の内側で底に達するように、ねじ頭30の駆動凹部34に完全に入り得る。突出部66の肩部72は、ねじ頭部30の上面に当接し、係合し、それによって、ねじ接続がロッド24を近位に引き戻すことを可能にし、それによってロッド24を係止キャップ26Bに固定するように構成され得る。
【0025】
図12~
図16を更に重点的に検討すると、一実施形態に従ってインプラント20を設置し、組み立てる方法を示している。
図12に示すように、ロッド24は直線状であり、締結具22を通してチャネル42に挿入される。
図13は、直線状のロッド24の近位端50に連結された器具80を示す。器具80は、ロッド24を器具に一時的に取り付けるように構成された、内側ねじ山付きチャネル82を有し得る。ロッド24を挿入器具80に固定するために、任意の好適な取り付け具が使用され得ることを理解されたい。器具80は、挿入及び展開の前に、湾曲したニチノールロッド24の近位ねじ山58を捉え、ロッド24を直線状に引き戻し、次いでねじ22の本体内に引き込み得る。ねじ22は安全に前方に駆動され得、変形したニチノールロッド24は、そのコアの内側で直線状に曲げられる。ニチノールの超弾性は、材料がその自然に湾曲した状態から直線構成に引き込まれることを可能にし、完全に展開されると、ロッド24が、後にその湾曲した状態に戻ることを可能にする。
【0026】
ねじ22が術前計画に従って正しい深さ及び向きに挿入されると、変形したニチノールロッド24は、ねじ22を通して前方に押し込まれ得るか、又は駆動され得る。
図14に示すように、ロッド24が遠位方向に前方に移動されると、遠位部分56は、ロッド24がチャネル42内の湾曲部を進むにつれて湾曲を開始する。
図15に示すように、ロッド24は、遠位部分56が完全に湾曲するように(例えば、頭尾平面に沿って)、骨締結具22を通して完全に挿入される。ニチノールの超弾性特性に起因して、ロッド24は、処置中に弾性的に変形することができ、その後、最終位置に到達すると、最終的に元の形状に戻ることができる。代替的なワークフローは、最初にブランクねじ22を挿入し、次いで、所定位置のねじ22の全長を通してニチノールロッド24を展開させることによって進行する。ロッド24が締結具22を通って完全に着座すると、器具80は、ロッド24の近位端50から除去され得る。次に、
図16に示すように、係止キャップ26をねじ頭部30及び/又はロッド24の端部50に固定し、それによってそれらの最終位置を固定し得る。
【0027】
図19~
図21は、下椎骨6の同側及び対側椎弓根8を通して展開された一対の双椎弓根インプラント20を含む最終構造体の一例を示す。図示するように、各インプラント20は、下椎骨6のそれぞれの椎弓根8を通して挿入される。骨締結具22は、椎弓根8を通して下椎骨6の椎体12内に位置付けられる。曲げ可能なロッド24は、締結具22を通って延在し、遠位部分56は上向きに湾曲し、それによって、ロッド24は、下椎体12内に、椎間板腔14を通して、そして上椎体10内に固定されることが可能になる。インプラント20は、腰椎椎体間固定デバイス又は拡張可能なインプラントなど椎体間スペーサと共に使用され得、椎体間スペーサは、例えば、側方脚部を有する本体を含み得る。曲げ可能なロッド24は、下椎弓根軸に沿って配置され、椎体の側方脚部に対して内側に配置されるように軸方向像に従って角度を付けられ得、一方で下のレベルを上のレベルに固定する。システムは、処置ステップを低減し、軟組織の断裂を最小限に抑え、最終的には、脊椎固定デバイスを併用して改善された安定性を提供しつつ、上椎間関節障害を排除して隣接セグメント疾患のリスクを低減することによって、アクセス関連罹病率を改善し得る。
【0028】
ここで
図22~
図24を参照すると、別の実施形態によるハイブリッドインプラント90を示している。ハイブリッドインプラント90は、インプラント20に類似しており、改良されたチューリップヘッド92が係止キャップ26に取り付けられていて、そこへの脊椎ロッドの接続を可能にする。再置換事例の場合、湾曲したニチノールロッド24の近位ねじ山58並びにねじ頭30は、係合され、適切な調節を行うために使用され得る。再置換の選択肢は、例えば、患者の解剖学的構造、所望の転帰、及び外科医の好みに基づいて様々であり得る。一実施形態では、再置換処置は、椎弓根ねじ22を定位置に残したままで、スクリュー22を通ってニチノールロッド24を直線状に戻し、患者から引き出すことを含み得る。これにより、チューリップヘッド(図示せず)又は他の互換性のある器具及びインプラントが、既存の椎弓根ねじ22を有する標準的なロッド固定システムを組み込むことが可能になる。別の実施形態では、再置換処置は、ニチノールロッド24を椎弓根ねじ22に引き込み、次いで、アセンブリ全体を完全に取り出して、完全に異なる固定法に対して空間を開放することを含み得る。更に別の実施形態では、ハイブリッド事例が実施され、インプラント20が展開されたままであるが、改良されたチューリップヘッド92が椎弓根ねじ22のねじ頭30に取り付けられて、脊椎ロッドがその中に挿入されることを可能にする。
【0029】
ハイブリッドインプラント90は、チューリップヘッド92が取り付けられた、改良された係止キャップ26を含み得る。チューリップヘッド92は、剛性アーム94を用いて取り付けられ得る。アーム94は、係止キャップ26とチューリップヘッド92との間に架かるペグ又はピンであり得る。チューリップヘッド92は、係止キャップ26と一体的に形成され得るか、又は別様に係止キャップ26に好適に接続され得ることを理解されたい。チューリップヘッド92は、係止キャップ26の片側に対して側方にオフセットし得る。チューリップヘッド92は、上面、すなわち上部から下面、すなわち底部まで延在し得る。チューリップヘッド92は、本体96と、本体96から上向きに延在する、一対のアーム98と、を含み得る。対向するアーム98は、それらの間にチャネル、すなわちロッドスロット102を画定し得る。ロッドスロット102は、好適な脊椎ロッドを受容するサイズであるか、そのように構成され得る。脊椎ロッドは、例えば、ねじ山付き又はねじ山なしの係止キャップ(図示せず)を介して、ロッドスロット102内に固定され得る。
図24に示すように、ロッドスロット102は、ロッド24の本体に対して実質的に平行に整列し得るが、ロッドスロット102は、所望のロッド構造体にとって任意の好適な構成で配向され得るか、又は整列し得ることを理解されたい。チューリップヘッド92は、係止キャップ26を置換するように修正され得るか、又は配置が、脊椎ロッド及び/又は他の固定デバイスへの接続を可能にするように別様に構成され得ることを更に理解されたい。
【0030】
医原性隣接セグメント疾患及び他の外科的問題は、これまで椎弓根ねじ固定に起因していた。本明細書に記載のこの椎間板内固定デバイス及び方法は、椎弓根ねじ固定の必要性を除去し、その一方で、それらの医原性効果を潜在的に回避し得る。従来の技術は、低侵襲椎弓根ねじ固定のためであっても複数の切開を必要とし得る。全長椎弓根ねじに結合された椎間板内固定ロッドによって、この固定法は、下椎体及び上椎体の両方を依然としてしっかり捕捉しつつ、上椎間関節障害を回避するという主要な臨床目標を達成することを可能にする。ワークフローは、低侵襲後方アプローチから実行可能であり、他の後方アプローチと比較して処置ステップを低減し、前方/側方アプローチにおいて見られる血管系又は神経根の潜在的な断裂を回避する。本明細書に記載の椎弓根ベースの椎間板内固定デバイスは、他のアンカータイプの固定法と比較して、屈曲、伸長、及び/又は軸回転のより良好な安定性を提供し得る。この構造体は、ある範囲の再置換を実行するという潜在的な必要性に対応する。このシステムは、その独特の形状及び改善された生体適合性に起因して、多くの用途を有し得る。
【0031】
更に、本発明の性質を説明するために記載し、図示した部品の詳細、材料、及び配置の様々な変更が、特許請求の範囲に表される本発明の範囲から逸脱することなく、当業者によって行われ得ることを理解されたい。当業者は、上記の実施形態が非限定的であることを理解できよう。一実施形態の1つ以上の特徴が、本明細書に記載の1つ以上の他の実施形態に部分的又は完全に組み込まれ得ることも理解されるであろう。