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特許7485833脱落防止部材取付装置及び脱落防止部材の取付方法。
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】脱落防止部材取付装置及び脱落防止部材の取付方法。
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/15 20060101AFI20240509BHJP
   E06B 9/58 20060101ALI20240509BHJP
   E06B 9/17 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
E06B9/15 H
E06B9/58 A
E06B9/17 T
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023089660
(22)【出願日】2023-05-31
(62)【分割の表示】P 2021190409の分割
【原出願日】2017-10-06
(65)【公開番号】P2023113758
(43)【公開日】2023-08-16
【審査請求日】2023-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】グエン・ヴァン・ヒエン
(72)【発明者】
【氏名】角 和博
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】実開昭64-027397(JP,U)
【文献】特開平10-277738(JP,A)
【文献】特開昭62-158567(JP,A)
【文献】特開2006-016852(JP,A)
【文献】実開平01-157889(JP,U)
【文献】特開2017-156384(JP,A)
【文献】特開2013-253386(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/17
E06B 9/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドレールに沿って移動可能に設けられる開閉体を構成するスラットに、前記ガイドレールからの前記開閉体の脱落を防止する脱落防止部材を取付可能な脱落防止部材取付装置であって、
前記脱落防止部材取付装置は、
前記脱落防止部材に形成された孔に挿入可能な治具を備え、当該治具を介した前記脱落防止部材の押圧により、前記スラットの両端部に形成されたカール部の間の位置に位置決めする位置決めアームと、
前記スラットに対して位置決めされた前記脱落防止部材を溶接可能な溶接トーチを備えた溶接アームと、
を備え、
前記溶接アームの移動により前記溶接トーチを前記脱落防止部材における前記スラットと接する縁部に近接させ、当該縁部に沿って前記脱落防止部材と前記スラットとを溶接することを特徴とする脱落防止部材取付装置。
【請求項2】
ガイドレールに沿って移動可能に設けられる開閉体を構成するスラットに、前記ガイドレールからの前記開閉体の脱落を防止する脱落防止部材を取り付ける取付方法であって、
前記スラットの両端部に形成されたカール部の間の位置に配置される前記脱落防止部材を位置決めする工程と、
前記スラットに対して位置決めされた前記脱落防止部材を溶接可能な溶接トーチを備えた溶接アームを前記脱落防止部材における前記スラットと接する縁部に近接させ、当該縁部に沿って前記脱落防止部材と前記スラットとを溶接する工程と、
を備え、
前記位置決め工程において、前記脱落防止部材に形成された孔に挿入可能な治具を位置決めアームにより押圧することを特徴とする脱落防止部材の取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッター装置等に関し特にロック機構を具備したシャッター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シャッター装置には、間口を開閉するシャッターカーテンが風圧等によってガイドレールからの脱落(抜け落ち)することを防止するロック機構が設けられたものが知られている。ロック機構は、シャッターカーテンを構成するスラットの端部に抜け止め部材を取り付け、ガイドレールに係止させることで、シャッターカーテンの脱落を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-149191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、スラットへの抜け止め部材の取付状態、或いは、シャッターカーテンとガイドレールの関係によっては、十分な耐風強度が得られないという問題がある。
本発明は、上記問題を解消すべく、シャッターカーテンに過大な力が加わった場合であっても、シャッターカーテンのガイドレールからの脱落を防止可能なシャッター装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための脱落防止部材取付装置の構成として、ガイドレールに沿って移動可能に設けられる開閉体を構成するスラットに、ガイドレールからの開閉体の脱落を防止する脱落防止部材を取付可能な脱落防止部材取付装置であって、脱落防止部材取付装置は、脱落防止部材に形成された孔に挿入可能な治具を備え、当該治具を介した脱落防止部材の押圧により、スラットの両端部に形成されたカール部の間の位置に位置決めする位置決めアームと、スラットに対して位置決めされた脱落防止部材を溶接可能な溶接トーチを備えた溶接アームとを備え、溶接アームの移動により溶接トーチを脱落防止部材におけるスラットと接する縁部に近接させ、当該縁部に沿って脱落防止部材とスラットとを溶接する構成とした。
本構成によれば、風圧等によって開閉体が幅方向に振れた際に、脱落防止部材の爪部がガイドレールに接触しても、脱落防止部材がスラットにしっかりと固定されているため、脱落防止部材がスラットから外れることを防止できる。その結果として、開閉体がガイドレールから脱落することを防止できる。
また、脱落防止部材の取付方法として、ガイドレールに沿って移動可能に設けられる開閉体を構成するスラットに、ガイドレールからの開閉体の脱落を防止する脱落防止部材を取り付ける取付方法であって、スラットの両端部に形成されたカール部の間の位置に配置される脱落防止部材を位置決めする工程と、スラットに対して位置決めされた脱落防止部材を溶接可能な溶接トーチを備えた溶接アームを脱落防止部材におけるスラットと接する縁部に近接させ、当該縁部に沿って脱落防止部材とスラットとを溶接する工程とを備え、位置決め工程において、脱落防止部材に形成された孔に挿入可能な治具を位置決めアームにより押圧する態様とした。
本態様によれば、風圧等によって開閉体が幅方向に振れた際に、脱落防止部材の爪部がガイドレールに接触しても、脱落防止部材がスラットにしっかりと固定されているため、脱落防止部材がスラットから外れることを防止できる。その結果として、開閉体がガイドレールから脱落することを防止できる。
上記発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】シャッター装置の概略正面図である。
図2】シャッターカーテン及び巻取り機構の縦断面図である。
図3】ガイドレール及びロック機構の横断面図である。
図4】スラット端部の斜視図である。
図5】ロックプレートの平面図である。
図6】スラットに対するロックプレートの関係を示す図である。
図7】ロック機構の動作を示す図である。
図8】ロックプレートの他の形態を示す図である。
図9】溶接作業を示す図である。
図10】ロックプレートの他の形態を示す図である。
図11】ロックプレートの他の形態を示す図である。
図12】溶接作業を示す図である。
図13】ロックプレートの他の形態を示す図である。
図14】スラット端部の斜視図である。
図15】スラットの他の形態を示す図である。
図16】ロックプレートの他の形態を示す図である。
図17】スラット端部の斜視図である。
図18】シャッターカーテンの他の形態を示す図である。
図19】スラットのずれ止め部材を示す図である。
図20】シャッターカーテンの他の形態を示す図である。
図21】他のシャッター装置の正面図である。
図22】他のシャッター装置におけるロック機構を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明の実施形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明される特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らず、選択的に採用される構成を含むものである。
【0008】
図1は、本発明に係るシャッター装置10の概略正面図であり、図2は、シャッターカーテン30及び巻取り機構70の縦方向断面図である。図1図2において開閉装置としてのシャッター装置10は、構造物躯体(以下単に躯体という)12に形成された開口部14に設置される。躯体12は、例えば住宅やビル、倉庫、工場等の構造物の内外を仕切る外壁等である。開口部14は、躯体12に開設され、内外を連通する空間として形成される。
【0009】
シャッター装置10は、開口部14の幅方向の両側に互いに離間して立設されるガイドレール20;20と、ガイドレール20;20の長手方向に沿って移動可能とされ、開口部14を開放又は閉鎖する開閉体としてのシャッターカーテン30と、開口部14及びガイドレール20;20の上方に設けられるシャッターケース16と、シャッターケース16の内部の収容空間に設置される巻取り機構70とを備える。
【0010】
本明細書において「幅方向」とは、シャッターカーテン30の開閉(上,下)方向と直交する方向(左右方向)を示し、「奥行方向」とは、シャッターカーテン30の厚み(前,後)方向を意味する。また、「巻取り方向」とは、シャッターカーテン30がガイドレール20;20に沿って上昇し、開口部14が開放する方向を示し、「繰出し方向」とは、シャッターカーテン30がガイドレール20;20に沿って降下し、開口部14が閉鎖する方向を示すものとする。
【0011】
図3は、ガイドレール20及びロック機構の横方向断面図であり、図4は、スラット32の幅方向端部を示す斜視図である。図1に示すように、ガイドレール20;20は、構造物躯体12に対して長手方向が垂直となるように、開口部14を形成する躯体12に沿って立設される。
【0012】
図3に示すように、ガイドレール20は、躯体12の開口部14に固定される受枠21と、中間枠22と、中間枠22を介して受枠21に固定される内枠23と、受枠21及び支持枠24;25を介して内枠23に固定される外枠26;27とを備える。
【0013】
受枠21は、躯体12の端面に沿って設けられた基板21aと、基板21aから幅方向外側に向けて同一方向に直角に折り曲げられた一対の側板21b;21cとを有するコ字状に形成され、基板21aを躯体12の開口部14に沿って設け、側板21b;21cにより躯体12を挟み込むようにして固定される。
【0014】
中間枠22は、基板21aの奥行方向中央側に設けられる。中間枠22は、基板21aに沿って延長し、該基板21aに固定される受枠取付板22aと、受枠取付板22aから直角に折り曲げられて幅方向開口部側に向けて延長する柱板22bと、柱板22bから受枠取付板22aと逆向きに直角に折り曲げられ、外枠27が取り付けられる外枠取付板22cとを備える。
【0015】
内枠23は、断面視においてシャッターカーテン30の端部を挿入可能な開口部29を有するように、奥行方向及び幅方向に渡って複数回直角に折曲して形成され、内部にシャッターカーテン30の幅方向外側端部、及びシャッターカーテン30を構成するスラット32に設けられたロックプレート60が移動する空間であるガイド領域Rの一部を形成する。
内枠23により形成される空間は、開口部29側の奥行方向の長さ寸法がスラット32の厚みよりも僅かに幅広の空間に、かつ、奥側が奥行方向屋内側に突出するように開口部29側の奥行方向の長さ寸法よりも幅広の空間を有するように形成される。
【0016】
具体的には、内枠23は、幅方向に延長するガイド板23aと、ガイド板23aから直角に奥行方向屋内側に折り曲げられた奥板23bと、奥板23bから直角に幅方向開口部側に向けて折り曲げられ、ガイド板23aと平行に延長する壁板23cと、壁板23cから直角に奥行方向屋外側に折り曲げられ、奥板23bと平行に延長する壁板23dと、壁板23dから幅方向開口部側に直角に向けて折り曲げられ、ガイド板23aと平行に延長するガイド板23eとを有するように形成される。
【0017】
奥行方向屋外側に位置するガイド板23aは、幅方向の長さ寸法が中間枠22の柱板22bよりも短い長さに設定され、このガイド板23aと連続する奥板23bは、奥行方向の長さ寸法が中間枠22の受枠取付板22aと略同じ長さ寸法に設定される。そして、内枠23は、ガイド板23aを中間枠22の柱板22bに、奥板23bを中間枠22の受枠取付板22aに密着させて固定される。また、奥行方向屋内側に位置するガイド板23eは、幅方向の長さ寸法がガイド板23aよりも短く設定される。ガイド板23eの長さ寸法をガイド板23aの長さ寸法よりも短く設定することにより、ガイド板23eから奥行方向屋内側に延長する壁板23dと、これに連続して幅方向に延長し、奥板23bに連続する壁板23cにより、ロックプレート60の移動を許容する空間が形成される。なお、本実施形態では、ガイド板23a及びガイド板23eは、幅方向において略同一の位置に位置するように寸法が設定される。
【0018】
支持枠24;25は、内枠23と外枠26;27との間に設けられ、ガイドレール20の構造部材を構成する。
支持枠24は、内枠23のガイド板23eと壁板23dの外周により直角に窪む窪み部に沿って設けられる。具体的には、内枠23のガイド板23e及び壁板23dに沿って延長するように直角に折曲され、ガイド板23eに沿って延長する柱板24a及び壁板23dに沿って延長する柱板24bと、柱板24aから奥行方向屋内側に向けて直角に折り曲げて形成された折曲片24cと、柱板24bから幅方向開口部側に向けて直角に折り曲げられて形成された折曲片24dとを有するように形成される。
【0019】
支持枠24を窪み部に固定された状態において、柱板24aは、ガイド板23eの端縁よりも幅方向に所定長さ突出するように長さ寸法が設定され、また、柱板24bは、折曲片24dの外面が受枠21の側板21bと面一となるように、長さ寸法が設定される。
また、支持枠25は、柱板25aと、柱板25aから同一方向に直角に折り曲げ形成された側板25b;25cとを有する断面コ字状に形成される。支持枠25は、柱板25aが奥行方向に延長するように一方の側板25bを中間枠22の柱板22bに固定される。
柱板25aは、他方の側板25cの外面が、受枠21の側板21cの外面と面一となるように長さ寸法が設定される。
【0020】
外枠26;27は、シャッターカーテン30を挟んで対称形状に形成される。外枠26は、受枠21の側板21b及び支持枠24の折曲片24dに沿って延長する化粧板26aと、化粧板26aから奥行方向屋外側に向けて直角に折り曲げ形成され、支持枠24の折曲片24cに沿って延長する化粧板26bと、化粧板26bから幅方向躯体側に向けて直角に折り曲げ形成され、柱板24aに沿って内枠23に向けて延長するガイド板26cとを有する。外枠27は、受枠21の側板21c及び支持枠25の側板25cに沿って延長する化粧板27aと、化粧板27aから奥行方向屋内側に直角に折り曲げられ、中間枠22の外枠取付板22cに沿って延長する化粧板27bと、外枠取付板22c及び柱板22bに沿って直角に折り曲げられたガイド板27cとを有する。
【0021】
外枠26;27は、ガイド板26cの端部が内枠23のガイド板23eの端部と突き合わせ状態、ガイド板27cの端部が内枠23のガイド板23aの端部が対向するようにガイド板26c;27cの長さ寸法が設定される。外枠26;27は、ガイド板26c;27c及び内枠23とで、シャッターカーテン30の移動をガイドするガイド領域Rを構成する。
また、ガイド板26cの表面26z及び内枠23のガイド板23eの表面23zが面一、ガイド板27cの表面27z及び内枠23のガイド板23aの表面23yが面一となるように、ガイドレール20を構成する受枠21、中間枠22、内枠23、支持枠24;25及び外枠26;27の板材の厚みや各部の長さ寸法が設定される。
【0022】
即ち、外枠26のガイド板26c及び内枠23のガイド板23eの表面26z及び表面23zにより奥行方向屋内側に形成されるガイド面と、外枠27のガイド板27c及び内枠23のガイド板23aの表面27z及び表面23yにより奥行方向屋外側に形成されるガイド面とが平行となるように設定される。
【0023】
外枠26;27のガイド板26c;27cにより形成される入り口側空間の奥行方向の長さ寸法と、内枠23のガイド板23a;23eにより形成される奥側空間の奥行方向の長さ寸法を同一に設定することにより、図7に示すように、シャッターカーテン30全体に加わる風圧等によって、スラット32に対して図中矢印X1で示す幅方向内側方向への引き抜き力が発生した場合ロックプレート60のかかり量を大きくすることができる。
例えば、外枠26;27のガイド板26c;27dにより形成される入り口側空間の奥行方向の長さ寸法が、内枠23のガイド板23a;23eにより形成される奥側空間の奥行方向の長さ寸法よりも大きい、又は、小さい場合には、スラット32の傾斜が大きくなってロックプレート60の内枠23へのかかり量が小さくなり、図3に示したようにガイドレール20;20を構成した場合に比べてガイドレール20;20からシャッターカーテン30の脱落を防止する能力が低下してしまうが、本実施形態によれば、ガイドレール20;20に対するロックプレート60のかかり量を大きくすることができる。
【0024】
図1に示すように、シャッターカーテン30は、複数のスラット32がシャッターカーテン30の移動方向に沿って連結して構成される。各スラット32は、例えば、スチール、ステンレス、アルミニウム等からなる板体であり、開口部14の幅方向に沿って延在するとともに、その両端部が上記ガイド領域Rに飲み込まれた状態でガイドレール20;20によってガイドされる。
【0025】
図4に示すように、スラット32は、奥行方向の後方に向けて中央部分が凹状に緩やかに窪む本体部32aと、本体部32aの上端部において、上端部と連続して前方に向けて湾曲しつつ延長する第1カール部32bと、本体部32aの下端部において、下端部と連続して前方に向けて湾曲しつつ延長する第2カール部32cとを有する。
【0026】
図2に示すように、スラット32の第1カール部32bは、巻取り方向に隣接する他のスラット32の第2カール部32cと回転自在に係合し、スラット32の第2カール部32cは、繰り出し方向に隣接する他のスラット32の第1カール部32bと回転自在に係合する。つまり、複数のスラット32同士は、それぞれ第1カール部32b及び第2カール部32cを介して互いに回転自在に連結され、一つのシャッターカーテン30を構成する。
【0027】
以下、シャッター装置10に設けられたロック機構40について説明する。図3図4に示すように、ロック機構40は、ガイドレール20の内枠23と、スラット32の幅方向外側の端部にそれぞれ配設されたロックプレート60とによって構成される。
【0028】
図3,4に示すように、本実施形態に係るロックプレート60は、ガイドレール20;20からのスラット32の脱落を防止する脱落防止部材であって、スラット32の幅方向両端部において、スラット32の本体部32aの上端部及び下端部から奥行方向後方に向けて延長する傾斜部32d;32eに固定される。
【0029】
ロックプレート60は、例えばスチールやステンレス等の金属を素材とし、スラット32の板厚よりも厚く形成された板体であって、スラット32の幅方向両端部に対して溶接ロボットによる溶接によって強固により固定される。ロックプレート60は、例えば、プレスなどの板金加工等により所定形状に形成される。
【0030】
図5は、ロックプレート60の平面図である。図5に示すように、ロックプレート60は、スラット32の本体部32aに重ね合わされた状態で幅方向に延長し、溶接によりスラット32に溶接に一体化される取付部62と、取付部62の幅方向外側において奥行方向に向けて折り曲げられて形成された爪部64とを有する。取付部62は、スラット32に沿って延長する両側部に同一方向に折り曲げられた折曲片63;63を備える。図5に示すように、折曲片63;63は、爪部64の折り曲げ方向と逆向きに折り曲げられて形成される。折曲片63;63のスラット32の延長方向に沿う端面63a;63aは、それぞれ、端面63aを形成する屋内側の端縁63Aが、屋外側の端縁63Bよりも高さ方向外側に位置するように奥行方向に対して傾斜している。
【0031】
図6(a)は、ロックプレート60とスラット32との関係を示す図である。図6に示すように、ロックプレート60を折曲片63;63は、スラット32の傾斜部32d;32eに対して、端縁63Aが端縁63Bよりも先に接するように、折り曲げ角度が設定される。このように折曲片63;63を形成することにより、スラット32の傾斜部32d;32eとの間に生じる隙間を最小化することができる。
【0032】
例えば、端縁63B;63Bが、スラット32の傾斜部32d;32eに先に接触した場合、折曲片63;63の端面63a;63aとスラット32の傾斜部32d;32eとの間に溶接ワイヤや溶接棒の侵入できない隙間が生じた場合、溶接に作業者の技量に依存することとなったり、うまく溶接できたとしても溶接に不均一が生じ、ロックプレート60の固定において十分な強度が得られなくなる虞がある。そこで、上述のように、スラット32の傾斜部32d;32eに端縁63A;63Aが端縁63B;63Bよりも先に接触するように取付部62に折曲片63を設けておくことにより、スラット32とロックプレート60との間に生じる隙間を最小化することができる。例えば、スラット32及びロックプレート60の加工精度を考慮しても、裏面における上下の端縁とスラット32との間の隙間は、0.1~0.2mm程度に抑えることができる。
【0033】
このように、溶接対象であるスラット32とロックプレート60との間の隙間を制御したことにより、溶接作業者の技量によらず、安定した溶接をすることができ、例えば、均質な溶接を可能にする溶接ロボットの利用が可能となる。
【0034】
そこで、溶接ロボットの利用を可能にするため、図5に示すように、取付部62には、板厚方向に貫通する長孔68が中央に設けられる。長孔68は、スラット32にロックプレート60を溶接する際に、長孔68の形状に対応して挿入可能な突起が形成された位置決め用の冶具Jと係合し、スラット32に対してロックプレート60を所定の位置に位置決めする位置決め手段として機能する。
【0035】
図3乃至図5に示すように、爪部64は、屈曲部を介して取付部62と連続して延長するとともに、先端に向かって先細る台形状に形成される。爪部64は、取付部62に対して幅方向外側に向かって傾斜するように折り曲げられる。図5(c)に示すように、爪部64は、例えば、表面64aと取付部62の表面62aとのなす角度θが150°程度に設定されることが望ましく、爪部64は取付部62に対して少なくとも鈍角をなして傾斜することが好ましい。
【0036】
図3に示すように、スラット32及びロックプレート60は、通常時においては内枠23に接触することはなく、シャッターカーテン30の開閉動作が妨げられることはない。一方、図7に示すように、スラット32が矢印X1で示す幅方向内側方向へ移動した場合、爪部64の表面64aが内枠23に接触し、スラット32のさらなる幅方向内側方向への移動が抑制され、シャッターカーテン30のガイドレール20からの脱落を防止できる。
【0037】
図6(b)は、ロックプレート60をスラット32に溶接する際の様子を模式的に示した図である。なお、以下の説明では、ロボットにより溶接を行うものとして説明する。
まず、スラット32の所定の位置にロックプレート60を配置する。そして、冶具Jが取り付けられたロボットアームが移動して、ロックプレート60の長孔68に冶具Jの突起を挿入し、シャッターカーテン30に対するロックプレート60の位置を確定する。次に、溶接を開始する前に、冶具Jを介してロックプレート60を所定量シャッターカーテン30に向けて押圧する。冶具Jによりロックプレート60を押圧する場合には、スラット32のスラット中心線fに対して図中Fで示す直交方向となるように設定される。押圧量は、例えば、スラット32に対するロックプレート60の位置を確定した位置からスラット中心線fに対して直交方向に1mm程度に設定される。なお、スラット中心線fとは、互いに係合するスラット32の第1カール部32bと第2カール部32cとの回転中心c1(図中)と、スラット32の第2カール部32cと第1カール部32bとの回転中心c2とを結ぶ直線をいう。
【0038】
このように、冶具Jを介してスラット中心線fに対してロックプレート60を直交方向に押圧することにより、ロックプレート60の取り付け対象であるスラット32が変形しても回転中心c1;c2は、スラット中心線f上を移動するため、スラット32同士の係合関係や可動範囲の変化を防ぐことができる。そして、ロボットアームに取り付けられた溶接トーチTを溶接箇所であるロックプレート60をスラット32の間に近接させて、溶接ワイヤtをロックプレート60の端縁63Aとスラット32との間に接触させ、端縁63Aに沿って移動させることにより、自動的にロックプレート60をスラット32を溶接し、固着させることができる。このように溶接をロボットにより自動化することにより、溶接むらがなくなり、所望の溶接強度が得られるので、ロックプレート60によるロック機構の作用を安定させることができ、ガイドレール20;20からシャッターカーテン30が脱落する脱落防止性能を安定させることができる。
【0039】
図8は、ロックプレート60の他の形態を示す図である。図9は、ロックプレート60の溶接作業の模式図である。上述のロックプレート60は、折曲片63;63の端面63aがスラット32の傾斜部32d;32eに対して、端縁63Aが端縁63Bよりも先に接するように形成したが、図8に示すように、ロックプレート60を形成しても良い。即ち、図8(b)に示すように、取付部62に対して折曲片63;63を爪部64の折り曲げと同一の側に向けて折り曲げ形成する。この場合、各折曲片63;63の端縁63Bが端縁63Aよりも先に、スラット32の傾斜部32d;32eに接するように形成される。
【0040】
このように折曲片63;63を形成した場合、図8(c)に示すように、断面視において端縁63Bがスラット32に接触した状態で端面63a;63aと傾斜部32d;32eとの間でV字状に開く隙間が形成される。このV字状の隙間は、図9に示すように、溶接ワイヤtや溶接棒等の溶接部材の侵入が可能となるため、端面63a;63aとスラット32の傾斜部32d;32eとを安定して溶接することができる。
【0041】
図10は、ロックプレート60の他の形態を示す図である。例えば、取付部62のスラット32に対向する対向面62bが、スラット32の本体部32aの凹部32mと干渉する場合がある。このような場合には、位置決め手段として設けた長孔68に替えて、凹部32mとの接触を回避するように、幅方向内側に位置する端面62cから外側に向けて延長するU字状の切り欠きを形成すれば良い。
【0042】
図11は、ロックプレート60の他の形態を示す図である。上述の各例では、ロックプレート60に折曲片63;63を形成してロックプレート60とスラット32との間に溶接部位を設定するものとしたが、図11に示すように、折曲片63;63を設けることなく、平板状のままの取付部62をスラット32に直接溶接するようにしても良い。この場合、取付部62の端面63a;63aは、端縁63A;63Aが、端縁63B;63Bよりも先に傾斜部32d;32eに接するように、スラット32の延長方向に直交する断面視において台形形状に形成される。つまり、平板状の取付部62の端面63a;63aを形成するスラット32側の端縁63B;63Bよりも先に逆側の端縁63A;63Aが傾斜部32d;32eに接するように形成することにより、スラット32に対する隙間が制御できる。このような端面63a;63aの加工は、例えばつぶし加工を用いることにより、精度良く加工できる。そして、図12に示すように、スラット32の傾斜部32d;32eに接する端縁63A;63Aに沿って溶接することにより、ロックプレート60をスラット32に強固に固定することができるので、シャッターカーテン30のガイドレール20;20からの脱落を防ぐことができる。なお、取付部62に、長孔68を設けておくことにより、ロボットによる溶接の自動化を図ることができる。
【0043】
図13は、ロックプレート60の他の形態を示す図である。図13に示すロックプレート60は、取付部62に爪部64と同一方向に折曲された折曲片63u;63uと、爪部64と逆向きに折曲された折曲片63d;63dとを備える。折曲片63u;63uは、取付部62の爪部64側に形成され、折曲片63d;63dは、折曲片63u;63uの幅方向内側に形成される。このように折曲片63u;63u;63d;63dを設けることにより、一つのロックプレート60をスラット32に対して爪部64の向きを逆向きにして取り付けることができる。例えば、スラット32への溶接する方法として、図6(b)に示すように端縁63A;63Aをスラット32に接触させて溶接したいが、爪部64の向きを奥行方向屋内側や屋外側に向けたい場合には、図5及び図8に示す2種類のロックプレート60を用意する必要がある。
【0044】
そこで、図13に示すように、1つのロックプレート60に互いに逆向きに折り曲げられた折曲片63u;63u及び折曲片63d;63dを設けることでロックプレート60を共用することができる。即ち、図14(a)に示すように爪部64を奥行方向屋内側に向けてスラット32に固定する場合には、幅方向内側に位置する折曲片63u;63uとスラット32とを溶接し、図14(b)に示すように爪部64を奥行方向屋外側に向けてスラット32に固定する場合には、幅方向外側(爪部64側)に位置する折曲片63d;63dとスラット32とを溶接すれば良い。
【0045】
なお、ここまでの説明では、断面視においてスラット32の奥行方向の屋内側に向けて中央部分が凹状に緩やかに窪む形状のものを用いて説明したが、図15に示すように、スラット32の本体部32aが、奥行方向の後方に向けて中央部分が凸状に緩やかに膨らむ形状のスラットにも適用することができる。概説すると、図15(a)は、図5に示すように形成されたロックプレート60を爪部64を奥行方向屋内側に向け、折曲片63;63の端縁63A;63Aとスラット32の傾斜部32d;32eとの間を溶接するようにしたものを示している。図15(b)は、図5に示すように形成されたロックプレート60を爪部64を奥行方向屋外側に向け、折曲片63;63の端面63a;63aとスラット32の傾斜部32d;32eとの間から端縁63B;63B側を溶接するようにしたものを示している。図15(c)は、図8に示すように形成されたロックプレート60を爪部64を奥行方向屋内側に向け、折曲片63;63の端面63a;63aとスラット32の傾斜部32d;32eとの間から端縁63B;63B側を溶接するようにしたものを示している。図15(d)は、図8に示すように形成されたロックプレート60を爪部64を奥行方向屋外側に向け、折曲片63;63の端縁63A;63Aとスラット32の傾斜部32d;32eとの間を溶接するようにしたものを示している。また、図15(e)は、図11に示すように形成されたロックプレート60を爪部64を奥行方向屋内側に向け、折曲片63;63の端縁63A;63Aとスラット32の傾斜部32d;32eとの間を溶接するようにしたものである。
【0046】
図16は、ロックプレート60の他の形態を示す図である。図17は、スラット32の端部を示す図である。なお、図17に示すスラット32は、本体部32aが奥行方向の後方に向けて中央部分が凸状に緩やかに膨らむ形状のものであり、以下このスラット32を用いてロックプレート60の他の形態について説明する。なお、図16に示すスラット32のように、本体部32aが凸状に緩やかに湾曲している場合、取付部62の高さ方向の長さ寸法を傾斜部32d;32eの幅よりも狭く設定することにより、図5図8に示すように取付部62に折曲片63;63を形成したり、図11に示すように取付部62を平板状とし取付部62の高さ方向側端面をつぶし加工したりすることなく、取付部62のスラット32側の端縁62B;62Bをスラット32の本体部32aの裏面に対して直接接触可能となる。つまり、図15に示すように、スラット32の傾斜部32d;32eにロックプレート60を固定せずに、ロックプレート60の取付部62をスラット32の本体部32aの裏面に溶接することができる。以下の説明では、ロックプレート60をスラット32の本体部32aに固定するものとして説明する。
【0047】
図17に示すように、ロックプレート60には、第1及び第2カール部32b;32cを介して連結されたスラット同士の幅方向への位置ずれを防止するストッパ部(ずれ防止手段)65;65が爪部64とともに一体的に設けられている。
ストッパ部65;65は、爪部64や取付部62等とともにロックプレート60に一体に成形される。具体的には、爪部64と取付部62の間から高さ方向上下一対となるように設けられ、かつ奥行方向内側に向けてやや傾斜状態に突設された翼型形状をなすように形成される。
ストッパ部65;65は、スラット32同士が係合した状態において、上下のストッパ部65;65の後縁が、上下の第1及び第2カール部32b;32cの端縁に度当りすることで、連結されたスラット32同士を位置決め状態に固定し、ずれ止めを行っている。
【0048】
取付部62に対して傾斜するように折り曲げられたストッパ部65;65の折曲部66;66には、スラット32側から幅方向外側(爪部方向)へ窪む凹部67;67が形成されている。ストッパ部65;65は、上述のようにスラット32の連結部分である第1,第2カール部32b;32cの側方端面に接するように位置するため、例えば、シャッターカーテンの組立時や、建造物の開口の上下長さに応じたスラットカーテンの長さ調整のために、現場において、スラット32同士の抜き差し、及び抜け止め作業を行う場合があり、ストッパ部65;65の曲げ戻しが行われる。ストッパ部65;65のスラット32側の端面は、スラット32の端面に対し、スラット32;32同士の回転が許容される僅かな隙間が設定されているため、ストッパ部65;65の曲げ戻しを行うと、折曲部66;66に膨らみが生じてスラット32の端部に干渉してしまう。このため、従来はストッパ部65;65に曲げ戻しを行った場合には、折曲部66;66の膨らみを削り取るなどの余分な補修作業が生じるが、折曲部66;66の幅寸法が細くなるように、スラット32側に凹部67;67を設けておくことにより、膨らみを削り取るなどの余分な補修作業が不要となる。また、曲げ戻しに要する力が小さくなり作業性を向上させることができる。
このようなロックプレート60は、図18に示すように、シャッターカーテン30を構成するスラット32に一つおきに設けることで、スラット32の幅方向へのずれを防止することができるため、強風などにより、スラット32を幅方向に内側へと移動させる力が作用したとしても爪部64が均等にガイドレール20;20に係合することとなり、ガイドレール20;20からシャッターカーテン30が脱落する脱落防止性能を安定させることができる。
【0049】
図19は、図17に示すロックプレート60からスラット32のずれ防止手段を分離したずれ止めプレート80を示す図である。
図19に示すように、ずれ止めプレート80は、概略、図17に示すロックプレート60から爪部64をなくした全体として略T字状にスラット32の肉厚よりも厚肉の金属板を成形して形成される。ずれ止めプレート80は、平板矩形状の固定部82と、固定部82の幅方向外側端部から高さ方向上下に一対となるように、奥行方向内側に向けて傾斜状態に突設された翼型形状をなすストッパ部85;85とを備える。
固定部82には、ロックプレート60と同様に長孔88が形成されており、冶具Jを用いたロボットによるスラット32への溶接を可能に構成される。固定部82に対して傾斜するように折り曲げられたストッパ部85;85の折曲部86;86には、スラット32側から幅方向外側(爪部方向)へ窪む凹部87;87が形成されている。なお、凹部87については、図16に示したロックプレート60の凹部67と同様の作用効果を得ることができる。
図20に示すように、ずれ止めプレート80は、シャッターカーテン30において、図5,8,11に示すようなロックプレート60と、交互に設けることにより、ガードレール20;20からシャッターカーテン30が脱落する脱落防止性能の安定に寄与する。
【0050】
図21は、本発明に係るシャッター装置の一例としてのパイプシャッター110の概略正面図であり、図22は、パイプシャッター110の端部構造を示す図である。
パイプシャッター110は、構造物躯体111に形成された開口部112に設置される。構造物躯体111は、例えば住宅やビル,倉庫,工場等の構造物の内外を仕切る外壁や、構造物の内部において内部空間を仕切る内壁等である。開口部112は、構造物躯体111に開設され、内外を連通する空間として形成される。
【0051】
パイプシャッター110は、概略、開口部112の幅(間口)方向の両側に互いに離間して設置される一対のガイドレール113;113と、ガイドレール113の延長方向に沿って巻取り又は繰出され、開口部112を開閉するパイプカーテン130と、開口部112及びガイドレール113;113の上方に設けられるシャッターケース114内の収容空間に設置される巻取り機構150とを備える。
なお、本明細書において「幅(間口)方向」とは、パイプカーテン130の開閉方向と直交する方向であって、パイプカーテン130の厚み(奥行)方向とは異なる方向を言う。
【0052】
図21図22に示すようにガイドレール113;113は、構造物躯体111に対して、長手方向が垂直となるように構造物躯体111に一部が埋設された状態で立設される。
図22に示すように、ガイドレール113は、パイプカーテン130の移動をガイドするガイド枠160と、ガイド枠160の開口部からパイプカーテン130の脱落を防止するストッパ枠170とを備える。
ガイド枠160は、一方開口の断面コ字状に形成されるガイド部160aと、各開口端から直角に逆向きに折り曲げられた躯体固定部160b;160cとを備える。ガイド枠160;160は、互いに開口部161;161を対向させ、ガイド部160a;160aを躯体111に埋設した状態で、躯体固定部160b;160cが躯体111端面に固定される。
ストッパ枠170;170は、パイプカーテン130を挟んで対称の形状に形成される。各ストッパ枠170は、奥行方向及び幅方向に渡って略直角に折曲されて形成される折返部170aと、折返部170aから直角に折り曲げられてガイド枠160の躯体固定部160b;160cに沿って延長する延長部170bと、延長部170bから直角に折り曲げられてガイド枠160の幅方向外側に向けて延長するロック部170cとを備える。
【0053】
図21に示すように、パイプカーテン130は、複数のパイプ体131と、複数のパイプ体131を互いに連結するリンク機構132とにより、正面視格子状に組み付けられる。
複数のリンク機構132は、パイプ体131の長手方向と直交する方向に互いに連結される複数のプレートにより構成される。各プレートの両端部側には、パイプ体131を挿通可能な円孔が形成されるとともに、プレート同士を回転自在に連結する連結機構が設けられており、リンク機構132によって連結された複数のパイプ体131を巻取り可能なように回動自在に連結される。
【0054】
図22に示すように、複数のリンク機構132によって互いに連結されるパイプ体131の各端部には、抜け止めピース135が設けられている。抜け止めピース135は、パイプ体131を挿通可能な環状に形成された筒体であって、硬質の合成樹脂によって形成される。
抜け止めピース135の外径D1は、パイプ体31の外径D2よりも大きく、また、一対のストッパ枠170;170のロック部170c,;170c間の幅寸法W1よりも大きく設定される。
換言すれば、抜け止めピース135の外径D1よりも狭く、パイプ体31の外径D2よりも広くなるように、ロック部170c,;170c間の幅寸法W1を設定することにより、パイプカーテン130のガイドレール113からの脱落を防止することができる。
【0055】
よって、パイプカーテン130のメンテナンスや取り替え作業においては、ガイドレール113を構成するストッパ枠170;170をガイド枠160から取り外すことにより、パイプ体131をガイドレール113;113から容易に取り外すことが可能となる。
【0056】
以下、パイプシャッター110の巻取り機構150について概説する。
図21に示すように、巻取り機構150は、シャッターケース114内に設置される機構である。巻取り機構150は、概略、シャッターケース114の一部を構成する左右のブラケット115;115と、左右のブラケット115;115間に架設されるシャフト151と、シャフト151を回転中心として巻取り方向及び繰出し方向に回転自在なホイール152と、シャフト151の周囲に巻回されるコイルバネ153とを備える。
【0057】
シャフト151は、開口部112の幅方向(パイプカーテン130の長手方向)に延在する支柱であって、両端部がボルト等の固定手段によりブラケット115,115に対して回転不能に固定される。
ホイール152は、シャフト151に対して所定の間隔をもって設けられる円筒状の金属部材である。ホイール152は、中心部に開設された不図示の嵌挿孔を介してシャフト151と嵌め合わされ、シャフト151を回転中心として自在に回転する。また、ホイール152;152同士は、複数の巻取り部材154により接続される。
【0058】
巻取り部材154は、シャフト151と平行に延在する支柱であって、両端部がホイール152の嵌挿孔を中心として円周方向に等間隔に開設された不図示の接続孔に嵌め込まれる。ホイール152;152が巻取り部材154により互いに接続されることによって、両ホイール152;152は互いに同期してシャフト151の周りを回転する。また、巻取り部材154の外周には、不図示の吊元部材を介してボルト,ナット等の締結手段によりパイプカーテン130の上端が締結される。これにより、パイプカーテン130が開口部112を閉鎖した状態からホイール152が巻取り方向に回転すると、パイプカーテン130はホイール152及び巻取り部材154に沿って巻取られる。
【0059】
コイルバネ153は、シャフト151の軸周りに介挿される附勢部材であって、固定的に設けられたシャフト151と、シャフト151に対して回転自在に嵌め合わされたホイール152とに連結される。コイルバネ153の一端部は、シャフト151に開設された締結孔に対してボルト,ナット等の固定手段により締結される。また、コイルバネ153の他端部は、ホイール152の表面に開設された締結孔に対して上記と同様に、ボルト,ナット等の固定手段により固定される。
シャフト151とホイール152とがコイルバネ153により連結されたことにより、パイプカーテン130が開口部112を閉鎖する方向に繰出された状態において、コイルバネ153には、開口部112を開放する方向に反力が生じ、開口部112を開放する際には僅かな力でパイプカーテン130を巻き取ることが可能となる。
【0060】
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に何ら限定されることはなく、実施形態を組み合わせて多様な変更、改良を行い得ることが当業者において明らかである。また、そのような多様な変更、改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0061】
10 シャッター装置、14 開口部、16 シャッターケース、
20 ガイドレール、30 シャッターカーテン、32 スラット、40 ロック機構、
60 ロックプレート、62 取付部、64 爪部、70 巻取り機構。
図1
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