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特許7485856レンズ偏芯を利用した角度調整が可能な照明による投影システムおよび投影方法
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  • 特許-レンズ偏芯を利用した角度調整が可能な照明による投影システムおよび投影方法 図1
  • 特許-レンズ偏芯を利用した角度調整が可能な照明による投影システムおよび投影方法 図2A
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  • 特許-レンズ偏芯を利用した角度調整が可能な照明による投影システムおよび投影方法 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-08
(45)【発行日】2024-05-16
(54)【発明の名称】レンズ偏芯を利用した角度調整が可能な照明による投影システムおよび投影方法
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20240509BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20240509BHJP
   G02B 7/00 20210101ALI20240509BHJP
   G02B 26/08 20060101ALI20240509BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20240509BHJP
【FI】
G03B21/14 A
G03B21/00 F
G02B7/00 A
G02B26/08 E
H04N5/74 B
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023524780
(86)(22)【出願日】2021-10-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-14
(86)【国際出願番号】 US2021056118
(87)【国際公開番号】W WO2022087318
(87)【国際公開日】2022-04-28
【審査請求日】2023-06-21
(31)【優先権主張番号】63/104,845
(32)【優先日】2020-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507236292
【氏名又は名称】ドルビー ラボラトリーズ ライセンシング コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100188813
【弁理士】
【氏名又は名称】川喜田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 成康
(72)【発明者】
【氏名】ジャクソン,ジョン デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ヘニガン,ダレン
(72)【発明者】
【氏名】ウェインライト,ネイサン ショーン
【審査官】中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/119099(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第3241073(EP,A1)
【文献】国際公開第2013/151747(WO,A1)
【文献】特開2020-118781(JP,A)
【文献】特開2009-042637(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/00 ー 21/64
G02B 7/00
G02B 26/08
H04N 5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに応答して光を出射する光源と、
前記光を方向づけるように構成された照射光学システムであって、第1のレンズ群および第2のレンズ群を含む照射光学システムと、
複数のマイクロミラーを含むデジタルマイクロミラーデバイスであって、各マイクロミラーは、当該マイクロミラーがオン姿勢にある場合には方向づけられた前記光をオン状態光として所定位置に向けて反射し、当該マイクロミラーがオフ姿勢にある場合には方向づけられた前記光をオフ状態光として光ダンプに向けて反射するように構成されている、デジタルマイクロミラーデバイスと、
コントローラであって、
前記デジタルマイクロミラーデバイスの前記複数のマイクロミラーの各マイクロミラーの実際の姿勢角と、前記デジタルマイクロミラーデバイスの前記複数のマイクロミラーの前記各マイクロミラーの期待される姿勢角との間の偏差を決定し、
前記デジタルマイクロミラーデバイスからの光の回折パターンの中心がフィルタの中心に位置するように、前記第1のレンズ群に対応する横方向調整の第1の量と、前記第2のレンズ群に対応する横方向調整の第2の量を計算し、
前記第1の量に従って第1の方向に前記第1のレンズ群を作動させ、前記第2の量に従って第2の方向に前記第2のレンズ群を作動させ、それにより、前記デジタルマイクロミラーデバイス上における方向づけられた前記光の位置を維持する
ように構成されたコントローラと、
を備えた投影システム。
【請求項2】
前記第2の方向は前記第1の方向と反対である、請求項1に記載の投影システム。
【請求項3】
前記第1の方向は前記第1のレンズ群の光軸に対して実質的に垂直であり、前記第2の方向は前記第2のレンズ群の光軸に対して実質的に垂直である、請求項1に記載の投影システム。
【請求項4】
前記第2のレンズ群に対応する横方向調整の前記第2の量の大きさは、前記第1のレンズ群に対応する横方向調整の前記第1の量の大きさの実質的に2倍である、請求項1に記載の投影システム。
【請求項5】
前記フィルタをさらに備え、前記フィルタは、前記反射光の所定の回折次数を通過させるように構成された開口を含む、請求項1に記載の投影システム。
【請求項6】
前記第2のレンズ群と前記デジタルマイクロミラーデバイスとの間に光学的に配置された全内部反射プリズムをさらに備える、請求項1に記載の投影システム。
【請求項7】
前記第1の量および前記第2の量を計算することは、前記コントローラのメモリに格納されたルックアップテーブルを用いて、前記偏差を横方向調整の前記第1の量および横方向調整の前記第2の量とマッチングすることを含む、請求項1に記載の投影システム。
【請求項8】
前記第1のレンズ群は第1のトラックに結合され、前記第2のレンズ群は第2のトラックに結合される、請求項1に記載の投影システム。
【請求項9】
前記第1のレンズ群を前記第1の方向に作動させることは、前記第1のレンズ群が第1の位置にあるように前記第1のトラックを作動させることを含み、前記第2のレンズ群を前記第2の方向に作動させることは、前記第2のレンズ群が第2の位置にあるように前記第2のトラックを作動させることを含む、請求項8に記載の投影システム。
【請求項10】
前記第1のレンズ群は複数の第1のレンズを含み、前記第2のレンズ群は複数の第2のレンズを含む、請求項1に記載の投影システム。
【請求項11】
画像データに応答して光を出射するように構成された光源と、前記光を方向づけるように構成された照射光学システムであって、第1のレンズ群および第2のレンズ群を含む照射光学システムと、複数のマイクロミラーを含むデジタルマイクロミラーデバイスであって、各マイクロミラーは、前記各マイクロミラーがオン姿勢にある場合には方向づけられた前記光をオン状態光として所定位置に向けて反射し、前記各マイクロミラーがオフ姿勢にある場合には方向づけられた前記光をオフ状態光として光ダンプに向けて反射するように構成されている、デジタルマイクロミラーデバイスと、を備えた投影システムをキャリブレーションする方法であって、
前記デジタルマイクロミラーデバイスの前記複数のマイクロミラーの各マイクロミラーの実際の姿勢角と、前記デジタルマイクロミラーデバイスの前記複数のマイクロミラーの前記各マイクロミラーの期待される姿勢角との間の偏差を決定することと、
前記デジタルマイクロミラーデバイスからの光の回折パターンの中心がフィルタの中心に位置するように、前記第1のレンズ群に対応する横方向調整の第1の量と、前記第2のレンズ群に対応する横方向調整の第2の量を計算することと、
前記第1の量に従って第1の方向に前記第1のレンズ群を作動させ、前記第2の量に従って第2の方向に前記第2のレンズ群を作動させ、それにより、前記デジタルマイクロミラーデバイス上における方向づけられた前記光の位置を維持することと、
を含む方法。
【請求項12】
前記第1の方向は前記第1のレンズ群の光軸に対して実質的に垂直であり、前記第2の方向は前記第2のレンズ群の光軸に対して実質的に垂直である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第2のレンズ群に対応する横方向調整の前記第2の量の大きさは、前記第1のレンズ群に対応する横方向調整の前記第1の量の大きさの実質的に2倍である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記投影システムは、前記フィルタをさらに備え、前記フィルタは、前記反射光の所定の回折次数を通過させるように構成された開口を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記投影システムは、前記第2のレンズ群と前記デジタルマイクロミラーデバイスとの間に光学的に配置された全内部反射プリズムをさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の量および前記第2の量を計算することは、ルックアップテーブルを用いて、前記偏差を横方向調整の前記第1の量および横方向調整の前記第2の量とマッチングすることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のレンズ群は第1のトラックに結合され、前記第2のレンズ群は第2のトラックに結合される、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のレンズ群を前記第1の方向に作動させることは、前記第1のレンズ群が第1の位置にあるように前記第1のトラックを作動させることを含み、前記第2のレンズ群を前記第2の方向に作動させることは、前記第2のレンズ群が第2の位置にあるように前記第2のトラックを作動させることを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のレンズ群は複数の第1のレンズを含み、前記第2のレンズ群は複数の第2のレンズを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
投影システムのプロセッサによって実行された時に、請求項11に記載の方法を含む動作を前記投影システムに行わせる命令を含むコンピュータプログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への参照
本願は、2020年10月23日に出願された米国仮出願第63/104,845号に基づく優先権を主張するものであり、当該出願の開示内容の全てを本願に援用する。
【0002】
1.開示の分野
本願は、概して、投影システム、および投影システムを駆動する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
2.関連分野の説明
デジタル投影システムは、典型的には、光源および光学システムを利用して、画像を表面またはスクリーン上に投影する。光学システムは、ミラー、レンズ、導波路、光ファイバ、ビームスプリッタ、ディフューザ、空間光変調器(SLM)等の部品を含む。プロジェクタのコントラストは、そのプロジェクタの最も暗い出力に対する最も明るい出力を示す。コントラスト比は、コントラストの定量的測定値であり、プロジェクタの最も暗い出力の輝度に対するプロジェクタの最も明るい出力の輝度の比として定義される。コントラスト比のこの定義は、「静的」または「ネイティブ」コントラスト比とも呼ばれる。
【0004】
投影システムには、空間振幅変調を実装するSLMをベースとするものがある。このようなシステムでは、光源は、画像上で再現可能な最も明るいレベルを具現化する光フィールドを提供してもよく、所望のシーンレベルを生成するべく光を減衰または廃棄する。このアーキテクチャに基づく投影システムの高コントラストの例として、コントラストを改善するためにセミコリメート照射システムと投影光学系における小さい開口絞りとを使用するものがある。このようなアーキテクチャにおいて、SLM上の照射角度は投影画像に対する大きな影響(限定はされないが、投影画像のコントラスト比および鮮明度への影響を含む)を有する。
【発明の概要】
【0005】
本開示の様々な態様は、高コントラスト投影アーキテクチャを投影表示するための装置、システム、および方法に関する。
【0006】
本開示のある例示の態様において、投影システムが開示される。前記投影システムは、画像データに応答して光を出射する光源と、前記光を方向づけるように構成された照射光学システムであって、第1のレンズ群および第2のレンズ群を含む照射光学システムと、複数のマイクロミラーを含むデジタルマイクロミラーデバイスであって、各マイクロミラーは、前記各マイクロミラーがオン姿勢にある場合には方向づけられた前記光をオン状態光として所定位置に向けて反射し、前記各マイクロミラーがオフ姿勢にある場合には方向づけられた前記光をオフ状態光として光ダンプに向けて反射するように構成されている、デジタルマイクロミラーデバイスと、前記デジタルマイクロミラーデバイスの前記複数のマイクロミラーの各マイクロミラーの実際の姿勢角と、前記デジタルマイクロミラーデバイスの前記複数のマイクロミラーの前記各マイクロミラーの期待される姿勢角との間の偏差を決定し、前記第1のレンズ群に対応する横方向調整の第1の量と、前記第2のレンズ群に対応する横方向調整の第2の量を計算し、前記第1の量に従って第1の方向に前記第1のレンズ群を作動させ、前記第2の量に従って第2の方向に前記第2のレンズ群を作動させ、それにより、前記デジタルマイクロミラーデバイス上における方向づけられた前記光の位置を維持するように構成されたコントローラと、を備える。
【0007】
本開示の別の例示の態様において、画像データに応答して光を出射するように構成された光源と、前記光を方向づけるように構成された照射光学システムであって、第1のレンズ群および第2のレンズ群を含む照射光学システムと、複数のマイクロミラーを含むデジタルマイクロミラーデバイスであって、各マイクロミラーは、前記各マイクロミラーがオン姿勢にある場合には方向づけられた前記光をオン状態光として所定位置に向けて反射し、前記各マイクロミラーがオフ姿勢にある場合には方向づけられた前記光をオフ状態光として光ダンプに向けて反射するように構成されている、デジタルマイクロミラーデバイスと、を備えた投影システムをキャリブレーションする方法が提供される。前記方法は、前記デジタルマイクロミラーデバイスの前記複数のマイクロミラーの各マイクロミラーの実際の姿勢角と、前記デジタルマイクロミラーデバイスの前記複数のマイクロミラーの前記各マイクロミラーの期待される姿勢角との間の偏差を決定することと、前記第1のレンズ群に対応する横方向調整の第1の量と、前記第2のレンズ群に対応する横方向調整の第2の量を計算することと、前記第1の量に従って第1の方向に前記第1のレンズ群を作動させ、前記第2の量に従って第2の方向に前記第2のレンズ群を作動させ、それにより、前記デジタルマイクロミラーデバイス上における方向づけられた前記光の位置を維持することと、を含む。
【0008】
本開示の別の例示の態様において、非一時的コンピュータ読み取り可能媒体であって、投影装置のプロセッサによって実行された時に、画像データに応答して光を出射するように構成された光源と、前記光を方向づけるように構成された照射光学システムであって、第1のレンズ群および第2のレンズ群を含む照射光学システムと、複数のマイクロミラーを含むデジタルマイクロミラーデバイスであって、各マイクロミラーは、前記各マイクロミラーがオン姿勢にある場合には方向づけられた前記光をオン状態光として所定位置に向けて反射し、前記各マイクロミラーがオフ姿勢にある場合には方向づけられた前記光をオフ状態光として光ダンプに向けて反射するように構成されている、デジタルマイクロミラーデバイスと、を含む前記投影装置に、前記デジタルマイクロミラーデバイスの前記複数のマイクロミラーの各マイクロミラーの実際の姿勢角と、前記デジタルマイクロミラーデバイスの前記複数のマイクロミラーの前記各マイクロミラーの期待される姿勢角との間の偏差を決定することと、前記第1のレンズ群に対応する横方向調整の第1の量と、前記第2のレンズ群に対応する横方向調整の第2の量を計算することと、前記第1の量に従って第1の方向に前記第1のレンズ群を作動させ、前記第2の量に従って第2の方向に前記第2のレンズ群を作動させ、それにより、前記デジタルマイクロミラーデバイス上における方向づけられた前記光の位置を維持することと、を含む動作を行わせる命令を格納する、非一時的コンピュータ読み取り可能媒体が提供される。
【0009】
このようにして、本開示の様々な態様は、高いダイナミックレンジおよび高い解像度を有する画像の表示を提供し、少なくとも画像投影、ホログラフィー、信号処理などの技術分野における改善をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0010】
様々な実施形態のこれらおよび他のより詳細かつ具体的な特徴を、以下の説明において添付の図面を参照しながらより完全に開示する。
図1図1は、本開示の様々な態様による、例示的投影システムのブロック図を示す。
図2A図2Aは、本開示の様々な態様において使用される例示的空間光変調器の図を示す。
図2B図2Bは、本開示の様々な態様において使用される例示的空間光変調器の図を示す。
図3A図3Aは、本開示の様々な態様による、例示的投影システムにおける例示的光学状態を図示する。
図3B図3Bは、本開示の様々な態様による、例示的投影システムにおける例示的光学状態を図示する。
図4図4は、図3A~3Bの例示的な光学システムにおける例示的な調整方法を図示する。
図5図5は、本開示の様々な態様による、例示的キャリブレーションシステムを図示する。
図6図6は、図5の例示的キャリブレーションシステムの例示的キャリブレーション方法を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示およびその態様は、コンピュータで実装される方法、コンピュータプログラム製品、コンピュータシステムおよびネットワーク、ユーザインターフェースおよびアプリケーションプログラミングインターフェースによって制御されるハードウェア、装置または回路;ならびに、ハードウェア実装される方法、信号処理回路、メモリアレイ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などを含む、様々な形態で具体化することができる。上記の要約は、本開示の様々な態様の全体的な思想を与えることのみを意図しており、本開示の範囲をいかなる形でも限定するものではない。
【0012】
以下の説明では、本開示の1つまたは複数の態様の理解のために、光学装置構成、タイミング、動作など、多くの詳細を記載する。これらの具体的な詳細は単に例示的なものであり、本出願の範囲を限定することを意図していないことは当業者には自明であろう。
【0013】
さらに、本開示は、様々な回路がデジタル投影システムで使用される実施例に主に焦点を当てるが、これは単に実装の一例であることは言うまでもない。さらに、開示されるシステムおよび方法は、光を投影する必要があるあらゆる装置(例えば、映画館、消費者および他の商業的投影システム、ヘッドアップディスプレイ、仮想現実ディスプレイなど)で使用できることも言うまでもない。
【0014】
(プロジェクタシステム)
【0015】
SLMベースの投影システムの光学系は、照射側(すなわち、SLMの光学的上流側)に位置する光学系と投影側(すなわち、SLMの光学的下流側)に位置する光学系とに大別することができる。SLM自体は、例えば、2次元アレイに配置された複数の変調素子を含む。個々の変調素子は、照射光学系から光を受け、投影光学系に光を伝達する。いくつかの例では、SLMはデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)として実装され得るが、これについては、以下でより詳細に説明される。しかし、一般に、DMDは、個々の反射素子の姿勢(position)に基づいて、投影光学系に向けて光を選択的に反射するか、または、光を廃棄する反射素子(マイクロミラー、または、単に「ミラー」)の2次元アレイを含む。
【0016】
上述のように、セミコリメート照射システムおよび投影光学系の小さい開口絞りを用いる高コントラスト投影システムは、DMD上の光の入射角の違いによって大きな影響を受け得る。投影画像の劣化を防ぐために、投影システムは、反射光を投影光学系(例えば、フィルタ開口)の開口絞りの中心に維持しながら、DMD上の照射光学系の出力(例えば、統合ロッドまたは他の均一性補正装置から出力され、その後、1つまたは複数の反射素子によって反射される光)の位置および焦点を維持し得る。しかし、DMDミラーの第1および第2の角度の正確な位置は、製造公差または他の公差の影響を受けるので、実際の第1および第2の角度がある程度変動し得る。異なる物理的DMD間のDMDミラー角度の差異を補償し、ビームが適切に中心に位置することを保証するために、DMDから出る(例えば、反射する)光の角度を制御することが可能である。そのような制御は、DMDミラーの第1および第2の角度の変動に対してロバストであるべきである。角度変動に対するロバスト性は、DMDミラーによって反射されたときに、出射ビームが常に開口部に対する公称設計出射角度となる(実質的になる)ように光のDMD上への入射角を調整することによって、提供され得る。さらに、カラー投影システムにおける各色チャンネルは、異なる角度要件を有し得るので、各色に対する調整を提供することが望ましい。
【0017】
このような高コントラスト投影システムのアーキテクチャは、適切な照射角度の調整および維持に加えて、特定の制約がある場合がある。例えば、投影システムは、光学系およびプロジェクタ自体のサイズフットプリントを低減するために、3色が再合成されるプリズム、および/または、プリズムの前に折り返し(fold)ミラーを用いてもよい。さらに、上述したように、統合ロッドの画像は、DMD上において中心に位置するべきである。ここで、DMDにおける統合ロッド(または他の均一性補正装置)の像の焦点または位置を変えることなく、DMDへの入射角を調整することができる投影システムの実施例を記載する。
【0018】
図1は、本開示の様々な態様による、例示的な高コントラスト投影システム100を図示する。具体的に、図1は、第1の光102を出射するように構成された光源101と、第1の光102を受光し、それを方向転換またはその他の方法で改変して、それにより、第2の光104を生成するように構成された照射光学系103(本開示による照射光学システムの一例)と、第2の光104を受光し、それを選択的に方向転換および/または変調して第3の光106とするように構成されたDMD105と、第3の光106を受光し、それを第4の光108として投影するように構成された第1の投影光学系107と、第4の光108をフィルタリングし、それにより、第5の光110を生成するように構成されたフィルタ109と、第5の光110を受光し、それをスクリーン113上に第6の光112として投影するように構成された第2の投影光学系111と、を含む投影システム100を図示する。
【0019】
実用的な実装例においては、投影システム100は、より少ない光学部品を含んでいてもよく、または、ミラー、レンズ、導波路、光ファイバ、ビームスプリッタ、ディフューザなどの追加の光学部品を含んでいてもよい。ある実装例においては、スクリーン113を除いた図1に図示する部品はハウジングに統合され、それにより、投影装置が提供される。他の実装例においては、投影システム100は複数のハウジングを含んでいてもよい。例えば、光源101、照射光学系103、および、DMD105が第1のハウジングに設けられ、第1の投影光学系107、フィルタ109、および、第2の投影光学系111が第1のハウジングに嵌合され得る第2のハウジングに設けられてもよい。いくつかのさらなる実装例においては、1つまたは複数のハウジング自体が下位部品を含み得る。そのような投影装置の1つ以上のハウジングは、メモリ、入力/出力ポート、通信回路、電源などの追加部品を含み得る。
【0020】
光源101は、例えば、レーザー光源、LEDなどであり得る。一般的には、光源101は、光を出射する任意の発光体である。いくつかの実装例において、光はコヒーレント光である。本開示のいくつかの態様において、光源101は、それぞれが異なる波長または波長帯域に対応する複数の個々の発光体を含み得る。光源101は、コントローラ114(例えば、投影システム100の中央演算装置(CPU)などの1つまたは複数のプロセッサ)によって提供される画像信号に応答して光を出射する。画像信号は、連続的に表示される複数のフレームに対応する画像データを含む。照射光学系103および/またはDMD105を含む投影システム100の個々の要素は、コントローラ114によって制御され得る。画像信号は、ストリーミングまたはクラウドベースで外部ソースから与えられてもよく、ハードディスクのような投影システム100の内部メモリから与えられてもよく、投影システム100に動作可能に接続される取り外し可能な媒体から与えられてもよく、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0021】
図1では概ね直線的な光路を図示しているが、実際には光路は概してこれよりも複雑である。例えば、投影システム100においては、照射光学系103からの第2の光104は、斜めの角度でDMDチップ105(またはチップ)に方向づけられる。
【0022】
入射角およびDMDミラーの効果を説明するために、図2A~2Bは、本開示の様々な態様による例示的なDMD200を示す。図2AはDMD200の平面図を示し、図2BはDMD200の部分断面図を示す。DMD200は、基板204上に2次元矩形アレイに配置された複数の正方形マイクロミラー202を含む。いくつかの例においては、DMD200は、Texas Instruments製のデジタル光プロセッサ(DLP)であり得る。各マイクロミラー202は、最終的な投影画像の1画素に対応していてもよく、静電または他の作動によって、マイクロミラー202の1つの特定のサブセットについて示される回転軸208を中心に傾くように構成されてもよい。個々のマイクロミラー202は幅212を有し、幅210の間隙で配置される。マイクロミラー202は、アルミニウムや銀などの高反射性材料で形成されるかまたはコーティングされ、それによって光を鏡面反射させ得る。マイクロミラー202の間の間隙は、間隙に入る入力光が基板204によって吸収されるように、吸収性であってもよい。
【0023】
図2Aは、いくつかの代表的マイクロミラー202のみを明示的に示しているが、実際には、DMD200は、投影システム100の解像度に等しい数のさらに多くの個々のマイクロミラーを含み得る。いくつかの例においては、解像度は、2K(2048×1080)、4K(4096×2160)、1080p(1920×1080)、汎用4K(3840×2160)等であり得る。さらに、いくつかの例においては、マイクロミラー202は、長方形アレイに配置された長方形、六角形アレイに配置された六角形、などであり得る。さらに、図2Aは斜め方向に延びる回転軸208を図示しているが、いくつかの実装例では、回転軸208は垂直方向または水平方向に延びていてもよい。
【0024】
図2Bから分かるように、各マイクロミラー202は、マイクロミラー202に回転可能に接続されるヨーク214によって基板204に接続されていてもよい。基板204は、複数の電極216を含む。図2Bの断面図では各マイクロミラー202につき2つの電極216のみが見えているが、各マイクロミラー202は実際には追加の電極を含むことができる。図2Bには特に図示していないが、DMD200は、スペーサ層、支持層、マイクロミラー202の高さまたは向きを制御するためのヒンジ部品などをさらに含み得る。基板204は、CMOSトランジスタ、メモリ素子など、DMD200に関連する電子回路を含み得る。
【0025】
電極216の特定の動作および制御に応じて、個々のマイクロミラー202は「オン」姿勢、「オフ」姿勢、および、非作動またはニュートラル姿勢の間で切り替えられ得る。マイクロミラー202は、オン姿勢にある場合、(例えば)-12°の角度に作動され(すなわち、ニュートラル姿勢に対して12°だけ反時計回りに回転され)、入力光206を鏡面反射してオン状態光218とする。マイクロミラー202は、オフ姿勢にある場合、(例えば)+12°の角度に作動され(すなわち、ニュートラル姿勢に対して時計回りに12°だけ時計回りに回転され)、入力光206を鏡面反射してオフ状態光220とする。オフ状態光220は、オフ状態光220を吸収する光ダンプへと指向される。いくつかの例において、マイクロミラー202は非作動状態で、基板204に対して平行になっていてもよい。図2A~2Bに図示され、ここで説明される特定の角度は、単に例示的なものであり、限定的なものではない。いくつかの実装例では、オン姿勢角度およびオフ姿勢角度は、それぞれ、±11度から±13度(両端を含む)の間であり得る。
【0026】
DMDミラーが12°の傾斜角を用いて光を反射または廃棄する図1の文脈において、第2の光104は24°の固定角度でDMDチップ105に方向づけられる。個々のミラーが第1の所定角度(例えば、-12°)で傾くと、ミラーはオン状態であるとみなされ、光を第1の投影光学系107、フィルタ109、および第2の投影光学系111(例えば、所定位置)に向けて方向転換する。個々のミラーが第2の所定角度(例えば、+12°)で傾くと、ミラーはオフ状態であるとみなされ、光をアクティブ画像領域の外側に位置する光ダンプに向けて方向転換する。
【0027】
スクリーン113上の画像が許容可能な鮮明度およびコントラスト比を有することを保証するために、照射光学系103は、第2の光104の位置がDMD105上において中心に位置することを維持しながら、DMD105上の入射角が正しいことを保証するように設計および/または制御され得る。
【0028】
(デュアルレンズ群制御システム)
【0029】
本開示の1つの例示的な実装例において、直列に配置された2つのレンズ群を使用することによって上記を実現し得る。図3A~3Bは、本開示に従った部分光学系300の例示的な光学状態を図示する。部分光学系300は、照射光学系103およびDMD105の少なくとも一部の一例であり得る。
【0030】
特に、図3Aは、統合ロッド301または他の均一性補正装置(そのうちの出力面のみが図示されている)、第1の光302、第1のレンズ群303、第2の光304、第2のレンズ群305、第3の光306、プリズム307、第4の光308、および、DMD309を図示する。第1のレンズ群303と第2のレンズ群305は、いずれも、横方向調整(例えば、光の進行方向と直交する横方向の移動)ができるように構成されている。第1のレンズ群303は、第2のレンズ群305と比較して光学的に上流に位置している(従って、DMDから遠い)。第1のレンズ群303が所定の方向に移動するとき、第2のレンズ群305は、DMD309上の光の位置決めを維持するために、第1のレンズ群303の移動距離の実質的に2倍(±5%)の大きさで、反対方向に移動する。説明の便宜上、図3の部分光学系300は、第1の光302が概ね水平に進行する向きで図示されている。従って、第1のレンズ群303および第2のレンズ群305は、概ね垂直に移動する。図3Aに図示する様々な要素は、図1に図示する様々な要素(または様々な要素の一部)に対応し得る。
【0031】
いくつかの例において、統合ロッド301は、光源101の発光素子から光を受けて光を出力する光源101の部品であり、それにより、第1の光302が第1の光102に対応するものであり得る。他の例においては、統合ロッド301は、統合ロッド301が第1の光102を受け取り、それを統合して第1の光302を形成するような、照射光学系103の部品であり得る。いくつかの例においては、第1のレンズ群303、第2のレンズ群305、および、プリズム307は照射光学系103の部品であり、それにより、第4の光308が第2の光104に対応するものであり得る。他の例においては、第3の光306は第2の光104に対応する。いくつかの例においては、プリズム307は、全内部反射(TIR)プリズムである。
【0032】
第1のレンズ群303は、第1のレンズ310および第2のレンズ311を含む。第2のレンズ群305は、第3のレンズ312と第4のレンズ313を含む。2つのレンズを含むように示されているが、第1のレンズ群303および第2のレンズ群305は、第1の光302を所与の角度でDMD309に指向するように任意の数のレンズで構成され得る。さらに、個々のレンズが別々に図示されているが、グループ内の個々のレンズが互いに固着されてもよい。さらに、各レンズ群は、凹レンズ、凸レンズ、両凹レンズ、両凸レンズ、平凹レンズ、平凸レンズ、負メニスカスレンズ、および、正メニスカスレンズなどの任意のタイプのレンズで構成され得る。各レンズ群が複数の個々のレンズを含む実装例においては、各レンズは、それらが一緒に移動するように剛性的に接続され得る。
【0033】
DMD309は、DMD105に対応し得る。説明の便宜上、DMD309は平坦な面として図示されているが、実際には、DMD309は、同じ平面に沿って配向されていてもいなくてもよい複数の個々の反射素子を含む。このように、DMD309は、DMD309の個々の反射部品がオン姿勢、オフ姿勢、またはニュートラル姿勢にあるかどうかに応じて、第4の光308(すなわち、第2の光104)を選択的に反射および指向するように、図2A~2Bに図示されたような構造を有し得る。適切なコントラスト比および画像鮮明度を提供するために、第4の光308は、DMD309によって一旦反射されると(すなわち、第3の光106)、開口部(例えば、第1の投影光学系107、フィルタ109、および、第2の投影光学系111)などの所定の位置で中心に位置するべきである。
【0034】
図3Aに示される状態において、第1のレンズ群303および第2のレンズ群305は、それぞれ、プリズム307から出射する第4の光308がDMD309上で中心に位置し、第4の光308がDMD309の表面法線に対して24°で接するように角度が付くように、位置決めされている。第1の光302は、統合ロッド301から第1のレンズ群303まで、水平な光軸に沿って進む。実際には、第1の光302は、第1のレンズ群303の表面で非ゼロの立体角をなすように、移動しながら拡がる。第1のレンズ群303の表面は、第1の光302を受光し、その光を、第2の光304として、第2のレンズ群305に向けて指向する。第2のレンズ群305の表面は、第2の光304を受光し、その光を、第3の光306として、第4の光308がDMD309上において中心に位置するようにプリズム307に向けて指向する。マイクロミラー202が「オン」であるとき、マイクロミラーはマイナス12°で傾き、第4の光308は投影レンズを通して投影される。マイクロミラー202が「オフ」であるとき、ミラーはプラス12°で傾き、第4の光308は、先に説明したように、光ダンプに投影される。
【0035】
DMD309のマイクロミラーが、オン状態において、12°の角度に傾くとき、開口絞り109において入射点を中心に維持するためには、第4の光308が24°の角度であるべきである。そのために、第1のレンズ群303を第1の方向315に第1の量(例えば、第1の距離)だけ調整し、第2のレンズ群305を第2の方向316に第2の量(例えば、第2の距離)だけ調整する。さらに、照射光学系300の拡大比に起因して、第2のレンズ群305に対応する第2の調整量の大きさは、入射点が第1の投影光学系107上で中心に位置するように、第1のレンズ群303に対応する第1の調整量の大きさの実質的に2倍である。
【0036】
しかし、実際には、DMD309(またはDMD105)のマイクロミラーの公称傾斜角が少しでもずれていると、第1の投影光学系107上の第3の光106の入射点がずれることになる。また、第4の光308が24°以外の角度である場合、第4の光108を開口絞り109において中心に保てなくなる。これらのずれは、第1のレンズ群303および第2のレンズ群305を調整することによって打ち消すことが可能である。例えば、図3Bに図示するように、第1のレンズ群303は第1の方向315にずれ、第2のレンズ群305は第2の方向316にずれてもよい。第1の方向315および第2の方向316は、それぞれ、第1の光302の方向に対して垂直(例えば、横方向)であってもよい。従って、第1の方向315は第1のレンズ群303の光軸に対して実質的に垂直であり、第2の方向316は第2のレンズ群305の光軸に対して実質的に垂直である。さらに、第1の方向315および第2の方向316は反対であってもよい。例えば、第1の方向315が正Y軸方向である場合、第2の方向316は負Y軸方向である。
【0037】
(デュアルレンズ調整方法)
【0038】
図4は、図3A~3Bに例示される部分光学系300のキャリブレーション中に行われ得る、例示的な調整またはアライメント方法を示す。図4の調整方法は、以下により詳細に説明されるように、例えばコンピュータプログラムを通じて、自動化された方法で行なわれ得る。
【0039】
動作401において、調整方法は、DMDマイクロミラー202の姿勢角、または期待角度からの姿勢角の偏差を決定する。さらに、または、代替的に、姿勢角は、例えば、既知の角度でDMD309を照射し、反射光の出力角を測定することによって、間接的に決定することができる。いくつかの実装例においては、動作401は、DMD309をプリズムアセンブリに取り付ける前に、試験用フィクスチャで実行され得る。
【0040】
動作402において、調整方法は、DMDマイクロミラー202の測定傾斜角に基づいて、第1のレンズ群303および第2のレンズ群305の横方向調整の適切な量を計算する。横方向調整の適切な量は、第3の光306をDMD309上および投影開口109において中心に位置させるような量であり得る。動作402の計算は、単一の入力(DMDマイクロミラー202の傾斜角、または、期待角に対するDMDマイクロミラー202の傾斜角)を受け取り、第1のレンズ群303および第2のレンズ群305の横方向調整量を出力するコンピュータプログラムを使用して行われ得る。
【0041】
動作402の計算は、キャリブレーション時に実施されてもよいし、予め実施されて投影システム100に関連付けられるルックアップテーブルに格納されてもよい。そのような実装例においては、キャリブレーション方法は、ルックアップテーブルを参照することによって、適切なミラー角度調整を計算することができる。
【0042】
動作402の上記計算の後、動作403において、調整方法は、計算された横方向調整を実施するために第1のレンズ群303および第2のレンズ群305を作動させる。この作動は、ステッピングモータ、サーボモータ、または、他の適切な調整機構を用いて実施することができる。例えば、第1のレンズ群303および第2のレンズ群305は、それぞれ、第1のトラックおよび第2のトラックに結合され得る。第1のトラックと第2のトラックは、第1のトラックに沿った第1のレンズ群303の移動が、これに対応する第2のトラックに沿った第2のレンズ群305の移動を引き起こすように(例えば、機械的連結によって)結合され得る。第1のレンズ群303は、動作402で計算されたように、第1のレンズ群303が第1の位置にあるように第1のトラックを作動させることによって、第1の方向315に作動され得る。第2のレンズ群305は、動作402で計算されるように、第2のレンズ群305が第2の位置にあるように第2のトラックを作動させることによって、第2の方向316に作動させ得る。いくつかの例においては、作動は、図1のコントローラ114の制御下で行われる。他の例においては、作動は、手動制御の下で行われる。
【0043】
(デュアルレンズグルーピングキャリブレーションシステム)
【0044】
図5は、投影システム100をキャリブレーションするための例示的な部分光学系500を図示する。システム500のいくつかの要素は、図3A~3Bに図示されたシステム300の要素と等価である。等価な要素は、同じ参照符号を用いて図示する。システム500は、統合ロッド301、第1の光302、第1のレンズ群303、第2の光304、第2のレンズ群305、第3の光306、プリズム307、第4の光308、および、DMD309を含む。さらに、システム500は、第5の光501、第6の光502、第1の投影レンズ503、ビームスプリッタ504、第2の投影レンズ505、第1のスクリーン506、第3の投影レンズ507(レンズ群として図示)、第2のスクリーン508、および、開口絞り509を含む。第1投影レンズ503、第2投影レンズ505、および、第1スクリーン506は、それぞれ図1に例示した第1投影光学系107、第2投影光学系111、および、スクリーン113と同一または類似であり得る。長ダッシュ・短ダッシュ線で表される第5の光501は、システムのマージナル光線である。第5の光501の光線が収束する場所は、DMD309の投影像の位置を示している。半ダッシュ線で表される第6の光502は、システムの主光線である。第6の光502の光線が収束する場所は、開口絞り509または開口絞り509の画像を示している。
【0045】
ビームスプリッタ504は、第5の光501の光線が第1のスクリーン506に収束し、第6の光502の光線が第2のスクリーン508に収束するように、第5の光501と第6の光502を分岐させる。従って、DMD309によって投影された画像は、第1のスクリーン506上に映し出される。具体的には、DMD309が投影した回折パターンを投影システム100のキャリブレーションのために用いることができる。開口絞り509の画像は、第2のスクリーン508に投影される。第1のスクリーン506は、例えば、図1のスクリーン113であってもよい。各画像は、投影システム100のキャリブレーションを助け得る。例えば、投影システム100の技術者は、投影システム100をキャリブレーションしながら、第1のスクリーン506上の回折パターンと第2のスクリーン508上の開口絞り509の実像の両方を見ることができる。キャリブレーションまたはテストの目的において、ビームスプリッタ504および第2のレンズ505を含むアセンブリは、第5の光501および第2の光502の経路に挿入するように構成され得る。キャリブレーション完了後、このアセンブリを経路から除外し得る。
【0046】
(デュアルレンズキャリブレーション方法)
【0047】
図6は、図5に図示された部分光学系500のキャリブレーション中に行われ得る、例示的なキャリブレーション方法を図示している。図6のキャリブレーション方法は、第1のレンズ群303および第2のレンズ群305の初期位置を設定するために手動で行われ得る。
【0048】
動作601において、第1のレンズ群303および第2のレンズ群305は、それらの移動範囲の中央に移動される。例えば、上述したように、第1のトラックと第2のトラックの中央である。いくつかの実装例において、移動範囲の中央は、統合ロッド301の面の中央と一致する。
【0049】
動作602において、図1のフィルタ109のような投影開口フィルタが設置される。フィルタ109は、第4の光108または第4の光308の所定の回折次数、または、所定の照射角を通過するように構成された開口を含み得る。例えば、フィルタ109は、変調光をフーリエ平面に集光することによって、変調光(例えば、DMD105からの光)を空間フーリエ変換する光学系を指す「フーリエ部」または「フーリエレンズアセンブリ」を含み得る。フーリエ部によって行われる空間フーリエ変換は、変調光の各回折次数の伝搬角をフーリエ平面上の対応する空間位置に変換する。これにより、フーリエ部は、フーリエ平面における空間フィルタリングによって、所望の回折次数の選択、および、望ましくない回折次数の拒絶を可能にする。例えば、フーリエ部は、投影光を2°の角度で通過させるように構成され得る。フーリエ平面における変調光の空間フーリエ変換は、変調光のフラウンホーファー回折パターンと等価である。
【0050】
動作603において、DMD309からの回折パターンの中心が第2のスクリーン508上において中心に位置するまで、第2のレンズ群305が調整される。例えば、第5の光501は、ランダムノイズパターンであり得る。第5の光501を第2のスクリーン508上に投影すると、見える回折パターン(例えば、空間周波数)はsinc関数となる。第2のレンズ群305が横方向に調整されると、第5の光501の回折パターンが移動する。回折パターンが開口絞り509の像において中心に位置すると、第2のレンズ群305は第3の位置にある。動作604において、第2のレンズ群305はさらに調整される。いくつかの実装例においては、第2のレンズ群305は、第2のトラックの中央を基準として、第2のレンズ群305の最終キャリブレーション位置が第3の位置の距離の3分の1になるように横方向に調整される。
【0051】
動作605において、DMD309からの回折パターンの中心が第2のスクリーン508上において中心に位置するまで第1のレンズ群303が調整される。例えば、第5の光501は、第2のスクリーン508上に投影される。第1のレンズ群303が横方向に調整されると、第5の光501の回折パターンが移動する。回折パターンが中心に位置すると、第1のレンズ群303は最終キャリブレーション位置にある。いくつかの実装例において、キャリブレーションを行う技術者は、第1のスクリーン506を参照して、鮮明な画像が投影され、DMD309が完全に照らされていることを確かめてもよい。第1のレンズ群303および第2のレンズ群305の最終キャリブレーション位置は、第1のレンズ群303および第2のレンズ群305の初期位置としてコントローラ114のメモリ(例えば、ルックアップテーブル)に格納される。
【0052】
上記の投影システムおよびキャリブレーション方法は、適切な照射角度を調整および維持し、照射の位置を維持し、第1のレンズ群および第2のレンズ群を使用するアーキテクチャにおいてこれらすべてを実行することができる照射光学系を有する構成を提供し得る。
【0053】
本開示に従ったシステム、方法および装置は、以下の構成のうちの任意の1つまたは複数を取り得る。
【0054】
(1)画像データに応答して光を出射する光源と、前記光を方向づけるように構成された照射光学システムであって、第1のレンズ群および第2のレンズ群を含む照射光学システムと、複数のマイクロミラーを含むデジタルマイクロミラーデバイスであって、各マイクロミラーは、前記各マイクロミラーがオン姿勢にある場合には方向づけられた前記光をオン状態光として所定位置に向けて反射し、前記各マイクロミラーがオフ姿勢にある場合には方向づけられた前記光をオフ状態光として光ダンプに向けて反射するように構成されている、デジタルマイクロミラーデバイスと、前記デジタルマイクロミラーデバイスの前記複数のマイクロミラーの各マイクロミラーの実際の姿勢角と、前記デジタルマイクロミラーデバイスの前記複数のマイクロミラーの前記各マイクロミラーの期待される姿勢角との間の偏差を決定し、前記第1のレンズ群に対応する横方向調整の第1の量と、前記第2のレンズ群に対応する横方向調整の第2の量を計算し、前記第1の量に従って第1の方向に前記第1のレンズ群を作動させ、前記第2の量に従って第2の方向に前記第2のレンズ群を作動させ、それにより、前記デジタルマイクロミラーデバイス上における方向づけられた前記光の位置を維持するように構成されたコントローラと、を備えた投影システム。
【0055】
(2)前記第2の方向は前記第1の方向と反対である、前記(1)に記載の投影システム。
【0056】
(3)前記第1の方向は前記第1のレンズ群の光軸に対して実質的に垂直であり、前記第2の方向は前記第2のレンズ群の光軸に対して実質的に垂直である、前記(1)~(2)のいずれかに記載の投影システム。
【0057】
(4)前記第2のレンズ群に対応する横方向調整の前記第2の量の大きさは、前記第1のレンズ群に対応する横方向調整の前記第1の量の大きさの実質的に2倍である、前記(1)~(3)のいずれかに記載の投影システム。
【0058】
(5)前記反射光の所定の回折次数を通過させるように構成された開口を含むフィルタをさらに備える、前記(1)~(4)のいずれかに記載の投影システム。
【0059】
(6)前記第2のレンズ群と前記デジタルマイクロミラーデバイスとの間に光学的に配置された全内部反射プリズムをさらに備える、前記(1)~(5)のいずれかに記載の投影システム。
【0060】
(7)前記第1の量および前記第2の量を計算することは、前記コントローラのメモリに格納されたルックアップテーブルを用いて、前記偏差を横方向調整の前記第1の量および横方向調整の前記第2の量とマッチングすることを含む、前記(1)~(6)のいずれかに記載の投影システム。
【0061】
(8)前記第1のレンズ群は第1のトラックに結合され、前記第2のレンズ群は第2のトラックに結合される、前記(1)~(7)のいずれかに記載の投影システム。
【0062】
(9)前記第1のレンズ群を前記第1の方向に作動させることは、前記第1のレンズ群が第1の位置にあるように前記第1のトラックを作動させることを含み、前記第2のレンズ群を前記第2の方向に作動させることは、前記第2のレンズ群が第2の位置にあるように前記第2のトラックを作動させることを含む、前記(8)に記載の投影システム。
【0063】
(10)前記第1のレンズ群は複数の第1のレンズを含み、前記第2のレンズ群は複数の第2のレンズを含む、前記(1)~(9)のいずれかに記載の投影システム。
【0064】
(11)画像データに応答して光を出射するように構成された光源と、前記光を方向づけるように構成された照射光学システムであって、第1のレンズ群および第2のレンズ群を含む照射光学システムと、複数のマイクロミラーを含むデジタルマイクロミラーデバイスであって、各マイクロミラーは、前記各マイクロミラーがオン姿勢にある場合には方向づけられた前記光をオン状態光として所定位置に向けて反射し、前記各マイクロミラーがオフ姿勢にある場合には方向づけられた前記光をオフ状態光として光ダンプに向けて反射するように構成されている、デジタルマイクロミラーデバイスと、を備えた投影システムをキャリブレーションする方法であって、前記デジタルマイクロミラーデバイスの前記複数のマイクロミラーの各マイクロミラーの実際の姿勢角と、前記デジタルマイクロミラーデバイスの前記複数のマイクロミラーの前記各マイクロミラーの期待される姿勢角との間の偏差を決定することと、前記第1のレンズ群に対応する横方向調整の第1の量と、前記第2のレンズ群に対応する横方向調整の第2の量を計算することと、前記第1の量に従って第1の方向に前記第1のレンズ群を作動させ、前記第2の量に従って第2の方向に前記第2のレンズ群を作動させ、それにより、前記デジタルマイクロミラーデバイス上における方向づけられた前記光の位置を維持することと、を含む方法。
【0065】
(12)前記第1の方向は前記第1のレンズ群の光軸に対して実質的に垂直であり、前記第2の方向は前記第2のレンズ群の光軸に対して実質的に垂直である、前記(11)に記載の方法。
【0066】
(13)前記第2のレンズ群に対応する横方向調整の前記第2の量の大きさは、前記第1のレンズ群に対応する横方向調整の前記第1の量の大きさの実質的に2倍である、前記(11)または(12)に記載の方法。
【0067】
(14)前記投影システムは、前記反射光の所定の回折次数を通過させるように構成された開口を含むフィルタを備えた、前記(11)~(13)のいずれかに記載の方法。
【0068】
(15)前記投影システムは、前記第2のレンズ群と前記デジタルマイクロミラーデバイスとの間に光学的に配置された全内部反射プリズムをさらに備える、前記(11)~(14)のいずれかに記載の方法。
【0069】
(16)前記第1の量および前記第2の量を計算することは、ルックアップテーブルを用いて、前記偏差を横方向調整の前記第1の量および横方向調整の前記第2の量とマッチングすることを含む、前記(11)~(15)のいずれかに記載の方法。
【0070】
(17)前記第1のレンズ群は第1のトラックに結合され、前記第2のレンズ群は第2のトラックに結合される、前記(11)~(16)のいずれかに記載の方法。
【0071】
(18)前記第1のレンズ群を前記第1の方向に作動させることは、前記第1のレンズ群が第1の位置にあるように前記第1のトラックを作動させることを含み、前記第2のレンズ群を前記第2の方向に作動させることは、前記第2のレンズ群が第2の位置にあるように前記第2のトラックを作動させることを含む、前記(17)に記載の方法。
【0072】
(19)前記第1のレンズ群は複数の第1のレンズを含み、前記第2のレンズ群は複数の第2のレンズを含む、前記(11)~(18)のいずれかに記載の方法。
【0073】
(20)投影システムのプロセッサによって実行された時に、前記(11)~(19)のいずれかに記載の方法を含む動作を前記投影システムに行わせる命令を格納する、非一時的コンピュータ読み取り可能媒体。
【0074】
本明細書に記載されたプロセス、システム、方法、ヒューリスティック等に関して、そのようなプロセス等のステップを、ある順序付けられたシーケンスに従って発生するものとして記載してきたが、そのようなプロセスは、記載されたステップが本明細書に記載された順序以外の順序で実行されて実践され得ることは言うまでもない。さらに、特定のステップが同時に実行され得ること、他のステップが追加され得ること、または本明細書に記載された特定のステップが省略され得ることは言うまでもない。言い換えれば、本明細書におけるプロセスの説明は、特定の実施形態を例示する目的で提供されており、決して、特許請求の範囲を限定するように解釈されるべきではない。
【0075】
従って、上記の説明は、例示的なものであり、制限的なものではないことが意図されていることは言うまでもない。上記の説明を読めば、提供された例以外の多くの実施形態および用途が明らかになるであろう。請求の範囲は、上記の説明を参照して決定されるべきでなく、添付の請求項を参照して、そのような請求項が権利を有する等価物の全範囲に合わせて決定されるべきである。本明細書で議論された技術において将来の発展が起こり、開示されたシステムおよび方法がそのような将来の実施形態に組み込まれることが予測され、意図されている。つまり、本出願に改変および変形が可能であることは言うまでもない。
【0076】
特許請求の範囲において使用される全ての用語には、本明細書において反対の明示がなされない限り、最も広い合理的な解釈、および、本明細書に記載した技術分野の当業者によって理解される通常の意味を与えられることが意図される。特に、「a」、「the」、「said」などの単数冠詞は、請求項において明示的な反対の限定がなされない限り、記載された要素が1つまたは複数存在することを意味している。
【0077】
開示の要約は、読者が技術的開示の性質を迅速に把握できるようにするために提供される。開示の要約は、特許請求の範囲またはその意味を解釈または制限するために用いられるものではないという理解のもとに提出されている。さらに、前述の詳細な説明では、開示内容を分かり易くするために、様々な実施形態において様々な特徴部がグループ分けされていることが分かる。この開示方法は、請求項に記載の実施形態が各請求項に明示的に記載されているよりも多くの特徴部を含んでいるという意図を反映しているものではない。むしろ、以下の請求項でも反映されているように、発明的主題は、単一の開示実施形態のすべての特徴部よりも少ない特徴部に潜在している。従って、以下の請求項は本明細書において詳細な説明に組み込まれており、各請求項は個別に請求される主題として独立している。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5
図6