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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】施解錠装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
E05B49/00 J
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020027825
(22)【出願日】2020-02-21
(65)【公開番号】P2021130994
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2023-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100095795
【弁理士】
【氏名又は名称】田下 明人
(74)【代理人】
【識別番号】100143454
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 克彦
(72)【発明者】
【氏名】馬場 千晶
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-033897(JP,A)
【文献】特開2017-141611(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00-85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数人が入退室する部屋の扉に設けられた電気錠の施解錠を行う施解錠装置であって、
かざされた記録媒体から読み取った情報を利用して認証を行う認証部と、
前記認証部による認証成功時に、前記電気錠が解錠状態となる解錠タイミングを制御可能な解錠制御部と、
前記認証部による認証が成功した認証成功者が移動する可能性のあるエリアを撮像範囲とする撮像部と、
前記撮像部により撮像される前記撮像範囲の少なくとも一部を監視エリアとして、前記撮像部による撮像結果を利用して前記監視エリア内での前記認証成功者の位置を監視する監視部と、
を備え、
前記監視エリアは、前記扉の近くのエリアを占める近方エリアと、前記扉から離れたエリアを占める遠方エリアと、前記近方エリアと前記遠方エリアとの間に介在する中間エリアとに区分けされ、
前記解錠制御部は、前記認証部による認証成功時に前記電気錠を解錠状態に制御した際に、前記監視部により前記認証成功者が前記近方エリア内に位置しているとの監視結果が得られると、前記解錠状態を維持し、前記監視部により前記認証成功者が前記遠方エリア内に位置しているとの監視結果が得られると、前記電気錠を施錠状態に切り替え
前記認証部は、前記近方エリア内にいる利用者によってかざされる前記記録媒体を読み取るように配置されることを特徴とする施解錠装置。
【請求項2】
前記監視部は、前記監視エリアにおいて、前記認証成功者に加えて、当該認証成功者と異なる他の利用者の位置を監視可能に構成され、
前記解錠制御部は、前記監視部により前記認証成功者が前記中間エリア内に位置している間に前記他の利用者が前記近方エリアに位置しているとの監視結果が得られると、前記電気錠を施錠状態に切り替えることを特徴とする請求項1に記載の施解錠装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉に設けられた電気錠の施解錠を行う施解錠装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ICカード等を用いた認証が成功することで、扉に設けられた電気錠を解錠状態に制御する施解錠装置が広く導入されている。このような施解錠装置に関する技術として、例えば、下記特許文献1に開示される入退管理システムが知られている。
【0003】
この入退管理システムでは、利用者の移動経路を監視するカメラとICカードリーダとが管理対象となる出入口近傍に配置されており、ICカードリーダによる読取結果とカメラからの画像データとに基づいて、利用者の入退管理に関する制御が行われる。具体的には、特定情報が記録されたICカードがICカードリーダにかざされることで認証が成功して電気錠が解錠状態になると、その後の利用者(認証成功者)の移動経路を監視する。これにより、その利用者が出入口を通過することなく引き返すような場合を除外できるので、正確な入退管理が実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-037447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、認証成功時には、予め設定された解錠時間に応じて電気錠が解錠状態になるが、この解錠時間が比較的短く設定されていると、大きな荷物を運搬する利用者や車椅子の利用者等だと、扉を開けるまでに時間がかかったために、再び電気錠が施錠状態になってしまう場合がある。このため、上記解錠時間を比較的長く設定すると、例えば、認証成功者が解錠された扉を開けずに引き返すような場合には、その解錠状態が継続されてしまうため、この解錠状態が継続されている間に第三者が侵入できてしまうといったセキュリティ的な問題がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、認証成功者の位置に応じて施錠タイミングを調整可能な構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載の発明は、
複数人が入退室する部屋の扉(11)に設けられた電気錠(12)の施解錠を行う施解錠装置(20)であって、
かざされた記録媒体から読み取った情報を利用して認証を行う認証部(22)と、
前記認証部による認証成功時に、前記電気錠が解錠状態となる解錠タイミングを制御可能な解錠制御部(21)と、
前記認証部による認証が成功した認証成功者(Pa)が移動する可能性のあるエリアを撮像範囲とする撮像部(23)と、
前記撮像部により撮像される前記撮像範囲の少なくとも一部を監視エリア(S)として、前記撮像部による撮像結果を利用して前記監視エリア内での前記認証成功者の位置を監視する監視部(21)と、
を備え、
前記監視エリアは、前記扉の近くのエリアを占める近方エリア(S1)と、前記扉から離れたエリアを占める遠方エリア(S3)と、前記近方エリアと前記遠方エリアとの間に介在する中間エリア(S2)とに区分けされ、
前記解錠制御部は、前記認証部による認証成功時に前記電気錠を解錠状態に制御した際に、前記監視部により前記認証成功者が前記近方エリア内に位置しているとの監視結果が得られると、前記解錠状態を維持し、前記監視部により前記認証成功者が前記遠方エリア内に位置しているとの監視結果が得られると、前記電気錠を施錠状態に切り替え
前記認証部は、前記近方エリア内にいる利用者によってかざされる前記記録媒体を読み取るように配置されることを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明では、撮像部により撮像される撮像範囲の少なくとも一部を監視エリアとして、撮像部による撮像結果を利用して監視エリア内での認証成功者の位置が監視部により監視される。そして、認証部による認証成功時に電気錠を解錠状態に制御した際に、監視部により認証成功者が扉の近くの近方エリア内に位置しているとの監視結果が得られると、解錠制御部により解錠状態が維持され、監視部により認証成功者が扉から離れた遠方エリア内に位置しているとの監視結果が得られると、解錠制御部により電気錠が施錠状態に切り替えられる。
【0009】
これにより、監視エリアにおける近方エリア及び遠方エリアに関して、認証成功者の位置に応じて施錠タイミング(解錠時間)を調整することができる。このため、認証成功者が扉を開けるまでに時間がかかったとしても、その認証成功者が近方エリア内に位置していると解錠状態が維持されるので、認証成功者は、確実に解錠状態となった扉を開けることができる。また、認証成功者が解錠された扉を開けずに引き返すような場合には、その認証成功者が近方エリアから遠方エリアに移動することとなるため、電気錠が直ちに施錠状態に切り替えられるので、第三者が扉を開けて侵入するようなこともない。
【0010】
請求項2の発明では、監視部は、監視エリアにおいて、認証成功者に加えて、当該認証成功者と異なる他の利用者の位置を監視可能に構成されている。そして、監視部により認証成功者が中間エリア内に位置している間に他の利用者が近方エリアに位置しているとの監視結果が得られると、解錠制御部により電気錠が施錠状態に切り替えられる。
【0011】
これにより、認証成功者が中間エリア内に位置していると、他の利用者が近方エリアに入らない限り、認証成功者が近方エリア内に位置している場合と同様に、解錠状態が維持され、その状態で他の利用者が近方エリアに入ることで、解錠状態から施錠状態に切り替えられる。認証成功者が中間エリア内に位置している場合には、その認証成功者が扉付近を見ていないために第三者が不正に扉を開けて通過してしまう可能性があるため、他の利用者が近方エリアに入った場合に電気錠を施錠状態に切り替えることで、セキュリティ性を高めることができる。これに対して、認証成功者が近方エリア内に位置している場合には、その認証成功者が扉付近を容易に監視可能な状態であるため、他の利用者の動向にかかわらず解錠状態を維持することで、セキュリティ性を低下させることなく認証成功者が扉を開けることが可能な状態を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係る施解錠装置を採用する入退管理システムの構成を概略的に示す説明図である。
図2】入退管理装置の電気的構成を概略的に示すブロック図である。
図3】管理サーバの電気的構成を概略的に示すブロック図である。
図4】監視エリアと、近方エリア、遠方エリア及び中間エリアとの位置関係を説明する説明図である。
図5】第1実施形態において制御コントローラの制御回路にて実行される施解錠処理の流れを例示するフローチャートである。
図6】認証成功者のみが近方エリア内に位置している状態を説明する説明図である。
図7】認証成功者が引き返すために近方エリアから遠方エリアに移動した状態を説明する説明図である。
図8】認証成功者が近方エリアから中間エリア内に移動した状態を説明する説明図である。
図9】認証成功者が中間エリア内に位置している状態で他の利用者が近方エリア内に移動した状態を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係る施解錠装置を採用する入退管理システムについて、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る入退管理システム10は、入室が制限される部屋の入退室を管理するシステムであって、この部屋の扉11に設置される電気錠12の施解錠を行う施解錠装置20と、施解錠装置20における認証履歴を管理する管理サーバ30とを備えている。
【0014】
なお、扉11は、例えばスライド式或いは回動式に構成されている。また、電気錠12は、公知の電磁式電気錠であって、施解錠対象である扉11近傍の壁面に配置されており、施錠信号の入力に応じて施錠状態が維持され、解錠信号の入力に応じて解錠動作がなされるように構成されている。なお、電気的な制御によって扉11を施錠及び解錠し得る構成であれば公知の様々な電気錠を電気錠12として用いることができる。
【0015】
まず、施解錠装置20について図2を用いて説明する。
図2に示すように、施解錠装置20は、主に、制御コントローラ21、ICカードリーダ22、カメラ23などを備えている。
【0016】
制御コントローラ21は、制御回路21a、メモリ21b、通信部21cなどを備えている。制御回路21aは、例えばマイクロコンピュータ等で構成されており、メモリ21bに記憶された制御プログラムに従い制御コントローラ21全体を制御している。この制御コントローラ21は、通信部21cを介してICカードリーダ22、カメラ23および管理サーバ30等から情報を取得可能に構成され、この取得した情報に応じて各種情報処理を行うように機能する。
【0017】
また、制御コントローラ21は、通信部21cを介して電気錠12を制御し得る構成をなしており、後述する施解錠処理に応じて、施錠時には電気錠12に対して施錠信号を出力し、解錠時には電気錠12に対して解錠信号を出力するようになっている。なお、制御コントローラ21は、電気錠12が解錠状態となる解錠タイミングを制御可能な「解錠制御部」の一例に相当し得る。
【0018】
メモリ21bは、ROM、RAM、不揮発性メモリなどの公知の記憶媒体によって構成されており、施解錠処理を実行するためのプログラムや後述する入退許可情報、カメラ23により撮像された画像等が記憶可能に構成されている。
【0019】
通信部21cは、例えば公知のLANインタフェースなどによって構成されており、ICカードリーダ22およびカメラ23や電気錠12、管理サーバ30などの外部装置との間で無線通信或いは有線通信を行うためのインタフェースとして機能している。
【0020】
ICカードリーダ22は、利用者を特定する特定情報(例えば、固有ID)が記録されたICカードCを読取対象とする「読取部」の一例に相当し得るもので、非接触通信方式でICカードを読み取る公知のICカードリーダとして構成されている。このICカードリーダ22は、扉11近傍の壁面に配置されており、近づけられたICカードCから読み取った特定情報等を制御コントローラ21に出力するように機能する。
【0021】
ここで、ICカードCは、「記録媒体」の一例に相当し得るもので、上述のように入室が制限される部屋への入退室が許可される利用者だけでなく通常の利用者も含めて利用者ごとに所持されている。そして、入退室が許可される利用者の特定情報は、入退許可情報として予めメモリ21bにデータベース化されて予め記憶されており、制御コントローラ21での認証処理において、ICカードCから読み取った特定情報が入退許可情報としてメモリ21bに記憶されていると、認証成功と判定される。なお、制御コントローラ21及びICカードリーダ22は、「認証部」の一例に相当し得る。
【0022】
カメラ23は、認証成功と判定された利用者(以下、認証成功者ともいう)の動向を撮像して監視するための「撮像部」として機能するもので、例えば、固体撮像素子によって画像を撮像する公知のカメラ(公知のCCDカメラ、CMOSカメラ等)によって構成されている。このカメラ23は、上記認証成功者が移動する可能性のあるエリアを撮像範囲とするように、天井または壁面等に配置されている。
【0023】
なお、本実施形態では、カメラ23は、撮像された画像(動画)データを制御コントローラ21に常時出力するように構成されているが、これに限らず、制御コントローラ21からの指示を受けたタイミングで撮像された画像(動画)を制御コントローラ21に出力するように構成されてもよい。
【0024】
次に、管理サーバ30について図3を用いて説明する。
管理サーバ30は、施解錠装置20における認証履歴や入退許可情報等を管理するコンピュータとして構成されており、社内LAN等のネットワークNを介して施解錠装置20と通信可能に接続されている。この管理サーバ30は、図3に示すように、管理サーバ30全体を統括的に制御する制御部31、ROM、RAM、HDD等からなる記憶部32、マウスやキーボード等として構成される入力部33、液晶モニタ等として構成される表示部34、LANインタフェース等として構成される通信部35などを備えている。
【0025】
そして、記憶部32には、施解錠装置20から受信した認証成功情報や認証失敗情報等が逐次記憶される認証履歴用のデータベースが格納されている。この認証履歴用データベースを解析等することで、施解錠装置20が設けられる部屋に関する入室履歴等を含めた認証履歴を把握することができる。
【0026】
次に、このように構成される施解錠装置20において、ICカードリーダ22を利用した認証成功時に施錠タイミング(解錠時間)を調整するためになされる施解錠処理について、図4図9を参照して説明する。
【0027】
本実施形態では、カメラ23により撮像される撮像範囲のうち扉11及びICカードリーダ22を含めた範囲を監視エリアSとして、この監視エリアS内での認証成功者の位置に応じて電気錠12の施錠タイミングを調整する。
【0028】
特に、本実施形態では、図4に示すように、上記監視エリアSを、扉11及びICカードリーダ22の近くのエリアを占める近方エリアS1と、扉11及びICカードリーダ22から離れたエリアを占める遠方エリアS3と、近方エリアS1と遠方エリアS3との間に介在する中間エリアS2とに区分けし、認証成功者がいるエリアに応じて電気錠12の施錠タイミングを調整する。
【0029】
以下、制御コントローラ21の制御回路21aにて実行される施解錠処理について、図5に示すフローチャート等を参照して具体的に詳述する。
制御回路21aにより施解錠処理が開始されると、まず、ステップS101に示す判定処理にて、ICカードリーダ22を利用した認証が成功したか否かについて判定される。具体的には、ICカードリーダ22により読み取られたICカードCの特定情報がメモリ21bに予め入退許可情報として記憶されるものであるか否かについて判定され、入退許可情報とは異なる特定情報等を読み取っている場合には、認証失敗としてNoとの判定がなされる。
【0030】
そして、入退室が許可される利用者がそのICカードCをICカードリーダ22にかざすことで、認証が成功すると(S101でYes)、ステップS103に示す解錠信号出力処理がなされ、電気錠12に対して解錠信号が出力される。これにより、電気錠12が解錠状態となり、認証が成功した利用者、すなわち、認証成功者Paが扉11を開けることが可能な状態になる。
【0031】
続いて、ステップS105に示す位置検出処理がなされる。この処理では、カメラ23による撮像結果を利用して、監視エリアS内での認証成功者Paの位置と当該認証成功者Paと異なる他の利用者の位置とを検出して、認証成功者Pa及び他の利用者の動向が監視される。本実施形態では、認証成功時にICカードリーダ22の最も近くにいる人の頭を検出し、この頭が検出された人を認証成功者Paとしそれ以外を他の利用者として監視対象に設定する。また、認証成功後に新たに監視エリアS内に入ってくる利用者も、上記他の利用者として監視対象に設定する。なお、上記ステップS105の処理を実行する制御コントローラ21は、「監視部」の一例に相当し得る。
【0032】
このように認証成功者Pa等の位置が検出されると、ステップS107の判定処理にて、その検出された認証成功者Paが近方エリアS1内に位置しているか否かについて判定される。認証成功直後では、図6に示すように、認証成功者PaはICカードリーダ22の近くにいるため、近方エリアS1内に位置していると判定される(S107でYes)。この場合には、解錠状態が維持されて(S115)、上記ステップS105の位置検出処理が継続される。すなわち、認証成功者Paが近方エリアS1内にいる間は、解錠状態が維持される。
【0033】
その後、認証成功者Paが扉11を開けて入室することでその認証成功者Paが監視エリアS外に移動すると、ステップS107の判定処理にてNoと判定されるとともに、ステップS109の判定処理にて認証成功者Paが中間エリアS2内に位置していないことからNoと判定されて、ステップS113に示す施錠信号出力処理がなされる。これにより、電気錠12に対して施錠信号が出力されて、電気錠12が施錠状態に切り替わる(S117)。そして、再度上記ステップS101からの処理がなされて、次の利用者がICカードCをICカードリーダ22にかざすことで認証可能な状態になる。
【0034】
また、図7に示すように、近方エリアS1内にいた認証成功者Paが、入室することなく中間エリアS2を通過して遠方エリアS3内に入るように引き返す場合も、ステップS107,S109でNoと判定されて、施錠信号出力処理がなされることで(S113)、電気錠12が施錠状態に切り替わる(S117)。
【0035】
これに対して、例えば、認証成功者Paが知り合い等に話しかけられたために、図8に示すように、近方エリアS1から中間エリアS2内に移動すると、ステップS107にてNo、ステップS109でYesと判定されて、ステップS111の判定処理にて、上記ステップS105の位置検出処理の検出結果に基づいて、他の利用者が近方エリアS1内にいるか否かについて判定される。ここで、図8に示すように、他の利用者が近方エリアS1内にいない場合には、ステップS111にてNoと判定されて、解錠状態が維持されるとともに(S115)、上記ステップS105の位置検出処理が継続される。
【0036】
このように、認証成功者Paが中間エリアS2内に位置しているために(S111でNo)、解錠状態が維持された状態で(S115)、上記ステップS105の位置検出処理により、図9に示すように、認証成功者Paと異なる他の利用者Pbが近方エリアS1内に移動した検出結果が得られると、ステップS111にてYesと判定される。この場合には、施錠信号出力処理がなされることで(S113)、電気錠12が施錠状態に切り替わるため(S117)、他の利用者Pbは、ICカードリーダ22を利用した認証が成功しない限り、扉11を開けることができない状態になる。
【0037】
以上説明したように、本実施形態に係る施解錠装置20では、カメラ23により撮像される撮像範囲の少なくとも一部を監視エリアSとして、カメラ23による撮像結果を利用して監視エリアS内での認証成功者Paの位置が監視される。そして、認証成功時に電気錠12を解錠状態に制御した際に、認証成功者Paが扉11の近くの近方エリアS1内に位置しているとの監視結果が得られると(S107でYes)、解錠状態が維持され(S115)、認証成功者Paが扉11から離れた遠方エリアS3内に位置しているとの監視結果が得られると(S109でNo)、電気錠12が施錠状態に切り替えられる(S117)。
【0038】
これにより、監視エリアSにおける近方エリアS1及び遠方エリアS3に関して、認証成功者Paの位置に応じて施錠タイミング(解錠時間)を調整することができる。このため、認証成功者Paが扉11を開けるまでに時間がかかったとしても、その認証成功者Paが近方エリアS1内に位置していると解錠状態が維持されるので、認証成功者Paは、確実に解錠状態となった扉11を開けることができる。また、認証成功者Paが解錠された扉11を開けずに引き返すような場合には、その認証成功者Paが近方エリアS1から遠方エリアS3に移動することとなるため、電気錠12が直ちに施錠状態に切り替えられるので、第三者が扉11を開けて侵入するようなこともない。
【0039】
特に、本実施形態に係る施解錠装置20は、ステップS105の位置検出処理により、監視エリアSにおいて、認証成功者Paに加えて、当該認証成功者Paと異なる他の利用者の位置を監視可能に構成されている。そして、認証成功者Paが中間エリアS2内に位置している間に他の利用者が近方エリアS1に位置しているとの監視結果が得られると(S111でYes:図9参照)、電気錠12が施錠状態に切り替えられる(S117)。
【0040】
これにより、認証成功者Paが中間エリアS2内に位置していると、他の利用者が近方エリアS1に入らない限り、認証成功者Paが近方エリアS1内に位置している場合と同様に、解錠状態が維持され、その状態で他の利用者が近方エリアS1に入ることで、解錠状態から施錠状態に切り替えられる。認証成功者Paが中間エリアS2内に位置している場合には、その認証成功者Paが扉11付近を見ていないために第三者が不正に扉11を開けて通過してしまう可能性があるため、他の利用者が近方エリアS1に入った場合に電気錠12を施錠状態に切り替えることで、セキュリティ性を高めることができる。これに対して、認証成功者Paが近方エリアS1内に位置している場合には、その認証成功者Paが扉11付近を容易に監視可能な状態であるため、他の利用者の動向にかかわらず解錠状態を維持することで、セキュリティ性を低下させることなく認証成功者Paが扉11を開けることが可能な状態を維持することができる。
【0041】
[他の実施形態]
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下のように具体化してもよい。
(1)本発明は、ICカードリーダ22の読取結果に基づく認証処理を利用した施解錠処理に採用されることに限らず、他の認証処理、例えば、情報コード(バーコードやQRコード(登録商標など))の読取結果に基づく認証処理や顔認証等の生体認証処理を利用した施解錠処理に採用されてもよい。
【0042】
(2)上記ステップS105に示す位置検出処理では、認証成功時にICカードリーダ22の最も近くにいる人の頭を検出し、この頭が検出された人を認証成功者Paとして監視対象に設定することに限らず、例えば、認証成功時にICカードCをICカードリーダ22にかざす動作を行っている人を検出し、この人を認証成功者Paとして監視対象に設定してもよい。
【符号の説明】
【0043】
10…入退管理システム
11…扉
12…電気錠
20…施解錠装置
21…制御コントローラ(解錠制御部,認証部,監視部)
22…ICカードリーダ(認証部)
23…カメラ(撮像部)
Pa…認証成功者
Pb…他の利用者
S…監視エリア
S1…近方エリア
S2…中間エリア
S3…遠方エリア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9