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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】パンク修理液収容容器
(51)【国際特許分類】
   B29C 73/02 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
B29C73/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020038082
(22)【出願日】2020-03-05
(65)【公開番号】P2021138058
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】関口 巧
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-107640(JP,A)
【文献】特表2015-508718(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 73/00-73/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パンク修理液が収容される収容部と前記収容部の一端に設けられた開口部とを有する容器本体と、前記開口部に装着されたキャップとを備えたパンク修理液収容容器において、
前記キャップが、外部から圧縮空気を導入するための導入路と、前記パンク修理液を外部に排出するための排出路とを備え、
前記排出路の前記収容部側の端部に前記収容部の底部まで延在する排出管が連結されており、前記排出管の開放端に少なくとも1本のスリットまたは切欠きからなる変形補助部を有し、
前記変形補助部がスリットであり、前記排出管の長さが前記収容部の内側における高さの105%~115%であり、前記スリットが湾曲した前記排出管の内径側に形成されていることを特徴とするパンク修理液収容容器。
【請求項2】
前記スリットの他に更に前記変形補助部として切欠きが設けられ、前記切欠きが湾曲した前記排出管の外径側であって前記収容部の底部と接触する部分に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のパンク修理液収容容器。
【請求項3】
パンク修理液が収容される収容部と前記収容部の一端に設けられた開口部とを有する容器本体と、前記開口部に装着されたキャップとを備えたパンク修理液収容容器において、
前記キャップが、外部から圧縮空気を導入するための導入路と、前記パンク修理液を外部に排出するための排出路とを備え、
前記排出路の前記収容部側の端部に前記収容部の底部まで延在する排出管が連結されており、前記排出管の開放端に少なくとも1本のスリットまたは切欠きからなる変形補助部を有し、
前記変形補助部が切欠きであり、前記排出管の長さが前記収容部の内側における高さの105%~115%であり、前記切欠きが湾曲した前記排出管の外径側であって前記収容部の底部と接触する部分に形成されていることを特徴とするパンク修理液収容容器。
【請求項4】
前記切欠きの終端位置から前記排出管の延長方向に沿って延在するスリットが設けられたことを特徴とする請求項3に記載のパンク修理液収容容器。
【請求項5】
前記排出管の少なくとも前記開放端側の端部が軟質材で構成されており、前記軟質材のショア硬度が60~90であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のパンク修理液収容容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パンク修理液が収容される収容部の底部まで延在する排出管を備えたパンク修理液収容容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両に装着されたタイヤがパンクした際に、タイヤバルブを介してタイヤ内にパンク修理液を注入することにより、パンクを応急的に修理することが行われている。このような応急的な修理を可能にする装置としては、例えば、パンク修理キットが用いられる(例えば、特許文献1を参照)。パンク修理キットを用いた場合、車両にスペアタイヤを搭載する必要が無くなり、省資源化や車両の軽量化が可能になる。また、車両のスペアタイヤ搭載スペースを別の目的に活用できるという利点もある。
【0003】
このようなパンク修理を行うためのパンク修理キットは、一般に、パンク修理液が収容されたパンク修理液収容容器と、エアコンプレッサとから構成されている。パンク修理液収容容器は、パンク修理液が収容される収容部と該収容部の一端に設けられた開口部とを有する容器本体と、この容器本体の開口部に装着されたキャップとを備えている。キャップは、外部から圧縮空気を導入するための導入路と、パンク修理液を外部に排出するための排出路とを備えている。そして、導入路をエアコンプレッサに接続する一方で排出路をタイヤバルブに接続した状態でエアコンプレッサを作動させることにより、パンク修理液と空気をタイヤ内に充填するようになっている。
【0004】
上述のようなパンク修理液収容容器、特に開口部およびキャップが上部に位置する状態で使用される所謂正立タイプの容器では、排出路の収容部側の端部に、収容部の底部まで延在する排出管が連結されたものがある。このような排出管を備えたパンク修理液収容容器では、排出管の開放端が収容部の底部に位置するため、修理液を収容部内に残存させずに排出することができる。即ち、排出管が収容部の底部まで到達しないと、パンク修理液の液面が排出管の開放端よりも下方になった際にパンク修理液を適切に排出できなくなる虞がある。一方で、排出管が長すぎると、排出管の開放端が収容部の底部に押し付けられて排出管が潰れてしまい、パンク修理作業時に容器内圧の過剰な上昇が発生したり、作業時間(パンク修理液の排出に要する時間)が長くなる虞がある。また、排出管の長さが適切であっても、容器内の排出管の状態によっては、排出管が長すぎる場合と同様の不具合が生じることが懸念される。そのため、収容部の底部まで延在する排出管を備えたタイプのパンク修理液収容容器において、パンク修理作業時に容器内圧の過剰な上昇を回避するための対策が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013‐220622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、パンク修理作業時に容器内圧の過剰な上昇を回避しながら、修理液を残存させずに排出することを可能にしたパンク修理液収容容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明のパンク修理液収容容器は、パンク修理液が収容される収容部と前記収容部の一端に設けられた開口部とを有する容器本体と、前記開口部に装着されたキャップとを備えたパンク修理液収容容器において、前記キャップが、外部から圧縮空気を導入するための導入路と、前記パンク修理液を外部に排出するための排出路とを備え、前記排出路の前記収容部側の端部に前記収容部の底部まで延在する排出管が連結されており、前記排出管の開放端に少なくとも1本のスリットまたは切欠きからなる変形補助部を有し、前記変形補助部がスリットである場合に、前記排出管の長さが前記収容部の内側における高さの105%~115%であり、前記スリットが湾曲した前記排出管の内径側に形成されているか、或いは、前記変形補助部が切欠きである場合に、前記排出管の長さが前記収容部の内側における高さの105%~115%であり、前記切欠きが湾曲した前記排出管の外径側であって前記収容部の底部と接触する部分に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、上述のように排出管の開放端が収容部の底部に位置するため、修理液を収容部内に残存させずに排出することができる。このとき、排出管の開放端に変形補助部を有するので、排出管の開放端が収容部の底部に接した際には、変形補助部を構成するスリットや切欠きによって、開放端はその開口面積が拡大するように変形することになる。また、排出管に流入するパンク修理液や空気の圧力によってもスリットや切欠きが拡大する変形が生じる。そのため、排出管の開放端が潰れるような変形を回避することができ、また、容器内圧の過剰な上昇も回避すること可能になる。
【0009】
本発明においては、排出管の少なくとも開放端側の端部が軟質材で構成されており、軟質材のショア硬度が60~90であることが好ましい。これにより、スリットや切欠きによる排出管の開放端の変形が促進されるので、排出管の開放端が潰れるような変形を回避し、容器内圧の過剰な上昇も回避するには有利になる。
【0010】
本発明においては、排出管の長さが収容部の内側における高さの100%~115%であることが好ましい。これにより、排出管の開放端が収容部の底部に確実に到達するので、修理液を収容部内に残存させずに排出するには有利になる。尚、「収容部の内側における高さ」とは、排出路の収容部側の端部(排出管が接続される端部)の直下における収容部の底部(内面)から開口部までの高さである。
【0011】
本発明においては、変形補助部がスリットであり、排出管の長さが収容部の内側における高さの105%~115%であり、スリットが湾曲した排出管の内径側に形成されている仕様にすることもできる。排出管の長さが収容部の内側における高さの105%~115%である場合には、排出管は収容部内で湾曲することになるが、この湾曲形状の内径側にスリットが形成されると、排出管の開放端が収容部の底部に接した際に、スリットが開く変形が生じやすくなる。そのため、排出管の開放端が潰れるような変形を回避し、容器内圧の過剰な上昇も回避するには有利になる。
【0012】
この仕様では、スリットの他に更に変形補助部として切欠きを設けることができ、この切欠きは湾曲した排出管の外径側であって収容部の底部と接触する部分に形成されていることが好ましい。このようにスリットと切欠きを組み合わせて設けることで、スリットや切欠きが開く変形が生じやすくなり、容器内圧の過剰な上昇も回避するには有利になる。特に、切欠きを収容部の底部と接触する部分に形成するとスリットや切欠きが開く変形が促進されて効果的である。
【0013】
或いは、本発明においては、変形補助部が切欠きであり、排出管の長さが収容部の内側における高さの105%~115%であり、切欠きが湾曲した排出管の外径側であって収容部の底部と接触する部分に形成されている仕様にすることもできる。排出管の長さが収容部の内側における高さの105%~115%である場合には、排出管は収容部内で湾曲することになるが、この湾曲形状の外径側の収容部の底部と接触する部分に切欠きが形成されると、排出管の開放端が収容部の底部に接した際に、切欠きが開く変形が生じやすくなる。そのため、排出管の開放端が潰れるような変形を回避し、容器内圧の過剰な上昇も回避するには有利になる。
【0014】
この仕様では、切欠きの終端位置から排出管の延長方向に沿って延在するスリットを更に設けることが好ましい。このようにスリットと切欠きを組み合わせて設けることで、切欠きおよびスリットからなる変形補助部が開く変形が生じやすくなり、容器内圧の過剰な上昇も回避するには有利になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態からなるパンク修理液収容容器を示す断面図である。
図2】排出管の開放端を拡大して示す説明図である。
図3】排出管の開放端を拡大して示す説明図である。
図4】排出管の開放端を拡大して示す説明図である。
図5】排出管の開放端を拡大して示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明の実施形態からなるパンク修理液収容容器を示す。図1に示すように、本実施形態のパンク修理液収容容器は、パンク修理液が収容される収容部1と該収容部1の一端に設けられた開口部2とを有する容器本体3と、開口部2に装着されたキャップ4とを備えている。開口部2の外周面には雄ネジ部(不図示)が形成される一方で、キャップ4の内周面には雌ネジ部(不図示)が形成されており、キャップ4は開口部2に対して着脱自在に螺合するようになっている。
【0018】
キャップ4は、外部から圧縮空気を導入するための導入路11と、パンク修理液を外部に排出するための排出路12とを備えている。排出路12の下端(収容部1側の端部)にはチューブ(排出管13)が連結されており、この排出管13は収容部1の底面まで延在している。尚、導入路11にはホース5が接続されており、このホース5を介して導入路11にエアコンプレッサに接続される。一方、排出路12にはホース6が接続されており、このホース6を介して排出路12とタイヤバルブとが接続される。
【0019】
本発明は、主として排出管13の構造に関するものであるので、容器本体3やキャップ4の構造は特に限定されない。
【0020】
排出管13は、一端(以下、接続端という)が排出路12の下端(収容部1側の端部)に連結され、他端(以下、開放端という)が収容部1の底部に位置する。このとき、排出管13の開放端は少なくとも1つの変形補助部20を有する。変形補助部20とは、図2に示すようなスリット21や、図3に示すような切欠き22である。尚、スリット21および切欠き22は、いずれも排出管13の延長方向に沿って延在する切り込みであるが、スリット21は図示のように平常時(外部から力がかからない状態)において切り込みが閉じていて幅を持たないものであり、切欠き22は図示のように平常時(外部から力がかからない状態)において幅を有するものである。
【0021】
本発明では、上述のように排出管13の開放端が収容部1の底部に位置するため、修理液を収容部1内に残存させずに排出することができる。このとき、排出管13の開放端に変形補助部20を有するので、排出管13の開放端が収容部1の底部に接した際には、変形補助部20を構成するスリット21や切欠き22によって、開放端はその開口面積が拡大するように変形することになる。また、排出管13に流入するパンク修理液や空気の圧力によってもスリット21や切欠き22が拡大する変形が生じる。そのため、排出16管の開放端が潰れるような変形を回避することができ、また、容器内圧の過剰な上昇も回避すること可能になる。
【0022】
変形補助部20がスリット21である場合、スリット21の形状は特に限定されず、図2(a)~(c)に示すように、様々な態様を採用することができる。図2(a)のスリット21は直線状に延在し、図2(b)のスリット21は振幅を持ってジグザグ状に延在し、図2(c)のスリット21は振幅を持って波状に延在している。変形補助部20がスリット21の場合はいずれも、スリット長さdは好ましくは10mm~15mmであるとよい。尚、スリット21が振幅を持つ形状の場合、スリット長さdは、図示のように、排出管13の開放端からスリット21の終端位置までの排出管13の延長方向に沿った長さである。上述の形状や寸法を採用することで、上述の開放端の変形を促進できるので、排出管13の開放端が潰れるような変形を回避し、容器内圧の過剰な上昇も回避するには有利になる。
【0023】
変形補助部20が切欠き22である場合、切欠き22の形状は特に限定されず、図3(a)~(c)に示すように、様々な態様を採用することができる。図3(a)の切欠き22は均一な微細な幅wを有して直線状に延在している。この場合、幅wは好ましくは1mm~3mm、切欠き長さd(排出管13の延長方向に沿った切欠き22の長さ)は好ましくは3mm~10mmであるとよい。図3(b)の切欠き22は、図3(a)の場合と比較して十分に大きな幅wを持ちながら均一の幅で排出管13の延長方向に沿って延在する矩形状を有している。この場合、図3(a)の場合と異なり、幅wは好ましくは3mm~7mm、切欠き長さdは好ましくは2mm以下であるとよい。図3(c)の切欠き22は排出管13の開放端において最大幅Wを有して切欠き22の終端に向かって切欠き幅が狭まる先細り形状(V字形状)を有している。この場合、切欠き22の最大幅W(開放端における幅)は好ましくは2mm~5mm、切欠き長さd(排出管13の延長方向に沿った切欠き22の長さ)は好ましくは3mm~6mmであるとよい。いずれの場合も、切欠き22によって欠落する部分の面積(切欠き面積)が6mm2 ~25mm2 であるとよい。上述の形状や寸法を採用することで、上述の開放端の変形を促進できるので、排出管13の開放端が潰れるような変形を回避し、容器内圧の過剰な上昇も回避するには有利になる。
【0024】
変形補助部20は、図4に示すように、上述のスリット21と切欠き22は組み合わせた形状であってもよい。例えば、図4(a)に示すように、図3(a)の直線状の切欠き22の終端から更に直線状のスリット21が延在する形状にすることもできる。また、図4(b)に示すように、図3(b)の先細り形状(V字形状)の切欠き22の終端から更に直線状のスリット21が延在する形状にすることもできる。スリット21と切欠き22を組み合わせる場合、基本的に、切欠き22の終端から更にスリット21が延在する形状となるが、スリット21と切欠き22の組み合わせ方は図4の例に限定されない。即ち、図2のスリット形状を含む様々な形状と図3の切欠き形状を含む様々な形状を任意で組み合わせることができる。
【0025】
排出管13の材質は特に限定されず、パンク修理液収容容器の排出管13に一般的に用いられるものを使用することができる。但し、排出管13の少なくとも開放端側の端部が軟質材で構成されていることが好ましい。言い換えると、排出管13の全体を軟質材で構成するか、排出管13の開放端側の端部を除く全体を硬質材で構成して、開放端側の端部のみを軟質材で構成することが好ましい。このように軟質材を用いることで、スリット21や切欠き22による排出管13の開放端の変形が促進されるので、排出管13の開放端が潰れるような変形を回避し、容器内圧の過剰な上昇も回避するには有利になる。尚、軟質材とはショア硬度が好ましくは60~90の材料であり、ポリエチレン(PE)やポリ塩化ビニル(PVC)等を例示することができる。硬質材とはロックウェル硬度が例えば80~110の材料であり、ポリプロピレン(PP)等を例示することができる。尚、ショア硬度とは、鋼球を一定の高さから試料表面に落下させて、その時の剛球の跳ね上がり高さから算出する値である。また、ロックウェル硬度とは、円錐または球体の圧子を用いて測定した押込み硬さである。
【0026】
本発明の排出管13は、上述のように収容部1の底面まで延在するものである。即ち、排出管13の長さLは、収容部1の内側における高さHの100%以上である。但し、本発明は、変形補助部20(スリット21,切欠き22)によって開放端を変形させることを意図したものであるので、排出管13の開放端が収容部1の底部に確実に到達することに加えて、排出管13の開放端が収容部1の底部に押し付けられることが好ましい。そのため、排出管13の長さLは、収容部1の内側における高さHの105%~115%であることが好ましい。これにより、排出管13の開放端が収容部1の底部に確実に到達するので、修理液を収容部1内に残存させずに排出するには有利になる。また、排出管13の開放端が収容部1の底部に押し付けられるので、変形補助部20(スリット21,切欠き22)による開放端の変形が促進されて、容器内圧の過剰な上昇も回避するには有利になる。尚、「収容部1の内側における高さH」とは、図示のように、排出路12の収容部1側の端部(排出管13が接続される端部)の直下における収容部1の底部(内面)から開口部までの高さである。
【0027】
図2の例のように、変形補助部20がスリット21である場合、このスリット21は、湾曲した排出管13の内径側に形成されていることが好ましい。尚、湾曲した排出管13の内径側とは、図1の断面図のように、容器の略中心に位置する接続端から、収容部1の底部における図中左側の角に向かって湾曲する場合は、図の左側を意味する。図1の矢印方向から見た排出管13の断面図(図5)においては、排出管13の中心を通る水平線よりも上側が排出管13の内径側(図中にINと表示)である。この湾曲形状の内径側にスリット21が形成されると、排出管13の開放端が収容部1の底部に接した際に、スリット21が開く変形が生じやすくなる。そのため、排出管13の開放端が潰れるような変形を回避し、容器内圧の過剰な上昇も回避するには有利になる。
【0028】
図3の例のように、変形補助部20が切欠き22である場合、この切欠き22は、湾曲した排出管13の外径側であって収容部1の底部と接触する部分に形成されていることが好ましい。尚、湾曲した排出管13の外径側とは、図1の断面図のように、容器の略中心に位置する接続端から、収容部1の底部における図中左側の角に向かって湾曲する場合は、図の右側を意味する。図1の矢印方向から見た排出管13の断面図(図5)においては、排出管13の中心を通る水平線よりも下側(図中にOUTと表示)が排出管13の外径側である。この湾曲形状の外径側の、特に収容部1の底部と接触する部分に切欠き22が形成されると、排出管13の開放端が収容部1の底部に接した際に、切欠き22が開く変形が生じやすくなる。そのため、排出管13の開放端が潰れるような変形を回避し、容器内圧の過剰な上昇も回避するには有利になる。
【0029】
上記のように、湾曲した排出管13の内径側/外径側を考慮して変形補助部20を設ける場合、スリット21と切欠き22とでは配置するのに好ましい位置が互いに異なるので、内径側のスリット21と、外径側の切欠き22を別々に設けてもよい。このようにスリット21と切欠き22を組み合わせて設けることで、スリット21や切欠き22が開く変形が生じやすくなり、容器内圧の過剰な上昇も回避するには有利になる。特に、両者について上述の好ましい位置に配置することで、スリット21および切欠き22の効果を良好に発揮することが可能になり、排出管13の開放端が潰れるような変形を回避し、容器内圧の過剰な上昇を回避するには有利になる。
【0030】
上述の内径側/外径側の設定は、排出管13の長さが収容部1の内側における高さの105%~115%である場合に、排出管13が収容部1内で湾曲する際に採用することが好ましい。但し、押出成形されて巻き取られた管を所定の長さに切り取ることで製造された排出管13を用いる場合には、収容部1の底部に押し付けられない状態であっても排出管13は湾曲している(緩やかに湾曲する癖がついている)ので、この湾曲を利用して、上述の内径側/外径側にスリット21や切欠き22を設けてもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 収容部
2 開口部
3 容器本体
4 キャップ
5,6 ホース
11 導入路
12 排出路
13 排出管
20 変形補助部
21 スリット
22 切欠き
図1
図2
図3
図4
図5