(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】レーザレーダシステム
(51)【国際特許分類】
G01S 17/88 20060101AFI20240510BHJP
G01F 23/56 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
G01S17/88
G01F23/56 A
(21)【出願番号】P 2020068309
(22)【出願日】2020-04-06
【審査請求日】2023-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【氏名又は名称】松田 洋
(72)【発明者】
【氏名】松田 直丈
【審査官】渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-166831(JP,A)
【文献】国際公開第2004/076972(WO,A1)
【文献】実開平01-146128(JP,U)
【文献】米国特許第05585786(US,A)
【文献】特開2012-088296(JP,A)
【文献】特開2019-144185(JP,A)
【文献】特開平06-109521(JP,A)
【文献】特開昭57-042817(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48 - 7/51
17/00 - 17/95
G01B 11/00 - 11/30
G01C 3/00 - 3/32
G01F 23/30 - 23/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視において所定範囲にレーザ光を走査して投光し、前記レーザ光が反射された反射光を受光した受光状態に基づいて物体を検出するレーザレーダと、
平面視において前記所定範囲に含まれる所定位置に設けられ、前記所定位置での水位に応じて変化する反射状態で前記レーザ光を反射する反射機構と、
を備えるレーザレーダシステムであって、
前記レーザレーダは、前記反射機構により前記レーザ光が反射された反射光を受光した受光状態に基づいて、前記所定位置での水位を検出
し、
前記反射機構は、前記所定位置での水位に応じて、前記レーザ光を反射する反射率を前記反射状態として変化させる反射率変化部を備え、
前記反射率変化部は、前記レーザ光を反射する反射率が互いに異なる複数の反射部を備える、レーザレーダシステム。
【請求項2】
前記反射率変化部は、前記所定位置での水位が上昇するほど、前記複数の反射部のうち前記反射率が高い反射部により前記レーザ光を反射させる、請求項
1に記載のレーザレーダシステム。
【請求項3】
前記反射機構は、前記所定位置での水位に応じて、平面視において前記所定範囲のうち前記レーザ光を反射する走査範囲を前記反射状態として変化させる範囲変化部を備える、請求項1
又は2に記載のレーザレーダシステム。
【請求項4】
前記範囲変化部は、前記所定位置での水位が上昇するほど、平面視において前記所定範囲のうち前記レーザ光を反射する走査範囲を広くさせる、請求項
3に記載のレーザレーダシステム。
【請求項5】
前記レーザレーダは、前記所定位置での水位と前記受光状態との所定関係を記憶しており、前記受光状態が前記所定関係を満たしていることを条件として、前記所定位置での水位が所定水位よりも上昇したと検出することを許可する、請求項1~
4のいずれか1項に記載のレーザレーダシステム。
【請求項6】
前記反射機構は、水に浮く浮き部を備え、前記所定位置での水位の上昇に伴って前記浮き部が上昇することにより、前記反射状態を変化させる、請求項1~
5のいずれか1項に記載のレーザレーダシステム。
【請求項7】
前記反射機構を複数備え、
前記レーザレーダは、複数の前記反射機構により前記レーザ光が反射された反射光を受光した受光状態に基づいて、前記所定範囲での水位を検出する、請求項1~
6のいずれか1項に記載のレーザレーダシステム。
【請求項8】
複数の前記反射機構は、前記所定範囲での水位が上昇していない状態において、それぞれ前記レーザ光を反射し、
前記レーザレーダは、複数の前記反射機構から前記反射光を受光しなくなった場合に、警報処理を実行する、請求項
7項に記載のレーザレーダシステム。
【請求項9】
前記反射機構は、地中で地面に沿って広がる板状部を含む土台部と、前記土台部に固定された本体部とを備える、請求項1~
8のいずれか1項に記載のレーザレーダシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザ光の反射光に基づいて物体を検出するレーザレーダシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水面に浮遊するフロートを利用した水位計測システムや、画像処理を応用した水位計測システムがある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、レーザ光の反射光に基づいて物体を検出するレーザレーダが広く実用化されている。水位の計測のみを行う上記水位計測システムや、物体の検出のみを行うレーザレーダは、装置の価値を向上させる上で、未だ改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、レーザレーダシステムの価値を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための第1の手段は、
平面視において所定範囲にレーザ光を走査して投光し、前記レーザ光が反射された反射光を受光した受光状態に基づいて物体を検出するレーザレーダと、
平面視において前記所定範囲に含まれる所定位置に設けられ、前記所定位置での水位に応じて変化する反射状態で前記レーザ光を反射する反射機構と、
を備えるレーザレーダシステムであって、
前記レーザレーダは、前記反射機構により前記レーザ光が反射された反射光を受光した受光状態に基づいて、前記所定位置での水位を検出する。
【0007】
上記構成によれば、レーザレーダシステムは、レーザレーダと反射機構とを備えている。レーザレーダは、平面視において所定範囲にレーザ光を走査して投光し、レーザ光が反射された反射光を受光した受光状態に基づいて物体を検出する。このため、レーザレーダは、平面視において所定範囲に侵入した物体を検出することができる。
【0008】
ここで、反射機構は、平面視において所定範囲に含まれる所定位置に設けられ、所定位置での水位に応じて変化する反射状態でレーザ光を反射する。このため、所定位置での水位が変化すると、反射機構によるレーザ光の反射状態が変化し、ひいてはレーザレーダにおける反射光の受光状態が変化する。したがって、レーザレーダは、反射機構によりレーザ光が反射された反射光を受光した受光状態に基づいて、所定位置での水位を検出することができる。すなわち、レーザレーダシステムは、レーザレーダが物体を検出する際に投光するレーザ光を利用して所定位置での水位を検出することができ、レーザレーダシステムの価値を向上させることができる。さらに、レーザ光を用いて所定位置での水位を検出するため、画像処理を応用した水位計測システムと比較して、太陽光の有無等による検出精度の低下を抑制することができる。
【0009】
第2の手段では、前記反射機構は、前記所定位置での水位に応じて、前記レーザ光を反射する反射率を前記反射状態として変化させる反射率変化部を備える。
【0010】
上記構成によれば、反射機構は反射率変化部を備えている。反射率変化部は、所定位置での水位に応じて、レーザ光を反射する反射率を前記反射状態として変化させる。このため、所定位置での水位が変化すると、反射機構によるレーザ光の反射率が変化し、ひいてはレーザレーダにおける反射光の受光状態が変化する。したがって、レーザレーダは、反射機構によりレーザ光が反射された反射光を受光した受光状態に基づいて、所定位置での水位を検出することができる。
【0011】
具体的には、第3の手段のように、前記反射率変化部は、前記レーザ光を反射する反射率が互いに異なる複数の反射部を備える、といった構成を採用することができる。
【0012】
第4の手段では、前記反射率変化部は、前記所定位置での水位が上昇するほど、前記複数の反射部のうち前記反射率が高い反射部により前記レーザ光を反射させる。
【0013】
上記構成によれば、所定位置での水位が上昇するほど、複数の反射部のうち反射率が高い反射部によりレーザ光が反射される。このため、所定位置での水位が上昇するほど、反射機構によるレーザ光の反射率が高くなり、レーザレーダにおける反射光の受光強度が強くなる。したがって、所定位置での水位が上昇するほど、所定位置での水位を検出する精度を向上させることができる。
【0014】
第5の手段では、前記反射機構は、前記所定位置での水位に応じて、平面視において前記所定範囲のうち前記レーザ光を反射する走査範囲を前記反射状態として変化させる範囲変化部を備える。
【0015】
上記構成によれば、反射機構は範囲変化部を備えている。範囲変化部は、所定位置での水位に応じて、平面視において所定範囲のうちレーザ光を反射する走査範囲を前記反射状態として変化させる。このため、所定位置での水位が変化すると、平面視において所定範囲のうち反射機構がレーザ光を反射する走査範囲(投光角度範囲)が変化し、ひいてはレーザレーダにおける反射光の受光状態(受光があった投光角度範囲)が変化する。したがって、レーザレーダは、反射機構によりレーザ光が反射された反射光を受光した受光状態に基づいて、所定位置での水位を検出することができる。
【0016】
第6の手段では、前記範囲変化部は、前記所定位置での水位が上昇するほど、平面視において前記所定範囲のうち前記レーザ光を反射する走査範囲を広くさせる。
【0017】
上記構成によれば、所定位置での水位が上昇するほど、平面視において所定範囲のうちレーザ光を反射する走査範囲が広くされる。このため、所定位置での水位が上昇するほど、レーザレーダが平面視において所定範囲のうち反射光を受光する走査範囲が広くなる。したがって、所定位置での水位が上昇するほど、所定位置での水位を検出する精度を向上させることができる。
【0018】
レーザレーダと反射機構との間の障害物等によりレーザ光が反射されると、レーザレーダが所定位置での水位を誤検出するおそれがある。
【0019】
この点、第7の手段では、前記レーザレーダは、前記所定位置での水位と前記受光状態との所定関係を記憶しており、前記受光状態が前記所定関係を満たしていることを条件として、前記所定位置での水位が所定水位よりも上昇したと検出することを許可する。こうした構成によれば、レーザレーダは、所定位置での水位と受光状態との所定関係を反射光の受光状態が満たしている場合に、所定位置での水位が所定水位よりも上昇したと検出することを許可し、所定関係を反射光の受光状態が満たしていない場合には、所定位置での水位が所定水位よりも上昇したと検出することを許可しない。したがって、レーザレーダと反射機構との間の障害物等が存在することに起因して、所定位置での水位が所定水位よりも上昇したと誤検出することを抑制することができる。
【0020】
第8の手段では、前記反射機構は、水に浮く浮き部を備え、前記所定位置での水位の上昇に伴って前記浮き部が上昇することにより、前記反射状態を変化させる。こうした構成によれば、所定位置での水位の上昇に伴って上昇する浮き部を用いることにより、所定位置での水位に応じてレーザ光の反射状態を容易に変化させることができる。
【0021】
第9の手段では、前記反射機構を複数備え、前記レーザレーダは、複数の前記反射機構により前記レーザ光が反射された反射光を受光した受光状態に基づいて、前記所定範囲での水位を検出する。
【0022】
上記構成によれば、レーザレーダシステムは、反射機構を複数備えている。そして、レーザレーダは、複数の反射機構によりレーザ光が反射された反射光を受光した受光状態に基づいて、所定範囲での水位を検出する。このため、津波や大雨により所定範囲全体の水位が上昇した場合に、複数の反射機構によりレーザ光が反射された反射光の受光状態に基づいて、所定範囲での水位を精度よく検出することができる。
【0023】
第10の手段では、複数の前記反射機構は、前記所定範囲での水位が上昇していない状態において、それぞれ前記レーザ光を反射し、前記レーザレーダは、複数の前記反射機構から前記反射光を受光しなくなった場合に、警報処理を実行する。
【0024】
上記構成によれば、複数の反射機構は、所定範囲での水位が上昇していない状態において、それぞれレーザ光を反射する。このため、所定範囲での水位が上昇していない状態で、反射機構が正常に動作している場合は、レーザレーダは複数の反射機構からレーザ光の反射光を受光する。ただし、津波等が発生すると、複数の反射機構が流されるおそれがある。この点、レーザレーダは、複数の反射機構から反射光を受光しなくなった場合に、警報処理を実行する。したがって、複数の反射機構が津波等により流されたおそれがある場合に、警報処理を実行することができる。
【0025】
第11の手段では、前記反射機構は、地中で地面に沿って広がる板状部を含む土台部と、前記土台部に固定された本体部とを備える。こうした構成によれば、土台部の板状部は地中で地面に沿って広がっているため、津波等により反射機構が流されることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】第1実施形態のレーザレーダシステムの概要を示す模式図。
【
図6】各反射部からの反射光の信号電圧Vsを示すタイムチャート。
【
図11】第2実施形態のレーザレーダシステムの反射機構を示す模式図。
【
図12】第3実施形態のレーザレーダシステムを示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第1実施形態)
以下、空港の危険区域への侵入を監視するレーザレーダシステムに具現化した第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0028】
図1の平面図に示すように、レーザレーダシステム10は、レーザレーダ20と、反射機構30とを備えている。
【0029】
レーザレーダ20は、前方の略190°の検出範囲A(所定範囲)をレーザ光で走査する広角の測距レーダである。レーザレーダ20は、平面視において検出範囲Aにレーザ光を走査して投光し、レーザ光が反射された反射光を受光した受光状態に基づいて、検出範囲Aの物体を検出する。レーザ光には、例えば赤外レーザや、可視レーザ、紫外レーザ等を利用することができる。
【0030】
反射機構30は、平面視において検出範囲Aに含まれる所定位置に設けられ、所定位置での水位に応じて変化する反射状態でレーザ光を反射する。反射機構30は、レーザレーダ20から投光角度θ1の方向に設置されている。
【0031】
図2に示すように、レーザレーダ20は、投光部21、受光部22、マイコン23等を備えている。マイコン23は、CPU、ROM、RAM、記憶装置、入出力インターフェース等を有するマイクロコンピュータである。マイコン23は、距離算出部23a及び水位検出部23bの機能を実現する。
【0032】
投光部21は、投光部21を中心として水平に、人間の腰の高さに相当する高さ(所定高さ)に、所定角度θの間隔(例えば0.25°間隔)で、パルス状のレーザ光を投光する。
【0033】
受光部22は、投光部21により投光されたレーザ光が物体で反射された反射光を受光し、反射光の受光量を信号電圧Vs[V]として検出する。受光部22は、投光部21によりレーザ光が投光される度に、反射光の受光量を検出する。
【0034】
距離算出部23aは、投光部21によりレーザ光が投光されてから、受光部22により反射光が受光されるまでの経過時間tに基づいて、投光方向ごとに投光部21(レーザレーダ20)から物体までの距離を算出する。詳しくは、距離算出部23aは、レーザ光を投光してから信号電圧Vsが検知閾値Vtを超えるまでの経過時間tに比例させて、レーザレーダ20から物体までの距離Dを算出する。
【0035】
水位検出部23bは、上記反射機構30によりレーザ光が反射された反射光を受光した受光状態に基づいて、反射機構30が設けられた所定位置P1での水位を検出する。水位検出部23bが、所定位置P1での水位を検出する手順については後述する。
【0036】
図3に示すように、反射機構30は、本体31、浮き部34、及び反射板33を備えている。
【0037】
本体31は、樹脂あるいは金属等により、下部31aが円柱状に形成されており、上部31bが円筒状に形成されている。本体31の下部31aは、先端が円錐状に形成されており、土Fに刺すことが可能な刺し部となっている。
【0038】
本体31の上部31bの下端には、複数の連通孔32aが形成されている。複数の連通孔32aは、本体31の上部31bの内部と外部とを連通させている。
【0039】
本体31の上部31bの内部には、浮き部34が挿入されている。浮き部34は、水に浮く部材(例えば風船や発泡スチロール)により、球状に形成されている。浮き部34は、本体31の上部31bの内部を上下に移動可能となっている。
【0040】
浮き部34には、上記反射板33(反射部材)が取り付けられている。反射板33は、水に浮く樹脂等により、板状に形成されている。反射板33は、その板面(最も大きい面である主面)が、レーザレーダ20に正対しており、本体31の中心線を中心として回転しないように回り止めされている。反射板33は、浮き部34と一体で、本体31の上部31bの内部を上下に移動可能となっている。なお、板状の反射板33に代えて、円柱状(円筒状)の反射棒(反射筒、反射部材)を採用することもできる。その場合は、反射棒を回り止めする必要がない。
【0041】
反射板33は、レーザ光を反射する反射率が互いに異なる第1反射部33a、第2反射部33b、及び第3反射部33cを備えている。反射板33の上端から下方の第1範囲が、第1反射部33aとなっている。第1反射部33aの下端から下方の第2範囲が、第2反射部33bとなっている。第2反射部33bの下端から下方の第3範囲が、第3反射部33cとなっている。第2反射部33bの反射率R2は、第1反射部33aの反射率R1よりも高い。第3反射部33cの反射率R3は、第2反射部33bの反射率R2よりも高い(R1<R2<R3)。
【0042】
第1反射部33a、第2反射部33b、及び第3反射部33cの上下方向の長さは、検出する水位に応じて設定されている。反射機構30が浸水していない平常時において、第1反射部33aにレーザ光が照射されるように、本体31の下部31aを土Fに刺す深さが調節されている。この状態において、上記連通孔32aは地面Fsから所定高さhに位置している。所定高さhは、例えば日常的な雨水が地面Fsに溜まっても、連通孔32aから雨水が流入しない最小の高さに設定されている。なお、反射機構30の本体31の上部31b、浮き部34、及び反射板33により、反射率変化部が構成されている。
【0043】
図4は、平常時の検出態様を示す模式図である。反射機構30が浸水していない平常時においては、レーザレーダ20が上記投光角度θ1で投光したレーザ光が、反射機構30の第1反射部33aに照射される。第1反射部33aに照射されたレーザ光は、第1反射部33aによって反射される。このとき、反射光の強度は、第1反射部33aの反射率R1に応じた強度となる。レーザレーダ20は、第1反射部33aからの反射光を受光し、反射光の受光量を信号電圧Vs[V]として検出する。
【0044】
図5は、浸水時の検出態様を示す模式図である。津波や大雨による浸水時には、反射機構30の本体31の上部31bに形成された複数の連通孔32aから、上部31bの内部へ水が流入する。これにより、浮き部34が水面に浮いた状態になり、浮き部34及び反射板33が上昇する。そして、レーザレーダ20が上記投光角度θ1で投光したレーザ光が、例えば反射機構30の第2反射部33bに照射される。第2反射部33bに照射されたレーザ光は、第2反射部33bによって反射される。このとき、反射光の強度は、第2反射部33bの反射率R2に応じた強度となる。
【0045】
すなわち、反射機構30は、水に浮く浮き部34を備え、所定位置での水位の上昇に伴って浮き部34が上昇することにより、レーザ光の反射強度(反射状態)を変化させる。詳しくは、反射機構30(反射率変化部)は、所定位置での水位が上昇するほど、複数の反射部33a~33cのうち反射率が高い反射部によりレーザ光を反射させる。そして、レーザレーダ20は、第2反射部33bからの反射光を受光し、反射光の受光量を信号電圧Vs[V]として検出する。
【0046】
図6は、各反射部からの反射光の信号電圧Vs(受光量)を示すタイムチャートである。
【0047】
レーザ光が第1反射部33aで反射された場合、レーザレーダ20が検出する信号電圧Vsは、レーザ光を投光してからの経過時間が経過時間t1となった時に、検知閾値Vtよりも大きくなる。経過時間t1は、レーザレーダ20から反射機構30(第1反射部33a)までの距離により決まる時間である。同様に、レーザ光が第2反射部33bで反射された場合、レーザレーダ20が検出する信号電圧Vsは、レーザ光を投光してからの経過時間が経過時間t1となった時に、検知閾値Vtよりも大きくなる。これは、レーザレーダ20から第1反射部33aまでの距離と、レーザレーダ20から第2反射部33bまでの距離とが等しいためである。
【0048】
しかし、第2反射部33bの反射率R2は、第1反射部33aの反射率R1よりも高くなっている(R2>R1)。このため、レーザ光が第2反射部33bで反射された場合の反射光の強度(信号電圧Vs)は、レーザ光が第1反射部33aで反射された場合の反射光の強度よりも強くなる。その結果、レーザ光が第1反射部33aで反射された場合、経過時間t2において信号電圧Vsが検知閾値Vtよりも小さくなる。これに対して、レーザ光が第2反射部33bで反射された場合、経過時間t2よりも長い経過時間t3において信号電圧Vsが検知閾値Vtよりも小さくなる。なお、レーザ光が第3反射部33cで反射された場合、経過時間t3よりも長い経過時間t4(図示略)において信号電圧Vsが検知閾値Vtよりも小さくなる。
【0049】
このように、信号電圧Vsが検知閾値Vtを上回ってから検知閾値Vtを下回るまでの時間Δt(例えばt3-t1)は、レーザ光を反射した反射部に応じて異なる、すなわち反射機構30が設けられた所定位置での水位に応じて異なる。そこで、レーザレーダ20は、所定位置での水位と時間Δt(レーザ光の受光状態)との所定関係を記憶している。所定関係は、予め実験等に基づいて取得しておくことができる。そして、レーザレーダ20は、所定関係と時間Δtとに基づいて、所定位置での水位を検出する。
【0050】
詳しくは、レーザレーダ20は、時間Δtが(t3-t1)に相当する時間であることを条件として、所定位置での水位が、レーザ光が第2反射部33bで反射される場合の水位まで上昇したと検出する。時間Δtが(t3-t1)に相当する時間であることは、時間Δtと予め取得した(t3-t1)との差の絶対値が所定値(>0)よりも小さいことにより判定することができる。また、レーザレーダ20は、時間Δtが(t4-t1)に相当する時間であることを条件として、所定位置での水位が、レーザ光が第3反射部33cで反射される場合の水位まで上昇したと検出する。
【0051】
そして、レーザレーダ20は、時間Δtが、(t3-t1)に相当する時間又は(t4-t1)に相当する時間でない場合は、所定位置での水位が上昇したと検出しない。例えば、レーザレーダ20と反射機構30との間の障害物等によりレーザ光が反射されると、時間Δtは、(t3-t1)に相当する時間及び(t4-t1)に相当する時間のいずれとも異なる時間となる。この場合、レーザレーダ20は、所定位置での水位が上昇したと検出しない。すなわち、レーザレーダ20は、時間Δtが所定関係を満たしていることを条件として、所定位置での水位が所定水位よりも上昇したと検出することを許可する。所定水位は、例えばレーザ光が第2反射部33bで反射される場合の水位よりも若干低い水位である。なお、レーザレーダ20は、時間Δtが(t2-t1)に相当する時間である場合に、レーザ光が第1反射部33aで反射されている、すなわちレーザ光は障害物等で反射されていないと判定することができる。
【0052】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。
【0053】
・レーザレーダシステム10は、レーザレーダ20と反射機構30とを備えている。レーザレーダ20は、平面視において検出範囲Aにレーザ光を走査して投光し、レーザ光が反射された反射光を受光した受光状態に基づいて物体を検出する。このため、レーザレーダ20は、平面視において検出範囲Aに侵入した物体を検出することができる。
【0054】
・反射機構30は、平面視において検出範囲Aに含まれる所定位置に設けられ、所定位置での水位に応じて変化する反射状態でレーザ光を反射する。このため、所定位置での水位が変化すると、反射機構30によるレーザ光の反射状態が変化し、ひいてはレーザレーダ20における反射光の受光状態が変化する。したがって、レーザレーダ20は、反射機構30によりレーザ光が反射された反射光を受光した受光状態に基づいて、所定位置での水位を検出することができる。すなわち、レーザレーダシステム10は、レーザレーダ20が物体を検出する際に投光するレーザ光を利用して所定位置での水位を検出することができ、レーザレーダシステム10の価値を向上させることができる。さらに、レーザ光を用いて所定位置での水位を検出するため、画像処理を応用した水位計測システムと比較して、太陽光の有無等による検出精度の低下を抑制することができる。
【0055】
・所定位置での水位に応じて、レーザ光を反射する反射率が上記反射状態として変化させられる。このため、所定位置での水位が変化すると、反射機構30によるレーザ光の反射率が変化し、ひいてはレーザレーダ20における反射光の受光状態が変化する。したがって、レーザレーダ20は、反射機構30によりレーザ光が反射された反射光を受光した受光状態に基づいて、所定位置での水位を検出することができる。
【0056】
・反射板33は、レーザ光を反射する反射率が互いに異なる反射部33a~33cを備えている。こうした構成によれば、反射率が連続的に変化する反射板と比較して、反射板33を容易に製造することができる。
【0057】
・所定位置での水位が上昇するほど、反射部33a~33cのうち反射率が高い反射部によりレーザ光が反射される。このため、所定位置での水位が上昇するほど、反射機構30によるレーザ光の反射率が高くなり、レーザレーダ20における反射光の受光強度が強くなる。したがって、所定位置での水位が上昇するほど、所定位置での水位を検出する精度を向上させることができる。
【0058】
・レーザレーダ20は、所定位置での水位と受光状態(信号電圧Vsが検知閾値Vtを上回ってから検知閾値Vtを下回るまでの時間Δt)との所定関係を記憶しており、時間Δtが所定関係を満たしていることを条件として、所定位置での水位が所定水位よりも上昇したと検出することを許可する。こうした構成によれば、レーザレーダ20は、所定位置での水位と時間Δtとの予め取得された所定関係を、反射光の時間Δtが満たしている場合に、所定位置での水位が所定水位よりも上昇したと検出することを許可し、所定関係を反射光の時間Δtが満たしていない場合には、所定位置での水位が所定水位よりも上昇したと検出することを許可しない。したがって、レーザレーダ20と反射機構30との間の障害物等が存在することに起因して、所定位置での水位が所定水位よりも上昇したと誤検出することを抑制することができる。
【0059】
・反射機構30は、水に浮く浮き部34を備え、所定位置での水位の上昇に伴って浮き部34が上昇することにより、レーザ光の反射率(レーザ光の反射状態)を変化させる。こうした構成によれば、所定位置での水位の上昇に伴って上昇する浮き部34を用いることにより、所定位置での水位に応じてレーザ光の反射率を容易に変化させることができる。
【0060】
なお、上記実施形態を、以下のように変更して実施することもできる。上記実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0061】
・
図7に示すように、第1実施形態の第1反射部33aが、板状部33dと蓋部33eとにより構成されていてもよい。板状部33d及び蓋部33eがレーザ光を反射する反射率は、上記反射率R1である。反射機構30が浸水していない平常時において、蓋部33eにレーザ光が照射されるように、本体31の下部31aを土Fに刺す深さが調節されている。蓋部33eは、本体31の上部31bの上端の開口を覆っている。これにより、本体31の上部31bの上端の開口から、ごみや埃が入ることを抑制することができる。したがって、反射板33の板状部33d、第2反射部33b、及び第3反射部33cが汚れて反射率が変化することを抑制することができる。
【0062】
・
図8に示すように、反射機構30が、透過部131cを含む本体部131を備えていてもよい。透過部131cは、ガラス等、レーザ光を透過する部材により形成されている。そして、レーザ光は、透過部131cを透過して反射板33に照射される。本体部131の上端は塞がれており、ごみや埃が上端から入ることを抑制することができる。また、
図8において反射板33を固定して、水面の上昇と共に、本体部131の内面に塗られた水溶性の遮光塗料が溶け出す構成を採用することもできる。その場合も、反射機構30によるレーザ光の反射状態、ひいては反射機構30によりレーザ光が反射された反射光をレーザレーダ20が受光する受光状態を、水位に応じて変化させることができる。
【0063】
・
図9に示すように、反射機構30は、土F中(地中)で地面Fsに沿って広がる板状部132aを含む土台部132と、土台部132に固定された本体部131とを備えていてもよい。こうした構成によれば、土台部132の板状部132aは土F中で地面Fsに沿って広がっているため、津波等により反射機構30が流されることを抑制することができる。
【0064】
・
図10に示すように、反射機構30が浸水していない平常時において、第1反射部33aよりも若干高い位置にレーザ光が投光されるように、本体31の下部31aを土Fに刺す深さが調節されていてもよい。この場合、反射機構30が浸水していない平常時においては、レーザレーダ20が上記投光角度θ1で投光したレーザ光は、反射機構30に照射されず、反射機構30で反射されない。そして、浸水時において、レーザレーダ20が上記投光角度θ1で投光したレーザ光が、反射機構30の反射部33a~33cのいずれかに照射され、反射部33a~33cのいずれかで反射される。こうした構成によっても、レーザレーダ20は、反射機構30によりレーザ光が反射された反射光を受光した受光状態に基づいて、所定位置での水位を検出することができる。なお、同図に示すように、平常時において、第1反射部33aが本体31の上部31bの内部に収納されていてもよい。
【0065】
・所定位置での水位が上昇するほど、複数の反射部のうち反射率が低い反射部によりレーザ光が反射されるようにすることもできる。また、所定位置での水位が上昇するに伴って、反射部の反射率を連続的に変化させることもできる。その場合は、所定位置での水位を連続値として検出することができる。また、複数の反射部を、レーザ光を反射する反射率が第1反射率の第1反射部と、第1反射率よりも高い第2反射率の第2反射部のみで構成することもできる。
【0066】
・水面の上昇と共に反射板33が上昇する構成に限らず、水面の上昇と共に、反射板33をレーザ光から遮る遮光部材(浮き部)が上昇する構成を採用することもできる。その場合も、反射機構30によるレーザ光の反射状態、ひいては反射機構30によりレーザ光が反射された反射光をレーザレーダ20が受光する受光状態を、水位に応じて変化させることができる。
【0067】
・信号電圧Vsのピーク値(最大値)は、レーザ光を反射した反射部に応じて異なる、すなわち反射機構30が設けられた所定位置での水位に応じて異なる。そこで、レーザレーダ20は、所定位置での水位と信号電圧Vsのピーク値(受光状態)との所定関係を記憶していてもよい。所定関係は、予め実験等に基づいて取得しておくことができる。そして、レーザレーダ20は、所定関係と信号電圧Vsのピーク値とに基づいて、所定位置での水位を検出する。詳しくは、レーザレーダ20は、信号電圧Vsのピーク値が第2反射部33bからの反射光のピーク値に相当することを条件として、所定位置での水位が、レーザ光が第2反射部33bで反射される場合の水位まで上昇したと検出する。
【0068】
上記構成によっても、レーザレーダ20は、反射機構30によりレーザ光が反射された反射光を受光した受光状態に基づいて、所定位置での水位を検出することができる。さらに、レーザレーダ20と反射機構30との間の障害物等が存在することに起因して、所定位置での水位が所定水位よりも上昇したと誤検出することを抑制することができる。
【0069】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、
図11に示すように、反射機構230は、第1実施形態の反射板33に代えて、太さが段階的に変化する反射柱233を備えている。
【0070】
反射機構230は、本体231、及び反射柱233を備えている。
【0071】
本体231は、樹脂あるいは金属等により、下部231aが四角柱状に形成されており、上部231bが四角筒状に形成されている。本体231の下部231aは、先端が四角錐状に形成されており、土Fに刺すことが可能な刺し部となっている。
【0072】
本体231の上部231bの下端には、複数の連通孔232aが形成されている。複数の連通孔232aは、本体231の上部231bの内部と外部とを連通させている。
【0073】
本体231の上部231bの内部には、反射柱233が挿入されている。反射柱233は、水に浮く部材であり且つレーザ光の反射率が所定反射率よりも高い部材(例えば発泡スチロール)により、四角柱状に形成されている。すなわち、反射柱233自体が、水に浮く浮き部になっている。反射柱233は、本体231の上部231bの内部を上下に移動可能となっている。反射柱233は、その一側面が、レーザレーダ20に正対している。
【0074】
反射柱233は、水平方向の投影幅が互いに異なる第1反射部233a、第2反射部233b、及び第3反射部233cを備えている。第1反射部233a、第2反射部233b、及び第3反射部233cの横断面形状は、正方形である。反射柱233の上端から下方の第1範囲が、第1反射部233aとなっている。第1反射部233aの下端から下方の第2範囲が、第2反射部233bとなっている。第2反射部233bの下端から下方の第3範囲が、第3反射部233cとなっている。第2反射部233bの正方形断面の一辺は、第1反射部233aの正方形断面の一辺よりも長い。第3反射部233cの正方形断面の一辺は、第2反射部233bの正方形断面の一辺よりも長い。第3反射部233cの下端部の角は、面取りされている。これにより、連通孔232aから上部231bの内部へ流入した水が、第3反射部233cの下端部の下へ入りやすくなっている。
【0075】
第1反射部233a、第2反射部233b、及び第3反射部233cの上下方向の長さは、検出する水位に応じて設定されている。反射機構30が浸水していない平常時において、第1反射部233aにレーザ光が照射されるように、本体231の下部231aを土Fに刺す深さが調節されている。この状態において、上記連通孔232aは地面Fsから所定高さhに位置している。なお、反射機構230の本体231の上部231b、及び反射柱233により、範囲変化部が構成されている。
【0076】
反射機構230が浸水していない平常時においては、レーザレーダ20が上記投光角度θ1(あるいはその前後を含む投光角度)で投光したレーザ光が、反射機構230の第1反射部233aに照射される。第1反射部233aに照射されたレーザ光は、第1反射部233aによって反射される。レーザレーダ20は、第1反射部233aからの反射光を受光し、反射光の受光量を信号電圧Vs[V]として検出する。このとき、レーザレーダ20は、信号電圧Vsが検知閾値Vtよりも高くなることにより、レーザ光が第1反射部233aによって反射されたと判定する。
【0077】
津波や大雨による浸水時には、反射機構230の本体231の上部231bに形成された複数の連通孔232aから、上部231bの内部へ水が流入する。これにより、反射柱233が水面に浮いた状態になり、反射柱233が上昇する。そして、レーザレーダ20が投光角度θ1を含む所定走査範囲で投光したレーザ光が、例えば反射機構230の第2反射部233bに照射される。所定走査範囲は、第2反射部233bの水平方向の投影幅、すなわち第2反射部233bの正方形断面の一辺の長さ(第2反射部233bの太さ)によって決まる範囲である。
【0078】
このように、反射機構230は、水に浮く反射柱233を備え、所定位置での水位の上昇に伴って反射柱233が上昇することにより、平面視において検出範囲Aのうちレーザ光を反射する走査範囲(投光角度範囲)を反射状態として変化させる。詳しくは、反射機構230(範囲変化部)は、所定位置での水位が上昇するほど、平面視において検出範囲Aのうちレーザ光を反射する走査範囲を広くさせる。したがって、レーザレーダ20は、反射機構230がレーザ光を反射した走査範囲の広さ(反射光の受光状態)に基づいて、所定位置での水位を検出することができる。
【0079】
以上詳述した本実施形態は、以下の利点を有する。ここでは、第1実施形態と異なる利点のみを述べる。
【0080】
・所定位置での水位に応じて、平面視において検出範囲Aのうちレーザ光を反射する走査範囲が反射状態として変化させられる。このため、所定位置での水位が変化すると、平面視において検出範囲Aのうち反射機構30がレーザ光を反射する走査範囲(投光角度範囲)が変化し、ひいてはレーザレーダ20における反射光の受光状態(受光があった投光角度範囲)が変化する。したがって、レーザレーダ20は、反射機構30によりレーザ光が反射された反射光を受光した受光状態に基づいて、所定位置での水位を検出することができる。
【0081】
・所定位置での水位が上昇するほど、平面視において検出範囲Aのうちレーザ光を反射する走査範囲が広くされる。このため、所定位置での水位が上昇するほど、レーザレーダ20が平面視において検出範囲Aのうち反射光を受光する走査範囲が広くなる。したがって、所定位置での水位が上昇するほど、所定位置での水位を検出する精度を向上させることができる。
【0082】
なお、上記実施形態を、以下のように変更して実施することもできる。上記実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0083】
・第1反射部233aの反射率を第1反射率にし、第2反射部233bの反射率を第1反射率よりも高い第2反射率にし、第3反射部233cの反射率を第2反射率よりも高い第3反射率にすることもできる。また、第1反射部233aの反射率を第1反射率にし、第2反射部233bの反射率を第1反射率よりも低い第2反射率にし、第3反射部233cの反射率を第2反射率よりも低い第3反射率にすることもできる。
【0084】
・所定位置での水位が上昇するほど、複数の反射部のうち平面視においてレーザ光を反射する走査範囲が狭い反射部によりレーザ光が反射されるようにすることもできる。また、所定位置での水位が上昇するに伴って、平面視においてレーザ光を反射する走査範囲を連続的に変化させることもできる。その場合は、所定位置での水位を連続値として検出することができる。また、複数の反射部を、平面視においてレーザ光を反射する走査範囲が第1走査範囲である第1反射部と、走査範囲が第1走査範囲よりも広い第2走査範囲である第2反射部のみにすることもできる。
【0085】
・反射機構30が浸水していない平常時において、第1反射部233aよりも若干高い位置にレーザ光が投光されるように、本体231の下部231aを土Fに刺す深さが調節されていてもよい。
【0086】
(第3実施形態)
以下、第3実施形態について、第1実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、
図12に示すように、レーザレーダシステム10は、複数の反射機構30A~30Cを備えている。反射機構30A~30Cは、レーザレーダ20からそれぞれ投光角度θ1~θ3の方向に設置されている。
【0087】
そして、レーザレーダ20は、反射機構30A~30Cによりレーザ光が反射された反射光を受光した受光状態に基づいて、検出範囲Aでの水位を検出する。例えば、レーザレーダ20は、反射機構30A~30Cがそれぞれ設けられた位置での水位を検出し、それらの水位の平均値を検出範囲Aでの水位として検出する。このため、津波や大雨により検出範囲A全体の水位が上昇した場合に、反射機構30A~30Cによりレーザ光が反射された反射光の受光状態に基づいて、検出範囲Aでの水位を精度よく検出することができる。
【0088】
また、反射機構30A~30Cが、検出範囲Aでの水位が上昇していない状態において、それぞれレーザ光を反射するように設定する。そして、レーザレーダ20は、全ての反射機構30A~30C(あるいは反射機構30A~30Cのうち複数の反射機構)から反射光を受光しなくなった場合に、警報処理を実行してもよい。
【0089】
上記構成によれば、反射機構30A~30Cは、検出範囲Aでの水位が上昇していない状態において、それぞれレーザ光を反射する。このため、検出範囲Aでの水位が上昇していない状態で、反射機構30A~30Cが正常に動作している場合は、レーザレーダ20は反射機構30A~30Cからレーザ光の反射光を受光する。ただし、津波等が発生すると、全ての反射機構30A~30Cが流されるおそれがある。この点、レーザレーダ20は、全ての反射機構30A~30Cから反射光を受光しなくなった場合に、警報処理を実行する。したがって、全ての反射機構30A~30Cが津波等により流されたおそれがある場合に、警報処理を実行することができる。
【0090】
(その他の実施形態)
上記の各実施形態を、以下のように変更して実施することもできる。なお、上記の各実施形態と同一の部分については、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
【0091】
・投光部21は、投光部21を中心として水平から若干傾いた角度に、人間の腰の高さに相当する高さ(所定高さ)に、所定角度θの間隔(例えば0.25°間隔)で、パルス状のレーザ光を投光することもできる。
【0092】
・水位を検出する機能を有するレーザレーダシステムは、空港の危険区域への侵入を監視するレーザレーダシステムに限らず、河川や池の危険区域への侵入を監視するレーザレーダシステムや、鉄道のホームの危険区域や踏切への侵入を監視するレーザレーダシステムに具現化することもできる。また、レーザレーダシステムは、津波や大雨により浸水する地点に限らず、平常時から水のある地点の水位を検出することもできる。
【符号の説明】
【0093】
10…レーザレーダシステム、20…レーザレーダ、30…反射機構、30A…反射機構、30B…反射機構、30C…反射機構、34…浮き部、230…反射機構。