(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】湿気硬化性樹脂組成物および硬化物
(51)【国際特許分類】
C08L 71/02 20060101AFI20240510BHJP
C08K 3/38 20060101ALI20240510BHJP
C08K 3/34 20060101ALI20240510BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20240510BHJP
C08K 5/54 20060101ALI20240510BHJP
C08G 65/336 20060101ALI20240510BHJP
C09K 3/10 20060101ALI20240510BHJP
C09J 171/02 20060101ALI20240510BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20240510BHJP
C09J 11/04 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
C08L71/02
C08K3/38
C08K3/34
C08K3/013
C08K5/54
C08G65/336
C09K3/10 Z
C09J171/02
C09J11/06
C09J11/04
(21)【出願番号】P 2020101769
(22)【出願日】2020-06-11
【審査請求日】2023-02-21
(31)【優先権主張番号】P 2019122636
(32)【優先日】2019-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000132404
【氏名又は名称】株式会社スリーボンド
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】小坂 崇人
【審査官】三宅 澄也
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-281404(JP,A)
【文献】特開2006-199725(JP,A)
【文献】特開2015-105293(JP,A)
【文献】特開2008-007586(JP,A)
【文献】特開2002-338932(JP,A)
【文献】特開2009-114258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K
C08G
C09K
C09J
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(A)~(C)成分を含み、前記(A)成分100質量部に対し(C)成分を0.03~0.9質量部含む湿気硬化性樹脂組成物:
(A)成分:主鎖骨格がポリオキシアルキレンを有し、加水分解性シリル基を有する硬化性樹脂
(B)成分:
三フッ化ホウ素を有する錯体である湿気硬化触媒
(C)成分:5~30オングストロームの孔径を有するゼオライト。
【請求項2】
前記(A)成分の加水分解性シリル基が、アルコキシシリル基であることを請求項1に記載の湿気硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記(A)成分の硬化性樹脂が、主鎖にウレタン結合を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の湿気硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
前記(A)成分の硬化性樹脂の25℃における粘度が5~1000Pa・sの範囲であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の湿気硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
有機錫化合物を実質的に含有していないことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の湿気硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
前記(C)成分が、前記(A)成分100質量部に対して、0.1~0.5質量部含まれる、請求項1~5のいずれか1項に記載の湿気硬化性樹脂組成物。
【請求項7】
前記(B)成分が、三フッ化ホウ素アミン錯体であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の湿気硬化性樹脂組成物。
【請求項8】
前記(B)成分の添加量が、(A)成分100質量部に対して0.01~0.9質量部含むことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の湿気硬化性樹脂組成物。
【請求項9】
更に(D)成分として加水分解性官能基を有するシラン化合物を含むことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の湿気硬化性樹脂組成物。
【請求項10】
更に(E)成分として無機充填剤を含むことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の湿気硬化性樹脂組成物。
【請求項11】
タックフリータイムが3分以上15分未満の範囲である、請求項1~10のいずれか1項に記載の湿気硬化性樹脂組成物。
【請求項12】
50℃で養生することにより得られる、請求項1~11のいずれか1項に記載の湿気硬化性樹脂組成物。
【請求項13】
接着剤またはシール剤として用いられることを特徴とする請求項1~
12のいずれか1項に記載の湿気硬化性樹脂組成物。
【請求項14】
請求項1~
13のいずれか1項に記載の湿気硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿気硬化性樹脂組成物および硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレンと有機錫化合物からなる湿気硬化性樹脂組成物が提案されている。これらの湿気硬化性樹脂組成物は、空気中の湿気により縮合反応し、プラスチック、金属、ガラスなど各種部材に対する接着力に優れるゴム状硬化物が得られることから、接着剤、感圧接着剤、シール剤、シーリング材、塗料およびコーティング剤などの様々な用途に用いられている。
【0003】
しかしながら、近年、湿気硬化性樹脂組成物に使用されている有機錫化合物はその毒性が指摘されており、環境に対する安全性の観点から非有機錫化合物への代替が進んでいる。非有機錫化合物としては、例えば、チタン系触媒、アルミニウム系触媒、ビスマス系触媒、ネオデカン酸金属石鹸、オクチル酸金属石鹸、DBUなどのアミジン化合物、フルオロシラン化合物、三フッ化ホウ素等のハロゲン化合物などが挙げられる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、引用文献1に開示された非有機錫化合物を用いた湿気硬化性樹脂組成物は、空気中の湿気の作用により硬化するため、湿気硬化性と貯蔵安定性とを両立させることが困難であった。具体的には、製造直後の湿気硬化性樹脂組成物は適度に作業性に優れた湿気硬化性を有するものの、貯蔵安定性試験後は湿気硬化性が低下するという問題が生じていた。
【0006】
本発明は、上記の状況に鑑みてされたものであり、初期の湿気硬化性と貯蔵安定性試験後の湿気硬化性とを両立し得る有機錫化合物を使用しない湿気硬化性樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の要旨を次に説明する。
【0008】
[1]下記の(A)~(C)成分を含み、前記(A)成分100質量部に対し(C)成分を0.03~0.9質量部含む湿気硬化性樹脂組成物:
(A)成分:主鎖骨格がポリオキシアルキレンを有し、加水分解性シリル基を有する硬化性樹脂
(B)成分:フッ素系化合物を含む湿気硬化触媒
(C)成分:5~30オングストロームの孔径を有するゼオライト。
[2]前記(A)成分の加水分解性シリル基が、アルコキシシリル基であることを特徴とする[1]に記載の湿気硬化性樹脂組成物。
【0009】
[3]前記(A)成分の硬化性樹脂が、主鎖にウレタン結合を含むことを特徴とする[1]または[2]に記載の湿気硬化性樹脂組成物。
【0010】
[4]前記(A)成分の硬化性樹脂の25℃における粘度が5~1000Pa・sの範囲であることを特徴とする[1]~[3]のいずれか1項に記載の湿気硬化性樹脂組成物。
【0011】
[5]有機錫化合物を実質的に含有していないことを特徴とする[1]~[4]のいずれか1項に記載の湿気硬化性樹脂組成物。
【0012】
[6]前記(B)成分が、三フッ化ホウ素を有する錯体であることを特徴とする[1]~[5]のいずれか1項に記載の湿気硬化性樹脂組成物。
【0013】
[7]前記(B)成分が、三フッ化ホウ素アミン錯体であることを特徴とする[1]~[6]のいずれか1項に記載の湿気硬化性樹脂組成物。
【0014】
[8]前記(B)成分の添加量が、(A)成分100質量部に対して0.01~0.9質量部含むことを特徴とする[1]~[7]のいずれか1項に記載の湿気硬化性樹脂組成物。
【0015】
[9]更に(D)成分として加水分解性官能基を有するシラン化合物を含むことを特徴とする[1]~[8]のいずれか1項に記載の湿気硬化性樹脂組成物。
【0016】
[10]更に(E)成分として無機充填剤を含むことを特徴とする[1]~[9]のいずれか1項に記載の湿気硬化性樹脂組成物。
【0017】
[11]接着剤またはシール剤として用いられることを特徴とする[1]~[10]のいずれか1項に記載の湿気硬化性樹脂組成物。
【0018】
[12][1]~[10]のいずれか1項に記載の湿気硬化性樹脂組成物を硬化させた硬化物。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、適度に作業性に優れた初期の湿気硬化性と貯蔵安定性試験後の湿気硬化性とを両立し得る有機錫化合物を使用しない湿気硬化性樹脂組成物を提供するものである。なお、本発明において「湿気硬化性」とは主に湿気による表面硬化性を意味し、後述するタックフリータイムで評価されるものなどが挙げられる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に発明の詳細を説明する。
【0021】
<(A)成分>
本発明に用いられる(A)成分とは、主鎖骨格がポリオキシアルキレンを有し、加水分解性シリル基を有する硬化性樹脂であれば特に制限されない。(A)成分は前記加水分解性シリル基が加水分解してシロキサン結合を形成することにより架橋し硬化物となる。前記ポリオキシアルキレンとは特に制限されないが、例えば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレン、ポリオキシテトラメチレンなどが挙げられる。なかでも、湿気硬化性、接着性が優れ、ゴム状硬化物が得られることからポリオキシプロピレンが好ましい。また、ポリオキシアルキレンは、より一層、初期の湿気硬化性と貯蔵安定性試験後の湿気硬化性とを両立するという観点から主鎖にウレタン結合またはウレア結合を含むことが好ましい。また、前記(A)成分は、主鎖骨格がポリプロピレングリコールを有し、両末端にウレタン結合またはウレア結合を介して加水分解性シリル基を有する硬化性樹脂であることが、初期の湿気硬化性と貯蔵安定性試験後の湿気硬化性とを両立し、さらに金属やプラスチックなど各種部材に対する接着力が優れるという観点から特に好ましい。また、前記(A)成分としては、主鎖骨格がポリオキシアルキレンを有し、加水分解性シリル基を有する硬化性樹脂の他に、更に(メタ)アクリル樹脂を含むことが好ましい。すなわち、(A)成分は、(メタ)アクリル樹脂を混合物として含む硬化性樹脂が好ましい。(A)成分が(メタ)アクリル樹脂を含む場合、各種被着体に対する接着力が優れるという効果が得られる。
【0022】
前記(A)成分の前記加水分解性シリル基とは、珪素原子に1~3個の加水分解性基が結合したものであり、前記加水分解性基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシド基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、アルケニルオキシド基などが好ましい例として挙げられ、反応の際に有害な副生成物を生成しないアルコキシ基が特に好ましい。
【0023】
前記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、tert-ブトキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基等を挙げることができ、中でもメトキシ基、エトキシ基が好ましい。これらアルコキシ基は同じ種類であってもよいし異なった種類が組み合わされていてもよい。
【0024】
アルコキシ基が珪素原子に結合したアルコキシシリル基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、トリフェノキシシリル基等のトリアルコキシシリル基;メチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基等のジアルコキシシリル基;ジメチルメトキシシリル基、ジメチルエトキシシリル基等のモノアルコキシシリル基を挙げることができる。中でもジアルコキシシリル基、トリアルコキシシリル基が好ましく、特に好ましくは、トリアルコキシシリル基である。これらを複数個組み合わせて用いてもよい。
【0025】
主鎖骨格がポリオキシアルキレンを有し、加水分解性シリル基を有する硬化性樹脂としては、株式会社カネカ製の商品名MSポリマーとしてS-203、S-303、S-903等、サイリルポリマーとしてSAT-200、SAT-350,MA-403、MA-447等、旭硝子(株)製エクセスターESS-2410、ESS-2420、ESS-3630等を挙げることができる。
【0026】
前記主鎖骨格がポリオキシアルキレン(好ましくはポリプロピレングリコール)を有し、両末端にウレタン結合またはウレア結合を介して加水分解性シリル基を有する硬化性樹脂の製造方法としては、例えば、ポリオキシアルキレンポリオールと、ポリイソシアネートと、アミノ基とアルコキシ基とを有するシラン化合物とを反応させることで得ることができる。
【0027】
前記ポリオキシアルキレンポリオールとしては具体的にはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどが挙げられる。また、前記ポリイソシアネートとしては例えばキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、トルイレンジイソシアネート等が挙げられる。また、前記アミノ基とアルコキシ基とを有するシラン化合物としては例えばN-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0028】
(A)成分に含まれるポリオキシアルキレンポリオールの数平均分子量は、特に制限されないが、好ましくは500~500,000であり、より好ましくは1000~100,000であり、さらに好ましくは2000~50,000である。ポリオキシアルキレンポリオールの数平均分子量が上記範囲であることにより本発明の効果がさらに発揮される。
【0029】
主鎖骨格がポリオキシアルキレンを有し、加水分解性シリル基を有する硬化性樹脂は、その分子内に(メタ)アクリレート由来の成分を有するのが好ましい。この場合、各種被着体に対する接着力が優れるという効果が得られる。硬化性樹脂において、(メタ)アクリレート由来の成分は、ポリオキシアルキレン(好ましくはポリプロピレングリコール)を有する主鎖骨格とウレタン結合またはウレア結合を介して含まれているのがより好ましい。好ましい実施形態において、(A)成分の硬化性樹脂は、主鎖骨格がポリオキシアルキレンを有し、両末端にウレタン結合またはウレア結合を介して加水分解性シリル基を有し、主鎖骨格とウレタン結合またはウレア結合を介して(メタ)アクリレート由来の成分を有する。そのような硬化性樹脂(主鎖骨格がポリオキシアルキレンを有し、両末端にウレタン結合またはウレア結合を介して加水分解性シリル基を有し、主鎖骨格とウレタン結合またはウレア結合を介して(メタ)アクリレート由来の成分を有する硬化性樹脂)の製造方法としては、例えば、シラン化合物に(メタ)アクリレート由来の成分を導入する方法が挙げられる。前記アミノ基とアルコキシ基とを有するシラン化合物のアミノ基(第1級アミノ基)が、後述する(メタ)アクリル樹脂を構成するモノマーと反応することで、シラン化合物が(メタ)アクリレート由来の成分と第2級アミノ基とアルコキシ基とを有するシラン化合物が得られる。当該シラン化合物を、ポリオキシアルキレンポリオールとポリイソシアネートと反応させることで、主鎖骨格がポリオキシアルキレンを有し、両末端にウレタン結合またはウレア結合を介して加水分解性シリル基を有し、主鎖骨格とウレタン結合またはウレア結合を介して(メタ)アクリレート由来の成分を有する硬化性樹脂を得ることができる。
【0030】
前記(メタ)アクリル樹脂とは、各種モノマーを種々の重合法により得ることができ、その方法は特に限定されないが、反応制御の容易性の点からラジカル重合法が好ましく、ラジカル重合の中でもリビングラジカル重合が好ましい。また、リビングラジカル重合を利用した重合体の製造方法としては、特に限定されないが、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)法、原子移動ラジカル重合(ATRP)法などがあげられる。
【0031】
前記(メタ)アクリル樹脂を構成するモノマーとしては特に限定されず、各種のものを用いることができる。具体的には、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸-n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸-n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸-t-ブチル、(メタ)アクリル酸-n-ペンチル、(メタ)アクリル酸-n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸-n-ヘプチル、(メタ)アクリル酸-n-オクチル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸-2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸-3-メトキシブチル、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2-アミノエチル、γ-(メタクリロイルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2-トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロエチル-2-パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロメチル-2-パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2-パーフルオロヘキサデシルエチル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明においては、前記モノマーより選択して重合させることができるが、好ましくは炭化水素基を有する(メタ)アクリルモノマーを選択することが好ましい。
【0032】
(メタ)アクリル樹脂を混合物として含む硬化性樹脂の製造方法としては、例えば、シラン化合物に(メタ)アクリレート由来の成分を導入する際に、(メタ)アクリル樹脂を構成するモノマーの量や反応条件を調製することにより得ることができる。
【0033】
本発明における(A)成分の25℃での粘度は、特に制限は無いが、作業性などの面から、例えば5~1000Pa・sであり、好ましくは30~500Pa・sの範囲であり、より好ましくは50~300Pa・sの範囲である。なお、特に断りがない限り、粘度の測定は、コーンプレート型粘度計を用い、25℃での粘度をJIS K6833-1:2008に準拠して測定した。
【0034】
<(B)成分>
本発明で使用することができる(B)成分であるフッ素系化合物を含む湿気硬化触媒は、前記(A)成分の縮合反応を促進させる触媒として作用するものである。本願発明は、多数の非有機錫化合物の中でも(B)成分を選択し、本願発明のその他成分と組み合わせることにより、プラスチック、金属など各種部材に対する接着力を維持しながら、初期の湿気硬化性と貯蔵安定性試験後の湿気硬化性とを両立し得るという顕著な効果を有する。前記(B)成分としては、例えば、フルオロシラン化合物、錯体、三フッ化ホウ素を有する錯体などが挙げられる。前記フルオロシラン化合物としては特に制限されないが、例えば、トリメチルフルオロシラン、トリエチルフルオロシラン、ジエチルジフルオロシラン、メチルトリフルオロシラン、トリメトキシフルオロシラン、トリエトキシフルオロシラン、ジエトキシジフルオロシラン、エトキシトリフルオロシランなどが挙げられる。また、前記錯体としては、アミン錯体、アルコール錯体、エーテル錯体などが挙げられ、中でもアミン錯体が好ましい。前記アミン錯体としては具体的には、モノエチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピペリジン、アニリン、モルホリン、シクロヘキシルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられる。
【0035】
前記三フッ化ホウ素を有する錯体としては、特に制限されないが、例えば、三フッ化ホウ素モノエチルアミン、三フッ化ホウ素トリエチルアミン、三フッ化ホウ素アニリン、三フッ化ホウ素ピペリジンなどの三フッ化ホウ素アミン錯体が挙げられる。これらのうち、三フッ化ホウ素モノエチルアミン、三フッ化ホウ素トリエチルアミンのような三フッ化ホウ素アミン錯体が好ましい。なお、三フッ化ホウ素を有する錯体は、東京化成工業株式会社、ステラケミファ株式会社などから入手可能である。
【0036】
前記(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して0.01~0.9質量部が好ましく、より好ましくは、0.05~0.7質量部であり、特に好ましくは0.1~0.5質量部である。(B)成分の含有量を上記の範囲内にすることで、初期の湿気硬化性と貯蔵安定性試験後の湿気硬化性とを両立し得るという顕著な効果を有する。
【0037】
<(C)成分>
本発明の(C)成分は5~30オングストロームの孔径を有するゼオライトであり、本願発明のその他成分と組み合わせることにより、プラスチック、金属など各種部材に対する接着力を維持しながら、初期の湿気硬化性と貯蔵安定性試験後の湿気硬化性とを両立し得るという効果を有する。前記ゼオライトとしては、合成ゼオライトまたは天然ゼオライトがある。合成ゼオライトとしては例えば結晶アルミノシリケートなどが挙げられる。本発明の(C)成分の孔径は、好ましくは6~20オングストロームであり、より好ましくは8~15オングストロームである。前記孔径は結晶構造から一律に決まり、孔径はすべて均一となる。例えば、Na86[(AlO2)86(SiO2)106]・276H2Oの水を加熱除去した結晶性ゼオライトは、一律に13オングストロームの孔径を有するものであり、市販品としてはユニオン昭和株式会社製モレキュラーシーブ13Xなどが挙げられる。Na12[(AlO2)12(SiO2)12]・27H2Oの水を加熱除去した結晶性ゼオライトは、一律に4オングストロームの孔径を有するものであり、市販品としてはユニオン昭和株式会社製モレキュラーシーブ4Aなどが挙げられる。前記(C)成分の市販品としては、特に制限されないが、例えば、前記のユニオン昭和株式会社製モレキュラーシーブ13Xの他に、東ソー株式会社製合成ゼオライト等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。なお、1オングストローム(Å)=0.1nmである。
【0038】
前記(C)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して、好ましくは0.03~0.9質量部の範囲であり、より好ましくは0.05~0.7質量部であり、さらに好ましくは0.1~0.5質量部の範囲であり、特に好ましくは0.1~0.22質量部の範囲である。(C)成分の添加量を上記の範囲内にすることで、初期の湿気硬化性と貯蔵安定性試験後の湿気硬化性とを両立し得るという顕著な効果を有する。
【0039】
<(D)成分>
更に本発明の湿気硬化性樹脂組成物に対して(D)成分として加水分解性官能基を有するシラン化合物を添加することができる。(D)成分により、より一層、初期の湿気硬化性と貯蔵安定性試験後の湿気硬化性とを両立し得るという効果を有する。
【0040】
前記(D)成分としては特に制限されないが、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシオクチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル-トリス(β-メトキシエトキシ)シラン、γ-クロロプロピルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等があげられる。これらの中でも、特に、貯蔵安定性試験後の湿気硬化性が優れるという観点からメチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル-トリス(β-メトキシエトキシ)シランが好ましい。
【0041】
(A)成分100質量部に対し、(D)成分の含有量は0.3~30質量部が好ましく、更に好ましくは0.5~20質量部であり、特に好ましくは0.7~15質量部の範囲である。上記の範囲であることで、より一層に、貯蔵安定性試験後の湿気硬化性が優れる。
【0042】
<(E)成分>
更に本発明の湿気硬化性樹脂組成物に対して(E)成分として無機充填剤を添加することができる。(E)成分により、より一層、初期の湿気硬化性と貯蔵安定性試験後の湿気硬化性とを両立し、さらに金属やプラスチックなど各種部材に対する接着力が優れるという効果を有する。無機充填剤としては、特に制限されないが、例えば、ガラス、フュームドシリカ、アルミナ、マイカ、セラミックス、シリコーンゴム粉体、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、カーボン粉、カオリンクレー、乾燥粘土鉱物、乾燥珪藻土等が挙げられ、中でも、フュームドシリカ、マイカ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウムが好ましい。なお、(E)成分から本願発明の(C)成分は除くものとする。
【0043】
前記フュームドシリカは、湿気硬化性樹脂組成物の塗布作業性又は硬化物の硬さ、伸び率、引っ張り強さを向上させる目的で配合できる。好ましくは、オルガノクロロシラン類、ポリオルガノシロキサン、ヘキサメチルジシラザンなどで疎水化処理したものなどが用いることができる。フュームドシリカの具体例としては、例えば、日本アエロジル製の商品名アエロジルR974、R972、R972V、R972CF、R805、R812、R812S、R816、R8200、RY200、RX200、RY200S、R202等の市販品が挙げられる。
【0044】
前記(E)成分の添加量は、特に制限されないが、例えば(A)成分100質量部に対し、0.1~500質量部の範囲であり、更に好ましくは0.3~300質量部であり、特に好ましくは0.5~150質量部である。上記の範囲内であることで、より一層、初期の湿気硬化性と貯蔵安定性試験後の湿気硬化性とを両立し、さらに金属やプラスチックなど各種部材に対する接着力が優れるという効果を有する。
【0045】
<任意成分>
本発明の湿気硬化性樹脂組成物に対し、本発明の目的を損なわない範囲で、可塑剤、スチレン系共重合体等の各種エラストマー、有機質粉体の充填剤、保存安定剤、酸化防止剤、光安定剤、可塑剤、顔料、難燃剤、及び界面活性剤等の添加剤を使用することができる。
【0046】
本発明の湿気硬化性樹脂組成物には可塑剤を添加することができる。可塑剤の添加により、湿気硬化性樹脂組成物の粘度、硬化物の引張り強度、伸びなどの機械特性を調整できたりする。可塑剤としては特に限定されないが、例えば、ジブチルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジ(2-エチルヘキシル)フタレート、ブチルベンジルフタレート、オレイン酸ブチル、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、ペンタエリスリトールエステル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。また、セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、フタル酸等の2塩基酸と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等の2価アルコールから得られるポリエステル系可塑剤等が挙げられる。これらは、単独で用いても良いし、2種以上を併用してもよい。
【0047】
本発明に対して、硬化物のゴム物性を調整する目的で、スチレン系共重合体を配合してもよい。スチレン系共重合体としては特に限定されないが、例えば、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体(SIP)、スチレン-ブタジエン共重合体(SB)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体(SEBS)、スチレン-イソブチレン-スチレン共重合体(SIBS)、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS)、スチレン-ブタジエン-アクリロニトリル共重合体(ABS)などが挙げられる。
【0048】
有機質粉体の充填剤としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、架橋アクリル、架橋ポリスチレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリカーボネートが挙げられる。有機質粉体の配合量は、(A)成分100質量部に対し、0.1~100質量部程度が好ましい。
【0049】
本発明に対し保存安定剤を添加してもよい。保存安定剤としては、ベンゾキノン、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル等のラジカル吸収剤、エチレンジアミン4酢酸又はその2-ナトリウム塩、シユウ酸、アセチルアセトン、o-アミノフエノール等の金属キレート化剤等を添加することもできる。
【0050】
本発明に対し酸化防止剤を添加してもよい。酸化防止剤としては、例えば、β-ナフトキノン、2-メトキシ-1,4-ナフトキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、モノ-tert-ブチルハイドロキノン、2,5-ジ-tert-ブチルハイドロキノン、p-ベンゾキノン、2,5-ジフェニル-p-ベンゾキノン、2,5-ジ-tert-ブチル-p-ベンゾキノン等のキノン系化合物;フェノチアジン、2,2-メチレン-ビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、カテコール、tert-ブチルカテコール、2-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、2-tert-ブチル-6-(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、2-〔1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ペンチルフェニル)エチル〕-4,6-ジ-tert-ペンチルフェニルアクリレート、4,4’-ブチリデンビス(6-tert-ブチル-3-メチルフェノール)、4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-3-メチルフェノール)、3,9-ビス〔2-〔3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニロキシ〕-1,1-ジメチルエチル〕-2,4,8,10-テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、ペンタエリスリトールテトラキス〔3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、チオジエチレンビス〔3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’-ヘキサン-1,6-ジイルビス〔3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオンアミド〕、ベンゼンプロパン酸,3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ,C7-C9側鎖アルキルエステル、2,4-ジメチル-6-(1-メチルペンタデシル)フェノール、ジエチル〔〔3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル〕メチル〕フォスフォネート、3,3’,3”,5,5’,5”-ヘキサ-tert-ブチル-a,a’,a”-(メシチレン-2,4,6-トリル)トリ-p-クレゾール、カルシウムジエチルビス〔〔3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル〕メチル〕フォスフォネート、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス〔3-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)プロピオネート〕、ヘキサメチレンビス〔3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス〔(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-キシリル)メチル〕-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、N-フェニルベンゼンアミンと2,4,6-トリメチルペンテンとの反応生成物、2,6-ジ-tert-ブチル-4-(4,6-ビス(オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2-イルアミノ)フェノール、ピクリン酸、クエン酸等のフェノール類;トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)フォスファイト、トリス〔2-〔〔2,4,8,10-テトラ-tert-ブチルジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサフォスフェフィン-6-イル〕オキシ〕エチル〕アミン、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリートールジフォスファイト、ビス〔2,4-ビス(1,1-ジメチルエチル)-6-メチルフェニル〕エチルエステル亜リン酸、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)〔1,1-ビスフェニル〕-4,4’-ジイルビスホスフォナイト、6-〔3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロポキシ〕-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチルジベンズ〔d、f〕〔1,3,2〕ジオキサフォスフェフィン等のリン系化合物;ジラウリル3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリル3,3’-チオジプロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)、2-メルカプトベンズイミダゾール等のイオウ系化合物;フェノチアジン等のアミン系化合物;ラクトン系化合物;ビタミンE系化合物等が挙げられる。中でもフェノール系化合物が好適である。
【0051】
本発明に対し光安定剤を添加してもよい。光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1-〔2-〔3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル〕-4-〔3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル-メタアクリレート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)〔〔3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル〕メチル〕ブチルマロネート、デカン二酸ビス(2,2,6,6-テトラメチル-1(オクチルオキシ)-4-ピペリジニル)エステル,1,1-ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンの反応生成物、N,N’,N’’,N’’’-テトラキス-(4,6-ビス-(ブチル-(N-メチル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アミノ)-トリアジン-2-イル)-4,7-ジアザデカン-1,10-ジアミン、ジブチルアミン・1,3,5-トリアジン・N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル-1,6-ヘキサメチレンジアミンとN-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ〔〔6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル〕〔(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ〕〕、コハク酸ジメチルと4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールの重合物、2,2,4,4-テトラメチル-20-(β-ラウリルオキシカルボニル)エチル-7-オキサ-3,20-ジアザジスピロ〔5・1・11・2〕ヘネイコサン-21-オン、β-アラニン,N-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)-ドデシルエステル/テトラデシルエステル、N-アセチル-3-ドデシル-1-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)ピロリジン-2,5-ジオン、2,2,4,4-テトラメチル-7-オキサ-3,20-ジアザジスピロ〔5,1,11,2〕ヘネイコサン-21-オン、2,2,4,4-テトラメチル-21-オキサ-3,20-ジアザジシクロ-〔5,1,11,2〕-ヘネイコサン-20-プロパン酸ドデシルエステル/テトラデシルエステル、プロパンジオイックアシッド,〔(4-メトキシフェニル)-メチレン〕-ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジニル)エステル、2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジノールの高級脂肪酸エステル、1,3-ベンゼンジカルボキシアミド,N,N′-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジニル)等のヒンダートアミン系;オクタベンゾン等のベンゾフェノン系化合物;2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-〔2-ヒドロキシ-3-(3,4,5,6-テトラヒドロフタルイミド-メチル)-5-メチルフェニル〕ベンゾトリアゾール、2-(3-tert-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ペンチルフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル3-(3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートとポリエチレングリコールの反応生成物、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-ドデシル-4-メチルフェノール等のベンゾトリアゾール系化合物;2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系化合物;2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-〔(ヘキシル)オキシ〕フェノール等のトリアジン系化合物等が挙げられる。特に好ましくは、ヒンダートアミン系化合物である。
【0052】
本発明の湿気硬化性樹脂組成物は、組成物中に有機錫化合物を実質的に含有していないことを特徴とするものである。ここで実質的に含有していないとは、特に制限されないが、例えば、(A)成分100質量部に対する有機錫化合物の含有量が0.5質量部以下であることを意味する。上記有機錫化合物の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.3質量部以下であることが好ましく、0.03質量部以下であることが特に好ましい。
【0053】
本発明の湿気硬化性樹脂組成物は、従来公知の方法により製造することができる。例えば、(A)成分~(C)成分の所定量を配合して、ミキサー等の混合手段を使用して、好ましくは10~70℃の温度で好ましくは0.1~5時間混合することにより製造することができる。また、遮光環境下で製造することが好ましい。
【0054】
<塗布方法>
本発明の湿気硬化性樹脂組成物を被着体への塗布する方法としては、公知のシール剤や接着剤の方法が用いられる。例えば、自動塗布機を用いたディスペンシング、スプレー、インクジェット、スクリーン印刷、グラビア印刷、ディッピング、スピンコートなどの方法を用いることができる。なお、本発明の湿気硬化性樹脂組成物は、取り扱い性の観点から25℃で液状であることが好ましい。
【0055】
<硬化物>
本発明の硬化物は、本発明の湿気硬化性樹脂組成物を湿気により硬化させてなる。なお、本発明における「適度に作業性に優れた初期の湿気硬化性」とは、湿気硬化性が早すぎると、貼り合わせる前に湿気硬化性樹脂組成物が硬化してしまうことから作業性が劣り、湿気硬化性が遅すぎると、硬化時間が遅いため作業性が劣ることを意味する。なお、湿気硬化性とは主に湿気による表面硬化性を意味し、後述するタックフリータイムで評価されるものである。そのため、「適度に作業性に優れた初期の湿気硬化性」とは、具体的には、湿気硬化性樹脂組成物の用途によって異なるが、例えば、タックフリータイムが3分以上15分未満の範囲のものを言う。前記タックフリータイムとは、23℃50%RHの環境下にて、JIS A1439:2016 タックフリー試験に準じて測定した値である。
【0056】
<用途>
本発明の湿気硬化性樹脂組成物またはその硬化物が好適に用いられる用途としては、シール剤、接着剤、コーティング剤、注型剤、ポッティング剤等が挙げられる。なお、このような用途で使用するにあたり、本発明の湿気硬化性樹脂組成物は25℃で液状であることが好ましい。
【0057】
本発明の湿気硬化性樹脂組成物及び硬化物は、自動車・輸送機分野では、自動車用のスイッチ部分、ヘッドランプ、エンジン内部品、電装部品、駆動エンジン、ブレーキオイルタンク等の接着、封止、コーティング材等に使用が可能である。また、本発明の湿気硬化性樹脂組成物及び硬化物は、フラットパネルディスプレイでは、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス、発光ダイオード表示装置、フィールドエミッションディスプレイの接着、封止等に使用が可能である。本発明の湿気硬化性樹脂組成物及び硬化物は、携帯電話、多機能携帯電話等の電子モバイル機器の接着、封止等にも使用が可能である。記録分野では、本発明の湿気硬化性樹脂組成物及び硬化物は、CD、DVD、MD、ピックアップレンズ、ハードディスク周辺(スピンドルモータ用部材、磁気ヘッドアクチュエータ用部材など)、ブルーレイディスク等の接着、封止等に使用が可能である。電池分野では、本発明の湿気硬化性樹脂組成物及び硬化物は、Li電池、マンガン電池、アルカリ電池、ニッケル系電池、燃料電池、シリコン系太陽電池、色素増感型太陽電池、有機太陽電池等の接着、封止、コーティング材等に使用が可能である。光部品分野では、本発明の湿気硬化性樹脂組成物及び硬化物は、光通信システムでの光スイッチ周辺、光コネクタ周辺の光ファイバー材料、光受動部品、光回路部品、光電子集積回路周辺の等の接着、封止等に使用が可能である。また、光学機器分野では、本発明の湿気硬化性樹脂組成物及び硬化物は、スチールカメラのレンズ用材料、ファインダプリズム、ターゲットプリズム、ファインダーカバー、受光センサー部、撮影レンズ等の接着、封止等に使用が可能である。また、その他に導電性接着剤、異方性導電性接着剤、熱伝導性樹脂、難燃性付与接着剤等を挙げることができる。
【実施例】
【0058】
以下に実施例をあげて本発明を更に詳細の説明をするが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、後述する実施例、比較例はすべて有機錫化合物を実質的に含有していないものである。
【0059】
・(a1)成分の合成例
合成反応容器に、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン222質量部及びアクリル酸メチル172質量部を入れ、窒素雰囲気下にて攪拌混合しながら、50℃で7日間反応させることで、分子内にトリメトキシシリル基と第二級アミノ基を有するシラン化合物Aを得た。
【0060】
一方で別の反応容器に、数平均分子量10,000のポリオキシプロピレンポリオール100質量部とイソホロンジイソシアネート4.8質量部入れ、トリス(アセチルアセトナト)インジウム0.0005質量部とを窒素雰囲気下にて攪拌混合しながら、90℃で8時間反応させることで、分子内にイソシアネート基を有するポリオキシアルキレン樹脂を得た。その後、前記シラン化合物Aを8.9質量部添加し、窒素雰囲気下にて攪拌混合しながら、90℃で2時間反応させ、その後、未反応成分を除去するために減圧除去し、主鎖骨格がポリプロピレングリコールを有し、両末端にウレタン結合を介してトリメトキシシリル基を有する硬化性樹脂(a1)を得た。なお、(a1)の25℃での粘度が150Pa・sであった。
【0061】
<湿気硬化性樹脂組成物の調製>
・実施例1
本発明の(A)成分として、(a1)成分の主鎖骨格がポリプロピレングリコールを有し、両末端にウレタン結合を介してトリメトキシシリル基を有する硬化性樹脂 100質量部と、
(C)成分として、(c1)成分の13オングストロームの孔径を有するゼオライト(ユニオン昭和株式会社製モレキュラーシーブ13X)0.2質量部と、
(E)成分として、(e1)成分の炭酸カルシウム100質量部と、
可塑剤としてセバシン酸ビス(2-エチルヘキシル)20質量部を添加し、
環境下で25℃にてプラネタリーミキサーで60分混合し、
その後、(B)成分として(b1)成分の三フッ化ホウ素モノエチルアミン(試薬)0.16質量部と、(D)成分として、(d1)成分の3-アミノプロピルトリメトキシシラン5質量部とを添加し、環境下で25℃にてプラネタリーミキサーで30分混合し、50℃3日間養生し湿気硬化性樹脂組成物である実施例1を得た。なお、得られた湿気硬化性樹脂組成物100質量部を密閉容器(ラミネート加工されたチューブ)に充填した。
【0062】
・実施例2
実施例1において、(c1)成分0.2質量部を0.23質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして調製し、湿気硬化性樹脂組成物である実施例2を得た。
【0063】
・実施例3
実施例1において、(c1)成分0.2質量部を0.4質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして調製し、湿気硬化性樹脂組成物である実施例3を得た。
【0064】
・実施例4
実施例1において、(c1)成分0.2質量部を0.45質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして調製し、湿気硬化性樹脂組成物である実施例4を得た。
【0065】
・比較例1
実施例1において、(c1)成分0.2質量部を0.01質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして調製し、湿気硬化性樹脂組成物である比較例1を得た。
【0066】
・比較例2
実施例1において、(c1)成分0.2質量部を1.0質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして調製し、湿気硬化性樹脂組成物である比較例2を得た。
【0067】
・比較例3
実施例4において、(c1)成分を(c’1)成分の3オングストロームの孔径を有するゼオライト(ユニオン昭和株式会社製モレキュラーシーブ3A)に変更した以外は、実施例4と同様にして調製し、湿気硬化性樹脂組成物である比較例3を得た。
【0068】
・比較例4
実施例1において、(c1)成分除いた以外は、実施例1と同様にして調製し、湿気硬化性樹脂組成物である比較例4を得た。
【0069】
・比較例5
実施例1において、(b1)成分を(b’1)のビスマス系触媒(プキャットB7)に変更した以外は、実施例1と同様にして調製し、湿気硬化性樹脂組成物である比較例5を得た。
【0070】
表1の実施例、比較例において使用した試験方法は下記の通りである。
【0071】
<(1)初期のタックフリータイムの測定>
製造直後の実施例、比較例の湿気硬化性樹脂組成物(貯蔵安定性試験前の湿気硬化性樹脂組成物)を用いて23℃50%RHの環境下にて、JIS A1439:2016 タックフリー試験に準じて測定した。
【0072】
具体的には、湿気硬化性樹脂組成物をポリエチレンシート上に幅10mm×厚さ1mm×長さ50mmのビートを塗布し、爪楊枝で湿気硬化性樹脂組成物の表面を軽く触れた。湿気硬化性樹脂組成物を塗布してから、爪楊枝に付着せずに表面が硬化したと判断されるまでの時間を「タックフリータイム(分)」として評価した。タックフリータイムは、作業性の観点から3分以上15分未満であることが好ましい。
【0073】
<(2)貯蔵安定性試験後のタックフリータイムの測定>
貯蔵安定性試験後の実施例、比較例の湿気硬化性樹脂組成物(70℃の高温環境下に7日間保管した湿気硬化性樹脂組成物)を用いて23℃50%RHの環境下にて、JIS A1439:2016 タックフリー試験に準じて測定した。
【0074】
具体的には、湿気硬化性樹脂組成物をポリエチレンシート上に幅10mm×厚さ1mm×長さ50mmのビートを塗布し、爪楊枝で湿気硬化性樹脂組成物の表面を軽く触れた。湿気硬化性樹脂組成物を塗布してから、爪楊枝に付着せずに表面が硬化したと判断されるまでの時間を「タックフリータイム(分)」として評価した。タックフリータイムは、作業性の観点から3分以上15分未満であることが好ましい。
【0075】
<(3)貯蔵安定性評価>
貯蔵安定性試験前の湿気硬化性樹脂組成物の値を初期タックフリータイムとし、貯蔵安定性試験後の湿気硬化性樹脂組成物の値を貯蔵後タックフリータイムとし、貯蔵安定性は「貯蔵後タックフリータイム/初期タックフリータイム×100(%)」の値により下記の基準で評価した。なお、タックフリータイムは、湿気硬化性樹脂組成物の貯蔵前と貯蔵後で大きい差がないことが好ましい。
[評価基準]
合格:140%未満
不合格:140%以上
【0076】
【0077】
表1の実施例1~4によれば、本発明は、適度に作業性に優れた初期の湿気硬化性と貯蔵安定性試験後の湿気硬化性とを両立し得る湿気硬化性樹脂組成物を提供できることがわかる。
【0078】
また、表1の比較例1は、本願発明が特徴とする(C)成分の添加量が、本発明が規定する範囲より少ない湿気硬化性樹脂組成物であるが、初期のタックフリータイム、貯蔵安定性試験後のタックフリータイムがともに早すぎることから作業性が悪いことが確認された。また、比較例2は、本願発明が特徴とする(C)成分の添加量が、本発明が規定する範囲より多い湿気硬化性樹脂組成物であるが、貯蔵安定性試験後のタックフリータイムが遅くなっており、貯蔵安定性が劣る結果であった。また、比較例3は、本願発明が特徴とする(C)成分ではない(c’1)成分の3オングストロームの孔径を有するゼオライトを用いた湿気硬化性樹脂組成物であるが、貯蔵安定性試験後のタックフリータイムが遅くなっており、貯蔵安定性が劣る結果であった。また、比較例4は、本願発明が特徴とする(C)成分を含まない湿気硬化性樹脂組成物であるが、初期のタックフリータイム、貯蔵安定性試験後のタックフリータイムがともに早すぎることから作業性が悪いことが確認された。また、比較例5は、本願発明の(B)成分ではない(b’1)のビスマス系触媒を用いた湿気硬化性樹脂組成物であるが、初期のタックフリータイム、貯蔵安定性試験後のタックフリータイムがともに遅すぎることから作業性が悪く、さらに貯蔵安定性が劣る結果であった。
【0079】
さらに、硬化物の硬さ、伸び率、引っ張り強さ、アクリル樹脂に対する引張せん断接着強さ、アルミニウムに対する引張せん断接着強さの試験を行った。
【0080】
(4)硬さの測定
実施例1の湿気硬化性樹脂組成物の厚さを1mmになるように設定して、23℃で50%RH雰囲気下にて7日間放置して硬化物を得た。A型デュロメーター硬さ試験機(JIS-A)の加圧面を試験片(シート状の硬化物を6枚重ねて、厚さ6mmに設定した状態のもの)に対して平行に保ちながら、10Nの力で押しつけ、加圧面と試験片とを密着させる。測定時に最大値を読み取り、最大値を「硬さ」とする。詳細はJIS K 6249(2003)に従う。なお、本発明において硬さは5~90の範囲が好ましい。実施例1の湿気硬化性樹脂組成物の硬化物の結果は、硬さが43であった。
【0081】
(5)硬化物の伸び率と引張強さの測定方法
実施例1の湿気硬化性樹脂組成物を厚さ2mmになるように設定して、23℃で50%RH雰囲気下にて7日間放置して硬化物を得た。板状の硬化物からダンベル3号の形状のテストピースを切り出した。テストピースに基線間距離を25mmとして、引張試験機により500mm/minで引っ張り、ダンベル形状のテストピースが破断するまでの基線間距離を測定して、(破断時基線間距離-初期基線間距離)/初期基線間距離×100から計算して、「伸び率(%)」を測定すると共に、ダンベルの最大強度から「引張強さ(MPa)」を求めた。詳細は、JIS K 6249:2003に準ずる。なお、本発明において伸び率は20%以上が好ましく、引張強さは1.7MPa以上であることが好ましい。実施例1の湿気硬化性樹脂組成物の硬化物の結果は、伸び率が185%であり、引張強さは4.9MPaであった。
【0082】
(6)アルミニウムに対する引張せん断接着力測定
アルミニウム製の幅25mm×長さ100mm×厚さ1mmの部材を用いて、実施例1の湿気硬化性樹脂組成物により10mm×25mmの接着面積で2枚の部材を貼り合わせて固定した。23℃で50%RH雰囲気にて7日間放置して湿気硬化性樹脂組成物を硬化してテストピースを得た。引張試験機により50mm/minで引っ張り、最大強度から「引張せん断接着力(MPa)」を計算した。詳細は、JIS K 6249:2003に準ずる。なお、本発明においてアルミニウムに対する引張せん断接着力は1.5MPa以上であることが好ましい。実施例1の湿気硬化性樹脂組成物の結果は、5.3MPaであった。
【0083】
(7)アクリル樹脂に対する引張せん断接着力測定
アクリル樹脂製の幅25mm×長さ100mm×厚さ2mmの部材を用いて、実施例1の湿気硬化性樹脂組成物により10mm×25mmの接着面積で2枚の部材を貼り合わせて固定した。23℃で50%RH雰囲気にて7日間放置して湿気硬化性樹脂組成物を硬化してテストピースを得た。引張試験機により50mm/minで引っ張り、最大強度から「引張せん断接着力(MPa)」を計算した。詳細は、JIS K 6249:2003に準ずる。なお、本発明においてアクリル樹脂に対する引張せん断接着力は1.5MPa以上であることが好ましい。実施例1の湿気硬化性樹脂組成物の結果は、3.2MPaであった。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、適度に作業性に優れた初期の湿気硬化性と貯蔵安定性試験後の湿気硬化性とを両立し得る湿気硬化性樹脂組成物なので、各種接着剤、シール用途に使用することが可能であることから産業上有用である。