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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】土地検索方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 16/909 20190101AFI20240510BHJP
   G06F 16/903 20190101ALI20240510BHJP
   G06Q 50/163 20240101ALI20240510BHJP
【FI】
G06F16/909
G06F16/903
G06Q50/163
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020214479
(22)【出願日】2020-12-24
(65)【公開番号】P2022100482
(43)【公開日】2022-07-06
【審査請求日】2023-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】米田 将
【審査官】甲斐 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-184405(JP,A)
【文献】特開2006-221047(JP,A)
【文献】特開2011-053982(JP,A)
【文献】特開2008-152425(JP,A)
【文献】特開平09-198487(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00-16/958
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが、
第1の地図に含まれる第1の土地の第1の代表点と、前記第1の地図から前記第1の土地を除いた複数の土地における複数の第2の代表点とを算出し、
前記第1の代表点と、前記第2の代表点とを接続する第1のベクトル群を算出し、
前記第1の地図とは測定基準の異なる第2の地図に含まれる第2の土地の第3の代表点と、前記第2の地図から前記第2の土地を除いた複数の土地における複数の第4の代表点とを算出し、
前記第3の代表点と、前記第4の代表点とを接続する第2のベクトル群を算出し、
前記第1のベクトル群と前記第2のベクトル群の類似度を算出し、前記類似度にもとづいて、前記第1のベクトル群に類似する前記第2のベクトル群を有する前記第2の土地を、前記第2の地図から検索し、
検索した前記第2の土地を前記第1の土地に対応付ける、
土地検索方法。
【請求項2】
前記コンピュータは、前記第1のベクトル群に含まれる個々のベクトルの角度と、前記第2のベクトル群に含まれる個々のベクトルの角度との差がそれぞれ角度閾値以内であり、かつ前記第1のベクトル群に含まれる個々のベクトルの距離と、前記第2のベクトル群に含まれる個々のベクトルの距離との差がそれぞれ距離閾値以内である場合、前記第2のベクトル群は前記第1のベクトル群に類似すると判定する請求項1記載の土地検索方法。
【請求項3】
前記コンピュータは、前記第1のベクトル群のうちの第1のベクトルの第1の角度と、前記第2のベクトル群のうちの第2のベクトルの第2の角度との差が前記角度閾値以内である場合、前記第2のベクトルを第1の類似ベクトル候補に含め、
前記第1のベクトル群のうちの第1のベクトルの第1の距離と、前記第1の類似ベクトル候補に含められた前記第2のベクトルの第2の距離との差が前記距離閾値以内である場合、前記第2のベクトルを第2の類似ベクトル候補に含める類似度判定を前記第1のベクトル群に含まれる個々のベクトルに対して実行し、
前記第2の類似ベクトル候補が1つの前記第2のベクトルに絞り込まれた場合は前記第2のベクトルを前記第1のベクトルに類似する類似ベクトルとし、
前記第2の類似ベクトル候補が複数ベクトルある場合は、前記角度閾値または前記距離閾値を所定値引き下げて前記類似度判定を再度実行する、
請求項2記載の土地検索方法。
【請求項4】
前記コンピュータは、前記類似ベクトルの始点を有する土地に投票を行い、前記第2の地図に含まれるすべての土地で投票数の最も多い土地を前記第2の土地とする請求項3記載の土地検索方法。
【請求項5】
前記第1の土地は、前記第1の地図に示される区画化された領域であり、前記第2の土地は、前記第2の地図に示される区画化された領域である請求項1記載の土地検索方法。
【請求項6】
コンピュータに、
第1の地図に含まれる第1の土地の第1の代表点と、前記第1の地図から前記第1の土地を除いた複数の土地における複数の第2の代表点とを算出し、
前記第1の代表点と、前記第2の代表点とを接続する第1のベクトル群を算出し、
前記第1の地図とは測定基準の異なる第2の地図に含まれる第2の土地の第3の代表点と、前記第2の地図から前記第2の土地を除いた複数の土地における複数の第4の代表点とを算出し、
前記第3の代表点と、前記第4の代表点とを接続する第2のベクトル群を算出し、
前記第1のベクトル群と前記第2のベクトル群の類似度を算出し、前記類似度にもとづいて、前記第1のベクトル群に類似する前記第2のベクトル群を有する前記第2の土地を、前記第2の地図から検索し、
検索した前記第2の土地を前記第1の土地に対応付ける、
処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土地検索方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
地図情報の再利用性を高めるために、近年では、同一地域を表した異なる地図データが異なる情報を含んでいることがあり、地図データ間のマッチングにより、同一の土地を示す区画を特定したいことがある。
【0003】
関連技術としては、例えば、位置座標と地番とが関連付けられた公図データにもとづいて、端末の位置座標や姿勢情報等を取得し、地点の位置座標の地番を取得する技術が提案されている。また、検索対象の地番の所在地とその近隣に所在する地番の状況を、街区地図に公図を重ねた合成地図にもとづき調査する技術が提案されている。さらに、住居表示の地図上で基準となる2点と、地番表示の地図上で基準となる2点とをもとに両者を一致させる係数およびオフセットを算出して、住居表示の地図または地番表示の地図のいずれか一方に他方を変換する技術が提案されている。
【0004】
また、住宅地図および公図のそれぞれ一致する特徴点を2点以上指定し、指定された特徴点にもとづいて、住宅地図に公図を嵌め込む技術が提案されている。さらに、森林計画図に示された森林区画と森林区画の地番情報である森林所在とを含む森林計画情報を、地籍図、公図、地番図のいずれかに示された土地区画の情報および地籍所在の情報に基づいて調整するための技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-123078号公報
【文献】特開2017-211787号公報
【文献】特開2002-139993号公報
【文献】特開2008-032810号公報
【文献】特開2019-144887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、地図データによって測位基準が異なることがあり、その場合は同じ土地でも付与される座標が地図データによって異なり、座標に依拠したマッチングが困難であることがある。
【0007】
1つの側面では、本発明は、異なる地図上の土地のマッチングを可能にした土地検索方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、土地検索方法が提供される。土地検索方法は、コンピュータが、第1の地図に含まれる第1の土地の第1の代表点と、第1の地図から第1の土地を除いた複数の土地における複数の第2の代表点とを算出し、第1の代表点と、第2の代表点とを接続する第1のベクトル群を算出し、第1の地図とは測定基準の異なる第2の地図に含まれる第2の土地の第3の代表点と、第2の地図から第2の土地を除いた複数の土地における複数の第4の代表点とを算出し、第3の代表点と、第4の代表点とを接続する第2のベクトル群を算出し、第1のベクトル群と第2のベクトル群の類似度を算出し、類似度にもとづいて、第1のベクトル群に類似する第2のベクトル群を有する第2の土地を、第2の地図から検索し、検索した第2の土地を第1の土地に対応付ける。
【0009】
また、上記課題を解決するために、コンピュータに上記土地検索方法と同様の制御を実行させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0010】
1側面によれば、測位基準の異なる地図上の土地のマッチングが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施の形態の情報処理装置の一例を説明するための図である。
図2】第2の実施の形態の情報処理装置の機能ブロックの一例を示す図である。
図3】情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4】多角形の重心点の算出の一例を示す図である。
図5】不動産登記簿データの土地の一例を示す図である。
図6】不動産登記簿データの土地の重心点の一例を示す図である。
図7】不動産登記簿データの土地の重心点を結ぶベクトルの一例を示す図である。
図8】農地管理データの土地の一例を示す図である。
図9】農地管理データの土地の重心点の一例を示す図である。
図10】農地管理データの土地の重心点を結ぶベクトルの一例を示す図である。
図11】類似するベクトル群にもとづく農地の対応付けの一例を示す図である。
図12】ベクトル群の類似度判定の動作の一例を示すフローチャートである。
図13】角度の差が角度閾値以内となる第1の類似ベクトル候補の抽出の一例を示す図である。
図14】距離の差が距離閾値以内となる第2の類似ベクトル候補の抽出の一例を示す図である。
図15】類似ベクトルを有する農地への投票の一例を示す図である。
図16】農地管理データにおける農地への投票数の一例を示す図である。
図17】情報処理装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図18】情報処理装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図19】データ前処理の動作の一例を示すフローチャートである。
図20】データ前処理の実行前の不動産登記簿データおよび農地管理データの項目の一例を示す図である。
図21】データ前処理の実行後の不動産登記簿データおよび農地管理データの項目の一例を示す図である。
図22】重心点を算出した後の不動産登記簿データおよび農地管理データの項目の一例を示す図である。
図23】ベクトルを算出した後の不動産登記簿データおよび農地管理データの項目の一例を示す図である。
図24】データ前処理の実行前の不動産登記簿データのデータ構造の一例を示す図である。
図25】重心点を算出した後の不動産登記簿データのデータ構造の一例を示す図である。
図26】ベクトルを算出した後の不動産登記簿データのデータ構造の一例を示す図である。
図27】不動産登記簿データと農地管理データの重ね合わせ表示の一例を示す図である。
図28】地番が付与された農地管理データの表示の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は第1の実施の形態の情報処理装置の一例を説明するための図である。情報処理装置1は、制御部1aおよび記憶部1bを備える。制御部1aは、測位基準の異なる第1の地図および第2の地図に対して、第1の地図に含まれる第1の土地に対応する第2の土地を第2の地図から検索する。なお、“土地”とは、地図に示された区画化された領域に相当する。
【0013】
この場合、制御部1aは、第1の地図に含まれる第1の土地の第1の代表点と、第1の地図から第1の土地を除いた複数の土地における複数の第2の代表点とを算出する。代表点としては例えば、重心点を使用することができる。また、制御部1aは、第1の代表点と第2の代表点とを接続する第1のベクトル群を算出する。
【0014】
同様にして、制御部1aは、第1の地図とは測定基準の異なる第2の地図に含まれる第2の土地の第3の代表点と、第2の地図から第2の土地を除いた複数の土地における複数の第4の代表点とを算出し、また、第3の代表点と、第4の代表点とを接続する第2のベクトル群を算出する。
【0015】
そして、制御部1aは、第1のベクトル群と第2のベクトル群の類似度を算出し、類似度にもとづいて、第1のベクトル群に類似する第2のベクトル群を有する第2の土地を、第1の地図とは測位基準の異なる第2の地図から検索し、検索した第2の土地を第1の土地に対応付ける。記憶部1bは、第1の地図および第2の地図のデータを保存する。
【0016】
図1に示す例を用いて動作について説明する。なお、地図データM1、M2は、測位基準が互いに異なる地図データとする。
〔ステップS1〕制御部1aは、地図データM1、M2を取得する。地図データM1には、土地R11、・・・、R14が含まれ、地図データM2には、土地R21、・・・、R24および土地R31、・・・、R34が含まれる。
【0017】
〔ステップS2〕制御部1aは、地図データM1に含まれる土地R11、・・・、R14それぞれの代表点G11、・・・、G14を算出する。
また、制御部1aは、地図データM2に含まれる土地R21、・・・、R24それぞれの代表点G21、・・・、G24と、土地R31、・・・、R34それぞれの代表点G31、・・・、G34と、を算出する。
【0018】
〔ステップS3〕制御部1aは、土地R11の代表点G11と、代表点G12、・・・、G14とを接続するベクトルV11、V12、V13を含むベクトル群Vg10を算出する。なお、ベクトル群とは、単一の代表点を共有する複数のベクトルのことである。
【0019】
また、制御部1aは、土地R21の代表点G21と、代表点G22、・・・、G24とを接続するベクトルV21、V22、V23を含むベクトル群Vg20を算出する。
さらに、制御部1aは、土地R31の代表点G31と、代表点G32、・・・、G34とを接続するベクトルV31、V32、V33を含むベクトル群Vg30を算出する。
【0020】
〔ステップS4〕制御部1aは、ベクトル群の類似度判定を行い、ベクトル群Vg20およびベクトル群Vg30のうちから、ベクトル群Vg10に類似するベクトル群を検出する。この例では、ベクトル群Vg10に対してベクトル群Vg20が類似すると判定されたとする。なお、2つのベクトル群が類似とみなされる状態および類似度判定については図11から図14で後述する。
【0021】
〔ステップS5〕制御部1aは、ベクトル群Vg20がベクトル群Vg10に類似すると判定した場合、ベクトル群Vg20を有する土地を地図データM2から検索する。地図データM2上でベクトル群Vg20を有する土地は土地R21であるから、制御部1aは、検索した土地R21を、地図データM1に含まれる土地R11に対応付ける(マッチングさせる)。なお、ベクトル群を有する土地とは、ベクトル群に含まれる個々のベクトルの始点を代表点に持つ土地のことである。
【0022】
このように、情報処理装置1では、第1の地図上の第1の土地の代表点と第1の地図上の他の複数の土地の代表点とを接続するベクトル群を求める。そして、情報処理装置1は、求めたベクトル群に類似するベクトル群を持つ第2の土地を、第1の地図とは測位基準の異なる第2の地図から検索し、検索した第2の土地を第1の土地に対応付ける。これにより、測位基準が互いに異なる地図上の土地のマッチングが可能になる。
【0023】
[第2の実施の形態]
次に第2の実施の形態の情報処理装置について以降詳しく説明する。ここで、農林水産省では、農地管理データによって農地の位置や形状を管理している。また、近年では、農地管理データを水田管理データ等の他データと連携したいというニーズが高まっている。
【0024】
水田管理データ等の他データでは、各土地に地番が付与されているため、地番にもとづいて他データ同士を連携させることは可能であるが、農地管理データは地番を持っていない。このため、農地管理データと他データとを連携する場合には、農地管理データに地番を付与することが求められる。
【0025】
農地管理データの各土地に地番を付与する場合、例えば、法務省が管理する不動産登記簿データを利用することが考えられる。不動産登記簿データは、各土地の位置、形状および地番を管理するデータである。
【0026】
第2の実施の形態では、不動産登記簿データに示される農地に類似する農地を、農地管理データのうちから検索し、検索した農地を不動産登記簿データに示される農地に対応付けるものである。なお、不動産登記簿データおよび農地管理データは、互いに測位基準が異なる地図データである。また、以降の説明では、代表点を重心点として説明する。
【0027】
<機能ブロック>
図2は第2の実施の形態の情報処理装置の機能ブロックの一例を示す図である。情報処理装置10は、制御部11および記憶部12を備える。制御部11は、図1の制御部1aの機能を実現し、記憶部12は図1の記憶部1bの機能を実現する。
【0028】
制御部11は、地図データ入力処理部11a、データ前処理部11b、重心点算出部11c、ベクトル群算出部11d、類似度判定部11e、農地特定部11f、地番付与部11gおよび表示処理部11hを備える。
【0029】
地図データ入力処理部11aは、不動産登記簿データおよび農地管理データによる地図データの入力処理を行う。データ前処理部11bは、不動産登記簿データおよび農地管理データのうちから農地検索を行うために要するデータを抽出する(データ前処理の具体例は図19から図21で後述)。
【0030】
重心点算出部11cは、不動産登記簿データおよび農地管理データに含まれる土地(農地や宅地等が含まれる)の重心点を算出する。
ベクトル群算出部11dは、不動産登記簿データに対して、不動産登記簿データに含まれる農地の重心点を始点とし、該重心点から他の複数の土地における複数の重心点へ向かうベクトル群を算出する。
【0031】
また、ベクトル群算出部11dは、農地管理データに対して、農地管理データに含まれる農地の重心点を始点とし、該重心点から他の複数の土地における複数の重心点へ向かうベクトル群を算出する。
【0032】
類似度判定部11eは、不動産登記簿データから算出した第1のベクトル群と、農地管理データから算出した第2のベクトル群との類似度判定を行う(類似度判定の詳細は図12から図14で後述する)。
【0033】
農地特定部11fは、第1のベクトル群に類似する第2のベクトル群を有する農地を農地管理データのうちから特定する。地番付与部11gは、特定された農地に対して、不動産登記簿データから算出した第1のベクトル群を有する農地の地番を付与する。
【0034】
表示処理部11hは、地番付き農地を含む農地管理データを表示する。また、表示処理部11hは、不動産登記簿データから算出された第1のベクトル群と、農地管理データから算出された第2のベクトル群とが類似する場合、第1のベクトル群を有する農地と、第2のベクトル群を有する農地とを重ね合わせた画像を生成して表示する(画像の表示例は図27図28で後述する)。
【0035】
<ハードウェア>
図3は情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。情報処理装置10は、プロセッサ(コンピュータ)100によって全体制御されている。プロセッサ100は、制御部11の機能を有する。
【0036】
プロセッサ100には、バス103を介して、メモリ101、入出力インタフェース102およびネットワークインタフェース104が接続されている。
プロセッサ100は、マルチプロセッサであってもよい。プロセッサ100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはPLD(Programmable Logic Device)である。またプロセッサ100は、CPU、FPGA、MPU、DSP、ASIC、PLDのうちの2以上の要素の組み合わせであってもよい。
【0037】
メモリ101は、記憶部12の機能を有し、情報処理装置10の主記憶装置として使用される。メモリ101には、プロセッサ100に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、メモリ101には、プロセッサ100による処理に要する各種データが格納される。
【0038】
メモリ101は、情報処理装置10の補助記憶装置としても使用され、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが格納される。メモリ101は、補助記憶装置として、フラッシュメモリやSSD(Solid State Drive)等の半導体記憶装置やHDD(Hard Disk Drive)等の磁気記録媒体を含んでもよい。
【0039】
バス103に接続されている周辺機器としては、入出力インタフェース102およびネットワークインタフェース104がある。入出力インタフェース102は、表示処理部11hの機能を有する。また、入出力インタフェース102は、キーボードやマウス等の情報入力装置を接続可能であって、情報入力装置から送られてくる信号をプロセッサ100に送信する。
【0040】
さらに、入出力インタフェース102は、周辺機器を接続するための通信インタフェースとしても機能する。例えば、入出力インタフェース102は、レーザ光等を利用して、光ディスクに記録されたデータの読み取りを行う光学ドライブ装置を接続することができる。光ディスクには、Blu-ray Disc(登録商標)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD-R(Recordable)/RW(Rewritable)等がある。
【0041】
また、入出力インタフェース102は、メモリ装置やメモリリーダライタを接続することができる。メモリ装置は、入出力インタフェース102との通信機能を搭載した記録媒体である。メモリリーダライタは、メモリカードへのデータの書き込み、またはメモリカードからのデータの読み出しを行う装置である。メモリカードは、カード型の記録媒体である。
【0042】
ネットワークインタフェース104は、ネットワークに接続してネットワークインタフェース制御を行う。ネットワークインタフェース104は、例えば、NIC(Network Interface Card)、無線LAN(Local Area Network)カード等を使用することもできる。ネットワークインタフェース104で受信されたデータは、メモリ101やプロセッサ100に出力される。
【0043】
以上のようなハードウェア構成によって、情報処理装置10の処理機能を実現することができる。例えば、情報処理装置10は、プロセッサ100がそれぞれ所定のプログラムを実行することで本発明の処理を行うことができる。
【0044】
情報処理装置10は、例えば、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムを実行することにより、本発明の処理機能を実現する。情報処理装置10に実行させる処理内容を記述したプログラムは、様々な記録媒体に記録しておくことができる。
【0045】
例えば、情報処理装置10に実行させるプログラムを補助記憶装置に格納しておくことができる。プロセッサ100は、補助記憶装置内のプログラムの少なくとも一部を主記憶装置にロードし、プログラムを実行する。
【0046】
また、光ディスク、メモリ装置、メモリカード等の可搬型記録媒体に記録しておくこともできる。可搬型記録媒体に格納されたプログラムは、例えば、プロセッサ100からの制御により、補助記憶装置にインストールされた後、実行可能となる。またプロセッサ100が、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み出して実行することもできる。
【0047】
<重心点の算出>
図4は多角形の重心点の算出の一例を示す図である。土地の形状を示す多角形(以下、ポリゴン)の重心点を算出する場合、ポリゴンを複数の3角形に分割し、3角形の面積と3角形の重心のx座標とを積算し、その積算値を3角形の面積の総和(ポリゴンの面積)で除算すれば、ポリゴンの重心点のx座標が求まる。
【0048】
同様に、3角形の面積と3角形の重心のy座標とを積算し、その積算値を3角形の面積の総和で除算すれば、ポリゴンの重心点のy座標が求まる。なお、3角形の重心点(Xg,Yg)は、3角形の頂点を(X1,Y1)、(X2,Y2)(X3,Y3)とすれば、(Xg,Yg)=((X1+X2+X3)/3,(Y1+Y2+Y3)/3)である。
【0049】
図4の例では、ポリゴンPは、任意に設定した原点にもとづいて5つの3角形t1、・・・、t5に分割されている。ここで、3角形t1、・・・、t5の面積をs1、・・・、s5とし、3角形の面積の総和(ポリゴンPの面積)をsa(=s1+・・・+s5)とし、3角形t1、・・・、t5の重心を(x1,y1)、・・・、(x5,y5)とする。
【0050】
このとき、ポリゴンPの重心(xg,yg)の座標は、以下の式(1a)、(1b)で算出される。
xg=(s1×x1+s2×x2+・・・+s5×x5)/sa
・・・(1a)
yg=(s1×y1+s2×y2+・・・+s5×y5)/sa
・・・(1b)
<不動産登記簿データの土地の重心点およびベクトル群>
図5は不動産登記簿データの土地の一例を示す図である。制御部11は、不動産登記簿データのうち、ユーザに指定された地域ar1の地図データを取得する。なお、図中の太実線で囲まれるポリゴンは農地、細実線で囲まれるポリゴンは宅地等の土地を示している。農地r10の周囲に土地r11、・・・、r18が位置している。
【0051】
図6は不動産登記簿データの土地の重心点の一例を示す図である。制御部11は、地域ar1に含まれる複数の土地の重心点を求める。なお、図中の丸印は各ポリゴンの重心点を示している。制御部11は、農地r10の重心点g10を算出し、土地r11、・・・、r18それぞれの重心点g11、・・・、g18を算出する。
【0052】
図7は不動産登記簿データの土地の重心点を結ぶベクトルの一例を示す図である。制御部11は、農地の重心点を始点として宅地等の土地の重心点に向かうベクトルを算出する。この例では、制御部11は、農地r10の重心点g10を始点として、重心点g10から土地r11の重心点g11に向かうベクトルv11を算出し、農地r10の重心点g10から土地r12の重心点g12に向かうベクトルv12を算出する。
【0053】
同様に、制御部11は、農地r10の重心点g10から土地r13の重心点g13に向かうベクトルv13を算出し、農地r10の重心点g10から土地r14の重心点g14に向かうベクトルv14を算出する。
【0054】
また、制御部11は、農地r10の重心点g10から土地r15の重心点g15に向かうベクトルv15を算出し、農地r10の重心点g10から土地r16の重心点g16に向かうベクトルv16を算出する。
【0055】
さらに、制御部11は、農地r10の重心点g10から土地r17の重心点g17に向かうベクトルv17を算出し、農地r10の重心点g18から土地r18の重心点g18に向かうベクトルv18を算出する。なお、農地r10の重心点g10を始点とするベクトルv11、・・・、v18をベクトル群vg1とする。
【0056】
<農地管理データの土地の重心点およびベクトル群>
図8は農地管理データの土地の一例を示す図である。制御部11は、農地管理データのうち、ユーザに指定された地域ar2の地図データを取得する。なお、農地管理データは農地以外の土地の形状を持っていない。
【0057】
そのため、制御部11は、他のデータから建物の位置と形状を取得し、土地の形状ではなく建物の形状にもとづいて該建物が位置する土地を認識するものとする。図中の太実線で囲まれるポリゴンは農地、細実線で囲まれるポリゴンは建物にもとづき認識した土地を示している。農地r20の周囲に土地r21、・・・、r28が位置しており、農地r30の周囲に土地r31、・・・、r38が位置している。
【0058】
図9は農地管理データの土地の重心点の一例を示す図である。制御部11は、地域ar2に含まれる複数の土地の重心点を求める。なお、図中の丸印は各ポリゴンの重心点を示している。制御部11は、農地r20の重心点g20を算出し、土地r21、・・・、r28それぞれの重心点g21、・・・、g28を算出する。また、制御部11は、農地r30の重心点g30を算出し、土地r31、・・・、r38それぞれの重心点g31、・・・、g38を算出する。
【0059】
図10は農地管理データの土地の重心点を結ぶベクトルの一例を示す図である。制御部11は、農地の重心点を始点として土地の重心点に向かうベクトルを算出する。この例では、制御部11は、農地r20の重心点g20を始点として、重心点g20から土地r21の重心点g21に向かうベクトルv21を算出し、農地r20の重心点g20から土地r22の重心点g22に向かうベクトルv22を算出する。
【0060】
同様に、制御部11は、農地r20の重心点g20から土地r23の重心点g23に向かうベクトルv23を算出し、農地r20の重心点g20から土地r24の重心点g24に向かうベクトルv24を算出する。
【0061】
また、制御部11は、農地r20の重心点g20から土地r25の重心点g25に向かうベクトルv25を算出し、農地r20の重心点g20から土地r26の重心点g26に向かうベクトルv26を算出する。
【0062】
さらに、制御部11は、農地r20の重心点g20から土地r27の重心点g27に向かうベクトルv27を算出し、農地r20の重心点g28から土地r28の重心点g28に向かうベクトルv28を算出する。なお、農地r20の重心点g20を始点とするベクトルv21、・・・、v28をベクトル群vg2とする。
【0063】
一方、制御部11は、農地r30の重心点g30を始点として、重心点g30から土地r31の重心点g31に向かうベクトルv31を算出し、農地r30の重心点g30から土地r32の重心点g32に向かうベクトルv32を算出する。
【0064】
同様に、制御部11は、農地r30の重心点g30から土地r33の重心点g33に向かうベクトルv33を算出し、農地r30の重心点g30から土地r34の重心点g34に向かうベクトルv34を算出する。
【0065】
また、制御部11は、農地r30の重心点g30から土地r35の重心点g35に向かうベクトルv35を算出し、農地r30の重心点g30から土地r36の重心点g36に向かうベクトルv36を算出する。
【0066】
さらに、制御部11は、農地r30の重心点g30から土地r37の重心点g37に向かうベクトルv37を算出し、農地r30の重心点g38から土地r38の重心点g38に向かうベクトルv38を算出する。なお、農地r30の重心点g30を始点とするベクトルv31、・・・、v38をベクトル群vg3とする。
【0067】
<類似するベクトル群にもとづく農地の対応付け>
図11は類似するベクトル群にもとづく農地の対応付けの一例を示す図である。制御部11は、不動産登記簿データの地域ar1に含まれる農地r10について算出したベクトル群vg1と類似するベクトル群を有する農地を、農地管理データの地域ar2から検索する。
【0068】
この例では、農地管理データの地域ar2には、ベクトル群vg2を有する農地r20と、ベクトル群vg3を有する農地r30が含まれている。制御部11は、農地管理データの地域ar2のベクトル群vg2、vg3のうちで、不動産登記簿データのベクトル群vg1に類似するベクトル群vg2を有する農地を、農地管理データの地域ar2から検索する。
【0069】
ここで、制御部11は、ベクトル群vg1に含まれる個々のベクトルv11、・・・、v18の角度(方向)と、ベクトル群vg2、vg3に含まれる個々のベクトルv21、・・・、v28、v31、・・・、v38の角度との差がそれぞれ角度閾値以内であるか否かを判定する。
【0070】
さらに、制御部11は、ベクトル群vg1に含まれる個々のベクトルv11、・・・、v18の距離と、ベクトル群vg2、vg3に含まれる個々のベクトルv21、・・・、v28、v31、・・・、v38の距離との差がそれぞれ距離閾値以内であるか否かを判定する。
【0071】
この例では、制御部11は、ベクトル群vg1に含まれる個々のベクトルv11、・・・、v18の角度と、ベクトル群vg2に含まれる個々のベクトルv21、・・・、v28の角度との差がそれぞれ角度閾値以内であると判定したとする。
【0072】
さらに、制御部11は、ベクトル群vg1に含まれる個々のベクトルv11、・・・、v18の距離と、ベクトル群vg2に含まれる個々のベクトルv21、・・・、v28の距離との差がそれぞれ距離閾値以内であると判定したとする。この場合、制御部11は、ベクトル群vg2はベクトル群vg1に類似すると判定する。
【0073】
制御部11は、不動産登記簿データのベクトル群vg1に類似するベクトル群として、農地管理データのベクトル群vg2を認識し、ベクトル群vg2を有する農地r20を検索する。そして、制御部11は、検索した農地r20を不動産登記簿データの農地r10に対応付け、農地r20に対して不動産登記簿データの農地r10に付されている地番を付与する。
【0074】
<類似度判定>
次に図12から図14を用いて、ベクトル群の類似度判定について説明する。図12はベクトル群の類似度判定の動作の一例を示すフローチャートである。制御部11は、不動産登記簿データから算出した複数のベクトルのうちの1つのベクトルと、農地管理データから算出した複数のベクトルとをそれぞれ比較する。そして、制御部11は、農地管理データの複数のベクトルのうちから、不動産登記簿データのベクトルに類似するベクトルを判定する。
【0075】
〔ステップS11〕制御部11は、不動産登記簿データから算出された1つのベクトルの角度と、農地管理データから算出された複数のベクトルそれぞれの角度との差を算出する。
【0076】
〔ステップS12〕制御部11は、複数の角度の差それぞれと閾値(角度閾値)とを比較し、角度の差が角度閾値以内のベクトルを第1の類似ベクトル候補に含める。
〔ステップS13〕制御部11は、不動産登記簿データから算出された1つのベクトルの距離と、第1の類似ベクトル候補のうちの複数のベクトルそれぞれの距離との差を算出する。
【0077】
〔ステップS14〕制御部11は、複数の距離の差それぞれと閾値(距離閾値)とを比較し、距離の差が距離閾値以内のベクトルを第2の類似ベクトル候補に含める。
〔ステップS15〕制御部11は、第2の類似ベクトル候補が1つのベクトルに絞り込まれたか否かを判定する。第2の類似ベクトル候補が1つのベクトルに絞り込まれずに複数のベクトルが存在する場合はステップS16に処理が進み、第2の類似ベクトル候補が1つのベクトルに絞り込まれた場合はステップS17に処理が進む。
【0078】
〔ステップS16〕制御部11は、角度閾値と距離閾値のいずれか一方または両方の値を所定値引き下げる。ステップS12の処理に戻る。
〔ステップS17〕制御部11は、不動産登記簿データから算出された1つのベクトルと、農地管理データにおいて1つに絞り込まれた第2の類似ベクトル候補のベクトルとは類似すると判定する。
【0079】
ここで、不動産登記簿データから算出した1つのベクトルをベクトルvaとし、農地管理データから算出した複数のベクトルをベクトルvb1、・・・、vb10とする。
ステップS11において、制御部11は、不動産登記簿データから算出された1つのベクトルvaの角度と、農地管理データから算出されたベクトルvb1、・・・、vb10それぞれの角度との差を算出する。
【0080】
ステップS12において、制御部11は、複数の角度の差それぞれと角度閾値とを比較し、角度の差が角度閾値以内のベクトルを第1の類似ベクトル候補に含める。例えば、ベクトルvb1、・・・、vb5が第1の類似ベクトル候補に含まれたとする。
【0081】
ステップS13において、制御部11は、不動産登記簿データから算出された1つのベクトルvaの距離と、第1の類似ベクトル候補のうちのベクトルvb1、・・・、vb5それぞれの距離との差を算出する。
【0082】
ステップS14、S15において、制御部11は、複数の距離の差それぞれと距離閾値とを比較し、距離の差が距離閾値以内のベクトルを第2の類似ベクトル候補に含める。そして、制御部11は、第2の類似ベクトル候補が1つのベクトルに絞り込まれたか否かを判定する。例えば、ベクトルvb1が第2の類似ベクトル候補に含まれたとする。
【0083】
ステップS17において、制御部11は、ベクトルvaと、1つに絞り込まれた第2の類似ベクトル候補のベクトルvb1とは類似すると判定する。なお、第2の類似ベクトル候補が1つのベクトルに絞り込まれずに複数のベクトルが存在する場合、制御部11は、角度閾値と距離閾値のいずれか一方または両方の値を所定値引き下げ(例えば、10%の引き下げ)、類似判定処理を繰り返して行う。
【0084】
<角度の差が角度閾値以内の第1の類似ベクトル候補の具体例>
図13は角度の差が角度閾値以内となる第1の類似ベクトル候補の抽出の一例を示す図である。
【0085】
〔ステップS21〕制御部11は、不動産登記簿データの地域ar1における農地r10の重心点g10に対して、x軸およびy軸の直交座標系を設定する。
〔ステップS22〕制御部11は、ベクトル群vg1に含まれるベクトルv11の角度を算出する。図13の例では、ベクトルv1の角度は、座標の第1象限から220°と算出されている。
【0086】
〔ステップS23a〕制御部11は、農地管理データの地域ar2における農地r20の重心点g20に対して、x軸およびy軸の直交座標系を設定し、ベクトル群vg2に含まれる複数のベクトルの角度を算出する。
【0087】
〔ステップS23b〕制御部11は、農地管理データの地域ar2における農地r30の重心点g30に対して、x軸およびy軸の直交座標系を設定し、ベクトル群vg3に含まれる複数のベクトルの角度を算出する。
【0088】
〔ステップS24〕制御部11は、ベクトルv11の角度と、農地管理データの地域ar2内のベクトル群vg2、vg3に含まれるすべてのベクトルの角度との差を求め、角度の差が角度閾値以内(例えば、5°以内)であるか否かを判定する。
【0089】
〔ステップS25〕制御部11は、角度の差が5°以内であるベクトルを第1の類似ベクトル候補に含める。例えば、ベクトル群vg2のベクトルv21、v22およびベクトル群vg3のベクトルv33が第1の類似ベクトル候補に含められたとする。
【0090】
<距離の差が距離閾値以内の第2の類似ベクトル候補の具体例>
図14は距離の差が距離閾値以内となる第2の類似ベクトル候補の抽出の一例を示す図である。
【0091】
〔ステップS31〕制御部11は、ベクトル群vg1に含まれるベクトルv11の距離を算出する。この場合、上述のように設定した座標の原点(ベクトルv1の始点)からベクトルv1の終点までの距離が算出される。図の例では、ベクトルv1の距離は、座標の原点から1.9mと算出されている。
【0092】
〔ステップS32a〕制御部11は、第1の類似ベクトル候補に含まれるベクトルv21、v22の距離を算出する。
〔ステップS32b〕制御部11は、第1の類似ベクトル候補に含まれるベクトルv33の距離を算出する。
【0093】
〔ステップS33〕制御部11は、ベクトルv11の距離と、ベクトルv21、v22、v33それぞれの距離との差を求め、距離の差が距離閾値以内(例えば、1m以内)であるか否かを判定する。ここでは、ベクトルv21が距離の差が1m以内のベクトルと判定され第2の類似ベクトル候補に含められたとする。
【0094】
このように、制御部11は、第2の類似ベクトル候補の抽出処理を、不動産登記簿データの地域ar1内のベクトルv11と、第1の類似ベクトル候補内のすべてのベクトルに対して実行する。なお、第2の類似ベクトル候補が1つのベクトルに絞り込めない場合は、上述したように、角度閾値または距離閾値の値を所定値引き下げて、上記と同様な類似判定処理を再度実行する。
【0095】
<類似ベクトルを有する農地への投票>
図15は類似ベクトルを有する農地への投票の一例を示す図である。制御部11は、第2の類似ベクトル候補が1つのベクトル(類似ベクトル)に絞り込まれた場合、その類似ベクトルの始点を有する農地に投票を行う。ここでは、ベクトルv21が第2の類似ベクトル候補として絞り込めたので、ベクトルv21が類似ベクトルであり、ベクトルv21を有する農地r20に投票を行って1をインクリメントする。制御部11は、このような処理を行って農地管理データの地域ar2に含まれる農地r20、r30うちで投票数の最も多い農地を、不動産登記簿データの農地r10に対応付ける。
【0096】
図16は農地管理データにおける農地への投票数の一例を示す図である。テーブルT1は、農地管理データの地域内にある複数の農地と、各農地の投票数との項目を有する。図16の例では、農地管理データの地域内に農地R1、・・・、R7があるとし、不動産登記簿データの地域内の農地R0に対する投票結果を示している。
【0097】
農地R1、・・・、R7の投票数はそれぞれ6、3、3、1、0、0、2となっている。この場合、農地R1の投票数が最も多いので、不動産登記簿データの地域内の農地R0と、農地管理データの地域内の農地R1とが対応付けられる。
【0098】
<全体フローチャート>
図17図18は情報処理装置の動作の一例を示すフローチャートである。
〔ステップS41a〕制御部11は、不動産登記簿データの入力処理を行う。
【0099】
〔ステップS41b〕制御部11は、農地管理データの入力処理を行う。
〔ステップS42〕制御部11は、データ前処理を行う(図19から図21で後述)。
〔ステップS43〕制御部11は、不動産登記簿データおよび農地管理データに示されるポリゴンの重心点を算出する。
【0100】
〔ステップS44〕制御部11は、不動産登記簿データおよび農地管理データに示されるポリゴンに対して、農地のポリゴンの重心点を始点にして、農地以外のポリゴンの重心点に向かうベクトルを算出する。
【0101】
〔ステップS45〕制御部11は、不動産登記簿データのベクトルと、農地管理データのベクトルとの類似度を判定する。
〔ステップS46〕制御部11は、不動産登記簿データのベクトルに最も類似するベクトルを始点に有する農地管理データの農地を検索し、検索した農地に投票を行う。
【0102】
〔ステップS47〕制御部11は、農地管理データにおいて投票数の最も多い農地を、不動産登記簿データの農地に対応付ける。
〔ステップS48〕制御部11は、対応付けられた農地管理データの農地に、不動産登記簿データの農地の地番を付与する。
【0103】
〔ステップS49〕制御部11は、地番が付与された農地を含む農地管理データを表示する。
<データ前処理>
図19はデータ前処理の動作の一例を示すフローチャートである。
【0104】
〔ステップS51a〕制御部11は、不動産登記簿データの入力処理を行う。
〔ステップS51b〕制御部11は、農地管理データの入力処理を行う。
〔ステップS52〕制御部11は、不動産登記簿データおよび農地管理データから地物ポリゴン座標および地目の項目を抽出する。
【0105】
〔ステップS53〕制御部11は、不動産登記簿データから抽出した項目と、農地管理データから抽出した項目とが同じであるか否かを判定する。項目が同じ場合はステップS54に処理が進み、項目が異なる場合はステップS52に処理が戻る。
【0106】
〔ステップS54〕制御部11は、抽出した項目のデータにもとづいて入力データの更新処理を行う。
〔ステップS55a〕制御部11は、不動産登記簿データから抽出した項目を、後段の処理部(重心点算出部)へ出力する。
【0107】
〔ステップS55b〕制御部11は、農地管理データから抽出した項目を、後段の処理部(重心点算出部)へ出力する。
<データの項目>
図20はデータ前処理の実行前の不動産登記簿データおよび農地管理データの項目の一例を示す図である。
【0108】
データD1は、データ前処理の実行前の不動産登記簿データの項目を示している。データD1には、項目として、地物ポリゴン座標、大字コード、丁目コード、小字コード、予備コード、大字名、丁目名、小字名、予備名、地番、精度区分、座標値種別および地目が含まれる。なお、地目は、土地が農地か農地以外であるかを示す情報である。
【0109】
データD2は、データ前処理の実行前の農地管理データの項目を示している。データD2には、筆ポリゴンID、地目および地物ポリゴン座標が含まれる。なお、筆ポリゴンとは、農林水産省が実施する耕地面積調査等の母集団情報として、全国の土地を200メートル四方(北海道は、400メートル四方)の区画に区分し、そのうち耕地が存在する区画について衛星画像等をもとに筆毎の形状に沿って作成した農地の区画情報である。
【0110】
図21はデータ前処理の実行後の不動産登記簿データおよび農地管理データの項目の一例を示す図である。データD1aは、データ前処理の実行後の不動産登記簿データの項目を示している。データD1aには、項目として、地物ポリゴン座標および地目が含まれる。データD2aは、データ前処理の実行後の農地管理データの項目を示している。データD2aには、項目として、地物ポリゴン座標および地目が含まれる。
【0111】
図22は重心点を算出した後の不動産登記簿データおよび農地管理データの項目の一例を示す図である。データD1bは、重心点を算出した後の不動産登記簿データの項目を示している。データD1bには、項目として、地物ポリゴン座標、地目および重心点座標が含まれる。データD2bは、重心点を算出した後の農地管理データの項目を示している。データD2bには、項目として、地物ポリゴン座標、地目および重心点座標が含まれる。
【0112】
図23はベクトルを算出した後の不動産登記簿データおよび農地管理データの項目の一例を示す図である。データD1cは、ベクトルを算出した後の不動産登記簿データの項目を示している。データD1cには、項目として、地物ポリゴン座標、地目、重心点座標および農地ポリゴンから周囲ポリゴンへのベクトル値(角度、距離を有する)が含まれる。データD2cは、ベクトルを算出した後の農地管理データの項目を示している。データD2cには、項目として、地物ポリゴン座標、地目、重心点座標および農地ポリゴンから周囲ポリゴンへのベクトル値(角度、距離を有する)が含まれる。
【0113】
<データ構造>
図24はデータ前処理の実行前の不動産登記簿データのデータ構造の一例を示す図である。なお、図24から図26の説明において、農地管理データは、不動産登記簿データと基本的に同じデータ構造なので農地管理データのデータ構造は省略する。
【0114】
データD10は、ポリゴン座標d1および地目d2を含む。ポリゴン座標d1には4頂点の座標(291.299,-242.635)、(294.42,-234.014)、(291.317,-236.635)、(291.299,-242.635)が示されており、地目d2は畑となっている。
【0115】
図25は重心点を算出した後の不動産登記簿データのデータ構造の一例を示す図である。データD10-1は、ポリゴン座標d1、地目d2および重心点座標d3を含む。重心点座標d3には(291.012,-237.7613333333333)が示されている。
【0116】
図26はベクトルを算出した後の不動産登記簿データのデータ構造の一例を示す図である。データD10-2は、ポリゴン座標d1、地目d2、重心点座標d3およびベクトル情報d40を含む。ベクトル情報d40は、ベクトルの終点側の情報であり、ベクトル対象情報d41とベクトル値d42を含む。
【0117】
ベクトル対象情報d41はポリゴン座標d41a、地目d41bおよび重心点座標d41cを含む。ポリゴン座標d41aには4頂点の座標(114.732,-267.787)、(116.212,-268.048)、(117.241,-271.576)、(117.124,-271.726)が示され、地目d41bは公衆用道路、重心点座標d41cは(108.53208103445978,-283.88808889480634)となっている。また、ベクトル値d42は角度が192.10007224366763であり、距離が192.893526554897となっている。
【0118】
<不動産登記簿データと農地管理データの重ね合わせ表示>
図27は不動産登記簿データと農地管理データの重ね合わせ表示の一例を示す図である。制御部11は、不動産登記簿データの農地と農地管理データの農地との対応付けを行った後に、不動産登記簿データの農地および農地周辺と、農地管理データの農地および農地周辺とを重ね合わせて表示する。
【0119】
ここで、不動産登記簿データの農地r10と、農地管理データの農地r20との対応付けが行われたとする。このとき、制御部11は、不動産登記簿データのポリゴンの座標を農地管理データのポリゴンの座標に変換し、農地r10および農地r10周辺と、農地r20および農地20周辺とを重ね合わせて表示する。これにより、ユーザは、不動産登記簿データと農地管理データとの対応関係を明瞭に視認できるので利便性の向上を図ることができる。
【0120】
<地番が付与された農地管理データの表示>
図28は地番が付与された農地管理データの表示の一例を示す図である。制御部11は、不動産登記簿データの農地にもとづいて対応付けられた農地管理データの農地に地番を付与した後、農地管理データの地域ar2-1と、地番が付与された農地の地物情報D20の表示を行う。
【0121】
地物情報D20は、農地の住所、筆ポリゴンの番号、土地の種類、大字および地番が含まれる。農地r20の住所はA市123番地であり、筆ポリゴンの識別番号は22208-0927590037023になっている。また、土地の種類は畑であり、大字は伊豆島田、地番は541-1になっている。
【0122】
このように、表示画面に農地管理データと、農地に付与された地番を含む地物情報とが表示される。これにより、ユーザは、付与された地番を有する農地を含む農地管理データを視覚的に認識することができる。
【0123】
以上説明したように、本発明によれば、土地の位置や形状ではなく、その土地の周辺の土地との位置関係を示すベクトル群を用いて、不動産登記簿データから地番付与対象とする土地を検索する。これにより、位置や形状の整合性が取れない地図データ同士のマッチングが可能となる。
【0124】
上記で説明した本発明の情報処理装置1、10の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。この場合、情報処理装置1、10が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。
【0125】
処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記憶部、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等がある。磁気記憶部には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ等がある。光ディスクには、CD-ROM/RW等がある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto Optical disk)等がある。
【0126】
プログラムを流通させる場合、例えば、そのプログラムが記録されたCD-ROM等の可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶部に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0127】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶部に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶部からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0128】
また、コンピュータは、ネットワークを介して接続されたサーバコンピュータからプログラムが転送される毎に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。また、上記の処理機能の少なくとも一部を、DSP、ASIC、PLD等の電子回路で実現することもできる。
【0129】
以上、実施の形態を例示したが、実施の形態で示した各部の構成は同様の機能を有する他のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や工程が付加されてもよい。さらに、前述した実施の形態のうちの任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0130】
1 情報処理装置
1a 制御部
1b 記憶部
M1、M2 地図データ
R11、・・・、R14 土地
R21、・・・、R24 土地
R31、・・・、R34 土地
G11、・・・、G14 代表点
G21、・・・、G24 代表点
G31、・・・、G34 代表点
V11、V12、V13 ベクトル
V21、V22、V23 ベクトル
V31、V32、V33 ベクトル
Vg10、Vg20、Vg30 ベクトル群
図1
図2
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図5
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図10
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