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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】低酸素空気供給システム
(51)【国際特許分類】
   A63B 26/00 20060101AFI20240510BHJP
   B01D 53/047 20060101ALI20240510BHJP
   B01J 20/18 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
A63B26/00
B01D53/047
B01J20/18 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022116439
(22)【出願日】2022-07-21
(65)【公開番号】P2024013958
(43)【公開日】2024-02-01
【審査請求日】2023-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古賀 泰宇
(72)【発明者】
【氏名】土屋 晃章
(72)【発明者】
【氏名】鹿嶋 祐太朗
(72)【発明者】
【氏名】近藤 啓太
(72)【発明者】
【氏名】中谷 博行
【審査官】野田 洋平
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-148413(JP,A)
【文献】特表2008-539072(JP,A)
【文献】特開2020-128862(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 1/00-26/00
B01D 53/02-53/12、53/22、61/00-71/82
C02F 1/44
F24F 7/04-7/06
F25D 11/00-16/00、17/04-17/08、23/00、27/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気中の酸素濃度よりも低濃度の酸素を含む低酸素空気を生成すると共に、生成した低酸素空気を第1の対象空間に供給する第1低酸素空気供給ユニット及び第2低酸素空気供給ユニットと、
前記第1の対象空間に外気を供給するファンと、
前記第1の対象空間内の酸素濃度を検知する酸素センサと、
前記第1低酸素空気供給ユニット、前記第2低酸素空気供給ユニット、及び前記ファンの動作を制御する制御部と、を備え、
前記第1低酸素空気供給ユニット及び前記第2低酸素空気供給ユニットは、
空気中の酸素濃度よりも高濃度の酸素を含む高酸素空気をさらに生成し、
高酸素空気の供給量を調整する流量調整弁をさらに有し、
前記制御部は、
前記流量調整弁の開度を調整して、低酸素空気及び高酸素空気の供給量を調整する、低酸素空気供給システム。
【請求項2】
前記第1低酸素空気供給ユニット及び第2低酸素空気供給ユニットは、
高酸素空気を前記第1の対象空間とは異なる第2の対象空間にさらに供給する、請求項1記載の低酸素空気供給システム。
【請求項3】
前記酸素センサを、前記第2の対象空間にさらに配置し、
前記制御部は、前記第2の対象空間の前記酸素センサの検出値に基づいて、前記第1の対象空間に供給する低酸素空気の供給能力を算出する、請求項2に記載の低酸素空気供給システム。
【請求項4】
前記第1の対象空間を、前記ファンによって第2種換気する、請求項1又は請求項2記載の低酸素空気供給システム。
【請求項5】
前記第1の対象空間内の二酸化炭素濃度を検知する二酸化炭素センサをさらに備え、
前記酸素センサを2個以上有し、かつ、前記二酸化炭素センサを2個以上有する、請求項1又は請求項2記載の低酸素空気供給システム。
【請求項6】
前記第1低酸素空気供給ユニット及び前記第2低酸素空気供給ユニットは、
空気に含まれる窒素又は酸素を吸着すること及び吸着した窒素又は酸素を脱離することが可能な吸着材と、前記吸着材を収容する第1吸着筒及び第2吸着筒と、前記第1吸着筒及び前記第2吸着筒のうちの何れか一方に空気を給気する圧縮機又は前記一方を大気に開放する第1開放弁と、前記第1吸着筒及び前記第2吸着筒のうちの他方から空気を排気する真空ポンプ又は前記他方を大気に開放する第2開放弁と、前記圧縮機の給気先又は前記第1開放弁の開放先を前記第1吸着筒又は前記第2吸着筒に切り換えると共に、前記真空ポンプの排気元又は前記第2開放弁の開放元を前記圧縮機の給気先又は前記第1開放弁の開放先でない前記第1吸着筒又は前記第2吸着筒に切り換える切換弁と、を有し、
前記制御部は、
前記第1低酸素空気供給ユニットの前記真空ポンプ又は前記第2開放弁からの排気量がピークとなる第1時刻と、前記第2低酸素空気供給ユニットの前記真空ポンプ又は前記第2開放弁からの排気量がピークとなる第2時刻とが異なるように、前記第1低酸素空気供給ユニット及び前記第2低酸素空気供給ユニットの動作を制御する、請求項1又は請求項2に記載の低酸素空気供給システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1低酸素空気供給ユニット及び第2低酸素空気供給ユニットを個別に制御可能であり、
前記第1低酸素空気供給ユニットから供給される低酸素空気の供給経路上及び前記第2低酸素空気供給ユニットから供給される低酸素空気の供給経路上のそれぞれに、仕切弁をさらに備える、請求項1又は請求項2に記載の低酸素空気供給システム。
【請求項8】
低酸素空気の供給圧力を検出する圧力センサをさらに備え、
前記制御部は、
前記圧力センサの検出値に基づいて、低酸素空気の供給量を算出する、請求項1又は請求項2に記載の低酸素空気供給システム。
【請求項9】
さらに、サイレンサを有し、
前記第1低酸素空気供給ユニットから供給される低酸素空気、及び前記第2低酸素空気供給ユニットから供給される低酸素空気を、前記サイレンサで合流させる、請求項1又は請求項2に記載の低酸素空気供給システム。
【請求項10】
さらに、ラックを有し、
前記第1低酸素空気供給ユニット及び前記第2低酸素空気供給ユニットが、前記ラックに搭載されている、請求項1又は請求項2に記載の低酸素空気供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、低酸素空気供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気中の酸素濃度(約21%)よりも低濃度の酸素を含む空気(以下、低酸素空気と称する)を生成し、ユーザに供給することが可能な低酸素空気供給システムが知られている(特許文献1参照)。前記低酸素空気供給システムは、例えば、室内空間において、高地の環境を模した高地トレーニング用の低酸素環境を構築する用途に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-131121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の前記低酸素空気供給システムは、故障が発生すると低酸素空気の供給を継続することができなかった。このため、前記低酸素空気供給システムでは、修理が完了するまで低酸素環境を提供することができなかった。
【0005】
本開示は、故障が発生した場合であっても、低酸素環境の提供を継続することが可能な低酸素空気供給システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示の低酸素空気供給システムは、空気中の酸素濃度よりも低濃度の酸素を含む低酸素空気を生成すると共に、生成した低酸素空気を第1の対象空間に供給する第1低酸素空気供給ユニット及び第2低酸素空気供給ユニットと、前記第1の対象空間に外気を供給するファンと、前記第1の対象空間内の酸素濃度を検知する酸素センサと、前記第1低酸素空気供給ユニット、前記第2低酸素空気供給ユニット、及び前記ファンの動作を制御する制御部と、を備える。
【0007】
本開示の低酸素空気供給システムによれば、第1低酸素空気供給ユニット及び第2低酸素空気供給ユニットのうちの一方に故障が発生した場合であっても、他方のユニットで低酸素空気の供給を継続することができる。このため、本開示の低酸素空気供給システムによれば、第1低酸素空気供給ユニット及び第2低酸素空気供給ユニットのうちの一方に故障が発生した場合であっても、低酸素環境の提供を継続することができる。
【0008】
(2)本開示の前記(1)の態様の低酸素空気供給システムにおいて、前記第1低酸素空気供給ユニット及び前記第2低酸素空気供給ユニットは、空気に含まれる窒素又は酸素を吸着すること及び吸着した窒素又は酸素を脱離することが可能な吸着材と、前記吸着材を収容する第1吸着筒及び第2吸着筒と、前記第1吸着筒及び前記第2吸着筒のうちの何れか一方に空気を給気する圧縮機、又は前記一方を大気に開放する第1開放弁と、前記第1吸着筒及び前記第2吸着筒のうちの他方から空気を排気する真空ポンプ、又は前記他方を大気に開放する第2開放弁と、前記圧縮機の給気先又は前記第1開放弁の開放先を前記第1吸着筒又は前記第2吸着筒に切り換えると共に、前記真空ポンプの排気元又は前記第2開放弁の開放元を前記圧縮機の給気先又は前記第1開放弁の開放先でない前記第1吸着筒又は前記第2吸着筒に切り換える切換弁と、を有し、前記制御部は、前記第1低酸素空気供給ユニットの前記真空ポンプ又は前記第2開放弁からの排気量がピークとなる第1時刻と、前記第2低酸素空気供給ユニットの前記真空ポンプ又は前記第2開放弁からの排気量がピークとなる第2時刻とが異なるように、前記第1低酸素空気供給ユニット及び前記第2低酸素空気供給ユニットの動作を制御すると好ましい。
【0009】
この場合、低酸素空気供給システムの消費電力及び発生騒音を抑制することができる。低酸素空気供給システムにおける低酸素空気の供給量を平準化することができる。
【0010】
(3)本開示の前記(1)又は(2)の態様の低酸素空気供給システムは、前記第1の対象空間内の二酸化炭素濃度を検知する二酸化炭素センサをさらに備えると好ましい。
【0011】
この場合、第1の対象空間における二酸化酸素濃度の管理が可能になるとともに、二酸化炭素濃度に基づいて、低酸素空気供給システムの動作を制御することが可能となる。
【0012】
(4)本開示の前記(1)~(3)の態様の何れか1つの低酸素空気供給システムは、前記第1の対象空間を、前記ファンによって第2種換気すると好ましい。
【0013】
この場合、第1の対象空間における酸素濃度の変動を抑制することができる。
【0014】
(5)本開示の前記(1)~(4)の態様の何れか1つの低酸素空気供給システムにおいて、前記制御部は、前記第1低酸素空気供給ユニット及び第2低酸素空気供給ユニットを個別に制御可能であり、前記第1低酸素空気供給ユニットから供給される低酸素空気の供給経路上及び前記第2低酸素空気供給ユニットから供給される低酸素空気の供給経路上のそれぞれに、仕切弁をさらに備えると好ましい。
【0015】
この場合、第1及び第2のうち一方の低酸素空気供給ユニットが故障した場合に、他方の低酸素空気供給ユニットを用いて低酸素空気供給システムの運用を継続させると共に、故障した低酸素空気供給システムを交換することが可能となる。
【0016】
(6)本開示の前記(1)~(5)の態様の何れか1つの低酸素空気供給システムは、低酸素空気の供給圧力を検出する圧力センサをさらに備え、前記制御部は、前記圧力センサの検出値に基づいて、低酸素空気の供給量を算出すると好ましい。
【0017】
この場合、低酸素空気の供給量を測定する流量センサを別途設ける必要がない。
【0018】
(7)本開示の前記(1)~(6)の態様の何れか1つの低酸素空気供給システムは、前記酸素センサを2個以上有し、かつ、前記二酸化炭素センサを2個以上有すると好ましい。
【0019】
この場合、第1の対象空間において酸素濃度が所定の範囲を超えて過度の低酸素状態となる異常が発生しているのか、あるいは、各センサ自身の検出値に異常が発生しているのかを判別することができるになる。各センサの検出値を比較することによって、センサの校正を行うことが可能になる。
【0020】
(8)本開示の前記(1)~(7)の態様の何れか1つの低酸素空気供給システムは、さらに、サイレンサを有し、前記第1低酸素空気供給ユニットから供給される低酸素空気、及び前記第2低酸素空気供給ユニットから供給される低酸素空気を、前記サイレンサで合流させると好ましい。
【0021】
この場合、低酸素空気供給ユニットのそれぞれにサイレンサを設けた場合に比べて、サイレンサの個数を減らすことができる。この場合、低酸素空気供給システムから発生する騒音を、少ない個数のサイレンサで効果的に抑制することができる。
【0022】
(9)本開示の前記(1)~(8)の態様の何れか1つの低酸素空気供給システムは、さらに、ラックを有し、前記第1低酸素空気供給ユニット及び前記第2低酸素空気供給ユニットが、前記ラックに搭載されていると好ましい。
【0023】
この場合、低酸素空気供給システムの設置が容易になる。
【0024】
(10)本開示の前記(1)~(9)の態様の何れか1つの低酸素空気供給システムにおいて、前記第1低酸素空気供給ユニット及び前記第2低酸素空気供給ユニットは、空気中の酸素濃度よりも高濃度の酸素を含む高酸素空気をさらに生成し、第2の対象空間に高酸素空気を供給すると共に、高酸素空気の供給量を調整する流量調整弁をさらに有し、前記制御部は、前記流量調整弁の開度を調整して、高酸素空気の供給量を調整すると好ましい。
【0025】
この場合、流量調整弁によって高酸素空気の流量を調整することで、低酸素空気の流量が調整できる。高酸素空気の配管系統に設ける流量調整弁は、低酸素空気の配管系統に設ける流量調整弁に比べてサイズが小さい。このため、流量調整弁を用いて低酸素空気の流量を調整する構成を、より低コストで構築することができる。
【0026】
(11)本開示の前記(10)の態様の低酸素空気供給システムは、前記酸素センサを、前記第2の対象空間にさらに配置し、前記制御部は、前記第2の対象空間の前記酸素センサの検出値に基づいて、前記第1の対象空間に供給する低酸素空気の供給能力を算出すると好ましい。
【0027】
この場合、第1の対象空間について、圧力センサ、酸素センサの検出値に基づいて算出した低酸素空気の供給能力と、第2の対象空間の酸素センサの検出値に基づいて算出した低酸素空気の供給能力とを比較することができる。これにより、低酸素空気供給システムが正常に機能していることの確認を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本開示の一実施形態に係る低酸素空気供給システムの概略的な構成図。
図2】本開示の一実施形態に係る低酸素空気供給システムの斜視模式図。
図3】本開示の一実施形態に係る低酸素空気供給システムのブロック図。
図4A】第1実施形態に係る低酸素空気供給ユニットのブロック図。
図4B】第2実施形態に係る低酸素空気供給ユニットのブロック図。
図4C】第3実施形態に係る低酸素空気供給ユニットのブロック図。
図5A】低酸素空気供給ユニットを示す斜視模式図。
図5B】統合ユニットを示す斜視模式図。
図6】低酸素空気供給システムを適用する店舗の営業スケジュール及び低酸素空気供給システムの運転スケジュールの一例を示す図。
図7】準備運転中の酸素濃度、二酸化炭素濃度、低酸素空気供給ユニット及び給気ファンの運転台数、低酸素空気供給システムの利用者数の変化を示す図。
図8】営業運転中の酸素濃度、二酸化炭素濃度、低酸素空気供給ユニット及び給気ファンの運転台数、低酸素空気供給システムの利用者数の変化を示す図。
図9】終了運転中の酸素濃度、二酸化炭素濃度、低酸素空気供給ユニット及び給気ファンの運転台数、低酸素空気供給システムの利用者数の変化を示す図。
図10】低酸素空気供給ユニットの給気量及び給気圧力の周期的な変動状況を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面を参照しつつ、本開示の酸素供給装置を詳細に説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0030】
〔低酸素空気供給システム〕
図1は、本開示の一実施形態に係る低酸素空気供給システムの概略的な構成図である。図2は、本開示の一実施形態に係る低酸素空気供給システムの斜視模式図である。図3は、本開示の一実施形態に係る低酸素空気供給システムのブロック図である。図1及び図2に示す低酸素空気供給システム10は、本開示の低酸素空気供給システムの一実施形態である。低酸素空気供給システム10は、空気中の酸素濃度(約21%)よりも低濃度の酸素を含む空気(以下、低酸素空気LAと称する)を生成し、対象空間に供給するシステムである。低酸素空気供給システム10は、室内空間(第1の対象空間)A1に低酸素空気LAを供給し、室内空間A1に高地トレーニング用の低酸素環境を構築する。なお、低酸素空気供給システム10は、低酸素空気LAを生成すると同時に、空気中の酸素濃度(約21%)よりも高濃度の酸素を含む空気(以下、高酸素空気HAと称する)を生成することができる。
【0031】
図1図3に示すように、低酸素空気供給システム10は、統合ユニット11、給気ファン40、及び制御装置50を備える。図2に示すように、低酸素空気供給システム10は、複数の統合ユニット11を備える。図1に示すように、統合ユニット11は、複数の低酸素空気供給ユニット20を備える。制御装置50は、複数の低酸素空気供給ユニット20及び給気ファン40に接続され、これらの動作を制御する。
【0032】
図1及び図2に示すように、本実施形態の低酸素空気供給システム10において、統合ユニット11、給気ファン40、及び制御装置50は、機械室A2に設置される。本実施形態において、機械室A2は、室内空間A1に隣接する空間である。以下の説明では、室内空間A1及び機械室A2の外部の空間を、室外空間A3と称する。なお、本実施形態で示す室外空間A3は屋外であるが、屋内であってもよい。
【0033】
本実施形態の低酸素空気供給システム10は、室内空間A1内の温調を行う空調機80と共に使用する。室内空間A1の温度は、空調機80によって調整される。
【0034】
図1に示すように、本開示の低酸素空気供給システム10では、高酸素室(第2の対象空間)A4に高酸素環境を構築する。なお、図2では、高酸素室A4の記載を省略している。低酸素空気供給システム10は、高酸素室A4に高酸素空気HAを供給する。高酸素室A4内にいる人は、高酸素空気HAを吸入することによって、疲労回復を促進する効果を得ることが期待できる。高酸素室A4は、例えば、室内空間A1において高地トレーニングを行ったユーザの疲労を回復させる用途に利用することができる。このように、本開示の低酸素空気供給システム10では、高酸素室A4を設けることによって、生成した高酸素空気HAを有効に利用することができる。なお、本実施形態で示す低酸素空気供給システム10では、高酸素室A4を設けているが、本開示の低酸素空気供給システム10は、高酸素室A4を省略し、生成した高酸素空気HAを屋外へ排気する構成としてもよい。
【0035】
図1及び図2に示すように、低酸素空気供給システム10は、外気供給管12と、低酸素空気供給管13と、高酸素空気供給管14とを有する。外気供給管12は、低酸素空気LA及び高酸素空気HAの生成に使用する空気(以下、外気OAと称する)を各統合ユニット11に供給する配管である。低酸素空気供給管13は、各統合ユニット11で生成した低酸素空気LAを室内空間A1へ供給する配管である。高酸素空気供給管14は、各統合ユニット11で生成した高酸素空気HAを高酸素室A4へ供給する配管である。
【0036】
低酸素空気供給システム10は、各低酸素空気供給ユニット20で生成された低酸素空気LAを、低酸素空気供給管13及び供給口16を介して、室内空間A1に供給する。なお、本実施形態で示す外気供給管12は、一端が室外空間A3に開放されており、前記一端から室外空間A3の空気(外気OA)を吸気するが、前記一端を機械室A2に開放する構成とし、前記一端から機械室A2の空気(外気OA)を吸気してもよい。この場合、機械室A2の壁面には、室外空間A3から機械室A2に外気OAを導入する通気口を設けておく。なお、機械室A2内は、空調機81によって温調されていると好ましい。
【0037】
さらに、低酸素空気供給システム10は、室内空間A1と室外空間A3とを連通する外気ダクト15を有する。給気ファン40は、外気ダクト15の途中に配置されている。低酸素空気供給システム10は、給気ファン40の作動によって、外気OAを外気ダクト15及び吹き出し口41を介して、室内空間A1に供給する。なお、低酸素空気供給システム10は、低酸素空気供給管13の途中に、消臭効果を有するフィルタを設けて、低酸素空気LAが有する特有の臭いを除去する構成としてもよい。低酸素空気供給システム10は、低酸素空気供給管13の途中に、アロマオイル等によって低酸素空気LAに香りづけを行う装置を設けて、室内空間A1に香りづけした低酸素空気LAを供給する構成としてもよい。
【0038】
(低酸素空気供給ユニット)
本実施形態では、低酸素空気供給ユニットが低酸素空気を生成する方式として、窒素吸着材を用いた方式を説明しているが、これに限定されず、例えば、中空糸膜を用いた膜分離方式であっても良い。
図4Aは、第1実施形態に係る低酸素空気供給ユニットのブロック図である。図5Aは、低酸素空気供給ユニットを示す斜視模式図である。低酸素空気供給ユニット20は、低酸素空気LAを生成する最小単位のユニットである。なお、以下の説明では、第1実施形態に係る低酸素空気供給ユニット20を、第1ユニット20Aとも称する。以下の説明で「低酸素空気供給ユニット20」と称する場合は、第1ユニット20Aと、後で説明する他の実施形態の低酸素空気供給ユニット20(図4Bに示す第2ユニット20B及び図4Cに示す第3ユニット20C)とで共通する構成を説明する。
【0039】
ここではまず、第1ユニット20Aの構成を説明する。図4A及び図5Aに示すように、第1ユニット20Aは、筐体21、圧縮機22、真空ポンプ23、流路切換弁24、吸着筒25、チェック弁26、パージ弁27、酸素タンク28、減圧弁29、及び流量調整弁30を備える。第1ユニット20Aは、筐体21の内部に、圧縮機22、真空ポンプ23、流路切換弁24、吸着筒25、チェック弁26、パージ弁27、酸素タンク28、減圧弁29、及び流量調整弁30を収容して構成される。なお、第1ユニット20Aで用いる圧縮機22及び真空ポンプ23は、一体の流体機械として構成されていてもよい。なお、以下の説明では、真空ポンプ23からの排気を低酸素空気LAとして利用する場合、真空ポンプ23からの排気を「給気」と称する場合がある。
【0040】
図4A及び図5Aに示すように、低酸素空気供給ユニット20は、外気取入口31、低酸素空気排出口32、高酸素空気排出口33を有する。外気取入口31は、低酸素空気供給ユニット20内に外気OAを導入するための配管(チューブ)が接続される部位であり、前記配管を接続可能な継手を有している。低酸素空気排出口32は、低酸素空気供給ユニット20で生成した低酸素空気LAを外部に排出するための配管(チューブ)が接続される部位であり、前記配管を接続可能な継手を有している。高酸素空気排出口33は、低酸素空気供給ユニット20で生成した高酸素空気HAを外部に排出するための配管(チューブ)が接続される部位であり、前記配管を接続可能な継手を有している。低酸素空気供給ユニット20は、筐体21の表面において、配線を接続するためのポート34(図1及び図5A参照)を備えている。ポート34に接続される配線は、制御装置50に接続される。
【0041】
図4Aに示すように、圧縮機22は、外部(室外空間A3)から吸い込んだ空気(外気OA)を圧縮し、流路切換弁24を介して吸着筒25に供給する。真空ポンプ23は、吸着筒25を通過させた空気を吸引して排気する。
【0042】
吸着筒25は、圧縮機22から供給される圧縮空気中の窒素を吸着する吸着材Xを収容する圧力容器である。吸着筒25は、第1吸着筒25a及び第2吸着筒25bにより構成される。本実施形態の低酸素空気供給ユニット20で用いている吸着材Xは、ゼオライトである。なお、本開示の低酸素空気供給ユニットで使用する吸着材は、これに限定されず、例えば、酸素を吸着する吸着材であってもよい。
【0043】
吸着材(ゼオライト)Xは、空気中に含まれる窒素を吸着することができる。吸着材Xは、窒素を吸着した状態で減圧された場合、吸着した窒素を離脱させる(放出する)ことができる。吸着材Xが充填された空間に空気を通過させると、その空気は、窒素が吸着されることによって、酸素濃度が高くなる。一方、窒素を吸着した状態の吸着材Xが充填された空間に空気を通過させると、その空気は、吸着材Xから窒素が放出されることによって、酸素濃度が低くなる。低酸素空気供給ユニット20は、吸着材Xが有する窒素を吸着する機能、及び、吸着した窒素を放出する機能を利用することによって、低酸素空気LAと高酸素空気HAとを生成することができる。
【0044】
吸着筒25は、第1吸着筒25a及び第2吸着筒25bのうちの一方で、高酸素空気HAを生成すると共に、他方で低酸素空気LAを生成する。流路切換弁24は、第1切換弁24a及び第2切換弁24bにより構成される。第1吸着筒25aは、第1切換弁24aによって、圧縮機22と連通する状態と真空ポンプ23と連通する状態の何れかに切り換えられる。第2吸着筒25bは、第2切換弁24bによって、第1吸着筒25aが圧縮機22と連通する場合は、真空ポンプ23と連通する状態に切り換えられ、第1吸着筒25aが真空ポンプ23と連通する場合は、圧縮機22と連通する状態に切り換えられる。
【0045】
酸素タンク28は、第1吸着筒25a及び第2吸着筒25bで生成された高酸素空気HAを貯留する。
【0046】
本実施形態で示した第1ユニット20Aは、第1吸着筒25a及び第2吸着筒25bのうちの一方に圧縮空気が供給されている間に、第1吸着筒25a及び第2吸着筒25bのうちの他方を真空ポンプ23によって吸引することで減圧するVPSA(Vacuum Pressre Swing Adsorption System)タイプの酸素濃縮方式を採用している。本開示の低酸素空気供給システム10は、VPSAタイプ以外の酸素濃縮方式を採用してもよい。本開示の低酸素空気供給システム10は、第1吸着筒25a及び第2吸着筒25bのうちの一方に圧縮機22で圧縮空気を供給している間に、他方を大気開放して減圧したり、あるいは、第1吸着筒25a及び第2吸着筒25bのうちの一方を大気開放している間に、他方を真空ポンプ23で排気して減圧するPSA(Pressre Swing Adsorption System)タイプの酸素濃縮方式を採用してもよい。
【0047】
図4Bは、第2実施形態に係る低酸素空気供給ユニットのブロック図である。本開示の低酸素空気供給システム10では、図4Bに示す低酸素空気供給ユニット20を採用してもよい。なお、以下の説明では、第2実施形態に係る低酸素空気供給ユニット20を、第2ユニット20Bとも称する。図4Bに示す第2ユニット20Bは、真空ポンプ23に代えて第1開放弁37を有している点で、第1ユニット20Aと異なっており、その他の構成は、第1ユニット20Aと共通している。
【0048】
第2ユニット20Bは、第1吸着筒25a及び第2吸着筒25bのうち、圧縮機22で加圧される一方において吸着材Xが空気中の窒素を吸着し、第2開放弁38によって大気に開放される他方において吸着材Xが吸着した窒素を放出することで、低酸素空気LAと高酸素空気HAとを生成する。なお、本実施形態で示す第2ユニット20Bでは、第1開放弁37を有しているが、第1開放弁37は省略してもよく、この場合、流路切換弁24に第1開放弁37の機能を担わせる。
【0049】
図4Cは、第3実施形態に係る低酸素空気供給ユニットのブロック図である。本開示の低酸素空気供給システム10では、図4Cに示す低酸素空気供給ユニット20を採用してもよい。なお、以下の説明では、第3実施形態に係る低酸素空気供給ユニット20を、第3ユニット20Cとも称する。図4Cに示す第3ユニット20Cは、圧縮機22に代えて第2開放弁38を有している点で、第1ユニット20Aと異なっており、その他の構成は、第1ユニット20Aと共通している。
【0050】
第3ユニット20Cは、第1吸着筒25a及び第2吸着筒25bのうち、第2開放弁38によって大気に開放される一方において吸着材Xが空気中の窒素を吸着し、真空ポンプ23で減圧される他方において吸着材Xが吸着した窒素を放出することで、低酸素空気LAと高酸素空気HAとを生成する。なお、本実施形態で示す第3ユニット20Cでは、第2開放弁38を有しているが、第2開放弁38は省略してもよく、この場合、流路切換弁24に、第2開放弁38の機能を担わせる。
【0051】
第1切換弁24a及び第2切換弁24bは、所謂3ポート弁である。図4Aに示すように、第1ユニット20Aにおいて、第1切換弁24a及び第2切換弁24bは、圧縮機22から吐出された圧縮空気を吸着筒25に供給する加圧状態と、真空ポンプ23によって吸引して吸着筒25内の空気を外部に排気する減圧状態とを切り換える。第1吸着筒25a及び第2吸着筒25bは、一方が加圧状態にあるときは、他方は減圧状態にある。
【0052】
図4Bに示すように、第2ユニット20Bにおいて、第1切換弁24a及び第2切換弁24bは、圧縮機22から吐出された圧縮空気を吸着筒25に供給する加圧状態と、第1開放弁37を「開」として吸着筒25内を大気に開放する開放状態とを切り換える。第1吸着筒25a及び第2吸着筒25bは、一方が加圧状態にあるときは、他方は大気圧状態にある。
【0053】
図4Cに示すように、第3ユニット20Cにおいて、第1切換弁24a及び第2切換弁24bは、真空ポンプ23によって吸引して吸着筒25内の空気を外部に排気する減圧状態と、第2開放弁38を「開」として吸着筒25内を大気に開放する開放状態とを切り換える。第1吸着筒25a及び第2吸着筒25bは、一方が減圧状態にあるときは、他方は大気圧状態にある。
【0054】
チェック弁26は、低酸素空気及び高酸素空気の逆流を防止する。チェック弁26は、第1チェック弁26a及び第2チェック弁26bにより構成される。第1チェック弁26aは第1吸着筒25aの下流側の流路に配設され、第2チェック弁26bは第2吸着筒25bの下流側の流路に配設される。低酸素空気供給ユニット20は、第1チェック弁26a及び第2チェック弁26bを設けることによって、第1吸着筒25a及び第2吸着筒25bから排出される高酸素空気HAが下流側に向かってだけ流れるように構成される。パージ弁27は、第1吸着筒25aと第1チェック弁26aとの間の流路と、第2吸着筒25bと第2チェック弁26bとの間の流路とを接続する流路に配設される。
【0055】
第1チェック弁26aからの高酸素空気HAと、第2チェック弁26bからの高酸素空気HAとが交互に酸素タンク28に供給され、当該酸素タンク28に貯留される。酸素タンク28の下流側には、当該酸素タンク28から外部へ供給する高酸素空気HAを減圧する減圧弁29と、高酸素空気HAの流量を調節する流量調整弁30が配設されている。流量調整弁30は、酸素タンク28から外部に供給される高酸素空気HAの流量を調整する。
【0056】
図4Aに示す第1ユニット20Aにおいて、パージ弁27は、第1吸着筒25a及び第2吸着筒25bのうちの一方の空気を真空ポンプ23で排気する際に開状態にされ、第1吸着筒25a及び第2吸着筒25bのうちの他方の空気を、当該パージ弁27を介して当該一方の吸着筒25に移動させることで効率よく前記一方の吸着筒25内の空気を排気するために配設されている。
【0057】
図4Bに示す第2ユニット20Bにおいて、パージ弁27は、第1開放弁37を「開」として第1吸着筒25a及び第2吸着筒25bのうちの一方の空気を大気に開放する際に開状態とされる。第2ユニット20Bでは、第1吸着筒25a及び第2吸着筒25bのうちの他方の空気を、当該パージ弁27を介して当該一方の吸着筒25に移動させることで、効率よく前記一方の吸着筒25内の空気を排気することができる。
【0058】
図4Cに示す第3ユニット20Cにおいて、パージ弁27は、第2開放弁38を「開」として第1吸着筒25a及び第2吸着筒25bのうちの一方の空気を大気に開放する際に開状態とされる。第2ユニット20Bでは、前記一方の空気を、パージ弁27を介して他方の吸着筒25に移動させることで、効率よく前記他方の吸着筒25内の空気を排気することができる。
【0059】
流量調整弁30は、高酸素空気HAの供給量を調整する弁である。低酸素空気供給ユニット20は、流量調整弁30の弁開度を調整することによって、圧縮機22から吐出される空気の流量を調整し、これにより、高酸素空気HAの供給量を調整する。なお、本実施形態で示す低酸素空気供給ユニット20は、流量調整弁30を備えているが、流量調整弁30は省略してもよい。この場合、圧縮機22を駆動するモータ(図示せず)の回転数を調整することで、高酸素空気HAの供給量を調整したり、あるいは、低酸素空気供給ユニット20を台数制御したりすることで、高酸素空気HA及び低酸素空気LAの供給量を調整することができる。
【0060】
なお、本開示の低酸素空気供給システム10では、高酸素空気HAの配管系統のみに流量調整弁30を設けているが、さらに低酸素空気LAの配管系統に流量調整弁30を設けてもよい。なお、流量調整弁30によって、高酸素空気HAの供給量を調整した場合、低酸素空気LAの流量だけでなく、低酸素空気LAにおける酸素濃度を調整することができる。本開示の低酸素空気供給システム10では、流量調整弁30によって高酸素空気HAの流量を調整することによって、低酸素空気LAにおける酸素濃度を調整する。
【0061】
このように、低酸素空気供給ユニット20は、圧縮機22からの空気の供給量を調整する流量調整弁30を有する。このような構成の低酸素空気供給システム10は、高酸素空気HAの流量を調整することによって、低酸素空気LAの流量を調整することが可能となる。この場合、低酸素空気LAの流量を、より小さいサイズの流量調整弁30を用いて調整することができる。これにより、流量調整弁30の設置に掛かるコストを低減することができる。
【0062】
(統合ユニット)
図5Bは、統合ユニットを示す斜視模式図である。図1図2、及び図5Bに示すように、統合ユニット11は、複数の低酸素空気供給ユニット20、複数のサイレンサ60、及びラック70により構成される。
【0063】
サイレンサ60は、ヘッダ状の管部材であり、ヘッダとしての機能と、容積型サイレンサとしての機能を有する。サイレンサ60は、低酸素空気供給ユニット20へ供給する外気OAの配管系統に設ける第1サイレンサ61と、低酸素空気供給ユニット20から供給される低酸素空気LAの配管系統に設ける第2サイレンサ62と、低酸素空気供給ユニット20から供給される高酸素空気HAの配管系統に設ける第3サイレンサ63とを含む。
【0064】
図1に示すように、第1サイレンサ61は、外気供給管12の途中に設けられ、外気供給管12を複数に分岐する。統合ユニット11では、第1サイレンサ61から延びる複数の外気供給管12を、各低酸素空気供給ユニット20の外気取入口31に接続する。第1サイレンサ61は、低酸素空気供給ユニット20から外気供給管12を伝って外部に伝播する騒音を低減させる。
【0065】
第2サイレンサ62は、低酸素空気供給管13の途中に設けられ、複数の低酸素空気供給管13を集合させる。統合ユニット11では、第2サイレンサ62から延びる複数の低酸素空気供給管13を、各低酸素空気供給ユニット20の低酸素空気排出口32に接続する。第2サイレンサ62は、低酸素空気供給ユニット20から低酸素空気供給管13を伝って外部に伝播する騒音を低減させる。
【0066】
第3サイレンサ63は、高酸素空気供給管14の途中に設けられ、複数の高酸素空気供給管14を集合させる。統合ユニット11では、第3サイレンサ63から延びる複数の高酸素空気供給管14を、各低酸素空気供給ユニット20の高酸素空気排出口33に接続する。第3サイレンサ63は、低酸素空気供給ユニット20から高酸素空気供給管14を伝って外部に伝播する騒音を低減させる。
【0067】
ラック70は、複数の低酸素空気供給ユニット20及び複数のサイレンサ60を搭載可能な棚である。本開示の低酸素空気供給システム10において、統合ユニット11は、1つのラック70に、4台の低酸素空気供給ユニット20と、第1~第3の各サイレンサ61,62,63とを搭載して構成される。なお、図2に示す低酸素空気供給システム10では、8台の統合ユニット11を有しており、合計32台の低酸素空気供給ユニット20を備えている。なお、統合ユニット11を構成する低酸素空気供給ユニット20の台数は、本実施形態で示す台数(4台)に限定されず、2台以上であればよい。本開示の低酸素空気供給システム10を構成する低酸素空気供給ユニット20の台数は、室内空間A1の大きさ、利用者の数等を考慮して適宜設定することができ、本実施形態で示す台数(32台)に限定されない。
【0068】
このように、本実施形態の低酸素空気供給システム10において、各低酸素空気供給ユニット20は、ラック70に搭載される。このような低酸素空気供給システム10では、各統合ユニット11において低酸素空気供給ユニット20を立体的に配置することができ、これにより設置スペースが抑制されて、低酸素空気供給システム10の設置が容易になる。
【0069】
本実施形態の低酸素空気供給システム10では、複数の低酸素空気供給ユニット20から供給される低酸素空気LAを、第1サイレンサ61によって合流させる。このような構成の低酸素空気供給システム10は、各低酸素空気供給ユニット20それぞれにサイレンサ60を設けた場合に比べて、サイレンサ60の個数を減らすことができる。このため、低酸素空気供給システム10によれば、少ない個数のサイレンサ60によって、各低酸素空気供給ユニット20から発生する騒音を、効果的に抑制することができる。なお、本実施形態では、統合ユニット11の設置場所を機械室A2とした場合を例示しているが、統合ユニット11の設置場所はこれに限定されず、例えば、室内空間A1内に設置してもよい。低酸素空気供給システム10では、複数のサイレンサ60によって、各低酸素空気供給ユニット20から発生する騒音が抑制されているため、統合ユニット11を室内空間A1に設置することが可能となる。
【0070】
(給気ファン)
給気ファン40は、室外空間A3の空気(外気OA)を室内空間A1に供給するためのファンである。なお、本実施形態において、給気ファン40は、室外空間A3の空気を吸気しているが、機械室A2の空気(外気OA)を吸気してもよい。この場合、機械室A2の壁面に通気口を設けておき、前記通気口を介して室外空間A3から機械室A2に導入した外気OAを、給気ファン40が吸気する。
【0071】
本開示の低酸素空気供給システム10において、室内空間A1は、給気ファン40によって換気される。本開示の低酸素空気供給システム10では、室内空間A1において、室外空間A3と連通する隙間(図示せず)を設ける。例えば、前記隙間は、ドアの下部に設けられた開口部(アンダーカット)等であると好ましい。室内空間A1は、給気ファン40によって外気OAが供給されると陽圧になり、前記隙間から低圧側の機械室A2及び室外空間A3に向けて空気が流れることで換気される。つまり、低酸素空気供給システム10において、室内空間A1は、給気ファン40によって第2種換気がなされる。換言すると、本開示の低酸素空気供給システム10では、排気ファンによる室内空間A1からの排気は行わない。なお、本開示の低酸素空気供給システム10では、給気ファン40で供給する外気OAと、低酸素空気供給ユニット20で供給する低酸素空気LAとを、室内空間A1で合流させる。このような構成の低酸素空気供給システム10では、外気ダクト15の大きさ(ダクトサイズ)を抑制することができる。
【0072】
(制御装置)
図1図3に示す制御装置50は、各低酸素空気供給ユニット20及び給気ファン40に接続され、これらの動作を制御する。なお、ここでは、低酸素空気供給ユニット20として第1ユニット20Aを採用した場合を例示する。図3に示すように、制御装置50は、駆動制御部51及び記憶部52を有する。駆動制御部51は、圧縮機22、真空ポンプ23、流路切換弁24、パージ弁27、流量調整弁30、及び給気ファン40の各動作を制御する。記憶部52には、低酸素空気供給システム10に含まれる全ての低酸素空気供給ユニット20を個別に制御することができるプログラムが予め格納されている。
【0073】
さらに制御装置50は、通信ケーブル及びルータ54を介して、操作用PC51及び管理用PC52が接続される。低酸素空気供給システム10は、ユーザによる操作用PC51の操作及び設定に基づいて、運転及び停止される。操作用PC51は、低酸素空気供給システム10の作動状態や低酸素空気LAの供給量等の情報を表示するモニタ(図示せず)を有する。操作用PC51は、統合ユニット11(低酸素空気供給ユニット20)の近傍に配置される。管理用PC52は、室内空間A1に配置される。低酸素空気供給システム10は、管理用PC52に接続されたモニタ55によって、現在の室内空間A1の酸素濃度及び二酸化炭素濃度等の情報を、室内空間A1内のユーザへ提示する。なお、低酸素空気供給システム10に異常が発生した場合、制御装置50は、操作用PC51に接続された前記モニタ及び管理用PC52に接続されたモニタ55を利用して、異常の発生を報知する。なお、本実施形態では管理用PC52を有する構成とした場合を例示しているが、管理用PC52は省略してもよい。この場合、操作用PC51とモニタ55とを接続し、操作用PC51及びモニタ55によって、室内空間A1の酸素濃度及び二酸化炭素濃度等の情報を提示してもよい。
【0074】
さらに、制御装置50は、インターネット回線90及びサーバ56を介して、遠隔操作用PC53に接続される。低酸素空気供給システム10は、遠隔地にいる管理者が遠隔操作用PC53を操作することによって、運転及び停止や、室内空間A1の酸素濃度、二酸化炭素濃度等を監視することができる。なお、本開示の低酸素空気供給システム10では、遠隔操作用PC53を省略してもよい。
【0075】
なお、図3における図示は省略しているが、低酸素空気供給システム10において、第2ユニット20B(図4B参照)を採用する場合、制御装置50には、第1開放弁37が接続され、あるいは、第3ユニット20C(図4C参照)を採用する場合、制御装置50には、第2開放弁38が接続される。これらの場合、制御装置50は、第1開放弁37又は第2開放弁38を制御する。
【0076】
さらに制御装置50は、センサユニット59が接続される。センサユニット59は、室内空間A1に設置される。センサユニット59は、酸素センサ57及び二酸化炭素センサ58を含んでいる。
【0077】
酸素センサ57は、空間内の酸素濃度を検出するセンサである。二酸化炭素センサ58は、空間内の二酸化炭素濃度を検出するセンサである。なお、本開示の低酸素空気供給システム10では、室内空間A1のための酸素センサ57が、2個の酸素センサ57(第1酸素センサ57a及び第2酸素センサ57b)により構成される。本開示の低酸素空気供給システム10における二酸化炭素センサ58は、2個の二酸化炭素センサ58(第1二酸化炭素センサ58a及び第2二酸化炭素センサ58b)により構成される。なお、本実施形態では、低酸素空気供給システム10が有する酸素センサ57及び二酸化炭素センサ58の個数がそれぞれ2個である場合を例示しているが、本開示の低酸素空気供給システム10は、3個以上の酸素センサ57及び二酸化炭素センサ58を有していてもよい。
【0078】
本開示の低酸素空気供給システム10では、さらに、高酸素室A4のための酸素センサ57(第3酸素センサ57c)を備える。第3酸素センサ57cは、高酸素室A4内に配置され、高酸素室A4内の酸素濃度を検出する。低酸素空気供給システム10において、制御装置50は、第3酸素センサ57cの検出値(高酸素空気HAにおける酸素濃度)に基づいて、低酸素空気供給システム10における低酸素空気LAの供給能力(低酸素空気LAにおける酸素濃度及び低酸素空気LAの供給量)を算出することができる。このような構成の低酸素空気供給システム10では、室内空間A1について、第3圧力センサ67及び酸素センサ57等の検出値に基づいて算出した低酸素空気LAの供給能力と、第3酸素センサ57cの検出値に基づいて算出した低酸素空気LAの供給能力とを比較することで、低酸素空気供給システム10が正常に機能していることの確認を容易に行うことができる。なお、第3酸素センサ57cの設置場所は、高酸素室A4に限定されず、高酸素空気供給管14、酸素タンク28等に設置してもよい。
【0079】
制御装置50は、酸素センサ57の検出値(即ち、室内空間A1の酸素濃度)に応じて、低酸素空気LAの供給量を調整する。制御装置50は、流量調整弁30の開度を調整したり、あるいは、低酸素空気供給ユニット20の台数を変更したり、あるいは、各低酸素空気供給ユニット20における圧縮機22及び真空ポンプ23の各モータ回転数を変更したりすることによって、低酸素空気LAの供給量を調整する。
【0080】
制御装置50は、二酸化炭素センサ58の検出値(即ち、室内空間A1の二酸化炭素濃度)に応じて、低酸素空気LAの供給量を調整する。低酸素空気供給システム10では、室内空間A1の二酸化炭素濃度が上昇した場合に、低酸素空気LAの供給量(換言すると、窒素の供給量)を増大させることによって、室内空間A1の二酸化炭素濃度を低下させる。
【0081】
さらに制御装置50は、第1圧力センサ35及び第2圧力センサ36が接続される。第1圧力センサ35及び第2圧力センサ36は、筐体21内に設置される。
【0082】
第1圧力センサ35は、低酸素空気供給ユニット20における低酸素空気LAの供給圧力を検出するセンサであり、低酸素空気供給ユニット20内の低酸素空気供給管13に設置される。第2圧力センサ36は、低酸素空気供給ユニット20における高酸素空気HAの供給圧力を検出するセンサであり、低酸素空気供給ユニット20内の高酸素空気供給管14に設置される。
【0083】
制御装置50は、第1圧力センサ35の検出値(圧力)と低酸素空気供給管13の配管径等の情報に基づいて、低酸素空気供給ユニット20における低酸素空気LAの供給量(流量)を算出する。制御装置50は、第2圧力センサ36の検出値(圧力)と高酸素空気供給管14の配管径等の情報に基づいて、低酸素空気供給ユニット20における高酸素空気HAの供給量(流量)を算出する。
【0084】
さらに制御装置50は、第3圧力センサ67、第4圧力センサ68、及び第5圧力センサ69が接続される。第3圧力センサ67、第4圧力センサ68、及び第5圧力センサ69は、機械室A2内に設置される。
【0085】
第3圧力センサ67は、低酸素空気LAの供給圧力を検出するセンサであり、第2サイレンサ62で合流した後の低酸素空気供給管13に設置される。第4圧力センサ68は、高酸素空気HAの供給圧力を検出するセンサであり、第3サイレンサ63で合流した後の高酸素空気供給管14に設置される。第5圧力センサ69は、外気OAの供給圧力を検出するセンサであり、外気ダクト15に設置される。
【0086】
制御装置50は、第3圧力センサ67の検出値と低酸素空気供給管13の配管径等の情報に基づいて、低酸素空気供給システム10における低酸素空気LAの総供給量を算出する。制御装置50は、第4圧力センサ68の検出値と高酸素空気供給管14の配管径等の情報に基づいて、低酸素空気供給システム10における高酸素空気HAの総供給量を算出する。制御装置50は、第5圧力センサ69の検出値に基づいて、低酸素空気供給システム10における外気OAの供給量を算出する。なお、本開示の低酸素空気供給システム10では、第5圧力センサ69を省略してもよい。この場合、制御装置50は、給気ファン40のファン回転数及び運転電流値に基づいて、外気OAの供給量を算出してもよい。
【0087】
低酸素空気供給システム10では、給気ファン40によって室内空間A1を第2種換気し、室内空間A1を陽圧に保持することによって、想定しない空気が室内空間A1に侵入すること(外乱)を抑制し、これにより、室内空間A1における酸素濃度の変動を抑制する。なお、制御装置50は、二酸化炭素センサ58の検出値(即ち、室内空間A1の二酸化炭素濃度)に応じて、外気OAの供給量を調整してもよい。この場合、制御装置50は、給気ファン40をON-OFFしたり、あるいは、給気ファン40のファン回転数を変更したりすることで、室内空間A1に対する外気OAの供給量を調整する。
【0088】
制御装置50は、接続されている各低酸素空気供給ユニット20の動作を個別に制御することができる。制御装置50は、一部の低酸素空気供給ユニット20が故障したことを検知した場合、故障した低酸素空気供給ユニット20を停止させると共に、当該故障した低酸素空気供給ユニット20を除いた他の低酸素空気供給ユニット20のみを運用して低酸素空気LAの供給を継続する。このため、本実施形態の低酸素空気供給システム10では、一部の低酸素空気供給ユニット20が故障した場合であっても、低酸素空気供給システム10の運転を継続することができる。
【0089】
図1図4A図4Cに示すように、低酸素空気供給システム10は、第1仕切弁64、第2仕切弁65、及び第3仕切弁66を備える。第1仕切弁64は、低酸素空気供給ユニット20へ供給される外気OAが流れる外気供給管12上に設けられた弁であり、第1サイレンサ61から各低酸素空気供給ユニット20に対する外気OAの供給及び停止を個別に切り換えることができる。第2仕切弁65は、低酸素空気供給ユニット20で生成した低酸素空気LAが流れる低酸素空気供給管13上に設けられた弁であり、各低酸素空気供給ユニット20から第2サイレンサ62への低酸素空気LAの供給及び停止を個別に切り換えることができる。第3仕切弁66は、低酸素空気供給ユニット20で生成した高酸素空気HAが流れる高酸素空気供給管14上に設けられた弁であり、各低酸素空気供給ユニット20から第3サイレンサ63への高酸素空気HAの供給及び停止を個別に切り換えることができる。
【0090】
低酸素空気供給システム10では、低酸素空気供給ユニット20に故障が発生した場合、その故障した低酸素空気供給ユニット20に対応する各仕切弁64,65,66を閉とすることで、低酸素空気供給システム10の運転を継続しながら、故障した低酸素空気供給ユニット20を交換することができる。このため、本実施形態の低酸素空気供給システム10では、一部の低酸素空気供給ユニット20が故障した場合であっても、低酸素空気LAの供給(低酸素環境の提供)を止めずに、低酸素空気供給システム10を修理することができる。
【0091】
以上説明した低酸素空気供給システム10は、空気中の酸素濃度よりも低濃度の酸素を含む低酸素空気LAを生成すると共に、生成した低酸素空気LAを室内空間A1に供給する複数の低酸素空気供給ユニット20と、室内空間A1に外気OAを供給する給気ファン40と、室内空間A1内の酸素濃度を検知する酸素センサ57と、室内空間A1内の二酸化炭素濃度を検知する二酸化炭素センサ58と、低酸素空気供給ユニット20、及び給気ファン40の動作を制御する制御装置50と、を備える。このような構成の低酸素空気供給システム10によれば、複数の低酸素空気供給ユニット20の何れかに故障が発生した場合であっても、他の低酸素空気供給ユニット20を用いて低酸素空気LAの供給を継続することができる。このため、低酸素空気供給システム10によれば、複数の低酸素空気供給ユニット20の一部に故障が発生した場合であっても、低酸素環境の維持に必要な低酸素空気LAの供給量を確保することができ、これにより、低酸素環境の提供を継続することができる。
【0092】
(酸素センサ及び二酸化炭素センサの校正について)
本開示の低酸素空気供給システム10は、酸素センサ57を2個(第1酸素センサ57a及び第2酸素センサ57b)有している。このため、低酸素空気供給システム10において、制御装置50は、第1酸素センサ57aの検出値と、第2酸素センサ57bの検出値とを比較することができる。
【0093】
低酸素空気供給システム10の運用中において、酸素センサ57の検出値が異常値を示した場合、制御装置50は、各酸素センサ57a,57bの検出値を比較することによって、その異常値が、室内空間A1における異常の発生によるものか、あるいは、酸素センサ57の故障によるものか、を判別することができる。制御装置50は、各酸素センサ57a,57bの検出値の比較結果、各酸素センサ57a,57bの検出値の基準値との差異、異常値を示した際の検出値の変化の状況等に基づいて、酸素センサ57の故障の有無を判断する。
【0094】
本開示の低酸素空気供給システム10は、二酸化炭素センサ58を2個(第1二酸化炭素センサ58a及び第2二酸化炭素センサ58b)有している。このため、低酸素空気供給システム10において、制御装置50は、第1二酸化炭素センサ58aの検出値と、第2二酸化炭素センサ58bの検出値とを比較することができる。
【0095】
低酸素空気供給システム10の運用中において、二酸化炭素センサ58の検出値が異常値を示した場合、制御装置50は、各二酸化炭素センサ58a,58bの検出値を比較することによって、その異常値が、室内空間A1における異常の発生によるものか、あるいは、二酸化炭素センサ58の故障によるものか、を判別することができる。制御装置50は、各二酸化炭素センサ58a,58bの検出値の比較結果、各二酸化炭素センサ58a,58bの検出値の基準値との差異、異常値を示した際の検出値の変化の状況等に基づいて、二酸化炭素センサ58の故障の有無を判断する。
【0096】
このため、低酸素空気供給システム10では、酸素センサ57及び二酸化炭素センサ58をそれぞれ2個有することによって、低酸素空気供給ユニット20の動作を的確に制御して、室内空間A1の酸素濃度を所望の低酸素状態に確実に維持すると共に、室内空間A1における酸素濃度及び二酸化炭素濃度を確実に監視することができる。
【0097】
さらに、低酸素空気供給システム10では、酸素センサ57及び二酸化炭素センサ58をそれぞれ2個有することによって、酸素センサ57及び二酸化炭素センサ58を精度よく校正することができる。低酸素空気供給システム10では、酸素センサ57及び二酸化炭素センサ58の校正を行う際、低酸素空気供給ユニット20を停止させると共に、給気ファン40を運転させて、無人の室内空間A1に外気OAのみを供給する。この場合、室内空間A1は、酸素濃度が通常の空気と同じ濃度(約21%)となっており、二酸化炭素濃度が、通常の空気と同じ濃度(約300~400ppm)となっている。
【0098】
低酸素空気供給システム10では、通常の空気の酸素濃度(約21%)を校正の基準値として、これを実際の測定値と比較することによって、2個の酸素センサ57a,57bをそれぞれ校正する。低酸素空気供給システム10では、通常の空気の二酸化炭素濃度(約300~400ppm)を校正の基準値として、これを実際の測定値と比較することによって、2個の二酸化炭素センサ58a,58bをそれぞれ校正する。このように、酸素センサ57及び二酸化炭素センサ58をそれぞれ2個ずつ有する構成では、校正の基準値に対する計測値のズレ量を比較する対象があるため、各センサ57,58の劣化や異常を判別しやすい。なお、低酸素空気供給システム10で使用する酸素センサ57及び二酸化炭素センサ58は、センサ自身が自己校正機能を有するものを採用してもよい。
【0099】
(営業スケジュールについて)
図6は、低酸素空気供給システムを適用する店舗の営業スケジュール及び低酸素空気供給システムの運転スケジュールの一例を示す図である。本実施形態の低酸素空気供給システム10は、図6に示す運転スケジュールに従って運転される。図6に示すように、低酸素空気供給システム10の運転スケジュールは、低酸素空気供給システム10を適用する店舗の営業スケジュールに応じて設定される。本実施形態では、1日における店舗の営業時間が、午前10時から午後10時までの12時間である場合を例示する。本実施形態では、午前10時から午後10時までの間以外は、店舗が閉店する場合を例示する。なお、低酸素空気供給システムを適用する店舗の営業スケジュールは、本実施形態で示すスケジュールには限定されない。店舗の営業スケジュールは、例えば、24時間営業であって、数日に1回の頻度で、閉店するスケジュールであってもよい。なお、この場合の低酸素空気供給システム10では、数日に1回の閉店するタイミングで、後で説明する準備運転モード及び終了運転モードを実行し、営業中は営業運転モードの実行を継続する。
【0100】
(運転スケジュールについて)
図5に示すように、低酸素空気供給システム10の運転スケジュールには、準備運転、営業運転、終了運転と、待機中の状態が含まれる。以下の説明では、準備運転における低酸素空気供給システム10の運転モードを準備運転モードと称し、営業運転における低酸素空気供給システム10の運転モードを営業運転モードと称し、終了運転における低酸素空気供給システム10の運転モードを終了運転モードと称する。以下の説明では、待機中における低酸素空気供給システム10のモードを待機モードと称する。
【0101】
準備運転モードは、営業時間が始まる前のタイミングで、室内空間A1の酸素濃度を、室外空間A3と同等の酸素濃度から営業に適した酸素濃度(低酸素濃度)に遷移させるための運転モードである。本実施形態の低酸素空気供給システム10では、例えば、午前7時から午前8時30分の間が、準備運転モードを実行する期間である。なお、本実施形態では、営業時間が始まる少し前のタイミングで準備運転モードを終えているが、低酸素空気供給システム10では、営業時間の開始時点まで準備運転モードを継続してもよい。
【0102】
営業運転モードは、営業時間中において、室内空間A1の酸素濃度を、営業に適した酸素濃度(約16%程度の低酸素濃度)の状態に維持するための運転モードである。本実施形態の低酸素空気供給システム10では、例えば、午前8時30分から午後10時の間が、営業運転モードを実行する期間である。なお、低酸素空気供給システム10では、翻字し形態で示すように、営業時間の開始時点より前のタイミングで準備運転モードから営業運転モードに移行するスケジュールとしてもよい。
【0103】
終了運転モードは、営業時間が終わった後のタイミングで、室内空間A1の酸素濃度を、営業に適した低酸素濃度の状態から室外空間A3と同等の酸素濃度まで遷移させるための運転モードである。本実施形態の低酸素空気供給システム10では、午後10時から午後11時の間が、終了運転モードを実行する期間である。
【0104】
待機モードは、店舗の閉店中(営業時間前及び営業時間後のタイミング)において、室内空間A1に低酸素空気LAを供給せず、室内空間A1の酸素濃度を室外空間A3と同程度に維持するモードである。換言すると、待機モードは、室内空間A1内を通常の酸素濃度の状態に維持するモードである。本実施形態で示す低酸素空気供給システム10では、午後11時から次の日の午前7時までの間が、待機モードを実行する期間である。
【0105】
(準備運転モードについて)
図7は、準備運転中の酸素濃度、二酸化炭素濃度、低酸素空気供給ユニット及び給気ファンの運転台数、低酸素空気供給システムの利用者数の変化を示す図である。図7に示すように、準備運転モードは、室内空間A1内の酸素濃度を、室外空間A3と同等の状態から低酸素状態(約16%)に遷移させる運転モードである。本実施形態では、準備運転モードの実行中における室内空間A1内の人の数を、「0」人と想定する。準備運転モードでは、統合ユニット11に含まれる全て(4台)の低酸素空気供給ユニット20を作動させて、室内空間A1に低酸素空気LAを供給する。準備運転モードにおいて、給気ファン40は、停止させる。このように、準備運転モードでは、室内空間A1内を換気せず、かつ、室内空間A1における酸素の消費及び二酸化炭素の発生がない状態で、室内空間A1に低酸素空気LAを供給する。低酸素空気供給システム10は、準備運転モードを実行することによって、室内空間A1の酸素濃度を速やかに低下させて、低酸素状態にすることができる。図7に示すように、低酸素空気供給システム10では、準備運転モードの実行により、開始時点で、20~21%程度であった室内空間A1内の酸素濃度を、16%程度の低酸素状態まで、速やかに低下させることができる。なお、準備運転モードでは、室内空間A1の酸素濃度が所望の低酸素状態(約16%)に到達した場合、その後は低酸素空気供給ユニット20の作動台数を4台から0台に変更する。
【0106】
なお、本開示の低酸素空気供給システム10において、制御装置50は、準備運転モードを実行したときの酸素濃度及び二酸化炭素濃度の変化に基づいて、室内空間A1の気密性(C値)を算出することができる。低酸素空気供給システム10では、日々室内空間A1の気密性(C値)を確認することで、シール箇所の劣化や建物自体の劣化等に起因する室内空間A1の気密性の低下を検出することができる。
【0107】
(営業運転モードについて)
図8は、営業運転中の酸素濃度、二酸化炭素濃度、低酸素空気供給ユニット及び給気ファンの運転台数、低酸素空気供給システムの利用者数の変化を示す図である。図8に示すように、営業運転モードは、室内空間A1内の酸素濃度を、低酸素状態(約16%)に維持する運転モードである。本実施形態では、営業運転モードの実行中における室内空間A1内の人の数を、「0~1」人と想定する。営業運転モードでは、統合ユニット11に含まれる各低酸素空気供給ユニット20の作動台数を、室内空間A1内の二酸化炭素濃度に応じて、0~4台の間で台数制御する。統合ユニット11は、低酸素状態(約16%)を維持するために必要な低酸素空気LAを、室内空間A1内に供給する。営業運転モードにおいて、給気ファン40は、室内空間A1内の二酸化炭素濃度に応じて、ON-OFF制御する。図8に示すように、低酸素空気供給システム10では、営業運転モードを実行することによって、室内空間A1における酸素濃度を16%程度の低酸素状態に維持すると共に、室内空間A1における二酸化炭素濃度の上昇を抑えることができる。なお、本開示の低酸素空気供給システム10では、低酸素空気供給ユニット20の台数制御を行う際、制御装置50は、各低酸素空気供給ユニット20の積算運転時間を考慮し、低酸素空気供給ユニット20の積算運転時間が平準化するように、作動及び停止させる低酸素空気供給ユニット20を選定する。
【0108】
(終了運転モードについて)
図9は、終了運転中の酸素濃度、二酸化炭素濃度、低酸素空気供給ユニット及び給気ファンの運転台数、低酸素空気供給システムの利用者数の変化を示す図である。図9に示すように、終了運転モードは、室内空間A1内の酸素濃度を、低酸素状態(約16%)から室外空間A3と同等の状態まで遷移させる運転モードである。本実施形態では、終了運転モードの実行中における室内空間A1内の人の数を、「0」人と想定する。終了運転モードでは、統合ユニット11に含まれる全ての低酸素空気供給ユニット20を停止させ、室内空間A1内への低酸素空気LAの供給を停止する。終了運転モードでは、給気ファン40を常時ONとして、室内空間A1に外気OAを供給して換気する。図9に示すように、本開示の低酸素空気供給システム10では、終了運転モードを実行することによって、室内空間A1内の酸素濃度を16%程度から20~21%程度に上昇させることができる。なお、本開示の低酸素空気供給システム10では、終了運転モードを実行することによって、室内空間A1内の二酸化炭素濃度を3000ppm程度から300~400ppm程度まで降下させることができる。
【0109】
(待機モードについて)
図7及び図9に示すように、待機モードは、室内空間A1内の酸素濃度を、室外空間A3と同程度(20~21%程度)に維持するモードである。本実施形態では、待機モードにおける室内空間A1内の人の数は、「0」人と想定している。待機モードでは、統合ユニット11に含まれる全ての低酸素空気供給ユニット20を停止させ、室内空間A1内への低酸素空気LAの供給を停止する。待機モードでは、給気ファン40をOFFとする。図9に示すように、本開示の低酸素空気供給システム10では、待機モードにおいて、室内空間A1内の酸素濃度を20~21%程度に維持すると共に、室内空間A1内の二酸化炭素濃度を300~400ppm程度に維持することができる。
【0110】
本開示の低酸素空気供給システム10では、制御装置50が、前記運転スケジュールに従って当該低酸素空気供給システム10を運用し、店舗の営業スケジュールに合わせて、店舗の室内空間A1に低酸素環境を提供することができる。低酸素空気供給システム10では、低酸素空気供給ユニット20の一部に故障が発生した場合であっても、故障していない残りの低酸素空気供給ユニット20のみを運転させることで、低酸素環境の提供を継続することができる。このため、本開示の低酸素空気供給システム10を用いた場合には、一部の低酸素空気供給ユニット20の故障したときに、店舗を臨時休業させる必要がなくなる。
【0111】
(運転制御について)
図10は、低酸素空気供給ユニットの給気量及び給気圧力の周期的な変動状況を示す図である。図10に示すように、本実施形態の低酸素空気供給ユニット20は、低酸素空気LAの給気量及び給気圧力が、所定の周期Pで変動する特性(運転サイクル)を有する。図10には、時刻Tp1~Tp4において、給気量及び給気圧力がピークを迎える場合を示している。低酸素空気供給ユニット20は、給気量及び給気圧力がピークを迎えるタイミングが略一致する。なお、以下の説明では、給気量及び給気圧力がピークを迎える時刻を、ピーク時刻Tpとも称する。低酸素空気供給システム10では、複数の低酸素空気供給ユニット20のピーク時刻Tpが一致する場合、ピーク時刻Tpにおいて複数の低酸素空気供給ユニット20からの低酸素空気LAの供給が重なって、これにより、低酸素空気LAの供給量の変動幅が大きくなる。この場合、低酸素空気供給システム10の電力値(電流×電圧)の最大値が大きくなり、さらに、低酸素空気供給システム10から発生する騒音も大きくなる。
【0112】
本開示の低酸素空気供給システム10では、制御装置50が、各低酸素空気供給ユニット20のピーク時刻Tpが互いにずれるように、作動中の各低酸素空気供給ユニット20の運転サイクルを調整する。
【0113】
この場合、各低酸素空気供給ユニット20の電力値(電流×電圧)が最大になるタイミングがずれるため、消費電力の平準化を図ることができる。またこの場合、各低酸素空気供給ユニット20からの低酸素空気LA及び高酸素空気HAの供給量が最大になるタイミングがずれるため、低酸素空気LA及び高酸素空気HAの最大供給量を小さくすることができ、これにより、低酸素空気LA及び高酸素空気HAの供給量の平準化を図ることができる。さらに、これにより、各低酸素空気供給ユニット20から供給される低酸素空気LAが合流する第2サイレンサ62、及び高酸素空気HAが合流する第3サイレンサ63や、各低酸素空気供給ユニット20へ供給する外気OAが合流する第1サイレンサ61の配管径を小さくすることができる。さらにこの場合、低酸素空気LA及び高酸素空気HAの最大供給量を小さくすることで、低酸素空気LA及び高酸素空気HAの排出時や外気OAの吸入時に低酸素空気供給ユニット20から発生する騒音を抑制することができる。
【0114】
以上に説明した低酸素空気供給ユニット20は、窒素の吸着及び脱離が可能な吸着材Xを有している。低酸素空気供給ユニット20は、吸着材Xを収容する第1吸着筒25a及び第2吸着筒25bと、第1吸着筒25a及び第2吸着筒25bのうちの何れか一方に空気を給気する圧縮機22と、第1吸着筒25a及び第2吸着筒25bのうちの他方から空気を排気する真空ポンプ23と、圧縮機22の給気先を第1吸着筒25a又は第2吸着筒25bのうちの一方に切り換えると共に、真空ポンプ23の排気元を第1吸着筒又は前記第2吸着筒のうちの他方に切り換える第1切換弁24a及び第2切換弁24b、を有する。低酸素空気供給ユニット20では、圧縮機22の給気先及び真空ポンプ23の排気元を、第1切換弁24a及び第2切換弁24bよって切り換える。このような構成の低酸素空気供給ユニット20では、第1切換弁24a及び第2切換弁24bによって流路を切り換える際に、圧縮機22の給気量及び真空ポンプ23の排気量が周期的に変動する。このため、低酸素空気供給システム10では、各低酸素空気供給ユニット20におけるピーク時刻Tpが異なるように、制御装置50が各低酸素空気供給ユニット20の動作を制御する。
【0115】
このような構成の低酸素空気供給システム10では、消費電力及び発生騒音を抑制することができると共に、低酸素空気LA及び高酸素空気HAの供給量を平準化することができる。
【0116】
[実施形態の作用効果]
(1)上記実施形態の低酸素空気供給システム10は、空気中の酸素濃度よりも低濃度の酸素を含む低酸素空気LAを生成すると共に、生成した低酸素空気LAを室内空間A1に供給する複数の低酸素空気供給ユニット20と、室内空間A1に外気OAを供給する給気ファン40と、室内空間A1内の酸素濃度を検知する酸素センサ57と、低酸素空気供給ユニット20、及び給気ファン40の動作を制御する制御装置50と、を備える。
【0117】
この低酸素空気供給システム10によれば、複数の低酸素空気供給ユニット20の何れかに故障が発生した場合であっても、他の低酸素空気供給ユニット20で低酸素空気LAの供給を継続することができる。このため、本開示の低酸素空気供給システム10によれば、複数の低酸素空気供給ユニット20の一部に故障が発生した場合であっても、低酸素環境の提供を継続することができる。
【0118】
(2)上記実施形態の低酸素空気供給システム10において、各低酸素空気供給ユニット20は、空気に含まれる窒素(又は酸素)を吸着すること及び吸着した窒素(又は酸素)を脱離することが可能な吸着材Xと、吸着材Xを収容する第1吸着筒25a及び第2吸着筒25bと、第1吸着筒25a及び第2吸着筒25bのうちの何れか一方に空気を給気する圧縮機22、又は一方を大気に開放する第1開放弁37と、第1吸着筒25a及び第2吸着筒25bのうちの他方から空気を排気する真空ポンプ23、又は他方を大気に開放する第2開放弁38と、圧縮機22の給気先又は第1開放弁37の開放先を第1吸着筒25a又は第2吸着筒25bのうちの一方に切り換えると共に、真空ポンプ23の排気元又は第2開放弁の開放元を第1吸着筒又は前記第2吸着筒のうちの他方に切り換える第1切換弁24a及び第2切換弁24b、を有し、制御装置50は、第1の低酸素空気供給ユニット20の真空ポンプ23又は第2開放弁38からの排気量がピークとなる第1のピーク時刻Tpと、第2の低酸素空気供給ユニット20の真空ポンプ23又は第2開放弁38からの排気量がピークとなる第2のピーク時刻Tpとが異なるように、各低酸素空気供給ユニット20の動作を制御する。
【0119】
この低酸素空気供給システム10によれば、低酸素空気供給システム10の消費電力及び発生騒音を抑制することができる。低酸素空気供給システム10における低酸素空気LAの供給量を平準化することができる。
【0120】
(3)上記実施形態の低酸素空気供給システム10は、室内空間A1内の二酸化炭素濃度を検知する二酸化炭素センサ58をさらに備える。
【0121】
この低酸素空気供給システム10によれば、室内空間A1における二酸化酸素濃度の管理が可能になるとともに、二酸化炭素濃度に基づいて、低酸素空気供給システム10の動作を制御することが可能となる。
【0122】
(4)上記実施形態の低酸素空気供給システム10は、室内空間A1を、給気ファン40によって第2種換気する。
【0123】
この低酸素空気供給システム10によれば、室内空間A1における酸素濃度の変動を抑制することができる。
【0124】
(5)上記実施形態の低酸素空気供給システム10において、制御装置50は、各低酸素空気供給ユニット20を個別に制御可能であり、各低酸素空気供給ユニット20から供給される低酸素空気LAの供給経路上のそれぞれに、第2仕切弁65をさらに備える。
【0125】
この低酸素空気供給システム10によれば、いずれかの低酸素空気供給ユニット20が故障した場合に、その他の低酸素空気供給ユニット20を用いて低酸素空気供給システム10の運用を継続させると共に、故障した低酸素空気供給ユニット20を交換することが可能となる。
【0126】
(6)上記実施形態の低酸素空気供給システム10は、低酸素空気の供給圧力を検出する第3圧力センサ67をさらに備える。制御装置50は、第3圧力センサ67の検出値に基づいて、低酸素空気LAの供給量を算出する。
【0127】
この低酸素空気供給システム10によれば、低酸素空気LAの供給量を測定する流量センサを別途設ける必要がない。
【0128】
(7)上記実施形態の低酸素空気供給システム10は、酸素センサ57を2個(第1酸素センサ57a及び第2酸素センサ57b)有し、かつ、二酸化炭素センサ58を2個(第1二酸化炭素センサ58a及び第2二酸化炭素センサ58b)有する。
【0129】
この低酸素空気供給システム10によれば、室内空間A1において酸素濃度が所定の範囲を超えて過度の低酸素状態となる異常が発生しているのか、あるいは、各センサ57,58自身の検出値に異常が発生しているのか、を判別することができる。各センサ57,58の検出値を比較することによって、酸素センサ57及び二酸化炭素センサ58の校正を行うことが可能になる。
【0130】
(8)上記実施形態の低酸素空気供給システム10は、さらに、第1サイレンサ61を有する。低酸素空気供給システム10は、第1の低酸素空気供給ユニット20から供給される低酸素空気LA、及び第2の低酸素空気供給ユニット20から供給される低酸素空気LAを、第1サイレンサ61で合流させる。
【0131】
この低酸素空気供給システム10によれば、各低酸素空気供給ユニット20にそれぞれサイレンサを設けた場合に比べて、サイレンサの個数を減らすことができる。低酸素空気供給システム10から発生する騒音を、少ない個数のサイレンサで効果的に抑制することができる。
【0132】
(9)上記実施形態の低酸素空気供給システム10は、さらに、ラック70を有する。低酸素空気供給システム10は、各低酸素空気供給ユニット20が、ラック70に搭載されている。
【0133】
この低酸素空気供給システム10によれば、低酸素空気供給システム10の設置が容易になる。
【0134】
(10)上記実施形態の低酸素空気供給システム10において、各低酸素空気供給ユニット20は、空気中の酸素濃度よりも高濃度の酸素を含む高酸素空気をさらに生成し、高酸素室A4に高酸素空気HAを供給する。低酸素空気供給ユニット20は、高酸素空気HAの供給量を調整する流量調整弁30をさらに有する。制御装置50は、流量調整弁30の開度を調整して、高酸素空気HAの供給量を調整する。
【0135】
この低酸素空気供給システム10によれば、高酸素空気HAの流量を調整することによって、低酸素空気LAの流量を調整することができる。高酸素空気HAの配管系統に設ける流量調整弁30は、低酸素空気LAの配管系統に設ける流量調整弁に比べてサイズが小さい。このため、低酸素空気LAの流量を、より小さいサイズの流量調整弁30を用いて調整することが可能になり、流量調整弁30にかかるコストを低減することができる。
【0136】
(11)上記実施形態の低酸素空気供給システム10は、第3酸素センサ57cを、高酸素室A4にさらに配置する。制御装置50は高酸素室A4等に配置した第3酸素センサ57cの検出値に基づいて、室内空間A1に供給する低酸素空気LAの供給能力を算出する。
【0137】
この場合、室内空間A1について、第3圧力センサ67、各酸素センサ57a,57b等の検出値に基づいて算出した低酸素空気LAの供給能力と、高酸素室A4等に配置した第3酸素センサ57cの検出値に基づいて算出した低酸素空気LAの供給能力とを比較することができる。これにより、低酸素空気供給システム10が正常に機能していることの確認を容易に行うことができる。
【0138】
なお、本開示は、以上の例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0139】
10 :低酸素空気供給システム
20 :低酸素空気供給ユニット
20A :第1ユニット(低酸素空気供給ユニット)
20B :第2ユニット(低酸素空気供給ユニット)
20C :第3ユニット(低酸素空気供給ユニット)
22 :圧縮機
23 :真空ポンプ
24 :流路切換弁(切換弁)
24a :第1切換弁
24b :第2切換弁
25 :吸着筒
25a :第1吸着筒
25b :第2吸着筒
30 :流量調整弁
37 :第1開放弁
38 :第2開放弁
40 :給気ファン
50 :制御装置(制御部)
57 :酸素センサ
57a :第1酸素センサ
57b :第2酸素センサ
57c :第3酸素センサ
58 :二酸化炭素センサ
58a :第1二酸化炭素センサ
58b :第2二酸化炭素センサ
62 :第1サイレンサ(サイレンサ)
65 :第2仕切弁(仕切弁)
67 :第3圧力センサ(圧力センサ)
70 :ラック
A1 :室内空間(第1の対象空間)
A4 :高酸素室(第2の対象空間)
LA :低酸素空気
HA :高酸素空気
X :吸着材
Tp :ピーク時刻(第1時刻、第2時刻)
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10