(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】排水から含フッ素化合物を除去する方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/28 20230101AFI20240510BHJP
C02F 1/42 20230101ALI20240510BHJP
【FI】
C02F1/28 L
C02F1/28 D
C02F1/28 E
C02F1/42 D
(21)【出願番号】P 2022187532
(22)【出願日】2022-11-24
(62)【分割の表示】P 2020551086の分割
【原出願日】2019-10-03
【審査請求日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】P 2018188701
(32)【優先日】2018-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平良 隆博
(72)【発明者】
【氏名】林 忠雄
(72)【発明者】
【氏名】奥井 千亜紀
(72)【発明者】
【氏名】畠山 領
(72)【発明者】
【氏名】小泉 道宣
(72)【発明者】
【氏名】加藤 丈人
(72)【発明者】
【氏名】田中 勇次
(72)【発明者】
【氏名】吉田 裕俊
【審査官】石岡 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-180259(JP,A)
【文献】特開2006-181416(JP,A)
【文献】特開2002-059160(JP,A)
【文献】特開2014-039912(JP,A)
【文献】国際公開第2010/113720(WO,A1)
【文献】特許第7216304(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F1/28
C02F1/42
C07C53/21
B01J20/00-20/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)又は(2)で示される含フッ素化合物を2種以上含む排水と吸着剤とを接触させることにより、該吸着剤に前記含フッ素化合物の2種以上を吸着させる吸着工程を含む、ことを特徴とする、
排水から含フッ素化合物を除去する方法であって、
前記排水が、前記含フッ素化合物として、少なくとも、前記一般式(1)におけるmが11である含フッ素化合物を含む、排水から含フッ素化合物を除去する方法。
一般式(1):(H-(CF
2)
m-COO)
pM
1
(式中、mは3~19、M
1は、H、金属原子、NR
b
4(R
bは、同一でも異なっていてもよく、H又は炭素数1~10の有機基)、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム、又は、置換基を有していてもよいホスホニウムである。pは1又は2である。)
一般式(2):(H-(CF
2)
n-SO
3)
qM
2
(式中、nは4~20である。M
2はH、金属原子、NR
b
4(R
bは前記と同じ)、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム、又は、置換基を有していてもよいホスホニウムである。qは1又は2である。)
【請求項2】
前記排水は、炭化水素系界面活性剤を用いた含フッ素ポリマー製造工程で得られた排水を含む請求項1記載の排水から含フッ素化合物を除去する方法。
【請求項3】
前記排水は、更に、炭化水素系界面活性剤を含む請求項1又は2記載の排水から含フッ素化合物を除去する方法。
【請求項4】
前記炭化水素系界面活性剤は、カルボン酸型炭化水素系界面活性剤である請求項2又は3記載の排水から含フッ素化合物を除去する方法。
【請求項5】
前記吸着剤は、イオン交換樹脂、活性炭、合成吸着剤、シリカゲル、クレイ、及び、ゼオライトからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1~4のいずれかに記載の排水から含フッ素化合物を除去する方法。
【請求項6】
前記吸着剤は、イオン交換樹脂又は合成吸着剤であって、細孔径が1~5000Åである請求項1~5のいずれかに記載の排水から含フッ素化合物を除去する方法。
【請求項7】
前記吸着剤は、活性炭であって、比表面積が500m
2/g以上である請求項1~5のいずれかに記載の排水から含フッ素化合物を除去する方法。
【請求項8】
前記吸着工程における温度は、0~50℃である請求項1~7のいずれかに記載の排水から含フッ素化合物を除去する方法。
【請求項9】
前記吸着工程における、前記含フッ素化合物の除去率が40%以上である請求項1~8のいずれかに記載の排水から含フッ素化合物を除去する方法。
【請求項10】
更に、前記吸着工程の前に、排水から固体成分を除去する前処理工程を含む請求項1~9のいずれかに記載の排水から含フッ素化合物を除去する方法。
【請求項11】
前記含フッ素化合物は、少なくとも、前記一般式(1)におけるmが7以上である含フッ素化合物又は一般式(2)におけるnが8以上である含フッ素化合物を含む請求項1~10のいずれかに記載の排水から含フッ素化合物を除去する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、排水から含フッ素化合物を除去する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
乳化重合により含フッ素ポリマーを製造する場合、フッ素化アニオン界面活性剤が使用されてきた。最近では、フッ素化アニオン界面活性剤に代えて、炭化水素系界面活性剤の使用も提案されている(例えば、特許文献1~3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第9255164号明細書
【文献】米国特許第8563670号明細書
【文献】米国特許第9074025号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、排水から特定の2種以上の含フッ素化合物を効率的に除去することができる、排水から含フッ素化合物を除去する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、下記一般式(1)又は(2)で示される含フッ素化合物を2種以上含む排水と吸着剤とを接触させることにより、該吸着剤に含フッ素化合物の2種以上を吸着させる吸着工程を含む、ことを特徴とする排水から含フッ素化合物を除去する方法(以下、単に「本開示の除去方法」と記載することもある)を提供する。
一般式(1):(H-(CF2)m-COO)pM1
(式中、mは3~19、M1は、H、金属原子、NRb
4(Rbは、同一でも異なっていてもよく、H又は炭素数1~10の有機基)、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム、又は、置換基を有していてもよいホスホニウムである。pは1又は2である。)
一般式(2):(H-(CF2)n-SO3)qM2
(式中、nは4~20である。M2はH、金属原子、NRb
4(Rbは前記と同じ)、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム、又は、置換基を有していてもよいホスホニウムである。qは1又は2である。)
【0006】
上記排水は、炭化水素系界面活性剤を用いた含フッ素ポリマー製造工程で得られた排水を含むことが好ましい。
【0007】
上記排水は、更に、炭化水素系界面活性剤を含むことが好ましい。
【0008】
上記炭化水素系界面活性剤は、カルボン酸型炭化水素系界面活性剤であることが好ましい。
【0009】
上記吸着剤は、イオン交換樹脂、活性炭、合成吸着剤、シリカゲル、クレイ、及び、ゼオライトからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0010】
上記吸着剤は、イオン交換樹脂又は合成吸着剤であって、細孔径が1~5000Åであることが好ましい。
【0011】
上記吸着剤は、活性炭であって、比表面積が500m2/g以上であることが好ましい。
【0012】
上記吸着工程における温度は、0~50℃であることが好ましい。
【0013】
上記吸着工程における、上記含フッ素化合物の除去率が40%以上であることが好ましい。
【0014】
本開示の排水から含フッ素化合物を除去する方法は、更に、前記吸着工程の前に、排水から固体成分を除去する前処理工程を含むことも好ましい。
【0015】
上記含フッ素化合物は、少なくとも、前記一般式(1)におけるmが7以上である含フッ素化合物又は一般式(2)におけるnが8以上である含フッ素化合物を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本開示の除去方法は、上記構成を有することから、排水から特定の2種以上の含フッ素化合物を効率的に除去することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書中、特に断りのない限り、「有機基」は、1個以上の炭素原子を含有する基、又は有機化合物から1個の水素原子を除去して形成される基を意味する。
当該「有機基」の例は、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルカジエニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、
1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基、
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基、
シアノ基、
ホルミル基、
RaO-、
RaCO-、
RaSO2-、
RaCOO-、
RaNRaCO-、
RaCONRa-、
RaOCO-、及び
RaOSO2-
(これらの式中、Raは、独立して、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルカジエニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、
1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基、又は
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基である)
を包含する。
上記有機基としては、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基が好ましい。
本明細書中、特に断りのない限り、「置換基」は、置換可能な基を意味する。当該「置換基」の例は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、芳香族オキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、芳香族オキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、芳香族スルホニル基、ヘテロ環スルホニル基、脂肪族スルホニルオキシ基、芳香族スルホニルオキシ基、ヘテロ環スルホニルオキシ基、スルファモイル基、脂肪族スルホンアミド基、芳香族スルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基、アミノ基、脂肪族アミノ基、芳香族アミノ基、ヘテロ環アミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、芳香族オキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルフィニル基、芳香族スルフィニル基、脂肪族チオ基、芳香族チオ基、ヒドロキシ基、シアノ基、スルホ基、カルボキシ基、脂肪族オキシアミノ基、芳香族オキシアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ハロゲン原子、スルファモイルカルバモイル基、カルバモイルスルファモイル基、ジ脂肪族オキシホスフィニル基、又は、ジ芳香族オキシホスフィニル基を包含する。
上記脂肪族基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記脂肪族基としては、総炭素原子数1~8、好ましくは1~4のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、ビニル基、シクロヘキシル基、カルバモイルメチル基等が挙げられる。
上記芳香族基は、例えば、ニトロ基、ハロゲン原子、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記芳香族基としては、炭素数6~12、好ましくは総炭素原子数6~10のアリール基、例えば、フェニル基、4-ニトロフェニル基、4-アセチルアミノフェニル基、4-メタンスルホニルフェニル基等が挙げられる。
上記ヘテロ環基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記ヘテロ環基としては、総炭素原子数2~12、好ましくは2~10の5~6員ヘテロ環、例えば2-テトラヒドロフリル基、2-ピリミジル基等が挙げられる。
上記アシル基は、脂肪族カルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロ環カルボニル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、芳香族基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記アシル基としては、総炭素原子数2~8、好ましくは2~4のアシル基、例えばアセチル基、プロパノイル基、ベンゾイル基、3-ピリジンカルボニル基等が挙げられる。
上記アシルアミノ基は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基等を有していてもよく、例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、2-ピリジンカルボニルアミノ基、プロパノイルアミノ基等を有していてもよい。上記アシルアミノ基としては、総炭素原子数2~12、好ましくは2~8のアシルアミノ基、総炭素原子数2~8のアルキルカルボニルアミノ基、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、2-ピリジンカルボニルアミノ基、プロパノイルアミノ基等が挙げられる。
上記脂肪族オキシカルボニル基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記脂肪族オキシカルボニル基としては、総炭素原子数2~8、好ましくは2~4のアルコキシカルボニル基、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、(t)-ブトキシカルボニル基等が挙げられる。
上記カルバモイル基は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基等を有していてもよい。上記カルバモイル基としては、無置換のカルバモイル基、総炭素数2~9のアルキルカルバモイル基、好ましくは無置換のカルバモイル基、総炭素原子数2~5のアルキルカルバモイル基、例えばN-メチルカルバモイル基、N,N-ジメチルカルバモイル基、N-フェニルカルバモイル基等が挙げられる。
上記脂肪族スルホニル基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、ヒドロキシ基、芳香族基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記脂肪族スルホニル基としては、総炭素原子数1~6、好ましくは総炭素原子数1~4のアルキルスルホニル基、例えばメタンスルホニル基等が挙げられる。
上記芳香族スルホニル基は、ヒドロキシ基、脂肪族基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記芳香族スルホニル基としては、総炭素原子数6~10のアリールスルホニル基、例えばベンゼンスルホニル等が挙げられる。
上記アミノ基は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基等を有していてもよい。
上記アシルアミノ基は、例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、2-ピリジンカルボニルアミノ基、プロパノイルアミノ基等を有していてもよい。上記アシルアミノ基としては、総炭素原子数2~12、好ましくは総炭素原子数2~8のアシルアミノ基、より好ましくは総炭素原子数2~8のアルキルカルボニルアミノ基、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、2-ピリジンカルボニルアミノ基、プロパノイルアミノ基等が挙げられる。
上記脂肪族スルホンアミド基、芳香族スルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基は、例えば、メタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基、2-ピリジンスルホンアミド基等であってもよい。
上記スルファモイル基は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基等を有していてもよい。上記スルファモイル基としては、スルファモイル基、総炭素原子数1~9のアルキルスルファモイル基、総炭素原子数2~10のジアルキルスルファモイル基、総炭素原子数7~13のアリールスルファモイル基、総炭素原子数2~12のヘテロ環スルファモイル基、より好ましくはスルファモイル基、総炭素原子数1~7のアルキルスルファモイル基、総炭素原子数3~6のジアルキルスルファモイル基、総炭素原子数6~11のアリールスルファモイル基、総炭素原子数2~10のヘテロ環スルファモイル基、例えば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、N,N-ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基、4-ピリジンスルファモイル基等が挙げられる。
上記脂肪族オキシ基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、メトキシ基、エトキシ基、i-プロピルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、メトキシエトキシ基等を有していてもよい。上記脂肪族オキシ基としては、総炭素原子数1~8、好ましくは1~6のアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、i-プロピルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、メトキシエトキシ基等が挙げられる。
上記芳香族アミノ基、ヘテロ環アミノ基は、脂肪族基、脂肪族オキシ基、ハロゲン原子、カルバモイル基、該アリール基と縮環したヘテロ環基、脂肪族オキシカルボニル基、好ましくは総炭素原子数1~4の脂肪族基、総炭素原子数1~4の脂肪族オキシ基、ハロゲン原子、総炭素原子数1~4のカルバモイル基、ニトロ基、総炭素原子数2~4の脂肪族オキシカルボニル基を有していてもよい。
上記脂肪族チオ基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、総炭素原子数1~8、より好ましくは総炭素原子数1~6のアルキルチオ基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、カルバモイルメチルチオ基、t-ブチルチオ基等が挙げられる。
上記カルバモイルアミノ基は、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基等を有していてもよい。上記カルバモイルアミノ基としては、カルバモイルアミノ基、総炭素原子数2~9のアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3~10のジアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数7~13のアリールカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3~12のヘテロ環カルバモイルアミノ基、好ましくはカルバモイルアミノ基、総炭素原子数2~7のアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3~6のジアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数7~11のアリールカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3~10のヘテロ環カルバモイルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、メチルカルバモイルアミノ基、N,N-ジメチルカルバモイルアミノ基、フェニルカルバモイルアミノ基、4-ピリジンカルバモイルアミノ基等が挙げられる。
【0018】
以下、本開示の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本開示は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0019】
従来の炭化水素系界面活性剤を用いた含フッ素ポリマーの製造では排水に着目した検討は行われていなかった。炭化水素系界面活性剤を用いた重合により含フッ素ポリマーを製造すると、含フッ素ポリマー製造工程により生じた排水に上記一般式(1)又は(2)で示される含フッ素化合物が2種以上含まれ得ることが見出された。本開示者等が鋭意検討したところ、上記吸着工程を含む方法によって、2種以上の上記含フッ素化合物を効率的に除去することができることを見いだし、本開示の除去方法は完成したものである。
【0020】
本開示の除去方法は、下記一般式(1)又は(2)で示される含フッ素化合物を2種以上含む排水と吸着剤とを接触させることにより、該吸着剤に含フッ素化合物の2種以上を吸着させる吸着工程を含む。
一般式(1):(H-(CF2)m-COO)pM1
(式中、mは3~19、M1は、H、金属原子、NRb
4(Rbは、同一でも異なっていてもよく、H又は炭素数1~10の有機基)、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム、又は、置換基を有していてもよいホスホニウムである。pは1又は2である。)
一般式(2):(H-(CF2)n-SO3)qM2
(式中、nは4~20である。M2はH、金属原子、NRb
4(Rbは前記と同じ)、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム、又は、置換基を有していてもよいホスホニウムである。qは1又は2である。)
上記金属原子としては、1、2価の金属原子が挙げられ、アルカリ金属(1族)又はアルカリ土類金属(2族)が挙げられ、具体的には、Na、K、Li等が例示される。
上記Rbとしては、4つのRbは、同一でも異なっていてもよい。Rbとしては、H又は炭素数1~10の有機基が好ましく、H又は炭素数1~4の有機基がより好ましい。また、好ましくは炭素数1~10のアルキル基、さらに好ましくは炭素数1~4のアルキル基である。以下で記載する全てのRbに上記規定は適用できる。
一般式(1)において、mは5~11であってもよい。
一般式(2)において、nは6~12であってもよい。
【0021】
本明細書において、「一般式(1)又は(2)で示される含フッ素化合物を2種以上含む排水」とは、排水が一般式(1)又は(2)に包含される含フッ素化合物のうち、少なくとも2種を含んでいればよいことを意味し、例えば、排水が、一般式(1)で示される含フッ素化合物を2種以上含み、一般式(2)で示される含フッ素化合物を含まないものであってもよいし、一般式(1)で示される含フッ素化合物を含まず、一般式(2)で示される含フッ素化合物を2種以上含むものであってもよいし、一般式(1)で示される化合物を1種以上、一般式(2)で示される含フッ素化合物を1種以上含むものであってもよい。
排水としては、一般式(1)のmが6である含フッ素化合物と、mが12である含フッ素化合物とを含む態様、一般式(2)のnが6である含フッ素化合物と、nが12である含フッ素化合物とを含む態様等が挙げられる。また、排水は、含フッ素化合物を2種以上含むものであれば、含フッ素化合物を3種以上含むものでも、含フッ素化合物を4種以上含むものでもよく、上記一般式(1)又は(2)に包含される全ての含フッ素化合物を含んでいてもよい。
一般式(1)に包含される含フッ素化合物のうち、mが3、5、7、9、11、13、15、17及び19である含フッ素化合物を含み、mが4、6、8、10、12、14、16及び18である含フッ素化合物を含まない態様であってもよいし、mが4、6、8、10、12、14、16、18及び20である含フッ素化合物を含み、mが3、5、7、9、11、13、15、17及び19である含フッ素化合物を含まない態様であってもよいし、mが3~19である含フッ素化合物のすべてを含む態様であってもよい。
また一般式(2)に包含される含フッ素化合物のうち、nが5、7、9、11、13、15、17及び19である含フッ素化合物を含み、nが4、6、8、10、12、14、16、18及び20である含フッ素化合物を含まない態様であってもよいし、nが4、6、8、10、12、14、16、18及び20である含フッ素化合物を含み、nが5、7、9、11、13、15、17及び19である含フッ素化合物を含まない態様であってもよいし、nが4~20である含フッ素化合物のすべてを含む態様であってもよい。
【0022】
本開示の除去方法において、排水中の一般式(1)又は(2)で示される含フッ素化合物の濃度は特に限定されず、任意の濃度の排水を処理することができる。処理に供される排水は、上記一般式(1)又は(2)で示される化合物の合計量が、排水の全量に対して0.01ppm以上が好ましく、0.1ppm以上がより好ましく、0.5ppm以上が更に好ましい。上記合計量は、排水の全量に対して、1ppm以上が更により好ましく、5ppm以上が殊更に好ましく、10ppm以上が特に好ましい。排水中の一般式(1)又は(2)で示される含フッ素化合物の濃度が上記のように一定以上である場合に、本開示の除去方法はより高い除去効率が発揮される。
また、処理に供される排水は、排水の全量に対して、一般式(1)又は(2)で示される含フッ素化合物の合計量が、排水の全量に対して10000ppm以下が好ましく、5000ppm以下がより好ましく、2000ppm以下が更に好ましく、1000ppm以下が更により好ましく、500ppm以下が殊更に好ましく、200ppm以下が特に好ましい。排水中の上記含フッ素化合物の合計量が上記範囲であることによって、除去効率をより高めることができる。
上記排水は後述の含フッ素ポリマー製造工程で生じた排水をそのまま用いてもよいし、含フッ素ポリマー製造工程で生じた排水を希釈又は濃縮して、一般式(1)又は(2)で示される含フッ素化合物の合計量を上記範囲にしてもよい。
なお、本明細書において、ppmは特に記載のない限り、質量換算で求めた値を意味する。
【0023】
上記一般式(1)のmが3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18又は19である含フッ素化合物の少なくとも1つの量は、各々、排水の全量に対して0.01ppm以上が好ましく、0.1ppm以上がより好ましく、0.5ppm以上が更に好ましく、1ppm以上が更により好ましく、5ppm以上が殊更に好ましく、10ppm以上が特に好ましい。
排水中の一般式(1)で示される含フッ素化合物の濃度が上記のように一定以上である場合に、本開示の除去方法はより高い除去効率が発揮される。
また、上記一般式(1)のmが3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18又は19である含フッ素化合物の少なくとも1つの量は、各々、排水の全量に対して、10000ppm以下が好ましく、5000ppm以下がより好ましく、2000ppm以下が更に好ましく、1000ppm以下が更により好ましく、500ppm以下が殊更に好ましく、200ppm以下が特に好ましい。排水中の上記含フッ素化合物の量が上記範囲であることによって、除去効率をより高めることができる。
【0024】
上記一般式(1)のmが3である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して0.01ppm以上が好ましく、0.1ppm以上がより好ましく、0.5ppm以上が更に好ましく、1ppm以上が更により好ましく、5ppm以上が殊更に好ましく、10ppm以上が特に好ましい。
排水中の一般式(1)で示される含フッ素化合物の濃度が上記のように一定以上である場合に、本開示の除去方法はより高い除去効率が発揮される。
また、上記一般式(1)のmが3である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して、10000ppm以下が好ましく、5000ppm以下がより好ましく、2000ppm以下が更に好ましく、1000ppm以下が更により好ましく、500ppm以下が殊更に好ましく、200ppm以下が特に好ましい。排水中の上記含フッ素化合物の量が上記範囲であることによって、除去効率をより高めることができる。
【0025】
上記一般式(1)のmが4である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して0.01ppm以上が好ましく、0.1ppm以上がより好ましく、0.5ppm以上が更に好ましく、1ppm以上が更により好ましく、5ppm以上が殊更に好ましく、10ppm以上が特に好ましい。
排水中の一般式(1)で示される含フッ素化合物の濃度が上記のように一定以上である場合に、本開示の除去方法はより高い除去効率が発揮される。
また、上記一般式(1)のmが4である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して、10000ppm以下が好ましく、5000ppm以下がより好ましく、2000ppm以下が更に好ましく、1000ppm以下が更により好ましく、500ppm以下が殊更に好ましく、200ppm以下が特に好ましい。排水中の上記含フッ素化合物の量が上記範囲であることによって、除去効率をより高めることができる。
【0026】
上記一般式(1)のmが5である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して0.01ppm以上が好ましく、0.1ppm以上がより好ましく、0.5ppm以上が更に好ましく、1ppm以上が更により好ましく、5ppm以上が殊更に好ましく、10ppm以上が特に好ましい。
排水中の一般式(1)で示される含フッ素化合物の濃度が上記のように一定以上である場合に、本開示の除去方法はより高い除去効率が発揮される。
また、上記一般式(1)のmが5である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して、10000ppm以下が好ましく、5000ppm以下がより好ましく、2000ppm以下が更に好ましく、1000ppm以下が更により好ましく、500ppm以下が殊更に好ましく、200ppm以下が特に好ましい。排水中の上記含フッ素化合物の量が上記範囲であることによって、除去効率をより高めることができる。
【0027】
上記一般式(1)のmが6である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して0.01ppm以上が好ましく、0.1ppm以上がより好ましく、0.5ppm以上が更に好ましく、1ppm以上が更により好ましく、5ppm以上が殊更に好ましく、10ppm以上が特に好ましい。
排水中の一般式(1)で示される含フッ素化合物の濃度が上記のように一定以上である場合に、本開示の除去方法はより高い除去効率が発揮される。
また、上記一般式(1)のmが6である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して、10000ppm以下が好ましく、5000ppm以下がより好ましく、2000ppm以下が更に好ましく、1000ppm以下が更により好ましく、500ppm以下が殊更に好ましく、200ppm以下が特に好ましい。排水中の上記含フッ素化合物の量が上記範囲であることによって、除去効率をより高めることができる。
【0028】
上記一般式(1)のmが7である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して0.01ppm以上が好ましく、0.1ppm以上がより好ましく、0.5ppm以上が更に好ましく、1ppm以上が更により好ましく、5ppm以上が殊更に好ましく、10ppm以上が特に好ましい。
排水中の一般式(1)で示される含フッ素化合物の濃度が上記のように一定以上である場合に、本開示の除去方法はより高い除去効率が発揮される。
また、上記一般式(1)のmが7である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して、10000ppm以下が好ましく、5000ppm以下がより好ましく、2000ppm以下が更に好ましく、1000ppm以下が更により好ましく、500ppm以下が殊更に好ましく、200ppm以下が特に好ましい。排水中の上記含フッ素化合物の量が上記範囲であることによって、除去効率をより高めることができる。
【0029】
上記一般式(1)のmが8である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して0.01ppm以上が好ましく、0.1ppm以上がより好ましく、0.5ppm以上が更に好ましく、1ppm以上が更により好ましく、5ppm以上が殊更に好ましく、10ppm以上が特に好ましい。
排水中の一般式(1)で示される含フッ素化合物の濃度が上記のように一定以上である場合に、本開示の除去方法はより高い除去効率が発揮される。
また、上記一般式(1)のmが8である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して、10000ppm以下が好ましく、5000ppm以下がより好ましく、2000ppm以下が更に好ましく、1000ppm以下が更により好ましく、500ppm以下が殊更に好ましく、200ppm以下が特に好ましい。排水中の上記含フッ素化合物の量が上記範囲であることによって、除去効率をより高めることができる。
【0030】
上記一般式(1)のmが9である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して0.01ppm以上が好ましく、0.1ppm以上がより好ましく、0.5ppm以上が更に好ましく、1ppm以上が更により好ましく、5ppm以上が殊更に好ましく、10ppm以上が特に好ましい。
排水中の一般式(1)で示される含フッ素化合物の濃度が上記のように一定以上である場合に、本開示の除去方法はより高い除去効率が発揮される。
また、上記一般式(1)のmが9である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して、10000ppm以下が好ましく、5000ppm以下がより好ましく、2000ppm以下が更に好ましく、1000ppm以下が更により好ましく、500ppm以下が殊更に好ましく、200ppm以下が特に好ましい。排水中の上記含フッ素化合物の量が上記範囲であることによって、除去効率をより高めることができる。
【0031】
上記一般式(1)のmが10である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して0.01ppm以上が好ましく、0.1ppm以上がより好ましく、0.5ppm以上が更に好ましく、1ppm以上が更により好ましく、5ppm以上が殊更に好ましく、10ppm以上が特に好ましい。
排水中の一般式(1)で示される含フッ素化合物の濃度が上記のように一定以上である場合に、本開示の除去方法はより高い除去効率が発揮される。
また、上記一般式(1)のmが10である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して、10000ppm以下が好ましく、5000ppm以下がより好ましく、2000ppm以下が更に好ましく、1000ppm以下が更により好ましく、500ppm以下が殊更に好ましく、200ppm以下が特に好ましい。排水中の上記含フッ素化合物の量が上記範囲であることによって、除去効率をより高めることができる。
【0032】
上記一般式(1)のmが11である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して0.01ppm以上が好ましく、0.1ppm以上がより好ましく、0.5ppm以上が更に好ましく、1ppm以上が更により好ましく、5ppm以上が殊更に好ましく、10ppm以上が特に好ましい。
排水中の一般式(1)で示される含フッ素化合物の濃度が上記のように一定以上である場合に、本開示の除去方法はより高い除去効率が発揮される。
また、上記一般式(1)のmが11である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して、10000ppm以下が好ましく、5000ppm以下がより好ましく、2000ppm以下が更に好ましく、1000ppm以下が更により好ましく、500ppm以下が殊更に好ましく、200ppm以下が特に好ましい。排水中の上記含フッ素化合物の量が上記範囲であることによって、除去効率をより高めることができる。
【0033】
上記一般式(1)のmが12である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して0.01ppm以上が好ましく、0.1ppm以上がより好ましく、0.5ppm以上が更に好ましく、1ppm以上が更により好ましく、5ppm以上が殊更に好ましく、10ppm以上が特に好ましい。
排水中の一般式(1)で示される含フッ素化合物の濃度が上記のように一定以上である場合に、本開示の除去方法はより高い除去効率が発揮される。
また、上記一般式(1)のmが12である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して、10000ppm以下が好ましく、5000ppm以下がより好ましく、2000ppm以下が更に好ましく、1000ppm以下が更により好ましく、500ppm以下が殊更に好ましく、200ppm以下が特に好ましい。排水中の上記含フッ素化合物の量が上記範囲であることによって、除去効率をより高めることができる。
【0034】
上記一般式(1)のmが13である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して0.01ppm以上が好ましく、0.1ppm以上がより好ましく、0.5ppm以上が更に好ましく、1ppm以上が更により好ましく、5ppm以上が殊更に好ましく、10ppm以上が特に好ましい。
排水中の一般式(1)で示される含フッ素化合物の濃度が上記のように一定以上である場合に、本開示の除去方法はより高い除去効率が発揮される。
また、上記一般式(1)のmが13である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して、10000ppm以下が好ましく、5000ppm以下がより好ましく、2000ppm以下が更に好ましく、1000ppm以下が更により好ましく、500ppm以下が殊更に好ましく、200ppm以下が特に好ましい。排水中の上記含フッ素化合物の量が上記範囲であることによって、除去効率をより高めることができる。
【0035】
上記一般式(1)のmが14である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して0.01ppm以上が好ましく、0.1ppm以上がより好ましく、0.5ppm以上が更に好ましく、1ppm以上が更により好ましく、5ppm以上が殊更に好ましく、10ppm以上が特に好ましい。
排水中の一般式(1)で示される含フッ素化合物の濃度が上記のように一定以上である場合に、本開示の除去方法はより高い除去効率が発揮される。
また、上記一般式(1)のmが14である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して、10000ppm以下が好ましく、5000ppm以下がより好ましく、2000ppm以下が更に好ましく、1000ppm以下が更により好ましく、500ppm以下が殊更に好ましく、200ppm以下が特に好ましい。排水中の上記含フッ素化合物の量が上記範囲であることによって、除去効率をより高めることができる。
【0036】
上記一般式(1)のmが15である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して0.01ppm以上が好ましく、0.1ppm以上がより好ましく、0.5ppm以上が更に好ましく、1ppm以上が更により好ましく、5ppm以上が殊更に好ましく、10ppm以上が特に好ましい。
排水中の一般式(1)で示される含フッ素化合物の濃度が上記のように一定以上である場合に、本開示の除去方法はより高い除去効率が発揮される。
また、上記一般式(1)のmが15である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して、10000ppm以下が好ましく、5000ppm以下がより好ましく、2000ppm以下が更に好ましく、1000ppm以下が更により好ましく、500ppm以下が殊更に好ましく、200ppm以下が特に好ましい。排水中の上記含フッ素化合物の量が上記範囲であることによって、除去効率をより高めることができる。
【0037】
上記一般式(1)のmが16である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して0.01ppm以上が好ましく、0.1ppm以上がより好ましく、0.5ppm以上が更に好ましく、1ppm以上が更により好ましく、5ppm以上が殊更に好ましく、10ppm以上が特に好ましい。
排水中の一般式(1)で示される含フッ素化合物の濃度が上記のように一定以上である場合に、本開示の除去方法はより高い除去効率が発揮される。
また、上記一般式(1)のmが16である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して、10000ppm以下が好ましく、5000ppm以下がより好ましく、2000ppm以下が更に好ましく、1000ppm以下が更により好ましく、500ppm以下が殊更に好ましく、200ppm以下が特に好ましい。排水中の上記含フッ素化合物の量が上記範囲であることによって、除去効率をより高めることができる。
【0038】
上記一般式(1)のmが17である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して0.01ppm以上が好ましく、0.1ppm以上がより好ましく、0.5ppm以上が更に好ましく、1ppm以上が更により好ましく、5ppm以上が殊更に好ましく、10ppm以上が特に好ましい。
排水中の一般式(1)で示される含フッ素化合物の濃度が上記のように一定以上である場合に、本開示の除去方法はより高い除去効率が発揮される。
また、上記一般式(1)のmが17である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して、10000ppm以下が好ましく、5000ppm以下がより好ましく、2000ppm以下が更に好ましく、1000ppm以下が更により好ましく、500ppm以下が殊更に好ましく、200ppm以下が特に好ましい。排水中の上記含フッ素化合物の量が上記範囲であることによって、除去効率をより高めることができる。
【0039】
上記一般式(1)のmが18である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して0.01ppm以上が好ましく、0.1ppm以上がより好ましく、0.5ppm以上が更に好ましく、1ppm以上が更により好ましく、5ppm以上が殊更に好ましく、10ppm以上が特に好ましい。
排水中の一般式(1)で示される含フッ素化合物の濃度が上記のように一定以上である場合に、本開示の除去方法はより高い除去効率が発揮される。
また、上記一般式(1)のmが18である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して、10000ppm以下が好ましく、5000ppm以下がより好ましく、2000ppm以下が更に好ましく、1000ppm以下が更により好ましく、500ppm以下が殊更に好ましく、200ppm以下が特に好ましい。排水中の上記含フッ素化合物の量が上記範囲であることによって、除去効率をより高めることができる。
【0040】
上記一般式(1)のmが19である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して0.01ppm以上が好ましく、0.1ppm以上がより好ましく、0.5ppm以上が更に好ましく、1ppm以上が更により好ましく、5ppm以上が殊更に好ましく、10ppm以上が特に好ましい。
排水中の一般式(1)で示される含フッ素化合物の濃度が上記のように一定以上である場合に、本開示の除去方法はより高い除去効率が発揮される。
また、上記一般式(1)のmが19である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して、10000ppm以下が好ましく、5000ppm以下がより好ましく、2000ppm以下が更に好ましく、1000ppm以下が更により好ましく、500ppm以下が殊更に好ましく、200ppm以下が特に好ましい。排水中の上記含フッ素化合物の量が上記範囲であることによって、除去効率をより高めることができる。
【0041】
上記一般式(2)のnが4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20である含フッ素化合物の少なくとも1つの量は、各々、排水の全量に対して0.01ppm以上が好ましく、0.1ppm以上がより好ましく、0.5ppm以上が更に好ましく、1ppm以上が更により好ましく、5ppm以上が殊更に好ましく、10ppm以上が特に好ましい。排水中の一般式(2)で示される含フッ素化合物の濃度が上記のように一定以上である場合に、本開示の除去方法はより高い除去効率が発揮される。
また、上記一般式(2)のnが4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20である含フッ素化合物の少なくとも1つの量は、各々、排水の全量に対して、10000ppm以下が好ましく、5000ppm以下がより好ましく、2000ppm以下が更に、1000ppm以下が更により好ましく、500ppm以下が殊更に好ましく、200ppm以下が特に好ましい。排水中の上記含フッ素化合物の量が上記範囲であることによって、除去効率をより高めることができる。
【0042】
上記一般式(2)のnが4である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して0.01ppm以上が好ましく、0.1ppm以上がより好ましく、0.5ppm以上が更に好ましく、1ppm以上が更により好ましく、5ppm以上が殊更に好ましく、10ppm以上が特に好ましい。排水中の一般式(2)で示される含フッ素化合物の濃度が上記のように一定以上である場合に、本開示の除去方法はより高い除去効率が発揮される。
また、上記一般式(2)のnが4である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して、10000ppm以下が好ましく、5000ppm以下がより好ましく、2000ppm以下が更に、1000ppm以下が更により好ましく、500ppm以下が殊更に好ましく、200ppm以下が特に好ましい。排水中の上記含フッ素化合物の量が上記範囲であることによって、除去効率をより高めることができる。
【0043】
上記一般式(2)のnが5である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して0.01ppm以上が好ましく、0.1ppm以上がより好ましく、0.5ppm以上が更に好ましく、1ppm以上が更により好ましく、5ppm以上が殊更に好ましく、10ppm以上が特に好ましい。排水中の一般式(2)で示される含フッ素化合物の濃度が上記のように一定以上である場合に、本開示の除去方法はより高い除去効率が発揮される。
また、上記一般式(2)のnが5である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して、10000ppm以下が好ましく、5000ppm以下がより好ましく、2000ppm以下が更に、1000ppm以下が更により好ましく、500ppm以下が殊更に好ましく、200ppm以下が特に好ましい。排水中の上記含フッ素化合物の量が上記範囲であることによって、除去効率をより高めることができる。
【0044】
上記一般式(2)のnが6である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して0.01ppm以上が好ましく、0.1ppm以上がより好ましく、0.5ppm以上が更に好ましく、1ppm以上が更により好ましく、5ppm以上が殊更に好ましく、10ppm以上が特に好ましい。排水中の一般式(2)で示される含フッ素化合物の濃度が上記のように一定以上である場合に、本開示の除去方法はより高い除去効率が発揮される。
また、上記一般式(2)のnが6である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して、10000ppm以下が好ましく、5000ppm以下がより好ましく、2000ppm以下が更に、1000ppm以下が更により好ましく、500ppm以下が殊更に好ましく、200ppm以下が特に好ましい。排水中の上記含フッ素化合物の量が上記範囲であることによって、除去効率をより高めることができる。
【0045】
上記一般式(2)のnが7である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して0.01ppm以上が好ましく、0.1ppm以上がより好ましく、0.5ppm以上が更に好ましく、1ppm以上が更により好ましく、5ppm以上が殊更に好ましく、10ppm以上が特に好ましい。排水中の一般式(2)で示される含フッ素化合物の濃度が上記のように一定以上である場合に、本開示の除去方法はより高い除去効率が発揮される。
また、上記一般式(2)のnが7である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して、10000ppm以下が好ましく、5000ppm以下がより好ましく、2000ppm以下が更に、1000ppm以下が更により好ましく、500ppm以下が殊更に好ましく、200ppm以下が特に好ましい。排水中の上記含フッ素化合物の量が上記範囲であることによって、除去効率をより高めることができる。
【0046】
上記一般式(2)のnが8である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して0.01ppm以上が好ましく、0.1ppm以上がより好ましく、0.5ppm以上が更に好ましく、1ppm以上が更により好ましく、5ppm以上が殊更に好ましく、10ppm以上が特に好ましい。排水中の一般式(2)で示される含フッ素化合物の濃度が上記のように一定以上である場合に、本開示の除去方法はより高い除去効率が発揮される。
また、上記一般式(2)のnが8である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して、10000ppm以下が好ましく、5000ppm以下がより好ましく、2000ppm以下が更に、1000ppm以下が更により好ましく、500ppm以下が殊更に好ましく、200ppm以下が特に好ましい。排水中の上記含フッ素化合物の量が上記範囲であることによって、除去効率をより高めることができる。
【0047】
上記一般式(2)のnが9である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して0.01ppm以上が好ましく、0.1ppm以上がより好ましく、0.5ppm以上が更に好ましく、1ppm以上が更により好ましく、5ppm以上が殊更に好ましく、10ppm以上が特に好ましい。排水中の一般式(2)で示される含フッ素化合物の濃度が上記のように一定以上である場合に、本開示の除去方法はより高い除去効率が発揮される。
また、上記一般式(2)のnが9である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して、10000ppm以下が好ましく、5000ppm以下がより好ましく、2000ppm以下が更に、1000ppm以下が更により好ましく、500ppm以下が殊更に好ましく、200ppm以下が特に好ましい。排水中の上記含フッ素化合物の量が上記範囲であることによって、除去効率をより高めることができる。
【0048】
上記一般式(2)のnが10である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して0.01ppm以上が好ましく、0.1ppm以上がより好ましく、0.5ppm以上が更に好ましく、1ppm以上が更により好ましく、5ppm以上が殊更に好ましく、10ppm以上が特に好ましい。排水中の一般式(2)で示される含フッ素化合物の濃度が上記のように一定以上である場合に、本開示の除去方法はより高い除去効率が発揮される。
また、上記一般式(2)のnが10である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して、10000ppm以下が好ましく、5000ppm以下がより好ましく、2000ppm以下が更に、1000ppm以下が更により好ましく、500ppm以下が殊更に好ましく、200ppm以下が特に好ましい。排水中の上記含フッ素化合物の量が上記範囲であることによって、除去効率をより高めることができる。
【0049】
上記一般式(2)のnが11である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して0.01ppm以上が好ましく、0.1ppm以上がより好ましく、0.5ppm以上が更に好ましく、1ppm以上が更により好ましく、5ppm以上が殊更に好ましく、10ppm以上が特に好ましい。排水中の一般式(2)で示される含フッ素化合物の濃度が上記のように一定以上である場合に、本開示の除去方法はより高い除去効率が発揮される。
また、上記一般式(2)のnが11である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して、10000ppm以下が好ましく、5000ppm以下がより好ましく、2000ppm以下が更に、1000ppm以下が更により好ましく、500ppm以下が殊更に好ましく、200ppm以下が特に好ましい。排水中の上記含フッ素化合物の量が上記範囲であることによって、除去効率をより高めることができる。
【0050】
上記一般式(2)のnが12である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して0.01ppm以上が好ましく、0.1ppm以上がより好ましく、0.5ppm以上が更に好ましく、1ppm以上が更により好ましく、5ppm以上が殊更に好ましく、10ppm以上が特に好ましい。排水中の一般式(2)で示される含フッ素化合物の濃度が上記のように一定以上である場合に、本開示の除去方法はより高い除去効率が発揮される。
また、上記一般式(2)のnが12である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して、10000ppm以下が好ましく、5000ppm以下がより好ましく、2000ppm以下が更に、1000ppm以下が更により好ましく、500ppm以下が殊更に好ましく、200ppm以下が特に好ましい。排水中の上記含フッ素化合物の量が上記範囲であることによって、除去効率をより高めることができる。
【0051】
上記一般式(2)のnが13である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して0.01ppm以上が好ましく、0.1ppm以上がより好ましく、0.5ppm以上が更に好ましく、1ppm以上が更により好ましく、5ppm以上が殊更に好ましく、10ppm以上が特に好ましい。排水中の一般式(2)で示される含フッ素化合物の濃度が上記のように一定以上である場合に、本開示の除去方法はより高い除去効率が発揮される。
また、上記一般式(2)のnが13である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して、10000ppm以下が好ましく、5000ppm以下がより好ましく、2000ppm以下が更に、1000ppm以下が更により好ましく、500ppm以下が殊更に好ましく、200ppm以下が特に好ましい。排水中の上記含フッ素化合物の量が上記範囲であることによって、除去効率をより高めることができる。
【0052】
上記一般式(2)のnが14である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して0.01ppm以上が好ましく、0.1ppm以上がより好ましく、0.5ppm以上が更に好ましく、1ppm以上が更により好ましく、5ppm以上が殊更に好ましく、10ppm以上が特に好ましい。排水中の一般式(2)で示される含フッ素化合物の濃度が上記のように一定以上である場合に、本開示の除去方法はより高い除去効率が発揮される。
また、上記一般式(2)のnが14である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して、10000ppm以下が好ましく、5000ppm以下がより好ましく、2000ppm以下が更に、1000ppm以下が更により好ましく、500ppm以下が殊更に好ましく、200ppm以下が特に好ましい。排水中の上記含フッ素化合物の量が上記範囲であることによって、除去効率をより高めることができる。
【0053】
上記一般式(2)のnが15である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して0.01ppm以上が好ましく、0.1ppm以上がより好ましく、0.5ppm以上が更に好ましく、1ppm以上が更により好ましく、5ppm以上が殊更に好ましく、10ppm以上が特に好ましい。排水中の一般式(2)で示される含フッ素化合物の濃度が上記のように一定以上である場合に、本開示の除去方法はより高い除去効率が発揮される。
また、上記一般式(2)のnが15である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して、10000ppm以下が好ましく、5000ppm以下がより好ましく、2000ppm以下が更に、1000ppm以下が更により好ましく、500ppm以下が殊更に好ましく、200ppm以下が特に好ましい。排水中の上記含フッ素化合物の量が上記範囲であることによって、除去効率をより高めることができる。
【0054】
上記一般式(2)のnが16である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して0.01ppm以上が好ましく、0.1ppm以上がより好ましく、0.5ppm以上が更に好ましく、1ppm以上が更により好ましく、5ppm以上が殊更に好ましく、10ppm以上が特に好ましい。排水中の一般式(2)で示される含フッ素化合物の濃度が上記のように一定以上である場合に、本開示の除去方法はより高い除去効率が発揮される。
また、上記一般式(2)のnが16である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して、10000ppm以下が好ましく、5000ppm以下がより好ましく、2000ppm以下が更に、1000ppm以下が更により好ましく、500ppm以下が殊更に好ましく、200ppm以下が特に好ましい。排水中の上記含フッ素化合物の量が上記範囲であることによって、除去効率をより高めることができる。
【0055】
上記一般式(2)のnが17である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して0.01ppm以上が好ましく、0.1ppm以上がより好ましく、0.5ppm以上が更に好ましく、1ppm以上が更により好ましく、5ppm以上が殊更に好ましく、10ppm以上が特に好ましい。排水中の一般式(2)で示される含フッ素化合物の濃度が上記のように一定以上である場合に、本開示の除去方法はより高い除去効率が発揮される。
また、上記一般式(2)のnが17である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して、10000ppm以下が好ましく、5000ppm以下がより好ましく、2000ppm以下が更に、1000ppm以下が更により好ましく、500ppm以下が殊更に好ましく、200ppm以下が特に好ましい。排水中の上記含フッ素化合物の量が上記範囲であることによって、除去効率をより高めることができる。
【0056】
上記一般式(2)のnが18である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して0.01ppm以上が好ましく、0.1ppm以上がより好ましく、0.5ppm以上が更に好ましく、1ppm以上が更により好ましく、5ppm以上が殊更に好ましく、10ppm以上が特に好ましい。排水中の一般式(2)で示される含フッ素化合物の濃度が上記のように一定以上である場合に、本開示の除去方法はより高い除去効率が発揮される。
また、上記一般式(2)のnが18である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して、10000ppm以下が好ましく、5000ppm以下がより好ましく、2000ppm以下が更に、1000ppm以下が更により好ましく、500ppm以下が殊更に好ましく、200ppm以下が特に好ましい。排水中の上記含フッ素化合物の量が上記範囲であることによって、除去効率をより高めることができる。
【0057】
上記一般式(2)のnが19である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して0.01ppm以上が好ましく、0.1ppm以上がより好ましく、0.5ppm以上が更に好ましく、1ppm以上が更により好ましく、5ppm以上が殊更に好ましく、10ppm以上が特に好ましい。排水中の一般式(2)で示される含フッ素化合物の濃度が上記のように一定以上である場合に、本開示の除去方法はより高い除去効率が発揮される。
また、上記一般式(2)のnが19である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して、10000ppm以下が好ましく、5000ppm以下がより好ましく、2000ppm以下が更に、1000ppm以下が更により好ましく、500ppm以下が殊更に好ましく、200ppm以下が特に好ましい。排水中の上記含フッ素化合物の量が上記範囲であることによって、除去効率をより高めることができる。
【0058】
上記一般式(2)のnが20である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して0.01ppm以上が好ましく、0.1ppm以上がより好ましく、0.5ppm以上が更に好ましく、1ppm以上が更により好ましく、5ppm以上が殊更に好ましく、10ppm以上が特に好ましい。排水中の一般式(2)で示される含フッ素化合物の濃度が上記のように一定以上である場合に、本開示の除去方法はより高い除去効率が発揮される。
また、上記一般式(2)のnが20である含フッ素化合物の量は、排水の全量に対して、10000ppm以下が好ましく、5000ppm以下がより好ましく、2000ppm以下が更に、1000ppm以下が更により好ましく、500ppm以下が殊更に好ましく、200ppm以下が特に好ましい。排水中の上記含フッ素化合物の量が上記範囲であることによって、除去効率をより高めることができる。
【0059】
上記含フッ素化合物は、少なくとも、前記一般式(1)におけるmが7以上である含フッ素化合物又は一般式(2)におけるnが8以上である含フッ素化合物を含むことが好ましい。
上記含フッ素化合物は、一般式(1)のmが9以上である含フッ素化合物又は一般式(2)のnが10以上の含フッ素化合物を含むことがより好ましく、一般式(1)のmが11以上である含フッ素化合物又は一般式(2)のnが12以上の含フッ素化合物を含むことが更に好ましい。
本開示の除去方法では、炭素数が大きい一般式(1)又は(2)で示される含フッ素化合物をも効率的に除去することができることから、一般式(1)のm及び一般式(2)のnが大きい含フッ素化合物を含む排水を処理する場合に特に有効である。
この場合、上記2種以上の含フッ素化合物には、一般式(1)のmが7以上、9以上又は11以上の含フッ素化合物、若しくは、一般式(2)のnが8以上、10以上又は12以上の含フッ素化合物が少なくとも1種含まれればよく、一般式(1)のmが7未満の含フッ素化合物、又は、一般式(2)のnが8未満の含フッ素化合物を含んでいてよい。
【0060】
上記含フッ素化合物は、上記一般式(1)で示される化合物を含むことが好ましい。排水が一般式(1)で示される化合物を含む場合に本開示の除去方法は特に有効である。特に、排水が一般式(1)のmが7以上の含フッ素化合物、より好ましくはmが9以上である含フッ素化合物、更に好ましくはmが11以上の含フッ素化合物を含む場合に有効である。
【0061】
上記排水は、通常、水等の水性媒体を含む。本明細書において、「水性媒体」は、水、ならびに、水および水に可溶な有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール、酢酸メチル等のエステル、アセトン等のケトン、ジメチルエーテル等のエーテル等)を含む混合媒体を意味する。
【0062】
上記排水は、上記一般式(1)又は(2)で示される含フッ素化合物を2種以上含む。上記排水は、例えば、含フッ素ポリマー製造工程により生じる排水が挙げられる。上記排水には、水溶液、分散液、およびガス(後述する乾燥工程等で生じる排ガス等)を液化して得られる液体が含まれる。
【0063】
本明細書において、「含フッ素ポリマー製造工程」は、含フッ素モノマーを含む1種類以上のモノマーを重合して含フッ素ポリマーを製造する工程全般を意味し、特定の製造工程に限定されるものではない。含フッ素ポリマーは一般に、含フッ素モノマーを含む1種類以上のモノマーを乳化重合または懸濁重合することにより製造される。乳化重合および懸濁重合において、炭化水素系界面活性剤が乳化剤として使用され得る。上記排水は、炭化水素系界面活性剤を用いた含フッ素ポリマー製造工程で得られた排水を含むことが好ましい。また、上記排水は、炭化水素系界面活性剤を含むことが好ましい。
【0064】
本明細書において、「含フッ素モノマー」は、少なくとも1つのフッ素またはフルオロアルキル基を有するモノマーであれば特に限定されるものではなく、例えば、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン(TFE)、フッ化ビニリデン(VdF)、フッ化ビニル(VF)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ヘキサフルオロイソブチレン、パーフルオロアルキルエチレン、およびフルオロビニルエーテル(FVE)等を含んでよい。
【0065】
本明細書において、「含フッ素ポリマー」は、上述した1以上の含フッ素モノマーを含むモノマーを重合して得られるものであってよく、例えば以下に示す含フッ素ポリマーの1以上を含むものであってよいが、これに限定されるものではない。TFEの単独重合により得られるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、TFEと、TFEと共重合可能な別のモノマー(フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)等の含フッ素モノマー、エチレン、プロピレン、イソブテン等の炭化水素オレフィン、アルキルビニルエーテル等)とのコポリマー(例えばテトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)コポリマー(PFA)およびエチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)等)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、およびエチレン-クロロトリフルオロエチレン(ECTFE)等のフッ素樹脂、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー等のフッ化ビニリデン系ゴム(FKM)、テトラフルオロエチレン-プロピレンゴム(FEPM)、およびテトラフルオロエチレン-パーフルオロメチルビニルエーテルゴム(FFKM)等のフッ素ゴム、ならびに含フッ素エラストマー等が挙げられる。本明細書において、「含フッ素ポリマー」には、分子量が約10000~500000程度の低分子量ポリマー(例えば低分子量PTFE等)も含まれる。
本開示の除去方法において、上記含フッ素ポリマーは、ポリテトラフルオロエチレンであることが好ましい。本開示の除去方法は、ポリテトラフルオロエチレンの製造時に生じる排水を処理する場合に特に高い除去効率が発揮される。
上記ポリテトラフルオロエチレンは、TFE単独重合体であってもよいし、TFE単位とTFEと共重合可能な変性モノマーに基づく変性モノマー単位とを含む変性PTFEであってもよい。また、高分子量PTFEであってもよいし、低分子量PTFEであってもよいが、特に高分子量PTFEの製造で生じる排水を処理する場合に本開示の除去方法は有効である。
高分子量PTFEは、通常、非溶融加工性及びフィブリル化性を有するものであり、例えば、標準比重(SSG)が2.130~2.280である。上記標準比重は、ASTM D4895-89に準拠して成形されたサンプルを用い、ASTM D 792に準拠した水置換法により測定する。本開示において、「高分子量PTFE」とは、標準比重が上記の範囲内にあることを意味する。
【0066】
本開示の除去方法は、下記の含フッ素ポリマー製造工程を含むものであってよい。
本明細書において、「含フッ素ポリマー製造工程」は、含フッ素ポリマーの製造プロセスに含まれる工程であれば特に限定されるものではなく、公知の含フッ素ポリマー製造プロセスを構成する1以上の工程を含んでよい。「含フッ素ポリマー製造工程」には、含フッ素モノマーを含む1以上のモノマーを重合する重合工程に加えて、重合工程前の前処理工程(例えば、所定濃度の乳化剤を調製する工程等)および重合工程後の後処理工程(例えば、水性分散液の濃縮工程、固液分離工程、凝析工程、洗浄工程、脱水工程、乾燥工程、熱処理工程等)も含まれ得る。以下、「含フッ素ポリマー製造工程」の具体例について説明するが、本実施形態に係る方法は、以下の具体例に限定されるものではない。
【0067】
上述したように、含フッ素ポリマーは、含フッ素モノマーを含む1種類以上のモノマーを重合することにより製造される。含フッ素ポリマーは一般に乳化重合または懸濁重合により製造される。この重合工程において、ポリマー粒子が水性媒体中に分散した水性分散液が得られる。上記重合工程は、炭化水素系界面活性剤の存在下で行うことが好ましい。
水性分散液の状態で使用する場合には、得られた水性分散液は、濃縮工程(例えば、相分離濃縮、電気濃縮、限外濾過膜を用いた濾過処理、逆浸透膜(RO膜)を用いた濾過処理、ナノ濾過処理等)によって濃縮してもよい。その場合、濃縮した水性分散液を回収した後に残る液は、本明細書における「排水」に含まれ得る。
重合工程の後、凝析工程において、水性分散液に塩または酸を添加して、含フッ素ポリマーを凝集させる。次いで、固液分離工程において、凝集した含フッ素ポリマーを分離して回収する。含フッ素ポリマーを分離回収した後に残る液は、本明細書における「排水」に含まれ得る。
【0068】
固液分離工程で分離回収された含フッ素ポリマーは、洗浄工程において、水性媒体等の洗浄液で洗浄してよい。洗浄工程において使用した洗浄液は、本明細書における「排水」に含まれ得る。
固液分離工程で分離回収された含フッ素ポリマーは、脱水工程において、機械的に脱水してよい。脱水工程において含フッ素ポリマーから除去された液は、本明細書における「排水」に含まれ得る。
脱水後の含フッ素ポリマーを、洗浄工程において、水性媒体等の洗浄液で洗浄してもよく、この洗浄工程で使用した洗浄液もまた、本明細書における「排水」に含まれ得る。
【0069】
上述の洗浄工程および/または脱水工程の後に得られる含フッ素ポリマーは、乾燥工程において加熱乾燥して、残留する水分や有機溶媒を排ガスとして除去してよい。乾燥工程で生じる排ガスを液化したものは、本明細書における「排水」に含まれ得る。
乾燥工程で生じる排ガスには、水蒸気および有機溶媒に加えて、含フッ素ポリマーに同伴された含フッ素界面活性剤、重合時に生成した一般式(1)又は(2)で示される含フッ素化合物が気化したものが含まれ得る。そのため、この排ガスを、水またはアルカリ水溶液等の洗浄液で洗浄することが好ましい。排ガスの洗浄に用いた洗浄液もまた、本明細書における「排水」に含まれ得る。
【0070】
乾燥工程の後に得られる含フッ素ポリマーは、熱処理工程において、ペレット等の所望の形状に成形してよい。熱処理工程で生じる排ガスを液化したものは、本明細書における「排水」に含まれ得る。熱処理工程で生じる排ガスには、含フッ素ポリマーに同伴された一般式(1)又は(2)で示される含フッ素化合物が気化したものが含まれ得る。そのため、この排ガスを、水またはアルカリ水溶液等の洗浄液で洗浄することが好ましい。排ガスの洗浄に用いた洗浄液もまた、本明細書における「排水」に含まれ得る。
【0071】
なお、乾燥工程で生じる排ガスおよび熱処理工程で生じる排ガスの両方を一緒に洗浄して単一の洗浄液を得てもよい。
【0072】
上記排水は、1種類の含フッ素ポリマーの製造工程から生じる排水であってよく、あるいは複数の異なる種類の含フッ素ポリマーの製造工程から生じる排水を含んでもよい。例えば、排水は、フッ素ゴムの製造工程から生じる排水およびPTFE(低分子量PTFE等)の製造工程から生じる排水を含む混合物であってよく、本開示の除去方法によって、2種類の含フッ素ポリマーの製造工程から生じる排水を同時に処理することができる。また、排水は、含フッ素ポリマーの製造プロセスに含まれる工程のうち1つの工程から生じる排水であってよく、あるいは複数の異なる工程から生じる排水を含んでもよい。
例えば、上記排水は、炭化水素系界面活性剤を用いた含フッ素ポリマー製造工程で得られた排水と、含フッ素界面活性剤を用いた含フッ素ポリマー製造工程で得られた排水とを混合したものであってもよい。
【0073】
上記排水のpHは、例えば1.5~13.5であってよく、2~13であってよい。
上記排水は、酸性であることも好ましい。酸性であることによって上記含フッ素化合物の除去効率をより高めることができる。例えば、上記吸着工程における排水のpHは1~6であってよく、1~5であってよい。
上記排水を酸性にする方法としては、吸着工程の前に、酸を加えることによってpHを調整する方法が挙げられる。上記酸としては、塩酸(HCl)、硝酸(HNO3)、硫酸(H2SO4)、りん酸(H3PO4)等が挙げられ、特に、塩酸(HCl)又は硝酸(HNO3)が好ましい。
【0074】
本開示の除去方法は、上記排水と吸着剤とを接触させることにより、該吸着剤に含フッ素化合物の2種以上を吸着させる吸着工程を含む。
【0075】
上記吸着工程における温度は特に限定されないが、例えば、0~50℃であってよい。除去率を高める観点から、5℃以上が好ましい。また、40℃以下が好ましく、35℃以下がより好ましい。また20℃以下であってもよい。
【0076】
上記吸着工程における圧力は特に限定されないが、例えば、0.1~10気圧であってよく、常圧(約1気圧)で実施できる。
【0077】
上記吸着工程における接触時間は、0.1秒~100時間であってよく、1秒~50時間であってよく、1秒~10時間であってよい。また、1秒~1時間であってもよい。
【0078】
本開示の除去方法において、上記吸着工程における接触は、回分式であっても、または流動式であってもよい。上記吸着工程は、1回行ってもよいし、複数回繰り返してもよい。
【0079】
上記吸着工程において、排水に対する吸着剤の量は限定されないが、例えば、排水1000gに対して0.01~1000gであってよい。排水1000gに対して、0.1g以上が好ましく、1g以上がより好ましく、5g以上が更に好ましい。また、500g以下が好ましい。
【0080】
上記排水を吸着剤に接触させる方法としては、常套的に採用されている方法を採用できる。例えば、排水に吸着剤を添加し、攪拌する方法、吸着剤を充填したカラムに上記含フッ素化合物を含む排水を流すカラム法等によって実施できる。カラム法で使用する充填カラムは移動式、固定層式、又は、流動層式のいずれであってもよい。
排水に吸着剤を添加し、攪拌する方法を用いる場合、吸着工程の後に、吸着剤と、吸着工程後の排水を分離する分離工程を含むことが好ましい。吸着剤と吸着工程後の排水を分離する方法は限定されず、例えば、濾過等を用いることができる。
【0081】
本開示の除去方法は、上記吸着工程の前に、排水を前処理する工程を含んでもよい。前処理工程としては、排水から未凝析ポリマーを除去する工程、排水を希釈又は濃縮する工程等が挙げられる。
【0082】
本開示の除去方法は、更に、上記吸着工程の前に、排水から固体成分を除去する前処理工程を含むことも好ましい。固体成分としては、未凝析ポリマー、凝集剤、微粒子状ポリマー等が挙げられる。
上記排水は、含フッ素ポリマー等の固体成分を含有し得る。固体成分は、含フッ素ポリマー製造工程において製造される含フッ素ポリマーを分離回収した後の排液中に残存し得る成分である。例えば、上述した凝析排液(凝析工程後の固液分離工程において、分離回収した後に残る液)は、固液分離工程で回収しきれなかった未凝析ポリマーを含み得る。このような固体成分は、含フッ素化合物を除去するプロセスに悪影響を及ぼし得るので、吸着工程の前に排水から除去することが望ましい。
本明細書において、未凝析ポリマーは、重合工程の後、凝集剤を添加し、固液分離工程を行って含フッ素ポリマーを分離回収した後に残る排水中に分散して存在するポリマー成分であって、フィルタ等のろ材の表面にゲル状物質となって堆積するものを意味する。未凝析ポリマーの粒径は、0.01μm~5.0μm程度であってよい。
また、排水に含まれ得る微粒子状ポリマーは、その粒径が限定されるものではないが、例えば、粒径が約0.1μm~0.2μm程度のポリマーであってもよい。
上記排水は、固体成分を含むものであってよく、固体成分として未凝析ポリマー及び/または微粒子ポリマーを含むものであってよい。本開示の除去方法において、排水中の固体成分の濃度は特に限定されず、任意の固体成分濃度の排水を処理することができる。
排水中の固体成分の濃度は、排水が生じる含フッ素ポリマー製造工程に応じて変化し得るが、例えば、0.1ppm~50000ppmであってもよい。
また、上記前処理工程によって、例えば、0.1ppm~500ppmにすることが好ましく、0.05ppm~50ppmにすることがより好ましく、0.05ppm~10ppmにすることが更に好ましい。
【0083】
固体成分を除去する方法としては限定されず、ろ過等が挙げられる。ろ過の方法としては、UF膜、MF膜により固体成分を分離する方法、ろ過助剤を使用する方法、液体サイクロンを使用する方法等が挙げられる。
上記MF膜としては、保安フィルターや中空糸膜、平膜、スパイラル等が挙げられる。
上記ろ過助剤としては、珪藻土、ろ過砂(マンガン砂、マンガンゼオライト、アンスラサイト、セラミックサンド等)、パーライト、セルロース等が挙げられる。
【0084】
また、本開示の除去方法は、更に、上記吸着工程の前に、上記排水に、過硫酸イオンを添加することで、過硫酸イオンによる処理を行う過硫酸処理工程を含んでもよい。
【0085】
過硫酸イオンによる処理を行うことにより、一般式(1)又は(2)で示される含フッ素化合物の除去効率をより高めることができる。なお、過硫酸イオンによる処理により、一般式(1)又は(2)で示される含フッ素化合物の除去効率をより高められる理由としては、推測の域を脱し得ず、特に限定されるものではないが、過硫酸イオンによる処理により、一般式(1)又は(2)で示される含フッ素化合物において、炭素数が減少するような何らかの分解反応が起こり、これにより、吸着工程において、一般式(1)又は(2)で示される含フッ素化合物と、吸着剤との接触がより容易に起こりやすくなるという理由が考えられる。
【0086】
過硫酸イオン処理工程において用いる過硫酸イオンを添加する際には、過硫酸イオン(S2O8
2-)を含む化合物の形態で添加すればよく、過硫酸イオンを含む化合物としては、過硫酸(H2S2O8)やその塩類を用いることができる。過硫酸塩としては過硫酸カリウム(K2S2O8)、過硫酸アンモニウム((NH4)2S2O8)、過硫酸ナトリウム(Na2S2O8)等が挙げられる。
【0087】
上記過硫酸イオン処理工程における処理温度は、例えば、0~95℃であってよい。除去率を高める観点から、25℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましく、60℃以上がさらに好ましい。また、90℃以下が好ましく、85℃以下がより好ましい。
【0088】
上記過硫酸イオン処理工程における圧力は特に限定されないが、例えば、0.1~10気圧であってよく、常圧(約1気圧)で実施できる。あるいは、加圧条件で実施することもでき、この際における処理温度は、100~150℃とすることができる。
【0089】
上記過硫酸イオン処理工程における処理時間は、0.1秒~100時間であってよく、1秒~50時間であってよく、1分~20時間であってよい。また、1時間~10時間であってもよい。
【0090】
過硫酸イオン処理工程における、排水に対する過硫酸イオンの量は限定されないが、例えば、排水1000gに対して0.0001~10gであってよい。排水1000gに対して、0.001g以上が好ましく、0.01g以上がより好ましく、0.05g以上が更に好ましい。また、5g以下が好ましい。
【0091】
上記排水は、上述の一般式(1)又は(2)で示される含フッ素化合物、炭化水素系界面活性剤、上記の固体成分等に加えて、硝酸;硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム(PAC)等のアルミニウム塩;水酸化第一鉄、水酸化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、ポリ硫酸第二鉄等の鉄塩;水酸化カルシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、硝酸カルシウム、フッ化カルシウム等のカルシウム塩;カオリナイト、モンモリロナイト、ゼオライト等の、2価以上の金属元素およびケイ素を含むケイ酸塩鉱物;アルギン酸ソーダ、キチン・キトサン系凝集剤、カチオン系高分子凝集剤、アニオン系高分子凝集剤、ノニオン系高分子凝集剤等の凝集剤を含み得る。これらの凝集剤は、含フッ素ポリマー製造工程において凝集剤として用いられたものであってよい。また、上記吸着工程の前に、排水に上述の凝集剤を更に添加してもよい。凝集剤を添加することによって、排水中の固体成分量を低減でき、吸着剤への含フッ素化合物の吸着をより効率的に行うことができる。
【0092】
上記吸着剤は、一般式(1)又は(2)で示される含フッ素化合物を吸着できるものであれば限定されないが、例えば、イオン交換樹脂、合成吸着剤、活性炭、シリカゲル、クレイ、及び、ゼオライトからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、イオン交換樹脂、合成吸着剤及び活性炭からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。アルミナやカーボンナノチューブ等も用いることができる。
【0093】
上記イオン交換樹脂は、陽イオン交換樹脂または陰イオン交換樹脂のいずれであってもよい。陰イオン交換樹脂としては、例えば、官能基としてアミノ基および/または四級アンモニウム基を有するイオン交換樹脂を用いることができる。イオン交換樹脂は、好ましくは強塩基性陰イオン交換樹脂である。陰イオン交換樹脂の塩基性度は、ポリマー骨格および/または官能基の種類によって種々設定することができる。陰イオン交換樹脂として市販品を用いてよく、例えば、三菱ケミカル株式会社製のダイヤイオン(商標)SAシリーズなど、ピュロライト株式会社製のA200、A300、PFA694Eなど、オルガノ株式会社製のアンバーライト(商標)シリーズなど、IRA4002OH等のアンバージェット(商標)シリーズなど、を用いることができる。陽イオン交換樹脂としては、例えば、官能基としてカルボン酸基および/またはスルホン酸基を有するイオン交換樹脂を用いることができる。陽イオン交換樹脂の酸性度は、ポリマー骨格および/または官能基の種類によって種々設定することができる。陽イオン交換樹脂として市販品を用いてよく、例えば、三菱ケミカル株式会社製のダイヤイオン(商標)SKシリーズなど、ピュロライト株式会社製のC100など、オルガノ株式会社製のアンバーライト(商標)シリーズ等を用いることができる。
イオン交換樹脂は、細孔径が1~5000Åであることが好ましい。除去効率の観点から、細孔径が50Å以上であることが好ましく、100Å以上がより好ましく、150Å以上が更に好ましい。また、200Å以上であってもよく、250Å以上であってもよい。また、細孔径1000Å以下であってもよい。細孔径は、例えば、ガス吸着法で比表面積と全細孔容積を測定し、算出することができる。
イオン交換樹脂は、除去効率の観点から、総交換容量が0.1eq/L-Resin以上が好ましい。より好ましくは、0.5eq/L-Resin以上であり、更に好ましくは、0.9eq/L-Resin以上である。また、総交換容量は大きいほどよいが、例えば、上限は5.0eq/L-Resinであってよい。
また、イオン交換樹脂は、通常、球状であり、300~1300μm程度の平均粒子径を有している。
【0094】
また、陰イオン交換樹脂としては、下記一般式(A1):
-N+Rc1Rc2Rc3X-基
(式中、Rc1、Rc2及びRc3は、同一又は異なって水素原子又は有機基であり、Rc1、Rc2及びRc3の少なくとも1つは炭素数が3以上の有機基である。Xは対イオンを表す。)で表されるイオン交換基、又は、下記一般式(A2):
-NRc4Rc5基
(式中、Rc4及びRc5は、同一又は異なって水素原子又は有機基であり、Rc4及びRc5の少なくとも1つは炭素数が2以上の有機基である。)で表されるイオン交換基を有する陰イオン交換樹脂Aであってもよい。
【0095】
一般式(A1)において、Rc1、Rc2及びRc3は同一又は異なって水素原子又は有機基である。Rc1、Rc2及びRc3は、全てが有機基であってもよいし、1つが水素原子であり2つが有機基であってもよい。更に、2つが水素原子であり1つが有機基であってもよい。上記有機基は、炭素数が1以上である。上記有機基は、炭素数が2以上であることが好ましい。上記Rc1、Rc2及びRc3は炭素数が2以上の有機基であることが好ましい形態の一つである。
【0096】
一般式(A1)において、上記Rc1、Rc2及びRc3のうち少なくとも1つは炭素数が3以上の有機基である。Rc1、Rc2及びRc3のうち、1つが炭素数3以上の有機基であり、2つが水素原子又は炭素数1又は2の有機基であってもよい。また、2つが炭素数3以上の有機基であり、1つが水素原子又は炭素数1又は2の有機基であってもよい。Rc1、Rc2及びRc3の全てが炭素数3以上の有機基であってもよい。
【0097】
上記Rc1、Rc2及びRc3において、有機基の炭素数は10以下が好ましく、8以下がより好ましく、6以下が更に好ましい。有機基の炭素数は5以下であってもよい。
【0098】
一般式(A1)において、Rc1、Rc2及びRc3の少なくとも1つは炭素数が4以上の有機基であることが好ましい。このような構成をとることによって、より効率的に特定の含フッ素化合物を除去することができる。
【0099】
上記Rc1、Rc2及びRc3における有機基は、アルキル基、アルカノール基又はアルケニル基であることが好ましく、アルキル基又はアルカノール基であることがより好ましく、アルキル基であることが更に好ましい。なお、アルカノール基としては、アルカノールから水素原子1個を除いた残りの基であればよく、炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルカノール基又は炭素数3以上の環状のアルカノール基も含む。
【0100】
上記Rc1、Rc2及びRc3は、同一又は異なって、炭素数2以上のアルキル基又は炭素数1以上のアルカノール基であり、Rc1、Rc2及びRc3の少なくとも1つは炭素数3以上のアルキル基であることが好ましい。
上記Rc1、Rc2及びRc3は、同一又は異なって、炭素数2以上のアルキル基又は炭素数2以上のアルカノール基であり、Rc1、Rc2及びRc3の少なくとも1つは炭素数3以上のアルキル基であることがより好ましい形態の一つである。
【0101】
上記Rc1、Rc2及びRc3はまた、同一又は異なって、炭素数2以上のアルキル基または炭素数1以上のアルカノール基であり、Rc1、Rc2及びRc3の少なくとも1つは炭素数4以上のアルキル基であることも好ましい形態の一つである。
また、上記Rc1、Rc2及びRc3は、同一又は異なって、炭素数2以上のアルキル基または炭素数2以上のアルカノール基であり、Rc1、Rc2及びRc3の少なくとも1つは炭素数4以上のアルキル基であることも好ましい形態の一つである。
【0102】
上記アルキル基の炭素数は10以下が好ましく、8以下がより好ましく、6以下が更に好ましい。上記アルキル基の炭素数は5以下であってもよい。
上記アルカノール基の炭素数は10以下が好ましく、8以下がより好ましく、6以下が更に好ましい。上記アルカノール基の炭素数は5以下であってもよい。
【0103】
一般式(A1)において、Xは対イオンである。Xとしては、Cl、OH、Br、I、NO3、SO4等が挙げられ、Cl又はOHであることが好ましい。なお、SO4のように2価のアニオンである場合は、一般式(A1)で表される基2つに対して、1つの対イオンが配位する。
【0104】
上記一般式(A2)において、Rc4及びRc5は、同一又は異なって水素原子又は有機基であり、Rc4及びRc5の少なくとも1つは炭素数が2以上の有機基である。
Rc4及びRc5は、全てが有機基であってもよい。また、1つが水素原子であり1つが有機基であってもよい。
【0105】
一般式(A2)において、上記Rc4及びRc5のうち少なくとも1つは炭素数が2以上の有機基である。
Rc4及びRc5のうち、1つが炭素数2以上の有機基であり、1つが水素原子又は炭素数1の有機基であってもよい。また、Rc4及びRc5の両方が炭素数2以上の有機基であってもよい。
【0106】
上記Rc4及びRc5のうち少なくとも1つは炭素数が3以上の有機基であってもよいし、炭素数が4以上の有機基であってもよい。
【0107】
また、上記Rc4及びRc5は炭素数が2以上の有機基であることも好ましい。
【0108】
上記Rc4及びRc5において、有機基の炭素数は10以下が好ましく、8以下がより好ましく、6以下が更に好ましい。有機基の炭素数は5以下であってもよい。
【0109】
上記Rc4及びRc5における有機基は、アルキル基、アルカノール基又はアルケニル基であることが好ましく、アルキル基又はアルカノール基であることがより好ましく、アルキル基であることが更に好ましい。
【0110】
上記Rc4及びRc5は、同一又は異なってアルキル基又はアルカノール基であり、上記Rc4及びRc5の少なくとも1つは炭素数2以上のアルキル基又は炭素数2以上のアルカノール基であることがより好ましい形態の一つである。
上記アルキル基の炭素数は10以下が好ましく、8以下がより好ましく、6以下が更に好ましい。上記アルキル基の炭素数は5以下であってもよい。
上記アルカノール基の炭素数は10以下が好ましく、8以下がより好ましく、6以下が更に好ましい。上記アルカノール基の炭素数は5以下であってもよい。
【0111】
上記陰イオン交換樹脂Aは、上記一般式(A1)で表される基又は一般式(A2)で表される基が樹脂母体に結合しているものであることが好ましい。上記陰イオン交換樹脂は、スチレン系又はアクリル系の重合体からなる樹脂母体に、上記一般式(A1)で表される基又は一般式(A2)で表される基が結合したものが挙げられる。樹脂母体としてのスチレン系又はアクリル系重合体は限定されないが、例えば、公知の陰イオン交換樹脂で使用されている樹脂母体を使用することができる。
【0112】
上記陰イオン交換樹脂Aの塩基性度は、ポリマー骨格および/またはイオン交換基の種類によって種々設定することができる。
上記陰イオン交換樹脂Aの細孔径および総交換容量は、上記した範囲であればよい。
【0113】
上記陰イオン交換樹脂Aの水分含有量は、除去効率の観点から、20質量%以上であることが好ましく、30~70質量%がより好ましく、35~65質量%が更に好ましい。
上記水分含有量は、下記方法により測定できる。
まず、基準形にした試料を、メスシリンダーで10mL正確にはかり取り、この樹脂を布に包み遠心分離して、付着水分を除いた後、すばやく樹脂の質量を測定する。次いで、105℃の恒温乾燥機中で4時間乾燥した後、デシケーター中で30分放冷し、乾燥後の樹脂の質量をはかり、下記式により水分含有量を計算する。
水分含有量(%)=(乾燥前の樹脂の質量(g)-乾燥後の樹脂の質量(g))/乾燥前の樹脂の質量(g)×100
【0114】
上記陰イオン交換樹脂Aは、通常、球状である。陰イオン交換樹脂Aの平均粒子径は0.1~5mmが好ましく、0.2~2mmがより好ましく、0.3~1.5mmが特に好ましい。上記陰イオン交換樹脂Aの平均粒子径が前記範囲内にあれば、上記陰イオン交換樹脂の充填塔が閉塞しにくくなる。上記平均粒子径は、ふるい分け法により求めた値である。具体的には、まず、ふるい振とう器に上記陰イオン交換樹脂Aを取り、ふるい分けにより粒度分布を測定する。そして、残留分類計50%に対応する篩の目の径を求め、これを平均粒子径とする。
【0115】
上記陰イオン交換樹脂Aとしては市販品を用いてよく、例えば、ピュロライト株式会社製のPFA694E、A592E等が挙げられる。
【0116】
さらに、陰イオン交換樹脂としては、下記一般式(B1):
-N+(CH3)3X-基
(式中、Xは対イオンを表す。)で表される基、又は、下記一般式(B2):
-N+(CH3)2(C2H4OH)X-基
(式中、Xは対イオンを表す。)で表されるイオン交換基を有する陰イオン交換樹脂Bであってもよい。
一般式(B1)及び(B2)のXとしては、Cl、OH、Br、I、NO3、SO4等が挙げられ、Cl又はOHであることが好ましい。なお、SO4のように2価のアニオンである場合は、一般式(B1)または一般式(B2)で表される基2つに対して、1つの対イオンが配位する。
【0117】
上記陰イオン交換樹脂Bとしては、上記イオン交換基が樹脂母体に結合しているものであることが好ましく、上記樹脂母体としては、スチレン系又はアクリル系の重合体が挙げられる。樹脂母体としてのスチレン系又はアクリル系重合体は限定されないが、例えば、公知の陰イオン交換樹脂で使用されている樹脂母体を使用することができる。除去効率の観点から、陰イオン交換樹脂Bは、樹脂母体がスチレン系であることが好ましい。
陰イオン交換樹脂Bは、弱塩基性であってもよく、強塩基性であってもよい。好ましくは強塩基性陰イオン交換樹脂である。
陰イオン交換樹脂Bの塩基性度は、ポリマー骨格および/またはイオン交換基の種類によって種々設定することができる。
【0118】
上記陰イオン交換樹脂Bは、細孔径が1~5000Åであることが好ましい。除去効率の観点から、細孔径が50Å以上であることが好ましく、100Å以上がより好ましく、150Å以上が更に好ましい。また、200Å以上であってもよく、250Å以上であってもよい。また、細孔径1000Å以下であってもよい。細孔径は、例えば、ガス吸着法で比表面積と全細孔容積を測定し、算出することができる。
【0119】
上記陰イオン交換樹脂Bは、除去効率の観点から、総交換容量が0.1eq/L-Resin以上が好ましい。より好ましくは、0.3eq/L-Resin以上であり、更に好ましくは、0.5eq/L-Resin以上であり、特に好ましくは0.7eq/L-Resin以上である。また、総交換容量は大きいほどよいが、例えば、上限は5.0eq/L-Resinであることが好ましく、2.0eq/L-Resin以下であることがより好ましく、1.5eq/L-Resin以下であることが特に好ましい。
【0120】
上記陰イオン交換樹脂Bの水分含有量は、20質量%以上であることが好ましく、30~70質量%がより好ましく、35~65質量%が更に好ましい。上記陰イオン交換樹脂Bの水分含有量が30質量%以上であることによって、効率的に除去することができる。
上記水分含有量は、上述した陰イオン交換樹脂Aと同じ方法により測定できる。
【0121】
上記陰イオン交換樹脂Bは、通常、球状である。陰イオン交換樹脂Bの平均粒子径は0.1~5mmが好ましく、0.2~2mmがより好ましく、0.3~1.5mmが特に好ましい。上記陰イオン交換樹脂Bの平均粒子径が前記範囲内にあれば、上記陰イオン交換樹脂の充填塔が閉塞しにくくなる。上記平均粒子径は、ふるい分け法により求めた値である。具体的には、まず、ふるい振とう器に上記陰イオン交換樹脂Bを取り、ふるい分けにより粒度分布を測定する。そして、残留分類計50%に対応する篩の目の径を求め、これを平均粒子径とする。
【0122】
上記陰イオン交換樹脂Bとしては市販品を用いてよく、例えば、三菱ケミカル株式会社製のダイヤイオン(商標)SAシリーズなど、ピュロライト株式会社製のA400、A300など、オルガノ株式会社製のアンバーライト(商標)シリーズなど、IRA4002OH等のアンバージェット(商標)シリーズなど、を用いることができる。
【0123】
上記合成吸着剤は、イオン交換基を持たない多孔質樹脂であり、合成吸着剤として知られている公知のものを採用することができる。イオン交換基としては、アミノ基、四級アンモニウム基、カルボン酸基、スルホン酸基等が挙げられる。合成吸着剤として具体的には、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体等のスチレン系樹脂、(メタ)アクリル酸エステル-エチレングリコールジメタクリレート共重合体等のアクリル系樹脂、メタアクリル系樹脂、ポリビニル系樹脂、デキストラン系樹脂等が挙げられる。合成吸着剤として商業的に入手可能なものとしては、具体的には、スチレン系樹脂として、ダイヤイオンHP10、ダイヤイオンHP20、ダイヤイオンHP21、ダイヤイオンHP40、ダイヤイオンHP50、セパピーズSP207、セパピーズSP70、セパピーズSP825、セパピーズSP850、セパピーズSP207(以上、三菱ケミカル社製)、アンバーライトXAD1180N、アンバーライトXAD2000、アンバーライトXAD4、アンバーライトFPX66(以上、オルガノ社製)等;アクリル系樹脂として、ダイヤイオンHP2MG(三菱ケミカル社製)、アンバーライトHXAD-7HP(オルガノ社製)等が挙げられる。
合成吸着剤は、細孔径が1~5000Åであることが好ましい。除去効率の観点から、細孔径が50Å以上であることが好ましく、100Å以上がより好ましく、150Å以上が更に好ましい。また、200Å以上であってもよく、250Å以上であってもよい。また、細孔径1000Å以下であってもよい。細孔径は、例えば、ガス吸着法で比表面積と全細孔容積を測定し、算出することができる。
合成吸着剤は、比表面積が300m2/g以上であることが好ましい。比表面積は400m2/g以上がより好ましく、500m2/g以上が更に好ましく、600m2/g以上が殊更に好ましい。比表面積の上限は限定されないが、例えば2000m2/g以下であってよく、1500m2/g以下であってよく、1000m2/g以下であってもよい。また、合成吸着剤は、通常、球状であり、合成吸着剤の平均粒子径は、除去効率の観点から、0.1~2.0mmが好ましく、0.2~1.5mmがより好ましく、0.2~1.3mmがさらに好ましく、0.3~1.0mmが特に好ましい。合成吸着剤の平均粒子径は、篩いで分級した後の積分質量をグラフにプロットして得られる50%質量値を意味する。
【0124】
合成吸着剤は、除去効率を高める観点から、水分を含有していることが好ましい。水分量は20~80質量%が好ましく、40~75質量%がより好ましく、50~70質量%が特に好ましい。
【0125】
上記活性炭は炭素質材料から製造できる。炭素質材料としては、炭化、賦活などにより活性炭を生成するものであればよく、木材、鋸屑、木炭、ヤシ殻、クルミ殻などの果実殻、果実種子などの植物系、泥炭、亜炭、褐炭、瀝青炭、無煙炭などの石炭、石油ピッチ、石炭ピッチなどのピッチ、コークス、コールタール、石油タールなどのタール、石油蒸留残渣などの鉱物系、木綿、レーヨンなどのセルロース系繊維などの天然素材、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリルなどの合成素材などを例示することができる。形状としては、粉末状、粒状、繊維状いずれでもよく、またそれらを成形したものであってもよい。
【0126】
上記活性炭は、比表面積が500m2/g以上であることが好ましい。比表面積は1000m2/g以上がより好ましく、1500m2/g以上が更に好ましく、1800m2/g以上が殊更に好ましく、2000m2/g以上が特に好ましい。比表面積の上限は限定されないが、例えば2500m2/gであってよい。活性炭の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、ペレット状、顆粒状、粉末状、球状粒子の形状であってよい。活性炭は市販品であってもよい。活性炭の市販品としては、例えば、大阪ガスケミカル株式会社製の白鷺(商標)など、カルゴン・カーボン・ジャパン株式会社製のFiltrasorb(商標)CAL、ダイアホープ(商標)、ダイアソーブ(商標)など、水ing株式会社製のエバダイヤ(商標)シリーズなどが挙げられる。
【0127】
上記活性炭は、水蒸気賦活処理を行うことによって向上した吸着性能を有することが好ましい。水蒸気賦活処理において、活性炭を120℃以上、例えば130~350℃、特に150~1000℃の温度、および0.2MPa以上、例えば0.5~15MPa、特に1MPa~15MPaの圧力のスチームにさらすことが好ましい。水蒸気賦活処理時間は、一般に10秒~50時間、例えば10分~10時間であってよい。賦活において、炉内での加温を行ってもよい。
活性炭の表面にカチオンを添着させてもよい。カチオンの例としては、金属イオン、金属酸化物イオン、アンモニウムイオンなどが挙げられる。金属の例としては、周期表の1~13族の金属原子(例えば、アルカリ金属(例えば、Li、Na、K)、アルカリ土類金属(例えば、Mg、Ca)、Ti、Zr、V、Cr、Fe、Ni、Cu、Zn)が挙げられる。
【0128】
本開示の除去方法は、上記吸着工程の後に、吸着工程を経た排水を濃縮する工程を含んでもよい、
上記濃縮方法としては、相分離濃縮、イオン交換体法、膜濃縮等が挙げられる。上記相分離濃縮、イオン交換体法及び膜濃縮は、従来公知の処理条件で行うことができ、特に限定されないが、国際公開第2004/050719号パンフレット、特表2002-532583号公報や特開昭55-120630号公報に記載の方法により行うことができる。
【0129】
上記一般式(1)又は(2)で示される含フッ素化合物を吸着した吸着剤は、水および有機溶媒を含むアルカリ溶液で処理すること等によって、吸着された上記含フッ素化合物を溶離させ、再利用することもできる。
上記アルカリとしては、NaOHおよびKOH等のアルカリ金属の水酸化物およびNH4OH等が使用できる。
また、溶離した上記含フッ素化合物を回収してもよい。
【0130】
上記吸着工程においては、上記一般式(1)又は(2)で示される含フッ素化合物の除去率が40%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、60%以上が更に好ましく、70%以上が更により好ましく、80%以上が殊更に好ましく、90%以上が特に好ましく、95%以上がより好ましく、99%以上が更により好ましく、99.9%以上が最も好ましい。上記除去率は、吸着工程前後の一般式(1)又は(2)で示される含フッ素化合物の濃度を測定し、下記式により算出する。
除去率(%)=(1-吸着工程後の一般式(1)又は(2)で示される含フッ素化合物のピーク面積)/(吸着工程前の一般式(1)又は(2)で示される含フッ素化合物のピーク面積)×100
上記含フッ素化合物の濃度は後述する実施例で記載する方法で測定することができる。
上記吸着工程は複数回繰り返してもよく、複数回繰り返す場合の除去率は、1回目の吸着工程を行う前の含フッ素化合物の濃度と、最後の吸着工程を行った後の含フッ素化合物の濃度から算出する。
複数回繰り返す場合は、2、3、4、5、6、7、8、9又は10回であることができる。2~10回、2~7回、3~5回であることができる。
【0131】
また、上記吸着工程を複数回繰り返して行う場合には、各吸着工程において、同じ吸着剤を用いてもよいし、異なる吸着剤を用いてもよい。例えば、上記吸着工程を2回とする場合には、1回目に用いる吸着剤と、2回目に用いる吸着剤とを同じものを使用してもよいし、異なるものを使用してもよい。また、例えば、上記吸着工程を、3回以上行う場合を例示すると、1回目、2回目を同じ吸着剤を用い、3回目を別の吸着剤を用いる態様や、1回目、2回目、3回目の全てにおいて異なる吸着剤を用いる態様等、種々の態様とすることができる。
例えば、上記吸着剤として、上記陰イオン交換樹脂Aと、上記陰イオン交換樹脂Bとを用いる場合には、上記陰イオン交換樹脂Aを用いた吸着工程を1回以上行った後、上記陰イオン交換樹脂Bを用いた吸着工程を1回以上行うことができる。あるいは、上記陰イオン交換樹脂Bを用いた吸着工程を1回以上行った後に、上記陰イオン交換樹脂Aを用いた吸着工程を1回以上行うことができる。
また、例えば、上記吸着剤として、上記合成吸着剤と、上記陰イオン交換樹脂Bとを用いる場合には、上記合成吸着剤を用いた吸着工程を1回以上行った後、上記陰イオン交換樹脂Bを用いた吸着工程を1回以上行うことができる。あるいは、上記陰イオン交換樹脂Bを用いた吸着工程を1回以上行った後に、上記合成吸着剤を用いた吸着工程を1回以上行うことができる。
【0132】
本開示の除去方法により処理された排水は、上記一般式(1)又は(2)で示される含フッ素化合物の合計量が、100ppm以下であることが好ましい。より好ましくは、10ppm以下であり、更に好ましくは、1ppm以下であり、更により好ましくは、0.1ppm以下であり、特に好ましくは、0.01ppm以下である。
【0133】
上記排水は、炭化水素系界面活性剤を用いた重合で得られたものであることが好ましい。炭化水素系界面活性剤を用いた重合により含フッ素ポリマーを製造する場合、排水には炭化水素系界面活性剤とともに、2種以上の一般式(1)又は(2)で示される化合物が含まれ得る。すなわち、上記排水は、更に、炭化水素系界面活性剤を含むものであってよい。また、本開示の除去方法は、炭化水素系界面活性剤の存在下、水性媒体中でフッ素モノマーを重合する工程、を含んでもよい。
本開示の除去方法は、重合で用いた炭化水素系界面活性剤も除去することができる。
【0134】
本開示の除去方法において、排水中の炭化水素系界面活性剤の濃度は特に限定されず、任意の炭化水素系界面活性剤の濃度の排水を処理することができる。排水中の炭化水素系界面活性剤の濃度は、排水が生じる含フッ素ポリマー製造工程に応じて変化し得、約0.1ppm~約50000ppm程度であってよく、例えば1ppm~10000ppmであってもよく、1~5000ppmであってよい。含フッ素ポリマー製造工程から生じる排水は、前処理をすることなくそのまま本開示に係る方法において処理することができるが、希釈等の前処理を適宜行ってもよい。
【0135】
上記炭化水素系界面活性剤としては限定されず、例えば、特表2013-542308号公報、特表2013-542309号公報、特表2013-542310号公報に記載されているもの等を使用することができる。
【0136】
上記炭化水素系界面活性剤は、同じ分子上に親水性部分及び疎水性部分を有する界面活性剤であってよい。これらは、カチオン性、非イオン性またはアニオン性であってよい。
【0137】
カチオン性炭化水素系界面活性剤は、通常、アルキル化臭化アンモニウムなどのアルキル化ハロゲン化アンモニウムなどの正に帯電した親水性部分と、長鎖脂肪酸などの疎水性部分を有する。
【0138】
炭化水素系アニオン性界面活性剤は、通常、カルボン酸塩、スルホン酸塩又は硫酸塩などの親水性部分と、アルキルなどの長鎖炭化水素部分である疎水性部分とを有する。
【0139】
非イオン性炭化水素系界面活性剤は、通常、帯電した基を含まず、長鎖炭化水素である疎水性部分を有する。非イオン性界面活性剤の親水性部分は、エチレンオキシドとの重合から誘導されるエチレンエーテルの鎖などの水溶性官能基を含む。
【0140】
非イオン性炭化水素系界面活性剤の例
ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、グリセロールエステル、それらの誘導体。
【0141】
ポリオキシエチレンアルキルエーテルの具体例:ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル等。
【0142】
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの具体例:ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等。
【0143】
ポリオキシエチレンアルキルエステルの具体例:ポリエチレングリコールモノラウリレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリエチレングリコールモノステアレート等。
【0144】
ソルビタンアルキルエステルの具体例:ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等。
【0145】
ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステルの具体例:ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等。
【0146】
グリセロールエステルの具体例:モノミリスチン酸グリセロール、モノステアリン酸グリセロール、モノオレイン酸グリセロール等。
【0147】
上記誘導体の具体例:ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルフェニル-ホルムアルデヒド凝縮物、ポリオキシエチレンアルキルエーテルホスフェート等。
【0148】
上記エーテル及びエステルは、10~18のHLB値を有してよい。
【0149】
非イオン性炭化水素系界面活性剤としては、Dow Chemical Company製のTriton(登録商標)Xシリーズ(X15、X45、X100等)、Tergitol(登録商標)15-Sシリーズ、Tergitol(登録商標)TMNシリーズ(TMN-6、TMN-10、TMN-100等)、Tergitol(登録商標)Lシリーズ、BASF製のPluronic(登録商標)Rシリーズ(31R1、17R2、10R5、25R4(m~22、n~23)、Iconol(登録商標)TDAシリーズ(TDA-6、TDA-9、TDA-10)等が挙げられる。
【0150】
炭化水素系アニオン性界面活性剤としては、Resolution Performance ProductsのVersatic(登録商標)10、BASF製のAvanel Sシリーズ(S-70、S-74等)等が挙げられる。
【0151】
上記炭化水素系界面活性剤としては、R-L-M(式中、Rが、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでもよいし、環を形成してもよい。Lが、-ArSO3
-、-SO3
-、-SO4-、-PO3
-又は-COO-であり、Mが、H、金属原子、NRb
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、Rbは、H又は有機基、-ArSO3
-は、アリールスルホン酸塩である。)によって表される炭化水素系アニオン性界面活性剤も挙げられる。
具体的には、CH3-(CH2)n-L-M(式中、nが、6~17の整数である。LおよびMが、上記と同じ)によって表されるものが挙げられる。
Rが、12~16個の炭素原子を有するアルキル基であり、Lが、硫酸塩又はドデシル硫酸ナトリウム(SDS)であるものの混合物も使用できる。
その他の界面活性能を有する化合物としては、R6(-L-M)2(式中、R6が、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基、又は、置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキレン基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでもよいし、環を形成してもよい。Lが、-ArSO3
-、-SO3
-、-SO4-、-PO3
-又は-COO-であり、Mが、H、金属原子、NRb
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、Rbは、H又は有機基、-ArSO3
-は、アリールスルホン酸塩である。)によって表される炭化水素系アニオン性界面活性剤も挙げられる。
上記炭化水素系界面活性剤としては、R7(-L-M)3(式中、R7が、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキリジン基、又は、置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキリジン基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでもよいし、環を形成してもよい。Lが、-ArSO3
-、-SO3
-、-SO4-、-PO3
-又は-COO-であり、Mが、H、金属原子、NRb
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、RbはH又は有機基である。-ArSO3
-は、アリールスルホン酸塩である。)によって表される炭化水素系アニオン性界面活性剤も挙げられる。
【0152】
炭化水素系界面活性剤としては、シロキサン炭化水素系界面活性剤も挙げられる。シロキサン炭化水素系界面活性剤としては、Silicone Surfactants,R.M.Hill,Marcel Dekker,Inc.,ISBN:0-8247-00104に記載されているものが挙げられる。シロキサン炭化水素系界面活性剤の構造は、明確な疎水性部分および親水性部分を含む。疎水性部分は、1つ以上のジヒドロカルビルシロキサン単位を含み、ここで、シリコーン原子上の置換基が、完全に炭化水素である。
ヒドロカルビル基の炭素原子が、フッ素などのハロゲンによって置換され得る場合に、水素原子によって完全に置換されるという意味では、これらのシロキサン炭化水素系界面活性剤は、炭化水素界面活性剤とみなすこともでき、すなわち、ヒドロカルビル基の炭素原子上の一価置換基は水素である。
【0153】
シロキサン炭化水素系界面活性剤の親水性部分は、スルフェート、スルホネート、ホスホネート、リン酸エステル、カルボキシレート、カーボネート、スルホサクシネート、タウレート(遊離酸、塩またはエステルとしての)、ホスフィンオキシド、ベタイン、ベタインコポリオール、第4級アンモニウム塩などのイオン性基を含む1つ以上の極性部分を含んでもよい。イオン性疎水性部分は、イオン的に官能化されたシロキサングラフトも含み得る。
このようなシロキサン炭化水素系界面活性剤としては、例えば、ポリジメチルシロキサン-グラフト-(メタ)アクリル酸塩、ポリジメチルシロキサン-グラフト-ポリアクリレート塩およびポリジメチルシロキサングラフト化第4級アミンが挙げられる。
シロキサン炭化水素系界面活性剤の親水性部分の極性部分は、ポリエチレンオキシド(PEO)、および混合されたポリエチレンオキシド/プロピレンオキシドポリエーテル(PEO/PPO)などのポリエーテル;単糖類および二糖類;およびピロリジノンなどの水溶性複素環によって形成される非イオン性基を含み得る。エチレンオキシド対プロピレンオキシド(EO/PO)の比率は、混合されたポリエチレンオキシド/プロピレンオキシドポリエーテルにおいて変化され得る。
【0154】
シロキサン炭化水素系界面活性剤の親水性部分は、イオン性部分と非イオン性部分との組合せも含み得る。このような部分としては、例えば、イオン的に末端官能化されたまたはランダムに官能化されたポリエーテルまたはポリオールが挙げられる。本開示の実施に好ましいのは、非イオン性部分を有するシロキサン、すなわち、非イオン性シロキサン界面活性剤である。
【0155】
シロキサン炭化水素系界面活性剤の構造の疎水性および親水性部分の配置は、ジブロックポリマー(AB)、トリブロックポリマー(ABA)(ここで、「B」は、分子のシロキサン部分を表す)、またはマルチブロックポリマーの形態をとってもよい。あるいは、シロキサン炭化水素系界面活性剤は、グラフトポリマーを含んでいてもよい。
【0156】
シロキサン炭化水素系界面活性剤については、米国特許第6,841,616号明細書にも開示されている。
【0157】
シロキサンベースの炭化水素系アニオン性界面活性剤としては、Lubrizol Advanced Materials,Inc.のNoveon(登録商標)Consumer Specialtiesから入手可能なSilSenseTMPE-100シリコーン、SilSenseTMCA-1シリコーン等が挙げられる。
【0158】
炭化水素系アニオン性界面活性剤としては、Akzo Nobel Surface Chemistry LLCのスルホサクシネート界面活性剤Lankropol(登録商標)K8300等も挙げられる。
スルホサクシネート界面活性剤としては、スルホコハク酸ジイソデシルNa塩、(ClariantのEmulsogen(登録商標)SB10)、スルホコハク酸ジイソトリデシルNa塩(Cesapinia ChemicalsのPolirol(登録商標)TR/LNA)等が挙げられる。
【0159】
上記炭化水素系界面活性剤としては、Omnova Solutions,Inc.のPolyFox(登録商標)界面活性剤(PolyFoxTMPF-156A、PolyFoxTMPF-136A等)も挙げられる。
【0160】
上記炭化水素系界面活性剤としては、炭化水素系アニオン性界面活性剤であることが好ましい。炭化水素系アニオン性界面活性剤としては上述したものを採用できるが、例えば、下記の炭化水素系界面活性剤を好適に採用できる。
【0161】
上記炭化水素系アニオン性界面活性剤としては、例えば、下記式(α):
R100-COOM (α)
(式中、R100は、1個以上の炭素原子を含有する1価の有機基である。Mは、H、金属原子、NR101
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R101はH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。)で示される化合物(α)が挙げられる。R101としてはH又はC1-10の有機基が好ましく、H又はC1-4の有機基がより好ましい。
界面活性能の観点から、R100の炭素数は2個以上が好ましく、3個以上がより好ましい。また、水溶性の観点から、R100の炭素数は、29個以下であることが好ましく、23個以下がより好ましい。
上記Mの金属原子としては、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。Mとしては、H、金属原子又はNR101
4が好ましく、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又はNR101
4がより好ましく、H、Na、K、Li又はNH4が更に好ましく、Na、K又はNH4が更により好ましく、Na又はNH4が特に好ましく、NH4が最も好ましい。
【0162】
上記化合物(α)としては、R102-COOM(式中、R102が、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、アルケニル基、アルキレン基又はアルケニレン基、若しくは、置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基、アルケニル基、アルキレン基又はアルケニレン基であり、これらはエーテル結合を含んでもよい。炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでもよいし、環を形成してもよい。Mは上記と同じ。)によって表される炭化水素系アニオン性界面活性剤も挙げられる。
具体的には、CH3-(CH2)n-COOM(式中、nが、2~28の整数である。Mは上記と同じ)によって表されるものが挙げられる。
【0163】
上記化合物(α)は、乳化安定性の観点で、カルボニル基(但し、カルボキシル基中のカルボニル基を除く)を含まないものであってもよい。
上記カルボニル基を含まない炭化水素系界面活性剤としては、例えば、下記式(A):
R-COO-M (A)
(式中、Rは、6~17個の炭素原子を含有するアルキル基、アルケニル基、アルキレン基又はアルケニレン基であり、これらはエーテル結合を含んでもよい。Mは、H、金属原子、NR101
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム、又は、置換基を有していてもよいホスホニウムである。R101は、同一又は異なって、H又は炭素数1~10の有機基である。)の化合物が好ましく例示される。上記式(A)において、Rは、アルキル基又はアルケニル基(これらはエーテル基を含んでいてもよい)であることが好ましい。上記Rにおけるアルキル基又はアルケニル基は、直鎖状でも分岐状でもよい。上記Rの炭素数は限定されないが、例えば、4~29である。
【0164】
上記アルキル基が直鎖状である場合、Rの炭素数は3~29であることが好ましく、5~23であることがより好ましい。上記アルキル基が分岐状である場合、Rの炭素数は5~35であることが好ましく、11~23であることがより好ましい。
上記アルケニル基が直鎖状である場合、Rの炭素数は2~29であることが好ましく、9~23であることがより好ましい。上記アルケニル基が分岐状である場合、Rの炭素数は2~29であることが好ましく、9~23であることがより好ましい。
【0165】
上記アルキル基及びアルケニル基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソブチル基、t-ブチル基、ビニル基等が挙げられる。
【0166】
上記化合物(α)(カルボン酸型炭化水素系界面活性剤)としては、例えば、ブチル酸、バレリアン酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、(9,12,15)-リノレン酸、(6,9,12)リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキジン酸、8、11-エイコサジエン酸、ミード酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ネルボン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、リノレン酸、ピノレン酸、α-エレオステアリン酸、β-エレオステアリン酸、ミード酸、ジホモ-γ-リノレン酸、エイコサトリエン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、アドレン酸、ボセオペンタエン酸、エイコサペンタエン酸、オズボンド酸、イワシ酸、テトラコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ニシン酸、及びこれらの塩が挙げられる。
特に、ラウリン酸、カプリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、及び、これらの塩からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
上記塩としては、カルボキシル基の水素が上述した式Mの金属原子、NR11
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム、又は、置換基を有していてもよいホスホニウムであるものが挙げられるが特に限定されない。
化合物(α)(カルボン酸型炭化水素系界面活性剤)としては、重合により平均一次粒子径の小さい粒子が得られ、また、重合の際に多数の粒子を発生させ、効率よく含フッ素ポリマーを製造できることから、ラウリン酸、カプリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、及び、これらの塩からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、ラウリン酸及びその塩がさらに好ましく、ラウリン酸の塩が特に好ましく、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸アンモニウムが最も好ましい。
【0167】
上記炭化水素系界面活性剤としては、下記一般式(1):
【化1】
(式中、R
1~R
5はH又は一価の置換基を表し、但し、R
1及びR
3のうち、少なくとも1つは、一般式:-Y-R
6で示される基、R
2及びR
5のうち、少なくとも1つは、一般式:-X-Aで示される基、又は、一般式:-Y-R
6で示される基を表す。
また、Xは、各出現において同一又は異なって、2価の連結基、又は、結合手;
Aは、各出現において同一又は異なって、-COOM、-SO
3M又は-OSO
3M(Mは、H、金属原子、NR
7
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、R
7は、H又は有機基);
Yは、各出現において同一又は異なって、-S(=O)
2-、-O-、-COO-、-OCO-、-CONR
8-及び-NR
8CO-からなる群より選択される2価の連結基、又は、結合手、R
8はH又は有機基;
R
6は、各出現において同一又は異なって、カルボニル基、エステル基、アミド基及びスルホニル基からなる群より選択される少なくとも1種を炭素-炭素原子間に含んでもよい炭素数2以上のアルキル基;
を表す。
R
1~R
5のうち、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。)で示される界面活性剤(以下、界面活性剤(1)ともいう)も挙げられる。
【0168】
界面活性剤(1)について説明する。
【0169】
式中、R1~R5はH又は一価の置換基を表し、但し、R1及びR3のうち、少なくとも1つは、一般式:-Y-R6で示される基、R2及びR5のうち、少なくとも1つは、一般式:-X-Aで示される基、又は、一般式:-Y-R6で示される基を表す。R1~R5のうち、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。
【0170】
R1としての上記アルキル基が有してもよい上記置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3~10の環状のアルキル基、ヒドロキシ基が好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
【0171】
R1としての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
【0172】
R1としては、置換基を有してもよい炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3~10の環状のアルキル基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3~10の環状のアルキル基がより好ましく、置換基を有さない炭素数1~10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、置換基を有さない炭素数1~3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更により好ましく、メチル基(-CH3)又はエチル基(-C2H5)が特に好ましく、メチル基(-CH3)が最も好ましい。
【0173】
一価の置換基としては、一般式:-Y-R6で示される基、一般式:-X-Aで示される基、-H、置換基を有していてもよいC1-20のアルキル基、-NH2、-NHR9(R9は有機基)、-OH、-COOR9(R9は有機基)又は-OR9(R9は有機基)が好ましい。上記アルキル基の炭素数は1~10が好ましい。
【0174】
R9としては、C1-10のアルキル基又はC1-10のアルキルカルボニル基が好ましく、C1-4のアルキル基又はC1-4のアルキルカルボニル基がより好ましい。
【0175】
式中、Xは、各出現において同一又は異なって、2価の連結基、又は、結合手を表す。
R6がカルボニル基、エステル基、アミド基及びスルホニル基のいずれをも含まない場合は、Xはカルボニル基、エステル基、アミド基及びスルホニル基からなる群より選択される少なくとも1種を含む2価の連結基であることが好ましい。
【0176】
Xとしては、-CO-、-S(=O)2-、-O-、-COO-、-OCO-、-S(=O)2-O-、-O-S(=O)2-、-CONR8-及び-NR8CO-からなる群より選択される少なくとも1種の結合を含む2価の連結基、C1-10のアルキレン基、又は、結合手が好ましい。R8はH又は有機基を表す。
【0177】
R8における有機基としてはアルキル基が好ましい。R8としては、H又はC1-10の有機基が好ましく、H又はC1-4の有機基がより好ましく、H又はC1-4のアルキル基が更に好ましく、Hが更に好ましい。
【0178】
式中、Aは、各出現において同一又は異なって、-COOM、-SO3M又は-OSO3M(Mは、H、金属原子、NR7
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、R7はH又は有機基である。4つのR7は、同一でも異なっていてもよい。)を表す。一般式(1)において、Aは-COOMであることが好適な態様の一つである。
【0179】
R7における有機基としてはアルキル基が好ましい。R7としては、H又はC1-10の有機基が好ましく、H又はC1-4の有機基がより好ましく、H又はC1-4のアルキル基が更に好ましい。
上記金属原子としては、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。
【0180】
Mとしては、H、金属原子又はNR7
4が好ましく、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又はNR7
4がより好ましく、H、Na、K、Li又はNH4が更に好ましく、Na、K又はNH4が更により好ましく、Na又はNH4が特に好ましく、NH4が最も好ましい。
【0181】
式中、Yは、各出現において同一又は異なって、-S(=O)2-、-O-、-COO-、-OCO-、-CONR8-及び-NR8CO-からなる群より選択される2価の連結基、又は、結合手、R8はH又は有機基を表す。
【0182】
Yとしては、結合手、-O-、-COO-、-OCO-、-CONR8-及び-NR8CO-からなる群より選択される2価の連結基が好ましく、結合手、-COO-及び-OCO-からなる群より選択される2価の連結基がより好ましい。
【0183】
R8における有機基としてはアルキル基が好ましい。R8としては、H又はC1-10の有機基が好ましく、H又はC1-4の有機基がより好ましく、H又はC1-4のアルキル基が更に好ましく、Hが更に好ましい。
【0184】
式中、R6は、各出現において同一又は異なって、カルボニル基、エステル基、アミド基及びスルホニル基からなる群より選択される少なくとも1種を炭素-炭素原子間に含んでもよい炭素数2以上のアルキル基を表す。上記R6の有機基の炭素数は、2~20が好ましく、2~10がより好ましい。
【0185】
R6のアルキル基は、炭素-炭素原子間にカルボニル基、エステル基、アミド基及びスルホニル基からなる群より選択される少なくとも1種を1又は2以上含むことができるが、上記アルキル基の末端にこれらの基を含まない。上記R6のアルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
【0186】
R6としては、
一般式:-R10-CO-R11で示される基、
一般式:-R10-COO-R11で示される基、
一般式:-R11で示される基、
一般式:-R10-NR8CO-R11で示される基、又は、
一般式:-R10-CONR8-R11で示される基、
(式中、R8はH又は有機基を表す。R10はアルキレン基、R11は置換基を有してもよいアルキル基)が好ましい。
R6としては、一般式:-R10-CO-R11で示される基がより好ましい。
【0187】
R8における有機基としてはアルキル基が好ましい。R8としては、H又はC1-10の有機基が好ましく、H又はC1-4の有機基がより好ましく、H又はC1-4のアルキル基が更に好ましく、Hが更に好ましい。
【0188】
R10のアルキレン基の炭素数は、1以上が好ましく、3以上がより好ましく、20以下が好ましく、12以下がより好ましく、10以下が更に好ましく、8以下が特に好ましい。また、R10のアルキレン基の炭素数は、1~20が好ましく、1~10がより好ましく、3~10が更に好ましい。
【0189】
R11のアルキル基の炭素数は、1~20であってよく、1~15が好ましく、1~12がより好ましく、1~10が更に好ましく、1~8が更により好ましく、1~6が殊更好ましく、1~3が尚更に好ましく、1又は2が特に好ましく、1が最も好ましい。また、上記R11のアルキル基は、1級炭素、2級炭素、3級炭素のみで構成されていることが好ましく、1級炭素、2級炭素のみで構成されるのが特に好ましい。すなわち、R11としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基が好ましく、特にメチル基が最も好ましい。
【0190】
一般式(1)において、R2及びR5のうち、少なくとも1つは、一般式:-X-Aで示される基であり、該Aは-COOMであることも好適な態様の一つである。
【0191】
界面活性剤(1)としては、一般式(1-1)で示される化合物、一般式(1-2)で示される化合物又は一般式(1-3)で示される化合物が好ましく、一般式(1-1)で示される化合物又は一般式(1-2)で示される化合物がより好ましい。
【0192】
一般式(1-1):
【化2】
(式中、R
3~R
6、X、A及びYは、上記のとおり。)
【0193】
一般式(1-2):
【化3】
(式中、R
4~R
6、X、A及びYは、上記のとおり。)
【0194】
一般式(1-3):
【化4】
(式中、R
2、R
4~R
6、X、A及びYは、上記のとおり。)
【0195】
一般式:-X-Aで示される基としては、
-COOM、
-R12COOM、
-SO3M、
-OSO3M、
-R12SO3M、
-R12OSO3M、
-OCO-R12-COOM、
-OCO-R12-SO3M、
-OCO-R12-OSO3M
-COO-R12-COOM、
-COO-R12-SO3M、
-COO-R12-OSO3M、
-CONR8-R12-COOM、
-CONR8-R12-SO3M、
-CONR8-R12-OSO3M、
-NR8CO-R12-COOM、
-NR8CO-R12-SO3M、
-NR8CO-R12-OSO3M、
-OS(=O)2-R12-COOM、
-OS(=O)2-R12-SO3M、又は
-OS(=O)2-R12-OSO3M
(式中、R8及びMは、上記のとおり。R12はC1-10のアルキレン基。)が好ましい。
上記R12のアルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキレン基であることが好ましい。
【0196】
一般式:-Y-R6で示される基としては、
一般式:-R10-CO-R11で示される基、
一般式:-OCO-R10-CO-R11で示される基、
一般式:-COO-R10-CO-R11で示される基、
一般式:-OCO-R10-COO-R11で示される基、
一般式:-COO-R11で示される基、
一般式:-NR8CO-R10-CO-R11で示される基、又は、
一般式:-CONR8-R10-NR8CO-R11で示される基
(式中、R8、R10及びR11は上記のとおり。)が好ましい。
【0197】
式中、R4及びR5としては、独立に、H又はC1-4のアルキル基が好ましい。
上記R4及びR5のアルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
【0198】
一般式(1-1)におけるR3としては、H又は置換基を有していてもよいC1-20のアルキル基が好ましく、H又は置換基を有していないC1-20のアルキル基がより好ましく、Hが更に好ましい。
上記R3のアルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
【0199】
一般式(1-3)におけるR2としては、H、OH又は置換基を有していてもよいC1-20のアルキル基が好ましく、H、OH又は置換基を有していないC1-20のアルキル基がより好ましく、H又はOHが更に好ましい。
上記R2のアルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
【0200】
上記炭化水素系界面活性剤としては、下記式(1-0A):
【化5】
(式中、R
1A~R
5Aは、H、炭素-炭素原子間にエステル基を含んでもよい1価の炭化水素基、又は、一般式:-X
A-Aで示される基である。但し、R
2A及びR
5Aの少なくとも1つは、一般式:-X
A-Aで示される基を表す。
X
Aは、各出現において同一又は異なって、2価の炭化水素基、又は、結合手;
Aは、各出現において同一又は異なって、-COOM(Mは、H、金属原子、NR
7
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、R
7は、H又は有機基);
R
1A~R
5Aのうち、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。)で示される界面活性剤(1-0A)等も挙げられる。
【0201】
一般式(1-0A)中、R1A~R5Aにおいて、炭素-炭素原子間にエステル基を含んでもよい1価の炭化水素基の炭素数は1~50であることが好ましく、5~20であることがより好ましい。R1A~R5Aのうち、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。上記炭素-炭素原子間にエステル基を含んでもよい1価の炭化水素基としては、アルキル基が好ましい。
式中、XAにおいて、2価の炭化水素基の炭素数は1~50であることが好ましく、5~20であることがより好ましい。上記2価の炭化水素基としては、アルキレン基、アルカンジイル基等が挙げられ、アルキレン基が好ましい。
【0202】
一般式(1-0A)中、R2A及びR5Aのいずれか1つが、上記一般式:-XA-Aで示される基であることが好ましく、R2Aが上記一般式:-XA-Aで示される基であることがより好ましい。
【0203】
一般式(1-0A)中、好適な態様としては、R2Aが、一般式:-XA-Aで示される基であり、R1A、R3A、R4A及びR5AがHである態様である。この場合、XAは結合手又は炭素数1~5のアルキレン基であることが好ましい。
【0204】
一般式(1-0A)中、好適な態様としてはまた、R2Aが、一般式:-XA-Aで示される基であり、R1A及びR3Aが-YA-R6で示される基であり、YAは、各出現において同一又は異なって、-COO-、-OCO-、又は、結合手であり、R6は各出現において同一又は異なって、炭素数2以上のアルキル基である態様である。この場合、R4A及びR5AがHであることが好ましい。
【0205】
一般式(1-0A)で表される炭化水素系界面活性剤としては、例えば、グルタル酸又はその塩、アジピン酸又はその塩、ピメリン酸又はその塩、スベリン酸又はその塩、アゼライン酸又はその塩、セバシン酸又はその塩等が挙げられる。
また、一般式(1-0A)で表される脂肪族型のカルボン酸型炭化水素系界面活性剤は2鎖2親水基型合成界面活性剤であってもよく、例えば、ジェミニ型界面活性剤として、ジェミニサ-フ(中京油脂株式会社)、Gemsurf α142(炭素数12 ラウリル基)、Gemsurf α102(炭素数10)、Gemsurf α182(炭素数14)等が挙げられる。
【0206】
界面活性剤(1)は、式:R
6-COOH(式中、R
6は上述のとおり。)で示されるカルボン酸と、ハロゲン化剤とを反応させて、式:R
6-COZ(式中、R
6は上述のとおり。Zはハロゲン原子。)で示されるカルボン酸ハライドを得る工程(11)、及び、
上記カルボン酸ハライドと、式:
【化6】
(式中、R
3~R
5、X及びAは、上記のとおり。Z
11は―CH
2O-、-O-又は-NH-。)で示される化合物を反応させて、式:
【化7】
(式中、R
3~R
6、X、A及びZ
11は、上記のとおり。)で示される化合物(12)を得る工程(12)を含む製造方法により、好適に製造できる。
【0207】
上記酸化合物の式におけるR3としては、一般式:-Z11H(式中、Z11は上記のとおり。)で示される基、又は、-Hが好ましい。R3が一般式:-Z11Hで示される基である場合、工程(12)において上記基が上記カルボン酸ハライドと反応し、一般式:-Z11-CO-R6(式中、R6及びZ11は上記のとおり。)で示される基が生成する。
【0208】
工程(11)で使用するハロゲン化剤としては、塩化オキサリル、塩化チオニル、三フッ化ジエチルアミノ硫黄(DAST)、Deoxo-Fluor(デオキソフルオル)、1,1,2,2-tetrafluoro-N,N-dimethylethylamine(TFEDMA)等が挙げられる。
【0209】
Zとしては、F又はClが好ましく、Clがより好ましい。
【0210】
工程(11)において、上記カルボン酸と上記ハロゲン化剤との反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、上記カルボン酸1モルに対して、上記ハロゲン化剤が0.6~5.0モルであることが好ましく、0.8~2.0モルであることがより好ましい。また、0.5~10モルであることが好ましく、0.6~5.0モルであることがより好ましい。
【0211】
工程(11)における反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、エステル、ケトン、芳香族炭化水素、エーテル、含窒素極性有機化合物、ハロゲン化炭化水素、ニトリル、ピリジン、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0212】
上記エステルとしては、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA;別名1-メトキシ-2-アセトキシプロパン)等が挙げられ、なかでも、酢酸エチルが好ましい。
【0213】
上記ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等が挙げられ、なかでも、アセトンが好ましい。
【0214】
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
【0215】
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
【0216】
上記含窒素極性有機化合物としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等が挙げられ、なかでも、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンが好ましい。
【0217】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【0218】
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
【0219】
工程(11)における反応の温度としては、0~150℃が好ましく、20~100℃がより好ましい。また、-78~150℃が好ましく、0~100℃がより好ましい。
【0220】
工程(11)における反応の圧力としては、0~5MPaが好ましく、0.1~1.0MPaがより好ましい。
【0221】
工程(11)における反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、0.1~48時間がより好ましい。
【0222】
工程(12)において、上記カルボン酸ハライドと上記酸化合物との反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、上記カルボン酸ハライド1モルに対して、上記酸化合物が0.5~10モルであることが好ましく、0.6~5.0モルであることがより好ましく、0.8~2.0モルであることが更に好ましい。
【0223】
工程(12)における反応は、酸の存在下に実施することが好ましい。上記酸としては、硫酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等が挙げられ、なかでも、硫酸が好ましい。
【0224】
工程(12)における上記酸の使用量は、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、上記カルボン酸ハライド1モルに対して、0.00001~1.0モルが好ましく、0.0001~1.0モルがより好ましく、0.00005~0.1モルが更に好ましく、0.001~0.1モルが特に好ましい。
【0225】
工程(12)における反応の温度としては、0~150℃が好ましく、20~100℃がより好ましい。
【0226】
工程(12)における反応の圧力としては、0~5MPaが好ましく、0.1~1.0MPaがより好ましい。
【0227】
工程(12)における反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、0.1~48時間がより好ましい。
【0228】
界面活性剤(1)は、また、式:
【化8】
(式中、R
1~R
5は上記のとおり。Z
11は-CH
2O-、-O-又は-NH-。)で示される化合物(20)と、式:
【化9】
(式中、nは1~5の整数。)で示される酸無水物とを反応させて、式:
【化10】
(式中、R
1~R
5、Z
11、M及びnは、上記のとおり。)で示される化合物(21)を得る工程(21)を含む製造方法により、好適に製造できる。
【0229】
化合物(20)の式におけるR2としては、一般式:-Z11H(式中、Z11は上記のとおり。)で示される基、又は、-Hが好ましい。R2が一般式:-Z11Hで示される基である場合、工程(21)において上記基が上記酸無水物と反応し、一般式:-Z11-CO-(CH2)n-COOM(式中、Z11、M及びnは上記のとおり。)で示される基が生成する。化合物(20)は、上記式で示される構造を含むものであれば、塩酸塩、硫酸塩等であってもよい。
【0230】
工程(21)において、化合物(20)と上記酸無水物との反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(20)1モルに対して、上記酸無水物が0.5~10モルであることが好ましく、0.6~5.0モルであることがより好ましく、1.2~10モルであることが更に好ましく、1.6~4.0モルであることが特に好ましい。
【0231】
工程(21)における反応は、塩基の存在下で実施できる。
【0232】
上記塩基としては、アミン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
【0233】
上記アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,8-ナフタレンジアミン等の三級アミン、ピリジン、ピロール、ウラシル、コリジン、ルチジン等の複素芳香族アミン、1,8-ジアザ-ビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、1,5-ジアザ-ビシクロ[4.3.0]-5-ノネン等の環状アミン等が挙げられ、ピリジン又はトリエチルアミンが好ましい。
【0234】
工程(21)における反応の温度としては、0~150℃が好ましく、20~80℃がより好ましい。また、-78~150℃が好ましく、0~100℃がより好ましい。
【0235】
工程(21)における反応の圧力としては、0~5MPaが好ましく、0.1~1MPaがより好ましい。
【0236】
工程(21)における反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、0.1~48時間がより好ましい。
【0237】
界面活性剤(1)は、また、式:
【化11】
(式中、R
4及びR
5は上記のとおり。)で示される酒石酸エステルと、式:R
6R
8-NH(式中、R
6及びR
8は上記のとおり。)で示されるアミンとを反応させて、式:
【化12】
(式中、R
4~R
6及びR
8は上記のとおり。)で示される化合物(31)を得る工程(31)、及び、
化合物(31)と式:
【化13】
(式中、Mは、上記のとおり。)で示される塩化スルホン酸とを反応させて、式:
【化14】
(式中、R
4~R
6、R
8及びMは上記のとおり。)で示される化合物(32)を得る工程(32)を含む製造方法により、好適に製造できる。
【0238】
工程(31)において、上記酒石酸エステルと上記アミンとの反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、上記酒石酸エステル1モルに対して、上記アミンが0.5~10モルであることが好ましく、0.6~5.0モルであることがより好ましく、1.2~5モルであることが更に好ましく、1.6~5.0モルであることが特に好ましい。
【0239】
工程(31)における反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、アルコール、エーテル、ハロゲン化炭化水素、含窒素極性有機化合物又はニトリルが更に好ましい。
【0240】
上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。
【0241】
上記エーテルとしては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
【0242】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等が挙げられる。
【0243】
上記含窒素極性有機化合物としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等が挙げられ、なかでも、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンが好ましい。
【0244】
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられる。
【0245】
工程(31)における反応の温度としては、0~150℃が好ましく、20~100℃がより好ましい。
【0246】
工程(31)における反応の圧力としては、0~5MPaが好ましく、0.1~1MPaがより好ましい。
【0247】
工程(31)における反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、0.1~48時間がより好ましい。
【0248】
工程(32)において、化合物(31)と上記塩化スルホン酸との反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(31)1モルに対して、上記塩化スルホン酸が1.0~50モルであることが好ましく、1.6~20モルがより好ましい。
【0249】
工程(32)における反応は、塩基の存在下に実施することが好ましい。上記塩基としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アミン等が挙げられ、なかでも、アミンが好ましい。
【0250】
工程(32)における上記アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,8-ナフタレンジアミン等の三級アミン、ピリジン、ピロール、ウラシル、コリジン、ルチジン等の複素芳香族アミン、1,8-ジアザ-ビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、1,5-ジアザ-ビシクロ[4.3.0]-5-ノネン等の環状アミン等が挙げられる。なかでも、トリエチルアミンが好ましい。
【0251】
工程(32)における上記塩基の使用量は、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(31)1モルに対して、0.1~50モルが好ましく、1.0~20モルがより好ましい。
【0252】
工程(32)における反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましく、ニトリル、ハロゲン化炭化水素、ジメチルスルホキシド、スルホラン、含窒素極性有機化合物又はエーテルが更に好ましい。
【0253】
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
【0254】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【0255】
上記含窒素極性有機化合物としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等が挙げられ、なかでも、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンが好ましい。
【0256】
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテルが好ましい。
【0257】
工程(32)における反応の温度としては、-78~150℃が好ましく、-78~100℃がより好ましく、-20~100℃が更に好ましく、10~50℃が特に好ましい。
【0258】
工程(32)における反応の圧力としては、0~5MPaが好ましく、0.1~1.0Paがより好ましい。
【0259】
工程(32)における反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、0.1~48時間がより好ましい。
【0260】
界面活性剤(1)は、また、式:
【化15】
(式中、R
1及びR
3~R
5は上記のとおり。)で示されるアルコールと、式:
【化16】
(式中、nは1~5の整数。)で示される酸無水物とを反応させて、式:
【化17】
(式中、R
1、R
3~R
5、M及びnは、上記のとおり。)で示される化合物(41)を得る工程(41)を含む製造方法により、好適に製造できる。
【0261】
工程(41)において、上記アルコールと上記酸無水物との反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、上記アルコール1モルに対して、上記酸無水物が0.5~10モルであることが好ましく、0.6~4.0モルであることがより好ましく、1.2~4.0モルであることが更に好ましく、1.6~4.0モルであることが特に好ましい。
【0262】
工程(41)における反応は、塩基の存在下で実施できる。
【0263】
上記塩基としては、アミン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
【0264】
上記アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,8-ナフタレンジアミン等の三級アミン、ピリジン、ピロール、ウラシル、コリジン、ルチジン等の複素芳香族アミン、1,8-ジアザ-ビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、1,5-ジアザ-ビシクロ[4.3.0]-5-ノネン等の環状アミン等が挙げられ、ピリジン又はトリエチルアミンが好ましい。
【0265】
工程(41)における反応の温度としては、-78~150℃が好ましく、0~150℃がより好ましく、0~100℃が更に好ましく、20~80℃が特に好ましい。
【0266】
工程(41)における反応の圧力としては、0~5MPaが好ましく、0.1~1MPaがより好ましい。
【0267】
工程(41)における反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、0.1~48時間がより好ましい。
【0268】
界面活性剤(1)は、また、式:
【化18】
(式中、R
4及びR
5は上記のとおり。)で示される酒石酸エステルと、式:R
6R
8-NH(式中、R
6及びR
8は上記のとおり。)で示されるアミンとを反応させて、式:
【化19】
(式中、R
4~R
6及びR
8は上記のとおり。)で示される化合物(31)を得る工程(31)、及び、
化合物(31)と、式:
【化20】
(式中、nは1~5の整数。)で示される酸無水物とを反応させて、式:
【化21】
(式中、R
4~R
6、R
8、M及びnは、上記のとおり。)で示される化合物(51)を得る工程(51)を含む製造方法により、好適に製造できる。
【0269】
工程(51)において、化合物(31)と上記酸無水物との反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(31)1モルに対して、上記酸無水物が0.5~10モルであることが好ましく、0.6~4.0モルであることがより好ましく、1.2~4.0モルであることが更に好ましく、1.6~4.0モルであることが特に好ましい。
【0270】
工程(51)における反応は、塩基の存在下で実施できる。
【0271】
上記塩基としては、アミン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
【0272】
上記アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,8-ナフタレンジアミン等の三級アミン、ピリジン、ピロール、ウラシル、コリジン、ルチジン等の複素芳香族アミン、1,8-ジアザ-ビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、1,5-ジアザ-ビシクロ[4.3.0]-5-ノネン等の環状アミン等が挙げられ、ピリジン又はトリエチルアミンが好ましい。
【0273】
工程(51)における反応の温度としては、-78~150℃が好ましく、0~150℃がより好ましく、0~100℃が更に好ましく、20~80℃が特に好ましい。
【0274】
工程(51)における反応の圧力としては、0~5MPaが好ましく、0.1~1MPaがより好ましい。
【0275】
工程(51)における反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、0.1~48時間がより好ましい。
【0276】
界面活性剤(1)は、また、式:R
6-OH(式中、R
6は上述のとおり。)で示されるアルコールと、フマル酸ハロゲン化物とを反応させて、式:
【化22】
(式中、R
6は上述のとおり。)で示される化合物(61)を得る工程(61)、及び、化合物(61)と、亜硫酸水素ナトリウム等のスルホン酸化剤とを反応させて、式:
【化23】
(式中、R
6及びXは上述のとおり。)で示される化合物(62)を得る工程(62)を含む製造方法により、好適に製造できる。
【0277】
工程(61)で使用するフマル酸ハロゲン化物としては、フマリルクロリド、フマリルフルオリド、フマリルブロミド等が挙げられる。
【0278】
工程(61)において、上記アルコールと上記フマル酸ハロゲン化物との反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、上記アルコール1モルに対して、上記フマル酸ハロゲン化物が0.1~10モルであることが好ましく、0.1~2.0モルであることがより好ましく、0.1~2.0モルであることが更に好ましく、0.2~0.7モルであることが特に好ましい。
【0279】
工程(61)における反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、エステル、ケトン、芳香族炭化水素、エーテル、含窒素極性有機化合物、ハロゲン化炭化水素、ニトリル、ピリジン又はこれらの混合物が挙げられる。
【0280】
上記エステルとしては、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA;別名1-メトキシ-2-アセトキシプロパン)等が挙げられ、なかでも、酢酸エチルが好ましい。
【0281】
上記ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等が挙げられ、なかでも、アセトンが好ましい。
【0282】
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
【0283】
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
【0284】
上記含窒素極性有機化合物としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等が挙げられ、なかでも、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンが好ましい。
【0285】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【0286】
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
【0287】
工程(61)における反応の温度としては、-78~200℃が好ましく、-20~150℃がより好ましい。
【0288】
工程(61)における反応の圧力としては、0~5.0MPaが好ましく、0.1~1.0MPaがより好ましい。
【0289】
工程(61)における反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、0.1~48時間がより好ましい。
【0290】
工程(62)では、二重結合を有する化合物(61)と亜硫酸水素ナトリウム等のスルホン化剤との付加反応によって、化合物(62)が生成する。
【0291】
工程(62)において、化合物(61)と上記スルホン化剤との反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(61)1モルに対して、上記スルホン化剤が0.5~20.0モルであることが好ましく、0.6~10.0モルであることがより好ましく、0.8~10.0モルであることが更に好ましく、1.2~10.0モルであることが特に好ましい。
【0292】
工程(62)は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水溶性溶媒が好ましく、水、アルコール、エーテル、ニトリル等が挙げられる。
【0293】
上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。
【0294】
上記エーテルとしては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられる。
【0295】
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
【0296】
工程(62)における反応の温度としては、-78~200℃が好ましく、-20~150℃がより好ましい。
【0297】
工程(62)における反応の圧力としては、0~5.0MPaが好ましく、0.1~1.0MPaがより好ましい。
【0298】
工程(62)における反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、0.1~48時間がより好ましい。
【0299】
界面活性剤(1)は、また、式:
【化24】
(式中、R
10、R
11及びYは、上記のとおり。)で示される化合物(70)を硫酸エステル化して、式:
【化25】
(式中、R
10、R
11及びYは、上記のとおり。A
100は-OH又は-OSO
3M。Mは上記のとおり。)で示される化合物(71)を得る工程(71)を含む製造方法により、好適に製造できる。
【0300】
工程(71)における硫酸エステル化は、化合物(70)と硫酸化試薬とを反応させることにより実施できる。上記硫酸化試薬としては、三酸化硫黄ピリジン錯体、三酸化硫黄トリメチルアミン錯体、三酸化硫黄トリエチルアミン錯体等の三酸化硫黄アミン錯体、三酸化硫黄ジメチルホルムアミド錯体等の三酸化硫黄アミド錯体、硫酸-ジシクロヘキシルカルボジイミド、クロロ硫酸、濃硫酸、スルファミン酸等が挙げられる。上記硫酸化試薬の使用量としては、化合物(70)1モルに対して、0.5~10モルが好ましく、0.5~5モルがより好ましく、0.7~4モルが更に好ましい。上記硫酸化試薬の使用量を調整することにより、化合物(20)が有する2つの-OH基の一方又は両方を硫酸エステル化させられる。
【0301】
工程(71)における硫酸エステル化は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、ピリジン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ニトリル等が挙げられる。
【0302】
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
【0303】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【0304】
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
【0305】
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
【0306】
工程(71)における硫酸エステル化の温度としては、-78~200℃が好ましく、-20~150℃がより好ましい。
【0307】
工程(71)における硫酸エステル化の圧力としては、0~10MPaが好ましく、0.1~5MPaがより好ましい。
【0308】
工程(71)における硫酸エステル化の時間としては、0.1~72時間が好ましく、0.1~48時間がより好ましい。
【0309】
化合物(70)は、また、式:
【化26】
(式中、R
10及びYは、上記のとおり。R
100は、アルキル基である。)で示される化合物(100)をヒドロキシ化して、式:
【化27】
(式中、R
10、R
100及びYは、上記のとおり。)で示される化合物(101)を得る工程(101)、及び、
化合物(101)を酸化して、化合物(70)を得る工程(102)を含む製造方法により製造できる。
【0310】
R100としてのアルキル基は、R100-CH2-として、上述したR11を構成する。
【0311】
工程(101)におけるヒドロキシ化は、例えば、(1)酸素雰囲気中で化合物(100)にフタロシアニン鉄(II)(Fe(Pc))及び水素化ホウ素ナトリウムを作用させる方法や、(2)化合物(100)にイソピノカンフェイルボラン(IpcBH2)を作用させた後、得られる中間体(ジアルキルボラン)を酸化する方法により実施できる。
【0312】
方法(1)において、フタロシアニン鉄(II)の量は、触媒量であってよく、化合物(100)1モルに対して、0.001~1.2モルの量で使用できる。
【0313】
方法(1)において、水素化ホウ素ナトリウムは、化合物(100)1モルに対して、0.5~20モルの量で使用できる。
【0314】
方法(1)の反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、ニトリル、含窒素極性有機化合物等が挙げられる。
【0315】
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
【0316】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【0317】
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
【0318】
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
【0319】
上記含窒素極性有機化合物としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等が挙げられ、なかでも、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンが好ましい。
【0320】
方法(1)の反応の温度としては、-78~200℃が好ましく、0~150℃がより好ましい。
【0321】
方法(1)の反応の圧力としては、0~5.0MPaが好ましく、0.1~1.0MPaがより好ましい。
【0322】
方法(1)の反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、0.1~48時間がより好ましい。
【0323】
方法(2)において、イソピノカンフェイルボランは、化合物(100)1モルに対して、0.1~10.0モルの量で使用できる。
【0324】
化合物(100)とイソピノカンフェイルボランとの反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素等が挙げられる。
【0325】
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
【0326】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【0327】
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
【0328】
化合物(100)とイソピノカンフェイルボランとの反応の温度としては、-78~200℃が好ましく、0~150℃がより好ましい。
【0329】
化合物(100)とイソピノカンフェイルボランとの反応の圧力としては、0~5.0MPaが好ましく、0.1~1.0MPaがより好ましい。
【0330】
化合物(100)とイソピノカンフェイルボランとの反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、0.1~48時間がより好ましい。
【0331】
方法(2)における酸化は、上記中間体に酸化剤を作用させることにより実施できる。上記酸化剤としては、過酸化水素等が挙げられる。上記酸化剤は、上記中間体1モルに対して、0.7~10モルの量で使用できる。
【0332】
方法(2)における酸化は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水、メタノール、エタノール等が挙げられ、なかでも水が好ましい。
【0333】
方法(2)における酸化の温度としては、-78~150℃が好ましく、0~100℃がより好ましく、10~80℃が更に好ましい。
【0334】
方法(2)における酸化の圧力としては、0~5.0MPaが好ましく、0.1~1.0MPaがより好ましい。
【0335】
方法(2)における酸化の時間としては、0.1~72時間が好ましく、0.1~48時間がより好ましい。
【0336】
工程(102)において、化合物(101)を酸化する方法としては、例えば、(a)ジョーンズ試薬(CrO3/H2SO4)を用いる方法(ジョーンズ酸化)、(b)デス・マーチン・ペルヨージナン(DMP)を用いる方法(デス・マーチン酸化)、(c)クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)を用いる方法、(d)NiCl2等のニッケル化合物の存在下に漂白剤(NaOClの約5~6%水溶液)を作用させる方法、(e)Al(CH3)3、Al[OCH(CH3)2]3等のアルミニウム触媒の存在下にアルデヒド、ケトン等の水素受容体を作用させる方法(オッペナウアー酸化)が挙げられる。
【0337】
工程(102)における酸化は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水及び有機溶媒が好ましく、水、ケトン、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、ニトリル等が挙げられる。
【0338】
上記ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等が挙げられ、なかでも、アセトンが好ましい。
【0339】
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
【0340】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【0341】
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
【0342】
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
【0343】
工程(102)における酸化の温度としては、-78~200℃が好ましく、採用する方法に応じて適宜選択することができる。
【0344】
工程(102)における酸化の圧力としては、0~5.0MPaが好ましく、採用する方法に応じて適宜選択することができる。
【0345】
工程(102)における酸化の時間としては、0.1~72時間が好ましく、採用する方法に応じて適宜選択することができる。
【0346】
化合物(70)は、また、式:
【化28】
(式中、R
10、R
11及びYは、上記のとおり。R
101は、有機基である。)で示される化合物(200)をオゾン分解して、化合物(70)を得る工程(201)を含む製造方法により製造できる。
【0347】
R101としては、炭素数1~20のアルキル基が好ましい。4個のR101は、同一でも異なっていてもよい。
【0348】
工程(201)におけるオゾン分解は、化合物(200)にオゾンを作用させた後、還元剤で後処理することにより実施できる。
【0349】
オゾンは、酸素ガス中の無声放電によって発生させることができる。
【0350】
上記後処理に用いる還元剤としては、亜鉛、ジメチルスルフィド、チオウレア、ホスフィン類等が挙げられ、なかでもホスフィン類が好ましい。
【0351】
工程(201)におけるオゾン分解は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水及び有機溶媒が好ましく、水、アルコール、カルボン酸類、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素等が挙げられる。
【0352】
上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。なかでも、メタノール、エタノールが好ましい。
【0353】
上記カルボン酸類としては、酢酸、プロピオン酸等が挙げられる。なかでも、酢酸が好ましい。
【0354】
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
【0355】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【0356】
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
【0357】
工程(201)におけるオゾン分解の温度としては、-78~200℃が好ましく、0~150℃がより好ましい。
【0358】
工程(201)におけるオゾン分解の圧力としては、0~5.0MPaが好ましく、0.1~1.0MPaがより好ましい。
【0359】
工程(201)におけるオゾン分解の時間としては、0.1~72時間が好ましく、0.1~48時間がより好ましい。
【0360】
化合物(70)は、また、式:
【化29】
(式中、R
10及びYは、上記のとおり。R
100は、アルキル基である。)で示される化合物(300)をエポキシ化して、式:
【化30】
(式中、R
10、R
100及びYは、上記のとおり。)で示される化合物(301)を得る工程(301)、
化合物(301)と、R
102
2CuLi(R
102は、アルキル基)で示されるジアルキル銅リチウムとを反応させて、式:
【化31】
(式中、R
10、R
100、R
102及びYは、上記のとおり。)で示される化合物(302)を得る工程(302)、及び、
化合物(302)を酸化して、化合物(70)を得る工程(303)を含む製造方法により製造できる。
【0361】
R100及びR102としての上記アルキル基は、R100R102-CH-として、上述したR11を構成する。
【0362】
2個のR100は、同一でも異なっていてもよい。2個のR102は、同一でも異なっていてもよい。
【0363】
工程(301)におけるエポキシ化は、化合物(300)にエポキシ化剤を作用させることにより実施できる。
【0364】
上記エポキシ化剤としては、メタクロロ過安息香酸(m-CPBA)、過安息香酸、過酸化水素、tert-ブチルヒドロペルオキソド等の過酸、ジメチルジオキシラン、メチルトリフルオロメチルジオキシラン等が挙げられ、なかでも過酸が好ましく、メタクロロ過安息香酸がより好ましい。
上記エポキシ化剤は、化合物(300)1モルに対して、0.5~10.0モルの量で使用できる。
【0365】
工程(301)におけるエポキシ化は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、ケトン、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、ニトリル、ピリジン、含窒素極性有機化合物、ジメチルスルホキシド等が挙げられ、なかでもジクロロメタンが好ましい。
【0366】
上記ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等が挙げられ、なかでも、アセトンが好ましい。
【0367】
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
【0368】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【0369】
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
【0370】
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
【0371】
上記含窒素極性有機化合物としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等が挙げられ、なかでも、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンが好ましい。
【0372】
工程(301)におけるエポキシ化の温度としては、-78~200℃が好ましく、-40~150℃がより好ましい。
【0373】
工程(301)におけるエポキシ化の圧力としては、0~5.0MPaが好ましく、0.1~1.0MPaがより好ましい。
【0374】
工程(301)におけるエポキシ化の時間としては、0.1~72時間が好ましく、0.1~48時間がより好ましい。
【0375】
工程(302)において、上記ジアルキル銅リチウムは、化合物(301)1モルに対して、0.5~10.0モルの量で使用できる。
【0376】
工程(302)の反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素等が挙げられる。
【0377】
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
【0378】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【0379】
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
【0380】
工程(302)の反応の温度としては、-78~200℃が好ましく、-40~150℃がより好ましい。
【0381】
工程(302)の反応の圧力としては、0~5.0MPaが好ましく、0.1~1.0MPaがより好ましい。
【0382】
工程(302)の反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、0.1~48時間がより好ましい。
【0383】
工程(303)において、化合物(302)を酸化する方法としては、例えば、(a)ジョーンズ試薬(CrO3/H2SO4)を用いる方法(ジョーンズ酸化)、(b)デス・マーチン・ペルヨージナン(DMP)を用いる方法(デス・マーチン酸化)、(c)クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)を用いる方法、(d)NiCl2等のニッケル化合物の存在下に漂白剤(NaOClの約5~6%水溶液)を作用させる方法、(e)Al(CH3)3、Al[OCH(CH3)2]3等のアルミニウム触媒の存在下にアルデヒド、ケトン等の水素受容体を作用させる方法(オッペナウアー酸化)が挙げられる。
【0384】
工程(303)における酸化は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水及び有機溶媒が好ましく、水、ケトン、アルコール、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、ニトリル等が挙げられる。
【0385】
上記ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等が挙げられ、なかでも、アセトンが好ましい。
【0386】
上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。なかでも、メタノール、エタノールが好ましい。
【0387】
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
【0388】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【0389】
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
【0390】
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
【0391】
工程(303)における酸化の温度としては、-78~200℃が好ましく、採用する方法に応じて適宜選択することができる。
【0392】
工程(303)における酸化の圧力としては、0~5.0MPaが好ましく、採用する方法に応じて適宜選択することができる。
【0393】
工程(303)における酸化の時間としては、0.1~72時間が好ましく、採用する方法に応じて適宜選択することができる。
【0394】
化合物(70)は、また、式:
【化32】
(式中、R
10及びYは、上記のとおり。R
100は、アルキル基である。)で示される化合物(400)を酸化して、化合物(70)を得る工程(401)を含む製造方法により製造できる。
【0395】
工程(401)における酸化は、水及びパラジウム化合物の存在下で、化合物(400)に酸化剤を作用させることにより実施できる。
【0396】
上記酸化剤としては、塩化銅、酢酸銅、シアン化銅、トリフルオロメタンチオール銅等の一価又は二価の銅塩、塩化鉄、酢酸鉄、シアン化鉄、トリフルオロメタンチオール鉄、ヘキサシアノ鉄等の鉄塩、1,4-ベンゾキノン、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン、テトラクロロ-1,2-ベンゾキノン、テトラクロロ-1,4-ベンゾキノン等のベンゾキノン類、H2O2、MnO2、KMnO4、RuO4、m-クロロ過安息香酸、酸素等、又はそれらの組み合わせが挙げられる。なかでも、銅塩、鉄塩、ベンゾキノン類が好ましく、塩化銅、塩化鉄、1,4-ベンゾキノンがより好ましい。上記酸化剤は、化合物(400)1モルに対して、0.001~10モルの量で使用できる。
【0397】
上記水の量は、化合物(400)1モルに対して、0.5~1000モルの量で使用できる。
【0398】
上記パラジウム化合物としては、二塩化パラジウムが挙げられる。上記パラジウム化合物の量は、触媒量であってよく、化合物(400)1モルに対して、0.0001~1.0モルの量で使用できる。
【0399】
工程(401)における酸化は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水、エステル、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、アルコール、カルボン酸類、エーテル、ハロゲン化炭化水素、含窒素極性有機化合物、ニトリル、ジメチルスルホキシド、スルホランが挙げられる。
【0400】
上記エステルとしては、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA;別名1-メトキシ-2-アセトキシプロパン)等が挙げられ、なかでも、酢酸エチルが好ましい。
【0401】
上記脂肪族炭化水素としては、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、ミネラルスピリット等が挙げられ、なかでも、シクロヘキサン、ヘプタンが好ましい。
【0402】
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
【0403】
上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。
【0404】
上記カルボン酸類としては、酢酸、プロピオン酸等が挙げられる。なかでも、酢酸が好ましい。
【0405】
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
【0406】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【0407】
上記含窒素極性有機化合物としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等が挙げられ、なかでも、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンが好ましい。
【0408】
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
【0409】
工程(401)における酸化の温度としては、-78~200℃が好ましく、-20~150℃がより好ましい。
【0410】
工程(401)における酸化の圧力としては、0~10MPaが好ましく、0.1~5.0MPaがより好ましい。
【0411】
工程(401)における酸化の時間としては、0.1~72時間が好ましく、0.1~48時間がより好ましい。
【0412】
化合物(100)、化合物(300)及び化合物(400)は、式:
【化33】
(式中、R
10及びYは、上記のとおり。R
100は、アルキル基である。)で示されるアルデヒドに還元剤を作用させて、化合物(100)を得る工程(501)を含む製造方法により製造できる。
【0413】
工程(501)では、還元的カップリング反応により、上記アルデヒトが二量化して、化合物(100)、化合物(300)及び化合物(400)が生成する。工程(501)で使用する還元剤としては、二ヨウ化サマリウム、二塩化チタン、三塩化バナジウム、四塩化チタン、ビス(シクロオクタジエン)ニッケル、銅、マグネシウム、亜鉛、ナトリウム、三塩化セリウム、酸化クロム、水素化トリフェニルスズ等が挙げられる。上記還元剤は組み合わせで用いてもよい。上記還元剤の使用量としては、上記アルデヒト1モルに対して、0.001~10モルが好ましく、0.01~5モルがより好ましく、0.1~2モルが更に好ましい。
【0414】
工程(501)における反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、エーテル、ハロゲン化炭化水素、ピリジン、ニトリル、芳香族炭化水素等がより好ましい。
【0415】
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
【0416】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【0417】
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
【0418】
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
【0419】
工程(501)における反応は、アルコールの存在下で実施することが好ましい。上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等が挙げられる。
【0420】
工程(501)における反応の温度としては、-78~200℃が好ましく、-20~100℃がより好ましい。
【0421】
工程(501)における反応の圧力としては、0~5.0MPaが好ましく、0.1~1.0MPaがより好ましい。
【0422】
工程(501)における反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、0.1~48時間がより好ましい。
【0423】
上述したいずれの製造方法においても、各工程の終了後、溶媒を留去したり、蒸留、精製等を実施したりして、得られる化合物の純度を高めてもよい。また、得られる化合物が-COOH、-SO3H、-OSO3H等のMがHである化合物である場合は、炭酸ナトリウム、アンモニア等のアルカリと接触させることにより、これらの基を塩型に変換できる。
【0424】
上記炭化水素系界面活性剤としては、また、カルボニル基(但し、カルボキシル基中のカルボニル基を除く)を1つ以上有する炭化水素系界面活性剤も挙げられる。
【0425】
上記カルボニル基(但し、カルボキシル基中のカルボニル基を除く)を1つ以上有する炭化水素系界面活性剤としては、式:R-X(式中、Rは、カルボニル基(但し、カルボキシル基中のカルボニル基を除く)を1つ以上有する炭素数1~2000のフッ素非含有有機基であり、Xは、-OSO
3X
1、-COOX
1又は-SO
3X
1(X
1は、H、金属原子、NR
1
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R
1はH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。))で示される界面活性剤が好ましい。Rは、炭素数が500以下であることが好ましく、100以下であることがより好ましく、50以下であることが更に好ましく、30以下であることが更により好ましい。
上記炭化水素系界面活性剤としては、下記式(a):
【化34】
(式中、R
1aは、炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素原子に結合した水素原子がヒドロキシ基又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよく、炭素数が2以上の場合はカルボニル基を含んでもよく、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。R
2a及びR
3aは、独立に、単結合又は2価の連結基である。R
1a、R
2a及びR
3aは、炭素数が合計で6以上である。X
aは、H、金属原子、NR
4a
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R
4aはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。R
1a、R
2a及びR
3aは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。)で示される界面活性剤(a)、下記式(b):
【化35】
(式中、R
1bは、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。R
2b及びR
4bは、独立に、H又は置換基である。R
3bは、置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキレン基である。nは、1以上の整数である。p及びqは、独立に、0以上の整数である。X
bは、H、金属原子、NR
5b
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R
5bはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。R
1b、R
2b、R
3b及びR
4bは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。Lは、単結合、-CO
2-B-*、-OCO-B-*、-CONR
6b-B-*、-NR
6bCO-B-*、又は、-CO-(但し、-CO
2-B-、-OCO-B-、-CONR
6b-B-、-NR
6CO-B-に含まれるカルボニル基を除く。)であり、Bは単結合もしくは置換基を有してもよい炭素数1から10のアルキレン基であり、R
6bは、H又は置換基を有していてもよい、炭素数1~4のアルキル基である。*は、式中の-OSO
3X
bに結合する側を指す。)で示される界面活性剤(b)、下記式(c):
【化36】
(式中、R
1cは、炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素原子に結合した水素原子がヒドロキシ基又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよく、炭素数が2以上の場合はカルボニル基を含んでもよく、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。R
2c及びR
3cは、独立に、単結合又は2価の連結基である。R
1c、R
2c及びR
3cは、炭素数が合計で5以上である。A
cは、-COOX
c又は-SO
3X
c(X
cは、H、金属原子、NR
4c
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R
4cはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。)である。R
1c、R
2c及びR
3cは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。)で示される界面活性剤(c)、及び、下記式(d):
【化37】
(式中、R
1dは、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。R
2d及びR
4dは、独立に、H又は置換基である。R
3dは、置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキレン基である。nは、1以上の整数である。p及びqは、独立に、0以上の整数である。A
dは、-SO
3X
d又は-COOX
d(X
dは、H、金属原子、NR
5d
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R
5dはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。)である。R
1d、R
2d、R
3d及びR
4dは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。Lは、単結合、-CO
2-B-*、-OCO-B-*、-CONR
6d-B-*、-NR
6dCO-B-*、又は、-CO-(但し、-CO
2-B-、-OCO-B-、-CONR
6d-B-、-NR
6dCO-B-に含まれるカルボニル基を除く。)であり、Bは単結合もしくは置換基を有してもよい炭素数1から10のアルキレン基であり、R
6dは、H又は置換基を有していてもよい、炭素数1~4のアルキル基である。*は、式中のA
dに結合する側を指す。)で示される界面活性剤(d)からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。
【0426】
界面活性剤(a)について説明する。
【0427】
式(a)中、R1aは、炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3以上の環状のアルキル基である。
上記アルキル基は、炭素数が3以上の場合、2つの炭素原子間にカルボニル基(-C(=O)-)を含んでもよい。また、上記アルキル基は、炭素数が2以上の場合、上記アルキル基の末端に上記カルボニル基を含むこともできる。すなわち、CH3-C(=O)-で示されるアセチル基等のアシル基も、上記アルキル基に含まれる。
また、上記アルキル基は、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含むこともできるし、環を形成することもできる。上記複素環としては、不飽和複素環が好ましく、含酸素不飽和複素環がより好ましく、例えば、フラン環等が挙げられる。R1aにおいて、2価の複素環が2つの炭素原子間に挿入されていてもよいし、2価の複素環が末端に位置して-C(=O)-と結合してもよいし、1価の複素環が上記アルキル基の末端に位置してもよい。
【0428】
なお、本明細書において、上記アルキル基の「炭素数」には、カルボニル基を構成する炭素原子の数及び上記複素環を構成する炭素原子の数も含めるものとする。例えば、CH3-C(=O)-CH2-で示される基は炭素数が3であり、CH3-C(=O)-C2H4-C(=O)-C2H4-で示される基は炭素数が7であり、CH3-C(=O)-で示される基は炭素数が2である。
【0429】
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(-OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:-O-C(=O)-R101a(式中、R101aはアルキル基)で示される基が挙げられる。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
【0430】
式中、R2a及びR3aは、独立に、単結合又は2価の連結基である。
R2a及びR3aは、独立に、単結合又は炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基又は炭素数3以上の環状のアルキレン基であることが好ましい。
R2a及びR3aを構成する上記アルキレン基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
【0431】
上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(-OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:-O-C(=O)-R102a(式中、R102aはアルキル基)で示される基が挙げられる。
上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキレン基であることが好ましい。
【0432】
R1a、R2a及びR3aは、炭素数が合計で6以上である。合計の炭素数としては、8以上が好ましく、9以上がより好ましく、10以上が更に好ましく、20以下が好ましく、18以下がより好ましく、15以下が更に好ましい。
R1a、R2a及びR3aは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。
【0433】
式(a)中、Xaは、H、金属原子、NR4a
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R4aはH又は有機基である。4つのR4aは、同一でも異なっていてもよい。R4aとしては、H又は炭素数1~10の有機基が好ましく、H又は炭素数1~4の有機基がより好ましい。上記金属原子としては、1、2価の金属原子が挙げられ、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。Xaとしては、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又はNR4a
4が好ましく、水に溶解しやすいことから、H、Na、K、Li又はNH4がより好ましく、水に更に溶解しやすいことから、Na、K又はNH4が更に好ましく、Na又はNH4が特に好ましく、除去が容易であることから、NH4が最も好ましい。XaがNH4であると、上記界面活性剤の水性媒体への溶解性が優れるとともに、PTFE中又は最終製品中に金属成分が残留しにくい。
【0434】
R1aとしては、カルボニル基を含まない炭素数1~8の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、カルボニル基を含まない炭素数3~8の環状のアルキル基、1~10個のカルボニル基を含む炭素数2~45の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、カルボニル基を含む炭素数3~45の環状のアルキル基、又は、炭素数が3~45の1価又は2価の複素環を含むアルキル基が好ましい。
【0435】
また、R
1aとしては、下記式:
【化38】
(式中、n
11aは0~10の整数であり、R
11aは炭素数1~5の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3~5の環状のアルキル基であり、R
12aは炭素数0~3のアルキレン基である。n
11aが2~10の整数である場合、R
12aは各々同じであっても異なっていてもよい。)で示される基がより好ましい。
【0436】
n11aとしては、0~5の整数が好ましく、0~3の整数がより好ましく、1~3の整数が更に好ましい。
【0437】
R11aとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
R11aとしての上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(-OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:-O-C(=O)-R103a(式中、R103aはアルキル基)で示される基が挙げられる。
R11aとしての上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
【0438】
R12aは炭素数0~3のアルキレン基である。上記炭素数は1~3が好ましい。
R12aとしての上記アルキレン基は、直鎖状又は分岐鎖状であってよい。
R12aとしての上記アルキレン基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。R12aとしては、エチレン基(-C2H4-)又はプロピレン基(-C3H6-)がより好ましい。
R12aとしての上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(-OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:-O-C(=O)-R104a(式中、R104aはアルキル基)で示される基が挙げられる。
R12aとしての上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキレン基であることが好ましい。
【0439】
R2a及びR3aとしては、独立に、カルボニル基を含まない炭素数1以上のアルキレン基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1~3のアルキレン基がより好ましく、エチレン基(-C2H4-)又はプロピレン基(-C3H6-)が更に好ましい。
【0440】
界面活性剤(a)としては、次の界面活性剤が例示できる。各式中、Xaは上述のとおりである。
【0441】
【0442】
【0443】
【0444】
【0445】
【0446】
【0447】
【0448】
【0449】
界面活性剤(a)は、新規化合物であり、例えば、次に例示する製造方法により製造することができる。
【0450】
界面活性剤(a)は、式:
【化47】
(式中、R
3aは上述のとおり、E
aは脱離基である。)で示される化合物(10a)と、リチウム、及び、式:R
201a
3Si-Cl(式中、R
201aは、独立に、アルキル基又はアリール基である。)で示されるクロロシラン化合物とを反応させて、式:
【化48】
(式中、R
3a、R
201a及びE
aは上述のとおりである。)で示される化合物(11a)を得る工程(11a)、
化合物(11a)と、式:
【化49】
(式中、R
1aは上述のとおり、R
21aは単結合又は2価の連結基である。)で示されるオレフィンとを反応させて、式:
【化50】
(式中、R
1a、R
21a、R
3a及びE
aは上述のとおりである。)で示される化合物(12a)を得る工程(12a)、
化合物(12a)が有する脱離基を脱離させて、式:
【化51】
(式中、R
1a、R
21a及びR
3aは上述のとおりである。)で示される化合物(13a)を得る工程(13a)、及び、
化合物(13a)と、式:
【化52】
(式中、X
aは、上述したとおりである。)で示される塩化スルホン酸とを反応させて、式:
【化53】
(式中、R
1a、R
21a、R
3a及びX
aは上述のとおりである。)で示される化合物(14a)を得る工程(14a)を含む製造方法により製造できる。
【0451】
R1aにフラン環を含む場合は、例えば酸によりフラン環を開環しジカルボニル誘導体に変換してもよい。酸としては酢酸、塩酸、p-トルエンスルホン等があげられ、中でも酢酸が好ましい。
【0452】
工程(11a)では、リチウム及び上記クロロシラン化合物を予め反応させて、シロキシリチウム化合物を得た後、上記シロキシリチウム化合物と化合物(10a)とを反応させて、化合物(11a)を得ることが好ましい。
【0453】
Eaは脱離基を表す。上記脱離基としては、tert-ブチルジメチルシリル(TBS)基、トリエチルシリル(TES)基、トリイソプロピルシリル(TIPS)基、tert-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)基、ベンジル(Bn)基等が挙げられる。
【0454】
R21aとしては、単結合又は炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。
【0455】
上記クロロシラン化合物としては、例えば、
【化54】
が挙げられる。
【0456】
工程(11a)におけるいずれの反応も、溶媒中で実施することができる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましく、エーテルが更に好ましい。上記エーテルとしては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、クラウンエーテル(15-クラウン-5,18-クラウン-6)等が挙げられ、なかでも、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルが好ましい。
【0457】
工程(11a)におけるリチウム及び上記クロロシラン化合物の反応の温度としては、10~40℃が好ましく、20~30℃がより好ましい。
工程(11a)における上記シロキシリチウム化合物と化合物(10a)との反応の温度としては、-100~0℃が好ましく、-80~-50℃がより好ましい。
【0458】
工程(11a)におけるリチウム及び上記クロロシラン化合物の反応の圧力としては、0.1~5MPaが好ましく、0.1~1MPaがより好ましい。
工程(11a)における上記シロキシリチウム化合物と化合物(10a)との反応の圧力としては、0.1~5MPaが好ましく、0.1~1MPaがより好ましい。
【0459】
工程(11a)におけるリチウム及び上記クロロシラン化合物の反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、6~10時間がより好ましい。
工程(11a)における上記シロキシリチウム化合物と化合物(10a)との反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、1~2時間がより好ましい。
【0460】
工程(12a)において、化合物(11a)と上記オレフィンとの反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(11a)1モルに対して、上記オレフィンが1~2モルであることが好ましく、1~1.1モルがより好ましい。
【0461】
工程(12a)における反応は、チアゾリウム塩及び塩基の存在下、溶媒中で実施できる。
【0462】
上記チアゾリウム塩としては、3-エチル-5-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチルチアゾリウムブロミド、3-ベンジル-5-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチルチアゾリウムクロリド等が挙げられる。
【0463】
上記塩基としては、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、トリエチルアミン等が挙げられる。
【0464】
上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましく、アルコール、エーテルが更に好ましい。
【0465】
上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。
【0466】
上記エーテルとしては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、クラウンエーテル(15-クラウン-5,18-クラウン-6)等が挙げられ、なかでも、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルが好ましい。
【0467】
工程(12a)における反応の温度としては、40~60℃が好ましく、50~55℃がより好ましい。
【0468】
工程(12a)における反応の圧力としては、0.1~5MPaが好ましく、0.1~1MPaがより好ましい。
【0469】
工程(12a)における反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、6~10時間がより好ましい。
【0470】
工程(13a)における脱離基の脱離反応は、フッ化物イオンや酸を使用することにより、実施できる。脱離基の脱離させる方法としては、例えば、フッ酸を用いる方法、ピリジン・nHFやトリエチルアミン・nHFのようなフッ化水素のアミン錯体を用いる方法、フッ化セシウム、フッ化カリウム、ホウフッ化リチウム(LiBF4)、フッ化アンモニウムのような無機塩を用いる方法、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)のような有機塩を用いる方法が挙げられる。
【0471】
工程(13a)における脱離基の脱離反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましく、エーテルが更に好ましい。
【0472】
上記エーテルとしては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、クラウンエーテル(15-クラウン-5,18-クラウン-6)等が挙げられ、なかでも、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルが好ましい。
【0473】
工程(13a)における反応の温度としては、0~40℃が好ましく、0~20℃がより好ましい。
【0474】
工程(13a)における反応の圧力としては、0.1~5MPaが好ましく、0.1~1MPaがより好ましい。
【0475】
工程(13a)における反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、3~8時間がより好ましい。
【0476】
工程(14a)において、化合物(13a)と上記塩化スルホン酸との反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(13a)1モルに対して、上記塩化スルホン酸が1~2モルであることが好ましく、1~1.1モルがより好ましい。
【0477】
工程(14a)における反応は、塩基の存在下に実施することが好ましい。上記塩基としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アミン等があげられ、なかでも、アミンが好ましい。
【0478】
工程(14a)における上記アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,8-ナフタレンジアミン等の三級アミン、ピリジン、ピロール、ウラシル、コリジン、ルチジン等の複素芳香族アミン、1,8-ジアザ-ビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、1,5-ジアザ-ビシクロ[4.3.0]-5-ノネン等の環状アミン等が挙げられる。なかでも、トリエチルアミン、ピリジンが好ましい。
【0479】
工程(14a)における上記塩基の使用量は、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(13a)1モルに対して、1~2モルが好ましく、1~1.1モルがより好ましい。
【0480】
工程(14a)における反応は、極性溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましく、エーテルが更に好ましい。
【0481】
上記エーテルとしては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、クラウンエーテル(15-クラウン-5,18-クラウン-6)等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテルが好ましい。
【0482】
工程(14a)における反応の温度としては、0~40℃が好ましく、0~20℃がより好ましい。
【0483】
工程(14a)における反応の圧力としては、0.1~5MPaが好ましく、0.1~1MPaがより好ましい。
【0484】
工程(14a)における反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、3~12時間がより好ましい。
【0485】
工程(14a)における反応を溶媒中で実施すると、上記反応の終了後に化合物(14a)を含む溶液が得られる。上記溶液に水を加えた後、静置して2相に分離させ、水相を回収し、溶媒を留去することにより、高純度の化合物(14a)を回収してもよい。化合物(14a)が-OSO3Hで示される基を有する場合は(すなわちXがHである場合は)、水に代えて、炭酸水素ナトリウム水溶液やアンモニア水等のアルカリ水溶液を使用することにより、-OSO3Hを硫酸塩基に変換することも可能である。
【0486】
各工程の終了後、溶媒を留去したり、蒸留、精製等を実施したりして、得られる化合物の純度を高めてもよい。
【0487】
界面活性剤(a)は、また、式:
【化55】
(式中、R
3aは上述のとおり、R
22aは1価の有機基、E
aは脱離基である。)で示されるケトンと、式:
【化56】
(式中、R
1aは上述のとおり、R
23aは1価の有機基である。)で示されるカルボン酸エステルとを反応させて、式:
【化57】
(式中、R
1a、R
3a及びE
aは上述のとおり、R
24aは単結合又は2価の連結基である。)で示される化合物(21a)を得る工程(21a)、
化合物(21a)が有する脱離基を脱離させて、式:
【化58】
(式中、R
1a、R
24a及びR
3aは上述のとおりである。)で示される化合物(22a)を得る工程(22a)、及び、
化合物(22a)と、式:
【化59】
(式中、X
aは、上述したとおりである。)で示される塩化スルホン酸とを反応させて、式:
【化60】
(式中、R
1a、R
24a、R
3a及びX
aは上述のとおりである。)で示される化合物(23a)を得る工程(23a)を含む製造方法により製造できる。
【0488】
R1aにフラン環を含む場合は、例えば酸によりフラン環を開環しジカルボニル誘導体に変換してもよい。酸としては酢酸、塩酸、p-トルエンスルホン等があげられ、中でも酢酸が好ましい。
【0489】
Eaは脱離基を表す。上記脱離基としては、tert-ブチルジメチルシリル(TBS)基、トリエチルシリル(TES)基、トリイソプロピルシリル(TIPS)基、tert-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)基、ベンジル(Bn)基等が挙げられる。
【0490】
R22aとしては、炭素数1以上の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
R23aとしては、炭素数1以上の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
R24aとしては、炭素数1以上の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基(-CH2-)がより好ましい。
【0491】
工程(21a)における反応は、塩基の存在下、溶媒中で実施できる。
【0492】
上記塩基としては、ナトリウムアミド、水素化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等が挙げられる。
【0493】
上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましく、アルコール、エーテルが更に好ましい。
【0494】
上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。
【0495】
上記エーテルとしては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、クラウンエーテル(15-クラウン-5,18-クラウン-6)等が挙げられ、なかでも、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルが好ましい。
【0496】
工程(21a)における反応の温度としては、0~40℃が好ましく、0~20℃がより好ましい。
【0497】
工程(21a)における反応の圧力としては、0.1~5MPaが好ましく、0.1~1MPaがより好ましい。
【0498】
工程(21a)における反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、3~8時間がより好ましい。
【0499】
工程(22a)における脱離基の脱離反応は、フッ化物イオンや酸を使用することにより、実施できる。脱離基の脱離させる方法としては、例えば、フッ酸を用いる方法、ピリジン・nHFやトリエチルアミン・nHFのようなフッ化水素のアミン錯体を用いる方法、フッ化セシウム、フッ化カリウム、ホウフッ化リチウム(LiBF4)、フッ化アンモニウムのような無機塩を用いる方法、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)のような有機塩を用いる方法が挙げられる。
【0500】
工程(22a)における脱離基の脱離反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましく、エーテルが更に好ましい。
【0501】
上記エーテルとしては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、クラウンエーテル(15-クラウン-5,18-クラウン-6)等が挙げられ、なかでも、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルが好ましい。
【0502】
工程(22a)における反応の温度としては、0~40℃が好ましく、0~20℃がより好ましい。
【0503】
工程(22a)における反応の圧力としては、0.1~5MPaが好ましく、0.1~1MPaがより好ましい。
【0504】
工程(22a)における反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、3~8時間がより好ましい。
【0505】
工程(23a)において、化合物(22a)と上記塩化スルホン酸との反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(22a)1モルに対して、上記塩化スルホン酸が1~2モルであることが好ましく、1~1.1モルがより好ましい。
【0506】
工程(23a)における反応は、塩基の存在下に実施することが好ましい。上記塩基としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アミン等があげられ、なかでも、アミンが好ましい。
【0507】
工程(23a)における上記アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,8-ナフタレンジアミン等の三級アミン、ピリジン、ピロール、ウラシル、コリジン、ルチジン等の複素芳香族アミン、1,8-ジアザ-ビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、1,5-ジアザ-ビシクロ[4.3.0]-5-ノネン等の環状アミン等が挙げられる。なかでも、トリエチルアミン、ピリジンが好ましい。
【0508】
工程(23a)における上記塩基の使用量は、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(22a)1モルに対して、1~2モルが好ましく、1~1.1モルがより好ましい。
【0509】
工程(23a)における反応は、極性溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましく、エーテルが更に好ましい。
【0510】
上記エーテルとしては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、クラウンエーテル(15-クラウン-5,18-クラウン-6)等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテルが好ましい。
【0511】
工程(23a)における反応の温度としては、0~40℃が好ましく、0~20℃がより好ましい。
【0512】
工程(23a)における反応の圧力としては、0.1~5MPaが好ましく、0.1~1MPaがより好ましい。
【0513】
工程(23a)における反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、3~12時間がより好ましい。
【0514】
工程(23a)における反応を溶媒中で実施すると、上記反応の終了後に化合物(23a)を含む溶液が得られる。上記溶液に水を加えた後、静置して2相に分離させ、水相を回収し、溶媒を留去することにより、高純度の化合物(23a)を回収してもよい。化合物(23a)が-OSO3Hで示される基を有する場合は(すなわちXがHである場合は)、水に代えて、炭酸水素ナトリウム水溶液やアンモニア水等のアルカリ水溶液を使用することにより、-OSO3Hを硫酸塩基に変換することも可能である。
【0515】
各工程の終了後、溶媒を留去したり、蒸留、精製等を実施したりして、得られる化合物の純度を高めてもよい。
【0516】
界面活性剤(a)は、また、式:Y
a-R
3a-OE
a
(式中、R
3aは上述のとおり、Y
aはハロゲン原子、E
aは脱離基である。)で示されるハロゲン化アルキルと、式:
【化61】
(式中、R
1aは上述のとおりである。)で示されるリチウムアセチリドとを反応させて、式:
【化62】
(式中、R
1a、R
3a及びE
aは上述のとおりである。)で示される化合物(31a)を得る工程(31a)、
化合物(31a)を酸化して、式
【化63】
(式中、R
1a、R
3a及びE
aは上述のとおりである。)で示される化合物(32a)を得る工程(32a)、
化合物(32a)が有する脱離基を脱離させて、式:
【化64】
(式中、R
1a及びR
3aは上述のとおりである。)で示される化合物(33a)を得る工程(33a)、及び、
化合物(33a)と、式:
【化65】
(式中、X
aは、上述したとおりである。)で示される塩化スルホン酸とを反応させて、式:
【化66】
(式中、R
1a、R
3a及びX
aは上述のとおりである。)で示される化合物(34a)を得る工程(34a)を含む製造方法により製造できる。
【0517】
R1aにフラン環を含む場合は、例えば酸によりフラン環を開環しジカルボニル誘導体に変換してもよい。酸としては酢酸、塩酸、p-トルエンスルホン等があげられ、中でも酢酸が好ましい。
【0518】
Eaは脱離基を表す。上記脱離基としては、tert-ブチルジメチルシリル(TBS)基、トリエチルシリル(TES)基、トリイソプロピルシリル(TIPS)基、tert-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)基、ベンジル(Bn)基等が挙げられる。
【0519】
工程(31a)において、上記ハロゲン化アルキルと上記リチウムアセチリドとの反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、上記ハロゲン化アルキル1モルに対して、上記リチウムアセチリドが1~2モルであることが好ましく、1~1.2モルがより好ましい。
【0520】
工程(31a)における反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、ヘキサンが好ましい。
【0521】
工程(31a)における反応の温度としては、-100~-40℃が好ましく、-80~-50℃がより好ましい。
【0522】
工程(31a)における反応の圧力としては、0.1~5MPaが好ましく、0.1~1MPaがより好ましい。
【0523】
工程(31a)における反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、6~10時間がより好ましい。
【0524】
工程(32a)における酸化は、[(Cn*)RuIII(CF3CO2)3]・H2O(式中、Cn*は1,4,7-トリメチルー1,4,7-トリアザビシクロノナンを表す)を、(NH4)2Ce(NO3)6及びトリフルオロ酢酸で処理した後、過塩素酸ナトリウムを添加することにより生じる錯体を使用して、ニトリル系溶媒中で実施できる。
【0525】
酸化終了後に、アルカリにより中和し、エーテル等の有機溶媒を使用して化合物(32a)を抽出してもよい。
【0526】
工程(32a)における反応の温度としては、30~100℃が好ましく、40~90℃がより好ましい。
【0527】
工程(32a)における反応の圧力としては、0.1~5MPaが好ましく、0.1~1MPaがより好ましい。
【0528】
工程(32a)における反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、3~8時間がより好ましい。
【0529】
工程(33a)における脱離基の脱離反応は、フッ化物イオンや酸を使用することにより、実施できる。脱離基の脱離させる方法としては、例えば、フッ酸を用いる方法、ピリジン・nHFやトリエチルアミン・nHFのようなフッ化水素のアミン錯体を用いる方法、フッ化セシウム、フッ化カリウム、ホウフッ化リチウム(LiBF4)、フッ化アンモニウムのような無機塩を用いる方法、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)のような有機塩を用いる方法が挙げられる。
【0530】
工程(33a)における脱離基の脱離反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましく、エーテルが更に好ましい。
【0531】
上記エーテルとしては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、クラウンエーテル(15-クラウン-5,18-クラウン-6)等が挙げられ、なかでも、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルが好ましい。
【0532】
工程(33a)における反応の温度としては、0~40℃が好ましく、0~20℃がより好ましい。
【0533】
工程(33a)における反応の圧力としては、0.1~5MPaが好ましく、0.1~1MPaがより好ましい。
【0534】
工程(33a)における反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、3~8時間がより好ましい。
【0535】
工程(34a)において、化合物(33a)と上記塩化スルホン酸との反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(33a)1モルに対して、上記塩化スルホン酸が1~2モルであることが好ましく、1~1.1モルがより好ましい。
【0536】
工程(34a)における反応は、塩基の存在下に実施することが好ましい。上記塩基としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アミン等があげられ、なかでも、アミンが好ましい。
【0537】
工程(34a)における上記アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,8-ナフタレンジアミン等の三級アミン、ピリジン、ピロール、ウラシル、コリジン、ルチジン等の複素芳香族アミン、1,8-ジアザ-ビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、1,5-ジアザ-ビシクロ[4.3.0]-5-ノネン等の環状アミン等が挙げられる。なかでも、トリエチルアミン、ピリジンが好ましい。
【0538】
工程(34a)における上記塩基の使用量は、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(33a)1モルに対して、1~2モルが好ましく、1~1.1モルがより好ましい。
【0539】
工程(34a)における反応は、極性溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましく、エーテルが更に好ましい。
【0540】
上記エーテルとしては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、クラウンエーテル(15-クラウン-5,18-クラウン-6)等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテルが好ましい。
【0541】
工程(34a)における反応の温度としては、0~40℃が好ましく、0~20℃がより好ましい。
【0542】
工程(34a)における反応の圧力としては、0.1~5MPaが好ましく、0.1~1MPaがより好ましい。
【0543】
工程(34a)における反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、3~12時間がより好ましい。
【0544】
工程(34a)における反応を溶媒中で実施すると、上記反応の終了後に化合物(34a)を含む溶液が得られる。上記溶液に水を加えた後、静置して2相に分離させ、水相を回収し、溶媒を留去することにより、高純度の化合物(34a)を回収してもよい。化合物(34a)が-OSO3Hで示される基を有する場合は(すなわちXがHである場合は)、水に代えて、炭酸水素ナトリウム水溶液やアンモニア水等のアルカリ水溶液を使用することにより、-OSO3Hを硫酸塩基に変換することも可能である。
【0545】
各工程の終了後、溶媒を留去したり、蒸留、精製等を実施したりして、得られる化合物の純度を高めてもよい。
【0546】
界面活性剤(a)は、また、式:
【化67】
(式中、R
1aは上述のとおり、R
21aは単結合又は2価の連結基である。)で示されるアルケンと、式:
【化68】
(式中、Y
51aはアルコキシル基である。)で示されるアルキンとを反応させて、式:
【化69】
(式中、R
1a及びR
21aは上述のとおりである。)
で示される化合物(41a)を得る工程(41a)、及び、
化合物(41a)に、式:
【化70】
(式中、X
aは、上述したとおりである。)で示される塩化スルホン酸とを反応させて、式:
【化71】
(式中、R
1a、R
21a及びX
aは上述のとおりである。)で示される化合物(42a)を得る工程(42a)を含む製造方法により製造できる。
【0547】
R1aにフラン環を含む場合は、例えば酸によりフラン環を開環しジカルボニル誘導体に変換してもよい。酸としては酢酸、塩酸、p-トルエンスルホン等があげられ、中でも酢酸が好ましい。
【0548】
R21aとしては、単結合又は炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。
【0549】
工程(41a)において、上記アルケンと上記アルキンとの反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、上記アルキン1モルに対して、上記アルケンが0.5~2モルであることが好ましく、0.6~1.2モルがより好ましい。
【0550】
工程(41a)における反応は、金属触媒存在下に実施することが好ましい。上記金属としては、ルテニウム等があげられる。
【0551】
工程(41a)における上記金属触媒の使用量は、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、上記アルケン1モルに対して、0.01~0.4モルが好ましく、0.05~0.1モルがより好ましい。
【0552】
工程(41a)における反応は、極性溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドが好ましい。
【0553】
工程(41a)における反応の温度としては、20~160℃が好ましく、40~140℃がより好ましい。
【0554】
工程(41a)における反応の圧力としては、0.1~5MPaが好ましく、0.1~1MPaがより好ましい。
【0555】
工程(41a)における反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、4~8時間がより好ましい。
【0556】
工程(42a)において、化合物(41a)と上記塩化スルホン酸との反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(41a)1モルに対して、上記塩化スルホン酸が1~2モルであることが好ましく、1~1.1モルがより好ましい。
【0557】
工程(42a)における反応は、塩基の存在下に実施することが好ましい。上記塩基としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アミン等があげられ、なかでも、アミンが好ましい。
【0558】
工程(42a)における上記アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,8-ナフタレンジアミン等の三級アミン、ピリジン、ピロール、ウラシル、コリジン、ルチジン等の複素芳香族アミン、1,8-ジアザ-ビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、1,5-ジアザ-ビシクロ[4.3.0]-5-ノネン等の環状アミン等が挙げられる。なかでも、トリエチルアミン、ピリジンが好ましい。
【0559】
工程(42a)における上記塩基の使用量は、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(41a)1モルに対して、1~2モルが好ましく、1~1.1モルがより好ましい。
【0560】
工程(42a)における反応は、極性溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましく、エーテルが更に好ましい。
【0561】
上記エーテルとしては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、クラウンエーテル(15-クラウン-5,18-クラウン-6)等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテルが好ましい。
【0562】
工程(42a)における反応の温度としては、0~40℃が好ましく、0~20℃がより好ましい。
【0563】
工程(42a)における反応の圧力としては、0.1~5MPaが好ましく、0.1~1MPaがより好ましい。
【0564】
工程(42a)における反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、3~12時間がより好ましい。
【0565】
工程(42a)における反応を溶媒中で実施すると、上記反応の終了後に化合物(42a)を含む溶液が得られる。上記溶液に水を加えた後、静置して2相に分離させ、水相を回収し、溶媒を留去することにより、高純度の化合物(42a)を回収してもよい。化合物(42a)が-OSO3Hで示される基を有する場合は(すなわちXがHである場合は)、水に代えて、炭酸水素ナトリウム水溶液やアンモニア水等のアルカリ水溶液を使用することにより、-OSO3Hを硫酸塩基に変換することも可能である。
【0566】
各工程の終了後、溶媒を留去したり、蒸留、精製等を実施したりして、得られる化合物の純度を高めてもよい。
【0567】
次に界面活性剤(b)について説明する。
【0568】
式(b)中、R1bは、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基である。
上記アルキル基は、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含むこともできるし、環を形成することもできる。上記複素環としては、不飽和複素環が好ましく、含酸素不飽和複素環がより好ましく、例えば、フラン環等が挙げられる。R1bにおいて、2価の複素環が2つの炭素原子間に挿入されていてもよいし、2価の複素環が末端に位置して-C(=O)-と結合してもよいし、1価の複素環が上記アルキル基の末端に位置してもよい。
【0569】
なお、本明細書において、上記アルキル基の「炭素数」には、上記複素環を構成する炭素原子の数も含めるものとする。
【0570】
R1bとしての上記アルキル基が有してもよい上記置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3~10の環状のアルキル基、ヒドロキシ基が好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
【0571】
R1bとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
【0572】
R1bとしては、置換基を有してもよい炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3~10の環状のアルキル基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3~10の環状のアルキル基がより好ましく、置換基を有さない炭素数1~10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、置換基を有さない炭素数1~3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更により好ましく、メチル基(-CH3)又はエチル基(-C2H5)が特に好ましく、メチル基(-CH3)が最も好ましい。
【0573】
式(b)中、R2b及びR4bは、独立に、H又は置換基である。複数個のR2b及びR4bは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0574】
R2b及びR4bとしての上記置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3~10の環状のアルキル基、ヒドロキシ基が好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
【0575】
R2b及びR4bとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
【0576】
R2b及びR4bとしての上記アルキル基としては、カルボニル基を含まない炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3~10の環状のアルキル基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1~10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、置換基を有さない炭素数1~3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、メチル基(-CH3)又はエチル基(-C2H5)が特に好ましい。
【0577】
R2b及びR4bとしては、独立に、H又はカルボニル基を含まない炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、H又は置換基を有さない炭素数1~3の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、H、メチル基(-CH3)又はエチル基(-C2H5)が更により好ましく、Hが特に好ましい。
【0578】
式(b)中、R3bは、置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキレン基である。R3bは、複数個存在する場合、同一でも異なっていてもよい。
【0579】
上記アルキレン基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキレン基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
【0580】
上記アルキレン基としては、置換基を有してもよい炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基又は置換基を有してもよい炭素数3~10の環状のアルキレン基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基又はカルボニル基を含まない炭素数3~10の環状のアルキレン基が好ましく、置換基を有さない炭素数1~10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基がより好ましく、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-C2H4-)、イソプロピレン基(-CH(CH3)CH2-)又はプロピレン基(-C3H6-)が更に好ましい。
【0581】
R1b、R2b、R3b及びR4bは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよいが、環を形成していないことが好ましい。
【0582】
式(b)中、nは、1以上の整数である。nとしては、1~40の整数が好ましく、1~30の整数がより好ましく、5~25の整数が更に好ましく、5~9、11~25の整数が特に好ましい。
【0583】
式(b)中、p及びqは、独立に、0以上の整数である。pとしては、0~10の整数が好ましく、0又は1がより好ましい。qとしては、0~10の整数が好ましく、0~5の整数がより好ましい。
【0584】
n、p及びqは、合計が5以上の整数であることが好ましい。n、p及びqの合計は8以上の整数であることがより好ましい。n、p及びqの合計はまた、60以下の整数であることが好ましく、50以下の整数であることがより好ましく、40以下の整数であることが更に好ましい。
【0585】
式(b)中、Xbは、H、金属原子、NR5b
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R5bはH又は有機基である。4つのR5bは、同一でも異なっていてもよい。R5bとしては、H又は炭素数1~10の有機基が好ましく、H又は炭素数1~4の有機基がより好ましい。上記金属原子としては、1、2価の金属原子が挙げられ、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。Xbは金属原子又はNR5b
4(R5bは上記のとおり)であってよい。
Xbとしては、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又はNR5b
4が好ましく、水に溶解しやすいことから、H、Na、K、Li又はNH4がより好ましく、水に更に溶解しやすいことから、Na、K又はNH4が更に好ましく、Na又はNH4が特に好ましく、除去が容易であることから、NH4が最も好ましい。XbがNH4であると、上記界面活性剤の水性媒体への溶解性が優れるとともに、PTFE中又は最終製品中に金属成分が残留しにくい。
【0586】
式(b)中、Lは、単結合、-CO2-B-*、-OCO-B-*、-CONR6b-B-*、-NR6bCO-B-*、又は、-CO-(但し、-CO2-B-、-OCO-B-、-CONR6b-B-、-NR6CO-B-に含まれるカルボニル基を除く。)であり、Bは単結合もしくは置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキレン基であり、R6bは、H又は置換基を有していてもよい、炭素数1~4のアルキル基である。上記アルキレン基は、炭素数が1~5であることがより好ましい。また、上記R6は、H又はメチル基であることがより好ましい。*は、式中の-OSO3Xbに結合する側を指す。
【0587】
Lは単結合であることが好ましい。
【0588】
界面活性剤(b)としては、下記式:
【化72】
(式中、R
1b、R
2b、L、n及びX
bは、上記のとおり。)で示される化合物が好ましい。
【0589】
上記界面活性剤(b)は、1H-NMRスペクトルにおいて、ケミカルシフト2.0~5.0ppmの領域に観測される全ピーク強度の積分値が10%以上であることが好ましい。
【0590】
上記界面活性剤(b)は、1H-NMRスペクトルにおいて、ケミカルシフト2.0~5.0ppmの領域に観測される全ピーク強度の積分値が上記範囲内にあることが好ましい。この場合、上記界面活性剤は分子中にケトン構造を有することが好ましい。
【0591】
上記界面活性剤(b)において、上記積分値は、15以上がより好ましく、95以下が好ましく、80以下がより好ましく、70以下が更に好ましい。
【0592】
上記積分値は、重水溶媒にて室温下に測定する。重水を4.79ppmとする。
【0593】
界面活性剤(b)としては、例えば、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
(CH3)3CC(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
(CH3)2CHC(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
(CH2)5CHC(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3CH2C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3CH2CH2C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3CH2CH2CH2C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3CH2CH2CH2CH2C(O)CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3CH2CH2CH2CH2CH2C(O)CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3CH2CH2CH2CH2CH2CH2C(O)CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2C(O)CH2CH2OSO3Na、
CH3CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2C(O)CH2OSO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OCH2CH2OSO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2C(O)NHCH2OSO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2NHC(O)CH2OSO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2C(O)OSO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2C(O)OCH2OSO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OC(O)CH2OSO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3H、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Li、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3K、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3NH4、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH(CH3)2OSO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
(CH3)3CC(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
(CH3)2CHC(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
(CH2)5CHC(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3CH2C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3CH2CH2CH2CH2C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2C(O)CH2CH2CH2CH2OSO3Na、
CH3CH2C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OCH2CH2OSO3Na、
CH3CH2C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2C(O)NHCH2CH2OSO3Na、
CH3CH2C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2NHC(O)CH2CH2OSO3Na、
CH3CH2C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2C(O)OCH2CH2OSO3Na、
CH3CH2C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OC(O)CH2CH2OSO3Na、
CH3CH2C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2C(O)OSO3Na、
CH3CH2C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3H、
CH3CH2C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Li、
CH3CH2C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3K、
CH3CH2C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3NH4、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OSO3Na等が挙げられる。
【0594】
界面活性剤(b)は、新規化合物であり、例えば、次に例示する製造方法により製造することができる。
【0595】
界面活性剤(b)は、下記式:
R
11b-CH=CH-(CR
2b
2)
n-(OR
3b)
p-(CR
4b
2)
q-L-OH
(式中、R
2b~R
4b、n、p及びqは、上記のとおり。R
11bは、H、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。Lは、単結合、-CO
2-B-*、-OCO-B-*、-CONR
6b-B-*、-NR
6bCO-B-*、又は、-CO-(但し、-CO
2-B-、-OCO-B-、-CONR
6b-B-、-NR
6bCO-B-に含まれるカルボニル基を除く。)であり、Bは単結合もしくは置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキレン基であり、R
6bは、H又は置換基を有していてもよい、炭素数1~4のアルキル基である。*は、式中の-OHに結合する側を指す。)で示される化合物(10b)をヒドロキシ化して、下記式:
【化73】
(式中、L、R
2b~R
4b、R
11b、n、p及びqは、上記のとおり。)で示される化合物(11b)を得る工程(11b)、化合物(11b)を酸化して、下記式:
【化74】
(式中、L、R
2b~R
4b、R
11b、n、p及びqは、上記のとおり。)で示される化合物(12b)を得る工程(12b)、及び、
化合物(12b)を硫酸エステル化して、下記式:
【化75】
(式中、L、R
2b~R
4b、R
11b、n、p、q及びX
bは、上記のとおり。)で示される化合物(13b)を得る工程(13b)を含む製造方法により製造できる。
【0596】
R11bとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
R11bとしての上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
【0597】
R11bとしては、H、置換基を有してもよい炭素数1~9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、置換基を有してもよい炭素数3~9の環状のアルキル基が好ましく、H、カルボニル基を含まない炭素数1~9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3~9の環状のアルキル基がより好ましく、H、又は、置換基を有さない炭素数1~9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、H、メチル基(-CH3)又はエチル基(-C2H5)が更により好ましく、H又はメチル基(-CH3)が特に好ましく、Hが最も好ましい。
【0598】
工程(11b)におけるヒドロキシ化は、例えば、(1)酸素雰囲気中で化合物(10b)にフタロシアニン鉄(II)(Fe(Pc))及び水素化ホウ素ナトリウムを作用させる方法や、(2)化合物(10b)にイソピノカンフェイルボラン(IpcBH2)を作用させた後、得られる中間体(ジアルキルボラン)を酸化する方法により実施できる。
【0599】
方法(1)において、フタロシアニン鉄(II)の量は、触媒量であってよく、化合物(10b)1モルに対して、0.001~1.2モルの量で使用できる。
【0600】
方法(1)において、水素化ホウ素ナトリウムは、化合物(10b)1モルに対して、0.5~20モルの量で使用できる。
【0601】
方法(1)の反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、ニトリル、含窒素極性有機化合物等が挙げられる。
【0602】
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
【0603】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【0604】
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
【0605】
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
【0606】
上記含窒素極性有機化合物としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等が挙げられ、なかでも、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンが好ましい。
【0607】
方法(1)の反応の温度としては、-78~200℃が好ましく、0~150℃がより好ましい。
【0608】
方法(1)の反応の圧力としては、0~5.0MPaが好ましく、0.1~1.0MPaがより好ましい。
【0609】
方法(1)の反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、0.1~48時間がより好ましい。
【0610】
方法(2)において、イソピノカンフェイルボランは、化合物(10b)1モルに対して、1.0~10.0モルの量で使用できる。
【0611】
化合物(10b)とイソピノカンフェイルボランとの反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素等が挙げられる。
【0612】
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
【0613】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【0614】
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
【0615】
化合物(10b)とイソピノカンフェイルボランとの反応の温度としては、-78~200℃が好ましく、0~150℃がより好ましい。
【0616】
化合物(10b)とイソピノカンフェイルボランとの反応の圧力としては、0~5.0MPaが好ましく、0.1~1.0MPaがより好ましい。
【0617】
化合物(10b)とイソピノカンフェイルボランとの反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、0.1~48時間がより好ましい。
【0618】
方法(2)における酸化は、上記中間体に酸化剤を作用させることにより実施できる。上記酸化剤としては、過酸化水素が挙げられる。上記酸化剤は、上記中間体1モルに対して、0.7~10モルの量で使用できる。
【0619】
方法(2)における酸化は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水、メタノール、エタノール等が挙げられ、なかでも水が好ましい。
【0620】
方法(2)における酸化の温度としては、0~100℃が好ましく、0~80℃がより好ましい。
【0621】
方法(2)における酸化の圧力としては、0~5.0MPaが好ましく、0.1~1.0MPaがより好ましい。
【0622】
方法(2)における酸化の時間としては、0.1~72時間が好ましく、0.1~48時間がより好ましい。
【0623】
工程(12b)において、化合物(11b)を酸化する方法としては、例えば、(a)ジョーンズ試薬(CrO3/H2SO4)を用いる方法(ジョーンズ酸化)、(b)デス・マーチン・ペルヨージナン(DMP)を用いる方法(デス・マーチン酸化)、(c)クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)を用いる方法、(d)NiCl2等のニッケル化合物の存在下に漂白剤(NaOClの約5~6%水溶液)を作用させる方法、(e)Al(CH3)3、Al[OCH(CH3)2]3等のアルミニウム触媒の存在下にアルデヒド、ケトン等の水素受容体を作用させる方法(オッペナウアー酸化)が挙げられる。
【0624】
工程(12b)における酸化は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水及び有機溶媒が好ましく、水、ケトン、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、ニトリル等が挙げられる。
【0625】
上記ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等が挙げられ、なかでも、アセトンが好ましい。
【0626】
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
【0627】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【0628】
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
【0629】
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
【0630】
工程(12b)における酸化の温度としては、-78~200℃が好ましく、採用する方法に応じて適宜選択することができる。
【0631】
工程(12b)における酸化の圧力としては、0~5.0MPaが好ましく、採用する方法に応じて適宜選択することができる。
【0632】
工程(12b)における酸化の時間としては、0.1~72時間が好ましく、採用する方法に応じて適宜選択することができる。
【0633】
工程(13b)における硫酸エステル化は、化合物(12b)と硫酸化試薬とを反応させることにより実施できる。上記硫酸化試薬としては、三酸化硫黄ピリジン錯体、三酸化硫黄トリメチルアミン錯体、三酸化硫黄トリエチルアミン錯体等の三酸化硫黄アミン錯体、三酸化硫黄ジメチルホルムアミド錯体等の三酸化硫黄アミド錯体、硫酸-ジシクロヘキシルカルボジイミド、クロロ硫酸、濃硫酸、スルファミン酸等が挙げられる。上記硫酸化試薬の使用量としては、化合物(12b)1モルに対して、0.5~10モルが好ましく、0.5~5モルがより好ましく、0.7~4モルが更に好ましい。
【0634】
工程(13b)における硫酸エステル化は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、ピリジン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ニトリル等が挙げられる。
【0635】
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
【0636】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【0637】
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
【0638】
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
【0639】
工程(13b)における硫酸エステル化の温度としては、-78~200℃が好ましく、-20~150℃がより好ましい。
【0640】
工程(13b)における硫酸エステル化の圧力としては、0~10MPaが好ましく、0.1~5MPaがより好ましい。
【0641】
工程(13b)における硫酸エステル化の時間としては、0.1~72時間が好ましく、0.1~48時間がより好ましい。
【0642】
界面活性剤(b)は、また、下記式:
【化76】
(式中、L、R
1b~R
4b、n、p及びqは、上記のとおり。R
101bは、有機基である。)で示される化合物(20b)をオゾン分解して、下記式:
【化77】
(式中、L、R
1b~R
4b、n、p及びqは、上記のとおり。)で示される化合物(21b)を得る工程(21b)、及び、
化合物(21b)を硫酸エステル化して、下記式:
【化78】
(式中、L、R
1b~R
4b、n、p、q及びX
bは、上記のとおり。)で示される化合物(22b)を得る工程(22b)を含む製造方法により製造できる。
【0643】
R101bとしては、炭素数1~20のアルキル基が好ましい。2個のR101bは、同一でも異なっていてもよい。
【0644】
工程(21b)におけるオゾン分解は、化合物(20b)にオゾンを作用させた後、還元剤で後処理することにより実施できる。
【0645】
オゾンは、酸素ガス中の無声放電によって発生させることができる。
【0646】
上記後処理に用いる還元剤としては、亜鉛、ジメチルスルフィド、チオウレア、ホスフィン類等が挙げられ、なかでもホスフィン類が好ましい。
【0647】
工程(21b)におけるオゾン分解は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水及び有機溶媒が好ましく、水、アルコール、カルボン酸類、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素等が挙げられる。
【0648】
上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。なかでも、メタノール、エタノールが好ましい。
【0649】
上記カルボン酸類としては、酢酸、プロピオン酸等が挙げられる。なかでも、酢酸が好ましい。
【0650】
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
【0651】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【0652】
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
【0653】
工程(21b)におけるオゾン分解の温度としては、-78~200℃が好ましく、0~150℃がより好ましい。
【0654】
工程(21b)におけるオゾン分解の圧力としては、0~5.0MPaが好ましく、0.1~1.0MPaがより好ましい。
【0655】
工程(21b)におけるオゾン分解の時間としては、0.1~72時間が好ましく、0.1~48時間がより好ましい。
【0656】
工程(22b)における硫酸エステル化は、化合物(21b)と硫酸化試薬とを反応させることにより実施でき、工程(13b)における硫酸エステル化と同様の条件が採用できる。
【0657】
界面活性剤(b)は、また、下記式:
R
21b-CH=CH-(CR
2b
2)
n-(OR
3b)
p-(CR
4b
2)
q-L-OH
(式中、L、R
2b~R
4b、n、p及びqは、上記のとおり。R
21bは、H、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。)で示される化合物(30b)をエポキシ化して、下記式:
【化79】
(式中、L、R
2b~R
4b、R
21b、n、p及びqは、上記のとおり。)で示される化合物(31b)を得る工程(31b)、
化合物(31b)と、R
22b
2CuLi(R
22bは、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。)で示されるジアルキル銅リチウムとを反応させて、下記式:
【化80】
(式中、L、R
2b~R
4b、R
21b、R
22b、n、p及びqは、上記のとおり。)で示される化合物(32b)を得る工程(32b)、
化合物(32b)を酸化して、下記式:
【化81】
(式中、L、R
2b~R
4b、R
21b、R
22b、n、p及びqは、上記のとおり。)で示される化合物(33b)を得る工程(33b)、及び、
化合物(33b)を硫酸エステル化して、下記式:
【化82】
(式中、L、R
2b~R
4b、R
21b、R
22b、n、p、q及びX
bは、上記のとおり。)で示される化合物(34b)を得る工程(34b)を含む製造方法により製造できる。
【0658】
R21bとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
R21bとしての上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
【0659】
R21bとしては、H、置換基を有してもよい炭素数1~8の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、置換基を有してもよい炭素数3~8の環状のアルキル基が好ましく、H、カルボニル基を含まない炭素数1~8の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3~8の環状のアルキル基がより好ましく、H、又は、置換基を有さない炭素数1~8の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、H又はメチル基(-CH3)が特に好ましく、Hが最も好ましい。
【0660】
R22bとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
R22bとしての上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
【0661】
R22bとしては、置換基を有してもよい炭素数1~9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、置換基を有してもよい炭素数3~9の環状のアルキル基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1~9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3~9の環状のアルキル基がより好ましく、置換基を有さない炭素数1~9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、メチル基(-CH3)又はエチル基(-C2H5)が特に好ましく、メチル基(-CH3)が最も好ましい。
【0662】
2個のR22bは、同一でも異なっていてもよい。
【0663】
R21b及びR22bは、炭素数が合計で1~7であることが好ましく、1~2であることがより好ましく、1であることが最も好ましい。
【0664】
工程(31b)におけるエポキシ化は、化合物(30b)にエポキシ化剤を作用させることにより実施できる。
【0665】
上記エポキシ化剤としては、メタクロロ過安息香酸(m-CPBA)、過安息香酸、過酸化水素、tert-ブチルヒドロペルオキシド等の過酸、ジメチルジオキシラン、メチルトリフルオロメチルジオキシラン等が挙げられ、なかでも過酸が好ましく、メタクロロ過安息香酸がより好ましい。
上記エポキシ化剤は、化合物(30b)1モルに対して、0.5~10.0モルの量で使用できる。
【0666】
工程(31b)におけるエポキシ化は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、ケトン、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、ニトリル、ピリジン、含窒素極性有機化合物、ジメチルスルホキシド等が挙げられ、なかでもジクロロメタンが好ましい。
【0667】
上記ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等が挙げられ、なかでも、アセトンが好ましい。
【0668】
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
【0669】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【0670】
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
【0671】
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
【0672】
上記含窒素極性有機化合物としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等が挙げられ、なかでも、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンが好ましい。
【0673】
工程(31b)におけるエポキシ化の温度としては、-78~200℃が好ましく、-40~150℃がより好ましい。
【0674】
工程(31b)におけるエポキシ化の圧力としては、0~5.0MPaが好ましく、0.1~1.0MPaがより好ましい。
【0675】
工程(31b)におけるエポキシ化の時間としては、0.1~72時間が好ましく、0.1~48時間がより好ましい。
【0676】
工程(32b)において、上記ジアルキル銅リチウムは、化合物(31b)1モルに対して、0.5~10.0モルの量で使用できる。
【0677】
工程(32b)の反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素等が挙げられる。
【0678】
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
【0679】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【0680】
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
【0681】
工程(32b)の反応の温度としては、-78~200℃が好ましく、-40~150℃がより好ましい。
【0682】
工程(32b)の反応の圧力としては、0~5.0MPaが好ましく、0.1~1.0MPaがより好ましい。
【0683】
工程(32b)の反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、0.1~48時間がより好ましい。
【0684】
工程(33b)において、化合物(32b)を酸化する方法としては、例えば、(a)ジョーンズ試薬(CrO3/H2SO4)を用いる方法(ジョーンズ酸化)、(b)デス・マーチン・ペルヨージナン(DMP)を用いる方法(デス・マーチン酸化)、(c)クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)を用いる方法、(d)NiCl2等のニッケル化合物の存在下に漂白剤(NaOClの約5~6%水溶液)を作用させる方法、(e)Al(CH3)3、Al[OCH(CH3)2]3等のアルミニウム触媒の存在下にアルデヒド、ケトン等の水素受容体を作用させる方法(オッペナウアー酸化)が挙げられる。
【0685】
工程(33b)における酸化は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水及び有機溶媒が好ましく、水、ケトン、アルコール、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、ニトリル等が挙げられる。
【0686】
上記ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等が挙げられ、なかでも、アセトンが好ましい。
【0687】
上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。なかでも、メタノール、エタノールが好ましい。
【0688】
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
【0689】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【0690】
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
【0691】
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
【0692】
工程(33b)における酸化の温度としては、-78~200℃が好ましく、採用する方法に応じて適宜選択することができる。
【0693】
工程(33b)における酸化の圧力としては、0~5.0MPaが好ましく、採用する方法に応じて適宜選択することができる。
【0694】
工程(33b)における酸化の時間としては、0.1~72時間が好ましく、採用する方法に応じて適宜選択することができる。
【0695】
工程(34b)における硫酸エステル化は、化合物(33b)と硫酸化試薬とを反応させることにより実施でき、工程(13b)における硫酸エステル化と同様の条件が採用できる。
【0696】
界面活性剤(b)は、また、下記式:
R
11b-CH=CH-(CR
2b
2)
n-(OR
3b)
p-(CR
4b
2)
q-L-OH
(式中、L、R
2b~R
4b、R
11b、n、p及びqは、上記のとおり。)で示される化合物(10b)を酸化して、下記式:
【化83】
(式中、L、R
2b~R
4b、R
11b、n、p及びqは、上記のとおり。)で示される化合物(41b)を得る工程(41b)、及び、
化合物(41b)を硫酸エステル化して、下記式:
【化84】
(式中、L、R
2b~R
4b、R
11b、n、p、q及びX
bは、上記のとおり。)で示される化合物(42b)を得る工程(42b)を含む製造方法により製造できる。
【0697】
工程(41b)における酸化は、水及びパラジウム化合物の存在下で、化合物(10b)に酸化剤を作用させることにより実施できる。
【0698】
上記酸化剤としては、塩化銅、酢酸銅、シアン化銅、トリフルオロメタンチオール銅等の一価又は二価の銅塩、塩化鉄、酢酸鉄、シアン化鉄、トリフルオロメタンチオール鉄、ヘキサシアノ鉄等の鉄塩、1,4-ベンゾキノン、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン、テトラクロロ-1,2-ベンゾキノン、テトラクロロ-1,4-ベンゾキノン等のベンゾキノン類、H2O2、MnO2、KMnO4、RuO4、m-クロロ過安息香酸、酸素等が挙げられる。なかでも、銅塩、鉄塩、ベンゾキノン類が好ましく、塩化銅、塩化鉄、1,4-ベンゾキノンがより好ましい。
上記酸化剤は、化合物(10b)1モルに対して、0.001~10モルの量で使用できる。
【0699】
上記水は、化合物(10b)1モルに対して、0.5~1000モルの量で使用できる。
【0700】
上記パラジウム化合物としては、二塩化パラジウムが挙げられる。上記パラジウム化合物の量は、触媒量であってよく、化合物(10b)1モルに対して、0.0001~1.0モルの量で使用できる。
【0701】
工程(41b)における酸化は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水、エステル、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、アルコール、カルボン酸類、エーテル、ハロゲン化炭化水素、含窒素極性有機化合物、ニトリル、ジメチルスルホキシド、スルホランが挙げられる。
【0702】
上記エステルとしては、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA;別名1-メトキシ-2-アセトキシプロパン)等が挙げられ、なかでも、酢酸エチルが好ましい。
【0703】
上記脂肪族炭化水素としては、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、ミネラルスピリット等が挙げられ、なかでも、シクロヘキサン、ヘプタンが好ましい。
【0704】
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
【0705】
上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。
【0706】
上記カルボン酸類としては、酢酸、プロピオン酸等が挙げられる。なかでも、酢酸が好ましい。
【0707】
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
【0708】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【0709】
上記含窒素極性有機化合物としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等が挙げられ、なかでも、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンが好ましい。
【0710】
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
【0711】
工程(41b)における酸化の温度としては、-78~200℃が好ましく、-20~150℃がより好ましい。
【0712】
工程(41b)における酸化の圧力としては、0~10MPaが好ましく、0.1~5.0MPaがより好ましい。
【0713】
工程(41b)における酸化の時間としては、0.1~72時間が好ましく、0.1~48時間がより好ましい。
【0714】
工程(42b)における硫酸エステル化は、化合物(41b)と硫酸化試薬とを反応させることにより実施でき、工程(13b)における硫酸エステル化と同様の条件が採用できる。
【0715】
界面活性剤(b)は、また、下記式:
R
11b-CH=CH-(CR
2b
2)
n-OH
(式中、R
2b、R
11b及びnは、上記のとおり。)で示される化合物(50)とハロゲン化剤とを反応させて、下記式:
R
11b-CH=CH-(CR
2b
2)
n-Z
51b
(式中、R
2b、R
11b及びnは、上記のとおり。Z
51bは、ハロゲン原子である。)で示される化合物(51)を得る工程(51)、
化合物(51)と、HO-R
3b-L-OH(L、R
3bは、上記のとおり。)で示されるアルキレングリコールとを反応させて、下記式:
R
11b-CH=CH-(CR
2b
2)
n-O-R
3b-L-OH
(式中、L、R
2b、R
3b、R
11b及びnは、上記のとおり。)で示される化合物(52)を得る工程(52)、
化合物(52)を酸化して、下記式:
【化85】
(式中、L、R
2b、R
3b、R
11b及びnは、上記のとおり。)で示される化合物(53)を得る工程(53)、及び、
化合物(53)を硫酸エステル化して、下記式:
【化86】
(式中、L、R
2b、R
3b、R
11b、n及びX
bは、上記のとおり。)で示される化合物(54)を得る工程(54)を含む製造方法により製造できる。
【0716】
Z51bとしては、F、Cl、Br又はIが好ましく、Brがより好ましい。
【0717】
工程(51)で使用するハロゲン化剤としては、N-ブロモスクシンイミド、N-クロロスクシンイミド等が挙げられる。
上記ハロゲン化剤は、化合物(50)1モルに対して、0.5~10.0モルの量で使用できる。
【0718】
工程(51)の反応は、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類の存在下に実施できる。
上記ホスフィン類は、化合物(50)1モルに対して、0.5~10.0モルの量で使用できる。
【0719】
工程(51)の反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素等が挙げられる。
【0720】
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
【0721】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【0722】
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
【0723】
工程(51)の反応の温度としては、-78~200℃が好ましく、-40~150℃がより好ましい。
【0724】
工程(51)の反応の圧力としては、0~5.0MPaが好ましく、0.1~1.0MPaがより好ましい。
【0725】
工程(51)の反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、0.1~48時間がより好ましい。
【0726】
工程(52)において、上記アルキレングリコールは、化合物(51)1モルに対して、0.5~10.0モルの量で使用できる。
【0727】
工程(52)の反応は、塩基の存在下に実施できる。上記塩基としては、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
上記塩基は、化合物(51)1モルに対して、0.5~10.0モルの量で使用できる。
【0728】
工程(52)の反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、含窒素極性有機化合物、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素等が挙げられる。
【0729】
上記含窒素極性有機化合物としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等が挙げられ、なかでも、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンが好ましい。
【0730】
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
【0731】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【0732】
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
【0733】
工程(52)の反応の温度としては、-78~200℃が好ましく、-40~150℃がより好ましい。
【0734】
工程(52)の反応の圧力としては、0~5.0MPaが好ましく、0.1~1.0MPaがより好ましい。
【0735】
工程(52)の反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、0.1~48時間がより好ましい。
【0736】
工程(53)における酸化は、水及びパラジウム化合物の存在下で、化合物(52)に酸化剤を作用させることにより実施でき、工程(41)における酸化と同様の条件が採用できる。
【0737】
工程(54)における硫酸エステル化は、化合物(53)と硫酸化試薬とを反応させることにより実施でき、工程(13)における硫酸エステル化と同様の条件が採用できる。
【0738】
上述したいずれの製造方法においても、各工程の終了後、溶媒を留去したり、蒸留、精製等を実施したりして、得られる化合物の純度を高めてもよい。また、得られる化合物が-OSO3Hで示される基を有する場合は(すなわちXbがHである場合は)、炭酸ナトリウム、アンモニア等のアルカリと接触させることにより、-OSO3Hを硫酸塩基に変換できる。
【0739】
界面活性剤(b)の製造方法のなかでも、上記工程(41b)及び(42b)を含む製造方法が好ましい。
【0740】
界面活性剤(c)について説明する。
【0741】
式(c)中、R1cは、炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3以上の環状のアルキル基である。
上記アルキル基は、炭素数が3以上の場合、2つの炭素原子間にカルボニル基(-C(=O)-)を含んでもよい。また、上記アルキル基は、炭素数が2以上の場合、上記アルキル基の末端に上記カルボニル基を含むこともできる。すなわち、CH3-C(=O)-で示されるアセチル基等のアシル基も、上記アルキル基に含まれる。
また、上記アルキル基は、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含むこともできるし、環を形成することもできる。上記複素環としては、不飽和複素環が好ましく、含酸素不飽和複素環がより好ましく、例えば、フラン環等が挙げられる。R1cにおいて、2価の複素環が2つの炭素原子間に挿入されていてもよいし、2価の複素環が末端に位置して-C(=O)-と結合してもよいし、1価の複素環が上記アルキル基の末端に位置してもよい。
【0742】
なお、本明細書において、上記アルキル基の「炭素数」には、カルボニル基を構成する炭素原子の数及び上記複素環を構成する炭素原子の数も含めるものとする。例えば、CH3-C(=O)-CH2-で示される基は炭素数が3であり、CH3-C(=O)-C2H4-C(=O)-C2H4-で示される基は炭素数が7であり、CH3-C(=O)-で示される基は炭素数が2である。
【0743】
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(-OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:-O-C(=O)-R101c(式中、R101cはアルキル基)で示される基が挙げられる。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
【0744】
式(c)中、R2c及びR3cは、独立に、単結合又は2価の連結基である。
R2c及びR3cは、独立に、単結合又は炭素数1以上の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基又は炭素数3以上の環状のアルキレン基であることが好ましい。
R2c及びR3cを構成する上記アルキレン基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
【0745】
上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(-OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:-O-C(=O)-R102c(式中、R102cはアルキル基)で示される基が挙げられる。
上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキレン基であることが好ましい。
【0746】
R1c、R2c及びR3cは、炭素数が合計で5以上である。合計の炭素数としては、7以上が好ましく、9以上がより好ましく、20以下が好ましく、18以下がより好ましく、15以下が更に好ましい。
R1c、R2c及びR3cは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。
【0747】
式(c)中、式中、Acは、-COOXc又は-SO3Xc(Xcは、H、金属原子、NR4c
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R4cはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。)である。R4cとしては、H又は炭素数1~10の有機基が好ましく、H又は炭素数1~4の有機基がより好ましい。上記金属原子としては、1、2価の金属原子が挙げられ、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。
Xcとしては、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又はNR4c
4が好ましく、水に溶解しやすいことから、H、Na、K、Li又はNH4がより好ましく、水に更に溶解しやすいことから、Na、K又はNH4が更に好ましく、Na又はNH4が特に好ましく、除去が容易であることから、NH4が最も好ましい。XcがNH4であると、上記界面活性剤の水性媒体への溶解性が優れるとともに、PTFE中又は最終製品中に金属成分が残留しにくい。
【0748】
R1cとしては、カルボニル基を含まない炭素数1~8の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、カルボニル基を含まない炭素数3~8の環状のアルキル基、1~10個のカルボニル基を含む炭素数2~45の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、カルボニル基を含む炭素数3~45の環状のアルキル基、又は、炭素数が3~45の1価又は2価の複素環を含むアルキル基が好ましい。
【0749】
また、R
1cとしては、下記式:
【化87】
(式中、n
11cは0~10の整数であり、R
11cは炭素数1~5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3~5の環状のアルキル基であり、R
12cは炭素数0~3のアルキレン基である。n
11cが2~10の整数である場合、R
12cは各々同じであっても異なっていてもよい。)で示される基がより好ましい。
【0750】
n11cとしては、0~5の整数が好ましく、0~3の整数がより好ましく、1~3の整数が更に好ましい。
【0751】
R11cとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
R11cとしての上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(-OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:-O-C(=O)-R103c(式中、R103cはアルキル基)で示される基が挙げられる。
R11cとしての上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
【0752】
R12cは炭素数0~3のアルキレン基である。上記炭素数は1~3が好ましい。
R12cとしての上記アルキレン基は、直鎖状又は分岐鎖状であってよい。
R12cとしての上記アルキレン基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。R12cとしては、エチレン基(-C2H4-)又はプロピレン基(-C3H6-)がより好ましい。
R12cとしての上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(-OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:-O-C(=O)-R104c(式中、R104cはアルキル基)で示される基が挙げられる。
R12cとしての上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキレン基であることが好ましい。
【0753】
R2c及びR3cとしては、独立に、カルボニル基を含まない炭素数1以上のアルキレン基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1~3のアルキレン基がより好ましく、エチレン基(-C2H4-)又はプロピレン基(-C3H6-)が更に好ましい。
【0754】
上記界面活性剤(c)としては、次の界面活性剤が例示できる。各式中、Acは上述のとおりである。
【0755】
【0756】
【0757】
【0758】
【0759】
【0760】
【0761】
【0762】
【0763】
界面活性剤(c)は、新規化合物であり、例えば、次に例示する製造方法により製造することができる。
【0764】
界面活性剤(c)は、式:
【化96】
(式中、R
3cは上述のとおり、E
cは脱離基である。)で示される化合物(10c)と、リチウム、及び、式:R
201c
3Si-Cl(式中、R
201cは、独立に、アルキル基又はアリール基である。)で示されるクロロシラン化合物とを反応させて、式:
【化97】
(式中、R
3c、R
201c及びE
cは上述のとおりである。)で示される化合物(11c)を得る工程(11c)、
化合物(11c)と、式:
【化98】
(式中、R
1cは上述のとおり、R
21cは単結合又は2価の連結基である。)で示されるオレフィンとを反応させて、式:
【化99】
(式中、R
1c、R
21c、R
3c及びE
cは上述のとおりである。)で示される化合物(12c)を得る工程(12c)、
化合物(12c)が有する脱離基を脱離させて、式:
【化100】
(式中、R
1c、R
21c及びR
3cは上述のとおりである。)で示される化合物(13c)を得る工程(13c)、及び、
化合物(13c)を酸化させて、式:
【化101】
(式中、R
1c、R
21c及びR
3cは上述のとおりである。)で示される化合物(14c)を得る工程(14c)、
を含む製造方法により、好適に製造できる。
【0765】
R1cにフラン環を含む場合は、例えば酸によりフラン環を開環しジカルボニル誘導体に変換してもよい。酸としては酢酸、塩酸、p-トルエンスルホン等があげられ、中でも酢酸が好ましい。
【0766】
工程(11c)では、リチウム及び上記クロロシラン化合物を予め反応させて、シロキシリチウム化合物を得た後、上記シロキシリチウム化合物と化合物(10c)とを反応させて、化合物(11c)を得ることが好ましい。
【0767】
Ecは脱離基を表す。上記脱離基としては、tert-ブチルジメチルシリル(TBS)基、トリエチルシリル(TES)基、トリイソプロピルシリル(TIPS)基、tert-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)基、ベンジル(Bn)基等が挙げられる。
【0768】
R21cとしては、単結合又は炭素数1以上の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。
【0769】
上記クロロシラン化合物としては、例えば、
【化102】
が挙げられる。
【0770】
工程(11c)におけるいずれの反応も、溶媒中で実施することができる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましく、エーテルが更に好ましい。上記エーテルとしては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、クラウンエーテル(15-クラウン-5,18-クラウン-6)等が挙げられ、なかでも、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルが好ましい。
【0771】
工程(11c)におけるリチウム及び上記クロロシラン化合物の反応の温度としては、-78~100℃が好ましく、10~40℃がより好ましい。
工程(11c)における上記シロキシリチウム化合物と化合物(10c)との反応の温度としては、-100~0℃が好ましく、-80~-50℃がより好ましい。
【0772】
工程(11c)におけるリチウム及び上記クロロシラン化合物の反応の圧力としては、0.1~5MPaが好ましく、0.1~1MPaがより好ましい。
工程(11c)における上記シロキシリチウム化合物と化合物(10c)との反応の圧力としては、0.1~5MPaが好ましく、0.1~1MPaがより好ましい。
【0773】
工程(11c)におけるリチウム及び上記クロロシラン化合物の反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、6~10時間がより好ましい。
工程(11c)における上記シロキシリチウム化合物と化合物(10c)との反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、1~2時間がより好ましい。
【0774】
工程(12c)において、化合物(11c)と上記オレフィンとの反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(11c)1モルに対して、上記オレフィンが1~2モルであることが好ましく、1~1.1モルがより好ましい。
【0775】
工程(12c)における反応は、チアゾリウム塩及び塩基の存在下、溶媒中で実施できる。
【0776】
上記チアゾリウム塩としては、3-エチル-5-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチルチアゾリウムブロミド、3-ベンジル-5-(2-ヒドロキシエチル)-4-メチルチアゾリウムクロリド等が挙げられる。
【0777】
上記塩基としては、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、トリエチルアミン等が挙げられる。
【0778】
上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましく、アルコール又はエーテルが更に好ましい。
【0779】
上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。
【0780】
上記エーテルとしては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、クラウンエーテル(15-クラウン-5,18-クラウン-6)等が挙げられ、なかでも、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルが好ましい。
【0781】
工程(12c)における反応の温度としては、40~60℃が好ましく、50~55℃がより好ましい。
【0782】
工程(12c)における反応の圧力としては、0.1~5MPaが好ましく、0.1~1MPaがより好ましい。
【0783】
工程(12c)における反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、6~10時間がより好ましい。
【0784】
工程(13c)における脱離基の脱離反応は、フッ化物イオンや酸を使用することにより、実施できる。脱離基を脱離させる方法としては、例えば、フッ酸を用いる方法、ピリジン・nHFやトリエチルアミン・nHFのようなフッ化水素のアミン錯体を用いる方法、フッ化セシウム、フッ化カリウム、ホウフッ化リチウム(LiBF4)、フッ化アンモニウムのような無機塩を用いる方法、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)のような有機塩を用いる方法が挙げられる。
【0785】
工程(13c)における脱離基の脱離反応は、極性溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましく、エーテルが更に好ましい。
【0786】
上記エーテルとしては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、クラウンエーテル(15-クラウン-5,18-クラウン-6)等が挙げられ、なかでも、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルが好ましい。
【0787】
工程(13c)における反応の温度としては、0~40℃が好ましく、0~20℃がより好ましい。
【0788】
工程(13c)における反応の圧力としては、0.1~5MPaが好ましく、0.1~1MPaがより好ましい。
【0789】
工程(13c)における反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、3~8時間がより好ましい。
【0790】
工程(14c)における酸化は、亜塩素酸ナトリウムの存在下に、溶媒中で実施できる。
【0791】
上記溶媒としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、1-ブタノール、tert-ブチルアルコール等のアルコール及び水が使用できる。緩衝液として、リン酸水素二ナトリウム溶液を使用してもよい。
【0792】
化合物(14c)をアルカリと接触させて、-COOHを塩型に変換してもよい。上記アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア等が挙げられ、アンモニアの水溶液を使用することが好ましい。
【0793】
各工程の終了後、溶媒を留去したり、蒸留、精製等を実施したりして、得られる化合物の純度を高めてもよい。
【0794】
界面活性剤(c)は、また、式:
【化103】
(式中、R
3cは上述のとおり、R
22cは1価の有機基、E
cは脱離基である。)で示されるケトンと、式:
【化104】
(式中、R
1cは上述のとおり、R
23cは1価の有機基である。)で示されるカルボン酸エステルとを反応させて、式:
【化105】
(式中、R
1c、R
3c及びE
cは上述のとおり、R
24cは単結合又は2価の連結基である。)で示される化合物(21c)を得る工程(21c)、
化合物(21c)が有する脱離基を脱離させて、式:
【化106】
(式中、R
1c、R
24c及びR
3cは上述のとおりである。)で示される化合物(22c)を得る工程(22c)、及び、
化合物(22c)を酸化させて、式:
【化107】
(式中、R
1c、R
24c及びR
3cは上述のとおりである。)で示される化合物(23c)を得る工程(23c)、
を含む製造方法により、好適に製造できる。
【0795】
R1cにフラン環を含む場合は、例えば酸によりフラン環を開環しジカルボニル誘導体に変換してもよい。酸としては酢酸、塩酸、p-トルエンスルホン等があげられ、中でも酢酸が好ましい。
【0796】
Ecは脱離基を表す。上記脱離基としては、tert-ブチルジメチルシリル(TBS)基、トリエチルシリル(TES)基、トリイソプロピルシリル(TIPS)基、tert-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)基、ベンジル(Bn)基等が挙げられる。
【0797】
R22cとしては、炭素数1以上の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
R23cとしては、炭素数1以上の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
R24cとしては、炭素数1以上の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基(-CH2-)がより好ましい。
【0798】
工程(21c)における反応は、塩基の存在下、溶媒中で実施できる。
【0799】
上記塩基としては、ナトリウムアミド、水素化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等が挙げられる。
【0800】
上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましく、アルコール、エーテルが更に好ましい。
【0801】
上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。
【0802】
上記エーテルとしては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、クラウンエーテル(15-クラウン-5,18-クラウン-6)等が挙げられ、なかでも、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルが好ましい。
【0803】
工程(21c)における反応の温度としては、0~40℃が好ましく、0~20がより好ましい。
【0804】
工程(21c)における反応の圧力としては、0.1~5MPaが好ましく、0.1~1MPaがより好ましい。
【0805】
工程(21c)における反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、3~8時間がより好ましい。
【0806】
工程(22c)における脱離基の脱離反応は、フッ化物イオンや酸を使用することにより、実施できる。脱離基の脱離させる方法としては、例えば、フッ酸を用いる方法、ピリジン・nHFやトリエチルアミン・nHFのようなフッ化水素のアミン錯体を用いる方法、フッ化セシウム、フッ化カリウム、ホウフッ化リチウム(LiBF4)、フッ化アンモニウムのような無機塩を用いる方法、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)のような有機塩を用いる方法が挙げられる。
【0807】
工程(22c)における脱離基の脱離反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましく、エーテルが更に好ましい。
【0808】
上記エーテルとしては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、クラウンエーテル(15-クラウン-5,18-クラウン-6)等が挙げられ、なかでも、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルが好ましい。
【0809】
工程(22c)における反応の温度としては、0~40℃が好ましく、0~20℃がより好ましい。
【0810】
工程(22c)における反応の圧力としては、0.1~5MPaが好ましく、0.1~1MPaがより好ましい。
【0811】
工程(22c)における反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、3~8時間がより好ましい。
【0812】
工程(23c)における酸化は、亜塩素酸ナトリウムの存在下に、溶媒中で実施できる。
【0813】
上記溶媒としては、アルコール及び水が使用できる。緩衝液として、リン酸水素二ナトリウム溶液を使用してもよい。
【0814】
化合物(23c)をアルカリと接触させて、-COOHを塩型に変換してもよい。上記アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア等が挙げられ、アンモニアの水溶液を使用することが好ましい。
【0815】
各工程の終了後、溶媒を留去したり、蒸留、精製等を実施したりして、得られる化合物の純度を高めてもよい。
【0816】
界面活性剤(c)は、また、式:Y
c-R
3c-CH
2-OE
c
(式中、R
3cは上述のとおり、Y
cはハロゲン原子、E
cは脱離基である。)で示されるハロゲン化アルキルと、式:
【化108】
(式中、R
1cは上述のとおりである。)で示されるリチウムアセチリドとを反応させて、式:
【化109】
(式中、R
1c、R
3c及びE
cは上述のとおりである。)で示される化合物(31c)を得る工程(31c)、
化合物(31c)を酸化して、式
【化110】
(式中、R
1c、R
3c及びE
cは上述のとおりである。)で示される化合物(32c)を得る工程(32c)、
化合物(32c)が有する脱離基を脱離させて、式:
【化111】
(式中、R
1c及びR
3cは上述のとおりである。)で示される化合物(33c)を得る工程(33c)、及び、
化合物(33c)を酸化させて、式:
【化112】
(式中、R
1c及びR
3cは上述のとおりである。)で示される化合物(34c)を得る工程(34c)、
を含む製造方法により、好適に製造できる。
【0817】
R1cにフラン環を含む場合は、例えば酸によりフラン環を開環しジカルボニル誘導体に変換してもよい。酸としては酢酸、塩酸、p-トルエンスルホン等があげられ、中でも酢酸が好ましい。
【0818】
Ecは脱離基を表す。上記脱離基としては、tert-ブチルジメチルシリル(TBS)基、トリエチルシリル(TES)基、トリイソプロピルシリル(TIPS)基、tert-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)基、ベンジル(Bn)基等が挙げられる。
【0819】
工程(31c)において、上記ハロゲン化アルキルと上記リチウムアセチリドとの反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、上記ハロゲン化アルキル1モルに対して、上記リチウムアセチリドが1~2モルであることが好ましく、1~1.2モルがより好ましい。
【0820】
工程(31c)における反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、ヘキサンが好ましい。
【0821】
工程(31c)における反応の温度としては、-100~-40℃が好ましく、-80~-50℃がより好ましい。
【0822】
工程(31c)における反応の圧力としては、0.1~5MPaが好ましく、0.1~1MPaがより好ましい。
【0823】
工程(31c)における反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、6~10時間がより好ましい。
【0824】
工程(32c)における酸化は、[(Cn*)RuIII(CF3CO2)3]・H2O(式中、Cn*は1,4,7-トリメチルー1,4,7-トリアザビシクロノナンを表す)を、(NH4)2Ce(NO3)6及びトリフルオロ酢酸で処理した後、過塩素酸ナトリウムを添加することにより生じる錯体を使用して、ニトリル系溶媒中で実施できる。
【0825】
酸化終了後に、アルカリにより中和し、エーテル等の有機溶媒を使用して化合物(32c)を抽出してもよい。
【0826】
工程(32c)における反応の温度としては、30~100℃が好ましく、40~90℃がより好ましい。
【0827】
工程(32c)における反応の圧力としては、0.1~5MPaが好ましく、0.1~1MPaがより好ましい。
【0828】
工程(32c)における反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、3~8時間がより好ましい。
【0829】
工程(33c)における脱離基の脱離反応は、フッ化物イオンや酸を使用することにより、実施できる。脱離基の脱離させる方法としては、例えば、フッ酸を用いる方法、ピリジン・nHFやトリエチルアミン・nHFのようなフッ化水素のアミン錯体を用いる方法、フッ化セシウム、フッ化カリウム、ホウフッ化リチウム(LiBF4)、フッ化アンモニウムのような無機塩を用いる方法、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)のような有機塩を用いる方法が挙げられる。
【0830】
工程(33c)における脱離基の脱離反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましく、エーテルが更に好ましい。
【0831】
上記エーテルとしては、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、モノグライム(エチレングリコールジメチルエーテル)、ジグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)、トリグライム(トリエチレングリコールジメチルエーテル)、テトラヒドロフラン、テトラグライム(テトラエチレングリコールジメチルエーテル)、クラウンエーテル(15-クラウン-5,18-クラウン-6)等が挙げられ、なかでも、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルが好ましい。
【0832】
工程(33c)における反応の温度としては、0~40℃が好ましく、0~20℃がより好ましい。
【0833】
工程(33c)における反応の圧力としては、0.1~5MPaが好ましく、0.1~1MPaがより好ましい。
【0834】
工程(33c)における反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、3~8時間がより好ましい。
【0835】
工程(34c)における酸化は、亜塩素酸ナトリウムの存在下に、溶媒中で実施できる。
【0836】
上記溶媒としては、アルコール及び水が使用できる。緩衝液として、リン酸水素二ナトリウム溶液を使用してもよい。
【0837】
化合物(34c)をアルカリと接触させて、-COOHを塩型に変換してもよい。上記アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア等が挙げられ、アンモニアの水溶液を使用することが好ましい。
【0838】
各工程の終了後、溶媒を留去したり、蒸留、精製等を実施したりして、得られる化合物の純度を高めてもよい。
【0839】
界面活性剤(c)は、また、式:
【化113】
で示されるジビニルケトンと、式:
【化114】
で示される2-メチルフランとを反応させて、式:
【化115】
で示される化合物(51c)を得る工程(51c)、
化合物(51c)と式:
【化116】
で示されるフランとを反応させて、式:
【化117】
で示される化合物(52c)を得る工程(52c)、
化合物(52c)を酸の存在下で加熱することにより、式:
【化118】
で示される化合物(53c)を得る工程(53c)、及び、
化合物(53c)を酸化させて、式:
【化119】
で示される化合物(54c)を得る工程(54c)、
を含む製造方法により、好適に製造できる。
【0840】
工程(51c)において、ジビニルケトンと2-メチルフランとの反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、ジビニルケトン1モルに対して、2-メチルフランが0.5~1モルであることが好ましく、0.6~0.9モルがより好ましい。
【0841】
工程(51c)における反応は、酸の存在下に実施することが好ましい。上記酸としては、酢酸、塩酸、p-トルエンスルホン酸等があげられ、なかでも、酢酸が好ましい。
【0842】
工程(51c)における上記酸の使用量は、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、ジビニルケトン1モルに対して、0.1~2モルが好ましく、0.1~1モルがより好ましい。
【0843】
工程(51c)における反応は、極性溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水、アセトニトリルが好ましい。
【0844】
工程(51c)における反応の温度としては、20~100℃が好ましく、40~100℃がより好ましい。
【0845】
工程(51c)における反応の圧力としては、0.1~5MPaが好ましく、0.1~1MPaがより好ましい。
【0846】
工程(51c)における反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、4~8時間がより好ましい。
【0847】
工程(52c)において、化合物(51c)とフランとの反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(51c)1モルに対してフランが1~2モルであることが好ましく、1~1.1モルがより好ましい。
【0848】
工程(52c)における反応は、酸の存在下に実施することが好ましい。上記酸としては、酢酸、塩酸、p-トルエンスルホン等があげられ、なかでも、酢酸が好ましい。
【0849】
工程(52c)における上記酸の使用量は、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(51c)1モルに対して、0.1~2モルが好ましく、0.1~1モルがより好ましい。
【0850】
工程(52c)における反応は、極性溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水が好ましい。
【0851】
工程(52c)における反応の温度としては、20~100℃が好ましく、40~100℃がより好ましい。
【0852】
工程(52c)における反応の圧力としては、0.1~5MPaが好ましく、0.1~1MPaがより好ましい。
【0853】
工程(52c)における反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、4~8時間がより好ましい。
【0854】
工程(53c)では、化合物(52c)を酸の存在下で加熱することにより、フラン環を開環させる。
【0855】
上記酸としては、塩酸、硫酸が好ましい。
【0856】
工程(53c)における反応は、極性溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水が好ましい。
【0857】
工程(53c)における反応の温度としては、50~100℃が好ましく、70~100℃がより好ましい。
【0858】
工程(53c)における反応の圧力としては、0.1~5MPaが好ましく、0.1~1MPaがより好ましい。
【0859】
工程(53c)における反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、1~12時間がより好ましい。
【0860】
工程(54c)における酸化は、亜塩素酸ナトリウムの存在下に、溶媒中で実施できる。
【0861】
上記溶媒としては、tert-ブチルアルコール及び水が使用できる。緩衝液として、リン酸水素二ナトリウム溶液を使用してもよい。
【0862】
化合物(54c)をアルカリと接触させて、-COOHを塩型に変換してもよい。上記アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア等が挙げられ、アンモニアの水溶液を使用することが好ましい。
【0863】
各工程の終了後、溶媒を留去したり、蒸留、精製等を実施したりして、得られる化合物の純度を高めてもよい。
【0864】
界面活性剤(c)は、また、式:
【化120】
(式中、R
1cは上述のとおり、R
21cは単結合又は2価の連結基である。)で示されるアルケンと、式:
【化121】
(式中、Y
61cはアルキルエステル基である。)で示されるアルキンとを反応させて、式:
【化122】
(式中、R
1c、R
21c及びY
61cは上述のとおりである。)で示される化合物(61c)を得る工程(61c)、及び、
化合物(61c)に、アルカリを作用させたのちに酸を作用させて、式:
【化123】
(式中、R
1c及びR
21cは上述のとおりである。)で示される化合物(62c)を得る工程(62c)、
を含む製造方法により、好適に製造できる。
【0865】
R1cにフラン環を含む場合は、例えば酸によりフラン環を開環しジカルボニル誘導体に変換してもよい。酸としては酢酸、塩酸、p-トルエンスルホン等があげられ、中でも酢酸が好ましい。
【0866】
R21cとしては、単結合又は炭素数1以上の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。
【0867】
工程(61c)において、上記アルケンと上記アルキンとの反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、上記アルキン1モルに対して、上記アルケンが0.5~2モルであることが好ましく、0.6~1.2モルがより好ましい。
【0868】
工程(61c)における反応は、金属触媒存在下に実施することが好ましい。上記金属としては、ルテニウム等があげられる。
【0869】
工程(61c)における上記金属触媒の使用量は、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、上記アルケン1モルに対して、0.01~0.4モルが好ましく、0.05~0.1モルがより好ましい。
【0870】
工程(61c)における反応は、極性溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水、アセトニトリル、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドが好ましい。
【0871】
工程(61c)における反応の温度としては、20~160℃が好ましく、40~140℃がより好ましい。
【0872】
工程(61c)における反応の圧力としては、0.1~5MPaが好ましく、0.1~1MPaがより好ましい。
【0873】
工程(61c)における反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、4~8時間がより好ましい。
【0874】
工程(62c)において、化合物(61c)と上記アルカリとの反応割合としては、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(61c)1モルに対して上記アルカリが0.6~2モルであることが好ましく、0.8~1.1モルがより好ましい。
【0875】
工程(62c)における上記酸の使用量は、収率の向上及び廃棄物の減少を考慮して、化合物(61c)1モルに対して、1.0~20.0モルが好ましく、1.0~10.0モルがより好ましい。
【0876】
工程(62c)における反応は、極性溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水が好ましい。
【0877】
工程(62c)における反応の温度としては、0~100℃が好ましく、20~100℃がより好ましい。
【0878】
工程(62c)における反応の圧力としては、0.1~5MPaが好ましく、0.1~1MPaがより好ましい。
【0879】
工程(62c)における反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、4~8時間がより好ましい。
【0880】
化合物(62c)をアルカリと接触させて、-COOHを塩型に変換してもよい。上記アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、アンモニア等が挙げられ、アンモニアの水溶液を使用することが好ましい。
【0881】
各工程の終了後、溶媒を留去したり、蒸留、精製等を実施したりして、得られる化合物の純度を高めてもよい。
【0882】
界面活性剤(d)について説明する。
【0883】
式(d)中、R1dは、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基である。
上記アルキル基は、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含むこともできるし、環を形成することもできる。上記複素環としては、不飽和複素環が好ましく、含酸素不飽和複素環がより好ましく、例えば、フラン環等が挙げられる。R1dにおいて、2価の複素環が2つの炭素原子間に挿入されていてもよいし、2価の複素環が末端に位置して-C(=O)-と結合してもよいし、1価の複素環が上記アルキル基の末端に位置してもよい。
【0884】
なお、本明細書において、上記アルキル基の「炭素数」には、上記複素環を構成する炭素原子の数も含めるものとする。
【0885】
R1dとしての上記アルキル基が有してもよい上記置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3~10の環状のアルキル基、ヒドロキシ基が好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
【0886】
R1dとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
【0887】
R1dとしては、置換基を有してもよい炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3~10の環状のアルキル基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3~10の環状のアルキル基がより好ましく、置換基を有さない炭素数1~10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、置換基を有さない炭素数1~3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更により好ましく、メチル基(-CH3)又はエチル基(-C2H5)が特に好ましく、メチル基(-CH3)が最も好ましい。
【0888】
式(d)中、R2d及びR4dは、独立に、H又は置換基である。複数個のR2d及びR4dは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0889】
R2d及びR4dとしての上記置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3~10の環状のアルキル基、ヒドロキシ基が好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
【0890】
R2d及びR4dとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
【0891】
R2d及びR4dとしての上記アルキル基としては、カルボニル基を含まない炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3~10の環状のアルキル基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1~10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、置換基を有さない炭素数1~3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、メチル基(-CH3)又はエチル基(-C2H5)が特に好ましい。
【0892】
R2d及びR4dとしては、独立に、H又はカルボニル基を含まない炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、H又は置換基を有さない炭素数1~3の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、H、メチル基(-CH3)又はエチル基(-C2H5)が更により好ましく、Hが特に好ましい。
【0893】
式(d)中、R3dは、置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキレン基である。R3dは、複数個存在する場合、同一でも異なっていてもよい。
【0894】
上記アルキレン基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキレン基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
【0895】
上記アルキレン基としては、置換基を有してもよい炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基又は置換基を有してもよい炭素数3~10の環状のアルキレン基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基又はカルボニル基を含まない炭素数3~10の環状のアルキレン基が好ましく、置換基を有さない炭素数1~10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基がより好ましく、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-C2H4-)、イソプロピレン基(-CH(CH3)CH2-)又はプロピレン基(-C3H6-)が更に好ましい。
【0896】
R1d、R2d、R3d及びR4dは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。
【0897】
式(d)中、nは、1以上の整数である。nとしては、1~40の整数が好ましく、1~30の整数がより好ましく、5~25の整数が更に好ましい。
【0898】
式(d)中、p及びqは、独立に、0以上の整数である。pとしては、0~10の整数が好ましく、0又は1がより好ましい。qとしては、0~10の整数が好ましく、0~5の整数がより好ましい。
【0899】
n、p及びqは、合計が6以上の整数であることが好ましい。n、p及びqの合計は8以上の整数であることがより好ましい。n、p及びqの合計はまた、60以下の整数であることが好ましく、50以下の整数であることがより好ましく、40以下の整数であることが更に好ましい。
【0900】
式(d)中、Adは、-SO3Xd又は-COOXd(Xdは、H、金属原子、NR5d
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R5dはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。)である。R5dとしては、H又は炭素数1~10の有機基が好ましく、H又は炭素数1~4の有機基がより好ましい。上記金属原子としては、1、2価の金属原子が挙げられ、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。Xdは金属原子又はNR5d
4(R5dは上記のとおり)であってよい。
Xdとしては、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又はNR5d
4が好ましく、水に溶解しやすいことから、H、Na、K、Li又はNH4がより好ましく、水に更に溶解しやすいことから、Na、K又はNH4が更に好ましく、Na又はNH4が特に好ましく、除去が容易であることから、NH4が最も好ましい。XdがNH4であると、上記界面活性剤の水性媒体への溶解性が優れるとともに、PTFE中又は最終製品中に金属成分が残留しにくい。
【0901】
式(d)中、Lは、単結合、-CO2-B-*、-OCO-B-*、-CONR6d-B-*、-NR6dCO-B-*、又は、-CO-(但し、-CO2-B-、-OCO-B-、-CONR6d-B-、-NR6dCO-B-に含まれるカルボニル基を除く。)であり、Bは単結合もしくは置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキレン基であり、R6dは、H又は置換基を有していてもよい、炭素数1~4のアルキル基である。上記アルキレン基は、炭素数が1~5であることがより好ましい。また、上記R6dは、H又はメチル基であることがより好ましい。*は、式中のAdに結合する側を指す。
【0902】
Lは単結合であることが好ましい。
【0903】
上記界面活性剤は、1H-NMRスペクトルにおいて、ケミカルシフト2.0~5.0ppmの領域に観測される全ピーク強度の積分値が10以上であることが好ましい。
【0904】
上記界面活性剤は、1H-NMRスペクトルにおいて、ケミカルシフト2.0~5.0ppmの領域に観測される全ピーク強度の積分値が上記範囲内にあることが好ましい。この場合、上記界面活性剤は分子中にケトン構造を有することが好ましい。
【0905】
上記界面活性剤において、上記積分値は、15以上がより好ましく、95以下が好ましく、80以下がより好ましく、70以下が更に好ましい。
【0906】
上記積分値は、重水溶媒にて室温下に測定する。重水を4.79ppmとする。
【0907】
上記界面活性剤(d)としては、例えば、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2COOK、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2COONa、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2COONa、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2COONa、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2COONa、
CH3C(O)CH2CH2CH2COONa、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2COONa、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2COONa、
(CH3)3CC(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2COONa、
(CH3)2CHC(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2COONa、
(CH2)5CHC(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2COONa、
CH3CH2C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2COONa、
CH3CH2CH2C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2COONa、
CH3CH2CH2CH2C(O)CH2CH2CH2CH2CH2COONa、
CH3CH2CH2CH2CH2C(O)CH2CH2CH2CH2COONa、
CH3CH2CH2CH2CH2CH2C(O)CH2CH2CH2COONa、
CH3CH2CH2CH2CH2CH2CH2C(O)CH2CH2COONa、
CH3CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2C(O)CH2COONa、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OCH2CH2COONa、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2C(O)NHCH2COOK、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2NHC(O)CH2COOK、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2C(O)OCH2COONa、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OC(O)CH2COONa、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2C(O)COONa、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2C(O)COOH、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2C(O)COOLi、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2C(O)COONH4、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2C(O)COONa、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2C(CH3)2COOK、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2SO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2SO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2SO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2SO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2SO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2SO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2SO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2SO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2SO3Na、
(CH3)3CC(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2SO3Na、
(CH3)2CHC(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2SO3Na、
(CH2)5CHC(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2SO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2SO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2SO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2SO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2SO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2SO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2SO3Na、
CH3C(O)CH2CH2SO3Na、
CH3C(O)CH2SO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OCH2CH2CH2SO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2C(O)NHCH2SO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2NHC(O)CH2SO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2C(O)SO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2C(O)OCH2SO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2OC(O)CH2SO3Na、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2SO3H、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2SO3K、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2SO3Li、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2SO3NH4、
CH3C(O)CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2C(CH3)2SO3Na
等が挙げられる。
【0908】
界面活性剤(d)は、新規化合物であり、例えば、次に例示する製造方法により製造することができる。
【0909】
界面活性剤(d)は、下記式:
【化124】
(式中、R
1d、R
2d及びnは、上記のとおりである。)
で示される化合物(10d)と、下記式:
【化125】
(式中、R
3dは、上記のとおりである。Lは、単結合、-CO
2-B-*、-OCO-B-*、-CONR
6d-B-*、-NR
6dCO-B-*、又は、-CO-(但し、-CO
2-B-、-OCO-B-、-CONR
6d-B-、-NR
6dCO-B-に含まれるカルボニル基を除く。)であり、Bは単結合もしくは置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキレン基であり、R
6dは、H又は置換基を有していてもよい、炭素数1~4のアルキル基である。*は、式中の-S(=O)
2-に結合する側を指す。)で示されるサルトンとを反応させて、下記式:
【化126】
(式中、R
1d~R
3d、n及びX
dは、上記のとおりである。Lは、単結合、-CO
2-B-*、-OCO-B-*、-CONR
6d-B-*、-NR
6dCO-B-*、又は、-CO-(但し、-CO
2-B-、-OCO-B-、-CONR
6d-B-、-NR
6dCO-B-に含まれるカルボニル基を除く。)であり、Bは単結合もしくは置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキレン基であり、R
6dは、H又は置換基を有していてもよい、炭素数1~4のアルキル基である。*は、式中の-OSO
3X
dに結合する側を指す。)
で示される化合物(11d)を得る工程(11d)を含む製造方法により、好適に製造できる。
【0910】
工程(11d)における反応は、塩基の存在下に実施できる。
上記塩基としては、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン等が挙げられる。上記塩基は、化合物(10d)1モルに対して、0.5~20モルの量で使用できる。
【0911】
工程(11d)における反応は、溶媒中で実施できる。
上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、非プロトン性極性溶媒がより好ましい。上記有機溶媒としては、エーテル、芳香族化合物、ニトリル、ハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
上記芳香族化合物としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼンが好ましい。
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【0912】
工程(11d)における反応の温度としては、-78~150℃が好ましく、-20~100℃がより好ましい。
【0913】
工程(11d)における反応の圧力としては、0~10MPaが好ましく、0~1.0MPaがより好ましい。
【0914】
工程(11d)における反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、0.1~48時間がより好ましい。
【0915】
界面活性剤(d)は、また、下記式:
【化127】
(式中、R
1d~R
4d、n、p及びqは上記のとおりである。Lは、単結合、-CO
2-B-*、-OCO-B-*、-CONR
6d-B-*、-NR
6dCO-B-*、又は、-CO-(但し、-CO
2-B-、-OCO-B-、-CONR
6d-B-、-NR
6dCO-B-に含まれるカルボニル基を除く。)であり、Bは単結合もしくは置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキレン基であり、R
6dは、H又は置換基を有していてもよい、炭素数1~4のアルキル基である。*は、式中の-CH
2-OHに結合する側を指す。)
で示される化合物(20d)を酸化させて、下記式:
【化128】
(式中、R
1d~R
4d、n、p、q及びX
dは上記のとおりである。Lは、単結合、-CO
2-B-*、-OCO-B-*、-CONR
6d-B-*、-NR
6dCO-B-*、又は、-CO-(但し、-CO
2-B-、-OCO-B-、-CONR
6d-B-、-NR
6dCO-B-に含まれるカルボニル基を除く。)であり、Bは単結合もしくは置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキレン基であり、R
6dは、H又は置換基を有していてもよい、炭素数1~4のアルキル基である。*は、式中の-CH
2-COOX
dに結合する側を指す。)
で示される化合物(21d)を得る工程(21d)を含む製造方法により、好適に製造できる。
【0916】
工程(21d)における酸化は、化合物(20d)にニトロソ化剤を作用させることにより実施できる。
【0917】
上記ニトロソ化剤としては、亜硝酸ナトリウム、ニトロシル硫酸及び亜硝酸イソアミル等が使用できる。
【0918】
上記ニトロソ化剤は、化合物(20d)1モルに対して、0.5~10モルの量で使用できる。
【0919】
工程(21d)における酸化は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、トリフルオロ酢酸、アセトニトリル等が使用できる。
【0920】
工程(21d)における酸化の温度としては、-78~200℃が好ましく、-20~100℃がより好ましい。
【0921】
工程(21d)における酸化の圧力としては、0~10MPaが好ましく、0~1.0MPaがより好ましい。
【0922】
工程(21d)における酸化の時間としては、0.1~72時間が好ましく、0.1~24時間がより好ましい。
【0923】
化合物(10d)及び化合物(20d)は、下記式:
R
11d-CH=CH-Y
1d-OH
(式中、R
11dは、H、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。Y
1dは、-(CR
2d
2)
n-又は-(CR
2d
2)
n-(OR
3d)
p-(CR
4d
2)
q-L-CH
2-(R
2d~R
4d、n、L、p及びqは、上記のとおり。Lは、単結合、-CO
2-B-*、-OCO-B-*、-CONR
6d-B-*、-NR
6dCO-B-*、又は、-CO-(但し、-CO
2-B-、-OCO-B-、-CONR
6d-B-、-NR
6dCO-B-に含まれるカルボニル基を除く。)であり、Bは単結合もしくは置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキレン基であり、R
6dは、H又は置換基を有していてもよい、炭素数1~4のアルキル基である。*は、式中の-CH
2-に結合する側を指す。)である。)で示される化合物(100d)をヒドロキシ化して、下記式:
【化129】
(式中、R
11d及びY
1dは、上記のとおり。)で示される化合物(101d)を得る工程(101d)、及び、
化合物(101d)を酸化して、下記式:
【化130】
(式中、R
11d及びY
1dは、上記のとおり。)で示される化合物(102d)を得る工程(102d)を含む製造方法により製造できる。
【0924】
R11dとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
R11dとしての上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
【0925】
R11dとしては、H、置換基を有してもよい炭素数1~9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、置換基を有してもよい炭素数3~9の環状のアルキル基が好ましく、H、カルボニル基を含まない炭素数1~9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3~9の環状のアルキル基がより好ましく、H、又は、置換基を有さない炭素数1~9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、H、メチル基(-CH3)又はエチル基(-C2H5)が更により好ましく、H又はメチル基(-CH3)が特に好ましく、Hが最も好ましい。
【0926】
工程(101d)におけるヒドロキシ化は、例えば、(1d)酸素雰囲気中で化合物(100d)にフタロシアニン鉄(II)(Fe(Pc))及び水素化ホウ素ナトリウムを作用させる方法や、(2d)化合物(100d)にイソピノカンフェイルボラン(IpcBH2)を作用させた後、得られる中間体(ジアルキルボラン)を酸化する方法により実施できる。
【0927】
方法(1d)において、フタロシアニン鉄(II)の量は、触媒量であってよく、化合物(100d)1モルに対して、0.001~1.2モルの量で使用できる。
【0928】
方法(1d)において、水素化ホウ素ナトリウムは、化合物(100d)1モルに対して、0.5~20モルの量で使用できる。
【0929】
方法(1d)の反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、ニトリル、含窒素極性有機化合物等が挙げられる。
【0930】
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
【0931】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【0932】
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
【0933】
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
【0934】
上記含窒素極性有機化合物としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等が挙げられ、なかでも、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンが好ましい。
【0935】
方法(1d)の反応の温度としては、-78~200℃が好ましく、0~150℃がより好ましい。
【0936】
方法(1d)の反応の圧力としては、0~5.0MPaが好ましく、0.1~1.0MPaがより好ましい。
【0937】
方法(1d)の反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、0.1~48時間がより好ましい。
【0938】
方法(2d)において、イソピノカンフェイルボランは、化合物(100d)1モルに対して、1.0~10.0モルの量で使用できる。
【0939】
化合物(100d)とイソピノカンフェイルボランとの反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素等が挙げられる。
【0940】
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
【0941】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【0942】
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
【0943】
化合物(100d)とイソピノカンフェイルボランとの反応の温度としては、-78~200℃が好ましく、0~150℃がより好ましい。
【0944】
化合物(100d)とイソピノカンフェイルボランとの反応の圧力としては、0~5.0MPaが好ましく、0.1~1.0MPaがより好ましい。
【0945】
化合物(100d)とイソピノカンフェイルボランとの反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、0.1~48時間がより好ましい。
【0946】
方法(2d)における酸化は、上記中間体に酸化剤を作用させることにより実施できる。上記酸化剤としては、過酸化水素が挙げられる。上記酸化剤は、上記中間体1モルに対して、0.7~10モルの量で使用できる。
【0947】
方法(2d)における酸化は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水、メタノール、エタノール等が挙げられ、なかでも水が好ましい。
【0948】
方法(2d)における酸化の温度としては、0~100℃が好ましく、0~80℃がより好ましい。
【0949】
方法(2d)における酸化の圧力としては、0~5.0MPaが好ましく、0.1~1.0MPaがより好ましい。
【0950】
方法(2d)における酸化の時間としては、0.1~72時間が好ましく、0.1~48時間がより好ましい。
【0951】
工程(102d)において、化合物(101d)を酸化する方法としては、例えば、(a)ジョーンズ試薬(CrO3/H2SO4)を用いる方法(ジョーンズ酸化)、(d)デス・マーチン・ペルヨージナン(DMP)を用いる方法(デス・マーチン酸化)、(c)クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)を用いる方法、(d)NiCl2等のニッケル化合物の存在下に漂白剤(NaOClの約5~6%水溶液)を作用させる方法、(e)Al(CH3)3、Al[OCH(CH3)2]3等のアルミニウム触媒の存在下にアルデヒド、ケトン等の水素受容体を作用させる方法(オッペナウアー酸化)が挙げられる。
【0952】
工程(102d)における酸化は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水及び有機溶媒が好ましく、水、ケトン、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、ニトリル等が挙げられる。
【0953】
上記ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等が挙げられ、なかでも、アセトンが好ましい。
【0954】
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
【0955】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【0956】
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
【0957】
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
【0958】
工程(102d)における酸化の温度としては、-78~200℃が好ましく、採用する方法に応じて適宜選択することができる。
【0959】
工程(102d)における酸化の圧力としては、0~5.0MPaが好ましく、採用する方法に応じて適宜選択することができる。
【0960】
工程(102d)における酸化の時間としては、0.1~72時間が好ましく、採用する方法に応じて適宜選択することができる。
【0961】
化合物(10d)及び化合物(20d)は、また、下記式:
【化131】
(式中、R
1d及びY
1dは、上記のとおり。R
101dは、有機基である。)で示される化合物(200d)をオゾン分解して、下記式:
【化132】
(式中、R
1d及びY
1dは、上記のとおり。)で示される化合物(201d)を得る工程(201d)を含む製造方法により製造できる。
【0962】
R101dとしては、炭素数1~20のアルキル基が好ましい。2個のR101dは、同一でも異なっていてもよい。
【0963】
工程(201d)におけるオゾン分解は、化合物(200d)にオゾンを作用させた後、還元剤で後処理することにより実施できる。
【0964】
オゾンは、酸素ガス中の無声放電によって発生させることができる。
【0965】
上記後処理に用いる還元剤としては、亜鉛、ジメチルスルフィド、チオウレア、ホスフィン類等が挙げられ、なかでもホスフィン類が好ましい。
【0966】
工程(201d)におけるオゾン分解は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水及び有機溶媒が好ましく、水、アルコール、カルボン酸類、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素等が挙げられる。
【0967】
上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。なかでも、メタノール、エタノールが好ましい。
【0968】
上記カルボン酸類としては、酢酸、プロピオン酸等が挙げられる。なかでも、酢酸が好ましい。
【0969】
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
【0970】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【0971】
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
【0972】
工程(201d)におけるオゾン分解の温度としては、-78~200℃が好ましく、0~150℃がより好ましい。
【0973】
工程(201d)におけるオゾン分解の圧力としては、0~5.0MPaが好ましく、0.1~1.0MPaがより好ましい。
【0974】
工程(201d)におけるオゾン分解の時間としては、0.1~72時間が好ましく、0.1~48時間がより好ましい。
【0975】
化合物(10d)及び化合物(20d)は、また、下記式:
R
21d-CH=CH-Y
1d-OH
(式中、Y
1dは、上記のとおり。R
21dは、H、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。)で示される化合物(300d)をエポキシ化して、下記式:
【化133】
(式中、R
21d及びY
1dは、上記のとおり。)で示される化合物(301d)を得る工程(301d)、
化合物(301d)と、R
22d
2CuLi(R
22dは、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。)で示されるジアルキル銅リチウムとを反応させて、下記式:
【化134】
(式中、R
21d、R
22d及びY
1dは、上記のとおり。)で示される化合物(302d)を得る工程(302d)、及び、
化合物(302d)を酸化して、下記式:
【化135】
(式中、R
21d、R
22d及びY
1dは、上記のとおり。)で示される化合物(303d)を得る工程(303d)を含む製造方法により製造できる。
【0976】
R21dとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
R21dとしての上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
【0977】
R21dとしては、H、置換基を有してもよい炭素数1~8の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、置換基を有してもよい炭素数3~8の環状のアルキル基が好ましく、H、カルボニル基を含まない炭素数1~8の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3~8の環状のアルキル基がより好ましく、H、又は、置換基を有さない炭素数1~8の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、H又はメチル基(-CH3)が特に好ましく、Hが最も好ましい。
【0978】
R22dとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
R22dとしての上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
【0979】
R22dとしては、置換基を有してもよい炭素数1~9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、置換基を有してもよい炭素数3~9の環状のアルキル基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1~9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3~9の環状のアルキル基がより好ましく、置換基を有さない炭素数1~9の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、メチル基(-CH3)又はエチル基(-C2H5)が特に好ましく、メチル基(-CH3)が最も好ましい。
【0980】
2個のR22dは、同一でも異なっていてもよい。
【0981】
R21d及びR22dは、炭素数が合計で1~7であることが好ましく、1~2であることがより好ましく、1であることが最も好ましい。
【0982】
工程(301d)におけるエポキシ化は、化合物(300d)にエポキシ化剤を作用させることにより実施できる。
【0983】
上記エポキシ化剤としては、メタクロロ過安息香酸(m-CPBA)、過安息香酸、過酸化水素、tert-ブチルヒドロペルオキシド等の過酸、ジメチルジオキシラン、メチルトリフルオロメチルジオキシラン等が挙げられ、なかでも過酸が好ましく、メタクロロ過安息香酸がより好ましい。
上記エポキシ化剤は、化合物(300d)1モルに対して、0.5~10.0モルの量で使用できる。
【0984】
工程(301d)におけるエポキシ化は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、ケトン、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、ニトリル、ピリジン、含窒素極性有機化合物、ジメチルスルホキシド等が挙げられ、なかでもジクロロメタンが好ましい。
【0985】
上記ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等が挙げられ、なかでも、アセトンが好ましい。
【0986】
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
【0987】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【0988】
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
【0989】
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
【0990】
上記含窒素極性有機化合物としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等が挙げられ、なかでも、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンが好ましい。
【0991】
工程(301d)におけるエポキシ化の温度としては、-78~200℃が好ましく、-40~150℃がより好ましい。
【0992】
工程(301d)におけるエポキシ化の圧力としては、0~5.0MPaが好ましく、0.1~1.0MPaがより好ましい。
【0993】
工程(301d)におけるエポキシ化の時間としては、0.1~72時間が好ましく、0.1~48時間がより好ましい。
【0994】
工程(302d)において、上記ジアルキル銅リチウムは、化合物(301d)1モルに対して、0.5~10.0モルの量で使用できる。
【0995】
工程(302d)の反応は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、有機溶媒が好ましく、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素等が挙げられる。
【0996】
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
【0997】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【0998】
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
【0999】
工程(302d)の反応の温度としては、-78~200℃が好ましく、-40~150℃がより好ましい。
【1000】
工程(302d)の反応の圧力としては、0~5.0MPaが好ましく、0.1~1.0MPaがより好ましい。
【1001】
工程(302d)の反応の時間としては、0.1~72時間が好ましく、0.1~48時間がより好ましい。
【1002】
工程(303d)において、化合物(302d)を酸化する方法としては、例えば、(a)ジョーンズ試薬(CrO3/H2SO4)を用いる方法(ジョーンズ酸化)、(d)デス・マーチン・ペルヨージナン(DMP)を用いる方法(デス・マーチン酸化)、(c)クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)を用いる方法、(d)NiCl2等のニッケル化合物の存在下に漂白剤(NaOClの約5~6%水溶液)を作用させる方法、(e)Al(CH3)3、Al[OCH(CH3)2]3等のアルミニウム触媒の存在下にアルデヒド、ケトン等の水素受容体を作用させる方法(オッペナウアー酸化)が挙げられる。
【1003】
工程(303d)における酸化は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水及び有機溶媒が好ましく、水、ケトン、アルコール、エーテル、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、ニトリル等が挙げられる。
【1004】
上記ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等が挙げられ、なかでも、アセトンが好ましい。
【1005】
上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。なかでも、メタノール、エタノールが好ましい。
【1006】
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
【1007】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【1008】
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
【1009】
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
【1010】
工程(303d)における酸化の温度としては、-78~200℃が好ましく、採用する方法に応じて適宜選択することができる。
【1011】
工程(303d)における酸化の圧力としては、0~5.0MPaが好ましく、採用する方法に応じて適宜選択することができる。
【1012】
工程(303d)における酸化の時間としては、0.1~72時間が好ましく、採用する方法に応じて適宜選択することができる。
【1013】
化合物(10d)及び化合物(20d)は、また、下記式:
R
11d-CH=CH-Y
1d-OH
(式中、R
11d及びY
1dは、上記のとおり。)で示される化合物(100d)を酸化して、下記式:
【化136】
(式中、R
11d及びY
1dは、上記のとおり。)で示される化合物(401d)を得る工程(401d)を含む製造方法により製造できる。
【1014】
工程(401d)における酸化は、水及びパラジウム化合物の存在下で、化合物(100d)に酸化剤を作用させることにより実施できる。
【1015】
上記酸化剤としては、塩化銅、酢酸銅、シアン化銅、トリフルオロメタンチオール銅等の一価又は二価の銅塩、塩化鉄、酢酸鉄、シアン化鉄、トリフルオロメタンチオール鉄、ヘキサシアノ鉄等の鉄塩、1,4-ベンゾキノン、2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン、テトラクロロ-1,2-ベンゾキノン、テトラクロロ-1,4-ベンゾキノン等のベンゾキノン類、H2O2、MnO2、KMnO4、RuO4、m-クロロ過安息香酸、酸素等が挙げられる。なかでも、銅塩、鉄塩、ベンゾキノン類が好ましく、塩化銅、塩化鉄、1,4-ベンゾキノンがより好ましい。
上記酸化剤は、化合物(100d)1モルに対して、0.001~10モルの量で使用できる。
【1016】
上記水は、化合物(100d)1モルに対して、0.5~1000モルの量で使用できる。
【1017】
上記パラジウム化合物としては、二塩化パラジウムが挙げられる。上記パラジウム化合物の量は、触媒量であってよく、化合物(100d)1モルに対して、0.0001~1.0モルの量で使用できる。
【1018】
工程(401d)における酸化は、溶媒中で実施できる。上記溶媒としては、水、エステル、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、アルコール、カルボン酸類、エーテル、ハロゲン化炭化水素、含窒素極性有機化合物、ニトリル、ジメチルスルホキシド、スルホランが挙げられる。
【1019】
上記エステルとしては、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA;別名1-メトキシ-2-アセトキシプロパン)等が挙げられ、なかでも、酢酸エチルが好ましい。
【1020】
上記脂肪族炭化水素としては、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、ミネラルスピリット等が挙げられ、なかでも、シクロヘキサン、ヘプタンが好ましい。
【1021】
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、なかでも、ベンゼン、トルエンが好ましい。
【1022】
上記アルコールとしては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。
【1023】
上記カルボン酸類としては、酢酸、プロピオン酸等が挙げられる。なかでも、酢酸が好ましい。
【1024】
上記エーテルとしては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙げられ、なかでも、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
【1025】
上記ハロゲン化炭化水素としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等が挙げられ、なかでも、ジクロロメタン、クロロホルムが好ましい。
【1026】
上記含窒素極性有機化合物としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等が挙げられ、なかでも、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドンが好ましい。
【1027】
上記ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられ、なかでも、アセトニトリルが好ましい。
【1028】
工程(401d)における酸化の温度としては、-78~200℃が好ましく、-20~150℃がより好ましい。
【1029】
工程(401d)における酸化の圧力としては、0~10MPaが好ましく、0.1~5.0MPaがより好ましい。
【1030】
工程(401d)における酸化の時間としては、0.1~72時間が好ましく、0.1~48時間がより好ましい。
【1031】
界面活性剤(d)は、また、下記式:
R
11d-CH=CH-(CR
2d
2)
n-(OR
3d)
p-(CR
4d
2)
q-L-COOX
d
(式中、R
2d~R
4d、R
11d、n、p、q及びX
dは、上記のとおり。Lは、単結合、-CO
2-B-*、-OCO-B-*、-CONR
6d-B-*、-NR
6dCO-B-*、又は、-CO-(但し、-CO
2-B-、-OCO-B-、-CONR
6d-B-、-NR
6dCO-B-に含まれるカルボニル基を除く。)であり、Bは単結合もしくは置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキレン基であり、R
6dは、H又は置換基を有していてもよい、炭素数1~4のアルキル基である。上記アルキレン基は、炭素数が1~5であることがより好ましい。また、上記R
6dは、H又はメチル基であることがより好ましい。*は、式中の-COOX
dに結合する側を指す。)で示される化合物(30d)を酸化して、下記式:
【化137】
(R
2d~R
4d、L、R
11d、n、p、q及びX
dは、上記のとおり。)で示される化合物(31d)を得る工程(31d)を含む製造方法により製造できる。
【1032】
工程(31d)における酸化は、水及びパラジウム化合物の存在下で、化合物(30d)に酸化剤を作用させることにより実施でき、工程(401d)における酸化と同様の条件が採用できる。
【1033】
上述したいずれの製造方法においても、各工程の終了後、溶媒を留去したり、蒸留、精製等を実施したりして、得られる化合物の純度を高めてもよい。また、得られる化合物が-SO3H、-COOH等のXdがHである化合物である場合は、炭酸ナトリウム、アンモニア等のアルカリと接触させることにより、これらの基を塩型に変換できる。
【1034】
本開示の除去方法においては、上記炭化水素系界面活性剤を2種以上同時に用いてもよい。
【1035】
上記炭化水素系界面活性剤としては、上記式(a)で表される界面活性剤(a)、上記式(b)で示される界面活性剤(b)、及び、上記式(c)で示される界面活性剤(c)、上記式(d)で示される界面活性剤(d)からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
【1036】
本開示の除去方法においては、スルホン酸型の界面活性剤由来の含硫黄の不純物が排水に含まれないため、炭化水素系界面活性剤がカルボン酸型炭化水素系界面活性剤であることが特に好適である。
上記カルボン酸型炭化水素系界面活性剤としては、カルボキシル基又はカルボキシル基の水素原子が上述した式(α)におけるM(金属原子、NR11
4、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム、又は、置換基を有していてもよいホスホニウム)等で置換された基を有するものが挙げられる。例えば、上述した炭化水素系界面活性剤の中から、カルボキシル基又はカルボキシル基の水素原子が上述した式(α)におけるM(Mは上記と同じ)に置換された基を有する炭化水素系界面活性剤を使用することができる。
【1037】
上記カルボン酸型炭化水素系界面活性剤として好ましくは、上記化合物(α)、上記式(1)で示される界面活性剤(1)において式(1)のAが-COOMである化合物、上記式(c)で示される界面活性剤(c)、及び、上記式(d)で示される界面活性剤(d)からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。カルボン酸型炭化水素系界面活性剤としては、特に、上記化合物(α)が好ましい。
【1038】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【実施例】
【1039】
つぎに本開示を実験例をあげて説明するが、本開示はかかる実験例のみに限定されるものではない。
【1040】
実験例の各数値は以下の方法により測定した。
【1041】
平均一次粒子径(nm)
PTFE水性分散液を水で固形分含有量が0.15質量%になるまで希釈し、得られた希釈ラテックスの単位長さに対する550nmの投射光の透過率と、透過型電子顕微鏡写真により定方向径を測定して決定した数基準長さ平均一次粒子径とを測定して、検量線を作成する。この検量線を用いて、各試料の550nmの投射光の実測透過率からPTFE水性分散液中のPTFE粒子の平均一次粒子径を決定した。
【1042】
PTFE固形分含有量(質量%)
PTFE水性分散液1gを、送風乾燥機中で150℃、60分の条件で乾燥し、水性分散液の質量(1g)に対する、加熱残分の質量の割合を百分率で表した値を採用した。
【1043】
標準比重(SSG)
ASTM D4895-89に準拠して成形されたサンプルを用い、ASTM D 792に準拠した水置換法により測定した。
【1044】
一般式(1)又は(2)で示される化合物の含有量
液体クロマトグラフィー質量分析法を用いて下記条件で測定した。
【1045】
〔一般式(1)で示される化合物の含有量測定方法〕
水性分散液からの抽出
水性分散液の固形分含有量を測定し、PTFE固形分0.5gに相当する量の水性分散液を100mLスクリュー管に秤量した。その後、水性分散液中に含まれている水と合わせ、抽出溶媒が40g(43.14mL)の水/メタノール=50/50vol%となるように水とメタノールを加えた。その後、凝析するまでよく振とうした。固形分を取り除き、液相を4000rpmで1時間遠心分離を行い、一般式(1)で示される化合物を含む上澄み液を抽出した。
【1046】
粉末からの抽出
粉末1gにメタノール10g(12.6mL)を加え、60分間の超音波処理を行い、一般式(1)で示される化合物を含む上澄み液を抽出した。
【1047】
抽出液に含まれる一般式(1)で示される化合物の含有量測定
抽出液に含まれる一般式(1)で示される化合物の含有量はパーフルオロオクタン酸に換算することにより求めた。
【1048】
パーフルオロオクタン酸の検量線
1ng/mL~100ng/mLの濃度既知のパーフルオロオクタン酸のメタノール標準溶液を5水準調製し、液体クロマトグラフ質量分析計(Waters, LC-MS ACQUITY UPLC/TQD)を用いて測定を行った。それぞれのサンプル濃度とピークの積分値から一次近似を用い、下記関係式(1)によりa、bを求めた。
A=a×X+b (1)
A:パーフルオロオクタン酸のピーク面積
X:パーフルオロオクタン酸の濃度(ng/mL)
【1049】
【1050】
【1051】
抽出液に含まれる炭素数が4以上、20以下の一般式(1)で示される化合物の含有量
液体クロマトグラフ質量分析計を用い、炭素数が4以上、20以下の一般式(1)で示される化合物を測定した。抽出した液相について、MRM法を用いて各炭素数の一般式(1)で示される化合物のピーク面積を求めた。
【1052】
【1053】
抽出液中の炭素数(m+1)の一般式(1)で示される化合物の含有量は下記式(3)を用いて算出した。式(3)のa、bは式(1)より求めた。
XCm=((ACm-b)/a)×((50×m+45)/413) (3)
XCm:抽出溶液中の炭素数(m+1)の一般式(1)で示される化合物の含有量(ng/mL)
ACm:抽出溶液中の炭素数(m+1)の一般式(1)で示される化合物のピーク面積
この測定における定量限界は1ng/mLである。
【1054】
水性分散液中に含まれる炭素数(m+1)の一般式(1)で示される化合物の含有量
水性分散液中に含まれる炭素数(m+1)の一般式(1)で示される化合物の含有量は下記式(5)により求めた。
ZCm=XCm×86.3 (5)
ZCm:水性分散液中に含まれる炭素数(m+1)の一般式(1)で示される化合物の含有量(ppb対PTFE)
【1055】
粉末中に含まれる炭素数(m+1)の一般式(1)で示される化合物の含有量
粉末中に含まれる炭素数(m+1)の一般式(1)で示される化合物の含有量は下記式(4)により求めた。
YCm=XCm×12.6 (4)
YCm:粉末中に含まれる炭素数(m+1)の一般式(1)で示される化合物の含有量(ppb対PTFE)
【1056】
〔一般式(2)で示される化合物の含有量測定方法〕
水性分散液からの抽出
水性分散液の固形分含有量を測定し、PTFE固形分0.5gに相当する量の水性分散液を100mLスクリュー管に秤量した。その後、水性分散液中に含まれている水と合わせ、抽出溶媒が40g(43.14mL)の水/メタノール=50/50vol%となるように水とメタノールを加えた。その後、凝析するまでよく振とうした。固形分を取り除き、液相を4000rpmで1時間遠心分離を行い、一般式(2)で示される化合物を含む上澄み液を抽出した。
【1057】
粉末からの抽出
粉末1gにメタノール10g(12.6mL)を加え、60分間の超音波処理を行い、一般式(2)で示される化合物を含む上澄み液を抽出した。
【1058】
抽出液に含まれる一般式(2)で示される化合物の含有量測定
抽出液に含まれる一般式(2)で示される化合物の含有量はパーフルオロオクタンスルホン酸に換算することにより求めた。
【1059】
パーフルオロオクタンスルホン酸の検量線
1ng/mL~100ng/mLの濃度既知のパーフルオロオクタンスルホン酸のメタノール標準溶液を5水準調製し、液体クロマトグラフ質量分析計(Waters, LC-MS ACQUITY UPLC/TQD)を用いて測定を行った。それぞれのサンプル濃度とピークの積分値から一次近似を用い、下記関係式(1)によりa、bを求めた。
A=a×X+b (1)
A:パーフルオロオクタンスルホン酸のピーク面積
X:パーフルオロオクタンスルホン酸の濃度(ng/mL)
【1060】
【1061】
【1062】
抽出液に含まれる炭素数が4以上、20以下の一般式(2)で示される化合物の含有量
液体クロマトグラフ質量分析計を用い、炭素数が4以上、20以下の一般式(2)で示される化合物を測定した。抽出した液相について、MRM法を用いて各炭素数の一般式(2)で示される化合物のピーク面積を求めた。
【1063】
【1064】
抽出液中の炭素数nの一般式(2)で示される化合物の含有量は下記式(3)を用いて算出した。式(3)のa、bは式(1)より求めた。
XSn=((ASn-b)/a)×((50×n+81)/499) (3)
XSn:抽出溶液中の炭素数nの一般式(2)で示される化合物の含有量(ng/mL)ASn:抽出溶液中の炭素数nの一般式(2)で示される化合物のピーク面積
この測定における定量限界は1ng/mLである。
【1065】
水性分散液中に含まれる炭素数nの一般式(2)で示される化合物の含有量
水性分散液中に含まれる炭素数nの一般式(2)で示される化合物の含有量は下記式(5)により求めた。
ZSn=XSn×86.3 (5)
ZSn:水性分散液中に含まれる炭素数nの一般式(2)で示される化合物の含有量(ppb対PTFE)
【1066】
粉末中に含まれる炭素数nの一般式(2)で示される化合物の含有量
粉末中に含まれる炭素数nの一般式(2)で示される化合物の含有量は下記式(4)により求めた。
YSn=XSn×12.6 (4)
YSn:粉末中に含まれる炭素数nの一般式(2)で示される化合物の含有量(ppb対PTFE)
【1067】
合成例1
10-オキソウンデカン酸(1.8g)を1.0MKOH水に加えて、水を留去して、10-オキソウンデカン酸カリウム(2.2g)を得た。
得られた10-オキソウンデカン酸カリウム(以下、界面活性剤Bという)のスペクトルデータを以下に示す。
1H-NMR(CDCl3) δppm:1.04(m,8H)、1.30-1.32(m,4H)、1.89-2.01(m,5H)、2.27-2.33(t,J=7.6,4H)
【1068】
合成例2
内容積1Lのガラス製のオートクレーブに550gの脱イオン脱気水、30gのパラフィンワックス、0.0145gの界面活性剤Bを加えた。反応器を密閉し、系内を窒素で置換を行ない、酸素を取り除いた。反応器を70℃に昇温し、TFEを反応器に充填して、反応器を0.78MPaにした。重合開始剤として過硫酸アンモニウム(APS)0.110gを仕込んだ。反応圧力が0.78MPa一定となるように、TFEを仕込んだ。TFEを50g仕込んだ時に、撹拌を停止し、反応器が大気圧になるまで脱圧を行なった。水性分散液を反応器より取り出し、冷却後、パラフィンワックスを分離し、PTFE水性分散液Bを得た。得られたPTFE水性分散液Bに含まれる粒子の平均一次粒子径は、216nmであった。また、得られたPTFE水性分散液Bの固形分含有量は、8.2質量%であった。
得られたPTFE水性分散液Bの一般式(1)及び(2)で示される化合物の含有量を測定した。結果を下記表7に示す。
【1069】
調製例1
合成例2で得られたPTFE水性分散液Bに脱イオン水を加え、比重(25℃)を1.080に調整した。アンカー型撹拌翼と邪魔板を備えた内容量が6Lのガラス製凝析槽に、比重調整したPTFE水性分散液B2.5Lを加え、内温が34℃になるように温度調節した。調節後直ちに硝酸(10%)16gを添加すると同時に撹拌速度500rpmで撹拌を開始した。撹拌開始後、水性分散液がスラリー状態を経て、湿潤PTFE粉末が形成されたことを確認し、更に1分間撹拌を継続した。
続いて、湿潤PTFE粉末を濾別し、湿潤PTFE粉末と脱イオン水2.5Lを凝析槽内に仕込み、25℃に調整して、撹拌速度500rpmでポリマー粉末を洗浄する操作を2回繰り返した。洗浄の後、湿潤PTFE粉末を濾別し、150℃の熱風循環式乾燥機内に18時間静置して乾燥させ、PTFE粉末を得た。
得られたPTFE粉末のSSGは、2.261であった。このことより、得られたPTFEは、高分子量PTFEであることが分かった。
得られたPTFE粉末の一般式(1)及び(2)で示される化合物の含有量を測定した。結果を下記表7に示す。
【1070】
【表7】
nが5、7、9、11、13、15、17及び19、mが4、6、8、10、12、14、16及び18のピークについては定量限界以下であった。
定量限界は、水性分散液の場合が86ppbであり、粉末の場合が13ppbである。
本開示において、表中の「E」とは指数を表す。たとえば、「8.3E+04」は、8.3×10
4を表す。
【1071】
表1で示されるように、炭化水素系界面活性剤を用いた重合により含フッ素ポリマーを得た場合、一般式(1)で示される含フッ素化合物が含フッ素ポリマーの水性分散液中に存在することがわかる。水性分散液から含フッ素ポリマーを回収すれば、一般式(1)で示される含フッ素化合物を含有する排水が生じる。このような含フッ素ポリマー製造工程で生じる排水と吸着剤とを接触させることで排水中の一般式(1)で示される含フッ素化合物を排水中から除去することができる。
【1072】
以下では、モデル水溶液(一般式(1)で示される含フッ素化合物を含む水溶液)を用いた実験例を用いて、本開示の除去方法について説明する。
【1073】
吸着処理によるH-(CF2)6-COOH、及びH-(CF2)8-COOHの除去率は液体クロマトグラフィー質量分析法を用いて下記条件で測定した。
【1074】
【1075】
【1076】
H-(CF2)6-COOHの除去率XC7%は式(6)より求めた。
XC7=(1-(AC7/BC7))×100) 式(6)
AC7:吸着処理後サンプルに含まれるH-(CF2)6-COOHのピーク面積
BC7:吸着処理前サンプルに含まれるH-(CF2)6-COOHのピーク面積
【1077】
H-(CF2)8-COOHの除去率XC9%は式(7)より求めた。
XC9=(1-(AC9/BC9))×100) 式(7)
AC9:吸着処理後サンプルに含まれるH-(CF2)8-COOHのピーク面積
BC9:吸着処理前サンプルに含まれるH-(CF2)8-COOHのピーク面積
検出限界は、ピーク面積で5以下とする。
【1078】
以下の実験例における一般式(1)で示される含フッ素化合物の濃度は下記の通りとした。実験例中、「%」、「ppm」および「ppb」は、ことわりのない限り、重量基準による。
実験例A
H(CF2)6COOHを5ppm及びH(CF2)8COOHを5ppm含む水溶液(水溶液A)5gを水45gで希釈した後、H(CF2)6COOH及びH(CF2)8COOH(一般式(1)で示される含フッ素化合物)の分析を行った。分析の結果を、表10の吸着処理前の欄に示す。
【1079】
実験例1
モデル水溶液として、H(CF2)6COOHを5ppm及びH(CF2)8COOHを5ppm含む水溶液(水溶液A)50gに、吸着剤として陰イオン交換樹脂アンバージェットIRA4002OH(商品名、オルガノ社製)を1.5g加え、シェイキングバスSB-20(アズワン製)を用いて180rpm(毎分回転数)で3時間撹拌した。撹拌停止後、0.5時間静置して上澄み液を5g採取し、水45gで希釈した後、H(CF2)6COOH及びH(CF2)8COOH(一般式(1)で示される含フッ素化合物)の分析を行った。結果を表10に示す。
【1080】
実験例2
吸着剤の仕込み量を6.5gに変えた以外は、実験例1と同様の操作を行った。
結果を表10に示す。
【1081】
実験例3
吸着剤の仕込み量を13.0gに変えた以外は、実験例1と同様の操作を行った。
結果を表10に示す。
【1082】
実験例4
吸着剤を陰イオン交換樹脂ピュロライトA300(ピュロライト社製)に変えた以外は、実験例1と同様の操作を行った。結果を表10に示す。
【1083】
実験例5
吸着剤の仕込み量を6.5gに変えた以外は、実験例4と同様の操作を行った。
結果を表10に示す。
【1084】
実験例6
吸着剤の仕込み量を13.0gに変えた以外は、実験例4と同様の操作を行った。結果を表10に示す。
【1085】
実験例7
吸着剤を陰イオン交換樹脂ピュロライトPFA694E(ピュロライト社製)に変えた以外は、実験例1と同様の操作を行った。結果を表10に示す。
【1086】
実験例8
吸着剤の仕込み量を6.5gに変えた以外は、実験例7と同様の操作を行った。
結果を表10に示す。
【1087】
実験例9
吸着剤の仕込み量を13.0gに変えた以外は、実験例7と同様の操作を行った。結果を表10に示す。
【1088】
実験例10
吸着剤を合成吸着剤アンバーライトXAD1180N(オルガノ社製、細孔径506Å 、比表面積 623m2/g)に変えた以外は、実験例1と同様の操作を行った。結果を表10に示す。
【1089】
実験例11
吸着剤の仕込み量を6.5gに変えた以外は、実験例10と同様の操作を行った。
結果を表10に示す。
【1090】
実験例12
吸着剤の仕込み量を13.0gに変えた以外は、実験例10と同様の操作を行った。結果を表10に示す。
【1091】
実験例13
吸着剤を合成吸着剤アンバーライトFPX66(オルガノ社製、細孔径243Å、比表面積914m2/g)に変えた以外は、実験例1と同様の操作を行った。結果を表10に示す。
【1092】
実験例14
吸着剤の仕込み量を6.5gに変えた以外は、実験例13と同様の操作を行った。
結果を表10に示す。
【1093】
実験例15
吸着剤の仕込み量を13.0gに変えた以外は、実験例13と同様の操作を行った。結果を表10に示す。
【1094】
【1095】
実験例16
モデル水溶液として、H(CF2)6COOHを5ppm及びH(CF2)8COOHを5ppm含む水溶液5gを水45gで希釈した50gの水溶液(水溶液B)を作製した。水溶液Bに過硫酸アンモニウムを2500ppm含む水溶液1gを混合し、80℃の恒温槽で7時間加熱処理した後、室温まで冷却し、H(CF2)6COOH及びH(CF2)8COOHの濃度分析を行った。結果を表11に示す。
【1096】
【1097】
表11に示す結果から、モデル水溶液に対して、過硫酸イオンによる処理を行うことにより、モデル水溶液に含まれていた含フッ素化合物が、炭素数が減少した含フッ素化合物などに変化したものと推測される。