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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】シートシステム
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/90 20180101AFI20240510BHJP
   A47C 7/62 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
B60N2/90
A47C7/62 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022209687
(22)【出願日】2022-12-27
(62)【分割の表示】P 2018224038の分割
【原出願日】2018-11-29
(65)【公開番号】P2023024792
(43)【公開日】2023-02-16
【審査請求日】2023-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】郭 裕之
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特許第7208485(JP,B2)
【文献】特開2003-104116(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0251979(US,A1)
【文献】特開2018-090057(JP,A)
【文献】特開2012-157580(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0269601(US,A1)
【文献】特開2017-210070(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00-2/90
A47C 7/62,31/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート本体、および、前記シート本体に設けられ、前記シート本体に座っている着座者の第1情報を取得する第1センサを有するシートと、
前記着座者に装着され、前記着座者の第2情報を取得する第2センサを有するウェアラブル機器と、
前記第1センサから前記第1情報を取得するとともに、前記ウェアラブル機器から前記第2情報を取得する端末と、を備えるシートシステムであって、
前記端末は、
前記第2情報に基づいて、前記第1情報を利用したプランを前記着座者に提示し、
前記第1情報に基づいて前記着座者が前記シート本体に着座しているか否かを判定し、着座していないと判定した場合に着座を促す表示を行うことを特徴とするシートシステム。
【請求項2】
前記第1センサは、圧力センサであり、
前記第1情報は、圧力値であることを特徴とする請求項1に記載のシートシステム。
【請求項3】
前記端末は、前記第1情報に基づいて前記着座者が前記シート本体に着座しているか否かを判定し、着座していると判定したことを条件として、前記着座者に前記プランを提示することを特徴とする請求項2に記載のシートシステム。
【請求項4】
前記端末は、前記着座者が前記プランを実行した場合に前記第1情報に基づいて前記着座者が前記プランを実行したときの前記着座者の活動量を算出し、当該活動量を前記着座者に報知することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のシートシステム。
【請求項5】
前記端末は、前記第2情報を特定の基準値と比較することで、前記着座者に提示するプランを決定することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のシートシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサを有するシートを備えたシートシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗員の着座姿勢を検出するために、シート上に複数の圧力センサを配置した車両用シートが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-65504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の車両用シートは、運転者の着座姿勢を評価して提示するだけであるので、あまり有効に利用できないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、シートの新たな価値を提案するべく、センサを有するシートに着座した着座者の身体情報、生体情報、活動情報などに適した活動のプランを着座者に提示することが可能なシートシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決するため、本発明に係るシートシステムは、シート本体、および、前記シート本体に設けられ、前記シート本体に座っている着座者の動作を検出するための第1情報を取得する第1センサを有するシートと、前記着座者に装着され、前記着座者の身体状態を検出するための第2情報を取得する第2センサを有するウェアラブル機器と、前記第1センサから前記第1情報を取得するとともに、前記ウェアラブル機器から前記第2情報を取得する端末と、を備える。
前記端末は、前記第2情報に基づいて、前記第1センサを利用した活動のプランを前記着座者に提示する。
【0007】
この構成によれば、端末が、着座者が身に付けているウェアラブル機器から取得した第2情報に基づいて、第1センサを利用した活動のプランを着座者に提示するので、着座者の身体状態、生体情報、活動情報などに適した活動のプランを着座者に提示することができる。
【0008】
また、前記第1センサは、圧力センサであり、前記第1情報は、圧力値であってもよい。
【0009】
これによれば、圧力センサを利用した活動のプラン、例えば着座者に運動を促すようなプランを着座者に提示することができる。
【0010】
また、前記端末は、前記第1情報に基づいて前記着座者が前記シート本体に着座しているか否かを判定し、着座していると判定したことを条件として、前記着座者に前記プランを提示してもよい。
【0011】
これによれば、着座者がシートを利用することができる状態であるときにプランが提示されるので、提示されたプランを着座者が迅速に選択・実行することができる。
【0012】
また、前記端末は、前記着座者が前記プランを実行した場合に前記第1情報に基づいて前記着座者が前記プランを実行したときの前記着座者の活動量を算出し、当該活動量を前記着座者に報知してもよい。
【0013】
これによれば、着座者がプランを実行すると、着座者の活動量が算出されて着座者に報知されるので、着座者がどの程度活動したのかを容易に知ることができる。
【0014】
また、前記端末は、前記着座者が前記プランを実行した場合に前記第1情報に基づいて前記着座者が前記プランを実行したときの前記着座者の活動量を算出し、当該活動量と前記第2情報とに基づいて、前記プランを提示してもよい。
【0015】
これによれば、まず、第2情報に基づいて決定されたプランを実行すると、プランの実行結果が反映された活動量と第2情報とに基づいてプランが再度決定され、そのプランが着座者に提示されるので、そのときの着座者の身体状態に最適なプランを着座者に提示することができる。
【0016】
また、前記端末は、前記活動量を前記ウェアラブル機器に送信してもよい。
【0017】
これによれば、ウェアラブル機器においてシートでの活動量を利用することができるので、例えばウェアラブル機器に正確な活動量を記憶させることができる。
【0018】
また、前記端末は、前記第2情報を特定の基準値と比較することで、前記着座者に提示するプランを決定してもよい。
【0019】
これによれば、端末において、適正なプランを決定することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、端末が、着座者が身に付けているウェアラブル機器から取得した第2情報に基づいて、第1センサを利用した活動のプランを着座者に提示するので、着座者の身体状態、生体情報、活動情報などに適した活動のプランを着座者に提示することができる。
【0021】
また、第1センサを圧力センサとし、第1情報を圧力値とすることで、圧力センサを利用した活動のプラン、例えば着座者に運動を促すようなプランを着座者に提示することができる。
【0022】
また、着座者がシート本体に着座していることを条件として着座者にプランを提示することで、着座者がシートを利用することができる状態であるときにプランが提示されるので、提示されたプランを着座者が迅速に選択・実行することができる。
【0023】
また、着座者がプランを実行した場合に第1情報に基づいて着座者の活動量を算出し、当該活動量を着座者に報知することで、着座者がどの程度活動したのかを容易に知ることができる。
【0024】
また、着座者がプランを実行した場合に第1情報に基づいて着座者の活動量を算出し、当該活動量と第2情報とに基づいてプランを提示することで、そのときの着座者の身体状態に最適なプランを着座者に提示することができる。
【0025】
また、端末が活動量をウェアラブル機器に送信することで、ウェアラブル機器においてシートでの活動量を利用することができるので、例えばウェアラブル機器に正確な活動量を記憶させることができる。
【0026】
また、端末が、第2情報を特定の基準値と比較することで、着座者に提示するプランを決定するように構成されることで、端末において、適正なプランを決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】一実施形態に係るシートシステムを示す図である。
図2】シートシステムの構成を説明する図である。
図3】100m走ゲームで取得する圧力の変化を示すグラフである。
図4】歩数から活動のプランを決定するためのテーブルを示す図である。
図5】スマートフォンでの制御を示すフローチャートである。
図6】着座者に乗物用シートへの着座を促す画面を示す図である。
図7】100m走ゲームを推奨する画面を示す図である。
図8】座禅ゲームを推奨する画面を示す図である。
図9】休憩を推奨する画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
図1に示すように、シートシステム1は、シートの一例としての乗物用シートSと、ウェアラブル機器Wと、端末の一例としてのスマートフォンSPと、を備えている。
【0029】
乗物用シートSは、例えば、車両に設置される車両用シートとして構成される。なお、本発明において、前後、左右、上下は、乗物用シートSに座る着座者Pを基準とする。
【0030】
図2に示すように、乗物用シートSは、シート本体S0と、制御装置100とからなる。シート本体S0は、シートクッションS1およびシートバックS2を有する。シートクッションS1およびシートバックS2は、クッションパッド20と、クッションパッド20を被覆する表皮10とを備えている。クッションパッド20は、ウレタンフォームなどからなり、図示せぬフレームによって支持されている。表皮10は、合成皮革や布地などからなっている。
【0031】
シートクッションS1とシートバックS2には、表皮10の下に複数の圧力センサPS1~PS6が設けられている。圧力センサPS1~PS6は、第1センサの一例であり、シート本体S0に座っている着座者Pの動作を検出するための第1情報である測定値を取得する。圧力センサPS1~PS6は、シート本体S0に着座する着座者Pに対向する座面の状態を検知可能に配置され、シート本体S0に座っている着座者Pからの圧力値を取得する。
【0032】
各圧力センサPS1~PS6は、乗物用シートSの左右の中心に対して左右対称に1対ずつ設けられている。
具体的には、シートクッションS1には、圧力センサPS1~PS3が設けられている。圧力センサPS1および圧力センサPS2は、シートクッションS1における着座者Pの臀部に対応する位置に配置されている。圧力センサPS1および圧力センサPS2は、着座者Pの臀部からの圧力を測定する第1クッションセンサSC1を構成している。圧力センサPS2は、圧力センサPS1の少し前に配置されている。なお、第1クッションセンサSC1は、圧力センサPS1および圧力センサPS2のいずれか一方のみを備えていてもよい。
【0033】
圧力センサPS3は、着座者Pの大腿の下に位置している。圧力センサPS3は、着座者Pの大腿からの圧力値を測定する第2クッションセンサSC2を構成している。圧力センサPS3は、圧力センサPS1および圧力センサPS2から前方に大きく離れて配置されている。
【0034】
シートバックS2には、圧力センサPS4~PS6が設けられている。圧力センサPS4は、着座者Pの腰の後ろに対応する位置に設けられている。圧力センサPS5は、圧力センサPS4の少し上に配置されている。圧力センサPS4および圧力センサPS5は、いずれも、着座者Pの腰からの圧力を測定する第1バックセンサSB1を構成している。なお、第1バックセンサSB1は、圧力センサPS4および圧力センサPS5のいずれか一方のみを備えていてもよい。
【0035】
圧力センサPS6は、圧力センサPS4および圧力センサPS5から上方に大きく離れて配置されている。圧力センサPS6は、着座者Pの背中の上部に対応して位置している。圧力センサPS6は、着座者Pの肩甲骨からの圧力値を測定する第2バックセンサSB2を構成している。
【0036】
なお、圧力センサPS1~PS6は、例えば、外部からの圧力によって電気抵抗が変化する素子であり、圧力値が大きい程、検出信号の電圧が高くなる(もしくは低くなる)。
【0037】
表皮10の外面における各圧力センサPS1~PS6に対応した位置には、位置表示部となる塗料31が塗布されている。塗料31は、表皮10の外面に塗布されることで、表皮10の外側に露出している。塗料31の色は、表皮10の外面とは異なる色となっている。具体的には、例えば表皮10の外面が黒色である場合には、塗料31の色は、黄色などの黒色に対して目立つ色とすることができる。
【0038】
このような塗料31は、着座者Pが乗物用シートSに着座する前に、シート本体S0の外側から各圧力センサPS1~PS6の位置を視認可能に表示している。
【0039】
制御装置100は、各圧力センサPS1~PS6から、圧力値を取得可能に圧力センサPS1~PS6と接続されている。制御装置100は、各圧力センサPS1~PS6で検出した情報を、スマートフォンSPに送信可能となっている。
【0040】
詳しくは、制御装置100には、ブルートゥース(登録商標)またはWi-Fi(登録商標)などの近距離無線通信を可能にする近距離通信機3Aが接続されている。制御装置100は、近距離通信機3Aを介してスマートフォンSPと通信可能となっている。
【0041】
制御装置100、スマートフォンSPおよびウェアラブル機器Wは、図示しないCPU、ROM、RAM、書換可能な不揮発性メモリ等を有し、予め記憶されたプログラムを実行する。なお、スマートフォンSPは、ディスプレイDSPをさらに備えている。
【0042】
ウェアラブル機器Wは、着座者Pの腕に装着される時計式の機器であり、ディスプレイW1と、加速度センサW2と、をさらに備えている。ウェアラブル機器Wは、例えば加速度センサW2で取得した加速度に基づいて着座者Pの歩数を取得する機能と、着座者Pの歩数をスマートフォンSPに送信する機能と、を有している。
【0043】
ここで、本実施形態に係る第2センサは、加速度センサW2と、加速度を歩数に換算する歩数換算部(前述したCPU等で構成される制御部)とによって構成されている。本実施形態に係る第2センサは、着座者Pの身体状態を検出するための第2情報の一例として、着座者Pの歩数を取得する。
【0044】
スマートフォンSPは、各圧力センサPS1~PS6から制御装置100を介して圧力値を取得するとともに、ウェアラブル機器Wから過去所定時間の間、例えば1時間の間(現在の1時間前の時点から現在までの間)の歩数を取得する機能を有している。スマートフォンSPには、乗物用シートSから送信されてくる信号(圧力値)に基づいて実行可能なゲームを着座者Pに提供するためのシート用アプリがインストールされている。
【0045】
本実施形態に係るシート用アプリでは、100m走ゲームと座禅ゲームを着座者Pに提供することが可能となっている。100m走ゲームは、乗物用シートSから送信されてくる圧力値に基づいて、ディスプレイDSP上に表示されたキャラクタを走らせるゲームである。
【0046】
詳しくは、スマートフォンSPは、100m走ゲームを実行する場合には、乗物用シートSにおける左右の圧力センサPS3の圧力値P3R,P3Lを取得する。そして、そのときに座っている着座者Pの平均的な圧力であるノーマル圧力P3nと、圧力値のピーク検出のためのしきい値P3thを決定するとともに、その着座者Pの平均的な脚を動かす周期であるノーマルステップ周期TSnを算出する。
【0047】
具体的には、着座者Pが脚を交互に上げた場合、圧力値P3R,P3Lは、例えば図3のように変化する。図3において、圧力が急に小さくなっている部分は、着座者Pが脚を上げたことにより、圧力センサPS3の部分の圧力が小さくなっていることを示す。つまり、圧力が小さくなっていない140付近の圧力値が、脚を上げていないときの平均のノーマル圧力P3nとなる。ノーマル圧力P3nを算出するには、例えば、圧力値P3R,P3Lの前回値と今回値の差(今回値P3(n)から前回値P3(n-1)を引いた値とする。)の絶対値が所定値以下である場合(つまり、値の変化が小さいとき)の今回値を集計して平均すればよい。
【0048】
また、しきい値P3thは、脚を上げている最中であることを判定するためのしきい値であり、例えば、図3の場合であれば、100~120程度の値を用いればよい。このため、しきい値P3thは、ノーマル圧力P3nに所定値を乗じた値を用いることができる。例えば、ノーマル圧力P3nに0.6~0.9程度の所定値を乗じた値をしきい値P3thとすることができる。
【0049】
ノーマルステップ周期TSnは、圧力値P3R,P3Lのピーク同士の時間間隔であるステップ周期TSの平均値である。
圧力値P3R,P3Lは、各圧力値P3R,P3Lが、しきい値P3thより小さい(上側から下側へ超えた)という条件下で、前回値と今回値の差が負から正に変化したときにピークに達したと判定することができ、このときの前回値P3(n-1)をピーク値Pmとすることができる。
【0050】
スマートフォンSPは、着座者Pの動作に応じて圧力値P3R,P3Lのピークを検出すると、ピーク値Pmを算出し、ピーク値Pmとノーマル圧力P3nとに基づいて、脚を上げた大きさであるステップ強度F(FR,FL)を算出する。ステップ強度Fは、ピークの大きさ、つまり、ノーマル圧力P3nから、ピーク値Pmを引いた値とすることができる。本実施形態においては、着座者Pの体格の大きさによる違いをなくすため、ノーマル圧力P3nで規格化した値とする。例えば、ステップ強度Fは、
F=(P3n-Pm)/P3n
とする。
【0051】
スマートフォンSPは、100m走ゲーム中に、ステップ強度Fを算出すると、ディスプレイDSP上のキャラクタをゴールへ向けて移動させる。このときの移動量は、ステップ強度Fの大きさに応じたものである。スマートフォンSPは、例えば、F[m]分だけゴールへ向けてキャラクタを移動させる。
【0052】
また、スマートフォンSPは、100m走ゲーム中において、着座者Pの活動量の一例としての歩数を算出している。具体的には、例えば、100mゲーム中において算出したピーク値Pmの数を、歩数とすることができる。
【0053】
スマートフォンSPは、100mゲームが終了すると、算出した歩数を、ディスプレイDSP上に表示する。また、スマートフォンSPは、100mゲームの終了時に、ウェアラブル機器Wと通信可能な状態である場合には、算出した歩数をウェアラブル機器Wに送信する。
【0054】
なお、ウェアラブル機器Wは、スマートフォンSPから送信されてくる歩数を、ウェアラブル機器Wで測定した歩数に加算する機能を有している。これにより、ウェアラブル機器Wにおいて、乗物用シートS上での着座者Pの運動の結果を反映させることができるので、着座者の運動量を正確に管理することが可能となっている。
【0055】
座禅ゲームは、乗物用シートS上において着座者Pに座禅をさせるためのゲームである。座禅ゲームは、シートクッションS1の左側にかかる圧力と右側にかかる圧力とが略一致し、かつ、シートクッションS1の前側にかかる圧力と後側にかかる圧力とが略一致するように、着座者Pの姿勢を促すゲームとして構成することができる。
【0056】
具体的には、例えば、座禅ゲームは、ディスプレイDSP上に表示された目標の的に対して、着座者Pの重心の移動に伴って移動するカーソルを合わせるゲームとして構成することができる。詳しくは、ディスプレイDSP上に表示されるxy座標系において、目標の的の中心の位置を(X0,Y0)とした場合、以下の式を満たすように、カーソルの位置を(Xn,Yn)を設定すればよい。
【0057】
Xn=X0-((P1R+P2R+P3R)/3-(P1L+P2L+P3L)/3)
Yn=Y0-((P1R+P1L+P2R+P2L)/4-(P2R+P2L+P3R+P3L)/4)
P1R:右側の圧力センサPS1の圧力値
P1L:左側の圧力センサPS1の圧力値
P2R:右側の圧力センサPS2の圧力値
P2L:左側の圧力センサPS2の圧力値
P3R:右側の圧力センサPS3の圧力値
P3L:左側の圧力センサPS3の圧力値
【0058】
座禅ゲームでは、カーソルの位置が目標の的の中心(X0,Y0)に近い程、良好な座禅が行われることを示す判定値(例えば、GOOD,NORMAL,BAD)を返すように構成されている。そして、座禅ゲームでは、所定時間の間における判定値の割合に応じて、座禅の結果を表示する。例えば、所定時間の間におけるGOODの判定値の割合が90%以上である場合には、僧侶レベルの座禅が行われていたことを示す結果として、「GOOD」の文字を表示する。また、所定時間の間におけるGOODの判定値の割合が70%未満である場合には、座禅がまったくできていないことを示す結果として、「BAD」の文字を表示する。また、それ以外の場合には、一般人レベルの座禅ができていたことを示す結果として、「NORMAL」の文字を表示する。
【0059】
スマートフォンSPは、前述したシート用アプリが起動されたことを条件として、ウェアラブル機器Wから過去1時間の間の歩数を取得し、取得した歩数に基づいて、圧力センサPS1~PS3を利用した活動のプランを着座者Pに提示する機能を有している。ここで、本実施形態では、活動のプランとして、図4に示すように、100m走ゲーム、座禅ゲームおよび休憩(シート用アプリの終了)を例示する。
【0060】
スマートフォンSPは、過去1時間の間の歩数を、図4に示す特定の基準値(3000,5000)と比較することで、着座者Pに提示するプランを決定している。具体的に、スマートフォンSPは、過去1時間の間の歩数が3000歩未満の場合には、着座者Pの運動量が足りないため、運動を促進するための活動のプラン、つまり100m走ゲームを提示する。
【0061】
また、スマートフォンSPは、過去1時間の間の歩数が3000歩以上、かつ、5000歩未満である場合には、着座者Pの運動量が十分あるため、比較的少ない運動量で楽しめる活動のプラン、つまり座禅ゲームを提示する。また、スマートフォンSPは、過去1時間の間の歩数が5000歩以上である場合には、着座者Pが運動し過ぎの傾向にあるため、休憩、つまりシート用アプリの終了を活動のプランとして提示する。
【0062】
また、スマートフォンSPは、圧力センサPS1~PS3から得られる圧力値に基づいて着座者Pがシート本体S0に着座しているか否かを判定し、着座していると判定したことを条件として、着座者Pにプランを提示するように構成されている。また、スマートフォンSPは、着座者Pがプランを実行した場合、例えば100m走ゲームを実行した場合には、100m走ゲーム中での歩数を圧力値に基づいて算出し、100m走ゲーム中に算出した歩数とウェアラブル機器Wから得られた歩数とに基づいて、プランを再度決定し、決定したプランを提示するように構成されている。
【0063】
次に、スマートフォンSP(詳しくは、スマートフォンSP内の制御部)の動作について詳細に説明する。
スマートフォンSPは、着座者Pがシート用アプリを立ち上げると、図5に示す制御を開始する(START)。この制御において、スマートフォンSPは、まず、乗物用シートSの制御装置100と通信可能な状態であるか否かを判断する(S11)。
【0064】
ステップS11において通信可能な状態でないと判断した場合には(No)、スマートフォンSPは、本制御を終了する。ステップS11において通信可能な状態であると判断した場合には(Yes)、スマートフォンSPは、ウェアラブル機器Wと通信可能な状態であるか否かを判断する(S12)。
【0065】
ステップS12において通信可能な状態であると判断した場合には(Yes)、スマートフォンSPは、ウェアラブル機器Wと通信可能であることを示すフラグFLを1にして(S13)、ウェアラブル機器Wから過去1時間の間の歩数を取得して、記憶する(S14)。
【0066】
ステップS12において通信可能な状態でないと判断した場合には(No)、スマートフォンSPは、フラグFLを0にする(S15)。ステップS14またはステップS15の後、スマートフォンSPは、過去1時間の間の歩数と図4に示すテーブルに基づいて、活動のプランを決定する(S16)。
【0067】
詳しくは、シート用アプリを立ち上げてから最初にステップS16を実行する場合には、スマートフォンSPは、ウェアラブル機器Wから取得した過去1時間の間の歩数に基づいて活動のプランを決定する。また、スマートフォンSPは、後述する100m走ゲームや座禅ゲームを実行した後で、ステップS16を実行する場合には、記憶している歩数と、100m走ゲームで得られた歩数または座禅ゲームの実行時間とに基づいて、過去1時間の歩数を算出し直して、活動のプランを再度決定する。
【0068】
詳しくは、スマートフォンSPは、100m走ゲームを実行した後で、ステップS16を実行する場合には、記憶している過去1時間の間の歩数から、100m走ゲームの実行時間に相当する時間に対応する歩数を削除した数に、100m走ゲームで得られた歩数を加算することで、過去1時間の間の歩数を更新する。また、スマートフォンSPは、座禅ゲームを実行した後で、ステップS16を実行する場合には、記憶している過去1時間の間の歩数から、座禅ゲームの実行時間に相当する時間に対応する歩数を減じることで、過去1時間の間の歩数を更新する。
【0069】
ステップS16の後、スマートフォンSPは、乗物用シートSから送信されてくる圧力値に基づいて、乗物用シートSに着座者Pが着座しているか否かを判断する(S17)。ステップS17において着座していないと判断した場合には(No)、スマートフォンSPは、着座者Pに乗物用シートSへの着座を促す表示(図6参照)をディスプレイDSP上に表示する(S18)。
【0070】
ステップS17において着座していると判断した場合には(Yes)、スマートフォンSPは、ゲームを選択するためのゲーム選択画面(図7参照)をディスプレイDSP上に表示する(S19)。この際、スマートフォンSPは、ゲーム選択画面上において、ステップS15で決定したプランを表示するとともに、決定したプランを選択するためのボタンを、他のボタンよりも大きく表示する。
【0071】
ステップS19の後、スマートフォンSPは、100m走ゲームが選択されたか否かを判断する(S20)。ステップS20において100m走ゲームが選択されたと判断した場合には(Yes)、スマートフォンSPは、100m走ゲームを開始する(S21)。
【0072】
ステップS21の後、詳しくは100m走ゲーム中において、スマートフォンSPは、圧力値に基づいて歩数を算出する(S22)。ステップS22の後、詳しくは100m走ゲームの終了後、スマートフォンSPは、歩数の結果をディスプレイDSP上に表示する(S23)。
【0073】
ステップS23の後、スマートフォンSPは、ウェアラブル機器Wと通信可能であることを示すフラグFLが1であるか否かを判断する(S24)。ステップS24においてFL=1であると判断した場合には(Yes)、スマートフォンSPは、100m走ゲームで得られた歩数をウェアラブル機器Wに送信して(S25)、ステップS16の処理に戻る。ステップS24においてFL=1でないと判断した場合には(No)、スマートフォンSPは、ステップS25を飛ばして、ステップS16の処理に戻る。
【0074】
ステップS20において100m走ゲームが選択されていないと判断した場合には(No)、スマートフォンSPは、座禅ゲームが選択されたか否かを判断する(S26)。ステップS26において座禅ゲームが選択されたと判断した場合には(Yes)、スマートフォンSPは、座禅ゲームを実行して(S27)、ステップS16の処理に戻る。
【0075】
ステップS26において座禅ゲームが選択されていないと判断した場合には(No)、スマートフォンSPは、シート用アプリの終了が選択されたか否かを判断する(S28)。ステップS28においてシート用アプリの終了が選択されていないと判断した場合には(No)、スマートフォンSPは、ステップS19の処理に戻る。ステップS28においてシート用アプリの終了が選択されたと判断した場合には(Yes)、スマートフォンSPは、本制御を終了する。
【0076】
次に、スマートフォンSPの具体的な動作の一例を詳細に説明する。
図1に示すように、シートシステム1を構成する各機器(S,W,SP)が通信可能な状態において、過去1時間の間にほとんど運動をしていない着座者PがスマートフォンSPを操作してシート用アプリを立ち上げると、図5に示す制御において、ステップS11:Yes→ステップS12:Yes→ステップS13,S14の処理が順次実行される。
【0077】
ステップS14においては、着座者Pが過去1時間の間にほとんど運動をしていないことから、3000歩未満の歩数がスマートフォンSPで取得される。その後、スマートフォンSPは、3000歩未満の歩数と図4のテーブルとに基づいて、活動のプランを、「100m走ゲーム」に決定する(S16)。ステップS16の後、スマートフォンSPは、乗物用シートSから送信される圧力値に基づいて着座者Pが乗物用シートSに着座しているか否かを判断する(S17)。
【0078】
ステップS17において、着座者Pが乗物用シートSに着座していない場合には、図6に示すように、スマートフォンSPのディスプレイDSP上に、「シートに座るとアプリを開始します。」というような着座を促すメッセージが表示される(S18)。着座者Pがメッセージに従って乗物用シートSに着座すると、ステップS17でYesと判断されて、図7に示すゲーム選択画面が表示される(S19)。
【0079】
このときのゲーム選択画面では、ステップS16で決定した活動のプランが「100m走ゲーム」であることから、「100m走ゲームをお勧めします。」というような着座者Pに運動を促すメッセージが表示されるとともに、100m走ゲームを開始するためのボタンB1が、他のボタンB2,B3よりも拡大されて表示される。着座者PがボタンB1を選択すると、ステップS20でYesと判断されて、100m走ゲームが実行される(S21~S23)。
【0080】
100m走ゲームの終了後、スマートフォンSPは、100m走ゲーム中に測定された歩数をウェアラブル機器Wに送信して(S25)、ステップS16の処理に戻る。着座者Pが100m走ゲームを数回実行することにより、過去1時間の間の歩数が増えて3000歩以上になると、スマートフォンSPは、ステップS16において、活動のプランを、「座禅ゲーム」に決定する。
【0081】
活動のプランを座禅ゲームに決定した場合には、スマートフォンSPは、図8に示すようなゲーム選択画面をディスプレイDSP上に表示する。このときのゲーム選択画面では、
「座禅ゲームをお勧めします。」というメッセージが表示されるとともに、座禅ゲームを開始するためのボタンB2が、他のボタンB1,B3よりも拡大されて表示される。着座者PがボタンB2を選択すると、ステップS26でYesと判断されて、座禅ゲームが実行される(S27)。
【0082】
着座者Pが座禅ゲームを数回実行することにより、過去1時間の間の歩数が減って3000歩未満になると、スマートフォンSPは、ステップS16において、活動のプランを、再び「100m走ゲーム」に決定する。図8に示すゲーム選択画面において、着座者Pがお勧めのプランを無視して、100m走ゲームを実行するような動作を数回行うことにより、過去1時間の間の歩数が増えて5000歩以上になると、スマートフォンSPは、ステップS16において、活動のプランを、「休憩」に決定する。
【0083】
活動のプランを休憩に決定した場合には、スマートフォンSPは、図9に示すようなゲーム選択画面をディスプレイDSP上に表示する。このときのゲーム選択画面では、
「休憩をお勧めします。」というメッセージが表示されるとともに、休憩、つまりシート用アプリを終了するためのボタンB3が、他のボタンB1,B2よりも拡大されて表示される。着座者PがボタンB3を選択すると、ステップS28でYesと判断されて、シート用アプリが終了する。
【0084】
以上、本実施形態のシートシステム1によれば、次の各効果を奏することができる。
着座者Pが身に付けているウェアラブル機器Wから取得した歩数に基づいて、スマートフォンSPが圧力センサPS1~PS3を利用した活動のプランを着座者Pに提示するので、着座者Pの身体状態、生体情報、活動情報などに適した活動のプランを着座者Pに提示することができる。
【0085】
第1センサとして圧力センサPS1~PS3を採用することで、圧力センサPS1~PS3を利用した活動のプラン、詳しくは着座者Pに運動を促すようなプランを着座者Pに提示することができる。
【0086】
着座者Pがシート本体S0に着座していることを条件として、着座者Pにプランを提示することで、着座者Pが乗物用シートSを利用することができる状態であるときにプランが提示されるので、提示されたプランを着座者Pが迅速に選択・実行することができる。
【0087】
着座者Pが100m走ゲームを実行すると、着座者Pの歩数が算出されて着座者Pに表示されるので、着座者Pがどの程度運動したのかを容易に知ることができる。
【0088】
プランの実行結果が反映された歩数と、ウェアラブル機器Wから取得した歩数とに基づいて活動のプランを再度決定して、そのプランを着座者Pに提示するので、そのときの着座者Pの身体状態に最適なプランを着座者Pに提示することができる。
【0089】
スマートフォンSPが100m走ゲームで算出した歩数をウェアラブル機器Wに送信することで、ウェアラブル機器Wにおいて乗物用シートSでの活動量(歩数)を利用することができるので、ウェアラブル機器Wに正確な歩数を記憶させることができる。
【0090】
スマートフォンSPが歩数を特定の基準値と比較することで、着座者Pに提示するプランを決定するので、適正なプランを決定することができる。
【0091】
以上に本発明の実施形態について説明したが、本発明は、以下の他の形態に示すように、適宜変形して実施することが可能である。
【0092】
前記実施形態では、100m走ゲームで算出した着座者Pの歩数を、ディスプレイDSP上に表示することで着座者Pに報知したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1情報に基づいて算出された活動量を、音声などによって着座者に報知してもよい。
【0093】
前記実施形態では、第2情報として歩数を例示したが、本発明はこれに限定されず、第2情報は、例えば血圧などであってもよい。この場合、第2センサは、血圧を取得可能なセンサとすればよい。また、この場合、例えば、血圧が第1閾値未満である場合には、活動のプランを100m走ゲームに決定し、血圧が第1閾値以上、かつ、第2閾値未満である場合には、活動のプランを座禅ゲームに決定し、血圧が第2閾値以上である場合には、活動のプランを休憩に決定するように、前述したテーブルを構成することができる。
【0094】
前記実施形態では、第1センサとして圧力センサPS1~PS3を例示したが、本発明はこれに限定されず、第1センサは、例えば光センサなどであってもよい。この場合、光センサで光が検知されたか否かの情報を第1情報とし、この第1情報に基づいて歩数などを算出してもよい。
【0095】
前記実施形態では、乗物用シートSとして、自動車で使用される車両用シートを例示したが、本発明はこれに限定されず、その他の乗物用シート、例えば、船舶や航空機などで使用されるシートに適用することもできる。また、シートは、乗物用シートSに限らず、例えば、座椅子などであってもよい。
【0096】
前記実施形態では、ウェアラブル機器Wとして時計式の機器を例示したが、本発明はこれに限定されず、ウェアラブル機器は、例えば、眼鏡式の機器やクリップ式の機器などであってもよい。
【0097】
前記実施形態では、端末としてスマートフォンSPを例示したが、本発明はこれに限定されず、端末は、例えばタブレットなどのスマートフォンSP以外の携帯端末であってもよい。また、端末は、シートに備え付けの端末であり、シートに一体に設けられていてもよい。
【0098】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0099】
1 シートシステム
P 着座者
PS1~PS3 圧力センサ
S 乗物用シート
S0 シート本体
SP スマートフォン
W ウェアラブル機器
W2 加速度センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9