(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】遺伝子検査容器用部材、及び遺伝子検査容器
(51)【国際特許分類】
C12M 1/00 20060101AFI20240510BHJP
C12Q 1/68 20180101ALI20240510BHJP
C12N 11/00 20060101ALI20240510BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20240510BHJP
【FI】
C12M1/00 A
C12Q1/68 ZNA
C12N11/00
C12N15/09 Z
(21)【出願番号】P 2019187669
(22)【出願日】2019-10-11
【審査請求日】2022-09-09
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003768
【氏名又は名称】東洋製罐グループホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154184
【氏名又は名称】生富 成一
(72)【発明者】
【氏名】山崎 隆明
【審査官】小金井 悟
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/026950(WO,A1)
【文献】特開2016-010402(JP,A)
【文献】特開2013-066463(JP,A)
【文献】特開2008-268197(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0112634(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
C12Q 1/00- 3/00
C12M 1/00- 3/10
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(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも核酸合成酵素を含む一又は複数の遺伝子増幅用試薬と、樹脂組成物とを含む混合物が基板上の少なくとも一部に塗布されてなり、
前記遺伝子増幅用試薬が、
核酸合成酵素と緩衝液と核酸合成基質とプライマーを含み、
前記核酸合成基質が、dCTP、dATP、dTTP、及びdGTPの4種類のデオキシモノヌクレオチドリン酸、又は、dCTP、dATP、dUTP、及びdGTPの4種類のデオキシモノヌクレオチドリン酸からなることを特徴とする遺伝子検査容器用部材。
【請求項2】
前記樹脂組成物が感光性樹脂組成物であり、前記混合物の表面が紫外線照射により硬化されてなることを特徴とする請求項1記載の遺伝子検査容器用部材。
【請求項3】
前記遺伝子検査がPCR法による増幅産物を用いて検査するものであることを特徴とする請求項1又は2記載の遺伝子検査容器用部材。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の遺伝子検査容器用部材を用いて形成され、前記混合物が当該容器内に固定されたことを特徴とする遺伝子検査容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺伝子検査技術に関し、特に核酸を増幅するための反応液調製工程の簡略化に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遺伝子検査などにおいて、核酸を増幅するための反応液を調製する場合、一般に、ユーザがチューブなどの遺伝子検査容器を用いて、数μLから数十μL程度の微量な溶液を複数回調製する必要があった。
具体的には、例えばPCR用反応液を調製する場合、
図2に示すように、緩衝液、基質(核酸合成基質)、プライマー、及び酵素(核酸合成酵素)の4種類の試薬をチューブに注入して調製する工程を行う必要があった。
すなわち、ユーザは、1サンプルあたり4回の調製を行った後、検査対象の核酸(以下、対象核酸と称する場合がある。)をチューブに注入する必要があった。このような微量な溶液の調製は非常に煩雑であるため、簡略化できれば有益である。
【0003】
ここで、このような問題を解消する方法として、各種試薬を混合し、凍結乾燥させて混合物を作成し、これを用いることが考えられる(特許文献1参照)。
すなわち、緩衝液、基質、プライマー、及び酵素の凍結乾燥による混合物を、メーカが予め内部に固定したチューブを提供すれば、ユーザは、4回の調製を省略することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような凍結乾燥法では、真空乾燥機などの機器を準備する必要がある。また、真空乾燥を行う場合には、水分により酵素が不安定になったり失活したりすることを防ぐために、低湿度環境下で行うことが必須であり、特別な施設が必要であった。
【0006】
そこで、本発明者は、特別な機器や施設を用いることなく、核酸を増幅するための反応液の調製工程を簡略化可能な手法を鋭意研究して、各種試薬を樹脂組成物と共に混合し、この混合物を固定した遺伝子検査容器用部材及び遺伝子検査容器を作製することにより、該調製工程を簡略化することに成功して、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、特別な機器や施設を必要とすることなく、DNAを増幅するための反応液の調製工程を簡略化可能な遺伝子検査容器用部材、及び遺伝子検査容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の遺伝子検査容器用部材は、少なくとも核酸合成酵素を含む一又は複数の遺伝子増幅用試薬と、樹脂組成物とを含む混合物が基板上の少なくとも一部に塗布されてなる構成としてある。
【0009】
また、本発明の遺伝子検査容器用部材を、前記樹脂組成物が感光性樹脂組成物であり、前記混合物の表面が紫外線照射により硬化されてなる構成とすることが好ましい。
【0010】
また、本発明の遺伝子検査容器用部材を、前記遺伝子増幅用試薬が、核酸合成酵素と共に、核酸合成基質と、プライマーと、緩衝液とからなる群より選択される少なくともいずれかを含む構成とすることが好ましい。
【0011】
また、本発明の遺伝子検査容器用部材を、前記遺伝子検査がPCR法による増幅産物を用いて検査するものである構成とすることが好ましい。
【0012】
さらに、本発明の遺伝子検査容器は、上記のいずれかに記載の遺伝子検査容器用部材を用いて形成され、前記混合物が当該容器内に固定された構成としてある。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、特別な機器や施設を必要とすることなく、核酸を増幅するための反応液の調製工程を簡略化できる遺伝子検査容器用部材、及び遺伝子検査容器の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施例における対象核酸の増幅結果を示す図である。
【
図2】PCR用反応液の一般的な調製方法及び凍結乾燥による混合物を用いる場合のPCR用反応液の調製方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の遺伝子検査容器用部材、及び遺伝子検査容器の一実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施形態及び後述する実施例の具体的な内容に限定されるものではない。
本実施形態の遺伝子検査容器用部材は、少なくとも核酸合成酵素を含む一又は複数の遺伝子増幅用試薬と、樹脂組成物とを含む混合物が基板上の少なくとも一部に塗布されてなることを特徴とする。
【0016】
本実施形態において、遺伝子検査容器用部材は、主として遺伝子検査容器を製造するための部材であり、フィルムやシートの形状のものを好適に用いることができる。また、本実施形態の遺伝子検査容器用部材は、包装材や包装体として用いることもできる。
【0017】
本実施形態の遺伝子検査容器用部材の材料としては、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂などを好適に用いることができる。例えば、ポリエチレン、エチレンとα-オレフィンの共重合体、エチレンと酢酸ビニルの共重合体、エチレンとアクリル酸やメタクリル酸共重合体と金属イオンを用いたアイオノマー等を挙げることができる。また、ポリオレフィン、スチレン系エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、シリコーン系熱可塑性エラストマー、シリコーン樹脂等を用いることもできる。さらに、シリコーンゴム、軟質塩化ビニル樹脂、ポリブタジエン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、シリコーン系熱可塑性エラストマー、スチレン系エラストマー、例えば、SBS(スチレン・ブタジエン・スチレン)、SIS(スチレン・イソプレン・スチレン)、SEBS(スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン)、SEPS(スチレン・エチレン・プロピレン・スチレン)、ポリオレフィン樹脂、フッ素系樹脂等を用いてもよい。
【0018】
本実施形態の遺伝子検査容器用部材において、遺伝子増幅用試薬には、少なくとも核酸合成酵素が含まれる。
このように、核酸合成酵素を含む遺伝子増幅用試薬を樹脂組成物と混合して基板上に塗布し、得られた遺伝子検査容器用部材を用いて形成され当該混合物が内部(当該容器内)に固定されたチューブを用いてPCRを行うことにより、ユーザは、PCR用反応液の調製工程において、酵素を調製するための1回の調製を省略することが可能になる。
核酸合成酵素としては、DNAを増幅可能なDNA polymeraseやRNAを増幅可能なRNA polymeraseを用いることができ、例えばTakara ExTaqなどを好適に用いることができる。
【0019】
また、遺伝子増幅用試薬は、核酸合成酵素と共に、核酸合成基質と、プライマーと、緩衝液とからなる群より選択される少なくともいずれかを含むものとすることが好ましい。
すなわち、遺伝子増幅用試薬に2種類の試薬を含めることにより、ユーザは、PCR用反応液の調製工程において、調製を2回省略することができる。また、遺伝子増幅用試薬に3種類の試薬を含めることによって、調製を3回省略することができ、4種類の試薬を含めることによって、調製を4回省略することが可能である。
【0020】
核酸合成基質としては、例えばDNAを対象とする場合には、dCTP、dATP、dTTP、及びdGTPの4種類のデオキシモノヌクレオチドリン酸を用いることができ、RNAを対象とする場合には、dCTP、dATP、dUTP、及びdGTPの4種類のデオキシモノヌクレオチドリン酸等を用いることができる。
プライマーとしては、検査対象の核酸を増幅するためのフォワードプライマー及びリバースプライマーからなる一又は複数のプライマーセットを用いることができる。また、緩衝液は、一般に使用されているものを用いることができる。
【0021】
また、本実施形態の遺伝子検査容器用部材は、樹脂組成物が感光性樹脂組成物であることが好ましく、混合物の表面が紫外線(UV)照射により硬化されてなるものとすることが好ましい。
このように遺伝子増幅用試薬と樹脂組成物との混合物の表面を硬化させることで、混合物内に格納された核酸合成酵素などを、PCRにおいて安定的に使用することが可能となる。
【0022】
感光性樹脂組成物としては、感光性樹脂と重合開始剤を含有するものを用いることが好ましい。感光性樹脂としては、光架橋型や光重合型の感光性樹脂が使用され、具体的にはポリビニルアルコール/スチルバゾリウム系感光性樹脂、ポリビニルアルコール/酢酸ビニルの共重合物とアセタール化合物系感光性樹脂、ケイ皮酸あるいはカルコン等の光架橋型感光性樹脂、光架橋剤(例えば、ビスアジド化合物、ジアゾニウム塩等)あるいはビニルポリマーの共重合体との組み合わせ等からなる感光性樹脂、あるいはアクリル酸基を末端に有する光重合型の感光性樹脂からなる群より選択される少なくともいずれかを用いることが好ましい。また、重合開始剤としては、光重合開始剤や光ラジカル発生剤、光酸発生材、光塩基発生剤等を好適に用いることができる。
【0023】
本発明の遺伝子検査容器は、遺伝子検査容器用部材を用いて形成され、混合物が容器内に固定されたことを特徴としている。
また、本実施形態において、遺伝子検査容器を、先に容器を製造した後、容器内に遺伝子増幅用試薬と樹脂組成物とを注入して混合物を作成することによって、得ることもできる。この場合、遺伝子検査容器内の混合物に対して紫外線照射を行うことにより、混合物の表面が硬化されて容器内に固定された遺伝子検査容器を得ることができる。
【0024】
本実施形態の遺伝子検査容器用部材は、例えば次のように作製することができる。
まず、核酸合成酵素、核酸合成基質、プライマー溶液、緩衝液、及び感光性樹脂組成物を、使い捨てチップなどを挿着させたピペットマンやマイクロピペットを用いて混合し、得られた混合物を用いて基板上に塗布する。この基板としては、前述した遺伝子検査容器用部材の材料と同様のものを用いることができる。
【0025】
次に、混合物を塗布した基板を常温常圧下で一定時間(例えば1時間静置して)乾燥させ、次いで混合物に対して紫外線照射を行うことが好ましい。紫外線照射は、例えば25℃で2分間行うことが好ましい。
これにより、塗布された混合物の表面が紫外線照射により硬化された遺伝子検査容器用部材を得ることができる。
【0026】
また、得られた遺伝子検査容器用部材を、ブロー成形、真空成形、又は圧空成形等で成形することにより、混合物が容器内に固定された遺伝子検査容器を得ることができる。
なお、前述のとおり、先に容器を製造した後、容器内に遺伝子増幅用試薬と樹脂組成物とを注入して混合物を作成し、容器を前述のように一定時間乾燥させた後、混合物に対して紫外線照射を行うことによって、遺伝子検査容器を得ることも可能である。
【0027】
次に、このようにして得られた遺伝子検査容器を用いてPCRを行う場合に、遺伝子増幅用試薬がどのようにして働くのかについて説明する。
PCRは、例えば以下のような反応条件で行うことによって、ゲノムDNAにおける標的領域を好適に増幅させることができる。
(a)94℃ 10分、(b)98℃(DNA変性工程) 10秒、(c)60℃(アニーリング工程) 30秒、(d)72℃(DNA合成工程) 1分((b)~(d)を40サイクル)、(e)72℃ 10分
【0028】
すなわち、遺伝子検査容器は、PCRの反応工程において、90℃以上の高温にさらされるため、容器内に固定された混合物の樹脂組成物が溶解し、混合物内に格納されていた遺伝子増幅用試薬が遺伝子検査容器内に遊離する。
これにより、以降は、PCR用反応液の一般的な調製方法を行った場合と同様に、対象核酸の増幅が行われて、増幅産物が生成する。
【0029】
以上説明したとおり、本実施形態によれば、遺伝子増幅用試薬と樹脂組成物とが混合され、その表面が硬化された混合物が固定された遺伝子検査容器を得ることができる。
このような遺伝子検査容器を用いることにより、特別な機器や施設を必要とすることなく、核酸を増幅するための反応液の調製工程を簡略化することが可能である。
【実施例】
【0030】
以下、本発明の実施形態に係る遺伝子検査容器を用いて行った試験について説明する。
具体的には、遺伝子検査用試薬と感光性樹脂の混合物が紫外線照射により硬化して内部に固定されたチューブを用いてPCRを行い、増幅産物が得られたか否かの検証を行った。
【0031】
対象菌としては、次の菌株を使用した。
Listeria monocytogenes ATCC 15313
【0032】
この菌株の増菌培養を、Brain HeartInfusion(Difco社製)を用いて、37℃で、1~2日間静置させて行った。
次に、得られた増菌培地から、RBC Genomic DNA Extraction Kit Mini(RBC Bioscience社製)を用いて、その説明書に従いゲノムDNAを抽出した。
【0033】
サンプルとして、以下の表に示す4種類のものを準備した。
【表1】
【0034】
サンプル1は、PCR用反応液の一般的な調製方法によるものであり、酵素、プライマー、基質、及び緩衝液を、調製時に添加した。
サンプル2は、遺伝子検査用試薬の酵素のみと感光性樹脂との混合物を固定した遺伝子検査容器を用いて、酵素の調製のみを省略可能にしたものである。
【0035】
サンプル3は、遺伝子検査用試薬の酵素、プライマー、基質、及び緩衝液と感光性樹脂との混合物を固定した遺伝子検査容器を用いて、これら4種類の遺伝子検査用試薬の調製を省略可能にしたものである。
サンプルNは、ネガティブであり、サンプル3と同じ遺伝子検査容器を用いて、対象核酸を添加しなかったものである。
【0036】
具体的には、サンプル2の遺伝子検査容器は、次のように作製した。
感光性樹脂(BIOSURFINE-AWP-MRH、東洋合成工業株式会社製)0.25μLとTakara Ex Taq HS 0.25μLを0.2mL用PCRチューブ内で混合した。チューブを閉めた状態で、37℃で1時間保管後、感光性樹脂の硬化のためにチューブを開けた状態で、UV灯(感光基板用ライトボックス、サンハヤト社製)を用いて、25℃で2分間チューブ内を照射して、サンプル2の遺伝子検査容器を得た。
【0037】
サンプル3の遺伝子検査容器は、次のように作製した。
感光性樹脂(BIOSURFINE-AWP-MRH、東洋合成工業株式会社製)11.25μL、Takara Ex Taq HS 0.25 μL、10×EX Taq Buffer5.0μL、dNTP mixer 4.0μL、及びプライマー溶液各1.0μLを0.2mL用PCRチューブ内で混合した。チューブを閉めた状態で、37℃で1時間保管後、感光性樹脂の硬化のためにチューブを開けた状態で、UV灯(感光基板用ライトボックス、サンハヤト社製)を用いて、25℃で2分間チューブ内を照射して、サンプル3の遺伝子検査容器を得た。
【0038】
PCR用反応液は、一律に、リステリア属菌のDNAを増幅させるための配列番号1に示す塩基配列からなるフォワードプライマーと配列番号2に示す塩基配列からなるリバースプライマーとからなるプライマーセットが含まれるものを使用した。これらのプライマーは、シグマ アルドリッチ ジャパン合同会社により合成した。
【0039】
サンプル1用のPCR用反応液としては、次の組成のものを50μl作成した。
1.10×Ex Taq buffer(Mg2+ plus) (20 mM) (タカラバイオ社製) 5.0μl
2.dNTP mixer 2.5mM each (タカラバイオ社製) 4.0μl
3.10μMフォワードプライマー(配列番号1) 1.0μl
4.10μMリバースプライマー(配列番号2) 1.0μl
5.Takara Ex Taq HS(5U/μl) (タカラバイオ社製) 0.25μl
6. Template DNA(1ng/PCR用反応液) 2.0μl
7.滅菌水(全体が50.0μlになるまで加水)
【0040】
サンプル2用のPCR用反応液としては、次の組成のものと事前にチューブ内に硬化させたTakara Ex Taq HS 0.25μlを含めて全量で50μl(感光性樹脂の量は含まず)作成した。
1.10×Ex Taq buffer(Mg2+ plus) (20 mM) (タカラバイオ社製) 5.0μl
2.dNTP mixer 2.5mM each (タカラバイオ社製) 4.0μl
3.10μMフォワードプライマー(配列番号1) 1.0μl
4.10μMリバースプライマー(配列番号2) 1.0μl
5. Template DNA(1ng/PCR用反応液) 2.0μl
6.滅菌水(全体が50.0μlになるまで加水)
【0041】
サンプル3のPCR用反応液としては、次の組成のものと事前にチューブ内に硬化させたTakara Ex Taq HS 0.25μL、10×Ex Taq buffer(Mg2+ plus) 5.0μl、dNTP mixer 4.0μl、プライマー溶液各1.0μlを含めて全量で50μl(感光性樹脂の量は含まず)作成した。
1.Template DNA(1ng/PCR用反応液) 2.0μl
2.滅菌水(全体が50.0μlになるまで加水)
サンプルN用のPCR用反応液は、滅菌水(50.0μl)とした。
【0042】
上記各PCR用反応液を使用して、核酸増幅装置(Master cycler ep、Eppendorf社)を用いて、次の条件でDNAの増幅を行った。
(a)94℃ 10分
(b)98℃ 10秒
(c)60℃ 30秒
(d)72℃ 1分((b)~(d)を40サイクル)
(e)72℃ 10分
【0043】
PCR法による増幅産物の電気泳動を、電気泳動装置(MultiNA、株式会社島津製作所製)を用いて行った。上記プライマーを用いる場合の増幅産物長が163bpであるため、163bp付近に増幅産物が存在すれば、陽性と判定した。その結果を
図1に示す。
【0044】
図1に示されるように、サンプル2,3の遺伝子検査容器を用いた場合、サンプル1と同様に、対象核酸の増幅産物が得られていた。
このように、上記実施形態の遺伝子検査容器を用いた場合、特別な機器や施設を用いることなく、反応液の調製工程を簡略化して、PCRを好適に行うことができることが確認された。
【0045】
本発明は、以上の実施形態や実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、遺伝子検査用試薬として、上記で用いたもの以外の他の試薬を含めて用いる場合等に、それらを含めた混合物を作成するなど、適宜変更することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、環境検査、食品検査等において、細菌などの微生物等を特異的に検出する場合に好適に利用することが可能である。
【配列表】