(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】記録装置及び記録方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240510BHJP
B65H 20/34 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
B41J2/01 121
B41J2/01 305
B41J2/01 451
B41J2/01 401
B65H20/34
(21)【出願番号】P 2020107929
(22)【出願日】2020-06-23
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095452
【氏名又は名称】石井 博樹
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 篤史
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-081608(JP,A)
【文献】特開2016-022682(JP,A)
【文献】特開2016-175709(JP,A)
【文献】特開2014-121871(JP,A)
【文献】特開2014-121835(JP,A)
【文献】特開2019-059220(JP,A)
【文献】特開2015-077749(JP,A)
【文献】国際公開第2018/066472(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 - 2/215
B65H 20/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状の被記録媒体を支持しつつ前記被記録媒体を繰り出す繰り出し部と、
前記繰り出し部から繰り出された前記被記録媒体の表面にインクを吐出して画像を形成するヘッドと、
前記被記録媒体の搬送経路における前記繰り出し部と前記ヘッドとの間に配置され、コロナ照射することにより前記表面を改質するコロナ照射部と、
前記搬送経路における前記コロナ照射部と前記ヘッドとの間に配置され、前記搬送経路の長さを変更可能な搬送経路長変更部と、
制御部と、
を備え
、
前記コロナ照射部は、前記コロナ照射の出力を変更可能であり、
前記搬送経路長変更部は、前記被記録媒体を巻き掛けることが可能なローラーと、前記ローラーを移動させることで前記搬送経路の長さを変更可能なローラー移動部と、を有し、
前記制御部は、前記出力に応じて、前記ローラー移動部を制御して前記ローラーを移動させることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の記録装置において、
前記制御部は、前記コロナ照射により前記表面に付着したラジカルが前記被記録媒体の搬送に伴って前記ヘッドと対向する位置に到達するまでに失活するように、前記出力に対応する前記ラジカルの失活時間に応じて、前記ローラー移動部を制御して前記ローラーの配置を制御することを特徴とする記録装置。
【請求項3】
請求項
2に記載の記録装置において、
前記制御部は、前記出力から前記失活時間を算出し、前記算出の結果と前記被記録媒体の搬送速度に基づく前記コロナ照射部から前記ヘッドまでの搬送時間とに基づいて、前記ローラーの配置を制御することを特徴とする記録装置。
【請求項4】
請求項
2に記載の記録装置において、
前記出力に基づく前記失活時間と、前記被記録媒体の搬送速度に基づく前記コロナ照射部から前記ヘッドまでの搬送時間と、に関するデータを記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、前記データに基づいて、前記ローラーの配置を制御することを特徴とする記録装置。
【請求項5】
請求項1に記載の記録装置において、
前記搬送経路長変更部は、
前記ローラーを複数の位置で固定可能なローラー固定部
を有し、
前記ローラーの固定する位置を変更させることで前記搬送経路の長さを変更可能であることを特徴とする記録装置。
【請求項6】
請求項1に記載の記録装置において、
前記搬送経路長変更部は、
前記ローラーを
複数有し、
前記被記録媒体を巻き掛けるローラーを変更させることで前記搬送経路の長さを変更可能であることを特徴とする記録装置。
【請求項7】
ロール状の被記録媒体を支持しつつ前記被記録媒体を繰り出す繰り出し部と、前記繰り出し部から繰り出された前記被記録媒体の表面にインクを吐出して画像を形成するヘッドと、前記被記録媒体の搬送経路における前記繰り出し部と前記ヘッドとの間に配置され、コロナ照射することにより前記表面を改質
可能であって前記コロナ照射の出力を変更可能なコロナ照射部と、
前記搬送経路における前記コロナ照射部と前記ヘッドとの間に配置され、前記搬送経路の長さを変更可能な搬送経路長変更部と、を備える記録装置における記録方法であって、
搬送経路長変更部は、前記被記録媒体を巻き掛けることが可能なローラーと、前記ローラーを移動させることで前記搬送経路の長さを変更可能なローラー移動部と、を有し、
前記
出力に応じて
前記ローラーを移動させて前記コロナ照射部と前記ヘッドとの間における前記搬送経路の長さを変更してから、前記被記録媒体を搬送して前記ヘッドにより画像を形成することを特徴とする記録方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置及び記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、様々な構成の記録装置が使用されている。このうち、記録品質を向上するため、被記録媒体の表面にコロナ照射して表面改質し、表面改質した被記録媒体に画像を形成する記録装置が開示されている。例えば、特許文献1には、コロナ放電器を備え、コロナ放電した記録媒体の表面に記録ヘッドからインクを吐出して記録するプリンターが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されるプリンターのように、ヘッドからインクを吐出して画像を形成する前にコロナ照射して被記録媒体の表面を改質することで、記録品質を向上することができる。しかしながら、本発明者らが鋭意検討した結果、以下のことが分かった。コロナ照射をすると、被記録媒体の表面にコロナ照射に伴って発生したラジカルが付着することがある。そして、ラジカルが付着した部分がヘッドと対向する領域まで搬送された際に、ラジカルがヘッドのノズル形成面に対して静電気により吸い寄せられるとともに、同じく静電気によりインクミストなどのインク成分がノズル形成面に吸い寄せられ、ノズル形成面においてラジカルとインク成分とが重合して重合異物が生成され、ノズル形成面に該異物の付着物を形成する場合がある。特に、被記録媒体としてPET(ポリエチレンテレフタラート)などを使用した場合に、このような現象が生じやすい。そして、ヘッドに該異物の付着物が形成されると、インクの吐出方向が所望の方向からずれるなど、吐出不良の原因になる場合がある。このため、コロナ照射に伴って発生するラジカルが吐出不良の原因になることを抑制することが要求されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明の記録装置は、ロール状の被記録媒体を支持しつつ前記被記録媒体を繰り出す繰り出し部と、前記繰り出し部から繰り出された前記被記録媒体の表面にインクを吐出して画像を形成するヘッドと、前記被記録媒体の搬送経路における前記繰り出し部と前記ヘッドとの間に配置され、コロナ照射することにより前記表面を改質するコロナ照射部と、前記搬送経路における前記コロナ照射部と前記ヘッドとの間に配置され、前記搬送経路の長さを変更可能な搬送経路長変更部と、を備えることを特徴とする。
【0006】
また、上記課題を解決するための本発明の記録方法は、ロール状の被記録媒体を支持しつつ前記被記録媒体を繰り出す繰り出し部と、前記繰り出し部から繰り出された前記被記録媒体の表面にインクを吐出して画像を形成するヘッドと、前記被記録媒体の搬送経路における前記繰り出し部と前記ヘッドとの間に配置され、前記コロナ照射することにより前記表面を改質するコロナ照射部と、備える記録装置における記録方法であって、前記コロナ照射の出力に応じて前記コロナ照射部と前記ヘッドとの間における前記搬送経路の長さを変更してから、前記被記録媒体を搬送して前記ヘッドにより画像を形成することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施例1に係る記録装置の概略側面図。
【
図2】本発明の実施例1に係る記録装置の電気的構成を表すブロック図。
【
図3】本発明の実施例1に係る記録装置の搬送経路長変更部周辺を表す斜視図。
【
図4】本発明の実施例1に係る記録装置において搬送経路長を最大にした状態を表す概略図。
【
図5】本発明の実施例1に係る記録装置において搬送経路長を最小にした状態を表す概略図。
【
図6】本発明の実施例1に係る記録装置において搬送経路長を中程度にした状態を表す概略図。
【
図7】本発明の実施例2に係る記録装置の搬送経路長変更部主変を表す斜視図。
【
図8】本発明の実施例3に係る記録装置の搬送経路長変更部主変を表す斜視図。
【
図9】本発明の実施例3に係る記録装置において搬送経路長を最大にした状態を表す概略図。
【
図10】本発明の実施例3に係る記録装置において搬送経路長を最小にした状態を表す概略図。
【
図11】本発明の実施例3に係る記録装置において搬送経路長を中程度にした状態を表す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
最初に、本発明について概略的に説明する。
上記課題を解決するための本発明の第1の態様の記録装置は、ロール状の被記録媒体を支持しつつ前記被記録媒体を繰り出す繰り出し部と、前記繰り出し部から繰り出された前記被記録媒体の表面にインクを吐出して画像を形成するヘッドと、前記被記録媒体の搬送経路における前記繰り出し部と前記ヘッドとの間に配置され、コロナ照射することにより前記表面を改質するコロナ照射部と、前記搬送経路における前記コロナ照射部と前記ヘッドとの間に配置され、前記搬送経路の長さを変更可能な搬送経路長変更部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
コロナ照射に伴って発生したラジカルは所定の時間がたてば失活するが、本態様によれば、搬送経路におけるコロナ照射部とヘッドとの間に、搬送経路の長さを変更可能な搬送経路長変更部を備えている。このため、搬送経路の長さを変更し、コロナ照射に伴って発生したラジカルが失活する搬送経路の長さに調整することで、静電気によりノズル形成面に付着した該ラジカルとインク成分とが重合して生成された異物がノズル形成面に付着することを抑制できる。すなわち、コロナ照射に伴って発生するラジカルが吐出不良の原因になることを抑制することができる。
【0010】
本発明の第2の態様の記録装置は、前記第1の態様において、制御部を備え、前記コロナ照射部は、前記コロナ照射の出力を変更可能であり、前記搬送経路長変更部は、前記被記録媒体を巻き掛けることが可能なローラーと、前記ローラーを移動させることで前記搬送経路の長さを変更可能なローラー移動部と、を有し、前記制御部は、前記出力に応じて、前記ローラー移動部を制御して前記ローラーを移動させることを特徴とする。
【0011】
コロナ照射の出力に応じてコロナ照射に伴って発生したラジカルの失活時間は変化するが、本態様によれば、制御部の制御により自動で、コロナ照射の出力に応じてローラーを移動させることができる。このため、ローラーを移動させるという簡単な構成で、コロナ照射の出力に応じてラジカルの失活時間が変化しても、該変化に対応して適切に、静電気によりノズル形成面に付着したラジカルとインク成分とが重合して生成された異物が、ノズル形成面に付着することを抑制することができる。
【0012】
本発明の第3の態様の記録装置は、前記第2の態様において、前記制御部は、前記コロナ照射により前記表面に付着したラジカルが前記被記録媒体の搬送に伴って前記ヘッドと対向する位置に到達するまでに失活するように、前記出力に対応する前記ラジカルの失活時間に応じて、前記ローラー移動部を制御して前記ローラーの配置を制御することを特徴とする。
【0013】
本態様によれば、出力に対応するラジカルの失活時間に応じてローラーを配置する。このため、例えば、高い記録品質で記録するためにコロナ照射の出力を高くした場合には、制御部の制御により自動で搬送経路の長さが長くなるようにローラーを移動させることで、ラジカルの失活時間が長くなっても適切にヘッドに至るまでにラジカルを失活させるようにすることができる。一方、生産性を高める場合には、コロナ照射の出力を低くするとともに制御部の制御により自動で搬送経路の長さが短くなるようにローラーを移動させることで、効果的に生産性を高めることができる。
【0014】
本発明の第4の態様の記録装置は、前記第3の態様において、前記制御部は、前記出力から前記失活時間を算出し、前記算出の結果と前記被記録媒体の搬送速度に基づく前記コロナ照射部から前記ヘッドまでの搬送時間とに基づいて、前記ローラーの配置を制御することを特徴とする。
【0015】
本態様によれば、出力に応じた失活時間の算出結果と、被記録媒体の搬送速度に基づくコロナ照射部からヘッドまでの搬送時間と、に基づいてローラーを配置することができる。このため、小さい記憶容量の記憶部しか持たない構成であっても、適切に、静電気によりラジカルがノズル形成面に付着することに起因する吐出不良を抑制することができる。
【0016】
本発明の第5の態様の記録装置は、前記第3の態様において、前記出力に基づく前記失活時間と、前記被記録媒体の搬送速度に基づく前記コロナ照射部から前記ヘッドまでの搬送時間と、に関するデータを記憶する記憶部を備え、前記制御部は、前記データに基づいて、前記ローラーの配置を制御することを特徴とする。
【0017】
本態様によれば、コロナ照射部の出力に基づくラジカルの失活時間と、被記録媒体の搬送速度に基づくコロナ照射部からヘッドまでの搬送時間と、に関するデータに基づいてローラーを配置することができる。このため、制御部に多大な演算負荷などをかけることなく、該データに基づいて、適切に、静電気によりラジカルがノズル形成面に付着することに起因する吐出不良を抑制することができる。
【0018】
本発明の第6の態様の記録装置は、前記第1の態様において、前記搬送経路長変更部は、前記被記録媒体を巻き掛けることが可能なローラーと、前記ローラーを複数の位置で固定可能なローラー固定部と、を有し、前記ローラーの固定する位置を変更させることで前記搬送経路の長さを変更可能であることを特徴とする。
【0019】
本態様によれば、搬送経路長変更部はローラーを複数の位置で固定可能なローラー固定部を有する。このため、ローラーの数を少なく保ちつつ、搬送経路を複数の長さに変更することができる。
【0020】
本発明の第7の態様の記録装置は、前記第1の態様において、前記搬送経路長変更部は、前記被記録媒体を巻き掛けることが可能な複数のローラーを有し、前記被記録媒体を巻き掛けるローラーを変更させることで前記搬送経路の長さを変更可能であることを特徴とする。
【0021】
本態様によれば、搬送経路長変更部は、被記録媒体を巻き掛けることが可能な複数のローラーを有し、被記録媒体を巻き掛けるローラーを変更させることで搬送経路の長さを変更可能である。このため、ローラーの位置を変更する手間をユーザーに生じさせることなく、搬送経路を複数の長さに変更することができる。
【0022】
本発明の第8の態様の記録方法は、ロール状の被記録媒体を支持しつつ前記被記録媒体を繰り出す繰り出し部と、前記繰り出し部から繰り出された前記被記録媒体の表面にインクを吐出して画像を形成するヘッドと、前記被記録媒体の搬送経路における前記繰り出し部と前記ヘッドとの間に配置され、前記コロナ照射することにより前記表面を改質するコロナ照射部と、備える記録装置における記録方法であって、前記コロナ照射の出力に応じて前記コロナ照射部と前記ヘッドとの間における前記搬送経路の長さを変更してから、前記被記録媒体を搬送して前記ヘッドにより画像を形成することを特徴とする。
【0023】
本態様によれば、コロナ照射部とヘッドとの間における搬送経路の長さを変更してから被記録媒体を搬送してヘッドにより画像を形成する。このため、搬送経路の長さを変更し、コロナ照射に伴って発生したラジカルが失活する搬送経路の長さに調整することで、記録に伴って静電気によりノズル形成面に付着した該ラジカルとインク成分とが重合して生成された異物が、ノズル形成面に付着することを抑制できる。すなわち、コロナ照射に伴って発生するラジカルが吐出不良の原因になることを抑制することができる。
【0024】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る実施形態を説明する。
[実施例1]
以下に、本発明の実施例1に係る記録装置1について
図1から
図6を用いて説明する。最初に、本実施例の記録装置1の概要について
図1を参照して説明する。
【0025】
本実施例の記録装置1は、紙、布、フィルムなどの被記録媒体Mに画像を記録する記録装置であり、
図2のPC46で表される外部装置であるコンピューターと通信可能に接続されている。なお、本実施例の記録装置1は、
図1で表されるように、ロール状に巻かれた被記録媒体Mに記録することが可能な構成である。
【0026】
図1で表されるように、本実施例の記録装置1は、ロール状の被記録媒体Mをセットして回転方向Cに回転することで被記録媒体Mを繰り出すことが可能な繰り出し部2を備えている。繰り出し部2により、被記録媒体Mは、第1搬送ローラー対9に繰り出される。繰り出し部2は、ロール状の被記録媒体Mの巻き取り軸を支持して回転方向Cに回転する回転軸を備えている。そして、繰り出し部2から繰り出された被記録媒体Mは、第1搬送ローラー対9により搬送方向Aに搬送される。
【0027】
第1搬送ローラー対9により搬送される被記録媒体Mは、被記録媒体Mにコロナを照射することで被記録媒体Mの表面を改質するコロナ照射部6、被記録媒体Mの搬送経路の長さを変更可能な搬送経路長変更部20、さらに、中継ローラー10を介して被記録媒体Mの支持部としての搬送ドラム3に至る。そして、被記録媒体Mは、回転方向Cに回転する搬送ドラム3に密着した状態で搬送される。
【0028】
ここで、コロナ照射部6は、
図2に表される操作パネル45やPC46などを介して、ユーザーの指示により、出力を変更できる。出力を変更することにより被記録媒体Mの表面の改質程度を変更することができる。出力を高くすることで被記録媒体Mの表面の改質程度が高くなり、出力を低くすることで被記録媒体Mの表面の改質程度が低くなる。なお、搬送経路長変更部20の詳細については後述する。
【0029】
搬送ドラム3と対向する位置には、紫外線硬化型のインクを吐出するヘッド5と、仮硬化用の紫外線をLEDから照射する紫外線照射部を備えた仮照射ユニット7と、を有するヘッドユニット21が4つ形成されている。詳細には、ヘッドユニット21として、シアンインクに対応するヘッド5aと仮照射ユニット7aとからなるヘッドユニット21a、マゼンタインクに対応するヘッド5bと仮照射ユニット7bとからなるヘッドユニット21b、イエローインクに対応するヘッド5cと仮照射ユニット7cとからなるヘッドユニット21c、ブラックインクに対応するヘッド5dと仮照射ユニット7dとからなるヘッドユニット21d、が形成されている。また、搬送ドラム3と対向する位置における、4つのヘッドユニット21よりも搬送方向Aにおいて下流には、紫外線硬化型のインクを本硬化させる紫外線照射部としての本照射ユニット8が形成されている。なお、ヘッドユニット21a、ヘッドユニット21b、ヘッドユニット21c及びヘッドユニット21dは、何れも同じ形状である。
【0030】
なお、コロナ照射部6により表面が改質されることで、ヘッドユニット21により被記録媒体Mに形成される画像の品質は向上する。一般的に、記録媒体Mの表面の改質程度を高くするほど記録品質は向上する。そして、上記のように、本実施例のコロナ照射部6は、出力を変えることで被記録媒体Mの表面状態を複数の改質状態に改質可能な構成となっており、ユーザーの求める記録品質に応じて被記録媒体Mの表面状態を複数の改質状態に改質できる。
【0031】
搬送ドラム3に密着した状態で搬送される被記録媒体Mに、4つのヘッドユニット21により画像が形成される。そして、4つのヘッドユニット21により被記録媒体Mに形成された画像は、本照射ユニット8により該画像を形成しているインクが本硬化されることで、該被記録媒体Mに定着する。なお、本実施例の記録装置1においては、仮照射ユニット7からの紫外線の照射強度よりも本照射ユニット8からの紫外線の照射強度の方が強くなっている。別の表現をすると、本実施例の記録装置1においては、仮照射ユニット7からの紫外線の照射により被記録媒体Mに吐出されたインクを仮硬化させ該インクが広がりすぎることを抑制し、本照射ユニット8からの紫外線の照射により該インクを硬化させて被記録媒体Mに定着させる。
【0032】
また、本照射ユニット8よりも搬送方向Aにおいて下流にはテンションローラー11が設けられており、テンションローラー11を介して被記録媒体Mは搬送ドラム3から第2搬送ローラー対12に搬送される。そして、第2搬送ローラー対12により搬送された被記録媒体Mは、巻き取り部4を回転方向Cに回転することでロール状に巻き取られる。
【0033】
ここで、本実施例の記録装置1におけるヘッド5はいずれも、ノズル形成面に被記録媒体Mの幅方向Bに沿ってライン状にノズルが形成されたラインヘッドである。すなわち、本実施例の記録装置1は、連続的に被記録媒体Mを搬送しながら連続的に記録を行う所謂ラインプリンターである。ただし、搬送方向Aと交差する方向に往復移動しながらインクを吐出するヘッドを備えるプリンターであってもよい。
【0034】
次に、
図2を用いて本実施例の記録装置1における電気的な構成について説明する。
【0035】
制御部30には、記録装置1の全体の制御を司るCPU31が設けられている。CPU31は、システムバス32を介して、CPU31が実行する各種制御プログラム等を格納したROMやデータを一時的に格納可能なRAM及びEEPROMなどを有する記憶部33に接続されている。ここで、記憶部33には、コロナ照射部6からヘッド5(詳細には最短距離となるヘッド5a)までの搬送経路長に応じた、コロナ照射部6の出力に基づくラジカルの失活時間と被記録媒体Mの搬送速度に基づくコロナ照射部6からヘッド5までの適切な搬送時間との関係を表すデータが記憶されている。
【0036】
また、CPU31は、システムバス32を介して、ヘッド5を駆動してインクを吐出させるためのヘッド駆動部34と接続されている。
【0037】
また、CPU31は、システムバス32を介してモーター駆動部35と接続されており、モーター駆動部35は、繰り出しモーター36、第1搬送モーター37、第2搬送モーター39、巻き取りモーター40及びローラー移動モーター23と接続されている。ここで、繰り出しモーター36は、繰り出し部2の回転軸の回転機構であり、被記録媒体Mを第1搬送モーター37に繰り出すために繰り出し部2を駆動するモーターである。また、第1搬送モーター37は、第1搬送ローラー対9を駆動するためのモーターである。また、第2搬送モーター39は、第2搬送ローラー対12を駆動するためのモーターである。また、巻き取りモーター40は、被記録媒体Mをロール状に巻き取るために巻き取り部4を駆動するモーターである。そして、ローラー移動モーター23は、搬送経路長変更部20内に設けられる第2ローラー22B及び第4ローラー22Dの配置を変更するためのモーターである。
【0038】
また、CPU31は、システムバス32を介して、コロナ照射部6を駆動して被記録媒体Mの表面を改質するためのコロナ照射部駆動部41と接続されている。また、CPU31は、システムバス32を介して、仮照射ユニット7を駆動して被記録媒体Mに紫外線を照射するための仮照射ユニット駆動部42と接続されている。また、CPU31は、システムバス32を介して、本照射ユニット8を駆動して被記録媒体Mの紫外線を照射するための本照射ユニット駆動部43と接続されている。
【0039】
さらに、CPU31は、システムバス32を介して、ユーザーによるデータの入力などユーザーからの指示などを受け付けることが可能な操作パネル45や、画像データ等のデータ及び信号の送受信を行うためのPC46などと、入出力部44を介して接続されている。
【0040】
次に、本実施例の記録装置1の要部である搬送経路長変更部20の詳細について
図3から
図6を用いて説明する。ここで、
図3は、被記録媒体Mの搬送経路のうちの搬送経路長変更部20の構成部分の手前から第2搬送ローラー対12の構成部分の手前までを表しており、内部構成を分かりやすくするためにヘッドユニット21及び本照射ユニット8などの一部の構成部材を省略して表している。
【0041】
図1で表されるように、本実施例の記録装置1は、被記録媒体Mの搬送経路のうちのコロナ照射部6と搬送ドラム3との間の領域に搬送経路長変更部20を備えている。そして、
図3から
図6で表されるように、搬送経路長変更部20は、複数のローラー22、詳細には、第1ローラー22A、第2ローラー22B、第3ローラー22C、第4ローラー22D及び第5ローラー22Eを備えている。繰り出し部2から搬送ドラム3に送られる被記録媒体Mは、搬送経路長変更部20の内部において、
図1、並びに、
図4から
図6で表されるように、第1ローラー22A、第2ローラー22B、第3ローラー22C、第4ローラー22D及び第5ローラー22Eと順に巻き掛けられる。
【0042】
ここで、
図3で表されるように、第1ローラー22A、第2ローラー22B、第3ローラー22C、第4ローラー22D及び第5ローラー22Eのうち、第2ローラー22Bは上側支持部26A、第4ローラー22Dは上側支持部26Bに取り付けられ、第1ローラー22A、第3ローラー22C及び第5ローラー22Eは下側固定支持部27に取り付けられている。下側固定支持部27は、基部13に対して固定されている。一方、上側支持部26Aは、ローラー移動モーター23の駆動力が伝達されるピニオン24Aが設けられ基部13の柱状部13aに形成されたラック25Aと噛み合い、柱状部13aに対して上下方向に対応する移動方向Dに移動可能な構成となっている。同様に、上側支持部26Bも、ローラー移動モーター23の駆動力が伝達されるピニオン24Bが設けられ基部13の柱状部13aに形成されたラック25Bと噛み合い、柱状部13aに対して移動方向Dに移動可能な構成となっている。
【0043】
すなわち、本実施例の記録装置1は、第2ローラー22B及び第4ローラー22Dを個別に移動方向Dに移動可能な構成となっている。このような構成となっていることで、第1ローラー22A及び第3ローラー22Cに対する第2ローラー22Bの距離と、第3ローラー22C及び第5ローラー22Eに対する第4ローラー22Dの距離と、を個別に変えることで、搬送経路長変更部20における被記録媒体Mの搬送経路長を変更可能である。
【0044】
本実施例の記録装置1においては、上側支持部26A及び上側支持部26B、すなわち、第2ローラー22B及び第4ローラー22Dは、いずれも個別に、最上部位置P1から最下部位置P2までの範囲を自由に移動可能である。
図4は、第2ローラー22B及び第4ローラー22Dがいずれも最上部位置P1に位置し、被記録媒体Mの搬送経路長が最大になっている状態を表している。また、
図5は、第2ローラー22B及び第4ローラー22Dがいずれも最下部位置P2に位置し、被記録媒体Mの搬送経路長が最小になっている状態を表している。そして、
図6は、第2ローラー22Bが最上部位置P1に位置するとともに第4ローラー22Dが最下部位置P2に位置する状態となっており、被記録媒体Mの搬送経路長が
図4で表される状態と
図5で表される状態との間の長さとなっている状態を表している。なお、本実施例の記録装置1は、
図4から
図6で表される状態以外の状態をとることが可能であり、第2ローラー22B及び第4ローラー22Dをいずれも個別に、最上部位置P1と最下部位置P2との間の位置に配置することができる。
【0045】
ここで、一旦まとめると、本実施例の記録装置1は、
図1で表されるように、ロール状の被記録媒体Mを支持しつつ被記録媒体Mを繰り出す繰り出し部2と、繰り出し部2から繰り出された被記録媒体Mの表面にインクを吐出して画像を形成するヘッド5と、被記録媒体Mの搬送経路における繰り出し部2とヘッド5との間に配置され、コロナ照射することにより被記録媒体Mの表面を改質するコロナ照射部6と、を備えている。そして、被記録媒体Mの搬送経路におけるコロナ照射部6とヘッド5との間に搬送経路長変更部20を備えており、搬送経路長変更部20は被記録媒体Mの搬送経路の長さを変更可能な構成となっている。
【0046】
コロナ照射部6からコロナを照射することに伴ってラジカルが発生するが、コロナ照射により発生したラジカルは所定の時間がたてば失活する。上記のように、本実施例の記録装置1は、被記録媒体Mの搬送経路におけるコロナ照射部6とヘッド5との間に、被記録媒体Mの搬送経路の長さを変更可能な搬送経路長変更部20を備えている。このため、本実施例の記録装置1は、被記録媒体Mの搬送経路の長さを変更し、コロナ照射に伴って発生したラジカルが失活する搬送経路の長さに調整することで、静電気によりノズル形成面に付着した該ラジカルとインク成分とが重合して生成された異物が、ノズル形成面に付着することを抑制できる。すなわち、本実施例の記録装置1は、コロナ照射に伴って発生するラジカルが吐出不良の原因になることを抑制することができる。なお、ラジカルによる吐出不良は、コロナ照射の出力に比例し、被記録媒体Mの搬送経路の長さに反比例する。
【0047】
また、本実施例の記録装置1は、上記のように、制御部30を備えている。また、コロナ照射部6は、コロナ照射の出力を変更可能である。また、搬送経路長変更部20は、被記録媒体Mを巻き掛けることが可能な複数のローラー22と、ローラー22のうちの第2ローラー22B及び第4ローラー22Dを移動させることで被記録媒体Mの搬送経路の長さを変更可能なローラー移動部としての、ローラー移動モーター23、ピニオン24A、ラック25A、ピニオン24B及びラック25Bを有している。ここで、制御部30は、コロナ照射の出力に応じて、被記録媒体Mの搬送経路の長さが所望の長さになるように、ローラー移動部を制御して第2ローラー22B及び第4ローラー22Dを所望の位置に移動させることができる。
【0048】
コロナ照射の出力に応じてコロナ照射に伴って発生したラジカルの失活時間は変化するが、本実施例の記録装置1は、制御部30の制御により自動で、コロナ照射の出力に応じて第2ローラー22B及び第4ローラー22Dを所望の位置に移動させることができる。このため、本実施例の記録装置1は、ローラー22を移動させるという簡単な構成で、コロナ照射の出力に応じてラジカルの失活時間が変化しても、該変化に対応して適切に、静電気によりノズル形成面に付着したラジカルとインク成分とが重合して生成された異物が、ノズル形成面に付着することを抑制することができる。
【0049】
上記について記録方法の観点から説明すると、ロール状の被記録媒体Mを支持しつつ被記録媒体Mを繰り出す繰り出し部2と、繰り出し部2から繰り出された被記録媒体Mの表面にインクを吐出して画像を形成するヘッド5と、被記録媒体Mの搬送経路における繰り出し部2とヘッド5との間に配置され、コロナ照射することにより被記録媒体Mの表面を改質するコロナ照射部6と、備える本実施例の記録装置1を用いて、コロナ照射の出力に応じてコロナ照射部6とヘッド5との間における被記録媒体Mの搬送経路の長さを変更してから、被記録媒体Mを搬送してヘッド5により画像を形成する記録方法を実行することができる。該記録方法は、コロナ照射部6とヘッド5との間における被記録媒体Mの搬送経路の長さを変更してから被記録媒体Mを搬送してヘッド5により画像を形成する。該記録方法を実行すること、すなわち、被記録媒体Mの搬送経路の長さを変更し、コロナ照射に伴って発生したラジカルが失活する搬送経路の長さに調整することで、記録に伴って静電気によりノズル形成面に付着した該ラジカルとインク成分とが重合して生成された異物が、ノズル形成面に付着することを抑制できる。すなわち、該記録方法を実行することで、コロナ照射に伴って発生するラジカルが吐出不良の原因になることを抑制することができる。
【0050】
ここで、本実施例の記録装置1においては、制御部30は、コロナ照射部6によるコロナ照射により被記録媒体Mの表面に付着したラジカルが被記録媒体Mの搬送に伴ってヘッド5(詳細には最短距離となるヘッド5a)と対向する位置に到達するまでに失活するように、コロナ照射の出力に対応するラジカルの失活時間に応じて、ローラー移動部を制御して第2ローラー22B及び第4ローラー22Dの配置を制御する。すなわち、本実施例の記録装置1は、コロナ照射の出力に対応するラジカルの失活時間に応じてローラー22を配置する。このため、例えば、高い記録品質で記録するためにコロナ照射の出力を高くした場合には、制御部30の制御により自動で被記録媒体Mの搬送経路の長さが長くなるように第2ローラー22B及び第4ローラー22Dを移動させることで、ラジカルの失活時間が長くなっても適切にヘッド5に至るまでにラジカルを失活させるようにする。一方、記録開始から記録終了までの記録時間を短くして生産性を高める場合には、コロナ照射の出力を低くするとともに制御部30の制御により自動で被記録媒体Mの搬送経路の長さが短くなるように第2ローラー22B及び第4ローラー22Dを移動させることで、効果的に記録時間を短くする。
【0051】
さらに詳細に説明すると、本実施例の記録装置1は、コロナ照射の出力に基づくラジカルの失活時間と、被記録媒体Mの搬送速度に基づくコロナ照射部6からヘッド5までの搬送時間と、に関するデータを、記憶部33に記憶させている。そして、制御部30は、記憶部33に記憶された該データに基づいて、第2ローラー22B及び第4ローラー22Dの配置を制御する。このような構成により、本実施例の記録装置1は、制御部30に多大な演算負荷などをかけることなく、該データに基づいて、適切に、ラジカルに起因する吐出不良を抑制することができる。
【0052】
ただし、このような構成に限定されない。制御部30が、コロナ照射の出力からラジカルの失活時間を算出し、その算出結果と被記録媒体Mの搬送速度に基づくコロナ照射部6からヘッド5までの搬送時間とに基づいて、ローラー22の配置を制御する構成としてもよい。このような構成であれば、例えば小さい記憶容量の記憶部しか持たない記録装置1であっても、記憶部33にラジカルの失活時間に対応するローラー22の配置データなどを記憶させておくことなく、適切に、ラジカルに起因する吐出不良を抑制することができる。
【0053】
[実施例2](
図7)
次に、実施例2の記録装置1について
図7を用いて説明する。ここで、
図7は本発明の実施例2に係る記録装置1の搬送経路長変更部20の周辺を表す斜視図であり、実施例1の
図3に対応する図である。なお、上記実施例1と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。本実施例の記録装置1は、搬送経路長変更部20の構成及びその制御手段以外は、実施例1の記録装置1と同様の構成である。
【0054】
上記のように、実施例1の記録装置1は、制御部30の制御により自動で、コロナ照射の出力に応じて第2ローラー22B及び第4ローラー22Dを所望の位置に移動させることが可能な構成であった。一方、本実施例の記録装置1は、実施例1の記録装置1よりも搬送経路長変更部20が簡略化及び低コスト化されており、ユーザーが手動で第2ローラー22B及び第4ローラー22Dの位置を変更する構成である。
【0055】
図7で表されるように、本実施例の記録装置1は、搬送経路長変更部20に、第2ローラー22B及び第4ローラー22Dを最上部位置P1において取り付けることが可能な上側支持部26Cと、第2ローラー22B及び第4ローラー22Dを最下部位置P2において取り付けることが可能な下側支持部26Dと、を有している。上側支持部26C及び下側支持部26Dは共に基部13の柱状部13aに固定されている。ユーザーは、第2ローラー22B及び第4ローラー22Dを上側支持部26Cまたは下側支持部26Dのいずれに取り付けるかで、搬送経路長変更部20における被記録媒体Mの搬送経路長を調整することができる。また、第2ローラー22B及び第4ローラー22Dの取付位置を、上側支持部26Cと下側支持部26Dとに限らず、上側支持部26Cと下側支持部26Dとの間の任意に位置に取り付け可能に構成してもよい。
【0056】
すなわち、本実施例の記録装置1の搬送経路長変更部20は、被記録媒体Mを巻き掛けることが可能なローラー22と、ローラー22のうちの第2ローラー22B及び第4ローラー22Dを複数の位置で固定可能なローラー固定部としての上側支持部26C及び下側支持部26Dと、を有している。そして、上側支持部26C及び下側支持部26Dは、第2ローラー22B及び第4ローラー22Dの固定する位置を変更させることで被記録媒体Mの搬送経路の長さを変更可能である。このため、本実施例の記録装置1は、簡単な構成で、ローラー22の数を少なく保ちつつ、被記録媒体Mの搬送経路を複数の長さに変更することができる。なお、ローラー固定部がローラー22を固定するということは、ローラー22が回転可能な状態で支持しつつローラー22が移動しないように固定するという意味である。
【0057】
なお、本実施例の記録装置1においても、実施例1の記録装置1と同様、第2ローラー22B及び第4ローラー22Dがいずれも最上部位置P1に位置し、被記録媒体Mの搬送経路長が最大になっている状態を、
図4のように表すことができる。また、第2ローラー22B及び第4ローラー22Dがいずれも最下部位置P2に位置し、被記録媒体Mの搬送経路長が最小になっている状態を、
図5のように表すことができる。そして、第2ローラー22Bが最上部位置P1に位置するとともに第4ローラー22Dが最下部位置P2に位置する状態となっており、被記録媒体Mの搬送経路長が
図4で表される状態と
図5で表される状態との間の長さとなっている状態を、
図6のように表すことができる。
【0058】
[実施例3](
図8から
図11)
次に、実施例3の記録装置1について
図8から
図11を用いて説明する。ここで、
図8は本発明の実施例3に係る記録装置1の搬送経路長変更部20の周辺を表す斜視図であり、実施例1の
図3に対応する図である。そして、
図9から
図11は、実施例1の
図4から
図6に対応する図である。なお、上記実施例1及び実施例2と共通する構成部材は同じ符号で示しており、詳細な説明は省略する。本実施例の記録装置1は、上側支持部26C及び下側支持部26Dの両方にローラー22が設けられていること以外は、実施例2の記録装置1と同様の構成である。
【0059】
実施例2の記録装置1は、第2ローラー22B及び第4ローラー22Dを最上部位置P1に設けられた上側支持部26Cか最下部位置P2に設けられた下側支持部26Dかのいずれかに取り付けるかで被記録媒体Mの搬送経路長を変更可能な構成であった。一方、
図8で表されるように、本実施例の記録装置1は、第2ローラー22B及び第4ローラー22Dが最上部位置P1に設けられた上側支持部26Cに取り付けられているとともに、第6ローラー22F及び第7ローラー22Gが最下部位置P2に設けられた下側支持部26Dに取り付けられている。
【0060】
すなわち、本実施例の記録装置1の搬送経路長変更部20は、被記録媒体Mを巻き掛けることが可能な複数のローラー22を有し、被記録媒体Mを巻き掛けるローラー22を変更させることで被記録媒体Mの搬送経路の長さを変更可能な構成である。このため、本実施例の記録装置1は、ローラー22の位置を変更する手間をユーザーに生じさせることなく、被記録媒体Mの搬送経路を複数の長さに変更することができる。
【0061】
具体的には、例えば、第2ローラー22B及び第4ローラー22Dがいずれも最上部位置P1に位置し、被記録媒体Mの搬送経路長が最大になっている状態を、
図9のように表すことができる。また、第2ローラー22B及び第4ローラー22Dがいずれも最下部位置P2に位置し、被記録媒体Mの搬送経路長が最小になっている状態を、
図10のように表すことができる。そして、第2ローラー22Bが最上部位置P1に位置するとともに第4ローラー22Dが最下部位置P2に位置する状態となっており、被記録媒体Mの搬送経路長が
図9で表される状態と
図10で表される状態との間の長さとなっている状態を、
図11のように表すことができる。
【0062】
なお、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれることは言うまでもない。例えば、搬送経路長変更部20の構成は上記に限定されず、ローラー22の数や移動方向などを上記実施例に対して変更してもよいし、ローラー22を使用せずに被記録媒体Mの搬送経路長を変更する構成などであってもよい。
【符号の説明】
【0063】
1…記録装置、2…繰り出し部、3…搬送ドラム、4…巻き取り部、5…ヘッド、
5a…ヘッド、5b…ヘッド、5c…ヘッド、5d…ヘッド、6…コロナ照射部、
7…仮照射ユニット、7a…仮照射ユニット、7b…仮照射ユニット、
7c…仮照射ユニット、7d…仮照射ユニット、8…本照射ユニット、
9…第1搬送ローラー対、10…中継ローラー、11…テンションローラー、
12…第2搬送ローラー対、20…搬送経路長変更部、21…ヘッドユニット、
21a…ヘッドユニット、21b…ヘッドユニット、21c…ヘッドユニット、
21d…ヘッドユニット、22…ローラー、22A…第1ローラー、
22B…第2ローラー、22C…第3ローラー、22D…第4ローラー、
22E…第5ローラー、22F…第6ローラー、22G…第7ローラー、
23…ローラー移動モーター(ローラー移動部)、
24A…ピニオン(ローラー移動部)、24B…ピニオン(ローラー移動部)、
25A…ラック(ローラー移動部)、25B…ラック(ローラー移動部)、
26A…上側支持部、26B…上側支持部、26C…上側支持部(ローラー固定部)、
26D…下側支持部(ローラー固定部)、27…下側固定支持部、30…制御部、
31…CPU、32…システムバス、33…記憶部、34…ヘッド駆動部、
35…モーター駆動部、36…繰り出しモーター、37…第1搬送モーター、
39…第2搬送モーター、40…巻き取りモーター、41…コロナ照射部駆動部、
42…仮照射ユニット駆動部、43…本照射ユニット駆動部、44…入出力部、
45…操作パネル、46…PC、M…被記録媒体、P1…最上部位置、
P2…最下部位置