(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】フレキシブルプリント基板の接続構造およびフレキシブルプリント基板ユニットの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01R 12/77 20110101AFI20240510BHJP
【FI】
H01R12/77
(21)【出願番号】P 2020148914
(22)【出願日】2020-09-04
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野崎 新史
(72)【発明者】
【氏名】牧野 健司
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-368787(JP,A)
【文献】特開平05-144522(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0081420(US,A1)
【文献】米国特許第06053751(US,A)
【文献】特開平09-312183(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00 - 12/91
H01R 24/00 - 24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側コネクタにフレキシブルプリント基板が接続されるフレキシブルプリント基板の接続構造であって、
前記フレキシブルプリント基板は、
所定の第1方向に沿って配列される複数の第1コンタクトが表面に設けられる第1構成部と、
前記第1方向に直交する第2方向において前記第1構成部と並ぶように配され、前記第1方向に沿って配列される複数の第2コンタクトが表面に設けられる第2構成部と、
を有し、
前記第1構成部の裏面と前記第2構成部の裏面とが対向するように前記フレキシブルプリント基板を折り曲げた状態で支持する支持部を備え、
複数の前記第1コンタクトと複数の前記第2コンタクトとが前記第1方向に沿って千鳥配置をなし、
前記相手側コネクタは、前記第1方向に沿って配列され、前記第1構成部および前記第2構成部を前記第2方向の両側から挟み、前記第1コンタクトおよび前記第2コンタクトのいずれか一方に接触する複数の端子金具を有し、
前記支持部は、前記第1構成部の裏面および前記第2構成部の裏面が平面状に固定される固定部を有し、
前記固定部は、
前記第1構成部の裏面が平面状に固定される第1固定部と、
前記第1固定部とは別体であり、前記第2構成部の裏面が平面状に固定される第2固定部と、
を有し、
前記第1固定部は、前記第1構成部の裏面に半田付けにより固定され、
前記第2固定部は、前記第2構成部の裏面に半田付けにより固定されるレキシブルプリント基板の接続構造。
【請求項2】
相手側コネクタに接続されるフレキシブルプリント基板と、前記フレキシブルプリント基板を支持する支持部と、を備えるフレキシブルプリント基板ユニットの製造方法であって、
前記フレキシブルプリント基板は、
所定の第1方向に沿って配列される複数の第1コンタクトが表面に設けられる第1構成部と、
前記第1方向に直交する第2方向において前記第1構成部と並ぶように配され、前記第1方向に沿って配列される第2コンタクトが表面に設けられる第2構成部と、
を有し、
前記支持部は、
前記第1構成部の裏面に固定される第1固定部と、
前記第1固定部とは別体であり、前記第2構成部の裏面に固定される第2固定部と、
を有し、
平面状の前記フレキシブルプリント基板に対して、前記第1構成部が平面状になるように前記第1構成部の裏面にリフロー半田で前記第1固定部を接続し、前記第2構成部が平面状になるように前記第2構成部の裏面にリフロー半田で前記第2固定部を接続し、
リフロー処理後に、前記第1構成部の裏面と前記第2構成部の裏面とが対向するように前記第1固定部と前記第2固定部とを近づけて、前記フレキシブルプリント基板を折り曲げるフレキシブルプリント基板ユニットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、フレキシブルプリント基板の接続構造およびフレキシブルプリント基板ユニットの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、印刷配線基板上に実装される電気コネクタに対する、信号伝送媒体(FPC、FFCなど)の接続構造が開示されている。電気コネクタは、絶縁ハウジングと、アクチュエータと、複数のコンタクト部材と、を備えている。絶縁ハウジングは、細長状に延びる中空枠体状である。アクチュエータは、絶縁ハウジングの前端縁部分に取り付けられている。アクチュエータは、信号伝送媒体の端末部分を挿入するコネクタ前端側に向かって押し倒されるように回動する。複数のコンタクト部材の各接点部は、絶縁ハウジング内に多極状をなすように配列されている。アクチュエータを作用位置(閉塞位置)に回動すると、信号伝送媒体の各配線パターンが電気コネクタの各接点部に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の信号伝送媒体の接続構造では、複数のコンタクト部材の各接点部が、絶縁ハウジングの長手方向に沿って配列されている。そのため、より多くのコンタクト部材を設けようとした場合、絶縁ハウジングの長手方向に沿ってコンタクト部材を追加することが考えられる。この場合、絶縁ハウジングの長手方向のサイズが大きくなってしまう。
【0005】
本開示は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、隣接するコンタクト間で寸法公差の影響を受け難く、サイズの増大を防ぎ得るフレキシブルプリント基板の接続構造およびフレキシブルプリント基板ユニットの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のフレキシブルプリント基板の接続構造は、
相手側コネクタにフレキシブルプリント基板が接続されるフレキシブルプリント基板の接続構造であって、
前記フレキシブルプリント基板は、
所定の第1方向に沿って配列される複数の第1コンタクトが表面に設けられる第1構成部と、
前記第1方向に直交する第2方向において前記第1構成部と並ぶように配され、前記第1方向に沿って配列される複数の第2コンタクトが表面に設けられる第2構成部と、
を有し、
前記第1構成部の裏面と前記第2構成部の裏面とが対向するように前記フレキシブルプリント基板を折り曲げた状態で支持する支持部を備え、
複数の前記第1コンタクトと複数の前記第2コンタクトとが前記第1方向に沿って千鳥配置をなし、
前記相手側コネクタは、前記第1方向に沿って配列され、前記第1構成部および前記第2構成部を前記第2方向の両側から挟み、前記第1コンタクトおよび前記第2コンタクトのいずれか一方に接触する複数の端子金具を有する。
【0007】
本開示のフレキシブルプリント基板ユニットの製造方法は、
相手側コネクタに接続されるフレキシブルプリント基板と、前記フレキシブルプリント基板を支持する支持部と、を備えるフレキシブルプリント基板ユニットの製造方法であって、
前記フレキシブルプリント基板は、
所定の第1方向に沿って配列される複数の第1コンタクトが表面に設けられる第1構成部と、
前記第1方向に直交する第2方向において前記第1構成部と並ぶように配され、前記第1方向に沿って配列される第2コンタクトが表面に設けられる第2構成部と、
を有し、
前記支持部は、
前記第1構成部の裏面に固定される第1固定部と、
前記第1固定部とは別体であり、前記第2構成部の裏面に固定される第2固定部と、
を有し、
平面状の前記フレキシブルプリント基板に対して、前記第1構成部が平面状になるように前記第1構成部の裏面にリフロー半田で前記第1固定部を接続し、前記第2構成部が平面状になるように前記第2構成部の裏面にリフロー半田で前記第2固定部を接続し、
リフロー処理後に、前記第1構成部の裏面と前記第2構成部の裏面とが対向するように前記第1固定部と前記第2固定部とを近づけて、前記フレキシブルプリント基板を折り曲げる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施例1の第1コネクタの斜視図である。
【
図5】
図5は、第2コネクタの上側から見た斜視図である。
【
図6】
図6は、第2コネクタの下側から見た斜視図である。
【
図8】
図8は、フレキシブルプリント基板に第1固定部および第2固定部が取り付けられた状態をあらわす側面図である。
【
図9】
図9は、
図8に示す状態のフレキシブルプリント基板に保持
部が取り付けられた状態をあらわす断面図である。
【
図10】
図10は、
図8に示す状態のフレキシブルプリント基板に保持部が取り付けられた状態をあらわす斜視図である。
【
図11】
図11は、
図9、
図10に示す状態のフレキシブルプリント基板を折り曲げて作製した第1コネクタの断面図である。
【
図12】
図12は、第2コネクタに第1コネクタを組み付けた状態をあらわす斜視図である。
【
図13】
図13は、第2コネクタに第1コネクタを組み付けた状態をあらわす断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施形態を列記して説明する。
本開示のフレキシブルプリント基板の接続構造は、
(1)相手側コネクタにフレキシブルプリント基板が接続されるフレキシブルプリント基板の接続構造であって、前記フレキシブルプリント基板は、所定の第1方向に沿って配列される複数の第1コンタクトが表面に設けられる第1構成部と、前記第1方向に直交する第2方向において前記第1構成部と並ぶように配され、前記第1方向に沿って配列される複数の第2コンタクトが表面に設けられる第2構成部と、を有し、前記第1構成部の裏面と前記第2構成部の裏面とが対向するように前記フレキシブルプリント基板を折り曲げた状態で支持する支持部を備え、複数の前記第1コンタクトと複数の前記第2コンタクトとが前記第1方向に沿って千鳥配置をなし、前記相手側コネクタは、前記第1方向に沿って配列され、前記第1構成部および前記第2構成部を前記第2方向の両側から挟み、前記第1コンタクトおよび前記第2コンタクトのいずれか一方に接触する複数の端子金具を有する。
【0010】
第1方向に沿って配列される複数の第1コンタクトが表面に設けられる第1構成部と、第1方向に沿って配列される複数の第2コンタクトが表面に設けられる第2構成部と、が第1方向に直交する第2方向において並ぶように配される。そのため、第1コンタクトと第2コンタクトとを合わせた数のコンタクトを第1方向に沿って配列する構成に比べて、第1方向におけるフレキシブルプリント基板のサイズを低減することができる。第1構成部の裏面と第2構成部の裏面とが対向する構成であるため、第1構成部と第2構成部とが第2方向に沿って平面状となる構成に比べて、第2方向におけるフレキシブルプリント基板のサイズを低減することができる。複数の第1コンタクトと複数の第2コンタクトとが第1方向に沿って千鳥配置をなすため、第1方向で隣接するコンタクト間が比較的広く設定され、寸法公差の影響を受け難くなる。
【0011】
(2)前記支持部は、前記第1構成部の裏面および前記第2構成部の裏面が平面状に固定される固定部を有することが好ましい。
この構成によれば、第1構成部の裏面または第2構成部の裏面が湾曲などの形状となる構成に比べて、相手側コネクタの端子金具で第1構成部および第2構成部を円滑に挟み込むことができる。
【0012】
(3)前記固定部は、前記第1構成部の裏面が平面状に固定される第1固定部と、前記第1固定部とは別体であり、前記第2構成部の裏面が平面状に固定される第2固定部と、を有することが好ましい。
この構成によれば、第1構成部の裏面が平面状に固定される第1固定部と、第2構成部の裏面が平面状に固定される第2固定部と、を同一の二次元平面上に並ばせることができる。そのため、平面状に並んだ第1固定部および第2固定部に対してリフロー処理を行うことができ、フレキシブルプリント基板に第1固定部および第2固定部を固定し易くなる。
【0013】
(4)前記第1固定部は、前記第1構成部の裏面に半田付けにより固定され、前記第2固定部は、前記第2構成部の裏面に半田付けにより固定されることが好ましい。
この構成によれば、第1構成部の裏面および第2構成部の裏面を、それぞれ第1固定部および第2固定部に平面状となるように固定させ易くなる。
【0014】
本開示のフレキシブルプリント基板ユニットの製造方法は、相手側コネクタに接続されるフレキシブルプリント基板と、前記フレキシブルプリント基板を支持する支持部と、を備えるフレキシブルプリント基板ユニットの製造方法であって、前記フレキシブルプリント基板は、所定の第1方向に沿って配列される複数の第1コンタクトが表面に設けられる第1構成部と、前記第1方向に直交する第2方向において前記第1構成部と並ぶように配され、前記第1方向に沿って配列される第2コンタクトが表面に設けられる第2構成部と、を有し、前記支持部は、前記第1構成部の裏面に固定される第1固定部と、前記第1固定部とは別体であり、前記第2構成部の裏面に固定される第2固定部と、を有し、平面状の前記フレキシブルプリント基板に対して、前記第1構成部が平面状になるように前記第1構成部の裏面にリフロー半田で前記第1固定部を接続し、前記第2構成部が平面状になるように前記第2構成部の裏面にリフロー半田で前記第2固定部を接続し、リフロー処理後に、前記第1構成部の裏面と前記第2構成部の裏面とが対向するように前記第1固定部と前記第2固定部とを近づけて、前記フレキシブルプリント基板を折り曲げる。
【0015】
この構成によれば、平面状のフレキシブルプリント基板に対して、第1構成部の裏面が平面状に固定される第1固定部と、第2構成部の裏面が平面状に固定される第2固定部と、を同一の二次元平面上に並ばせることができる。そのため、平面状に並んだ第1固定部および第2固定部に対してリフロー処理を行うことができ、フレキシブルプリント基板に第1固定部および第2固定部を固定し易くなる。リフロー処理後に、第1構成部の裏面と第2構成部の裏面とが対向するように第1固定部と第2固定部とを近づけることで、フレキシブルプリント基板を容易に折り曲げることができる。
本開示のフレキシブルプリント基板ユニットの製造方法についても、上記(1)に記載した効果と同様の効果を奏する。
【0016】
[本開示の実施形態の詳細]
[実施例1]
本開示のフレキシブルプリント基板の接続構造を具体化した実施例1を、
図1~
図13を参照して説明する。本実施例1において、上下の方向については、
図1,2,6~8,12
,13にあらわれる向きを、そのまま上方、下方と定義する。前後の方向については、
図1~
13にあらわれる左方、右方を、それぞれ前方、後方と定義する。左右の方向は、幅方向と同義であり、
図1,2,4,6~
13にあらわれる前方、後方を、それぞれ右方、左方と定義する。
【0017】
本実施例1のフレキシブルプリント基板の接続構造は、
図1に示す第1コネクタ10(フレキシブルプリント基板ユニット)と、
図5に示す第2コネクタ(相手側コネクタ)60と、によって構成される。第1コネクタ10は、
図12に示すように、第2コネクタ60に組み付けられる。
【0018】
<第1コネクタ>
第1コネクタ10は、
図1、
図2に示すように、フレキシブルプリント基板20と、支持部40と、を備えている。フレキシブルプリント基板20は、支持部40によって折り曲げられた状態で支持されている。フレキシブルプリント基板20は、
図4に示すように、複数の帯状の電線21と、各電線21を被覆する絶縁シート22と、を有している。電線21は、例えば金めっきなどによって形成されている。電線21は、一定ピッチで並列配置されている。絶縁シート22は、絶縁樹脂製のシートである。電線21は、絶縁シート22に被覆されている。
【0019】
フレキシブルプリント基板20は、
図1、
図2に示すように、第1構成部31と、第2構成部32と、屈曲部33と、本体部34と、を有している。第1構成部31、第2構成部32、および屈曲部33は、帯状のフレキシブルプリント基板20の端末部分を構成している。フレキシブルプリント基板20は、本体部34から端部に向かって、第1構成部31、屈曲部33、第2構成部32の順に並んでいる。
【0020】
第1構成部31は、
図1、
図2に示すように、平板状である。第1構成部31は、本体部34の端部から上方に延びている。第1構成部31の板面は、本体部34の板面に直交している。第1構成部31と本体部34との連なり部分は、湾曲している。
【0021】
第1構成部31の表面(上面)31Aには、
図1、
図3に示すように、所定の第1方向(左右方向)に沿って等間隔で配列される複数の第1コンタクト35が設けられている。第1方向は、絶縁シート22の短手方向である。第1コンタクト35は、長方形状である。第1コンタクト35は、電線21の端部に設けられている。第1コンタクト35の幅寸法は、電線21の幅寸法よりも大きい。第1コンタクト35は、絶縁シート22に被覆されずに露出している。
【0022】
第2構成部32は、
図1、
図2に示すように、平板状である。第2構成部32は、後述する屈曲部33の端部(第1構成部31とは反対側の端部)から下方に延びている。第2構成部32の板面は、本体部34の板面に直交している。
【0023】
第2構成部32の表面(上面)32Aには、
図3に示すように、第1方向(左右方向)に沿って等間隔で配列される複数の第2コンタクト36が設けられている。第2コンタクト36は、長方形状である。第2コンタクト36は、電線21の端部に設けられている。第2コンタクト36につながる電線21の一部は、第1構成部31および屈曲部33にも含まれている。第2コンタクト36の幅寸法は、第1コンタクト35と同じ幅寸法であるすなわち、第2コンタクト36の幅寸法は、電線21の幅寸法よりも大きい。第2コンタクト36は、絶縁シート22に被覆されずに露出している。
【0024】
屈曲部33は、
図1、
図2に示すように、第1構成部31と第2構成部32とを連結している。屈曲部33は、上方に凸となるように、折り返されるように屈曲した構成をなしている。
【0025】
フレキシブルプリント基板20は、
図4に示すように、折り曲げる前の状態(平面状)で、複数の第1コンタクト35と複数の第2コンタクト36とが、左右方向に沿って千鳥配置をなしている。複数の第1コンタクト35の左右方向の列と、複数の第2コンタクト36の左右方向の列が、前後方向にずれた配置となっている。
【0026】
支持部40は、
図2に示すように、第1構成部31の裏面31Bと第2構成部32の裏面32Bとが対向するようにフレキシブルプリント基板20を折り曲げた状態で支持している。支持部40は、
図4に示すように、固定部41と、保持部42と、を有している。
【0027】
固定部41には、
図2に示すように、第1構成部31の裏面(下面)31Bおよび第2構成部32の裏面(下面)32Bが平面状に固定されている。固定部41は、第1固定部51と、第2固定部52と、を具備している。第1固定部51と第2固定部52は、別体である。第1固定部51および第2固定部52は、例えば金属製である。第1固定部51は、
図4に示すように、板部53と、一対の折り曲げ部54と、4つの突部55と、一対の引掛け部56と、を具備している。板部53は、左右方向に長い長方形状である。折り曲げ部54は、板部53の左右の縁部において、後述する引掛け部56を除く部分に設けられている。折り曲げ部54は、下方に凸となるように前後方向から見てU字状に折り曲げられている。一対の突部55は、折り曲げ部54の先端(板部53とは反対側の端部)から上方に、帯板状に突出している。一対の引掛け部56は、板部53の左右のそれぞれの縁部における前端から下方に突出している。引掛け部56は、帯板状であり、先端が鉤状に内側(他方の引掛け部56側)に折り曲げられている。
【0028】
第1固定部51は、第1構成部31の裏面(下面)31Bに半田付けにより固定されている。第1固定部51には、
図2に示すように、第1構成部31の裏面(下面)31Bが平面状に固定されている。板部53の上面(
図2では左側面)は、第1構成部31の裏面(下面)31Bに覆われている。板部53の上面は、第1構成部31の裏面(下面)31Bに接触している。突部55は、第1構成部31に設けられた孔(図示略)に挿通され、半田接続されている。第1構成部31と第1固定部51の接続に半田を用いることで、第1構成部31の裏面31Bを第1固定部51に平面状となるように固定させ易くなる。
【0029】
第2固定部52は、
図4に示すように、板部57と、一対の折り曲げ部58と、4つの突部59と、を具備している。板部57は、左右方向に長い長方形状である。板部57は、
図11に示すように、左右方向から見てL字状に折り曲げられる。板部57の後端には、左右両側にそれぞれ延出する一対の延出部57Aが設けられている。板部57の後端側(前端側に対して直交する部分)は、後述する保持部42に固定されている。折り曲げ部58は、
図4に示すように、板部57の左右の縁部に設けられている。折り曲げ部58は、下方に凸となるように前後方向から見てU字状に折り曲げられている。一対の突部59は、折り曲げ部58の先端(板部57とは反対側の端部)から上方に、帯板状に突出している。
【0030】
第2固定部52は、第2構成部32の裏面(下面)32Bに半田付けにより固定されている。第2固定部52には、
図2に示すように、第2構成部32の裏面(下面)32Bが平面状に固定されている。板部57の上面(
図2では右側面)は、第2構成部32の裏面(下面)32Bに覆われている。板部57の上面は、第2構成部32の裏面(下面)32Bに接触している。突部59は、第2構成部32の左右方向の端部付近に設けられた孔(図示略)に挿通され、半田接続されている。第2構成部32と第2固定部52の接続に半田を用いることで、第2構成部32の裏面32Bを第2固定部52に平面状となるように固定させ易くなる。
【0031】
図4に示す保持部42は、固定部41を支持する部材である。保持部42は、例えば樹脂製である。保持部42は、直方体形状である。保持部42は、前側および上側が開放された溝部43が設けられている。溝部43の底部には、板部57の後端側の部分が固定されている。溝部43の底部の左右両端には、それぞれ前後方向に沿うスリット44(
図9参照)が設けられている。
図9に示すように、スリット44に延出部57Aが挿入されることで、保持部42に第2固定部52が固定されている。
【0032】
支持部40は、
図2に示すように、第1構成部31の裏面31Bと第2構成部32の裏面32Bとを対向させるように、フレキシブルプリント基板20を折り曲げた状態で支持している。第1構成部31の裏面31Bと、第2構成部32の裏面32Bとが
固定部41に接触している。折り曲げ部54と折り曲げ部58は、上下方向に沿って接触している。第1構成部31の引掛け部56は、
図3、
図11に示すように、第2構成部32の板部57における左右方向の端部に引っ掛かっている。これにより、第1構成部31の裏面31Bと第2構成部32の裏面32Bとの対向状態が維持される。
図2に示すように、第1構成部31の板部53の板面と、第2構成部32の板部57の板面は、平行になっている。第1構成部31の表面31Aと、第2構成部32の表面32Aは、平行になっている。
【0033】
図3に示すように、フレキシブルプリント基板20が折り曲げられた状態で、複数の第1コンタクト35と複数の第2コンタクト36とが、左右方向において交互に並び、かつ前後方向に離隔した千鳥配置をなしている。複数の第1コンタクト35の列と、複数の第2コンタクト36の列が、前後方向にずれた配置となっている。前後方向から第1コンタクト35および第2コンタクト36以外のものを透過して見た場合、第1コンタクト35間の中心の位置(ピッチの半分の位置)に、第2コンタクト36が位置している。複数の第1コンタクト35と複数の第2コンタクト36が、左右方向に等間隔で一列に並ぶ配置になっている。
【0034】
第1コネクタ10は、コンタクトの上記千鳥配置により、同じ数のコンタクト(第1コンタクト35と第2コンタクト36とを合わせた数のコンタクト)を左右方向に沿って配列する構成に比べて、左右方向におけるフレキシブルプリント基板20のサイズを低減することができる。第1コネクタ10は、第1構成部31の裏面31Bと第2構成部32の裏面32Bとが対向する構成であるため、第1構成部31と第2構成部32とが前後方向に沿って平面状となる構成に比べて、前後方向におけるフレキシブルプリント基板20のサイズを低減することができる。第1コネクタ10は、コンタクトの上記千鳥配置により、左右方向で隣接するコンタクト間(隣り合う第1コンタクト35間、隣り合う第2コンタクト36間)が比較的広く設定され、各コンタクトの寸法公差の影響を受け難くなる。
【0035】
<第2コネクタ>
第2コネクタ60は、
図5、
図6に示すように、複数の端子金具61と、ケース62と、を備えている。端子金具61は、
図7に示すように、音叉型の板状の端子である。端子金具61は、一対の挟持片63と、接続片64と、を有している。一対の挟持片63は、下方に平行に突出している。挟持片63の先端には、内側(他方の挟持片63側)に突出する第3コンタクト65が設けられている。接続片64は、一対の挟持片63の基端側において、挟持片63の突出方向に直交する方向に突出している。接続片64は、ケース62の上端から露出している。接続片64は、例えば配線などが接続される。
【0036】
ケース62は、
図6に示すように、下方に開放されている。ケース62の前後の下端は、
図7に示すように、内側に向かって上り傾斜のテーパ状になっている。ケース62は、複数の端子金具61を保持している。複数の端子金具61は、板厚方向に等間隔で並んでいる。隣り合う端子金具61間で、接続片64の突出する向きが反対になっている。上下方向から見て、複数の端子金具61の接続片64は、左右方向に沿って千鳥配置(
図5参照)をなしている。前方側に突出する接続片64の列と、後方側に突出する接続片64の列が左右方向にずれた配置となっている。前後方向から複数の端子金具61以外のものを透過して見た場合、前方側に突出する接続片64間の中心の位置(ピッチの半分の位置)に、後方側に突出する接続片64が位置している。前方側に突出する接続片64と後方側に突出する接続片64が、左右方向に等間隔で一列に並ぶ配置になっている。各端子金具61は、第1コンタクト35および第2コンタクト36のいずれか一方に接触する。
【0037】
<第1コネクタの製造方法>
図9~12を用いて、第1コネクタ10の製造方法について説明する。まず、
図8に示すように、平面状のフレキシブルプリント基板20に対して、固定部41を取り付ける。第1構成部31が平面状になるように、第1構成部31の裏面31Bにリフロー半田(熱処理前の半田ペースト)で第1固定部51を接続する。突部55を第1構成部31に設けられた孔(図示略)に挿通し、リフロー半田を塗布する。第2構成部32が平面状になるように、第2構成部32の裏面32Bにリフロー半田で第2固定部52を接続する。突部59を第2構成部32に設けられた孔(図示略)に挿通し、リフロー半田を塗布する。
【0038】
続いて、固定部41が取り付けられた平面状のフレキシブルプリント基板20に対して、リフロー処理を行う。これにより、第1構成部31の裏面31Bに第1固定部51が半田付けされ、第2構成部32の裏面32Bに第2固定部52が半田付けされる。第1固定部51と第2固定部52が別体であるため、第1構成部31が平面状に固定される第1固定部51と、第2構成部32が平面状に固定される第2固定部52と、を平面状に並ばせることができる。そのため、第1構成部31および第2構成部32をリフロー処理し易くなる。
【0039】
続いて、
図9、
図10に示すように、第2固定部52を保持部42に固定する。第2固定部52の板部57の後端側の部分を、溝部43の底部に固定する。例えば、溝部43に板部57を引っ掛ける構造などが設けられている。
【0040】
続いて、
図11に示すように、第1構成部31の裏面31Bと第2構成部32の裏面32Bとが対向するように、第1固定部51と第2固定部52とを近づけて、フレキシブルプリント基板20を折り曲げる。屈曲部33が上方に凸となるように、フレキシブルプリント基板20を折り曲げる。第1固定部51の板部53の板面と第2固定部52の板部57の板面が対向する。第1固定部51の折り曲げ部54と第2固定部52の折り曲げ部58は、前後方向で接触する。第1固定部51の板部53と第2固定部52の板部57は、上下方向に沿って平行となる。第1構成部31の板面と第2構成部32の板面は、上下方向に沿って平行となる。第1構成部31の引掛け部56を、第2構成部32の板部57における左右方向の端部に引っ掛ける。これにより、第1構成部31の裏面31Bと第2構成部32の裏面32Bとの対向状態が維持される。このようにして、第1コネクタが製造される。
【0041】
<第2コネクタに対する第1コネクタの組み付け>
図12に示すように、第1コネクタ10は、第2コネクタ60に組み付けられる。なお、
図12では、保持部42の溝部43を上方側から覆う閉塞部45が設けられている。
図13に示すように、フレキシブルプリント基板20の折り曲げ部分(第1構成部31、第2構成部32、および屈曲部33)を、ケース62の内側(より具体的には、一対の挟持片63の間)に挿入する。端子金具61の一対の挟持片63は、第1構成部31および第2構成部32を前後方向の両側から挟む。固定部41に第1構成部31および第2構成部32が平面状に固定されているため、第1構成部31および第2構成部32が湾曲などの形状となる構成に比べて、一対の挟持片63で第1構成部31および第2構成部32を円滑に挟み込むことができる。端子金具61は、第1コンタクト35および第2コンタクト36のいずれか一方に接触する。
【0042】
<本実施例の効果>
以上のように、本開示のフレキシブルプリント基板の接続構造は、左右方向(第1方向)に沿って配列される複数の第1コンタクト35が表面に設けられる第1構成部31と、左右方向(第1方向)に沿って配列される複数の第2コンタクト36が表面に設けられる第2構成部32と、が左右方向(第1方向)に直交する前後方向(第2方向)において並ぶように配される。そのため、第1コンタクト35と第2コンタクト36とを合わせた数のコンタクトを左右方向(第1方向)に沿って配列する構成に比べて、左右方向(第1方向)におけるフレキシブルプリント基板20のサイズを低減することができる。第1構成部31の裏面31Bと第2構成部32の裏面32Bとが対向する構成であるため、第1構成部31と第2構成部32とが前後方向(第2方向)に沿って平面状となる構成に比べて、前後方向(第2方向)におけるフレキシブルプリント基板20のサイズを低減することができる。複数の第1コンタクト35と複数の第2コンタクト36とが左右方向(第1方向)に沿って千鳥配置をなすため、左右方向(第1方向)で隣接するコンタクト間が比較的広く設定され、寸法公差の影響を受け難くなる。
【0043】
本開示のフレキシブルプリント基板の接続構造において、支持部40は、第1構成部31の裏面31Bおよび第2構成部32の裏面32Bが平面状に固定される固定部41を有する。この構成により、第1構成部31の裏面31Bまたは第2構成部32の裏面32Bが湾曲などの形状となる構成に比べて、第2コネクタ(相手側コネクタ)60の端子金具61で第1構成部31および第2構成部32を円滑に挟み込むことができる。
【0044】
本開示のフレキシブルプリント基板の接続構造において、固定部41は、第1構成部31の裏面31Bが平面状に固定される第1固定部51と、第1固定部51とは別体であり、第2構成部32の裏面32Bが平面状に固定される第2固定部52と、を有する。この構成により、第1構成部31の裏面31Bが平面状に固定される第1固定部51と、第2構成部32の裏面32Bが平面状に固定される第2固定部52と、を同一の二次元平面上に並ばせることができる。そのため、平面状に並んだ第1固定部51および第2固定部52に対してリフロー処理を行うことができ、フレキシブルプリント基板20に第1固定部51および第2固定部52を固定し易くなる。
【0045】
本開示のフレキシブルプリント基板の接続構造は、第1固定部51は、第1構成部31の裏面31Bに半田付けにより固定され、第2固定部52は、第2構成部32の裏面32Bに半田付けにより固定される。この構成により、第1構成部31の裏面31Bおよび第2構成部32の裏面32Bを、それぞれ第1固定部51および第2固定部52に平面状となるように固定させ易くなる。
【0046】
本開示のフレキシブルプリント基板ユニットの製造方法は、第2コネクタ(相手側コネクタ)60に接続されるフレキシブルプリント基板20と、フレキシブルプリント基板20を支持する支持部40と、を備える第1コネクタ(フレキシブルプリント基板ユニット)10の製造方法である。フレキシブルプリント基板20は、左右方向(所定の第1方向)に沿って配列される複数の第1コンタクト35が表面31Aに設けられる第1構成部31と、左右方向(第1方向)に直交する前後方向(第2方向)において第1構成部31と並ぶように配され、左右方向(第1方向)に沿って配列される第2コンタクト36が表面32Aに設けられる第2構成部32と、を有している。支持部40は、第1構成部31の裏面31Bに固定される第1固定部51と、第1固定部51とは別体であり、第2構成部32の裏面32Bに固定される第2固定部52と、を有している。平面状のフレキシブルプリント基板20に対して、第1構成部31が平面状になるように第1構成部31の裏面31Bにリフロー半田で第1固定部51を接続する。第2構成部32が平面状になるように第2構成部32の裏面32Bにリフロー半田で第2固定部52を接続する。リフロー処理後に、第1構成部31の裏面31Bと第2構成部32の裏面32Bとが対向するように第1固定部51と第2固定部52とを近づけて、フレキシブルプリント基板20を折り曲げる。この構成により、平面状のフレキシブルプリント基板20に対して、第1構成部31の裏面31Bが平面状に固定される第1固定部51と、第2構成部32の裏面32Bが平面状に固定される第2固定部52と、を同一の二次元平面上に並ばせることができる。そのため、平面状に並んだ第1固定部51および第2固定部52に対してリフロー処理を行うことができ、フレキシブルプリント基板20に第1固定部51および第2固定部52を固定し易くなる。リフロー処理後に、第1構成部31の裏面31Bと第2構成部32の裏面32Bとが対向するように第1固定部51と第2固定部52とを近づけることで、フレキシブルプリント基板20を容易に折り曲げることができる。
【0047】
[他の実施例]
本発明は、上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示される。本発明には、特許請求の範囲と均等の意味及び特許請求の範囲内でのすべての変更が含まれ、下記のような実施形態も含まれることが意図される。
上記実施例1では、端子金具61が、音叉型の板状の端子であったが、その他の形状であってもよい。例えば、一対の挟持片63の代わりに、1つの接触片(第1コンタクト35および第2コンタクト36のいずれか一方に接触する部分)が設けられる構成であってもよい。
【符号の説明】
【0048】
10…第1コネクタ(フレキシブルプリント基板ユニット)
20…フレキシブルプリント基板
21…電線
22…絶縁シート
31…第1構成部
31A…表面(上面)
31B…裏面(下面)
32…第2構成部
32A…表面(上面)
32B…裏面(下面)
33…屈曲部
34…本体部
35…第1コンタクト
36…第2コンタクト
40…支持部
41…固定部
42…保持部
43…溝部
44…スリット
45…閉塞部
51…第1固定部
52…第2固定部
53…板部
54…折り曲げ部
55…突部
56…引掛け部
57…板部
57A…延出部
58…折り曲げ部
59…突部
60…第2コネクタ(相手側コネクタ)
61…端子金具
62…ケース
63…挟持片
64…接続片
65…第3コンタクト