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特許7486083予測方法、プログラム、予測システム、サーバ、及び表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】予測方法、プログラム、予測システム、サーバ、及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 33/70 20200101AFI20240510BHJP
【FI】
D06F33/70
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021568414
(86)(22)【出願日】2021-06-17
(86)【国際出願番号】 JP2021023107
(87)【国際公開番号】W WO2022180878
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-06-13
(31)【優先権主張番号】P 2021028845
(32)【優先日】2021-02-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 千絵子
(72)【発明者】
【氏名】山田 竜郎
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-117493(JP,A)
【文献】特開2008-167889(JP,A)
【文献】特開平5-322444(JP,A)
【文献】特開2020-156932(JP,A)
【文献】特開2020-13221(JP,A)
【文献】特開2019-208858(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 33/70
D06F 33/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥機能付き洗濯機による乾燥運転のパラメータを取得する取得ステップと、
前記取得ステップが取得した前記パラメータに基づいて、第1予測方法により前記乾燥運転に要する乾燥時間を予測する予測ステップと、
前記乾燥運転の停止中に前記乾燥運転の再開を検知した場合に、前記予測ステップによる前記第1予測方法が適用可能か否かを判定する判定ステップと、
前記第1予測方法が適用可能であると判定した場合に前記第1予測方法を継続し、不可能であると判定した場合に所定の処理を実行する処理ステップと、を含む、
予測方法。
【請求項2】
前記判定ステップでは、前記乾燥運転の停止前の前記パラメータの履歴に、前記乾燥運転の再開時の前記パラメータに類似するパラメータが存在するか否かに基づいて、前記第1予測方法が適用可能か否かを判定する、
請求項1に記載の予測方法。
【請求項3】
前記乾燥機能付き洗濯機は、ヒートポンプを用いて前記乾燥運転を実行する機能を有しており、
前記パラメータは、前記乾燥機能付き洗濯機の洗濯槽から前記ヒートポンプへ取り込まれる空気の温度と、前記ヒートポンプから前記洗濯槽へ排出される空気の温度と、を含む、
請求項1又は2に記載の予測方法。
【請求項4】
前記第1予測方法では、前記乾燥時間を予測するために機械学習された学習済みモデルを用いて、前記乾燥時間を予測する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の予測方法。
【請求項5】
前記所定の処理は、前記第1予測方法から前記第1予測方法とは異なる第2予測方法に切り替えて、前記乾燥時間を予測する処理を含む、
請求項4に記載の予測方法。
【請求項6】
前記処理ステップの実行結果に関する情報を、ユーザに提示する提示ステップを更に含む、
請求項1~5のいずれか1項に記載の予測方法。
【請求項7】
乾燥運転のパラメータに基づいて、第1予測方法により前記乾燥運転に要する乾燥時間を予測する予測ステップと、
前記乾燥運転の停止中に前記乾燥運転の再開を検知した場合に、前記予測ステップによる前記第1予測方法が適用可能か否かを判定する判定ステップと、
前記第1予測方法が適用可能であると判定した場合に前記第1予測方法を継続し、不可能であると判定した場合に所定の処理を実行する処理ステップと、を含む、
予測方法。
【請求項8】
1以上のプロセッサに、
請求項1~7のいずれか1項に記載の予測方法を実行させる、
プログラム。
【請求項9】
乾燥機能付き洗濯機による乾燥運転のパラメータを取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記パラメータに基づいて、第1予測方法により前記乾燥運転に要する乾燥時間を予測する予測部と、
前記乾燥運転の停止中に前記乾燥運転の再開を検知した場合に、前記予測部による前記第1予測方法が適用可能か否かを判定する判定部と、
前記第1予測方法が適用可能であると判定した場合に前記第1予測方法を継続し、不可能であると判定した場合に所定の処理を実行する処理部と、を備える、
予測システム。
【請求項10】
請求項9に記載の前記予測システムを備え、
前記予測システムは、外部ネットワークを介して前記乾燥機能付き洗濯機との間で通信する、
サーバ。
【請求項11】
請求項9に記載の予測システムとの間で通信する通信機能と、
前記通信機能により前記予測システムから前記処理部の実行結果に関する情報を受信すると、当該情報を表示することでユーザに提示する表示機能と、を有する、
表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、衣類の乾燥運転に要する乾燥時間を予測する予測方法、プログラム、予測システム、サーバ、及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ドラム式洗濯乾燥機を開示している。このドラム式洗濯乾燥機は、洗濯物の重量情報を測定する重量測定装置と、その重量情報を記憶する記憶装置と、重量情報を用いて比較及び演算を行う比較・演算装置を含む制御装置と、により構成されている。このドラム式洗濯乾燥機は、乾燥工程時の洗濯物の重量の時間推移から予測した乾燥工程の残り時間を用いて、乾燥工程終了の判定を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-146999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、乾燥運転が運転中に停止した場合にも、通常の乾燥時間の予測方法を継続させやすい予測方法等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る予測方法は、取得ステップと、予測ステップと、判定ステップと、処理ステップと、を含む。前記取得ステップでは、乾燥機能付き洗濯機による乾燥運転のパラメータを取得する。前記予測ステップでは、前記取得ステップが取得した前記パラメータに基づいて、第1予測方法により前記乾燥運転に要する乾燥時間を予測する。前記判定ステップでは、前記乾燥運転の停止中に前記乾燥運転の再開を検知した場合に、前記予測ステップによる前記第1予測方法が適用可能か否かを判定する。前記処理ステップでは、前記第1予測方法が適用可能であると判定した場合に前記第1予測方法を継続し、不可能であると判定した場合に所定の処理を実行する。
【0006】
本開示の一態様に係る予測方法は、予測ステップと、判定ステップと、処理ステップと、を含む。前記予測ステップでは、乾燥運転のパラメータに基づいて、第1予測方法により前記乾燥運転に要する乾燥時間を予測する。前記判定ステップでは、前記乾燥運転の停止中に前記乾燥運転の再開を検知した場合に、前記予測ステップによる前記第1予測方法が適用可能か否かを判定する。前記処理ステップでは、前記第1予測方法が適用可能であると判定した場合に前記第1予測方法を継続し、不可能であると判定した場合に所定の処理を実行する。
【0007】
本開示の一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、前記予測方法を実行させる。
【0008】
本開示の一態様に係る予測システムは、取得部と、予測部と、判定部と、処理部と、を備える。前記取得部は、乾燥機能付き洗濯機による乾燥運転のパラメータを取得する。前記予測部は、前記取得部が取得した前記パラメータに基づいて、第1予測方法により前記乾燥運転に要する乾燥時間を予測する。前記判定部は、前記乾燥運転の停止中に前記乾燥運転の再開を検知した場合に、前記予測部による前記第1予測方法が適用可能か否かを判定する。前記処理部は、前記第1予測方法が適用可能であると判定した場合に前記第1予測方法を継続し、不可能であると判定した場合に所定の処理を実行する。
【0009】
本開示の一態様に係るサーバは、前記予測システムを備える。前記予測システムは、外部ネットワークを介して前記乾燥機能付き洗濯機との間で通信する。
【0010】
本開示の一態様に係る表示装置は、通信機能と、表示機能と、を有する。前記通信機能は、前記予測システムとの間で通信する機能である。前記表示機能は、前記通信機能により前記予測システムから前記処理部の実行結果に関する情報を受信すると、当該情報を表示することでユーザに提示する機能である。
【発明の効果】
【0011】
本開示による予測方法等によれば、乾燥運転が運転中に停止した場合にも、通常の乾燥時間の予測方法を継続させやすい、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施の形態における予測システムを搭載した乾燥機能付き洗濯機の構成を示すブロック図である。
図2図2は、乾燥時間を予測するための第1予測方法及び第2予測方法の比較図である。
図3図3は、比較例の予測システムにおける、乾燥運転が運転中に停止した場合の課題の説明図である。
図4図4は、実施の形態における予測システムの判定部及び予測部の動作例の説明図である。
図5図5は、実施の形態における予測システムの動作例を示すフローチャートである。
図6図6は、実施の形態における予測システムの判定部の動作例を示すフローチャートである。
図7図7は、実施の形態の変形例における予測システムを含む全体構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(本開示の基礎となった知見)
まず、発明者の着眼点が、下記に説明される。
【0014】
例えば特許文献1に開示されているドラム式洗濯乾燥機のように、乾燥機能付き洗濯機は、洗濯した衣類を乾燥させるための乾燥運転を実行する機能を有している。また、乾燥機能付き洗濯機は、乾燥運転に要する乾燥時間を予測し、予測した乾燥時間を、乾燥運転が終了するまでの残り時間としてディスプレイに表示する機能を有している。ユーザは、ディスプレイに表示された残り時間を見ることにより、乾燥運転が終了する時刻を概ね把握することができるので、当該時刻を考慮して予定を立てることが可能である。
【0015】
ところで、乾燥運転の途中においては、例えばユーザが衣類の乾き具合を確認したり、追加の衣類を投入したりするために、乾燥運転を一時停止させる場合があり得る。しかしながら、上記の乾燥時間を予測する機能は、一時停止を想定していないため、一時停止が解除されて乾燥運転を再開する際に、通常の乾燥時間を予測する機能を再開するか否かが問題となる。
【0016】
ここで、乾燥運転の再開時において、一律に通常の乾燥時間を予測する機能を再開すると、乾燥時間の予測精度が低下することにより、乾燥運転が終了するまでの残り時間の精度も低下する可能性がある。この場合、実際には残り時間が経過するよりも前、又は残り時間が経過した後に乾燥運転が終了することになり、ユーザが不快感を覚える等、ユーザの利便性が低下するといった事態を招く可能性がある。一方、乾燥運転の再開時において、一律に乾燥時間を予測する機能を停止すると、ユーザは乾燥運転が終了するまでの残り時間を把握することができず、やはりユーザの利便性が低下するといった事態を招く可能性がある。
【0017】
以上を鑑み、発明者は本開示を創作するに至った。
【0018】
以下、適宜図面を参照しながら、各実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0019】
なお、発明者は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面及び以下の説明を提供するのであって、これらによって請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0020】
(実施の形態)
[1-1.全体構成]
まず、実施の形態における予測システム1を含む全体構成について図1を用いて説明する。図1は、実施の形態における予測システム1を搭載した乾燥機能付き洗濯機2(以下、特に断りのない限り、単に「洗濯機2」という)の構成を示すブロック図である。実施の形態では、予測システム1は、洗濯機2に搭載されている。
【0021】
洗濯機2は、機能部21と、入力部22と、表示部23と、1以上のセンサ24と、洗濯槽25と、ヒートポンプ26と、を備えている。また、洗濯機2は、予測システム1を更に備えている。実施の形態では、洗濯機2は、一例としてドラム式の洗濯機である。もちろん、洗濯機2は、ドラム式の洗濯機に限らず、例えば縦型の洗濯機等であってもよい。
【0022】
機能部21は、洗濯機2が備える各種機能を実行する。実施の形態では、機能部21は、洗濯槽25に収容された衣類を洗濯する洗濯運転を実行する洗濯機能と、洗濯槽25に収容されて洗濯された衣類を乾燥する乾燥運転を実行する乾燥機能と、を有している。洗濯運転は、洗濯槽25を回転させる等して、洗濯槽25に収容された衣類に対して洗い、すすぎ、及び/又は脱水等を行うことにより、衣類を洗濯する。乾燥運転は、ヒートポンプ26により除湿された乾燥空気を送る等して、洗濯槽25に収容されて洗濯された衣類を乾燥する。
【0023】
また、機能部21は、洗濯運転に要する洗濯時間(つまり、洗濯運転が終了するまでの残り時間)の予測時間、及び乾燥運転に要する乾燥時間(つまり、乾燥運転が終了するまでの残り時間)の予測時間を表示部23に表示させる表示機能を更に有している。実施の形態では、乾燥時間の予測時間は、予測システム1により予測される。なお、洗濯時間の予測時間は、予測システム1又は予測システム1とは別のシステムにより予測されるが、ここでは説明を省略する。
【0024】
機能部21は、入力部22が受け付けた入力に応じた機能を実行する。なお、機能部21は、例えばユーザが所有する情報端末3との間で通信することにより、情報端末3で受け付けたユーザの入力に応じた機能を実行してもよい。情報端末3は、例えばスマートフォン、タブレット端末、又はデスクトップ型若しくはラップトップ型のパーソナルコンピュータ等を含み得る。情報端末3と洗濯機2との間の通信は、例えばWiFi(登録商標)又はBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)等の規格に従った無線通信である。なお、情報端末3と洗濯機2との間の通信の規格は、特に限定されない。
【0025】
入力部22は、ユーザの操作による入力を受け付ける。入力部22は、例えば各種入力を受け付ける押釦等により構成されている。入力部22は、例えば機能部21に実行させる運転を選択する入力、運転の内容(例えば、運転モード等)を選択する入力、運転を開始させる入力、及び運転を一時停止させる入力等を受け付ける。なお、表示部23がタッチパネルディスプレイで構成されている場合、表示部23が入力部22の一部を兼ねていてもよい。
【0026】
表示部23は、例えば液晶ディスプレイであって、洗濯機2に関する各種情報を表示する。例えば、表示部23は、洗濯運転中であれば、洗濯運転中であることを示す文字列及び/又は画像と、洗濯時間の予測時間を示す文字列等を表示する。また、例えば、表示部23は、乾燥運転中であれば、乾燥運転中であることを示す文字列及び/又は画像と、乾燥時間の予測時間を示す文字列等を表示する。なお、表示部23は、液晶ディスプレイの他に、情報に応じて点灯又は消灯するランプを有していてもよい。
【0027】
各センサ24は、洗濯機2の運転に関する種々の状態を検知する。言い換えれば、各センサ24は、洗濯機2の運転のパラメータを検知する。例えば、1以上のセンサ24には、洗濯槽25に収容された衣類の重量を検知する重量センサ等が含まれる。1以上のセンサ24には、主として、洗濯運転に関する状態を検知するセンサと、乾燥運転に関する状態を検知するセンサと、が含まれている。なお、洗濯運転に関する状態を検知するセンサについては、ここでは説明を省略する。
【0028】
実施の形態では、1以上のセンサ24には、吸込温度を検知する第1温度センサと、吐出温度を検知する第2温度センサと、が少なくとも含まれている。第1温度センサ及び第2温度センサは、いずれもサーミスタにより構成されている。第1温度センサは、例えばヒートポンプ26の吸気口の近傍に設置される。第2温度センサは、例えばヒートポンプ26の排気口の近傍に設置される。ここで、「吸込温度」は、洗濯槽25からヒートポンプ26へと取り込まれる空気の温度をいう。また、「吐出温度」は、ヒートポンプ26から洗濯槽25へ排出される空気の温度をいう。
【0029】
[1-2.予測システム]
次に、予測システム1の詳細について説明する。予測システム1は、図1に示すように、取得部11と、予測部12と、検知部13と、判定部14と、処理部15と、提示部16と、記憶部17と、を備えている。なお、実施の形態において、予測システム1は、取得部11、予測部12、判定部14、及び処理部15を少なくとも備えていればよく、検知部13、提示部16、及び記憶部17は備えていなくてもよい。
【0030】
取得部11は、洗濯機2による乾燥運転のパラメータを取得する。取得部11は、予測方法における取得ステップST1の実行主体である。実施の形態では、取得部11は、乾燥運転の開始時から終了時までの間、各センサ24の検知結果(つまり、乾燥運転のパラメータ)を定期的に取得する。
【0031】
ここで、既に述べたように、1以上のセンサ24には、第1温度センサ及び第2温度センサが含まれている。したがって、取得部11は、吸込温度及び吐出温度を乾燥運転のパラメータとして取得する。つまり、洗濯機2は、ヒートポンプ26を用いて乾燥運転を実行する機能を有している。そして、(乾燥運転の)パラメータは、洗濯機2の洗濯槽25からヒートポンプ26へ取り込まれる空気の温度と、ヒートポンプ26から洗濯槽25へ排出される空気の温度と、を含む。
【0032】
また、実施の形態では、取得部11は、吸込温度及び吐出温度の他に、乾燥運転の運転モードの情報と、乾燥運転の履歴情報(例えば、直近の過去の数十回分の乾燥運転に実際に要した時間を含む)と、を取得する。乾燥運転の運転モードの情報は、入力部22又は情報端末3で受け付けた運転モードを指示する入力を取得することで、取得可能である。また、乾燥運転の履歴情報は、記憶部17から読み出すことで、取得可能である。
【0033】
予測部12は、取得部11(取得ステップST1)が取得したパラメータに基づいて、第1予測方法により乾燥運転に要する乾燥時間を予測する。予測部12は、予測方法における予測ステップST2の実行主体である。ここで、乾燥運転に要する乾燥時間を予測する方法としては、例えば学習済みモデルを用いた第1予測方法と、ルールベースの第2予測方法と、が存在する。実施の形態では、予測部12は、基本的に第1予測方法を用いて乾燥時間を予測する。つまり、第1予測方法を用いて乾燥時間を予測する方法が、通常の乾燥時間の予測方法に相当する。
【0034】
第1予測方法では、乾燥時間を予測するために機械学習された学習済みモデルを用いて、乾燥時間を予測する。学習済みモデルは、例えば多層構造を有するニューラルネットワークにより構成されており、乾燥運転のパラメータを入力すると、乾燥時間の予測時間を出力するように機械学習が完了したモデルである。つまり、第1予測方法では、取得部11が取得したパラメータを学習済みモデルに入力することにより、学習済みモデルから出力される乾燥時間の予測時間を得る。第1予測方法では、定期的に取得部11が取得したパラメータ(例えば、吸込温度及び吐出温度)を学習済みモデルに入力することにより、定期的に乾燥時間の予測時間を得る。つまり、乾燥運転中においては、乾燥時間の予測時間が定期的に更新される。
【0035】
乾燥運転のパラメータは、例えば、吸込温度、吐出温度、乾燥運転の運転モード、及び/又は乾燥運転の履歴等を含み得る。乾燥運転の履歴は、例えば直近の過去の数十回分の乾燥運転に実際に要した時間の代表値である。代表値は、例えば平均値、中央値、最頻値等を含み得る。実施の形態では、学習済みモデルには、上記に列挙したパラメータが全て入力される。
【0036】
例えば、学習済みモデルは、多数の学習用データセットを用いた教師あり学習により機械学習されている。各学習用データセットは、入力データとしての乾燥運転のパラメータを示す情報と、正解データとしての実際に要した乾燥時間を示す情報と、が含まれている。なお、実施の形態では、各学習用データセットに含まれる乾燥運転のパラメータは、上記に列挙したパラメータである。
【0037】
第2予測方法では、主として吸込温度及び吐出温度に基づいて、ルールベースにより乾燥時間を予測する。具体的には、第2予測方法では、吸込温度と吐出温度との差分の移動平均値を、定期的に(例えば、30分~60分ごとに)、一定時間(例えば、数分間)監視する。この一定時間における移動平均値の変化量と閾値とを比較することにより、衣類の乾き度合いを判定する。そして、衣類の乾き度合いに応じて、乾燥時間の予測時間を得る。つまり、第2予測方法では、第1予測方法と同様に、乾燥運転中においては、定期的に取得した吸込温度及び吐出温度に基づいて、乾燥時間の予測時間が定期的に更新される。
【0038】
図2は、乾燥時間を予測するための第1予測方法及び第2予測方法の比較図である。図2において、縦軸は乾燥時間(残り時間)を表しており、横軸は乾燥運転を開始してからの経過時間を表している。また、図2において、実線は第1予測方法により予測された乾燥時間を表しており、一点鎖線は第2予測方法により予測された乾燥時間を表しており、破線は実際の乾燥時間を表している。図2において、実線の折れ曲がった箇所は、第1予測方法による乾燥時間の予測時間の更新タイミングを表している。また、図2において、一点鎖線の丸印は、第2予測方法による乾燥時間の予測時間の更新タイミングを表している。
【0039】
図2に示すように、第2予測方法では、乾燥時間の予測時間が実際の乾燥時間に対して比較的大きく乖離しており、かつ、更新時において乾燥時間の予測時間が大きく変動しがちである。一方、第1予測方法では、乾燥時間の予測時間が実際の乾燥時間に対して然程乖離せずに追従しており、かつ、更新時において乾燥時間の予測時間が大きく変動していない。このように、学習済みモデルの学習度合いにもよるが、基本的に第1予測方法は、第2予測方法と比較して乾燥時間の予測精度が高い。
【0040】
検知部13(検知ステップST3)は、乾燥運転の運転中の停止及び乾燥運転の再開を検知する。検知部13は、予測方法における検知ステップST3の実行主体である。実施の形態では、検知部13は、乾燥運転中において、入力部22又は情報端末3で受け付けた乾燥運転の運転中の停止を指示する入力を取得することで、乾燥運転の運転中の停止を検知する。また、検知部13は、乾燥運転の停止中において、入力部22又は情報端末3で受け付けた乾燥運転の再開を指示する入力を取得することで、乾燥運転の再開を検知する。
【0041】
判定部14(判定ステップST4)は、検知部13(検知ステップST3)が乾燥運転の再開を検知した場合に、予測部12(予測ステップST2)による第1予測方法が適用可能か否かを判定する。判定部14は、予測方法における判定ステップST4の実行主体である。
【0042】
ここで、乾燥運転中において乾燥運転が一時停止されると、乾燥運転の再開時において、洗濯槽25の内部環境が一時停止時と比較して大きく変化する可能性がある。例えば、乾燥運転が一時停止されると、ヒートポンプ26も一時停止することから、吸込温度及び吐出温度といった洗濯槽25の内部温度が低下したり、変動したりする。また、乾燥運転が一時停止される場合、ユーザが洗濯槽25の蓋を開けることによっても洗濯槽25の内部温度が低下したり、変動したりする。さらに、一時停止している期間が長くなればなる程、洗濯槽25の内部環境が著しく変化することは免れない。
【0043】
このように、乾燥運転が一時停止してから再開するまでの間に洗濯槽25の内部環境が変化した場合、乾燥運転の再開後の乾燥時間の予測精度が低下する可能性がある、という課題がある。以下、この課題について図3を用いて説明する。図3は、比較例の予測システムにおける、乾燥運転中に一時停止した場合の課題の説明図である。比較例の予測システムは、判定部14を備えていない点で、実施の形態の予測システム1と相違する。図3において、縦軸は乾燥時間(残り時間)を表しており、横軸は乾燥運転を開始してからの経過時間を表している。また、図3において、実線は第1予測方法により予測された乾燥時間を表しており、破線は実際の乾燥時間を表している。さらに、図3において、点線は一時停止が発生しなかったと仮定した場合の第1予測方法により予測された乾燥時間を表している。
【0044】
図3に示す例では、時刻t1において乾燥運転が一時停止され、時刻t2において乾燥運転が再開されている。また、図3に示す例では、比較例の予測システムは、時刻t2において乾燥運転が再開されると、予測部による乾燥時間の予測を再開している。この場合、予測部は、時刻t2におけるパラメータに基づいて乾燥時間の予測を再開することになるが、乾燥運転が一時停止してから再開するまでの間の洗濯槽25の内部環境の変化を考慮していない。このため、図3に示す例では、時刻t2以降の乾燥時間の予測時間が、乾燥運転の一時停止が発生しなかった場合と比較して、実際の乾燥時間に対して大きく乖離してしまっており、乾燥時間の予測精度が低下している。
【0045】
そこで、実施の形態では、判定部14(判定ステップST4)は、乾燥運転の停止前のパラメータの履歴に、乾燥運転の再開時のパラメータに類似するパラメータが存在するか否かに基づいて、予測部12(予測ステップST2)による第1予測方法が適用可能か否かを判定する。つまり、実施の形態では、判定部14は、乾燥運転の再開時における洗濯槽25の内部環境が、乾燥運転の一時停止時よりも前における洗濯槽25の内部環境と類似するか否かにより、乾燥運転の再開後に予測部12による第1予測方法が適用可能か否かを判定する。
【0046】
具体的には、判定部14は、検知部13が乾燥運転の再開を検知すると、乾燥運転の再開時から一定時間、乾燥運転のパラメータ(ここでは、吸込温度及び吐出温度)を取得部11に逐次取得させる。そして、判定部14は、記憶部17から乾燥運転の一時停止時よりも前の乾燥運転のパラメータの履歴を読み出し、当該履歴と取得結果(つまり、一定時間における吸込温度及び吐出温度)とを比較する。一定時間内において、取得結果が履歴に含まれている、又は取得結果に許容誤差を加味した値が履歴に含まれている場合(言い換えれば、取得結果と類似するパラメータが履歴に含まれている場合)、判定部14は、乾燥運転の再開後に予測部12による第1予測方法が適用可能である、と判定する。一方、そうでない場合、判定部14は、乾燥運転の再開後に予測部12による第1予測方法が適用できない、と判定する。
【0047】
処理部15(処理ステップST5)は、予測部12(予測ステップST2)による第1予測方法が適用可能であると判定部14(判定ステップST4)が判定した場合に、予測部12による第1予測方法を継続し、不可能であると判定部14(判定ステップST4)が判定した場合に所定の処理を実行する。処理部15は、予測方法における処理ステップST5の実行主体である。
【0048】
具体的には、処理部15は、予測部12による第1予測方法が適用可能であると判定部14が判定した場合、上記履歴のうち取得結果と類似するパラメータの取得時点に遡って、予測部12に乾燥時間を予測させる。一方、処理部15は、予測部12による第1予測方法が適用不可能であると判定部14が判定した場合、予測部12が用いる予測方法を第1予測方法から第2予測方法に切り替えさせる。この場合、予測部12は、乾燥運転の再開後においては、第2予測方法により乾燥時間を予測することになる。つまり、実施の形態では、所定の処理は、第1予測方法から第1予測方法とは異なる第2予測方法に切り替えて、乾燥時間を予測する処理を含む。
【0049】
なお、所定の処理は、第1予測方法から第2予測方法に切り替える処理に限らず、他の所定であってもよい。例えば、所定の処理は、第1予測方法から第2予測方法に切り替える処理に加えて、乾燥運転の再開後における乾燥時間の予測精度が低下していることを、提示部16を介してユーザに通知する処理を含んでいてもよい。また、例えば、所定の処理は、予測部12に第1予測方法による乾燥時間の予測を維持させ、かつ、乾燥運転の再開後における乾燥時間の予測精度が低下していることを、提示部16を介してユーザに通知する処理であってもよい。
【0050】
以下、判定部14及び予測部12による動作の一例について、図4を用いて説明する。図4は、実施の形態における予測システム1の判定部14及び予測部12の動作例の説明図である。図4において、縦軸は乾燥時間(残り時間)を表しており、横軸は乾燥運転を開始してからの経過時間を表している。また、図4において、実線は第1予測方法により予測された乾燥時間を表しており、破線は実際の乾燥時間を表している。さらに、図4において、点線は一時停止が発生しなかったと仮定した場合の第1予測方法により予測された乾燥時間を表している。
【0051】
図4に示す例では、時刻t1において乾燥運転が一時停止され、時刻t2において乾燥運転が再開されている。また、図4に示す例では、時刻t2から時刻t3までの一定時間において、判定部14が乾燥運転のパラメータ(ここでは、吸込温度及び吐出温度)を取得部11に取得させている。図4に示す例では、時刻t2における乾燥運転のパラメータが、乾燥運転の一時停止よりも前の時刻t0における乾燥運転のパラメータと類似している(図4に示す丸印を参照)。このため、図4に示す例では、判定部14は、乾燥運転の再開後に予測部12による第1予測方法が適用可能である、と判定する。そして、図4に示す例では、処理部15は、時刻t0に遡って予測部12に乾燥時間を予測させ、この予測結果を、時刻t3以降の乾燥時間に反映させている。
【0052】
このように、図4に示す例では、乾燥運転の一時停止が発生した場合においても、予測部12による第1予測方法を継続させることができ、結果として乾燥運転の再開後の乾燥時間の予測精度の低下を抑制することができる。
【0053】
提示部16(提示ステップST6)は、処理部15(処理ステップST5)の実行結果に関する情報を、洗濯機2のユーザに提示する。提示部16は、予測方法における提示ステップST6の実行主体である。ここで、処理部15の実行結果に関する情報は、例えば乾燥運転の再開後において予測部12による第1予測方法が継続されることを示す情報、又は乾燥運転の再開後において乾燥時間の予測が第1予測方法から第2予測方法に切り替わることを示す情報等を含み得る。また、処理部15の実行結果に関する情報は、乾燥運転の再開後の乾燥時間の予測精度が低下することを示す情報を含み得る。
【0054】
実施の形態では、提示部16は、処理部15の実行結果に関する情報を、文字列及び/又は画像により表示部23に表示させることで、当該情報をユーザに提示する。なお、提示部16は、処理部15の実行結果に関する情報を、情報端末3に送信し、情報端末3のディスプレイに表示させてもよい。
【0055】
また、提示部16は、表示部23がランプを有している場合、処理部15の実行結果に関する情報をランプの点灯状態によりユーザに提示してもよい。具体例として、乾燥運転の予測中において、表示部23のランプが点灯している、と仮定する。また、処理部15の実行結果に関する情報が、乾燥運転の再開後において乾燥時間の予測が第1予測方法から第2予測方法に切り替わることを示す情報である、と仮定する。この場合、提示部16は、ランプを消灯させて別のランプを点灯させたり、ランプの発光色を変化させたり、ランプを点滅させたり等することで、上記情報をユーザに提示する。
【0056】
なお、提示部16は、例えば洗濯機2が有するスピーカから音声メッセージを出力させることで、処理部15の実行結果に関する情報をユーザに提示してもよい。また、提示部16は、表示による提示及び音声による提示の両方を組み合わせて、処理部15の実行結果に関する情報をユーザに提示してもよい。
【0057】
記憶部17は、洗濯機2の機能部21、及び予測システム1の各部が各種機能を実行するために必要な情報(コンピュータプログラム等)が記憶される記憶装置である。記憶部17は、例えば半導体メモリにより実現されるが、特に限定されることなく公知の電子情報記憶の手段を用いることができる。記憶部17は、例えば洗濯運転及び乾燥運転の履歴情報、及びセンサ24の検知結果の履歴情報等を記憶する。
【0058】
[2.動作]
以上のように構成された予測システム1の動作について、以下図5及び図6を用いて説明する。図5は、実施の形態における予測システム1の動作例を示すフローチャートである。図6は、実施の形態における予測システム1の判定部14の動作例を示すフローチャートである。以下では、ユーザから乾燥運転の開始を指示する操作入力を受け付けることにより、洗濯機2の機能部21が乾燥運転を実行することとして説明する。
【0059】
まず、取得部11は、乾燥運転が実行される前において、乾燥運転のパラメータを取得する(S1)。処理S1は、予測方法の取得ステップST1に相当する。次に、予測部12は、取得部11が取得したパラメータに基づいて、乾燥時間を予測する(S2)。処理S2は、予測方法の予測ステップST2に相当する。乾燥時間の予測時間は、表示部23に表示される。以降、基本的には、乾燥時間が零になる(つまり、乾燥運転が終了する)までの間(S3:No,S4:No)、処理S1,S2が定期的に繰り返されることにより、乾燥時間の予測時間が定期的に更新され、表示部23に表示される。そして、乾燥時間が零になると(S3:Yes)、予測システム1の動作が終了する。
【0060】
ここで、乾燥運転中においては(S3:No)、検知部13が乾燥運転の一時停止及び再開が発生するか否かを監視する(S4)。処理S4は、予測方法の検知ステップST3に相当する。そして、検知部13が乾燥運転の一時停止及び再開を検知すると(S4:Yes)、判定部14は、乾燥運転の再開後に予測部12による第1予測方法が適用可能か否かを判定する(S5)。処理S5は、予測方法の判定ステップST4に相当する。処理S5については、図6を用いて後述する。
【0061】
判定部14が適用可能であると判定した場合(S6:Yes)、処理部15は、予測部12による第1予測方法を継続させる(S7)。一方、判定部14が適用不可能であると判定した場合(S6:No)、処理部15は、予測部12が用いる予測方法を第1予測方法から第2予測方法に切り替えさせる(S8)。処理S7,S8は、予測方法の処理ステップST5に相当する。そして、提示部16は、処理部15の実行結果に関する情報を表示部23に表示させる等して、ユーザに提示する(S9)。処理S9は、予測方法の提示ステップST6に相当する。
【0062】
次に、処理S5について、つまり判定部14の動作例について図6を用いて説明する。まず、判定部14は、乾燥運転の再開時から一定時間、乾燥運転のパラメータを取得部11に取得させる(S51)。そして、判定部14は、記憶部17から乾燥運転の一時停止時よりも前の乾燥運転のパラメータの履歴を読み出し、当該履歴と取得結果とを比較する(S52)。取得結果と類似するパラメータが履歴に含まれている場合(S53:Yes)、判定部14は、乾燥運転の再開後に予測部12による第1予測方法が適用可能である、と判定する(S54)。一方、取得結果と類似するパラメータが履歴に含まれていない場合(S53:No)、一定時間が経過するまでの間(S55:No)、判定部14は、処理S51~S53を繰り返す。そして、取得結果と類似するパラメータが履歴に含まれていない状態のまま一定時間が経過すると(S55:Yes)、判定部14は、乾燥運転の再開後に予測部12による第1予測方法が適用できない、と判定する(S56)。
【0063】
[3.効果等]
以下、実施の形態における予測システム1の利点について説明する。
【0064】
既に述べたように、乾燥運転の途中において乾燥運転の運転中に停止した場合に、乾燥運転の再開時に一律に通常の乾燥時間を予測する機能を再開するか、又は一律に通常の乾燥時間を予測する機能を停止すると、いずれにおいてもユーザの利便性が低下するという課題を生じる。
【0065】
これに対して、実施の形態における予測システム1では乾燥運転の再開後において、予測部12による第1予測方法(つまり、通常の乾燥時間の予測方法)が適用可能であるか否かを判定し、判定結果に応じて乾燥運転の再開後に取り得る処理を決定している。このため、判定結果によっては、乾燥運転の運転中の停止が発生した場合においても、予測部12による第1予測方法を継続させることができ、結果として乾燥運転の再開後の乾燥時間の予測精度の低下を抑制することができる。つまり、実施の形態における予測システム1では、乾燥運転が運転中に停止したからといって一律に乾燥運転の再開後の処理を決定するのではなく、乾燥運転の再開時の状況に応じて再開後に取り得る処理を決定している。
【0066】
上述のように、実施の形態における予測システム1では、乾燥運転が運転中に停止した場合にも、通常の乾燥時間の予測方法を継続させやすい、という利点がある。そして、実施の形態における予測システム1では、乾燥運転の再開時に一律に通常の乾燥時間を予測する機能を再開するか、又は一律に通常の乾燥時間を予測する機能を停止する場合と比較して、ユーザの利便性が低下しにくい、という利点がある。
【0067】
[4.変形例]
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略等を行った実施の形態にも適用可能である。また、上記実施の形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0068】
そこで、以下、実施の形態の変形例を例示する。
【0069】
上記実施の形態では、予測システム1は洗濯機2に搭載されているが、これに限られない。例えば、予測システム1は、洗濯機2とは別に設けられていてもよい。図7は、実施の形態の変形例における予測システム1を含む全体構成を示すブロック図である。図7に示す例では、予測システム1は、サーバ4に搭載されている。言い換えれば、サーバ4は、予測システム1を備えている。また、図7に示す例では、洗濯機2は、通信部27と、記憶部28と、を更に備えている。
【0070】
通信部27は、例えばインターネット等の外部ネットワークNT1を介してサーバ4と通信する。通信部27とサーバ4との間の通信は、無線通信の他に、有線通信であってもよい。また、通信部27とサーバ4との間の通信の規格は、特に限定されない。
【0071】
記憶部28は、機能部21が各種機能を実行するために必要な情報(コンピュータプログラム等)が記憶される記憶装置である。記憶部28は、例えば半導体メモリにより実現されるが、特に限定されることなく公知の電子情報記憶の手段を用いることができる。記憶部28は、例えば洗濯運転及び乾燥運転の履歴情報、及びセンサ24の検知結果の履歴情報等を記憶する。つまり、記憶部28は、予測システム1の記憶部17に記憶されているデータのうち、洗濯機2に関係するデータを記憶する。
【0072】
サーバ4は、例えば洗濯機2が設置されている施設から離れた遠隔地に設置されており、外部ネットワークNT1を介して洗濯機2との間で通信可能に構成されている。つまり、予測システム1は、外部ネットワークNT1を介して洗濯機2との間で通信する。したがって、本変形例では、予測システム1は、サーバ4において、外部ネットワークNT1を介して洗濯機2との間でデータを送信及び受信することにより、各部の機能を発揮する。
【0073】
上記実施の形態において、1以上のセンサ24には、洗濯槽25の湿度(相対湿度)を測定する湿度センサが含まれていてもよい。この場合、予測部12は、乾燥運転のパラメータとして、吸込温度及び吐出温度の他に洗濯槽25の湿度を更に参照して、乾燥時間を予測してもよい。この場合、乾燥時間の予測精度が更に向上することが期待できる。
【0074】
上記実施の形態において、判定部14は、一定時間における乾燥運転のパラメータの時系列変化のパターンが履歴に含まれているか否かにより、乾燥運転の再開後に予測部12による第1予測方法が適用可能か否かを判定してもよい。また、判定部14は、一定時間における乾燥運転のパラメータの代表値(例えば、平均値、最頻値、又は中央値等)が履歴に含まれているか否かにより、乾燥運転の再開後に予測部12による第1予測方法が適用可能か否かを判定してもよい。
【0075】
上記実施の形態では、判定部14は、乾燥運転の一時停止前のパラメータの履歴と、乾燥運転の再開時のパラメータとを比較することにより、予測部12による第1予測方法が適用可能か否かを判定しているが、これに限られない。例えば、判定部14は、検知部13の検知結果に基づいて、乾燥運転の一時停止から再開までに要する停止時間を算出してもよい。そして、判定部14は、算出した停止時間と所定時間とを比較し、停止時間が所定時間未満であれば予測部12による第1予測方法が適用可能と判定し、所定時間以上であれば適用不可能と判定してもよい。停止時間が短時間であれば、洗濯槽25の内部環境が一時停止時と比較して大きく変化する可能性が低いと考えられるからである。
【0076】
上記実施の形態では、乾燥運転の一時停止は、ユーザによる一時停止を指示する入力に基づいて起こるが、これに限られない。例えば、乾燥運転の一時停止は、瞬時停電により洗濯機2の動作が停止する場合にも起こり得る。このような場合に対応するために、検知部13は、洗濯機2の電源状態を更に監視することにより、乾燥運転の一時停止及び再開を検知してもよい。
【0077】
上記実施の形態では、予測システム1(予測方法)は、検知部13(検知ステップST3)を備えているが、これに限られない。例えば、予測システム1(予測方法)は、判定部14(判定ステップST4)にて乾燥運転の再開を検知できればよく、乾燥運転中における運転の停止を検知しなくてもよい。
【0078】
上記実施の形態では、予測システム1は、乾燥機能付き洗濯機2を対象としているが、これに限られない。例えば、予測システム1は、浴室乾燥機等の洗濯機能の付いていない乾燥機を対象としてもよい。この場合、上記実施の形態において、「乾燥機能付き洗濯機2(又は洗濯機2)」を「乾燥機」に置き換えればよい。
【0079】
また、例えば、上記実施の形態では、予測システム1は、単一の装置として実現されたが、複数の装置によって実現されてもよい。予測システム1が複数の装置によって実現される場合、予測システム1が備える構成要素は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。つまり、本開示は、クラウドコンピューティングによって実現されてもよいし、エッジコンピューティングによって実現されてもよい。
【0080】
また、例えば、上記実施の形態において、本開示における予測システム1の構成要素の全部又は一部は、専用のハードウェアで構成されてもよく、或いは、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)又はプロセッサ等のプログラム実行部が、HDD(Hard Disk Drive)又は半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0081】
また、本開示における予測システム1の構成要素は、1つ又は複数の電子回路で構成されてもよい。1つ又は複数の電子回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0082】
1つ又は複数の電子回路には、例えば、半導体装置、IC(Integrated Circuit)又はLSI(Large Scale Integration)等が含まれてもよい。IC又はLSIは、1つのチップに集積されてもよく、複数のチップに集積されてもよい。ここでは、IC又はLSIと呼んでいるが、集積の度合いによって呼び方が変わり、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又は、ULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれるかもしれない。また、LSIの製造後にプログラムされるFPGA(Field Programmable Gate Array)も同じ目的で使うことができる。
【0083】
また、本開示の全般的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路又はコンピュータプログラムで実現されてもよい。或いは、当該コンピュータプログラムが記憶された光学ディスク、HDD若しくは半導体メモリ等のコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体で実現されてもよい。例えば、本開示は、上記実施の形態における制御方法をコンピュータによって実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。また、このプログラムは、コンピュータ読み取り可能なCD-ROM等の非一時的な記録媒体に記録されてもよいし、インターネット等の通信路で配信されてもよい。
【0084】
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面及び詳細な説明を提供した。
【0085】
したがって、添付図面及び詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0086】
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略等を行うことができる。
【0087】
(まとめ)
以上述べたように、実施の形態における予測方法は、取得ステップST1と、予測ステップST2と、判定ステップST4と、処理ステップST5と、を含む。取得ステップST1では、乾燥機能付き洗濯機2による乾燥運転のパラメータを取得する。予測ステップST2では、取得ステップST1が取得したパラメータに基づいて、第1予測方法により乾燥運転に要する乾燥時間を予測する。判定ステップST4では、乾燥運転の停止中に乾燥運転の再開を検知した場合に、予測ステップST2による第1予測方法が適用可能か否かを判定する。処理ステップST5では、第1予測方法が適用可能であると判定した場合に第1予測方法を継続し、不可能であると判定した場合に所定の処理を実行する。
【0088】
これによれば、乾燥運転が運転中に停止した場合にも、乾燥運転の再開時に一律に通常の乾燥時間を予測する機能を再開するか、又は一律に通常の乾燥時間を予測する機能を停止する場合と比較して、通常の乾燥時間の予測方法を継続させやすい、という利点がある。
【0089】
また、例えば、判定ステップST4では、乾燥運転の停止前のパラメータの履歴に、乾燥運転の再開時のパラメータに類似するパラメータが存在するか否かに基づいて、第1予測方法が適用可能か否かを判定する。
【0090】
これによれば、洗濯槽25の内部環境を参照する比較的簡易な処理により、乾燥運転の再開後に予測ステップST2による通常の乾燥時間の予測方法が適用可能であるか否かを判定しやすい、という利点がある。
【0091】
また、例えば、乾燥機能付き洗濯機2は、ヒートポンプ26を用いて乾燥運転を実行する機能を有している。パラメータは、乾燥機能付き洗濯機2の洗濯槽25からヒートポンプ26へ取り込まれる空気の温度と、ヒートポンプ26から洗濯槽25へ排出される空気の温度と、を含む。
【0092】
これによれば、比較的測定しやすい物理量を用いて、乾燥運転の再開後に予測ステップST2による通常の乾燥時間の予測方法が適用可能であるか否かを判定しやすい、という利点がある。
【0093】
また、例えば、第1予測方法では、乾燥時間を予測するために機械学習された学習済みモデルを用いて、乾燥時間を予測する。
【0094】
これによれば、ルールベースで乾燥時間を予測する場合と比較して、乾燥時間の予測精度の向上が期待できる、という利点がある。
【0095】
また、例えば、所定の処理は、第1予測方法から第1予測方法とは異なる第2予測方法に切り替えて、乾燥時間を予測する処理を含む。
【0096】
これによれば、乾燥運転の再開後に乾燥時間を予測する機能を停止する場合と比較して、ユーザが不快感を覚えにくい、という利点がある。
【0097】
また、例えば、予測方法は、処理ステップST5の実行結果に関する情報を、ユーザに提示する提示ステップST6を更に含む。
【0098】
これによれば、乾燥運転の再開後に何が起こったかをユーザが把握することができるので、ユーザが不快感を覚えにくい、という利点がある。
【0099】
また、実施の形態における予測方法は、予測ステップST2と、判定ステップST4と、処理ステップST5と、を含む。予測ステップST2では、乾燥運転のパラメータに基づいて、第1予測方法により乾燥運転に要する乾燥時間を予測する。判定ステップST4では、乾燥運転の停止中に乾燥運転の再開を検知した場合に、予測ステップST2による第1予測方法が適用可能か否かを判定する。処理ステップST5では、第1予測方法が適用可能であると判定した場合に第1予測方法を継続し、不可能であると判定した場合に所定の処理を実行する。
【0100】
これによれば、乾燥運転が運転中に停止した場合にも、乾燥運転の再開時に一律に通常の乾燥時間を予測する機能を再開するか、又は一律に通常の乾燥時間を予測する機能を停止する場合と比較して、通常の乾燥時間の予測方法を継続させやすい、という利点がある。
【0101】
また、実施の形態におけるプログラムは、1以上のプロセッサに、上記の予測方法を実行させる。
【0102】
これによれば、乾燥運転が運転中に停止した場合にも、乾燥運転の再開時に一律に通常の乾燥時間を予測する機能を再開するか、又は一律に通常の乾燥時間を予測する機能を停止する場合と比較して、通常の乾燥時間の予測方法を継続させやすい、という利点がある。
【0103】
また、実施の形態における予測システム1は、取得部11と、予測部12と、判定部14と、処理部15と、を備える。取得部11は、乾燥機能付き洗濯機2による乾燥運転のパラメータを取得する。予測部12は、取得部11が取得したパラメータに基づいて、第1予測方法により乾燥運転に要する乾燥時間を予測する。判定部14は、乾燥運転の停止中に乾燥運転の再開を検知した場合に、予測部12による第1予測方法が適用可能か否かを判定する。処理部15は、第1予測方法が適用可能であると判定した場合に第1予測方法を継続し、不可能であると判定した場合に所定の処理を実行する。
【0104】
これによれば、乾燥運転が運転中に停止した場合にも、乾燥運転の再開時に一律に通常の乾燥時間を予測する機能を再開するか、又は一律に通常の乾燥時間を予測する機能を停止する場合と比較して、通常の乾燥時間の予測方法を継続させやすい、という利点がある。
【0105】
また、実施の形態におけるサーバ4は、上記予測システム1を備える。予測システム1は、外部ネットワークNT1を介して乾燥機能付き洗濯機2との間で通信する。
【0106】
これによれば、乾燥運転が運転中に停止した場合にも、乾燥運転の再開時に一律に通常の乾燥時間を予測する機能を再開するか、又は一律に通常の乾燥時間を予測する機能を停止する場合と比較して、通常の乾燥時間の予測方法を継続させやすい、という利点がある。
【0107】
また、実施の形態における表示装置は、通信機能と、表示機能と、を有する。通信機能は、予測システム1との間で通信する機能である。表示機能は、通信機能により予測システム1から処理部15の実行結果に関する情報を受信すると、当該情報を表示することでユーザに提示する機能である。
【0108】
ここでいう表示装置は、例えば乾燥機能付き洗濯機2の表示部23、又は情報端末3のディスプレイである。その他、表示装置は、乾燥機の表示部である。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本開示は、乾燥運転を実行する機能を有する乾燥機能付き洗濯機等に適用可能である。
【符号の説明】
【0110】
1 予測システム
11 取得部
12 予測部
14 判定部
15 処理部
2 乾燥機能付き洗濯機
25 洗濯槽
26 ヒートポンプ
4 サーバ
NT1 外部ネットワーク
ST1 取得ステップ
ST2 予測ステップ
ST4 判定ステップ
ST5 処理ステップ
ST6 提示ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7