(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】光学系
(51)【国際特許分類】
G02B 26/10 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
G02B26/10 F
G02B26/10 104Z
(21)【出願番号】P 2021515987
(86)(22)【出願日】2020-04-10
(86)【国際出願番号】 JP2020016173
(87)【国際公開番号】W WO2020218036
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2023-03-15
(31)【優先権主張番号】P 2019086438
(32)【優先日】2019-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】葛原 聡
(72)【発明者】
【氏名】内田 恒夫
【審査官】中村 百合子
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-094121(JP,A)
【文献】特開2007-047243(JP,A)
【文献】特開2006-276816(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/00-30/60
G02B 26/10-26/12
G02B 9/00-25/04
G09G 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射する光を第1方向に走査して反射する第1走査素子と、
前記第1走査素子が反射した前記光を入射する入射面と
、出射面と
、1面以上の反射面とを有するプリズムと
、
前記プリズムの
前記出射面から出射する前記光を前記第1方向と直交する第2方向に走査する第2走査素子と、を備え、
前記プリズムの前記入射面は、前記第1走査素子
が反射した前記光の入射方向に対して凸面形状を有する、
光学系。
【請求項2】
前記プリズムの前記入射面は、前記第1走査素子の走査する前記第1方向に対して凸面形状を有する、回転非対称面である、
請求項1に記載の光学系。
【請求項3】
前記プリズムの前記入射面は、前記第1走査素子の走査する前第1方向よりも非走査方向への屈折力が小さい、
請求項1または2に記載の光学系。
【請求項4】
前記第1走査素子と前記第2走査素子の光路の間に前記第1方向の前記光の光束の第1中間結像位置を有する、
請求項1から3のいずれか1つに記載の光学系。
【請求項5】
前記プリズムの内部に前記第1方向の前記光の光束の第1中間結像位置を有する、
請求項1から3のいずれか1つに記載の光学系。
【請求項6】
前記第1中間結像位置は、前記第1方向と直交する第2方向の前記光の光束の第2中間結像位置と異なる、
請求項4または5に記載の光学系。
【請求項7】
前記第1方向と直交する第2方向の前記光の光束に対して中間結像が行われない、
請求項4または5に記載の光学系。
【請求項8】
前記プリズムの前記出射面は、
前記出射面から出射した光の出射方向に凸面形状を有する、
請求項1から7のいずれか1つに記載の光学系。
【請求項9】
前記プリズムの前記出射面は、前記第2走査素子の走査する前記第2方向に対して凸面形状を有する、回転非対称面である、
請求項8に記載の光学系。
【請求項10】
前記プリズムの前記出射面は、前記第2走査素子の走査する前記第2方向よりも非走査方向への屈折力が小さい、
請求項8または9に記載の光学系。
【請求項11】
前記第1走査素子に前記光としてレーザ光を照射するレーザ素子を備える、
請求項1から10のいずれか1つに記載の光学系。
【請求項12】
前記レーザ素子は、複数の波長の前記レーザ光を照射する、
請求項11に記載の光学系。
【請求項13】
前記レーザ素子に対して、前記第1走査素子と前記第2走査素子の走査と同期して、それぞれの波長の発光タイミングを波長ごとにずらす制御を実施する制御部を備える、
請求項12に記載の光学系。
【請求項14】
入射する光を第1方向に走査して反射する第1走査素子と、
前記第1走査素子が反射した前記光を入射する入射面と
、出射面と
、1面以上の反射面とを有するプリズムと
、
前記プリズムの
前記出射面から出射する前記光を前記第1方向と直交する第2方向に走査する第2走査素子と、を備え、
前記プリズムの前記出射面は、
前記出射面から出射した光の出射方向に凸面形状を有する、
光学系。
【請求項15】
前記プリズムの前記出射面は、前記第2走査素子の走査する前記第2方向に対して凸面形状を有する、回転非対称面である、
請求項14に記載の光学系。
【請求項16】
前記プリズムの前記出射面は、前記第2走査素子の走査する前第2方向よりも非走査方向への屈折力が小さい、
請求項14または15に記載の光学系。
【請求項17】
前記第1走査素子と前記第2走査素子の光路の間に前記第1方向の前記光の光束の第1中間結像位置を有する、
請求項14から16のいずれか1つに記載の光学系。
【請求項18】
前記プリズムの内部に前記第1方向の前記光の光束の第1中間結像位置を有する、
請求項14から16のいずれか1つに記載の光学系。
【請求項19】
前記第1中間結像位置は、前記第1方向と直交する第2方向の前記光の光束の第2中間結像位置と異なる、
請求項17または18に記載の光学系。
【請求項20】
前記第1方向と直交する第2方向の前記光の光束に対して中間結像が行われない、
請求項17または18に記載の光学系。
【請求項21】
前記第1走査素子に前記光としてレーザ光を照射するレーザ素子を備える、
請求項14から20のいずれか1つに記載の光学系。
【請求項22】
前記レーザ素子は、複数の波長の前記レーザ光を照射する、
請求項21に記載の光学系。
【請求項23】
前記レーザ素子に対して、前記第1走査素子と前記第2走査素子の走査と同期して、それぞれの波長の発光タイミングを波長ごとにずらす制御を実施する制御部を備える、
請求項22に記載の光学系。
【請求項24】
前記プリズムは、前記入射面から
入射した光を反射する第1反射面と、前記第1反射面で反射された光を反射する第2反射面と、を有し、前記入射面から前記第1反射面までの光路長をL1、前記第1反射面から前記第2反射面までの光路長をL2としたとき、
L1 < L2
を満たす、
請求項1に記載の光学系。
【請求項25】
入射する光を第1方向に走査して反射する第1走査素子と、
前記第1走査素子が反射した前記光を入射する入射面と
、出射面と
、1面以上の反射面とを有するプリズムと
、
前記プリズムの
前記出射面から出射する前記光を前記第1方向と直交する第2方向に走査する第2走査素子と、を備え、
前記プリズムは、前記入射面から
入射した光を反射する第1反射面と、前記第1反射面で反射された光を反射する第2反射面と、を有し、前記入射面から前記第1反射面までの光路長をL1、前記第1反射面から前記第2反射面までの光路長をL2としたとき、
L1 < L2
を満たす
ことにより、前記第1方向及び前記第2方向と直交する方向において前記入射面を前記第2反射面よりも前記第1反射面側に配置する、
光学系。
【請求項26】
前記第1反射面は、前記第1走査素子の走査軸と前記入射面を透過した光とを含む平面において、入射する光に対して傾斜している、
請求項25に記載の光学系。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プリズムを用いた光学系に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、2方向にそれぞれ走査する走査装置を有する光学系を開示する。この光学系は、走査されたレーザをミラーを用いて伝送することが記載されている。ミラーを用いてレーザを伝送すると、ミラー間に空気の層があるので、光学系のサイズを小型化しにくい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ミラー間をプリズムの媒質で埋めると光学系のサイズを小型化することができるが、さらなる小型化が求められている。
【0005】
本開示は、小型化された、プリズムを用いた光学系を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の光学系は、入射面と出射面と1面以上の反射面とを有するプリズムと、
入射する光を第1方向に走査して前記プリズムの前記入射面の方向へ反射する第1走査素子と、
前記プリズムの出射面から出射する前記光を前記第1方向と直交する第2方向に走査する第2走査素子と、を備え、
前記プリズムの前記入射面は、前記第1走査素子に対して凸面形状を有する。
【0007】
本開示の光学系は、入射面と出射面と1面以上の反射面とを有するプリズムと、
入射する光を第1方向に走査して前記プリズムの前記入射面の方向へ反射する第1走査素子と、
前記プリズムの出射面から出射する前記光を前記第1方向と直交する第2方向に走査する第2走査素子と、を備え、
前記プリズムの前記出射面は、前記第2走査素子に対して凸面形状を有する。
【0008】
本開示の光学系は、入射面と出射面と1面以上の反射面とを有するプリズムと、
入射する光を第1方向に走査して前記プリズムの前記入射面の方向へ反射する第1走査素子と、
前記プリズムの出射面から出射する前記光を前記第1方向と直交する第2方向に走査する第2走査素子と、を備え、
前記プリズムは、前記入射面から出射された光を反射する第1反射面と、前記第1反射面で反射された光を反射する第2反射面と、を有し、前記入射面から前記第1反射面までの光路長をL1、前記第1反射面から前記第2反射面までの光路長をL2としたとき、
L1 < L2
を満たす。
【発明の効果】
【0009】
本開示における光学系は、小型化されたプリズムを用いた光学系を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1における光学系の構成を示す断面図
【
図2】実施形態1におけるレーザ素子から照射直後のレーザ光の瞳径を示す図
【
図4】レーザ光のX成分およびY成分のそれぞれの中間結像位置を示す図
【
図5】中間結像位置(Px)におけるレーザ光の瞳径を示す図
【
図6】中間結像位置(Py)におけるレーザ光の瞳径を示す図
【
図8】赤色、青色のそれぞれのレーザ光の中間結像位置を示す図
【
図9】赤色、青色のそれぞれのレーザ光のプリズムの入射面での屈折を示す図
【
図11】実施形態2における光学系の構成を示す断面図
【
図13A】比較例における光学系の構成を示す断面図
【
図13B】比較例における光学系の構成を示す断面図
【
図14A】変形例における光学系の構成を示す断面図
【
図14B】変形例における光学系の構成を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、発明者(ら)は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0012】
(実施形態1)
以下、
図1~
図9を用いて、実施形態1を説明する。なお、本実施形態において、
図2に示すように、例えば、X方向は、レーザ素子11から出射されるレーザ光Rの瞳径11aの長径方向であり、Y方向は、レーザ素子11から出射されるレーザ光Rの瞳径11aの短径方向である。X方向およびY方向は互いに直交し、XY平面に直交する方向がZ方向である。
[1-1.構成]
図1は、本開示に係る光学系1の構成示す断面図である。光学系1は、レーザ素子11と、第1走査素子13と、プリズム15と、第2走査素子17とを備える。
【0013】
レーザ素子11は、例えば、半導体レーザである。レーザ素子11から照射されるレーザ光Rは、X方向とY方向とで瞳径が異なる平行光である。例えば、
図2に示すように、レーザ素子11から照射直後のレーザ光Rの瞳径11aは、X方向に延びた楕円形を有する。レーザ素子11から照射されるレーザ光Rは、第1走査素子13によりX方向に走査されてプリズム15の入射面15aに入射する。レーザ光Rは、例えば、R(Red)、G(Green)、B(Blue)の色を有するように、複数の波長(波長域)を有する。レーザ素子11は、R、G、Bの光を一つの光束に混合したレーザ光Rとして出射してもよいし、それぞれの色の光束のレーザ光Rを順次出射してもよい。
【0014】
図1に示すように、第1走査素子13は、入射したレーザ光Rを第1方向としてのX方向に走査する。第1走査素子13は、例えば、Y方向を回転軸として圧電駆動により回転駆動されるミラーである。第1走査素子13は、例えば、垂直方向のスキャナである。これにより、平行光がX方向に拡散される。
【0015】
プリズム15は、入射面15aと、出射面15dとを有する。プリズム15は、入射面15aから出射面15dまでの光路間に、さらに、1面以上の反射面を有しており、本実施形態では、例えば、第1反射面15bと、第2反射面15cとを有する。プリズム15は、例えば、樹脂製またはガラス製である。
【0016】
入射面15aは第1走査素子13と対向しており、第1走査素子13によりX方向に走査されたレーザ光Rが入射面15aを通ってプリズム15内へ入射される。入射面15aと第1反射面15bとは対向しており、入射面15aから入射したレーザ光Rは、第1反射面15bでプリズム15内に反射される。
【0017】
図3に示すように、入射面15aは、第1走査素子13に対して凸面形状を有する。入射面15aは、第1走査素子13の走査するX方向に沿って曲率を有する曲面形状であり、プリズム15の外方向に突出している。
図3には、比較例として、入射面15aが凸面形状でない場合のレーザ光Rの進行方向Rvが示されている。入射面15aの形状を凸面形状にすることで、入射面15aから入射したレーザ光Rを内側へ屈折させることができる。このように、X方向に走査されたレーザ光Rは、その拡がりを抑制した状態で、例えば、走査されたレーザ光の中心光線同士が平行な光として、プリズム内を進行することができるので、プリズム15の小型化を実現することができる。
【0018】
また、入射面15aは、第1走査素子13の走査方向に対して凸面形状を有する、回転非対称面であってもよい。
【0019】
また、入射面15aは、第1走査素子13の走査方向よりも非走査方向への屈折力が小さくてもよい。これによって、入射面15aで発生する非走査方向の色収差を抑制することが出来る。
【0020】
第1反射面15bで反射されたレーザ光Rは、中間結像された後、再び瞳径を拡大して第2反射面15cで再びプリズム15内に反射される。第2反射面15cで反射されたレーザ光Rは、出射面15dからプリズム15外へ出射される。
【0021】
第1反射面15bおよび第2反射面15cは、それぞれ、第1方向としてのX方向と第2方向としてのY方向とで異なる曲率を有する。したがって、第1反射面15bおよび第2反射面15cは、自由曲面形状を有している。
【0022】
また、第1反射面15bおよび第2反射面15cは、それぞれ、入射光に対して偏心してもよい。これにより、ビームスプリッタ等の光学素子を用いずに、入射光の光路を分離することが可能となる。また、第1反射面15bおよび第2反射面15cは、それぞれ、入射光に対して凸面形状を有する。
【0023】
プリズム15の出射面15dも、入射面15aと同様の構成を有してもよい。出射面15dは、第2走査素子17に対して凸面形状を有してもよい。これにより、X方向に走査されたレーザ光Rの拡がりを抑制した状態でプリズム15内を進行する光を第2走査素子17に集光することができるので、プリズム15の小型化を実現することができる。例えば、出射面15dは、第1走査素子13の走査するX方向に沿って曲率を有し、プリズム15の外方向に突出している。なお、入射面15aと出射面15dのX方向の曲率は、対称性を有してもよい。また、出射面15dは、第2走査素子17の走査するY方向に沿って曲率を有し、プリズム15の外方向に突出していてもよい。
【0024】
また、出射面15dは、第2走査素子17の走査方向よりも非走査方向への屈折力が小さくてもよい。
【0025】
第2走査素子17は、プリズム15の出射面15dから出射されたレーザ光RをY方向に走査して、投射面19に投影する。第2走査素子17は、例えば、圧電駆動によりX方向を回転軸として回転駆動されるミラーである。第2走査素子17は、例えば、水平スキャナである。また、第2走査素子17は第1走査素子13と同期して走査しており、これにより二次元画像を投射面19に投影することが出来る。
【0026】
本実施形態における光学系1は、レーザ素子11からの光路の順に、第1走査素子13と、プリズム15の入射面15aと、プリズム15の第1反射面15bと、プリズム15の第2反射面15cと、プリズム15の出射面15dと、第2走査素子17が配置されている。したがって、プリズム15は、第1走査素子13から第2走査素子17への光路の間に配置されている。
【0027】
図4に示すように、光学系1は、プリズム15内の第1反射面15bと、プリズム15内の第2反射面15cとの間で、レーザ光Rの光束のX方向において中間結像位置Pxを有する。すなわち、レーザ光Rは、第1反射面15bにより中間結像される。
【0028】
また、レーザ光RのX方向の成分であるRxとY方向の成分であるRyの焦点距離も異なっているので、レーザ光RのX成分Rxの中間結像位置PxとY成分Ryの中間結像位置Pyとは異なっている。また、X成分RxとY成分Ryのそれぞれの焦点距離が異なっているので、プリズム15の出射面15dから出射される際のそれぞれの拡大率も異なる。すなわち、光学系1は、X方向とY方向とで異なる光学倍率を有する。例えば、本実施形態において、X方向よりもY方向の方が焦点距離が大きいので、X方向よりもY方向の光学倍率が大きい。
【0029】
X方向のレーザ光Rの光束の中間結像位置Pxは、X方向と直交するY方向のレーザ光Rの光束と同じ位置で交わらない。すなわち、レーザ光RのX成分Rxの中間結像位置Pxは、レーザ光RのY成分Ryの中間結像位置Pyと同じ位置にならない。これにより、
図5に示すように、中間結像位置Pxにおけるレーザ光Rの瞳径11bは、Y方向に延びた直線形状を有している。この結果、中間結像位置Pxにゴミや傷があった場合に、レーザ光Rの瞳径11bが消失することを防ぐことが出来る。
【0030】
また、
図6に示すように、レーザ光RのY成分Ryの中間結像位置Pyにおいて、レーザ光Rの瞳径11cは、レーザ光RのX成分Rxが結像する前に存在する。このように、中間結像位置Pyにおけるレーザ光Rの瞳径11cも、X方向に延びた直線形状を有している。なお、光学系1の光学倍率がX方向よりもY方向の方が大きいので、出射面15dから出射したレーザ光Rの瞳径11dは、
図7に示すように、円形状に形成されている。
【0031】
レーザ素子11から出射するX方向の第1出射瞳径φx1およびY方向の第2出射瞳径φy1と、プリズム15の出射面15dを通って投射面19に到達するX方向の第1投射瞳径φx2およびY方向の第2投射瞳径φy2との関係が、
0.1<(φx1×φy1)/(φx2×φy2)<0.8
である。この関係を満たすことで、中間結像位置Px、Pyにおけるスポットサイズが大きくなり、プリズム15の内部におけるゴミや傷の影響を効果的に軽減することが出来る。
【0032】
次に、
図8を参照して、実施形態1の光学系1であれば、プリズム15の入射面15aによって発生する色収差が低減されることを説明する。
図8(a)は、青色のレーザ光Rbの中間結像位置Pxbを示す図であり、
図8(b)は、赤色のレーザ光Rrの中間結像位置Pxrを示す図である。なお、
図8(a)および
図8(b)において、簡易に説明するために、入射面15aおよび出射面15dをレンズとして示している。
【0033】
異なる波長のR、G、Bの光が凸面形状の入射面15aに入射すると、波長によって屈折力が異なるので、それぞれの波長の光の焦点距離が異なる。以下、波長の差が大きい青色のレーザ光Rbと赤色のレーザ光Rrについて説明する。入射面15aから入射した青色のレーザ光Rbは焦点距離fb1の位置に中間結像位置pxbを形成する。中間結像位置pxbと出射面15dの距離は、焦点距離fb2となる。また、入射面15aから入射した赤色のレーザ光Rrは焦点距離fr1の位置に中間結像位置pxrを形成する。中間結像位置pxrと出射面15dの距離は、焦点距離fr2となる。
【0034】
入射面15aを通過した後の光の角度は焦点距離fb1、fr1でそれぞれ決まる。光の波長が短いほど屈折力が強くなるので、青色のレーザ光Rbの焦点距離fb1の方が赤色のレーザ光Raの焦点距離fr1よりも短い。これにより、色の違いによって倍率色収差が発生しやすくなる。したがって、青色のレーザ光Rbの中間結像位置Pxbは、赤色の中間結像位置Pxrよりも入射面15a側に位置する。
【0035】
第1走査素子と第2走査素子の光路の間に中間結像位置を形成しない光学系であれば、この焦点距離fb1とfr1との差が投射面19に入射する角度のズレとなり倍率色収差が発生する。したがって、焦点距離fb1、fr1の差が大きい程、倍率色収差は大きくなる。しかしながら、実施形態1のように、第1走査素子13と第2走査素子17の光路の間に中間結像位置Pxb、Pxrを形成していると、出射面15dで発生する倍率色収差が入射面15aで発生する倍率色収差を補正する作用が働き、出射側の画角は、焦点距離fb1、fr1と、焦点距離fb2、fr2との比で決まる。
【0036】
入射面15aと出射面15dとは同じプリズムで同一の材料であるので、それぞれの焦点距離の比の差である、fb1/fb2とfr1/fr2との差は、fb1とfr1との差よりも小さい。これにより、第1走査素子と第2走査素子の光路の間に中間結像を形成しない光学系に対して、投射面19に入射する光線の倍率色収差が小さくなる。なお、入射面15aから中間結像位置までの焦点距離と中間結像位置から出射面15dまでの焦点距離が等しい(fb1=fb2、fr1=fr2)場合、倍率色収差はゼロになる。
【0037】
また、
図9に示すように、プリズム15内部で色収差の発生しない反射面15bおよび15cを利用することで、入射面15aでの屈折力の違いを原因とする他の収差、例えば、軸上色収差や像面湾曲収差等の影響を補正することができる。入射面15aから入射したレーザ光Rは、屈折力の違いから各色の光に分光される。例えば、青色のレーザ光Rbは、赤色のレーザ光Rrの方よりも内側に大きく屈折される。したがって、青色のレーザ光Rbと赤色のレーザ光Rrとでは、反射面15b、15cで反射する位置が異なる。赤色のレーザ光Rrの方が、反射面15b、15cの高い位置で反射するので、青色のレーザ光Rbよりも大きく曲げられる作用が大きい。これにより、入射面15aで発生した角度差を低減することができ、出射面15dから出射する光の色毎の角度差を抑制することが出来る。
【0038】
なお、本実施形態において、光学系1は、Y方向の中間結像位置Pyを有していたが、
図10に示すようにY方向に中間結像作用を有しておらず、中間結像位置Pyのない構成でもよい。この場合、第1反射面15bで反射したレーザ光RのY成分Ryが徐々に拡大するように、第1反射面15bの曲率が設計されていてもよい。
【0039】
なお、本実施形態において、第1走査素子13を垂直方向のスキャナ、第2走査素子17を水平方向のスキャナの組合せとしたが、第1走査素子13を水平方向のスキャナ、第2走査素子17を垂直方向のスキャナの組合せとしてもよい。これによって、入射面15aのサイズを小型することができる。
【0040】
なお、本実施形態において、プリズム15は、第1反射面15b、第2反射面15cの2面の反射面を有しているが、第1反射面15bだけを有していてもよいし、少なくとも2面以上の反射面を有していてもよい。
【0041】
なお、本実施形態において、光学系1は、レーザ素子11と、第1走査素子13と、プリズム15と、第2走査素子17で構成されているが、屈折力を有する光学素子を追加してもよい。
【0042】
なお、本実施形態において、中間結像位置Pxはプリズム15内に形成していたが、レーザ素子11からプリズム15の光路の間に、屈折力を有する光学素子を追加し、プリズム15の外に中間結像位置Pxを形成してもよい。
【0043】
また、
図4に示すように、入射面15aから第1反射面15bまでの光路長をL1、第1反射面15bから第2反射面15cまでの光路長をL2としたとき、L1<L2の関係を満たす。この構成によれば、第1反射面15bから第2反射面15cまでの光路長が入射面15aから第1反射面15bまでの光路長よりも長いので、
図1に示すように、入射面15aを第2反射面15cよりも第1反射面15b側(+Z方向側)に配置することができるので、第1走査素子13も第1反射面15b側(+Z方向側)に配置することができる。この結果、光学系1全体のサイズを小型化することができる。
【0044】
[1-2.効果等]
実施形態1に係る光学系1は、入射面15aと出射面15dと1面以上の反射面15b、15cとを有するプリズム15を備える。また、光学系1は、入射する光を第1方向に走査してプリズム15の入射面15aの方向へ反射する第1走査素子13と、プリズム15の出射面15dから出射するレーザ光RをX方向と直交するY方向に走査する第2走査素子17と、を備える。プリズム15の入射面15aは、第1走査素子13に対して凸面形状を有する。このような構成により、第1走査素子13によりX方向に走査されたレーザ光Rがプリズム15の入射面15aに入射すると、走査されて拡散されたレーザ光Rは入射面15aにより平行に近づくように屈折されるので、プリズム15内を進行するレーザ光Rの光路の拡がりを抑制することができる。この結果、プリズム15を小型化することができる。また、プリズム15内にレーザ光Rを通すことで、プリズム15のインデックス分だけ光路長を短縮することができ、光学系1を小型化することができる。
【0045】
実施形態1に係る光学系1は、入射面15aと出射面15dと1面以上の反射面15b、15cとを有するプリズム15を備える。また、光学系1は、入射する光を第1方向に走査してプリズム15の入射面15aの方向へ反射する第1走査素子13と、プリズム15の出射面15dから出射するレーザ光RをX方向と直交するY方向に走査する第2走査素子17と、を備える。プリズム15の出射面15dは、第2走査素子17に対して凸面形状を有する。このように、出射面15dだけが凸面形状な構成であっても、プリズム15の反射面15cから出射面15dに入射する光が平行に近い状態でありながら、第2走査素子17に収束して入射させることができる。この結果、プリズム15を小型化することができる。また、プリズム15内にレーザ光Rを通すことで、プリズム15のインデックス(屈折率)分だけ光路長を短縮することができ、光学系1を小型化することができる。
【0046】
(実施形態2)
次に、
図11を用いて、実施形態2を説明する。
[2-1.構成]
図11は、実施形態2に係る光学系1Aの構成を示す図である。
図11に示すように、本実施の形態の光学系1Aは、実施形態1の光学系1に、さらに、レーザ素子11に対して、第1走査素子13と第2走査素子17の走査と同期して、それぞれの波長の発光タイミングを波長ごとにずらす制御を実施する制御部21を備える。これらの相違点以外の構成について、実施形態1に係る光学系1と本実施の形態の光学系1Aとは共通である。
【0047】
レーザ素子11は、例えば、波長の異なるR、G、Bの光束のレーザ光Rr、Rg、Rbをタイミングをずらして順次出射する。制御部21は、第1走査素子13と第2走査素子17の走査タイミングに同期して、各色のレーザ光Rr、Rg、Rbの出射タイミングを制御する。これにより、投射面19に投射する像が色収差によりずれるのをより低減することができる。
【0048】
制御部21は、半導体素子などで実現可能である。制御部21は、例えば、マイコン、CPU、MPU、GPU、DSP、FPGA、ASICで構成することができる。制御部21の機能は、ハードウェアのみで構成してもよいし、ハードウェアとソフトウェアとを組み合わせることにより実現してもよい。制御部21は、ハードディスク(HDD)、SSD、メモリ等の記憶部を有しており、記憶部に格納されたデータやプログラムを読み出して種々の演算処理を行うことで、所定の機能を実現する。
【0049】
[2-2. 効果等]
制御部21を備える光学系1Aは、第1走査素子13と第2走査素子17の走査タイミングに応じて、各色のレーザ光Rr、Rg、Rbの出射タイミングを制御するので、投射面19に投射される像の色収差によるずれを補正することができる。
【0050】
(他の実施形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施形態1および2を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施形態1および2で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施形態とすることも可能である。
【0051】
実施形態1、2では、プリズム15の出射面15dも凸面形状であったが、これに限定されるものではない。プリズム15の出射面15dは、非凸面形状でもよく、例えば、
図12に示すように、平板形状でもよい。このように、プリズム15の入射面15aだけが第1走査素子13の走査方向に対して凸面形状を有する構成でもよい。この場合、第2反射面15cで反射した光が出射面15dを通って第2走査素子17に集光するように第2反射面15cおよび出射面15dが設計される。
【0052】
また、入射するレーザ光Rに対して第1反射面15bの傾斜方向によって、プリズム15のサイズを調整することができる。
図13Aは、プリズム15の第1反射面15bの周辺部を示している。
図13Aに示すように、第1走査素子13の走査軸および第1反射面15bに入射するレーザ光Rを含む平面において、入射するレーザ光Rに対して第1反射面15bが傾斜しない場合、プリズム15のY方向のサイズが小さくなる。例えば、YZ平面において第1反射面15bに入射するレーザ光Rの入射角θが0°もしくは0°に近い場合、プリズム15のY方向のサイズが小さくなる。一方、この場合、
図13Bに示すように、第1走査素子13の走査軸と直交する平面であるXZ平面において、第1反射面15での入射角Φは、第1走査素子13の走査方向(X方向)に大きくなるので、プリズム15のX方向のサイズは大型化する。
【0053】
これに対して、
図14Aに示すように、第1走査素子13の走査軸および第1反射面15bに入射するレーザ光Rを含む平面において、入射するレーザ光Rに対して第1反射面15bが傾斜する場合
図13Bの入射角Φと比べて、入射角θを小さくできるため、プリズム15のY方向のサイズの大型化を抑えることができる。例えば、
図14Aに示すように、YZ平面において第1反射面15bが入射するレーザ光Rに対して傾斜していると、すなわち、YZ平面においてレーザ光Rが第1反射面15に対して入射角θで反射する場合、プリズム15のY方向のサイズの大型化を抑えることができる。また、
図14Bに示すように、XZ平面において、第1走査素子13の走査方向(X方向)における第1反射面15での入射角Φを0°にすることもでき、X方向のサイズを小型化することができる。
【0054】
このように、第1反射面15bは、入射するレーザ光Rを第1走査素子13の走査方向(X方向)と直交する方向に反射する。第1反射面15bでのレーザ光Rの反射方向と垂直な方向に第1走査素子13を走査することで、光学系1を小型化に構成することができる。
【0055】
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面および詳細な説明を提供した。したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
【0056】
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【0057】
(実施形態の概要)
(1)本開示の光学系は、入射面と出射面と1面以上の反射面とを有するプリズムと、入射する光を第1方向に走査してプリズムの入射面の方向へ反射する第1走査素子と、プリズムの出射面から出射する光を第1方向と直交する第2方向に走査する第2走査素子と、を備え、プリズムの入射面は、第1走査素子に対して凸面形状を有する。
【0058】
このように、第1走査素子により第1方向に走査された光がプリズムの入射面に入射すると、走査されて拡散された光は入射面により平行に近づくように屈折されるので、プリズム内を進行する光の光路の拡がりを抑制する。これにより、プリズムを小型化することができる。
【0059】
(2)(1)の光学系において、プリズムの入射面は、第1走査素子の走査する第1方向に対して凸面形状を有する、回転非対称面である。
【0060】
(3)(1)または(2)において、プリズムの入射面は、第1走査素子の走査する第1方向よりも非走査方向への屈折力が小さい。
【0061】
(4)(1)ないし(3)のいずれか1つの光学系において、第1走査素子と前記第2走査素子の光路の間に第1方向の光の光束の第1中間結像位置を有する。
【0062】
(5)(1)ないし(3)のいずれか1つの光学系において、プリズムの内部に第1方向の前記光の光束の第1中間結像位置を有する。
【0063】
(6)(4)または(5)の光学系において、第1中間結像位置は、第1方向と直交する第2方向の光の光束の第2中間結像位置と異なる。このように、プリズム内において、第1方向の光束の第1中間結像位置が第2方向の光束の第2中間結像位置になっていないので、プリズム内の第1方向の光束の第1中間結像位置の一部に傷やゴミが存在しても、第1方向の光束への影響を低減することができる。
【0064】
(7)(4)または(5)の光学系において、第1方向と直交する第2方向の光の光束に対して中間結像が行われない。このように、プリズム内において、第1方向の光束の中間結像位置が第2方向の光束の中間結像位置になっていないので、プリズム内の第1方向の光束の中間結像位置の一部に傷やゴミが存在しても、第1方向の光束への影響を低減することができる。
【0065】
(8)(1)ないし(7)のいずれか1つの光学系において、プリズムの出射面は、第2走査素子に対して凸面形状を有する。
【0066】
(9)(8)の光学系において、プリズムの出射面は、第2走査素子の走査する第2方向に対して凸面形状を有する、回転非対称面である。
【0067】
(10)(8)または(9)の光学系において、プリズムの出射面は、第2走査素子の走査する第2方向よりも非走査方向への屈折力が小さい。
【0068】
(11)(1)ないし(10)のいずれか1つの光学系において、第1走査素子に光としてレーザ光を照射するレーザ素子を備える。
【0069】
(12)(11)の光学系において、前記レーザ素子は、複数の波長の前記レーザ光を照射する。このように、レーザ素子が複数の波長のレーザ光を照射したとしても、プリズム内で入射したレーザ光を中間結像するので、波長の違いによる色収差を低減することができる。
【0070】
(13)(12)の光学系において、レーザ素子に対して、第1走査素子と第2走査素子の走査と同期して、それぞれの波長の発光タイミングを波長ごとにずらす制御を実施する制御部を備える。これにより、第2走査素子により走査された光により投射面に投射される像の色収差によるずれを補正することができる。
【0071】
(14)また、本開示の光学系は、入射面と出射面と1面以上の反射面とを有するプリズムと、入射する光を第1方向に走査してプリズムの入射面の方向へ反射する第1走査素子と、プリズムの出射面から出射する光を第1方向と直交する第2方向に走査する第2走査素子と、を備え、プリズムの出射面は、第2走査素子に対して凸面形状を有する。
【0072】
このように、プリズムの出射面から第2方向に光を走査する第2走査素子に出射すると、光は出射面に対して平行に近い状態から第2走査素子に収束するようにプリズムから出射する。これにより、プリズムを小型化することができる。
【0073】
(15)(14)の光学系において、プリズムの出射面は、第2走査素子の走査する第2方向に対して凸面形状を有する、回転非対称面である。
【0074】
(16)(14)または(15)のいずれか1つの光学系において、プリズムの出射面は、第2走査素子の走査する第2方向よりも非走査方向への屈折力が小さい。
【0075】
(17)(14)ないし(16)のいずれか1つの光学系において、第1走査素子と第2走査素子の光路の間に第1方向の光の光束の第1中間結像位置を有する。
【0076】
(18)(14)ないし(16)のいずれか1つの光学系において、プリズムの内部に第1方向の前記光の光束の第1中間結像位置を有する。
【0077】
(19)(17)または(18)の光学系において、第1中間結像位置は、第1方向と直交する第2方向の光の光束の第2中間結像位置と異なる。
【0078】
(20)(17)または(18)の光学系において、第1方向と直交する第2方向の光の光束に対して中間結像が行われない。
【0079】
(21)(14)ないし(20)のいずれか1つの光学系において、第1走査素子に光としてレーザ光を照射するレーザ素子を備える。
【0080】
(22)(21)の光学系において、レーザ素子は、複数の波長のレーザ光を照射する。
【0081】
(23)(22)の光学系において、レーザ素子に対して、第1走査素子と第2走査素子の走査と同期して、それぞれの波長の発光タイミングを波長ごとにずらす制御を実施する制御部を備える。これにより、第2走査素子により走査された光により投射面に投射される像の色収差によるずれを補正することができる。
【0082】
(24)(1)の光学系において、プリズムは、入射面から出射された光を反射する第1反射面と、前記第1反射面で反射された光を反射する第2反射面と、を有し、前記入射面から前記第1反射面までの光路長をL1、前記第1反射面から前記第2反射面までの光路長をL2としたとき、
L1 < L2
を満たす。
【0083】
第1反射面から第2反射面までの光路長が入射面から第1反射面までの光路長よりも長いので、入射面を第2反射面よりも第1反射面側に配置することができる。これにより、第1走査素子も第1反射面側に配置することができ、光学系全体のサイズを小型化することができる。
【0084】
(25)また、本開示の光学系は、入射面と出射面と1面以上の反射面とを有するプリズムと、入射する光を第1方向に走査してプリズムの入射面の方向へ反射する第1走査素子と、プリズムの出射面から出射する光を第1方向と直交する第2方向に走査する第2走査素子と、を備え、プリズムは、入射面から出射された光を反射する第1反射面と、第1反射面で反射された光を反射する第2反射面と、を有し、入射面から第1反射面までの光路長をL1、第1反射面から第2反射面までの光路長をL2としたとき、L1 < L2を満たす。
【0085】
第1反射面から第2反射面までの光路長が入射面から第1反射面までの光路長よりも長いので、入射面を第2反射面よりも第1反射面側に配置することができるので、第1走査素子も第1反射面側に配置することができる。この結果、光学系全体のサイズを小型化することができる。
【0086】
(26)(25)の光学系において、第1反射面は、第1走査素子の走査軸と入射面を透過した光とを含む平面において、入射する光に対して傾斜している。これにより、第1走査素子の走査軸の方向へ光を反射することができ、プリズムを小型化することができる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本開示は、プリズムなどの屈折光学系を用いた光学装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0088】
1 光学系
11 レーザ素子
11a 瞳径
13 第1走査素子
15 プリズム
15a 入射面
15b 第1反射面
15c 第2反射面
15d 出射面
17 第2走査素子
19 投射面
21 制御部