(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 39/08 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
D06F39/08 301C
D06F39/08 301A
(21)【出願番号】P 2020108541
(22)【出願日】2020-06-24
【審査請求日】2023-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】米澤 孝昭
(72)【発明者】
【氏名】松田 喜彦
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-100258(JP,A)
【文献】特開2012-125324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯物を収容する洗濯槽と、
前記洗濯槽内に臨む吐出口を有し、前記吐出口から前記洗濯槽内に水を降り注ぐ注水ユニットとを含み、
前記注水ユニットは、
水が注入される注入領域と、前記注入領域に注入された水を落下させる落下領域と、前記落下領域の下側に配置されて前記吐出口に接続され、前記落下領域の水を受け入れる受入領域と、前記受入領域に接続されて空気を前記受入領域に送り込む通気領域とが設けられたユニット本体と、
前記落下領域の水を前記受入領域へ落下させる通水穴が形成されて前記落下領域と前記受入領域との間に配置された横板部を有する仕切り部材とを含
み、
前記仕切り部材は、前記横板部における前記通水穴の縁から前記吐出口へ向けて斜め下側へ延びるスロープ部を有する、洗濯機。
【請求項2】
前記吐出口は、複数設けられる、請求項
1に記載の洗濯機。
【請求項3】
前記ユニット本体は、前記横板部よりも下側に配置された底壁部を有し、
複数の前記吐出口は、前記底壁部を上下方向に貫通した第1吐出口と、前記第1吐出口に並んで配置されて前記底壁部を上下方向に貫通した第2吐出口とを含む、請求項
2に記載の洗濯機。
【請求項4】
洗濯物を収容する洗濯槽と、
前記洗濯槽内に臨む吐出口を有し、前記吐出口から前記洗濯槽内に水を降り注ぐ注水ユニットとを含み、
前記注水ユニットは、
水が注入される注入領域と、前記注入領域に注入された水を落下させる落下領域と、前記落下領域の下側に配置されて前記吐出口に接続され、前記落下領域の水を受け入れる受入領域と、前記受入領域に接続されて空気を前記受入領域に送り込む通気領域とが設けられたユニット本体と、
前記落下領域の水を前記受入領域へ落下させる通水穴が形成されて前記落下領域と前記受入領域との間に配置された横板部を有する仕切り部材とを含み、
前記吐出口は、複数設けられ、
前記ユニット本体は、前記横板部よりも下側に配置された底壁部を有し、
複数の前記吐出口は、前記底壁部を上下方向に貫通した第1吐出口と、前記第1吐出口に並んで配置されて前記底壁部を上下方向に貫通した第2吐出口とを含み、
前記ユニット本体には、前記仕切り部材の横隣に位置して前記落下領域と前記受入領域とをつなぐ接続領域が設けられ、
前記第1吐出口は、前記接続領域の下側に配置され、
前記第2吐出口は、前記仕切り部材の下側に配置され、
前記ユニット本体は、前記第2吐出口の上側から前記第1吐出口と前記第2吐出口との間へ向けて斜め下側へ延びる傾斜部と、前記第1吐出口を前記傾斜部との間で挟む縦壁部とを有する
、洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の洗濯機は、洗濯物を収容する洗濯槽と、洗濯槽を収容する外槽とを含む。外槽は、上下方向に沿って配置された略円筒状の円周壁と、円周壁の上端縁を縁取りつつ円周壁の円中心側へ張り出したリング状の環状壁とを有する。環状壁には、蛇口につながった給水路の一端が接続される。給水路の一端に設けられた吐出口は、洗濯槽の上端部に設けられた出入口に上側から臨む。給水路の途中に設けられた給水弁が開くと、水が、給水路を流れて吐出口から吐出され、出入口を通って洗濯槽内に落下して洗濯槽内の洗濯物に降り注がれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の洗濯機のように給水路の吐出口から洗濯槽内の洗濯物に水が降り注がれる構成では、水がまとまった状態で洗濯物に当たりやすい。この場合には、洗濯物に対する水の当たり具合、つまり、洗濯物に対する水道水や洗剤などの液体の当たり具合が悪ければ、洗濯効果を得るために水を洗濯物に効果的に浸透させることが難しい。また、水の当たり具合が強ければ、洗濯物に当たった水が勢いよく跳ね返ることによって洗濯槽の外へ出てしまうことも想定される。
【0005】
この発明は、かかる背景のもとでなされたものであり、洗濯槽への注水時において水跳ねを抑制して洗濯槽内の洗濯物への水の浸透を促進できる洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、洗濯物を収容する洗濯槽と、前記洗濯槽内に臨む吐出口を有し、前記吐出口から前記洗濯槽内に水を降り注ぐ注水ユニットとを含む洗濯機であって、前記注水ユニットが、水が注入される注入領域と、前記注入領域に注入された水を落下させる落下領域と、前記落下領域の下側に配置されて前記吐出口に接続され、前記落下領域の水を受け入れる受入領域と、前記受入領域に接続されて空気を前記受入領域に送り込む通気領域とが設けられたユニット本体と、前記落下領域の水を前記受入領域へ落下させる通水穴が形成されて前記落下領域と前記受入領域との間に配置された横板部を有する仕切り部材とを含む、洗濯機である。
【0007】
また、本発明は、前記仕切り部が、前記横板部における前記通水穴の縁から前記吐出口へ向けて斜め下側へ延びるスロープ部を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記吐出口が、複数設けられることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記ユニット本体が、前記横板部よりも下側に配置された底壁部を有し、複数の前記吐出口が、前記底壁部を上下方向に貫通した第1吐出口と、前記第1吐出口に並んで配置されて前記底壁部を上下方向に貫通した第2吐出口とを含むことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、前記ユニット本体には、前記仕切り部材の横隣に位置して前記落下領域と前記受入領域とをつなぐ接続領域が設けられ、前記第1吐出口が、前記接続領域の下側に配置され、前記第2吐出口が、前記仕切り部材の下側に配置され、前記ユニット本体が、前記第2吐出口の上側から前記第1吐出口と前記第2吐出口との間へ向けて斜め下側へ延びる傾斜部と、前記第1吐出口を前記傾斜部との間で挟む縦壁部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、洗濯機において吐出口から洗濯槽内に水を降り注ぐ注水ユニットのユニット本体では、水が、注入領域に注入されてから落下領域で落下した後に、受入領域に受け入れられて吐出口に送り込まれる。受入領域に受け入れられた水には、通気領域から受入領域に送り込まれる空気が気泡となって混入する。特に、注水ユニットでは、落下領域と受入領域との間に仕切り部材の横板部が配置され、横板部には、落下領域の水を受入領域へ落下させる通水穴が形成されるので、落下領域から受入領域に落下する水は、通水穴の周辺で撹拌されることによって気泡を含みやすい。このように気泡を含んで泡立った水は、吐出口から洗濯槽内に降り注がれると、洗濯槽内の洗濯物にやさしく浴びせられて効果的に浸透する。そのため、洗濯槽への注水時において水跳ねを抑制して洗濯槽内の洗濯物への水の浸透を促進できる。
【0012】
また、本発明によれば、仕切り部材では、横板部における通水穴の縁から吐出口へ向けて斜め下側へ延びるスロープ部が、落下領域から通水穴を通って受入領域に落下する水を吐出口へガイドする。これにより、泡立った水を積極的に吐出口に送り込んで吐出口から洗濯槽内に降り注ぐことができる。
【0013】
また、本発明によれば、吐出口が複数設けられるので、注水ユニットは、泡立った水を、複数の吐出口から洗濯槽内に積極的に降り注ぐことができる。
【0014】
また、本発明によれば、複数の吐出口を構成する第1吐出口及び第2吐出口のそれぞれは、ユニット本体の底壁部を上下方向に貫通して構成されるので、泡立った水を下向きに、つまり略真下へ吐出することによって、洗濯槽内に積極的に降り注ぐことができる。
【0015】
また、本発明によれば、落下領域で落下した後に接続領域を通って受入領域に受け入れられた水は、気泡を含んだ状態で、接続領域の下側の第1吐出口から吐出されて洗濯槽内に降り注がれる。一方、落下領域で落下した後に仕切り部材の横板部の通水穴を通って受入領域に受け入れられた水は、気泡を含んだ状態で、仕切り部材の下側の第2吐出口から吐出されて洗濯槽内に降り注がれる。ここで、第2吐出口の上側から第1吐出口と第2吐出口との間へ向けて斜め下側へ延びる傾斜部が、泡立った水を第2吐出口において下向きにガイドするので、第2吐出口は、この水を略真下へ吐出することによって、洗濯槽内に積極的に降り注ぐことができる。また、第1吐出口を傾斜部との間で挟む縦壁部が、泡立った水を第1吐出口において下向きにガイドするので、第1吐出口は、この水を略真下へ吐出することによって、洗濯槽内に積極的に降り注ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】この発明の一実施形態に係る洗濯機の模式的な縦断面右側面図である。
【
図2】洗濯機に含まれる注水ユニットの縦断面右側面図である。
【
図3】注水ユニットに含まれる吐出部材の平面図である。
【
図5】
図4とは別の方向から見た吐出部材の斜視図である。
【
図6】注水ユニットに含まれる仕切り部材の平面図である。
【
図10】
図8とは別の方向から見た仕切り部材の斜視図である。
【
図11】注水ユニットにおいて一部に縦断面を含む斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る洗濯機1の模式的な縦断面右側面図である。
図1において紙面に直交する方向を洗濯機1の左右方向Xといい、
図1における左右方向を洗濯機1の前後方向Yといい、
図1における上下方向を洗濯機1の上下方向Zという。左右方向Xのうち、
図1の紙面の奥側を左側X1といい、
図1の紙面の手前側を右側X2という。前後方向Yのうち、左側を前側Y1といい、右側を後側Y2という。上下方向Zのうち、上側を上側Z1といい、下側を下側Z2という。
【0018】
洗濯機1には、乾燥機能を有する洗濯乾燥機も含まれるが、以下では、乾燥機能が省略されて洗濯運転だけを実行する洗濯機を例に取って洗濯機1について説明する。洗濯機1は、その外郭をなす筐体2と、筐体2内に配置される外槽3と、外槽3内に収容される洗濯槽4と、洗濯槽4内に収容される回転翼5と、洗濯槽4や回転翼5を回転させる駆動力を発生する電動のモータ6と、モータ6が発生した駆動力の伝達先を切り替える伝達機構7とを含む。
【0019】
筐体2は、ボックス状に形成される。筐体2の上面部を構成する上面板2Aには、筐体2の内外を連通させる開口2Bが形成される。上面板2Aには、開口2Bを開閉する扉8が設けられる。上面板2Aにおいて、例えば開口2Bよりも前側Y1の領域には、タッチパネルなどで構成された表示操作部9が設けられる。使用者は、表示操作部9を操作することによって、洗濯条件を自由に選択したり、洗濯機1に対して運転開始や運転停止などを指示したりすることができる。表示操作部9には、洗濯運転に関する情報が目視可能に表示される。
【0020】
外槽3は、例えば樹脂製であり、有底円筒状に形成される。外槽3は、上下方向Zに沿って配置された略円筒状の円周壁3Aと、円周壁3Aの中空部分を下側Z2から塞ぐ底壁3Bと、円周壁3Aの上側Z1の端縁を縁取りつつ円周壁3Aの円中心側へ張り出したリング状の環状壁3Cとを有する。環状壁3Cの内側には、開口3Dが形成される。開口3Dは、筐体2の開口2Bの真下に配置される。円周壁3Aの中空部分が、開口3Dから上側Z1へ露出される。底壁3Bは、水平方向に沿って延びる円板状に形成され、底壁3Bの円中心位置には、底壁3Bを貫通する貫通穴3Eが形成される。後述するように、外槽3には、水が溜められる。
【0021】
外槽3には、排水路11が下側Z2から接続され、外槽3内の水は、排水路11から機外に排出される。排水路11の途中には、排水を開始したり停止したりするために開閉される排水弁12が設けられる。
【0022】
洗濯槽4は、例えば金属製であり、上下方向Zに延びる中心軸Jを有し、外槽3よりも一回り小さい有底円筒状に形成され、内部に洗濯物Qを収容することができる。洗濯槽4は、上下方向Zに沿って配置された略円筒状の円周壁4Aと、円周壁4Aの中空部分を下側Z2から塞ぐ底壁4Bとを有する。
【0023】
円周壁4Aの内周面の上端部によって囲まれた空間は、円周壁4Aの中空部分を上側Z1に露出させる出入口4Cである。出入口4Cは、外槽3の開口3Dと筐体2の開口2Bとに下側Z2から連通した状態にある。洗濯機1の使用者は、扉8を開いて開口2B、開口3D及び出入口4Cを開放し、開口2B、開口3D及び出入口4Cを介して、洗濯槽4に対して洗濯物Qを出し入れする。
【0024】
洗濯槽4は、外槽3内に同軸上で収容され、上下方向Zに沿って配置される。外槽3内に収容された状態の洗濯槽4は、中心軸Jまわりに回転可能である。洗濯槽4の円周壁4A及び底壁4Bには、図示しない貫通穴が複数形成され、外槽3内の水は、当該貫通穴を介して、外槽3と洗濯槽4との間で行き来できる。そのため、外槽3内の水位と洗濯槽4内の水位とは一致する。
【0025】
洗濯槽4の底壁4Bは、外槽3の底壁3Bに対して上側Z1に間隔を隔てて略平行に延びる円板状に形成され、底壁4Bにおいて中心軸Jと一致する円中心位置には、底壁4Bを貫通する貫通穴4Dが形成される。底壁4Bには、貫通穴4Dを取り囲みつつ中心軸Jに沿って下側Z2へ延び出た管状の支持軸13が設けられる。支持軸13は、外槽3の底壁3Bの貫通穴3Eに挿通されて、支持軸13の下端部は、底壁3Bよりも下側Z2に位置する。
【0026】
回転翼5は、いわゆるパルセータであり、中心軸Jを円中心とする円盤状に形成され、洗濯槽4内において底壁4Bに沿って洗濯槽4と同心状に配置される。回転翼5において洗濯槽4の出入口4Cを下側Z2から臨む上面には、放射状に配置される複数の羽根5Aが設けられる。回転翼5には、その円中心から中心軸Jに沿って下側Z2へ延びる回転軸14が設けられる。回転軸14は、支持軸13の中空部分に挿通されて、回転軸14の下端部は、外槽3の底壁3Bよりも下側Z2に位置する。
【0027】
モータ6は、筐体2内において、外槽3の下側Z2に配置される。モータ6は、上側Z1へ突出して中心軸Jまわりに回転する出力軸15を有する。伝達機構7は、支持軸13及び回転軸14のそれぞれの下端部と、出力軸15の上端部との間に介在される。伝達機構7は、モータ6が出力軸15から出力する駆動力を、支持軸13及び回転軸14の一方又は両方に対して選択的に伝達する。伝達機構7として、公知のクラッチなどが用いられる。
【0028】
モータ6からの駆動力が支持軸13に伝達されると、洗濯槽4が中心軸Jまわりに回転する。モータ6からの駆動力が回転軸14に伝達されると、回転翼5が中心軸Jまわりに回転する。モータ6の出力軸15の回転方向が変更できるので、洗濯槽4及び回転翼5のそれぞれは、一方向だけでなく、当該一方向とは反対の他方向にも回転できる。
【0029】
外槽3及び洗濯槽4への給水に関連して、洗濯機1は、筐体2の外に引き出されて蛇口(図示せず)に接続される給水路21と、筐体2内に配置されて給水路21の一端21Aが接続された注水ユニット22とをさらに含む。詳しくは後述するが、注水ユニット22は、洗濯槽4の出入口4Cに上側Z1から臨む吐出口23を有し、前述した上面板2Aに設けられる。洗濯機1は、筐体2内に配置されて洗剤や柔軟剤といった洗濯用の処理剤を注水ユニット22に供給する処理剤供給部24と、筐体2内で注水ユニット22に接続された風呂水供給路25とをさらに含む。
【0030】
給水路21において、筐体2の外に配置されて蛇口に接続される上流部21Bと、筐体2内に配置されて一端21Aを有する下流部21Cとは分離可能であってもよく、この場合、上流部21Bと下流部21Cとは、ジョイント(図示せず)によって連結される。下流部21Cには、開閉可能な給水弁26が設けられる。給水弁26は、電磁弁などによって構成される。給水弁26が開くと、蛇口からの水道水が、給水路21を流れて注水ユニット22内に注入された後に、吐出口23から洗濯槽4内に降り注がれ、外槽3内及び洗濯槽4内に溜まる。給水弁26が閉じると、水道水による給水が停止される。
【0031】
処理剤供給部24は、処理剤を注水ユニット22経由で洗濯槽4内に自動投入する装置である。具体的には、処理剤供給部24は、洗剤を給水路21に供給する洗剤供給部24Aと、柔軟剤を給水路21に供給する柔軟剤供給部24Bとを含む。洗剤供給部24Aは、筐体2内において洗濯槽4よりも上側Z1に配置される。具体的には、洗剤供給部24Aは、上面板2Aに設けられる。洗剤供給部24Aは、液体洗剤などの洗剤を収容する洗剤収容部27と、洗剤収容部27の下端部と注水ユニット22とをつなぐ洗剤供給路28と、洗剤供給路28に設けられる洗剤供給弁29とを有する。
【0032】
洗剤収容部27は、ボックス状又はタンク状に形成され、上面板2Aに固定される。洗剤収容部27の少なくとも上面部は、使用者が筐体2の扉8を開いたときに、上面板2Aの開口2Bに露出される。洗剤収容部27の上面部には、開閉可能又は着脱可能な蓋30が設けられる。使用者が開口2Bから蓋30にアクセスして蓋30を開いたり取り外したりすると、洗剤収容部27の内部が露出されるので、使用者は、洗剤を洗剤収容部27内に補充することができる。洗剤収容部27内には、洗濯運転を複数回数実施できる量の洗剤を事前に収容することができる。洗剤の補充を終えた使用者は、蓋30を閉じたり洗剤収容部27に取り付けたりする。蓋30は、筐体2の外に露出されてもよく、この場合には、使用者は、扉8を開かなくても蓋30にアクセスすることができる。なお、蓋30が存在しなくてもよい。
【0033】
洗剤供給路28は、洗剤収容部27の下端部から少なくとも下側Z2へ延びて、注水ユニット22に接続される。洗剤供給弁29は、この実施形態では電磁弁などによって構成され、洗剤供給弁29自身が開閉することによって洗剤供給路28を開閉することができる。洗剤供給部24Aでは、洗剤供給弁29が開くと洗剤供給路28が開放されるので、洗剤収容部27内の洗剤が、自重によって洗剤供給路28を流れ落ちた後に、注水ユニット22に供給される。このときに給水弁26が開いた状態にあれば、注水ユニット22に供給された洗剤が、給水路21から注水ユニット22内に注入される水道水に乗って、吐出口23から洗濯槽4内に供給される。洗剤供給弁29が閉じると、洗剤供給路28が遮断されるので、洗剤収容部27からの洗剤の供給が停止される。
【0034】
柔軟剤供給部24Bは、筐体2内において洗濯槽4よりも上側Z1に配置され、具体的には、上面板2Aに設けられる。柔軟剤供給部24Bは、液体柔軟剤などの柔軟剤を収容する柔軟剤収容部31と、柔軟剤収容部31の下端部と洗剤供給路28とをつなぐ柔軟剤供給路32と、柔軟剤供給路32に設けられる柔軟剤供給弁33とを有する。
【0035】
柔軟剤収容部31は、ボックス状又はタンク状に形成され、上面板2Aに固定される。洗剤収容部27と柔軟剤収容部31とは、
図1では前後方向Yに隣り合って配置されるが、実際には、平面視において上面板2Aの開口2Bを挟むように、左右方向Xにおいて互いに離れて配置される。柔軟剤収容部31の少なくとも上面部は、使用者が筐体2の扉8を開いたときに、開口2Bに露出される。柔軟剤収容部31の上面部には、開閉可能又は着脱可能な蓋34が設けられる。使用者が開口2Bから蓋34にアクセスして蓋34を開いたり取り外したりすると、柔軟剤収容部31の内部が露出されるので、使用者は、柔軟剤を柔軟剤収容部31内に補充することができる。柔軟剤収容部31内には、洗濯運転を複数回数実施できる量の柔軟剤を事前に収容することができる。柔軟剤の補充を終えた使用者は、蓋34を閉じたり柔軟剤収容部31に取り付けたりする。蓋34は、筐体2の外に露出されてもよく、この場合には、使用者は、扉8を開かなくても、蓋34にアクセスすることができる。なお、蓋34が存在しなくてもよい。
【0036】
柔軟剤供給路32は、柔軟剤収容部31の下端部から少なくとも下側Z2へ延びて、洗剤供給路28において洗剤供給弁29よりも注水ユニット22に近い下流領域28Aに接続される。この実施形態の柔軟剤供給路32は、下流領域28Aを介して柔軟剤収容部31と注水ユニット22とをつなぐ。または、柔軟剤供給路32は、下流領域28Aを介さずに注水ユニット22に直接接続されてもよい。
【0037】
柔軟剤供給弁33は、電磁弁などによって構成され、柔軟剤供給弁33自身が開閉することによって柔軟剤供給路32を開閉することができる。柔軟剤供給部24Bでは、柔軟剤供給弁33が開くと柔軟剤供給路32が開放されるので、柔軟剤収容部31内の柔軟剤が、自重によって柔軟剤供給路32及び洗剤供給路28を順に流れ落ちた後に、注水ユニット22に供給される。このときに給水弁26が開いた状態にあれば、注水ユニット22に供給された柔軟剤が、給水路21から注水ユニット22内に注入される水道水に乗って、吐出口23から洗濯槽4内に供給される。柔軟剤供給弁33が閉じると、柔軟剤供給路32が遮断されるので、柔軟剤収容部31からの柔軟剤の供給が停止される。
【0038】
洗剤供給路28の下流領域28A、厳密には下流領域28Aにおいて柔軟剤供給路32との接続部分よりも注水ユニット22に近い領域には、下流領域28Aにおける処理剤を吸い込んで注水ユニット22側に吐出する処理剤ポンプ(図示せず)が設けられてもよい。
【0039】
風呂水供給路25に関連して、筐体2の上面板2Aには、風呂水を取り込むための取込口35が設けられる。風呂水供給路25の一端25Aは、注水ユニット22に接続され、風呂水供給路25の他端25Bは、取込口35に接続される。取込口35は、上面板2Aの上面つまり筐体2の表面に露出された穴である。取込口35は、筐体2に形成された穴を指してもよいし、この穴から露出される他端25Bの開口を指してもよい。
【0040】
取込口35には、風呂水ポンプ36を取り付けることができる。風呂水ポンプ36は、電動のポンプである。風呂水ポンプ36は、一端が風呂水に浸けられて他端が取込口35に接続されるホース37も有する。風呂水ポンプ36が駆動されると、筐体2の外の風呂水が、ホース37内に吸い込まれて、取込口35において風呂水供給路25に取り込まれる。風呂水供給路25に取り込まれた風呂水は、注水ユニット22に供給された後に、吐出口23から洗濯槽4内に供給される。風呂水ポンプ36が停止されると、風呂水による給水が停止される。なお、風呂水ポンプ36は、この実施形態のように、洗濯機1に対する外付け部品であってもよい。または、風呂水ポンプ36は、洗濯機1の一部として、例えば風呂水供給路25の途中に設けられてもよく、この場合において風呂水を取り込むための外付け部品は、ホース37だけである。
【0041】
洗濯機1は、マイコンなどによって構成された制御部38をさらに含む。制御部38には、モータ6、伝達機構7、表示操作部9、排水弁12、給水弁26、洗剤供給弁29、柔軟剤供給弁33及び風呂水ポンプ36のそれぞれが電気的に接続される。外付け部品である場合の風呂水ポンプ36は、信号線及び電力供給線の少なくともいずれかによって構成されたケーブル(図示せず)を介して、制御部38に対して電気的に接続される。
【0042】
制御部38は、モータ6、伝達機構7、排水弁12、給水弁26、洗剤供給弁29、柔軟剤供給弁33及び風呂水ポンプ36の動作を制御することによって洗濯運転を実行する。洗濯運転は、洗濯槽4内の洗濯物Qを洗う洗い工程と、洗い工程の後に洗濯物Qをすすぐすすぎ工程と、すすぎ工程後に洗濯物Qを脱水する脱水工程とを含む。すすぎ工程は、複数回実行されてもよく、最後のすすぎ工程を最終すすぎ工程という。脱水工程は、洗い工程やすすぎ工程の直後に実行される中間脱水工程と、洗濯運転の最後に実行される最終脱水工程とを含む。
【0043】
洗い工程では、制御部38は、まず、少なくとも排水弁12及び柔軟剤供給弁33を閉じた状態で給水弁26を所定時間開くことによって注水ユニット22から洗濯槽4内に給水する(
図1の破線矢印を参照)。その際、制御部38は、洗剤供給弁29を所定時間開き、前述した処理剤ポンプを必要に応じて所定時間駆動させることによって、洗剤収容部27内における洗濯運転1回分の洗剤を、注水ユニット22内で水道水に乗せて吐出口23から洗濯槽4内に供給する。なお、制御部38は、給水時において、給水弁26を開くのでなく、風呂水ポンプ36を駆動させることによって風呂水を洗濯槽4内に供給してもよい。その際、制御部38は、洗濯運転1回分の洗剤を、注水ユニット22内で風呂水に乗せて吐出口23から洗濯槽4内に供給する。
【0044】
洗濯槽4内の水位が所定水位まで上昇すると、制御部38は、給水を停止した後にモータ6及び伝達機構7を制御することによって、回転翼5を回転させる。これにより、洗濯槽4内の洗濯物Qは、撹拌されたり、洗剤によって汚れが分解されたりすることによって洗浄される。最後に、制御部38は、排水弁12を開くことによって洗濯槽4を排水する。
【0045】
すすぎ工程では、制御部38は、まず、少なくとも排水弁12及び洗剤供給弁29を閉じた状態で給水弁26を所定時間開くことによって、水道水を洗濯槽4内に溜める。次に、制御部38は、モータ6及び伝達機構7を制御することによって、回転翼5を回転させる。これにより、洗濯槽4内の洗濯物Qがすすがれる。特に、最終すすぎ工程での給水時には、制御部38は、柔軟剤供給弁33を所定時間開き、前述した処理剤ポンプを必要に応じて所定時間駆動させることによって、柔軟剤収容部31内における洗濯運転1回分の柔軟剤を、注水ユニット22で水道水に乗せて吐出口23から洗濯槽4内に供給する。その後、回転翼5が回転することにより、洗濯槽4内で柔軟剤が洗濯物Qに染み渡る。最後に、制御部38は、洗濯槽4を排水する。
【0046】
脱水工程では、制御部38は、排水弁12を開いた状態でモータ6及び伝達機構7を制御することによって、洗濯槽4を所定の脱水回転数で回転させる。これにより、洗濯槽4内の洗濯物Qは、遠心力が作用することによって脱水される。なお、中間脱水工程と最終脱水工程とでは、運転条件が異なってもよく、一例として、最終脱水工程の脱水回転数は、中間脱水工程の脱水回転数よりも高くてもよい。
【0047】
次に、注水ユニット22について詳しく説明する。以下の説明では、風呂水ポンプ36のホース37が取込口35から取り外されて、取込口35が機外、つまり洗濯機1の外に連通して外気を風呂水供給路25内に取り込み可能な状態にあるものとする。
【0048】
図2は、注水ユニット22の縦断面右側面図である。注水ユニット22は、その筐体を構成するユニット本体51と、ユニット本体51に組み込まれる仕切り部材52とを含む。ユニット本体51は、左右方向Xに薄いボックス状である。ユニット本体51は、そのほぼ全体を構成するメイン部材53と、メイン部材53の下側Z2に配置される吐出部材54とを有する。
【0049】
メイン部材53は、左右方向Xに薄いボックス状である。メイン部材53は、左右一対の側壁61と、左右の側壁61の上端間に架設される天壁62と、左右の側壁61の前端間に架設される前壁63と、左右の側壁61の後端間に架設される後壁64とを有する。
図2では、左右の側壁61のうち、左側X1の側壁61Aだけが図示される。各側壁61は、左右方向Xから見て略矩形をなし、左右方向Xに薄い板状である。側壁61Aの後端部の上部には、洗剤供給路28の下流領域28Aに接続された投入口61Bが形成される。
【0050】
天壁62は、前後方向Yに延びる板状であり、上下方向Zに薄い。前壁63は、上下方向Zに延びる板状であり、前後方向Yに薄い。後壁64は、前後方向Yに奥行を有する中空のブロック状である。後壁64内には、上下方向Zに延びる空間によって構成された通気領域64Aが設けられる。通気領域64Aの上端は、風呂水供給路25の一端25Aに接続される。通気領域64Aは、風呂水供給路25及び筐体2の取込口35(
図1参照)を介して機外に連通した状態にある。
【0051】
左右一対の側壁61と天壁62と前壁63と後壁64とによって囲まれた空間は、メイン部材53の内部空間53Aである。メイン部材53が単独で存在する場合には、内部空間53Aは、下側Z2へ開放される。メイン部材53は、内部空間53Aの上端部に配置されたガイド部65をさらに有する。ガイド部65は、天壁62の真下に配置されて天壁62と略平行に延びる板状であり、左右の側壁61間に架設されるとともに、前壁63と後壁64との間にも架設される。ガイド部65は、左側X1の側壁61Aの投入口61Bよりも上側Z1に配置される。メイン部材53の内部空間53Aにおいてガイド部65よりも上側Z1の領域は、注入領域53Bである。注入領域53Bは、上下方向Zに扁平であって前後方向Yに長い空間である。注入領域53Bの後端部は、給水路21の一端21A(
図1参照)に接続される。
【0052】
左右一対の側壁61のそれぞれにおいて内部空間53Aに臨む内側面61Cには、ガイド部65から下側Z2へ延びる複数のリブ61Dが設けられる。これらのリブ61Dは、前後方向Yに並んで配置され、各リブ61Dの下端は、内側面61Cの下端よりも上側Z1に配置される。メイン部材53の内部空間53Aにおいてガイド部65よりも下側Z2の領域は、上下方向Zにおいてリブ61Dと同じ位置にある落下領域53Cと、落下領域53Cの下側Z2に配置される受入領域53Dとを有する。ガイド部65には、ガイド部65を上下方向Zに貫通する複数の貫通穴65Aが前後方向Yに並んで形成される。最も前側Y1に位置する貫通穴65Aは、ガイド部65から上側Z1へ突出した筒状に形成される。ガイド部65の上側Z1の注入領域53Bは、各貫通穴65Aを介して落下領域53Cと連通した状態にある。
【0053】
メイン部材53の内部空間53Aにおいて落下領域53Cの前端部と受入領域53Dの前端部との間の領域は、落下領域53C及び受入領域53Dの前端部同士をつなぐ接続領域53Eである。接続領域53Eを落下領域53C及び受入領域53Dのどちらかの一部とみなしてもよい。
【0054】
図3は、吐出部材54の平面図である。吐出部材54は、前後方向Yに細長いトレイ状に形成される。吐出部材54は、前後方向Yの長手で後端部が左側X1へ折れ曲がったL字状の全体形状を有する底壁部54Aと、底壁部54Aの前端から立ち上がった前壁部54Bとを有する。吐出部材54は、前壁部54Bの左端に接続されて底壁部54Aの左縁に沿って立ち上がった左壁部54Cと、前壁部54Bの右端に接続されて底壁部54Aの右縁に沿って立ち上がった右壁部54Dとを有する。吐出部材54は、左壁部54C及び右壁部54Dの後端間に架設されて底壁部54Aの後端から立ち上がった後壁部54Eをさらに有する。
【0055】
底壁部54Aと前壁部54Bと左壁部54Cと右壁部54Dと後壁部54Eとによって囲まれた空間は、吐出部材54の内部空間54Fである。平面視における内部空間54Fは、後側Y2へ延びて後端部で左側X1へ折れ曲がったL字状に形成される。吐出部材54が単独で存在する場合には、内部空間54Fは、上側Z1へ開放される。
【0056】
図4は、下側Z2から見た吐出部材54の斜視図である。底壁部54Aは、上下方向Zに薄い板状である。底壁部54Aでは、左側X1へ折れ曲がった後端部が、後端部よりも前側Y1の部分よりも一段高い位置に配置される。底壁部54Aにおいて後端部よりも前側Y1の部分は、前側Y1へ向かうにつれて下降するように若干傾斜して構成される(
図2参照)。
【0057】
底壁部54Aの前端部には、前述した吐出口23が形成される。吐出部材54の内部空間54Fは、上側Z1から吐出口23に接続される。吐出口23は、複数設けられる。この実施形態では、2つの吐出口23が設けられる。これらの吐出口23は、底壁部54Aを上下方向Zに貫通した第1吐出口23Aと、後側Y2から第1吐出口23Aに並んで配置されて底壁部54Aを上下方向Zに貫通した第2吐出口23Bとを含む。第1吐出口23Aは、前側Y1へ向かうにつれて開脚する略等脚台形状に形成される。第2吐出口23Bは、略矩形状に形成されて、その左縁は、前側Y1へ向かうにつれて左側X1へずれるように形成される。第1吐出口23Aの後縁と、第2吐出口23Bの前縁とは、左右方向Xにおいて略同じ寸法を有する。
【0058】
吐出部材54は、第1吐出口23Aの後縁と第2吐出口23Bの前縁との境界を構成する傾斜部54Gをさらに有する。傾斜部54Gは、板状であり、第2吐出口23Bの上側Z1、詳しくは真上から第1吐出口23Aと第2吐出口23Bとの間へ向けて斜め下側かつ前側Y1へ延びて、第1吐出口23Aの後縁と第2吐出口23Bの前縁とにつながる。
【0059】
前壁部54Bは、前後方向Yに薄い縦壁部であって、傾斜部54Gの前側Y1に配置されて、第1吐出口23Aを傾斜部54Gとの間で挟む。
【0060】
図5は、上側Z1から見た吐出部材54の斜視図である。左壁部54Cは、前壁部54Bの左端から後側Y2へ延び、途中で左側X1へ傾斜した後に、左側X1及び後側Y2へ順に折れ曲がる。左壁部54Cの上端部は、左側X1へ折り曲げられたフランジ状に形成される。右壁部54Dは、前壁部54Bの右端から後側Y2へ延び、途中で左側X1へ湾曲する。右壁部54Dの上端部は、右側X2へ折り曲げられたフランジ状に形成される。後壁部54Eは、左右方向Xに沿って直線状に延びる。なお、左壁部54C及び右壁部54Dの少なくとも一方の後端部を後壁部54Eの一部とみなしてもよい。
【0061】
吐出部材54の上端面には、前壁部54B、左壁部54C、右壁部54D及び後壁部54Eのそれぞれの上端を縁取りつつ内部空間54Fを取り囲む環状の溝54Hが形成される。吐出部材54の上端面において溝54Hを取り囲んだ環状部分を、外縁部54Jといい、吐出部材54の上端面において溝54Hによって取り囲まれた環状部分を、内縁部54Kという。外縁部54Jと内縁部54Kとは、平面視における内部空間54Fと相似したL字形状を有する。
【0062】
吐出部材54がメイン部材53に対して下側Z2から取り付けられることによって、ユニット本体51が完成する。メイン部材53と吐出部材54とは、例えば溶着によって互いに固定される。完成したユニット本体51では、メイン部材53における側壁61、前壁63及び後壁64(
図2参照)のそれぞれの下端が、吐出部材54の上端面の溝54Hに受け入れられるので、メイン部材53と吐出部材54との境界が密封される。また、吐出部材54の内部空間54Fが、メイン部材53の受入領域53Dに下側Z2から連通して受入領域53Dの一部を構成する(
図2参照)。また、内部空間54Fの後端部は、後壁64の通気領域64A(
図2参照)の下端部に下側Z2から連通するので、通気領域64Aは、受入領域53Dに接続された状態にある。吐出部材54の底壁部54Aは、ユニット本体51全体の底壁部を構成する。
【0063】
図6は、仕切り部材52の平面図である。
図6のA-A矢視断面が、
図2及び
図11の断面図における断面と対応する。仕切り部材52は、前後方向Yに細長い中空のブロック状に形成される。仕切り部材52は、前後方向Yの長手の横板部52Aと、横板部52Aの左縁に沿って下側Z2へ延びる左壁部52Bと、横板部52Aの右縁に沿って下側Z2へ延びる右壁部52Cとを有する。
【0064】
横板部52Aは、上下方向Zに薄い板状である。横板部52Aの前端部52Dは、右側X2へU字状に湾曲して形成される。仕切り部材52の右側面図である
図7に示すように、横板部52Aでは、前端部52Dよりも後側Y2の部分は、上面部が略水平な平坦部52Eであるが、前端部52Dの上面部は、前側Y1へ向かうにつれて下降するように傾斜する。なお、平坦部52Eの上面部も前端部52Dと同様に傾斜してもよい。
【0065】
後側Y2から見た仕切り部材52の斜視図である
図8に示すように、横板部52Aには、横板部52Aを上下方向Zに貫通した単数又は複数の通水穴52Fが形成される。この実施形態では、3つの通水穴52Fが、前後方向Yに間隔を隔てて並んで形成される。各通水穴52Fは、略矩形状である。通水穴52Fの大きさ及び形状は、同じであってもよいし、通水穴52Fが形成された位置に応じて異なってもよい。この実施形態では、前側Y1から1番目の通水穴52Fは、横板部52Aの前端部52D及び平坦部52Eに跨って形成されることにより、平面視において前端部52Dの湾曲に応じた略平行四辺形状に形成される。一方、前側Y1から2番目の通水穴52Fと、前側Y1から3番目つまり最後尾の通水穴52Fとは、大きさ及び形状が同じ略正方形状に形成される。それぞれの通水穴52Fの左右方向Xの寸法は、横板部52Aにおいて当該通水穴52Fが形成された部分の左右方向Xの寸法と略同じである。つまり、それぞれの通水穴52Fは、横板部52Aの左右方向Xつまり幅方向における全域にわたって形成される。そのため、横板部52Aは、通水穴52Fが形成された位置では途切れるように構成される。
【0066】
仕切り部材52は、横板部52Aにおける通水穴52Fの縁から延びるスロープ部52Gをさらに有する。スロープ部52Gは、通水穴52F毎に設けられ、この実施形態では3つ存在する。各スロープ部52Gは、対応する通水穴52Fにおいて左右方向Xに延びる後縁52Hから前下側へ延びる略矩形状の傾斜板であり、左壁部52Bと右壁部52Cとの間に架設される。仕切り部材52の正面図である
図9に示すように、各スロープ部52Gの下端は、左壁部52B及び右壁部52Cのそれぞれの下端よりも上側Z1に配置される。
【0067】
図10は、前側Y1から見た仕切り部材52の斜視図である。左壁部52B及び右壁部52Cは、左右方向Xに薄い板状である。横板部52AにおいてU字状に湾曲した前端部52Dに応じて、左壁部52B及び右壁部52Cのそれぞれでは、前端部が右側X2へU字状に湾曲して形成されるが、前端部よりも後側Y2の部分は、前後方向Yに沿って平坦な縦壁である。なお、注水ユニット22の左隣に配置される別の部品(図示せず)による制約により、前端部52Dは、湾曲するように形成されるが、当該別の部品による制約がなければ、前端部52Dは前後方向Yに直線状に延びるように構成されてもよい。なお、この実施形態における当該別の部品は、前述した洗剤供給部24A又は柔軟剤供給部24B(
図1参照)である。また、この実施形態における注水ユニット22の右隣には、洗濯物Qの部分汚れを除去するための超音波振動を発生する超音波洗浄ユニット(図示せず)が配置される。
【0068】
横板部52Aの前縁52Jは、右側X2へ向かうにつれて後退するように傾斜する。これにより、右壁部52Cの前端は、左壁部52Bの前端よりも後側Y2にずれて配置される。横板部52Aの後縁52Kは、右壁部52C及び左壁部52Bのそれぞれの後端よりも後側Y2にずれて配置される。仕切り部材52において横板部52Aと左壁部52Bと右壁部52Cとによって囲まれた内部空間52Lは、前側Y1、後側Y2及び下側Z2のそれぞれへ開放される。
【0069】
図11は、完成した注水ユニット22において一部に縦断面を含む斜視図である。仕切り部材52は、ユニット本体51内に配置される。ユニット本体51と仕切り部材52とは、例えば溶着によって互いに固定される。仕切り部材52では、左壁部52B及び右壁部52C(図示せず)のそれぞれの下端が、ユニット本体51の吐出部材54の上端面の内縁部54K(
図5も参照)に上側Z1から接触した状態にある。また、左壁部52Bは、ユニット本体51のメイン部材53における左側X1の側壁61Aの内側面61Cに沿って配置され、右壁部52Cは、メイン部材53における右側X2の側壁61(図示せず)の内側面61Cに沿って配置される。
【0070】
仕切り部材52の内部空間52Lは、吐出部材54の内部空間54Fに上側Z1から連通する。内部空間52Lは、受入領域53Dの略上半分を構成し、内部空間54Fは、受入領域53Dの略下半分を構成する。前述したように落下領域53C及び受入領域53Dの前端部同士をつなぐ接続領域53Eは、仕切り部材52の前側Y1に配置されることによって、仕切り部材52の横隣に位置する。仕切り部材52の横板部52Aは、落下領域53Cにおいて前端部よりも後側Y2の領域と、受入領域53Dにおいて前端部よりも後側Y2の領域との間に配置される。横板部52Aの後縁52Kは、メイン部材53の後壁64に前側Y1から接触した状態にある。
【0071】
吐出部材54の底壁部54Aは、横板部52Aよりも下側Z2に配置される。底壁部54Aに形成された2つの吐出口23のうち、前側Y1の第1吐出口23Aは、接続領域53Eの下側Z2、厳密には真下に配置され、後側Y2の第2吐出口23Bは、仕切り部材52の下側Z2、厳密には仕切り部材52の横板部52Aの前端部52Dの真下に配置される。吐出部材54の傾斜部54Gの略後半分は、第2吐出口23Bの真上かつ横板部52Aの前端部52Dの真下に配置される。横板部52Aの各スロープ部52Gは、対応する通水穴52Fの後縁52Hから吐出口23へ向けて斜め下側へ延びる。
【0072】
前述したように洗い工程やすすぎ工程において制御部38が給水弁26を開くと(
図1参照)、水道水が給水路21を通ってユニット本体51の注入領域53Bの後端部に注入される。すると、注入領域53Bの水道水は、破線矢印A1で示すようにガイド部65に沿って前進し、その途中でガイド部65の各貫通穴65Aから落下領域53Cに流れ落ちる。落下領域53Cに流れ落ちた水は、落下領域53Cでは、各側壁61の内側面61Cやリブ61Dにガイドされながら、破線矢印A2で示すように落下する。このとき、制御部38が洗剤供給弁29又は柔軟剤供給弁33(
図1参照)を開いた状態にあると、洗剤又は柔軟剤が左側X1の側壁61Aの投入口61Bから落下領域53Cに流入して水に乗って落下する。以下の説明における「水」は、水道水に限らず、洗剤や柔軟剤といった処理剤が溶けた水も指す。
【0073】
落下領域53Cで落下した水は、仕切り部材52の横板部52Aにぶつかることによって、破線矢印A3で示すように縦に旋回するように撹拌される。落下領域53Cで撹拌された水は、破線矢印A4で示すように横板部52Aの各通水穴52Fを通って受入領域53Dに落下したり、破線矢印A5で示すように接続領域53Eを通って受入領域53Dに落下したりする。各通水穴52Fを通る水は、スロープ部52G上を流れることによって吐出口23へガイドされる。スロープ部52G上を流れ終えた水は、底壁部54Aにぶつかることによって、破線矢印A6で示すように縦に旋回するように撹拌される。
【0074】
このように、受入領域53Dは、落下領域53Cで落下した水を受け入れる。受入領域53Dには、筐体2の取込口35から風呂水供給路25に取り込まれた機外の空気が、破線矢印A7で示すように、通気領域64Aによって受入領域53Dの後端部に送り込まれて、気泡となって受入領域53Dの水に混入する。
【0075】
このように気泡を含んで泡立った水は、吐出口23に送り込まれる。具体的には、接続領域53Eを通って受入領域53Dに落下した水は、破線矢印A8で示すように、吐出部材54の前壁部54Bと傾斜部54Gとの間を通って第1吐出口23Aに流れ落ち、第1吐出口23Aから洗濯槽4の出入口4Cを通って洗濯槽4内に降り注がれる(
図1も参照)。一方、横板部52Aの各通水穴52Fを通って受入領域53Dに落下した水は、底壁部54Aの傾斜に沿って前側Y1へ流れ落ちることによって第2吐出口23Bに到達し、破線矢印A9で示すように、第2吐出口23Bから洗濯槽4の出入口4Cを通って洗濯槽4内に降り注がれる(
図1も参照)。
【0076】
以上のように、洗濯機1における注水ユニット22では、受入領域53Dに受け入れられた水には、通気領域64Aから受入領域53Dに送り込まれる空気が気泡となって混入する。特に、仕切り部材52の横板部52Aの通水穴52Fを通って落下領域53Cから受入領域53Dに落下する水は、通水穴52Fの周辺で撹拌されることによって気泡を含みやすい。このように気泡を含むことで泡立った水は、吐出口23から洗濯槽4内に降り注がれると(
図1の破線矢印A8及びA9を参照)、洗濯槽4内の洗濯物Qにやさしく浴びせられて効果的に浸透する。そのため、洗濯槽4への注水時において水跳ねを抑制して洗濯槽4内の洗濯物Qへの水の浸透を促進できる。
【0077】
また、仕切り部材52では、横板部52Aにおける通水穴52Fの後縁52Hから吐出口23へ向けて斜め下側へ延びるスロープ部52Gが、落下領域53Cから通水穴52Fを通って受入領域53Dに落下する水を吐出口23へガイドする。これにより、泡立った水を積極的に吐出口23に送り込んで吐出口23から洗濯槽4内に降り注ぐことができる。また、受入領域53Dの水が吐出口23へガイドされることにより、受入領域53Dの水が逆流して通気領域64Aに流入することを防止できる。
【0078】
また、吐出口23が複数設けられることにより、注水ユニット22は、泡立った水を複数の吐出口23から洗濯槽4内に積極的に降り注ぐことができる。特に、複数の吐出口23を構成する第1吐出口23A及び第2吐出口23Bのそれぞれは、ユニット本体51の底壁部54Aを上下方向Zに貫通して構成されるので、泡立った水を下向きに、つまり略真下へ吐出することによって、洗濯槽4内に積極的に降り注ぐことができる(
図1も参照)。また、吐出口23が複数設けられることにより、吐出口23が全体として広く確保されるので、吐出口23から水が円滑に吐出されることによって、注水ユニット22内での水の流れが円滑になる。そのため、注水ユニット22内では、水に効果的に気泡を混入させて、この水を円滑に洗濯槽4内に降り注ぐことができる。
【0079】
落下領域53Cで落下した後に接続領域53Eを通って受入領域53Dに受け入れられた水は、気泡を含んだ状態で、接続領域53Eの下側Z2の第1吐出口23Aから吐出されて洗濯槽4内に降り注がれる。一方、落下領域53Cで落下した後に仕切り部材52の横板部52Aの通水穴52Fを通って受入領域53Dに受け入れられた水は、気泡を含んだ状態で、仕切り部材52の下側Z2の第2吐出口23Bから吐出されて洗濯槽4内に降り注がれる。ここで、傾斜部54Gが、泡立った水における前向きの勢いを弱めてこの水を第2吐出口23Bにおいて下向きにガイドするので、第2吐出口23Bは、この水を略真下へ吐出することによって、洗濯槽4内に積極的に降り注ぐことができる。また、前壁部54Bが、泡立った水における前向きの勢いを弱めてこの水を第1吐出口23Aにおいて下向きにガイドするので、第1吐出口23Aは、この水を略真下へ吐出することによって、洗濯槽4内に積極的に降り注ぐことができる。
【0080】
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【0081】
例えば、前述した実施形態では外気が風呂水供給路25を通って注水ユニット22の通気領域64Aに供給されるが、外気を通気領域64Aに取り込む流路を風呂水供給路25とは別に設けてもよい。
【0082】
また、処理剤供給部24は、この実施形態では洗剤及び柔軟剤の両方を供給するが、洗剤及び柔軟剤のどちらか一方だけを供給してもよく、その場合の処理剤供給部24は、洗剤収容部27及び柔軟剤収容部31のどちらか一方だけを有する。
【0083】
洗濯機1は、この実施形態では洗濯槽4が縦に配置された縦型洗濯機であったが、洗濯槽4の中心軸Jは、上下方向Zつまり垂直方向に沿って配置される以外に、垂直方向に対して傾斜して配置されてもよい。
【符号の説明】
【0084】
1 洗濯機
4 洗濯槽
22 注水ユニット
23 吐出口
23A 第1吐出口
23B 第2吐出口
51 ユニット本体
52 仕切り部材
52A 横板部
52F 通水穴
52G スロープ部
52H 後縁
53B 注入領域
53C 落下領域
53D 受入領域
53E 接続領域
54A 底壁部
54B 前壁部
54G 傾斜部
64A 通気領域
Q 洗濯物
Z 上下方向
Z1 上側
Z2 下側