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特許7486140ノズルホルダ着脱装置およびヘッドメンテナンス方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】ノズルホルダ着脱装置およびヘッドメンテナンス方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
H05K13/04 A
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019029959
(22)【出願日】2019-02-22
(65)【公開番号】P2020136548
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】野間 泰洋
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-080791(JP,A)
【文献】特開2015-015375(JP,A)
【文献】特開2003-179383(JP,A)
【文献】特開平04-085898(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドが有する複数のノズルホルダに係合する複数のホルダ係合部と、
複数の前記ホルダ係合部を回転させる回転機構部と、を備え、
前記回転機構部は、複数の前記ホルダ係合部のうち選択された前記ホルダ係合部を回転させる選択機構部を有し、
複数の前記ホルダ係合部と複数の前記ノズルホルダとが係合した状態において、前記回転機構部が前記選択機構部によって選択された前記ホルダ係合部を回転させることにより、前記ノズルホルダを前記ヘッドに着脱する、ノズルホルダ着脱装置。
【請求項2】
操作部をさらに設け、
前記回転機構部は、前記操作部の操作により前記ホルダ係合部を回転させる、請求項1に記載のノズルホルダ着脱装置。
【請求項3】
前記操作部は、少なくとも1つの側面に設けられた押圧部材であり、
前記回転機構部は、前記押圧部材の押圧動作を回転に変換する、請求項2に記載のノズルホルダ着脱装置。
【請求項4】
前記ヘッドに対する複数の前記ホルダ係合部の位置合わせをする位置合わせ部を備える、請求項1から3のいずれかに記載のノズルホルダ着脱装置。
【請求項5】
前記ホルダ係合部は、ノズルを有する前記ノズルホルダに係合する、請求項1から4のいずれかに記載のノズルホルダ着脱装置。
【請求項6】
前記回転機構部は、前記選択機構部によって選択された複数の前記ホルダ係合部を一括で回転させる、請求項1から5のいずれかに記載のノズルホルダ着脱装置。
【請求項7】
前記回転機構部は、前記選択機構部によって選択された複数の前記ホルダ係合部を同じ方向に回転させる、請求項1から6のいずれかに記載のノズルホルダ着脱装置。
【請求項8】
前記回転機構部は、前記選択機構部によって選択された前記ホルダ係合部を逆方向に回転させる、請求項1から7のいずれかに記載のノズルホルダ着脱装置。
【請求項9】
前記ホルダ係合部は、前記ヘッドが有するシャフト部材に装着されるノズルホルダに係合する、請求項1から8のいずれかに記載のノズルホルダ着脱装置。
【請求項10】
複数のホルダ係合部から選択機構部によって回転させるホルダ係合部を選択する選択ステップと、
ヘッドが有する複数のノズルホルダに複数の前記ホルダ係合部を係合させるホルダ係合ステップと、
係合した複数の前記ホルダ係合部のうち前記選択ステップにおいて選択された前記ホルダ係合部を回転させる回転ステップと、を含む、ヘッドメンテナンス方法。
【請求項11】
前記回転ステップにおいて、押圧部材の押圧動作を回転に変換し、前記選択ステップにおいて選択された前記ホルダ係合部を回転させる、請求項10に記載のヘッドメンテナンス方法。
【請求項12】
前記回転ステップの後に、
複数の前記ホルダ係合部を前記ヘッドから遠ざけて前記ノズルホルダを前記ヘッドから取り外すホルダ外しステップと、
複数の前記ホルダ係合部が保持する前記ノズルホルダを前記ヘッドに取り付けるホルダ付けステップと、
前記ノズルホルダを前記ヘッドに取り付けている状態で、前記押圧部材の戻り動作を回転に変換し、前記選択ステップにおいて選択された前記ホルダ係合部を前記回転ステップとは反対方向に回転させる逆回転ステップと、をさらに含む、請求項11に記載のヘッドメンテナンス方法。
【請求項13】
前記ホルダ係合ステップにおいて、前記ヘッドが有する複数の前記ノズルホルダに複数の前記ホルダ係合部をそれぞれ係合させ、
前記回転ステップにおいて、前記選択ステップにおいて選択された複数の前記ホルダ係合部を一括で回転させ、
前記ホルダ外しステップにおいて、複数の前記ノズルホルダを前記ヘッドから取り外し、
前記ホルダ付けステップにおいて、複数の前記ノズルホルダを前記ヘッドに取り付け、
前記逆回転ステップにおいて、前記選択ステップにおいて選択された複数の前記ホルダ係合部を一括で反対方向に回転させる、請求項12に記載のヘッドメンテナンス方法。
【請求項14】
前記ホルダ係合ステップの前、および、前記ホルダ付けステップの前に、
前記ヘッドに対する複数の前記ホルダ係合部の位置合わせを実施する位置合わせステップを含む、請求項12または13に記載のヘッドメンテナンス方法。
【請求項15】
前記ノズルホルダは、前記ヘッドが有するシャフト部材に装着されており、
前記ホルダ外しステップの後に、
前記ノズルホルダが外された前記シャフト部材を清掃する清掃ステップをさらに含む、請求項12または13に記載のヘッドメンテナンス方法。
【請求項16】
複数のホルダ係合部から選択機構部によって逆回転させるホルダ係合部を選択する選択ステップと、
ヘッドに装着される複数のノズルホルダを複数の前記ホルダ係合部に保持させるホルダ準備ステップと、
複数の前記ホルダ係合部が保持する前記ノズルホルダを前記ヘッドに取り付けるホルダ付けステップと、
複数の前記ノズルホルダを前記ヘッドに取り付けている状態で、前記選択ステップにおいて選択された前記ホルダ係合部を逆回転させる逆回転ステップと、を含む、ヘッドメンテナンス方法。
【請求項17】
前記逆回転ステップにおいて、押圧部材の押圧動作を回転に変換し、前記選択ステップにおいて選択された前記ホルダ係合部を逆回転させる、請求項16に記載のメンテナンス方法。
【請求項18】
前記ホルダ準備ステップにおいて、複数の前記ホルダ係合部に複数の前記ノズルホルダをそれぞれ保持させ、
前記ホルダ付けステップにおいて、複数の前記ノズルホルダを前記ヘッドに取り付け、
前記逆回転ステップにおいて、前記選択ステップにおいて選択された複数の前記ホルダ係合部を一括で逆回転させる、請求項16または17に記載のヘッドメンテナンス方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品実装装置で使用するヘッドのメンテナンスに使用するノズルホルダ着脱装置およびヘッドメンテナンス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
部品実装装置は、昇降するシャフト部材を有するヘッドをヘッド移動機構により移動させ、シャフト部材にノズルホルダを介して装着されたノズルにフィーダが供給する部品を吸着させて基板に装着する。このような部品実装装置のヘッドは、シャフト部材に付着した粉塵などを除去する清掃などのメンテナンスを定期的に行う必要がある。メンテナンスの際は、シャフト部材からノズルホルダが取り外される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の部品実装装置は、ヘッド移動機構とヘッドを制御して、ヘッドの下方に設置されたノズルホルダ着脱ブロックに形成されたホルダ挿入孔にシャフト部材に装着されたノズルホルダを挿入し、シャフト部材を回転させてシャフト部材とノズルホルダの結合を解除させた後、シャフト部材を上昇させてノズルホルダを取り外している。その後、シャフト部材などを洗浄するメンテナンスが行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-15375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1を含む従来技術では、メンテナンスの際に自動的にノズルホルダを着脱することができるものの、部品実装装置またはメンテナンス専用の装置にヘッドを装着した状態でメンテナンス用のプログラムに従ってヘッドを制御しながらメンテナンスを行うため、メンテナンスを行う場所が限定されるという問題点があった。そこで、ヘッドを部品実装装置から外した状態や部品実装装置に電源が供給されていない状態であっても、シャフト部材からノズルホルダを簡易な作業で着脱することができることが望まれている。
【0006】
そこで本発明は、ノズルホルダをヘッドから簡易に着脱することができるノズルホルダ着脱装置およびヘッドメンテナンス方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のノズルホルダ着脱装置は、ヘッドが有する複数のノズルホルダに係合する複数のホルダ係合部と、複数の前記ホルダ係合部を回転させる回転機構部と、を備え、前記回転機構部は、複数の前記ホルダ係合部のうち選択された前記ホルダ係合部を回転させる選択機構部を有し、複数の前記ホルダ係合部と複数の前記ノズルホルダとが係合した状態において、前記回転機構部が前記選択機構部によって選択された前記ホルダ係合部を回転させることにより、前記ノズルホルダを前記ヘッドに着脱する。
【0008】
本発明のヘッドメンテナンス方法は、複数のホルダ係合部から選択機構部によって回転させるホルダ係合部を選択する選択ステップと、ヘッドが有する複数のノズルホルダに複数の前記ホルダ係合部を係合させるホルダ係合ステップと、係合した複数の前記ホルダ係合部のうち前記選択ステップにおいて選択された前記ホルダ係合部を回転させる回転ステップと、を含む。
【0009】
本発明の他のヘッドメンテナンス方法は、複数のホルダ係合部から選択機構部によって逆回転させるホルダ係合部を選択する選択ステップと、ヘッドに装着される複数のノズルホルダを複数の前記ホルダ係合部に保持させるホルダ準備ステップと、複数の前記ホルダ係合部が保持する前記ノズルホルダを前記ヘッドに取り付けるホルダ付けステップと、複数の前記ノズルホルダを前記ヘッドに取り付けている状態で、前記選択ステップにおいて選択された前記ホルダ係合部を逆回転させる逆回転ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ノズルホルダをヘッドから簡易に着脱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施の形態の部品実装装置の平面図
図2】本発明の一実施の形態の部品実装装置に用いられるヘッドの斜視図
図3】本発明の一実施の形態の部品実装装置に用いられるヘッドのシャフト部材に装着されたノズルホルダおよびノズルの説明図
図4】本発明の一実施の形態の部品実装装置に用いられるノズルホルダおよびノズルの構造の説明図
図5】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態の部品実装装置に用いられるノズルホルダのシャフト部材への着脱動作の説明図
図6】本発明の一実施の形態のノズルホルダ着脱装置の斜視図
図7】本発明の一実施の形態のノズルホルダ着脱装置の(a)平面一部断面図(b)前面断面図
図8】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態のノズルホルダ着脱装置の機能説明図
図9】(a)(b)本発明の一実施の形態のノズルホルダ着脱装置を使用したノズルホルダの着脱方法の工程説明図
図10】(a)(b)本発明の一実施の形態のノズルホルダ着脱装置を使用したノズルホルダの着脱方法の工程説明図
図11】(a)(b)本発明の一実施の形態のノズルホルダ着脱装置を使用したノズルホルダの着脱方法の工程説明図
図12】(a)(b)本発明の一実施の形態のノズルホルダ着脱装置を使用したノズルホルダの着脱方法の工程説明図
図13】本発明の一実施の形態の他のノズルホルダ着脱装置の(a)平面一部断面図(b)前面断面図
図14】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態の他のノズルホルダ着脱装置の機能説明図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品実装装置、ヘッド、ノズルホルダ、ノズルホルダ着脱装置の仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図1、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸方向として、基板搬送方向のX方向(図1における左右方向)、基板搬送方向に直交するY方向(図1における上下方向)が示される。図2、及び後述する一部では、水平面と直交する高さ方向としてZ方向(図2における上下方向)が示される。Z方向は、部品実装装置が水平面上に設置された場合の上下方向である。
【0013】
まず図1を参照して、部品実装装置1の構成を説明する。図1において、基台1aの中央には、基板搬送機構2がX方向に設置されている。基板搬送機構2は、上流側から搬入された基板3をX方向へ搬送し、以下に説明する実装ヘッド(以下、単に「ヘッド」と称する。)による実装作業位置に位置決めして保持する。また、基板搬送機構2は、部品実装作業が完了した基板3を下流側に搬出する。基板搬送機構2の両側方には、それぞれ部品供給部4が設置されている。
【0014】
両方の部品供給部4には、複数のテープフィーダ5がX方向に並列に装着されている。テープフィーダ5は、部品を格納するポケットが形成されたキャリアテープを部品供給部4の外側から基板搬送機構2に向かう方向(テープ送り方向)にピッチ送りすることにより、ヘッドが部品をピックアップする部品取り出し位置に部品を供給する。
【0015】
図1において、基台1aの上面におけるX方向の両端部には、リニア駆動機構を備えたY軸テーブル6が配置されている。Y軸テーブル6には、同様にリニア機構を備えたビーム7がY方向に移動自在に結合されている。ビーム7には、ヘッド8がX方向に移動自在に装着されている。ヘッド8の下端部には、部品を真空吸着して保持する吸着ノズル(以下、単に「ノズル」と称する。)が装着されている。
【0016】
Y軸テーブル6およびビーム7は、ヘッド8を水平方向(X方向、Y方向)に移動させるヘッド移動機構を構成する。ヘッド移動機構およびヘッド8は、部品供給部4に装着されているテープフィーダ5の部品取り出し位置から部品をノズルによって真空吸着してピックアップし、基板搬送機構2に保持された基板3の実装位置に移送して実装する部品実装作業の一連のターンを繰り返し実行する。
【0017】
図1において、ビーム7には、ビーム7の下面側に位置してヘッド8とともに一体的に移動するヘッドカメラ9が装着されている。ヘッド8が移動することにより、ヘッドカメラ9は基板搬送機構2の実装作業位置に位置決めされた基板3の上方に移動して、基板3に設けられた基板マーク(図示省略)を撮像して基板3の位置を認識する。
【0018】
部品供給部4と基板搬送機構2との間には、部品認識カメラ10が設置されている。部品認識カメラ10は、部品供給部4から部品を取り出したヘッド8が部品認識カメラ10の上方に位置した際に、ノズルに保持された部品を下方から撮像する。ヘッド8による部品の基板3への部品実装作業では、ヘッドカメラ9による基板3の認識結果と部品認識カメラ10による部品の認識結果とを加味して実装位置の補正が行われる。
【0019】
次に図2を参照して、ヘッド8の構成を説明する。ヘッド8は複数(ここでは12個)のノズルユニット11を並設して備えた多連型ヘッドである。ヘッド8は結合プレート8aを介してビーム7に着脱自在に装着される。それぞれのノズルユニット11は、ノズル昇降駆動部11aからシャフト部材20を下方に延出させた構成となっており、シャフト部材20の下端部に着脱自在に結合されたノズルホルダ30には、ノズル40が着脱自在に装着されている。
【0020】
それぞれのノズル昇降駆動部11aは、シャフト部材20と結合された昇降軸(図示省略)をリニアモータにより昇降させるノズル昇降機構を備えている。ノズル昇降機構を駆動することによりシャフト部材20は上下方向に駆動され、これによりノズルホルダ30に装着されたノズル40は個別に昇降する。
【0021】
複数列のノズルユニット11の側方にはθ軸モータ12が駆動軸を下向きにして配置されている。駆動軸に結合された駆動プーリ12aとそれぞれのシャフト部材20に装着された従動プーリ12bには、ベルト12cが調帯されている。θ軸モータ12を駆動することにより、シャフト部材20はノズルホルダ30に装着されたノズル40とともにθ回転し、これによりノズル40に保持された部品のθ方向の位置合わせが行われる。
【0022】
次に図3図4図5を参照して、ノズルホルダ30およびノズル40の構造を説明する。図3に示すように、シャフト部材20には、シャフト部材20が上下に挿通されてケーシング部材21が固定されている。ノズルホルダ30は、ケーシング部材21を介してシャフト部材20の下端に結合される。ノズルホルダ30は、上下に貫通する摺動孔31aが設けられた本体部31の両側面に、2つのクランプ部材32を引張りバネ部材33によって押しつけた構成となっている。ノズルホルダ30の下端には、2つのクランプ部材32によってノズル40が着脱自在に保持される。
【0023】
図4は、上述構成においてノズルホルダ30からノズル40を取り外し、さらにノズルホルダ30をシャフト部材20から取り外した状態を示している。図5は、図3におけるA-A断面を示している。さらに図3におけるケーシング部材21とノズルホルダ30の一部(本体部31の上部31dの一部)の断面は、図5(a)におけるB-B断面に対応している。
【0024】
図3図4に示すように、ノズル40は、ノズルホルダ30によってクランプされて保持されるための被クランプ部40aを円板状の鍔部40cの上面側に配置した構成となっている。鍔部40cの下面側には、吸着孔40eを有し下方に延出する吸着軸40dが設けられている。被クランプ部40aには、本体部31の下部の嵌合部31bに水平方向に放射状に突設された1対のピン部材31cが嵌合する嵌合切欠き部40bが設けられている。
【0025】
ノズル40をノズルホルダ30に保持させる際には、図4に示す状態において、嵌合部31bをノズル40に設けられた嵌入部40fに嵌入させるとともに、嵌合切欠き部40bにピン部材31cを嵌合させる。さらに、クランプ部材32によって被クランプ部40aを両側から挟み込んで、引張りバネ部材33の弾性力によってクランプする。これにより、図3に示すように、ノズル40はノズルホルダ30に装着される。
【0026】
図4に示すように、ケーシング部材21の下方から突出したシャフト部材20は、ノズルホルダ30の本体部31の摺動孔31aに嵌合して摺動する摺動軸20bを構成する。ケーシング部材21の下面側には嵌入用開口部21aが設けられている。ノズルホルダ30をケーシング部材21に装着する際は、本体部31の上部31dが嵌入用開口部21aに嵌入される。本体部31の上部31dには、本体部31に下端部が当接するコイル状の圧縮バネ部材34が装着されている。
【0027】
シャフト部材20にノズルホルダ30を装着する際は、本体部31の上部31dをケーシング部材21の嵌入用開口部21aに嵌入させるとともに、図4の鎖線矢印aに示すように、摺動軸20bを摺動孔31aに上下方向に摺動自在に嵌合させる。これにより、ノズルホルダ30はシャフト部材20に上下方向の変位が許容された状態で装着され、ノズルホルダ30は上下方向に案内される。また、ケーシング部材21の下面と上端部が当接した圧縮バネ部材34は、ノズルホルダ30の本体部31に下向きの付勢力を与える。
【0028】
図3に示すようにノズル40がノズルホルダ30に装着され、さらにノズルホルダ30がシャフト部材20に装着された状態において、シャフト部材20の吸引孔20aは、摺動孔31a、嵌入部40f(図4)を介して吸着孔40eと連通する。この状態で真空吸引源22を駆動して吸引孔20aから真空吸引することにより、ノズル40は吸着軸40dの下端部に部品Pを吸着して保持する。
【0029】
本体部31の上部31dの上端部近傍には、両側方に突出した1対のピン形状の係止部材31eが設けられている(図5も参照)。ノズルホルダ30をシャフト部材20に装着した状態では、ケーシング部材21に設けられた嵌入用開口部21aに本体部31の上部31dが嵌入する。図5(a)に示すように、ケーシング部材21には嵌入用開口部21aと連通して、相対向する1対の水平溝部21bおよび相対向する1対の垂直溝部21cが、それぞれ相直交する位置に設けられている。水平溝部21bおよび垂直溝部21cは、切欠き部21dによって連結されている。切欠き部21dは、ケーシング部材21の側面部を図5(a)にて破線で示す切り欠き範囲だけ所定の高さ寸法で水平方向に切り欠いて形成されている。
【0030】
図5(a)に示すように、水平溝部21bおよび垂直溝部21cは、嵌入用開口部21aからケーシング部材21の外側まで貫通するように形成されている。切欠き部21dの一端部にある垂直溝部21cは、ノズルホルダ30を下方からシャフト部材20に装着し、またシャフト部材20から取り外す際に、係止部材31eが干渉することなく上下に挿通可能な平面形状で形成される。切欠き部21dの他端部にある水平溝部21bは、切欠き部21dの下端部をさらに係止部材31eが嵌合可能な幅寸法で下方に所定の深さ寸法だけ切り込んで形成されている。
【0031】
図5(b)、図5(c)は、ノズルホルダ30をシャフト部材20に装着する際の、本体部31のケーシング部材21への嵌合動作を示している。すなわちノズルホルダ30をシャフト部材20に装着する際には、まず図5(b)に示すように、本体部31の摺動孔31a(図4参照)に摺動軸20bを嵌合させる。この時、本体部31の係止部材31eをケーシング部材21の垂直溝部21cに合わせた状態で、ノズルホルダ30をケーシング部材21の下面側から押し上げて、係止部材31eを切欠き部21dの高さに到達させる。以下、この時のノズルホルダ30の高さ位置を「上方到達高さ」と称する。
【0032】
ノズルホルダ30が上方到達高さに到達したならば、ノズルホルダ30を略90度だけシャフト部材20の廻りに上方から見て反時計回りに回転させる(図5(b)の矢印b)。これにより、係止部材31eは切欠き部21d内を旋回し、水平溝部21bの位置に到達する。以下、係止部材31eを垂直溝部21cの位置から水平溝部21bの位置に到達させる回転の方向(矢印b)を「係止方向」と称する。
【0033】
次いでノズルホルダ30を下げることにより、図5(c)に示すように、係止部材31eは水平溝部21b内に嵌合する。これにより、ノズルホルダ30は、ノズル軸廻りの回転位置が規制され、ケーシング部材21に正しい位置関係で装着される。この時、図3に示すように、圧縮バネ部材34によって係止部材31eが下方に付勢されて水平溝部21bの底面によって係止されることにより、ノズルホルダ30の脱落が防止される。係止部材31eは、ノズルホルダ30がケーシング部材21に装着された状態で、その先端部がケーシング部材21の外側まで突き出る長さに設定されている。このように、ノズルホルダ30は、ヘッド8が有するシャフト部材20に装着される。
【0034】
ノズルホルダ30をシャフト部材20から取り外す際には、上述と逆順の操作を行って本体部31の上部31dを嵌入用開口部21aから離脱させる。すなわち、ノズルホルダ30を上方到達高さまで持ち上げて、時計回りに略90度だけ回転させて係止部材31eを垂直溝部21cに合わせ、この状態でノズルホルダ30を引き下げることにより、ノズルホルダ30がシャフト部材20から取り外される。以下、以下、係止部材31eを水平溝部21bの位置から垂直溝部21cの位置に到達させる回転の方向(矢印bとは反対方向)を「解除方向」と称する。
【0035】
次に図6図7を参照して、ヘッド8が有するシャフト部材20にノズルホルダ30を着脱させる際に使用されるノズルホルダ着脱装置50の構成について説明する。図7(b)は、図7(a)におけるC-C断面を示している。図6において、ノズルホルダ着脱装置50の上面50aには複数の開口50bが形成されており、ノズルホルダ30を保持する略円筒形の複数のホルダ係合部51が各開口50bから突出するように配置されている。ホルダ係合部51の数および配置は、ヘッド8が有するシャフト部材20の数および配置に対応して設計される。図6図7に示すノズルホルダ着脱装置50は、図2に示すヘッド8に対応した12個のホルダ係合部51を備えている。
【0036】
図6において、ホルダ係合部51には、上部が開口するホルダ保持孔51aが形成されている。ホルダ係合部51の上部には、ホルダ保持孔51aからホルダ係合部51の外側まで貫通し、上部が開口する一対の係止溝51bが形成されている。ホルダ係合部51にノズルホルダ30を保持させる際は、ノズルホルダ30の係止部材31eの方向を係止溝51bに合わせて、ノズルホルダ30を上方からホルダ保持孔51aに挿入させる。ノズルホルダ30は、係止部材31eが係止溝51bの底面に係止される状態でホルダ係合部51に保持される。なお、ホルダ保持孔51aは、ノズル40が装着されたノズルホルダ30、または、ノズル40が外されたノズルホルダ30のいずれも保持できるように形成されている。
【0037】
図6において、ノズルホルダ着脱装置50の上面50aには、ヘッド8の下面の2箇所に突出した位置決め部13に形成された位置決め孔13a(図9参照)にそれぞれ嵌入される2本の位置合わせピン52が上方に突出して設けられている。ヘッド8の位置決め孔13aに位置合わせピン52を挿入するようにノズルホルダ着脱装置50をヘッド8の下方から上方に持ち上げることで、12本のシャフト部材20にそれぞれ装着された12個のノズルホルダ30を、12個のホルダ係合部51のホルダ保持孔51aにそれぞれ同時に挿入することができる。このように、ヘッド8の2箇所の位置決め孔13aとノズルホルダ着脱装置50の2本の位置合わせピン52は、ヘッド8に対するホルダ係合部51の位置合わせをする位置合わせ部を構成する。
【0038】
図7(a)、図7(b)において、ノズルホルダ着脱装置50の両側の側面50cには、それぞれ押圧部材53が配置されている。ノズルホルダ着脱装置50の内部には、両側の側面50cが対向する方向(以下、「左右方向」と称する。)に水平に延びる2本のラック54が配置されている。2本のラック54は、それぞれ連結部54bを介して左右の押圧部材53に接続されている。ラック54は、ノズルホルダ着脱装置50の前面50dの内側および後面50eの内側にそれぞれ配置されたスライダ55によって上下方向の移動が規制された状態で、左右方向に移動自在に設けられている。押圧部材53を内部に押し込んだり、外側に突出させると、押圧部材53の移動に合わせてラック54は左右方向に移動する(図8(b)、図8(c)参照)。
【0039】
押圧部材53の外方向の移動は、押圧部材53においてノズルホルダ着脱装置50の内部に位置する袴部53aが側面50cの内側に当接する位置で規制される。以下、押圧部材53の外方向の移動が規制される位置を「待機位置」と称する。押圧部材53の内方向の移動は、ノズルホルダ着脱装置50の内部に設けられた規制板56に袴部53aが当接する位置(図8(b)参照)で規制される。以下、押圧部材53の内方向の移動が規制される位置を「最大押し込み位置」と称する。
【0040】
連結部54bには、一端が規制板56に当接し、他端が押圧部材53の内壁53bに当接するコイル状の圧縮バネ57が装着されている。すなわち、押圧部材53は、圧縮バネ57によって外側に付勢されている。そのため、押圧部材53を外から最大押し込み位置まで押し込んだ後に押す力を除去すると、押圧部材53は圧縮バネ57の付勢力により外側に移動して待機位置に戻る(図8(c)参照)。
【0041】
図7(a)、図7(b)において、ホルダ係合部51の底部には、上下方向に延伸する回転軸58が固定されている。回転軸58の下方側は、ベアリングを内蔵する軸受け59によってθ回転可能に保持されている。回転軸58には、ラック54に形成された歯54aに噛み合う歯60aが外周に形成された平歯車60が固定されている。この構成により、平歯車60がθ回転すると、回転軸58に固定されたホルダ係合部51がθ回転する。
【0042】
次に図8を参照して、ノズルホルダ着脱装置50の機能について説明する。図8(a)~図8(c)は、図7(a)に示すノズルホルダ着脱装置50の内部を概略的に表しており、スライダ55などの表示は省略している。図8(a)に示す両側の押圧部材53が待機位置にある状態から、図8(b)に示すように両側の押圧部材53を内側に最大押し込み位置まで押し込むと(矢印c)、2本のラック54はそれぞれ内方向に移動する(矢印d)。このラック54の移動に伴い平歯車60がそれぞれ時計回りにθ回転し、これに伴ってホルダ係合部51も時計回りにθ回転する(矢印e)。
【0043】
図8に示すノズルホルダ着脱装置50は、押圧部材53を待機位置から最大押し込み位置まで押し込むと、ホルダ係合部51が時計回りに略90度回転するように規制板56の位置、ラック54の歯54aと平歯車60の歯60aの間隔などが設計されている。このように、ノズルホルダ着脱装置50は、左右の押圧部材53を待機位置から最大押し込み位置まで押し込むことで、複数(12個)のホルダ係合部51を一括して時計回りに略90度回転させることができる。なお、押圧部材53を待機位置から最大押し込み位置まで押し込むことで回転するホルダ係合部51の回転角度は、ノズルホルダ30、ケーシング部材21の構成などに応じて自在に変更される。
【0044】
両側の押圧部材53を最大押し込み位置まで押し込んだ状態(図8(b))から押圧部材53を押し込む力を緩めると、図8(c)に示すように押圧部材53は圧縮バネ57の反発力によって待機位置まで移動する(矢印f)。押圧部材53の待機位置への移動に伴って、2本のラック54はそれぞれ外方向に移動する(矢印g)。このラック54の移動に伴い平歯車60がそれぞれ反時計回りにθ回転し、これに伴ってホルダ係合部51も反時計回りにθ回転する(矢印h)。このように、ノズルホルダ着脱装置50は、左右の押圧部材53を最大押し込み位置から待機位置に戻すことで、複数(12個)のホルダ係合部51を一括して反時計回りに略90度回転させることができる。
【0045】
このように、ラック54、回転軸58、軸受け59、平歯車60は、ホルダ係合部51を一括で回転させる回転機構部を構成する。また、回転機構部は、ラック54に接続された押圧部材53の押圧動作(図8(b)の矢印c、図8(c)の矢印f)を回転に変換する。すなわち、押圧部材53は、押圧部材53の操作(押圧動作)によってホルダ係合部51を回転させる操作部である。
【0046】
なお、上記は押圧部材53がノズルホルダ着脱装置50の左右の側面50cに合わせて2つ設けられた構成であったが、押圧部材53はいずれかの側面50cに1つ設けられた構成であってもよい。その場合、1つの押圧部材53に前列のホルダ係合部51を回転させるラック54と後列のホルダ係合部51を回転させるラック54を接続させる。すなわち、押圧部材53(操作部)は、少なくともノズルホルダ着脱装置50の1つの側面50cに設けられる。なお、操作部は押圧部材53に限定されることはない。例えば、操作部は、レバーの操作でラック54を水平方向に往復移動させるものであってもよい。
【0047】
次に図9図12を参照して、ノズルホルダ着脱装置50を使用したヘッド8のシャフト部材20に装着されるノズルホルダ30の着脱方法について説明する。本実施の形態のノズルホルダ30の着脱は、部品実装装置1においてヘッド8を作業者が作業し易い位置まで移動させた後、ヘッド8が動作しない状態にしてから実行される。または、部品実装装置1からヘッド8を取り出して、ヘッド保持具(図示省略)に保持させた状態で実行される。すなわち、電源を切断するなどヘッド8が動作しない状態でノズルホルダ30の着脱が実行される。
【0048】
まず、図9(a)に示すヘッド8が有する複数のシャフト部材20にそれぞれ装着されたノズルホルダ30を取り外す工程について説明する。図9(a)において、作業者はノズルホルダ着脱装置50を片手(図示省略)で保持して、ヘッド8の下方からノズルホルダ着脱装置50を接近させる。その際、ノズルホルダ着脱装置50の位置合わせピン52がヘッド8の位置決め孔13aに挿入できる位置に位置を合わせる。これにより、ヘッド8の複数のシャフト部材20のそれぞれに複数のホルダ係合部51の位置が合わせられる。このように、ヘッド8に対するホルダ係合部51の位置合わせを実施する(ST1:位置合わせステップ)。
【0049】
図9(a)において、シャフト部材20に装着された複数のノズルホルダ30の係止部材31eは、それぞれ横方向を向いている。ノズルホルダ着脱装置50の複数のホルダ係合部51の一対の係止溝51bも、それぞれ横方向を向いている。図9(b)において、作業者はノズルホルダ着脱装置50を持ち上げて(矢印j1)、ノズルホルダ着脱装置50の位置合わせピン52をヘッド8の位置決め孔13aに挿入させる。これにより、ノズルホルダ30がホルダ係合部51のホルダ保持孔51aに挿入される。
【0050】
作業者は、係止部材31eが係止溝51bに進入して係止溝51bの底面に当接し、さらに係止溝51bの底面が係止部材31eを押し上げてノズルホルダ30が上方到達高さになるまでノズルホルダ着脱装置50を持ち上げる。位置合わせピン52の上部と位置決め孔13aの上部は、ノズルホルダ30が上方到達高さとなる状態で当接するように設定されている。これにより、ノズルホルダ着脱装置50を容易に上方到達高さで停止させることができる。
【0051】
なお、位置決め部13の下面とノズルホルダ着脱装置50の上面50aを、ノズルホルダ30が上方到達高さとなる状態で当接するように設定してもよい。このように、ヘッド8が有する複数のシャフト部材20にそれぞれ装着された複数のノズルホルダ30に複数のホルダ係合部51を一括で係合させる(ST2:ホルダ係合ステップ)。
【0052】
図10(a)において、次いで作業者は、手に持ったノズルホルダ着脱装置50の左右の押圧部材53を、親指と小指などを使って最大押し込み位置まで押し込む(矢印j2)。これにより、ノズルホルダ着脱装置50の複数のホルダ係合部51は時計回りに略90度同時に回転し、係止部材31eがホルダ係合部51の係止溝51bに係合したノズルホルダ30は解除方向に略90度回転する。すなわち、ノズルホルダ30が係合した複数のホルダ係合部51を一括で解除方向に回転させる(ST3:回転ステップ)。
【0053】
図10(b)において、次いで作業者は、左右の押圧部材53を最大押し込み位置まで押し込んだ状態で(矢印j2)、ノズルホルダ着脱装置50を下方に引き下げる(矢印j3)。これによって、ノズルホルダ30はホルダ係合部51に保持された状態でシャフト部材20から離脱する。すなわち、回転ステップ(ST3)の後に、複数のホルダ係合部51をヘッド8から遠ざけて複数のノズルホルダ30を複数のシャフト部材20から一括で取り外す(ST4:ホルダ外しステップ)。
【0054】
このように、ホルダ係合部51とノズルホルダ30とが係合した状態において(ST2)、回転機構部(ラック54、回転軸58、軸受け59、平歯車60)がホルダ係合部51を回転させてることにより(ST3)、ノズルホルダ30がシャフト部材20から取り外される。これにより、シャフト部材20の摺動軸20bが露出される。また、ノズルホルダ30をホルダ係合部51の中に収納した状態で取り外すため、ノズルホルダ30の圧縮バネ部材34が脱落することが防止できる。本実施の形態のヘッドメンテナンス方法では、このようにしてノズルホルダ30が外されたシャフト部材20を作業者が清掃する(ST5:清掃ステップ)。なお、専用の洗浄装置を使用してシャフト部材20を清掃してもよい。
【0055】
次に、ヘッド8が有する複数のシャフト部材20にそれぞれノズルホルダ30を取り付ける工程について説明する。ノズルホルダ30を取り付ける工程は、上述したシャフト部材20の清掃のために取り外したノズルホルダ30をそのまま取り付ける際や、ノズルホルダ30を交換する際に実行される。
【0056】
ノズルホルダ30を交換する際など、ノズルホルダ着脱装置50のホルダ係合部51にノズルホルダ30がない場合では、まず作業者は、ヘッド8が有する複数のシャフト部材20にそれぞれ装着される複数のノズルホルダ30を複数のホルダ係合部51に保持させる(ST6:ホルダ準備ステップ)。この時、ノズルホルダ30の係止部材31eがホルダ係合部51の係止溝51bに挿入されるように回転方向を合わせてノズルホルダ30をホルダ係合部51に保持させる(図11(a)参照)。
【0057】
図11(a)において、次いで作業者は、位置合わせステップ(ST1)と同様に、ノズルホルダ着脱装置50の位置合わせピン52がヘッド8の位置決め孔13aに挿入できるように位置を合わせて、ノズルホルダ着脱装置50をヘッド8の下方から接近させる。すなわち、ヘッドメンテナンスでは、ホルダ係合ステップ(ST2)の前、および、後述するホルダ付けステップ(ST7)の前に位置合わせステップ(ST1)が実行される。
【0058】
この時、作業者は、ノズルホルダ着脱装置50の左右の押圧部材53を、最大押し込み位置まで押し込む(矢印j4)。これにより、ノズルホルダ着脱装置50の複数のホルダ係合部51は時計回りに略90度同時に回転し、ノズルホルダ30の係止部材31eの方向がケーシング部材21の垂直溝部21cの方向と一致する。
【0059】
図11(b)において、次いで作業者は、押圧部材53を最大押し込み位置まで押し込んだ状態(矢印j4)でノズルホルダ着脱装置50を持ち上げて(矢印j5)、ノズルホルダ着脱装置50の位置合わせピン52をヘッド8の位置決め孔13aに挿入させる。これにより、ノズルホルダ30の係止部材31eがケーシング部材21の垂直溝部21cに進入する状態でノズルホルダ30がシャフト部材20に挿入される(図5(b)参照)。作業者は、ノズルホルダ30が上方到達高さになるまでノズルホルダ着脱装置50を持ち上げる。このように、複数のホルダ係合部51が保持する複数のノズルホルダ30が複数のシャフト部材20にそれぞれ一括で取り付けられる(ST7:ホルダ付けステップ)。
【0060】
図12(a)において、次いで作業者は、ノズルホルダ30が上方到達高さにある状態でノズルホルダ着脱装置50の左右の押圧部材53を待機位置まで戻す(矢印j6)。これにより、ノズルホルダ着脱装置50の複数のホルダ係合部51は反時計回りに略90度同時に回転し、各ホルダ係合部51に保持されたノズルホルダ30は係止方向に略90度回転する。すなわち、複数のノズルホルダ30を複数のシャフト部材20に取り付けている状態で、複数のホルダ係合部51を回転ステップ(ST3)とは反対方向(係止方向)に一括で回転(逆回転)させる(ST8:逆回転ステップ)。
【0061】
図12(b)において、次いで作業者は、ノズルホルダ着脱装置50を下方に引き下げる(矢印j7)。これにより、ノズルホルダ30の係止部材31eがケーシング部材21の水平溝部21b内に嵌合される(図5(c)も参照)。このように、複数のノズルホルダ30が複数のシャフト部材20に一括で装着される。
【0062】
上記説明したように、本実施の形態のノズルホルダ着脱装置50は、ヘッド8が有する少なくとも1つのノズルホルダ30に係合するホルダ係合部51と、ホルダ係合部51を回転させる回転機構部(ラック54、回転軸58、軸受け59、平歯車60)と、を備えている。そして、ノズルホルダ着脱装置50は、ホルダ係合部51とノズルホルダ30とが係合した状態において、回転機構部がホルダ係合部51を回転させることにより、ノズルホルダ30をヘッド8に着脱する。これによって、ノズルホルダ30をヘッド8から簡易に着脱することができる。
【0063】
次に図13図14を参照して、ノズルホルダ着脱装置の他の実施例(以下、「他のノズルホルダ着脱装置70」と称する。)について説明する。他のノズルホルダ着脱装置70は、複数のホルダ係合部51の回転方向、回転の有無を個別に選択できるところが上記のノズルホルダ着脱装置50と異なる。以下。ノズルホルダ着脱装置50と同じ部分には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。図13(b)は、図13(a)におけるD-D断面を示している。他のノズルホルダ着脱装置70は、ノズルホルダ着脱装置50と同様に、上部に12個のホルダ係合部51と2位置合わせピン52を備えている。
【0064】
図13(a)、図13(b)において、他のノズルホルダ着脱装置70の両側面に配置された押圧部材53には、ノズルホルダ着脱装置50のラック54と同様の第1ラック71の他、第2ラック72がそれぞれ接続されている。第1ラック71と第2ラック72には、ホルダ係合部51に連結される平歯車73の歯73aに噛み合う歯71aと歯72aが互いに対向する辺に形成されている。第2ラック72は、平歯車73を挟んで第1ラック71に対向し、第1ラック71より低い高さ位置に、第1ラック71と平行に配置されている。押圧部材53を内部に押し込んだり、外側に突出させると、押圧部材53の移動に合わせて第1ラック71と第2ラック72は一緒に左右方向に移動する(図14(b)、図14(c)参照)。
【0065】
図13(b)において、ホルダ係合部51の底部には、上下方向に延伸する回転軸74の上部に形成されたスプライン溝(図示省略)に係合して回転軸74をθ回転可能に保持するスプライン軸受け75が固定されている。回転軸74の下方側は、ベアリングを内蔵して回転軸74を回転可能に保持する軸受け76に挿通されて、他のノズルホルダ着脱装置70の下面70aの外側に突き出ている。他のノズルホルダ着脱装置70の下面70aより突き出た回転軸74の下端にはつまみ部材77が装着されている。回転軸74には、平歯車73が固定されている。
【0066】
作業者がつまみ部材77をつまんで上下方向に移動させると、回転軸74が上下方向に移動する。これにより、回転軸74に固定された平歯車73が第1ラック71に噛み合う高さ位置(以下、「第1回転位置」と称する。)と、第2ラック72に噛み合う高さ位置(以下、「第2回転位置」と称する。)との間を上下に移動する。第1ラック71と第2ラック72との間には、平歯車73が干渉することなく位置することができるだけの高低差が設けられている。以下、平歯車73が第1ラック71と第2ラック72に干渉しない高さ位置を「無回転位置」と称する。
【0067】
平歯車73が第1回転位置にある場合、平歯車73は第1ラック71と噛み合う。この状態で第1ラック71が左右方向に移動すると平歯車73がθ回転し、回転軸74、スプライン軸受け75を介してホルダ係合部51がθ回転する。平歯車73が第2回転位置にある場合、平歯車73は第2ラック72と噛み合う。この状態で第2ラック72が左右方向に移動すると平歯車73がθ回転し、回転軸74、スプライン軸受け75を介してホルダ係合部51が第1回転位置とは逆方向にθ回転する。平歯車73が無回転位置にある場合、平歯車73は第1ラック71、第2ラック72の移動には追従しない。すなわち、平歯車73が無回転位置にある場合、ホルダ係合部51は回転しない。
【0068】
このように、第1ラック71、第2ラック72、平歯車73、回転軸74、スプライン軸受け75、軸受け76は、ホルダ係合部51を回転させる回転機構部を構成する。そして、平歯車73、回転軸74、つまみ部材77は、ホルダ係合部51を回転させる(第1回転位置)、回転させない(無回転位置)、逆方向に回転させる(第2回転位置)ことを選択する選択機構部を構成する。すなわち、回転機構部は、複数のホルダ係合部51のうち選択したホルダ係合部51を回転させる、回転させない、または逆方向に回転させるように機能させる選択機構部を有する。
【0069】
図13(b)において、複数のホルダ係合部51の平歯車73は、左から第1回転位置、無回転位置、第2回転位置、第1回転位置、無回転位置、第2回転位置になるように選択されている。
【0070】
次に図14を参照して、他のノズルホルダ着脱装置70の機能について説明する。図14(a)~図14(c)は、図13(a)に示す他のノズルホルダ着脱装置70の内部を概略的に表している。他のノズルホルダ着脱装置70の複数のホルダ係合部51の平歯車73は、前列(6個)も後列(6個)も、それぞれ図13(b)に示す位置に選択されているとする。図14(a)に示す両側の押圧部材53が待機位置にある状態から、図14(b)に示すように両側の押圧部材53を内側に最大押し込み位置まで押し込むと(矢印k)、左右の第1ラック71と第2ラック72はそれぞれ内方向に移動する(矢印m)。
【0071】
図14(b)において、第1ラック71の移動に伴い、第1回転位置にある平歯車73がそれぞれ時計回りにθ回転し、これに伴ってホルダ係合部51も時計回りにθ回転する(矢印n)。また、無回転位置にある平歯車73は回転せず、ホルダ係合部51も回転しない。また、第2ラック72の移動に伴い、第2回転位置にある平歯車73がそれぞれ反時計回りにθ回転し、これに伴ってホルダ係合部51も反時計回り(逆方向)にθ回転する(矢印p)。
【0072】
両側の押圧部材53を最大押し込み位置まで押し込んだ状態(図14(b))から押圧部材53を押し込む力を緩めると、図14(c)に示すように押圧部材53は圧縮バネ57の反発力によって待機位置まで移動する(矢印q)。押圧部材53の待機位置への移動に伴って、左右の第1ラック71と第2ラック72はそれぞれ外方向に移動する(矢印r)。
【0073】
図14(c)において、第1ラック71の移動に伴い、第1回転位置にある平歯車73がそれぞれ反時計回りにθ回転し、これに伴ってホルダ係合部51も反時計回り(逆方向)にθ回転(逆回転)する(矢印s)。また、無回転位置にある平歯車73は回転せず、ホルダ係合部51も回転しない。また、第2ラック72の移動に伴い、第2回転位置にある平歯車73がそれぞれ時計回りにθ回転し、これに伴ってホルダ係合部51も時計回りにθ回転(逆回転)する(矢印t)。
【0074】
他のノズルホルダ着脱装置70は、例えば、図2に示すシャフト部材20を12本有するヘッド8に装着されたノズルホルダ30のうち、一部のノズルホルダ30だけ着脱する際に使用される。その場合、他のノズルホルダ着脱装置70は、着脱させるノズルホルダ30に対応するホルダ係合部51の平歯車73を第1回転位置または第2回転位置に合わせ、その他の平歯車73は無回転位置に合わせて使用される。
【0075】
また、ノズルホルダ30を取り外す時は全ての平歯車73を第1回転位置に合わせて使用し、ノズルホルダ30を装着する時は全ての平歯車73を第2回転位置に合わせて使用してもよい。その場合、ノズルホルダ30の取り外しでは、図9図10に示す位置合わせステップ(ST1)、ホルダ係合ステップ(ST2)、回転ステップ(ST3)、ホルダ外しステップ(ST4)が実行される。そして、ノズルホルダ30の装着時では、ホルダ付けステップ(ST7)では押圧部材53は待機位置にある状態で行い、逆回転ステップ(ST8)で押圧部材53を最大押し込み位置まで押し込んで複数のホルダ係合部51を一括で逆回転させる。すなわち、回転ステップ(ST3)と逆回転ステップ(ST8)での押圧部材53の操作を同じにできる。
【0076】
また、ヘッド8が有する複数のシャフト部材20にノズルホルダ30を着脱する際にノズルホルダ30を回転する方向が混在している場合は、他のノズルホルダ着脱装置70のホルダ係合部51の平歯車73を、ヘッド8に合わせて第1回転位置または第2回転位置にすることで、ノズルホルダ30を一括で着脱することができる。
【0077】
なお、上記の他のノズルホルダ着脱装置70は、回転、無回転、逆回転の3態様を選択する構成であったが、回転、無回転の2態様を選択する構成であってもよい。その場合、第2ラック72は削除できる。また、上記のノズルホルダ着脱装置50、他のノズルホルダ着脱装置70は、ホルダ係合部51を12個有する構成であったが、ホルダ係合部51の個数はヘッド8の構成に応じて自由に変更される。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明のノズルホルダ着脱装置およびヘッドメンテナンス方法は、ノズルホルダをヘッドから簡易に着脱することができるという効果を有し、部品を基板に実装する分野において有用である。
【符号の説明】
【0079】
8 ヘッド
13a 位置決め孔(位置合わせ部)
20 シャフト部材
30 ノズルホルダ
40 ノズル
50 ノズルホルダ着脱装置
51 ホルダ係合部
52 位置合わせピン(位置合わせ部)
53 押圧部材(操作部)
54 ラック(回転機構部)
58 回転軸(回転機構部)
59、76 軸受け(回転機構部)
60 平歯車(回転機構部)
70 他のノズルホルダ着脱装置(ノズルホルダ着脱装置)
71 第1ラック(回転機構部)
72 第2ラック(回転機構部)
73 平歯車(回転機構部、選択機構部)
74 回転軸(回転機構部、選択機構部)
75 スプライン軸受け(回転機構部)
77 つまみ部材(選択機構部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14