(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】部品供給システムおよび部品供給装置
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
H05K13/02 C
(21)【出願番号】P 2019062134
(22)【出願日】2019-03-28
【審査請求日】2022-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】江口 亮司
(72)【発明者】
【氏名】奥 康夫
(72)【発明者】
【氏名】工藤 良太
(72)【発明者】
【氏名】乗富 賢一
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-088038(JP,A)
【文献】特許第5758540(JP,B2)
【文献】特開2004-281717(JP,A)
【文献】特開2010-056575(JP,A)
【文献】特許第6754440(JP,B2)
【文献】特開2007-299903(JP,A)
【文献】国際公開第2017/109892(WO,A1)
【文献】特開2018-046045(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を保持したテープを移送し、部品を部品供給位置に供給する部品供給手段と、
前記部品供給手段に装着されて前記テープから前記部品を解放させる部品解放処理手段と、
前記部品供給手段に電力が供給された際に前記部品解放処理手段
が有するドグと遮光センサから前記部品解放処理手段の着脱を検知する検知手段と、
前記部品解放処理手段の着脱に基づいて前記部品供給手段を制御する制御部と、
前記部品供給手段に電力が供給されていない時の前記部品解放処理手段の取り付けまたは取り外しを抑制する着脱抑制機構と、前記部品解放処理手段に付された識別マークを認識するマーク認識手段と、を備え、
前記検知手段が、
前記遮光センサの受光により前記部品解放処理手段の取り付けを検知した場合、前記制御部は前記マーク認識手段により取り付けられた前記
部品解放処理手段の前記識別マークが認識されるまで、前記部品供給手段による前記テープの移送を制限し、
前記検知手段が
、前記ドグによる前記遮光センサの遮光により着脱された部品露出手段を検知しない場合、部品供給が開始される、部品供給システム。
【請求項2】
装着されている前記部品解放処理手段に関する情報を記憶する記憶部をさらに備え、
認識された前記識別マークが前記記憶部に記憶されている前記情報と一致しない場合、
前記制御部は、前記部品供給手段による前記テープの移送を停止させる、請求項1に記載の部品供給システム。
【請求項3】
装着されている前記部品解放処理手段に関する情報を記憶する記憶部をさらに備え、
認識された前記識別マークが前記記憶部に記憶されている前記情報と一致しない場合、
前記記憶部は、前記情報を変更し、前記部品供給手段による前記テープの移送を開始させる、請求項1に記載の部品供給システム。
【請求項4】
前記情報は、前記部品供給手段が供給した部品の累積数または前記部品供給手段が移送した前記テープの累積数の少なくともいずれかを含み、
認識された前記識別マークが前記記憶部に記憶されている前記情報と一致しない場合、
前記記憶部は、前記累積数をリセットし、前記部品供給手段による前記テープの移送を開始させる、請求項3に記載の部品供給システム。
【請求項5】
前記検知手段が前記部品解放処理手段の着脱を検知した場合、作業者に報知する報知手段をさらに備える、請求項1から4のいずれかに記載の部品供給システム。
【請求項6】
前記部品解放処理手段は、前記テープを覆うカバーテープを一部剥離させて前記部品を露出させる部品露出手段である、請求項1から5のいずれかに記載の部品供給システム。
【請求項7】
前記部品解放処理手段は、前記テープに保持された前記部品のリードを切断するリード切断手段である、請求項1から6のいずれかに記載の部品供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品を保持したテープを移送して部品を供給する部品供給システムおよび部品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に部品を実装する部品実装装置では、部品供給装置として部品を保持したキャリアテープを移送しながら部品を供給するテープフィーダが用いられる。テープフィーダの形式として、先行のキャリアテープと後続のキャリアテープを連続的にセット可能なスプライシングレスフィーダが知られている(例えば、特許文献1参照)。スプライシングレスフィーダには、ベーステープに設けられたポケットに格納された部品を覆って保持しているカバーテープを一部剥離して、部品を解放する機能を備えたテープガイド(部品解放処理手段)が装着されている。
【0003】
テープガイドは、キャリアテープの幅や部品のサイズに応じて複数の種類が用意されており、テープフィーダが供給する部品の種類を切り替える段取り作業の際に、その部品に適応したテープガイドが取り付けられる。特許文献1では、部品実装装置から取り外したフィーダをフィーダ外段取り装置に装着して行う外段取り作業の際に、テープガイドに付された識別マークをカメラで読み取って適切なテープガイドであるか否かを照合することで、テープガイドの誤装着を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1を含む従来技術では、外段取り作業で適切なテープガイドが取り付けられた後、人為ミスで不適切なテープガイドに交換されてもそのまま実装作業が行われるため、不適切なテープガイドが供給される部品を傷つけたり、カバーテープが十分に剥離できずに実装効率を低下させたりするという課題があった。
【0006】
そこで本発明は、部品供給装置に不適切な部品解放処理手段を取り付けて部品を供給してしまうことを防止することができる部品供給システムおよび部品供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の部品供給システムは、部品を保持したテープを移送し、部品を部品供給位置に供給する部品供給手段と、前記部品供給手段に装着されて前記テープから前記部品を解放させる部品解放処理手段と、前記部品供給手段に電力が供給された際に前記部品解放処理手段が有するドグと遮光センサから前記部品解放処理手段の着脱を検知する検知手段と、前記部品解放処理手段の着脱に基づいて前記部品供給手段を制御する制御部と、前記部品供給手段に電力が供給されていない時の前記部品解放処理手段の取り付けまたは取り外しを抑制する着脱抑制機構と、前記部品解放処理手段に付された識別マークを認識するマーク認識手段と、を備え、前記検知手段が、前記遮光センサの受光により前記部品解放処理手段の取り付けを検知した場合、前記制御部は前記マーク認識手段により取り付けられた前記部品解放処理手段の前記識別マークが認識されるまで、前記部品供給手段による前記テープの移送を制限し、前記検知手段が、前記ドグによる前記遮光センサの遮光により着脱された部品露出手段を検知しない場合、部品供給が開始される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、部品供給装置に不適切な部品解放処理手段を取り付けて部品を供給してしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施の形態の部品実装装置の構成説明図
【
図2】本発明の一実施の形態のテープフィーダの構成説明図
【
図3】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態のテープフィーダにおける部品露出手段の構成および機能の説明図
【
図4】(a)(b)本発明の一実施の形態のテープフィーダへの部品露出手段の着脱を説明する図
【
図5】本発明の一実施の形態の部品実装装置の構成を示すブロック図
【
図6】本発明の一実施の形態の部品供給方法のフロー図
【
図7】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態のラジアル部品フィーダの構成説明図
【
図8】(a)(b)本発明の一実施の形態の装着抑制機構を備えるテープフィーダの構成説明図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品実装装置、テープフィーダ、ラジアルリードフィーダの仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸方向として、基板搬送方向のX方向(
図1における左右方向)、基板搬送方向に直交するY方向(
図1における上下方向)が示される。
【0013】
まず
図1を参照して、部品実装装置1の構成を説明する。基台1aの中央にはX方向に基板搬送機構2が配置されている。基板搬送機構2は上流側から搬入された基板3を搬送し、部品実装作業を実行するために設定された実装ステージに位置決めして保持する。基板搬送機構2の両側方には、部品供給部4が配置されている。それぞれの部品供給部4には、複数のテープフィーダ5が並列に装着されている。テープフィーダ5は、供給リールに巻回して収納された部品を格納したキャリアテープを部品供給部4の外側から基板搬送機構2に向かうテープ送り方向にピッチ送りすることにより、以下に説明する実装ヘッドに部品を供給する部品供給位置に部品を供給する。
【0014】
基台1a上面においてX方向の両方の端部には、リニア駆動機構を備えたY軸移動テーブル6がY方向に配置されている。Y軸移動テーブル6には、同様にリニア駆動機構を備えたビーム7が、Y方向に移動自在に結合されている。ビーム7には、実装ヘッド8がX方向に移動自在に装着されている。実装ヘッド8の保持ヘッドの下端部には、部品を吸着して保持し昇降可能な吸着ノズル8a(
図2参照)が装着されている。
【0015】
Y軸移動テーブル6、ビーム7を駆動することにより、実装ヘッド8はX方向、Y方向に移動する。これにより実装ヘッド8は、部品供給部4のテープフィーダ5の部品供給位置から部品を吸着ノズル8aによって吸着して取り出して、基板搬送機構2に位置決めされた基板3の実装点に移送搭載する。Y軸移動テーブル6、ビーム7および実装ヘッド8は、部品を保持した実装ヘッド8を移動させることにより、部品を基板3に移送搭載する部品実装機構9を構成する。
【0016】
図1において、部品供給部4と基板搬送機構2との間には、部品認識カメラ10が配置されている。テープフィーダ5から部品を取り出した実装ヘッド8が部品認識カメラ10の上方を移動する際に、部品認識カメラ10は実装ヘッド8に保持された部品を撮像する。
【0017】
それぞれの実装ヘッド8にはビーム7の下面側に位置して、実装ヘッド8と一体的に移動するヘッドカメラ11が装着されている。実装ヘッド8が移動することにより、ヘッドカメラ11は基板搬送機構2に位置決めされた基板3の上方に移動して基板3を撮像する。また、ヘッドカメラ11はテープフィーダ5の上方に移動して、部品供給位置付近に付された識別マークM(
図3(a)参照)を撮像する。実装ヘッド8による基板3への部品実装動作は、部品認識カメラ10による部品の撮像結果と、ヘッドカメラ11による基板撮像結果とを加味して補正される。
【0018】
部品実装装置1の前面で作業者が作業する位置には、作業者が操作するタッチパネル12が設置されている。タッチパネル12は、その表示部に各種情報を表示し、また表示部に表示される操作ボタンなどを使って作業者がデータ入力や部品実装装置1の操作を行う。
【0019】
次に、
図2を参照してテープフィーダ5の構成および機能を説明する。テープフィーダ5の本体部5aには、キャリアテープ13に収容された部品を部品供給位置Pに送るテープ送り機構が設けられている。テープフィーダ5が部品供給部4に装着されると、部品実装装置1からテープフィーダ5に電力が供給されるとともに、テープフィーダ5におけるテープ送りを制御するために内蔵されたフィーダ制御部23が部品実装装置1の装置制御部24と電気的に接続される。
【0020】
本体部5aの内部には、供給リールから引き出されて本体部5a内に取り込まれたキャリアテープ13を案内するテープ走行路5bが設けられている。テープ走行路5bは、本体部5aにおいてピッチ送りにおけるテープ送り方向の上流端部に開口したテープ導入口5cから、実装ヘッド8に部品を供給する部品供給位置Pまで連通して設けられている。部品実装作業を継続して実行する過程においては、1つの供給リールへの収納分を単位ロットとする複数のキャリアテープ13が、テープ導入口5cから順次挿入されてテープフィーダ5に供給される。
【0021】
本実施の形態に示す部品実装装置1は、テープ導入口5cから導入されて相前後して送られる2つのキャリアテープ13が分離された状態のままテープ導入口5cに順次挿入されるスプライシングレス方式を採用している。以下、テープフィーダ5に既装着で実装ヘッド8による部品取り出しの対象となるキャリアテープ13を先行テープ13(1)と略記する。また、部品切れに際して新たに追加して装着されるキャリアテープ13を後続テープ13(2)と略記する。
【0022】
図2において、テープ走行路5bにおける下流側、上流側には、先行テープ13(1)、後続テープ13(2)をテープ送りするための第1のテープ送り機構20A、第2のテープ送り機構20Bが配置されている。上流側に設けられた第2のテープ送り機構20Bは、スプロケット21Bと、スプロケット21Bを回転駆動する第2のモータ22Bを備えている。第2のテープ送り機構20Bは、新たに装着される後続テープ13(2)をテープ導入口5c側から第1のテープ送り機構20A側に連続的にテープ送りする。
【0023】
下流側に設けられた第1のテープ送り機構20Aは、スプロケット21Aと、スプロケット21Aを回転駆動する第1のモータ22Aを備えている。第1のテープ送り機構20Aは、先行テープ13(1)を所定の送りピッチで実装ヘッド8への部品供給位置Pにピッチ送りする。
【0024】
第1のテープ送り機構20Aの上方には、先行テープ13(1)を上方から押さえるとともに、先行テープ13(1)から部品を露出させる部品露出手段25が、本体部5aに交換可能に装着されている。先行テープ13(1)から露出されて部品供給位置Pにピッチ送りされた部品は、部品露出手段25に形成された部品取り出し開口25aを介して実装ヘッド8の吸着ノズル8aによって真空吸着によりピックアップされる。このように、テープフィーダ5は、部品を保持したキャリアテープ3(テープ)を移送し、部品を部品供給位置Pに供給する部品供給手段である。
【0025】
ここで
図3を参照して、キャリアテープ13の構成および部品露出手段25の構造を説明する。
図3(a)に示すように、キャリアテープ13は部品Dを収納する部品ポケット13bおよびスプロケット21Aの送りピンが係合する送り孔13cが形成されたベーステープ13aを主体としている。ベーステープ13aの上面には部品ポケット13bを覆ってカバーテープ13dが貼着されている。部品取り出し開口25aでの部品Dの取り出しの前に、カバーテープ13dはベーステープ13aから部分的に剥離される。これにより、部品ポケット13b内に収納された部品Dが露出されて取り出しが可能となる。
【0026】
図3(a)、(b)に示すように、部品露出手段25は矩形状の頂板部25bの幅方向の両側端部から側板部25cが下方に延出した門型断面形状の細長部材である。
図3(a)に示すように、頂板部25bには部品取り出し開口25aおよびスプロケット21Aの送りピンを逃がすための逃がし開口25dが形成されている。頂板部25bの下面側には、カバーテープ13dをベーステープ13aから捲りあげて部品Dを露出させるための剥離部材26が装着されている。剥離部材26の上流側の先端部には先鋭形状の刃先部26aが設けられている。
【0027】
上流側からキャリアテープ13が部品露出手段25に送り込まれて(矢印a、b参照)、キャリアテープ13の先端部が刃先部26aに到達すると、
図3(c)に示すように、刃先部26aがベーステープ13aとカバーテープ13dとの界面に進入する。この状態でキャリアテープ13がさらにテープ送りされると(矢印c)、カバーテープ13dの一方側が捲りあげられる形態でベーステープ13aから部分的に剥離され、部品Dが露出される。すなわち、部品露出手段25は、テープフィーダ5(部品供給手段)に装着されて、部品供給位置Pの手前でキャリアテープ13(テープ)を覆うカバーテープ13dを一部剥離させて部品Dを露出させる(テープから部品Dを解放させる)部品解放処理手段である。なお、部品Dの露出方法は、上記の方法以外に、カバーテープ13dを幅方向に開くように切開して部品Dを露出させる方法でもよい。
【0028】
図3(c)において、剥離部材26によってカバーテープ13dを剥離して部品Dを適正状態で露出するためには、刃先部26aの刃幅寸法がベーステープ13aの幅、部品ポケット13bの幅や位置、部品Dのサイズに正しく適合していることが求められる。部品実装装置1が設置される製造ラインには、供給されるキャリアテープ13のサイズ、部品Dの種類に対応する適正な幅寸法の剥離部材26が装着された複数の部品露出手段25が予め用意されている。
【0029】
作業者は、テープフィーダ5が供給する部品Dを変更する際は、供給されるキャリアテープ13のサイズ、部品Dの種類などに応じて適正な部品露出手段25をテープフィーダ5に装着する。また、剥離部材26は、カバーテープ13dを露出させることで刃先部26aが劣化するため、所定の作業量が経過すると新しい剥離部材26と交換される。所定の作業量としては、剥離部材26が剥離して供給した部品Dの累積数、剥離部材26が剥離したカバーテープ13dの累積長さ(累積数)、テープフィーダ5が移送したキャリアテープ13の累積数(供給リールの累積本数)などが使用され、それぞれ作業量は履歴管理される。作業量を履歴管理し、さらに供給した部品Dまたは部品Dを実装した基板3と紐付けて管理することで、剥離部材26の劣化起因による基板不良に関して容易に原因究明ができる。
【0030】
図3(a)、(b)に示すように、個々の部品露出手段25の上面(頂板部25bの前端部近傍)には、部品露出手段25を特定する識別マークMが形成されている。識別マークMには、作業者の目視により識別可能であってあって且つ部品実装装置1に備えられたヘッドカメラ11の撮像により識別可能な記号や文字が含まれている。
【0031】
図4(a)、(b)に示すように、部品露出手段25は、本体部5aの下流側の端部に植設されたピン部材5d(
図2も参照)廻りに回動自在(矢印d)に保持されている。部品露出手段25は、側板部25cの下流側の端部に設けられた係合開口部25eをピン部材5dから嵌脱させることにより、本体部5aから取り外して交換することができる。本体部5aの上部には、本体部5aに装着された部品露出手段25を閉じた状態でロックするためのロックレバー27が配置されている。ロックレバー27は、本体部5aの上部板5eの上部に設けられたキャリアテープ13の幅方向に延びる支持ピン28に支持され、支持ピン28廻りに回動自在(矢印e)に設置されている。
【0032】
図4(a)において、ロックレバー27は、支持ピン28に対して下流側に部品露出手段25の後端部に上方から当接する当接部27aが形成されている。また、ロックレバー27の支持ピン28に対して上流側に形成された押下げ部27bの下面と本体部5aの上部板5eの間には、当接部27aを下方に付勢する弾性体であるバネ29が設置されている。部品露出手段25は、押下げ部27bを押し下げて当接部27aを持ち上げた状態で開閉される(
図4(b))。
【0033】
バネ29は、本体部5aの上部板5eを貫通して突出するように設けられたソレノイド30の突出ピン30aに巻回するように設置されている。ソレノイド30は、テープフィーダ5に電力が供給されると突出ピン30aを内部に引き込み(
図4(b))、電力が供給されないと突出ピン30aを外部に突出させて固定する(
図4(a))構成になっている。これにより、テープフィーダ5に電力が供給された状態では、押下げ部27bを押し下げて部品露出手段25を開閉することができる。
【0034】
一方、テープフィーダ5に電力が供給されない状態では、突出した突出ピン30aにより押下げ部27bを押し下げることができなくなり、部品露出手段25が開閉できなくなる。すなわち、テープフィーダ5は、電力が供給されない状態では部品露出手段25を着脱することができない。このように、ロックレバー27とソレノイド30は、テープフィーダ5(部品供給手段)に電力が供給されていない時の部品露出手段25(部品解放処理手段)の取り付けまたは取り外しを抑制する着脱抑制機構31を構成する。
【0035】
図4(a)、(b)において、部品露出手段25の上流側の端部下面には、ドグ32が配置されている。ドグ32の下端部は、部品露出手段25が本体部5aに装着された状態で、上部板5eに形成された貫通孔5fを通って本体部5aの内部に侵入する。本体部5aの内部には、検出光を照射する照射部33aと照射部33aから照射された検出光を受光する受光部33bを含んで構成される遮光センサ33が配置されている。
【0036】
部品露出手段25が本体部5aに装着されると、ドグ32の下端部が照射部33aと受光部33bの間に侵入して検出光を遮光する。遮光センサ33は、ドグ32による検出光の遮光を検出することで、部品露出手段25が本体部5aに装着されたことを検知する。すなわち、ドグ32と遮光センサ33は、部品露出手段25(部品解放処理手段)の着脱を検知する検知手段34を構成する。遮光センサ33による検知結果は、フィーダ制御部23に送信される。
【0037】
なお、検知手段34は、ドグ32を検知できればよく、例えば遮光センサ33の代わりにマイクロスイッチを備えて、部品露出手段25の装着を検知するようにしてもよい。マイクロスイッチを用いる場合、テープフィーダ5に電力が供給されていない状態で部品露出手段25を取り外す動きを検知、もしくは取り外す前と取り外した後の状態変化を検知できるように構成することで、テープフィーダ5に電力が供給された際にマイクロスイッチの検知状況から部品露出手段25の付け替え(着脱)を検知することができる。
【0038】
次に
図5を参照して、部品実装装置1の制御系の構成について説明する。部品実装装置1が備える装置制御部24には、基板搬送機構2、部品供給部4、部品実装機構9、部品認識カメラ10、ヘッドカメラ11、タッチパネル12が接続されている。装置制御部24は、装置記憶部40、部品供給制御部41、マーク認識処理部42を備えている。装置記憶部40は記憶装置であり、解放手段情報40a、フィーダ情報40bなどが記憶されている。
【0039】
解放手段情報40aには、部品露出手段25(部品解放処理手段)を特定する部品露出手段番号毎に、装着可能なテープフィーダ5(部品供給手段)の種類、適応するキャリアテープ13の幅、ベーステープ13aの幅、部品ポケット13bの幅や位置、部品Dのサイズ、作業の累積数などの情報が記憶されている。作業の累積数には、部品露出手段25が装着されたテープフィーダ5が供給した部品Dの累積数またはテープフィーダ5が移送したキャリアテープ13の累積数の少なくともいずれかが含まれている。作業の累積数は、作業実績に応じて適宜更新される。このように、装置記憶部40は、装着されている部品露出手段25に関する情報を記憶する記憶部である。
【0040】
フィーダ情報40bには、テープフィーダ5を特定するフィーダ番号毎に、テープフィーダ5の種類、装着されている部品露出手段25の部品露出手段番号、供給している部品Dの種類、部品供給部4において装着されている位置などの情報が記憶されている。マーク認識処理部42は、ヘッドカメラ11が撮像した部品露出手段25に付された識別マークMの画像を認識処理して、識別マークMに記録された部品露出手段番号などの情報を読み取る。すなわち、ヘッドカメラ11とマーク認識処理部42は、部品露出手段25(部品解放処理手段)に付された識別マークMを認識するマーク認識手段である。
【0041】
なお、識別マークMの撮像はヘッドカメラ11以外に、部品実装装置1、フィーダ外段取り装置、もしくは作業者が所持する携帯端末が備えるマーク認識手段で識別してもよい。また、フィーダ外段取り装置が備えるマーク認識手段は、テープフィーダ5と電気的に接続されるため、識別前にフィーダ情報40bを取得できる。部品実装装置1と作業者が所持する携帯端末が備えるマーク認識手段は、テープフィーダ5との電気的に接続されていなくてもよく、テープフィーダ5に付されるフィーダ認識マークと識別マークMを撮像することで、フィーダ情報40bと認識された識別マークMが装置記憶部40(記憶部)に記憶されている情報と一致するかを判断することができる。
【0042】
図5において、部品供給部4に装着されるテープフィーダ5は、フィーダ制御部23、第1のテープ送り機構20A、第2のテープ送り機構20B、ソレノイド30、遮光センサ33、フィーダ記憶部35を備えている。フィーダ記憶部35は記憶装置であり、テープフィーダ5に装着されている部品露出手段25の部品露出手段番号、部品露出手段25の作業の累積数などが記憶されている。第1のテープ送り機構20Aと第2のテープ送り機構20Bは、キャリアテープ13を移送するテープ移送機構である。フィーダ制御部23は、テープ移送機構を制御する制御部である。
【0043】
図5において、遮光センサ33を含む検知手段34は、部品露出手段25の着脱を検知する。検知手段34による検知結果は、フィーダ制御部23に送信される。フィーダ制御部23は、部品露出手段25がテープフィーダ5から取り外されたのを検出した後、部品露出手段25が取り付けられたことを検知すると、装置制御部24に装着検知信号を送信する。
【0044】
装置制御部24が装置検知信号を受信すると、部品供給制御部41は、ヘッドカメラ11にそのテープフィーダ5の識別マークMを撮像させ、マーク認識処理部42に識別マークMに記録されている部品露出手段25の部品露出手段番号を認識させる。次いで部品供給制御部41は、フィーダ情報40bと認識された識別マークMが装置記憶部40(記憶部)に記憶されている情報と一致する場合は、部品露出手段25が適合する旨をそのテープフィーダ5に送信する。
【0045】
フィーダ制御部23は、部品露出手段25が適合する旨を受信すると、テープフィーダ5による部品供給を開始させる。すなわち、検知手段34によって部品露出手段25の取り付けが検知されると、制御部(部品供給制御部41、フィーダ制御部23)は、部品露出手段25の適合が確認されるまでテープ移送機構を停止させ、確認されるとテープ移送機構を稼動させる。
【0046】
また、フィーダ制御部23は、電力が切断される直前の部品露出手段25の着脱状態を記憶しており、電力切断前は部品露出手段25が取り外されていたが、電力が供給された時点で部品露出手段25が取り付けられていた場合は、同様に装置制御部24に装着検知信号を送信する。すなわち、テープフィーダ5(部品供給手段)に電力が供給された際に、検知手段34が部品露出手段25の着脱を検知する。
【0047】
図5において、部品供給制御部41は、フィーダ情報40bと認識された識別マークMが装置記憶部40(記憶部)に記憶されている情報と一致しない場合は、タッチパネル12にその部品露出手段25の部品露出手段認識番号、テープフィーダ5のフィーダ番号、記憶されている装着されていた部品露出手段25の部品露出手段認識番号などを表示させる。すなわち、タッチパネル12は、検知手段34が部品露出手段25の着脱を検知した場合、作業者に関連情報を報知する報知手段である。
【0048】
また、部品供給制御部41は、関連情報を表示すると同時に、タッチパネル12に「交換確認ボタン」、「累積数リセットボタン」を表示させる。テープフィーダ5が供給する部品Dの種類を変更する際に装着されている部品露出手段25を適合するものに交換した場合など、意図して部品露出手段25を交換した場合、作業者は「交換確認ボタン」を操作する。「交換確認ボタン」が操作されると、フィーダ情報40bとフィーダ記憶部35に記憶されているテープフィーダ5と部品露出手段25の対応情報が更新され、テープフィーダ5による部品供給が開始(再開)される。
【0049】
部品露出手段25の作業累積数が許容値を超過したため剥離部材26を交換した場合、作業者は「累積数リセットボタン」を操作する。「累積数リセットボタン」が操作されると、解放手段情報40aとフィーダ記憶部35に記憶されている部品露出手段25の累積数がリセットされ、テープフィーダ5による部品供給が開始(再開)される。すなわち、記憶部(装置記憶部40、フィーダ記憶部35)は累積数をリセットし、テープフィーダ5(部品供給手段)によるキャリアテープ13の移送が開始(再開)される。
【0050】
図5において、テープフィーダ5のソレノイド30を含む着脱抑制機構31は、テープフィーダ5に電力が供給されている時はソレノイド30の突出ピン30aを引っ込めて、部品露出手段25の取り付けまたは取り外しを許容する。また、着脱抑制機構31は、電力が供給されていない時は突出ピン30aを突出させて、部品露出手段25の取り付けまたは取り外しを抑制する。このように、テープフィーダ5は、着脱抑制機構31によって、電力が供給されていない場合に部品露出手段25の着脱が防止される。これによって、誤って部品露出手段25が交換されることが防止できる。
【0051】
このように、部品実装装置1は、テープフィーダ5(部品供給手段)と、部品露出手段25(部品解放処理手段)と、検知手段34と、部品露出手段25の着脱に基づいてテープフィーダ5を制御する部品供給制御部41(制御部)と、を備える、部品供給システムである。部品供給制御部41(制御部)は、検知手段34が部品露出手段25(部品解放処理手段)の取り付けを検知した場合、マーク認識手段(ヘッドカメラ11、マーク認識処理部42)により取り付けられた部品露出手段25の識別マークMが認識されるまで、テープフィーダ5(部品供給手段)によるキャリアテープ13の移送を制限する。
【0052】
そして、認識された識別マークMが装置記憶部40(記憶部)に記憶されているフィーダ情報40bと一致しない場合、テープフィーダ5によるキャリアテープ13の移送を停止させる。そして、装置記憶部40は、フィーダ情報40bを変更し、または、解放手段情報40aに含まれる累積数をリセットして、テープフィーダ5によるキャリアテープ13の移送を開始(再開)させる。これによって、テープフィーダ5(部品供給装置)に不適切な部品露出手段25を取り付けて部品Dを供給してしまうことを防止することができる。
【0053】
次に
図6のフローに沿って、部品Dを保持したテープ(キャリアテープ13)を移送し、部品Dを部品供給位置Pに供給する部品供給手段(テープフィーダ5)による部品供給方法について説明する。この部品供給方法では、部品実装装置1が製造する実装基板の種類を変更する段取り替え後や電源投入後など部品供給を開始する前に、部品露出手段25(部品解放処理手段)が交換されたか否かが確認される。
図6において、まず、検知手段34が、部品露出手段25の取り付けまたは取り外しがなされていないかを検知する(ST1:検知工程)。検知工程(ST1)は、テープフィーダ5が部品供給部4に装着されてテープフィーダ5に電力が供給された際に実行される。
【0054】
検知工程(ST1)において着脱された部品露出手段25が検知されない場合は(No)、テープフィーダ5による部品Dを部品供給位置Pに供給する部品供給が開始される(ST7:部品供給工程)。検知工程(ST1)において部品露出手段25の着脱が検知されると(Yes)、マーク認識手段(ヘッドカメラ11、マーク認識処理部42)は着脱が検知されたテープフィーダ5に取り付けられている部品露出手段25に付された識別マークMを認識する(ST2:マーク認識工程)。次いで部品供給制御部41は、認識された識別マークMが記憶されている部品露出手段25に関する情報(フィーダ情報40b)と一致するか否かを判定する(ST3:判定工程)。
【0055】
図6において、判定工程(ST3)において一致すると判定された場合(Yes)、部品供給工程(ST7)が実行される。判定工程(ST3)において一致しないと判定された場合(No)、部品供給工程(ST7)を行わずに、部品供給制御部41は、タッチパネル12に部品露出手段25、テープフィーダ5に関する情報を報知する(ST4:報知工程)。すなわち、検知工程(ST1)において部品露出手段25の着脱が検知されると(Yes)、マーク認識工程(ST2)において識別マークMが認識されるまで部品供給工程(ST7)を行わずに、作業者にその旨が報知される(ST4)。
【0056】
認識された部品露出手段25がフィーダ情報40bに記憶される部品Dの情報に適合する場合(ST5においてYes)、作業者がタッチパネル12を操作して「交換確認ボタン」を選択すると、部品供給制御部41は、記憶されている情報(フィーダ情報40b)を変更して(ST6:情報変更工程)、部品供給工程(ST7)を行う。もしくは、作業者がタッチパネル12を操作して「累積数リセットボタン」を選択すると、部品供給制御部41は、解放手段情報40aに含まれる累積数をリセットして(累積数リセット工程)、部品供給工程(ST7)を行う。
【0057】
認識された部品露出手段25が解放手段情報40aに記憶されるキャリアテープ13の幅、ベーステープ13aの幅、部品ポケット13bの幅や位置等の情報に適合しない場合(ST5においてNo)、部品供給が異常終了する(ST8)。このように、部品露出手段25(部品解放処理手段)の着脱が検知されると(ST1においてYes)、着脱の理由が明らかになるまで部品供給工程(ST7)を開始しないため、テープフィーダ5(部品供給装置)に不適切な部品露出手段25を取り付けて部品Dを供給してしまうことを防止することができる。
【0058】
上記説明したように、本実施の形態の部品実装装置1は、部品Dを保持したテープ(キャリアテープ13)を移送し、部品Dを部品供給位置Pに供給する部品供給手段(テープフィーダ5)と、部品供給手段に装着されて部品供給位置Pの手前でテープから部品Dを解放させる部品解放処理手段(部品露出手段25)と、部品解放処理手段の着脱を検知する検知手段34(ドグ32、遮光センサ33)と、部品解放処理手段の着脱に基づいて部品供給手段を制御する制御部(部品供給制御部41)と、を備える、部品供給システムである。これによって、部品供給装置に不適切な部品解放処理手段を取り付けて部品を供給してしまうことを防止することができる。
【0059】
次に
図7を参照して、ラジアル部品フィーダ50について説明する。
図7(a)において、ラジアル部品フィーダ50は、ラジアル方向に延出したリード51を有するラジアル部品Q(部品)を等間隔に保持した部品保持テープ52(テープ)を移送し、ラジアル部品Qを部品供給位置Pに供給する部品供給手段(部品供給装置)である。ラジアル部品フィーダ50は、テープフィーダ5と同様に部品解放処理手段を有し、部品実装装置1の部品供給部4に装着されて、実装ヘッド8にラジアル部品Qを供給する。ラジアル部品フィーダ50が部品供給部4に装着されると、部品実装装置1からラジアル部品フィーダ50に電力が供給されるとともに、ラジアル部品フィーダ50のラジアル制御部53が部品実装装置1の装置制御部24と電気的に接続される。
【0060】
図7(a)において、部品保持テープ52には、ラジアル部品フィーダ50が備えるテープ送り機構54が有するスプロケットに係合する送り孔52aが形成されている。テープ送り機構54は、スプロケットを送り孔52aに係合させて部品保持テープ52を移送することにより、リード51が下方に延出する姿勢でラジアル部品Qを部品供給位置Pに供給するテープ搬送機構である。部品供給位置Pには、テープ送り機構54によって部品供給位置Pに到達したラジアル部品Qのリード51を切断するリードカット機構55が設置されている。リードカット機構55は、部品供給位置Pにおいて実装ヘッド8によって保持されたラジアル部品Qのリード51を固定刃56の刃面56aと可動刃57の刃面57aによって挟断してラジアル部品Qを部品保持テープ52から分離させる。
【0061】
図7(b)、(c)において、固定刃56と可動刃57は、それぞれ固定台座部58と可動台座部59の頂部に刃面56aと刃面57aが対向するように装着されている。固定刃56と可動刃57には、それぞれ上下に貫通してネジ部材60が係合するネジ締結孔56b、57bが形成されている。固定刃56と可動刃57は、それぞれ上方からネジ締結孔56b、57bに挿入したネジ部材60を固定台座部58と可動台座部59の頂部に形成された雌ネジ孔58a、59aに螺合させて固定台座部58と可動台座部59に固定される。可動台座部59は、ラジアル部品フィーダ50が備える可動刃移動機構61によって固定された固定台座部58の方向に往復移動する(矢印f)。
【0062】
ラジアル制御部53は、可動刃移動機構61を制御して可動刃57を固定刃56の方向に移動させ、部品供給位置Pに到達したラジアル部品Qのリード51を切断させる。このように、固定刃56と可動刃57は、ラジアル部品フィーダ50(部品供給装置)に装着されて、部品供給位置Pで部品保持テープ52に保持されたラジアル部品Qのリード51を切断して解放させる部品解放処理手段(リード切断手段)である。固定刃56と可動刃57は、リード51を挟断することで刃面56a、57aが劣化するため、所定の作業量(挟断したラジアル部品Qの累積数、移送した部品保持テープ52の累積数など)が経過すると新しい固定刃56と可動刃57に交換される。
【0063】
図7(b)、(c)において、固定刃56と可動刃57の上面には、固定刃56と可動刃57を特定する識別マークMが形成されている。識別マークMには、作業者の目視により識別可能であってあって且つ部品実装装置1に備えられたヘッドカメラ11の撮像により識別可能な記号や文字が含まれている。ラジアル制御部53が備えるラジアル記憶部62、装置制御部24が備える装置記憶部40には、固定刃56と可動刃57(部品解放処理手段)を特定する固定刃番号、可動刃番号、作業の累積数などの情報が記憶されている。固定刃56と可動刃57が交換されると、累積数がリセットされる。
【0064】
図7(a)、(c)において、固定台座部58と可動台座部59の頂部には、それぞれ固定刃56と可動刃57(部品解放処理手段)の着脱を検知する検知手段であるマイクロスイッチ63、64が設置されている。マイクロスイッチ63、64による検知結果は、ラジアル制御部53に送信される。検知手段によって固定刃56または可動刃57の取り付けが検知されると、ラジアル制御部53は、固定刃56または可動刃57の適合が確認されるまでテープ送り機構54(テープ移送機構)を停止させる。
【0065】
図7(a)、(b)において、固定台座部58と可動台座部59には、それぞれ固定刃56と可動刃57の側部に形成されたピン挿入孔56c、57cに侵入する突出ピン65a、66bを有するソレノイド65、66が設置されている。ソレノイド65、66は、ラジアル部品フィーダ50に電力が供給されると突出ピン65a、66aを内部に引き込み、固定刃56と可動刃57の交換を可能とする。また、ソレノイド65、66は、ラジアル部品フィーダ50に電力が供給されないと突出ピン30aを外部に突出させて固定して、固定刃56と可動刃57の交換を防止する。
【0066】
すなわち、ソレノイド65、66は、電力が供給されている時は固定刃56または可動刃57の取り付けまたは取り外しを許容し、電力が供給されていない時は固定刃56または可動刃57の取り付けまたは取り外しを抑制する着脱抑制機構である。このように、ラジアル部品フィーダ50は、ラジアル部品Qが保持された部品保持テープ52を移送するテープ送り機構54(テープ搬送機構)と、テープ送り機構54を制御するラジアル制御部53と、部品保持テープ52からラジアル部品Qを解放させる固定刃56と可動刃57(部品解放処理手段)と、固定刃56と可動刃57の着脱を検知するマイクロスイッチ63、64(検知手段)を備えている。
【0067】
次に
図8を参照して、部品露出手段25の装着抑制機構を有するテープフィーダ70(部品供給手段、部品供給装置)について説明する。テープフィーダ70は、検知手段34を備えておらず、着脱抑制機構31の代わりに装着抑制機構を備えるところがテープフィーダ5と異なる。以下、テープフィーダ5と同じ構成には同じ符号を付して詳細な説明を省略する。剥離部材26を有する部品露出手段25は、テープフィーダ70の本体部70aの下流側の端部に植設されたピン部材70b廻りに回動自在に保持されている。
【0068】
部品露出手段25の上流側の端部下面には、当接部材71が配置されている。本体部70aの上部板70cには、部品露出手段25が本体部70aに装着された状態で当接部材71に面する位置に上下に貫通する貫通孔70dが形成されている。貫通孔70dには、本体部70aに設置されたソレノイド72の突出ピン72aが貫通するように配置されている。ソレノイド72は、テープフィーダ70に電力が供給されると突出ピン72aを内部に引き込む(
図8(a))。この状態では、ロックレバー27の押下げ部27bを押し下げることで部品露出手段25を自在に開閉することができる。
【0069】
一方、ソレノイド72は、テープフィーダ70に電力が供給されないと突出ピン72aを外部に突出させて固定する(
図8(b))。この状態では、ロックレバー27の押下げ部27bを押し下げて部品露出手段25を開くことはできるが、突出した突出ピン72aが当接部材71に当接するため閉じることができなくなる。このように、当接部材71とソレノイド72は、電力が供給されている時は部品露出手段25(部品解放処理手段)の着脱を許容し、電力が供給されていない時は部品露出手段25の取り外しは許容して取り付けは抑制する装着抑制機構を構成する。
【0070】
以上、本発明の一実施の形態を基に説明した。この実施の形態は、部品供給装置の構成や供給する部品種によっていろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。例えば、部品供給装置の構成として、カバーテープ13dをキャリアテープ13から完全に分離するテープフィーダ(スプライシングフィーダ)の押さえカバー(上述の部品露出手段25と類似機能を有する機構要素)に本発明を適用してもよい。また、アキシャル部品を供給するアキシャル部品フィーダのリードカット機構55に本発明を適用してもよい。
【0071】
また、部品供給装置は、スタンドアローンでも検知手段34を動作できるように電源ユニットを内蔵してもよい。電源ユニットを有することで、部品実装装置1または外段段取り装置に部品供給装置が備えられていない状態においても部品露出手段25の着脱を検知することができる。
【0072】
また、履歴管理として、所定の作業量(累積数)に加えて部品露出手段25が着脱された回数や時期も履歴管理してもよい。さらに供給した部品Dまたは部品Dを実装した基板3と紐付けて管理することで、剥離部材26の着脱起因による剥離手段の破損等による不良基板に関して容易に原因究明ができる。
【0073】
また、識別マーク認識の際に、作業量の状況を確認して、生産中に部品露出手段25の交換が発生するか否かを判断してもよい。すなわち、識別マーク認識工程(ST2)において、認識した識別マークMの部品露出手段25の現在記憶される作業量を取得する。次いで、基板3を生産するための生産データから部品Dを供給する回数を取得し、必要となる作業量を算出する。算出した必要となる作業量と現在記憶される作業量とを比較して、生産中に所定の作業量が経過するかを判断する。生産中に所定の作業量を経過する場合は、部品露出手段25の交換を作業者に報知して、注意喚起を行ってもよい。また、部品解放処理手段の言い換えると、部品をテープから取り出す処理を施す手段である。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明の部品供給システムおよび部品供給装置は、部品供給装置に不適切な部品解放処理手段を取り付けて部品を供給してしまうことを防止することができるという効果を有し、部品を基板に実装する分野において有用である。
【符号の説明】
【0075】
1 部品実装装置(部品供給システム)
5 テープフィーダ(部品供給手段、部品供給装置)
11 ヘッドカメラ(マーク認識手段)
12 タッチパネル(報知手段)
13 キャリアテープ(テープ)
13d カバーテープ
25 部品露出手段(部品解放処理手段)
31 着脱抑制機構
34 検知手段
50 ラジアル部品フィーダ(部品供給手段、部品供給装置)
51 リード
52 部品保持テープ(テープ)
56 固定刃(部品解放処理手段、リード切断手段)
57 可動刃(部品解放処理手段、リード切断手段)
63、64 マイクロスイッチ(検知手段)
65、66 ソレノイド(着脱抑制機構)
D 部品
M 識別マーク
P 部品供給位置
Q ラジアル部品(部品)