(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】手芸針
(51)【国際特許分類】
D05C 1/06 20060101AFI20240510BHJP
D05B 85/02 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
D05C1/06
D05B85/02
(21)【出願番号】P 2020088280
(22)【出願日】2020-05-20
【審査請求日】2023-04-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000105039
【氏名又は名称】クロバー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【氏名又は名称】吉田 稔
(74)【代理人】
【識別番号】100103078
【氏名又は名称】田中 達也
(74)【代理人】
【識別番号】100130650
【氏名又は名称】鈴木 泰光
(74)【代理人】
【識別番号】100168099
【氏名又は名称】鈴木 伸太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【氏名又は名称】小淵 景太
(74)【代理人】
【識別番号】100200609
【氏名又は名称】齊藤 智和
(72)【発明者】
【氏名】新田 久美子
(72)【発明者】
【氏名】甲斐 衣里
【審査官】住永 知毅
(56)【参考文献】
【文献】実開昭48-005051(JP,U)
【文献】中国実用新案第210287765(CN,U)
【文献】特開2009-019283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D05B1/00-97/12
D05C1/00-17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基端部から先端部にかけて長状に延びる柄と、
円筒状とされ、且つ先端部において筒状壁を厚さ方向に貫通する糸通し孔を有しており、上記柄の上記先端部から所定長さ突出する状態で上記柄に固定された針本体と、
上記柄に固定された上記針本体のうち上記柄の上記先端部から突出する部分の周囲を囲むように、
上記柄の上記先端部に着脱可能に取り付けられる接続部材と、
を備える、手芸針。
【請求項2】
上記接続部材を複数備え、
上記柄の上記先端部に取り付けられた上記接続部材に対し、上記針本体の周囲を囲む状態で他の上記接続部材が着脱可能に取り付けられる、請求項1に記載の手芸針。
【請求項3】
上記柄の上記先端部には柄側凸部が形成されており、
上記接続部材には、上記柄側凸部が嵌入し得る接続部材側凹部と、当該接続部材側凹部に嵌入し得る接続部材側凸部とが形成されている、請求項2に記載の手芸針。
【請求項4】
上記柄における上記基端部には、上記接続部材側凸部が嵌入し得る柄側凹部が形成されている、請求項3に記載の手芸針。
【請求項5】
上記柄側凸部の上記接続部材側凹部への嵌入状態、および上記接続部材側凸部の上記接続部材側凹部への嵌入状態を維持する係合手段を備える、請求項3または4に記載の手芸針。
【請求項6】
上記柄の先端付近における外周面および上記接続部材の外周面は
、同一外径とされており、
上記柄の上記外周面および上記接続部材の上記外周面に外嵌可能なリング部材をさらに備える、請求項1ないし5のいずれかに記載の手芸針。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、手芸針に関し、特に、布地に対して刺繍を行う際に使用するのに適した手芸針に関する。
【背景技術】
【0002】
手芸分野において、パンチニードルと呼ばれる手芸針を用いて行う刺繍の手法が知られている。パンチニードルは、筒状の針を備え、この筒状の針に糸を通して刺繍を行う。このような刺繍に使用される手芸針は、たとえば特許文献1に記載されている。
【0003】
パンチニードルにおいては、たとえば針の先端付近に糸通し孔が形成されている。当該糸通し孔は、針の筒状壁を厚さ方向に貫通している。刺繍に使用する糸は、針に挿通させるとともに糸通し孔にも通される。この針を布地に繰り返し突き刺すことで、特許文献1の第8図に示すようにループが形成される。当該ループの高さは、針の突出長さ(針のうち柄の先端部から突出する部分の長さ)に応じた寸法となる。特許文献1に開示された手芸針においては、柄の先端部に止めネジが設けられている。当該止めネジを締め付けることで針が外周側から内側に向けて押圧され、柄の先端部に針が保持される。このように止めネジを具備する構成によれば、針の突出長さを調整可能であり、当該針の突出長さの調整によって上記ループの高さを変更することができる。
【0004】
パンチニードルを用いた刺繍において、使用する糸が毛糸などの太い糸である場合、比較的大径の針が用いられ、針を突き刺す布地の厚さも比較的厚くなる。そうすると、布地に針を突き刺す際に当該針に比較的大きな反力が作用し、上記止めネジによる針の保持では、保持力が不足して針がずれるといった不都合が生じ得た。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示は、このような事情のもとで考え出されたものである。その主たる課題は、針がずれ動くの防止するとともに、針の突出長さを調整することが可能な手芸針を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本開示では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
本開示の一実施形態によって提供される手芸針は、基端部から先端部にかけて長状に延びる柄と、上記柄の上記先端部から所定長さ突出する状態で上記柄に固定された針本体と、上記針本体の周囲を囲むように、上記先端部に着脱可能に取り付けられる接続部材と、を備える。
【0009】
好ましい実施の形態においては、上記接続部材を複数備え、上記先端部に取り付けられた上記接続部材に対し、上記針本体の周囲を囲む状態で他の上記接続部材が着脱可能に取り付けられる。
【0010】
好ましい実施の形態においては、上記柄の上記先端部には柄側凸部が形成されており、上記接続部材には、上記柄側凸部が嵌入し得る接続部材側凹部と、当該接続部材側凹部に嵌入し得る接続部材側凸部とが形成されている。
【0011】
好ましい実施の形態においては、上記柄における上記基端部には、上記接続部材側凸部が嵌入し得る柄側凹部が形成されている。
【0012】
好ましい実施の形態においては、上記柄側凸部の上記接続部材側凹部への嵌入状態、および上記接続部材側凸部の上記接続部材側凹部への嵌入状態を維持する係合手段を備える。
【0013】
好ましい実施の形態においては、上記柄の先端付近における外周面および上記接続部材の外周面は、略同一外径とされており、上記柄の上記外周面および上記接続部材の上記外周面に外嵌可能なリング部材をさらに備える。
【0014】
本開示による手芸針のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】一実施形態に係る手芸針を示す正面図である。
【
図3】
図2のIII-III線に沿う断面図である。
【
図7】
図1のVII-VII線に沿う断面図である。
【
図8】接続部材の取り付け状態の他の例を示す正面図である。
【
図9】接続部材の取り付け状態の他の例を示す正面図である。
【
図10】接続部材の取り付け状態の他の例を示す正面図である。
【
図11】
図1に示した手芸針の使用例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、手芸針の実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0017】
図1~
図5は、一実施形態に係る手芸針を示している。図示された手芸針A1は、柄1、針本体2、接続部材3、固定部材4、およびリング部材5を備えている。
【0018】
柄1は、一定方向に延びる長状の円筒状棒材である。柄1は、たとえばABS樹脂(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂)などの所定の強度を有する合成樹脂により一体形成されたものである。但し、柄1の構成材料は上記のABS樹脂に限定されるものではなく、種々選択が可能である。なお、以下の説明において、
図1、
図3~
図5における上側が、柄1、針本体2や接続部材3の各部材の基端側に該当し、同図中下側が、上記各部材の先端側に該当する。
【0019】
図3~
図5に示すように、柄1の基端部11(図中上端部)には、柄側凹部111が形成されている。柄側凹部111は、柄1の基端面から先端側に向けて凹む部位であり、後述の接続部材3の接続部材側凸部32が嵌入し得る部位である。本実施形態では、柄側凹部111には、溝112および係合孔113が形成されている。溝112は、周方向に間隔を隔てて複数形成されており、基端部11の基端面から先端側に向けて所定幅、所定長さで延びている。係合孔113は、基端部11の径方向に貫通する孔であり、溝112に対して周方向に隣接して形成されている。本実施形態においては2つの係合孔113が設けられており、これら係合孔113は基端部11の周方向に等間隔で配置される。
【0020】
柄1の先端部12(図中下端部)には、柄側凸部121が形成されている。柄側凸部121は、他の部位よりも外径が小とされており、後述の接続部材3の接続部材側凹部31に嵌入し得る部位である。柄側凸部121の外周部には、係合突起122が設けられている。係合突起122は、柄側凸部121の外周部から径方向外方に膨出している。本実施形態においては2つの係合突起122が設けられており、これら係合突起122は先端部12の周方向に等間隔で配置される。
【0021】
針本体2は、略円筒状とされており、柄1に固定されている。本実施形態では、針本体2は、固定部材4を介して柄1に固定される。具体的には、固定部材4は、基端側が筒状とされており、先端側に互いに対向する一対の係止片41が設けられている。当該係止片41には、内向きに膨出する係止突起42が形成されている。針本体2の基端部には、互いに対向する一対の係止孔21が形成されている。当該係止孔21には、固定部材4の係止突起42が嵌入している。一対の係止孔21への係止突起42の嵌入は、たとえば固定部材4の係止片41を互いに離間するように弾性変形させつつ係止孔21に係止突起42を位置合わせし、係止片41を元の位置に復元させることにより行う。このようにして、針本体2は固定部材4に支持される。そして、固定部材4は、柄1の基端側から当該柄1に内挿されており、固定部材4と柄1とがたとえば接着剤により固定される。
【0022】
本実施形態においては、
図3等に表れているように、針本体2の先端部(針先23)は、傾斜状に切除された形状とされている。また、針本体2の先端部には、糸通し孔24が形成されている。糸通し孔24は、針本体2の筒状壁を厚さ方向に貫通している。このような構成の針本体2は、柄1の先端部12から突出する部分(突出部22)の長さL1が所定長さとなるように設定される。針本体2は、たとえば金属材料により構成される。
【0023】
図1、
図3、
図4等に示すように、接続部材3は、柄1の先端部12に取り付けられる部材である。接続部材3は、筒状とされており、針本体2(突出部22)の周囲を囲む状態で先端部12に取り付けられる。また、先端部12に取り付けられた接続部材3に対し、針本体2(突出部22)の周囲を囲む状態で他の接続部材3が取り付けられる。
【0024】
接続部材3は、接続部材側凹部31および接続部材側凸部32を有する。接続部材側凹部31は、接続部材3の基端面から先端側に向けて凹む部位であり、柄1の柄側凸部121が嵌入可能である。
【0025】
本実施形態において、
図5、
図6、
図7に示すように、接続部材側凹部31には、溝311、係合凹部312および係合凸部313が形成されている。溝311は、周方向に間隔を隔てて複数形成されており、接続部材3の基端面から先端側に向けて所定幅、所定長さで延びている。係合凹部312は、接続部材側凹部31の内周面において凹む部位であり、溝311に対して周方向に隣接して形成されている。係合凸部313は、隣接する溝311および係合凹部312の間に設けられており、径方向内方に膨出する部位である。溝311、係合凹部312および係合凸部313は、それぞれ2つずつ設けられており、これら溝311、係合凹部312および係合凸部313は、それぞれが接続部材3の周方向に等間隔で配置される。
【0026】
図5、
図6等から理解されるように、接続部材側凹部31の溝311と柄側凸部121の係合突起122との周方向の位置を合わせた状態において、接続部材側凹部31に柄側凸部121を嵌入可能である。そして、接続部材側凹部31に柄側凸部121を嵌入した状態で接続部材3を周方向に回動させると、係合突起122が係合凸部313に圧接した後で係合凹部312に収容される。ここで、柄側凸部121の接続部材側凹部31への嵌入状態が維持されており、接続部材3が柄1の先端部12から分離することは防止される。上記構成により、接続部材3は、柄1の先端部12に着脱可能に取り付けられる。接続部材側凹部31の溝311、係合凹部312、係合凸部313、および柄側凸部121の係合突起122は、本開示で言う係合手段の一例に相当する。
【0027】
図3~
図5に示すように、接続部材側凸部32は、他の部位よりも外径が小とされており、他の接続部材3の接続部材側凹部31に嵌入し得る部位である。接続部材側凸部32の外周部には、係合突起321が設けられている。係合突起321は、接続部材側凸部32の外周部から径方向外方に膨出している。本実施形態においては2つの係合突起321が設けられており、これら係合突起321は接続部材側凸部32(接続部材3)の周方向に等間隔で配置される。
【0028】
図5、
図7等から理解されるように、接続部材側凹部31(他の接続部材3)の溝311と接続部材側凸部32の係合突起321との周方向の位置を合わせた状態において、接続部材側凹部31に接続部材側凸部32を嵌入可能である。そして、接続部材側凹部31に接続部材側凸部32を嵌入した状態で他の接続部材3を周方向に回動させると、係合突起321が係合凸部313に圧接した後で係合凹部312に収容される。ここで、接続部材側凸部32の接続部材側凹部31(他の接続部材3)への嵌入状態が維持されており、他の接続部材3が、柄1の先端部12に取り付けられた接続部材3から分離することは防止される。上記構成により、他の接続部材3は、柄1に先端部12に取り付けられた接続部材3に対し、着脱可能に取り付けられる。接続部材側凹部31の溝311、係合凹部312、係合凸部313、および接続部材側凸部32の係合突起321は、本開示で言う係合手段の一例に相当する。
【0029】
本実施形態において、接続部材3の接続部材側凸部32は、柄1(基端部11)の柄側凹部111に嵌入可能である。具体的には、
図3~
図5等から理解されるように、柄側凹部111の溝112と接続部材側凸部32の係合突起321との周方向の位置を合わせた状態において、柄側凹部111に接続部材側凸部32を嵌入可能である。そして、柄側凹部111に接続部材側凸部32を嵌入した状態で接続部材3を周方向に回動させると、係合突起321が係合孔113に収容される。ここで、接続部材側凸部32の柄側凹部111への嵌入状態が維持されており、接続部材3が柄1の基端部11から分離することは防止される。上記構成により、接続部材3は、柄1の基端部11に着脱可能に取り付けられる。接続部材3は、たとえばABS樹脂などの所定の強度を有する合成樹脂により一体形成されたものである。
【0030】
リング部材5は、柄1の先端付近または接続部材3に着脱可能に外嵌装着される円環状部材である。このリング部材5は、ユーザが手芸針A1を使用する際に手で握り易くするものである。本実施形態において、柄1の先端付近における外周面12a、および接続部材3の外周面3aは、略同一外径とされている。リング部材5は、たとえばシリコーンゴムなどの弾性部材からなり、自然状態におけるリング部材5の内径寸法は、柄1の外周面12aおよび接続部材3の外周面3aの外径寸法よりも小とされる。リング部材5は、伸張されつつ柄1の先端付近あるいは接続部材3に外嵌される。そして、リング部材5の装着時には、当該リング部材5の内周面が、柄1の先端付近の外周面12aあるいは接続部材3の外周面3aに圧接する。
【0031】
本実施形態の手芸針A1は複数の接続部材3を備えており、図示した例では3つの接続部材3を具備する。図示した例では、針本体2において柄1の先端部12から突出する部分(突出部22)の長さL1は、たとえば約5.5cmである。柄1の先端部12に接続部材3が1つ取り付けられると、針本体2のうち柄1の先端部12ないし接続部材3から露出する部分の長さが上記突出部22の長さL1よりも1cm短くなる。
図1に示す態様においては、柄1の先端部12に2つの接続部材3が取り付けられており、柄1の基端部11に1つの接続部材3が取り付けられている。
図1に示した態様では、柄1の先端部12に2つの接続部材3が取り付けられているため、針本体2のうち接続部材3から露出する部分の長さL2は、約3.5cmとなる。
【0032】
図8~
図10は、接続部材3の取り付け状態が
図1とは異なる場合を示している。
図8に示す態様においては、柄1の先端部12に1つの接続部材3が取り付けられており、柄1の基端部11に2つの接続部材3が取り付けられている。
図8に示した態様では、柄1の先端部12に1つの接続部材3が取り付けられているため、針本体2のうち接続部材3から露出する部分の長さL3は、約4.5cmとなる。
【0033】
図9に示す態様においては、柄1の先端部12に3つの接続部材3が取り付けられており、柄1の基端部11には接続部材3が取り付けられていない。
図9に示した態様では、柄1の先端部12に3つの接続部材3が取り付けられているため、針本体2のうち接続部材3から露出する部分の長さL4は、約2.5cmとなる。
【0034】
図10に示す態様においては、柄1の先端部12には接続部材3が取り付けられておらず、柄1の基端部11に3つの接続部材3が取り付けられている。
図10に示した態様では、柄1の先端部12に接続部材3が取り付けられていないため、針本体2のうち柄1の先端部12から露出する部分の長さL5が、約5.5cmである。
【0035】
次に、上述の手芸針A1の使用例および作用効果について説明する。
【0036】
本実施形態の手芸針A1は、
図11に示すように、布地Cに対して刺繍を行う際に使用される。ここで、手芸針A1の柄1ないし針本体2には、たとえば毛糸などの糸Yが挿通されており、当該糸Yは糸通し孔24にも通される。手芸針A1を用いた刺繍では、布地Cに針本体2を突き刺す操作が繰り返され、布地Cの裏側にループが形成される。当該ループの高さは、針本体2の突出長さ(針本体2のうち柄の先端部ないし接続部材3から露出する部分の長さ)に応じた寸法となる。なお、
図11に記載された手芸針A1は、
図1に示した態様と同じである。すなわち、
図11の手芸針A1は、柄1の先端部12に2つの接続部材3が取り付けられているため、針本体2のうち接続部材3から露出する部分の長さL2は、約3.5cmとなる。
【0037】
手芸針A1において、針本体2は、柄1の先端部12から所定長さL1だけ突出する状態で柄1に固定される。柄1の先端部12には、針本体2(突出部22)の周囲を囲むようにして接続部材3が着脱可能に取り付けられる。このような構成によれば、柄1の先端部12への接続部材3の取り付け状態を変更することで、針本体2の突出長さ(針本体2のうち柄1の先端部12ないし接続部材3から露出する部分の長さ)を調整することができる。
【0038】
また、針本体2は柄1に固定(本実施形態では固定部材4を介して柄1に固定)されているため、たとえば針本体2に大きな反力等が作用する場合であっても、針本体2が柄1に対して不当にずれ動くことは防止される。
【0039】
本実施形態において、手芸針A1は複数の接続部材3を備えている。また、柄1の先端部12に取り付けられた接続部材3に対し、針本体2(突出部22)の周囲を囲む状態で他の接続部材3が着脱可能に取り付けられる。このような構成によれば、
図1、
図9に示すように、柄1の先端部12に、複数の接続部材3を継ぎ足して接続することが可能である。これにより、針本体2の突出長さ(針本体2のうち柄1の先端部12ないし接続部材3から露出する部分の長さ)を段階的に細かく調整することが可能である。
【0040】
柄1の先端部12には柄側凸部121が形成されており、接続部材3には、接続部材側凹部31および接続部材側凸部32が形成されている。接続部材側凹部31には、柄1の柄側凸部121が嵌入可能である。接続部材側凸部32は、接続部材側凹部31に嵌入可能である。このような構成によれば、柄1の先端部12と接続部材3との接続構造、あるいは接続部材3どうしの接続構造が、凹凸形状の組み合わせによる構造であるので、部材どうしの接続ないし分離をスムーズに行うことができる。
【0041】
本実施形態では、柄1の基端部11には柄側凹部111が形成されている。当該柄側凹部111には、接続部材3の接続部材側凸部32が嵌入可能である。このような構成によれば、柄1の先端部12への接続に使用しない接続部材3について、柄1に適切に保持させることができ、紛失等の不都合を回避することができる。また、複数の接続部材3を柄1の先端部12あるいは基端部11のいずれかに接続することにより、柄1および複数の接続部材3の軸方向の全長を一定長さが維持されるので、使い勝手が良い。
【0042】
図5、
図6等を参照して説明したように、柄1の柄側凸部121と接続部材3の接続部材側凹部31との嵌入状態は、接続部材側凹部31の溝311、係合凹部312、係合凸部313、および柄側凸部121の係合突起122の協働により維持される。このような構成によれば、接続部材3が柄1の先端部12から不用意に分離することは防止される。また、
図5、
図7等を参照して説明したように、接続部材3の接続部材側凸部32と他の接続部材3の接続部材側凹部31との嵌入状態は、接続部材側凹部31の溝311、係合凹部312、係合凸部313、および接続部材側凸部32の係合突起321の協働により維持される。このような構成によれば、互いに接続された接続部材3どうしが不用意に分離することは防止される。
【0043】
柄1の先端付近における外周面12a、および接続部材3の外周面3aは、略同一外径とされている。また、本実施形態の手芸針A1は、リング部材5を備えている。このリング部材5は、柄1の外周面12aおよび接続部材3の外周面3aのいずれに対しても外嵌可能である。このような構成によれば、柄1の先端部12への接続部材3の取り付け状態に応じて、リング部材5をユーザの好みに応じた位置に取り付けて使用することができるので、使い勝手が良い。
【0044】
本開示の手芸針は、上記した実施形態に限定されるものではない。手芸針の各部の具体的な構成は、特許請求の範囲に記載の内容から逸脱しない範囲内で種々、変更が可能である。
【0045】
上記実施形態において、柄1の柄側凸部121と接続部材3の接続部材側凹部31との接続時に係合突起122および係合凹部312の係合により接続状態が維持される構成について説明したが、これに限定されない。たとえば柄側凸部121が接続部材側凹部31に圧入されることによって柄1と接続部材3とを接続する構成としてもよい。また、接続部材3どうしの接続についても、接続部材側凸部32が接続部材側凹部31に圧入される構成としてもよい。
【0046】
本開示の手芸針は、上記実施形態において説明した刺繍を行う際に使用する用途の他にも、種々の用途に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0047】
A1 手芸針
C 布地
Y 糸
1 柄
11 基端部
111 柄側凹部
112 溝
113 係合孔
12 先端部
12a 外周面(柄の先端付近の外周面)
121 柄側凸部
122 係合突起
2 針本体
21 係止孔
22 突出部
23 針先
24 糸通し孔
3 接続部材
3a 外周面(接続部材の外周面)
31 接続部材側凹部
311 溝
312 係合凹部
313 係合凸部
32 接続部材側凸部
321 係合突起
4 固定部材
41 係止片
42 係止突起
5 リング部材