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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】防護服
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/00 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
A41D13/00 102
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020095372
(22)【出願日】2020-06-01
(65)【公開番号】P2021188190
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】597008533
【氏名又は名称】フレックスジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000512
【氏名又は名称】弁理士法人山田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢島 隆生
【審査官】冨江 耕太郎
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3208612(JP,U)
【文献】実開平4-53010(JP,U)
【文献】特許第5664812(JP,B1)
【文献】特開2014-84541(JP,A)
【文献】特開2003-268610(JP,A)
【文献】実開平7-42780(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D13/00-13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感染防止を図るために用いる使い捨ての防護服であって、樹脂シートから一筆書き状に裁断された上部パーツと下部パーツとからなり、前記上部パーツは、上側部位を背面側へ折り返し且つその折り返し部分の中央に縦方向に入れた切れ目により着用者の頭部を通す首抜き部を形成したポンチョ形を成しており、正面側に垂れて着用者の胸部から腹部にかけての範囲を覆う前垂れ部の中途部両側と、背面側に垂れて着用者の背中を覆う後垂れ部の下端部両側とに着用者の胴体に巻き締めるための帯部が夫々形成され、前記折り返し部分における左右両側に形成した張り出し部分が筒状に綴じ合わされて袖部が形成されている一方、前記下部パーツは、着用者の腰から足にかけての範囲を正面側から背面側へ巻いて覆う前掛け形を成しており、その上端両側に着用者の腰に巻き締めるための腰紐部が形成されており、前記上部パーツにおける後垂れ部に、前記首抜き部の切れ目に対し縦方向に断続的に並ぶ別の切れ目を入れることで第一の破断補助スリットが形成され、前記上部パーツにおける前垂れ部側には、帯部の基端部分を取り囲んで該帯部の切り離しを促す切れ目を入れることで第二の破断補助スリットが形成されていることを特徴とする防護服。
【請求項2】
上部パーツと下部パーツを裁断する樹脂シートがポリエチレンシートであることを特徴とする請求項に記載の防護服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感染患者の治療に当たる医療スタッフ等が感染防止を目的として用いる使い捨ての防護服に関するものである。
【背景技術】
【0002】
2020年における新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に見られるように、感染症の大規模な流行時において、感染患者の治療に当たらなければならない医療スタッフ等は、シャワーキャップやマスク、ビニール手袋を着用した上、防護服を着用して患者からの感染を防ぐよう努める必要がある。
【0003】
また、医療現場の崩壊が懸念されるほどの深刻な流行下では、症状が軽度のうちは簡単に入院できず、在宅で家族が看護に当たらなければならない場合も考えられ、そのような場合にあっては、家族間での感染が広がらないように、感染患者の看護に当たる家族も医療スタッフと同じように防護服を着用することが好ましい。
【0004】
尚、この種の防護服に関連する先行技術文献情報としては、例えば下記の特許文献1、2等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-2545号公報
【文献】実用新案登録第3141379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この種の防護服は単に着用者自身が患者から感染しなければ良いというものではなく、適切に新しい防護服に着替えて次々と使い捨てていくことで防護服を介した他者への感染を防ぐ必要がある。
【0007】
即ち、看護中に患者の咳がかかった場所や接触部分はウイルスに汚染されることになり、目に見えなくても防護服の表面にはウイルスや細菌が付着してしまっている可能性があるため、感染患者を看護した後で同じ防護服を着たまま他の病室に入れば、その病室まで汚染してしまう危険があるからである。
【0008】
このため、在庫に余裕があれば、防護服は何度も脱ぎ着して使い捨てていく必要があり、簡単に脱ぎ着することができるようにする必要がある上、その制作を容易化して急激な需要の高まりにも迅速に対応できるようにしなければならず、一枚当たりにかかるコストを極力下げて経済的負担を軽減する必要もある。
【0009】
例えば、先にあげた特許文献1、2に記載されているような防護服では、上着とズボンが一体となった繋ぎ服の形式となっており、正面側や背面側に装備したファスナーを開け閉めして脱ぎ着するようになっているが、このような繋ぎ服の形式では脱ぎ着に手間がかかり、何度も脱ぎ着して使い捨てていくような使い方には適していない。
【0010】
しかも、このような繋ぎ服は簡単に縫製することができず、感染症の大規模な流行時における急激な需要の高まりに迅速に対応させることが難しく、一枚当たりにかかるコストも高くついてしまう。
【0011】
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、簡便に脱ぎ着することが可能で且つその制作も容易で急激な需要の高まりにも迅速に対応することが可能な上、安価なコストで制作することが可能で経済的負担の少ない使い捨て防護服を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、感染防止を図るために用いる使い捨ての防護服であって、樹脂シートから一筆書き状に裁断された上部パーツと下部パーツとからなり、前記上部パーツは、上側部位を背面側へ折り返し且つその折り返し部分の中央に縦方向に入れた切れ目により着用者の頭部を通す首抜き部を形成したポンチョ形を成しており、正面側に垂れて着用者の胸部から腹部にかけての範囲を覆う前垂れ部の中途部両側と、背面側に垂れて着用者の背中を覆う後垂れ部の下端部両側とに着用者の胴体に巻き締めるための帯部が夫々形成され、前記折り返し部分における左右両側に形成した張り出し部分が筒状に綴じ合わされて袖部が形成されている一方、前記下部パーツは、着用者の腰から足にかけての範囲を正面側から背面側へ巻いて覆う前掛け形を成しており、その上端両側に着用者の腰に巻き締めるための腰紐部が形成されており、前記上部パーツにおける後垂れ部に、前記首抜き部の切れ目に対し縦方向に断続的に並ぶ別の切れ目を入れることで第一の破断補助スリットが形成され、前記上部パーツにおける前垂れ部側には、帯部の基端部分を取り囲んで該帯部の切り離しを促す切れ目を入れることで第二の破断補助スリットが形成されていることを特徴とするものである。
【0013】
而して、このように構成された防護服を使用時に着用するにあたっては、先ず前掛け形の下部パーツの上端両側にある腰紐部を両手でつかんで前記下部パーツ全体を両足の前にあてがい、前記各腰紐部の夫々を背面側に回し込んでから正面側に戻して縛ると、着用者の腰から足にかけての範囲が前記下部パーツにより正面側から背面側へ巻かれて覆われることになる。
【0014】
次いで、ポンチョ形の上部パーツの両袖部に着用者の腕を通した後、前記上部パーツを被って首抜き部から着用者の頭部を突き出し、後垂れ部を着用者の背中を覆うように整えてから該後垂れ部の各帯部を正面側に回し込んで縛り、然る後、前垂れ部を着用者の胸部から腹部にかけての範囲を覆うように整え、該前垂れ部の各帯部の夫々を背面側に回し込んでから正面側に戻して縛ると、着用者の上半身が前記前垂れ部と前記後垂れ部とにより巻き締められて覆われることになる。
【0015】
尚、先行して後垂れ部の各帯部を正面側に回し込んで縛る際には、前垂れ部をたくし上げて該前垂れ部の内側で縛り、その縛った上から前垂れ部を被せるようにすれば良く、該前垂れ部の帯部はそのまま前記前垂れ部の外側で縛れば良い。
【0016】
そして、前記防護服を使用後に脱ぐ際には、先ず上部パーツの首抜き部周辺を両手でつかんで左右に引っ張ると、もともと縦方向の切れ目でしかない首抜き部が左右に簡単に引き裂かれ、裂け目を大きくしていくことで後垂れ部が左右に分離するので、後は前垂れ部の各帯部を引き延ばして緩めたり引き千切ったりして脱げば良く、他方、下部パーツについても、各腰紐部を引き延ばして緩めたり引き千切ったりして脱げば良い。
【0017】
また、本発明においては、上部パーツにおける後垂れ部に、首抜き部の切れ目に対し縦方向に断続的に並ぶ別の切れ目を入れて第一の破断補助スリットを形成しているので、上部パーツの首抜き部を左右に引き裂いた際に、該首抜き部の切れ目に対し縦方向に断続的に並ぶ第一の破断補助スリットにより裂け目が簡単に大きくなって前記上部パーツを脱ぎ易くなる。
【0018】
更に、本発明においては、上部パーツにおける前垂れ部側に、帯部の基端部分を取り囲んで該帯部の切り離しを促す切れ目を入れて第二の破断補助スリットを形成しているので、前垂れ部側の外側で縛られた各帯部を前方に引き延ばすだけで、該各帯部の基端部分における切り離しが第二の破断補助スリットにより促され、前記上部パーツをより一層脱ぎ易くなる。
【0019】
また、本発明をより具体的に実施するにあたっては、上部パーツと下部パーツを裁断する樹脂シートがポリエチレンシートであることが好ましく、ポリエチレンシートであれば、原料費が安価であることからコストを大幅に低減することが可能で且つ例えば0.01mm程度の薄さでも使い捨ての防護服として使用するに足る耐久性を発揮させることが可能である。
【発明の効果】
【0020】
上記した本発明の防護服によれば、下記の如き種々の優れた効果を奏し得る。
【0021】
(I)前掛け形の下部パーツを着用者の腰まわりに巻き付けて腰紐部で縛るだけで簡単に着用することができる上、ポンチョ形の上部パーツを被って帯部で胴体に巻き締めるだけで簡単に着用することができ、しかも、使用後は上部パーツの首抜き部を引き裂き且つ各帯部を引き延ばして緩めたり引き千切ったりするだけで簡単に脱ぐこともでき、下部パーツについても各腰紐部を引き延ばして緩めたり引き千切ったりするだけで簡単に脱ぐことができるので、使い捨ての防護服として非常に簡便に脱ぎ着することができる。
【0022】
(II)防護服を成す上部パーツと下部パーツは、樹脂シートから一筆書き状に裁断することができて裁断時間の大幅な短縮化を図ることができ、後は上部パーツの上側部位を背面側へ折り返し且つその折り返し部分における左右両側に形成した張り出し部分を筒状に綴じ合わて袖部を形成するだけで完成させることができるので、防護服の制作を著しく容易化して感染症の大規模な流行時における急激な需要の高まりに対し迅速に対応させることができ、しかも、樹脂シートから制作できることで一枚当たりにかかるコストを極力下げることができ、使い捨てによる経済的負担を著しく軽減することができる。
【0023】
(III)上部パーツにおける後垂れ部に、首抜き部の切れ目に対し縦方向に断続的に並ぶ別の切れ目を入れて第一の破断補助スリットを形成しているので、上部パーツの首抜き部を左右に引き裂くことでできる裂け目を第一の破断補助スリットにより簡単に大きくして前記上部パーツを脱ぎ易くすることができる。
【0024】
(IV)上部パーツにおける前垂れ部側に、帯部の基端部分を取り囲んで該帯部の切り離しを促す切れ目を入れて第二の破断補助スリットを形成しているので、前垂れ部側の外側で縛られた各帯部を前方に引き延ばすだけで、該各帯部の基端部分における切り離しを第二の破断補助スリットにより促すことができ、前記上部パーツをより一層脱ぎ易くすることができる。
【0025】
(V)上部パーツと下部パーツを裁断する樹脂シートをポリエチレンシートとした構成を採用すれば、ポリエチレンシートの原料費が安価であることからコストを大幅に低減することができると共に、例えば0.01mm程度の薄さでも使い捨ての防護服として使用するに足る耐久性を発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明を実施する形態の一例を示す背面図である。
図2図1の上部パーツの展開図である。
図3図1の下部パーツを装着する直前の状態を示す正面図である。
図4図3の下部パーツを装着し終えた状態を示す正面図である。
図5図1の上部パーツを下から被っている状態を示す正面図である。
図6図5の上部パーツを装着し終えた状態を示す正面図である。
図7図6の上部パーツの脱ぎ始めの状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0028】
図1図7は本発明を実施する形態の一例を示すもので、感染患者の治療に当たる医療スタッフ等が着用して感染防止を図るための使い捨ての防護服1に関し、図1に背面図で示す如く、一般的な強化を施したポリエチレンシート(樹脂シート)から一筆書き状に裁断された上部パーツ2と下部パーツ3とからなるものであるが、上部パーツ2については、上側部位を背面側へ折り返し且つその折り返し部分の中央に縦方向に入れた切れ目により着用者の頭部を通す首抜き部4を形成したポンチョ形を成すようにしてある。尚、このようにポンチョ形にして使用する前の上部パーツ2の状態は図2に展開図で示す通りであり、この図2の展開図における折れ線A(図2参照)で上部パーツ2の上側部位が背面側へ折り返されることになる。
【0029】
また、前記上部パーツ2にあっては、正面側に垂れて着用者の胸部から腹部にかけての範囲を覆う前垂れ部5の中途部両側と、背面側に垂れて着用者の背中を覆う後垂れ部6の下端部両側とに着用者の胴体に巻き締めるための帯部7,8が夫々形成されており、前記折り返し部分における左右両側に形成した張り出し部分が筒状に綴じ合わされて袖部9が形成されるようになっている。
【0030】
この袖部9の綴じ合わせに関しては、ミシン等を用いて糸で縫い付けるようにしても良いし、溶着により綴じ合わせるようにしても良く、更には、接着剤を用いて接着するようにしても良いが、何れの場合においても、その綴じ合わせ箇所が袖部9の下側となるため、感染患者の咳等による飛沫が袖部9にかかっても該袖部9の中まで侵入する虞は極めて少ない。
【0031】
更に、前記上部パーツ2における後垂れ部6には、前記首抜き部4の切れ目に対し縦方向に断続的に並ぶ別の切れ目が入れられて破断補助スリット10(第一の破断補助スリット)が形成されるようになっており、前記上部パーツ2における前垂れ部5側の帯部7の基端部分には、該帯部7の切り離しを促す切れ目が入れられて破断補助スリット11(第二の破断補助スリット)が形成されるようになっている。
【0032】
一方、前記下部パーツ3は、着用者の腰から足にかけての範囲を正面側から背面側へ巻いて覆う前掛け形を成しており、その上端両側に着用者の腰に巻き締めるための腰紐部12が形成されている。
【0033】
而して、このように構成された防護服1を使用時に着用するにあたっては、図3に示す如く、先ず前掛け形の下部パーツ3の上端両側にある腰紐部12を両手でつかんで前記下部パーツ3全体を両足の前にあてがい、次いで、図4に示す如く、前記各腰紐部12の夫々を背面側に回し込んでから正面側に戻して縛ると、着用者の腰から足にかけての範囲が前記下部パーツ3により正面側から背面側へ巻かれて覆われることになる。
【0034】
更に、図5に示す如く、ポンチョ形の上部パーツ2の両袖部9に着用者の腕を通した後、前記上部パーツ2を被って首抜き部4から着用者の頭部を突き出し、後垂れ部6を着用者の背中を覆うように整えてから該後垂れ部6の各帯部8を正面側に回し込んで縛り、然る後、前垂れ部5を着用者の胸部から腹部にかけての範囲を覆うように整え、該前垂れ部5の各帯部7の夫々を背面側に回し込んでから正面側に戻して縛ると、図6に示す如く、着用者の上半身が前記前垂れ部5と前記後垂れ部6とにより巻き締められて覆われることになる。
【0035】
尚、先行して後垂れ部6の各帯部8を正面側に回し込んで縛る際には、前垂れ部5をたくし上げて該前垂れ部5の内側で縛り、その縛った上から前垂れ部5を被せるようにすれば良く、該前垂れ部5の帯部7はそのまま前記前垂れ部5の外側で縛れば良い。
【0036】
そして、前記防護服1を使用後に脱ぐ際には、図7に示す如く、先ず上部パーツ2の首抜き部4周辺を両手でつかんで左右に引っ張ると、もともと縦方向の切れ目でしかない首抜き部4が左右に簡単に引き裂かれ、裂け目を大きくしていくことで後垂れ部6が左右に分離するので、後は前垂れ部5の各帯部7を引き延ばして緩めたり引き千切ったりして脱げば良く、他方、下部パーツ3についても、各腰紐部12を引き延ばして緩めたり引き千切ったりして脱げば良い。
【0037】
また、特に本形態例においては、上部パーツ2における後垂れ部6に、首抜き部4の切れ目に対し縦方向に断続的に並ぶ別の切れ目を入れて破断補助スリット10としているので、上部パーツ2の首抜き部4を左右に引き裂いた際に、該首抜き部4の切れ目に対し縦方向に断続的に並ぶ破断補助スリット10により裂け目が簡単に大きくなって前記上部パーツ2を脱ぎ易くなる。
【0038】
更に、上部パーツ2における前垂れ部5側の帯部7の基端部分にも、該帯部7の切り離しを促す切れ目を入れて破断補助スリット11としているので、前垂れ部5側の外側で縛られた各帯部7を前方に引き延ばすだけで、該各帯部7の基端部分における切り離しが破断補助スリット11により促され、前記上部パーツ2をより一層脱ぎ易くなる。
【0039】
また、上部パーツ2と下部パーツ3を裁断する樹脂シートとして採用しているポリエチレンシートは、原料費が安価であることからコストを大幅に低減することが可能である上、例えば0.01mm程度の薄さでも使い捨ての防護服1として使用するに足る耐久性を発揮させることが可能である。
【0040】
従って、斯かる形態例によれば、前掛け形の下部パーツ3を着用者の腰まわりに巻き付けて腰紐部12で縛るだけで簡単に着用することができる上、ポンチョ形の上部パーツ2を被って帯部7,8で胴体に巻き締めるだけで簡単に着用することができ、しかも、使用後は上部パーツ2の首抜き部4を引き裂き且つ各帯部7,8を引き延ばして緩めたり引き千切ったりするだけで簡単に脱ぐこともでき、下部パーツ3についても各腰紐部12を引き延ばして緩めたり引き千切ったりするだけで簡単に脱ぐことができるので、使い捨ての防護服1として非常に簡便に脱ぎ着することができる。
【0041】
また、防護服1を成す上部パーツ2と下部パーツ3は、樹脂シートから一筆書き状に裁断することができて裁断時間の大幅な短縮化を図ることができ、後は上部パーツ2の上側部位を背面側へ折り返し且つその折り返し部分における左右両側に形成した張り出し部分を筒状に綴じ合わて袖部9を形成するだけで完成させることができるので、防護服1の制作を著しく容易化して感染症の大規模な流行時における急激な需要の高まりに対し迅速に対応させることができ、しかも、樹脂シートから制作できることで一枚当たりにかかるコストを極力下げることができ、使い捨てによる経済的負担を著しく軽減することができる。
【0042】
更に、上部パーツ2における後垂れ部6に、首抜き部4の切れ目に対し縦方向に断続的に並ぶ別の切れ目を入れて破断補助スリット10としているので、上部パーツ2の首抜き部4を左右に引き裂くことでできる裂け目を破断補助スリット10により簡単に大きくして前記上部パーツ2を脱ぎ易くすることができる。
【0043】
また、上部パーツ2における前垂れ部5側の帯部7の基端部分に、該帯部7の切り離しを促す切れ目を入れて破断補助スリット11としているので、前垂れ部5側の外側で縛られた各帯部7を前方に引き延ばすだけで、該各帯部7の基端部分における切り離しを破断補助スリット11により促すことができ、前記上部パーツ2をより一層脱ぎ易くすることができる。
【0044】
しかも、上部パーツ2と下部パーツ3を裁断する樹脂シートとして採用したポリエチレンシートの原料費が安価であることからコストを大幅に低減することができると共に、例えば0.01mm程度の薄さでも使い捨ての防護服1として使用するに足る耐久性を発揮させることができる。
【0045】
尚、本発明の防護服は、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、上部パーツと下部パーツを裁断する樹脂シートは必ずしもポリエチレンシートでなくても良いこと、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0046】
1 防護服
2 上部パーツ
3 下部パーツ
4 首抜き部
5 前垂れ部
6 後垂れ部
7 帯部
8 帯部
9 袖部
10 破断補助スリット(第一の破断補助スリット)
11 破断補助スリット(第二の破断補助スリット)
12 腰紐部
A 折れ線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7