(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】裁断機
(51)【国際特許分類】
B26D 7/22 20060101AFI20240510BHJP
B26D 1/04 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
B26D7/22 A
B26D1/04 Z
(21)【出願番号】P 2020115087
(22)【出願日】2020-07-02
【審査請求日】2023-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000115821
【氏名又は名称】株式会社リヒトラブ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】田中 莞二
(72)【発明者】
【氏名】有本 佳照
(72)【発明者】
【氏名】岩本 真一
(72)【発明者】
【氏名】山下 洋行
【審査官】石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-110681(JP,A)
【文献】特開2001-150383(JP,A)
【文献】特開平06-007561(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0319197(US,A1)
【文献】独国実用新案第202004017934(DE,U1)
【文献】特開2002-239266(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 7/22
B26D 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状をなし、一面にレールが設けられているベースと、
前記一面に直交する方向に移動可能な切断刃を収納し、前記レールに沿って移動するスライダと、
該スライダを覆うカバーと、
前記切断刃の移動を規制する規制部と
を備え、
前記規制部による規制を解除するための操作部が前記カバーに設けられて
おり、
前記カバーは、前記一面に対向する上面部と、前記上面部と前記一面との間に配置され、前記一面に直交する方向に延びる外面部とを有し、
前記カバーは前記一面に直交する方向に移動可能に構成され、
前記カバーの移動によって、前記切断刃は移動し、
前記操作部は前記外面部に形成され、
前記操作部は前記外面部に直交する方向に移動可能に構成され、
前記操作部の移動によって、前記規制部による規制が解除される
裁断機。
【請求項2】
前記規制部は、
前記スライダ及びカバーの一方に設けられた係止部と、
前記スライダ及びカバーの他方に設けられた被係止部と
を備え、
前記操作部は、非操作時に前記係止部が前記被係止部に係止する係止位置に配され、操作時に前記係止部及び被係止部の係止を解除する解除位置に配される
請求項1に記載の裁断機。
【請求項3】
前記操作部の周囲に、前記カバーの縁まで延びる複数のスリットが形成され、
前記操作部は片持ち梁形状をなす
請求項1又は2に記載の裁断機。
【請求項4】
前
記外面部に凹部が形成され、
該凹部の内側に前記操作部の少なくとも一部が配置される
請求項1から3のいずれか一つに記載の裁断機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、物体、例えば紙を切断する裁断機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下敷きマットと、該下敷きマットの上面に対向するペーパー押え板と、該ペーパー押え板の上面に形成されたレールと、該レールに沿って移動するスライダと、該スライダに保持されたカッタとを備えるスライドカッタが提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
スライダは操作部を備え、操作部にカッタが保持されている。操作部はスプリングによって、上側に付勢されている。ユーザが操作部を上から押さえることによって、カッタは下に向けて移動し、ペーパー押え板と下敷きマットとの間に挟まれた物体、例えば紙を切断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記スライドカッタにおいては、ユーザが意図せずに、操作部を押さえた場合でも、カッタは移動するので、安全性を担保できないという問題がある。
【0006】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、安全性を担保できる裁断機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態に係る裁断機は、板状をなし、一面にレールが設けられているベースと、前記一面に直交する方向に移動可能な切断刃を収納し、前記レールに沿って移動するスライダと、該スライダを覆うカバーと、前記切断刃の移動を規制する規制部とを備え、前記規制部による規制を解除するための操作部が前記カバーに設けられている。
【0008】
本開示の一実施形態においては、規制部は切断刃の移動を規制し、ユーザが操作部を操作した場合にのみ、規制部による規制が解除される。
【0009】
本開示の一実施形態に係る裁断機は、前記規制部は、前記スライダ及びカバーの一方に設けられた係止部と、前記スライダ及びカバーの他方に設けられた被係止部とを備え、前記操作部は、非操作時に前記係止部が前記被係止部に係止する係止位置に配され、操作時に前記係止部及び被係止部の係止を解除する解除位置に配される。
【0010】
本開示の一実施形態においては、係止部を被係止部に係止させることによって、切断刃の移動を規制する。非操作時に操作部は係止位置に配されているので、操作部を操作せずに、ユーザがカバーを触っても切断刃は移動しない。ユーザが、切断の意図を持って、操作部を操作した場合にのみ、操作部は解除位置に配され、切断刃は移動する。
【0011】
本開示の一実施形態に係る裁断機は、前記操作部の周囲に、前記カバーの縁まで延びる複数のスリットが形成され、前記操作部は片持ち梁形状をなす。
【0012】
本開示の一実施形態においては、操作部は片持ち梁形状をなすので、操作部に力を作用させて、操作した場合にのみ、操作部は弾性変形し、切断刃の移動規制が解除される。
【0013】
本開示の一実施形態に係る裁断機は、前記カバーの外面部に凹部が形成され、該凹部の内側に前記操作部の少なくとも一部が配置される。
【0014】
本開示の一実施形態においては、凹部の内側に操作部の少なくとも一部が配置されているので、裁断機を持ち運ぶ場合に、ユーザがカバーを触っても、凹部の内側を触らない限り、操作部は移動せず、切断刃は移動しない。
【発明の効果】
【0015】
本開示の一実施形態に係る裁断機にあっては、規制部は切断刃の移動を規制し、ユーザが操作部を操作した場合にのみ、規制部による規制が解除される。そのため、ユーザが意図しない切断刃の移動を防止し、安全性を担保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図4】
図3に示すIV-IV線を切断線としたカバーの略示断面図である。
【
図9】
図2のIX-IX線を切断線とした係止状態における略示断面図である。
【
図11】ベースの下にマットを敷いた状態における裁断機の略示平面図である。
【
図12】スライダの前後を逆にして、スライダをベースに取り付ける場合におけるスライダ及びベースの略示部分拡大正面図である。
【
図13】
図12に示すXIII-XIII線を切断線とした略示部分拡大右側面図である。
【
図14】ベース及びスライダの略示部分拡大平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施の形態に係る裁断機を示す図面に基づいて説明する。以下の説明では、図に示す上下前後左右を使用する。
図1は、裁断機の略示正面図、
図2は、裁断機の略示平面図である。裁断機は、平面視矩形の板状をなすベース1を備え、ベース1は左右に延びる。ベース1の上面前縁部には、左右に延びるレール1aが設けられている。レール1aには、切断刃33(
図9参照)を収納するスライダ2が摺動可能に連結する。スライダ2はカバー10によって覆われている。
【0018】
図3は、カバー10の略示背面図、
図4は、
図3に示すIV-IV線を切断線としたカバー10の略示断面図である。カバー10は、上側に突出するように湾曲した背面視半円形をなす後面部11を備える。後面部11の前側に、上側に突出するように湾曲した正面視半円形をなす前面部12が設けられている。前面部12は後面部11から適長離れ、後面部11に対向する。後面部11及び前面部12は、上面部13によって連結されている。上面部13は、上側に突出するように湾曲した半リング状をなし、後面部11及び前面部12それぞれの円弧縁部全体を連結する。カバー10の下面部全体は開口を形成する。
【0019】
後面部11には、前後に貫通した第1スリット14及び第2スリット15が形成されている。第1スリット14は、後面部11の左側部分に形成されている。第1スリット14は、上下に延びる上スリット部14aと、該上スリット部14aの下端に連なり、左側に向けて突出するように湾曲した背面視円弧状をなす下スリット部14bとを備える。下スリット部14bは、後面部11の下縁部に到る。上スリット部14aは後面部11の上縁部に到らない。
【0020】
第2スリット15は、後面部11の右側部分に形成されている。第2スリット15は、上下に延びる上スリット部15aと、該上スリット部15aの下端に連なり、右側に向けて突出するように湾曲した背面視円弧状をなす下スリット部15bとを備える。下スリット部15bは、後面部11の下縁部に到る。上スリット部15aは後面部11の上縁部に到らない。
【0021】
第1スリット14及び第2スリット15は、後面部11の上下方向中途部から後面部11の下縁部に亘って形成されているので、第1スリット14及び第2スリット15の間の部分は、下端を自由端とした片持ち梁形状をなす。以下、片持ち梁形状をなす部分を操作部19(
図4参照)と称する。
【0022】
操作部19は、二つの上スリット部14a、15aの間に配置された支持部16と、該支持部16の下側に配置され、二つの下スリット部14b、15bの間に配置された舌片17と、該舌片17と支持部16とを連結する連結部18とを備える。
【0023】
舌片17は、上側に向けて突出するように湾曲した正面視半長円形状をなす。支持部16の下縁部は、円弧形をなす舌片17の上縁部に沿って湾曲している。連結部18は、上側に向けて突出するように湾曲した背面視円弧形をなし、舌片17の上縁部及び支持部16の下縁部を連結する。
【0024】
図4に示すように、連結部18は、下側部分が上側部分よりも前側に配置されるように傾斜する。そのため、舌片17は支持部16よりも前側に配置される。即ち、後面部11において、舌片17の後側には前側に向けて窪んだ凹部20が形成される。即ち、舌片17は、片持ち梁の自由端側に配置されているので、最も動きやすいが、凹部20の内側に配置されているので、操作部19において最も接触されにくい部分となっている。
【0025】
舌片17の前側には係止部22が形成されている。係止部22は、舌片17の前面から前方に突出した第1部分22aと、該第1部分22aの突出端部から下方に突出した第2部分22bとを備える。上面部13の下面前部には、下方に突出した突出部21が形成されている。
【0026】
図5は、スライダ2の略示背面図、
図6は、スライダ2の略示平面図、
図7は、スライダ2の略示左側面図、
図8は、スライダ2の略示右側面図である。スライダ2は、
図6に示すように、平面視矩形の箱形をなす枠体3を備える。枠体3は左右に延び、枠体3の上面部全体は開口を形成する。枠体3の右側面部の前縁部及び後縁部から、二つの突部3c、3cがそれぞれ右に向けて突出する。枠体3の前後方向中央に隔壁4が形成されている。隔壁4は左右に延び、枠体3内の空間を前後に分割する。隔壁4の前側には、後述のカッタユニット30(
図9参照)を収納する収納室5が形成されている。収納室5の下面部全体は開口を形成する。
【0027】
隔壁4の後側には、後室6が形成されている。後室6の底面部6a四隅それぞれに上下に貫通した貫通孔6bが形成されている。前側の二つの貫通孔6bにおいて、貫通孔6bの前縁部に、後方に突出したブロック6cが形成されている。前側のブロック6cはレール1aの前側に係合する。後側の二つの貫通孔6bにおいて、貫通孔6bの後縁部に、前方に突出したブロック6cが形成されている。後側のブロック6cはレール1aの後側に係合する。
【0028】
図6に示すように、前側に配置された二つのブロック6cの後面は、後方に向けて突出するように、湾曲している。後右隅に配置されたブロック6cの前面は、前方に向けて突出するように、湾曲している。一方、後左隅に配置されたブロック6cの前面においては、右部分は前方に向けて突出するように、湾曲しているが、左部分は、右部分の左端から左側に真っ直ぐに延びた平坦面6caを形成している。そのため、後左隅に配置されたブロック6cの前後幅は、他の三つのブロック6cよりも長い。後左隅に配置されたブロック6cは、後述するように、スライダ2がレール1aから外れるのを防止する。
【0029】
図5及び
図7に示すように、後室6の左側面部に、左右に貫通した開口4bが形成され、枠体3の左側面部における開口4bよりも前側部分に、下方に突出した突部3aが形成されている。また
図5及び
図8に示すように、後室6の右側面部に、左右に貫通した開口4cが形成され、枠体3の右側面部における開口4cよりも前側部分に、下方に突出した突部3bが形成されている。開口4b、4cにはレール1aが挿入される。突部3a、3bは、後述するように、スライダ2の前後を逆にして、スライダ2をベース1に取り付けることを防止する。
【0030】
図5に示すように、後室6の後面部、即ち枠体3の後面部の上縁部に凹部7が形成されている。以下、この凹部7を被係止部7と称する。
図6に示すように、底面部6aの左右方向中央部における後縁部に、上下に貫通した貫通孔6dが形成されている。該貫通孔6dは被係止部7の前側に隣接する。
【0031】
図5及び
図6に示すように、隔壁4の上縁部における左右方向中央部に窪み4aが形成され、収納室5の前壁上縁部における左右方向中央部に窪み5aが形成される。二つの窪み4a、5aには、カッタユニット30が掛止される。
【0032】
被係止部7が係止部22に係止した係止状態について説明する。
図9は、
図2のIX-IX線を切断線とした係止状態における略示断面図である。
図9に示すように、ブロック6cがレール1aの下側に係合し、底面部6aがレール1aの上側に配置されるように、スライダ2はレール1aに取り付けられている。底面部6aとブロック6cとの間にレール1aは挟まれる。ベース1の前縁部に臨むように、収納室5はレール1aよりも前側に配置される。
【0033】
収納室5にはカッタユニット30が収納される。カッタユニット30は、筐体31と、保持部32と、切断刃33とを備える。筐体31は収納室5に対応した形状をなし、筐体31の上面部に開口が形成されている。筐体31の上面部には、前方及び後方に突出し、窪み4a、5aに掛止する二つの掛止部31bが形成される。筐体31の下面には、左右方向に延びるスリット31aが形成されている。筐体31の内側に保持部32が収納されている。保持部32は直方体をなし、切断刃33を保持する。保持部32は付勢部材(図示略)、例えばバネによって、上方に付勢されている。
【0034】
なお筐体31の上面開口の縁部には、保持部32に当接する当接部(図示略)が形成される。付勢部材の付勢力によって、保持部32に上方への力が作用しても、当接部が保持部32の上側への移動を妨げ、保持部32が筐体31から外れることを防止する。
【0035】
切断刃33は保持部32から下方に突出し、スリット31aの直上に配置される。係止状態において、切断刃33はスリット31aよりも上側に配置される。スリット31aは、ベース1の前縁に沿って、該前縁よりも僅かに前側に配置される。
【0036】
スライダ2はカバー10によって覆われている。カバー10は、突出部21が保持部32の上側に配置され、係止部22が被係止部7の上側に配置され、被係止部7に係止するように、スライダ2に取り付けられる。係止状態において、ユーザはカバー10を下方に押すことができない。なお係止状態における操作部19の位置を係止位置という。
【0037】
次に、係止部22と被係止部7との係止が解除された解除状態について説明する。
図10は、解除状態における略示断面図である。
図10の断面位置は
図9と同じである。
図10に示すように、舌片17が前方に押された場合、係止部22は被係止部7よりも前側に配置され、係止部22と被係止部7との係止が解除される。なお解除状態における操作部19の位置を解除位置という。
【0038】
解除状態において、カバー10を下方に押した場合、カバー10は下降し、突出部21は下降し、保持部32を押す。なお解除状態において、第2部分22b、即ち係止部22の下端部を貫通孔6dに挿入させることができるので、係止部22は底面部6aに接触せず、底面部6aによって突出部21の下降は妨げられない。
【0039】
保持部32は付勢部材の付勢力に抗して下降し、スリット31aから切断刃33が下側に突出する。切断刃33はベース1の前縁の僅かに前側に配置される。この状態でカバー10を左右に移動させることによって、切断刃33はベース1の前縁に沿って移動する。
【0040】
図11は、ベース1の下にマット40を敷いた状態における裁断機の略示平面図である。ベース1の下にマット40を敷き、マット40とベース1との間に被切断部材、例えば紙を配置させることができる。解除状態において、切断刃33を下降させて左右に移動させることによって、被切断部材は切断される。マット40を設けることによって、マット40の下側にある物体、例えばテーブルを傷つけることが回避される。
【0041】
なおベース1の裏面(下面)には、微小なビーズを含んだ塗料によって、滑り止めの印刷が施されていてもよい。滑り止めの印刷によって、紙の上にベース1を置き、ベース1に上から力を作用させた場合、紙とベース1とは相対的に動きにくくなり、切断時に、紙とベース1との相対位置がずれることを防止できる。一方、ベース1に上から力を作用させない場合、紙とベース1とは相対的に動きやすくなり、ベース1を所望の位置に配置させやすい。
【0042】
実施の形態に係る裁断機にあっては、係止部22及び被係止部7は切断刃33の移動を規制し、ユーザが操作部19を操作した場合にのみ、規制が解除される。そのため、ユーザが意図しない切断刃33の移動を防止し、安全性を担保することができる。
【0043】
また非操作時に操作部19は係止位置に配されているので、操作部19を操作せずに、ユーザがカバー10を触っても切断刃33は移動しない。ユーザが、切断の意図を持って、操作部19を操作した場合にのみ、操作部19は解除位置に配され、切断刃33を移動させることができる。
【0044】
また操作部19は片持ち梁形状をなすので、操作部19に力を作用させて、操作した場合にのみ、操作部19は弾性変形し、切断刃33の移動規制が解除される。
【0045】
また凹部20の内側に舌片17が配置されているので、裁断機を持ち運ぶ場合に、ユーザがカバー10を触っても、凹部20の内側を触らない限り、舌片17、即ち操作部19は移動せず、切断刃33は移動しない。
【0046】
なおカバー10は取り外し可能にスライダ2に取り付けられており、カバー10を取り外すことによって、カッタユニット30を交換することができる。また被係止部をカバー10に設け、係止部22をスライダに設けてもよい。
【0047】
また、操作部19は片持ち梁形状に限定されない。例えば、操作部19としてボタンをカバー10に取り付けてもよく、ボタンを押すことによって、係止部22が被係止部7から外れるように、構成してもよい。この場合、ボタンに付勢部材を設け、非操作時には、付勢部材の付勢力によって、ボタンが元の位置に戻り、係止部22が被係止部7に係止する構成としてもよい。また操作部19を複数設けてもよい。例えば、上下に延びるスリットを後面部11に三つ以上設け、隣合う二つのスリットの間の部分を、下端を自由端とした片持ち形状とし、複数の操作部19を形成してもよい。またボタン式の操作部19を複数設けてもよい。複数の操作部19における少なくとも二つを操作した場合に、切断刃33の移動規制が解除される構成とすることによって、安全性を更に高めることができる。
【0048】
図12は、スライダ2の前後を逆にして、スライダ2をベース1に取り付ける場合におけるスライダ2及びベース1の略示部分拡大正面図、
図13は、
図12に示すXIII-XIII線を切断線とした略示部分拡大右側面図である。
図12及び
図13においては、前後を逆にしたスライダ2をベース1の右側から取り付けようとしている。この場合、突部3bがベース1の右端部に当接するので、スライダ2をベース1に取り付けることができない。従って、スライダ2の前後を逆にして、スライダ2をベース1に取り付けることが防止される。
【0049】
なお、スライダ2をベース1の左側から取り付けようとした場合においても、突部3aがベース1の左端部に当接するので、スライダ2の前後を逆にして、スライダ2をベース1に取り付けることが防止される。
【0050】
図14は、ベース1及びスライダ2の略示部分拡大平面断面図である。
図14は、ベース1の左前部分を示す。レール1aの後面左端部の下部分には、後方に突出した突部1bが形成されている。スライダ2をレール1aの左端部に移動させた場合、スライダ2の後左隅に配置されたブロック6cは突部1bに当接する。そのため、スライダ2がレール1aから外れることが防止される。
【0051】
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0052】
1 ベース
1a レール
2 スライダ
7 被係止部
10 カバー
14 第1スリット
15 第2スリット
16 支持部
17 舌片
18 連結部
19 操作部
20 凹部
22 係止部
33 切断刃