IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-掃除機 図1
  • 特許-掃除機 図2
  • 特許-掃除機 図3
  • 特許-掃除機 図4
  • 特許-掃除機 図5
  • 特許-掃除機 図6
  • 特許-掃除機 図7
  • 特許-掃除機 図8
  • 特許-掃除機 図9
  • 特許-掃除機 図10
  • 特許-掃除機 図11
  • 特許-掃除機 図12
  • 特許-掃除機 図13
  • 特許-掃除機 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/04 20060101AFI20240510BHJP
   A47L 9/28 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
A47L9/04 A
A47L9/28 M
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020163471
(22)【出願日】2020-09-29
(65)【公開番号】P2022055821
(43)【公開日】2022-04-08
【審査請求日】2023-02-10
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100157808
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 耕平
(72)【発明者】
【氏名】別府 秀峰
(72)【発明者】
【氏名】妹尾 裕之
(72)【発明者】
【氏名】小泉 仁世
(72)【発明者】
【氏名】守屋 浩史
(72)【発明者】
【氏名】樽谷 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】笹尾 雅規
(72)【発明者】
【氏名】土屋 武士
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-110344(JP,A)
【文献】特開2012-105845(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/04
A47L 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塵埃を吸引する吸引力を発生する掃除機本体を有している掃除機であって、
前記掃除機本体に取り付けられているとともに塵埃を吸引する吸込空間を形成している吸込ハウジングと、前記吸込空間内で左右に並んで配置されているとともに前記吸込ハウジングにより回転可能にそれぞれ保持された一対の掻取ローラと、を有している吸込具と、
前記一対の掻取ローラをそれぞれ回転させる駆動力を発生させる一対のモータと、
前記一対の掻取ローラの周速差を増減可能に前記一対のモータを個別に制御するように構成された電力制御部と、を備え、
前記掃除機本体は、使用者によって保持される保持部と、前記保持部の左右方向の移動に応じて左右方向に傾動可能に前記吸込ハウジングに接続された傾動接続部を含み、
前記掃除機は、前記傾動接続部の傾動方向を検出する傾動検出部を更に備え、
前記電力制御部は、前記傾動検出部が左方への傾動を検出したとき、右側の掻取ローラの周速が左側の掻取ローラの周速よりも高くなるように前記一対のモータのうち少なくとも一方を制御し、前記傾動検出部が右方への傾動を検出したとき、前記左側の掻取ローラの周速が前記右側の掻取ローラの周速よりも高くなるように前記一対のモータのうち少なくとも一方を制御するように構成されており、
前記一対のモータを駆動する駆動電流は、交流電流であり、
前記一対のモータは、前記駆動電流の量が増えれば増えるほど、対応する掻取ローラを高い周速で回転させるように構成されており、
前記電力制御部は、前記傾動検出部によって検出された前記傾動方向に基づき前記一対のモータへの電力供給を制御するように構成され、
前記電力制御部は、前記交流電流の正成分の量を調整しながら前記一対のモータのうち一方の駆動に用いられる前記駆動電流として前記交流電流の前記正成分を流すとともに、前記交流電流の負成分の量を調整しながら他方のモータ用の前記駆動電流として前記交流電流の前記負成分を流すように構成されている、掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塵埃を掻き取りながら吸引する掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
塵埃を掻き取りながら吸引する様々な掃除機が開発されている(特許文献1を参照)。特許文献1の掃除機は、塵埃を吸引する吸引力を発生する掃除機本体を有している。掃除機本体は、塵埃の吸引経路を形成している管部材を含み、管部材の先端には吸込具が取り付けられている。吸込具は、管部材によって形成された吸引経路よりも幅広の吸込空間を形成している。吸込具は、モータによって駆動されて床面上を転動しながら塵埃を掻き取る掻取ローラを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-188951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の掻取ローラは、床面上を転動するので、床面上の塵埃を掻き取るだけでなく、吸込具の直進移動を補助する。一方、掻取ローラは、吸込具の右方又は左方への方向転換を補助しない。
【0005】
本発明は、吸込具の方向転換を補助することができる掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の更に他の局面に係る掃除機は塵埃を吸引する吸引力を発生する掃除機本体を有している。掃除機は、前記掃除機本体に取り付けられているとともに塵埃を吸引する吸込空間を形成している吸込ハウジングと、前記吸込空間内で左右に並んで配置されているとともに前記吸込ハウジングにより回転可能にそれぞれ保持された一対の掻取ローラと、を有している吸込具と、前記一対の掻取ローラをそれぞれ回転させる駆動力を発生させる一対のモータと、前記一対の掻取ローラの周速差を増減可能に前記一対のモータを個別に制御するように構成された電力制御部と、を備えている。前記掃除機本体は、使用者によって保持される保持部と、前記保持部の左右方向の移動に応じて左右方向に傾動可能に前記吸込ハウジングに接続された傾動接続部を含んでいる。前記掃除機は、前記傾動接続部の傾動方向を検出する傾動検出部を更に備えている。前記電力制御部は、前記傾動検出部が左方への傾動を検出したとき、右側の掻取ローラの周速が左側の掻取ローラの周速よりも高くなるように前記一対のモータのうち少なくとも一方を制御し、前記傾動検出部が右方への傾動を検出したとき、前記左側の掻取ローラの周速が前記右側の掻取ローラの周速よりも高くなるように前記一対のモータのうち少なくとも一方を制御するように構成されている。前記一対のモータを駆動する駆動電流は、交流電流であ。前記一対のモータは、前記駆動電流の量が増えれば増えるほど、対応する掻取ローラを高い周速で回転させるように構成されてい。前記電力制御部は、前記傾動検出部によって検出された前記傾動方向に基づき前記一対のモータへの電力供給を制御するように構成されてい。前記電力制御部は、前記交流電流の正成分の量を調整しながら前記一対のモータのうち一方の駆動に用いられる前記駆動電流として前記交流電流の前記正成分を流すとともに、前記交流電流の負成分の量を調整しながら他方のモータ用の前記駆動電流として前記交流電流の前記負成分を流すように構成されてい
【0017】
上述の構成によれば、電力制御部は、1つの交流電流を正成分と負成分とに分けて、正成分で一方のモータを駆動し、負成分で他方のモータを駆動する。このとき、電力制御部が交流電流の正成分の量が負成分の量より多くなるような調整を行えば、一方のモータに対応する掻取ローラが他方のモータに対応する掻取ローラよりも高い周速で回転する。逆に、電力制御部が交流電流の負成分の量が正成分の量より多くなるような調整を行えば、他方のモータに対応する掻取ローラが一方のモータに対応する掻取ローラよりも高い周速で回転する。この結果、一対の掻取ローラは、吸込具の方向転換を補助することができる。
【発明の効果】
【0018】
上述の掃除機は、吸込具の方向転換を補助することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態の掃除機の概略的な側面図である。
図2】掃除機に取付可能に構成された吸込具の概略的な展開斜視図である。
図3】吸込具の掻取ローラの概略的な平面図である。
図4】吸込具の内部の概略的な平面図である。
図5】吸込具を制御する制御部の概略的な回路図である。
図6】制御部の動作の概略的なフローチャートである。
図7】制御部への制御対象電流(交流電流)、制御部内のタイミング信号及びモータへの駆動電流の間の関係を表す概略的なタイミングチャートである。
図8】制御部への制御対象電流(交流電流)、制御部内のタイミング信号及びモータへの駆動電流の間の関係を表す概略的なタイミングチャートである。
図9】制御部への制御対象電流(交流電流)、制御部内のタイミング信号及びモータへの駆動電流の間の関係を表す概略的なタイミングチャートである。
図10】制御部の動作の概略的なフローチャートである。
図11】第2実施形態の掃除機に用いられる制御部の概略的な回路図である。
図12】制御部の動作の概略的なフローチャートである。
図13】第3実施形態の掃除機の概略的な斜視図である。
図14】第3実施形態の掃除機に用いられる制御部の概略的な回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の掃除機101の概略的な側面図である。図2は、掃除機101の先端部分を構成している吸込具100の概略的な展開斜視図である。図1及び図2を参照して、掃除機101を説明する。
【0021】
掃除機101は、吸引力を発生する掃除機本体102と、塵埃が吸い込まれる吸込空間110(図2を参照)を形成するとともに掃除機本体102に取り付け可能に構成された吸込具100と、を備えている。
【0022】
掃除機本体102は、塵埃を吸引するための吸引力を発生させる吸引源103と吸引源103から延設されたホース104とを含む本体部201を有している。掃除機本体102は、ホース104の先端に設けられた接続管202と、接続管202を介してホース104に接続された傾動接続部107と、を更に有している。接続管202には、使用者によって保持される保持部105が設けられている。保持部105は、接続管202の外周面から延出し、且つ、使用者が把持するのに適した形状の部分である。保持部105には、使用者によって操作される操作部108(たとえば、掃除機本体102及び吸込具100を起動及び停止させるためのボタンなど)が設けられている。
【0023】
傾動接続部107は、ホース104よりも高い剛性の管状の部材であり、ホース104及び接続管202とともに塵埃の吸引経路を形成している。傾動接続部107の先端は、傾動接続部107が左右方向(図1の紙面に対して直角の方向)に傾動できるように吸込具100に接続されている。傾動接続部107は、使用者が保持部105を左方に移動することにより左方に傾動し、使用者が保持部105を右方に移動することにより右方に傾動する。
【0024】
傾動接続部107の傾動方向(すなわち、左方又は右方)を検出するために、傾動検出部180が設けられている。傾動検出部180は、傾動接続部107の傾動方向を検出するとともに傾動方向を表す傾動信号を出力するように構成されている。本実施形態において、傾動検出部180は、ジャイロセンサにより構成されている。傾動検出部180は、例えば、図1に示されるように接続管202の内部に取り付けられていてもよい。代替的に、傾動検出部180は、傾動接続部107の傾動方向を検出可能に構成された他のセンサ素子であってもよい。傾動接続部107の傾動方向に関する情報は、吸込具100に対する制御に利用される。傾動検出部180の傾動信号に基づく制御は、別途詳述される。
【0025】
吸込具100は、図2に示されるように、吸込ハウジング120と、吸込ハウジング120によって回転可能に保持された一対の掻取ローラ131,132と、を備えている。
【0026】
吸込ハウジング120は、傾動接続部107、接続管202及びホース104によって形成された流路よりも左右方向に広い吸込空間110を得るために前後方向よりも幅方向に広い形状を有している。吸込ハウジング120は、平面視において前方に開口した略C字形状を有しているハウジング本体121と、ハウジング本体121に取り付けられるように構成されたカバー部材122と、を含んでいる。
【0027】
ハウジング本体121は、左右方向に互いに離間した位置に設けられた側部123,124と、側部123,124の後側(すなわち、掃除機本体102側)に位置し、これらの側部123,124を繋ぐ後部125と、を含んでいる。側部123,124及び後部125は、全体として中空構造を有している。側部123,124及び後部125の中には、掻取ローラ131,132を駆動するための駆動機構150(図4を参照)が収容されている。駆動機構150は、別途詳述される。
【0028】
後部125及び側部123,124によって、床面上の塵埃を吸い込むための吸込空間110が形成されている。すなわち、後部125の前端、左側の側部123の右端及び右側の側部124の左端によって吸込空間110が区画されている。この吸込空間110に掻取ローラ131,132が左右に並んで配置され、側部123,124は、これらの掻取ローラ131,132をそれぞれ支持している。詳細には、側部123,124の内壁部(すなわち、吸込空間110に臨む壁部)には、掻取ローラ131,132を保持する軸受(図示せず)が設けられている。
【0029】
後部125は、傾動接続部107の先端と接続可能に構成されている。後部125内には、傾動接続部107、接続管202及びホース104によって形成された流路と吸込空間110とを繋ぐ流路(図示せず)が形成されている。
【0030】
カバー部材122は、吸込空間110を上側から塞ぐように構成されている。カバー部材122の左右の端部は、側部123,124上に載置された状態で側部123,124に固定されるように構成されている。
【0031】
掻取ローラ131,132は、吸込空間110内において左右に並んで回転可能に保持されている。掻取ローラ131,132は、駆動機構150によって駆動されて床面上で転動しながら床面上の塵埃を掻き取るように構成されている。左側の掻取ローラ131は、左側の側部123によって片持ち支持され、吸込空間110内で側部123から右方に延設されている。右側の掻取ローラ132は、右側の側部124によって片持ち支持され、吸込空間110内で側部124から左方に延設されている。掻取ローラ131,132の先端は、吸込具100の幅方向において互いに離間している。
【0032】
右側の掻取ローラ132は、掻取ローラ131と左右対称の構造を有しているので、ここでは、左側の掻取ローラ131の構造についてのみ以下に説明する。
【0033】
掻取ローラ131は、図3に示されるように、接続シャフト250と、接続シャフト250と略同軸回転するように接続シャフト250に接続されたローラ部311と、ローラ部311の外周面上で螺旋状に延びる複数のブラシ列312と、を含んでいる。
【0034】
接続シャフト250は、ハウジング本体121内に収容された駆動機構150(図4を参照)の駆動力をローラ部311に伝達するために設けられている。接続シャフト250は、側部123の内壁部に設けられた軸受に嵌入され、接続シャフト250の基端部は、ハウジング本体121の側部123内に配置されている。接続シャフト250の基端部には、駆動機構150の駆動力を受けるためにプーリ251(図4を参照)が取り付けられる。
【0035】
接続シャフト250の先端部は、駆動機構150の駆動力をローラ部311に伝達するために、ローラ部311内に挿入され、ローラ部311の内部に接続されている。
【0036】
ローラ部311は、先端に向けて細くなる外周面を有している。すなわち、ローラ部311は、円錐台状の外形を有している。
【0037】
ブラシ列312は、ローラ部311の基端から先端までの区間に亘ってローラ部311の外周面上で螺旋状に延設されている。ブラシ列312の螺旋の向きは、掻取ローラ131が図2に示される方向に回転したときに、ブラシ列312に接触した塵埃がローラ部311の先端側に送り出されるように設定されている。
【0038】
駆動機構150は、図4に示されるように、一対のモータ151,152と、一対の駆動ベルト153,154と、制御部160と、を備えている。モータ151及び駆動ベルト153は、掻取ローラ131を駆動するために設けられている。モータ152及び駆動ベルト154は、掻取ローラ132を駆動するために設けられている。制御部160は、モータ151,152を個別に制御するために設けられている。
【0039】
モータ152及び駆動ベルト154は、モータ151及び駆動ベルト153と左右対称の構造を有しているので、ここでは、モータ151及び駆動ベルト153についてのみ以下に説明する。
【0040】
モータ151は、家庭用の電源(図5に示されている電源170)から交流電流を受けて掻取ローラ131を回転させる駆動力を発生させるように構成されており、ハウジング本体121の後部125の内部空間において左側の部分に配置されている。モータ151は、モータ本体155と、モータ本体155から左方に突出したモータシャフト156と、を有している。
【0041】
モータ本体155は、モータ本体155へ電力供給量が増えれば増えるほど、モータシャフト156の回転数が上がるように構成されている。また、モータシャフト156の回転に対する負荷が大きくなればなるほど、モータ本体155は、インピーダンスを下げ、大きな交流電流が流れるように構成されている。
【0042】
モータシャフト156には、プーリ252が取り付けられている。モータシャフト156に取り付けられたプーリ252と掻取ローラ131の接続シャフト250に取り付けられたプーリ251とには、駆動ベルト153が掛け回されている。
【0043】
モータ151,152への電力供給回路が図5に示されている。電力供給回路は、電源170から制御部160を介してモータ151,152へ電力を供給するように構成されている。詳細には、電源170及び制御部160は、電力線173により接続されており、制御部160及びモータ151,152は、電力線176,175により接続されている。電力線173は、吸込具100内の制御部160から傾動接続部107、接続管202及びホース104に沿って配線され、電源170と電気的に接続されている。電力線176,175は、吸込具100内で配線されている。電力線173を流れる交流電流は、制御部160による制御対象となるので、以下の説明において「制御対象電流」と称される。電力線176,175を流れる交流電流は、モータ151,152の駆動に利用されるので、「駆動電流」と称される。
【0044】
これらの電力線173,175,176に加えて、制御部160に傾動検出部180の傾動信号を伝達するために信号線174が配線されている。信号線174は、傾動検出部180から傾動接続部107に沿って延設され、制御部160に接続されている。
【0045】
制御部160は、傾動信号に基づいてモータ151,152への電力供給量を個別に調整することにより、モータ151,152を個別に制御するように構成されている。また、制御部160は、制御対象電流が過度に大きくなった場合には、モータ151,152への電力供給を停止するように構成されている。
【0046】
詳細には、制御部160は、電流検出部162(電流計)と、判定部166と、電力制御部167と、を有している。
【0047】
電流検出部162は、制御対象電流の大きさをモニタするために設けられている。電流検出部162は、検出された制御対象電流の大きさの情報を判定部166に出力するように構成されている。
【0048】
判定部166は、モータ151,152に対する過電流を防ぐために設けられている。詳細には、判定部166は、電流検出部162によって検出された制御対象電流の大きさを所定の第1電流閾値と比較し、制御対象電流の大きさと第1電流閾値との間の大小関係に関する情報(判定結果)を電力制御部167に出力するように構成されている。
【0049】
電力制御部167は、指示部161と、トライアック163と、第1半波整流器164と、第2半波整流器165と、モータ151用の電力線176に接続された供給経路171と、モータ152用の電力線175に接続された供給経路172と、を有している。
【0050】
トライアック163は、第1半波整流器164及び第2半波整流器165よりも電流検出部162側に配置されている。トライアック163と電流検出部162との間では制御対象電流が流れる。また、トライアック163は、指示部161からの指示の下で駆動電流をトライアック163とモータ151,152との間で流すように構成されており、トライアック163と第1半波整流器164及び第2半波整流器165との間では駆動電流が流れる。詳細には、トライアック163は、指示部161からの指示に応じてゲート電圧を印加するように構成されており、ゲート電圧の印加時刻から制御対象電流(交流電流)がその後略ゼロの値を取るまでの期間において交流電流の流れを許容する素子である。すなわち、交流電流の正成分が流れているときにトライアック163がゲート電圧を印加すると、トライアック163は、上述の期間において、トライアック163とモータ151,152との間で正成分の交流電流が駆動電流として流れることを許容する。逆に、交流電流の負成分が流れているときにトライアック163がゲート電圧を印加すると、トライアック163は、上述の期間において、トライアック163とモータ151,152との間で負成分の交流電流が駆動電流として流れることを許容する。
【0051】
指示部161は、判定部166による判定結果に基づいて、トライアック163にゲート電圧を印加させるか否かを決定するように構成されている。詳細には、制御対象電流の大きさが第1電流閾値を超えているとの判定結果が得られると、指示部161は、トライアック163にゲート電圧に印加を指示しないことを決定する。逆に、制御対象電流の大きさが第1電流閾値以下であるとの判定結果が得られると、指示部161は、傾動検出部180からの傾動信号に基づいて、トライアック163にゲート電圧の印加を指示するタイミングを決定するように構成されている。
【0052】
供給経路171,172は、モータ151,152へ個別に電力供給するために設けられており、駆動電流は、供給経路171,172を流れる。供給経路171上には、第1半波整流器164が設けられており、供給経路172上には、第2半波整流器165が設けられている。第1半波整流器164及び第2半波整流器165は、駆動電流(交流電流)に対して半波整流をするように構成されている。
【0053】
詳細には、駆動電流が交流電流の正成分であれば、第1半波整流器164は、トライアック163とモータ152との間での駆動電流の流れを許容するように構成されている。逆に、駆動電流が交流電流の負成分であれば、第1半波整流器164は、トライアック163とモータ152との間での駆動電流の流れを遮断する。
【0054】
駆動電流が交流電流の負成分であれば、第2半波整流器165は、トライアック163とモータ151との間での駆動電流の流れを許容するように構成されている。逆に、駆動電流が交流電流の正成分であれば、第2半波整流器165は、トライアック163とモータ151との間での駆動電流の流れを遮断する。
【0055】
掃除機101の動作が以下に説明される。
【0056】
保持部105に設けられた操作部108が操作されると、掃除機本体102及び吸込具100が作動し、吸引力がホース104、接続管202及び傾動接続部107を通じて吸込具100の吸込空間110に作用する。この結果、床面上の塵埃は、吸込空間110、傾動接続部107、接続管202及びホース104を通じて吸引源103に集塵される。
【0057】
この間、吸込具100に内蔵されたモータ151,152が作動し、モータ151,152の駆動力は、駆動ベルト153,154により掻取ローラ131,132に伝達される。この結果、掻取ローラ131,132は、床面に接触しながら回転し、床面上の塵埃を掻き取る。
【0058】
掻取ローラ131,132の周速は、制御部160により以下のように個別に変更される。制御部160による制御の概略的なフローチャートが図6に示されている。制御部160による制御が、図5及び図6を参照して説明される。
【0059】
操作部108への操作により吸込具100が作動すると、指示部161はゲート電圧の印加をトライアック163に指示する。これにより、交流電流が制御部160を流れる。このとき、電流検出部162は、制御対象電流の大きさを検出し、検出結果が判定部166へ出力される。判定部166は、電流検出部162が検出した制御対象電流の大きさが第1電流閾値を超えたか否かを判定する(ステップS110)。
【0060】
制御対象電流が第1電流閾値を超えているとの判定結果が得られると(ステップS110:Yes)、指示部161は、トライアック163でのゲート電圧の印加の指示を停止する。この場合、制御対象電流(交流電流)の値が略ゼロになった後には、モータ151,152への電力供給は停止される。この結果、モータ151,152は、停止する(ステップS120)。
【0061】
交流電流が第1電流閾値以下であれば(ステップS110:No)、指示部161は、傾動検出部180からの検出信号に基づき、トライアック163のゲート電圧の印加タイミングを決定する(ステップS130)。決定された印加タイミングは、図7図9に示されるように、指示部161からタイミング信号S1~S8をトライアック163へ出力することによりトライアック163に通知される。言い換えると、タイミング信号S1~S8により、モータ151,152への電力供給タイミングが決定される。
【0062】
傾動接続部107が、中立位置にあれば(すなわち、左右に傾動していない状態)、指示部161は、掻取ローラ131,132の周速差が略ゼロになるように、ゲート電圧の印加タイミングを決定する(ステップS140)。
【0063】
詳細には、傾動接続部107が、中立位置であるとき、指示部161は、図7に示されるように、交流電流の半周期に略等しい一定の時間間隔でタイミング信号S1~S4を順次出力する。この場合、例えば、タイミング信号S1,S3は、交流電流の正成分が制御部160を流れているときに出力される。一方、タイミング信号S2,S4は、交流電流の負成分が制御部160を流れているときに出力される。
【0064】
タイミング信号S1,S3が指示部161から出力されたとき、トライアック163は、タイミング信号S1,S3の出力時刻から交流電流が略ゼロになるまでの期間(図7の「通過」で示されている期間)において交流電流の流れを許容する。また、交流電流が略ゼロになった時刻から次のタイミング信号S2,S4の出力があるまでの期間(図7の「遮断」で示されている期間)において交流電流の流れを遮断する。トライアック163は、タイミング信号S2,S4に応じて、交流電流の流れを再度許容する。交流電流の流れを許容している期間は、交流電流が略ゼロになるまで続く。
【0065】
タイミング信号S1,S3の出力に応じて、トライアック163がゲート電圧を印加すれば、交流電流の正成分が駆動電流になる。この場合、交流電流の正成分(駆動電流)は、第1半波整流器164を流れるが、第2半波整流器165では遮断される。したがって、交流電流の正成分(駆動電流)は、第1半波整流器164に対応しているモータ152の駆動にのみ利用される。
【0066】
タイミング信号S2,S4の出力に応じて、トライアック163がゲート電圧を印加すれば、交流電流の負成分が駆動電流になる。この場合、交流電流の負成分(駆動電流)は、第2半波整流器165を流れるが、第1半波整流器164では遮断される。したがって、交流電流の負成分は、第2半波整流器165に対応しているモータ151の駆動にのみ利用される。
【0067】
タイミング信号S1~S4間の時間間隔は、交流電流の半周期に略等しいので、トライアック163が交流電流の通過を許容している期間の長さは、交流電流の正成分及び負成分の間で略等しくなっている。したがって、交流電流の1周期において、モータ151,152への電力供給量は、互いに略等しくなっている。この結果、モータ151,152間において、モータシャフト156の回転数は略等しくなり、モータ151,152によって駆動される掻取ローラ131,132の周速差は略ゼロになる。掻取ローラ131,132の周速差が略ゼロになっている状態で掻取ローラ131,132が床面上で転動すれば、掻取ローラ131,132は、吸込具100の直進を補助する。
【0068】
傾動接続部107が、左方に傾動した姿勢をとっているとき、制御部160は、右側の掻取ローラ132が左側の掻取ローラ131よりも高い周速で回転するようにモータ151,152を制御する(ステップS150)。詳細には、指示部161は、図8に示されるように、交流電流の正成分が制御部160を流れている間において、タイミング信号S1,S3に代えて、タイミング信号S1,S3よりも早いタイミングでタイミング信号S5,S7を出力する。なお、交流電流の負成分に対応するタイミング信号S2,S4の出力タイミングは、傾動接続部107が中立位置にあるときと同じである。
【0069】
この場合、トライアック163が交流電流の正成分の流れを許容している期間は、トライアック163が交流電流の負成分の流れを許容している期間よりも長くなる。この結果、交流電流の1周期において、モータ152への電力供給量は、モータ151への電力供給量よりも多くなり、モータ152のモータシャフト156は、モータ151のモータシャフト156よりも高い回転数で回転する。したがって、モータ152によって駆動される掻取ローラ132の周速は、モータ151によって駆動される掻取ローラ131の周速よりも高くなる。掻取ローラ132の周速が掻取ローラ131の周速よりも高くなっている状態で掻取ローラ131,132が床面上で転動すれば、掻取ローラ131,132は、吸込具100が左方に方向転換することを補助する。
【0070】
傾動接続部107が、右方に傾動した姿勢をとっているとき、制御部160は、左側の掻取ローラ131が右側の掻取ローラ132よりも高い周速で回転するようにモータ151,152を制御する(ステップS160)。詳細には、指示部161は、図9に示されるように、交流電流の負成分が制御部160を流れている間において、タイミング信号S2,S4に代えて、タイミング信号S2,S4よりも早いタイミングでタイミング信号S6,S8を出力する。なお、交流電流の正成分に対応するタイミング信号S1,S3の出力タイミングは、傾動接続部107が中立位置にあるときと同じである。
【0071】
この場合、トライアック163が交流電流の負成分の流れを許容している期間は、トライアック163が交流電流の正成分の流れを許容している期間よりも長くなる。この結果、交流電流の1周期において、モータ151への電力供給量は、モータ152への電力供給量よりも多くなり、モータ151のモータシャフト156は、モータ152のモータシャフト156よりも高い回転数で回転する。したがって、モータ151によって駆動される掻取ローラ131の周速は、モータ152によって駆動される掻取ローラ132の周速よりも高くなる。掻取ローラ131の周速が掻取ローラ132の周速よりも高くなっている状態で掻取ローラ131,132が床面上で転動すれば、掻取ローラ131,132は、吸込具100が右方に方向転換することを補助する。
【0072】
タイミング信号S1~S8の出力の後、保持部105の操作部108において停止ボタンが操作されておらず、交流電流が制御部160を流れ続けている場合(ステップS170:Yes)、上述の制御(ステップS110~S160)が継続される。保持部105の操作部108において停止ボタンが操作されれば、制御部160を介したモータ151,152への電力供給が停止される(ステップS170:No)。
【0073】
上述の実施形態では、掻取ローラ131,132は、吸込空間110内で左右に並んで配置されており、モータ151,152によってそれぞれ個別に駆動される。モータ151,152は、制御部160によって個別に制御され、掻取ローラ131,132の周速が個別に変更され得る。掻取ローラ131,132間において周速差が略ゼロであれば、掻取ローラ131,132は、床面上を転動しながら吸込具100の直進移動を補助する。
【0074】
使用者が、保持部105を左方に移動させると、傾動接続部107は、吸込具100に対して左方に傾く。このとき、傾動検出部180は、傾動接続部107の左方の傾動を検出し、傾動接続部107が左方に傾動していることを表す傾動信号を出力する。この傾動信号に応じて、制御部160は、右側の掻取ローラ132の周速が左側の掻取ローラ131の周速よりも高くなるようにモータ151,152を制御する。この結果、掻取ローラ131,132は、吸込具100を左方に向かわせる力を生じさせる。逆に、傾動接続部107が右方に傾けば、左側の掻取ローラ131の周速が右側の掻取ローラ132の周速よりも高くされ、掻取ローラ131,132は、吸込具100を右方に向かわせる力を生じさせる。掻取ローラ131,132の周速差により生じた力によって、吸込具100の方向転換が補助される。すなわち、使用者は、周速差で生じた力の分だけ低減された力で吸込具100を所望の方向に移動させることができる。
【0075】
掻取ローラ131,132による補助方向は、保持部105の移動方向に一致している。したがって、使用者は、吸込具100を移動させたい方向に保持部105を移動することにより、吸込具100の方向転換を掻取ローラ131,132の周速差で補助することができる。
【0076】
上述の実施形態では、トライアック163、第1半波整流器164及び第2半波整流器165を用いることにより、モータ152を交流電流の正成分で駆動し、モータ151を交流成分の負成分で駆動することが可能になる。この場合、タイミング信号の出力間隔を交流電流の半周期に略等しくすれば、掻取ローラ131,132を略等しい周速で回転させることが可能になる。また、タイミング信号の出力間隔を交流電流の半周期とは異なる値にすれば、掻取ローラ131,132との間で周速差を生じさせることができる。
【0077】
また、交流電流を正成分と負成分とに分けてモータ152,151を駆動する構成を採用することにより、2つの電力線175,176を用いてこれらのモータ152,151に電力を供給することができる。一般的に、2つのモータを駆動するためには、4本の電力線が必要とされるが、上述の実施形態では、2つの電力線175,176だけでモータ152,151へ駆動電力を供給することができる。したがって、吸込具100内における配線が簡素化される。
【0078】
上述の実施形態において、傾動検出部180は、吸込具100に対する傾動接続部107の傾動方向の情報を制御部160に与えている。加えて、傾動検出部180は、吸込具100に対する傾動接続部107の傾動量の情報を制御部160に与えてもよい。この場合、制御部160は、傾動量の大きさに応じて掻取ローラ131,132の周速差の大きさが変わるようにモータ151,152を制御してもよい。たとえば、傾動量が大きければ大きいほど、制御部160は、掻取ローラ131,132の周速差が大きくなるようにモータ151,152を制御してもよい。
【0079】
上述の実施形態において、制御部160は、掻取ローラ131,132のうち一方を増速させることにより、これらの掻取ローラ131,132の周速差を作り出している。代替的に、制御部160は、掻取ローラ131,132のうち一方を減速又は停止させることにより、周速差を作り出してもよい。あるいは、制御部160は、掻取ローラ131,132のうち一方を増速させる一方で、他方を減速又は停止させることにより周速差を作り出してもよい。
【0080】
上述の実施形態において、第1電流閾値を超える大きさの制御対象電流が流れた場合には、指示部161は、タイミング信号S1~S8を出力せず、トライアック163で交流電流の流れを遮断した状態を維持している。これにより、モータ151,152は、過度に大きな駆動電流から保護される。この保護制御に加えて、制御部160は、第1電流閾値を超えるほどではないが長い期間に亘ってモータ151,152へ流れることが望ましくない大きさの交流電流からモータ151,152を保護するような制御を行ってもよい。
【0081】
この場合、図10に示すように、判定部166は、電流検出部162によって検出された制御対象電流に対して、第2電流閾値と期間閾値とを用いて所定の判定処理を行う(ステップS112,S114)。第2電流閾値は、第1電流閾値よりも小さな値に設定されているが、長期に亘ってモータ151,152へ流れることが望ましくない大きさの交流電流(制御対象電流)が流れているか否かを判定可能な値に設定されている。期間閾値は、第1電流閾値と第2電流閾値との間の大きさの交流電流(制御対象電流)が継続して流れることが望ましくない時間長さであるか否かを判定可能な値に設定されている。
【0082】
判定部166は、第1電流閾値を用いた判定処理を行い(ステップS110)、制御対象電流が第1電流閾値以下の大きさであれば(ステップS110:No)、第2電流閾値を用いた判定処理を行う(ステップS112)。制御対象電流が第2電流閾値以下の大きさであれば(ステップS112:No)、電力制御部167は、傾動接続部107の傾動方向に基づく掻取ローラ131,132の周速制御を行う(ステップS130~S160)。
【0083】
制御対象電流の大きさが第2電流閾値を超えていれば(ステップS112:Yes)、判定部166は、第1電流閾値と第2電流閾値との間の大きさの制御対象電流が期間閾値を超える時間長さに亘って検出されているか否かを判定する(ステップS114)。この制御対象電流の検出期間が、期間閾値を超えていれば(ステップS114:Yes)、指示部161は、トライアック163へのタイミング信号S1~S8の出力を停止する(ステップS120)。制御対象電流の検出期間が、期間閾値以下であれば(ステップS114:No)、電力制御部167は、傾動接続部107の傾動方向に基づく掻取ローラ131,132の周速制御を行う(ステップS130~S160)。
【0084】
第2電流閾値及び期間閾値を用いた判定処理(ステップS112,S114)により、大きな駆動電流が長期に亘ってモータ151,152を流れることが防止される。
【0085】
第2電流閾値は、モータ151,152への電力供給の即時停止が必要とされるほどではないが長期に亘る供給が望ましくない大きさの制御対象電流をターゲットにして設定されている。したがって、第1電流閾値は、このような大きさの制御対象電流をターゲットにして設定されなくてもよい。すなわち、第1電流閾値を、モータ151,152への電力供給を即時に停止すべき大きさの制御対象電流をターゲットにして設定することができる。
【0086】
<第2実施形態>
吸込具100において、左側の掻取ローラ131と右側の掻取ローラ132のうちいずれか一方に対する負荷が高くなることが生じうる。たとえば、左側の掻取ローラ131に毛髪が絡みつき、この掻取ローラ131の回転抵抗が、右側の掻取ローラ132の回転抵抗よりも高くなることが生じうる。この場合、左側の掻取ローラ131において異常が生じていることを表すエラーメッセージを使用者に表示できれば、使用者によるトラブルシューティングは容易になる。そこで、第2実施形態の掃除機101は、使用者に対するエラーメッセージの表示機能を有するように構成される。
【0087】
図11に示すように、使用者へのエラーメッセージの表示機能を得るために、掃除機101は、表示部190を有している。表示部190は、例えば、操作部108に設けられていてもよい。表示部190は、制御部160からの指令に基づいてエラーメッセージを表示するように構成されている。
【0088】
制御部160は、電流検出部162と、判定部166と、表示制御部191と、電力制御部167と、を含んでいる。なお、電力制御部167は、第1実施形態と同じ構成を有している。
【0089】
電流検出部162は、モータ151,152を駆動する駆動電流の大きさを個別に検出するように構成されている。詳細には、電流検出部162は、モータ151用の供給経路171に設けられた電流計263と、モータ152用の供給経路172に設けられた電流計264と、を含んでいる。電流計263は、供給経路171を流れる駆動電流の大きさを検出する。電流計264は、供給経路172を流れる駆動電流の大きさを検出する。
【0090】
判定部166は、電流計263,264が検出した駆動電流の大きさに関する情報を受け取るとともに、電流計263,264が検出した駆動電流の大きさを第1電流閾値と個別に比較するように構成されている。
【0091】
表示制御部191は、判定部166の比較結果に基づいて、エラーメッセージを表示させるための指令を表示部190に出力するように構成されている。
【0092】
制御部160の動作が、図12を参照して以下に説明される。
【0093】
判定部166は、電流計263,264が検出した駆動電流の大きさを第1電流閾値と個別に比較する(ステップS110)。電流計263,264が検出した駆動電流のいずれもが第1電流閾値以下であれば(ステップS110:No)、傾動接続部107の傾動姿勢に基づく制御(ステップS130~S160)が実行される。一方、電流計263,264のうち少なくとも一方が第1電流閾値よりも大きな駆動電流を検出すれば(ステップS110:Yes)、指示部161は、ゲート電圧の印加についての指示を止め、モータ151,152を停止させる(ステップS125)。このとき、表示制御部191は、エラーメッセージの表示のために指令を出力する。この指令に応じて、表示部190は、エラーメッセージを表示する。エラーメッセージは、モータ151,152のいずれに過電流の問題(すなわち、第1電流閾値より大きな交流電流の供給)が生じたかを使用者に特定させることができれば、どのような形式で表示されてもよい。
【0094】
たとえば、モータ151に対する交流電流の大きさが第1電流閾値を超えているとの判定結果が得られた場合には、表示部190には、モータ151及び/又は掻取ローラ131の負荷が高いことを表すエラーメッセージが表示されてもよい。モータ152に対する交流電流の大きさが第1電流閾値を超えているとの判定結果が得られた場合には、表示部190には、モータ152及び/又は掻取ローラ132の負荷が高いことを表すエラーメッセージが表示されてもよい。
【0095】
表示部190にエラーメッセージが表示されることにより、使用者は、掻取ローラ131,132のいずれに問題が生じているかを特定することができる。
【0096】
上述の実施形態では、第1電流閾値を用いて判定処理が実行されている。これに加えて、第2電流閾値及び期間閾値を用いた判定処理が実行されてもよい。この場合、第1電流閾値と第2電流閾値との間の大きさの交流電流が期間閾値によって定められた期間を超えて流れても、表示部190にエラーメッセージが表示されてもよい。
【0097】
<第3実施形態>
掻取ローラ131,132に対する上述の制御は、ステッキ型の掃除機101(図13を参照)にも適用可能である。
【0098】
図13の掃除機101は、掃除機本体102と、吸込具100と、表示部190と、を備えている。掃除機本体102は、傾動接続部107と、本体部201と、を含んでいる。傾動接続部107は、吸込具100の吸込空間110に繋がる流路を形成している。
【0099】
本体部201は、吸引源103と、吸引源103の上側に搭載された二次電池203と、吸引源103及び二次電池203を外周面において支持するように構成された棒状の支持ステッキ204と、を含んでいる。吸引源103及び二次電池203は、支持ステッキ204の長手方向に沿って並んで配置されている。
【0100】
支持ステッキ204の下端は、傾動接続部107と接続可能に構成されており、支持ステッキ204及び傾動接続部107は直線的に並んでいる。詳細には、支持ステッキ204の下部は、傾動接続部107によって形成された流路に繋がる内部空間を形成するように構成されている。この内部空間は、吸引源103によって作り出された吸引力により吸い込まれた塵埃を吸引源103内に流入させるために利用される。
【0101】
支持ステッキ204の上端部には、保持部105が設けられている。保持部105は、支持ステッキ204の上端部から屈曲したL字状の部材である。
【0102】
使用者が、保持部105を左方に動かせば、支持ステッキ204及び傾動接続部107は、一体的に左方に傾動する。使用者が、保持部105を右方に動かせば、支持ステッキ204及び傾動接続部107は、一体的に右方に傾動する。
【0103】
傾動接続部107の傾動方向を検出する傾動検出部180は、支持ステッキ204に設けられていてもよい。傾動検出部180からの傾動信号に応じて、モータ151,152を制御する制御部160の概略的なブロック図が図14に示されている。図14を参照して制御部160を説明する。
【0104】
制御部160は、PMW制御を行うことにより、モータ151,152を個別に制御するように構成されている。詳細には、制御部160は、電力制御部167と、電流検出部162と、判定部166と、表示制御部191と、を有している。なお、モータ151,152は、直流電流の供給下で動作するように構成されている(直流モータ)。また、表示制御部191は、第2実施形態と同じ構成を有している。
【0105】
電力制御部167は、スイッチ266と、モータ151用の指示部261と、モータ152用の指示部262と、を含んでいる。指示部261は、傾動検出部180からの傾動信号に基づき、モータ151に対してモータシャフト156の回転数を指示するように構成されている。指示部261は、傾動検出部180からの傾動信号に基づき、モータ151に対してモータシャフト156の回転数を指示するように構成されている。スイッチ266は、判定部166による判定結果に応じて開閉するように構成されている。
【0106】
直流電流をモータ151,152に個別に流すために、直流電流の流れ方向においてスイッチ266の下流側にモータ151用の供給経路171及びモータ152用の供給経路172が設けられている。
【0107】
供給経路171には電流計263が設けられ、供給経路172には電流計264が設けられている。これらの電流計263,264は、電流検出部162を構成している。
【0108】
判定部166は、電流計263,264によって検出された駆動電流の大きさに基づいて、スイッチ266を制御するように構成されている。
【0109】
制御部160の動作は、第2実施形態における制御(図12を参照)と同様である。
【0110】
上述の実施形態では、第1電流閾値を用いて判定処理が実行されている。これに加えて、第2電流閾値及び期間閾値を用いた判定処理が実行されてもよい。この場合、第1電流閾値と第2電流閾値との間の大きさの交流電流が期間閾値によって定められた期間を超えて供給されても、表示部190にエラーメッセージが表示されてもよい。
【0111】
上述の実施形態では、傾動接続部107の傾動方向に基づいて掻取ローラ131,132の周速が制御されている。代替的に、掻取ローラ131,132の周速を制御するためのスイッチが掃除機101に設けられていてもよい。この場合、使用者がスイッチを操作することにより、掻取ローラ131,132が互いに異なる周速で回転されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本実施形態の原理は、清掃作業に用いられる装置に好適に利用される。
【符号の説明】
【0113】
100・・・・・吸込具
101・・・・・掃除機
102・・・・・掃除機本体
105・・・・・保持部
107・・・・・傾動接続部
108・・・・・操作部
110・・・・・吸込空間
120・・・・・吸込ハウジング
131・・・・・掻取ローラ
132・・・・・掻取ローラ
151・・・・・モータ
152・・・・・モータ
160・・・・・制御部
162・・・・・電流検出部
166・・・・・判定部
167・・・・・電力制御部
180・・・・・傾動検出部
190・・・・・表示部
191・・・・・表示制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14