(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】折り畳み椅子
(51)【国際特許分類】
A47C 4/02 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
A47C4/02 B
(21)【出願番号】P 2021073917
(22)【出願日】2021-04-26
(62)【分割の表示】P 2019126663の分割
【原出願日】2019-07-08
【審査請求日】2022-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000111867
【氏名又は名称】パール金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134050
【氏名又は名称】岩崎 博孝
(72)【発明者】
【氏名】高波 文雄
【審査官】井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】実公平02-012910(JP,Y2)
【文献】実開平05-007164(JP,U)
【文献】実公昭08-010020(JP,Y1)
【文献】特開2019-013274(JP,A)
【文献】実開昭61-018045(JP,U)
【文献】実開昭53-051316(JP,U)
【文献】実開平05-031650(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 3/16
A47C 4/00 - A47C 5/10
A47C 9/00 - A47C 16/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座面と、
当該座面に対して回動して折り畳み可能に連結される背もたれ面と、
当該背もたれ面の両サイドに配置される背もたれ面フレームと、
背もたれ面フレームに配置されたジョイント部材と、
当該ジョイント部材から前記背もたれ面後方側の床に向かって配置される支えフレームと、を備え、
前記支えフレームが着脱可能に備えられていると共に、
前記背もたれ面フレームは、前記背もたれ面の両サイドにのみ配置され、
前記支えフレームは、前記床側よりも前記背もたれ面フレーム側の幅が広がるよう略「逆ハの字型」に配置され、
前記支えフレームにおける前記背もたれ面フレームとの結合部分同士の自由状態での間隔をX、前記背もたれ面フレームに備わる前記支えフレームとのジョイント部分同士の間隔をYとするとき、
YよりもXが大きくなるように構成される
ことを特徴とする折り畳み椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳み椅子に関し、特に詳しくは、座面を床に直置き使用するタイプの折り畳み椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、座面を床面等に直置きし使用するタイプの折り畳み椅子は公知である。
【0003】
例えば特許文献1に開示される折り畳み椅子は、座面両サイドに前後方向に走る座面フレームの途中位置から、背もたれ面両サイドを支持する背もたれ面フレームが回動可能に支持されている。更に、座面フレームを座面より後方にまで延在させると共に、当該座面フレームの後端部(延在端部)と背もたれ面フレームの上端部とをクロス配置された支えフレームによって連結することにより、背もたれ面が後方に倒れることなく支持できると共に折り畳みを可能としているものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の折り畳み椅子では、使用者が背もたれ面に寄りかかると(体重をかけると)、座面の一部乃至は全体が浮き上がってしまい、安定した着座姿勢が保てない(場合によっては後方に転倒してしまう)という問題があった。
【0006】
そこで本発明は、こういった問題点を解決するべくなされたものであって、座面を床に直置き使用するタイプの折り畳み椅子において、安定した着座を可能とする事をその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するべく、本願発明は、座面と、当該座面に対して回動して折り畳み可能に連結される背もたれ面と、当該背もたれ面の少なくとも両サイドに配置される背もたれ面フレームと、当該背もたれ面フレームから当該背もたれ面後方側の床面に向かって配置される支えフレームと、を備え、当該支えフレームの下端(先端)と前記座面とが、フレームのような硬い部材によって連結されていないことを特徴とする。
【0008】
このような構成を採用したことによって、座面を床に直置き使用するタイプの折り畳み椅子において、安定した着座が可能となっている。即ち、使用者が背もたれ面に寄りかかっても(体重をかけても)、座面の一部乃至は全体が浮き上がってしまうような事がない。
【0009】
発明者は、従来の座面を床に直置き使用するタイプの折り畳み椅子において、背もたれ面に寄りかかった際に座面が浮き上がり、場合によって後方に転倒してしまいそうになるのは、支えフレームの下端(先端)と座面とが「フレームのような硬い部材」で連結されているという構成が原因であると考えた。即ち、寄りかかる力によって支えフレームの下端(先端)位置を「支点」として椅子全体が後方に回転しようとするモーメントが発生するが、支えフレームの下端(先端)と座面とがフレームのような硬い部材で連結されていると、この部材を伝わって座面を浮かせる方向の力が作用するため、この力の発生が着座の不安定さを増していると考えたのである。そこで発明者は、支えフレームの下端(先端)と座面とを、「フレームのような硬い部材によって連結しない」という構成を採用することでこの問題点を解決したのである。その結果、背もたれ面に寄りかかっても、座面が浮き上がろうとする力が発生することがないので、安定した着座が可能となっているのである。
【0010】
また、前記座面を布乃至網といった柔軟性のある素材で構成すると共に、前記座面にはフレームを配置しないことが望ましい。
【0011】
このような構成を採用すれば、着座の際にフレームが尻等に当たることがなく、不快な痛みの発生を根本的に防止することができる。
【0012】
また、前記背もたれ面も布乃至網といった柔軟性のある素材で構成すると共に、前記背もたれ面には両サイドに「のみ」フレームを配置し、且つ、前記支えフレームを着脱可能に構成すると共に、前記支えフレームにおける前記背もたれ面フレームとの結合部分同士の自由状態での間隔をX、前記背もたれ面フレームに備わる前記支えフレームとのジョイント部分同士の間隔をYとするとき、YよりもXが大きくなるように構成することが望ましい。
【0013】
このように構成すれば、座面と背もたれ面とを重ね合わせるように折り畳んだ状態で、巻回してコンパクトに収納することが可能となる。更に、支えフレームを取り付ける際に、支えフレームを幅狭方向に撓ませた状態で取り付けることとなるため、支えフレームを取り付けるのみで背もたれ面が張り、座り心地が向上する。
【0014】
また、前記支えフレーム自体を折り畳み可能に構成すると共に、折り畳んだ状態の長さが前記背もたれ面の長さ以下となるように構成することが望ましい。
【0015】
このように構成すれば、椅子全体を巻回収納する際に、折り畳んだ支えフレームを内側に入れた状態で巻回すれば、硬いフレームが外部に露出しない状態で巻回収納することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明を適用することで、座面を床に直置き使用するタイプの折り畳み椅子であっても安定した着座が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態の一例である折り畳み椅子の正面側斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態の一例である折り畳み椅子の背面側斜視図である。
【
図4】支えフレームを折り畳む途中の状態を示した図である。
【
図5】自由状態の支えフレームと取り付けた状態の支えフレームの形状の変化を示した図である。
【
図6】支えフレームを折り畳んだ状態を示した図である。
【
図7】座面と背もたれ面を折り畳み、且つ、その上に折り畳んだ支えフレームを載置した状態を示した図である。
【
図8】折り畳み椅子全体を巻回した状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態の一例であるに折り畳み椅子100ついて説明を加える。なお、図面理解容易の為、各部の大きさや寸法を誇張して表現している部分があり、実際の製品と必ずしも一致しない部分があることを付記しておく。また各図面は符号の向きに見るものとし、当該向きを基本に上下左右、手前、奥と表現する。
【0019】
〈折り畳み椅子の構成〉
図1~
図3に示しているように、本発明の実施形態の一例として示す折り畳み椅子100は、座面102と、この座面102に対して回動して折り畳み可能に連結される背もたれ面104と、背もたれ面104の少なくとも両サイドに配置される背もたれ面フレーム110と、背もたれ面フレーム110から背もたれ面104の後方側の床面に向かって配置される支えフレーム120と、を備える。
【0020】
座面102は、本実施形態においては「布」で構成されており、内部に所定の厚みに形成されたクッション材が封入されている。また、この座面102にはフレームのような硬い部材が一切使用されていない。
【0021】
背もたれ面104も、本実施形態においては、座面から連続する「布」で構成される。背もたれ面104の両サイドは、それぞれ袋状に構成されたフレーム収納部108を有しており、当該フレーム収納部108の中に背もたれ面フレーム110が収納配置されている。
【0022】
座面102と背もたれ面104の連結部分106は、座面102のようにクッション材が封入されておらず、且つ、背もたれ面104のように両サイドにフレームが配置されていないため、ちょうどこの部分を中心に回動するように折り畳む事が可能である。
【0023】
フレーム収納部108は一部が切り欠かれた切欠部109を有しており、背もたれ面フレーム110の途中には、ちょうどこの切欠部109の位置に、第1のジョイント部材112が取り付けられている。
【0024】
背もたれ面104の後方には、第1のジョイント部材112を介して支えフレーム120が取り付けられる。この支えフレーム120は、第1のジョイント部材112に対して差し込むことで取り付け固定され、引き抜くことで取り外すことが可能とされている。即ち着脱自在とされている。
【0025】
本実施形態における支えフレーム120は、ベースポール122と、このベースポールの両端に取り付けられた第2のジョイント部材124と、当該第2のジョイント部材124に差し込まれる2本の支えポール126で構成される。
【0026】
支えフレーム120における2本の支えポール126は、それぞれ、第2のジョイント部材124から引き抜く事が可能であるが、支えポール126と第2のジョイント部材124とは例えばゴムのような伸縮部材125によって連結されているため、引き抜いたとしても各部材がバラバラになってしまうことはない。
【0027】
なお、支えフレーム120における背もたれ面フレーム110との結合部分(支えポール126の上端部)同士の自由状態での間隔をX、背もたれ面フレーム110に備わる支えフレーム120とのジョイント部分(第1のジョイント112)同士の間隔をYとするとき、YよりもXが大きくなるように構成されている。
【0028】
また、2本の支えポール126をそれぞれ引き抜いた状態で
図6のように折り畳む事が可能であり、この折り畳んだ状態の長さL1が、背もたれ面104の長さL2以下となるように構成される(
図7参照)。
【0029】
〈折り畳み椅子の使い方(作用・機能)〉
折り畳み椅子100の使い方は非常にシンプル且つ簡単である。支えフレーム120を組み立て、更に、背もたれ面フレーム110に備わる第1のジョイント部材112に差し込み固定した状態で、座面102から背もたれ面104を引き起こして床面等に載置する。この作業のみで設置が完了する。収納する場合は逆の手順となる。
【0030】
上記でも説明した通り、本願発明の実施形態と一例として示した折り畳み椅子100は、座面102と、この座面102に対して回動するように折り畳み可能に連結される背もたれ面104と、当該背もたれ面104の少なくとも両サイドに配置される背もたれ面フレーム110と、当該背もたれ面フレーム110から当該背もたれ面104後方側の床面に向かって配置される支えフレーム120と、を備え、当該支えフレーム120の下端(先端)と座面102とが、フレームのような硬い部材によって連結されていないという構成を採用していた。
【0031】
これにより、使用者が背もたれ面104に寄りかかっても(体重をかけても)、座面102の一部乃至は全体が浮き上がってしまうような事がなく、着座の安定性を確保している。
【0032】
また、座面102が「布」で構成されると共に、座面102にはフレームが配置されていない。
【0033】
これにより、座面102に着座した際にフレームが尻等に当たることがなく、不快な痛みの発生を根本的に防止している。
【0034】
また、背もたれ面104も「布」で構成されると共に、背もたれ面104には両サイドに「のみ」フレームが配置され、且つ、支えフレーム120が着脱可能に構成されると共に、支えフレーム120における背もたれ面フレーム110との結合部分(支えポール126の上端部)同士の自由状態での間隔をX、背もたれ面フレーム110に備わる前記支えフレーム120とのジョイント部分(第1のジョイント112)同士の間隔をYとするとき、YよりもXが大きくなるように構成されていた。
【0035】
これにより、座面102と背もたれ面104とを重ね合わせるように折り畳んだ状態で、巻回してコンパクトに収納することが可能となっている。更に、支えフレーム120を取り付ける際に、支えフレーム120を幅狭方向に撓ませた状態で取り付けることとなるため、支えフレーム120を取り付けるのみで背もたれ面が張り、座り心地が向上する。
【0036】
更に、支えフレーム120自体も折り畳み可能に構成される共に、折り畳んだ状態の長さL1が背もたれ面104の長さL2以下となるように構成されていた(
図7参照)。
【0037】
これにより、
図8に示したように、椅子全体を巻回収納する際に、折り畳んだ支えフレーム120を内側に入れた状態で巻回すれば、硬いフレームが外部に露出しない状態で巻回収納することが可能となる。
【0038】
〈その他の構成例〉
また、上記では、座面102及び背もたれ面104が「布」で構成されていたが、椅子としての強度と柔軟性を有する素材である限りにおいて、種々のものを選択可能である。例えば網(ネット)のような材料で構成してもよい。
【符号の説明】
【0039】
100・・・折り畳み椅子
102・・・座面
104・・・背もたれ面
106・・・連結部
108・・・フレーム収納部
109・・・切欠部
110・・・背もたれ面フレーム
112・・・第1のジョイント部材
120・・・支えフレーム
122・・・ベースポール
124・・・第2のジョイント部材
125・・・伸縮部材
126・・・支えポール