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  • 特許-推進力発生具 図1
  • 特許-推進力発生具 図2
  • 特許-推進力発生具 図3
  • 特許-推進力発生具 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】推進力発生具
(51)【国際特許分類】
   B64C 27/467 20060101AFI20240510BHJP
【FI】
B64C27/467
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021167762
(22)【出願日】2021-10-12
(65)【公開番号】P2023057973
(43)【公開日】2023-04-24
【審査請求日】2023-01-31
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523034704
【氏名又は名称】株式会社オフィスジパング
(74)【代理人】
【識別番号】100140866
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 武史
(72)【発明者】
【氏名】田中 冨美雄
【審査官】大宮 功次
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-037690(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2017/0088244(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0020109(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 27/467
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源により回転することで、推進力を発生する推進力発生具であって、
円板形状に形成され、前記駆動源により回転する本体を備え、
前記本体は、
前記本体の回転の中心線と直交する第1面と、前記第1面の反対面である第2面と、を有し、
前記第1面から前記第2面に向かって円弧形状に延びる複数の孔が形成され、
複数の前記孔は、前記本体の回転の中心線を中心とした仮想円上に配列され、
前記本体が回転することで、複数の前記孔に、前記第1面側から前記第2面側に向かって、流体が引き込まれ、前記第1面側に向かう推進力が発生し、
複数の前記孔は、
互いに半径が異なる複数の前記仮想円上に配置され、
最も前記中心線側に配置された前記孔の内径が最も大きく形成され、最も前記本体の外縁側に配置された前記孔の内径が最も小さく形成されていることを特徴とする推進力発生具。
【請求項2】
複数の前記孔は、少なくとも一部が、それぞれの前記孔の中心と前記本体の中心を結ぶ仮想線が重ならない位置に配置されていることを特徴とする請求項に記載の推進力発生具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、推進力発生具に関する。さらに詳細には、本発明は、駆動源により回転することで、推進力を発生する推進力発生具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の推進力発生具としては、例えば、特許文献1で示されているものが知られている。
特許文献1には、ハブから、3つのブレードが径方向に延出し、プラスチック材料から単一部品として成形され、ハブが駆動源により回転することで、推進力が発生するプロペラが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-110413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されたプロペラのような推進力発生具は、ハブからブレードが径方向に延出する形状であるので、ブレードで受けた外力を、ハブとブレードの接続部分で受けることとなる。このような接続部で受ける外力は、プロペラの回転数の上昇に伴い、より大きくなる。そして、この外力が接続部の耐力を超えると、接続部が破損することとなる。このため、推進力発生具は、剛性を向上することが求められている。
【0005】
本発明は、従来技術における前記課題を解決するためになされたものであり、剛性を向上することが可能な推進力発生具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明の推進力発生具は、
(1) 駆動源により回転することで、推進力を発生する推進力発生具であって、
円板形状に形成され、前記駆動源により回転する本体を備え、
前記本体は、
前記本体の回転の中心線と直交する第1面と、前記第1面の反対面である第2面と、を有し、
前記第1面から前記第2面に向かって円弧形状に延びる複数の孔が形成され、
複数の前記孔は、前記本体の回転の中心線を中心とした仮想円上に配列され、
前記本体が回転することで、複数の前記孔に、前記第1面側から前記第2面側に向かって、流体が引き込まれ、前記第1面側に向かう推進力が発生することを特徴とする。
【0007】
本発明の推進力発生具の上記(1)の構成によれば、
推進力発生具は、駆動源により回転することで、推進力を発生し、円板形状に形成され、駆動源により回転する本体を備える。
本体は、第1面と、第2面と、を有し、複数の孔が形成されている。
第1面は、本体の回転の中心線と直交する。
第2面は、第1面の反対面である。
複数の孔は、第1面から第2面に向かって円弧形状に延びるように形成されている。
そして、複数の孔は、本体の回転の中心線を中心とした仮想円上に配列されている。
推進力発生具は、本体が回転することで、複数の孔に、第1面側から第2面側に向かって、流体が引き込まれ、第1面側に向かう推進力が発生する。
【0008】
このような構成によれば、本体が駆動源により回転した場合、回転体の第1面から第2面に向かって円弧形状に延びる複数の孔に、第1面側の流体が引き込まれ、第2面側から排出される。これにより、本体の第1面側が第2面側より負圧となり、第1面側に本体が引き込まれることで、推進力が発生する。
【0009】
また、複数の孔を、本体の回転の中心線を中心とした仮想円上に配列したので、本体が駆動源により回転した場合、複数の孔の回転速度を同じにすることができ、複数の孔でそれぞれ発生する流体の気流の速度を揃えることが可能となり、複数の孔全体で発生する気流が安定し、気流の乱れによるロスを低減し、より効率的に推進力を発生することができる。
【0010】
そして、全体的な形状は、円板形状に形成された本体に、複数の孔を形成した形状であるので、従来のプロペラのように、構造的に強度が低下する部分が無いので、従来のプロペラに比べて、全体的な剛性を向上することができる。
したがって、流体を受ける構成の剛性を向上することが可能な推進力発生具を提供できる。
【0011】
本発明の推進力発生具の上記(1)の構成においては、以下の(2)のような構成にすることが好ましい。
【0012】
(2) 複数の前記孔は、互いに半径が異なる複数の前記仮想円上に配置されている。
【0013】
このような構成によれば、例えば、本体の中心側の仮想円上と、本体の外縁側の仮想円上とに、それぞれ複数の孔を配置することができる。
これにより、本体の中心側と、本体の外縁側と、に気流を発生させることができる。そして、本体の外縁側に発生させた気流により、本体の中心側で発生させた気流が、本体の外縁より外側に流れて、推進力が低下するのを防止可能となり、より効率的に推進力を発生することができる。
【0014】
本発明の推進力発生具の上記(2)の構成においては、以下の(3)のような構成にすることが好ましい。
【0015】
(3) 複数の前記孔は、少なくとも一部が、それぞれの前記孔の中心と前記本体の中心を結ぶ仮想線が重ならない位置に配置されている。
【0016】
ここで、例えば、本体の中心側の仮想円上の孔と、本体の外縁側の仮想円上の孔とが、本体の周方向において互いの位置が揃ってしまうと、本体における、これらの孔の仮想線上の強度が低下するおそれがある。
【0017】
このような構成によれば、複数の孔を、互いに半径が異なる複数の仮想円上に配置した場合でも、例えば、本体の中心側の仮想円上の孔と、本体の外縁側の仮想円上の孔とを、本体の周方向において互いの位置をずらすことで、本体の強度の低下を防止できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、剛性を向上することが可能な推進力発生具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態における推進力発生具を説明する図である。
図2】本発明の一実施形態における推進力発生具を説明する図である。
図3】本発明の一実施形態における推進力発生具の上面図である。
図4】本発明の一実施形態の変形例における推進力発生具の複数の孔を、概念的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、好適な実施形態を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、下記の実施形態は本発明を具現化した例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
【0021】
[推進力発生具の構成]
まず、本発明の一実施形態における推進力発生具1の概要について、図1を参照しながら説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態における推進力発生具を説明する図である。図1は、推進力発生具1を側面から視た図である。
図2は、本発明の一実施形態における推進力発生具を説明する図である。図2は、推進力発生具1の斜視図である。
【0023】
本実施形態の推進力発生具1は、駆動源(図示無し)により本体10が回転することで、推進力を発生する。具体的には、推進力発生具1は、推進方向前側の流体が、本体10に形成された孔11に引き込まれることで、本体10の推進方向前側が、推進方向後側に比べて負圧となり、この負圧となった位置に本体10が引き寄せられることで、推進する。
推進力発生具1は、例えば、従来のプロペラを回転させることで推進力を得る、飛行機、ヘリコプター、ドローン等の航空機や、船舶等のプロペラの代わりに設けられることで、航空機や船舶等の推進力を発生する。
【0024】
推進力発生具1は、円板形状に形成された本体10と、本体10に設けられた回転力伝達部20と、を備える。
【0025】
本体10は、進方向前側に面する第1面10aと、推進方向後側に面する第2面10bと、を有する。また、本体10には、第1面10aから第2面10bに向かって円弧形状に延びる複数(図2に示す例では、15ヶ所)の孔11が形成されている。第1面10aは、中心に形成された平面10a1と、本体10の外縁から中心の平面に向かって登り傾斜する傾斜面10a2と、を有する。これにより、本体10の外縁より外側の流体も、孔11に引き込むことが可能となる。
【0026】
複数の孔11は、図2に示す例では、所定の内径を有する円形状に形成され、本体10の中心を通り、推進方向に延びる中心線Cから所定距離離れた位置で、水平方向(推進方向と直交する方向)に対して所定角度傾斜して延びる螺旋曲線Rを中心に延びている。複数の孔11は、本体10における中心線Cを中心とする仮想円上に、等間隔で形成されている。
【0027】
例えば、図1及び図2に示す例では、本体10は、全体の直径が150mmで、中心に形成された平面10a1の直径が30mmであり、外縁厚さが30mmであり、中心に形成された平面10a1位置の厚さ34mmである。
【0028】
複数の孔11は、中心線Cから所定距離離れた位置で、水平方向(推進方向と直交する方向)に対して所定角度で、傾斜して延びる螺旋曲線Rを中心に延び、中心線Cを中心とする仮想円上に、等間隔(図2に示す例では、72°間隔(360°を孔11の数5で等分した角度))で形成されている。複数の孔11は、螺旋曲線Rと直交する仮想面上において、所定寸法の直径の円形状の断面を有する。
【0029】
図3は、本発明の一実施形態における推進力発生具の上面図である。
図3に示す例において、複数の孔11は、互いに半径が異なる複数の仮想円VC1~VC3上に配置されている。
詳細には、推進力発生具1は、互いに半径が異なる複数の仮想円VC1~VC3上に、それぞれ、5つの孔11が、等間隔で形成されている。
仮想円VC1~VC3は、中心線Cを中心とする同心円であり、仮想円VC1(例えば、直径75mm)、仮想円VC2(例えば、直径105mm)、仮想円VC3(例えば、直径130mm)の順に、直径が大きくなっている。すなわち、仮想円VC1上に配置された孔11の外側(本体10の外縁側)に仮想円VC2が配置され、仮想円VC2上に配置された孔11の外側に仮想円VC3が配置されている。
【0030】
図3に示す例において、仮想円VC1上に配置された孔11を孔111、仮想円VC2上に配置された孔11を孔112、仮想円VC3上に配置された孔11を孔113と称する。
【0031】
孔111は、中心線Cから仮想円VC1の半径と同じ寸法(例えば、37.5mm)離れた位置で、水平方向(推進方向に直交する方向)に対して35°(入射角)で、傾斜して延びる螺旋曲線Rを中心に延び、仮想円VC1上に、等間隔(図3に示す例では、72°間隔(360°を孔111の数である5で等分した角度))で形成されている。
孔111は、螺旋曲線Rと直交する仮想面上において、直径15mmの円形状の断面を有する。
【0032】
孔112は、中心線Cから仮想円VC2の半径と同じ寸法(例えば、52.5mm)離れた位置で、水平方向(推進方向に直交する方向)に対して30°(入射角)で、傾斜して延びる螺旋曲線Rを中心に延び、仮想円VC2上に、等間隔(図3に示す例では、72°間隔(360°を孔112の数である5で等分した角度))で形成されている。
孔112は、螺旋曲線Rと直交する仮想面上において、直径15mmの円形状の断面を有する。
【0033】
孔113は、中心線Cから仮想円VC3の半径と同じ寸法(例えば、65mm)離れた位置で、水平方向(推進方向に直交する方向)に対して25°(入射角)で、傾斜して延びる螺旋曲線Rを中心に延び、仮想円VC3上に、等間隔(図3に示す例では、72°間隔(360°を孔113の数である5で等分した角度))で形成されている。
孔113は、螺旋曲線Rと直交する仮想面上において、直径10mmの円形状の断面を有する。
【0034】
ここで、本体10を回転させた場合、回転方向への移動速度は、最も内側(中心線C側)に配置した孔111が最も小さく、最も外側(本体10の外縁側)に配置した孔113が最も大きい。
【0035】
上記のように、本体10において、最も内側(中心線C側)に配置した孔111の入射角を最も大きく形成し、最も外側(本体10の外縁側)に配置した孔113の入射角を最も小さく形成した。これにより、内側の孔からは、本体10の中心側の流体を引き込むことができ、外側の孔からは、本体10の外縁側の流体を引き込むことが可能となる。よって、本体10の第1面10a側において、より広い範囲を、第2面10b側に比べて負圧にすることが可能となり、推進力を効率的に発生することができる。
【0036】
また、図3に示す例において、孔111及び孔112は、それぞれの孔の中心と本体10の中心を結ぶ仮想線VL1,2が重なる位置に配置されている。一方、孔113の仮想線VL3は、孔111及び孔112の仮想線VL1,2と重ならない位置に配置されている。具体的には、仮想線VL3は、互いに隣接する2つの孔111又は互いに隣接する2つの孔112の中間位置を通る。
【0037】
上記のように、互いに隣接する孔111及び孔112を、それぞれの仮想線が重なる位置に配置することで、本体10の半径方向に配列した孔111及び孔112で、螺旋形で流れる一体的な流体の流れを形成できる。また、孔112の代わりに、孔111を大きく形成した場合に比べ、流体を受ける孔の側壁の面積を大きくできるので、より効率的に祖推進力を発生できる。なお、孔111乃至孔113を、全て、互いに上記仮想線が重ならない位置に配置してもよい。
【0038】
また、上記のように、本体10において、回転方向への移動速度が最も遅い、最も内側(中心線C側)に配置した孔111の内径を最も大きく形成し、回転方向への移動速度が最も早い、最も外側(本体10の外縁側)に配置した孔113の内径を最も小さく形成した。これにより、回転方向への移動速度の違いから生ずる、内側と外側における引き込む流体量の差を、内側の孔の開口面積を大きくすることで、解消することが可能となる。これにより、本体10の内側の孔と外側の孔とで、引き込む流体量の差による気流の乱れを抑えることが可能となり、第1面10a側に、第2面10b側に比べて負圧である状態を安定させることが可能となる。
【0039】
図2に戻って、回転力伝達部20は、例えば、本体10の中心に配置され固定され、中心線C(回転軸)上を延びる軸部材で形成され、エンジンやモータ等の駆動源により、中心線Cを中心に回転する。これにより、回転力伝達部20に接続された本体10が回転する。なお、回転力伝達部20は、図2に示すような軸部材に限らず、本体10に回転力を付与できれば、例えば、本体10の外縁に設けられ、上記部材に歯合するギヤ等の任意の構成としてもよい。
【0040】
なお、複数の孔11の数や、入射角や、位置は、図3に示す態様に限らず、任意の構成とすることができる。
【0041】
[推進力発生具の変形例]
図4は、本発明の一実施形態の変形例における推進力発生具の複数の孔を、概念的に示す図である。
変形例の推進力発生具1Aは、互いに半径が異なる7つの仮想円VCA,VCB,VCC,VCD,VCE,VCF,VCG上に、それぞれ、5つの孔11が、等間隔で形成されている。
【0042】
図4に示す例において、仮想円VCA上に配置された孔11を孔A、仮想円VCB上に配置された孔11を孔B、仮想円VCC上に配置された孔11を孔C、仮想円VCD上に配置された孔11を孔D、仮想円VCE上に配置された孔11を孔E、仮想円VCF上に配置された孔11を孔F、仮想円VCG上に配置された孔11を孔G、と称する。
【0043】
仮想円VCA(孔A),VCB(孔B),VCC(孔C),VCD(孔D),VCE(孔E),VCF(孔F),VCG(孔G)は、2つのグループに分けることができる。
本体10の中心側に配置される仮想円VCA,VCB,VCCは、上記実施形態の仮想円VC1~VC3と同様に、中心線Cを中心とする同心円であり、仮想円VCA、仮想円VCB、仮想円VCCの順に、直径が大きくなっている。
【0044】
一方、本体10の外縁側に配置される仮想円VCD,VCE,VCF,VCGは、中心線Cを中心とする同心円であり、仮想円VCD、仮想円VCE、仮想円VCF、仮想円VCGの順に、直径が小さくなっている。
【0045】
孔A、孔B、孔C、孔D、孔E、孔F、孔Gは、中心線Cからそれぞれの仮想円の半径と同じ寸法離れた位置で、水平方向(推進方向に直交する方向)に対して、所定の入射角で、傾斜して延びる螺旋曲線Rを中心に延び、それぞれの仮想円上に、等間隔(図4に示す例では、72°間隔(360°を各孔の数である5で等分した角度))で形成されている。
【0046】
本体10の中心側に配置される孔A、孔B、孔Cは、それぞれの孔の中心と本体10の中心を結ぶ仮想線とが、互いに重ならない位置に配置されている。孔A、孔B、孔Cは、本体10において、回転方向への移動速度が最も遅い、最も内側(中心線C側)に配置した孔Aの内径を最も大きく形成し、回転方向への移動速度が最も早い、最も外側(本体10の外縁側)に配置した孔Cの内径を最も小さく形成した。
【0047】
本体10の外縁側に配置される孔D、孔E、孔F、孔Gは、上面視で、本体10の外縁近傍から、本体10の中心側に湾曲しながら延びる仮想円弧VA上に配列されている。孔D、孔E、孔F、孔Gは、仮想円弧VA上において、本体10の外縁側から中心側に向かって、孔D、孔E、孔F、孔Gの順に配列されている。また、孔D、孔E、孔F、孔Gの内径は、孔Dが最も大きく、孔Gが最も小さい。
【0048】
このような孔D、孔E、孔F、孔Gを形成することで、本体10の外縁側に配置した複数の孔により、本体10の周囲の流体を、本体10の中心側に向かう気流にすることができるので、より推進力を向上することが期待できる。
【0049】
[推進力発生具の動作]
図1を参照して、推進力発生具1の動作について説明する。
推進力発生具1は、駆動源(図示無し)により、回転力伝達部20が中心線Cを中心に回転することで、本体10が回転する。本体10が回転することで、本体10の周囲の流体(空気や水等)が、第1面10a側から、螺旋形状(円孔形状)の複数の孔11に引き込まれ、流体が孔11の周壁に当接することで、推進方向へ移動するとともに、本体10の周囲の流体が複数の孔11に引き込まれることで、第1面10a側が第2面10b側より負圧となり、この負圧となった部分に、本体10が引き込まれる。これにより、第1面10a側に向かう推進力が発生する。
【0050】
このような推進力発生具1によれば、複数の孔11を、本体10の回転の中心線Cを中心とした仮想円上に配列したので、本体10が駆動源により回転した場合、同じ仮想円上の複数の孔11の回転速度を同じにすることができ、複数の孔11でそれぞれ発生する流体の気流の速度を揃えることが可能となり、複数の孔11全体で発生する気流が安定し、気流の乱れによるロスを低減し、より効率的に推進力を発生することができる。
【0051】
そして、全体的な形状は、円板形状に形成された本体10に、複数の孔11を形成した形状であるので、従来のプロペラのように、構造的に強度が低下する部分が無いので、従来のプロペラに比べて、全体的な剛性を向上することができる。
したがって、流体を受ける構成の剛性を向上することが可能な推進力発生具を提供できる。
【0052】
また、推進力発生具1によれば、本体10の中心側の仮想円上と、本体10の外縁側の仮想円上とに、それぞれ複数の孔11を配置することができる。
これにより、本体10の中心側と、本体10の外縁側と、に気流を発生させることができる。そして、本体10の外縁側に発生させた気流により、本体10の中心側で発生させた気流が、本体10の外縁より外側に流れて、推進力が低下するのを防止可能となり、より効率的に推進力を発生することができる。
【0053】
また、推進力発生具1によれば、複数の孔11を、互いに半径が異なる複数の仮想円上に配置した場合でも、例えば、本体10の中心側の仮想円上の孔11と、本体10の外縁側の仮想円上の孔11とを、本体の周方向において互いの位置をずらすことで、本体10の強度の低下を防止できる。
【0054】
なお、上記実施形態及び変形例において、孔11は、螺旋曲線Rを中心に延びている形状とした。しかしながら、孔11は、このような形状に限らず、円弧状であれば任意の形状とすることができる。また、1つの仮想円上に配置する孔11の数は、5つに限らず、3つや7つ等の任意の数とすることができる。なお、1つの仮想円上に配置する孔11の数は、素数であることが望ましい。
【符号の説明】
【0055】
1 推進力発生具
1A 推進力発生具
10 本体
10a 第1面
10a1 平面
10a2 傾斜面
10b 第2面
11 孔
20 回転力伝達部




図1
図2
図3
図4