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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-05-09
(45)【発行日】2024-05-17
(54)【発明の名称】視力訓練具
(51)【国際特許分類】
   A61H 5/00 20060101AFI20240510BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20240510BHJP
【FI】
A61H5/00 Z
H04N5/64 511A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022197844
(22)【出願日】2022-12-12
(62)【分割の表示】P 2022069673の分割
【原出願日】2021-07-16
(65)【公開番号】P2023030002
(43)【公開日】2023-03-07
【審査請求日】2023-05-26
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】302045602
【氏名又は名称】株式会社レーベン
(74)【代理人】
【識別番号】110000198
【氏名又は名称】弁理士法人湘洋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高部 篤
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0098908(US,A1)
【文献】特開2021-021889(JP,A)
【文献】国際公開第2018/211673(WO,A1)
【文献】特開2011-212430(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0200858(US,A1)
【文献】特表2020-509790(JP,A)
【文献】特開2014-130204(JP,A)
【文献】特開2012-000403(JP,A)
【文献】英国特許出願公開第2584546(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61H 5/00
H04N 5/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部に装着され、眼筋を訓練する視力訓練具であって、
装着部と、
表示領域が眼前に配置されるように前記装着部によって頭部に装着される画像表示部と、を備え、
前記表示領域には、訓練画像セットの訓練画像が順次表示され、前記訓練画像の表示によって、注視領域と、前記注視領域より視認性が劣る非注視領域が形成され、
前記訓練画像セットは、左眼訓練画像及び右眼訓練画像の一方または双方を2以上含み、前記左眼訓練画像同士の前記注視領域が互いに異なり、前記右眼訓練画像同士の前記注視領域が互いに異なり、
前記非注視領域は、前記表示領域に前記訓練画像が表示されることで間接的に視認する外景における、視認困難な一部領域であり、
前記訓練画像は、左眼外景画像及び右眼外景画像に基づいて生成される複合現実画像であり、
前記表示領域には、前記注視領域の大きさが変化するように前記訓練画像が順次切り替えられて前記訓練画像セットが表示され、前記訓練画像セットは1回の訓練において繰返し表示される
ことを特徴とする視力訓練具。
【請求項2】
請求項1に記載の視力訓練具であって、
前記訓練画像セットは、左眼及び右眼の一方に対しては前記注視領域の大きさが大から小へ変化し、他方に対しては前記注視領域の大きさが小から大へ変化するように表示される
ことを特徴とする視力訓練具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視力訓練具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、視力を訓練する装置が提案され、例えば、「複数の発光部(16)を所定時間毎に選択発光させてその発光を被訓練者(5)に確認させることで訓練を行う動体視力の訓練装置において、前記発光部(16)は、側面から発光が見えるように棒状に形成されていることを特徴とする動体視力の訓練装置」が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-160971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記動体視力の訓練装置は、発光部の側方から視認性を向上する効果があるものの、操作が煩雑であり、被訓練者自ら操作できないため、不便である。また、点状の発光部を追うだけなので、単調な訓練ですぐ飽きてしまう。
【0005】
一方、高齢化が進むにつれて、高齢者の視力向上のための訓練の必要性が言われるようになっている。動体視力は、一般的にピークとなる20歳前後に0.8前後あったものが徐々に衰え始め、40代からは急激に低下し、平均的に70歳以上の人の動体視力は0.1前後まで低下していると言われている。また、視野角は、一般成人で約200度と言われ、高齢者では約160度まで狭くなり、周辺視機能は加齢とともに低下すると言われている。しかし、上記訓練装置は、高齢者には向いていない。
【0006】
また、目に見えても認識しづらくなる状態は、心理的要因ないし無自覚の脳の選別によっても起こる(スコトーマ)と言われており、注目すべき対象を見落とさない訓練が必要となる。
【0007】
本発明は、上記課題の少なくとも一つを解決するためのもので、簡便に操作でき、飽きずに使用できる視力訓練具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した少なくとも1つの課題を解決するために、本発明に係る視力訓練具は、頭部に装着される視力訓練具であって、装着部と、表示領域が眼前に配置されるように前記装着部によって頭部に装着される画像表示部と、を備え、前記表示領域には、訓練画像セットの訓練画像が順次表示され、前記訓練画像の表示によって、注視領域と、前記注視領域より視認性が劣れる非注視領域が形成され、前記訓練画像セットは、左眼訓練画像及び右眼訓練画像の一方または双方を2以上含み、前記左眼訓練画像同士の前記注視領域が互いに異なり、前記右眼訓練画像同士の前記注視領域が互いに異なる。
【0009】
前記視力訓練具において、前記表示領域には、前記注視領域が所定方向に移動するように前記訓練画像が順次切り替えられて前記訓練画像セットが表示され、前記所定方向は、上下方向、水平方向、斜め方向、またはこれらを組み合わせた方向であってもよい。
【0010】
前記視力訓練具において、前記訓練画像セットは、1回の訓練において繰返し表示されてもよい。
【0011】
前記視力訓練具において、前記非注視領域は、前記表示領域越しに直接に視認する外景が視認困難になる領域であってもよい。
【0012】
前記視力訓練具において、前記非注視領域は、前記表示領域に前記訓練画像が表示されることで間接に視認する外景における、視認困難な一部領域であってもよい。
【0013】
前記視力訓練具において、前記非注視領域は、前記表示領域に表示される画像における、視認困難な一部領域であってもよい。前記視力訓練具において、前記表示領域には、前記注視領域の周辺に強調用の枠線または図形が表示されてもよい。
【0014】
前記視力訓練具において、前記訓練画像の切替えは、装着者の頭部の動きに応じて行われてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、簡便に操作でき、飽きずに使用できる視力訓練具を提供することができる。
【0016】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態1に係る視力訓練具の一例を示す外観図である。
図2】実施形態1に係る視力訓練具の一例を示すブロック図である。
図3】視力訓練具の訓練画像セットの一例を説明するための図である。
図4】視力訓練具による訓練画像表示前の装着者の視認像の一例を説明するための図である。
図5】視力訓練具による訓練画像表示時の装着者の視認像の一例を説明するための図である。
図6】視力訓練具の訓練画像セットの一例を説明するための図である。
図7】視力訓練具の訓練画像セットの一例を説明するための図である。
図8】視力訓練具の訓練画像セットの一例を説明するための図である。
図9】視力訓練具の訓練画像セットの一例を説明するための図である。
図10】身体の動きと連動する視力訓練具の一例を説明するための図である。
図11】対象物の動きと連動する視力訓練具の一例を説明するための図である。
図12】対象物の動きと連動する眼筋視力訓練具の一例を説明するための図である。
図13】実施形態2に係る視力訓練具の一例を示す外観図である。
図14】実施形態2に係る視力訓練具の一例を示すブロック図である。
図15】実施形態2に係る視力訓練具による装着者の視認像の一例を説明するための図である。
図16】実施形態3に係る視力訓練具の一例を示す外観図である。
図17】実施形態3に係る視力訓練具の一例を示すブロック図である。
図18】実施形態3に係る視力訓練具の訓練画像の一例を示す図である。
図19】実施形態3に係る視力訓練具の訓練画像の一例を示す図である。
図20】実施形態4に係る視力訓練具の一例を示す外観図である。
図21】実施形態4に係る視力訓練具の一例を示すブロック図である。
図22】実施形態4に係る視力訓練具の訓練画像の一例を示す図である。
図23】実施形態5に係る眼筋視力訓練具の訓練画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施形態の例を図面を用いて説明する。なお、下記実施形態において共通する構成要素については、前出の符号と同様な符号を付し説明を省略することがある。また、構成要素等の形状、位置関係等に言及する場合は、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。
【0019】
本発明の一態様の視力訓練具は、装着者の頭部に装着される。本発明の視力訓練具は、装着者に対して眼前に配置される表示領域に訓練画像セットの訓練画像を順次表示して、視力の訓練を行う。本願発明の視力訓練具は、装着者に対して眼前に訓練画像セットを表示する画像表示部と、画像表示部を表示領域が眼前に配置されるように装着者の頭部に装着する装着部と、画像表示部を制御する制御部とを備える。なお、本願では、視力は、視覚に係る能力を広く指し示すもので、目を代表とする視覚器に係るものや視覚刺激の処理に関わる脳に係るもの等が含まれる。
【0020】
<実施形態1>
図1は実施形態1に係る視力訓練具100の一例を示す外観図である。実施形態1の視力訓練具100は、眼部の動きを促して眼筋を訓練するものである。また、これにより、脳の動体認識機能の向上も期待できる。実施形態1の視力訓練具100は、表示領域越しに直接に視認する外景(外界(現実世界)の様子)を、訓練画像セットを表示することで、視認性を変更するものである。
【0021】
視力訓練具100は、装着部110と、画像表示部120と、制御部130と、を有する。装着部110は、眼鏡形状に形成され、耳に掛けられる一対の弦部111(左弦部111L、左弦部111R)と、一対の弦部を接続し、鼻に掛けられる接続部112とを備える。
【0022】
画像表示部120は、左眼訓練画像表示部121L及び右眼訓練画像表示部121Rの一対の訓練画像表示部121を備える。訓練画像表示部121は、ここでは、非発光状態で透明な有機ELパネル(OLED)を含んで構成され、表示領域はこの有機ELパネルに形成される。
【0023】
詳細な図示は省略するが、左眼訓練画像表示部121Lを例に説明する(右眼訓練画像表示部121Rは対称に形成される)と、一例として、この有機ELパネルは、R、G、Bの素子を1個ずつ含む単位を1画素として有機EL素子がマトリクス状に配置され、駆動回路が後述の画像制御部133からの信号に従って有機EL素子の選択及び通電を実行することで、訓練画像を表示する。なお、有機ELパネルは、他の色の素子を含んでもよいし、透明素子を含んでもよい。
【0024】
制御部130は、操作部131と、操作表示部132と、画像制御部133とを備える。制御部130は、ここでは、左弦部111Lに配置される例を図示するが、他の部位に配置されてもよいし、その機能の一部又は全部が別途構成されてもよい。
【0025】
操作部131は、装着者が画像表示部120を操作するための操作ボタン等である。操作表示部132は、操作部131の操作に対応した操作表示が表示される。画像制御部133は、装着者の操作を受け付けて、画像表示部120による訓練画像の表示を制御する。
【0026】
図2は実施形態1に係る視力訓練具100の一例を示すブロック図である。画像制御部133は、訓練画像制御部134として機能するCPUと、記憶部135として機能するRAMやROMなどで構成されるメモリと、通信部136と、入出力部137とを有する。訓練画像制御部134は、記憶部135に記憶されたプログラムを実行して訓練画像を生成し画像表示部に出力してもよいし、通信部136を介して外部から訓練画像を取得して画像表示部に出力してもよい。
【0027】
視力訓練具100は、装着者の視線を検出する左右一対の視線検出部71(71L、71R)を備えてもよい。視線検出部71には、公知の装置が用いられ、例えば、赤外線を用いるもので、投光されて装着者の眼に当たり反射された赤外線を受光して視線を検出するものである。
【0028】
視力訓練具100は、装着者の頭部の動きを検出する頭部動き検出部72を備えてもよい。頭部動き検出部152は、公知の装置が用いられ、例えば、6軸の加速度センサである。
【0029】
<訓練画像セット>
画像表示部120の表示領域には、左眼訓練画像と右眼訓練画像を一対として2対以上の訓練画像を含む訓練画像セットが表示される。表示領域は、訓練画像の表示によって、注視領域と、注視領域を囲い、注視領域より視認性が劣れる非注視領域が形成される。
【0030】
図3は視力訓練具の訓練画像セットの一例を説明するための図である。各訓練画像は、外縁K1(LK1、RK1)と内縁K2(LK2、RK2)とを有し、外縁K1(LK1、RK1)は訓練画像表示部121(121L、121R)の表示領域の外縁と一致し、内縁K2は外縁K1内に位置する。各訓練画像を表示すると、表示領域には、内縁K2を外縁とする注視領域M(LM、RM)と、外縁K1と内縁K2との間の非注視領域N(LN、RN)が形成される。なお、以下では、説明の便宜上、各訓練画像の内縁K2内の領域も注視領域M(LM、RM)と称し、外縁K1と内縁K2との間の領域も非注視領域N(LN、RM)と称して説明する。
【0031】
訓練画像セットにおける少なくとも2対の訓練画像は、左眼訓練画像同士の注視領域及び右眼訓練画像同士の注視領域が互いに異なる、より具体的には、注視領域の位置または大きさが互いに異なる。好ましくは、訓練画像セットの訓練画像は、注視領域Mが所定方向に移動するように、または所定の大きさに拡張若しくは縮小するように、順次切り替えられて表示される。
【0032】
ここでは、両眼球を水平方向、例えば右から左に動かすための訓練画像セット500を示している。眼球を左から右に動かすための訓練画像セットは、これと対称的に構成できる。
【0033】
訓練画像セット500は、左右一対の訓練画像を2対以上含む。一例として、順に、第1訓練画像501、第2訓練画像502、第3訓練画像503の三対の訓練画像を含む。ここでは、各訓練画像は、注視領域Mが表示領域越しに外景を透視可能な領域で、非注視領域Nが暗い色の暗色になっている。透明有機ELパネルの場合は、訓練画像は、注視領域Mがこれに相当する領域の有機EL素子がOFF制御されて透明状態となることで表示され、非注視領域Nがこれに相当する周りの有機EL素子がON制御されて暗色に発光されることで表示される。なお、詳細は省略するが、画像制御部133は訓練画像表示部121をこのように表示させる画像信号を生成し出力する。
【0034】
第1訓練画像501は、左眼訓練画像501Lが、右側に配置される注視領域LMAとその周りに配置される非注視領域LNAとを含み、右眼訓練画像501Rが、右側に配置される注視領域RMAとその周りに配置される非注視領域RNAとを含む。第2訓練画像502は、左眼訓練画像502Lが、中央に配置される注視領域LMBとその周りに配置される非注視領域LNBとを含み、右眼訓練画像502Rが、右側に配置される注視領域RMBとその周りに配置される非注視領域RNBとを含む。第3訓練画像503は、左眼訓練画像503Lが、左側に配置される注視領域LMCとその周りに配置される非注視領域LNCとを含み、右眼訓練画像503Rが、右側に配置される注視領域RMCとその周りに配置される非注視領域RNCとを含む。
【0035】
訓練画像セット500を表示する全体時間は、下限は例えば1/80秒、より好ましくは1/50秒で、上限は1秒、より好ましくは1/2秒である。1回の訓練において、訓練画像セット500は繰返し表示される。
【0036】
図4は及び図5は、視力訓練具による装着者の視認像の一例を説明するための図、図4は訓練画像表示前、図5は訓練画像表示時を示すものである。ここでは、訓練画像セット500を装着者の眼前に表示した結果、装着者の視認する像を、左眼を例に示している。図示のように、訓練画像セット500を表示することで、装着者が視認する外景の視認性が一部変更されて、注視領域LMと非注視領域LNが形成され、非注視領域Nの視認性が低下している。訓練画像は、ここでは、装着者が表示領域越しに直接に視認する外景の視認性を変更する視認性変更画像であるとも言える。
【0037】
像601Lで示すように、左眼訓練画像501Lを左眼に対して表示した結果、二人の人物が球技をする外景に対して、左眼は注視領域を通して右側の人物を視認するようになっている。次に、像602Lで示すように、左眼訓練画像502Lを左眼に対して表示した結果、二人の人物がテニスをする外景に対して、左眼は中央の両人物が握るラケットを視認するようになっている。次に、像603Lで示すように、左眼訓練画像503Lを左眼に対して表示した結果、二人の人物がテニスをする外景に対して、左眼は左側の人物を視認するようになっている。このように、左眼は、視線が注視領域LMの変動を追従するように、眼球が動いたのである。
【0038】
このように、視力訓練具100は、装着者の眼前に訓練画像セットを表示することで、装着者の眼部に対して所定の動きを促すことができ、眼筋のトレーニングを簡便に実現して、動体視力を向上させることができる。また、眼部の動きにより、視線が広い範囲に及ぶため、脳の認識のトレーニングにもなり、視野角が狭くなることを抑制することもできる。
【0039】
視力訓練具100を使用する際は、装着者は、操作部131を操作して(例えば開始ボタンを押して)、訓練画像セット500を表示させ、頭部は動かず、眼部で注視領域の変動を追従する。装着者は、これを繰り返すだけで、外眼筋を左右に動かす眼部のストレッチが行える。一回の操作で、所定時間、訓練画像セット500が繰返し表示されるようになってもよい。停止時間が設定されて、1セットの表示が終ると、最大で数秒間停止し、その後再び訓練画像セット500が表示するようになってもよい。
【0040】
視力訓練具100は、このように、簡便に操作できる。また、外景をみながらトレーニングできるので、飽きずに気楽に使用できる。
【0041】
図6は視力訓練具の訓練画像セットの他の例を説明するための図である。ここでは、眼球を内側から外側へ動かすための訓練画像セット510を示している。なお、眼球を外側から内側へ動かすための訓練画像セットはこれ対称に構成できる。
【0042】
訓練画像セット510は、左右一対の訓練画像を2対以上含む。一例として、順に、第1訓練画像511、第2訓練画像512、第3訓練画像513の3対の画像を含む。第1訓練画像511は、注視領域LMAが内側(右側)にある左眼訓練画像511Lと、注視領域RMAが内側(左側)にある右眼訓練画像511Rとを含む。第2訓練画像512は、注視領域LMBが中央にある左眼訓練画像512Lと、注視領域RMBが中央にある右眼訓練画像512Rとを含む、第3訓練画像513は、注視領域LMCが外側(左側)にある左眼訓練画像513Lと、注視領域RMCが外側(右側)にある右眼訓練画像512Rとを含む。
【0043】
図7は視力訓練具の訓練画像の他の例を説明するための図である。ここでは、注視領域を広げたり縮めたりして視認範囲に変化を与えるための訓練画像セット520を示している。
【0044】
訓練画像セット520は、左右一対の訓練画像を2対以上含む。一例として、順に、第1訓練画像521、第2訓練画像522、第3訓練画像523の3対の画像を含む。第1訓練画像521は、注視領域LMAが最小である左眼訓練画像521Lと、注視領域RMAが最大である右眼訓練画像521Rとを含む。第2訓練画像522は、注視領域LMBが2番に小さい左眼訓練画像512Lと、注視領域RMBが2番目に大きい右眼訓練画像512Rとを含む。第3訓練画像513は、注視領域LMCが3番目に小さい(最大の)左眼訓練画像523Lと、注視領域RMCが3番目に大きい(最小の)右眼訓練画像522Rとを含む。なお、図示とは対称に構成して、左眼に対して注視領域が大から小へ順次変動する訓練画像を表示し、右眼に対して注視領域が小から大へ順次変動する訓練画像を表示してもよい。
【0045】
図8は視力訓練具の訓練画像の他の例を説明するための図である。図8(a)は、眼球の斜め上から斜め下への動きを促すための訓練画像セット530を示している。訓練画像セット530は、左右一対の訓練画像を2対以上含むが、ここでは、第1訓練画像を示し、注視領域の変動は白の矢印で示している。図示のように、訓練画像セット530は、左眼に対して注視領域を右上から左下へ徐々に変動して表示するもので、右眼に対しても同様に右上から左下へ徐々に変動して表示する。
【0046】
図8(b)は、眼球の斜め上から斜め下への動きを促すための訓練画像セット540を示している。訓練画像セット540は、左右一対の訓練画像を2対以上含むが、ここでは、第1訓練画像を示し、注視領域の変動は白の矢印で示している。図示のように、訓練画像セット540は、左眼に対して、注視領域を右上から左下へ移動し、そこから右下に移動し、さらにそこから左上に移動し、最後に右上に戻るように変動して表示するものである。なお、右眼に対しても同様に注視領域を変動して表示する。
【0047】
図8(c)は、眼球の回転の動きを促すための訓練画像セット540を示している。訓練画像セット550は、左右一対の訓練画像を2対以上含むが、ここでは、第1訓練画像を示し、注視領域の変動は白の矢印で示している。図示のように、訓練画像セット550は、左眼に対して注視領域を右上から時計方向に変動して表示するもので、右眼に対しても同様に注視領域を変動して表示する。
【0048】
上記図8のように訓練することで、6本の外眼筋の動きを早め、動体視力を高めることができる。訓練画像セットの1セットの表示時間は、好ましくは、年齢により選択できるようになっている。訓練画像セットの1セットの表示時間は、好ましくは、表示時間を徐々に短くして訓練レベルを上げられるようになっている。例えば、高齢者は、当初は5秒程度で、その後訓練レベルを徐々に上げて、最高レベルでは0.5秒程度としてもよい。若年層では、当初は3秒程度で、その後訓練レベルを徐々に上げて、最高レベルでは0.2秒程度としてもよい。上記訓練画像セットを組み合わせたものを1群とし、1群単位で訓練するようにしてもよい。1群単位の訓練において、訓練画像セット同士の間に、停止時間を設けて、訓練画像セットの表示と、停止時間(例えば1秒~6秒)を組み合わせたものとしてもよい。訓練画像セットの1セットの表示において、所定単位で停止時間を設けてもよい。例えば、図8(c)の訓練画像セット540において、右上、右下、左下、左上の4組に分けて、各組の間に停止時間を設けてもよい。
【0049】
以上は、訓練画像セットを例示するものであり、訓練画像セットは、上記と異なる動き、異なる動きの組合せでもよい。また、上記と異なる単位で繰返して表示するものでもよい。また、数字や、文字、図形等の表示との組合せにより、脳のトレーニングと連動させてもよい。また、頭部以外の身体の部分の動きと連動させてもよい。なお、ここでは、身体は、頭部以外の部分を指すものとする。
【0050】
図9は視力訓練具の訓練画像の一例を説明するための図である。ここでは、訓練画像は、さらに、文書表示を含み、文書表示と視認性変更画像を組み合わせるものである。
【0051】
図9(a)は、横書きの文書を、注視領域を変動させて表示する訓練画像セット560を示している。図9(b)は、縦書きの文書を、注視領域を変動させて表示する訓練画像セット570を示している。訓練画像セット560及び訓練画像セット570は、注視領域Mを、A、B、C、D、…の順に、文書の最後まで変動させるものである。なお、訓練画像セット560及び訓練画像セット570には、最初又は最後に文書全体を表示する画像を含めてもよい。また、注視領域の大きさは、ここでは3行としているが、4行や5行としてもよい。
【0052】
訓練画像セット560及び訓練画像セット570は、訓練画像表示部121が透明有機ELパネルを用いて構成される場合は、例えば、注視領域内の文字に対応する有機EL素子を白色に発光させ、注視領域内の文字以外の部分に対応する有機EL素子をOFFにさせ、非注視領域に対応する有機EL素子を暗色に発光させることで表示することができる。
【0053】
速読の基本は目を早く移動させる事と、次の行や文字を一体で見ることであると言われている。これらの要素は目の動きと動体視力が欠かせない。そして、その上での脳の判断力が要求される。上記訓練を繰り返すことで、速読の基本能力の習得が見込まれる。
【0054】
図10は身体の動きと連動する視力訓練具の一例を説明するための図である。訓練画像セットの訓練画像の切替えは、装着者の頭部の動きに応じて行われてもよい。ここでは、装着者の頭部が動いた結果、訓練画像が切り替わる例を、装着者の視認像を用いて、左眼を例に示している。
【0055】
像611Lで示すように、左眼訓練画像501Lを左眼に対して表示し、注視領域において右側の人物を視認している際に、黒の矢印で示すように頭部が右に動くと、像612Lのように、視線が右側の人物に留まるように、注視領域が左へ移動する左眼訓練画像502Lが左眼に対して表示されるようになる。次に、黒の矢印で示すように頭部が更に右へ動くと、像613Lのように、視線が右側の人物に留まるように、注視領域が更に左へ移動し、左眼訓練画像503Lが左眼に対して表示されるようになる。このように、頭部を動かして、同じ対象物の観察を続けるように、訓練画像セットを表示して、眼筋を訓練してもよい。
【0056】
図11は対象物の動きと連動する視力訓練具の一例を説明するための図である。視力訓練具100は、さらに、対象物の動きを検出する対象物動き検出部を備え、対象物の動きと連動して、訓練画像セットを表示してもよい。ここでは、対象物の動きを追従した結果、訓練画像が切り替わる例を、装着者の視認像を用いて、左眼を例に示している。
【0057】
像621Lで示すように、左眼訓練画像501Lを左眼に対して表示し、注視領域において右側の人物を視認している際に、対象物であるボールが動くと、像622Lのように、ボールを追うように注視領域が左へ移動し、左眼訓練画像502Lが左眼に対して表示されるようになる。さらに、ボールが左へ動くと、像623Lのように、ボールを追うように注視領域が更に左へ移動し、左眼訓練画像503Lが左眼に対して表示されるようになる。このように、動く対象物を追従するように、訓練画像セットを表示して、眼筋を訓練してもよい。
【0058】
図12は対象物の動きと連動する視力訓練具の一例を説明するための図である。図のような球技ではボールが曲線状(放物線状等)に動くことが多いので、注視領域が曲線状に変動する訓練画像セットが望ましい。例えば、図示の像631L、像632L、像633Lのように曲線状に変動する画像セットとしてもよい。
【0059】
なお、各訓練画像は、内縁K2が赤色等で強調されてもよい。非注視領域Nは、視認性が注視領域Mより劣れるものであればよく、態様は特に限定されない。
【0060】
また、上記訓練画像セットは、左眼訓練画像のみを含んで左眼部のみに対して行われてもよいし、右眼訓練画像のみを含んで右眼部のみに対して行われてもよいし、両眼部に対して交互に行われてもよい。
【0061】
<実施形態1の変形例1>
実施形態1の視力訓練具100は、透明有機ELパネルを用いる訓練画像表示部に訓練画像セットを表示するものであるが、他の構成により装着者に表示(提示)されてもよい。
【0062】
一例として、訓練画像表示部が液晶シャッター(光フィルター)を用いて構成され、表示領域はこの液晶シャッターに形成されてもよい。液晶シャッターは、画像制御部133からの信号に従って駆動電圧が変わり、光の透過率が変わるようになっている。液晶シャッターの構成は、特に限定されず、公知技術が適宜用いられる。
【0063】
訓練画像セットにおける各訓練画像の注視領域Mは、液晶シャッターのそれに相当する領域の光透過率が100%となることで表示され、各訓練画像の非注視領域Nは、液晶シャッターのそれに相当する領域が非透過状態ないし透過率が低い状態となることで表示される。
【0064】
<実施形態2>
図13は実施形態2に係る視力訓練具200の一例を示す外観図である。視力訓練具200は、表示領域越しに直接に視認する外景に対して、訓練画像セットを表示することで、視認性を変更するものである。
【0065】
視力訓練具200は、装着部210と、画像表示部220と、制御部230と、を有する。装着部210は、眼鏡形状に形成され、耳に掛けられる一対の弦部211(左弦部211L、左弦部211R)と、一対の弦部を接続し、鼻に掛けられる接続部212とを備える。
【0066】
画像表示部220は、左眼訓練画像表示部221L及び右眼訓練画像表示部221Rの一対の訓練画像表示部221を備える。訓練画像表示部221は、いわゆる光学シースルー型の表示部であり、表示領域は導光板に形成される。
【0067】
詳細な図示は省略するが、左眼訓練画像表示部221Lを例に説明する(右眼訓練画像表示部221Rは対称に形成される)と、一例として、投影部としての表示パネルと、光学レンズと、導光板とを備える。表示パネルは、液晶パネル(バックライトを含む)や有機ELパネル等で構成される。光学レンズは、表示パネルの前方に配置され、表示パネルから出射された画像光を平行状態の光束にする。導光板には、プリズムと眼前に位置するハーフミラーとが設けられ、光学レンズから出射された画像光はプリズムによりハーフミラー向けて反射され、ハーフミラーにより後方の眼に向けて反射される。反射された画像光が網膜で結像することで、装着者が虚像を視認できるようになる。一方、外界から入射された外光は、ハーフミラーを透過して、装着者が直接視認できるようになる。
【0068】
制御部230は、操作部231と、操作表示部232と、画像制御部233とを備える。操作部231は、装着者が画像表示部220の表示を操作するための操作ボタンである。操作表示部232は、操作部231の操作に対応した操作表示が表示される。画像制御部233は、装着者の操作を受け付けて、画像表示部220による訓練画像の表示を制御するものである。制御部230は画像表示部220と無線接続してもよいことは言うまでもない。制御部230はインターネットを介して高速処理マシンやAIマシンに接続し処理が行われてもよいことは言うまでもない。
【0069】
図14は実施形態2に係る視力訓練具200の一例を示すブロック図である。画像制御部233は、訓練画像制御部234として機能するCPUと、記憶部235として機能するRAMやROMなどで構成されるメモリと、通信部236と、入出力部237とを有する。訓練画像制御部234は、記憶部235に記憶されたプログラムを実行して訓練画像を生成し画像表示部に出力してもよいし、通信部236を介して外部から訓練画像を取得して画像信号を画像表示部に出力してもよい。
【0070】
図15は実施形態2に係る視力訓練具による装着者の視認像の一例を説明するための図である。図示のように、訓練画像を表示することで、装着者が視認する外景(図15(a)を参照)の視認性が一部変更されて、図15(b)に示すように、注視領域Mと非注視領域Nが形成され、非注視領域Nの視認性が低下している。訓練画像は、ここでは、装着者が表示領域越しに直接に視認する外景の視認性を変更する視認性変更画像であるとも言える。この視認性変更画像は、上記のように投影部としての表示パネルから出射された画像光がハーフミラーに導かれ、反射されて装着者の網膜で結像することで虚像として視認できる。ハーフミラー越しに装着者が直接視認する外景(図15(a)を参照)に、この虚像が重なるため、装着者の視認像は、図示の像641のように、非注視領域Nの視認性が低下ないし視認困難になっている。
【0071】
本実施形態の訓練画像セットは、上記例と同様に構成でき、これらの訓練画像セットを視力訓練具200により装着者の眼前に表示することで、装着者の眼部に対して所定の動きを促すことができ、眼筋のトレーニングを簡便に実現して、動体視力を向上させることができる。また、眼部の動きにより、視線が広い範囲に及ぶため、脳の認識のトレーニングにもなり、視野角が狭くなることを抑制することもできる。
【0072】
本実施形態の視力訓練具200は、光学シースルー型の画像表示部であり、レンズ越しに外景を眺め、そこにプリズムやハーフミラーといった光学系を用いて、電子的なディスプレイの画像(映像)を重ねて、装着者の網膜上に、現実世界の外景と、記号や画像、文字情報といった仮想世界の情報を重ね合せるものである。重畳表示には公知技術が適宜用いられる。例えば、現実世界の事物の所定の位置に重畳表示するのにGPSやWi-Fiなどを利用してその事物の緯度・経度・高度等の情報を取得した上で、そこにデジタル情報を重ね合わせて表示する。
【0073】
視力訓練具200は、上記実施例の視力訓練具と同様に、簡便に操作できる。また、外景をみながらトレーニングできるので、飽きずに気楽に使用できる。
【0074】
<実施形態3>
図16は実施形態3に係る視力訓練具300の一例を示す外観図である。視力訓練具300は、表示領域に表示されることで間接に視認する外景に対して、視認性を一部変更するものである。視力訓練具300は、外景を三次元空間として情報化し、その中に注視領域を配置して自由に操作することもできる。
【0075】
視力訓練具300は、装着部310と、画像表示部320と、制御部330と、画像撮像部340とを有する。装着部310は、バンド状に形成され、その中央部に画像表示部320の表示領域が両眼の前方に配置されるように取り付けられる。
【0076】
画像表示部320は、左眼訓練画像表示部321L及び右眼訓練画像表示部321Rの一対の訓練画像表示部321を備える。画像表示部320は、いわゆるビデオシースルー型の表示部であり、表示領域は液晶表示パネルに形成される。画像表示部320は、図示しない通信部を備え、制御部330と近距離無線通信可能になっている。
【0077】
詳細な図示は省略するが、左眼訓練画像表示部321Lを例に説明する(右眼訓練画像表示部321Rは対称に形成される)と、一例として、液晶表示パネルは、装着者の眼前に配置され、外景画像に基づいて生成される複合現実画像が表示される。外景画像は、画像撮像部340により撮像される。
【0078】
制御部330は、操作部331と、操作表示部332と、画像制御部333とを備える。画像制御部333は、装着者の操作を受け付けて、画像表示部320による訓練画像の表示を制御するものである。制御部330は、ここでは、別体に構成され、画像表示部320とは通信部336を介して通信するようになっている。
【0079】
画像撮像部340は、左眼画像撮像部340L及び右眼画像撮像部340Rの一対の画像撮像部を備え、左右眼の視界と同範囲となるように配置されて、左右眼用外景画像(ステレオ画像)をそれぞれ撮像する。なお、ここでは、一対の画像撮像部が左右眼の視界と同範囲となるように配置されるため、映像酔い等が抑制され、心地よく訓練できる。
【0080】
図17は実施形態3に係る視力訓練具の一例を示すブロック図である。画像制御部333は、訓練画像制御部334として機能するCPUと、記憶部335として機能するRAMやROMなどで構成されるメモリと、通信部336と、入出力部337とを有する。
【0081】
訓練画像制御部334は、画像撮像部340により撮像された外景画像を取得し、画像中の特徴情報(点や線、マーカ等)を抽出し、必要であれば対象物の位置姿勢を計測して、注視領域を決定し、外景画像に視認性変更画像を重畳して訓練画像を生成する。
【0082】
図18は実施形態3に係る視力訓練具の訓練画像の一例を示す図である。視力訓練具300の表示領域は、図示の訓練画像571の表示によって、注視領域Mと、注視領域Mより視認性が劣れる非注視領域Nが形成される。訓練画像571は、ここでは、外景画像Pと、外景画像Pに重畳される視認性変更画像を含む。図示のように、注視領域Mは、ここでは、外景画像P即ち表示領域に表示されることで間接に視認する外景における視認しやすい一部領域で、非注視領域Nは同外景画像Pにおける視認困難にされた一部領域であるとも言える。訓練画像571は、例えば、外景画像Pにおける注視領域Mに相当する部分をそのままに、非注視領域Nに相当する部分を特に限定されないが、例えば近似色や暗色で塗りつぶす、所定画素単位置きに暗色に変える、すべて暗色に変える等して視認性を低減させることができる。
表示領域には、注視領域Mの周辺に強調用の枠線または図形(矢印や星印、点、丸、複数丸印等)が表示されてもよい。このような強調用の表示は、訓練画像に含まれ、訓練画像を表示することで表示されてもよい。
【0083】
訓練画像セットには、このような訓練画像が2対以上、即ち左眼訓練画像と右眼訓練画像を1対として2対以上含み、これら左眼訓練画像同士の注視領域M及び右眼訓練画像同士の注視領域Mが互いに異なる。なお、上記例と同様に、注視領域Mは、互いに大きさまたは位置が異なり、好ましくは、上下方向、水平方向、斜め方向、またはこれらを組み合わせた方向に順に変動するようになっている。このような訓練画像セットを、視力訓練具300により装着者の眼前に表示することで、装着者の眼部に対して所定の動きを促すことができ、眼筋のトレーニングを簡便に実現して、動体視力を向上させることができる。また、眼部の動きにより、視線が広い範囲に及ぶため、脳の認識のトレーニングにもなり、視野角が狭くなることを抑制することができる。
【0084】
視力訓練具300は、簡便に操作できる。また、外景をみながらトレーニングできるので、飽きずに気楽に使用できる。
【0085】
図19は実施形態3に係る視力訓練具の訓練画像の一例を示す図である。視力訓練具300は、手の動きを検出する身体動き検出部73を備えてもよい。装着者は訓練画像における注視領域Mを変動させるように手を動かし、操作検出部343によりその動きを検出し、その動きに応じた注視領域に対応じた訓練画像を生成することで、あたかも空間において手が注視領域Mを動かしたように操作することができる。視力訓練具300は、足や背筋等の動きを身体動き検出部73により検出して、これらの動きに連動して訓練画像を生成してもよい。
【0086】
<実施形態4>
図20は実施形態4に係る視力訓練具400の一例を示す外観図である。視力訓練具400は、視界が360度覆われている状態で、訓練画像が表示されるもので、没入感の得られる訓練具である。視力訓練具400は、表示領域に表示される訓練画像の一部が視認困難になっている。
【0087】
視力訓練具400は、装着部410と、画像表示部420と、制御部430とを有する。装着部410は、画像表示部420を表示領域が両眼の前方に配置されるように頭部に装着するもので、バンド411と、ハウジング412とを有する。
【0088】
画像表示部420は、ハウジング412内に配置され、左眼訓練画像表示部及び右眼訓練画像表示部の一対の訓練画像表示部を備える。画像表示部420は、図示しない通信部を備え、制御部430と近距離無線通信可能になっている。
【0089】
詳細な図示は省略するが、各訓練画像表示部は、装着者の視野を広げるための接眼レンズと、画像を表示する液晶表示パネルとを有する。左右訓練画像表示部の間には、仕切り部材が設けられる。
【0090】
制御部430は、操作部431と、操作表示部432と、画像制御部433とを備える。画像制御部433は、装着者の操作を受け付けて、画像表示部420による訓練画像の表示を制御するものである。制御部430は、ここでは、別体に構成され、画像表示部420とは通信部436を介して通信するようになっている。
【0091】
図21は実施形態4に係る視力訓練具の一例を示すブロック図である。画像制御部433は、訓練画像制御部434として機能するCPUと、記憶部435として機能するRAMやROMなどで構成されるメモリと、通信部436と、入出力部437とを有する。
【0092】
図22は実施形態4に係る視力訓練具の訓練画像の一例を示す図である。視力訓練具400の表示領域は、図示の訓練画像581の表示によって、注視領域Mと、注視領域Mより視認性が劣れる非注視領域Nが形成される。訓練画像581は、ここでは、画像Qと、画像Qに重畳される視認性変更画像を含む。図示のように、注視領域Mは、画像Qにおける視認しやすい一部領域で、非注視領域Nは同画像Qにおける視認困難な一部領域であるとも言える。訓練画像581は、例えば、訓練画像制御部434が通信部436を介して外部から取得した画像Qを、注視領域Mに相当する部分をそのままに、非注視領域Nに相当する部分を特に限定されないが、例えば近似色や暗色で塗りつぶす、所定画素単位置きに暗色に変える、すべて暗色に変える等して視認性を低減させることができる。
表示領域には、注視領域Mの周辺に強調用の枠線または図形(矢印や星印、点、丸、複数丸印等)が表示されてもよい。このような強調用の表示は、訓練画像に含まれ、訓練画像を表示することで表示されてもよい。
【0093】
訓練画像セットには、このような訓練画像が2対以上、即ち左眼訓練画像と右眼訓練画像を1対として2対以上含み、これら左眼訓練画像同士の注視領域M及び右眼訓練画像同士の注視領域Mが互いに異なる。なお、上記例と同様に、注視領域Mは、互いに大きさまたは位置が異なり、好ましくは、上下方向、水平方向、斜め方向、またはこれらを組み合わせた方向に変動するようになっている。このような訓練画像セットを、視力訓練具400は、訓練画像セットを装着者の眼前に表示することで、装着者の眼部に対して所定の動きを促すことができ、眼筋のトレーニングを簡便に実現して、動体視力を向上させることができる。また、眼部の動きにより、視線が広い範囲に及ぶため、脳の認識のトレーニングにもなり、視野角が狭くなることを抑制することができる。
【0094】
視力訓練具300は、簡便に操作できる。また、注視領域を変動により視認される光景が変わるので、飽きずに気楽に使用できる。
【0095】
<実施形態5>
本発明の一態様の視力訓練具は、装着者の頭部に装着されて、注目すべき対象を見落とさないように、対象表示を表示して装着者の視力を訓練するものである。
【0096】
本実施形態の視力訓練具には、例えば、上記実施形態3の視力訓練具が用いられ、訓練画像表示部の代わりに対象表示部を備え、訓練画像制御部の代わりに対象制御部を備える。以下では、主に上記例と異なる点を説明し、共通点の説明は適宜省略する。なお、上記実施形態の訓練画像表示部及び訓練画像制御部が、対象表示部及び対象制御部の機能を備えて共通して用いられてもよい。
【0097】
対象制御部は、画像撮像部により撮像された外景画像を取得し、外景中の物体を検出する。記憶部には予め対象物体が登録されており、対象制御部は外景中の物体と対象物体とが一致するかを判断して注目すべき対象を特定する。対象制御部は、特定された注目すべき対象に付与する対象表示Sを決定し、外景画像に対して対象表示Sを重畳表示する画像を、対象表示部に表示させる。
【0098】
図23は実施形態5に係る視力訓練具の対象表示の一例を示す図である。図23(a)示のように、球技において注目すべき対象を見落とさないように訓練する場合は、一例として、相手のボール及びラケットが注目すべき対象として特定され、ボール及びラケットのそれぞれの大きさに応じた対象表示S1、S2が決定され、表示される。対象表示S1、S2は、例えば、四角い赤色枠である。対象表示S2は、ラケットを握る相手の手を枠内に含めるものでもよい。対象表示S1、S2は、外景の変化に合わせて、即ち相手の動きに追従するように表示される。このように表示することで、装着者が球技で注目すべき相手のラケットやボールを見落とさないように訓練することができる。注目すべき対象に応じて、対象表示の色や形状を変えてもよい。例えば、ボールの対象表示S1を丸い赤色枠とし、ラケットの対象表示S2を四角い黄色枠とすれば、繰返し行う訓練を通じて脳が注目すべき対象をより判別しやすくなる。
また、枠線以外に図形(矢印や星印、点、丸、複数丸印等)を表示しても良い。
【0099】
図示のように球技においてサービスを打つ場合は、相手の打ち方(例えばスライスサーブやスピンサービス等)を見極める必要があり、ボールと身体(例えば顔)との位置関係が目安となり得るので、その訓練のために位置関係を示す矢印を対象表示S3として追加して表示してもよい。このように対象表示をすることで、装着者の目線を誘導して、相手の動きを見極めるためのポイントを見落とさないように、視力を訓練することができる。
【0100】
なお、対象制御部は、画像撮像部により撮像された外景画像を分析し、矢印等の対象表示で次に注目すべき対象の方向を示してその方向に視線を誘導してもよい。例えば、ダブルスの球技において、相手の前衛がポーチしなければ相手の後衛に視線を素早く移る必要があり、前衛の本人が打たず後衛が打っている場合は相手の前衛がポーチに出るか見極める必要があるので、対象表示により視線を誘導する訓練を行うことで、早期上達が見込める。
【0101】
図23(b)に示すように、注目すべき対象が遠い場合は、対象制御部は、外景画像中の拡大すべき部分を決定し、その部分を拡大して対象表示とともに重畳表示してもよい。
【0102】
上記で示した様に、検出方法は、例えば、ボール、ラケットなどに、それぞれの対象物を検出する為に対象物にマーカーを貼っておき、それらを検出することで向きや位置、種別を識別することで、より精度の高い検出を容易にすることができる。
また、目に見えても認識しづらくなる状態は、心理的要因ないし無自覚の脳の選別によっても起こる(スコトーマ)と言われており、注目すべき対象を見落とさない訓練の強化ともなりうる。
【0103】
なお、上記実施形態2の視力訓練具が画像撮像部を備え、訓練画像表示部の代わりに対象表示部を備え、訓練画像制御部の代わりに対象制御部を備えて用いられてもよい。この場合、対象表示は、表示領域越しに直接に視認する外景に対して表示されるようになる。上記実施形態4の視力訓練具が画像撮像部を備え、訓練画像表示部の代わりに対象表示部を備え、訓練画像制御部の代わりに対象制御部を備えて用いられてもよい。
【0104】
なお、上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した実施形態の例に限定されるものではない。請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0105】
100、200、300、400 視力訓練具
110、210、310、410 装着部
120、220、320、420 画像表示部
130、230、330、440 制御部
133、233、333、433 画像制御部
500、510、520、530 訓練画像セット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図23